JP2504957B2 - 光学用透明基板 - Google Patents

光学用透明基板

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JP2504957B2 JP61158049A JP15804986A JP2504957B2 JP 2504957 B2 JP2504957 B2 JP 2504957B2 JP 61158049 A JP61158049 A JP 61158049A JP 15804986 A JP15804986 A JP 15804986A JP 2504957 B2 JP2504957 B2 JP 2504957B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光学用透明基板に関し、とくに射出成形によ
つて良好な外観を示す投影面積が大きく、かつ、厚みの
薄い光学用透明基板たとえば光学デイスク基板に関す
る。
〔従来の技術とその問題点〕
透明な熱可塑性樹脂を使用して光学用透明基板を製造
するための成形方法は種々知られている。なかでも射出
成形法は、生産性すなわち多量の製品を高生産速度で成
形できる面から工業的に最も利用される手段である。
ところで、光学用透明基板の1種である光学デイスク
基板のように、その製品形状が投影面積が大きく、か
つ、厚みの薄いようなものであると、射出成形によつて
製造するのは以下に詳述する如くなかなか難しい。
すなわち、透明熱可塑性樹脂たとえばポリメチルメタ
クリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PO)、ポリ4
メチルペンテン1(PMP)などの多くは粘性が高くてし
たがつて射出成形にあたつては樹脂温度を高めて粘性を
低下させ流動性を向上させなくてはいけない。しかし、
投影面積が大きくても厚みの薄いものは樹脂量が少な
く、よつて射出成形機内での樹脂の滞留時間は長くな
る。また、金型内では肉厚のうすいところを高速で通過
するため、機械的な剪断熱も発生し易い。このように外
部加熱による高温下に長時間滞留し、剪断熱のような内
部加熱も経験する樹脂は、当然ながら分解、劣化を生
じ、得られる製品の機械的強度を弱めたり、焼けこげの
混入等を生じて光学デイスク基板として使用できなくな
つてしまうという問題がある。
このほかの問題としては、製造されたデイスク基板に
微小なボイドを発生することがしばしばあるという事実
がある。この現象は射出成形全般に言えることであると
も受け取れるが、従来この種の問題解決に有効であると
されている材料樹脂の予備乾燥や金型に空気抜きを付け
る手段では、前述の低流動性樹脂を用いた高温射出成形
によるデイスク基板の製造に関しては不充分である。
また別の問題として、デイスクのピツト部や案内溝が
正確にデイスク基板に転写されないということがある。
更にまた別の問題として、デイスク基板表面または内
部にフラツシユと呼ばれる現象を発生することがある。
ここでフラツシユというのは、デイスクの半径方向に沿
つて不規則な形のクモリを生じる現象であつて、比較的
明瞭な筋状の形状を示すシリバーストリークとは全く別
の現象である。かかる現象は通常の成形品ではそれほど
問題ないかもしれないが、透明基板のような用途におい
ては絶対にあつてはならないものである。この現象は、
たとえば通常のシルバーストリークを防止するのに有効
であると称される材料樹脂の予備乾燥に充分時間をかけ
てもしばしば発生し、当業者間における頭痛の種となつ
ている。
更に他の問題は、成形によつて得られる透明基板が黄
色く着色してしまう点である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者らは、かる現状に鑑み、光学用透明基板とく
に投影面積が大きく厚みの薄いたとえば光学デイスク基
板のようなものを射出成形しても、機械的性質の低下が
なく、ボイドの発生もなく、ビツトまたは案内溝の転写
性もよく、さらにフラツシユの発生もなくかつ着色もな
い製品が得られないか検討を重ねた結果本発明に到達し
たものである。
〔問題点を解決するための手段〕
すなわち本発明は、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシフエニル)プロピオニル基を有するフエ
ノール系酸化防止剤を2種以上配合した透明熱可塑性樹
脂からなることを特徴とする光学用透明基板である。
〔作用〕
透明な熱可塑性樹脂としては、前述したPMMA、PC、PM
Pのほかにポリスチレン(PS)、あるいは特開昭60−260
24に示されるようなテトラシクロドテセン類の単独開環
重合体やノルボネン類との開環共重合体を水添したも
の、また別にはノルボルネン、テトラシクロドデセン、
メチルテトラシクロドデセンなどの環状オレフインとエ
チレンとの共重合体(たとえば特開昭60−168708、同61
−115912、同61−115916、同61−120816)などを例示で
きる。
本発明においてとくに有用な透明熱可塑性樹脂は、ガ
ラス転移温度(Tg)が比較的高いものすなわち約100℃
以上のものとくに120℃以上のものである。すなわち、T
gが高いものは、射出成形によつて金型内に流れ込む時
に金型と接触する樹脂表面の樹脂温度が低下し、比較的
早く表面が固化する。このため、樹脂の酸化劣化に基づ
くと推定される揮発成分等が樹脂内部に閉じ込められ
て、前述したフラツシユの原因となると推測される。つ
まり、Tgが高いほど早く表面が固化が生じ、フラツシユ
が著しくなるのであり、故にこのような樹脂に本発明を
適用するとフラツシユが防止され有用である。したがつ
て、好ましく使用される樹脂はエチレンと環状オレフイ
ンの共重合体である。
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフエ
ニル)プロピオニル基を有するフエノール系酸化防止剤
は、透明熱可塑性樹脂に配合することによつて、光学材
料として使用するに足るだけの外観、すなわちボイド、
シリバーストリーク、フラツシユを低減し、色相も安定
させる。勿論ビツトの転写性も改良されるので光学デイ
スク基板用途にはとくに好適である。
このようなフエノール系酸化防止剤としては、たとえ
ばテトラキス〔メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン、β−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)
プロピオン酸アルキルエステルあるいは2,2′−オキザ
ミドビス〔エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕等が例示でき
る。β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
エニル)プロピオン酸アルキルエステルとしてはとくに
炭素数18以下のアルキルエステルが好ましい。
本発明においては、前記特定のフエノール系酸化防止
剤を2種以上併用することによつて目的が達成できる。
もし1種しか用いない場合や他の酸化防止剤だけであつ
たりすると本発明の目的は達成できない。
なぜ本発明の構成によればフラツシユ等がなく色相に
優れたものとなるのか不明であるが、本発明者らの推定
によると、本発明で使用するような構造のフエノール系
酸化防止剤は高Tgの透明熱可塑性樹脂に対し可塑剤的な
作用を示し、少なくとも樹脂表面付近での見掛けのTgを
下げて、金型と接触する樹脂表面の揮発成分(樹脂の分
解、劣化よつて発生する低沸点物や樹脂中にもともと含
まれている微量モノマーなど)を表面から逃げ易くして
いることが一因であるとも考えられる。このような理由
によるのか、本発明では比較的低分子量すなわち600以
下の分子量を有するフエノール系酸化防止剤がとくに好
適である。
フエノール系酸化防止剤の透明熱可塑性樹脂に対する
配合割合は、樹脂100重量部に対して各0.01〜5重量
部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1
〜1重量部である。
尚、上記化合物の配合量の範囲は、多く配合し過ぎる
とむしろ透明基板としての初期物性が長期的に安定して
保持できなくなつたり、また少な過ぎると本発明の目的
とする効果が発現しにくいか又は発現したとしても実用
上耐えるだけの効果がないことから設定した。
本発明の樹脂組成物において、透明樹脂としてチーグ
ラー触媒のようなハロゲン含有触媒で製造されたものを
用いる場合には、残留する触媒残渣中に含まれるハロゲ
ンが成形機を傷めることがないように、ハロゲン捕捉剤
を併用すべきである。
本発明を光学デイスク基板を例にとつて説明すると、
まず樹脂と上記化合物、必要に応じて本発明の効果を損
わない量の他の安定剤とをリボンブレンダー、タンブラ
ーブレンダー、ヘンシエルミキサーなどで混合あるいは
混合後押出機、バンバリーミキサー、二本ロールなどで
溶融混合するか炭化水素や芳香族溶媒に溶解してポリマ
ー溶液に混合し、その後単軸押出機、ベント式押出機、
二本スクリユー押出機、三本スクリユー押出機、円錐型
二本スクリユー押出機、コニーダー、プラテイフイケー
ター、ミクストルーダー、二軸コニカルスクリユー押出
機、遊星ねじ押出機、歯車型押出機、スクリユーレス押
出機などを用いて射出成形を行い、デイスク成形用の金
型(情報ビツトや案内溝を形成するためのスタンバーの
セツトされたものも含む)によつて成形する。
射出成形の際に使用されるゲートは、公知の種々のも
のを用いてもよいが、収縮や反りの面からセンターピン
ゲートやセンターデイスクゲート、好ましくはゲート径
3mm以下、とくに0.5〜2.0mmのセンターピンゲート、ゲ
ート厚1mm以下、とくに0.2〜0.8mmのセンターデイスク
ゲートを用いるのがよい。
射出成形によつて得られたデイスク基板は、その後記
録層あるいはレーザー光線を反射するための金属層を蒸
着法、スパツタ法などの公知の方法によつて形成し、更
に必要に応じて保護層を設けて完成される。
〔実施例〕
以下本発明の内容を好適な例でもつて示すが、本発明
はとくにことわりのない限り何らこれらの例に制限され
るものではない。
実施例1 荷重2.15kg、温度260℃におけるメルトフローレート
(MFR:ASTM D 1238)が35kg/10minのエチレン・テトラ
シクロドデセン共重合体(エチレン含量60モル%)に、
テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン
(A)、n−オクタデシル−β−(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート(B)
およびステアリン酸亜鉛(C)を配合し、ヘンシエルミ
キサーで混合後、スクリユー径40mmの2軸押出機を使用
して230℃の温度でペレツトを作成した。
このペレツトを原料として、住友重機P40/25A射出成
形機及びセンターデイスクゲートの金型(情報ピツト形
成のためのスタンバーをセツトした金型)を使用し、28
0℃の温度で直径80mm、厚さ1.0mmのデイスク基板を成形
し、表1に示した項目を評価した。なおこれらの項目
は、目視により評価し、評価基準は悪1→5良とした。
安定剤の配合量は、原料の樹脂100重量部に対する重
量部を示している。
実施例2 (B)の代わりに2,2′−オキザミドビス〔エチル−
3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフエニ
ル)プロピオネート〕(D)を使用するほかは実施例1
と同様に行つた。結果を表1に示す。
実施例3 (A)のかわりに(D)を用いるほかは実施例1と同
様に行つた。結果を表1に示す。
比較例1 実施例1において(B)を使用しないで(A)の配合
量を増すほかは実施例1と同様に行つた。結果を表1に
示す。
比較例2 実施例1において(A)を使用しないで(B)の配合
量を増すほかは実施例1と同様に行つた。結果を表1に
示す。
比較例3 実施例2において(A)を使用しないで(D)の配合
量を増すほかは実施例2と同様に行つた。結果を表1に
示す。
比較例4 実施例1において(B)の代わりに1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)ベンゼン(E)を用いるほかは実施例
1と同様に行つた。結果を表1に示す。
比較例5 実施例1において(B)の代わりに3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシトルエン(F)を用いるほかは
実施例1と同様に行つた。結果を表1に示す。
〔発明の効果〕 本発明によれば、機械的性質に優れ、ボイドの発生も
なく、フラツシユの発生もなく、着色もなく、さらに金
型内のスタンバー模様の転写性たとえばデイスクのビツ
ト部や案内溝が正確に転写できるという優れた効果を示
す。
よつて光学デイスク基板、大型デイスプレイ基板、透
明電極基板、透明電気回路基板、VD作業用CRTカバーな
どの投影面積は大きいが厚みの薄い光学用透明基板製品
の製造に好適に用いることができる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
    ロキシフエニル)プロピオニル基を有するフエノール系
    酸化防止剤を2種以上配合した透明熱可塑性樹脂からな
    ることを特徴とする光学用透明基板。
  2. 【請求項2】テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−tert−
    ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メ
    タン、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
    フエニル)プロピオン酸アルキルエステルおよび2,2′
    −オキザミドビス〔エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブ
    チル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕から
    選ばれる少なくとも2種を配合してなる特許請求の範囲
    第1項に記載の光学用透明基板。
  3. 【請求項3】透明熱可塑性樹脂のガラス転移温度が100
    ℃以上である特許請求の範囲第1項または第2項に記載
    の光学用透明基板。
  4. 【請求項4】光学用透明基板が、投影面積が大きく、か
    つ、厚みの薄いものである特許請求の範囲第1項ないし
    第3項のいずれかに記載の光学用透明基板。
  5. 【請求項5】光学用透明基板が光デイスク基板である特
    許請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の光
    学用透明基板。
  6. 【請求項6】射出成形によつて製造される特許請求の範
    囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の光学用透明基
    板。
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