JP2024524640A - 芳香族カルボジイミド、それらを製造するためのプロセス、及びそれらの使用 - Google Patents

芳香族カルボジイミド、それらを製造するためのプロセス、及びそれらの使用 Download PDF

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ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
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Abstract

本発明は、新規なカルボジイミド、それらを製造するためのプロセス(方法)、及び以下のものにおける安定剤としてのそれらの使用に関する:エステルベースのポリオール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、コポリエステル、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE E)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ乳酸(PLA)及び/又はPLA誘導体、ポリブチレンアジペート-テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ブレンド物、トリグリセリド、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、PU接着剤、PUキャスティング樹脂、PUコーティング、又はPUフォーム。

Description

カルボジイミドは、多くの用途、例えば、熱可塑性プラスチック、ポリオール、ポリウレタン、トリグリセリド、及び潤滑オイルのための加水分解阻害剤として、有用性が認められてきた。
この目的のためには、高度に立体障害のあるポリカーボジイミドを採用するのが好ましいが、それらは、極めて特殊な原料から製造され、そのため、調達するのに極めて高コストである。それに加えて、高度に立体障害のあるカルボジイミド、たとえばトリイソプロピルフェニルイソシアネートに基づくものは、極めて高い融点を有し、不溶性であり、ポリウレタンの出発物質の中へ導入することが可能であったとしても、かなりの時間と設備の投資を必要とする。より安価な原料に基づく芳香族カルボジイミド、たとえば(特許文献1)に記載されているものは、いくつかのエステルベースのポリマーたとえばPET又はPLAにおいて、極めて良好な加水分解阻害性を達成することが可能であるが、他の用途、たとえばポリウレタンにおいては加水分解を十分に阻害することができず、そのため、普遍的に採用することができないという欠点を有している。従来技術のカルボジイミドは、多くの場合、特に粘着性のある組成物の形態である場合、計量仕込みが困難な形態をしている。
欧州特許第2997010B1号明細書
したがって、従来技術の欠点を示すことなく、製造するのが簡単で、高い熱安定性を示し、ポリウレタン用途においても優れた加水分解阻害性を達成し、それに加えて、より容易に計量仕込みが可能な、新規なカルボジイミドが必要とされている。
この目的は、驚くべきことに、下記式(I)のカルボジイミドによって達成された。
[式中、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、かつ、-NCN-R及び-NHCOORIIIから選択され、ここで、
は、C~C22-アルキル、C~C12-シクロアルキル、C~C18-アリール、又はC~C18-アラルキル、好ましくはトリイソプロピルフェニルを表し、
IIIは、アルキル化ポリオキシアルキレン基を表し、
、R、及びRは、それぞれ互いに独立に、メチル、i-プロピル、又はn-プロピルを表し、ここでそれぞれのベンゼン環上で、基R、R、及びRのうち一つがメチルであり、かつ、
nは、0~500、好ましくは、nは、1~50である]。
そのアルキル化ポリオキシアルキレン基のモル質量は、好ましくは少なくとも200g/mol、特に好ましくは200~600g/mol、最も好ましくは350~550g/molである。
本発明におけるカルボジイミドのカルボジイミド含量(NCN含量、シュウ酸を用いた滴定により測定される)は、典型的には2~17重量%である。NCN含量を測定するには、NCN基を、過剰に添加したシュウ酸と反応させ、次いで未反応のシュウ酸を、電位差滴定で、ナトリウムメトキシドを用いて逆滴定し、その場合、その系のブランク試験値を考慮に入れる。
好ましいのは、R、R、及びRが、それぞれ互いに独立に、メチル-又はi-プロピル-を表すカルボジイミドである。
好ましいのは、RがNCN-Rを表し、nが0~500、好ましくは1~100、最も好ましくは1~50であり、カルボジイミド含量が、好ましくは10~17重量%、特に好ましくは11~15重量%、最も好ましくは13~14重量%である、式(I)のカルボジイミドである。
さらなる好ましい実施形態は、RがNHCOORIIIを表し、nが0~20、好ましくは1~10、特に好ましくは3~8であり、カルボジイミド含量が、好ましくは4重量%~13重量%、特に好ましくは10重量%~13重量%である、式(I)のカルボジイミドに関する。
Rが-NCN-Rであり(ここで、Rは、上で定義したとおりである)、R、R、及びRが、それぞれ独立に、メチル-又はi-プロピル-を表し、ここでそれぞれのベンゼン環上で、基R、R、及びRのうち1個がメチルである、式(I)のカルボジイミドは、固体であって、40℃より高い軟化点を有している。したがって、それらは、エステルベースのポリマー、好ましくは以下のものから選択されるポリマーを安定化させるためにとりわけ好適である:ポリエステルポリオール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、コポリエステル、たとえばシクロヘキサンジオールとテレフタル酸の変性ポリエステル(PCTA)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE E)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ乳酸(PLA)及び/又はPLAの誘導体、ポリブチレンアジペート-テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリウレタンエラストマー、好ましくは熱可塑性ポリウレタン(TPU)、並びにブレンド物、好ましくはPA/PET又はPHA/PLAのブレンド物。
本発明はさらに、上述したカルボジイミドを添加することによる、エステルベースのポリマーを安定化させるための方法にも関する。エステルベースのポリマーの中に、上述したカルボジイミドを、固形物計量仕込みユニットを使用して添加することが好ましい。
本発明との関連において、固形物計量仕込みユニットとは、好ましくは以下のものである:単軸、二軸、及び多軸の押出機、連続共混錬機(co-kneader)(Bussタイプ)、及び非連続混錬機(kneader)、たとえばBanburyタイプ。
本発明のさらなる実施形態において、好ましいのは、次のような式(I)のカルボジイミドである:Rが-NHCOORIIIを表し、RIIIがアルキル化ポリオキシアルキレンを表し、R、R、及びRがそれぞれ互いに独立に、メチル-又はi-プロピル-を表し、nが0~20、好ましくは1~10、特に好ましくは1~4、最も好ましくは2~3であり、かつ、カルボジイミド含量が、好ましくは2重量%~10重量%、特に好ましくは4重量%~8重量%、最も好ましくは5重量%~7重量%である。
好ましいアルキル化ポリオキシアルキレン基は、モノアルキル化ポリエチレングリコールエーテル、特に好ましくはポリエチレングリコールモノメチルエーテル、特に200~600g/mol、好ましくは350~550g/molのモル質量を有するものである。
Rが-NHCOORIIIである(ここで、RIIIは、アルキル化ポリオキシアルキレン基である)上述した式(I)のカルボジイミドは、典型的には室温において液体であり、そのため、ほとんどの固体のカルボジイミドとは対照的に、TPU及びPUフォームの製造のために使用される液状のポリエステルポリオールの中に組み込むことができる。
したがって本発明はまた、TPU及びPUフォームを安定化させるための方法にも関し、その方法では上述したカルボジイミドが、それからTPU及びPUフォームが製造される液状のポリエステルポリオールに、添加される。
本発明はさらに、エステルベースのオイル及び/又は滑沢剤若しくはグリースを安定化させるための方法にも関し、その方法では、上述したカルボジイミドが、エステルベースのポリマーに添加される。
エステルベースのポリマーの中、又はエステルベースのオイル、滑沢剤若しくはグリースの中の、本発明による式(I)のカルボジイミドの濃度は、好ましくは0.1重量%~5重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%、特に好ましくは1重量%~2重量%である。
本発明によるカルボジイミドは、好ましくは1000~20000g/mol、好ましくは1500~5000g/mol、特に好ましくは2000~4000g/molの平均モル質量(Mw)を有している。
好ましいのはさらに、1.2~2、特に好ましくは1.4~1.8の多分散性(D=Mw/Mn)を有しているカルボジイミドである。
本発明の範囲には、これまで及びこれから後に説明されている基の一般的な定義、及び好ましい範囲、指数、パラメーター、及びそれら相互の組合せにおいて示されている定義の全てを包含し、すなわち、それには、それぞれの範囲と、任意の所望する組み合わせによる好ましい範囲の間の全てが含まれる。
本発明はさらに、下記式(II)
の芳香族ジイソシアネートをカルボジイミド化させることによる、本発明によるカルボジイミドの製造も提供し、そのためには、80℃~200℃の温度において、触媒、及び任意選択により場合によっては溶媒の存在下で二酸化炭素を脱離させ、次いで、式NORIIIのアルコールを用いてそれらの遊離NCO基を官能化させ、ここで、R~R及びR~RIIIは、式(I)の化合物に対して定義したとおりである。
この方法においては、使用する式(II)の芳香族ジイソシアネートは、好ましくは、下記式(III)及び/又は(IV)の芳香族ジイソシアネートである:
式(III)及び(IV)のジイソシアネートの混合物、好ましくは60:40から95:5まで、特に好ましくは70:30から90:10までの範囲の混合物を使用することが特に好ましい。
それらのジイソシアネートを製造するために必要な芳香族ジアミンは、当業者公知のとおり、対応するトリレンジアミンの、対応するアルケン又はハロアルカンとのフリーデル・クラフツアルキル化によって製造することができる。それらのジアミンを次にホスゲンと反応させて、対応するジイソシアネートが得られる。
本発明によるカルボジイミドを製造するためには、たとえば式(III)及び/又は(IV)のジイソシアネートを、触媒及び任意選択により場合によっては基Rのさらなるモノイソシアネートの存在下で、昇温下、好ましくは80~200℃、特に好ましくは100℃~180℃、極めて特に好ましくは120~140℃の温度において二酸化炭素を脱離させて、縮合させるのが有利であり得る。そのために好適な方法は、たとえばドイツ国特許出願公開第1130594号明細書及びドイツ国特許出願公開第11564021号明細書に記載されている。
本発明の一つの実施形態において、式(I)の化合物を製造するための触媒として、リン化合物が好ましい。使用されるリン化合物は、好ましくはホスホレンオキシド、ホスホリデン、又はホスホリンオキシド、及びそれらに対応するホスホレンスルフィドである。使用可能なさらなる触媒としては、以下のものが挙げられる;第三級アミン、塩基性金属化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド、又はフェノキシド、金属カルボキシレート塩、非塩基性の有機金属化合物。
カルボジイミド化は、ニート(in substance)でも、溶媒中でも実施することができる。好適に採用される溶媒は、アルキルベンゼン、パラフィンオイル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ケトン、又はラクトンである。
本発明の一つの実施形態において、その反応混合物の温度を、この目的のために、50~120℃、好ましくは60~100℃、特に好ましくは80~90℃にまで低下させ、それらの触媒を、減圧下で蒸留除去する。本発明によるカルボジイミドの好ましい製造の変法では、次いで、過剰のジイソシアネートを、150~200℃、好ましくは160~180℃の温度において蒸留除去する。それに続いて、そのカルボジイミドの遊離末端イソシアネート基を、好ましくは-OH基がわずかに過剰の状態で、場合によっては当業者公知のPU触媒、好ましくは第三級アミン又は有機スズ化合物、特に好ましくはDBTL(ジブチルスズジラウレート)若しくはDOTL(ジオクチルスズジラウレート)の存在下で、アルコールと反応させる。アルコール対カルボジイミドの物質量比(モル比)は、存在しているN=C=O基を基準にして、好ましくは1.005~1.05:1、特に好ましくは1.01~1.03:1である。
本発明のさらなる実施形態において、カルボジイミド化を妨害するために、その反応混合物の温度を、50℃~120℃、好ましくは60℃~100℃、特に好ましくは80℃~90℃の範囲の値まで下げ、任意選択により場合によっては溶媒、好ましくはアルキルベンゼン類の群から選択される溶媒、特に好ましくはトルエンを添加した後で、カルボジイミドの遊離の末端イソシアネート基を、アルコールと、好ましくは-OH基がわずかに過剰な状態で、任意選択により場合によっては当業者に公知のPU触媒、好ましくは第三級アミン又は有機スズ化合物、特に好ましくはDBTL(ジブチルスズジラウレート)又はDOTL(ジオクチルスズジラウレート)の存在下で、反応させる。アルコール対カルボジイミドの物質量比は、存在しているN=C=O基を基準にして、好ましくは1.005~1.05:1、特に好ましくは1.01~1.03:1である。
反応が完了した後、その触媒、及び場合によってはその溶媒を、好ましくは、減圧下で80~200℃の温度において蒸留除去する。
本発明はさらに、下記式(II)
の芳香族ジイソシアネートの遊離NCO基を、式HORIIIのアルコールと反応させ、次に、80℃~200℃の温度において、触媒及び任意選択により場合によっては溶媒の存在下で二酸化炭素を脱離させてカルボジイミド化させて、部分的、好ましくは50%未満の割合で官能化させることによる、本発明によるカルボジイミドを製造するためのさらなる方法も提供する(ここで、R~R及びRIIIは、式(I)の化合物に対して定義したとおりである)。
このプロセスにおいてもまた、用いる式(II)の芳香族ジイソシアネートは、好ましくは、下記式(III)
及び/又は下記式(IV)
の芳香族ジイソシアネートである。
本発明によるカルボジイミドは、好ましくは、その製造後に精製される。その粗反応生成物を、蒸留によるか及び/又は溶媒抽出によって精製することができる。好ましく使用されうる、精製のために適した溶媒は、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、アルキルベンゼン、パラフィンオイル、アルコール、ケトン、又はエステルである。これらは、市販されている溶媒である。
本発明はさらに、下記式(II)
の芳香族ジイソシアネートをカルボジイミド化させることによる、本発明によるカルボジイミドの製造も提供し、そのためには、80℃~200℃の温度において、触媒及び任意選択により場合によっては溶媒の存在下で二酸化炭素を脱離させるが、ここで、そのジイソシアネートのカルボジイミド化の前、途中、又は後に、式OCN-Rのモノイソシアネートを添加し、ここでR~R及びRは、式(I)の化合物に対して定義されたとおりである。ジイソシアネートをカルボジイミド化させた後で添加する場合、そのカルボジイミド化反応を継続させて、カルボジイミドの残存イソシアネート(末端)基を、モノイソシアネートとの式-NCN-Rの基に変換させる。ジイソシアネートのカルボジイミド化反応の前又は途中でモノイソシアネートを添加する場合は、末端基の官能化は、カルボジイミド化の過程で自動的に起こる。
この方法においてもまた、使用する式(II)の芳香族ジイソシアネートは、好ましくは、下記式(III)
及び/又は下記式(IV)
の芳香族ジイソシアネートである。
使用するモノイソシアネートは、好ましくは、トリイソプロピルフェニルイソシアネートである。
本発明はさらに、次のものを含む組成物も提供する:
- 少なくとも1種のエステルベースのポリマー(エステル系ポリマー)、及び
- 少なくとも1種の、本発明の式(I)のカルボジイミド。
そのエステルベースのポリマーは、好ましくは以下のものから選択されるポリマーである:ポリエステルポリオール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、コポリエステルたとえばシクロヘキサンジオールとテレフタル酸の変性ポリエステル(PCTA)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE E)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ乳酸(PLA)及び/又はPLAの誘導体、ポリブチレンアジペート-テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリウレタンエラストマー、好ましくは熱可塑性ポリウレタン(TPU)、並びにブレンド物、好ましくはPA/PET又はPHA/PLAのブレンド物。
本発明の特に好ましい実施形態においては、そのエステル基含有ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。
本発明による組成物中の、本発明の式(I)のカルボジイミドの濃度は、好ましくは0.1~5重量%、好ましくは0.5~3重量%、特に好ましくは1~2重量%である。
エステルベースのポリマーとしてのポリエステルポリオールは、最大2000、好ましくは500~2000の間、特に好ましくは500~1000の間の分子量(単位:g/mol)を有する長鎖化合物であることが好ましい。
本発明との関連において、「ポリエステルポリオール」という用語は、長鎖のジオール及びトリオールの両方、さらには1分子あたり3個より多いヒドロキシル基を有する化合物を包含する。
ポリエステルポリオールが、最高200、好ましくは20~150の間、特に好ましくは50~115の間のOH価を有していることが有利である。各種のポリオールと芳香族又は脂肪族のジカルボン酸との反応生成物、及び/又はラクトンのポリマーであるポリエステルポリオールが、特に好適である。
本発明との関連において使用されるポリエステルポリオールは、Covestro Deutschland AGから、Baycoll(登録商標)及びDesmophen(登録商標)の商品名で入手可能な、市販されている化合物である。
本発明はさらに、Rが-NCN-Rである、本発明の式(I)のカルボジイミドを製造するための方法を提供するが、その方法では、カルボジイミド化の後に、その溶融物をペレット化、好ましくはペレット化ラインで、未精製の形態又は精製後にペレット化する。慣用されているペレット化システム及び慣用されている粒状化システムのいずれも採用できる。それらは、たとえばSandvik Holding GmbH又はGMF Goudaから入手可能である。
Rが-NCN-Rであり、Rがトリイソプロピルフェニルである、本発明の式(I)のカルボジイミドは、極めて特に好適である。
本発明はさらに、エステルベースのポリマー、好ましくは以下のものから選択されるポリマーにおける加水分解に対する阻害剤としての、本発明におけるカルボジイミドの使用にも関する:ポリエステルポリオール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、コポリエステルたとえばシクロヘキサンジオールとテレフタル酸の変性ポリエステル(PCTA)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE E)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ乳酸(PLA)及び/又はPLAの誘導体、ポリブチレンアジペート-テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリウレタンエラストマー、好ましくは熱可塑性ポリウレタン(TPU)、及びブレンド物、たとえば、好ましくはPA/PET若しくはPHA/PLAのブレンド物、又はトリグリセリド中、好ましくはトリメチロールプロパントリオレエート(TMPのオレイン酸エステル)中、潤滑剤産業のためのオイル配合物中、PU接着剤中、PU注型樹脂中での使用。ウレタン中での使用としては、とりわけ、PUフォーム、木材のためのPUコーティング、皮革、合成皮革、及び織物が挙げられる。熱可塑性ポリウレタン(TPU)における使用が、特に好ましい。
以下の例は、本発明を説明するためのものであるが、本発明を限定するいかなる効果を有するものでもない。
以下のものについて、試験を実施した:
1)CDI(A):約12重量%のNCN含量を有する、シクロヘキサノールを用いて末端官能化された、約80重量%のジエチルトリレン-2,4-ジイソシアネート及び20重量%のジエチルトリレン-2,6-ジイソシアネートに基づく、固形のカルボジイミド(比較例、欧州特許第2997010B1号明細書に類似する)。
2)CDI(B):約14重量%のNCN含量を有する、-NCN-Rを用いて末端官能化された、80重量%のジエチルトリレン-2,4-ジイソシアネート及び20重量%のジエチルトリレン-2,6-ジイソシアネートに基づく、高粘度のカルボジイミド(ここで、Rがトリイソプロピルフェニルであり、nが40より大きい)(比較例)。
3)CDI(C):約14重量%のNCN含量を有し、-NCN-Rを用いて末端官能化された、ジイソプロピルトリレンジイソシアネート(式III及びIV、重量比、約1:4)に基づく、固形の高分子量カルボジイミド(ここで、Rがトリイソプロピルフェニルであり、nが40より大きい)(本発明の実施例)。
4)CDI(D):エチルアミンを用いて末端官能化されたジイソプロピルトリレンジイソシアネートに基づく、固形の高分子量カルボジイミド(比較例、中国特許第105778026号明細書に類似する)。
5)CDI(E):約6~7重量%のNCN含量を有し、メチルポリエチレングリコール(Mw約550g/mol)を用いて末端官能化された、ジイソプロピルトリレンジイソシアネート(式II及びIV、重量比、約1:4)に基づく、固形の高分子量カルボジイミド(ここで、nは4~5である)(本発明実施例)。
エステルベースのポリマー:
6)安定化されていない熱可塑性ポリウレタン(TPU)(Covestro AGから、Desmopanの名称で入手可能なもの)。
カルボジイミドCDI(A)の製造
高温加熱処理し(baked-out)、窒素を充満させた250mLの四つ口フラスコに、最初に、窒素気流下で、150gのジイソシアネート及び37.5gのシクロヘキサノールを仕込んだ。50mgの1-メチルホスホレンオキシドを添加し、次に、その混合物を180℃へとゆっくり加熱した。次いで、カルボジイミド化を、180℃において、NCO含量が1重量%未満に達するまで実施した。
カルボジイミドCDI(B)及びCDI(C)の製造
高温加熱処理し、窒素を充満させた250mLの四つ口フラスコに、最初に、窒素気流下で、150gのジイソシアネート及び37.5gのトリイソプロピルフェニルイソシアネートを仕込んだ。50mgの1-メチルホスホレンオキシドを添加し、次に、その混合物を180℃へとゆっくり加熱した。次に、カルボジイミド化を180℃において、NCO含量が1重量%未満に達するまで実施した。
カルボジイミドCDI(D)の製造
高温処理をし、窒素を充満させた250mLの四つ口フラスコに、最初に、窒素気流下で、150gのジイソシアネート及び7.0gのエチルアミンを仕込んだ。50mgの1-メチルホスホレンオキシドを添加し、次に、その混合物を180℃へとゆっくり加熱した。次に、カルボジイミド化を180℃において、NCO含量が0.1重量%未満に達するまで実施した。
カルボジイミドCDI(E)の製造
高温処理をし、窒素を充満させた250mLの四つ口フラスコに、最初に、150gのジイソシアネート及び100gのMPEG(メチルポリエチレングリコール、Mw、約550g/mol)を仕込んだ。50mgの1-メチルホスホレンオキシドを添加し、次に、その混合物を180℃へとゆっくり加熱した。次に、カルボジイミド化を180℃において、NCO含量が0.1重量%未満に達するまで実施した。
熱可塑性ポリウレタン(TPU)における加水分解阻害
TPUにおける加水分解阻害を評価するために、Werner & Pfleiderer製のZSK25実験室用2軸スクリュー押出機を使用して、調べるカルボジイミドのそれぞれを1.5重量%の量でTPUの中に分散させ、その後、下記の測定を実施した。次に、そのようにして得られたペレットから、Arburg Allrounder 320 S 150-500射出成形機で、破壊強度を測定するために使用する標準試験片を作成した。
加水分解性試験のために、それらの標準試験片を80℃の温度において水中に貯蔵し、それらの破壊強度(単位、MPa)を測定した。
その結果を表1に示す。
表1からの結果は、本発明のカルボジイミドが、従来技術と比較して、顕著に良好な加水分解阻害を達成していることを示している。
ポリエステルポリオール中への溶解度
加水分解に対するエステルベースのTPUエラストマーの安定化は、原則として、製造時に直接実施する。この目的のために、カルボジイミドを、通常、ポリウレタンを得るためのイソシアネートとの反応を実施するより前に、ポリエステルポリオール又はポリエステル可塑剤に添加する。したがって、カルボジイミドの溶解度が重要である。表2は、80℃における、アジピン酸とエタンジオールに基づく、Mw=2000を有する標準のポリエステルポリオール(Desmophen 2000MM、Covestro AG製)中のさまざまなカルボジイミドを示している。
ポリエチレンテレフタレート(PET)における加水分解の阻害
PETにおける加水分解阻害を評価するために、Werner & Pfleiderer製のZSK25実験室用2軸スクリュー押出機を使用して、調べるカルボジイミドのそれぞれを1.5重量%の量でPETの中に分散させ、その後、下記の測定を実施した。次に、そのようにして得られたペレットから、Arburg Allrounder 320 S 150-500射出成形機で、破壊強度を測定するためのF3標準試験片を作成した。
加水分解試験のために、それらのF3標準試験片を90℃の温度において水中に貯蔵し、その破壊強度(単位、MPa)を測定した。表2は、相対的破壊強度=(x日貯蔵後の破壊強度/0日後の破壊強度)×100を示す。相対的破壊強度の下限は、通常70~75%である。
その結果を表3に示す。
固形のカルボジイミドのペレット化性及び計量仕込み性についての試験
さまざまな固形のカルボジイミドの加工性、取扱い性、及び計量仕込み性を明らかにするために、それらを、外観、ペレット化性、及び軟化点について比較した。軟化点は、Kofflerベンチを使用して測定した。
それらの結果を表4に示す。
表4の結果は、次のことを示している:モノイソシアネートで末端封止されたジイソプロピルトリレンに基づく本発明のカルボジイミドは、これもまたモノイソシアネートで末端封止されたジエチルトリレンジイソシアネートに基づく高分子量カルボジイミドと比較し、かつ、カルボジイミドDと比較して、並外れたペレット化性及び高い軟化点を有しており、そのため、エステルベースのポリマーの安定化において、固形物の加工性及び計量仕込み性での利点を伴っている。本発明によるカルボジイミドEは、液状であり、そのままで添加することができる。

Claims (15)

  1. 下記式(I)のカルボジイミド:
    [式中、
    Rは、同一であっても異なっていてもよく、かつ、-NCN-R及び-NHCOORIIIから選択され、ここで、
    は、C~C22-アルキル、C~C12-シクロアルキル、C~C18-アリール、又はC~C18-アラルキル、好ましくはトリイソプロピルフェニルを表し、
    IIIは、アルキル化ポリオキシアルキレン基を表し、
    、R、及びRは、それぞれ互いに独立に、メチル、i-プロピル、又はn-プロピルを表し、ここでそれぞれのベンゼン環上で、基R、R、及びRのうち一つがメチルであり、かつ
    nは、0~500、好ましくは1~50である]。
  2. 、R、及びRがそれぞれ互いに独立に、メチル-又はi-プロピル-を表す、請求項1に記載のカルボジイミド。
  3. 前記カルボジイミドの含量が、2~17重量%である、請求項1又は2に記載のカルボジイミド。
  4. 式(I)において、Rが、NCN-Rを表し、nが、0~500、好ましくは1~100、特に好ましくは1~50であり、前記カルボジイミドの含量が、好ましくは10~17重量%、特に好ましくは11~15重量%、最も好ましくは13~14重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のカルボジイミド。
  5. 式(I)において、Rが、-NHCOORIIIを表し、nが、0~20、好ましくは1~10、特に好ましくは3~8であり、前記カルボジイミドの含量が、好ましくは4重量%~13重量%、特に好ましくは10重量%~13重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のカルボジイミド。
  6. 式(I)において、Rが、-NHCOORIIIを表し、RIIIが、アルキル化ポリオキシアルキレン基を表し、nが、0~20、好ましくは1~10、特に好ましくは1~4、最も好ましくは2~3であり、前記カルボジイミドの含量が、好ましくは2~10重量%、特に好ましくは4~8重量%、最も好ましくは5~7重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のカルボジイミド。
  7. IIIが、モノアルキル化ポリエチレングリコールエーテル、好ましくはポリエチレングリコールモノメチルエーテルを表し、モノアルキル化ポリエチレングリコールが好ましくは200~600g/molのモル質量、特に好ましくは350~550g/molのモル質量を有する、請求項6に記載のカルボジイミド。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のカルボジイミドを製造する方法であって、以下のステップ:
    a)下記式(II)
    の芳香族ジイソシアネートを、80℃~200℃の温度において、触媒及び任意選択により場合によっては溶媒の存在下で、二酸化炭素を脱離させて、カルボジイミド化させるステップ;及び
    b)ステップa)で得られた前記カルボジイミドの遊離NCO基を、式NORIIIのアルコールを用いて官能化させるステップ
    (ここで、R~R及びRIIIは、前記式(I)の化合物に対して定義された通りである)
    を含む方法。
  9. 請求項1~7のいずれか一項に記載のカルボジイミドを製造する方法であって、以下のステップ:
    a)部分的に、好ましくは50%未満の割合で、下記式(II)
    の芳香族ジイソシアネートの遊離NCO基を、式NORIIIのアルコールを用いて官能化させるステップ;及び
    b)それに続いて、ステップa)で得られた、部分的に官能化された式(II)の芳香族ジイソシアネートを、80℃~200℃の温度において、触媒及び任意選択により場合によっては溶媒の存在下で、二酸化炭素を脱離させて、カルボジイミド化させるステップ
    (ここで、R~R及びRIIIは、前記式(I)の化合物に対して定義したとおりである)
    を含む方法。
  10. 請求項1~7のいずれか一項に記載のカルボジイミドを製造する方法であって、
    下記式(II)
    の芳香族ジイソシアネートを、80℃~200℃の温度において、触媒及び任意選択により場合によっては溶媒の存在下で、二酸化炭素を脱離させて、カルボジイミド化させるステップを含み;ここで、前記のジイソシアネートのカルボジイミド化の前、途中、又は後に、式OCN-Rのモノイソシアネートを添加する方法(ここでR~R及びRは、前記式(I)の化合物に対して定義したとおりである)。
  11. 使用する前記式(II)の芳香族ジイソシアネートが、下記式(III)
    の化合物、及び/又は下記式(IV)
    の化合物である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. Rが、-NCN-Rであり、ここでRが、前記式(I)の化合物に対して定義したとおりであり、前記のカルボジイミド化で得られたカルボジイミドの溶融物が、未精製の形態又は精製後の形態でペレット化される、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1~7のいずれか一項に記載のカルボジイミドの使用であって、エステルベースのポリマー、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、コポリエステル、たとえばシクロヘキサンジオールとテレフタル酸の変性ポリエステル(PCTA)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE E)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ乳酸(PLA)及び/又はPLAの誘導体、ポリブチレンアジペート-テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリウレタンエラストマー、好ましくは熱可塑性ポリウレタン(TPU)、並びにブレンド物、好ましくはPA/PET又はPHA/PLAのブレンド物から選択されるポリマー中での、加水分解に対する阻害剤としての使用。
  14. 請求項1~8のいずれか一項に記載のカルボジイミドの使用であって、熱可塑性ポリウレタン(TPU)中での、加水分解に対する保護剤としての使用。
  15. 組成物であって、請求項1~7に記載の少なくとも1種の本発明のカルボジイミド、並びに、少なくとも1種の、エステルベースのポリマー、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、コポリエステルたとえばシクロヘキサンジオールとテレフタル酸の変性ポリエステル(PCTA)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE E)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ乳酸(PLA)及び/又はPLAの誘導体、ポリブチレンアジペート-テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリウレタンエラストマー、特に熱可塑性ポリウレタン(TPU)、及びブレンド物たとえば、特にはPA/PET又はPHA/PLAのブレンド物から選択されるエステルベースのポリマーを含む組成物。
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