JP2502812Y2 - デマンドバルブ制御におけるガス流量切替装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、デマンドバルブ（呼吸に同期して所望の期
間だけガスを間歇的に吹送するバルブ）を有するガス供
給システムに関するものである。

〔従来の技術〕

ガス供給路、殊に酸素ガス供給路において、呼吸に同
期して所望の期間だけ（通常は吸気間）ガスを間歇的に
吹送するデマンドバルブを付設した方法や装置が種々提
起されている。（例えば特開昭59−8972号公報参照）ま
たガス供給路のガス供給源を空気を原料として空気中の
酸素を選択的に分離し酸素富化ガスを生成する酸素濃縮
器と組み合わせて、デマンドバルブ制御による間歇吹送
を行うものも開示されている。（例えば特開昭61−1317
56号公報参照） このようなデマンドバルブ制御による間歇吹送を行う
ガス供給路の流量は間歇吹送を実施することを前提に設
定しているので、連続的な恒常流による吹送時の流量に
比較して多い場合がある。

従って何らかの理由、例えば呼吸が停止したときとか
呼吸検出のセンサーの故障等によりデマンドバルブによ
る間歇吹送制御を行わない、あるいは行えない場合であ
って、連続的な恒常流による吹送になる時の流量も間歇
吹送時に設定した流量となる。

〔考案が解決しようとする課題〕

デマンドバルブによる間歇吹送を行うガス供給システ
ムにおいて、ガス消費流量の平均値は呼吸相比（呼吸と
吸気の時間比）が1:1の場合で、約1/2,2:1の場合で約1/
3になる。一般に人の呼吸相比の多くは2:1であることが
知られている。

従ってデマンドバルブにり間歇吹送を行うガス供給シ
ステムにおいては、従来一般に行われていた連続的な恒
常流による吹送に比較して、同一医療効果を得るための
ガス消費量の多くは約1/3になるという特長がある。さ
らにガス供給源が圧力変動吸着法（以下、PSA法ともい
う）による酸素濃縮器の場合には同器の規模（容積，重
量，消費電力等）を小さくすることが可能となる。

一方、従来一般に行われていた連続的な恒常流による
吹送時と同一の平均ガス消費量に設定すれば間歇吹送時
の流量は約三倍にすることができ、小型の酸素濃縮器で
より高い医療効果を必要とする重症患者にも適用でき
る。

しかしながら何らかの理由、例えば呼吸が停止したた
めに呼吸信号が得られない場合とかあるいはデマンドバ
ルブ制御系の故障等の場合にはデマンドバルブは開放と
して恒常流の吹送にする必要がある。また任意にデマン
ドバルブによる間歇吹送を中止して恒常流による吹送に
する場合もある。

このような場合には、間歇吹送時のガス消費量に適合
する流量値に設定した状態のままの恒常流になるという
問題がある。そして、PSA法による酸素濃縮器の場合に
は定格性能の３倍以上の酸素ガスを取出すことになるの
で酸素濃度が急激に低下し、酸素ガスの産出が困難とな
る。

このことは供給ガスの節約にならないし特にガス供給
源がPSA法による酸素濃縮器の場合には吐出する生成酸
素ガスの消費流量が適正な生成酸素ガスの消費流量値よ
り増加し、生成酸素ガスの酸素濃度が著しく低下すると
いう問題がある。

本考案はこのような問題点に鑑みなされたものでデマ
ンドバルブによる間歇吹送時に設定した流量値とは別の
流量値に設定するガス流量切替装置を提供することを目
的とする。

〔課題を解決する為の手段〕

前記課題を解決するために本考案ではデマンドバルブ
制御による間歇吹送時の流量とは異なる流量に設定する
切替手段をガス供給路に付設した。

この切替手段は第１図のようにガス供給路に切替弁３
を付設したもので、通常、すなわちデマンドバルブによ
る間歇吹送を送っている場合には、流量設定弁４を経由
してガスをカニューラ給気管６へ供給してこのガスを患
者の鼻孔内に開放して供給し酸素療法のために吸入す
る。このカニューラ鼻孔部に接続されている呼吸相検出
のセンサー７の出力を信号線８によりデンドバルブ５内
に有する呼吸相弁別電子回路により吸気相の期間のみ該
デマンドバルブ５を開とし、その信号を信号線９により
切替弁制御器10に伝えている。この信号に同期したデマ
ンドバルブの開閉がなく、一定時間（例えば約10〜20
秒）以上信号線９に制御信号がない場合には、呼吸停止
等の何か医療上の問題か、センサー故障が発生したもの
とみなして切替弁制御器10により切替弁３を自動的に制
御して流量設定弁４′を経由してガスをカニューラ給気
管６へ供給するように構成したものである。

〔作用〕

第１図の構成でガス供給源１によりカニューラ給気管
６へ至る経路においてはカニューラの鼻孔開口部近くに
設置されている呼吸相検出のセンサー７が検出した呼吸
信号は信号線８によりデマンドバルブ５内にある電子回
路により同バルブ５を制御してガス供給路を開閉し、供
給ガスは流量設定弁４を経由して該流量設定弁４によっ
て設定された流量により間歇吹送のガスをカニューラ給
気管６に供給するものであり、この場合にはデマンドバ
ルブ５を制御する信号は信号線９を経て切替弁制御器10
に至同切替弁制御器10により切替弁３のガス通気路はガ
ス供給源１と流量設定弁４とが連通している。

一方、何らかの理由例えば任意にデマンドバルブによ
る制御を中止して恒常流としたり呼吸が停止したために
呼吸信号が得られないかあるいはデマンドバルブを制御
するセンサーの線の断線等があったときは、デマンドバ
ルブ５に開閉信号を送ることができない。すなわち一定
時間（約10〜20秒）以上継続して前記デマンドバルブ５
を制御する信号がない場合には、切替弁制御器10により
自動的に切替弁３のガス通気路はガス供給源１と流量設
定弁４′とが連通し、この流量設定弁４′の設定する流
量によりカニューラ給気管６にガスを供給するものであ
る。

切替弁３のガス通気路のうち入口と連通した通気路以
外の出口は閉塞するものである。こうすることにより呼
吸に同期した間歇吹送時は流量設定弁４、連続吹送時に
は流量設定弁４′で流量を各々別々に設定されたものに
自動的に切替えることができより高効率の医療効果を得
ることができる。

〔実施例〕

以下、実施例により本考案実施の態様を例示するがこ
の例示は勿論説明用のものであって本考案精神の限定を
意味するものではない。

第１図において、ガス供給源１は空気を原料として空
気中の酸素を選択的に分離濃縮するPSA法による酸素濃
縮器であり、通気路を切替えるために３方弁である切替
弁３を経由して通常、すなわちデマンドバルブ５により
間歇吹送を行う場合には供給ガスは流量設定弁４を経由
し、該流量設定弁４によって設定された流量により間歇
吹送のガスをカニューラ給気管６へ供給するものであ
る。

一方、何らかの理由例えば任意にデマンドバルブによ
る間歇吹送を中止して恒常流としたり、呼吸が停止した
ために呼吸信号が得られないかあるいはデマンドバルブ
５の制御系の故障等で間歇吹送を行わないあるいは行え
ない場合には、デマンドバルブ５を開放とし、デマンド
バルブ５を制御する信号はなくなる。一定時間（約10〜
20秒）以上継続して前記制御信号がない場合には、自動
的に切替弁制御器10により切替弁３のガス通気路はガス
供給源１と流量設定弁４′とが連通し、この流量設定弁
４′の設定する流量によりカニューラ給気管６にガスを
供給するものである。

なお、切替弁３のガス通気路のうち入口と連通した通
気路以外の出口を閉塞するように構成した。4,4′の流
量設定弁の流量設定値は、本実施例ではそれぞれ半固定
式としたが、固定式でも良く、また可変式であっても良
い。

切替弁３は本実施例では３方電磁弁で構成したが２方
電磁弁を複数個組み合わせても同様の目的のために構成
することができる。さらにこれらの電磁弁は無励磁保持
素子（いわゆるラチェットキープ素子）電磁弁で構成す
ることも可能である。またこれらの電磁弁に替えてボー
ル弁等によって任意に手動切替えとして切替弁制御器10
を省略することも可能である。

本実施例では、ガス供給路のガス流量の間歇吹送時の
流量とは異なる流量に設定する切替手段をガス供給路に
付設した切替弁で行ったが間歇吹送を行わない場合には
デマンドバルブ５は開放になるので切替弁３を省略して
流量設定弁４の流量設定値を切替弁制御器10により自動
的に恒常流に適した値に設定することも可能であり、こ
のような構成も本考案の主旨に合致する。

なお、デマンドバルブを連続吹送のときは閉とし、デ
マンドバルブに流量設定弁４′と直列に二方弁を入れた
ものを並設し、この二方弁を開にしてもよい。

本実施例のセンサー７は、呼吸の温度差を検出する熱
電対を使用したが、このセンサー７は呼吸の変化を検出
できるセンサーであれば良いので本実施例に限らず、例
えば焦電センサーやサーミスター等の温度差を検出可能
なもの、あるいは呼気と吸気の圧力変化を検出して電気
信号が得られる圧力センサーであっても良い。

〔効果〕

本考案を実施することにより、次のような効果があ
る。デマンドバルブ制御による間歇吹送によるガス供給
路の流量は連続的な恒常流による吹送時の流量に比較し
て多い値に設定しても平均的な流量は少なくなるという
利点がある反面、間歇吹送でなく、連続的な恒常流とな
った場合には流量が適正な値に対して多くなり供給ガス
の節約にならないばかりか、ガス供給源がPSA法による
酸素濃縮器の場合には、吐出する生成酸素ガスの消費流
量が適正値を超えて生成酸素ガスの酸素濃度が著しく低
下することになる。このような場合に、本考案を実施し
た構成にあっては流量設定弁４から流量設定弁４′へ切
替わるので、流量設定弁４′で恒常流に適した流量に設
定することができ、ガス供給源１の供給ガスの節約にな
り、さらに同ガス供給源１がPSA法による酸素濃度器で
ある場合には、吐出する生成酸素ガスの消費流量を適正
に設定することができるので生成ガスの酸素濃度も高い
値に維持することができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の１実施例を示す制御用の電源の図示
を省略した系統図である。 図中の符号の意味は次の通りである。 １……ガス供給源 ２……配管 ３……切替弁 4,4′……流量設定弁 ５……デマンドバルブ ６……カニューラ給気管 ７……センサー 8,9……信号線 10……切替弁制御器

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】空気を原料として空気中の酸素を選択的に
   分離し酸素富化ガスを生成する圧力変動吸着法による酸
   素濃縮器から吐出する酸素富化ガスを酸素吸入の用に供
   する酸素富化ガス供給路であって、該酸素富化ガス供給
   路に付設して、呼吸に同期して所望の期間だけ酸素富化
   ガスを所定の流量で間歇的に吹送するように制御するデ
   マンバルブを有する酸素富化ガス供給システムにおい
   て、該デマンドバルブによる間歇的吹送制御を行なわな
   い場合には、該デマンドバルブの開閉動作の有無をこの
   開閉動作を指示する信号により検出し、自動的に該酸素
   富化ガス供給路の酸素富化ガスの流量を前記の所定の流
   量とは異なる別の流量値の流量に切替える手段を有する
   ことを特徴とするデマンドバルブ制御におけるガス流量
   切替装置。