JP2504011B2 - 冷・温熱発生装置 - Google Patents

冷・温熱発生装置

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JP2504011B2 JP61305073A JP30507386A JP2504011B2 JP 2504011 B2 JP2504011 B2 JP 2504011B2 JP 61305073 A JP61305073 A JP 61305073A JP 30507386 A JP30507386 A JP 30507386A JP 2504011 B2 JP2504011 B2 JP 2504011B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は水素分子の可逆的解離反応に伴って生ずる冷
熱または温熱を利用するため冷・温熱発生装置に関す
る。
[従来の技術] 車両の車室内や住居内を冷房するための冷熱発生装置
としては、低沸点冷媒を圧縮液化させたうえその気化の
潜熱を利用する方式の冷凍装置が使われており、冷媒に
外気温を吸収させる方法を講ずることによって、ヒート
ポンプ装置として暖房目的にも兼用されている。
また小規模なものとしてはペルチェ効果を利用した熱
電変換方式も考えられている。
[発明が解決しようとする問題点] 従来の低沸点冷媒の気化潜熱を利用する方式では、圧
縮機を用いて気化冷媒を圧縮させつづけなければならな
いので、可動部分の摩耗や高圧気体の漏洩などの問題を
排除することができず、装置の短命や保守のわずらわし
さなどの欠点を大巾に改善することは極めて困難だっ
た。
一方可動部分を有しないペルチェ素子を用いた熱電変
換システムは、所望の熱量を取り出すために費した仕事
の熱当量に対する、取り出された熱量の割合としての成
績係数を1以上に高めることは不可能であり、能力不足
のために自動車の車室内冷房目的には使用できなかっ
た。
本発明は可動部分を有しないことにより、保守のわず
らわしさを著しく軽減できると共に、騒音・振動なども
生ぜず、且つ耐用年数を充分に延長できる冷・温熱発生
装置を提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 上記の目的を達成するために本発明による冷・温熱発
生装置は、(a)電解質と水素を封入した電解槽と、
(b)前記電解槽内の一方の端に配置され、水素分子の
解離促進触媒を施したアノードと、(c)前記電解槽内
の他方の端に配置され、水素原子の再結合促進触媒を施
したカソードと、(d)前記アノードとカソードとの間
に設定レベルの直流電圧を印加するための通電手段と、
(e)前記カソードから発生する水素ガスを前記アノー
ドに循環供給するための水素ガス循環手段と、(f)前
記電解槽の外壁面の前記アノードに隣接する個所に設け
た吸熱用熱交換手段と、(g)前記電解槽の外壁面の前
記カソードに隣接する個所に設けた放熱用熱交換手段と
からなる構成を採用した。
[作用] 上記の構成を備えた冷・温熱発生装置は、通電手段に
よりアノードとカソードの間にあらかじめ設定したレベ
ルの直流電流を印加すると、水素分子の解離促進触媒の
働きによりアノードの表面部分に存在する水素分子は2
個の水素イオンと2個の電子とに解離され、その際に73
0kcal/molの反応熱を周囲から吸収するので、アノード
に隣接させて電解質の外壁面に設けた吸熱用熱交換手段
が冷却されて冷熱発生源となる。
発生水素イオンは電解質中をカソードに向けて移動
し、カソードの表面に到って陽電荷を失うことにより水
素原子は再結合して気体水素分子に戻るが、この再結合
反応も触媒の働きにより急速に進行して、その際に730k
cal/molの反応熱を生じさせるので、カソードに隣接さ
せて電解槽の外壁面に設けた放熱用熱交換手段が加熱さ
れて温熱発生源となる。
[実施例] 以下に図に示す実施例に基づいて本発明の構成を具体
的に説明する。
第1図と第2図は本発明による一実施例装置の側断面
と横断面を示しており、その概略の構成は多孔性電解質
マトリックス2の介在によって隔てられたアノード室1A
とカソード室1Bを備えると共に、槽内に電解液3を充填
した電解槽1と、各々の室に納められ、それぞれの表面
に水素原子の可逆的解離・イオン化反応を促進させるた
めの触媒槽6を形成させたアノード4およびカソード5
と、アノード4とカソード5の間に直流電圧を印加させ
るための電源12と、カソード室1B内に生じた水素ガスを
アノード室1Aに戻すための水素ガス循環手段10と、電解
槽1の外壁面のアノード4に隣接する個所に設けた吸熱
用熱交換手段7と、同じくカソード5に隣接する個所に
設けた放熱用熱交換手段8とから成り立っている。
電解槽1は良好な熱伝導性と耐蝕性を兼ね備えた素
材、例えばステンレススチール板を用いて密閉された箱
状に形作られており、平面形状が矩形をなすこの電解槽
内には、その長手方向の両端端部分を残して中央部に、
炭化珪素の微粉末を弗素樹脂系の結着剤を用いて集成さ
せた多孔性電解質マトリックス2を図示の如く充填して
いる。
電解槽1の両側端部分に形成されたアノード室1Aの底
壁とカソード室1Bの頂壁面は、それぞれ水素ガス出入用
くり抜き孔を穿ち、この両穴の間を水素ガス循環用手段
としての水素ガス通路10によって連通させている。
アノード4とカソード5とは同一の形状・構造を備え
ており、多孔質炭素製の角棒の表面に、水素分子の可逆
的解離・イオン化反応の促進触媒としての水素細菌、例
えばヒドロゲナーゼをゲル質の担体中に固定させるなど
して調製された触媒槽6を設けている。水素細菌を含む
触媒層に代えて白金黒を含む触媒層を形成させてもよ
い。
アノード4は電気絶縁材製のスペーサ9に載せてアノ
ード室1A内の中央部に配設し、上端部には直流電源12の
陽極に連らなる導線13が、電源スイッチ15を介在させた
状態のもとに接続されている。
カソード5も同様なスペーサ9に載せてカソード室1B
内の中央部に納め、その上端部に直流電源12の陰極に連
らなる導線14を、電圧調整器16を介在させた状態のもと
に接続している。
電解層1内には電解液としての例えば燐酸水溶液3が
充填されており、いずれも多孔性組織を備えるアノード
4、カソード5および固体電解質マトリックス2の組織
内には、電解液3が浸透している。
電解槽1の外壁面に取付けた吸熱用熱交換手段として
の吸熱用熱交換機7と、放熱用熱交換手段としての放熱
用熱交換機8とは、同一の形状・寸法を備えており、こ
の実施例では2サイクル内燃機関のシリンダー放熱器の
如く、多数のフィンを狭い空隙をへだてて外壁面に列植
した構造が与えられている。この他にも例えば自動車の
ラジエータや冷房装置のエバポレータなどに組込まれて
いる熱交換用のフィン構造に類似したものを取付けても
よい。更にこのフィン部分を包囲するようにして通風用
ダクトを組み付けるのも一法である。
また電解槽1は腐蝕性電解質溶液に浸されやすいの
で、フィンとその取付壁部分とを熱伝導性のすぐれた金
属材料で一つのユニットとして一体的に作成し、電解槽
の主要部分は腐蝕の恐れのない硬質合成樹脂で成形した
うえ、両者をパッキン材を介して分解可能に液蜜的に合
体さる方法を採ってもよい。
次に上記実施例装置の作動を説明する。先ず電源スイ
ッチ15を投入すると共に、電圧調整器16を操作すること
によって所望レベルの直流電圧をアノード4とカソード
5との間に印加する。
電圧印加に伴ってアノード側では触媒層6の働きに基
づいて下記の吸熱反応が、充分に実用可能な量の冷熱の
発生を伴いながら急速に進行する。
H2→2H++2e-−730kcal/mol アノード側でこの反応が起きると、水素の気化、解
離、およびイオン化のためのエネルギーがそれぞれ消費
されるが、この3種類の相変化のために消費されるエネ
ルギーのうちで、気化エネルギーは無視し得る程少な
く、イオン化エネルギーが最も大きくて水素分子1モル
当たり626.864kcal、解離エネルギーは103.257kalであ
って、この両者は合わせて約730kcal/molの反応熱がア
ノード4の周辺から第2図中に矢印(イ)で示したよう
に供給されることになる、従ってアノード室1A内の電解
液3およびこの室壁に外気との接触を保たせて取付けら
れている吸熱用熱交換器7は急速に温度低下する。
アノード4に生じた水素イオンH+は電解質マトリック
ス2内を運ばれてカソード5側に到達し、また電子e-
導線13、直流電源12および導線14を経由してカソード5
に運ばれるので、カソード側では触媒層6の働きに助け
られて、下記の如き発熱を伴う水素原子の再結合反応が
急速に進行する。
2H++2e-→H2+730kcal/mol 従ってカソード5を包囲するカソード室1B内の電解液
3およびこの室壁に取付けてある放熱用熱交換器8は、
アノード側のそれとは逆に解離反応時の吸熱量に見合う
量の温熱を受け取って加熱され、第2図中に矢印(ロ)
で示した如く周囲に温熱を放出する。
カソード側に生じた気体としての水素分子は、カソー
ド側とアノード側の間の気圧差により図中に破線矢印で
示したようにカソード室1Bの頂壁開口部から水素ガス通
路10内に流出し、この通路内をたどってアノード室1A内
にその底壁開口部から流入することによって、水素分子
の可逆的解離・イオン化反応の1サイクルが完結する。
以後電源スイッチ15が投入されている間は、この反応サ
イクルが反複継続されて、熱交換機7は印加電圧に応じ
たレベルの温度に冷されつづけ、熱交換器8は同じくあ
る定まった量の温熱を放出しつづける。
この冷却(吸熱)または加熱(放熱)度合は、電圧調
整器16を操作してアノード4とカソード5間への印加電
圧を変化させ、水素分子の可逆的解離・イオン化反応の
進行速度を制御することによって、任意に調節すること
ができる。
上記実施例装置の両熱交換機7および8部分に集めら
れた発生冷熱および温熱は、工夫次第で様々な方法によ
って有効に利用することができる。
第3図および第4図は、上記の実施例装置を自動車用
空気調和装置の冷・温風発生用空調ダクト内に組込んで
使用する事例を示している。Bは自動車の走行用エンジ
ン、Cはエンジンルームと車室との区画壁、Dは運転席
前面の計器盤、そして20は計器盤Dの下側に装架された
冷・温熱発生用の空調ダクトであって、その一部はエン
ジンルーム内に位置している。
空調用空気の通過路をなす硬質合成樹脂製の空調ダク
ト20には、気流の上流側端に被空調空気の導入口として
の外気吸入口21と、内気(車内空気)吸入口22、これら
両口の選択的開閉用の内外気切替ダンパ23が設けてあ
る。そして下流側端には車室内空調用吹出口28と、窓ガ
ラスの曇り止め用デフロスト吹出口29が開口している。
空調ダクト20の内部には上流側から順次、電気モータ
25によって駆動されるブロワ24、本発明装置A、温水式
暖房用熱交換器としてのヒータコア26が配設されてお
り、のダクト内にはヒータコア26をバイパスさせる冷風
路を設けると共に、ヒータコア26を通過する空気量と冷
風路を通過する空気量との割合を任意に変化させて、空
調済空気の温度を調節するエアミックスダンパ27が組付
けられている。32と33は空調用吹出口28とデフロスト吹
出口29を選択的に開閉させるための吹出モードイ切替ダ
ンパである。
本発明装置Aは、吸熱用熱交換器7の部分を被空調空
気に効率的に接触させ、且つ放熱用熱交換器8の部分を
空調ダクト20の外に突出させられる配置のもとにダクト
壁に取付けられている。このようにダクト外に突出状態
にある放熱用熱交換器8が空調装置の冷房運転時に車室
内に温熱を放散する不都合を避けるために、熱交換器8
は、カバーダクト30によって覆われており、第4図に示
したようにこのダクト30の一端側30Aは車室内に向け
て、また他端側30Bはエンジンルーム内に向けて開口し
ている。
本発明装置Aの作動用直流電源12としては車載バッテ
リを用い、ブロワ用モータ25もこの電源から給電を受け
る。また電源スイッチ15と電圧調整器16の操作用つまみ
は、計器盤Dに組付けた空調装置の操作パネル(図示
略)に取付けられている。
この空調装置の冷房運転時の作動は、電源スイッチ15
を投入することによって本発明装置Aとブロワ用モータ
25とを同時に働かせると、吸熱用熱交換器7はその周辺
空気から熱を吸収し始め、また放熱用熱交換器8はこの
吸収熱を放散し始める。
ブロワ24は外気導入口21または内気吸入口22から被空
調空気を吸入して空調ダクト20内に圧送するので、この
圧入空気は吸熱用熱交換器7と接触しながら空調ダクト
20内を流れる間に所望温度まで冷やされる。この冷却度
合は電圧調整器16の操作によって任意に増減できるの
で、電圧調整器16は空調済空気の調温手段としての役割
を果たすことになる。
冷房時にはエアミックスダンパ27がヒータコア26の空
気入口を全閉させるので、冷却された空気は冷風路をた
どり、空調用吹出口28またはデフロスト吹出口29から車
室内に吹出される。
車室内の気圧は外気より幾分高められているので、車
室内に吹出された空気の一部は、カバーダクト30の車室
内側開口端30Aからこのダクト内に流入し、外気に連ら
なるエンジンルーム内に位置する他方の開口端30Bに向
けて吹き抜ける間に、放熱用熱交換器8部分からの放散
熱を受け取って車外に運び出す役割を果たす。
もっとも本発明装置を冬季に暖房装置として活用し除
湿暖房運転を行いたい場合には、カバーダクト30の下流
側に車室内に向けて開口する分岐ダクトと分岐路ダンパ
を設けておき、吸熱用熱交換器7の働きによって被空調
空気の除湿を行わせると共に、カバーダクト30内に流入
し、放熱用熱交換器8によって暖められた空気は、分岐
ダクト内を経て車室内に逆戻りさせる方法を採るとよ
い。この時放熱用熱交換器8はヒータコア26の働きを助
ける補助ヒータとして役立つ。
第6図に上記実施例装置の吸熱および発熱特性と空調
装置としての成績係数を、計算値に基づいてグラフ化し
て示した。
横軸にアノードとカソード間への印加電圧が、左側縦
軸に吸熱用熱交換器7と放熱用熱交換器8との間の温度
差Δtが、また右側縦軸に装置の作動効率つまり費した
エネルギーに対する取り出されたエネルギーの割合とし
ての、成績係数の値が採られており、グラフPは印加電
圧対発生温度差の関係を、またグラフTは印加電圧対成
績係数の関係を表している。
計算の前提条件として、電解質および電気回路の電気
抵抗値は零であり、電解質マトリックスや水素ガス通路
などからの熱漏洩がないものと仮定し、また発生温度差
Δtはカルノー効率に従うものとした。
通常の自動車用空調装置では、冷熱発生源温度は0
℃、温熱発生源温度は60℃に達することが求められるの
で、吸熱用熱交換器7を0℃まで冷却させ、また放熱用
熱交換器8を60℃まで昇温させるためには、第6図のグ
ラフからして約3.5Vの電圧をアノードとカソードの間に
印加してやればよいことがわかる。このような装置作動
条件下での成績係数は、約4.5とかなり良好な値を示し
ている。
第5図は上記の実施例装置を乗用自動車のトランクル
ーム内に設置して、盛夏の炎天下にやむなく一時駐車さ
せた後車に戻った時の、車室内の異常な暑さに閉口しな
くても済むための使い方を示した、車体後部の透視図で
ある。
本発明装置Aは冷風発生用空調ボックス40内に納めら
れて、トランクルームFと車室Eとの仕切壁に接近させ
てトランクルーム内に設置されている。
空調ボック40の前面(車室側)壁に設けた吸気口40A
は、上記の仕切壁を貫いて取り付けてある車内空気導入
ダクト41に接続されている。又頂面壁に開口させた吹出
口40Bには冷風ダクト42を組付け、その下流端は車体の
リアパッケージトレーHに形成させてある冷風吹出グリ
ル43に接続させている。
空調ボックス40の後面壁部分は欠如して開放状態にあ
り、この開口部に図示の如く本発明装置Aを、その吸熱
用熱交換器7がボックス40内に向けて位置し、放熱用熱
交換器8がトランクルームF内に臨む様にして組付けて
いる。
本発明装置Aの通電手段をなす直流電源としては、前
例のバッテリに代えてリアパッケージトレーHの上面に
取付けた太陽電池50を用いる事によって、駐車中にバッ
テリ電力が浪費される不都合をなくしている。
空調ボックス40の吸気口40Aの近辺には、昇温しつつ
ある車室内空気をこのボックス内に吸入したうえ吸熱様
熱交換器7に吹き付けるための、電動ファン51が組付け
られて太陽電池50から給電を受ける。
この実施例装置の作動は、自動車の搭乗者全員が一時
的に車から離れた後車に戻った時、車内が異常に熱せら
れていることが予想される時には、太陽電池50の発生電
力を本発明装置Aと電動ファン51に流すための装置起動
スイッチ(図示略)を投入すると、電動ファン51は回転
し、吸熱用熱交換器7は既述の如く冷却し始める。従っ
て、炎天下に曝れて太陽光に照りつけられているために
次第に昇温しようとする車室内空気は、既に述べた様な
風路をたどって車室内Eと空調ボックス40との間を循環
しつづける事になり、装置Aの冷凍能力の限度において
車室内は乗員が車に戻って乗り込む時に不快を感じない
程度には冷却される。
太陽電池59による発生電圧は例えば、1〜2V内外と比
較的低レベルであっても、既述の第6図にみられる様に
本発明装置Aの成績係数(作動効率)は2近くに達する
ので、充分に所期の目的が遂げられる。
放熱用熱交換器8に生じた温熱は、トランクルームF
の空隙個所をくぐり抜けて大気中に散逸する。トランク
ルームF内の昇温を極力防ぐためには、この発生温熱の
強制排出用ダクトを設ければよい。
駐車中の車室内の強制冷却手段の一例としての、車載
バッテリや太陽電池によって駆動させる電動ファンを用
いて単に換気のみを行う従来方法と、この実施例方法と
を較べると、後者の方がはるかに冷却効果が勝っている
うえに、貴重なバッテリ電力を浪費しなくて済む。
その上、車の走行中には車載空調装置を補佐して、窓
開口面積が大きいために特に昇温しやすい後席空間の冷
房効果を高めるためにも活躍してくれる。
本発明装置Aによる車載空調装置の補佐機能は、冬季
の車室内暖房時にも同様に発揮させる事が可能である
が、その場合には、例えば装置Aを好調ボックス40に回
転可能に取付けて、放熱用交換器8をボックス40の内側
に臨ませられる様にするなどの機構を付設する必要があ
る。
上記実施例では電解質として燐酸溶液を用いている
が、その他にも公知の様々なタイプの電解質例えば固体
電解質を用いることもできる。
また装置の具体的な形状・材質たとえば吸熱および放
熱用熱交換機の形状や、アノードおよびカソードの形状
とその配置の仕方、あるいは電解槽の構造などは必要に
応じて適宜に設計変更してもさしつかえなく、本発明装
置の使途も勿論自動車用空調装置に限られるものではな
い。
[発明の効果] (イ)可動部分を全く有しないので、部品の消耗による
装置寿命の短縮を来たさない。
(ロ)従って部品交換などの保守の手間が省ける。
(ハ)可動部分を有しない点で共通している、ペルチェ
素子を用いた熱電変換式冷凍装置に較べてはるかに高い
成績係数が得られる。
(ニ)装置の全体構成を、低沸点冷媒を用いた従来の冷
凍装置あるいはヒートポンプ装置に較べてはるかに単純
化できる。
(ホ)その外形のコンパクト性と、冷・温両熱の発生機
能を有効に生かしながら様々な産業分野に亘って、利用
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図は本発明による一実施例装置を示した、
それぞれ側断面図と横断面図である。 第3図と第4図は上記実施例の装置を組込んだ空調装置
を装架させた乗用自動車の部分側断面図とその部分拡大
図である。 第5図は上記実施例装置を乗用車のトランクルーム内に
設置して、炎天下での一時駐車中に車室内を冷やす目的
に使用する事を示した見取図である。 第6図は本発明装置の作動特性グラフである。 図中 1……電解槽、2、3……電解質、4……アノー
ド、5……カソード、6……水素分子の解離および再結
合促進触媒、7……吸熱用熱交換器手段、8……放熱用
熱交換手段、10……水素ガス循環手段、13〜16……通電
手段、50……太陽電池、51……電動ファン

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)電解質と水素を封入した電解槽と、 (b)前記電解槽内の一方の端に配置され、水素分子の
    解離促進触媒を施したアノードと、 (c)前記電解槽内の他方の端に配置され、水素原子の
    再結合促進触媒を施したカソードと、 (d)前記アノードとカソードとの間に設定レベルの直
    流電圧を印加するための通電手段と、 (e)前記カソードから発生する水素ガスを前記アノー
    ドに循環供給するための水素ガス循環手段と、 (f)前記電解槽の外壁面の前記アノードに隣接する個
    所に設けた吸熱用熱交換手段と、 (g)前記電解槽の外壁面の前記カソードに隣接する個
    所に設けた放熱用熱交換手段とからなる冷・温熱発生装
    置。
  2. 【請求項2】前記水素分子の解離促進触媒および水素原
    子の再結合促進触媒は、それぞれ水素細菌としてのヒド
    ロゲナーゼであることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の冷・温熱発生装置。
  3. 【請求項3】前記水素分子の解離促進触媒および水素原
    子の再結合促進触媒は、それぞれ白金黒であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の冷・温熱発生装
    置。
  4. 【請求項4】前記通電手段は太陽電池であることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに
    記載の冷・温熱発生装置。
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