JP2522016B2 - 交流発電機の電圧調整装置 - Google Patents

交流発電機の電圧調整装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、界磁回転形交流発電機の出力電圧を所定の
定電圧に自動調整する電圧調整装置に関するものであ
る。
[従来技術] 従来、界磁回転形交流発電機の出力電圧を所定の定電
圧に自動調整するには、例えば第3図に示したような装
置が用いられていた。同図において、Aは界磁回転形交
流発電機、A1は該発電機Aの固定子に設けられた出力巻
線、A2は励磁巻線、A3は回転子に設けられた界磁巻線、
A4は摺動環である。B′は交流発電機Aに接続された電
圧調整装置、R及びCはそれぞれ切換スイッチDを介し
て出力巻線A1に接続された抵抗負荷及び容量負荷であ
る。
出力電圧調整装置B′において、1は励磁巻線A2及び
界磁巻線A3に接続された励磁電流供給回路、2は出力巻
線A1に接続された電圧検出回路、3はこの電圧検出回路
2の検出出力端と励磁電流供給回路1との間に設けられ
た励磁制御回路(トリガ信号バイパス回路)である。4
は界磁巻線A3に流れている電流が遮断されたとき、該巻
線A3に生ずる誘導電圧により励磁電流供給回路1に用い
られるサイリスタ(又はトランジスタ)が誤動作するの
を防ぐために、該巻線A3に並列接続されて過渡電流を流
すフリーホイール・ダイオードである。
第3図において、出力巻線A1に抵抗負荷Rが接続され
ているとする。このとき図示しない原動機により駆動さ
れて回転子が回転を始めると、励磁巻線A2に初期励磁用
電圧が発生する。これにより、励磁電流供給回路1のサ
イリスタにトリガ信号が与えられて該サイリスタが導通
し、励磁巻線A2から励磁電流供給回路1と摺動環A4とを
通じて界磁巻線A3に界磁電流が供給される。これによ
り、励磁巻線A2の前記発生電圧との間に循環増磁作用が
働いて、出力巻線A1の出力電圧が確立される。出力巻線
A1の電圧が設定電圧を超えると、電圧検出回路2の検出
出力がトリガ信号バイパス回路3に与えられる。このと
きバイパス回路3は、励磁巻線A2側から励磁電流供給回
路1のサイリスタに与えられているトリガ信号を該サイ
リスタから側路し、励磁電流供給回路1の動作を停止さ
せる。そのため界磁巻線A3への界磁電流の供給が停止
し、出力巻線A1の電圧が低下する。以上の一連の動作に
より、出力巻線A1の出力電圧がほぼ設定値に保たれる。
[発明が解決すべき課題] 上記従来の装置において、出力巻線A1に容量負荷Cを
接続すると、出力巻線A1に負荷の容量に比例した進相交
流電流が流れ、この電流の励磁作用により界磁巻線A3
交流電圧が誘起される。この交流電圧は、フリーホイー
ル・ダイオード4により整流されて(該ダイオードがな
い場合は励磁電流供給回路1を誤動作させて)、界磁巻
線A3に正規の励磁電流と同方向の電流を流すため増磁作
用が起こり、出力巻線A1の出力電圧が定格電圧以上の高
電圧にまで上昇する。この場合、前記のように電圧検出
回路2が検出信号を発生して励磁電流供給回路1の動作
を停止させるが、界磁巻線A3の誘起電圧による上記の増
磁作用により出力巻線A1の電圧上昇が続く。これによ
り、従来の装置では下記のような不具合がある。
1)出力巻線A1に容量負荷と他の抵抗負荷とを並列に接
続した場合、出力の過電圧により抵抗負荷の破損が生ず
る。従って負荷の保護のため、容量負荷と他の負荷とを
併用することができない。
2)出力の過電圧及び過電流により、発電機Aの焼損及
び電圧調整装置B′の破壊等が生ずるおそれがある。
3)電圧値が常に安定している発電機出力が得られな
い。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消して、発
電機の負荷の種類のいかんを問わず、また、容量負荷と
抵抗負荷を併用した場合でも、発電機の出力電圧を設定
された定電圧に自動調整し得る界磁回転形交流発電機の
電圧調整装置を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記の課題を解決するための本発明の構成を、実施例
を示す第1図を参照して以下に説明する。
本発明の電圧調整装置Bは、交流発電機Aの励磁巻線
A2の出力を整流して界磁巻線A3に正規の励磁電流を流す
励磁電流供給回路1と、発電機Aの出力巻線A1の電圧を
検出して該電圧が第1の設定値を超えた時に検出信号を
発生する第1の電圧検出回路2と、該電圧検出回路2が
検出信号を発生した時に前記励磁電流供給回路1の動作
を停止させる励磁制御回路3と、発電機Aの出力巻線A1
の電圧が前記第1の設定値よりも高い第2の設定値を超
えたときに検出信号を発生する第2の電圧検出回路8
と、該電圧検出回路8が検出信号を発生したときに界磁
巻線A3の誘起電圧により該界磁巻線に前記正規の逆励磁
電流と逆方向の逆励磁電流を流す逆励磁制御回路7とを
具備している。
請求項2に記載の電圧調整装置は、上記の逆励磁制御
回路7が、導通した際に界磁巻線A3の誘起電圧を整流し
て該界磁巻線に逆励磁電流を流すサイリスタ5と、第2
の電圧検出回路8が発生する検出信号を増幅して前記サ
イリスタ5にトリガ信号として与えるトリガ増幅回路6
とにより構成されている。
[発明の作用] 上記の構成になる出力電圧調整装置Bにおいては、発
電機Aの出力巻線A1の電圧が上昇して第2の設定値を超
えると、第2の電圧検出回路8の検出出力により逆励磁
制御回路7が駆動されて、該逆励磁制御回路が界磁巻線
A3に生ずる電圧により該界磁巻線に正規の励磁電流と逆
方向の逆励磁電流を流す。これにより、出力巻線A1に容
量負荷が接続された場合に従来生じていた増磁作用によ
る出力電圧の上昇を防止することができ、出力電圧を所
定の定電圧に自動調整することができる。従って、出力
巻線に容量負荷と抵抗負荷とを接続した場合に抵抗負荷
が過電圧により破損するのを防止することができる。
また、請求項2に記載した発明のように逆励磁制御回
路を構成した場合には、第2の電圧検出回路の検出出力
がトリガ増幅回路6により増幅されてサイリスタ5にト
リガ信号として与えられるため、発電機の出力電圧が第
2の設定値を超えたことが検出されたときに該サイリス
タを確実に導通させて界磁巻線に逆励磁電流を流すこと
ができる。従って、出力電圧の自動調整作用を確実に行
わせて負荷の保護を確実に図ることができる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。第
1図は本発明の実施例の概要を発電機と共に示す接続図
である。同図において、第3図の装置と同一部分には同
符号を付してその説明を簡略にする。
第1図における電圧調整装置Bは、第3図における電
圧調整装置B′と同様の構成部分、即ち、励磁電流供給
回路1、第1の電圧検出回路2、励磁制御回路(トリガ
信号バイパス回路)3、及びフリーホイール・ダイオー
ド4に加えて、発電機Aの界磁巻線A3に対して、励磁電
流供給回路1により流す正規の励磁電流とは逆方向の逆
励磁電流を流すように並列接続されたサイリスタ5を備
えている。また、出力巻線A1に接続された第2の電圧検
出回路8、及び該電圧検出回路8の検出出力端とサイリ
スタ5のゲートとの間に挿入接続されたトリガ増幅回路
6を備えている。上記のサイリスタ5とトリガ増幅回路
6とで逆励磁制御回路7を構成している。第2の電圧検
出回路8の設定動作電圧(第2の設定値)は、第1の電
圧検出回路2の該電圧(第1の設定値)よりも僅かに高
く設定されている。
上記の電圧調整装置Bにおいては、発電機Aの出力巻
線A1に抵抗負荷Rのみが接続されているときは、前述の
ように電圧検出回路2、励磁制御回路3、及び励磁電流
供給回路1が動作して、出力巻線A1の出力電圧を所定の
定電圧に自動調整する。そして、容量負荷Cの接続によ
り前述のように出力巻線A1の電圧が上昇して、第2の電
圧検出回路8の設定動作電圧を超えると、その検出出力
により逆励磁制御回路7のトリガ増幅回路6を介してサ
イリスタ5のゲートが駆動され、該サイリスタ5が導通
して界磁巻線3に誘起した交流電圧の負極性分が短絡さ
れる。これにより、界磁巻線3に励磁電流供給回路1か
ら流れる正規の励磁電流とは逆方向の逆励磁電流が流れ
る。即ち、増磁作用分を減ずる逆励磁作用が生じて出力
巻線A1の電圧上昇が抑制される。そして、出力巻線A1
電圧が電圧検出回路8の設定動作電圧以下になると、サ
イリスタ5のトリガー停止により、上記の逆励磁作用が
解除される。以上の一連の電圧制御作用の繰り返しによ
り、出力巻線A1の出力電圧は抵抗負荷Rのみが接続され
ている場合よりは若干高い所定の定電圧に自動調整され
て安定する。この場合、第1の電圧検出回路2は第2の
電圧検出回路8よりも設定動作電圧が低くなっているの
で、励磁電流供給1はサイリスタ5の導通中、常に非導
通状態にある。従って、励磁巻線A2から界磁巻線A3側に
流れる電流路は遮断されており、励磁巻線A2の短絡は起
らない。
次に、第1図で概要を示した本実施例の電圧調整装置
Bの具体的な回路構成及びその動作を第2図により説明
する。同図において、励磁電流供給回路1は、励磁巻線
A2の出力を全波整流して界磁巻線A3に電流を流すように
接続されたダイオード11,12、サイリスタ13,14、及びダ
イオード15,16等で構成されている。第1の電圧検出回
路2は、出力巻線A1に並列接続される抵抗21a,21b,21c
の直列接続からなる分圧回路と、抵抗21bの電圧を全波
整流する整流器22と、該整流器の出力端に接続された可
変抵抗23、抵抗24,25の直列接続からなる分圧回路と、
抵抗25に並列接続されたコンデンサ26と、該コンデンサ
26の電圧が印加されるツエナー・ダイオード27、抵抗2
8,29の直列接続回路とにより構成されている。また、励
磁制御回路(トリガ信号バイパス回路)3は上記の抵抗
29の電圧がベース、エミッタ間に加えられるトランジス
タ31と、一端が該トランジスタのコレクタ及び励磁電流
供給回路1のサイリスタ13,14のゲートに接続され他端
がダイオード15,16のカソードに接続される抵抗32とに
より構成されている。
そして、第2の電圧検出回路8は、1次巻線が出力巻
線A1に並列接続されるトランス81と、該トランスの2次
巻線の出力を全波整流して第1の電圧検出回路2の整流
器24と逆極性の出力を出す整流器82と、該整流器82の出
力側に前記整流器24の出力側におけると対称的に接続さ
れた可変抵抗83,抵抗84,85、コンデンサ86、ツエナー・
ダイオード87、及び抵抗88,89等で構成されている。
逆励磁制御回路7のサイリスタ5を駆動するトリガ増
幅回路6は、上記の抵抗89の電圧がベース・エミッタ間
に加えられるトランジスタ61と、該トランジスタのコレ
クタにベースが接続され、コレクタがサイリスタ5のゲ
ートに接続されるとともに抵抗63を介してトランジスタ
61のエミッタ側に接続され、またエミッタが整流器82の
正出力端に接続されたトランジスタ62とで構成されてい
る。
上記の回路構成になる電圧調整装置Bにおいては、発
電機Aの励磁巻線A2の発生電圧により励磁電流供給回路
1のダイオード15,16及び抵抗32を介してサイリスタ13,
14のゲートが駆動されて、該サイリスタが導通し、整流
出力が正規の励磁電流として界磁巻線A3に流されて、出
力巻線A1の出力電圧が確立される。そして、出力巻線A1
の電圧が電圧検出回路2の設定動作電圧を超える、即ち
コンデンサ26の端子電圧がツエナー・ダイオード27のツ
エナー電圧になると、該ツエナー・ダイオードに電流が
流れる。これにより、トランジスタ31が導通してサイリ
スタ13,14のゲートを短絡するので、該サイリスタが非
導通になり、界磁巻線A3に流れる励磁電流が遮断され
て、出力巻線A1の電圧が低下する。以上述べた一連の動
作により、出力巻線A1の出力電圧の自動調整作用が行わ
れる外に、本実施例の出力電圧調整装置Bにおいては、
発電機Aに容量負荷が接続されて出力電圧が上昇する場
合、下記のような出力電圧調整作用が付随して行われ
る。
第2の電圧検出回路8において、出力巻線A1の交流電
圧がトランス81により変圧され、整流器82により整流さ
れて、可変抵抗83及び抵抗84,85により分圧され、コン
デンサ86が充電される。そして、出力巻線A1の電圧が電
圧検出回路8の設定動作電圧を超えると、コンデンサ86
の端子電圧がツエナー・ダイオード87のツエナー電圧に
達して、該ダイオードに電流が流れる。これにより、ト
リガ増幅回路6を介してサイリスタ5のゲートが駆動さ
れ、該サイリスタが導通して界磁巻線A3に生じた交流電
圧の負極性分が短絡される。これにより界磁極の逆励磁
作用が働いて、出力巻線A1の電圧上昇が抑制される。そ
して、出力巻線A1の電圧が下がり、コンデンサ86の端子
電圧がツエナー電圧以下になると、サイリスタ5のトリ
ガー停止により上記の逆励磁作用が停止される。以上の
一連の電圧調整作用の繰り返しにより、発電機Aの出力
電圧は抵抗負荷Rのみが接続されているときよりは若干
高い所定の定電圧に自動調整されて安定する。
なお、上記の実施例で逆励磁制御回路7に用いたサイ
リスタの代わりにトランジスタを用いることもできる。
第4図は、電圧調整装置を用いた界磁回転形交流発電
機の回転数対出力電圧の特性例を示したものである。同
図において、曲線aは従来の電圧調整装置を用いて容量
負荷を接続した場合の前記特性を示したもので、出力電
圧Vは自動調整されることなく回転数Nに比例して上昇
する。これに対して、曲線cは本実施例の電圧調整装置
を用いて抵抗負荷を接続した場合、曲線bは同じく容量
負荷を接続した場合の前記特性をそれぞれ示したもので
ある。図に見られるように、発電機の使用回転数範囲内
において、曲線bの出力電圧は曲線cの出力電圧よりも
僅かに高い設定電圧に安定化されて、曲線b,cの出力電
圧ともに発電機の定格電圧範囲内に納まるように電圧調
整されている。
[発明の効果] 本発明は以上述べたように構成されているので、以下
に記載するような効果を奏する。
交流発電機に容量負荷が接続されて出力電圧が上昇
し、第2の電圧検出回路の設定電圧を超えると、逆励磁
制御回路が駆動され、界磁巻線の誘起電圧により該界磁
巻線に正規の励磁電流と逆方向の逆励磁電流を流すの
で、発電機に容量負荷が接続された場合に従来生じてい
た増磁現象による出力電圧の上昇を有効に防止して、出
力電圧を所定の定電圧に自動調整することができる。
従って、出力巻線に容量負荷と抵抗負荷とを接続した
場合に抵抗負荷が過電圧により破損するのを防止するこ
とができ、容量負荷と抵抗負荷との併用を可能にするこ
とができる。
また、請求項2に記載した発明によれば、発電機の出
力電圧が第2の設定値を超えたことが検出されたとき
に、第2の電圧検出回路の検出出力をトリガ増幅回路に
より増幅してサイリスタにトリガ信号として与えるよう
にしたので、発電機の出力電圧が第2の設定値を超えた
ときに該サイリスタを確実に導通させて界磁巻線に逆励
磁電流を流すことができる。従って、出力電圧の自動調
整作用を確実に行わせることができ、負荷の保護を確実
に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を発電機とともに示す接続図、
第2図は同実施例の具体的な構成例を示す回路図、第3
図は従来の電圧調整装置の例を発電機とともに示す接続
図、第4図は電圧調整装置を用いた界磁回転形交流発電
機の出力電圧特性例を示す特性曲線図である。 A……界磁回転形交流発電機、A1……出力巻線、A2……
励磁巻線、A3……界磁巻線、B……電圧調整装置、1…
…励磁電流供給回路、2……第1の電圧検出回路、3…
…励磁制御回路(トリガ信号バイパス回路)、5……サ
イリスタ、6……トリガ増幅回路、7……逆励磁制御回
路、8……第2の電圧検出回路、R……抵抗負荷、C…
…容量負荷。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定子に励磁巻線及び出力巻線を備え回転
    子に界磁巻線を備えた界磁回転形交流発電機の電圧調整
    装置において、 前記励磁巻線の出力を整流して前記界磁巻線に正規の励
    磁電流を流す励磁電流供給回路と、 前記出力巻線の電圧を検出して該電圧が第1の設定値を
    超えた時に検出信号を発生する第1の電圧検出回路と、 前記第1の電圧検出回路が検出信号を発生した時に前記
    励磁電流供給回路の動作を停止させる励磁制御回路と、 前記出力巻線の電圧が前記第1の設定値よりも高い第2
    の設定値を超えた時に検出信号を発生する第2の電圧検
    出回路と、 前記第2の電圧検出回路が検出信号を発生した時に前記
    界磁巻線の誘起電圧により該界磁巻線に前記正規の励磁
    電流と逆方向の逆励磁電流を流す逆励磁制御回路とを具
    備してなる交流発電機の電圧調整装置。
  2. 【請求項2】前記逆励磁制御回路は導通した際に前記界
    磁巻線の誘起電圧を整流して該界磁巻線に逆励磁電流を
    流すサイリスタと、前記第2の電圧検出回路が発生する
    検出信号を増幅して前記サイスタにトリガ信号として与
    えるトリガ増幅回路とからなっている請求項1に記載の
    交流発電機の電圧調整装置。
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