JP2515898B2 - 溶融装置 - Google Patents

溶融装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、例えば、比較的少量の高品質ガラスを溶融
する場合等に特に適した溶融装置に関するものである。
[従来の技術] 例えば、ガラスあるいはこれに類似する被溶融物を溶
融する方法として、従来、以下の方法が知られていた。
被溶融物を収容したルツボまたは溶融槽を重油炉、
ガス炉または炭化ケイ素抵抗発熱体を用いた電気炉で加
熱する間接加熱による方法。
白金、酸化スズ、モリブデン等の電極をガラス原料
中に浸漬し、被溶融物に直接電気を通じて被溶融物自体
を発熱させる直接通電法。
被溶融物を収容した白金ルツボを高周波誘導加熱法
により加熱する方法。
[発明が解決しようとする課題] ところが上述の従来の溶融方法には以下のような問題
点があり、例えば、少量の高品質ガラス等を溶融するに
はいずれも適していなかった。
間接加熱による方法の問題点 a.重油やガスの燃焼熱あるいは抵抗体の発熱による熱の
多くがガラス等の溶融に有効に用いられずに外部に放出
されるため、熱効率が悪く、無駄が多い。
b.ルツボや溶融槽の周囲に燃焼空間や抵抗発熱体を配置
するための空間が必要であり、装置をコンパクトに形成
できない。
c.間接加熱であるため迅速な溶融ができない。
直接通電法による方法の問題点 この方法において、例えば、白金電極を用いて常用周
波数(50Hzまたは60Hz)の電源を使用すると、白金電極
表面の一部がガラス中に遊離して白金ブツを発生して品
質を低下させる。白金ブツを発生させないためには、90
00Hz程度の周波数の電源を用いる必要があり、周波数変
換装置等の設備が必要になる。
高周波誘導加熱による方法 周波数変換装置などの設備が必要となる。
本発明は上述の背景のもとでなされたものであり、比
較的簡単な構成を有し、熱効率が良く急速加熱が容易で
あり、かつ、被溶融物の品質を劣化させるおそれのない
溶融装置を提供することを目的としたものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、以下の構成により、上述の課題を解決して
いる。
白金または白金合金製のルツボ内に被溶融物を収容
し、このルツボに電流を通じて発熱させることにより前
記被溶融物を溶融する溶融装置であって、 前記ルツボの少なくとも一部を二重構造にし、少なく
ともこの二重構造部に電流を通じて発熱させるようにし
た構成。
[佐用] 上述の構成において、前記二重構造部に電流を通じて
発熱させるようにしたことにより、発熱能力を増大させ
ることができる。かつ、二重構造部の外側と内側の双方
で発熱が行われる結果、外側と内側との間の温度勾配が
著しく小さくなる。したがって、内側で発生した熱はほ
とんど外部に放出されることがなく、すべて被溶融物の
溶融に有効に用いられる。しかも、この発熱は、二重構
造部自体に直接電流を通ずることにより行われるから、
他の部分に無駄なエネルギーが費やされるようなことが
ない。また、電流を通ずるとただちに発熱が開始され、
急速に所定の温度になる。したがって迅速な溶融も可能
である。さらに、電流が局部的に集中して局部的に白金
が融解等し、被溶融物の品質を劣化させるようなおそれ
もない。加えて二重構造にしたことにより、機械的強度
が増すから取扱いも容易となる。
[実施例] 第1実施例 第1図は本発明の第1実施例の断面図、第2図は第1
実施例の部分平面図である。以下、これらの図を参照し
ながら第1実施例を詳述する。
これらの図において、符号10はルツボ、符号11は内
壁、符号12は外壁、符号13は充填材、符号14a,14bは給
電フランジ、符号15はルツボの底部、符号16は流出パイ
プ、符号17aはガラス原料、符号17bは溶融ガラス、符号
18a,18bは導電板、符号19は複巻変圧器である。
前記ルツボ10は、白金製の有底円筒状容器であり、そ
の側壁部が内壁11と外壁12とで構成さる二重構造になっ
ている。なお、これら内壁11と外壁12とは、上下部にお
いて接続されている。
前記外壁12は途中で切り離されており、その切り離さ
れた部分の各切断端にそれぞれ給電フランジ14aおよび1
4bが対向して設けられている。これら給電フランジ14a,
14bは、これらの間に電流を通じたとき、その電流が前
記外壁12と内壁11を全周に渡って均一に流れるようにす
る作用をなす。
前記内壁11と外壁12との間に形成される空隙部にはア
ルミナ粉等の耐熱性と絶縁性とを兼ね備えた充填剤13が
充填される。この充填剤13の充填により、前記内壁11お
よび外壁12の熱変型が効果的に防止されるとともに、こ
れらの間の温度勾配が軽減される。また,前記ルツボ10
の底部15には、溶融したガラス17bを外部に導く流出パ
イプ16が接合されている。なお、この流出パイプ16の先
には図示しないが、例えば、脱泡槽や均質化槽等を設け
てもよい。
前記給電フランジ14aおよび14bは、それぞれ固定ねじ
部材14c,14cによって導電板18aおよび18bに接合され、
これらを介して複巻変圧器19の二次巻線に接続されてい
る。そして、この複巻変圧器19の一次巻線は電源19aに
接続されている。
上述の構成の装置において、前記電源19aから複巻変
圧器19を通じて、前記給電フランジ14a,14b間に低電圧
・大電流の電力を供給することにより、前記外壁12およ
び内壁11を発熱させることができる。したがって、前記
ルツボ10内にガラス原料17aを投入すると、これを溶融
することができる。こうして生じた溶融ガラス17bは前
記流出パイプ16を通じて外部に取り出される。
上述の第1実施例には、以下の利点がある。
すなわち、発熱が前記内壁11と外壁12で行われるから
発熱能力が大きい。また、内壁11と外壁12の双方で発熱
が行われる結果、これらの間の温度勾配が著しく小さく
なる。したがって、内壁11で発生した熱はほとんど外部
に放出されることがなく、すべてガラスの溶融に有効に
用いられる。しかも、この発熱は、内壁11および外壁12
自体に電流を通ずることにより行われるから、他の部分
に無駄なエネルギーが費やされるようなことがない。ま
た、電流を通ずるとただちに発熱が開始され、急速に所
定の温度になる。したがって迅速な溶融も可能である。
さらに、前記給電フランジ14aおよび14bの作用により、
電流が局部的に集中して局部的に白金が融解等し、ガラ
スの品質を劣化させるようなおそれもない。加えて二重
構造にしたことにより、機械的強度が増すから、取扱も
容易である。
次に本発明者等は、上述の第1実施例にかかるガラス
溶融装置を実際に製作して溶融実験を行っているので、
その結果の一例を以下に示す。
ルツボ10の寸法 材質;白金(または白金合金) 厚さ;0.5mm 高さ;240mm 内壁11の内径;130mm 外壁12の径;145mm ルツボ10の容量;2.4 ガラス重量:9.3Kg (液位:上端から60mm) 給電フランジ14a,14b 直径:185mm 厚さ:1.8mm (なお、高温とならない導電板18a,18bとの接続部は白
金より安価なパラジウムで構成しても問題なかった) 充填剤;アルミナ粉 厚さ14mm(なお、この厚さは、ショートしないかぎりで
きるだけ薄いほうが好ましかった) 溶融硝種 ランタン系ガラス 供給電力 6kw/Hr(3V 2000A) ガラス原料 粉末ガラス原料 溶融温度 1330℃ (内壁11の温度;1330℃ 外壁12の温度;1400℃) 原料投入量 800g/15分 第2実施例 第3図は本発明の第2実施例の断面図、第4図は第2
実施例の部分平面図である。以下、これらの図を参照し
ながら第2実施例を詳述する。
この実施例においては、前記第1実施例における内壁
11と外壁12とを切り離して、これらに別個に電力を供給
するようにしたものである。
すなわち、図において、内壁21には導電板28aおよび2
8bを介して複巻変圧器29aから電力を供給する。また、
外壁22には導電板28cおよび28dを介して複巻変圧器29b
から電力を供給するようにしたものである。
なお、これらの図において、符号20はルツボ、符号23
は充填材、符号24a,24b,24c,24dは給電フランジ、符号2
5はルツボの底部、符号26は流出パイプ、符号27aはガラ
ス原料、符号27bは溶融ガラスであり、これらの構成は
前記第1実施例における対応する部分と同じ構成を有す
るので、その説明は省略する。
この実施例によれば、前記第1実施例と同様の利点を
有する外に、前記内壁21と外壁22に別個に電力を供給し
ていることから、これら電力の供給量を独立に設定する
ことにより、内壁21と外壁22との発熱量を自由に設定す
ることができ、容易に最適の条件で溶融することが可能
となる。
また、通常、内壁21の劣化が早いので、この内壁21の
みを独立に交換することができ、メンテナンスコストの
節約が可能となる。
第3実施例 第5図は本発明の第3実施例の断面図である。
図に示されるように、この実施例は、前記第1実施例
における流出パイプ16に相当する流出パイプ36に、給電
フランジ34cを設け、前記第1実施例における給電フラ
ンジ14aおよび14bに相当する給電フランジの配置位置を
下方にずらして給電フランジ34aおよび34bとするととも
に、これら各給電フランジに、導電板38a,38b,38cを介
して三相複巻変圧器39から三相電流を供給するようにし
たものである。そのほかの構成は前記第1実施例と同一
であるので、同一の部分に同一の符号を付してその説明
を省略する。なお、図において、符号30はルツボであ
る。
この実施例によれば、前記第1実施例と同様の利点が
得られる外に、ルツボ30の底部並びに流出パイプ36の一
部も加熱されるので、溶融能力が向上するとともに、溶
融ガラスを外部に取り出すことが容易になるという利点
も得られる。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明は、要するに、ルツボの
少なくとも一部を二重構造にし、少なくともこの二重構
造部に電流を通じて発熱させるようにした構成を有し、 これにより、比較的簡単な構成を有し、熱効率が良く
急速加熱が容易であり、かつ、ガラスの品質を劣化させ
るおそれのないガラス溶融装置を得ているものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例の断面図、第2図は第1実
施例の部分平面図、第3図は本発明の第2実施例の断面
図、第4図は第2実施例の部分平面図、第5図は本発明
の第3実施例の断面図である。 10,20,30……ルツボ、11,21……内壁、12,22……外壁、
13,23……充填材、14a,14b,24a,24b,24c,24d……給電フ
ランジ、15,25……ルツボの底部、16,26,36……流出パ
イプ、17a……ガラス原料、17b……溶融ガラス、18a,18
b,28a,28b,28c,28d……導電板、19,29a,29b,39……複巻
変圧器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】白金または白金合金製のルツボ内に被溶融
    物を収容し、このルツボに電流を通じて発熱させること
    により前記被溶融物を溶融する溶融装置であって、 前記ルツボの少なくとも一部を二重構造にし、少なくと
    もこの二重構造部に電流を通じて発熱させるようにした
    溶融装置。
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