JP2521305B2 - 飼料組成物およびその製造方法 - Google Patents

飼料組成物およびその製造方法

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JP2521305B2 JP62232324A JP23232487A JP2521305B2 JP 2521305 B2 JP2521305 B2 JP 2521305B2 JP 62232324 A JP62232324 A JP 62232324A JP 23232487 A JP23232487 A JP 23232487A JP 2521305 B2 JP2521305 B2 JP 2521305B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はサイレージなどの粗飼料に、穀類、粕類など
の濃厚飼料を混合して完全飼料(コンプリート・フィー
ド)を調製する際に好気性微生物の増殖による養分の損
耗、変敗を防止するためにアンモニウムテトラフォーメ
ートを添加混合した飼料組成物およびその製造方法に関
する。
〔従来の技術〕
従来、牛、めん羊等の飼料としては、牧草地への放牧
の他に、生草、乾草、ワラ類、根菜類などの粗飼料が使
用されて来ているが、安定した飼料給与のためには貯蔵
飼料が必要となる。
水分含量の多い生草類、青刈類、作物副産茎葉、根菜
類、製造粕などの乾燥の困難なものをサイロまたは適当
な容器に詰めて、主として乳酸発酵を起させて、腐敗し
ないようにして貯蔵した飼料をサイレージと称してい
る。
乳酸発酵による植物性食品の保存は、すでに古代エジ
プトで行なわれていたが、この原理を飼料に利用したの
は今から約100年前に中欧に始まり、フランス、ドイ
ツ、イギリスに渡り、米国において著しく進歩した。
サイレージは乳牛、肉牛、めん羊の貯蔵飼料として重
要なものであり、一定の時期に多量に生産される草類の
貯蔵法として、気候条件が乾草調製に必ずしも適してい
ないわが国において欠くことのできないものである。好
ましい条件で調製されたサイレージは材料とほゞ同程度
の飼料価値をもつが、調製法が適切を欠くと、養分の損
失は大きい。
サイレージの調製について簡単に述べる。サイレージ
調製の原理は第1に嫌気的条件を保って好気性微生物に
よる損耗を防ぎ、第2に嫌気的条件において増殖する酪
酸菌(clostridium spp.)による養分の損耗、変敗を防
止することにある。
したがって、まず終始、密封を完全にすることがきわ
めて重要である。
酪酸菌を抑制するためには、予乾処理を施して水分含
量を70〜50%に下げて詰込むのが一つの方法である。こ
うすれば発酵は全体として微弱となるが、低い水分活性
にとくに抵抗性のない酪酸菌が抑制され、良質サイレー
ジができる。この方法によると、材料中の可溶性炭水化
物(糖)が少なくても差支えないが、天候に支配され、
またトウモロコシのような作物には適用できない。
高水分の材料を用いて、乳酸発酵を促進してpHを低下
させ(4.2以下)、これによって酪酸菌の増殖を抑える
こともできる。この場合には、発酵の基質となる糖が十
分に存在することが必要であり、このような材料(たと
えばトウモロコシ)であれば、添加物を使用せずに良質
のサイレージができる。糖が少ない材料を用いるときに
は、糖蜜その他の糖源を添加すればよい。
第3の方法として、高水分の材料において、蟻酸のよ
うな酸を用いてpHを下げて酪酸菌を抑えるか、または直
接酪酸菌を抑制する薬剤を用いることもできる。
一般に、サイレージができる時には、詰込み後比較的
短時間の内に植物の酵素作用および微生物の作用によっ
て、材料の成分が顕著な変化を受けた後に一応安定な状
態になる。これは密封がよく行なわれていて、嫌気的な
状態に保たれているためである。ところがサイロを開い
た場合あるいは被覆が破れた場合などに、外部から空気
が侵入し、これまでの平衡状態が乱され、酵母、カビの
ような好気性微生物の増殖によって、温度が上昇し、成
分が変化することがある。これを二次発酵と称する。
前記のサイレージ添加物について述べる。サイレージ
添加物には第1タイプとして乳酸菌や糖及び炭水化物の
ような乳酸発酵を促進するものと、第2タイプとして蟻
酸、プロピオン酸、ヘキサミン製剤のような不良発酵を
抑制するもの、第3タイプとしてプロピオン酸、蟻酸カ
ルシウム製剤、アンモニア等のような二次発酵を抑制す
るもの、第4タイプとして窒素化合物や各種ミネラル等
の栄養価を改善するものがある。
この中で蟻酸の添加は、材料のpHを4.2以下にする
と、植物の呼吸作用や不良微生物の生育が抑制できると
いう原理にもとづいている。蟻酸はpHを低下させる力に
おいて、有機酸の中でもっともすぐれている。添加量は
イネ科牧草では0.3%、マメ科牧草では0.5%である。
蟻酸は酪酸菌の生育を強く抑制し、さらに特定の乳酸
菌の生育を抑制するが、酵母の増殖を抑えることができ
ない。また蟻酸は収獲機やサイロを腐しょくさせたり、
直接人体にふれると危険であるという欠点をもってい
る。
またプロピオン酸は、酪酸発酵を抑制する強さでは蟻
酸に劣るが酵母やカビの生育を阻止する点ではすぐれて
いる。したがって詰込みが長期化する場合とか、密封が
不完全な場合に効果を発揮する。
また二次発酵の予防にも効果がある。プロピオン酸を
0.3〜0.5%添加すると、酵母やカビの増殖がかなり抑え
られる。しかし高濃度を添加してもピキア、メンブラフ
ァンシスのような酵母やゲオトリカム、カンジダムのよ
うなカビの増殖を抑えることができない。したがって大
部分の好気性菌の増殖を抑制しても、プロピオン酸に抵
抗性の強い微生物が優勢になってくることがあり、この
場合には添加剤の効果が全くなくなる。
プロピオン酸のサイレージ1トン当りの費用は蟻酸よ
り高価である。
サイレージ添加物に関する特許文献としては特公昭58
−11921号公報、米国特許第4,220,661号公報が挙げられ
る。
共にBPケミカルズ・リミテットの出願であるが、アン
モニウムイオンおよび/またはメンデレエフの周期律表
の第I族および第II族から選択したNa,K,Ca,Mg等の金属
イオンと蟻酸との錯塩を水溶液状で含みかつ酸対アンモ
ニウムおよび/または金属イオンの割合が化学当量に基
いて4:1である液体殺菌剤組成物であって、テトラ蟻酸
アンモニウムが、蟻酸のいやな臭気や装置に対する腐蝕
性を解決するのに好適なものとして開示されている。し
かし実施例より明らかなようにこれはあくまでサイロ中
の生牧草に対して添加したもので、即ちサイレージの調
製どきに対するものである。
サイレージ添加物は家畜に有害でないこと、効果が科
学的に確認されていること、人体に危険のないこと、取
り扱いが簡単であることの他に経済的であることが求め
られている。前記の如くサイレージ添加物は高価なもの
であるので、サイレージの如く密閉を充分にし、乳酸発
酵を盛んにしてpHを下げることで酪酸菌を抑制できる場
合には、使用しないことが最も望ましいことである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
消化可能な養分含量の多い飼料を濃厚飼料という。濃
厚飼料は一般に容積が小さく、粗繊維含量が少ないもの
で、穀実類、ヌカ類、製造副産物、油粕類および動物質
飼料などがある。乾物中の栄養素が濃厚でも水分含量の
多いサツマイモなどは普通濃厚飼料にはいれない。濃厚
飼料という名称は粗飼料に対して用いられる。
鶏、豚は一般に濃厚飼料主体によって飼養されてお
り、特に濃厚飼料の給与割合が問題となることはない。
これに対して牛などの反芻家畜は、もともと草食性のも
のであるが、乳牛の泌乳能力の向上や肥育牛の繁殖成績
の低下の抑制など、その遺伝的能力の改良に伴う必要養
分量の増加と養牛経営の立地条件の変化および集約的生
産のためなどによりエネルギー源として穀類、粕類など
蛋白質、ミネラル、ビタミン源として種々の補足物や添
加物よりなる濃厚飼料を多給する飼養方式が多くなりつ
つある。
しかし本来、粗飼料を主体として給与すべき生理条件
を持つ牛に対する濃厚飼料多給方式においては、ルーメ
ンの活性低下や発酵の異常、乳脂率と受胎率の低下、肝
臓障害の多発、そのほか一般的健康状態の異常などの問
題が発生する。これらの問題に対して緩衝剤の給与、ビ
タミンAの多給などが有効とされ、さらに給与飼料中の
無機物のバランスや粗繊維含量の最小水準などについて
研究が進められている。これらの研究の進展に伴い、養
牛飼料としての粗飼料のもつ意義が明らかにされつつあ
り、例えば粗飼料のもつ物理性を製造粕類や農産物副産
物などによってある程度まで代替することが可能とみな
されている。
濃厚飼料と粗飼料の割合については牛の健康上より、
一般に粗飼料は30重量%以上必要とされている。
これより、サイレージ、乾草などの粗飼料あるいはそ
の代替物をあらかじめ濃厚飼料と適当な割合で混合し、
栄養的に必要な養分を充分補給できるようにした飼料を
完全飼料またはコンプリート・フィードとよんで、乳牛
などに使用されはじめている。
このコンプリート・フィードは、高泌乳牛飼養技術と
して普及が望まれている。
サイレージ調製においては密閉により嫌気的条件を保
って貯蔵中の好気性微生物による発熱は抑制され養分の
損耗を防ぐことができるが、このコンプリート・フィー
ドの調製に当っては、空気中で濃厚飼料とサイレージな
どの粗飼料の混合を行なわなければならず、非常に好気
的な雰囲気にさらすことが避けられない。従って主とし
て酵母に起因するものと推定される発熱現象を引き起こ
し、養分の損失や変敗による嗜好性の低下を生ずる。特
に、夏場において、この発熱現象は顕著になり、問題に
なっている。
この対策として、サイレージにおける不良発酵や二次
発酵を抑制するのに使用されているプロピオン酸アンモ
ニウムを添加混合する方法が提案されている。この方法
はある程度の効果はあるが、この方法では発熱を充分に
抑制することができず、またその使用量が多くなると異
臭のため嗜好性が悪くなり、採食量が制限されることが
あり、乳牛の泌乳能力、繁殖成績に好ましくない影響を
与えることが判明した。即ちサイレージに添加されて効
果のある添加物でもコンプリート・フィードの調製に効
果があるとは決まらないことが明らかとなった。
本発明の目的は濃厚飼料と粗飼料を混合して完全飼料
を調製する際に、添加混合することによって発熱現象を
防止して発熱に伴う変敗による嗜好性の低下や養分の損
失を防止すると共に、添加物の異臭による乳牛等の嗜好
性の低下や採食性の制限等のない添加物を添加混合した
飼料組成物およびその製造方法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は前記問題点を解決するため鋭意、生物的
処理および化学的処理について研究した結果、アンモニ
ウムテトラフォーメート(ATF)が飼料混合時の発熱を
効果的に抑制し、また得られた飼料の採食性を阻害する
ことがないことを見出して、本発明を完成した。
すなわち本発明は濃厚飼料とサイレージを混合した完
全飼料(コンプリート・フィード)にアンモニウムテト
ラフォーメート(ATF)を混合してなる飼料組成物であ
る。
アンモニウムテトラフォーメートはHCOONH4・3HCOOH
であって錯体を形成しており、アンモニウム基と蟻酸基
の1対1の化合物は、中和によって酸の活性が損われ、
塩の形で、この酸を使用するのは不適当である。水溶液
の状態の酸に、完全な中和に要する化学当量より少量の
塩基を加えることにより、この組成物は得られるが、遊
離酸の活性が大きく損われることなしに酸のにおいと腐
食性を大巾に少なくする。
さらに、このような条件下で本発明化合物の塩基と酸
との結合は、水溶液中において安定な錯体を形成するの
である。この錯体はまた遊離酸と比較して蒸気損失が無
視しうるほど小さく、それ故、長期間にわたり保存活性
を維持するのである。
本発明において驚くべきことに、そして予想もされな
かったのであるが、穀実類、ヌカ類、製造副産物、油粕
類等の濃厚飼料に、サイレージや乾草などの粗飼料を混
合する際の発熱は主として酵母に起因するものとされて
おり、一方、遊離酸である蟻酸は酵母の増殖を抑えるこ
とができないとされているにも拘らず、ATFの錯体はこ
の混合による発熱を効果的に抑制し得ることである。
ATF水溶液の添加割合としては、完全飼料に対して、A
TFとして0.5〜1.0重量%の範囲が好ましい。0.5重量%
未満であると、発熱を完全に抑制することができず、1.
0重量%を超えると効果が飽和し、不経済である。
製造方法としては、粗飼料と濃厚飼料を混合して完全
飼料を製造する混合機としては特に特定されるものでは
なく、例えばパドルミキサーの如き混合機が使用でき
る。その他種々のタイプの混合機が使用できる。その混
合機において、ATFの30〜90%の水溶液の形で、完全飼
料に対しATFが0.5〜1.0重量%となる量添加して、両飼
料の混合とATFの混合を同時に行うものである。
金属製混合機を使用しても、ATFの鋼板に対する腐食
率は同濃度の蟻酸に対し2/3以下である。
またATFは蟻酸と比較して蒸気圧が70%水溶液で約1/5
であって完全飼料保存中、より長い期間保存活性を維持
する。
ATFは蟻酸のような不快臭がないので、混合中および
完全飼料の保存中の取扱い上の不快感がない。
〔実施例〕
以下に本発明を具体的な実施例によって、比較例と対
照させて説明するが、本発明は実施例によって何等限定
されるものではない。
(実施例1) 濃厚飼料としては、広島県西部酪農業協同組合連合会
(西部酪連)製造の西酪乳牛用配合2号を用いた。この
配合の成分は粗蛋白質13.5%、可消化粗蛋白質11.0%、
可消化養分総量(TDN)70.0%であった。
粗飼料としては、トウモロコシ糊熟期刈ホールクロッ
プ サイレージ(水分63%)を使用した。
濃厚飼料40.0重量%と粗飼料60.0重量%とを混合機に
より混合し、その際に本発明のアンモニウムテトラフォ
ーメート(ATF)を完全飼料に対し1.0重量%を(82%水
溶液として)添加し、パドルミキサー(ユブラー社製82
0型)を用いて混合した。混合したコンプリート・フィ
ード(完全飼料)を堆積し、その表層より10cm下と、50
cm下とに熱電対を挿入して温度を測定した。
第1図は、混合後の経過日数に対し、表層より10cm以
下の温度をプロットした図であり、実線は実測温度、点
線はlogY=A+B logX(但し、X:経過日数、Y:表層下10
cmの温度(℃)、A、Bは定数)式によって近似した曲
線を示す。
第2図は、横軸に表層下50cmの温度(℃)、縦軸に表
層下10cmの温度(℃)をとってプロットした図である。
実線は実測点、点線は時間の経過による変化をY′=C
+DX′(但しX′は表層下50cmの温度、Y′は表層下10
cmの温度、C、Dは定数)式によって近似した直線を示
す。これによって明らかな如く、コンプリート・フィー
ドにATFを添加することによって、発熱が完全に抑制さ
れ、堆積物の内部も表層も温度変化が殆んど認められな
かった。
第3図〜第10図は比較例を示した。第3図、第4図は
無添加の場合、第5図、第6図は乳酸菌を完全飼料に対
し0.2重量%添加した場合、第7図、第8図は水を完全
飼料に対し50.0重量%添加した場合、第9図、第10図は
プロピオン酸を完全飼料に対し1.0重量%添加した場合
について、第1図、第2図と同様の図を示した。奇数番
の図は経過日数〜表層下10cmの温度の関係図、偶数番の
図は表層下50cmの温度〜表層下10cmの温度の関係図を夫
々示したものである。
これより無添加の場合は1日経過の時点をピークとす
る急激な発熱が認められ、また第4図より、表層に近い
部分が空気の侵入が多く急激に温度上昇し、これが内部
に及び態様が明らかとなる。
第5図、第6図の乳酸菌添加においては、乳酸菌はサ
イレージにおいては嫌気性雰囲気で乳酸菌発酵して、pH
を低減させ、酪酸菌その他の好ましからざる微生物の増
殖を押えることが知られているが、完全飼料の場合に
は、混合による空気との接触、その後の侵入空気によっ
て嫌気性雰囲気が破られる故か、好気的微生物の増殖に
よって全く効果がなく、無添加の場合と全く同様な変化
を示している。
第7図、第8図の加水の場合は、堆積物の表面よりの
水の蒸発潜熱により、1日経過時の温度のピークは押え
られているが、表層乾燥と共に2日経過時をピークとし
て急激な発熱を示している。
第9図、第10図のプロピオン酸添加の場合について考
察する。プロピオン酸は微生物の生育を抑制するのでサ
イレージや穀類の貯蔵のために広く使用されており、酵
母やカビの増殖も抑えるとされサイレージの二次発酵を
防止する添加物としても有効とされている。しかし第9
図の如く経過日数1日程度では表層の発熱は抑えられて
いるように見えるが、1日経過後より、2.5日をピーク
として、内部表層同時(第10図)に発熱して温度上昇し
ている。これは前記の如く大部分の好気性菌の増殖を抑
制しても、プロピオン酸に抵抗性の強い微生物が優勢と
なって発熱していると考えられる。
このようなサイレージや穀類の貯蔵に夫々有効であっ
ても、濃厚飼料と粗飼料を混合した好気的雰囲気でのコ
ンプリート・フィードに有効とは限らないのであって、
ここに本発明において、ATF添加がこの好気的雰囲気で
の発熱抑制に効果があることを見出した意義がある。
(実施例2) 次に本発明のATF及びプロピオン酸アンモニウム、プ
ロピオン酸吸着粉体を添加割合を変えて行った実施例を
記載する。
前記と同じ濃厚飼料を42.3重量%、前記と同じサイレ
ージ57.7重量%を前記と同一のユブラー社製820型ミキ
サーを用いて混合する際に、添加物としてATF、プロピ
オン酸アンモニウム、プロピオン酸吸着粉体を夫々純成
分として夫々1.0重量%、0.5重量%、0.2重量%を添加
して混合し、混合物を堆積した時の表層より10cm下の所
の温度を熱電対を挿入して測定した。比較例として、添
加物を何も添加しない場合について測定した。
第11図、第12図、第13図は夫々前記混合する際に添加
物としてATFを1.0重量%、0.5重量%、0.2重量%を添加
した時、添加後の経過日数を横軸に、混合物の堆積の表
層下10cmの個所の温度を縦軸にプロットしたのが実線で
あり、点線はY−E+FX(但し、X:日数、Y:温度、E,F:
定数)式によって近似した直線を示す。第14図、第15
図、第16図は添加物をプロピオン酸アンモニウムに変え
ただけで、他は全く同様にして温度〜経過日数の関係を
プロットした比較例である。第17図、第18図、第19図は
添加物をプロピオン酸吸着粉体に変えただけで、他は全
く同様にして温度〜経過時間の関係をプロットした比較
例である。第20図は添加物を全く添加しない場合の温度
〜経過日数の関係をプロットした比較例である。これら
の図よりATF1重量%添加では温度が30℃前後となり、発
熱は認められない。ATF0.5重量%では3日目迄温度は漸
増するが、温度の急上昇するピークは認められない。AT
F0.2重量%では1日半経過後に温度の急上昇のピークが
あり、この添加量では効果が認められない。従ってATF
の添加量は0.5〜1.0重量%が好適である。
プロピオン酸アンモニウム1重量%添加では、発熱抑
制の効果が認められるが、0.5重量%では1日半経過時
にピークがあり、0.2重量%では無添加の場合と同様
で、全く効果が認められない。
プロピオン酸吸着粉体添加の場合も、1重量%添加
で、ATF0.5重量%添加と同様の温度漸増直線を示し、0.
5重量%、又は0.2重量%添加では全く効果が認められな
い。プロピオン酸アンモニウム、プロピオン酸の高価格
を考慮すると、経済的にATFがはるかに優れていること
が分る。
実施例1、実施例2の場合についてpHの推移について
述べる。実施例1のATF添加1重量%、乳酸菌添加0.2重
量%、水添加50重量%、プロピオン酸添加1重量%、夫
々添加した時のpHの時間的推移は次の通りであった。
pHの推移と発熱の有無は良く相関しておりATF1重量%
添加することにより、pHは低く維持された。無添加、乳
酸菌0.2重量%添加、あるいは水添加ではpHの上昇と発
熱は同時に生じており、このことからATF添加によりpH
を低く維持することが発熱防止につながることが推察で
きる。
実施例2のATF、プロピオン酸アンモニウム、プロピ
オン酸吸着粉体について夫々添加量を1.0重量%、0.5重
量%、0.2重量%と変えた場合のpHの推移は次の通りで
あった。
24時間あるいは48時間の貯蔵期間中に発熱がないこ
と、pHの上昇がないことを基準として考察すると、ATF
0.5〜1.0重量%添加、プロピオン酸アンモニウム1重量
%添加、プロピオン酸1重量%吸着粉体が基準に合う
が、添加物の価格からATFが最も優れているし、プロピ
オン酸系の添加物は使用量が多いと異臭のため嗜好性が
悪くなり、採食量が制限される難点がある。ATFにはこ
のような難点が認められない。
〔発明の効果〕
乳牛の泌乳能力の向上や肥育牛の繁殖成績の低下抑制
の見地から、濃厚飼料を多給する飼養が要請されている
が、一方で反芻家畜の草食性から粗飼料供給の重要性が
明らかとなり、濃厚飼料と粗飼料を適当な割合で混合し
た、それだけで栄養的に充分なコンプリート・フィード
が、飼料供給の効率上からも要請されている。
このコンプリート・フィードの混合時、空気との接触
により発熱し、養分の損耗、変敗が重大な問題となって
いたが、本発明によれば、ATF添加によりこの発熱を完
全に抑制し養分の損耗を防止する。しかも家畜の嗜好性
劣化による採食性低下のおそれも全くないことが確認さ
れた。
ATFは蟻酸のように人体に危険があったり、金属装置
を腐食したり、塗料やグリースを除去したりする欠点が
改善され、蒸気圧も低いので、環境条件を悪化させるこ
ともなく、長期的保存剤としても有効に働く。水中での
溶解度が非常に大きいので、完全飼料に栄養上有益な陽
イオンを添加する時の媒質としても使用できるなどの利
点を有している。
濃厚飼料多給飼養の発展、従って完全飼料の製造、保
存の上から極めて意義のある発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図は濃厚飼料と粗飼料の混合に本発明のATFを添加
した時の経過日数と温度の関係を示した図である。 第2図はATF添加時、完全飼料の堆積物の表層下50cmの
温度と表層下10cmの温度の関係を示した図である。 第3図は濃厚飼料と粗飼料の混合に何等添加物を使用し
なかった時の第1図と同様の関係図である。 第4図は添加物無添加の時の第2図と同様の関係図であ
る。 第5図は添加物として乳酸菌を添加した時の第1図と同
様の関係図である。 第6図は添加物として乳酸菌を添加した時の第2図と同
様の関係図である。 第7図は添加物として水を加えた時の第1図と同様の関
係図である。 第8図は添加物として水を加えた時の第2図と同様の関
係図である。 第9図は添加物としてプロピオン酸を加えた時の第1図
と同様の関係図である。 第10図は添加物としてプロピオン酸を加えた時の第2図
と同様の関係図である。 第11図、第12図、第13図は完全飼料混合時にATFを夫々
1重量%、0.5重量%、0.2重量%添加した時の、経過日
数と堆積物の表層下10cmの温度の関係図である。 第14図、第15図、第16図は、ATFの代りにプロピオン酸
アンモニウムを夫々添加した時の同様の関係図である。 第17図、第18図、第19図はATFの代りにプロピオン酸吸
着粉体を夫々添加した時の同様の関係図である。 第20図は第11図〜第19図と同一の完全飼料配合で添加物
無添加の場合の同様の関係図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】濃厚飼料とサイレージを混合した完全飼料
    (コンプリート・フィード)にアンモニウムテトラフォ
    ーメート(ATF)を混合してなる飼料組成物。
  2. 【請求項2】アンモニウムテトラフォーメート(ATF)
    を完全飼料に対し0.5〜1.0重量%添加混合してなる特許
    請求の範囲第1項記載の飼料組成物。
  3. 【請求項3】粗飼料と濃厚飼料を混合して完全飼料を製
    造する混合機において、アンモニウムテトラフォーメー
    ト(ATF)を添加混合することを特徴とする飼料組成物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】完全飼料を製造する混合機において、アン
    モニウムテトラフォーメート(ATF)を完全飼料に対し
    て0.5〜1.0重量%添加混合することを特徴とする特許請
    求の範囲第3項記載の飼料組成物の製造方法。
JP62232324A 1987-09-18 1987-09-18 飼料組成物およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2521305B2 (ja)

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