JP2508946B2 - 生体内等価電流双極子定位装置 - Google Patents
生体内等価電流双極子定位装置Info
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Description
位装置に係わり、特に生体の神経活動を電流双極子に置
換し、この置換によって体表面上に投影される電位分布
から逆に電流双極子の発生源に関する情報、及び推定さ
れた電流双極子の信頼領域や信頼限界に関する情報を得
るようにした等価電流双極子定位装置に関する。
面上に現れる電位を測定する装置としては、脳波計、筋
電計、誘発電位加算装置等が使用されている。近年、生
体の神経活動に伴って体表面上に発生する電位を計測
し、生体内の活動部位を推定する等価双極子定位法が提
案されている。この方法は、例えば、脳の各活動部位の
細胞が刺激されると超電力が発生して、頭皮上に電位分
布を生ずる。このような電位分布から各部位を電気的な
双極子で対応させ、この双極子の位置とベクトル成分を
上述の電位分布から演算して活動している脳細胞の位置
を推定することにより脳の活動状態を数値化するように
したものである。具体的な演算方法としては、生体の体
表面上に装着した複数の電極により、生体の神経活動に
基づいて各電極に生じる電位を同時に測定し、次にある
性質を有する媒質とした生体内の所定位置に電流双極子
を仮定し、この電流双極子によって作られる各電極位置
の電位を計算により求め、更に、各電極毎に得られた実
測値と計算値との間の二乗誤差を求め、この二乗誤差が
最小となる電流双極子の位置とベクトル成分を求めて等
価電流双極子とするものが提案されている。
等価電流双極子定位法とよると、最小とすべき誤差関数
は、電極毎に得られる電位の実測値と計算値の間の最小
二乗誤差関数である。しかしながら、このような誤差関
数は、背景ノイズが各電極間において無相関である場合
にのみ有効である。
くほど少ないが、大脳皮質内においてはその性質が知ら
れており、頭皮上に計測される信号についても同様の性
質を有するであろう。例えば、「Advances i
n Biomagnetism(edited by
S.J.Williamson et al.,Ple
num Press,New York,1989)」
に「Random dipoles as a mod
el for spontaneous EEG−an
d MEG−activity」と題して掲載された
J.C.De Munck,P.C.M.Vijn,
H.Spekreijseの研究によれば、背景脳波の
空間的な性質はその分散と電極間距離の線形関係によっ
て記述出来ることが示されている。こうした空間的な相
関関係を利用すれば、上述の誤差関数としてより良いも
のが選べるであろうし、フィルタリングによりこの空間
的な相関関係を取り除いた後ならば、従来の最小二乗誤
差関数を利用出来るであろう。
れたものであり、本発明の主目的は、等価電流双極子定
位法で利用される誤差関数として、背景脳波の空間的な
性質に基づいた新しい誤差関数を与え、等価電流双極子
の位置及びベクトル成分を高精度に求められる生体内等
価電流双極子定位装置を提供することにある。
数に基づいて、推定された等価電流双極子のパラメータ
の信頼領域及び信頼限界を与え、主に、等価電流双極子
の数を決定するための方法の1つとして提供することに
ある。
す様に、生体(1)に装着された複数の電極(2)の電
位を同時に測定する電位測定手段(7)と、媒質として
の性質を有する生体内の任意の位置に電流双極子を仮定
し、該電流双極子によって作られる上記複数の電極にそ
れぞれ対応する電位を演算する演算部(6b)の双極子
モデル演算手段と、上記電位測定手段(7)の実測値か
ら、各電極の電位の空間的相関関数を演算する演算部
(6b)の相関関数演算手段と、上記演算部(6b)の
相関関数演算手段の計算値に基づいて、上記電位測定手
段(7)の実測値と、上記演算部(6b)の双極子モデ
ル演算手段の計算値の間の誤差を演算する演算部(6
b)の最尤推定誤差演算手段と、上記演算部(6b)の
最尤推定誤差演算手段から得た誤差値を最小にする電流
双極子の位置、ベクトル成分、及びその強さを求めて等
価電流双極子とする演算部(6b)の等価電流双極子設
定手段とを備えている。
複数の電極(2)の電位を同時に測定する電位測定手段
(7)と、媒質としての性質を有する生体内の任意の位
置に電流双極子を仮定し、該電流双極子によって作られ
る上記複数の電極にそれぞれ対応する電位を演算する演
算部(6b)の双極子モデル演算手段と、上記電位測定
手段(7)の実測値から、各電極の電位の空間的相関関
数を演算する演算部(6b)の相関関数演算手段と、上
記演算部(6b)の相関関数演算手段の計算値に基づい
て、上記電位測定手段(7)の実測値と、上記演算部
(6b)の双極子モデル演算手段の計算値の間の誤差を
演算する演算部(6b)の最尤推定誤差演算手段と、上
記演算部(6b)の最尤推定誤差演算手段から得た誤差
値を最小にする電流双極子の位置、ベクトル成分、及び
その強さを求めて等価電流双極子とする演算部(6b)
の等価電流双極子設定手段と、上記演算部(6b)の等
価電流双極子設定手段で得られた等価電流双極子の信頼
領域を演算する演算部(6b)の信頼領域演算手段とを
備えている。
複数の電極(2)の電位を同時に測定する電位測定手段
(7)と、媒質としての性質を有する生体内の任意の位
置に電流双極子を仮定し、該電流双極子によって作られ
た上記複数の電極にそれぞれ対応する電位を演算する演
算部(6b)の双極子モデル演算手段と、上記電位測定
手段(7)の実測値から、各電極の電位の空間的相関関
数を演算する演算部(6b)の相関関数演算手段と、上
記演算部(6b)の相関関数演算手段の計算値に基づい
て、上記電位測定手段(7)の実測値と、上記演算部
(6b)の双極子モデル演算手段の計算値の間の誤差を
演算する演算部(6b)の最尤推定誤差演算手段と、上
記演算部(6b)の最尤推定誤差演算手段から得た誤差
値を最小にする電流双極子の位置、ベクトル成分、及び
その強さを求めて等価電流双極子とする演算部(6b)
の等価電流双極子設定手段と、上記演算部(6b)の等
価電流双極子設定手段で得られた等価電流双極子の信頼
限界を演算する演算部(6b)の信頼限界演算手段とを
備えている。
る。図1は、生体(1)の頭部内の脳とした、本発明の
生体内等価電流双極子定位装置の一実施例の系統図であ
る。
例えば、頭部に、例えば30個前後の電極群(2)を装
着して脳内神経活動に基づく電位を電位測定手段(7)
で測定する。電極群(2)からの測定電位は増幅器
(3)及びマルクプレクサ(4)を介してアナログ−デ
ジタル変換器(A/D)(5)に供給され、デジタル化
された測定電位は入力ポート(11)を介してコンピュ
ータ(6)に供給される。コンピュータ(6)内には制
御部(6a)と演算部(6b)を有し、アドレスバス
(8a)及びデータバス(8b)はROM(9)、RA
M(10)、入力ポート(11)、出力ポート(12)
に接続されている。上記ROM(9)及びRAM(1
0)には信号処理に必要なプログラムを記憶すると共
に、電位測定手段(7)からのデータを記憶する記憶手
段である。コンピユータ(6)の演算部(6b)には演
算手段と等価電流双極子設定手段とを有する。入力ポー
ト(11)には等価電流双極子を求めるプログラム等が
格納された外部記憶装置(13)が接続され、出力ポー
ト(12)にはコンピュータ(6)の演算結果を表示す
るCRT等の表示手段(14)と表示手段(14)に表
示されたデータや波形を記憶するプリンタ(15)が接
続されている。
フローチャートにより説明する。
ン”して本例の生体内等価電流双極子定位装置を第1ス
テップSTIに示す様に初期状態に設定する。
に生体(1)である頭部に30個前後の電極群(2)を
設置し、脳内神経活動に基づく電位測定が行われる。こ
の様に測定された神経活動の電位は電気刺激、光刺激、
音刺激等の種々の刺激に対する誘発電位、或いは刺激を
加えない状態での神経活動の電位であってもよく、測定
値は増幅器(3)→マルチプレクサ(4)→A/D
(5)を介して入力ポート(11)からコンピュータ
(6)にデジタルデータとして供給され、RAM(1
0)上に格納される。
に格納された電位測定値から、誘発電位データRと背景
脳波データηが抽出される。例えば、視覚誘発電位を測
定する場合には、視覚刺激提示装置によって生成される
トリガ信号毎に、一定時間のサンプルがスウィーブとし
て各電極について収集される。これらのデータから、誘
発電位データは各スウィーブを加算平均化することによ
り、背景脳波データはそのままのデータを採用すること
により求められる。ここで、電極数I、個々のスウィー
ブの時間サンプル数をJとすれば、誘発電位データはI
×Jの行列r ri j (i=1,…,I; j=1,…,J) として求められる。また、背景脳波データは、偶数番目
のスウィープを足し合わせ、それから奇数番目のスウィ
ープを差し引くことによって得られるデータを採用して
もよい。或いは、視覚刺激の性質により、測定された電
位にディジタル・フィルタ(低域通過フィルタ、高域通
過フィルタ、帯域通過フィルタ等)をかけたものを、背
景脳波データとして採用してもよい。
T3で得られた背景脳波データについて、すべての電極
間の空間的相関関数が計算される。上記の空間的相関関
数は、例えば、(1)式に従って計算することが出来
る。
動電位の発生源を電流双極子と仮定した時の電流双極子
により頭皮上に発生する電位r ̄が計算される。この電
位r ̄は、例えば、(4)式で表すことが出来る。
する時間経過、 φl (pl ):1番目の電位源によって生じる電極iに
おける電位で、電位源のパラメータpl を有する。この
関数は、例えば、
dial成分を指し、λ=2,3は共に電位源のtan
gential成分を指す。また、φi ,λ(ql )は
電位源、媒質の性質、及び電位の間の関係を特定し、電
位源の位置パラメータql を有する。
プST3で得られた誘発電位データと第5ステップST
5で求められた誘発電位の計算値の間の誤差関数が計算
される。この誤差算数は(6)式で定義されるが、この
式を利用する理由を以下に述べる。
ータをri j 、第5ステップST5で求められた誘発電
位の計算値をri j とすれば、両者の関係を(6,1)
式で与えることが出来る。
最小にする双極子モデル・パラメータpは、パラメータ
の分散値が最小になるという意味で、最適なパラメータ
である。これがいわゆるガウス・マルコフの定理であ
る。
すれば、背景脳波の共分散行列Q
i ,j , i ' , j ' は、実際の脳波データを使って、j
≠j’,i≠i’ならぱクロス相関関数、j≠j’,i
=i’ならば自己相関関数、j=j’,i≠i’ならば
空間的相関関数、J=j’,i=i’ならば恒等的にl
とすることにより、推定可能である。以下では、背景脳
波の共分散が空間的相関関数のみによって与えられる場
合について述べる。この時、行列Qは1次の正方対称行
列になり。固有値分解 Q=VA2 VT (6.4) が可能である。但し、Vは直交行列、Λは
1,…,I)は行列Qの固有値である。こうして、
(6,3)式の誤差関数は(6)式のようになる。即
ち、 H(P)=Tr[(CR−CR ̄(P))T (CR−CR ̄(P))] (6) 但し、[R]i J =ri j 、 [R ̄]i j =r ̄i j 、 C=Λ- 1 VT 、 である。尚、行列Cは第4ステップST4((3)式)
で求められる。
プST6の(6)式で与えられる誤差関数を最小とする
ような電流双極子の位置とベクトル成分を求め(いわゆ
る逆問題)、誤差関数の値が基準値以下であるか否かの
判断がコンピュータ(6)で成される。
り、ψi (pl )は(5)式で与えられる)と置けば、
「Electroencephalography c
linical and Neurophysiolo
gy,第77巻、156−160頁、1990年」に
「The estimation of time v
arying dipoles on the bas
is of evokedpotentials」と題
して掲載されたJ.C.De Munck’の逆問題ア
ルゴリズムと全く等価な問題が導かれる。J.C.De
Munckが提案した逆問題アルゴリズムでは、双極
子モデルに含まれる2種類の線形パラメータ(電位源の
振幅を表す時間関数と双極子の方向)と1種類の非線形
のパラメータ(双極子の位置)を分割して扱うことによ
り、3つのステップから構成されている。更に、1番目
のステップでは時間関数の最適化、2番目のステップで
は方向パラメータの最適化、3番目のステップでは位置
パラメータの最適化がこの順番で行われる。
はMarguardtの方法によって電流双極子の位置
を第8ステップST8に示すように移動させ、第5ステ
ップST5に戻して誤差関数の値が収束するまでこの動
作を繰り返す。尚、上述のMarguardtの方法は
非線形最適化手法の1つであり、反復計算を行うことに
よって近似解を求めるものである。この反復計算の際
に、変数を上記誤差関数が小さくなる方向へ移動させる
必要があるが、この時どの方向へどの程度移動させるか
アルゴリズムとしては、例えば、Interpolat
ion Extrapolation methodを
利用することが出来る。尚、Marguardtの方法
及びInterpolation−Extrapola
tionmethodは、例えば、Y.Bardによっ
て1974年に著された「Nonlinear Par
ameter Estimation(ACADEMI
CPRESS.INC.)」に記載されている。
状態になり基準値以下になったら、第9ステップST9
のように、推定された電流双極子パラメータの信頼領域
が計算される。特に、非線形パラメータg* に対する信
頼領域は(8)式で与えられるN×L次元の楕円体Gp
によって表される。
即ち、 P{x2 N L ≦r2 }=p(%) N:1つの電流双極子に含まれる非線形パラメータの
数、 である。尚、(8)式は、p%の確率で真の非線形パラ
メータが(8)式で与えられる楕円体の内部に存在する
ことを意味する。
固有値分解を
列Bの固有値と固有ベクトルである。
定された電流双極子の数が2つ以上の場合、第9ステッ
プST9で計算された信頼領域及び信頼限界の値に基づ
いて、電流双極子間に重なりがあるかどうかを判断す
る。電流双極子間に重なりがある場合には第11ステッ
プST11に進み、双極子の数を変更して、第5ステッ
プST5に戻し、双極子間に重なりが無くなるまでの動
作を繰り返す。
なったら、第12ステップST12のように等価電流双
極子の位置をベクトル成分をRAM(10)等のメモリ
に記憶させる。更に、第13ステップST13では、第
12ステップST12で記憶された電流双極子の位置と
ベクトル成分を読み出して表示手段(14)とプリンタ
(15)上に表示される。
3〜第13ステップST13はコンピュータ(6)の制
御部(6a)と演算部(6b)ですべて実行される。
内の電流双極子の位置を精度良く特定することが可能と
なる。また、体表面電位の発生源と考えられている生体
内の異常部位(例えば、てんかん発生部位)のみなら
ず、正常機能状態の下で外界からの刺激(光、図形、
音、電気)によって特に興奮する部位などに関する情報
を数値化することによって、例えば、脳内における情報
処理過程の解明に役立てることが出来る。
電流双極子について個々に信頼領域や信頼限界を求める
ことが出来る。もし、2つの電流双極子が仮定され、そ
れらの信頼領域や信頼限界が重なり合うのであれば、電
流双極子の数は1つであると考えるべきであろう。この
ようにして、本発明は、等価電流双極子定位法で度々問
題となる電流双極子の数を調べるための効果的な手段を
提供することが可能である。
す系統図。
Claims (3)
- 【請求項1】 生体に装着された複数の電極の電位を同
時に測定する電位測定手段と、媒質としての性質を有す
る生体内の任意の位置に電流双極子を仮定し、該電流双
極子によって作られる上記複数の電極にそれぞれ対応す
る電位を演算する双極子モデル演算手段と、上記電位測
定手段の実測値から、各電極の電位の空間的相関関数を
演算する相関関数演算手段と、上記相関関数演算手段の
計算値に基づいて、上記電位測定手段の実測値と、上記
双極子モデル演算手段の計算値の間の誤差を演算する最
尤推定誤差演算手段と、上記最尤推定誤差演算手段から
得た誤差値を最小にする電流双極子の位置、ベクトル成
分、及びその強さを求めて等価電流双極子とする等価電
流双極子設定手段とを有することを特徴とする生体内等
価電流双極子定位装置。 - 【請求項2】 生体に装着された複数の電極の電位を同
時に測定する電位測定手段と、媒質としての性質を有す
る生体内の任意の位置に電流双極子を仮定し、該電流双
極子によって作られた上記複数の電極にそれぞれ対応す
る電位を演算する双極子モデル演算手段と、上記電位測
定手段の実測値から、各電極の電位の空間的相関関数を
演算する相関関数演算手段と、上記相関関数演算手段の
計算値に基づいて、上記電位測定手段の実測値と、上記
双極子モデル演算手段の計算値の間の誤差を演算する最
尤推定誤差演算手段と、上記最尤推定誤差演算手段から
得た誤差値を最小にする電流双極子の位置、ベクトル成
分、及びその強さを求めて等価電流双極子とする等価電
流双極子設定手段と、上記等価電流双極子設定手段で得
られて等価電流双極子の信頼領域を演算する信頼領域演
算手段を有することを特徴とする生体内等価電流双極子
定位装置。 - 【請求項3】 生体に装着された複数の電極の電位を同
時に測定する電位測定手段と、媒質としての性質を有す
る生体内の任意の位置に電流双極子を仮定し、該電流双
極子によって作られる上記複数の電極にそれぞれ対応す
る電位を演算する双極子モデル演算手段と、上記電位測
定手段の実測値から、各電極の電位の空間的相関関数を
演算する相関関数演算手段と、上記相関関数演算手段の
計算値に基づいて、上記電位測定手段の実測値と、上記
双極子モデル演算手段の計算値の間の誤差を演算する最
尤推定誤差演算手段と、上記最尤推定誤差演算手段から
得た誤差値を最小にする電流双極子の位置、ベクトル成
分、及びその強さを求めて等価電流双極子とする等価電
流双極子設定手段と、上記等価電流双極子設定手段で得
られた等価電流双極子の信頼限界を演算する信頼限界演
算手段を有することを特徴とする生体内等価電流双極子
定位装置。
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