JP2515322B2 - 焼結部材の製造方法 - Google Patents

焼結部材の製造方法

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JP2515322B2 JP62097056A JP9705687A JP2515322B2 JP 2515322 B2 JP2515322 B2 JP 2515322B2 JP 62097056 A JP62097056 A JP 62097056A JP 9705687 A JP9705687 A JP 9705687A JP 2515322 B2 JP2515322 B2 JP 2515322B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱間静水圧プレス(以後HIPと記す)を利
用した焼結部材の製造方法に関し、特に太物焼結部材を
得るのに有効な焼結部材の製造方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
粉末冶金による物品の製造方法は、HIP法と焼結法の
2種類に大別することができる。
前者は、低酸素のガスアトマイズ法等による球状粉末
を金属容器内に充填密封後、高温のArガス中の静水圧応
力場で圧密と焼結とを同時に行なうものであり、後者は
還元法、水アトマイズ法等による粉末を冷間で圧縮成形
{この際冷間静水圧プレス(以後CIPと記す)を適用す
ることもある}後焼結を実施し圧密するものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
近時、粉末冶金法による大型製品の要求がある。
係る太物製品を前記従来の粉末冶金手法を適用した場
合には、以下のような問題点を有している。
すなわち、HIP法による場合、原料の金属又は合金粉
末が不規則形状で、充填密度が真密度に対し50%以下の
場合には、HIP後容器が大きく変形したり、バックリン
グによって破損する事例が生じる。
特に太径製品等、所望する製品が大型であれば、この
危険性は顕著となる。また、水アトマイズ粉末のような
高酸素含有量の粉末を使用する場合は、HIP前に粉末の
還元工程を挿入し、低酸素粉末とする必要があるが、還
元を充分に進ませるには、通常1000℃以上で実質的には
真密度化を行なうためのHIP温度に近い温度領域を必要
とする。HIP後実質的に真密度化した場合は、還元を行
なうことは不可能となる。従って、高酸素含有量の粉末
は、HIP法は適用されていないのが実情であり、一方焼
結法では焼結前の成形体密度をできるだけ高くすること
が焼結体密度の向上に必須であるにもかかわらず、金属
粉末は単位面積当り通常4Ton/cm2以上の成形圧を必要と
するため、太物材の成形には、膨大なプレス設備または
CIP設備を必要とすることになり、実用上不可能といえ
る。
本発明は、以上の問題点を解決した太物焼結部材を得
るに際し、有効な製造方法の提供を目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、金属又は合金粉末を容器内に充填、密封
し、HIP処理により前記粉末を密度60〜90%の範囲まで
圧密化した圧密体とし、次いで前記容器を除去した後前
記圧密体を真空または還元雰囲気中で焼結して、前記圧
密体の酸素含有量を低減することを特徴とする焼結部材
の製造方法である。
すなわち本発明は、金属又は合金粉末を、後に実質的
に還元可能な程度の空孔が残存する範囲内までHIP処理
で圧密化し、しかる後に焼結を行ない、圧密化と還元処
理を同時に達成しようとするものである。
以下本発明を詳述する。
原料となる粉末は、所望する最終製品の組成と実質的
に一致する合金粉末、または所望する最終製品の構成元
素の単独または複数の予備混合粉末が使用される。これ
ら粉末の製造手法は、ガスアトマイズ法、水アトマイズ
法または個々の構成元素粉末等公知の粉末製造手段が適
用される。
前記粉末を充填、密封せしめる容器は、通常のHIP処
理に用いられる軟鋼等の金属製容器を用いればよい。
次に行なうHIP処理が本発明の重要なポイントとな
る。通常粉末冶金法において、実施されるHIP処理は真
密度化の目的をもってなされるが、本発明法ではかかる
目的をもって行なうものでなく、密度が60〜90%程度ま
ででHIP処理は終了する。このような圧密体は、成形体
内に微小な空孔が残存し、かつ連続した状態にあるた
め、後に焼結を行なった場合に還元反応が促進しO2含有
量の低減がなし得る。
このHIP処理における密度を60〜90%に限定するの
は、60%未満では圧密体の強度が不十分であり、取扱い
が困難となり、また90%を越えると空孔が残留するもの
の、連続状のものが減少し、後の焼結において還元反応
が促進しないためである。なお、このような圧密体を得
るためには、HIP処理温度、圧力を通常適用される範囲
よりはるかに低めに設定するとか、HIP処理時間を短縮
する等すればよく、困難性を供なうことはない。
以上のようにしてHIP処理された後、容器を除去し焼
結を行なう。この際の焼結条件は、上記HIP処理により
得られた圧密体をさらに圧密化、還元し得るものであれ
ばよく、従来から知られた真空焼結等が適用される。な
お、焼結温度、時間などは所望する製品の組成(原料粉
末の組成)および寸法等により適宜選択されるものであ
ることは言うまでもない。
本願発明は、HIPを一種の温間CIP装置として使用する
ことを提案するものである。CIPでは、ゴム型を使用す
るため、200℃以下しか使用できないが、本願発明は金
属容器を使用するので、粉末の軟化点以上の温度でHIP
するため、CIPと比較して、はるかに低い圧力で粉末の
成形が可能となる利点がある。あわせてプレス、CIP成
形の前には粉末の軟化を目的として焼なまし処理を必要
とする場合が多いが、本願発明法によるとこのような処
理を省略することが可能である。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
実施例1 重量比でC 1.05%、Si 0.31%、Cr 4.02%、W 6.1
%、Mo 5.3%、V 1.8%、残部鉄および不可避的不純物
からなる平均粒径42μmの水アトマイズ粉末を作成し
た。酸素含有量は2500ppmで、見掛密度は2.2g/cm3、タ
ップ密度は2.8g/cm3であった。この粉末を内径380φ、
高さ100mml、肉厚2mmの軟鋼製カプセルに充填し、従来
行なわれている真空脱気をせず、常圧下でそのまま封着
をした。この容器を内径430φのHIP装置に入れ、温度70
0℃、圧力500気圧、保持時間0.5Hrの条件下でHIP処理を
行なった。HIP後容器除去後の密度は5.5g/cm3で密度比
は68%であった。この材料から外径280φ、高さ78mmの
円盤状体を削出し、10-3Torrの真空下で、1245℃×2Hr
の真空焼結を行なった。焼結後860℃×3Hrの焼なまし処
理を施し、焼結体の密度と化学成分を測定した。
密度は、8.16g/cm3で、C含有量は0.88%、O2含有量
は68ppmであった。光学顕微鏡下でミクロ組織を検鏡し
たが、中心部から外周部に到るまで残留空孔はほとんど
認められず、実質的に真密度であることを確認した。
次に本焼結体のD/8、D/4、D/2部から5φ×50lの抗折
試験片を削出し、1200℃焼入、560℃焼もどし後支点間
の距離40mmで破断応力を測定した。その絶対値は、それ
ぞれ352kg/mm2(HRC64.8)、356kg/mm2(HRC64.6)、34
5kg/mm2(HRC64.6)で内外部の有意差は認められなかっ
た。また、D/2部については円盤の軸線方向からも同様
の試験片を削出した。破断応力は355kg/mm2(HRC64.6)
で方向性は認められなかった。このように本手法によ
り、外径280φに到る太径焼結材の製造が可能になるこ
とが判明した。
なお、予備実験として原料粉末を内径60φゴム容器に
入れ、常圧下で成形圧500kg/cm2でCIP成形を試みた。CI
P後ゴムを除去すると成形体は崩壊し、このような成形
は全く不可能であることが判明した。
実施例2 重量比でC 3.1%、Cr 4.5%、W 10.2%、Mo 8.3%、V
7.9%、Co 8.5%、残部鉄および不可避的不純物よりな
る鉄基工具鋼の水アトマイズ粉末を作成した。アトマイ
ズ状態で平均粒径は、35.0μmでO2含有量は1800ppmで
あった。この粉末を軟式アトリッター中で粉砕し、この
際Cr粉末0.1%と粒径1.3μmのTiN粉末を重量比で9.0%
添加した。粉砕粉末の平均粒径は、13.0μmで見掛密度
3.8g/cm3、タップ密度4.1g/cm3、O2含有量2700ppmであ
った。この粉末を実施例1と同じ金属容器に同じように
封入した。HIP条件は温度800℃、圧力700気圧、保持時
間1Hrであった。HIP後の密度は5.0g/cm3(注:本材の真
密度値は7.7g/cm3)、外径は356φ、高さは94lであっ
た。この材料から320φ×90lの円盤を機械加工によって
削出し、10-3Torr下で1230℃×1Hrの真空焼結を実施し
た。焼結後の密度は、7.7g/cm3で顕微鏡的に残留空孔は
認められず、実質的に真密度であることが確認できた。
焼結体のC含有量は、2.90%、O2含有量は420ppmであっ
た。実施例1と同様に機械試験片を削出し1230℃焼入、
560℃焼もどしを行ない破断応力を評価した。D/2部は22
0kg/mm2(HRC72.4)、D/4部は224kg/mm2(HRC72.2)、D
/8部は216kg/mm2(HRC72.2)で、内外の有意差は認めら
れなかった。また本実施例と同じ原料粉末をゴムモール
ド中で常温下で700kg/mm2でCIP成形したが、成形体はも
ろく、ハンドリングが不可能であった。次に6Ton/cm2
圧力で20φのCIP成形を実施した。6Ton/cm2の成形圧で
は、成形体は十分に強く、旋削加工は可能であった。こ
の成形体を同一条件下で真空焼結を行ない、抗折破断応
力を測定した。224kg/mm2(HRC72.5)の結果が得られ
た。以上から本願発明法で得られる太径焼結体は、小径
のCIP成形体と同レベルの材料特性が得られることが判
明した。
本実施例では真空中で焼結を行なった場合を示した
が、その他の還元ガス中で焼結してもほぼ同様の結果が
得られた。
〔発明の効果〕
以上説明のように、本発明によればHIP−焼結を組み
合わせることにより、大型のCIP装置を必要とせず、ま
た従来のHIP法に比べO2含有量を低減した大型の焼結部
材を容易に得ることが可能となるものであり、工業上有
益である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属又は合金粉末を容器内に充填、密封
    し、熱間静水圧プレス処理により、前記粉末を密度60〜
    90%の範囲まで圧密化した圧密体とし、次いで前記容器
    を除去した後前記圧密体を真空または還元雰囲気中で焼
    結して前記圧密体の酸素含有量を低減することを特徴と
    する焼結部材の製造方法。
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