JP2518259B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP2518259B2
JP2518259B2 JP62050324A JP5032487A JP2518259B2 JP 2518259 B2 JP2518259 B2 JP 2518259B2 JP 62050324 A JP62050324 A JP 62050324A JP 5032487 A JP5032487 A JP 5032487A JP 2518259 B2 JP2518259 B2 JP 2518259B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は触媒コンバータの上流側および下流側に空燃
比センサ(本明細書では、酸素濃度センサ(O2セン
サ))を設け、上流側のO2センサによる空燃比フィード
バック制御に加えて下流側のO2センサによる空燃比フィ
ードバック制御を行う内燃機関の空燃比制御装置に関す
る。
〔従来の技術〕
単なる空燃比フィードバック制御(シングルO2センサ
システム)では、酸素濃度を検出するO2センサをできる
だけ燃焼室に近い排気系の箇所、すなわち触媒コンバー
タより上流である排気マニホールドの集合部分に設けて
いるが、O2センサの出力特性のばらつきのために空燃比
の制御精度の改善に支障が生じている。かかるO2センサ
の出力特性のばらつきおよび燃料噴射弁等の部品のばら
つき、経時あるいは経年的変化を補償するために、触媒
コンバータの下流に第2のO2センサを設け、上流側O2
ンサによる空燃比フィードバック制御に加えて下流側O2
センサによる空燃比フィードバック制御を行うダブルO2
センサシステムが既に提案されている(参照:特開昭58
−48756号公報)。このダブルO2センサシステムでは、
触媒コンバータの下流側に設けられたO2センサは、上流
側O2センサに比較して、低い応答速度を有するものの、
次の理由により出力特性のばらつきが小さいという利点
を有している。
(1)触媒コンバータの下流では、排気温が低いので熱
的影響が少ない。
(2)触媒コンバータの下流では、種々の毒が触媒にト
ラップされているので下流側O2センサの被毒量は少な
い。
(3)触媒コンバータの下流では排気ガスは十分に混合
されており、しかも、排気ガス中の酸素濃度は平衡状態
に近い値になっている。
従って、上述のごとく、2つのO2センサの出力にもと
づく空燃比フィードバック制御(ダブルO2センサシステ
ム)により、上流側O2センサの出力特性のばらつきを下
流側O2センサにより吸収できる。実際に、第2図に示す
ように、シングルO2センサシステムでは、O2センサの出
力特性が悪化した場合には、排気エミッション特性に直
接影響するのに対し、ダブルO2センサシステムでは、上
流側O2センサの出力特性が悪化しても、排気エミッショ
ン特性は悪化しない。つまり、ダブルO2センサシステム
においては、下流側O2センサが安定な出力特性を維持し
ている限り、良好な排気エミッションが保証される。
上述のダブルO2センサシステムにおいては、下流側O2
センサによる空燃比フィードバック制御実行中にあって
は、上流側O2センサの出力にもとづく空燃比補正量FAF
の制御に関与する定数たとえばリッチスキップ量RSR、
リーンスキップ量RSLを下流側O2センサの出力にもとづ
いて可変制御するシステムがあるが、下流側O2センサの
非活性等により下流側O2センサの出力による制御に関与
する定数の可変制御を停止するときには、制御に関与す
る定数が可変制御されていたときにバックアップRAM等
に記憶されていた値を用いて上流側O2センサの出力のみ
による空燃比フィードバック制御が行われていた(参
照:特開昭61−192828号公報)。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、下流側O2センサによる制御に関与する
定数の可変制御の停止条件、すなわち、下流側O2センサ
による空燃比フィードバック制御停止条件は、冷却水温
が所定温以下である、非アイドル状態である、燃料カッ
ト中であるか否か、機関始動後下流側O2センサの出力が
一度も反転していない、等であるために、下流側O2セン
サの出力による制御に関与する定数の可変制御が再開さ
れても、下流側O2センサの製品毎のばらつきや経年変化
等のため、センサによっては非活性状態から十分に脱し
ておらず、リーンからリッチへの出力応答性が遅い場合
がある。この結果、触媒下流の空燃比は実際にリッチと
なっても、下流側O2センサは暫らくの間のリーン出力を
示し、従って、制御に関与する定数はリッチ側に過補正
され、制御に関与する定数は上限値もしくは下限値に張
りついてしまい、しかもその影響は長い間残存してしま
い、この結果、HC,COエミッションの増大、燃費の悪化
等を招くという問題点があった。
なお、制御に関与する定数を可変制御するシステムに
おいては、過渡追随性をそこなわないように、また、空
燃比変動によるドライバビリティの悪化が発生しないよ
うに、上限値および下限値を設け、これにより、制御に
関与する定数をガード処理している(参照:特開昭61−
234241号公報)。
従って、本発明の目的は、下流側空燃比センサ(O2
ンサ)の出力による制御に関与する定数の可変制御が再
開された直後の過補正を防止して、HC,COエミッション
の増大、および燃費の悪化を防止することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上述の問題点を解決するための手段は第1図に示され
る。
第1図において、内燃機関の排気系に設けられた排気
ガス浄化のための触媒コンバータの上流側、下流側に
は、それぞれ、排気ガス中の特定成分濃度を検出する第
1、第2の空燃比センサが設けられている。下流側空燃
比フィードバック条件判別手段は下流側(第2の)空燃
比センサによる空燃比フィードバック条件が満足されて
いるか否かを判別し、この結果、該空燃比フィードバッ
ク条件が満たされているときに、定数演算手段は下流側
空燃比センサの出力V2に応じて空燃比フィードバック制
御に関与する定数たとえばリッチスキップ量RSRおよび
リーンスキップ量RSLを演算する。他方、反転判別手段
は下流側空燃比センサの出力V2が反転したか否かを判別
する。許容幅設定手段は空燃比フィードバック制御に関
与する定数RSR、RSLの許容幅を空燃比フィードバック条
件が満たされたときから下流側空燃比センサの出力V2
反転するまでの間は小さく、他方、その後は大きくす
る。ガード手段は演算された空燃比フィードバック制御
に関与する定数RSR,RSLを前記設定された許容幅でガー
ドする。そして、空燃比補正量演算手段は前記許容幅で
ガードされた空燃比フィードバック制御に関与する定数
RSR,RSLおよび上流側(第1の)空燃比センサの出力V1
に応じて空燃比補正量FAFを演算し、空燃比調整手段は
空燃比補正量FAFに応じて機関の空燃比を調整するもの
である。
〔作 用〕
上述の手段によれば、下流側空燃比センサの出力によ
る空燃比フィードバック制御に関与する定数の可変制御
が再開された当初は、空燃比フィードバック制御に関与
する定数は小さい許容幅でガードされる。
〔実施例〕
以下、図面により本発明の実施例を説明する。
第3図は本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の一
実施例を示す全体概要図である。第3図において、機関
本体1の吸気通路2にエアフローメータ3が設けられて
いる。エアフローメータ3に吸入空気量を直接計測する
ものであって、ポテンショメータを内蔵して吸入空気量
に比例したアナログ電圧の出力信号を発生する。この出
力信号は制御回路10のマルチプレクサ内蔵A/D変換器101
に供給されている。ディストリビュータ4には、その軸
がたとえばクランク角に換算して720゜毎に基準位置検
出用パルス信号を発生するクランク角センサ5およびク
ランク角に換算して30゜毎に基準位置検出用パルス信号
を発生するクランク角センサ6が設けられている。これ
らクランク角センサ5,6のパルス信号は制御回路10の入
出力インターフェイス102に供給され、このうち、クラ
ンク角センサ6の出力はCPU103の割込み端子に供給され
る。
さらに、吸気通路2には各気筒毎に燃料供給系から加
圧燃料を吸気ポートへ供給するための燃料噴射弁7が設
けられている。
また、機関本体1のシリンダブロックのウォータジャ
ケット8には、冷却水の温度を検出するための水温セン
サ9が設けられている。水温センサ9は冷却水の温度TH
Wに応じたアナログ電圧の電気信号を発生する。この出
力もA/D変換器101に供給されている。
排気マニホールド11より下流の排気系には、排気ガス
中の3つの有害成分HC,CO,NOxを同時に浄化する三元触
媒を収容する触媒コンバータ12が設けられている。
排気マニホールド11には、すなわち触媒コンバータ12
の上流側には第1のO2センサ13が設けられ、触媒コンバ
ータ12の下流側の排気管14には第2のO2センサ15が設け
られている。O2センサ13,15は排気ガス中の酸素成分濃
度に応じた電気信号を発生する。すなわち、O2センサ1
3,15は空燃比が理論空燃比に対してリーン側かリッチ側
に応じて、異なる出力電圧を制御回路10でA/D変換器101
に発生する。
また、吸気通路2のスロットル弁16には、スロットル
弁16が全閉か否かを判別するためのアイドルスイッチ17
が設けられており、この出力信号は制御回路10の入出力
インターフェイス102に供給される。
制御回路10は、たとえばマイクロコンピュータとして
構成され、A/D変換器1、入出力インターフェイス102,C
PU103の外に、ROM104,RAM105,バックアップRAM106、ク
ロック発生回路107等が設けられている。
また、制御回路10において、ダウンカウンタ108、フ
リップフロップ109、および駆動回路110は燃料噴射弁7
を制御するためのものである。すなわち、後述のルーチ
ンにおいて、燃料噴射量TAUが演算されると、燃料噴射
量TAUがダウンカウンタ108にプリセットされると共にフ
リップフロップ109もセットされる。この結果、駆動回
路110が燃料噴射弁7の付勢を開始する。他方、ダウン
カウンタ108がクロック信号(図示せず)を計数して最
後にそのキャリアウト端子が“1"レベルとなったとき
に、フリッフフロップ109がセットされて駆動回路110は
燃料噴射弁7の付勢を停止する。つまり、上述の燃料噴
射量TAUだけ燃料噴射弁7は付勢され、従って、燃料噴
射量TAUに応じた量の燃料が機関本体1の燃料室に送り
込まれることになる。
なお、CPU103の割込み発生は、A/D変換器101のA/D変
換終了時、入出力インターフェイス102がクランク角セ
ンサ6のパルス信号を受信した時、クロック発生回路10
7からの割込信号を受信した時である。
エアフローメータ3の吸入空気量データQおよび冷却
水温データTHWは所定時間毎に実行されるA/D変換ルーチ
ンよって取り込まれてRAM105の所定領域に格納される。
つまり、RAM105におけるデータQおよびTHWは所定時間
毎に更新されている。また、回転速度データNeはクラン
ク角センサ6の30゜CA毎の割込みによって演算されてRA
M105の所定領域に格納される。
始めに、第4図、第5図のタイミング図を用いて下流
側O2センサ15の出力V2による空燃比フィードバック制御
としてのリッチスキップ量RSR、リーンスキップ量RSLの
問題点について説明する。第4図、第5図において、V1
は上流側O2センサ13の出力、V2は下流側O2センサ15の出
力であり、リッチスキップ量RSR、リーンスキップ量RSL
は、下流側O2センサ15の出力V2と比較電圧VR2との比較
結果に応じて演算され、空燃比補正計数FAFは上流側O2
センサ13の出力V1と比較電圧VR1との比較結果およびス
キップ量RSR,RSLに応じて演算される。
第4図は下流側O2センサ15のリーンからリッチへの応
答性が比較的早い場合を示す。この場合には、下流側O2
センサ15の出力V2は、下流側O2センサによる空燃比フィ
ードバック制御開始後、矢印Xに示すごとく、リーンレ
ベル(ローレベル)からリッチレベル(ハイレベル)に
比較的早く変化するので、リッチスキップ量RSR、リー
ンスキップ量RSLは適正レベルに保持され、従って、空
燃比補正係数FAFは安定なレベルすなわち理論空燃比相
当レベルに保持される。
これに対し、第5図は下流側O2センサ15のリーンから
リッチへの応答性が比較的遅い場合を示す。この場合に
は、下流側O2センサ15の出力V2は、下流側O2センサによ
る空燃比フィードバック制御開始後、矢印Yに示すごと
く、リーンレベル(ローレベル)からリッチレベル(ハ
イレベル)に比較的遅く変化するので、リッチスキップ
量RSR、リーンスキップ量RSLはリッチ側に過補正され、
従って、空燃比補正係数FAFTはすなわち理論空燃比相当
よりリッチ側レベルとなる。
本発明はこのような下流側O2センサ15のリーン出力か
らリッチ出力への応答性が遅い場合に、リッチスキップ
量RSR、リーンスキップ量RSLのリッチ側過補正を防止し
ようとするものであり、このため、下流側O2センサ15に
よる空燃比フィードバック制御開始後から下流側O2セン
サ15の出力V2の反転(矢印Yの時期)までリッチスキッ
プ量RSR、リーンスキップ量RSLの許容幅を小さくするこ
とにより達成するものである。
第6図は上流側O2センサ13の出力にもとづいて空燃比
補正係数FAFを演算する第1の空燃比フィードバック制
御ルーチンであって、所定時間たとえば4ms毎に実行さ
れる。
ステップ601では、上流側O2センサ13による空燃比の
閉ループ(フィードバック)条件が成立しているか否か
を判別する。たとえば、冷却水温が所定値(たとえば60
℃)以下の時、機関始動中、始動後増量中、暖機増量
中、加速増量(非同期噴射)中、パワー増量中、上流側
O2センサ13の出力信号が一度も反転していない時、燃料
カット中(スロットル弁16が全閉で機関回転速度Neが所
定回数速度以上の時)等はいずれも閉ループ条件が不成
立であり、その他の場合が閉ループ条件成立である。閉
ループ条件が不成立のときには、ステップ627に進んで
空燃比補正係数FAFを1.0とする。なお、FAFを閉ループ
制御終了直前値としてもよい。この場合には、ステップ
628に直接進む。また、学習値(バックアップRAM106の
値)としてもよい。他方、閉ループ条件成立の場合に
は、ステップ602に進む。
ステップ602では、上流側O2センサ13の出力V1をA/D変
換して取組み、ステップ603にてV1が比較電圧VR1たとえ
ば0.45V以下か否かを判別する。つまり、空燃比がリッ
チかリーンかを判別する。リーン(V1≦VR1)であれ
ば、ステップ604にてデイレイカウンタCDLYが正か否か
を判別し、CDLY>0であればステップ605にてCDLYを0
とし、ステップ606に進む。ステップ607,608では、デイ
レイカウンタCDLYを最小値TDLでガードし、この場合、
デイレイカウンタCDLYが最小値TDLに到達したときには
ステップ609にて空燃比フラグF1を“0"(リーン)とす
る。なお、最小値TDLは上流側O2センサ13の出力におい
てリッチからリーンへの変化があってもリッチ状態であ
るとの判断を保持するためのリーン遅延時間であって、
負の圧さで定義される。他方、リッチ(V1>VR1)であ
れば、ステップ601にてデイレイカウンタCDLYが負か否
かを判別し、CDLY<0であればステップ611にてCDLYを
0とし、ステップ612に進む。ステップ613,614では、デ
イレイカウンタCDLYを最大値TDRでガードし、この場
合、デイレイカウンタCDLYが最大値TDRに到達したとき
にはステップ615にて空燃比フラグF1を“1"(リッチ)
とする。なお、最大値TDRは上流側O2センサ13の出力に
おいてリーンからリッチへの変化があってもリーン状態
であるとの判断を保持するためのリッチ遅延時間であっ
て、正の値で定義される。
ステップ616では、空燃比フラグF1の符号が反転した
か否かを判別する。すなわち遅延処理後の空燃比が反転
したか否かを判別する。空燃比が反転していれば、ステ
ップ617にて、空燃比フラグF1の値により、リッチから
リーンへの反転か、リーンからリッチへの反転かを判別
する。リッチからリーンへの反転であれば、ステップ61
8にてFAF←FAF+RSRとスキップ的に増大させ、逆に、リ
ーンからリッチへの反転であれば、ステップ619にてFAF
←FAF−RSLとスキップ的に減少させる。つまり、スキッ
プ処理を行う。ステップ616にて空燃比フラグF1の符号
が反転していなければ、ステップ620,621,622にて積分
処理を行う。つまり、ステップ620にて、F1=“0"か否
かを判別し、F1=“0"(リーン)であればステップ621
にてFAF←FAF+KIRとし、他方、F1=“1"(リッチ)で
あればステップ622にてFAF←FAF−KILとする。ここで、
積分定数KIR(KIL)はスキップ定数RSR,RSLに比して十
分小さく設定してあり、つまり、KIR(KIL)<RSR(RS
L)である。従って、ステップ621はリーン状態(F1=
“0")で燃料噴射量を徐々に増大させ、ステップ622は
リッチ状態(F1=“1")で燃料噴射量を徐々に減少させ
る。ステップ618,619,621,622にて演算された空燃比補
正係数FAFはステップ623,624にて最大値たとえば1.2に
てガードされ、また、ステップ625,626にて最小値例え
ば0.8にてガードされる。これにより、何らかの原因で
空燃比補正係数FAFが小さくなり過ぎ、もしくは大きく
なり過ぎた場合に、その値で機関の空燃比を制御してオ
ーバリーン、オーバリッチになるのを防ぐ。
上述のごとく演算されたFAFをRAM105に格納して、ス
テップ628にてこのルーチンは終了する。
第7図は第6図のフローチャートによる動作を補足説
明するタイミング図である。上流側O2センサ13の出力に
より第7図(A)に示すごとくリッチ、リーン判別の空
燃比信号A/Fが得られると、デイレイカウンタCDLYは、
第7図(B)に示すごとく、リッチ状態でカウントアッ
プされ、リーン状態でカウントダウンされる。この結
果、第7図(C)に示すごとく、遅延処理された空燃比
信号A/F′(フラグF1に相当)が形成される。たとえ
ば、時刻t1にて空燃比信号A/Fがリーンからリッチに変
化しても、遅延処理された空燃比信号A/F1′はリッチ遅
延時間TDRだけリーンに保持された後に時刻t2にてリッ
チに変化する。時刻t3にて空燃比信号A/Fがリッチから
リーンに変化しても、遅延処理された空燃比信号A/F′
はリーン遅延時間(−TDL)相当だけリッチに保持され
た後に時刻t4にてリーンに変化する。しかし、空燃比信
号A/Fが時刻t5,t6,t7のごとくリッチ遅延時間TDRより短
い期間で反転すると、デイレイカウンタCDLYが最大値TD
Rに到達するのに時間を要し、この結果、時刻t8にて遅
延処理後の空燃比信号A/F′が反転される。つまり、遅
延処理後の空燃比信号A/F′は遅延処理前の空燃比信号A
/Fに比べて安定となる。このように遅延処理後の安定し
た空燃比信号A/F′にもとづいて第7図(D)に示す空
燃比補正係数FAFが得られる。
次に、下流側O2センサ15による第2の空燃比フィード
バック制御について説明する。第2の空燃比フィードバ
ック制御としては、第1の空燃比フィードバック制御に
関与する定数としてのスキップ量RSR,RSL、積分定数KI
R,KIL、遅延時間TDR,TDL、もしくは上流側O2センサ13の
出力V1の比較電圧VR1を可変にするシステムと、第2の
空燃比補正係数FAF2を導入するシステムとがある たとえば、リッチスキップ量RSRを大きくすると、制
御空燃比をリッチ側に移行でき、また、リーンスキップ
量RSLを小さくしても制御空燃比をリッチ側に移行で
き、他方、リーンスキップ量RSLを大きくすると、制御
空燃比をリーン側に移行でき、また、リッチスキップ量
RSRを小さくしてもリーン側に移行できる。従って、下
流側O2センサ15の出力に応じてリッチスキップ量RSRお
よびリーンスキップ量RSLを補正することにより空燃比
が制御できる。また、リッチ積分定数KIRを大きくする
と、制御空燃比をリッチ側に移行でき、また、リーン積
分定数KILを小さくしても制御空燃比をリッチ側に移行
でき、他方、リーン積分定数KILを大きくすると、制御
空燃比をリーン側に移行でき、また、リッチ積分定数KI
Rを小さくしても制御空燃比をリーン側に移行できる。
従って、下流側O2センサ15の出力に応じてリッチ積分定
数KIRおよびリーン積分定数KILを補正することにより空
燃比が制御できる。リッチ遅延時間TDR>リーン遅延時
間(−TDL)と設定すれば、制御空燃比はリッチ側に移
行でき、逆に、リーン遅延時間(−TDL)>リッチ遅延
時間(TDR)と設定すれば、制御空燃比はリーン側に移
行できる。つまり、下流側O2センサ15の出力に応じて遅
延時間TDR,TDLを補正することにより空燃比が制御でき
る。さらにまた、比較電圧VR1を大きくすると制御空燃
比をリッチ側に移行でき、また、比較電圧VR1を小さく
すると制御空燃比をリーン側に移行できる。従って、下
流側O2センサ15の出力に応じて比較電圧VR1を補正する
ことにより空燃比が制御できる。
これらスキップ量、積分定数、遅延時間、比較電圧を
下流側O2センサによって可変とすることはそれぞれに長
所がある。たとえば、遅延時間は非常に微妙な空燃比の
調整が可能であり、また、スキップ量は、遅延時間のよ
うに空燃比のフィードバック周期を長くすることなくレ
スポンスの良い制御が可能である。従って、これら可変
量は当然2つ以上組み合わされて用いられ得る。
第8図を参照して空燃比フィードバック制御に関与す
る定数としてのスキップ量を可変にしたダブルO2センサ
システムについて説明する。
第8図は下流側O2センサ15の出力にもとづいてスキッ
プ量RSR,RSLを演算する第2の空燃比フィードバック制
御ルーチンであって、所定時間たとえば1s毎に実行され
る。ステップ801〜803では、下流側O2センサ15による閉
ループ条件か否かを判別する。たとえば、上流側O2セン
サ13による閉ループ条件の不成立(ステップ801)に加
えて、冷却水温THWが所定値(たとえば70℃)以下のと
き(ステップ802)、スロットル弁16が全閉(LL=
“1")とき(ステップ803)等が閉ループ条件が不成立
であり、その他の場合が閉ループ条件成立である。閉ル
ープ条件でなければステップ815,816に進み、スキップ
量RSR,RSLを RSR0←RSR RSL0←RSL として、値RSR0,RSL0をバックアップRAM106に格納す
る。つまり、閉ループ終了直前値がバックアップRAM106
に保持される。そして、ステップ817にて空燃比反転フ
ラグFBを“0"とする。
下流側O2センサ15による閉ループ条件成立であれば、
ステップ804に進み、下流側O2センサ15の出力V2をA/D変
換して取込み、ステップ805にてV2が比較電圧VR2たとえ
ば0.55V以下か否かを判別する、つまり、空燃比がリッ
チかリーンかを判別する。
ステップ805にてV2≦VR2(リーン)であればステップ
806に進み、他方、V2>VR2(リッチ)であればステップ
811に進む。
ステップ806では、RSR←RSR+ΔRS(一定値)とし、
つまり、リッチスキップ量RSRを増大させて空燃比をリ
ッチ側に移行させ、さらに、ステップ807にてRSL←RSL
−ΔRS(一定値)とし、つまり、リッチスキップ量RSL
を減少させて空燃比をリッチ側に移行させる。
他方、V2>VR2(リッチ)のときには、ステップ811に
てRSR←RSR−ΔRSとし、つまり、リッチスキップ量RSR
を減少させて空燃比をリーン側に移行させ、さらに、ス
テップ812にてRSL←RSL+ΔRSとし、つまり、リーンス
キップ量RSLを増加させて空燃比をリーン側に移行させ
る。
ステップ808,809,810,813,814は、上述のごとく演算
されたRSR,RSLのガード処理を行うものであり、第9図
をも参照して説明する。
第9図において、時刻t1にて下流側O2センサ15による
空燃比フィードバック制御が開始すると、この時点で
は、空燃比反転フラグFBは“0"であるので、ステップ80
5でのフローは、ステップ806,807,808を介してステップ
809,810に進む。
ステップ809では、小さい許容幅MAX1〜MIN1を演算す
る。すなわち、バックアップRAM106より下流側O2センサ
15による空燃比フィードバック制御開始直前のスキップ
量すなわちRSR0,RSL0を読出し、RSR0,RSL0の大小を判別
し、たとえばRSR0≧RSL0であれば、最大値MAX1、最小値
MIN1を MAX1←RSR0×a MIN1←RSL0×b ただし、aは1.05〜1.10、bは0.90〜0.95の値、によ
り演算する。なお、最大値MAX1、最小値MIN1は下流側O2
センサ15による空燃比フィードバック制御中のスキップ
量RSR,RSLの最大値(もしくはその平均値またはなまし
値)、最小値(もしくはそのなまし値)としてもよい。
すなわち、第2の空燃比フィードバック中第2の空燃比
センサ出力に基き更新されるフィードバック制御に関与
する定数の積分方向が逆転する際の平均値またはなまし
値をとってもよい。さらに、このようにして演算された
最大値MAX1、最小値MIN1を、大きな許容幅MAX2〜MIN2た
とえば7.5〜2.5%内の値とする。つまり、 MAX1≦MAX2 MIN1≧MIN2 とする。次いで、ステップ810では、上述のごとくステ
ップ806,807にて演算されたリッチスキップ量RSR、リー
ンスキップ量RSLを、小さい許容幅MAX1〜MIN1でガード
してRAM105に格納する。そして、ステップ814に進む。
上述の状態が持続すると、時刻t2にて、リッチスキッ
プ量RSRは最大値MAX1に張り付き、リーンスキップ量RSL
は最小値MIN1に張り付き、スキップ量RSR,RSLはこれ以
上リッチ側に補正されない。つまり、リッチ側の過補正
が抑制される。
次いで、時刻t3にて、下流側O2センサ15の出力V2がリ
ーンからリッチへ変化すると、ステップ805でのフロー
はステップ811〜814に進む。つまり、ステップ811,812
にてスキップ量RSR,RSLをリーン側に補正し、ステップ8
13にて空燃比反転フラグFBを“0"から“1"へ反転させ、
ステップ814に進む。そして、ステップ814では、上述の
ごとく、ステップ811,812にて演算されたリッチスキッ
プ量RSR,リーンスキップ量RSLを、大きな許容幅MAX2〜M
IN2にてガードしてRAM105に格納する。そして、ステッ
プ818に進む。
以後は、下流側O2センサ15による空燃比フィードバッ
ク制御中であれば、空燃比反転フラグFBは“1"であるの
で、ステップ806,807にてスキップ量RS,RSLのリッチ側
補正が行われても、ステップ811,812,813にてスキップ
量RSR,RSLのリーン側補正が行われていても、いずれも
場合も、ステップ814にて、スキップ量RSR,RSLは大きな
許容幅MAX2〜MIN2でガードされ、RAM105に格納される。
このように、第8図のルーチンによれば、第9図の時
間t1〜t3では、スキップ量RSR,RSLは、小さい許容幅MAX
1〜MIN1でガードされ、時刻t3以降では、大きな許容幅M
AX2〜MIN2でガードされる。
なお、第9図において、時間t1〜t3も、スキップ量SR
S,RSLを大きな許容幅MAX2〜MIN2でガードすると、スキ
ップ量RSR,RSLは点線に示すごとくリッチ側に過補正さ
れ、しかも、その影響は暫くの間残存するので、HC,CO
エミッション、燃費の点で不利である。特に、下流側空
燃比フィードバック制御停止中に下流側空燃比フィード
バック制御をホールドし、下流側空燃比フィードバック
制御を再開した時に、その値から制御を開始するもので
は、頻繁な空燃比フィードバック制御の禁止、許可が繰
り返されるたびにt1〜t2に示す破線の現象があらわれ、
制御に関与する定数が発散する可能性があり、好ましく
ないが本例では、その誤補正を低減し、エミッションの
悪化を招かない。
また、大きな許容幅を決定する最小値MINは過渡追従
性がそこなわれないレベルの値であり、また、最大値MA
Xは空燃比変動によりドライバビリティの悪化が発生し
ないレベルの値である。さらにまた、小さい許容幅を決
定するMAX1,MIN1は固定値であってもよい。
第10図は噴射量演算ルーチンであって、所定クランク
角たとえば、360℃A毎に実行される。ステップ1001で
はRAM105より吸入空気量データQおよび回転速度データ
Neを読出して基本噴射量TAUPを演算する。たとえばTAUP
←α・Q/Ne(αは定数)とする。ステップ1002にてRAM1
05より冷却水温データTHWを読出してROM104に格納され
た1次元マップにより暖機増量値FWLを補正計算する。
ステップ1003では、最終噴射量TAUを、 TAU←TAUP・FAF・(FWL+β+1)+γ により演算する。なお、β,γは他の運転状態パラメー
タによって定まる補正量である。次いで、ステップ1004
にて、噴射量TAUをダウンカウンタ108にセットすると共
にフリップフロップ109をセットして燃料噴射量を開始
させる。そして、ステップ1005にてこのルーチンは終了
する。なお、上述のごとく、噴射量TAUに相当する時間
が経過すると、ダウンカウンタ108のキャリアウト信号
によってフリップフロップ109がリセットされて燃料噴
射は終了する。
なお、第1の空燃比フィードバック制御は4ms毎に、
また、第2の空燃比フィードバック制御は1s毎に行われ
るのは、空燃比フィードバック制御は応答性の良い上流
側O2センサによる制御を主にして行い、応答性の悪い下
流側O2センサによる制御を従にして行うためである。
また、上流側O2センサによる空燃比フィードバック制
御における他の制御に関与する定数、たとえば積分定
数、遅延時間、上流側O2センサの比較電圧VR1等を下流
側O2センサの出力により補正するダブルO2センサシステ
ムにも、また、第2の空燃比補正係数を導入するダブル
O2センサシステムにも本発明を適用し得る。また、スキ
ップ量、積分定数、遅延時間のうちの2つを同時に制御
することにより制御性を向上できる。さらに、スキップ
量RSR,RSLのうちの一方を固定し、他方のみを可変とす
ることも、積分定数KIR,KILのうちの一方を固定し他方
のみを可変とすることも、あるいは遅延時間TDR,TDLの
一方を固定し他方を可変とすることも可能である。
また、吸入空気量センサとして、エアフローメータの
代りに、カルマン渦センサ、ヒートワイヤセンサ等を用
いることもできる。
さらに、上述の実施例では、吸入空気量および機関の
回転速度に応じて燃料噴射量を演算しているが、吸入空
気圧および機関の回転速度、もしくはスロットル弁開度
および機関の回転速度に応じて燃料噴射量を演算しても
よい。
さらに、上述の実施例では、燃料噴射弁により吸気系
への燃料噴射量を制御する内燃機関を示したが、キャブ
レタ式内燃機関にも本発明を適用し得る。たとえば、エ
レクトリック・エア・コントロールバルブ(EACV)によ
り機関の吸入空気を調整して空燃比を制御するもの、エ
レクトリック・ブリード・エア・コントロールバルブに
よりキャブレタのエアブリード量を調整してメイン系通
路およびスロー系通路への大気の導入により空燃比を制
御するもの、機関の排気系へ送り込まれる2次空気量を
調整するもの、等に本発明を適用し得る。この場合に
は、ステップ1001における基本噴射量TAUP相当の基本燃
料噴射量がキャブレタ自信によって決定され、すなわ
ち、吸入空気量に応じた吸気管負圧と機関の回転速度に
応じて決定され、ステップ1003にて最終燃料噴射量TAU
に相当する供給空気量が演算される。
さらに、上述の実施例では、空燃比センサとしてO2
ンサを用いたが、COセンサ、リーンミクスチャセンサ等
を用いることもできる。
さらに、上述の実施例はマイクロコンピュータすなわ
ちディジタル回路によって構成されているが、アナログ
回路により構成することもできる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、下流側空燃比セ
ンサのリーンからリッチへの出力特性が遅い場合にあっ
ても、制御に関与する定数等のリッチ過補正を防止で
き、排気エミッションの低減および燃費の向上に役立つ
ものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の構成を説明するための全体ブロック
図、 第2図はシングルO2センサシステムおよびダブルO2セン
サシステムを説明する排気エミッション特性図、 第3図は本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置の一実
施例を示す全体概略図、 第4図、第5図は本発明が解決すべき問題点を説明する
ためのタイミング図、 第6図、第8図、第10図は第3図の制御回路の動作を説
明するためのフローチャート、 第7図は第6図のフローチャートを補足説明するための
タイミング図、 第9図は第8図のフローチャートを補足説明するタイミ
ング図である。 1……機関本体、3……エアフローメータ、 4……ディストリビュータ、 5,6……クランク角センサ、 10……制御回路、12……触媒コンバータ、 13……上流側(第1の)O2センサ、 15……下流側(第2の)O2センサ、 17……アイドルスイッチ。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排気系に設けられた排気ガス浄
    化のための触媒コンバータの上流側、下流側に、それぞ
    れ設けられ、排気ガス中の特定成分濃度を検出する第
    1、第2の空燃比センサと、 該第2の空燃比センサによる空燃比フィードバック条件
    が満足されているか否かを判別する下流側空燃比フィー
    ドバック条件判別手段と、 該空燃比フィードバック条件が満たされているときに前
    記第2の空燃比センサの出力に応じて空燃比フィードバ
    ック制御に関与する定数を演算する定数演算手段と、 前記第2の空燃比センサの出力が反転したか否かを判別
    する反転判別手段と、 前記空燃比フィードバック制御に関与する定数の許容幅
    を、前記空燃比フィードバック条件が満たされたときか
    ら前記第2の空燃比センサの出力の反転までの間は小さ
    く、その後は大きく設定する許容幅設定手段と、 前記演算された空燃比フィードバック制御に関与する定
    数を前記設定された許容幅でガードするガード手段と、 前記許容幅でガードされた空燃比フィードバック制御に
    関与する定数と前記第1の空燃比センサの出力とに応じ
    て空燃比補正量を演算する空燃比補正量演算手段と、 前記空燃比補正量に応じて前記機関の空燃比を調整する
    空燃比調整手段と、 を具備する内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】前記空燃比フィードバック制御に関与する
    定数は、前記空燃比フィードバック制御条件が満たされ
    ないときは該空燃比フィードバック制御条件不成立直前
    の値にホールドされ、 前記許容幅設定手段は、前記空燃比フィードバック制御
    条件が満たされたときから前記前記第2の空燃比センサ
    出力の反転までの間は、前記空燃比フィードバック制御
    に関与する定数の前記許容幅を、前記空燃比フィードバ
    ック制御条件不成立直前にホールドされた値にもとづい
    て演算する特許請求の範囲第1項に記載の内燃機関の空
    燃比制御装置。
  3. 【請求項3】前記許容幅設定手段は、前記空燃比フィー
    ドバック制御条件が満たされたときから前記第2の空燃
    比センサ出力の反転までの間は、前記空燃比フィードバ
    ック制御に関与する定数の前記許容幅を、前記空燃比フ
    ィードバック制御条件が満たされているときの空燃比フ
    ィードバック制御に関与する定数の最大値もしくはその
    なまし値および最小値もしくはそのなまし値にもとづい
    て演算する特許請求の範囲第1項に記載の内燃機関の空
    燃比制御装置。
  4. 【請求項4】前記許容幅設定手段は、前記第2の空燃比
    センサの出力がリーンを示すときのみ、前記空燃比フィ
    ードバック制御に関与する定数の前記許容幅を小さくす
    る特許請求の範囲第1項に記載の内燃機関の空燃比制御
    装置。
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US07/152,928 US4881368A (en) 1987-02-09 1988-02-05 Double air-fuel ratio sensor system having improved exhaust emission characteristics

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