JP2502229B2 - 表裏識別性に優れた有機複合被覆鋼板 - Google Patents

表裏識別性に優れた有機複合被覆鋼板

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JP2502229B2 JP3312295A JP31229591A JP2502229B2 JP 2502229 B2 JP2502229 B2 JP 2502229B2 JP 3312295 A JP3312295 A JP 3312295A JP 31229591 A JP31229591 A JP 31229591A JP 2502229 B2 JP2502229 B2 JP 2502229B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に自動車車体用鋼板
としてプレス加工性、カチオン電着塗装性、スポット溶
接性、耐食性などに優れ、かつ表裏識別性に優れた有機
複合被覆鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体の高耐食性化に対する強い社
会的要請に応えて、冷延鋼板表面上に亜鉛または亜鉛系
合金めっきを施した表面処理鋼板の自動車車体への適用
が近年拡大している。
【0003】これらの表面処理鋼板としては、溶融亜鉛
めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっ
き鋼板および電気亜鉛系合金めっき鋼板などが挙げられ
る。しかしながら、車体組立後に行われる塗装が十分に
行き渡らない車体内板の袋構造部や曲げ加工部(ヘミン
グ部)では、さらに高度な耐食性が要求されてきた。こ
のような用途に対応する自動車用鋼板として、例えば特
開昭57−108292号公報、特開昭58−2241
74号公報および特開昭63−22637号公報などで
は亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板上にクロメートおよ
び有機高分子樹脂層を施した有機複合被覆鋼板が提案さ
れている。これらの有機複合被覆鋼板についての、より
一層のプレス加工性、カチオン電着塗装性、スポット溶
接性、および耐食性などの改善に関して、今日でも多く
の提案が行われている。
【0004】これまで有機複合被覆鋼板の多くは、鋼板
の両面に亜鉛および亜鉛系合金めっきを施したとして
も、車体外板として使用する場合には内面側の鋼板表面
にのみクロメートおよび有機高分子樹脂層が施されてき
たが、本発明者等は特願平2−133541号にて車体
外面側にも有機複合被覆を施して、耐食性を向上させる
方法を提案している。
【0005】ところで、自動車製造工場の加工組立ライ
ンでは、使用部位や仕向先などに応じて、有機複合被覆
鋼板などの表面処理鋼板や冷延鋼板、さらに表面処理鋼
板においてもめっき目付量の異なる鋼板などが混在して
使用されるのが常態である。したがって、所期の設計通
りの鋼板を混乱することなく使用することは重要な品質
管理につながる。この目的のために冷延鋼板と有機複合
被覆鋼板などの表面処理鋼板における光の反射強度の違
いを利用した光電センサの使用が自動識別手段として実
用化されている。光の反射強度が異なる2種類の鋼板だ
けが混在するのであれば、比較的安価な光電センサの利
用でも目的を達成することができる。しかしながら、同
一種類の表面処理鋼板においてめっき目付量のみが異な
るような場合は光の反射強度には変化が生じないので、
前述の方法を適用することができない。
【0006】さらに、前述のように車体外板として表裏
で付着量の異なる両面有機複合被覆鋼板を用いたり、あ
るいは表裏でめっき目付量が異なる有機複合被覆鋼板を
用いる場合には、鋼板表裏を誤用することは大問題にな
る。
【0007】そこで、亜鉛系めっき鋼板にクロメート処
理し、少くともその片面に着色顔料を添加した樹脂皮膜
を設けることにより、鋼板の表裏に色差を設けること
が、特開平2−214653号公報に提案されている。
しかし、前記公報において色差を設けるために添加する
顔料として具体的に開示された酸化鉄イエロー等の無機
顔料や、フタロシアニン系有機顔料では、耐熱性、耐ア
ルカリ性、耐酸性、耐溶剤性、耐水性、着色力といった
自動車用鋼板として同時に具備すべき性能を、すべて満
足するものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの従来
技術における問題点を解決するためになされたものであ
る。例えばめっきの種類やめっき目付量の違いおよび表
裏樹脂層の付着量の違いなどに応じて有機複合被覆鋼板
に色調の違いがあれば、カラーセンサを用いて自動的に
識別することが可能になる。また人間が判別する場合で
も、明瞭な色調の違いによって適用鋼板の間違いなどの
混乱を防止できる利点がある。さらに、自動車用鋼板と
して具備すべき種々の性能をも十分に満足するものであ
る。
【0009】本発明はこのような観点から有機複合被覆
鋼板に色調を与えることを主眼になされたものである
が、自動車車体用鋼板としての有機複合被覆鋼板とし
て、プレス加工性、カチオン電着塗装性、スポット溶接
性、耐食性などに優れているばかりでなく、着色顔料が
添加されたとしても、耐パウダリング性、摺動性、耐ク
ロム溶出性、耐水二次密着性などの劣化がなく、またア
ルカリ脱脂時に着色顔料が溶出して脱脂液を汚染するこ
とのない表裏識別性に優れた有機複合被覆鋼板を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板
の両表面上にクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜
の上層に主としてシリカおよび有機高分子樹脂を配合し
てなる樹脂層を有する有機複合被覆鋼板であって、少な
くとも前記鋼板片面の樹脂層中に縮合多環系顔料の1種
以上を片面当り1〜10重量%配合し、前記樹脂層の色
調が鋼板表裏で差のあることを特徴とする表裏識別性に
優れた有機複合被覆鋼板が提供される。
【0011】前記縮合多環顔料としてキナクリドンレッ
ドおよび/またはキノフタロンイエローを用いるのが好
ましい。
【0012】前記樹脂層を構成するシリカとして、凝集
性のある有機溶剤分散シリカゾルまたは疎水性ヒューム
ドシリカを用いるのが好ましい。
【0013】前記樹脂層中におけるシリカと有機樹脂の
乾燥重量比が、樹脂100重量部に対してシリカ10〜
100重量部であるのが好ましい。
【0014】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明において素材としては、亜鉛または亜鉛系合金めっ
き鋼板を用いる。鋼板に施されるめっきの種類として
は、純Znめっき、Zn−Ni合金めっき、Zn−Fe
合金めっき、Zn−Cr合金めっきなどの二元系合金め
っき、Zn−Ni−Cr合金めっき、Zn−Co−Cr
合金めっきなどの三元系合金めっきなどを用いることが
でき、またZn−SiO2 めっき、Zn−Co−Cr−
Al2 3 めっきなどの複合分散めっきも用いることが
できる。これらのめっきは電気めっき法、溶融めっき
法、あるいは気相めっき法によって施される。
【0015】これらの亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板
の上に、後述の樹脂層との密着性を向上させ、また高耐
食性を付与するためにクロメート処理を行う。クロメー
ト付着量としてはCr換算で5〜500mg/m2 、好まし
くは10〜150mg/m2 の範囲とする。このようなクロ
メート処理は、ロールコータなどを用いる塗布型クロメ
ート法、電解クロメート法、反応型クロメート法などの
いずれの方法によってもよい。
【0016】このようなクロメート皮膜上層には、シリ
カと有機高分子樹脂からなる複合被膜が施される。本発
明において用いられる有機高分子樹脂としては、特に限
定しないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、アルキッド樹脂あるいはウレタン樹脂などを例
示でき、殊に、特開平2−258335号公報や特開平
3−130141号公報に提案されている数平均分子量
2000以上のエピクロールヒドリン−ビスフェノール
A型エポキシ樹脂をベースとする樹脂組成物を用いるの
が強靱性および耐食性の観点からより望ましい。
【0017】次に、縮合多環系顔料について説明する。
着色顔料は、無機顔料と有機顔料に大別される。無機顔
料は、一般に粒子径が大きく、着色力も劣るため、着色
に多量の顔料を添加しなければならない。本発明の目的
とする薄膜型有機複合被覆鋼板の膜厚は多くは2μm以
下であるから、顔料の平均粒径がこれ以上になると耐パ
ウダリング性やプレス加工性が低下するという問題が生
じる。
【0018】一方、有機顔料は無機顔料に比べて、粒子
径が小さく着色力も大きいので、少量で着色が可能であ
り、耐パウダリング性やプレス加工性の点で有利であ
る。しかし、有機顔料で広く用いられているアゾ顔料
は、その化学構造から推定できるように耐熱性に劣り、
本発明のように樹脂層を160℃程度の高温で焼き付け
る用途に使用した場合、カラーセンサーによる安定な識
別が困難となる。また、レーキ顔料は、耐水性および耐
アルカリ性に劣り、アルカリ脱脂等が行われる用途に使
用された場合、鋼板の脱色および脱脂液への顔料の溶出
が起こり、これも適さない。
【0019】このように有機顔料では、化学構造によっ
て性能が大きく変わる。本発明に用いる有機顔料は、そ
の使用目的から、耐熱性、耐アルカリ性、耐酸性、耐溶
剤性、耐水性、着色力等に優れることが要求され、この
目的には縮合多環系顔料が好適に適用される。縮合多環
系顔料は、その高い電子密度と高度に共役したπ電子系
の存在による化学的な安定化から、非常に優れた性能を
有する。このため、縮合多環系顔料としては、キナクリ
ドン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、ペ
リレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、ジ
オキサジン顔料、チオインジゴ顔料等が挙げられるが、
これらの中から目的に合った色相を有する顔料を選択す
ることができる。例えば、赤色の識別性を有する顔料と
しては、キナクリドンレッド等が挙げられ、黄色の識別
性を有する顔料としては、キノフタロンイエロー等が挙
げられる。
【0020】具体的な実験事実に基づいて説明する。低
炭素鋼板上に目付量20g/m2のZn−Ni合金めっき
(12重量%Ni)を施し、次いでロールコーターを用
いてCr6+比50%の塗布型クロメートを50mg/m
2 (Cr換算)を塗布し、最高到達板温130℃で焼き
付けた。次に、数平均分子量3750のエポキシ樹脂
(シェル化学(株)製エピコート1009)9重量%と
エチルセロソルブ中に分散したシリカゾル(平均一次粒
子径10nm、平均凝集粒子径0.4μm)6重量%か
らなる塗料を乾燥重量が0.7g/m2になるようにロール
コーターで塗布し、最高到達板温160℃で焼き付けた
後、直ちに水冷、乾燥した。この際、塗料中でキナクリ
ドンレッド添加量を樹脂層中の乾燥重量比率として0〜
15重量%に変化させた。
【0021】図1はこのようにして作成した有機複合被
覆鋼板の赤色識別性をHOYA−SCHOTT(株)製
カラーセンサーHCS1080を用いて評価した結果を
示したものである。樹脂層中におけるキナクリドンレッ
ドの配合量が1重量%以上になると、赤色識別に必要な
出力値を得ることができた。これが樹脂層中への赤色顔
料キナクリドンレッドの配合量の下限を1重量%にした
理由である。この観点からは配合量は多いほど出力値は
高くなるが、キナクリドンレッドの配合量が10重量%
を超えると電着塗料との密着性における劣化が確認され
たことから、これを上限値とした。
【0022】低炭素鋼板上に目付量20g/m2のZn−N
i合金めっき(12重量%Ni)を施し、次いでロール
コーターを用いてCr6+比50%の塗布型クロメートを
50mg/m2 (Cr換算)塗布し、最高到達板温130℃
で焼き付けた。次に、数平均分子量3750のエポキシ
樹脂(シェル化学(株)製エピコート1009)9重量
%とエチルセロソルブ中に分散したシリカゾル(平均一
次粒子径10nm、平均凝集粒子径0.4μm)6重量
%からなる塗料を乾燥重量が0.7g/m2になるようにロ
ールコーターで塗布し、最高到達板温160℃で焼き付
けた後、直ちに水冷、乾燥した。この際、塗料中での黄
色顔料キノフタロンイエロー添加量を樹脂層中の乾燥重
量比率として0〜15重量%に変化させた。
【0023】図2はこのようにして作成した有機複合被
覆鋼板の黄色識別性をHOYA−SCHOTT(株)製
カラーセンサーHCS1080を用いて評価した結果を
示したものである。
【0024】樹脂層中におけるキノフタロンイエローの
配合量が1重量%以上になると、黄色識別に必要な出力
値を得ることができた。これが樹脂層中への着色顔料キ
ノフタロンイエローの配合量の下限を1重量%にした理
由である。この観点から配合量は多いほど出力値は高く
なるが、キノフタロンイエローの配合量が10重量%を
超えると電着塗料との密着性における劣化が確認された
ことから、これを上限値とした。なお、前記キナクリド
ンレッドおよびキノフタロンイエロー以外の縮合多環系
顔料についても同様の理由から1〜10重量%の配合量
とするのが好ましい。
【0025】前述の例では、樹脂層を構成するシリカと
して凝集性のある有機溶剤分散シリカゾルを用いた。塗
料中のシリカとして、凝集性のない、エチルセロソルブ
中に均一に分散したシリカゾル(平均一次粒子径10n
m)を用いて同様の実験を行った結果も図1中にプロッ
トしたが、出力値は格段に減少した。この場合でも肉眼
で観察すると、明らかな赤色の色調は認められるが、カ
ラーセンサでの検出は困難であった。この原因を検討し
たところ、均一分散シリカゾルを用いた場合には樹脂層
表面の光沢度が高いために、樹脂層表面からの正反射光
がクロメート層からの反射光(樹脂層の透過光を信号と
して含んでいる)に比較して強くなり、樹脂層内部の色
調に関する情報の検出を困難にしていることが判った。
【0026】樹脂層を構成するシリカとして凝集性のあ
る有機溶剤分散シリカゾルを用いた場合には、樹脂層表
面の光沢度が低く、樹脂層表面からの正反射光が弱いた
めに、樹脂層内部の透過光を信号として含むクロメート
層からの反射光が相対的に強くなり、樹脂層内部の色調
に関する情報が容易に検出されることになる。
【0027】同様の目的のために、樹脂層を構成するシ
リカとして疎水性ヒュームドシリカを用いたところ、樹
脂層内での凝集が明らかに観察され、凝集性のある有機
溶剤分散シリカゾルを用いた場合とほぼ同程度の信号を
検出することができた。
【0028】なお、樹脂層中における有機樹脂とシリカ
の乾燥重量比率は、樹脂100重量部に対して10〜1
00重量部であることが好ましい。シリカ量が10重量
部未満であると、腐食環境化に曝されたときに被膜中に
形成されるZn系腐食生成物を安定に保持する能力に欠
け、高耐食性を得ることができない。また、シリカ量が
100重量部を超えると、樹脂組成物との相溶性が低下
し、塗料として鋼板上に塗布することが困難になるので
好ましくない。
【0029】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。
【0030】(実施例1)板厚0.8mmの低炭素鋼板
上に目付量20g/m2のZn−Ni合金めっき(12重量
%Ni)を施し、次いでロールコーターを用いてCr6+
比50%の塗布型クロメートを50mg/m2 (Cr換算)
塗布し、最高到達板温130℃で焼き付けた。次に、鋼
板の片面には数平均分子量3750のエポキシ樹脂(シ
ェル化学(株)製エピコート1009)9重量%とエチ
ルセロソルブ中に分散したシリカゾル(平均一次粒子径
10nm、平均凝集粒子径0.4μm)6重量%および
キナクリドンレッド1重量%(樹脂層中の乾燥重量比率
として6.25重量%)からなる塗料を乾燥重量が1g/
m2になるように、他面には着色顔料を配合することなく
乾燥重量が0.4g/m2になるようにロールコーターで塗
布し、最高到達板温160℃で焼き付けた後、直ちに水
冷、乾燥したところ、有機樹脂層中におけるシリカは平
板状に凝集して、また鋼板面上にはほぼ均一に分布して
いることが確認された。この有機複合被覆鋼板の着色面
側の皮膜性能を評価するために次のような試験を行っ
た。
【0031】識別性を評価するために、HOYA−SC
HOTT(株)製カラーセンサーHCS1080を用
い、取り出し角70°で測定したところ、着色顔料を配
合した鋼板面では赤色識別に十分な出力値を得ることが
できた。
【0032】耐食性を評価するために、5%NaCl水
溶液噴霧(35℃)4時間、乾燥(60℃)2時間、湿
潤環境(50℃)2時間を1サイクルとする複合サイク
ル腐食試験に供したところ、200サイクルを超えても
赤錆の発生することはなかった。
【0033】耐クロム溶出性を評価するために、脱脂、
水洗、表面調整、化成処理の4工程を行い、処理前後の
Cr付着量を蛍光X線分析により測定したところ、Cr
溶出量は1mg/m2 以下であった。
【0034】電着塗装性を評価するために、パワートッ
プU−600(日本ペイント(株)製)を100V、2
8℃の条件下で180秒間処理したのち、170℃で2
0分間の焼付を行ってから外観評価を行ったところ、ガ
スピンの発生はほぼ0個/cm 2 であり、またゆず肌の発
生も認められなかった。
【0035】耐水二次密着性を評価するために、20μ
m厚の電着塗装膜を施してから上塗り塗料(ルーガーベ
イクホワイト、関西ペイント(株)製)を35μm塗装
し、乾燥させたのち、40℃の温水(純水)中に10日
間浸漬し、次いで2mm角100個の碁盤目を刻み、テ
ープ剥離後の塗膜残存率を測定したが、残存率は100
%であり、剥離は観察されなかった。
【0036】スポット溶接性を評価するために、先端6
mmφのAl2 3 分散銅合金製の溶接チップを用い、
加圧力200kgf 、溶接電流9kA、溶接時間10Hz
で連続溶接を行い、ナゲット径が基準径を下回るまでの
連続溶接打点数を測定したところ、4200点であっ
た。
【0037】(実施例2)板厚0.8mmの低炭素鋼板
上に目付量20g/m2のZn−Ni合金めっき(12重量
%Ni)を施してから、実施例1と同様にクロメートを
処理した。次いで、鋼板の片面には数平均分子量800
0のウレタン変性したエポキシ樹脂9重量%と疎水性ヒ
ュームドシリカ(比表面積150m2/g)6重量%および
キノフタロンイエロー0.6重量%(樹脂層中の乾燥重
量比率として3.85重量%)からなる塗料を乾燥重量
が1.5g/m2になるように、他面には着色顔料を配合す
ることなく乾燥重量が0.5g/m2になるようにロールコ
ーターで塗布し、最高到達板温160℃で焼き付けた
後、直ちに水冷、乾燥したところ、有機樹脂層中におけ
るシリカは平板状に凝集して、また鋼板面上にはほぼ均
一に分布することが確認された。この有機複合被覆鋼板
の着色面側の皮膜性能を評価するために次のような試験
を行った。
【0038】識別性評価では、黄色識別に十分な出力値
を得ることができた。耐食性評価では、200サイクル
を超えても赤錆の発生することはなかった。耐クロム溶
出性の評価では、Cr溶出量は1mg/m2 以下であった。
電着塗装性の評価では、ガスピンの発生はほぼ0個/cm
2 であり、またゆず肌の発生も認められなかった。
【0039】耐水二次密着性の評価では、テープ剥離後
の塗膜残存率は100%であり、剥離は観察されなかっ
た。スポット溶接性の評価では、ナゲット径が基準径を
下回るまでの連続溶接打点数は3800点であった。
【0040】(比較例1)板厚0.8mmの低炭素鋼板
上に目付量20g/m2のZn−Ni合金めっき(12重量
%Ni)を施し、次いでロールコーターを用いてCr6+
比50%の塗布型クロメートを50mg/m2 (Cr換算)
処理し、最高到達板温130℃で焼き付けた。次に、鋼
板の片面には数平均分子量3750のエポキシ樹脂(シ
ェル化学(株)製エピコート1009)9重量%とエチ
ルセロソルブ中に均一に分散したシリカゾル(平均一次
粒子径10nm)6重量%およびキナクリドンレッド
0.1重量%(樹脂層中の乾燥重量比率として0.67
重量%)からなる塗料を乾燥重量が2.0g/m2になるよ
うに、他面には着色顔料を配合することなく乾燥重量が
0.5g/m2になるようにロールコーターで塗布し、最高
到達板温160℃で焼き付けた後、直ちに水冷、乾燥し
たところ、有機樹脂層中においてもシリカは均一に分散
していることが確認された。この有機複合被覆鋼板の着
色面側の皮膜性能を評価するために次のような試験を行
った。
【0041】識別性評価では、得られた出力値は赤色識
別にはまったく不十分であり、表裏の差を判別すること
ができなかった。耐食性の評価では、200サイクルを
超えても赤錆の発生することはなかった。耐クロム溶出
性の評価では、Cr溶出量は1mg/m2 以下であった。電
着塗装性の評価では、ガスピンの発生はほぼ10個/cm
2 であり、またゆず肌の発生が部分的に認められた。耐
水二次密着性の評価では、テープ剥離後の塗装残存率は
100%であり、剥離は観察されなかった。スポット溶
接性の評価では、ナゲット径が基準径を下回るまでの連
続溶接打点数は300点にすぎなかった。
【0042】なお、上述の実施例では鋼板片面のみを着
色化して、他面は無色のままにしたが、表裏を識別でき
るかぎり、鋼板両面の樹脂層中に着色顔料を配合しても
よいことは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、本発明の有機複合被覆鋼板は耐食性、スポッ
ト溶接性、電着塗装性、耐水二次密着性などに優れた被
膜特性を損なうことなく、良好な表裏識別を与えること
ができるので、自動車車体用をはじめとして、同様の品
質特性が期待される広範囲の用途に使用することができ
るので、工業的な評価は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】キナクリドンレッド配合量と赤色識別との関係
を示す図である。
【図2】キノフタロンイエロー配合量と黄色識別との関
係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 戸 延 行 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (72)発明者 田 辺 弘 往 栃木県那須郡西那須野町朝日町8−15 (72)発明者 永 井 昌 憲 栃木県大田原市薄葉1926−9 (72)発明者 小 川 修 栃木県那須郡西那須町下永田3−1172− 4 (56)参考文献 特開 平2−194946(JP,A) 特開 平2−214653(JP,A) 特開 昭61−274769(JP,A) 特開 昭62−87342(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の両表面
    上にクロメート皮膜を有し、該クロメート皮膜の上層に
    主としてシリカおよび有機高分子樹脂を配合してなる樹
    脂層を有する有機複合被覆鋼板であって、少なくとも前
    記鋼板片面の樹脂層中に縮合多環系顔料の1種以上を片
    面当り1〜10重量%配合し、前記樹脂層の色調が鋼板
    表裏で差のあることを特徴とする表裏識別性に優れた有
    機複合被覆鋼板。
  2. 【請求項2】前記縮合多環系顔料としてキナクリドンレ
    ッドおよび/またはキノフタロンイエローを用いる請求
    項1に記載の表裏識別性に優れた有機複合被覆鋼板。
  3. 【請求項3】前記樹脂層を構成するシリカとして、凝集
    性のある有機溶剤分散シリカゾルを用いる請求項1また
    は2に記載の表裏識別性に優れた有機複合被覆鋼板。
  4. 【請求項4】前記樹脂層を構成するシリカとして、疎水
    性ヒュームドシリカを用いる請求項1または2に記載の
    表裏識別性に優れた有機複合被覆鋼板。
  5. 【請求項5】前記樹脂層中におけるシリカと有機高分子
    樹脂の乾燥重量比が、樹脂100重量部に対してシリカ
    10〜100重量部である請求項1〜4のいずれかに記
    載の表裏識別性に優れた有機複合被覆鋼板。
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