JP2504522B2 - 溶融炭酸塩型燃料電池 - Google Patents

溶融炭酸塩型燃料電池

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JP2504522B2 JP63109036A JP10903688A JP2504522B2 JP 2504522 B2 JP2504522 B2 JP 2504522B2 JP 63109036 A JP63109036 A JP 63109036A JP 10903688 A JP10903688 A JP 10903688A JP 2504522 B2 JP2504522 B2 JP 2504522B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は溶融炭酸塩型燃料電池に係り、特に、電解質
の消失による電池の性能低下を、各単位電池へ電解質を
補給することにより防止し、電部寿命を延ばす溶融炭酸
塩型燃料電池に関する。
〔従来の技術〕
従来の燃料電池は、例えば、特開昭61−214367号公報
に記載のように、積層された電解質板の炭酸塩消失を補
なうための、炭酸塩供給方法について記載されている。
その方法は、電池外部に電解質貯蔵タンクが設けられ、
タンクには、加圧送液用のガス配管と、加熱・冷却構造
の送液管が接続され、送液管は積層電池の上端板に連接
されている。積層電池内には炭酸塩流路が設けられ、こ
の流路の上部から炭酸塩が補給される。そして、積層電
池の下端板に設けた、加熱・冷却構造の配管を介して、
余分の炭酸塩をドレンタンクに回収する構造となつてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、電解質を貯蔵するタンクが電池外に
あり、タンクと電池とを連接する配管を加熱・冷却構造
とする必要があり、発電施設が大型化する問題がある。
また、各配管の加熱・冷却操作が複雑になるため、電池
の操作も複雑となる問題もある。
本発明の目的は電解質の補給性能が良く、補給システ
ムのコンパクトな燃料電池を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は、電池の上端部に設けられている上
端板の内部を中空に形成するとともに、この中空部をそ
の下方部で互いに連通するように仕切り板にて二つの室
に分割し、かつこのうち一方の室の上方空間に圧縮ガス
が供給されるガス流路を設け、かつ各単位電池のセパレ
ータに、積層される毎に位置の異なる電解質流路と端部
周囲に補給溝を設け、さらに前記上端板に、前記セパレ
ータの電解質流路と前記上端板に設けられている他方の
室の上方空間とを連通する電解質補給流路を設け、前記
上端板の中空部に電解質を入れ、電池の運転温度にてこ
の電解質を溶解しておき、前記ガス流路より圧縮ガスを
送ることにより各電解質板に電解質を補給するようにな
し初期の目的を達成するようにしたものである。
〔作用〕
積層電池へ供給する電解質を、電池上端板内の貯蔵室
に貯えることにより、電池作動条件では常に電解質は溶
融しており、特別な加熱・冷却構造は不用となる。これ
により、コンパクトな電解質補給システムを構成するこ
とができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を第1図ないし第3図により
説明する。
第1図は本発明による、溶融炭酸塩型燃料電池の一モ
ジユール分に相当する積層電池の断面図を示す。図の積
層電池1の上端板2には、電解質貯蔵室6と貯蔵室6を
仕切る仕切り板7,貯蔵室6内の電解質13を加圧送液する
ためのガス流路11、それと各電解質板4へ電解質13を補
給するための補給孔8が設けられる。また、各単位電池
のセパレータ5には補給孔9が設けられ、第3図に示す
ように、その周囲には、補給溝14が設けられている。下
端板3には、補給孔8と、ドレン室10が設けられる。
このように構成された燃料電池において、電解質板4
内の電解質消失により、発電出力が低下した場合、第1
図に示すように、予め上端板2内の貯蔵室6にある電解
質13をガス流路11からのガス圧力により補給孔8を通じ
て、各電解質板4へ電解質13を補給する。この電解質13
は、溶融炭酸塩型燃料電池の場合は32%Li2CO3+68%K2
CO3の共晶塩であり、その溶融温度は490℃位なので、発
電温度である650℃付近では、常に、溶融した状態にあ
り、特別な加熱構造を設けなくとも、いつでも補給する
ことができる。第2図は送液状態の上端板2を示した図
である。本図のように、貯蔵室6内に仕切板7を設け、
加圧ガスが補給孔8へ混入することなく、補給機能を達
成することができる。
第3図は、各単位電池セパレータ5内の補給孔9と補
給溝14を示す。第1図の上端板2内の補給孔8からの電
解質は、第3図の矢印15のように、セパレータ5Aの端部
に流下し、本図では省略した電解質板に、電解質を補給
しながら、補給溝14を矢印16のように流れる。そして、
セパレータ5Aの補給孔9から、下部の電解質板、及び、
セパレータ5Bへ流下する。セパレータ5Bの補給孔9はセ
パレータ5Aとは異なる位置に設けられ、上述と同様にセ
パレータ5Bの補給溝14を電解質が流れる。このように、
補給孔9の異なるセパレータ5A,5Bを交互に積層するこ
とにより、各単位電池の電解質板に充分な電解質を補給
することができる。さらに、第1図のように下端板3内
にドレン室10を設け、各電解質板へ電解質13を補給した
余分な電解質を貯蔵する。
本実施例によれば、積層電池本体内に補給電解質の貯
蔵室を設けることにより、コンパクトな補給構造を達成
することができ、電解質の損失に伴う性能低下による寿
命が大幅に伸びることになる。
第4図は本発明の第二の実施例で、上端板2内の貯蔵
室6へ電解質13を外部より補給するようにしたものであ
る。貯蔵室6には、電池外部に設けた補助電解質容器19
と連接する補助補給管17、及び、バルブ18が接続されて
いる。他の構成は第1図と同様である。本実施例によれ
ば上端板2内の電解質が不足した場合、図の補助電解質
容器19から、補助補給管17により電解質を供給すること
ができ、電解質板への電解質補給がさらに長時間にわた
つて可能となり、電池寿命が大幅に向上することにな
る。また、上端板の電解質貯蔵室の容量が小さい場合に
も、外部よりその都度電解質を補給することにより目的
が達成されるので、上端板のコンパクト化が可能とな
る。
第5図は本発明の第三の実施例で、外部の補助電解質
容器19と電池本体の下端板3内の補給孔8を連接管20に
より接続し、さらに、補助電解質容器19内の電解質を圧
送するためのガス供給管22を設けたものである。各電位
電池の電解質板に補給され余つた電解質は、図の下端板
3内の補給孔8を流れ、連接管20を介して補助電解質容
器19へ流入する。容器19内の電解質はガス供給管22から
のガス圧により、補助補給管17を通り上端板2内の貯蔵
室6へ電解質を補給する。
本実施例によれば、余分に補給された電解質を回収、
再利用することができ経済性に優れ、さらにガス圧力に
より外部補助電解質容器の電解質を圧送するので、補給
性能が向上する。
第6図は本発明の第四の実施例を示す。構造は第1図
に記載した内容と同様であるが、これまで記載した内容
は、電解質板の消失電解質を補給するようにしたもので
あるが、本応用例は電解質板製作時のグリーンシート内
への炭酸塩の含浸方法に関するもので、第6図は発電開
始前にグリーンシート24を積層した状態である。
従来、電解質板の製造方法はグリーンシートと呼ばれ
るセラミツク製のシートを製作し、そのシートに炭酸塩
を塗布し、それを電池本体に積層し、昇温した後に、グ
リーンシート内のバインダを除去し、炭酸塩を含浸する
方法をとつている。この方法は、炭酸塩を純水で溶融し
たものをグリーンシートに塗布して積層するため、電池
積層時の締め付け状態が不均一になる場合もある。ま
た、グリーンシートに炭酸塩が塗布されているため、グ
リーンシート内のバインダの除去が不完全になることも
あり、均一な電解質板を製作することが困難なところも
ある。
そこで、本応用例は、第6図のように電解質補給構造
となつている燃料電池1に、グリーンシート24を積層
し、昇温する、この昇温過程で、グリーンシート内のバ
インダが除去されるが、このときは炭酸塩がないので、
除去が容易、かつ、充分に実施される。そして、発電温
度に達した後に、第一の実施例で説明した方法により、
上端板2の貯蔵室6内の電解質13(炭酸塩)をグリーン
シート内に含浸させる。
本実施例によれば、電池組立時には、グリーンシート
だけを積層することになり、締め付けが容易で均一なも
のとすることができる。また、グリーンシート内のバイ
ンダを完全に除去後に炭酸塩を含浸するので、性能の優
れた均一な電解質板が得られる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、電解質板内への電解質補給を容易に
実施することができ、補給構造のコンパクト化が図られ
るので、性能の優れた燃料電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の積層電池の断面図、第2図
は本発明の上端板附近の断面図、第3図は電解質補給の
斜視図、第4図,第5図,第6図は本発明の他の実施例
の積層電池の断面図である。 1……積層電池、2……上端板、4……電解質板、5,5
A,5B……セパレータ、6……電解質貯蔵室、13……電解
質、24……グリーンシート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−180966(JP,A) 特開 昭63−78454(JP,A) 特開 昭61−214367(JP,A) 特開 昭63−976(JP,A) 実開 昭62−262373(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解質板と、該電解質板を両側から挾むア
    ノード電極およびカソード電極と、アノードガスとカソ
    ードガスとを分離するセパレータ板とからなる単位電池
    を、上下方向に積層し、かつこの積層体の上下端部に上
    端板および下端板を備えた溶融炭酸塩型燃料電池におい
    て、 前記上端板の内部を中空に形成するとともに、該中空部
    をその下方部で互いに連通するように仕切り板にて二つ
    の室に分割し、かつ 前記一方の室の上方空間に圧縮ガスが供給されるガス流
    路を設け、かつ 前記各単位電池のセパレータに、積層される毎に位置の
    異なる電解質流路と端部周囲に補給溝を設け、かつ 前記上端板に、前記セパレータの電解質流路と前記上端
    板に設けられている他方の室の上方空間とを連通する電
    解質補給流路を設け、 前記上端板の中空部に電解質を入れ、電池の運転温度に
    てこの電解質を溶解しておき、前記ガス流路より圧縮ガ
    スを送ることにより各電解質板に電解質を補給するよう
    にしたことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池。
  2. 【請求項2】前記上端板の中空部に電池外部より電解質
    の補給ができるように形成してなる特許請求の範囲第1
    項記載の溶融炭酸塩型燃料電池。
  3. 【請求項3】前記下端板の内部を中空に形成するととも
    に、この中空部と最下部セパレータの電解質流路とを連
    通してなる特許請求の範囲第1項記載の溶融炭酸塩型燃
    料電池。
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