JP2508099B2 - 風力発電装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は風力発電装置に係り、特に強い風圧差を避け
るべくティータピンを支点に傾動自在に設けられたブレ
ードが風圧差により傾動するときに、その動きに連動し
て上下に位置されたそれぞれのブレードのピッチ角も変
えて更に風圧荷重をバランスさせるようにした風力発電
装置に関する。

［従来の技術］ 一般に風力発電装置は第４図に示す如く、タワーａの
上端部に発電機ｂを収容したナセルｃを水平に回動自在
に支持し、発電機ｂを駆動する回転軸ｄの一端をナセル
ｃの一端から延出させて、これに羽根車ｅのブレードｆ
を取付けた構造になっている。特に、ブレードには風速
の変化に拘わらず回転数を一定に保つことができるよう
に可変ピッチ機構が採用されている。また、強い風圧を
受けた場合にはタワーａのある下方よりも上方に位置し
たブレードｆの方が大きい風圧を受けるので、回転軸ｄ
にティータピンｇを介してブレードｆを傾動自在に取付
け、風圧によりイの位置から口の位置にブレードｆを傾
斜させて強い風圧荷重をバランスするようにしたブレー
ド傾斜機構が取り入れられている。

またブレードｆのピッチ角を変えるために、回転軸ｄ
の先端部にはブレードｆの基部に連結されたシリンダｈ
を有するピッチ角操作部ｉが取付けられていた。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記風力発電装置にあっては、ピッチ
角操作部ｉが回転軸ｄの先端部にあるため、回転軸ｄの
先端部が重くなり、回転軸ｄ及びその軸受の構造を強度
の高いものとしなければならず、大型重量化及びコスト
アップを招いていた。また、風圧差によりブレードｆが
傾斜した場合、大きい風圧を受ける上方のブレードｆは
ピッチ角を大きくして風圧を逃がすようにし、小さい風
圧を受ける下方のブレードｆはピッチ角を小さくして風
圧荷重を積極的にバランスさせる方がよく、このため例
えば第５図に示す如くティータピンｇを回転軸ｄの軸方
向及びブレードｆの長手方向に対して斜めに取付けた装
置もあるが、これは保守点検が難しいという問題があっ
た。

そこで、本発明は上記従来技術の問題点を解決すべく
なされたもので、その目的はピッチ角操作部が固定側に
あるため保守点検が容易であり、構造が簡単で製作が容
易にできる風力発電装置を提供することである。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本発明は、タワーの上端部
に水平に回動自在に支持され、発電機を収容したナセル
と、上記発電機に連結され、上記ナセルの一端から延出
された回転軸と、一対の可変ピッチブレードを有し、上
記回転軸に、その軸方向に直角で、かつ上記ブレードの
長手方向に直角に挿通されたティータピンを介して傾動
自在に支持されたブレード取付ハブと、上記回転軸に移
動自在に挿通され、上記ブレードの基部に一定長さのリ
ンクを介して連結された操作ロッドと、上記ナセル内に
て上記操作ロッドを移動し、上記ブレードを上記ブレー
ド取付ハブに対し相対回転させて上記ブレードのピッチ
角を所定位置に調節すると共に、その調節位置にて上記
操作ロッドを固定して、上記ブレード取付ハブの上記回
転軸回りの回転及び上記ティータピン回りの風圧差に基
づく傾斜により上方に位置されたブレードのピッチ角を
調節位置から大きくし、かつ下方に位置されたブレード
のピッチ角を調節位置から小さくするピッチ角操作部と
を備えたものである。

［作用］ ブレードのピッチ角は固定側であるナセル内に設けら
れたピッチ角操作部により、回転軸内に挿通された操作
ロッドを介して所定位置に調節される。また調節後、操
作ロッドはその位置に固定される。ブレードが大きな風
圧差を受けた場合、その風圧差によりブレード取付ハブ
がティータピンを支点に傾斜する。ハブが傾斜すると
き、ブレードは操作ロッドにより拘束されているため、
ブレードのピッチ角が調節位置からさらに自動的に変え
られることになる。即ち、そのハブの回転と傾斜とによ
り、上方に位置されたブレードのピッチ角は調節位置か
ら大きくされ、下方に位置されたブレードのピッチ角は
調節位置から小さくされる。これにより、ハブとブレー
ドとからなる羽根車は変動荷重を受けることなく、一定
回転に制御される。

［実施例］ 以下に本発明の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。

添付図面はダウンウインドを示しているがアップウイ
ンドについても適用できる。

第１図に示す如く、垂直に起立したタワー１の上端部
には風力発電装置の本体ケーシングを形成するナセル２
が水平に回動自在に支持され、このナセル２内には上記
タワー１の長手方向と直交するように回転軸３がその一
端をナセル２の一端から延出した状態で軸受４を介して
回転自在に取付けられている。ナセル２内において上記
回転軸３には増速装置５を介して発電機６が連結されて
いる。

ナセル２の一端から延出された回転軸３の一端には第
２図に示す如くＵ字状のヨーク７が一体的に取付けら
れ、このヨーク７には回転軸３の軸方向と直角にティー
タピン８が掛け渡され、このティータピン８の両端部に
はヨーク７を囲繞するごとき矩形筒状のハブ９がティー
タピン８を支点として所定の範囲で回動自在に取付けら
れている。このハブ９の両側面部には上記ティータピン
８と直角に交わる軸線上をその軸回りに回動する一対の
ブレード10、11が軸受12を介してそれぞれ回動自在に取
付けられ、またヨーク７の基端部とハブ９の前端部との
間にはティータピン８を支点に回動するハブ９の衝撃力
を吸収するためのダンパ13が介設されている。

上記ブレード10,11のピッチ角を変えるために、回転
軸３の軸心部に形成された軸孔14には操作ロッド15が軸
方向に摺動自在に嵌挿され、ナセル２内において回転軸
３の前端部より延出された上記操作ロッド15の前端部に
はピッチ角操作部16が連結されている。操作ロッド15の
先端部にはアーム17がＴ字状に取付けられ、このアーム
17の両端部に突設された突軸18と上記ブレード10,11の
基端部にハブ９内に臨んで突設されたクランク軸19とは
それぞれ一定長さのリンク20で連結されている。これに
より、操作ロッド15を前進させると、両ブレード10,11
がハブ９に対し相対回転してそれらブレード10,11のピ
ッチ角が大きくなり、操作ロッド15を後退させると、両
ブレード10,11のピッチ角が小さくなるようになってい
る。こうして両ブレード10,11のピッチ角が所定位置に
調節された後は、ピッチ角操作部16により操作ロッド15
の位置が固定される。また前方から受ける風圧により上
方に位置されたブレード10が後方に、下方に位置された
ブレード11が前方になるようにハブ９がティータピン８
を支点に傾斜したときには、固定されている操作ロッド
15とブレード10,11のクランク軸19との距離が等長に保
持されるから、そのハブ９の傾斜と、回転軸３回りの回
転とにより、上方に位置されたブレード10のピッチ角が
調節位置から自動的に大きくなり、下方に位置されたブ
レード11のピッチ角が調節位置から自動的に小さくなる
ようになっている。ここでブレード10,11はハブ９の回
転により上下が交互に入れ替わるから、この入れ替わり
に応じてピッチ角も調節位置を境に増減側へ交互に且つ
常時変化することになる。

なお、ナセル２はタワー１上でハブ９とブレード10,1
1からなる羽根車21に対し風土に位置されるようになっ
ている。

以上の構成において、風速が変化した場合、例えば風
速が増大した場合にはピッチ角操作部16により操作ロッ
ド15を前進させて両ブレード10,11のピッチ角を大きく
し余剰の風力を逃がすようにして発電機６の回転数が一
定に制御される。

一方、前方にタワー１のある下方に位置されたブレー
ド11よりも前方に何もない上方に位置されたブレード10
の方が大きい風圧を受けることにより、羽根車21がティ
ータピン８を中心に傾斜する。このとき、操作ロッド15
が固定状態にあることから、前述したように、上方に位
置されたブレード10のピッチ角は調節位置から自動的に
大きくなり、下方に位置されたブレード11のそれは調節
位置から自動的に小さくなる。これにより、上方に位置
されたブレード10に作用していた大きい風圧が逃がされ
ると共に、下方に位置されたブレード11には大きな風圧
がかかるようになるため、羽根車21はバランスされ、ハ
ブにかかる曲げモーメントが減少されることになる。

また、ピッチ角操作部16を回転軸３に取付けたり、テ
ィータピン８を斜めに取付けたものではないので、ハブ
９の構造が簡素化され、製作が容易にできるようにな
り、更に、ピッチ角操作部16が固定側にあるため、保守
点検が容易である。

［発明の効果］ 以上要するに本発明によれば、次のごとき優れた効果
を発揮する。

回転軸に通した操作ロッドを介してブレードピッチ
角を固定側であるナセル内から操作する構成としたの
で、寒冷地での使用に適する。

回転軸の前端部からピッチ角操作部を取除いたの
で、回転軸前端部の構造を簡素化でき、製作及び保守点
検の容易化、小型軽量化及びコストダウンが図れる。

ブレードのピッチ角をハブの回転及び傾斜に合わせ
てその調節位置からさらに自動調節でき、大きな風圧差
が生じた際でも羽根車を最適にバランスさせることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す風力発電装置の側断面
図、第２図は第１図Ａ−Ａ矢視断面図、第３図は第１図
Ｂ−Ｂ矢視正面図、第４図は従来の風力発電装置の一例
を示す部分的断面斜視図、第５図は他の従来例を示す斜
視図である。 図中、１はタワー、２はナセル、３は回転軸、６は発電
機、８はティータピン、９はハブ、10,11はブレード、1
5は操作ロッド、16はピッチ角操作部、20はリンクであ
る。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】タワーの上端部に水平に回動自在に支持さ
   れ、発電機を収容したナセルと、上記発電機に連結さ
   れ、上記ナセルの一端から延出された回転軸と、一対の
   可変ピッチブレードを有し、上記回転軸に、その軸方向
   に直角で、かつ上記ブレードの長手方向に直角に挿通さ
   れたティータピンを介して傾動自在に支持されたブレー
   ド取付ハブと、上記回転軸に移動自在に挿通され、上記
   ブレードの基部に一定長さのリンクを介して連結された
   操作ロッドと、上記ナセル内にて上記操作ロッドを移動
   し、上記ブレードを上記ブレード取付ハブに対し相対回
   転させて上記ブレードにピッチ角を所定位置に調節する
   と共に、その調節位置にて上記操作ロッドを固定して、
   上記ブレード取付ハブの上記回転軸回りの回転及び上記
   ティータピン回りの風圧差に基づく傾斜により上方に位
   置されたブレードのピッチ角を調節位置から大きくし、
   かつ下方に位置されたブレードのピッチ角を調節位置か
   ら小さくするピッチ角操作部とを備えたことを特徴とす
   る風力発電装置。