JP2507907B2 - 血圧降下用の食品添加物質および抗高血圧剤 - Google Patents

血圧降下用の食品添加物質および抗高血圧剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な食品中の塩素の
排泄促進用ならびに血圧降下用の食品添加物質および抗
高血圧剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日までに、成人病としての高血圧症、
特に、本態性高血圧症(他に基礎疾患を持たない高血圧
症)の成因に関して多くの研究開発がなされており、複
雑な血圧調節機構が複合して成立することによるもので
あることが解明されてきている。こうした因子には、
腎性昇圧因子:レニンは傍糸球体細胞で産生されるタン
パク質分解酵素で、傍糸球体装置の内圧変化に応じて放
出され、α2 グロブリン中の基質であるアンジオテンシ
ノーゲンの10,11番目のLeu−Leu(ヒトでは
Leu−Val)結合を特異的に加水分解してアンジオ
テンシンI(デカペプチド)を生じる。これがアンジオ
テンシンI変換酵素の作用で2個のアミノ酸を失いアン
ジオテンシンII(オクタペプチド)となる。このアンジ
オテンシンIIは末梢血管の平滑筋を直接収縮させ、強い
昇圧活性作用を発現する事に起因するもの、副腎皮
質:アンジオテンシンIIは副腎皮質球状層に作用し、ア
ルドステロンの分泌を著名に増加させ、レニン−アンジ
オテンシン系の昇圧作用はアルドステロンを介して働く
とされているもの(通常、レニン−アンジオテンシン系
が異常に亢進する高血圧では、腎血管性高血圧や悪性高
血圧、また希ではあるがレニン産生腫瘍による高血圧と
なり、本態性高血圧症も、レニン−アンジオテンシン系
が関与するといわれている)、神経性および神経体液
性因子:交感神経系の関与が考えられているもの(現在
確証は得られていない)、血行因子:血管反応性や血
管平滑筋収縮機構によるもの、この他に遺伝因子、
ナトリウム代謝に関係する因子などが挙げられる。こう
した本態性高血圧症の治療に使われるものに血圧降下剤
があり広く用いられている。
【0003】該薬剤は、血圧調節機構に影響を与えて血
圧を下げるもので、作用機序を異にする多数の薬物があ
り、こうしたものとして(1)血管平滑筋に直接働いて
血管拡張を起こす薬、(2)交感神経系の活性を中枢か
ら末梢血管の受容体に至る経路のどこかで抑制する薬
(中枢性交感神経抑制薬、中枢、末梢の両方で抑制
する薬物、神経節遮断薬、アドレナリン作動性ニュ
ーロン遮断薬、α受容体遮断薬)、(3)利尿薬、
(4)アンジオテンシン拮抗薬(アンジオテンシンII
の作用を遮断する薬、アンジオテンシンI変換酵素抑
制薬)等が用いられている。
【0004】しかしながら、こうした薬剤は、いずれも
本態性高血圧症の患者に対して治療薬として用いられる
もので、かつ医師による適切な診断による正しい処方が
必要となる。従って、こうした治療薬を用いなくても食
事療法等により該本態性高血圧症を予防できることが望
ましいわけであるが、そのために食塩の摂取量をコント
ロールすることで本態性高血圧症を予防ないし抑制でき
ることがその後の予防医学の研究等により確認されてい
る。
【0005】すなわち、食塩(塩化ナトリウム)の過剰
な摂取により、上記の本態性高血圧症の成因に関する血
圧調節機構に大きく影響を及ぼし、その結果として高血
圧症となることが確認されている。このことはラットに
アルドステロン(腎臓からのナトリウムイオン(以下、
単にNa+ ともいう)の排泄を抑制するホルモン)を投
与し、塩化ナトリウム(以下、単にNaClともいう)
の投与によって血液中のNa+ 濃度が上昇するような条
件下において高血圧となることが確認されたことによる
ものである。このことからNaCl中のさらにNa+
高血圧に関与すると考えられている。そのためNa+
吸着しやすい野菜や海藻に含まれるアルギン酸等の植物
性食物繊維が、一般に非栄養素の食物繊維において生体
に有害な成分を吸着して糞排泄を促すことから、成人病
の予防因子として注目されていたことからも、多くの研
究開発がなされてきている。
【0006】しかしながら、上述のラットを用いた実験
では予め血液中のNa+ の上昇をきたすような条件で行
われているが、実際には本態性高血圧症では血液中のN
+の上昇をきたすような基礎疾患(すなわちアルドス
テロンの過剰な分泌を有する疾患)は存在しておらず、
NaClの過剰な摂取により血圧上昇作用を引起こす原
因がNa+ であるのか、Cl- であるのか結論が出され
ていないのが実状である。
【0007】こうした中で、現在までにNaCl中の塩
素イオン(以下、単にCl- ともいう)と本態性高血圧
症との因果関係については何等報告されておらず、従っ
て、Cl- に対して吸着しやすいキトサンのような動物
性食物繊維の本態性高血圧症との因果関係等の生理的効
果についても同様に報告はなされおらず、高血圧症の予
防因子として、キトサンがアンジオテンシン拮抗作用、
特にアンジオテンシンI変換酵素を抑制する働きのある
血圧降下用の食品添加物質あるいは抗高血圧剤として用
いられたことはなかった。
【0008】なお、上記キトサンは、エビやカニ等の甲
殻類の表皮に含まれているキチンの脱アセチル化反応に
よって調製されるアミノ糖(グルコミサン)の巨大ポリ
マーであり、アミノ基をもつため、イオン交換体、広範
囲の重金属吸着剤、各種酸性物質(核酸、エンドトキシ
ンなど)の除去剤として、これまで主に工業用水の濾過
材等にカチオン系活性汚泥凝集剤として、あるいは水産
加工場等の廃液中の蛋白の回収材等に用いられている。
【0009】またキトサンに関する生理的効果について
は、生体内でリゾチーム等の酵素によって分解、吸収さ
れることが報告されており、外科用材料の生体分解吸収
性の天然高分子として注目をあつめ、研究開発が盛んに
行われるようになり、こうした中から現在では、たとえ
ば生体適合材料として手術用縫合糸、創傷被覆剤や人工
皮膚等が実用化されてきいている。しかしながらが、上
述したように本態性高血圧症への影響等の生理的効果に
ついては何等報告はなされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、本態性高血圧症において血圧上昇作用を引起こ
すとされるアンジオテンシンI変換酵素の活性化作用を
もつCl- の生体内への吸収を抑制し得る新規な血圧降
下用の食品添加物質を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、新規な抗高血圧剤を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】これら上記諸目的を達成
するため、本発明者らは新規なアンジオテンシンI変換
酵素活性を抑制する働きのある血圧降下用の食品添加物
質および抗高血圧剤について鋭意研究を重ねた結果、高
血圧の原因の1つであるアンジオテンシンI変換酵素の
活性が体内に摂取したNaCl中のCl- により増大す
ることを見出だし、該Cl- と吸着しやすい動物性食物
繊維として得られるカチオン性のキトサンよりなる食品
添加物質として含有する食品または抗高血圧剤としての
製剤の形で人または動物に主に経口投与することによ
り、食品等と一緒に生体内に摂取された食塩中のCl-
を該キトサンが腸管で吸着し、Cl- の血液中への吸収
を抑制し、そのまま糞中へ排泄するため、体内(血液
中)のCl- 濃度の著しい増加を抑制することができア
ンジオテンシンI交換酵素の活性を抑制でき、結果とし
て血圧の上昇を抑制することができ、また高血圧の降下
を促進させるのに最適であることを見出して本発明を完
成するに至った。
【0013】従って本発明の目的は、キトサンを有効成
分とする食品中の塩素の排泄促進用の食品添加物質によ
り達成される。
【0014】また本発明の目的は、キトサンを有効成分
とする血圧降下用の食品添加物質により達成される。
【0015】さらに本発明の目的は、キトサンを有効成
分とする抗高血圧剤により達成される。
【0016】
【作用】本発明の食品添加物質および抗高血圧剤(血圧
降下剤を含む)中に含有されるキトサンは、その有効な
量を人または動物に投与することで、本態性高血圧症の
成因の1つである腎性昇圧因子のアンジオテンシンI変
換酵素の活性に関与する塩素イオンを吸着することによ
り、体内(腸管)での該塩素イオンの血液中への吸収を
阻害し、糞中への排泄量を高めることにより昇圧作用を
抑制し得るものである。
【0017】従って本発明に用いられるキトサンとして
は、通常、エビやカニ等の甲殻類の表皮に含まれている
キチンの脱アセチル化反応によって調製されるアミノ糖
(グルコミサン)の巨大ポリマーであればよく、その分
子量は通常100万程度の高分子ポリマーである。
【0018】また、本発明で用いられる抗高血圧剤とし
ては、主に経口投薬としてタブレット、カプセル、粉
末、顆粒、錠剤、流体、またはゲル調製品等の形に成さ
れるものである。同様に本発明の食品添加物質も、食品
(飲料品を含む)中に粉末、顆粒、錠剤、流体、または
ゲル等の形で添加されていれば良く、さらに体内(腸
管)で適当に作用できるように遅延剤等で予めコーティ
ングしておいてもよい。
【0019】さらに本発明で用いられる抗高血圧剤の経
口投薬としてのタブレットおよびカプセルは、1回毎の
服用量を担持してなるものが好ましく、例えばシロッ
プ、アカシアまたはソルビトール等のつなぎの薬品とし
ての通常の賦形剤、例えばラクトース、砂糖またはトウ
モロコシ−デンプンのような充填剤等を含有するもので
ある。
【0020】また経口液状製剤としては、水分または油
分を含んだ懸濁液、溶液、乳濁液、シロップまたはエリ
キシルの形に成されるものであり、使用前に水または他
の適当な賦形剤を加えて液状に戻すことのできる乾燥生
成物としてもよい。こうした経口液状製剤は、例えばソ
ルビトール、シロップまたはゼラチンのような懸濁剤、
アカシア、レシチン等の乳化剤、ココナッツ油、油状エ
ステル(プロピレングリコール等)のような非水賦形
剤、その他通常の薬品として用いられる防腐剤、添加
剤、さらには必要に応じて調味料、着色剤またはビタミ
ン剤等が用いられる。 また本発明の食品添加物質また
は抗高血圧剤中の該キトサンの添加量(または服用量)
は、食塩の摂取量により、また高血圧症の度合や体重、
年齢、性別等によっても異なるものであり、好ましくは
使用に際して適当な量を患者に応じて決めることが望ま
しいが、通常1日当たりの食塩の摂取量が12gである
場合、70kgの本態性高血圧症(他に基礎疾患を持た
ない高血圧症)の成人男性の患者に対し、通常5〜6g
/日の範囲がその治療に必要な大体の目安となるであろ
う。
【0021】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明する。
【0022】実施例1 正常ラットおよび自然発症性高
血圧ラットによる動物実験 (1)Cl- およびNa+ のアンジオテンシンI交換酵
素への活性化作用に対する評価試験 高血圧になる原因の1つは血液中のアンジオテンシンII
の上昇によるものであり、該アンジオテンシンIIは、血
圧上昇作用のないアンジオテンシンIからアンジオテン
シンI変換酵素(以下、単にACEともいう)の作用で
作られるものである。すなわち、該ACEの活性を阻害
することによってアンジオテンシンIIの増加が押さえら
れ血圧の上昇をきたすことはない。これとは逆に、該A
CEの活性が促進される場合には、アンジオテンシンII
の生成が増加し血圧の上昇をきたす。従ってNa+ およ
びCl- に対する該ACEの活性の変化を調査し、この
結果に基づき高血圧の原因がNa+ あるいはCl- のい
ずれにより生じるかを推認した。
【0023】図1は、ラットの血清にそれぞれNaC
l、塩化カリウム(以下、単にKClともいう)および
酢酸ナトリウム(以下、単にCH3 COONaともい
う)を加え、血清ACEの活性の変動を示したものであ
る。
【0024】図1よりNaCl、KClは共にACE活
性を増加させるが、CH3 COONaにはその様な働き
は認められない。こうした結果から、NaClおよびK
Cl中のCl- がACEを増強させる作用を持つもので
あって、Na+ にはその様な働きはないことが確認され
た。以上のことからCl- が高血圧の原因になると推測
することができた。
【0025】(2)キトサンによる体内中のCl- の排
泄促進効果の確認試験 次に、キトサンによる体内中のCl- の排泄促進効果を
確認するために、正常なラット(Intact Rat)にキトサ
ンを含む食物組成およびアルギン酸を含む食物組成によ
って調製した食餌においてNaClの含有量を変化させ
て投与した際の糞中の塩素量を測定した。その結果を表
1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】この結果より、低NaCl食および高Na
Cl食のいずれにおいてもキトサンが糞中の塩素量を著
しく増加させることが確認された。このことからキトサ
ンが確かに食品中のCl- と結合して糞中に排泄されて
いることが確認された。
【0028】(3)キトサンの生体内投与に対する血圧
低下作用の確認試験 上記(1)の評価試験および(2)の確認試験の結果よ
り最終的に、キトサンの生体内投与に対する血圧低下作
用を確認するため、2種類の食物繊維を用意した。1つ
は、Cl- を吸着する機能を有するカニの甲羅などに含
まれているキチンの脱アセチル化反応によって調製され
たキトサンとし、もう1つは、Na+を吸着する機能を
有する昆布に含まれる食物繊維であるアルギン酸とし
た。該キトサンおよびアルギン酸を含む食物組成にNa
Clを含有させて調製した食餌を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】図2は、正常なラット(Intact Rat)およ
び高血圧になりやすいラット(SHR)に表2の組成を
有するNaClを含有したキトサン食およびアルギン酸
食をそれぞれ投与し収縮期血圧を測定したものである。
【0031】図2から明らかなように、正常なラット
(Intact Rat)および高血圧になりやすいラット(SH
R)のいずれにおいても、キトサン食投与群がアルギン
酸食投与群よりも有意に血圧が低下していることが確認
された。
【0032】以上の動物実験から、これまで、食塩を過
剰に摂取すると血圧が上昇するが、動物性繊維であるキ
トサンを同時に摂取すると著しい降圧効果が正常ラット
および高血圧になりやすいラット(自然発症性高血圧ラ
ット)で認められた。このことから、キトサンが食塩に
含まれる塩素の糞排泄を促進し、血中塩素濃度を低下さ
せ、その結果、血中ACE活性が低下することによっ
て、血圧上昇が抑制されることが明らかになった。
【0033】実施例2 ヒトによる臨床実験 上記実施例1による動物実験の結果をもとに、続いて、
ヒトで高食塩を摂取した時の血圧上昇メカニズムおよび
キトサンを同時に摂取した時の降圧効果を確認した。
【0034】まず20〜50歳の健康な男性被験者7名
に朝食として表3に示す献立の高塩食(1100kca
l、食塩13g/meal)を喫食してもらい、それぞ
れ喫食前、喫食後1時間経過時および喫食後3時間経過
時に最高血圧の測定および採血を行ない、該採血中のナ
トリウム、カリウム、重炭酸および塩素濃度、およびA
CE活性を測定した。
【0035】
【表3】
【0036】さらに、1週間後の同時期に該高塩食を喫
食した直後に、キトサン5gを摂取してもらい、同様の
時間に最高血圧の測定および採血を行ない、同様の内容
に関して測定を行なった。
【0037】得られた結果をそれぞれ表4に最高血圧の
変化、表5に血液中のナトリウム濃度の変化および表6
に血液中のカリウム濃度の変化を示す。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】次に、得られた結果を高塩食摂取による経
時変化とキトサンの効果に関する二元配置分散分析で統
計処理し、交互作用の有無を検討した。また、多重比較
については、ターキー(Tukey)の方法に従って行
なった。なお、これらの解析はすべてSAS統計パッケ
ージPC版(バージョン6.03)を用いて行なった。
【0042】まず、図3は、上記高塩食を摂取した場合
のキトサンによる最高血圧への影響を示すグラフであ
る。
【0043】上記表4および図3より、いずれの被験者
も高食塩の摂取後1時間に有為な血圧上昇が認められ
た。しかし、1週間後の同時期にキトサンを同時に摂取
すると、この高塩食による血圧上昇が抑制されることが
確認された。
【0044】次に、図4は、高塩食を摂取した場合のキ
トサンによる血中ナトリウム濃度への影響、また図5
は、高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中カリウ
ム濃度への影響を示すグラフである。
【0045】上記表5、表6および図4、図5より、い
ずれも高塩食の摂取による著しい増加がなく、キトサン
の摂取による影響もないことが確認された。
【0046】また、図6では、高塩食を摂取した場合の
キトサンによる血中重炭酸濃度への影響、図7および図
8は、高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中塩素
濃度への影響をそれぞれ示すグラフである。
【0047】図6より、血中重炭酸濃度は、高塩食の摂
取によって有意な低下が認められ、逆に図7および図8
より、血中塩素濃度は、高塩食の摂取によって増加し
た。しかし、キトサンの摂取によって、該重炭酸および
塩素濃度の増減が消失することが確認された。
【0048】さらに、図9および図10は、高塩食を摂
取した場合のキトサンによる血中ACE活性への影響を
それぞれ示すグラフである。
【0049】図9および図10より、血圧調節の重要な
酵素であるACE活性は、高塩食の摂取によって増加す
るが、同時にキトサンを摂取すると、その効果が抑制さ
れた。
【0050】上記実施例1で、キトサンの降圧効果を動
物実験で実証してきたが、本実施例2により、さらにヒ
トでも同様にキトサンの摂取により降圧効果があること
が認められた。
【0051】また、キトサンの臨床実験から、食塩のう
ちナトリウムよりも塩素に血圧を上昇させる作用が強い
ことが確認された。
【0052】
【発明の効果】本発明のキトサンよりなる食品添加物質
および抗高血圧剤においては、生体内に投与されること
で、食品等と共に摂取されたNaCl中のCl- を適当
に吸着することで、該塩素イオンの腸管での吸収を抑制
し、糞中への排泄を促進する優れた働きを有し、これに
より体内の血液中の塩素濃度の増大を抑制でき、その結
果、昇圧作用に直接的に関与するアンジオテンシンI変
換酵素の活性化作用を抑制できるため、高血圧の予防お
よび治療の双方に用いることができるものである。
【0053】また、食塩摂取量を制限しコントロールす
る必要がなく、食事の味つけにおいても健康な人(動
物)のものと変わらずでき、わざわざ低食塩食を作る必
要もなくまた味覚的にも塩味を呈する食塩(塩味は食塩
であるNa+ とCl- の総合的な味として知覚される)
を用いることができ、低食塩食における味気無いものと
ならない点でも優れた食品添加物質および抗高血圧剤と
なり得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラットの血清にそれぞれNaCl、KClおよ
びCH3 COONaを加えた際の血清ACEの活性の変
動を示したグラフである。
【図2】正常なラット(Intact Rat)および高血圧にな
りやすいラット(SHR)にNaClを含有したキトサ
ン食およびアルギン酸食をそれぞれ投与した際の収縮期
血圧を示したグラフである。
【図3】高塩食を摂取した場合のキトサンによる最高血
圧への影響を示すグラフである。
【図4】高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中ナ
トリウム濃度への影響を示すグラフである。
【図5】高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中カ
リウム濃度への影響を示すグラフである。
【図6】高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中重
炭酸濃度への影響を示すグラフである。
【図7】高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中塩
素濃度への影響を示すグラフである。
【図8】高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中塩
素濃度への影響を示すグラフである。
【図9】高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中A
CE活性への影響を示すグラフである。
【図10】高塩食を摂取した場合のキトサンによる血中
ACE活性への影響を示すグラフである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キトサンを有効成分とする食品中の塩素
    の排泄促進用の食品添加物質。
  2. 【請求項2】 キトサンを有効成分とする血圧降下用の
    食品添加物質。
  3. 【請求項3】 キトサンを有効成分とする抗高血圧剤。
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