JP2024524578A - ガラスの製造方法およびガラス加工炉 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024524578000001
【課題】
改良したガラス製造方法を提供する。
【解決手段】
ガラスを製造するための方法は、ガラス加工炉用のガラス原料の混合物を調製することを含む。水、砂、および炭酸ナトリウムがそれぞれ、0~5%、40~65%、および0%超25%以下の質量割合で混合され、10分未満の時間内に、好ましくは同時に、酸化カルシウムが総量に対して1~20%の質量割合で添加される。酸化カルシウムの粒度は、97質量%超が0.125mmの篩を通過せず、96質量%超が0.5mmの篩を通過せず、好ましくは95質量%超が1mmの篩を通過しないような粒度である。
【選択図】
図3

Description

本発明はガラス工業の分野に関する。ガラスを形成する材料を溶融するには大量のエネルギーを与えることが必要である。ガラス浴の温度は1300~1500℃程度である。ガラスは、その組成に応じて、例えば飲料用グラスなどの家庭での直接的使用、施釉、例えばガラスセラミック板などの間接的使用、または工業的使用が意図される。
炉は、非常に高い熱応力および機械的応力を受ける。炉は高品質の耐火性ライニングを用いて構成される。これらの耐火性ライニングは高価であり、化学反応を起こし得るガラスの特定の構成成分に対して敏感である。耐火性ライニングは熱伝導性が低いため、ガラス浴は上方から加熱される。
液体または気体燃料火炎バーナーはガラス浴と、クラウンと呼ばれる炉の頂部との間に配置される。ガラス浴は主に輻射によって加熱される。ガスの出口温度は、ガラスの種類にもよるが1300~1600℃である。
さらに、ガラスの製造は大量のガスを放出する。ガラス中の気泡の形成を回避するために、ガラス浴は数時間脱気される。脱気を容易にするために、硫酸塩などの精製添加剤を使用してもよい。炉は、選択された組成のガラスのバッチごとに稼働する。
脱気から生じる排出ガスおよび燃焼から生じる排出ガスは、煙突を通して排出される。
本出願人は、生産されるガラスの質量と比較してエネルギーの消費を大幅に低減するという目的を追求した。
石灰ソーダガラスでは、主な初期材料は、石灰石、例えば炭酸ナトリウムNaCOの形態のソーダ、および珪砂の形態のシリカである。石灰石と炭酸ナトリウムは、ガラスの精製中にCOを放出する。
特許文献1は、ガラスの製造のためにスラグを使用することを記載している。しかし、多くの技術的障害が対処されていない。本出願人が知る限りでは、そのような技術は工業的に実施されていない。
特許文献2は、湿式混合したドロマイトとカオリンから生産されたガラス加工(glassworks)炉充填物を記載している。ドロマイトとカオリンのスラリーは焼成され、次いで、ソーダ灰、砂、および生石灰と混合される。
特許文献3は、NaCOおよびSiOのプレミックスを、CaCOおよびSiOのプレミックスと並行して予備反応させ、次いで、2つのプレミックスを混合し、SiOを加えて、次いでガラス加工炉へ導入することを記載している。
特許文献4は、CaCOを焼成してCaOを形成し、液相のNaSiOガラスを形成し、CaOおよびNaSiOを液相で混合して石灰ソーダガラスを形成することを含む、ガラス製造方法に関する。
さらに、本出願人は、2012年10月18日と19日にアイントホーフェン(Eindhoven)で行われたセミナー「ガラス・トレンド・セミナー」を知っており、非特許文献1を発表したSISECAM社のHande Sesigur氏、Melek Orhon氏、およびBanu Arslan氏に会った。この文献は、ガラス加工炉に焼成石灰石を導入する試みについて報告している。この試みにより、エネルギー消費は僅かに低減し、溶融が容易になり、炉の比出力が増加するが、生産されたガラスのメートルトンあたりの費用価格が高くなり、ガラス浴上方にキャリーオーバー(volages)が多く存在し、炉の壁の腐食が増し、粒子間の付着という問題が生じる。
本出願人は試験を行った。ガラス製造材料中の石灰石を生石灰に置き換えると、特に、空気中の水分との石灰の反応性に関する問題が生じる。石灰の経済性は、輸送および取り扱いトン数が低減するにもかかわらず、石灰石の経済性よりも好ましくない。さらに、粒度が大きい石灰は、ガラス浴内での溶融が遅く、未溶融粒子が残る可能性がある。粒度が小さい石灰では、燃焼ガスによって巻き込まれたキャリーオーバーが生じる。石灰の一部は失われ、炉の下流の煙管を汚す。
これらの障害にもかかわらず、本出願人はガラス原料の混合物を追求し開発した。混合物の調製中にある困難が現れた。水がない場合、粉末状の混合物は強度がなく大量のキャリーオーバーを生じさせる。しかし、水と石灰は一緒になると発熱反応する。到達温度により混合物の取り扱いが困難になる。
本出願人は、低加熱でキャリーオーバー生成の少ない混合物を提供する前駆混合物を調製するための方法を開発した(特許文献5参照)。混合物に添加される構成成分の粒度は、粒度を僅かに低減する粉砕効果が機械的移送操作により生じ得ることを除いて、実質的に維持される。ガラス加工炉へ導入される前記混合物は、3~6%程度のCO放出量およびガラス生産に必要なエネルギーの低減をもたらす。さらに、混合物の溶融時間は、炭酸カルシウムの使用中に認めた時間よりも短い。この結果、炉の生産性が高まるとともに、エネルギー消費がさらに約4~6%低下することになる。
本出願人は、キャリーオーバーが生じる現象を理解する目的で研究を進めた。高い溶融運動を得るために、石灰供給業者からの入手可能性に応じた微細な石灰を使用した。しかし、混合物が調製された作業場において、調製済み組成物を搬送する回路で、塵が周囲空気に放出されるという欠点が現れた。除塵回路が設置された。しかし、除塵回路は粘着性の微細な石灰によって閉塞されてしまい、時間が経つにつれ不安定になった。
特開昭55-100236号 米国特許第2084328号 米国特許出願公開第2005/0022557号 米国特許出願公開第2012/0216574号 国際公開第2019/002802号
Alternative Raw Materials for Improving the Melting Properties in Glass Production
本発明はこの状況を改善する。
本発明は、ガラスを製造するための方法を提案する。該方法は、ガラス加工炉用のガラス原料の混合物を調製することを含み、水、砂、および炭酸ナトリウムがそれぞれ、0~5%、40~65%、および0%超25%以下の質量割合で混合され、二次ガラス生成原料と、10分未満の時間内に、好ましくは同時に、酸化カルシウムおよび任意で炭酸カルシウムとが、総量に対して1~20%の質量割合で添加され、前記酸化カルシウムの粒度は、97質量%超が0.125mmの篩を通過せず、96質量%超が0.5mmの篩を通過せず、好ましくは95質量%超が1mmの篩を通過しないような粒度である。
一実施形態において、前記二次ガラス生成原料は、Al、MgO、KO、BaO、CeO、Er、Ti0、B、ZnO、SrO、SnOのうちの少なくとも1つを含む。
一実施形態において、前記混合物の調製は熱を加えることなく行われる。
一実施形態において、前記原料は粉末状である。
一実施形態において、前記粒度はスクエアメッシュの篩を用いて測定される。
一実施形態において、前記酸化カルシウムの粒度は、d10が0.5~2mmであり、d90が3~4.5mmである。
一実施形態において、前記酸化カルシウムは、長さおよび幅の20~60%の厚みを有する粒から形成される。スクリーニングにより、長い粒の粒度を測定してもよい。
一実施形態において、前記酸化カルシウムは、幅10mm未満の粒から形成される。
一実施形態において、前記酸化カルシウムは、厚み3mm未満の粒から形成される。
一実施形態において、前記酸化カルシウムは、粒の90%において長さが15mm未満の粒から形成される。
一実施形態において、水、砂、酸化カルシウム、および炭酸ナトリウムの前記混合物は、5%以下の水分含有量を有する。
一実施形態において、前記炭酸ナトリウムの粒度は、5%未満が0.075mmの篩を通過し、15%未満が0.150mmの篩を通過し、5%未満が0.600mmの篩を通過しない、粒度である。
一実施形態において、水、砂、および炭酸ナトリウムの前記混合物は、3%以下の水分含有量を有し、炭酸ナトリウムの粒度は、主に0.500mm超1.000mm未満である。
一実施形態において、水、砂、および炭酸ナトリウムの前記混合物は、2%以下の水分含有量を有し、炭酸ナトリウムの粒度は、主に0.250mm未満である。
一実施形態において、前記酸化カルシウムは、質量で、1000ppm未満、好ましくは900ppm未満、より好ましくは850ppm未満のFeを含む。
一実施形態において、前記原料の初期温度は少なくとも30℃である。前記炭酸ナトリウムの水和速度が大きくなる。
一実施形態において、前記酸化カルシウムの粒度は、98質量%超が0.08mmの篩を通過しないような粒度である。
一実施形態において、前記酸化カルシウムの粒度は、97.5質量%超が0.2mmの篩を通過しないような粒度である。
一実施形態において、前記酸化カルシウムの粒度は、97.5質量%超が0.5mmの篩を通過しないような粒度である。
一実施形態において、前記酸化カルシウムの粒度は、98質量%超が0.125mmの篩を通過しないような粒度である。
一実施形態において、前記酸化カルシウムの粒度は、97質量%超が1mmの篩を通過しないような粒度である。
一実施形態において、前記酸化カルシウムのd50粒度は、1~4mm、好ましくは1.5~4mm、より好ましくは2~3.25mmである。
一実施形態において、前記砂は乾燥している。添加される水の量はよく制御されている。好ましくは中程度のまたは大きな粒度を伴う、水を添加しない別の態様では、エネルギー消費が低減される。前記砂は水分含有量が0.1%未満で乾燥しているとみなされる。前記砂は、周囲温度より15~20℃高い温度で加熱することによって乾燥させてもよい。
一実施形態において、前記水は前記砂の中に好ましくは3~6質量%存在する。少なくとも3%あれば前記砂の乾燥が避けられる。加熱を遅らせるためには4.8%以下が好ましい。塵の放出を抑えるためには6%以下が好ましい。水を意図的に添加するコストが回避される。
一実施形態において、前記酸化カルシウムには、酸化アルミニウムの意図的な添加は行われない。混合中に酸化アルミニウムを添加してもよい。
一実施形態において、酸化カルシウムの添加前または添加後に、カレットが、総量に対して5~40%の質量割合で、前記原料の混合物に添加される。カレットは、ガラスのダウングレードされたバッチから得られてもよい。バッチは既知の組成であるため、他の原料の量は、必要とされるガラスの品質に合わせて調整される。
一実施形態において、前記原料の混合物は固体状態で調製される。スラリーの場合の水の蒸発が回避される。前記原料を事前に溶融させるためのエネルギー消費が回避される。
一実施形態において、前記原料の混合物は、周囲温度から周囲温度プラス20℃の範囲の温度で調製される。
一実施形態において、前記原料の混合物は、前記水、前記砂、前記炭酸ナトリウム、および前記酸化カルシウムの事前温度に対して+0~+35℃の範囲の温度で調製される。事前温度として加重平均をとってもよい。
一実施形態において、前記原料の混合物は熱エネルギーを加えることなく調製される。微粉、したがってキャリーオーバーを生成する、前記混合物の乾燥が回避される。
一実施形態において、前記混合物は電気炉内へ投入される。
一実施形態において、水、砂、ソーダ、および酸化カルシウムならびに任意で炭酸カルシウムの混合物がガラス加工炉内へ提供される。前記酸化カルシウムの質量割合は前記混合物の総量に対して1~20%である。前記混合物は、前記混合物に向けられた少なくとも1つの火炎バーナーによって溶融される。前記バーナーにより効率が良好となり、溶融中または既に溶融したガラス浴の表面に向かうキャリーオーバーを焼く効果が得られる。
一実施形態において、前記バーナーへ供給される酸化剤は酸素である。キャリーオーバーを焼く効果が増大する。
一実施形態において、前記水、前記砂、前記炭酸ナトリウムおよび前記酸化カルシウムならびに任意で炭酸カルシウムは、それぞれ、添加された25%カレットに対して、0~5%、40~65%、1~25%、および1~20%の質量割合で存在する。カレットの割合は上記割合を調節することによって変化し得る。
一実施形態において、NaCOの脱炭酸化は、ガラス加工炉において液相で実施される。
一般的に、前記原料の混合物はガラス生成原料を意味する。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を検討することにより明らかになるであろう。
生石灰の試験バッチを用いた炉ドッグハウスにおける周囲空気の測定値のグラフである。 生石灰の試験バッチを用いた、炉のホッパー下、振動通路における周囲空気の測定値のグラフである。 使用した生石灰および砂の含水率による、ガラス化可能な混合物の温度変化を示すグラフである。 使用した生石灰および砂の含水率による、実験室試験中に回収されたキャリーオーバーの量の変化を示すグラフである。
添付の図は本発明を補足するだけでなく、適用可能な場合には、本発明の定義に寄与することも可能である。
特許文献5に報告されている試験に加えて他の試験も行った。
ガラス加工の活動サブセクターの大部分では、原料、特に炭酸ナトリウムおよび砂(結晶シリカ)のキャリーオーバーを制限するように、湿潤混合物を使用する。目標水分率は設備によって異なる。水分が存在すると生石灰が反応し、その結果、発熱性水和反応の効果により熱が放出され、塵の発生が増加する。水和石灰は、生石灰または無水石灰よりもこの現象の影響をはるかに受けやすい。この塵は、原料の混合物が調製される際、混合物を炉へ導入するときに炉の上流の搬送回路において、また、炉自体においても、放出される。これにより、長期的には炉の下流の耐火性パッキング上に堆積することによって、再生器の障害が引き起こされる。
さらに、市販されている生石灰は、ガラス製造において殆ど使用されていないため、透明なガラスという特定の要件には適さない。
・化学特性:我々の要件に適合した鉄含有量を有する石灰は殆どない。鉄は、生産されるガラスの脱色と透明性を悪化させる、ガラスの汚染物質である。
・例えば冶金、化学、または農業などの既存の用途の要件を満たすために、生石灰の粒度は非常に微細であることが多い(d50が0.15~0.5mmの範囲)。
本出願人は、その研究プログラムを通して、このタイプの生石灰を自身のガラス加工炉に使用することに成功した。
0.100mm未満の石灰粒子が問題となることが判明した。次に、0.100mmより上に制限値を固定することによって適用可能な場合には、小さな粒子の割合を減らすことが、塵の放出に対する実体的で安定した再現性のある結果を得るためには有利であることが判明した。次いで、生石灰のいくつかのバッチを試験した。
粒度が大きく異なる2つのバッチ:バッチno.1の粒度は、d10が0.08mm未満、d50が0.17mm、d90が3.18mmであり、バッチ2の粒度は、d10が0.08mm未満、d50が2.5mm超、およびd90が3.76mmであった。粒子は3つの寸法がほぼ等しい形を有していた。バッチ2は、8mmの篩を通らない極めて粗い粒子の存在に特に影響を受けているようであり、したがって極端に溶融が遅かった。
Figure 2024524578000002
Figure 2024524578000003
実験室で篩をかけることにより最も粗い粒子を除去した後、篩をかけたバッチ2の粒度スペクトルは、d10が0.08mm未満、d50が0.19mm、およびd90が1.9mmの粒度であり、バッチ1の粒度スペクトルと同様である。
Figure 2024524578000004
粒度が3.6mm未満の生石灰の粒のバッチno.3。粒子は3つの寸法がほぼ等しい形を有していた。微粉の割合はバッチno.4の微粉の割合と同様である。
扁平な形状を有する生石灰の粒のバッチno.4。換言すれば、厚みは、長さおよび幅の約20~60%である。幅は10mm未満である。厚みは3mm未満である。長さは概ね15mm未満である。
工業試験
生産現場でのこれらの粒度の影響を確認するために、上記で示したバッチ1~4を用いて生産炉で試験を行った。
生石灰は特許文献5に従って導入した。作業環境への塵の放出に対する影響を測定した。
Figure 2024524578000005
・バッチ1および2では、塵の放出の大幅な改善を保証することはできない。炉への材料の投入に対してバランスが好ましい場合、供給通路における放出レベルは上記に示したように変化しないか、または悪化する。存在する微粒子の割合がこの懸念の原因であることが分かった。
・バッチ3では、特に振動通路の近くにおいて、塵の興味深い放出が見られる:すなわち、吸入可能な塵については85~95%の低減、およびTechnical aide memoir ED 984 of the INRS, 4th edition, October 2016, ISBN 978-2-7389-2240-3に従って定義された肺胞塵については、80~90%の低減が見られる。
・バッチ4では、測定場所にかかわらず、非常に興味深い塵の放出が見られる:すなわち、吸入可能塵については80%超の低減、および上記のように定義された肺胞塵については、80%超の低減が見られる。
これらの結果を鑑み、バッチ4が採用された。
炉におけるこの材料の挙動をより完全に把握するためにも、また、生産トン数のパフォーマンスおよびその粉砕された微粉で観察されるエネルギー消費のパフォーマンスに対するこの新しい粒度の影響を推定するために、バッチ4の粒度でより長い時間の試験が行われた。
フェーズ1:特許文献5に従って導入。
Figure 2024524578000006
測定1および2は、次いで混合されたのち炉へ投入される同じバッチの石灰の2つの小分けにおいてサンプリングすることによって行われた。0.20mm未満の微粉の割合は2.5%未満である。0.125mm未満の微粉の割合は2.0%未満である。
この試験の主な教示は以下のとおりであった。
達成された1日あたりのトン数:生石灰なしで石灰石から得られる同じガラスに対して増加した。1日あたりのトン数パフォーマンスは粒度の増大にもかかわらず微細な石灰と比較して維持される。
溶融ガラスのメートルトンあたりのエネルギー消費:原料の粒度の増大に対する炉消費における増加は見られないか、またはバッチ4の生石灰では3.46%の僅かな減少さえ見られる。
以下の表は、基準バッチ、バッチ3、およびバッチ4の生石灰を使用して、4つの異なる期間を比較している。これらの生産期間は全て、同じ割合のカレット(25%)で、同じ他の原料:砂、炭酸ナトリウムなど、を用いたときのものである。これらの4つの期間中、1日あたりの生産量は、特定なパフォーマンスを求めることなく工業要件に従って一定とした。炉の通常の生産量は、石灰石を用い生石灰を用いない従来の供給で、110メートルトン/日であった。
基準バッチは、d10<0.1mm;d50<0.1mm;d90<0.92mmの粒度を有する生石灰である。
Figure 2024524578000007
基準石灰を用いた生産では、8日間で1日あたり128.9メートルトンの平均出力であり、温度と圧力について補正したメタンガス等量におけるエネルギー消費を100%に標準化したところ、以下のような比較結果になった。1日あたりの値は、炉における材料の滞留時間と高い慣性のため、あまり代表的ではないが、5日以上にわたる平均は興味深いものを示している。
Figure 2024524578000008
バッチ3の石灰を用いた生産では、5日間で1日あたり131.2メートルトンの出力が得られ、溶融ガラスのメートルトンあたりのエネルギー消費は基準石灰に対して100.6%であった。この消費の差は、消費が100%をごく僅かに下回ることが期待されたことを除けば、あまり大きなものではない。これは、同一原料の場合、生産量が多いほど、炉の熱損失が同じ割合で増加することなく溶融運動が速くなり、したがって、溶融ガラスのメートルトンあたりのエネルギー消費が低くなるからである。さらに深く掘り下げると、生産がゼロのときの温度に炉を維持するにはエネルギーを消費すること、および、生産が増えれば増えるほど、この維持エネルギー値は、より多くのメートルトン分小さくなり、溶融ガラスのメートルトンあたりの合計エネルギー消費がより低くなることが、理解されるであろう。
Figure 2024524578000009
第1日~第6日の間にバッチ4の石灰を用いた生産では、1日あたり124.3メートルトンの出力が得られ、溶融ガラスのメートルトンあたりのエネルギー消費は100.6%であった。基準石灰と比較して、メートルトンあたりのエネルギー消費は極めて近似しており、3.57%未満の出力である。一方で、メートルトンあたりのエネルギー消費は数ポイント増加すると期待された。バッチ3と比較して、メートルトンあたりのエネルギー消費は同一であり、出力は5.53%低下している。そのような出力の低下に対して、メートルトンあたりのエネルギー消費は大幅に増加すると予測された。
Figure 2024524578000010
第7日~第18日の間にバッチ4の石灰を用いた生産では、1日あたり131.3メートルトンの出力が得られ、溶融ガラスのメートルトンあたりのエネルギー消費は97.2%であった。基準石灰と比較して、メートルトンあたりのエネルギー消費は2.8%低下し、出力は1.86%増加している。
バッチ3と比較して、出力は実質的に同一であり、メートルトンあたりのエネルギー消費は3.40パーセントポイント低下している。メートルトンあたりのエネルギー消費のそのような低下は予想外である。
他の観点からは、メートルトンあたりのエネルギー消費は出力に対して直線的に変化するという仮説をとると、128.9メートルトンの出力は、98.4%のメートルトンあたりのエネルギー消費に相当する。すなわち、1.60パーセントポイントの低下である。しかし、ガラス生成においては、粗い原料は微細な原料よりも溶融に時間がかかるため、溶融ガラスのメートルトンあたり、より高いエネルギーが必要になる、と一般に考えられている。この予想外の挙動はバッチ3によって示されており、1.78%の出力の増加に対して、メートルトンあたりのエネルギー消費が0.6%増加している。同じ挙動がバッチ4に予測された。しかし、バッチ4のメートルトンあたりのエネルギー消費は、バッチ3と比較して3.40パーセントポイント低下している。この差はかなりのもので、説明が難しい。1つの仮説としては、石灰粒の扁平な形に関連して原料内で熱がよりよく伝達される、ということであろう。
組成物デイホッパー内の組成物の温度は、基準バッチよりもバッチ4の方が高くない。温度は37/38℃程度である。周囲空気中の塵の放出は明らかに減少する。炉内の塵の放出は、再生器の頂部に設けられた冷却されたパドルにより、24時間にわたる測定で評価される。
平均で、バッチ4の生石灰を用いたこの試験の間、溶融ガラスのメートルトンあたり84mgの塵がこのパドル上で採取された。これに対して、基準バッチの生石灰の平均は、溶融ガラスのメートルトンあたり100mgである。さらに、採取された塵の化学分析により、そのCaO含有量の50%の低下が認められた。これは、このキャリーオーバーの差が実際に炉内の生石灰の挙動の変化から生じることを証明している。
次いで、工業試験Aを準備した。バッチno.4の生石灰を用いて同一の混合物を調製した。今回は、特許文献5に規定された導入遅延に従うことなく生石灰を直接ミキサーへ導入し、同じ炉へ送った。組成物の温度は、ミキサーで22℃、加工現場の出発点における送達ローリー内で25℃、ローリーを受け入れる炉ホッパー内で27℃と測定された。ローリーがホッパーへ空けられたとき、塵の明らかな放出はなかった。これらの混合物は炉へ導入され、組成物温度は37℃と測定され、炉内に懸念が生じることはなかった。この試験は、炉の約2時間の稼働に相当する。
試験Bの間、同等の組成で、炉への供給を約30時間連続して実施した。混合物はバッチno.4の生石灰を用いて調製し、このとき、生石灰を湿った原料の残りと接触させる待ち時間は設けなかった。この長時間試験により、組成物加工現場と生産セクターとの両方における混合物の取り扱いの条件が良好であること(コンベヤ、エレベータ、振動通路、炉ドッグハウスなどに沿って塵の放出がないこと)、および、25~31℃の範囲の測定温度を有する充填物を受け入れるホッパー内または30~45℃の範囲の測定温度を有するデイホッパー内のいずれで測定が行われようとも、組成物加工現場でも炉でも、温度上昇が見られないこと、を確認することができた。この観察は、組成物に求められる水分レベルがどのようなものであっても有効である:試験開始時で1.4%、最終の3回の充填で2.5%。
炉の直ぐ上流のホッパーにおける組成物の温度の連続記録は、基準バッチの生石灰を用いた稼働と比較して、このパラメータの安定性が向上していることを並行して示している。
この試験中に炉の稼働における異常は認められなかった。
これらの工業試験を補足するために、実験室で実験を行って、バッチno.4のこの生石灰の挙動を確認した。
これらの研究は、以下の操作方法に従って石灰ソーダガラスのガラス化可能な混合物を試験ミキサー(コンクリートミキサー)内で調製することによって、実施した。
・水を加えて必要な水分レベルまで乾燥砂を湿らせ、180秒間混合する。
・湿らせた砂に炭酸ナトリウム、アルミナ、ドロマイト、および生石灰を同時に添加し、コンクリートミキサーで蓋をしたまま120秒間混合する。
本出願人の標準石灰ソーダ混合物を縮小スケールで再現するように、全ての材料を計量した。
2つの別々の相補的アプローチを実施した。
・生石灰と湿った原料との反応の研究:調製後のガラス化可能な混合物の温度を材料の芯に熱電対を挿入して記録した。開始温度は全ての試験で同じである。砂の1.3%という低い水分レベルとバッチno.4の石灰では、反応は認められず(図3の「試験15」を示す細かい破線の曲線)、これは工業試験を裏付けるものである。この結果は、砂の水分が1.6%の基準石灰の曲線(「試験14」を示す薄い連続線の曲線)と比較され、この曲線は、約5~6分で40℃に到達する。バッチno.4の石灰と砂のより高い水分レベル4.8%を目標とすることで、図3において発熱反応が生じ(「試験17」を示す長破線の曲線)、約10分で40℃に到達する。この上昇は、砂の水分レベルが4%のとき(「試験16」を示す混合破線の曲線)と6%のとき(「試験3」を示す太い破線の曲線)の基準バッチの生石灰の場合よりも明らかに遅い。砂の水分が4%と6%の基準石灰のこれら2つの試験は、数秒のうちに温度が強く急激に上昇することを示している。砂の水分が3%(「試験3b」を示す短破線の曲線)と基準石灰での試験は、中間の挙動を有するが、混合後、10~60分の間、温度は試験17より高い。換言すれば、40、50、および60℃の温度は、試験17よりも試験3でより速く到達される。少なくとも4.8%までの水分レベルを有するバッチno.4の石灰の試験は、工業ツールに適合している。
フライアッシュの測定―/―塵の放出:同じ操作方法により、混合物を調製した。組成物の操作(搬送、振動通路の通過など)をシミュレートするために、コンクリートミキサーからの塵の放出を、コンクリートミキサーを定期的(15分ごと)に回転させることによって、測定した。この測定は、塵測定装置によって、合計約3.5時間の期間にわたって行った。この期間は、炉に供給する前に組成物を貯蔵部材内で一時的に貯蔵することを考慮可能とする期間である。
基準バッチの生石灰とバッチ4の生石灰との読み値を比較すると、バッチ4の生石灰を使用することによって極めて顕著な改善があることが分かる:砂内の水の割合が3%の値であれ6%の値であれ、塵の放出が少なくとも50%、さらには90%も減る(図4のグラフは同じスケールである;ピークの振幅の低減が塵の放出がより少ないことを示している)。したがって、砂内の水の割合としては2%~少なくとも7%が考えられる。
したがって、微粉のレベルが低い生石灰は、周囲空気中の塵の放出を著しく低減することにより、ガラス化可能な混合物の調製および操作に有利である。その高い粒度により、露出した表面がより小さいため、発熱性水和反応を抑えることが可能である。予期せぬことに、他の材料、特に砂、に存在する水と接触することによって生石灰粒の表面に生じた水和石灰の層は、炉の上流にある供給および貯蔵部材におけるフライアッシュには関与しないようである。このため、そのような原料は、生石灰を残りの原料と接触させる待ち時間を設けることなく、使用できる。

Claims (17)

  1. ガラスを製造するための方法であって、
    ガラス加工炉用のガラス原料の混合物を調製することを含み、
    水、砂、および炭酸ナトリウムがそれぞれ、0~5%、40~65%、および0%超25%以下の質量割合で混合され、
    二次ガラス生成原料と、10分未満の時間内に、好ましくは同時に、酸化カルシウムおよび任意で炭酸カルシウムとが、総量に対して1~20%の質量割合で添加され、
    前記酸化カルシウムの粒度は、97質量%超が0.125mmの篩を通過せず、96質量%超が0.5mmの篩を通過せず、好ましくは95質量%超が1mmの篩を通過しないような粒度である、方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    前記酸化カルシウムは、長さおよび幅の20~60%の厚みを有する粒から形成され、好ましくは、前記幅は10mm未満であり、前記厚みは3mm未満であり、前記粒の90%において前記長さは概ね15mm未満である、方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、前記水、前記砂、前記酸化カルシウム、および前記炭酸ナトリウムの前記混合物は、5%以下の水分レベルを有する、方法。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の方法において、前記炭酸ナトリウムの粒度は、5%未満が0.075mmの篩を通過し、15%未満が0.150mmの篩を通過し、5%未満が0.600mmの篩を通過しない、粒度である、方法。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の方法において、前記酸化カルシウムは、質量で、1000ppm未満、好ましくは900ppm未満、より好ましくは850ppm未満のFeを含む、方法。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の方法において、前記原料の初期温度は少なくとも30℃である、方法。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の方法において、前記酸化カルシウムの粒度は、98質量%超が0.08mmの篩を通過せず、好ましくは97.5質量%超が0.2mmの篩を通過せず、より好ましくは97.5質量%超が0.5mmの篩を通過しないような粒度である、方法。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の方法において、前記酸化カルシウムの粒度は、98質量%超が0.125mmの篩を通過せず、好ましくは97質量%超が1mmの篩を通過しないような粒度である、方法。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の方法において、前記酸化カルシウムのd50粒度は、1~4mm、好ましくは1.5~4mm、より好ましくは2~3.25mmである、方法。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の方法において、前記砂は乾燥している、方法。
  11. 請求項1~9のいずれか一項に記載の方法において、前記水は前記砂内に好ましくは3~6質量%存在する、方法。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の方法において、前記酸化カルシウムには、酸化アルミニウムの意図的な添加は行われず、カレットが、総量に対して5~40%の質量割合で、前記ガラス原料の混合物に添加される、方法。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の方法において、前記ガラス原料の混合物は固体状態で調製される、方法。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の方法において、前記ガラス原料の混合物は、周囲温度から周囲温度プラス20℃の範囲の温度で調製され、前記ガラス原料の混合物は、熱エネルギーを加えることなく調製される、方法。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載の方法において、前記混合物は電気炉内へ投入される、方法。
  16. 請求項1~14のいずれか一項に記載の方法において、バーナーへ供給される酸化剤は酸素である、方法。
  17. 請求項15または16に記載の方法において、前記水、前記砂、前記炭酸ナトリウム、および前記酸化カルシウムは、それぞれ、0~5%、40~65%、1~25%、および20%の質量割合で存在する、方法。
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