JP2518290B2 - 焼結含油軸受 - Google Patents
焼結含油軸受Info
- Publication number
- JP2518290B2 JP2518290B2 JP62156940A JP15694087A JP2518290B2 JP 2518290 B2 JP2518290 B2 JP 2518290B2 JP 62156940 A JP62156940 A JP 62156940A JP 15694087 A JP15694087 A JP 15694087A JP 2518290 B2 JP2518290 B2 JP 2518290B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bearing
- sliding surface
- oil
- pores
- impregnated bearing
- Prior art date
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Description
【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、焼結含油軸受に関する。
「従来の技術」 この種の焼結含油軸受は、銅系あるいは銅−鉄系等の
多孔性焼結体に潤滑油を含浸させ、自己給油の状態で使
用しえるようにした軸受であり、通常、その気孔率は潤
滑油の消耗を考慮して10〜30vol％とされている。
多孔性焼結体に潤滑油を含浸させ、自己給油の状態で使
用しえるようにした軸受であり、通常、その気孔率は潤
滑油の消耗を考慮して10〜30vol％とされている。
［発明が解決しようとする問題点」 ところが、従来の焼結含油軸受では、運転開始後しば
らくの間、摩擦係数やノイズが大きいうえ、これらの特
性が安定するまでに時間がかかり、いわゆる馴染み性が
悪いという問題があった。
らくの間、摩擦係数やノイズが大きいうえ、これらの特
性が安定するまでに時間がかかり、いわゆる馴染み性が
悪いという問題があった。
本発明者らがこの点を詳細に検討した結果、上記馴染
み性の悪さは、軸受の摺動面に開口する気孔から浸み出
た潤滑油が、再び気孔を通じて軸受内部に入ってしま
い、軸と軸受との間の摺動面の油膜が薄くなり、部分的
に軸と軸受が接触する境界潤滑状態になるためであるこ
とが判明した。
み性の悪さは、軸受の摺動面に開口する気孔から浸み出
た潤滑油が、再び気孔を通じて軸受内部に入ってしま
い、軸と軸受との間の摺動面の油膜が薄くなり、部分的
に軸と軸受が接触する境界潤滑状態になるためであるこ
とが判明した。
そこで、さらに本発明者らは、軸受内部の気孔率を一
定としたまま摺動面の気孔開口面積を種々変更して実験
を行ない、通常は摺動面全体の10〜30％程度である気孔
開口面積を0.1〜10％に狭めることにより、上記の問題
が改善しえるという知見を得た。
定としたまま摺動面の気孔開口面積を種々変更して実験
を行ない、通常は摺動面全体の10〜30％程度である気孔
開口面積を0.1〜10％に狭めることにより、上記の問題
が改善しえるという知見を得た。
「問題点を解決するための手段」 本発明は上記知見に基づいてなされたもので、軸受の
摺動面が気孔の開口部を狭めてなる開口縮小面とされ、
摺動面における気孔開口面積を、該摺動面全体の0.1〜1
0％としたことを特徴とする。前記開口面積の比率が0.1
％未満では、摺動面からの潤滑油の浸出が減少し、十分
な潤滑が行なわれなくなる。また、10％より大きいと前
記問題点が解決できない。
摺動面が気孔の開口部を狭めてなる開口縮小面とされ、
摺動面における気孔開口面積を、該摺動面全体の0.1〜1
0％としたことを特徴とする。前記開口面積の比率が0.1
％未満では、摺動面からの潤滑油の浸出が減少し、十分
な潤滑が行なわれなくなる。また、10％より大きいと前
記問題点が解決できない。
「実施例」 次に、実施例を挙げて本発明の効果を実証する。
（実施例１） 鉄粉50％、銅粉50％、および潤滑材としてステアリン
酸亜鉛0.5％を均一に混合し、プレス型を用いて円筒形
の圧粉体を成形し、これを焼結した。次いで、この焼結
体の中心孔に、わずかなテーパを有する銅製棒状のテー
パ治具を回転させながら圧入し、焼結体の内周面（摺動
面）における気孔の開口部を潰して開口縮小面とし、気
孔開口面積を摺動面全体の４％に狭めた。そして、この
焼結体を油中に浸し、加熱して内部に油を含浸させ、以
下のような軸受を製造した。
酸亜鉛0.5％を均一に混合し、プレス型を用いて円筒形
の圧粉体を成形し、これを焼結した。次いで、この焼結
体の中心孔に、わずかなテーパを有する銅製棒状のテー
パ治具を回転させながら圧入し、焼結体の内周面（摺動
面）における気孔の開口部を潰して開口縮小面とし、気
孔開口面積を摺動面全体の４％に狭めた。そして、この
焼結体を油中に浸し、加熱して内部に油を含浸させ、以
下のような軸受を製造した。
軸受寸法：外径10mm,内径4mm,長さ4mm 内部気孔率:23％ 摺動面気孔の開口面積率:4％ 含浸油：特殊合成油（タービン油65相当） なお、第１図はこの軸受の使用前の摺動面性状を示す拡
大図（約100倍）であり、符号Ｐは気孔の開口部を示し
ている。
大図（約100倍）であり、符号Ｐは気孔の開口部を示し
ている。
（比較例１） テーパピンの貫入を行わない点以外は前記実施例と全
く同一の条件において、摺動面の気孔開口面積が摺動面
全体の16％である点のみが異なる焼結含油軸受を製造し
た。第２図はこの比較例１の軸受の使用前の摺動面性状
を示す約100倍の各大図である。
く同一の条件において、摺動面の気孔開口面積が摺動面
全体の16％である点のみが異なる焼結含油軸受を製造し
た。第２図はこの比較例１の軸受の使用前の摺動面性状
を示す約100倍の各大図である。
そして、以上２種の軸受のそれぞれに回転軸をセット
し、以下の条件で運転試験を行なった。
し、以下の条件で運転試験を行なった。
軸材質：熱処理ステンレス鋼 軸の硬さ：ブリネル硬さ217以上 運転条件：周速7mm/min. 面圧10kgf/cm2 PV値70kgf/cm2・m/min. クリアランス0.01mm 第４図は、以上２種の運転試験における軸−軸受の摩
擦係数の経時変化を示すグラフである。このグラフか
ら、比較例１の軸受では摩擦係数が安定するまでに360m
in.以上要しているのに対し、実施例１の軸受では5min.
以下という僅かな時間で摩擦係数が安定し、しかもこの
安定時の摩擦係数が比較例１の安定時の摩擦係数よりも
小さいことが確認された。なお、第３図は、摩擦係数が
安定した後の比較例１の摺動面性状を示す約100倍の拡
大図であり、摺動面性状が第１図に示す実施例１と明ら
かに異なることがわかる。
擦係数の経時変化を示すグラフである。このグラフか
ら、比較例１の軸受では摩擦係数が安定するまでに360m
in.以上要しているのに対し、実施例１の軸受では5min.
以下という僅かな時間で摩擦係数が安定し、しかもこの
安定時の摩擦係数が比較例１の安定時の摩擦係数よりも
小さいことが確認された。なお、第３図は、摩擦係数が
安定した後の比較例１の摺動面性状を示す約100倍の拡
大図であり、摺動面性状が第１図に示す実施例１と明ら
かに異なることがわかる。
（実施例２） 銅粉90％、錫粉10％、および潤滑材としてステアリン
酸亜鉛0.5％を用い、前記実施例１と同様に以下のよう
な軸受を製造した。
酸亜鉛0.5％を用い、前記実施例１と同様に以下のよう
な軸受を製造した。
軸受寸法：外径10mm,内径4mm,長さ4mm 内部気孔率:23％ 摺動面気孔の開口面積率:4％ 含浸油：特殊合成油（タービン油65相当） （比較例２） テーパピンの貫入を行わない点以外は前記実施例２と
全く同一の条件で、摺動面の気孔開口面積率が16％であ
る焼結含油軸受を製造した。
全く同一の条件で、摺動面の気孔開口面積率が16％であ
る焼結含油軸受を製造した。
そして、以上の実施例２と比較例２の軸受のそれぞれ
において、実施例１と同一の条件で運転試験を行った。
第５図は、以上２種の運転試験における摩擦係数の径時
変化を示すグラフである。前記と同様に、比較例２の軸
受では摩擦係数が安定するまでに20min.以上要している
のに対し、実施例１の軸受では3min.以下という僅かな
時間で摩擦係数が安定し、しかも、この安定時摩擦係数
が比較例２よりも小さいことがわかる。
において、実施例１と同一の条件で運転試験を行った。
第５図は、以上２種の運転試験における摩擦係数の径時
変化を示すグラフである。前記と同様に、比較例２の軸
受では摩擦係数が安定するまでに20min.以上要している
のに対し、実施例１の軸受では3min.以下という僅かな
時間で摩擦係数が安定し、しかも、この安定時摩擦係数
が比較例２よりも小さいことがわかる。
なお、テーパピンを用いて摺動面の開口部を狭める代
わりに、焼結体の摺動面に銅等の金属めっき層を電着
し、これによって気孔の開口面積を狭めて開口縮小面と
することも可能である。その場合には、摺動面が摺動特
性および耐食性に優れた銅によって構成されるため、こ
れらの特性を向上させることができるという利点があ
る。
わりに、焼結体の摺動面に銅等の金属めっき層を電着
し、これによって気孔の開口面積を狭めて開口縮小面と
することも可能である。その場合には、摺動面が摺動特
性および耐食性に優れた銅によって構成されるため、こ
れらの特性を向上させることができるという利点があ
る。
「発明の効果」 以上説明した通り、本発明の焼結含油軸受にあって
は、摺動面の気孔から浸出した潤滑油が再び気孔内に入
って潤滑油不足を生じることが防止でき、軸受の使用開
始直後における摩擦抵抗およびノイズを低減するととも
に、摩擦係数が安定するまでに要する時間を著しく短縮
し、馴染み性を高めることが可能である。
は、摺動面の気孔から浸出した潤滑油が再び気孔内に入
って潤滑油不足を生じることが防止でき、軸受の使用開
始直後における摩擦抵抗およびノイズを低減するととも
に、摩擦係数が安定するまでに要する時間を著しく短縮
し、馴染み性を高めることが可能である。
第１図は本発明の実施例の焼結含油軸受における摺動面
性状を示す拡大図、第２図および第３図はそれぞれ比較
例の軸受の摺動面性状を示す拡大図である。また、第４
図および第５図は本発明の実施例の効果を示すグラフで
ある。 Ｐ……気孔の開口部
性状を示す拡大図、第２図および第３図はそれぞれ比較
例の軸受の摺動面性状を示す拡大図である。また、第４
図および第５図は本発明の実施例の効果を示すグラフで
ある。 Ｐ……気孔の開口部
Claims (1)
- 【請求項１】摺動面が気孔の開口部を狭めてなる開口縮
小面とされ、摺動面における気孔の開口面積を、該摺動
面全体の0.1〜10％としたことを特徴とする焼結含油軸
受。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62156940A JP2518290B2 (ja) | 1987-06-24 | 1987-06-24 | 焼結含油軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62156940A JP2518290B2 (ja) | 1987-06-24 | 1987-06-24 | 焼結含油軸受 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS643322A JPS643322A (en) | 1989-01-09 |
| JP2518290B2 true JP2518290B2 (ja) | 1996-07-24 |
Family
ID=15638673
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP62156940A Expired - Lifetime JP2518290B2 (ja) | 1987-06-24 | 1987-06-24 | 焼結含油軸受 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2518290B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2013137347A1 (ja) * | 2012-03-13 | 2013-09-19 | Ntn株式会社 | 焼結軸受およびその製造方法 |
| JP6425943B2 (ja) * | 2013-08-27 | 2018-11-21 | Ntn株式会社 | 燃料ポンプ用焼結軸受およびその製造方法 |
| JP6509951B2 (ja) * | 2013-08-27 | 2019-05-08 | Ntn株式会社 | 燃料ポンプ用焼結軸受およびその製造方法 |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS4933304A (ja) * | 1972-07-31 | 1974-03-27 | ||
| JPS5143006A (en) * | 1974-10-09 | 1976-04-13 | Aiwa Co | Rusubandenwasochino enkakusosahoshiki |
| JPS5817221A (ja) * | 1981-07-23 | 1983-02-01 | Mazda Motor Corp | 耐摩耗性摺動部材の製造方法 |
-
1987
- 1987-06-24 JP JP62156940A patent/JP2518290B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS643322A (en) | 1989-01-09 |
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