JP2024525781A - 腫瘍溶解性ウイルス及びその使用 - Google Patents

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Abstract

腫瘍溶解性ウイルスを提供し、当該腫瘍溶解性ウイルスは、Mタンパク質と、Gタンパク質と、を含み、当該Mタンパク質は、SEQ ID NO 1に示されるアミノ酸配列と比較して、51位、221位及び226位のアミノ酸置換を含み、当該Gタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。当該腫瘍溶解性ウイルスの発現ベクター、当該腫瘍溶解性ウイルスを生産するウイルス生産細胞、当該腫瘍溶解性ウイルスを含む医薬組成物、及び上記腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、ウイルス生産細胞及び/又は医薬組成物の製造方法及び使用をさらに提供する。
【選択図】なし

Description

本願は、生物医薬の技術分野に関し、より具体的には、腫瘍溶解性ウイルス及びその使用に関する。
腫瘍溶解性ウイルスは、複製能力を持つ腫瘍殺傷性ウイルスの1種であり、現在、腫瘍免疫治療の重要な分枝として広く受け入れられている。腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞に特異的に標的化して感染することができ、例えば腫瘍細胞内の癌抑制遺伝子の不活性化又は欠損を利用し、それによって腫瘍細胞に選択的に感染し、腫瘍溶解性ウイルスが腫瘍細胞に感染すると、腫瘍細胞内で大量に複製し、最終的には腫瘍細胞を破壊し、それによって腫瘍細胞を死滅させる。同時に、腫瘍溶解性ウイルスは、宿主自身の抗癌反応を増進させるのに必要な免疫刺激シグナルをさらに提供し、それによって、より多くの免疫細胞を誘引して、残存する腫瘍細胞を死滅し続けることもできる。
腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍免疫治療において比較的良い応用の将来性があるが、野生型腫瘍溶解性ウイルスは、よく生体神経系炎症などの問題を引き起こし、野生型ウイルスを利用して腫瘍細胞に感染する過程において、大きな病原性リスクがある。したがって、腫瘍溶解性ウイルスの臨床応用をさらに進めるために、野生型腫瘍溶解性ウイルスを改変し、弱毒化した腫瘍溶解性ウイルスを得る必要がある。弱毒化した腫瘍溶解性ウイルスを臨床応用に用いることにより、腫瘍溶解性ウイルスの病原性リスクを低下させ、腫瘍溶解性ウイルスの安全性を向上させる。
しかしながら、腫瘍溶解性ウイルスの改変過程において、野生型腫瘍溶解性ウイルスに対してランダムに遺伝子修飾を行うだけでは、その毒性を低減することができるが、改変後の腫瘍溶解性ウイルスは治癒率効果が良くない可能性があり、ひいては改変後の腫瘍溶解性ウイルスをパッケージングすることができず、腫瘍溶解性ウイルスの臨床応用を推進するのに不利である。したがって、安全性能が良好で、同時に治癒率が高い改変後の腫瘍溶解性ウイルスを提供することは、腫瘍免疫治療の分野における重要な科学的価値と応用意義を有する。
本願は、腫瘍溶解性ウイルス及びその使用を提供し、本願にて提供される腫瘍溶解性ウイルスは、良好な安全性及び治癒率を有する。
第1態様において、本願は、腫瘍溶解性ウイルスを提供し、以下の技術案を採用し、
本願において、前記腫瘍溶解性ウイルスは、Mタンパク質と、Gタンパク質と、を含み、前記Mタンパク質は、SEQ ID NO 1に示されるアミノ酸配列と比較して、51位、221位及び226位のアミノ酸置換を含み、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質のアミノ酸置換は、51位のメチオニンからアルギニンへの変異(M51R)、及び/又は、221位のバリンからフェニルアラニンへの変異(V221F)、及び/又は、226位のセリンからアルギニンへの変異(S226R)を含む。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質のアミノ酸置換は、51位のメチオニンからアルギニンへの変異(M51R)を含む。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質のアミノ酸置換は、221位のバリンからフェニルアラニンへの変異(V221F)を含む。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質のアミノ酸置換は、226位のセリンからアルギニンへの変異(S226R)を含む。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質は、M51R及びV221Fのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質は、M51R及びS226Rのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質は、M51R、V221F及びS226Rのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質は、V221F及びS226Rのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質は、SEQ ID NO 5に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質は、SEQ ID NO 3に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Mタンパク質は、SEQ ID NO 4に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列と比較して、438位、453位、471位及び487位の1つ以上の部位のアミノ酸置換を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列と比較して、53位、141位、172位、217位、232位、331位、371位、436位、438位、453位、471位及び487位の1つ以上の部位のアミノ酸置換を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、53位のバリンからイソロイシンへの変異(V53I)、及び/又は、141位のアラニンからバリンへの変異(A141V)、及び/又は、172位のアスパラギン酸からチロシンへの変異(D172Y)、及び/又は、217位のリジンからグルタミン酸への変異(K217E)、及び/又は、232位のアスパラギン酸からグリシンへの変異(D232G)、及び/又は、331位のバリンからアラニンへの変異(V331A)、及び/又は、371位のバリンからグルタミン酸への変異(V371E)、及び/又は、436位のグリシンからアスパラギン酸への変異(G436D)、及び/又は、438位のトレオニンからセリンへの変異(T438S)、及び/又は、453位のフェニルアラニンからロイシンへの変異(F453L)、及び/又は、471位のトレオニンからイソロイシンへの変異(T471I)、及び/又は、487位のチロシンからヒスチジンへの変異(Y487H)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、53位のバリンからイソロイシンへの変異(V53I)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、141位のアラニンからバリンへの変異(A141V)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、172位のアスパラギン酸からチロシンへの変異(D172Y)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、217位のリジンからグルタミン酸への変異(K217E)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、232位のアスパラギン酸からグリシンへの変異(D232G)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、331位のバリンからアラニンへの変異(V331A)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、371位のバリンからグルタミン酸への変異(V371E)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、436位のグリシンからアスパラギン酸への変異(G436D)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、438位のトレオニンからセリンへの変異(T438S)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、453位のフェニルアラニンからロイシンへの変異(F453L)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、471位のトレオニンからイソロイシンへの変異(T471I)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、487位のチロシンからヒスチジンへの変異(Y487H)を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I及びA141Vを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V及びD172Yを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y及びK217Eを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E及びD232Gを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G及びV331Aを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A及びV371Eを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E及びG436Dを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D及びT438Sを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S及びF453Lを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L及びT471Iを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hである。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 17に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 6に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 7に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 8に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 9に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 10に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 11に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 12に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 13に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 14に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 15に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 16に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 18に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 19に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 20に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 21に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 22に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 23に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 24に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 25に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 26に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 27に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 28に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記腫瘍溶解性ウイルスは、コリネ型ウイルスに基づいて、部位特異的変異を行った後に得られる。
一部の実施形態において、前記腫瘍溶解性ウイルスは、Vesicular Stomatitis Virus(略称「VSV」)ウイルスに基づいて、部位特異的変異を行った後に得られる。
一部の実施形態において、前記腫瘍溶解性ウイルスは、VSVウイルスIndiana MuddSummerサブタイプに基づいて、部位特異的変異を行った後に得られる。
一部の実施形態において、前記腫瘍溶解性ウイルスは、外来目的タンパク質を含むか又は発現する。
一部の実施形態において、前記腫瘍溶解性ウイルスは、アミノ酸置換を有する前記Mタンパク質をコードする核酸配列と、アミノ酸置換を有する前記Gタンパク質をコードする核酸配列と、を含む核酸分子を含む。
一部の実施形態において、前記核酸分子は、前記外来目的タンパク質をコードする核酸配列を含む。
一部の実施形態において、前記核酸分子中の前記外来目的タンパク質をコードする核酸配列は、アミノ酸置換を有する前記Mタンパク質をコードする前記核酸配列と、アミノ酸置換を有する前記Gタンパク質をコードする前記核酸配列との間に位置する。
一部の実施形態において、前記核酸分子は、前記腫瘍溶解性ウイルスのNタンパク質(核タンパク質N)、Lタンパク質(マクロポリメラーゼタンパク質L)及びPタンパク質(リン酸タンパク質P)をコードする。
第2態様において、本願は、腫瘍溶解性ウイルス発現ベクターを提供し、以下の技術案を採用し、
腫瘍溶解性ウイルス発現ベクターであって、前記腫瘍溶解性ウイルス発現ベクターは、本願に記載のいずれかの腫瘍溶解性ウイルスを産生することができる。
第3態様において、本願は、ウイルス生産細胞を提供し、以下の技術案を採用し、
ウイルス生産細胞であって、前記ウイルス生産細胞は、本願に記載のいずれかの腫瘍溶解性ウイルスを産生することができる。
第4態様において、本願は、医薬組成物を提供し、以下の技術案を採用し、
医薬組成物であって、前記医薬組成物は、本願に記載のいずれかの腫瘍溶解性ウイルス、及び任意選択で薬学的に許容される担体を含む。
第5態様において、本願は、上記腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、ウイルス生産細胞及び/又は医薬組成物の製造方法を提供する。
第6態様において、本願は、上記腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、ウイルス生産細胞及び/又は医薬組成物の、疾患及び/又は病状の予防及び/又は治療のための医薬の製造における使用を提供する。
一部の実施形態において、前記腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、ウイルス生産細胞及び/又は医薬組成物は、異常増殖性細胞をゆっくりと持続的に殺傷する方法で用いられる。
一部の実施形態において、前記疾患及び/又は病状は、腫瘍細胞又は腫瘍組織に関連する細胞から選択される異常増殖性細胞を含み、好ましくは、前記腫瘍細胞は、癌細胞であり、より好ましくは、前記癌細胞は、転移性癌細胞である。
一部の実施形態において、前記腫瘍は、固形腫瘍及び/又は血液腫瘍を含む。
以上をまとめると、本願は、以下の有益な効果を有する。
本願にて提供される腫瘍溶解性ウイルスは、いずれもLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞に対して良好な侵入感染能力を有し、LLC細胞、MC38細胞及び4T1細胞に対していずれも良好なインビトロ殺傷能力を有し、LLC細胞、MC38細胞及びHela細胞内でいずれも容易に除去することができない。また、本願にて提供される腫瘍溶解性ウイルスは、いずれもMEF細胞に対して低い侵入感染能力、インビトロ殺傷能力及び除去容易度を有する。したがって、本願にて提供される腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍、癌などの細胞の侵入感染及び殺傷に好適に用いることができ、且つ腫瘍、癌などの細胞内で除去されにくく、腫瘍、癌などの細胞に対する腫瘍溶解性ウイルスの治癒率をさらに向上させ、同時に、上記で提供された腫瘍溶解性ウイルスは、正常細胞を損傷させることがなく、しかも正常細胞内にいる場合にはより容易に除去され、正常細胞の安全性がさらに確保される。
本願に係る発明の具体的な特徴は、添付の特許請求の範囲に示されている。本願に係る発明の特徴及び利点は、以下に詳細に説明される例示的な実施形態及び図面を参照することにより、よりよく理解することができる。添付図面の簡単な説明は、次のとおりである。
本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞に対する侵入感染能力の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMC38細胞に対する侵入感染能力の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのHela細胞に対する侵入感染能力の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMEF細胞に対する侵入感染能力の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞に対するインビトロ殺傷能力の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMC38細胞に対するインビトロ殺傷能力の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスの4T1細胞に対するインビトロ殺傷能力の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMEF細胞に対するインビトロ殺傷能力の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞内での除去難易度の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMC38細胞での除去難易度の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのHela細胞での除去難易度の検出結果である。 本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMEF細胞での除去難易度の検出結果である。
上記の図面において、横軸0は野生型腫瘍溶解性ウイルスを表し、横軸1~26はそれぞれ製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルスを表し、
縦軸Log10 TCID50はKarber法により算出されたTCID50値を表し、Log10 TCID50の値が大きいほど、腫瘍溶解性ウイルスの当該細胞に対する侵入感染能力が高いことを示し、Log10 TCID50の値が小さいほど、腫瘍溶解性ウイルスの当該細胞に対する侵入感染能力が低いことを示し、
縦軸OD570は細胞のOD値を表し、OD570の値が大きいほど、腫瘍溶解性ウイルスの当該細胞に対する殺傷能力が低いことを示し、OD570の値が小さいほど、腫瘍溶解性ウイルスの当該細胞に対する殺傷能力が高いことを示す。
縦軸IFN-βレベルはIFN-β遺伝子の発現状況を表し、IFN-βレベルの値が大きいほど、腫瘍溶解性ウイルスが当該細胞内で容易に除去されることを示し、IFN-βレベルの値が小さいほど、腫瘍溶解性ウイルスが当該細胞内で容易に除去できないことを示す。
当業者は、以下の詳細な説明から本願の他の態様及び利点を容易に見抜くことができる。以下の詳細な説明では、本願の例示的な実施形態のみが示され、説明される。当業者が認識するように、本願の内容は、当業者が、本願に係る発明の精神及び範囲を逸脱することなく、開示された具体的な実施形態を変更することを可能にする。相応して、本願の図面及び明細書の記載は、単なる例示であって限定的ではない。
以下では、特定の具体的な実施例によって本願発明の実施形態を説明するが、当業者は、本願発明の他の利点及び効果を、本明細書に開示された内容から容易に理解することができる。
用語定義
本願において、用語「腫瘍溶解性ウイルス」は、通常、腫瘍細胞内で腫瘍細胞を複製し、死滅させることが可能なウイルスを指す。腫瘍溶解性ウイルスは、VSVウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、セネカバレーウイルス、エコー型腸管ウイルス、コクサッキーウイルス、ニューカッスル病ウイルス及びマラバウイルスを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞に対する選択性を向上させるように改変される。一部の実施形態において、前記腫瘍溶解性ウイルスは、その免疫原性を低下させるように改変される。いくつかの実施形態において、本願に記載の腫瘍溶解性ウイルスは、VSVウイルスである。いくつかの実施形態において、VSVウイルスは、VSVウイルスIndiana MuddSummerサブタイプ株の変異体である。いくつかの実施形態において、VSVウイルスのMタンパク質及びGタンパク質に部位特異的遺伝子変異を行うことができる。
一部の実施形態において、本願に記載の腫瘍溶解性ウイルスは、遺伝子レベルで改変された腫瘍溶解性ウイルスであってもよく、例えば1つ以上の遺伝子の修飾によって改変され、それによってその腫瘍選択性を向上させるか及び/又は分裂細胞内で優先的に複製される。前記遺伝子レベルの改変は、DNA複製、核酸代謝、宿主指向性、表面付着、毒性、開裂及び拡散過程に関与する遺伝子の修飾であってもよいし、外来遺伝子の組み込みの改変であってもよい。前記外来遺伝子は、外来免疫調節遺伝子、外来スクリーニング遺伝子、外来レポーター遺伝子などを含んでもよい。前記改変された腫瘍溶解性ウイルスは、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換などのアミノ酸レベルで改変された腫瘍溶解性ウイルスであってもよい。
本願において、用語「Mタンパク質」は、通常、VSVウイルスマトリックスタンパク質を指す。Mタンパク質は、VSVウイルスの重要な毒性因子であり、VSVウイルスの中でマウスの自然免疫応答を妨害することが知られているタンパク質でもある。用語「Mタンパク質」は、そのホモログ、オーソログ、変異体、機能的に活性な断片なども含む。本願において、野生型VSVウイルスIndiana MuddSummerサブタイプMタンパク質は、SEQ ID NO 1に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。本願において、前記腫瘍溶解性ウイルスのMタンパク質は、SEQ ID NO 3-5に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
本願において、用語「Gタンパク質」は、通常、水VSVウイルスの糖タンパク質を指し、エンベロープタンパク質とも呼ばれる。用語「Gタンパク質」は、そのホモログ、オーソログ、変異体、機能的に活性な断片なども含む。本願において、野生型VSVウイルスIndiana MuddSummerサブタイプGタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。本願において、前記腫瘍溶解性ウイルスの糖タンパク質Gは、SEQ ID NO 6-28に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
本願において、用語「Lタンパク質」は、通常、VSVウイルスRNAポリメラーゼタンパク質を指す。VSVウイルスのL遺伝子は、RNA poly Eタンパク質をコードする。用語「Lタンパク質」は、そのホモログ、オーソログ、変異体、機能的に活性な断片なども含む。
本願において、用語「Nタンパク質」は、通常、VSVウイルスのヌクレオカプシドタンパク質を指す。用語「Nタンパク質」は、そのホモログ、オーソログ、変異体、機能的に活性な断片なども含む。
本願において、タンパク質の変異部位の表記は、通常、「アミノ酸+アミノ酸位数+(変異後のアミノ酸)」で表記される。本願において、前記変異は、アミノ酸の増加、置換、欠失及び/又は削除を含んでもよいが、これらに限定されない。例えば、用語「M51R」は、通常、51位メチオニンMからアルギニンRへの変異を指す。
本願において、用語「アミノ酸置換」は、通常、親配列中に存在する1つのアミノ酸残基を別のアミノ酸残基に置換することを指す。親配列中のアミノ酸は、例えば、ケミカルペプチドを介して合成されるか、又は当該技術分野で知られている組換え方法によって置換されてもよい。したがって、「xx位における置換」は、通常、位置xxに存在するアミノ酸を置換アミノ酸残基で置換することを指す。本願において、前記アミノ酸置換は、アミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、用語「変異」は、通常、野生型分子のヌクレオチド又はアミノ酸配列を変化させることを指す。アミノ酸の変化は、アミノ酸の置換、削除、欠失、挿入、付加、切り縮め、又はタンパク質のプロセシング若しくは切断を含んでもよい。
本願において、用語「核酸分子」は、通常、任意の長さのヌクレオチドを指す。本願において、用語「核酸分子」は、前記腫瘍溶解性ウイルスに含まれるタンパク質をコードしてもよい。本願において、前記核酸分子は、DNA及び/又はRNAを含んでもよい。場合によっては、前記RNAは、一本鎖RNA(ssRNA)を含んでもよいし、二本鎖RNA(dsRNA)を含んでもよく、一本鎖RNAは、センスRNAを含んでもよいし、アンチセンスRNA(anti-sense RNA)を含んでもよいし、アンビセンスRNAを含んでもよい。
本願において、用語「発現ベクター」は、通常、核酸ベクターを指す。適切な条件下で、それは、通常、目的遺伝子及び/又は目的タンパク質を発現することができる。本願の一部の実施形態において、前記発現ベクターは、ウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)の1つ以上の成分を発現するための核酸分子を含む。例えば、前記発現ベクターは、少なくとも1つのウイルスゲノム要素を含むことができ、ウイルスにパッケージングされてもよく、又はウイルス粒子としてパッケージングされてもよい。
本願において、用語「ウイルス生産細胞」は、通常、本願に記載の核酸分子又は発現ベクターを含むことができるか、又はそれを含んでいるか、又は本願に記載の腫瘍溶解性ウイルスを発現することができる細胞、細胞株又は細胞培養物を指す。前記細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含んでもよい。前記細胞は、本願に記載の発現ベクターを用いて、インビトロでトランスフェクトすることにより得ることができる。
本願において、用語「医薬組成物」は、通常、活性成分の生物学的活性を可能にする形態で存在する製剤を指し、前記製剤が投与される被験体に対して許容できない毒性を有する追加の成分を含まない。一部の実施形態において、これらの製剤は、薬学的に許容される成分及び薬学的に許容される担体を含んでもよい。一部の実施形態において、前記医薬製品は、非経口、経皮、腔内、動脈内、髄腔内及び/又は鼻腔内投与、又は組織への直接注射のための医薬製品を含む。前記医薬製品は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所又は真皮内投与などの異なる方式で投与することができる。
本願において、用語「予防」は、通常、何らかの処置を事前に講じることにより、疾患又はその1つ以上の症状の発生及び発作、再発、及び/又は拡散を防止することを指す。本願において、用語「治療」は、通常、疾患又は疾患に関連する1つ以上の症状を消滅するか又は改善することを指す。一部の実施形態において、治療は、通常、疾患が消滅又は寛解されるように、そのような疾患に罹患している患者に1つ以上の薬剤を投与することを指す。一部の実施形態において、「治療」は、特定の疾患の症状の発作後、他の薬剤の存在下又は非存在下で前記医薬組合せ及び/又は医薬製品を投与することであってもよい。例えば、本願に記載の医薬組合せ及び/又は医薬製品を用いて腫瘍の発生、進行、再発及び/又は転移を防止する。
本願において、用語「腫瘍」は、通常、任意の新規な病的組織増殖を指す。腫瘍は良性であっても悪性であってもよい。本願において、前記腫瘍は、固形腫瘍及び/又は血液腫瘍であってもよい。研究に用いられる場合、これらの組織は、当業者によく知られている方法により、容易に入手可能なリソースから分離することができる。
本願は、腫瘍溶解性ウイルスを提供し、前記腫瘍溶解性ウイルスは、野生型VSVウイルスに基づいて、具体的にはVSVウイルスインディアナ株、VSVウイルスIndiana MuddSummerサブタイプ株に基づいて、そのMタンパク質及び/又はGタンパク質のアミノ酸配列上の部位を変異させることによって得られる。そのMタンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO 1に示され、そのGタンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO 2に示される。本願において、前記Mタンパク質は改変されてもよく、前記Gタンパク質も改変されてもよい。
本願は、腫瘍溶解性ウイルスを得るために、前記VSVウイルスを次のように修飾する。
前記腫瘍溶解性ウイルスは、Mタンパク質と、Gタンパク質と、を含み、前記Mタンパク質は、SEQ ID NO 1に示されるアミノ酸配列と比較して、51位、221位及び226位にアミノ酸置換を含み、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
前記Mタンパク質のアミノ酸置換は、51位のメチオニンからアルギニンへの変異(M51R)、及び/又は、221位のバリンからフェニルアラニンへの変異(V221F)、及び/又は、226位のセリンからアルギニンへの変異(S226R)を含む。例えば、前記Mタンパク質は、SEQ ID NO 5に示されるアミノ酸配列を含む。本願において、前記Mタンパク質は、他の位置のアミノ酸置換をさらに含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、53位のバリンからイソロイシンへの変異(V53I)、及び/又は、141位のアラニンからバリンへの変異(A141V)、及び/又は、172位のアスパラギン酸からチロシンへの変異(D172Y)、及び/又は、217位のリジンからグルタミン酸への変異(K217E)、及び/又は、232位のアスパラギン酸からグリシンへの変異(D232G)、及び/又は、331位のバリンからアラニンへの変異(V331A)、及び/又は、371位のバリンからグルタミン酸への変異(V371E)、及び/又は、436位のグリシンからアスパラギン酸への変異(G436D)、及び/又は、438位のトレオニンからセリンへの変異(T438S)、及び/又は、453位のフェニルアラニンからロイシンへの変異(F453L)、及び/又は、471位のトレオニンからイソロイシンへの変異(T471I)、及び/又は、487位のチロシンからヒスチジンへの変異(Y487H)を含み、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 17に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位及び141位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位及び172位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位及び217位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位、217位及び232位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位、217位、232位及び331位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位、217位、232位、331位及び371位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位、217位、232位、331位、371位及び436位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位、217位、232位、331位、371位、436位及び438位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位、217位、232位、331位、371位、436位、438位及び453位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位、217位、232位、331位、371位、436位、438位、453位及び471位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、53位、141位、172位、217位、232位、331位、371位、436位、438位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、141位、172位、217位、232位、331位、371位、436位、438位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、172位、217位、232位、331位、371位、436位、438位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、217位、232位、331位、371位、436位、438位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、232位、331位、371位、436位、438位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、331位、371位、436位、438位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、371位、436位、438位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、436位、438位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、436位、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、453位、471位及び487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、471位、487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、487位のアミノ酸変異を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、他の位置のアミノ酸置換をさらに含んでもよい。
一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、少なくとも保存領域における1つ以上のアミノ酸置換を含む。例えば、前記保存領域は、Gタンパク質の437~461位のアミノ酸を含む。一部の実施形態において、前記Gタンパク質は、少なくとも細胞質領域の切り縮め領域における1つ以上のアミノ酸置換を含む。例えば、前記細胞質領域の切り縮め領域は、Gタンパク質の483~511位のアミノ酸を含んでもよい。
本願において、前記Gタンパク質は、少なくとも438、第453位、471位及び487位のアミノ酸置換を含んでもよい。
前記腫瘍溶解性ウイルスは、核酸分子及び外来目的タンパク質をさらに含んでもよい。当該核酸分子は、アミノ酸置換を有する前記Mタンパク質をコードする核酸配列と、アミノ酸置換を有する前記Gタンパク質をコードする核酸配列と、を含んでもよく、当該核酸分子は、前記外来目的タンパク質をコードする核酸配列をさらに含んでもよい。さらに、当該核酸分子中の外来目的タンパク質をコードする前記核酸配列は、アミノ酸置換を有する前記Mタンパク質をコードする前記核酸配列と、アミノ酸置換を有する前記Gタンパク質をコードする前記核酸配列との間に位置する。さらに、当該核酸分子は、前記腫瘍溶解性ウイルスのNタンパク質(核タンパク質N)、Lタンパク質(マクロポリメラーゼタンパク質L)及びPタンパク質(リン酸タンパク質P)をコードする。
本願において、ウイルスパッケージング過程及びウイルスレスキュー過程によって本願に記載の腫瘍溶解性ウイルスを得ることができる。具体的な過程は、T7 RNAポリメラーゼを発現するポックスウイルスvTF7-3をBSR-T7細胞に感染接種し、VSV N、VSV P、VSV L遺伝子をそれぞれクローニングした発現プラスミド及び骨格プラスミドを用いてlipofectamineトランスフェクションを行い、目的腫瘍溶解性ウイルスを得ることを含んでもよい。
本願は、腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、ウイルス生産細胞及び医薬組成物をさらに提供する。
前記腫瘍溶解性ウイルス発現ベクターは、前記腫瘍溶解性ウイルスのMタンパク質及びGタンパク質をコードする核酸配列を含んでもよく、前記腫瘍溶解性ウイルス発現ベクターは、前記腫瘍溶解性ウイルスのNタンパク質、Pタンパク質及びLタンパク質をコードする核酸配列をさらに含んでもよい。
前記ウイルス生産細胞は、上記の腫瘍溶解性ウイルスを産生することができ、前記ウイルス生産細胞は、BSR-T7細胞を含んでもよい。
前記医薬組成物は、上記の腫瘍溶解性ウイルス、及び任意選択で薬学的に許容される担体を含む。
一部の実施形態において、前記医薬組成物は、1つ以上の(薬学的に有効な)アジュバント、安定化剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤及び/又は防腐剤の適切な製剤を含んでもよい。医薬組成物の許容可能な成分は、使用される用量及び濃度で受容体に対して無毒であることが好ましい。本願の医薬組成物は、液体、凍結及び凍結乾燥組成物を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、前記薬学的に許容される担体は、医薬投与に適合性のある、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、等張化剤及び吸収遅延剤を含んでもよく、通常、安全で、非毒性である。
一部の実施形態において、前記医薬組成物は、非経口、経皮、腔内、動脈内、髄腔内及び/又は鼻腔内投与、又は組織への直接注射を含んでもよい。例えば、前記医薬組成物は、注入又は注射によって患者又は被験体に投与されてもよい。一部の実施形態において、前記医薬組成物の投与は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所又は真皮内投与などの異なる方式で投与することができる。一部の実施形態において、前記医薬組成物は、中断することなく投与されてもよい。前記無中断(又は連続)投与は、WO2015/036583に記載されているように、患者に装着された小型ポンプシステムによって実現され、患者の体内に流入する治療薬を測定することができる。
また、本願は、上記腫瘍溶解性ウイルスの製造方法をさらに提供し、当該製造方法は、腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、ウイルス生産細胞及び/又は医薬組成物の製造方法を含んでもよい。腫瘍溶解性ウイルスの生産に適した任意の方法は、本願の腫瘍溶解性ウイルスを産生するために用いることができる。例えば、T7 RNAポリメラーゼを発現するポックスウイルスを細胞に加えてトランスフェクションし、前記腫瘍溶解性ウイルスNタンパク質、Lタンパク質及びPタンパク質を発現するプラスミド及び骨格プラスミドを加えてトランスフェクションし、ウイルスレスキュー過程によって本願の腫瘍溶解性ウイルスを得ることができる。
本願は、上記腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、ウイルス生産細胞及び/又は医薬組成物の、疾患及び/又は病状の予防及び/又は治療のための医薬の製造における使用をさらに提供する。
本願にて提供される腫瘍溶解性ウイルスは、いずれもLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞に対して良好な侵入感染能力を有し、特に番号JBS104-JBS126の腫瘍溶解性ウイルスは、番号JBS103の腫瘍溶解性ウイルスに基づいて、腫瘍溶解性ウイルスのGタンパク質上のアミノ酸に部位特異的変異を行い、それによって腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞に対する侵入感染能力をさらに向上させる。同時に、上記で製造された腫瘍溶解性ウイルスの正常細胞MEF細胞に対する侵入感染能力がいずれも低いことから、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルスが正常細胞を損傷させることなく、腫瘍、癌などの細胞の侵入感染に好適に用いることができ、幅広い応用の将来性があることが分かる。
本願にて提供される腫瘍溶解性ウイルスは、いずれもLLC細胞、MC38細胞及び4T1細胞に対して良好なインビトロ殺傷能力を有し、特に番号JBS104-JBS126の腫瘍溶解性ウイルスは、番号JBS103の腫瘍溶解性ウイルスに基づいて、腫瘍溶解性ウイルスのGタンパク質上のアミノ酸に部位特異的変異を行い、それによって腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞、MC38細胞及び4T1細胞に対するインビトロ殺傷能力をさらに向上させる。同時に、上記で製造された腫瘍溶解性ウイルスがMEF細胞に対してほとんど影響がないことから、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルスが正常細胞を損傷させることなく、腫瘍、癌などの非正常細胞の損傷及び死滅に好適に用いることができることが分かる。
番号JBS101及びJBS102の腫瘍溶解性ウイルスは、LLC細胞、MC38細胞及びHela細胞内でいずれも容易に除去することができない。対照的に、番号JBS103の腫瘍溶解性ウイルスは、LLC細胞、MC38細胞及びHela細胞内でより容易に除去される。一方、本願の番号JBS104-JBS126の腫瘍溶解性ウイルスは、番号JBS103の腫瘍溶解性ウイルスに基づいて、さらに腫瘍溶解性ウイルスのGタンパク質上のアミノ酸に部位特異的変異を行い、それによって腫瘍溶解性ウイルスはLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞内でより容易に除去できなくなり、さらに腫瘍溶解性ウイルスがLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞内で侵入感染及び殺傷の能力をより良好に発揮できることを確保し、同時に、本願にて提供される腫瘍溶解性ウイルスは、MEF細胞内でより容易に除去され、MEF細胞の安全性をさらに確保し、それによって腫瘍溶解性ウイルスの安全性を向上させる。
如何なる理論にも限定されないように、以下の実施例は、単に本願発明の個々の技術的解決手段を説明するためにのみ用いられ、本願発明の範囲を限定するために用いられるものではない。
製造例
製造例1~3
製造例1~3は、それぞれ腫瘍溶解性ウイルスを提供し、その違いは、主に野生型腫瘍溶解性ウイルスのMタンパク質上のアミノ酸の部位特異的変異の部位にある。各製造例に対応する腫瘍溶解性ウイルスの構築方法は、具体的には以下のとおりである。
(1)プラスミド構築
pRV-coreプラスミド(BioVector NTCCプラスミドベクター菌種細胞遺伝子寄託センター)を鋳型として、PCR技術を用いて表1に示されるような変異部位を導入した。pRV-coreプラスミドを、各変異部位を担持するプライマーとそれぞれPCRを行い、そしてPCR産物を1%アガロースゲル電気泳動し、さらにゲル回収キットを用いてゲル切断回収を行い、それによってMタンパク質の異なる変異部位を有するプラスミドを得、構築されたプラスミドpRV-core Mutを得た。
表1 製造例1~3における腫瘍溶解性ウイルスのMタンパク質の変異状況表
(2)ウイルスレスキュー
リン酸カルシウムトランスフェクションキット(Thermo Fisher Scientific)を用い、細胞トランスフェクション技術によって、構築したプラスミドpRV-core MutをBSR-T7細胞にトランスフェクションした(ATCCより購入し、アメリカ菌種寄託センター、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションとも呼ばれる)。
pRV-core Mut、pP、pN、pLの質量比10:5:4:1に従って、4つのプラスミドを混合し、プラスミドの総量が5μgであり、200μl opti-MEM培地(Thermo Fisher Scientific)を用いてプラスミドを希釈し、且つ7.5μlのトランスフェクション試薬Plus Reagent(Life Technologies)を加え、トランスフェクションプラスミドスプリミックスを得、ここでpP(コリネ型ウイルスリン酸タンパク質遺伝子を担持したプラスミド)、pN(コリネ型ウイルス核タンパク質遺伝子を担持したプラスミド)、pL(コリネ型ウイルスポリメラーゼタンパク質遺伝子を担持したプラスミド)、pN、pP、pLの3つのプラスミドに対応する親ベクターはいずれもpCAGGSであり(ATCCより購入)、
200μl opti-MEM培地でLipofectamine LTX 10μl(Thermo Fisher Scientific)を希釈し、LTX混合液を得、
Lipofectamine LTXの取扱説明書に記載の方法に従ってプラスミドのトランスフェクションを行い、6h後にPBSでBSR-T7細胞を2回洗浄し、さらに10%ウシ胎児血清のDMEM培地(Thermo Fisher Scientific)に接種して3日間培養し、
BSR-T7細胞を培養して得られた細胞上清をVero細胞(Thermo Fisher Scientific)に移し、且つVero細胞を37℃の環境条件下で3日間培養し、細胞内の緑色蛍光を蛍光顕微鏡で観察し、ウイルスレスキューの状況を決定し、さらにレスキューされた変異コリネ型ウイルスライブラリーをVero細胞により継代し、確立されたプラークスクリーニングシステムでモノクローナルウイルス株を選んだ。
(3)Mタンパク質遺伝子の配列決定。Trizolキットを用いてウイルスゲノムRNAを抽出し、ランダムプライマーを用いて逆転写反応を行い、Mタンパク質遺伝子配列に対して設計されたプライマーを用いて逆転写されたcDNAに対してPCRを行った。
プライマー配列は、次のとおりである。
5'-AAAAAAGTAACAGATATCAC-3'、
5'-ACATTTTTCCAGTTTCCTTTTTGG-3'。
生成物は1%アガロースゲル電気泳動後に回収され、且つ配列決定のために配列決定会社に送られた。配列決定の結果を表1に示す。
製造例4~26
製造例4~26はそれぞれ腫瘍溶解性ウイルスを提供し、その違いは、主に野生型腫瘍溶解性ウイルスのMタンパク質及びGタンパク質上のアミノ酸の部位特異的変異の部位にあり、ここでMタンパク質の変異部位は、製造例3の対応する変異部位と同じである。各製造例に対応する腫瘍溶解性ウイルスの構築方法は、以下の点を除いて、製造例1~3に記載の構築方法と同じである。
ステップ(1)のプラスミド構築にPCR技術を用いて表2に示されるような変異部位を導入した。
ステップ(3)はGタンパク質遺伝子の配列決定であった。Trizolキットを用いてウイルスゲノムRNAを抽出し、ランダムプライマーを用いて逆転写反応を行い、Gタンパク質遺伝子配列に対して設計されたプライマーを用いて逆転写されたcDNAに対してPCRを行った。
プライマー配列は、次のとおりである。
5'-CCATGGCCTGTTGCTCCACCAGCTT-3'、
5'-AAGCTTTCAGCAGTGGCTCACAGCAG-3'。
生成物は1%アガロースゲル電気泳動後に回収され、且つ配列決定のために配列決定会社に送られた。配列決定の結果を表2に示す。
表2 製造例4~26における腫瘍溶解性ウイルスのGタンパク質の変異状況表
製造例27
本製造例は、上記実施例1~26を用いて製造した腫瘍溶解性ウイルスのパッケージング過程を提供し、具体的には以下のステップを含む。
1)T7 RNAポリメラーゼを発現するポックスウイルスvTF7-3(BioVector NTCCプラスミドベクター菌種細胞遺伝子寄託センター)をBSR-T7細胞(ATCCより購入)に感染接種した。
具体的なステップは、次のとおりである。BSR-T7細胞を6ウェルプレートにプレーティングし、1ウェルあたりの細胞数を3×10個に達するように制御し、14~16hプレーティング後に、T7 RNAポリメラーゼを発現するポックスウイルスvTF7-3を加え、ポックスウイルスvTF7-3のBSR-T7細胞に対する感染を行い、6h感染後、DPBS緩衝液(Thermo Fisher Scientific)を用いてBSR-T7細胞を1回リンスし、トランスフェクションした。
2)トランスフェクション過程
具体的には以下のステップを含む。pRV-core Mut、pP、pN、pLの質量比10:5:4:1に従って、4つのプラスミドを混合し、プラスミドの総量が5μgであり、200μl opti-MEM培地(Thermo Fisher Scientific)を用いてプラスミドを希釈し、且つ7.5μlのトランスフェクション試薬Plus Reagent(Life Technologies)を加え、トランスフェクションプラスミドプレミックスを得、ここで、pP(コリネ型ウイルスリン酸タンパク質遺伝子を担持したプラスミド)、pN(コリネ型ウイルス核タンパク質遺伝子を担持したプラスミド)、pL(コリネ型ウイルスポリメラーゼタンパク質遺伝子を担持したプラスミド);pN、pP、pLの3つのプラスミドに対応する親ベクターはいずれもpCAGGS(ATCCより購入)であり、
200μl opti-MEM培地でLipofectamine LTX 10μl(Thermo Fisher Scientific)を希釈し、LTX混合液を得、
LTX混合液200μlをトランスフェクションプラスミドプレミックス200μlと混合し、室温で15 minインキュベートし、LTX-DNA混合液を得、
ステップ1)の6ウェルプレート中のDPBS緩衝液をOpti-MEM培地に交換し、LTX-DNA混合液をBSR-T7細胞を培養する6ウェルプレートに滴下し、6ウェルプレートを穏やかに振盪し、LTX-DNA混合液を6ウェルプレート内に均一に分布させ、6~8hトランスフェクション後、トランスフェクション試薬を吸引除去し、3 mlの新鮮な完全培地(Thermo Fisher Scientific)を加え、72 h後にBSR-T7細胞の細胞上清を採取し、0.22μmフィルターで濾過し、製造例1~26のそれぞれに対応する腫瘍溶解性ウイルス力価を得た。
実施例
実施例1
本実施例では製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスをそれぞれ用いて異なる細胞の侵入感染能力を検出した。検出方法は、TCID50検出法であり、即ち異なる細胞の培養液に、それぞれ製造例1~26及び野生型腫瘍溶解性ウイルスを200pfuずつ加え、各腫瘍溶解性ウイルスによる半数の組織培養感染量(Tissue culture infective dose、TCID50)を検出した。検出された細胞は、LLC細胞(マウス非小細胞肺癌細胞)、MC38細胞(マウス結腸癌細胞)、Hela細胞(ヒト子宮頸癌細胞)、MEF細胞(ヒト線維芽細胞)を含む。具体的な検出方法は、次のとおりであり、
(1)それぞれ6ウェル培養プレートにVero(LLC/MC38/Hela/MEF)細胞懸濁液3mLを加え、細胞数が4×10個/ウェルになるようにし、各種のVero細胞が合計6ウェルで、MEF細胞は対照として2ウェルとし、6ウェル培養プレートを37℃、5% COの環境条件下で16h培養し、
(2)6ウェル培養プレートの各ウェルに製造例で製造した腫瘍溶解性ウイルス200 pfuを加え、24h後にMEF細胞及び各種のVero細胞の上清100μlを採取し、採取したものをそれぞれ96ウェル培養プレートのウェルに加え、各種の細胞の細胞数が1×10個/mlになるようにし、96ウェル培養プレートを37℃、5% COの環境条件下で16h培養し、
(3)1.5ml EPチューブ中で、ステップ(2)で採取した上清を連続的に10倍希釈し、10-1~10-11、合計11力価であり、希釈した上清を96ウェル培養プレートに接種し、各希釈勾配に1列合計8ウェルに接種し、1ウェル当たり100μlを接種し、
(4)48h後に各ウェルの細胞の蛍光状況を観察し、蛍光がある場合、このウェルが感染されたと記録し、Karber法に従ってTCID50を計算した。
検出結果を図1~図4に示し、ここで、横軸0は野生型腫瘍溶解性ウイルスを表し、横軸1~26はそれぞれ製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルスを表し、縦軸Log10 TCID50はKarber法により算出されたTCID50値を表し、Log10 TCID50の値が大きいほど、腫瘍溶解性ウイルスの当該細胞に対する侵入感染能力が高いことを示し、Log10 TCID50の値が小さいほど、腫瘍溶解性ウイルスの当該細胞に対する侵入感染能力が低いことを示す。
図1は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞に対する侵入感染能力の検出結果である。
図2は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMC38細胞に対する侵入感染能力の検出結果である。
図3は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのHela細胞に対する侵入感染能力の検出結果である。
図4は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMEF細胞に対する侵入感染能力の検出結果である。
上記の図面から、本願の製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルスは、いずれもLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞に対して良好な侵入感染能力を有し、特に製造例4~26では、製造例3に基づいてさらに腫瘍溶解性ウイルスのGタンパク質上のアミノ酸に部位特異的変異を行い、それによって腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞に対する侵入感染能力をさらに向上させる。同時に、上記で製造した腫瘍溶解性ウイルスのいずれもMEF細胞に対する侵入感染能力が低いことから、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルスが正常細胞を損傷させることなく、腫瘍、癌などの細胞の侵入感染に好適に用いることができ、幅広い応用の将来性があることが分かる。
実施例2
本実施例では製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスをそれぞれ用いて異なる細胞に対してインビトロ殺傷試験検出を行った。検出方法は、MTT検出法であり、即ち異なる細胞の培養液に、それぞれ製造例1~26及び野生型腫瘍溶解性ウイルスを200pfuずつ加え、24h後にMTT検出法により細胞活性を検出した。検出された細胞は、LLC細胞、MC38細胞、MEF細胞、4T1細胞(マウス乳房細胞)を含む。具体的な検出方法は、次のとおりであり、
(1)それぞれ96ウェル培養プレートにVero(LLC/MC38/4T1/MEF)細胞懸濁液100μlを加え、細胞数が1×10個/ウェルになるようにし、96ウェル培養プレートを37℃、5% COの環境条件下で16h培養し、
(2)製造例で製造した腫瘍溶解性ウイルスをMOI(多重感染度)がそれぞれ0.001、0.01、0.1、1.0となるように希釈し、各希釈勾配の腫瘍溶解性ウイルスをステップ(1)の96ウェル培養プレートにそれぞれ接種し、各希釈勾配に4ウェルに接種し、各ウェルに100μlであり、96ウェル培養プレートを37℃、5% COの環境条件下で40h培養し、
(3)ステップ(2)の96ウェル培養プレート中の細胞上清を取り出し、且つ96ウェル培養プレートに新鮮な培地及びMTT溶液を加え、添加量が20μL/ウェルであり、96ウェル培養プレートを37℃、5% COの環境条件下で4h培養し、
(4)96ウェル培養プレートを室温で5min遠心分離し、2500rpm/minの回転速度に設定し、上清を1mLの使い捨て滅菌シリンジで穏やかに吸引除去し、そして96ウェル培養プレートの各ウェルにDMSOを加え、添加量が100uL/ウェルであり、37℃の環境条件下で10min放置した。多機能マイクロプレートリーダーを用いて2min振盪し、570nm又は490nm波長で96ウェル培養プレート上の各ウェルのOD値を測定した。
検出結果を図5~図8に示し、ここで、横軸0は野生型腫瘍溶解性ウイルスを表し、横軸1~26はそれぞれ製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルスを表し、縦軸OD570は細胞のOD値を表し、OD570の値が大きいほど、腫瘍溶解性ウイルスの当該細胞に対する殺傷能力が低いことを示し、OD570の値が小さいほど、腫瘍溶解性ウイルスの当該細胞に対する殺傷能力が高いことを示す。
図5は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞に対するインビトロ殺傷能力の検出結果である。
図6は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMC38細胞に対するインビトロ殺傷能力の検出結果である。
図7は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスの4T1細胞に対するインビトロ殺傷能力の検出結果である。
図8は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMEF細胞に対するインビトロ殺傷能力の検出結果である。
上記の図面から、本願の製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルスは、いずれもLLC細胞、MC38細胞及び4T1細胞に対して良好なインビトロ殺傷能力を有し、特に製造例4~26では、製造例3に基づいてさらに腫瘍溶解性ウイルスのGタンパク質上のアミノ酸に部位特異的変異を行い、それによって腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞、MC38細胞及び4T1細胞に対するインビトロ殺傷能力を向上させる。同時に、上記で製造した腫瘍溶解性ウイルスがMEF細胞にほとんど影響がないことから、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルスが正常細胞を損傷させることなく、腫瘍、癌などの非正常細胞の損傷及び死滅に好適に用いることができることが分かる。
野生型腫瘍溶解性ウイルスはLLC細胞、MC38細胞及び4T1細胞に対して良好なインビトロ殺傷能力を有するが、上記細胞を損傷及び死滅させると同時に、MEF細胞をかなり損傷及び死滅させることになり、野生型腫瘍溶解性ウイルスの臨床的適用を制限している。したがって、本願の野生型腫瘍溶解性ウイルスの改変は、腫瘍溶解性ウイルスの正常細胞に対する安全性を確保すると同時に、腫瘍、癌細胞に対する腫瘍溶解性ウイルスの殺傷能力を確保し、広い臨床応用の見込みを有する。
実施例3
本実施例は製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスの異なる細胞内での除去難易度を検出した。検出指標はIFN-β遺伝子の発現状況であった。遺伝子IFN-βは、細胞が産生する、広範囲の抗ウイルス作用、抗腫瘍及び免疫調節作用を有する可溶性糖タンパク質の遺伝子であり、遺伝子IFN-βの発現状況により細胞の腫瘍溶解性ウイルスに対する除去能力を判断することができ、遺伝子IFN-βの発現が高い場合、腫瘍溶解性ウイルスが細胞内で容易に除去されることを示し、遺伝子IFN-βの発現が低い場合、腫瘍溶解性ウイルスが細胞内で容易に除去できないことを示す。検出された細胞は、LLC細胞、MC38細胞、Hela細胞、MEF細胞を含む。具体的な検出方法は、次のとおりであり、
(1)それぞれ96ウェル培養プレートにVero(LLC/MC38/Hela/MEF)細胞及びMEF細胞懸濁液100μlを加え、細胞数が1×10個/ウェルになるようにし、96ウェル培養プレートを37℃、5% COの環境条件下で16h培養し、
(2)製造例で製造した腫瘍溶解性ウイルスをMOI(多重感染度)がそれぞれ0.001、0.01、0.1、1.0となるように希釈し、各希釈勾配の腫瘍溶解性ウイルスをステップ(1)の96ウェル培養プレートにそれぞれ接種し、各希釈勾配に4ウェルに接種し、各ウェルに100μlであり、96ウェル培養プレートを37℃、5% COの環境条件下で40h培養し、
(3)ステップ(2)で培養して得られた各群の細胞を破砕し、且つTRIzol(Invitrogen)を用いて各細胞から総RNAを抽出し、PrimeScript RT Reagent Kit with DNA Eraser(Takara)逆転写キットを用いてcDNAに逆転写し、且つLightCycler 480SYBR Green I Master(Roche)色素で染色し、LightCycler 480定量PCR装置で各遺伝子のCt値を検出した。ΔΔCt法により目的遺伝子IFN-βの相対発現量を計算した。
検出結果を図9~図12に示し、ここで、横軸0は野生型腫瘍溶解性ウイルスを表し、横軸1~26はそれぞれ製造例1~26で製造した腫瘍溶解性ウイルスを表し、縦軸IFN-βレベルはIFN-β遺伝子の発現状況を表し、IFN-βレベルの値が大きいほど、腫瘍溶解性ウイルスが当該細胞内で容易に除去されることを示し、IFN-βレベルの値が小さいほど、腫瘍溶解性ウイルスが当該細胞内で容易に除去できないことを示す。
図9は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのLLC細胞内での除去難易度の検出結果である。
図10は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMC38細胞での除去難易度の検出結果である。
図11は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのHela細胞での除去難易度の検出結果である。
図12は、本願により製造された腫瘍溶解性ウイルス及び野生型腫瘍溶解性ウイルスのMEF細胞での除去難易度の検出結果である。
上記の図面から、本願の製造例1~2はLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞のいずれにおいても容易に除去できないことが分かる。製造例1及び製造例2よりも、製造例3はLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞内でより容易に除去される。本願の製造例4~26は、製造例3に基づいてさらに腫瘍溶解性ウイルスのGタンパク質上のアミノ酸に部位特異的変異を行い、それによって腫瘍溶解性ウイルスはLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞内でより容易に除去できなくなり、さらに腫瘍溶解性ウイルスがLLC細胞、MC38細胞及びHela細胞内で侵入感染及び殺傷の能力をより良好に発揮できることを確保し、同時に、腫瘍溶解性ウイルスのMEF細胞内での除去をより容易にし、さらにMEF細胞の安全性を確保し、それによって腫瘍溶解性ウイルスの安全性を向上させる。
前述の詳細な説明は、説明及び例示として提供されたものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。現在、本願に挙げられている実施形態の様々な変化は、当業者には自明であり、添付の特許請求の範囲及びそれに相当する方法の範囲内に留まる。

Claims (26)

  1. 腫瘍溶解性ウイルスであって、Mタンパク質と、Gタンパク質と、を含み、前記Mタンパク質は、SEQ ID NO 1に示されるアミノ酸配列と比較して、51位、221位及び226位のアミノ酸置換を含み、前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、
    ことを特徴とする腫瘍溶解性ウイルス。
  2. 前記Mタンパク質のアミノ酸置換は、51位のメチオニンからアルギニンへの変異(M51R)、及び/又は、221位のバリンからフェニルアラニンへの変異(V221F)、及び/又は、226位のセリンからアルギニンへの変異(S226R)を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  3. 前記Mタンパク質は、SEQ ID NO 5に示されるアミノ酸配列を含む、
    ことを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  4. 前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列と比較して、438位、453位、471位及び487位の1つ以上の部位のアミノ酸置換を含む、
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  5. 前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 2に示されるアミノ酸配列と比較して、53位、141位、172位、217位、232位、331位、371位、436位、438位、453位、471位及び487位の1つ以上の部位のアミノ酸置換を含む、
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  6. 前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、53位のバリンからイソロイシンへの変異(V53I)、及び/又は、141位のアラニンからバリンへの変異(A141V)、及び/又は、172位のアスパラギン酸からチロシンへの変異(D172Y)、及び/又は、217位のリジンからグルタミン酸への変異(K217E)、及び/又は、232位のアスパラギン酸からグリシンへの変異(D232G)、及び/又は、331位のバリンからアラニンへの変異(V331A)、及び/又は、371位のバリンからグルタミン酸への変異(V371E)、及び/又は、436位のグリシンからアスパラギン酸への変異(G436D)、及び/又は、438位のトレオニンからセリンへの変異(T438S)、及び/又は、453位のフェニルアラニンからロイシンへの変異(F453L)、及び/又は、471位のトレオニンからイソロイシンへの変異(T471I)、及び/又は、487位のチロシンからヒスチジンへの変異(Y487H)を含む、
    ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  7. 前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、
    1)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53Iを含むもの、
    2)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I及びA141Vを含むもの、
    3)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V及びD172Yを含むもの、
    4)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y及びK217Eを含むもの、
    5)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y、K217E及びD232Gを含むもの、
    6)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y、K217E、D232G及びV331Aを含むもの、
    7)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A及びV371Eを含むもの、
    8)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E及びG436Dを含むもの、
    9)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D及びT438Sを含むもの、
    10)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S及びF453Lを含むもの、
    11)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L及びT471Iを含むもの、
    12)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    13)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がA141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    14)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がD172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    15)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がK217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    16)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がD232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    17)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    18)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がV371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    19)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がG436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    20)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がT438S、F453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    21)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がF453L、T471I及びY487Hを含むもの、
    22)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がT471I及びY487Hを含むもの、
    23)前記Gタンパク質のアミノ酸置換がY487Hを含むものからなる群から選択されるいずれか1つである、
    ことを特徴とする請求項6に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  8. 前記Gタンパク質のアミノ酸置換は、V53I、A141V、D172Y、K217E、D232G、V331A、V371E、G436D、T438S、F453L、T471I及びY487Hを含む、
    ことを特徴とする請求項6に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  9. 前記Gタンパク質は、SEQ ID NO 17に示されるアミノ酸配列を含む、
    ことを特徴とする請求項8に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  10. 前記腫瘍溶解性ウイルスは、コリネ型ウイルスを含む、
    ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  11. 前記腫瘍溶解性ウイルスは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)を含む、
    ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  12. 前記腫瘍溶解性ウイルスは、VSVウイルスIndiana MuddSummerサブタイプを含む、
    ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  13. 前記腫瘍溶解性ウイルスは、外来目的タンパク質を含むか又は発現する、
    ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  14. 前記腫瘍溶解性ウイルスは、アミノ酸置換を有する前記Mタンパク質をコードする核酸配列と、アミノ酸置換を有する前記Gタンパク質をコードする核酸配列と、を含む核酸分子を含む、
    ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  15. 前記核酸分子は、前記外来目的タンパク質をコードする核酸配列を含む、
    ことを特徴とする請求項14に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  16. 前記核酸分子中の外来目的タンパク質をコードする前記核酸配列は、アミノ酸置換を有する前記Lタンパク質をコードする前記核酸配列と、アミノ酸置換を有する前記Gタンパク質をコードする前記核酸配列との間に位置する、
    ことを特徴とする請求項15に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  17. 前記核酸分子は、前記腫瘍溶解性ウイルスのNタンパク質、Lタンパク質及びPタンパク質をコードする、
    ことを特徴とする請求項16に記載の腫瘍溶解性ウイルス。
  18. 請求項1~17のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルスを発現することができる、
    ことを特徴とする腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター。
  19. 請求項1~17のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルスを産生することができる、
    ことを特徴とするウイルス生産細胞。
  20. 請求項1~17のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス、及び任意選択で薬学的に許容される担体を含む、
    ことを特徴とする医薬組成物。
  21. 請求項1~17のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス、請求項18に記載の腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、請求項19に記載のウイルス生産細胞及び/又は請求項20に記載の医薬組成物の製造方法。
  22. 請求項1~17のいずれか一項に記載の腫瘍溶解性ウイルス、請求項18に記載の腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、請求項19に記載のウイルス生産細胞及び/又は請求項20に記載の医薬組成物の、疾患及び/又は病状の予防及び/又は治療のための医薬の製造における使用。
  23. 前記腫瘍溶解性ウイルス、前記腫瘍溶解性ウイルス発現ベクター、前記ウイルス生産細胞及び/又は前記医薬組成物は、異常増殖性細胞を持続的に殺傷する方法で用いられる、
    ことを特徴とする請求項22に記載の使用。
  24. 前記異常増殖性細胞が、腫瘍細胞又は腫瘍組織の関連細胞から選択される、
    ことを特徴とする請求項23に記載の使用。
  25. 前記腫瘍細胞が、癌細胞又は転移性癌細胞である、
    ことを特徴とする請求項24に記載の使用。
  26. 前記腫瘍が、固形腫瘍及び/又は血液腫瘍を含む、
    請求項22~24のいずれか一項に記載の使用。
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