JP2500605Y2 - 貯水槽用ボ―ルタップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、水洗トイレ等に設置さ
れる貯水槽用ボールタップの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】貯水槽用ボールタップとしては、ボール
タップ本体にリンク及びレバーを介して取り付けられた
浮玉の昇降運動を、このレバーと連動する弁の昇降運動
に変換して給水を制御するようにした構造のものが広く
知られている。このような貯水槽用ボールタップでは、
水位の調整はレバーと弁との相対位置を変えることによ
り行われる。

【０００３】この水位調整機能を備えた貯水槽用ボール
タップの一例が、実公昭53-30010号公報に示されてい
る。この公報記載のものは、弁の下部にレバー受けを高
さ調節自在に取り付けるとともに、水圧による衝撃によ
り位置が変化することを防止するために、両者の結合部
にロック機構を設けたものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の貯水槽用ボールタップにおいては、弁、レバー受
け、ロック機構の全てが金属製でありロック機構の構造
が複雑になるため製作コストが高く付くこと、長年使用
していると錆が生じて経年調整が困難となること等の問
題があった。本考案はこのような従来の問題点を解決
し、製作コストが安く、経年調整が容易である貯水槽用
ボールタップを提供するためになされたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本考案は、ボールタップ本体にリンク及び
レバーを介して取り付けられた浮玉の昇降運動を、この
レバーと連動する弁の昇降運動に変換して給水を制御す
る貯水槽用ボールタップにおいて、弁を中空体としてそ
の内部に前記レバーと係合する樹脂製のレバー受けを設
け、このレバー受けの下端を弁に対して螺合される樹脂
製の調節ノブにより、弁に対して上下位置調節自在に取
り付けたことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】本考案の貯水槽用ボールタップは、浮玉の昇降
運動をレバーを介して弁の昇降運動に変換し、給水を制
御することにより常に貯水槽内の水位を一定に保持する
ことは従来のものと同様である。しかし本考案では、レ
バー受け、調節ノブ等を樹脂製としたので製作コストが
安くなり、また錆が生じることがない。しかも樹脂製の
調節ノブにより弁に対するレバー受けの上下位置を調節
することができるので、水位の調整が容易である。

【０００７】

【実施例】以下に本考案を図示の実施例により更に詳細
に説明する。図１において、１はボールタップ本体であ
り、その入口２から出口３に至る流路４が弁座５により
流入側と流出側とに区画されている。６はこの弁座５の
下方に設けられた弁であり、弁６が上昇したときにはそ
の上端のパッキン７により弁座５をシールし、給水を停
止することができるようになっている。更に８はボール
タップ本体１のアーム９に枢着された浮玉であり、その
昇降運動はリンク10とレバー11を介して弁６に伝えられ
る構造となっている。以上の構造は基本的に従来のもの
と同様である。

【０００８】しかし本考案では、弁６は図２に示すよう
に中空の円筒体であって、その上端にはパッキン取付け
部12が形成されており、その下端部の外周にはネジ13が
形成されている。またその中央部には前記のレバー11を
上下方向に余裕を持って貫通させることができる貫通孔
14が透設されている。実施例では弁６はアセタール樹脂
やナイロンのような樹脂製とされているが、従来と同様
に黄銅等の金属製としてもよい。

【０００９】この中空の弁６の内部には、アセタール樹
脂やナイロンのような樹脂製のレバー受け15が設けられ
ている。このレバー受け15は、図３に示すように円筒部
16の下端にフランジ状部17を設けたもので、円筒部16に
は前記のレバー11を貫通させるためのレバー受け孔18が
透設されており、またフランジ状部17の外周面には凹凸
状の歯19が形成されている。

【００１０】図１に示すように、このレバー受け15はそ
の円筒部16を弁６の内部に挿入されるが、レバー受け15
の下端のフランジ状部17には外側から樹脂製の調節ノブ
20が嵌合されている。調節ノブ20は円筒状のもので、そ
の下端部の断面が図４に示すような形状となっており、
スリット21により弾性変形可能とされた部分に内向きの
ラチェット爪22を備えている。そしてこのラチェット爪
22がレバー受け15の凹凸状の歯19と噛み合っている。更
に調節ノブ20の下部内面には環状溝が形成されており、
レバー受け15の下端の円盤状部23を受けるようになって
いる。更にまた、調節ノブ20の上部内面にはネジ24が形
成されており、図１に示すように弁６の下端部の外周の
ネジ13と噛み合っている。

【００１１】このため、調節ノブ20を回転させて弁６に
対して下降させると、円盤状部23が嵌合されているレバ
ー受け15も弁６に対して下降し、逆に調節ノブ20を回転
させて弁６に対して上昇させると、円盤状部23が嵌合さ
れているレバー受け15も弁６に対して上昇することとな
る。ただしレバー受け15にはレバー11が貫通しているた
めに回転することはなく、昇降するのみである。しかも
このような回転の際には、調節ノブ20のラチェット爪22
がレバー受け15の凹凸状の歯19と噛み合っているため、
外力を加えれば回転させることができるものの、水圧に
よる衝撃等によって調節ノブ20が回転してしまうおそれ
はない。

【００１２】上記したように、本考案の貯水槽用ボール
タップは調節ノブ20を回転させることにより、レバー受
け15を弁16に対して昇降させることができ、浮玉８の位
置に対する弁16の高さを調整できるので、水位の調整を
容易に行うことができる。しかもこれらの部分を樹脂製
としたので、従来の金属製のものに比較して製作コスト
が安く、錆が発生するおそれもない。

【００１３】なお、図２に示したように弁16にはその上
端のパッキン取付け部12に連通する空気抜き孔25が設け
られており、パッキン７を嵌入させた際にその裏面に空
気が溜まることを防止し、パッキン７の波うち等を防止
することができるようになっている。しかし空気抜き孔
25に替えて、パッキン取付け部12の周囲に切欠を形成し
て空気が抜けるようにしてもよい。

【００１４】

【考案の効果】以上に説明したように、本考案の貯水槽
用ボールタップは製作コストが安く、水位の経年調整等
が容易であり、全体のサイズをコンパクト化することが
できる利点を有するものであるから、従来の問題点を解
消した貯水槽用ボールタップとして、その実用的価値は
きわめて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す断面図である。

【図２】弁の部分断面図である。

【図３】レバー受けの部分断面図である。

【図４】図１のＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１ ボールタップ本体 ６ 弁 ８ 浮玉 10 リンク 11 レバー 12 パッキン取付部 15 レバー受け 20 調節ノブ

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボールタップ本体(1) にリンク(10)及び
   レバー(11)を介して取り付けられた浮玉(8) の昇降運動
   を、このレバー(11)と連動する弁(6) の昇降運動に変換
   して給水を制御する貯水槽用ボールタップにおいて、弁
   (6) を中空体としてその内部に前記レバー(11)と係合す
   る樹脂製のレバー受け(15)を設け、このレバー受け(15)
   の下端を弁(6) に対して螺合される樹脂製の調節ノブ(2
   0)により、弁(6) に対して上下位置調節自在に取り付け
   たことを特徴とする貯水槽用ボールタップ。
2. 【請求項２】 調節ノブ(20)とレバー受け(15)との接触
   部にラチェット式の回り止めを設けた請求項１に記載の
   貯水槽用ボールタップ。
3. 【請求項３】 弁(6) のパッキン取付部(12)に、空気抜
   きを設けた請求項１に記載の貯水槽用ボールタップ。