JP2511725B2 - 糸掛方法およびその装置 - Google Patents

糸掛方法およびその装置

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JP2511725B2 JP14193790A JP14193790A JP2511725B2 JP 2511725 B2 JP2511725 B2 JP 2511725B2 JP 14193790 A JP14193790 A JP 14193790A JP 14193790 A JP14193790 A JP 14193790A JP 2511725 B2 JP2511725 B2 JP 2511725B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、マルチフィラメントまたはシングルフィ
ラメントからなる糸を回転するスピンドルに装着された
ボビンに、順次自動的に糸掛する方法、ならびにその方
法を実施する場合に用いられる糸掛装置に関するもので
ある。
[従来の技術] 第16図、第17図および第18図は従来の糸掛方法を説明
するための糸掛装置の要部を示す概略斜視図および概略
平面図であり、同図の矢印r方向に回転するスピンドル
1の外周に装着された空ビン2Aに糸掛けする場合、スピ
ンドル1および空ボビン2Aが所定の回転速度に達するま
での立上り期間中は、糸3を吸引力により保持している
エアーサッカー4を、第17図の仮想線で示すように、上
記スピンドル1の先端にねじ止め固定した截頭円錐筒形
状のウエストスプール5の前方に移動させて待機させて
おく。
この状態で、上記スピンドル1および空ボビン2Aが所
定の回転速度に達した時点で、上記エアーサッカー4を
第17図の矢印a方向に前進させて第17図の実線で示すよ
うに、ウエストスプール5の中空部内に進入させること
により、このエアーサッカー4に保持されている糸3を
ウエストスプール5の周壁に形成した切欠き溝6に導入
させ係止させる。
そのうち、上記切欠き溝6に係止された糸部分よりも
上手側を、第17図の矢印f方向に移動するヤーンプッシ
ャ7により、上記空ボビン2Aの後端側fへ追い込んで、
トラバーサ8に受け渡し、このトラバーサ8の回転軸線
方向に沿った往復運動により、ボビン2Aへの糸3の巻付
けを開始する。
つづいて、上記エアーサッカ4を矢印a1方向に後退さ
せた第18図の状態において、はさみ9を介してボビン2A
とエアーサッカー4との間の糸3を切断する。
[発明が解決しようとする課題] 上記したような従来の糸掛方法による場合は、空ボビ
ン2Aに糸掛けを行なう時、スピンドル1に固定されてい
るウエストスプール5が高速回転している反面、エアー
サッカー4を介してウエストスプール5の切欠き溝6に
導入される糸3の進入速度は非常に遅い。そのため、糸
3をスムーズに切欠き溝6内に導入させることができ
ず、ほとんどの場合、糸3が切欠き溝6の入口の角部に
当たったり、ウエストスプール5の入口周縁部5aと擦れ
ることになる。
ここで、巻取り対象の糸が多数本のフィラメントを束
ねてなるマルチフィラメントである場合、上記切欠き溝
6の角部への当たりによって、フィラメントにバラケが
生じ、1回で切欠き溝6内に導入されなかった一部のフ
ィラメントは1回転または数回転遅れて切欠き溝6に入
るので、これがバラケを一層助長し、その結果、部分的
な糸切れやもつれなどを発生する。また、糸がマルチフ
ィラメントまたはシングルフィラメントのいずれの場合
でも、上記のようなウエストスプール5の入口周縁部5a
との擦れによって糸に損傷を招く欠点もあった。
さらに、切断後の巻始め端糸は、ウエストスプール5
の切欠き溝6から離脱し自由端となっているので、回転
中にボビン2に巻付けられている糸の中に巻き込まれて
しまうことが多く、そのため、巻き上ったチーズを使用
するユーザ側でテール処理のために必要とされる巻始め
端糸を確保することができないという不都合もあった。
この発明は上記実情に鑑みてなされたもので、糸掛け
時に生じたバラケ、部分的糸切れ、傷などの欠陥個所を
取り除いて、正常な糸のみをボビンに巻取ることができ
るとともに、テール処理に必要な長さの巻始め端糸を確
保することができる糸掛方法およびその装置を提供する
ことを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、この発明に係る糸掛方法
は、巻取りが終了した糸の終端を切断する工程と、切断
個所の上手側の端糸を後続する巻取りの始端として保持
する工程と、保持した端糸を空ボビンが装着されて回転
しているスピンドルの先端に設けたウエストスプールの
係止部に係止させることにより、端糸の上手側をボビン
に巻付ける工程と、巻付けた糸の一部を端糸とともにス
ピンドルの軸方向外方へ引き出す工程と、引き出した糸
の上記一部の途中を切断するとともに、その切断個所の
上手側の糸を把持する工程と、把持した部分を上記ウエ
ストスプールの径方向外側に対向する位置に移動させる
ことにより、そのウエストスプールに巻付ける工程とを
備えたものである。
また、上記糸掛方法を実施するためのこの発明に係る
糸掛装置は、糸の巻取りが終了したボビンをスピンドル
から抜き取って、このスピンドルに空ボビンを装着する
玉揚機構と、巻取りが終了した糸の終端を切断する切断
機構と、その切断個所の上手側の端糸を後続する巻取り
の始端として保持する保持機構と、この保持機構を移動
させる駆動機構と、この駆動機構を制御して上記保持機
構をスピンドル側へ移動させることにより、上記保持さ
れた端糸を空ボビンが装着されて回転しているスピンド
ルの先端に設けたウエストスプールの係止部に係止させ
る係止手段と、糸追い込み機構を駆動して上記係止され
た端糸の上手側をスピンドルの後端側に追い込んで、こ
の上手側をボビンに巻付ける第1の巻付け手段と、上記
駆動機構を制御して上記保持機構をスピンドルから離間
する方向へ移動させることにより、ボビンに巻付けた糸
の一部を端糸とともにボビンから引き出す引出し手段
と、引き出した糸の上記一部をその途中で切断する切断
機構と、その切断個所の上手側を把持する把持機構と、
この把持機構を上記ウエストスプールの径方向外側に対
向する位置に移動させることにより、把持された部分の
上手側をウエストスプールに巻付ける第2の巻付け手段
とを備えたものである。
[作用] この発明に係る糸掛方法によれば、1つのボビンへの
巻取りが終了した時点で、その糸の終端を切断するとと
もに、その切断個所の上手側の端糸を後続する巻取りの
始端として保持させ、次に、この保持した端糸を回転し
ているスピンドルの先端のウエストスプールに係止させ
ることにより、上記端糸の上手側をボビンに巻付けるこ
こまでの工程は従来と同一であるため、既述したよう
に、端糸部分にバラケや部分的な糸切れ、傷つきなどの
欠陥が発生している。
そこで、次にボビンに巻付けた糸の一部を、上記のご
とき欠陥部を有する端糸とともにスピンドルの軸方向外
方へ引き出し、その引き出した糸の上記一部の途中を切
断することにより、上述の糸掛け時に生じた欠陥部を取
り除くことがでる。
つづいて、上記切断個所の上手側の糸を把持し、その
把持した部分を上記ウエストスプールの径方向外側に対
向する位置まで移動させることにより、把持個所よりも
上手側の糸部分をウエストスプールに巻付けて、欠陥部
を取り除いた後の端糸のバラケを防ぐとともに、巻取り
後のテール処理に必要な長さをもつ巻始め端糸を確保す
る。
また、請求項2に記載されたこの発明に係る糸掛装置
によれば、糸の巻取りが終了したボビンをスピンドルか
ら抜き取って、そのスピンドルに空ボビンを装着する玉
揚作業(ボビン交換)を自動的に行ったのち、上記した
ように、欠陥部を取り除く糸仕舞を含む糸掛操作を自動
的に行なえるといったように、糸掛に関連する一連の動
作を全自動的に、かつ連続的に実行することができる。
[実施例] 以下、この発明の一実施例を図面にもとづいて説明す
る。なお、この実施例において、第16図ないし第18図で
示す従来例と同一の構成には、同一の符号を付して説明
する。
第14図および第15図は自動的玉揚機の全体を示す概略
正面図および概略右側面図であり、これは大別して、第
15図に示す巻取装置10と玉揚機本体11とからなる。
巻取装置10は、衝立フレーム12から玉揚機本体11側に
突出させて水平軸芯周りで駆動回転されるスピンドル1
が縦横に多段多数列に配置されている。上記スピンドル
1の外周には紙管からなるボビン2が一体回転状態に装
着されており、糸3は上方からダンサー部13、トラバー
サ8(第16図)および図示していないコンタクトローラ
を経て、上記ボビン2に巻取られる。この巻取装置10は
従来より周知であるから、詳細な説明は省略する。
玉揚機本体11は、レール14上に転輪15を介して走行可能
に載置された台車16上に設置されている。この玉揚機本
体11は、第1図に示すように、配電盤17と、空ボビンマ
ガジン18と、この空ボビンマガジン18からプッシャ19を
介して1つずつ押出される空ボビン2Aを上記巻取装置10
側のスピンドル1に装着する空ボビンローダ20と、糸3
の巻取りが終了した満管ボビン2Bを上記スピンドル1か
ら抜き取る満管ボビンアンローダ21と、この発明の主要
部となるヤーン(糸)ハンドリングユニット22とからな
る。
上記空ボビンローダ20は、上記プッシャ19により押出
される空ボビン2Aを受け取る半割筒状のボビンホルダー
23(第15図)を有している。このボビンホルダー23は、
シリンダ24により駆動されて水平軸25の周りに揺動する
可動枠26により、第14図の実線で示すように、押出され
てくる空ボビン2Aを受け取る直立した第1姿勢と、受け
取った空ボビン2Aの軸心が上記巻取装置10側のスピンド
ル1の軸心延長線上に位置する第2姿勢とに切替自在に
構成されている。また、ボビンホルダー23は、上記可動
枠26に取付けられた第15図のシリンダ27およびスライド
ガイド28により、上記巻取装置10に対して出退移動自在
に構成されており、上記の第2姿勢において巻取装置10
側に突出移動させることにより、受け取った空ボビン2A
をスピンドル1に挿入し装着するようになされている。
上記満管ボビンアンローダ21は、巻取りが終了してス
ピンドル1に装着されたままにある満管ボビン2Bの端部
を挟持する開閉自在なボビンチャック29を有している。
このボビンチャック29は、シリンダ30を介して巻取装置
10に対して出退移動自在に構成されているとともに、別
のシリンダ31を介して水平軸32の周りに90度回転自在に
構成されている。また、上記各構成部品を含むアンロー
ダブロック35の全体が、昇降シリンダ33および昇降ガイ
ド34を介して昇降自在に構成されている。
このような満管ボビンアンローダ21によれば、第14図
に示す位置および姿勢からアンローダブロック35の全体
を、ボビンチャック29がスピンドル1の軸心延長線上に
合致するまで下降させるとともに、ボビンチャック29を
巻取装置10側に進出させて閉動させることにより、満管
ボビン2Bの端部を挟持させる。続いて、ボビンチャック
29を玉揚機本体11側に後退させることにより、満管ボビ
ン2Bをスピンドル1から抜き取る。この満管ボビン2Bの
抜き取り後は、第14図に示す位置まで上昇したのち、水
平軸30の周りで90度回転されて、挟持した満管ボビン2B
を上下方向の姿勢に変換し、つづいて、ブロック35全体
を下降させて満管ボビン2Bを搬送装置(図示せず)上に
載置させる。
以上の満管ボビンアンローダ21と上記空ボビンローダ
20とにより、玉揚機構が構成されている。
上記ヤーンハンドリングユニット22は、第1図五の要
部を拡大した第1図およびその平面図である第2図に示
すように構成されている。
第1図のユニットフレーム36は、シリンダ37およびガ
イド38を介して昇降自在に、また、エアーシリンダ40お
よびガイド41を介して巻取装置10に対して進退移動自在
に構成されている。このユニットフレーム36の下部に
は、巻取りが終了した糸3の終端を切断する切断機構と
して、電磁ソレノイド39を介して開閉動作されるはさみ
42と、巻取りが終了した糸3の終端部分を上記はさみ42
側に引き寄せるようにシリンダ43を介して出退移動する
ヤーンキャッチャー44とが装着されている。
上記ユニットフレーム36の上部には、上記はさみ42に
よる切断個所Cの上手側の端糸3Aを後続する巻取りの始
端として保持する保持機構として、エアーパイプ45を介
し送給されてくる圧縮エアーをノズル46に吸込むことに
ともなうエジェクタ効果により、上記端糸3Aを先端開口
部4aに吸引し保持させることが可能なエアーサッカー4
が設けられている。このエアーサッカー4は、シリンダ
47を介してレール48に沿って第2図に示す矢印a−a1方
向に、つまり、スピンドル1に近づく方向とスピンドル
1から離間する方向とに往復移動自在に構成されている
とともに、このエアーサッカー4の移動を案内するガイ
ドパイプ49が、上記ユニットフレーム36に固定されてい
る。
また、ユニットフレーム36には第1図に示すブラケッ
ト50が立設されており、このブラケット50の上端部に、
上記端糸3Aの上手側をスピンドル1の後端側に追い込む
糸追い込み機構として、エアーシリンダ51を介して第1
図の矢印f−f1方向に往復移動自在なヤーンプッシャ7
が設けられている。上記ブラケット50の後側面には、切
断機構として、電磁ソレノイド52を介して開閉動作され
るはさみ9が装着されており、このはさみ9によって、
上記エアーサッカー4の矢印a1方向への移動により上記
端糸3Aとともにボビン2から引き出された糸の一部をそ
の途中で切断するようになっている。
さらに、上記ユニットフレーム36の前端寄り個所に
は、上記エアーサッカー4の移動を案内する固定のガイ
ドパイプ49の先端開口部49aを開閉する蓋板53が設けら
れている。この蓋板53はエアーシリンダ54を介して昇降
自在に、かつ、別のシリンダ55を介して前後に移動自在
に構成されており、上記はさみ9による切断個所の上手
側の端子3Aを把持する把持機構58を構成している。
なお、第1図および第2図中の56は、スピンドル1の
回転速度を検出する速度センサで、エアーシリンダ57を
介して第1図の矢印b−b1方向に出退移動自在に構成さ
れている。この速度センサ56は、スピンドル1の先端に
ねじ止め固定された截頭円錐筒形状のウエストスプール
5の糸係止用切欠き溝6を光学的に検出することによ
り、スピンドル1の回転速度データを得るもので、スピ
ンドル1が所定の回転速度になったとき、ヤーンハンド
リングユニット22の全体を巻取装置10側に移動させて糸
掛け動作を行なわせる。
第3図は上記したヤーンハンドリングユニット22の主
要部を解り易いように取り出して示した概略斜視図であ
る。また、このヤーンハンドリングユニット22による糸
掛け動作は、予め設定されたプログラムに従ってコンピ
ュータ制御されるものである。つまり、第3図におい
て、コンピュータを用いたコントローラ61が、糸掛け動
作のための係止手段、第1および第2の巻付手段、引出
し手段、糸切断手段および把持手段を内蔵している。こ
れら各手段による糸掛け動作については後に詳しく説明
するが、その概略を述べると、つぎのようである。
すなわち、上記係止手段は、図示しない制御弁を介し
て上記シリンダ47を制御して、エアーサッカー4を矢印
aで示すスピンドル1側に移動させることにより、この
エアーサッカー4に保持された端糸3Aをスピンドル1の
ウエストスプール5の切欠き溝6に係止させる。また、
上記第1の巻付け手段は、図示しない制御弁を介してエ
アーシリンダ51を制御してヤーンプッシャ7を矢印f方
向に進出させることにより、上記切欠き溝6に係止され
た端糸3Aの上手側をスピンドル1の後端側に追い込ん
で、この上手側をボビン2に巻付ける。上記引出し手段
は、やはり図示しない制御弁を介して上記シリンダ47を
制御して、エアーサッカー4を矢印a1で示すスピンドル
1から離間する方向に移動させることにより、ボビン2
に巻付いた糸の一部を端糸3Aとともにボビン2から引き
出す。上記糸切断手段は、電磁ソレノイド52を制御して
引き出された糸の上記一部の途中をはさみ9で切断し、
上記把持手段が、図示しない制御弁を介してシリンダ5
4、55を制御して、切断個所の上手側を蓋板53とガイド
パイプ49の先端開口部49aとで把持させる。さらに上記
第2の巻付け手段は、図示しない制御弁を介してシリン
ダ37および40を制御して、上記把持機構58をユニットフ
レーム36と一緒に上昇させ、かつ上記ウエストスプール
5の径方向外側に対向する位置まで移動させることによ
り、把持された部分の下手側の糸部分をウエストスプー
ル5に巻付ける第2の巻付け手段などを有するコントロ
ーラ(図示を省略)が備えられている。
次に、上記のように構成された自動玉揚機の動作のう
ち、ヤーンハンドリングユニット22による糸掛け動作を
要部の概略図に従って時系列的に詳しく説明する。
(1)第1図のエアーサッカー4およびヤーンキャッチ
ャー44が、実線で示した待機位置から上昇し前進すると
同時に、図示していないクレードルが開かれ、第4図に
示す巻取りの終了したチーズ3Dがコンタクトローラ(図
示せず)から離間される。
(2)巻取りが終了した糸3がヤーンキャッチャー44で
引き寄せられて、第4図の×印で示す個所Cがはさみ42
で切断されるとともに、その切断個所の上手側の端糸3A
が次の巻取りの始端としてエアーサッカー4に吸引され
保持される。
(3)スピンドル1およびボビン2、つまり、チーズ3D
の回転を停止させて、既述の満管ボビンアンローダ21
(第14図、第15図)により満管ボビン2Bをスピンドル1
から抜き取り、つづいて、既述の空ボビンローダ20によ
り空ボビン2Aを上記スピンドル1に挿入し装着する。
(4)上記クレードルが閉じられ、スピンドル1および
空ボビン2Aの回転が開始されると同時に、端糸3Aを吸引
保持したエアーサッカー4が第5図のように、上記スピ
ンドルのウエストスプール5の前方に移動させられて待
機する。
(5)上記スピンドル1および空ボビン2Aの回転速度が
速度センサ56(第1図、第2図)により検出されてお
り、所定の回転速度になった時点で、上記エアーサッカ
ー4が矢印a方向に前進移動され、その先端がウエスト
スプール5の中空部内に進入することにより、第6図に
示すように、上記端糸3Aがウエストスプール5の切欠き
溝6に導入されて係止される。同時に、ヤーンプッシャ
7により、上記切欠き溝6に係止された端糸3Aよりも上
手側が空ボビン2Aの後端側(右側)fへ追い込まれ、ト
ラバーサ8により空ボビン2Aに巻付けられる。
(6)空ボビン2Aのほぼ全長にわたって1層程度の巻付
けが進行した時点で、上記エアーサッカー4が矢印a1方
向に進退移動されて、第7図で示すように、空ボビン2A
に巻付けられた糸の一部3Bがバルーニングしながら解除
され、上記端糸3Aとともにスピンドル1の軸方向外方a1
へ引き出される。
(7)エアーサッカー4の先端開口部4aを蓋板53で閉塞
して引き出した糸の一部3Bの途中をガイドパイプ49の先
端開口部49aと蓋53とによる把持機構58を介して把する
ことにより、引き出し糸部分3Bがスピンドル1側へとり
込まれないようにしたのち、エアーサッカー4のみを第
8図のように、矢印a1方向に後退移動させて、上記把持
個所よりも端糸3A側寄りの個所Dをはさみ9により切断
する。この切断個所よりも上手側の糸部分3B1はガイド
パイプ49の先端開口部49aと蓋53とにより把持されたま
まである。こうして、切断個所Dよりも下手の端糸3Aは
捨てられるので、この端糸3Aに上記切欠き溝6への係止
の際にバラケや損傷が生じていても、問題はない。
(8)ヤーンハンドリングユニット22全体を第9図のよ
うにやや上昇させ、かつ、ウエストスプール5の径方向
外側に対向する位置まで前進移動させることにより、上
記把持機構58により把持された糸部分3B1をウエストス
プール5の外周に巻付ける。このように上記巻取り始端
の糸部分3B1は切欠き溝6に係止されるのではなく、ウ
エストスプール5の外周に巻付けられるので、この糸部
分3B1にバラケを生じさせないですむ。また、上記糸部
分3B1は、ウエストスプール5の外周に巻付けられて保
持されているから、ボビン2側に不測に巻き込まれるこ
とはないので、テール処理に必要な長さの始端糸を確保
することができる。
以上の各動作により、糸仕舞いのよい糸掛け動作を終
了し、その後はスピンドル1およびボビン2の回転とト
ラバーサ8の往復移動によりボビン2の外周に予め設定
された層数に亘る糸の巻付けが行なわれて第10図に示す
ようなチーズ3Dが得られる。
なお、上記満管ボビンアンローダ21によりスピンドル
1から矢印P方向に抜き取られたチーズ3Dにおける始端
糸部分3B1の長さは約200mm位であって、その始端糸部分
3B1は、上記抜き取りに伴なって、第11図のように、満
管ボビン2Bの中空部内に収容されることになる。
また、上記の糸掛け動作タイミングに、速度センサ56
によって得られる速度データを用いることにより、スピ
ンドル1の回転の立上り速度にむらがあっても、上述し
た糸掛けを確実に行なわせることが可能である。
また、第12図に示すように、スピンドル1の先端に固
定されたウエストスプール5の外周面の一部に、テープ
の小片59を貼付けておくことにより、このウエストスプ
ール5の外周に巻付けられる糸部分3B1の保持力を高め
て、回転遠心力による不測の解けを防止できる。特に、
上記テープ小片59として、第13図に示すように、貼着テ
ープ基材59Aの表面にデニールの大きなループ状の糸59B
を毛羽立てたものを使用するときは、巻付け糸部分3B1
の保持力を一層強めることができる。
さらに、上記テープの小片59に代えて、ウエストスプ
ール5の外周に水などを振りかけて巻付け糸部分3B1に
保持力をもたせても良い。
[発明の効果] 以上のように、この発明に係る糸掛方法によれば、巻
取りが終了した糸終端の切断個所の上手側の端糸を次の
巻取りの始端として保持し、この保持した端糸をウエス
トスプールの係止部に係止させて、その上手側をボビン
に巻付けたのち、その巻付けた糸の一部を上記端糸とと
もにスピンドルの軸方向外方へ引き出した上で、引き出
した糸の一部の途中を切断することにより上記ウエスト
スプールの係止部への係止時に生じた欠陥部、つまり、
マルチフィラメントの場合のフィラメントのバラケ、部
分的な糸切れやもつれ、シングルフィラメントの場合の
傷などの欠陥部を取り除いて、正常な糸のみをボビンに
巻取ることができる。
また、上記欠陥部を取り除いたあとの端糸部分をウエ
ストスプールの外周に巻付けることにより、その端糸部
分の振り回しによるバラケを防ぐとともに、ボビンに巻
取られる糸の中への巻き込みをなくして、巻取ったチー
ズを使用する際のテール処理等に必要な長さの巻始めの
端糸を確保することができる。
また、この発明に係る糸掛装置によれば、上述のよう
に、糸掛け時に生じる欠陥部を取り除く糸仕舞およびそ
の後の糸掛けを含む糸の巻取りだけでなく、巻取り終了
後のボビン交換(玉揚作業)といった一連の動作を全自
動的にかつ、連続的に実行することが可能で、糸掛作業
の能率向上、省力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図はこの発明の一実施例に係る糸掛装
置の主要部であるヤーンハンドリングユニットの側面図
および平面図、第3図は第1図および第2図に示したヤ
ーンハンドリングユニットの要部の概略斜視図、第4図
乃至第9図はこの発明に係る糸掛方法のうちの糸掛け動
作を時系列的に説明する要部の概略側面図、第10図は巻
取り終了後のチーズを示す概略縦断側面図、第11図は巻
取り終了後の始端部分の状況を示す概略縦断側面図、第
12図はこの発明の他の実施例を示す要部の側面図、第13
図は第12図の要部の拡大縦断面図、第14図および第15図
は自動玉揚機の全体を示す概略正面図および概略右側面
図、第16図は従来の糸掛装置の要部の概略斜視図、第17
図および第18図は従来の糸掛け動作を説明する要部の概
略側面図である。 1……スピンドル、2,2A,2B……ボビン、3……糸、3A
……端糸、3B……引き出される糸の一部、4……エアー
サッカー(保持機構)、5……ウエストスプール、6…
…切欠き溝(係止部)、7……ヤーンプッシャ(糸追い
込み機構)、9,42……ハサミ(切断機構)、47……シリ
ンダ(駆動機構)、58……把持機構。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 裕人 茨城県鹿島郡神栖町東和田36番地 株式 会社クラレ内 (72)発明者 太田 時男 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転するスピンドルの外周に装着されたボ
    ビンに糸を巻取り、巻取りが終了したボビンを空ボビン
    と交換して、該空ボビンに自動的に糸掛を行なう方法で
    あって、 巻取りが終了した糸の終端を切断する工程と、 切断個所の上手側の端糸を後続する巻取りの始端として
    保持する工程と、 保持した端糸を空ボビンが装着されて回転しているスピ
    ンドルの先端に設けたウエストスプールの係止部に係止
    させることにより、端糸の上手側をボビンに巻付ける工
    程と、 巻付けた糸の一部を端糸とともにスピンドルの軸方向外
    方へ引き出す工程と、 引き出した糸の上記一部の途中を切断するとともに、そ
    の切断個所の上手側の糸を把持する工程と、 把持した部分を上記ウエストスプールの径方向外側に対
    向する位置に移動させることにより、そのウエストスプ
    ールに巻付ける工程とを備えた糸掛方法。
  2. 【請求項2】糸の巻取りが終了したボビンをスピンドル
    から抜き取って、このスピンドルに空ボビンを装着する
    玉揚機構と、 巻取りが終了した糸の終端を切断する切断機構と、 その切断個所の上手側の端糸を後続する巻取りの始端と
    して保持する保持機構と、 この保持機構を移動させる駆動機構と、 この駆動機構を制御して上記保持機構をスピンドル側へ
    移動させることにより、上記保持された端糸を空ボビン
    が装着されて回転しているスピンドルの先端に設けたウ
    エストスプールの係止部に係止させる係止手段と、 糸追い込み機構を駆動して上記係止された端糸の上手側
    をスピンドルの後端側に追い込んで、この上手側をボビ
    ンに巻付ける第1の巻付け手段と、 上記駆動機構を制御して上記保持機構をスピンドルから
    離間する方向へ移動させることにより、ボビンに巻付け
    た糸の一部を端糸とともにボビンから引き出す引出し手
    段と、 引き出した糸の上記一部をその途中で切断する切断機構
    と、 その切断個所の上手側を把持する把持機構と、 この把持機構を上記ウエストスプールの径方向外側に対
    向する位置に移動させることにより、把持された部分の
    下手側をウエストスプールに巻付ける第2の巻付け手段
    とを備えてなる糸掛装置。
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