JP2506814Y2 - 印刷機のインキロ―ラ洗浄装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はインキローラ群に洗浄液を供給してこれを洗
浄し、洗浄後の排液をブレードで掻取って容器内へ回収
する印刷機のインキローラ洗浄装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

各種の印刷機における印刷ユニットには、周面に刷版
が装着された版胴が設けられており、この版胴の上方に
は、刷版の表面に印刷用のインキを供給するインキ装置
が設けられている。このインキ装置は、インキ壺内で回
転するインキ壺ローラと、その側方に配設された振りロ
ーラと、アームの揺動によりこれら両ローラに交互に接
触する移しローラとを備えている。振りローラの下方に
は、振りローラや練りローラ，ライダローラ等からなる
多数のローラ群が周面を順次対接させて配設されてお
り、その最終ローラである一対の振りローラと版胴との
間には、アームに支持された複数個のインキ着ローラ
が、アームの揺動により版面に対し着脱自在に形成され
て設けられている。

このように構成されていることにより、インキ壺内に
蓄えられたインキは、インキ壺ローラの回転によりその
表面にインキ皮膜となって付着し、このインキ皮膜は移
しローラの往復動により振りローラに転移したのち、ロ
ーラ群間で転移することにより各方向へ均一に均されて
振りローラに転移する。そして、振りローラに転移した
インキは、複数個のインキ着ローラによって版面に供給
され、このインキと、給水装置で供給される湿し水とで
版面に画像が形成される。

このような印刷機のインキ装置には、すべてのインキ
ローラを同時に洗浄するインキローラ洗浄装置が付設さ
れている。このインキローラ洗浄装置は、インキ洗浄液
が蓄えられたタンクと、コンプレッサとを備えており、
これらは、インキ装置の上端部に設けられたノズルに接
続されている。インキ装置下端部の振りローラ近傍に
は、ブラケットで支持されてブレードの先端をこの振り
ローラの周面に対接させた排液回収装置としてのマシン
クリーナが配設されている。こうすることにより、色替
え時や印刷作業の終了時等において各ローラを互いに対
接させて回転させ、かつマシンクリーナのブレードを振
りローラの周面に対接させた状態で押ボタン等を操作し
てコンプレッサを運転し、タンク内の洗浄液をノズルか
ら噴出させると、この洗浄液は各ローラ間で転移しなが
らこれらを洗浄し、ブレードでマシンクリーナの容器内
へ掻取られて回収される。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来のインキローラ洗浄装
置においては、ブレードによる洗浄液の掻取り量が、胴
軸方向両端部と中央部とで均一にならないという傾向が
あり、満足した洗浄機能が期待できないという問題があ
る。

そこで種々試行錯誤を重ねた結果、長尺のブレードが
これを支持する容器とともに緩やかな円弧状をなすよう
に微量だけ湾曲し、振りローラへのブレードの接触端が
長手方向の中央部において振りローラの周面からわずか
に逃げることにより障害が発生することが判明した。

そこで、ブレードを中高状に加工して前記逃げと相殺
することが試みられているが、加工が面倒でほとんど不
可能であった。

〔課題を解決するための手段〕

このような課題を解決するために本考案では、左右の
フレーム側に両端を支持されて胴軸方向に延びる桶状の
容器と、この容器のインキローラ側にこのインキローラ
に対する遠近方向へ進退調節自在に支持されて先端をイ
ンキローラの周面に着脱自在に圧接され前記容器の長手
方向に延びる板状のブレードとからなる廃液回収装置を
備えた印刷機のインキローラ洗浄装置において、前記ブ
レードの長手方向中央部をインキローラ側にブレードの
表面と平行となるように直接圧接する調節ねじを設ける
とともに、このブレードを、前記容器に固定された一方
の板部材と、この一方の板部材に胴軸方向に複数配設さ
れたねじのうちブレードの長手方向両端のねじによって
取り付けられる他方の板部材とで挟持し、前記調節ねじ
で調節されたブレードを前記ねじのうち調節ねじの近傍
に配設されたねじによって固定した。

〔作用〕

インキローラの洗浄作業に際しては、ブレードを容器
側に固定してその先端を振りローラの周面に圧接させる
と、ブレードの中央部が振りローラの周面から逃げる
が、このとき、調整部材で圧接力を調節すると、ブレー
ドの胴軸方向中央部が押されてブレード全体が中高状に
なろうとするので、これと前記逃げとが相殺され、振り
ローラに対するブレードの圧接端は正確な直線状にな
る。

〔実施例〕

第１図ないし第３図は本考案に係る印刷機のインキロ
ーラ洗浄装置の実施例を示し、第１図はそのマシンクリ
ーナの縦断面図、第２図は同じく平面図、第３図は本考
案を実施した印刷機の印刷ユニットの概要正面図であ
る。図において、印刷ユニット１には周面に刷版が装着
されて版胴２が設けられており、この版胴２の上方に
は、刷版の表面に印刷用のインキを供給するインキ装置
３が設けられている。このインキ装置３は、インキ壺４
内で回転するインキ壺ローラ５と、その側方に配設され
た振りローラ６と、アームの揺動によりこれら両ローラ
5,6に交互に接触する移しローラ７とを備えている。振
りローラ６の下方には、振りローラや練りローラ，ライ
ダローラ等からなる多数のローラ群８が周面を順次対接
させて配設されており、その最終ローラである一対の振
りローラ9,10と版胴２との間には、アームに支持された
複数個のインキ着ローラ11がアームの揺動により版面に
対し着脱自在に形成されて設けられている。12は版面に
湿し水を供給する給水装置である。

このような印刷機のインキ装置３には、すべてのロー
ラを同時に洗浄するインキローラ洗浄装置が付設されて
いる。このインキローラ洗浄装置はインキ洗浄液が蓄え
られたタンクとコンプレッサ（いずれも図示せず）とを
備えており、これらは上部振りローラ６の近傍に設けら
れたノズル14に接続されている。

そして、インキ装置３の下端部には、排液回収容器と
してのマシンクリーナ15が、振りローラ９に近接して配
設されており、以下これを第１図と第２図に基づいて説
明する。すなわち、左右のフレーム16にボルト17で固定
されてフレーム16の内方へ突出するブラケット18の取付
け板18aからは、ピン19が内方へ突出されており、この
ピン19には、全体を符号20で示す容器の支持板20aに形
成されたＵ字孔20bが回動自在に嵌合されている。容器2
0は支持板20aと、軸線方向に延びる樋状部20cと、その
両端を閉塞する側板20dとで一体的に形成されており、
また、支持板18aの一端には、これと直交する固定板18b
が一体形成されている。固定板18bの一端には、矩形状
に形成されたプレート21がピン22で回動自在に枢着され
ており、このプレート21の他端部に形成されたねじ孔21
aには、つまみ23a付きの固定ボルト23が進退自在に螺入
されている。こうすることにより、図示の状態で固定ボ
ルト23を締めると、容器20が、Ｕ字孔20bをピン19と嵌
合させた状態で固定され、また、固定ボルト23を弛めて
プレート21をピン22から垂下させることにより、ピン19
とＵ字孔20bとの係合が解かれ、容器20全体が取外され
るように構成されている。24はブラケット18に突設され
て容器20の着脱を案内するガイドピンである。

容器20の樋状部20cに傾斜して形成された振りローラ
９側壁部としてのローラ側側板20eには、これとほゞ同
長のプレート25が溶着されていて、このプレート25に
は、これと同長のブレード26と押え板27とが重ねられて
おり、ブレード26の長手方向に並列する複数個の長孔に
挿入されてプレート25と側板20eとのねじ孔に螺入され
た止ねじ28によって振りローラ９の周面に対する遠近方
向へ進退調節自在に固定されている。そして、押え板27
の胴軸方向中央部には、これと直交する短いねじ板29が
溶着されており、このねじ板29のねじ孔には、押しねじ
30が、先端をブレード26の後端に圧接させて進退自在に
螺入されている。こうすることにより、ブレード26の先
端を振りローラ９の周面に圧接させた状態で両端の固定
ボルト23を締めてマシンクリーナ15全体を固定したの
ち、複数個の止めねじ28のうち両端の止ねじ28のみを締
め、押しねじ30を締めると、振りローラ９の周面から微
量だけ離間していたブレード26の中央部が押され、ブレ
ード26と振りローラ９の周面との圧接線が緩やかな円弧
状から正確な直線状になるように構成されている。

以上のように構成されたインキ装置とインキローラ洗
浄装置との動作を説明する。機械を運転して印刷作業を
開始すると、インキ壺４内に蓄えられたインキ13は、イ
ンキ壺ローラ５の回転によりその表面にインキ皮膜とな
って付着し、このインキ皮膜は移しローラ７の往復動に
より振りローラ６に転移したのち、ローラ群８間で転移
することにより各方向へ均一に均されて振りローラ9,10
に転移する。そして、振りローラ9,10に転移したインキ
は、複数個のインキ着ローラ11によって版面に供給さ
れ、このインキと、給水装置12で供給された湿し水とで
版面に画像が形成される。

印刷作業が終わり、色替えなどの準備作業としてイン
キローラの洗浄作業を行う場合には、マシンクリーナ15
両端の固定ボルト23が弛められてプレート21が垂下され
ている状態で、容器20のＵ字孔20bとブラケット18側の
ピン19とを嵌合させ、ブレード26の先端を振りローラ９
の周面に圧接させた状態でプレート21を起立させて固定
ボルト23を締めると、マシンクリーナ15全体が固定され
る。この場合、前述したようにブレード26の胴軸方向中
央部が振りローラ９の周面からわずかに離間するように
変形する。そこで、複数個の止ねじ28のうち両端の止ね
じ28のみを締め、押しねじ30を締めてその先端でブレー
ド26の後端面を押すと、振りローラ９の周面から微量だ
け離間して緩やかな円弧状をなしていたブレード26の振
りローラ９への接触端は、中央部を押されて正確な直線
状になり、振りローラ９の周面に全長にわたり均一に圧
接される。

残りの止ねじ28を締めてブレード26を固定したのち、
各ローラを互いに対接させて回転させ、押ボタン操作等
によりコンプレッサを運転してタンク内の洗浄液をノズ
ル14から噴出させると、この洗浄液は各ローラ間で転移
しながらこれらを洗浄し、洗浄し終わった洗浄排液はマ
シンクリーナ15のブレード26で容器20の樋状部20c内へ
掻取されて回収される。この場合、ブレード26の先端
は、振りローラ９の周面に対し全長にわたり均一に圧接
されているので、排液の掻取り量は全長にわたり均一で
ある。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように本考案によれば、左
右のフレーム側に両端を支持されて胴軸方向に延びる桶
状の容器と、この容器のインキローラ側にこのインキロ
ーラに対する遠近方向へ進退調節自在に支持されて先端
をインキローラの周面に着脱自在に圧接され前記容器の
長手方向に延びる板状のブレードとからなる廃液回収装
置を備えた印刷機のインキローラ洗浄装置において、前
記ブレードの長手方向中央部をインキローラ側にブレー
ドの表面と平行となるように直接圧接する調節ねじを設
けたことにより、インキローラの洗浄作業に際し、中央
部が振りローラの周面から逃げるように変形するブレー
ドは、調節ねじで圧接力を調節することにより胴軸方向
中央部が押されてブレード全体が中高状になり、これと
前記逃げとが相殺されてインキローラに対するブレード
の圧接端が正確な直線状になるので、ローラ周面からの
洗浄排液の掻き取り量がローラ全長にわたり均一にな
り、洗浄機能が向上する。また、調整ねじがブレードに
直接圧接するので、ブレードの逃げを調節するのが容易
となる。

また、ブレードを、容器に固定された一方の板部材
と、この一方の板部材に胴軸方向に複数配設されたねじ
のうちブレードの長手方向両端のねじによって取り付け
られる他方の板部材とで挟持し、調節ねじで調節された
ブレードをねじのうち調節ねじの近傍に配設されたねじ
によって固定したことにより、ブレードが容器に強固に
固定されるので、インキローラの周面に圧接されたブレ
ードがインキローラの回転に追従して大きく撓むことが
なく、このため、最初に設定したブレードの調節量が洗
浄中に狂うことがないとともに、ローラ周面からの洗浄
液の掻取り量にむらが生じることもなく、掻取り量がロ
ーラ全長にわたって均一となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案に係る印刷機のインキロー
ラ洗浄装置の実施例を示し、第１図はそのマシンクリー
ナの縦断面図、第２図は同じく平面図、第３図は本考案
を実施した印刷機の印刷ユニットの概要正面図である。 9,10……振りローラ、14……ノズル、15……マシンクリ
ーナ、16……フレーム、18……ブラケット、20……容
器、23……固定ボルト、20e……ローラ側側板、26……
ブレード、29……ねじ板、30……押しねじ。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右のフレーム側に両端を支持されて胴軸
   方向に延びる桶状の容器と、この容器のインキローラ側
   にこのインキローラに対する遠近方向へ進退調節自在に
   支持されて先端をインキローラの周面に着脱自在に圧接
   され前記容器の長手方向に延びる板状のブレードとから
   なる廃液回収装置を備えた印刷機のインキローラ洗浄装
   置において、前記ブレードの長手方向中央部をインキロ
   ーラ側にブレードの表面と平行となるように直接圧接す
   る調節ねじを設けるとともに、このブレードを、前記容
   器に固定された一方の板部材と、この一方の板部材に胴
   軸方向に複数配設されたねじのうちブレードの長手方向
   両端のねじによって取り付けられる他方の板部材とで挟
   持し、前記調節ねじで調節されたブレードを前記ねじの
   うち調節ねじの近傍に配設されたねじによって固定した
   ことを特徴とする印刷機のインキローラ洗浄装置。