JP2507970Y2 - 綿コ―マにおけるフリ―スの収束装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本願は綿コーマにおけるフリースの収束装置に係り、
特に高速コーマに適用して有効である。

従来の技術とその問題点 １個所で２ヘッドの口出し作業が行ない得る操作性の
利点や、又一部の部品が相隣りあっているヘッドに共用
し得る等の理由から、近年の綿コーマでは第５図及び第
６図に示すように、トランペット１を各ヘッド２毎に交
互にＲ側Ｌ側にと片寄らせ、フリース３の紡出中心C1と
収束中心C2とを偏心させている。又綿コーマは、第５図
に示す１対のデタッチングローラ４で接合したフリース
３を、該デタッチングローラ４がトランペット１に向け
て送り出す。即ちデタッチングローラ４が、接合作用と
デリベリー作用との双方を行なう比較的低速の綿コーマ
と、６図に示すように、デタッチングローラ４で接合し
たフリース３を、デリベリーローラ５がトランペット１
に送り出す比較的高速の綿コーマとの二つの方式が採用
されているが、いずれの方式を採用するにしろ、トラン
ペット１に向けてフリース３を送り出すデリベリー作用
を行なうローラ（但しトラップローラ６は除く）にはフ
リユートが刻設されており、従来装置における該フリユ
ートは直線状のストレートのフリユートであった。

然しながらストレートのフリユートの場合は、設置さ
れているトップローラ６に微小振動が発生した品質が低
下するため、現在では第５図及び第６図に示すようにヘ
リカルフリユート７となっている。

而して現在使用されている上記デリベリー又はデタッ
チングローラ５、４（上記したコーマの方式の違いによ
る）は、複数のヘッド２に及ぶ長い素材の所定の場所
に、所定の角度でヘリカルフリユート７を刻設しこれを
機台に装着して作業を行なうことにより、トップローラ
６の微小振動に原因する品質の低下は一応改善されてい
た。然しながら近年に至り、生産性の向上を期すためコ
ーマが高速になるに従い、上記で解決されたはずの品質
低下が再び発生し、ハイプロダクションでかつ品質のハ
イグレート化を望む要望に答え得ない新たな問題が提起
され、この解決が急務となっているが、その原因はもと
より当然にその対策もないまま今日に至っている。

以上に鑑み本出願人においてその原因を種々検討した
結果現在の綿コーマでは、第５図及び第６図に示すよう
にデタッチングローラ４又はデリベリローラ５に刻設さ
れているヘリカルフリユート７の傾斜方向が同じ方向で
あるため、図面において右側のヘッド２では、カリカル
フリユート７の傾斜方向がフリース３が収束される側に
指向しているのに対し、左側のヘッド２では、収束され
る側と反対方向に傾斜しておりこれが原因となっている
ことが判明した。即ち右側のヘッド２では、ヘリカルフ
リユート７の傾斜方向とトランペット１の偏心方向が一
致しているため、ヘリカルフリユート７により一種のネ
ジ送りのような形で紡出された来たフリースは送り出し
方向（傾斜方向）と同じ方向に収束されるので、整然と
収束されて高速コーマであっても品質の低下は来たさな
い。これに対して反対側の左側のヘッド２では、送り出
し方向と反対側に収束されることにより、該収束時に送
り出されたフリース３に不規則なシワが大量に発生し、
このシワが繊維の整列を乱して品質を低下させるもので
あり、この傾向はコーマが高速になるに従がい更に顕著
となる。

問題点を解決するための手段 本願は上記従来の問題点を改良する目的において、フ
リースの紡出中心より右側に偏心させてフリースを収束
するヘッドと、フリースの紡出中心より左側に偏心させ
てフリースを収束するヘッドとを左右方向に沿って交互
に配設して成る綿コーマにおいて、トランペットにフリ
ースを送り出すデリベリー作用を行なうローラに刻設し
たヘリカルフリュートの傾斜方向を、互いにフリースの
収束側に指向するようにのたものである。

実施例 以下本願を、図面に示す実施例により詳細に説明す
る。第１図及び第２図は本願実施例の要部を示す平面図
で、第３図は前記したように比較的低速なコーマに採用
されている形式で、デタッチングローラ40がフリース３
の接合とデリベリー作用の双方を行なうもので、該デタ
ッチングローラ40及びこれに載置されているトップロー
ラ６の機台８への取付、又はフリースパン９フリースガ
イド10が設けられていること等は全て従来と同様であ
る。以上の如き綿コーマにおいて、図面において右側の
ヘッド２ではトランペット１が紡出中心C1より左側に偏
心して取付けられ、左側のヘッド２では収束中心C2が紡
出中心C2より右側に偏心し、相隣り合っているヘッド２
のトランペット１が互いに近接しており、図示を省略し
た他のヘッド２もこれと同様になされており、紡出され
て来るフリース３は互いに紡出中心C1より偏心して収束
され、カレンダーローラ11により所定の位置に送り出さ
れるのは従来と同様である。

以上の如き本願実施例のデタッチングローラ40も、複
数ヘッド２に及ぶ長い素材の所要の個所にヘリカルフリ
ユート70が刻設されるが、本願実施例のヘリカルフリユ
ート70は図面に示すように、その傾斜方向が互いにフリ
ース３の収束される方向、即ち右側のヘッド２では左側
に左側のヘッド２では右側に向い互いに反対側に傾斜し
ている。尚本実施例においてデタッチングローラ40は、
複数ヘッド２に及び素材に、交互に傾斜方向の異なるヘ
リカルフリユート70を刻設しているがこれに限るもので
なく、同じ方向に傾斜したヘリカルフリユート70を刻設
した長い素材を切断し、交互にＲ、Ｌを逆にして機台８
に配設した後に適宜の連結具（ネジカップリング等）に
より連結して、傾斜方向が互いに収束方向となるように
構成してもよい。

このように構成された本願実施例でフリース３の紡出
を行なうと、デタッチングローラ40に刻設したヘリカル
フリユート70の傾斜方向が、全てのヘッド２で紡出中心
C1から収束方向側に指向しているので、送り出されるフ
リース３はヘリカルフリユート70によりネジ送りと同
様、円滑に送り出され、従来装置のようにヘッド２の１
個おきにフリース３に不規則なシワが発生する欠点は除
かれ、高速コーマによるハイプロダクションの要求と、
製品品質の向上との双方の要求を満足する。

次に第２図に示した実施例は、前記した二つの方式の
綿コーマのうち、デタッチングローラ40で接合したフリ
ース３をデリベリローラ50で送り出し、上記実施例と同
様偏心して設けたトランペット１で収束する、接合とデ
リベリが別のローラで行なわれる方式の綿コーマに係
り、本実施例ではデリベリローラ50に上記第１の実施例
と同様にに、紡出中心C1側から収束方向側に傾斜したヘ
リカルフリユート70が刻設されており、上記同様、繊維
の乱れがなく整然とフリース３を収束して本願の目的を
満足する。

考案の効果 本願は以上詳記したように綿コーマにおいて、接合し
たフリースをトランペットに向けて送り出すデリベリー
作用を行なうローラの表面に、各ヘッド毎に紡出中心か
ら収束方向側に傾斜するヘリカルフリユートを刻設した
ことにより、フリースの送り出し方向と収束方向とが各
ヘッド毎全てのヘッドで一致するので、従来装置のよう
にヘッド一個飛びに繊維の乱れが発生する欠点は除か
れ、高速コーマにおいても安定した高品質の製品を得る
ことができる。又本願は、ヘリカルフリユートの傾斜方
向を上記のように設定すればその目的を達するものであ
るから、既設機台でもローラを交換するのみで容易に改
修し得る利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本願実施例を示し、第１図及び第２図はトップロ
ーラを除いた本願実施例の平面図、第３図及び第４図
は、第１図Ａ−Ａ線第２図Ｂ−Ｂ線の断面図、第５図及
び第６図は従来装置の平面図である。 １…トランペット、２…ヘッド、３…フリース、４、40
…デタッチングローラ、５、50…デリベリーローラ、
７、70…ヘリカルフリユート、C1…紡出中心、C2…収束
中心

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フリースの紡出中心より右側に偏心させて
   フリースを収束するヘッドと、フリースの紡出中心より
   左側に偏心させてフリースを収束するヘッドとを左右方
   向に沿って交互に配設して成る綿コーマにおいて、トラ
   ンペットにフリースを送り出すデリベリー作用を行なう
   ローラに刻設したヘリカルフリュートの傾斜方向を、互
   いにフリースの収束側に指向するようにした綿コーマに
   おけるフリースの収束装置。