JP2504057Y2 - 浄水器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、水道の蛇口などに接
続し、内部の濾過筒体内に水を導いて処理する浄水器の
改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の浄水器として、中空ケースに設け
られた上面開口部に濾過筒体の下端部を支持させ、その
濾過筒体の外周上に筒状キャップを被せて、筒状キャッ
プの下端を中空ケースの上面開口部に着脱可能に取り付
けた構造のものがある。前記濾過筒体は内部に濾過材な
どの各種水処理材が充填され、上端の水取込口より水を
内部へ取り込んで通過させ、処理済みの水を下端の水取
出口より放出するようになっている。

【０００３】ところでこの濾過筒体は、長期にわたって
使用されると、内部の水処理材が消耗したり汚れたりす
るため、定期的に濾過筒体を新たなものと交換する必要
がある。濾過筒体の消耗度合いや汚れ度合いは前記筒状
キャップを外せば容易に確認できるが、筒状キャップを
外すことなく外部より確認できるようにするため、筒状
キャップの上端面に透視窓を設けた構造のものが提案さ
れている。

【０００４】図６は、従来の浄水器における合成樹脂製
の筒状キャップ４１の構造を示す。同図のものは、濾過
筒体４２の水取込口４３との対向位置に透視窓４４が設
けられ、この透視窓４４を筒状キャップ４１の内側より
合成樹脂製の透明な窓板４５で塞いである。この窓板４
５は透視窓４４に嵌まる嵌合部４６とその外周の周縁部
４７とが一体形成されたものであり、前記嵌合部４６を
透視窓４４へ嵌め、周縁部４７を透視窓４４の開口周縁
に高周波溶着により接合してある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながらこの種構
造の筒状キャップ４１では、窓板４５に大きな水圧が作
用すると、窓板４５と筒状キャップ４１との接合部が剥
離したり、窓板４５の嵌合部４６の周縁が図中、破線で
示すように破損したりして、水漏れが生ずる虞がある。

【０００６】この考案は、上記問題に着目してなされた
もので、筒状キャップを２重構造とすることにより、接
合部の剥離や破損のない耐圧強度の優れた浄水器を提供
することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この考案の浄水器は、上
端に水取込口、下端に水取出口を備えた濾過筒体と、前
記濾過筒体の下端部を支持する上面開口部を備えた中空
ケースと、前記濾過筒体の外周上に被せられ下端が前記
中空ケースの上面開口部に着脱可能に取り付けられる筒
状キャップとから成る。前記筒状キャップは、透明の内
側キャップ体の外周面に外側キャップ体が緊密嵌合され
た２重構造に形成されると共に、外側キャップ体には前
記水取込口との対向位置に内側キャップ体により塞がれ
た透視窓が形成されている。

【０００８】請求項２にかかる浄水器では、前記内側キ
ャップ体は、外側キャップ体の透視窓内へ嵌まる嵌合部
が突設されており、前記嵌合部の内面の外周縁をテーパ
に形成してある。

【０００９】

【作用】筒状キャップは、透明の内側キャップ体の外周
面に外側キャップ体が緊密嵌合された２重構造に形成さ
れると共に、外側キャップ体に内側キャップ体により塞
がれた透視窓を形成したので、従来の筒状キャップのよ
うに、接合部が剥離したり、透視窓の部分が破損したり
する虞がなく、水漏れの発生がない。

【００１０】請求項２にかかる浄水器では、内側キャッ
プ体に外側キャップ体の透視窓内へ嵌まる嵌合部を設け
てあるが、嵌合部の内面の外周縁をテーパに形成してあ
るので、耐圧強度に優れ、透視窓の部分での破損を防止
できる。

【００１１】

【実施例】図１および図２は、この考案の一実施例にか
かる浄水器の構造を示す。この実施例の浄水器１は、合
成樹脂製の中空ケース２の内部に濾過筒体３を着脱交換
自由に設置した構造のものである。

【００１２】前記中空ケース２は、処理すべき水を取り
込んで処理を行うか、あるいは処理せずに外部へ流出さ
せるかを選択する切換部４と、前記濾過筒体３により水
処理を行う水処理部５とから成る。前記切換部４と水処
理部５とは連通路６によって繋がれ、水処理部５へ連通
口７から水が流入する。

【００１３】前記切換部４には、処理すべき水を流入す
る流入口８，水を前記水処理部５へ送らずにそのまま流
出させる通水口９を備え、内部には水の経路を切り換え
るための弁体１０が設けられている。

【００１４】前記流入口８は水道の蛇口などに接続して
中空ケース２内に水を流入する部分であり、ここでは図
示しないが外周面に取付ナット１１を固定するためのネ
ジ部を備えている。接続時には、取付ナット１１を蛇口
のパイプ１２に通し、リング状のアダプタ（図示せず）
をパイプ１２の先端に取り付け、アダプタを流入口８へ
挿入した後に前記取付ナット１１をアダプタ上に嵌めて
前記流入口８のネジ部にネジ固定する。

【００１５】前記通水口９には外周面にネジ部１３が設
けられ、複数の通水孔１４を配した通水キャップ１５が
ゴムパッキング１６を介在させてネジ固定されている。

【００１６】前記流入口８から流入した水は、処理され
ずに前記通水孔１４から流出される第１の水流路ａか、
前記連通路６を通って前記水処理部５へ送られる第２の
水流路ｂかのいずれか経路をたどる。

【００１７】経路の切り換えは、前記切換部４内に設け
られた弁体１０によって行われる。前記弁体１０は、図
３および図４に示すごとく、操作部１７と弁軸１８とか
ら成り、前記操作部１７にはハンドル１９が設けてあ
る。弁軸１８には後方向に貫通する通水路２０と、周面
を切り欠いた案内溝２１とが図４に示すように９０度の
角度をもって設けられている。前記ハンドル１９が上方
に位置する図の状態では、通水路２０が上下方向に位置
して流入口８と通水口９とを連通させ、水は第１の水流
路ａを通って前記通水口９から流出される。一方ハンド
ル１９を９０度回動させると、案内溝２１の溝開口が上
方を向いて流入口８と対向するため、案内溝２１が前記
連通路６と連通し、水は第２の水流路ｂを通って前記水
処理部５へ流れる。

【００１８】中空ケース２は、濾過筒体３の下部を嵌合
支持するための上面開口部３１を有しており、この上面
開口部３１の開口縁内周面には筒状キャップ２２の下端
部のネジ部３２をネジ込むためのネジ部２３が形成して
ある。前記上面開口部３１の内部には錐状部３３が形成
され、この錐状部３３の下端に処理済みの水を流出させ
る流出口２４が開口してある。

【００１９】なお図中、２５，２６は上面開口部３１の
内部に配備されるゴムパッキングであって、一方のゴム
パッキング２５は中空ケース２と筒状ケース２２との間
を、他方のゴムパッキッング２６は中空ケース２と濾過
筒体３との間を、それぞれ水密状態にシールする。

【００２０】前記濾過筒体３と中空ケース２との間に
は、周回通路２８が形成され、連通口７から水処理部材
５へ入った水は、この周回通路２８を周回しつつ下方か
ら上方へ導かれる。濾過筒体３は上端部が水取込口２
９、下端部が水取出口３０であり、前記濾過筒体３の上
端部に達した水は前記水取込口２９から濾過筒体３の内
部へ取り込まれて処理され、処理済の水が水取出口３０
より出て前記流出口２４から外部へ流出される。

【００２１】前記濾過筒体３は筒上ケースの内部に複数
層から成る水処理材を充填した構造のものであり、水取
込口２９および水取出口３０は不織布などのフィルタで
閉塞されている。この水取込口２９のフィルタを後記す
る透視窓３６より確認すれば濾過筒体３の消耗度合いや
汚れ具合を判断し得る。

【００２２】前記筒状キャップ２２は、図５に示すよう
に、透明な合成樹脂製の内側キャップ体３４の外周面
に、不透明な合成樹脂製の外側キャップ体３５を緊密嵌
合しかつ全面を接着剤で接合した二重構造のものであっ
て、内側キャップ体３４の開口端縁を外側キャップ体３
５の開口端縁より突出させ、その外周面に前記ネジ部３
２が形成してある。外側キャップ体３５の上端面には濾
過筒体３の水取込口２９との対向位置に内側キャップ体
３４により塞がれた円形の透視窓３６が形成されてい
る。

【００２３】この実施例では、内側キャップ体３４の上
端面に前記透視窓３６の開口へ嵌まる嵌合部３７を突設
すると共に、この嵌合部３７の内面の外周縁を下拡がり
のテーパ３８に形成してある。なお図中、３９は濾過筒
体３の上端部を支持するための位置決め片である。

【００２４】上記構成の浄水器において、流入口８から
流入した水が連通路６を経て水処理部５へ流入すると、
水は前記中空ケース２と濾過筒体３との間の周回通路２
８を周回しつつ下方から上方へ導かれる。そして水が水
取込口２９から濾過筒体３の内部へ入ると、水は各層の
水処理材を順に通過して処理された後、取出口３０へ至
り、取出口３０から流出口２４を通って外部へ流出され
る。

【００２５】この場合に前記周回通路２８を下方から上
方へ導かれた水は筒状キャップ２２の上端面に当たり、
透視窓３６の部分に水圧を作用させるが、筒状キャップ
２２は内側キャップ体３４と外側キャップ体３５との二
重構造であって全面が接合されているから、接合面が剥
離したり透視窓３６の部分が破損したりする虞はない。
しかも内側キャップ体３４の嵌合部３７は内面の周縁が
テーパ３８に形成してあるから、耐圧強度が高められ、
嵌合部３７の周縁に破損を生じさせることもない。

【００２６】

【考案の効果】この考案は上記の如く、筒状キャップを
透明の内側キャップ体の外周面に外側キャップ体が緊密
嵌合された二重構造に形成されると共に、外側キャップ
体に内側キャップ体により塞がれた透視窓を形成したか
ら、従来の筒状キャップのように、接合部の剥離や透視
窓部分の破損を生じさせる虞はなく、水漏れが発生する
ことはない。

【００２７】また請求項２の考案では、内側キャップ体
に外側キャップ体の透視窓内へ嵌まる嵌合部を設けると
共に、嵌合部の内面の外周縁をテーパに形成したから、
耐圧強度が高められ、嵌合部の周縁に破損を生じさせる
ことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例にかかる浄水器の構成を示
す分解斜視図である。

【図２】図１に示す浄水器の一部を破断した正面図であ
る。

【図３】弁体の一部を破断した正面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図５】筒状キャップの縦断面図である。

【図６】従来の筒状キャップの縦断面図である。

【符号の説明】

１ 浄水器 ２ 中空ケース ３ 濾過筒体 ２２ 筒状キャップ ２９ 水取込口 ３０ 水取出口 ３４ 内側キャップ体 ３５ 外側キャップ体 ３６ 透視窓 ３７ 嵌合部 ３８ テーパ

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上端に水取込口、下端に水取出口を備え
   た濾過筒体と、 前記濾過筒体の下端部を支持する上面開口部を備えた中
   空ケースと、 前記濾過筒体の外周上に被せられ下端が前記中空ケース
   の上面開口部に着脱可能に取り付けられる筒状キャップ
   とから成り、 前記筒状キャップは、透明の内側キャップ体の外周面に
   外側キャップ体が緊密嵌合された２重構造に形成される
   と共に、外側キャップ体には前記水取込口との対向位置
   に内側キャップ体により塞がれた透視窓が形成されて成
   る浄水器。
2. 【請求項２】 前記内側キャップ体は、外側キャップ体
   の透視窓内へ嵌まる嵌合部が突設され、前記嵌合部の内
   面の外周縁をテーパに形成して成る請求項１に記載され
   た浄水器。