JP2516890Y2 - 広幅・密条両播き用多条施肥播種機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、播種機の種子落下筒の
下口下方に交互に平板状種子拡散板と二股樋を取付ける
ことによつて任意に多条施肥広幅播きと多条施肥密条播
きの両作業ができる広幅・密条両播き用多条施肥播種機
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の麦類多条播種機の各播種
部は、種子落下筒の下口下方に、後ろ下方へ傾斜する平
板状種子拡散板を播種機の支持枠に固定し設けて構成す
る。

【０００３】そして、種子落下筒内を下降した種子を平
板状種子拡散板上において拡散させ播種して３００ｍｍ
の広幅播きを行っている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】麦類の播種は、一般に
は上記３００ｍｍの広幅播きが多く行われているけれど
も、小麦の品種によっては１５０ｍｍの密条播きも行わ
れている。

【０００５】そのために、農家では広幅播きと密条播き
の両方の多条播種機が必要であるので、経済的負担が大
である上に、機械の収納に広い場所を要する点である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、多条施肥播種
機における各播種機の種子落下筒の下口下方に交互に平
板状種子拡散板と二股樋を取付ける簡易な操作により、
一台の多条施肥播種機で任意に多条施肥広幅播きと多条
施肥密条播きの両作業ができ、安価に製作して作業上便
利な広幅・密条両播き用多条施肥播種機を提供すること
を目的とする。

【０００７】すなわち、機枠（６）の前部上に数個の肥
料タンク（１０）を、後部上に数個の種子タンク（１
５）を前後対応させ左右方向にそれぞれ並設して機枠
（６）の前部上に主軸（９）を回転自在に横架し、肥料
タンク（１０）および種子タンク（１５）の底部内には
それぞれ回転軸（１１），（１６）によつて回転攪拌は
ね出し体を設け、肥料タンク（１０）の下方にコルター
オープナー（１２）を配設してその肥料タンク（１０）
の送出口後方に上口を臨ませた肥料落下筒（１３）の下
口をコルターオープナー（１２）内に臨ませ、機枠
（６）の後部に取付けた車輪（２０）の車軸（２１）と
肥料タンク（１０）および種子タンク（１５）の回転攪
拌はね出し体の回転軸（１１），（１６）を伝動機構に
より連結し、主軸（９）に数個の播種機（ｂ）の台枠
（１４）の前端部をそれぞれ回転自在に嵌着し、その台
枠（１４）の中間部に支持枠（５）を、後方両側部に覆
土円盤（２２）を、後端部に鎮圧ローラ（２３）をそれ
ぞれ設けて種子タンク（１５）の送出口後方に上口を臨
ませた種子落下筒（３）の下口を支持枠（５）内に臨ま
せ、Ｌ形に折曲すると共にその横片の先端部を斜め後ろ
下方へ屈曲して該後方屈曲片には下縁中央部に凹部（１
８）を設けた弾性均平板（１７）の上端部を固定する均
平板取付腕（１９）の前方縦片の上部を支持枠（５）に
取付け、弾性均平板（１７）の直後上方において種子落
下筒（３）の下口下方に後ろ下方へ傾斜させて交互に配
置する広幅播きの平板状種子拡散板（２）と密条播きの
二股樋（２４）の前方に鉤形取付腕（１），（２５）を
それぞれ設け、広幅播きの平板状種子拡散板（２）の鉤
形取付腕（１）の前部を台枠（１４）の支持枠（５）上
にボルト・ナツト（４）により着脱可能に固定して広幅
播きの多条施肥播種機になし、上記ボルト・ナツト
（４）を操作して鉤形取付腕（１）付き平板状種子拡散
板（２）を取除き、密条播きの二股樋（２４）の鉤形取
付腕（２５）の前部を支持枠（５）上にボルト・ナツト
（４）により着脱可能に固定して密条播きの多条施肥播
種機になす広幅・密条両播き用多条施肥播種機を構成
し、一台の多条施肥播種機で任意に多条施肥広幅播きと
多条施肥密条播きの両作業ができ、安価に製作して作業
上便利にする目的を、多条施肥播種機における各播種機
の種子落下筒の下口下方に、ボルト・ナツトの簡易な操
作によつて交互に平板状種子拡散板と二股樋を取付ける
ことにより実現した。

【０００８】

【実施例】図面は、本考案の一実施例で、図１乃至図３
は多条施肥播種機の播種機を広幅播きにした状態、図４
乃至図６は上記多条施肥播種機の播種機を密条播きにし
た状態をそれぞれ示し、その構成を図面について説明す
れば、（６）は広幅・密条両播き用多条施肥播種機の機
枠で、該機枠（６）の前端中央部上に固設した三角状取
付枠（７）の上下を、図示してないがトラクタの三点リ
ンクヒツチ（８）に連結し、機枠（６）の前部上に主軸
（９）を回転自在に横架する。

【０００９】（ａ）は機枠（６）の前部に左右方向に数
個並設した施肥機を示し、（１０）は施肥機（ａ）の肥
料タンクで、機枠（６）の前部上に固定して該肥料タン
ク（１０）の底部内には回転軸（１１）によって図示し
てないが回転撹拌はね出し体を設ける。そして、肥料タ
ンク（１０）の下方には周縁に刃を設けた一対の円板を
後方が拡開するハ字形に配置し回転自在に軸支してなる
コルターオープナー（１２）を配設し、肥料タンク（１
０）の送出口後方に上口を臨ませて縦に配置した肥料落
下筒（１３）の下口をコルターオープナー（１２）の後
部内に臨ませる。

【００１０】（ｂ）は各施肥機（ａ）の後方にそれぞれ
配置する播種機を示し、（１４）は播種機（ｂ）の台枠
で、該台枠（１４）の前端を主軸（９）に回転自在に嵌
着する。（１５）は播種機（ｂ）の種子タンクで、機枠
（６）の後部上に固定して該種子タンク（１５）の底部
内には回転軸（１６）によって図示してないが回転撹拌
はね出し体を設ける。（５）は台枠（１４）の中間部に
固定した支持枠で、種子タンク（１５）の送出口後方に
上口を臨ませて縦に配置した種子落下筒（３）の下端部
を支持枠（５）内に臨ませる。（２）は種子落下筒
（３）の下口下方に後ろ下方へ傾斜させて配置する広幅
播きの平板状種子拡散板で、該平板状種子拡散板（２）
の前方に屈曲して設けた鉤形取付腕（１）の前部には図
示してないが通孔を穿つてその鉤形取付腕（１）の前部
を支持枠（５）の前片上にボルト・ナット（４）により
固定する。

【００１１】（１７）は平板状種子拡散板（２）の直前
下方に後ろ下方へ傾斜させて配置する弾性均平板で、ゴ
ム等より成つて下縁中央部に三角状凹部（１８）を設け
る。（１９）は均平板取付腕で、鉄板をＬ形に折曲する
と共にその横片の先端部を斜め後ろ下方へ屈曲して形成
し、該均平板取付腕（１９）の後方屈曲片上に弾性均平
板（１７）の上端部を固定して前方縦片の上部を支持枠
（５）の前片に取付ける。

【００１２】（２０）は機枠（６）の中間部両側に車軸
（２１）により架設した車輪で、その車軸（２１）と主
軸（９），主軸（９）と回転軸（１１），回転軸（１
１）と回転軸（１６）をそれぞれチエン伝動機構により
連結する。（２２）は弾性均平板（１７）の後方両側に
おいて回転自在に軸支した覆土円盤、（２３）は台枠
（１４）の後端部に回転自在に軸支した鎮圧ローラであ
る。

【００１３】（２４）は密条播きの二股樋、（２５）は
二股樋（２４）の鉤形取付腕で、鉤形鉄板の縦片先端部
を斜め後ろ下方へ屈曲して形成し、該鉤形取付腕（２
５）の後方屈曲片上に二股樋（２４）の上端部を固定
し、図示してないが横片の前部には通孔を穿つ。

【００１４】その作用を麦類の多条施肥播種について説
明する。麦類を広幅播きする場合には、図１乃至図３に
示すように支持枠（５）に平板状種子拡散板（２）の鉤
形取付腕（１）をボルト・ナット（４）により取付けて
機械を圃場に入れ、肥料を肥料タンク（１０）内に、麦
類の種子を種子タンク（１５）内にそれぞれ投入し、ト
ラクタの運転を開始して機械を前進させれば、車輪（２
０）が接地回転し、その車輪（２０）の車軸（２１）か
らチエン伝動機構および主軸（９）を経て回転軸（１
１）により肥料タンク（１０）内の回転撹拌はね出し体
を、回転軸（１６）により種子タンク（１５）内の回転
撹拌はね出し体をそれぞれ駆動する。

【００１５】従って、肥料タンク（１０）内の肥料を回
転軸（１１）の回転撹拌はね出し体により撹拌しながら
肥料落下筒（１３）内にはね込んでその肥料は肥料落下
筒（１３）の下端からコルターオープナー（１２）内に
落下する。また、種子タンク（１５）内の種子を回転軸
（１６）の回転撹拌はね出し体により撹拌しながら種子
落下筒（３）内にはね込み、その種子は種子落下筒
（３）の下端から平板状種子拡散板（２）上に落下して
拡散する。

【００１６】而して、鎮圧ローラ（２３）が接地回転し
てこれにより台枠（１４）を支承し、コルターオープナ
ー（１２），弾性均平板（１７）および両側覆土円盤
（２２）がそれぞれ適度に土中に喰込んで機械は進行す
る。

【００１７】それ故、コルターオープナー（１２）で床
がＷ字形となって形成された施肥溝内に肥料落下筒（１
３）から施肥され、その後、上記施肥した溝内を弾性均
平板（１７）が進行して該弾性均平板（１７）により溝
の両側の土を削り取り溝内の低い部分に寄せて溝の床を
平らになし、その平らにした直後に溝内の全幅にわたつ
て平板状種子拡散板（２）上から３００ｍｍの広幅に播
種し、次いで、上記溝内の種子上に後続の両側覆土円盤
（２２）により覆土し、その覆土上を鎮圧ローラ（２
３）で鎮圧して多条広幅播きの施肥および播種作業が完
了する。

【００１８】その際、弾性均平板（１７）が石等の障害
物に当つたときには、弾性均平板（１７）の弾力に均平
板取付腕（１９）の弾力が相俟ってそれらが円滑に撓
み、弾性均平板（１７）は障害物を良好に逃げて進行す
る。

【００１９】麦類を密条播きする場合には、機械の上記
状態から、ボルト・ナット（４）を操作し、鉤形取付腕
（１）付き平板状種子拡散板（２）を取外して図４乃至
図６に示すように鉤形取付腕（２５）付き二股樋（２
４）をボルト・ナット（４）により支持枠（５）に取付
ける。

【００２０】そこで、上記と同様に操作して作業する
と、種子落下筒（３）の下端から二股樋（２４）の前部
上に落下した種子は二股樋（２４）に沿い左右に分れて
該二股樋（２４）の下端からそれぞれ落下し、二条で１
５０ｍｍの狭幅に播種して多条密条播きの施肥および播
種作業が行われる。

【００２１】

【考案の効果】本考案の広幅・密条両播き用多条施肥播
種機は、下記のような利点がある。

【００２２】（１） コルターオープナーにより施肥溝
を作製してその施肥溝内に施肥した後、下縁中央部に凹
部を設けた弾性均平板により上記施肥溝上を均らし施肥
溝を消して平坦な播種床を整形し、種子落下筒の下口か
ら上記弾性均平板上を経て播種し、次いで両側覆土円盤
により覆土してその覆土上を鎮圧ローラにより鎮圧す
る。従つて、

【００２３】（イ） 多条施肥広幅播き、または多条施
肥密条播きの作業をそれぞれ一工程で適切になし得て作
業能率を向上する。

【００２４】（ロ） 整地が良くなくて残渣物が多い圃
場や湿気が多い圃場においても、その残渣物や土をコル
ターオープナーが抱くことは無いから、高速作業で作業
を円滑適確に行うことができる。

【００２５】（ハ） 弾性均平板により広幅の平坦な播
種床を整形してその播種床上に広幅播きや密条播きの播
種をなし得る。

【００２６】（ニ） 施肥した後、広幅または密条に播
種された種子上に両側覆土円盤により良好に覆土し、そ
の覆土上を鎮圧ローラにより鎮圧して多条施肥播種作業
を適切に行うことができる。

【００２７】（２） 弾性均平板の直後上方において種
子落下筒の下口下方に後ろ下方へ傾斜させて交互に配置
する広幅播きの平板状種子拡散板と密条播きの二股樋の
前方に鉤形取付腕をそれぞれ設け、上記広幅播きの平板
状種子拡散板の鉤形取付腕の前部を播種機の台枠の支持
枠上にボルト・ナツトにより着脱可能に固定して広幅播
きの多条施肥播種機になし、上記ボルト・ナツトを操作
して上記鉤形取付腕付き平板状種子拡散板を取除き、上
記密条播きの二股樋の鉤形取付腕の前部を上記支持枠上
に上記ボルト・ナツトにより着脱可能に固定して密条播
きの多条施肥播種機になす。従って、

【００２８】（イ） 一台の多条施肥播種機で広幅播き
と密条播きの両作業をなし得られ、農家の経済的負担が
少なくて実用上有益である。

【００２９】（ロ） 多条施肥播種機を広幅播きにした
ときには、麦類の種子が平板状種子拡散板上を拡散流下
して全幅均等で広幅に播種される。

【００３０】（ハ） 多条施肥播種機を密条播きにした
ときには、種子落下筒の下端から落下する種子は二股樋
上を左右に分れ流下して良好に二条に密条播きされる。

【００３１】（ニ） 多条施肥播種機を密条播きにした
ときも、弾性均平板で平らにした直後に溝内に二股樋の
両下端から狭幅に播種されて密条播きを適確に行うこと
ができる。

【００３２】（ホ） 平板状種子拡散板と二股樋の取替
えは、それらの鉤形取付腕を交互に支持枠にボルト・ナ
ットで着脱することにより行うことができ、その取替え
操作は極めて簡易で取扱い上便利である。

【００３３】（ヘ） 広幅播きと密条播きの変更は、交
互に広幅播きの平板状種子拡散板と密条播きの二股樋と
を取替えて行うから、その広幅播きおよび密条播きの播
種幅はそれぞれ常に一定で、多条施肥播種機を広幅播
き，密条播きの何れになしたときも、そのすべての広幅
播きまたは密条播きの播種幅が適確に所定の均等で作業
能率を向上する。

【００３４】（ト） 広幅播きの平板状種子拡散板，密
条播きの二股樋とも、交互にその鉤形取付腕の前部を台
枠の支持枠上にボルト・ナツトによつて着脱可能に固定
するから、平板状種子拡散板および二股樋の取付けは確
実堅固である。

【００３５】（３） 構造は簡単で、容易安価に製作で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る広幅・密条両播き用多
条施肥播種機を広幅播きにした状態の側面図で、一部を
切欠して示す。

【図２】同上播種要部の拡大側断面図である。

【図３】同上後面図である。

【図４】上記広幅・密条両播き用多条施肥播種機を密条
播きにした状態の側面図で、一部を切欠して示す。

【図５】同上播種要部の拡大側断面図である。

【図６】同上後面図である。

【符号の説明】

ａ 施肥機 ｂ 播種機 １ 鉤形取付腕 ２ 平板状種子拡散板 ３ 種子落下筒 ４ ボルト・ナット ５ 支持枠 ６ 機枠 ７ 三角状取付枠 ８ 三点リンクヒッチ ９ 主軸 １０ 肥料タンク １１ 回転軸 １２ コルターオープナー １３ 肥料落下筒 １４ 台枠 １５ 種子タンク １６ 回転軸 １７ 弾性均平板 １８ 凹部 １９ 均平板取付腕 ２０ 車輪 ２１ 車軸 ２２ 覆土円盤 ２３ 鎮圧ローラ ２４ 二股樋 ２５ 鉤形取付腕

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機枠の前部上に数個の肥料タンクを、後
   部上に数個の種子タンクを前後対応させ左右方向にそれ
   ぞれ並設して上記機枠の前部上に主軸を回転自在に横架
   し、上記肥料タンクおよび上記種子タンクの底部内には
   それぞれ回転軸によつて回転攪拌はね出し体を設け、上
   記肥料タンクの下方にコルターオープナーを配設して上
   記肥料タンクの送出口後方に上口を臨ませた肥料落下筒
   の下口を上記コルターオープナー内に臨ませ、上記機枠
   の後部に取付けた車輪の車軸と上記肥料タンクおよび上
   記種子タンクの回転攪拌はね出し体の回転軸を伝動機構
   により連結し、上記主軸に数個の播種機の台枠の前端部
   をそれぞれ回転自在に嵌着し、その台枠の中間部に支持
   枠を、後方両側部に覆土円盤を、後端部に鎮圧ローラを
   それぞれ設けて上記種子タンクの送出口後方に上口を臨
   ませた種子落下筒の下口を上記支持枠内に臨ませ、Ｌ形
   に折曲すると共にその横片の先端部を斜め後ろ下方へ屈
   曲して該後方屈曲片には下縁中央部に凹部を設けた弾性
   均平板の上端部を固定する均平板取付腕の前方縦片の上
   部を上記支持枠に取付け、上記弾性均平板の直後上方に
   おいて上記種子落下筒の下口下方に後ろ下方へ傾斜させ
   て交互に配置する広幅播きの平板状種子拡散板と密条播
   きの二股樋の前方に鉤形取付腕をそれぞれ設け、上記広
   幅播きの平板状種子拡散板の鉤形取付腕の前部を上記台
   枠の支持枠上にボルト・ナツトにより着脱可能に固定し
   て広幅播きの多条施肥播種機になし、上記ボルト・ナツ
   トを操作して上記鉤形取付腕付き平板状種子拡散板を取
   除き、上記密条播きの二股樋の鉤形取付腕の前部を上記
   支持枠上に上記ボルト・ナツトにより着脱可能に固定し
   て密条播きの多条施肥播種機になす広幅・密条両播き用
   多条施肥播種機。