JP2024524253A - 疾患の治療のためのトランスフォーミング増殖因子ベータリガンドトラップ - Google Patents

疾患の治療のためのトランスフォーミング増殖因子ベータリガンドトラップ Download PDF

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ペレス,レイモンド
エス フィッシャー,ブルース
ハムロ,ローラ
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Bristol Myers Squibb Co
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Bristol Myers Squibb Co
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Abstract

Figure 2024524253000001
本出願は、トランスフォーミング増殖因子P(TGF-P)リガンドトラップを使用する方法に関する。本明細書に記載のTGF-Pリガンドトラップは、癌などの疾患又は障害を治療するための、免疫療法との併用療法に適し得る。本明細書に記載のTGF-Pリガンドトラップはまた、癌などの疾患又は障害を治療するための単剤療法にも適し得る。特に、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせてTGF-Pリガンドトラップを投与することによって、癌などの疾患又は障害を治療するための方法及び組成物が本明細書で提供される。

Description

優先権
本出願は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/214,585号及び2021年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/214,588号の優先権の利益を主張する。
配列表
本出願は、2022年6月17日に作成され、サイズが32,722バイトである「14247-669-228_Sequence_Listing.txt」という名称のテキストファイルとして本出願と共に提出する配列表を参照により組み込む。
分野
本発明は、癌などの疾患又は障害を治療するための、TGF-βリガンドトラップと免疫療法との組み合わせを含む、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)リガンドトラップの使用方法に関する。
1.背景
癌は、免疫系の著しい抑制を誘導し、宿主の免疫監視機構から逃れることができる。宿主免疫系の異常調節は現在、癌の重要な特徴の1つと考えられている(非特許文献1)。癌と宿主免疫系との相互作用は、広く研究されており、多くの種類の免疫療法が癌治療のために研究されている。免疫療法の1つのクラスは、T細胞の活性化と増殖の調節において重要な役割を果たす特定の免疫チェックポイントタンパク質を標的とする薬剤である。これらのタンパク質は、T細胞の表面上の共受容体として機能し、T細胞活性化後のT細胞応答の調節を助ける(非特許文献2)。最もよく特徴付けられた2つのチェックポイントタンパク質は、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)及びプログラム死-1(PD-1)であり、どちらもT細胞活性化の負の調節因子として機能する。
チェックポイント阻害剤による免疫療法は多くの癌患者の生存期待を変えたが、すべての患者が免疫療法に反応するわけではなく、時間の経過と共に反応を停止する患者もいる(非特許文献3)。免疫チェックポイント阻害剤に対する耐性の機構の研究において、腫瘍は、免疫系の先天性アーム(innate arm)及び適応アーム(adaptive arm)の両方を回避するように進化し、それによって免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法が無効になり得ることが判明した(非特許文献4;非特許文献5)。免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法に対する先天耐性及び獲得耐性の両方に打ち勝つための効果的な併用療法が依然として必要である。
TGF-βリガンドトラップ(例えば、M7824(非特許文献6)又はAVID200(非特許文献7))は、単離されたTGF-β受容体で構成され、TGF-βリガンドと細胞上の同族受容体との結合を阻害する。TGF-βリガンドトラップは、TGFリガンドがTGF受容体に結合するのを防止し、それによってTGF-βを介したシグナル伝達を防止する。TGF-βリガンドは、TGF-β1、TGF-β2、及びTGF-β3の3つの既知のアイソフォームで存在し得る。TGF-β1とTGF-β3は、発癌性アイソフォームとして同定されているが、TGF-β2は、正常な心機能を促進する。加えて、転移におけるTGF-βの役割が、(非特許文献8)に記載されている。従って、癌治療薬として使用するためのTGF-βリガンドトラップの設計において、リガンドトラップが、TGF-βアイソフォームTGF-β1及びTGF-β3に特異的に結合して隔離するが、TGF-β2には結合しないことが有益である。TGF-βリガンドトラップは、望ましい抗腫瘍免疫を強化する新しい免疫療法として期待されている。
Hanahan et al.,Cell,2011,144,646-674 Wolchok et al.,Cancer J.,2010,16,311-317 Jenkins et al.,Br.J.Cancer,2018,118(1),9-16 Pitt et al.,Immunity,2016,44(6),1255-1269 Restifo et al.,Nat.Rev.Cancer,2016,12(2),121-126 Knudson et al.,Oncoimmunology7(5):e1426519(2018) Thwaites et al.,Blood130:2532(2017) O’Connor-McCourt et al.,Cancer Research,2018,1759
2.概要
本明細書では、それを必要とする対象の癌を治療する方法が提供され、この方法は、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを約400mg~約1,600mgの用量で対象に投与することを含む。本明細書では、それを必要とする対象の癌を治療する方法が提供され、この方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも80~99%、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である約400mg~約1,600mgの用量のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。様々な実施形態では、本方法で使用される用量は、治療有効量である。
様々な実施形態では、この方法は、約360mgのニボルマブをQ3Wで対象に投与することをさらに含む。
様々な実施形態では、この方法は、約480mgのニボルマブをQ4Wで対象に投与することをさらに含む。
様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる治療は、ポリペプチドを投与サイクル当たり1回、対象に投与することを含む。
様々な実施形態では、ポリペプチドは、スケジュール、レジメン、及び/又は投与サイクルを使用して投与される。様々な実施形態では、スケジュール、レジメン、及び/又は投与サイクルは、1日目に始まり、21日目に終了する。
様々な実施形態では、スケジュール、レジメン、及び/又は投与サイクルは、約10回~約20回繰り返される。様々な実施形態では、スケジュール、レジメン、及び/又は投与サイクルは、約15回~約25回繰り返される。様々な実施形態では、スケジュール、レジメン、及び/又は投与サイクルは、約20回~約30回繰り返される。様々な実施形態では、スケジュール、レジメン、及び/又は投与サイクルは、約25回~約35回繰り返される。様々な実施形態では、スケジュール、レジメン、及び/又は投与サイクルは、約30回~約40回繰り返される。様々な実施形態では、スケジュール、レジメン、及び/又は投与サイクルは、約35回繰り返される。
様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は約400mgである。様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は約800mgである。様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は約1,200mgである。様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は約1,600mgである。
様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は400mgである。様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は800mgである。様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は1,200mgである。様々な実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は1,600mgである。
様々な実施形態では、ポリペプチドは、Q3Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、400mgの用量で、Q3Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、800mgの用量で、Q3Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、1,200mgの用量で、Q3Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、1,600mgの用量で、Q3Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
様々な実施形態では、ポリペプチドは、Q4Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、400mgの用量で、Q4Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、800mgの用量で、Q4Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、1,200mgの用量で、Q4Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、1,600mgの用量で、Q4Wで投与される。様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~5のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
様々な実施形態では、ニボルマブ、及び配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、別々に製剤化される。様々な実施形態では、ニボルマブ、及び配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、賦形剤をさらに含む単一の医薬組成物中に一緒に製剤化される。
様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1からなるアミノ酸配列を含む。様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2からなるアミノ酸配列を含む。様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3からなるアミノ酸配列を含む。様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4からなるアミノ酸配列を含む。様々な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号5からなるアミノ酸配列を含む。
様々な実施形態では、癌は、進行性固形腫瘍を含む。
様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、尿路上皮癌(UC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)、腎細胞癌(RCC)、及び膵管腺癌(PDAC)からなる群から選択される。
様々な実施形態では、この方法は、腫瘍のサイズ及び/若しくは増殖の減少、又は癌に関連する腫瘍の数の減少をもたらす。
様々な実施形態では、対象は、臨床上の利益をもたらすことが知られている既存の標準的な癌治療に対して抵抗性若しくは難治性、又は不耐性である。
様々な実施形態では、対象は、PD-1シグナル伝達を阻害する免疫療法に対して抵抗性又は難治性である。
様々な実施形態では、対象は、抗PD-(L)1ベースの免疫療法に対して抵抗性又は難治性である。
本明細書では、癌治療の療法で使用するための、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの単独での使用、及び/又は上記のニボルマブと組み合わせた使用が提供される。
本明細書では、それを必要とする対象の癌を治療する方法が提供され、この方法は、ニボルマブ治療及びTGFβトラップによる治療を施すことを含む。様々な実施形態では、TGFβトラップによる治療は、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその断片、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも80~99%、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。様々な実施形態では、
(i)ニボルマブ治療は、投与サイクルの約1日目に約360mg~約480mgのニボルマブを対象に投与することを含み;且つ
(ii)配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる治療は、投与サイクルの約1日目に約400mg~約1,600mgの用量のポリペプチドを対象に投与することを含む。配列番号(SEQ ID NO:)及び配列番号(SEQ ID:)は、本明細書では互換的に使用される。
特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、約360mgのニボルマブを対象に投与することを含む。特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、約360mgのニボルマブを対象に投与することからなる。特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、360mgのニボルマブを対象に投与することを含む。特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、360mgのニボルマブを対象に投与することからなる。
特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、ニボルマブを投与サイクル当たり1回、対象に投与することを含む。特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、ニボルマブを投与サイクル当たり1回、対象に投与することからなる。特定の実施形態では、ニボルマブは、投与サイクルの1日目に1回投与される。
特定の実施形態では、ニボルマブは、2週間に1回投与される。特定の実施形態では、ニボルマブは、4週間に1回投与される。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、1週間間隔、2週間間隔、3週間間隔、又は4週間間隔に1回投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、1週間に1回投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、2週間に1回投与される。別の特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、3週間に1回投与される。別の特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、4週間に1回投与される。
特定の実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる治療は、ポリペプチドを投与サイクル当たり1回、対象に投与することを含む。特定の実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる治療は、ポリペプチドを投与サイクル当たり1回、対象に投与することからなる。特定の実施形態では、ポリペプチドは、投与サイクルの1日目に1回投与される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、1日目に始まり、21日目に終了する。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約10回~約20回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約15回~約25回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約20回~約30回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約25回~約35回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約30回~約40回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約35回繰り返される。
また本明細書では、それを必要とする対象の癌を治療する方法が提供され、この方法は、ニボルマブ治療、及び配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその断片、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号4、配列番号5のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも80%~99%、例えば85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくはその断片による治療を施すことを含み;
(i)ニボルマブ治療は、投与サイクルの約1日目に約360mg~約480mgのニボルマブを対象に投与することを含み;且つ
(ii)配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる治療は、投与サイクルの約1日目に約400mg~約1,600mgの用量のポリペプチド、及び投与サイクルの約15日目に約400~1,600mgの用量のポリペプチドを対象に投与することを含む。
特定の実施形態では、約1日目に投与されるポリペプチドの用量と約15日目に投与されるポリペプチドの用量は同じである。特定の実施形態では、1日目に投与されるポリペプチドの用量と15日目に投与されるポリペプチドの用量は同じである。
特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、約480mgのニボルマブを対象に投与することを含む。特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、約480mgのニボルマブを対象に投与することからなる。特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、480mgのニボルマブを対象に投与することを含む。特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、対象に480mgのニボルマブを投与することからなる。
特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、ニボルマブを投与サイクル当たり1回、対象に投与することを含む。特定の実施形態では、ニボルマブ治療は、ニボルマブを投与サイクルごとに1回、対象に投与することからなる。特定の実施形態では、ニボルマブは、投与サイクルの1日目に1回投与される。
特定の実施形態では、ポリペプチドによる治療は、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を投与サイクル当たり2回、対象に投与することを含む。特定の実施形態では、ポリペプチドによる治療は、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を投与サイクル当たり2回、対象に投与することを含む。特定の実施形態では、ポリペプチドによる治療は、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を投与サイクル当たり2回投与することからなる。特定の実施形態では、ポリペプチドは、投与サイクルの1日目及び15日目に投与される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、1日目に始まり、28日目に終了する。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約10回~約20回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約15回~約25回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約20回~約30回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約25回~約35回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約30回~約40回繰り返される。
特定の実施形態では、投与サイクルは、約26回繰り返される。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は約400mgである。特定の実施形態では、用量は400mgである。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は約800mgである。特定の実施形態では、用量は800mgである。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は、約1,200mgである。特定の実施形態では、用量は1,200mgである。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量は約1,600mgである。特定の実施形態では、用量は1,600mgである。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、ニボルマブは、賦形剤をさらに含む医薬組成物中に存在する。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、賦形剤をさらに含む医薬組成物中に存在する。様々な実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、使い捨てバイアル中の溶液として製剤化される。様々な実施形態では、製剤中のTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単位用量強度(unit dose strength)は80mg(8mg/mL)である。様々な実施形態では、ニボルマブは、使い捨てバイアル中の溶液として製剤化される。様々な実施形態では、ニボルマブの単位用量強度は、100mg(10mg/mL)である。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、ニボルマブ、及び配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、単一の医薬組成物中に一緒に製剤化される。様々な実施形態では、単一の医薬組成物は、さらに賦形剤を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも80%~85%、85%~90%、90%~95%、又は95%~99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1からなるアミノ酸配列を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2からなるアミノ酸配列を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3からなるアミノ酸配列を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4からなるアミノ酸配列を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号5からなるアミノ酸配列を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、癌は、固形腫瘍、例えば進行性固形腫瘍を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、尿路上皮癌(UC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)、及び膵管腺癌(PDAC)からなる群から選択される。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、この方法は、腫瘍のサイズ又は癌に関連する腫瘍の数の減少をもたらす。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、対象は、臨床上の利益をもたらすことが知られている既存の標準的な癌治療に対して抵抗性若しくは難治性、又は不耐性である。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、対象は、PD-1シグナル伝達を阻害する免疫療法に対して抵抗性又は難治性である。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、対象は、抗PD-(L)1ベースの免疫療法に対して抵抗性又は難治性である。
また、本明細書では、対象の癌を予防又は治療する方法も提供され、この方法は、それを必要とする対象に有効量のTGF-βリガンドトラップ及びニボルマブを投与することを含む。
特定の実施形態では、癌は、抗PD1ベースの免疫療法又は抗PD-L1ベースの免疫療法に対して抵抗性又は難治性である。
特定の実施形態では、抗PD1ベースの免疫療法は抗PD-1抗体を含む。
特定の実施形態では、抗PD-1抗体はニボルマブである。
特定の実施形態では、ニボルマブは、賦形剤をさらに含む医薬組成物中に存在する。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、賦形剤をさらに含む医薬組成物中に存在する。
特定の実施形態では、ニボルマブ及びTGF-βリガンドトラップは、単一の医薬組成物中に一緒に製剤化される。様々な実施形態では、医薬組成物はさらに賦形剤を含む。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくその断片、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも80%~99%、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも80%~85%、85%~90%、90%~95%、若しくは95%~99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1からなるアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2からなるアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3からなるアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4からなるアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片を含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその断片である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号5からなるアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップはAVID200である。
特定の実施形態では、この方法は、治療有効量のTGF-βリガンドトラップを対象に投与することを含む。
特定の実施形態では、治療有効量は、約400mg~約1,600mgの対象へのTGF-βリガンドトラップである。
特定の実施形態では、治療有効量は、約400mg、約800mg、約1,200mg、及び約1,600mgからなる群から選択される少なくとも1つの用量を含む。特定の実施形態では、治療有効量は、400mg、800mg、1,200mg、及び1,600mgからなる群から選択される少なくとも1つの用量を含む。
特定の実施形態では、治療有効量は約400mgである。特定の実施形態では、治療有効量は400mgである。
特定の実施形態では、治療有効量は約800mgである。特定の実施形態では、治療有効量は800mgである。
特定の実施形態では、治療有効量は約1,200mgである。特定の実施形態では、治療有効量は1,200mgである。
特定の実施形態では、治療有効量は約1,600mgである。特定の実施形態では、治療有効量は1,600mgである。
特定の実施形態では、この方法は、TGF-βリガンドトラップを2週間間隔(Q2W)で投与することを含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップはQ2Wで投与される。
特定の実施形態では、この方法は、TGF-βリガンドトラップを3週間間隔(Q3W)で投与することを含む。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、Q3Wで投与される。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、静脈内注射によって投与される。様々な実施形態では、TGF-βリガンドトラップの静脈内注射は、30~90分間かけて行われる。例えば、TGF-βリガンドトラップは、Q2W又はQ3Wで投与され、30分間かけて注入される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップポリペプチドは、Q2W又はQ3Wで投与され、60~90分間かけて注入される。様々な実施形態では、TGF-βリガンドトラップの静脈内注射は、30~90分間かけて行われ、各参加者に対するサイクル1でのすべての注入後の観察期間を含む。例えば、観察期間は60分である。例えば、この方法は、TGF-βリガンドトラップポリペプチド単剤療法である。或いは、この方法は、TGFβリガンドトラップ及び第2の治療薬、例えばニボルマブを含む併用療法である。
特定の実施形態では、ニボルマブは、約360mgの用量で投与される。特定の実施形態では、用量は360mgである。
特定の実施形態では、ニボルマブは、約480mgの用量で投与される。特定の実施形態では、用量は480mgである。
特定の実施形態では、ニボルマブは、3週間間隔Q3Wで投与される。
特定の実施形態では、ニボルマブは4週間間隔(Q4W)で投与される。
特定の実施形態では、ニボルマブは、静脈内注射によって投与される。様々な実施形態では、ニボルマブの静脈内注射は、30分間かけて行われる。例えば、ニボルマブは、Q3W又はQ4Wで投与され、30分間かけて注入される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、Q2Wで投与され、ニボルマブはQ3Wで投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップはQ2Wで投与され、ニボルマブはQ4Wで投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップポリペプチドは、400mg、800mg、1,200mg、又は1,600mgの用量レベルで投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップポリペプチド(例えば、400mg、800mg、1,200mg、又は1,600mg)は、Q3W又はQ2Wの投与サイクルスケジュールのいずれかに従って投与される。TGF-βリガンドトラップポリペプチド(400mg、800mg、1,200mg、又は1,600mg)のQ3W投与の特定の実施形態では、360mgのニボルマブは、Q3Wの投与サイクルスケジュールに従って投与される。TGF-βリガンドトラップポリペプチド(400mg、800mg、1,200mg、又は1,600mg)のQ2W投与の特定の実施形態では、480mgのニボルマブは、Q4Wの投与サイクルスケジュールに従って投与される。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5及びAVID200)が最初に投与され、本明細書で提供されるニボルマブが次に投与される。或いは、本明細書で提供されるニボルマブが最初に投与され、本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5及びAVID200)が次に投与される。
特定の実施形態では、癌は、再発性又は難治性である。
特定の実施形態では、癌は、再発性であるか、又は化学療法、放射線療法、若しくは免疫療法に対して難治性である。
特定の実施形態では、再発性又は難治性の癌は、ニボルマブによる治療に対して抵抗性である。
特定の実施形態では、癌は、NSCLC、UC、結腸直腸癌、SCCHN、HCC、卵巣癌、乳癌、及び膵臓癌からなる群から選択される。
特定の実施形態では、ニボルマブを投与すること及びTGFβトラップを投与することを含む方法は、腫瘍のサイズ又は癌に関連する腫瘍の数の減少をもたらす。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、ニボルマブを投与すること及びTGFβトラップを投与することを含む方法は、癌の存在又は進行の少なくとも1つの兆候の軽減及び/又は調節をもたらす。特定の実施形態では、癌の存在又は進行の少なくとも1つの兆候の軽減又は調節には、限定されるものではないが、バイオマーカー、例えば、TGF-β上皮間葉移行/癌関連線維芽細胞(EMT/CAF)、及びインターフェロンガンマ(IFNγ)シグネチャ、分化8クラスター(CD8)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、T/NK細胞の遺伝子発現プロファイリング、TGF-βシグナル伝達経路への影響、腫瘍及び/又は末梢におけるサイトカインプロファイリング、組織におけるペプチド又はタンパク質プロファイリング、循環マイクロリボ核酸、循環デオキシリボ核酸(ctDNA)、及び全エクソーム配列決定などのバイオマーカーが含まれ得る。一実施形態では、バイオマーカーは、コラーゲン、TGFβ1、及び/又はTGFβ3などのタンパク質である。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、この方法は、少なくとも1つの治療薬を投与することをさらに含む。
特定の実施形態では、少なくとも1つの治療薬には、治療用抗体、ワクチン(例えば、ヒトパピローマウイルスワクチン)、抗癌治療薬、又は免疫調節薬が含まれる。様々な実施形態では、本明細書に開示される治療法(例えば、ニボルマブ及びTGF-βリガンドトラップ)は、単独で、又は放射線療法と組み合わせて使用することができる。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、癌は、TGF-βの発現、例えば、TGF-βの高い発現レベルに関連している。例えば、癌は、TGF-β1及び/又はTGF-β3の発現と関連している。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、この方法は、ニボルマブ及びTGF-βトラップを投与された対象についての少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することをさらに含む。様々な実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントには、限定されるものではないが、有害事象、重篤な有害事象、用量制限毒性基準を満たす有害事象、中止につながる有害事象、及び死亡の発生率;プロトコルで定義された最大耐量又は最大投与量を決定することが含まれる。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、TGF-βリガンドトラップ、例えば、ポリペプチドを含むTGF-βトラップの薬物動態パラメータの測定を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、この方法に対する客観的な応答率及び応答期間を決定することを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、この方法の結果として生じる関連する全生存、無増悪生存、又は無増悪生存率を決定することを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、ベースラインサンプル(則ち、記載される方法による治療前の対象からのサンプル)と治療後のサンプルとの間の腫瘍バイオマーカー及び/又は末梢バイオマーカーの変化を評価及び/又は検出することを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、選択された有効性、バイオマーカー、又は安全性尺度(safety mesure)を用いて、TGF-βリガンドトラップポリペプチド曝露応答分析からの関連尺度を評価することを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、TGF-βリガンドトラップの抗薬物抗体(ADA)の発生率を決定することを含む。様々な実施形態では、TGF-βリガンドトラップのADAは、TGF-βリガンドトラップポリペプチドが対象である。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、ニボルマブトラフ(nivolumab trough)観察血清濃度(Ctrough)及びニボルマブに対するADAの発生率の集約尺度(summary measure)を決定することを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、用量によるベースラインからの補正されたQT間隔の変化の集約尺度、及びTGF-βリガンドトラップの薬物動態学的曝露による補正されたQT間隔の変化の関連尺度(association mesure)を含む。例えば、TGF-βリガンドトラップの薬物動態学的曝露は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態学的曝露である。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、TGF-βリガンドトラップの代謝産物の薬物動態パラメータの集約尺度を決定することを含む。例えば、TGF-βリガンドトラップの代謝産物は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの代謝産物である。特定の実施形態では、少なくとも1つの臨床エンドポイントを決定することは、薬物動態パラメータの集約尺度のevalaパワーモデル(evala power model)を決定することを含む。
本明細書に記載の方法のいずれかの特定の実施形態では、この方法は、癌の少なくとも1つの症状、例えば腫瘍サイズの改善をもたらす。様々な実施形態では、この方法は、有効性評価を実行することを含む。様々な実施形態では、有効性評価は、TGF-βリガンドトラップ(例えば、TGF-βリガンドトラップポリペプチド)の抗腫瘍活性の有効性評価を含む。例えば、有効性評価は、例えばRECIST v1.1を使用して腫瘍測定を行うこと、又は腫瘍の画像化を行うことを含む。特定の実施形態では、画像化により、記載された方法による治療後の腫瘍の反応又は進行を実証することができる。特定の実施形態では、腫瘍の測定又は腫瘍の画像化は、胸部、腹部、骨盤、並びに他のすべての既知の、及び/又は疑いのある疾患部位の造影コンピュータ断層撮影(CT)を含み、腫瘍評価のために実行される。特定の実施形態では、対象(例えば、SCCHNを有する対象)の頸部のCT又は磁気共鳴画像法(MRI)が行われる。特定の実施形態では、対象にとって、CT静脈造影剤は禁忌であるが、胸部の非造影CT、並びに頸部(SCCHN参加者の場合)、腹部、骨盤、及び他の既知の/疑いのある疾患部位の造影MRIは行われる。特定の実施形態では、対象にとって、MRI及びCT静脈造影剤の両方が禁忌であるが、胸部の非造影CT、並びに頸部(SCCHN参加者の場合)、腹部、骨盤、及び他の既知の/疑いのある疾患部位の非造影MRIは行われる。特定の実施形態では、対象にとって、CT静脈内造影が禁忌であるのに加えて、MRI(例えば、不適合なペースメーカー)も禁忌であるが、頸部(SCCHN参加者の場合)、胸部、腹部、骨盤、及び他の既知の/疑いのある疾患部位の非造影CTは行われる。特定の実施形態では、PET-CTのCT部分は、RECIST v1.1測定に使用される。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、方法/治療に関連する有害事象の発生頻度は、臨床上の利益をもたらすことが知られている既存の標準治療で観察されるよりも低い。本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、方法/治療に関連する有害事象の発生頻度は、臨床上の利益をもたらすことが知られている化学療法、放射線療法、又は他の免疫療法で観察されるよりも低い。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、方法/治療は、最小限の免疫原性が観察され、且つ/又は最小限の免疫原性である。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法/治療の免疫原性は、検証された方法を使用して行われる、TGF-βリガンドトラップ(例えば、TGF-βリガンドトラップポリペプチド)又はニボルマブに対する抗体の検出及び特徴付けによって決定される。特定の実施形態では、この抗体は、TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブの活性を中和する能力についてさらに特徴付け及び/又は評価することができる。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブのPK、PK/PD、及び曝露応答(ER)分析が行われる。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップポリペプチドとニボルマブとの併用治療のPK、PK/PD、及び曝露応答(ER)測定値は、いずれかの治療単独で観察されたものと比較して改善されている。評価されるPKパラメーターには、限定されるものではないが、観察された最大血清濃度(Cmax)、観察された最大血清濃度の時間(Tmax)、時間ゼロから最後の定量可能な濃度の時間までの血清濃度-時間曲線下面積(AUC)、Ctrough、注入終了時の血清濃度(Ceoi)、1回の投与間隔における濃度-時間曲線下面積(AUC(TAU))、時間ゼロから無限時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC(INF))が含まれる。
また、本明細書では、それを必要とする対象の癌を治療するためのキットが提供され、このキットは、TGFβトラップ(例えば、約400mg~1,600mgの配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)による治療を含む。例えば、治療は、本明細書に記載のTGFβトラップを用いたTGF-βリガンドトラップポリペプチド単剤療法である。また、本明細書では、それを必要とする対象の癌を治療するためのキットが提供され、このキットは、併用療法、例えば、ニボルマブ治療(例えば、360mg又は480mg)と本明細書に記載のTGFβトラップによる治療(例えば、約400mg~約1,600mg)を含む。様々な実施形態では、このキットは、使用説明書、例えば、本明細書に記載の方法(例えば、TGFβトラップによる単剤療法、及びTGFβトラップとニボルマブによる併用療法)を説明する取扱説明書を含む。様々な実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、使い捨てバイアル中の溶液として製剤化される。様々な実施形態では、製剤中のTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単位用量強度は、80mg(8mg/mL)である。様々な実施形態では、ニボルマブは、使い捨てバイアル中の溶液として製剤化される。様々な実施形態では、ニボルマブの単位用量強度は、100mg(10mg/mL)である。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、対象は:
(a)参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較して高いレベルのバイオマーカー;又は
(b)参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較して低いレベルのバイオマーカーを有し;且つ
バイオマーカーのレベルは、ニボルマブ治療及び/又はポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である。特定の実施形態では、バイオマーカーの上昇したレベルは、参照集団におけるバイオマーカーのレベルよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、又は500%高い。特定の実施形態では、バイオマーカーの上昇したレベルは、参照集団における上位10%、上位5%、上位4%、上位3%、上位2%、又は上位1%のバイオマーカーのレベルに等しいか、又はそれよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、又は500%高い。特定の実施形態では、バイオマーカーの低下したレベルは、参照集団におけるバイオマーカーのレベルよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%低い。特定の実施形態では、バイオマーカーの低下したレベルは、参照集団における下位10%、下位5%、下位4%、下位3%、下位2%、又は下位1%のバイオマーカーのレベルに等しいか、又はそれよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%低い。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、バイオマーカーのレベルは:
(a)TGF-β上皮間葉移行/癌関連線維芽細胞(EMT/CAF)、インターフェロンガンマ(IFNγ)シグネチャ、分化8クラスター(CD8)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、及び/又はT/NK細胞の遺伝子発現プロファイリング;
(b)TGF-βシグナル伝達経路のモニタリング;
(c)腫瘍及び/又は末梢におけるサイトカインプロファイリング;
(d)組織中のペプチド又はタンパク質プロファイリング;
(e)循環マイクロリボ核酸のプロファイリング;
(f)循環デオキシリボ核酸(ctDNA)のプロファイリング;
(g)全エクソーム配列決定;及び/又は
(h)バイオマーカー免疫染色によって決定される。
特定の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのタンパク質レベルである。特定の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのmRNAレベルである。特定の実施形態では、mRNAレベルは、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)によって決定される。特定の実施形態では、バイオマーカーのレベルは組織中のレベルである。例えば、組織中のバイオマーカーのレベルは、組織染色によって決定される。特定の実施形態では、対象はヒトである。特定の実施形態では、バイオマーカーはコラーゲンである。特定の実施形態では、バイオマーカーは、CD8腫瘍浸潤リンパ球である。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、参照集団は、1、5、10、25、50、75、100、200、250、300、400、500、又は1,000の個体からなる。特定の実施形態では、参照集団は健常者からなる。特定の実施形態では、参照集団は、対象と同じ年齢、体重、及び/又は性別の人からなる。特定の実施形態では、参照集団は、癌に罹患していない人からなる。
本明細書で提供される方法のいずれかの特定の実施形態では、この方法は、対象におけるバイオマーカーのレベルをモニタリングすることをさらに含む。
また、本明細書では、本明細書で提供される癌を治療する方法のいずれかにおける、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの単独での使用、及び/又はニボルマブと組み合わせた使用も提供される。
また、本明細書では、本明細書で提供される癌を治療する方法のいずれかにおいて、単独で及び/又はニボルマブと組み合わせて使用するための配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドも提供される。
3.図面の簡単な説明
図1は、TGF-βパルス後のA549細胞の相対的なIL-11放出をTGF-β濃度の関数として示す。A549細胞を、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの段階希釈の非存在下又は存在下で、固定濃度のTGF-β(20pM)で処理した。次いで、細胞上清を収集し、IL-11放出についてアッセイした。
図2は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドについての1ヶ月及び6ヶ月のGLP毒性試験の投与スケジュールを示す。
図3は、TGF-β1 ELISAアッセイで利用される方法/ステップを示す。
図4Aは、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態プロファイルを示す。図4Bは、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの静脈内投与後のカニクイザル血清からの(酸活性化によって放出される)TGF-β1の隔離を示す。
図5は、PBSのみ(図5A)、TGF-βリガンドトラップポリペプチドのみ(図5B)、抗PD-L1抗体のみ(図5C)、及びTGF-βリガンドトラップポリペプチドと抗PD-L1抗体の両方(図5D)を投与したサンプルのCD8 IHC染色画像を示す。
図6は、インビボ有色癌モデルにおける腫瘍サイズに対するTGF-βリガンドトラップポリペプチド/抗PD-L1抗体併用療法の効果を示す。
4.詳細な説明
本明細書では、過剰増殖性悪性腫瘍、例えば、癌などの疾患又は障害を治療するための免疫療法が提供される。本明細書で提供される免疫療法には、様々な方法及び組成物が含まれる。より具体的には、本明細書では、TGF-βリガンドトラップ(セクション4.2を参照)と免疫チェックポイント阻害剤(セクション4.3.1を参照)を用いた併用治療が提供される。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ、例えば、配列番号1~5(表1を参照)のアミノ酸配列のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列又は配列番号1~5のアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその断片、及び免疫チェックポイント阻害剤を使用して、癌などの疾患又は障害を治療するための方法及び組成物が本明細書で提供される。特定の実施形態では、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチド、又はAVID200TGF-βリガンドトラップを使用して、癌などの疾患又は障害を治療するための方法及び組成物が本明細書で提供される。このような免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害する、低下させる、又は妨害することができる。本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ及び免疫チェックポイント阻害剤の併用方法及び使用は、以下のセクション4.3でより詳細に説明される。
4.1 定義
本明細書に記載又は参照される技術及び手順には、当業者によって一般によく理解され、及び/又は従来の方法論を使用して一般的に使用されるものが含まれる。本明細書で別途定義しない限り、本説明で使用される科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書を解釈するために、以下の用語の説明が適用され、必要に応じて、単数形で使用される用語には複数形も含まれ、その逆も同様である。記載される用語の説明が参照により本明細書に組み込まれる文書と矛盾する場合には、以下に記載される用語の説明が優先されるものとする。
本明細書で使用される「有効量」又は「治療有効量」という用語は、所望の結果をもたらすのに十分な、本明細書で提供される治療用化合物、治療用化合物の組み合わせ、又はその医薬組成物の量を指す。
「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用することができる。本明細書で使用される場合、特定の実施形態では、対象は哺乳動物である。特定の実施形態では、対象はヒトである。一実施形態では、対象は、疾患又は障害と診断されたか、又はそれに罹患している哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施形態では、対象は、疾患又は障害を発症するリスクのある哺乳動物、例えば、ヒトである。
「投与する」又は「投与」は、例えば粘膜送達、皮内送達、静脈内送達、筋肉内送達、及び/又は本明細書に記載若しくは当技術分野で既知のその他の物理的送達方法によって、体外に存在する物質を患者に注射する、又は他の方法で物理的に送達する行為を指す。
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、及び「治療すること」という用語は、1つ又は複数の治療法を施すことに起因する疾患又は障害の進行、重症度、及び/又は期間の軽減又は改善を指す。治療は、患者が依然として基礎疾患に罹患してたとしても患者に改善が観察されるような、基礎疾患に関連する1つ又は複数の症状の減少、軽減、及び/又は緩和があったかどうかを評価することによって決定することができる。「治療すること」という用語には、疾患の管理と改善の両方が含まれる。
「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、疾患、障害、状態、又は関連する症状の発症(又は再発)の可能性を低減することを指す。
「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」という用語は、ポリペプチド若しくはタンパク質(例えば、TGFβ1及びTGFβ3)の活性若しくは発現の減少、又は疾患、障害、若しくは状態、若しくはその症状の減少若しくは改善を指す。本明細書で使用される阻害には、部分的又は完全に刺激を遮断すること、活性化を減少、防止、又は遅延させること、又はタンパク質若しくは酵素の活性を不活化、脱感作、若しくは下方制御することが含まれ得る。
「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害、減少、又は妨害する分子を指す。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用するための免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の活性を直接阻害する、又は負のチェックポイント調節因子の発現を減少させる、又は負のチェックポイント調節因子と結合パートナー(例えば、リガンド)との相互作用を妨害することができる。本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用するための免疫チェックポイント阻害剤には、負のチェックポイント調節因子の発現を標的とするタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、抗体断片、又は阻害性RNA分子が含まれる。
「負のチェックポイント調節因子」とは、リガンド又はカウンター受容体による係合後のT細胞への負のシグナルの送達によって免疫応答(例えば、T細胞活性化)を下方制御する分子を指す。負のチェックポイント調節因子の例示的な機能は、不均衡な免疫活性化を防止し、付随的損傷を最小限に抑え、及び/又は末梢自己寛容を維持することである。特定の実施形態では、負のチェックポイント調節因子は、抗原提示細胞によって発現されるリガンド又は受容体である。特定の実施形態では、負のチェックポイント調節因子は、T細胞によって発現されるリガンド又は受容体である。特定の実施形態では、負のチェックポイント調節因子は、抗原提示細胞とT細胞の両方によって発現されるリガンド又は受容体である。
本明細書で使用される免疫グロブリンとしても知られる「抗体」という用語は、抗原及び/又は標的に結合する大きな(例えば、Y字型)タンパク質を指す。抗体は、細菌やウイルスなどの異物を識別し、中和するために免疫系によって使用される。抗体の「Y」の各先端には抗原上の部位に特異的な部位を含むため、抗体は、抗原の固有の部分を認識し、これら2つの構造が正確に結合することを可能にする。抗体(例えば、多鎖抗体)は、鎖間システインジスルフィド結合によって接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重鎖、及び2つの軽鎖からなり得る。例えば、抗体(例えば、多鎖抗体)には、4つの鎖間ジスルフィド結合(例えば、2つの重鎖-軽鎖間ジスルフィド結合及び2つのヒンジ重鎖-重鎖間ジスルフィド結合)を有するヒトIgG1及びヒトIgG4、6つの鎖間ジスルフィド結合(例えば、4つの重鎖-軽鎖間ジスルフィド結合及び2つのヒンジ重鎖-重鎖間ジスルフィド結合)を有するヒトIgG2、及び13の鎖間ジスルフィド結合(例えば、11の重鎖-軽鎖間ジスルフィド結合及び2つのヒンジ重鎖-重鎖間ジスルフィド結合)を有するヒトIgG3が含まれる。
「完全長抗体」、「無傷の抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では互換的に使用され、実質的に無傷の形態の抗体を指し、以下に定義する抗体断片ではない。この用語は、特に、Fc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部のみを含み、その部分は、無傷の抗体中に存在する場合、その部分に通常関連する機能の少なくとも1つ、2つ、3つ、及びほとんどすべてを保持する。一態様では、抗体断片は、無傷の抗体の抗原結合部位を含み、従って抗原に結合する能力を保持する。別の態様では、Fc領域を含む抗体断片などの抗体断片は、無傷の抗体中に存在する場合、Fc領域に通常関連する生物学的機能の少なくとも1つを保持する。このような機能には、FcRn結合、抗体半減期調節、ADC機能、及び補体結合が含まれ得る。別の態様では、抗体断片は、無傷の抗体と実質的に同様のインビボ半減期を有する一価抗体である。例えば、そのような抗体断片は、断片にインビボ安定性を付与することができるFc配列に連結された抗原結合アームを含み得る。
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用する場合、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体、例えば、起こり得る突然変異、例えば、少量中に存在し得る自然発生の突然変異を除いて同一である集団を構成する個々の抗体を指す。
「約」及び「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、又はそれ以下を意味する。投与サイクル計画の文脈において、「約」という用語は、記載された日から5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、又は1日以内を意味する。
本開示及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形を含む。
「AとBの間」又は「ABの間」などの語句で使用される「~の間」という用語は、AとBの両方を含む範囲を指す。
本明細書で使用される場合、数値は、この文書全体にわたって範囲の形式で表されることが多い。範囲の形式の使用は、単に便宜上及び簡潔さのためであり、文脈が明確に別段の指示をしない限り、本発明の範囲をかたくなに制限するものとして解釈されるべきではない。従って、範囲の使用には、文脈が明確に別段の指示をしない限り、すべての可能な部分範囲、その範囲内のすべての個々の数値、並びにそのような範囲内の整数及び範囲内の値又は整数の分数を含むすべての数値又は数値範囲が明確に含まれる。この解釈は、範囲の広さにかかわらず、この特許文書全体のすべての文脈に適用される。
4.2 トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)リガンドトラップ
本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用できるトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)リガンドトラップは、TGF-β受容体の1つの細胞外結合ドメイン(ECD)を含み得る。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、国際公開第2020/069372号パンフレット(ElstarTherapeutics,Inc.)及び米国特許出願公開第2015/0225483号明細書(Merck Patent GMBH)に記載されているTGF-βリガンドトラップなどの、TGF-β受容体の2つ以上のECDを含み得る。既知の3つのTGF-β受容体タイプが存在し、TGF-βI型受容体は、シグナル伝達鎖であり、リガンドには結合せず;TGF-βII型受容体は、リガンドTGF-β1及びTGF-β3に高い親和性で結合するが、TGF-β2には弱くしか結合せず;TGF-βIII型受容体は、共受容体として機能する。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用することができるTGF-βリガンドトラップは、TGF-βII型受容体(TGF-βRII)の少なくとも1つの細胞外ドメインを含む(受託番号P37173)。
TGF-βリガンドトラップが2つ以上のTGF-β ECDを含む場合、ドメインは、ペプチドリンカー、例えば短いペプチドリンカーによって互いに結合することができる。特定の実施形態では、リンカーは、国際公開第2008/157367号パンフレット(Genzyme Corporation)に記載されているリンカーなどの複数のグリシン残基を含み得る。或いは、特定の実施形態では、TGF-β ECDは、天然リンカーを介して一緒に結合することができる。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップのTGF-β結合ドメインは、追加のタンパク質又はドメインに融合又は連結することができる。追加のタンパク質は、国際公開第1998/48024号パンフレット(Biogen Inc);国際公開第2011/109789号パンフレット(The Johns Hopkins University);国際公開第2015/077540号パンフレット(The Brigham and Womens Hospital,Inc.);米国特許出願公開第20200002425号明細書(Altor Biosciences Corporation);及び米国特許第10,316,076号明細書(Acceleron Pharma, Inc.)に開示されているように、免疫グロブリンの定常領域であり得る。TGF-βリガンドトラップに融合されたFcドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に由来し得る。
TGF-βリガンドトラップは、本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用することができる。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップはポリペプチドである。様々な実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端にかけて、(i)配列番号1~5のいずれか1つのアミノ酸I1~D272からなるアミノ酸配列;及び(ii)抗体重鎖のFc領域を含む。特定の実施形態では、Fc領域は、IgG1抗体のFc領域である。特定の実施形態では、Fc領域は、IgG2抗体のFc領域である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列の抗体Fc部分のN末端に融合されたグリシンリッチリンカーをさらに含む。
本明細書に開示される方法及び組成物で使用できる例示的なTGF-βリガンドトラップを表1に提供する。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1~5のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1~5から選択される配列と95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、表1に記載のアミノ酸配列のセット、又は表1に記載の配列と95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、配列番号1~5のアミノ酸配列(表1を参照)から選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、表1に正確に示されるように、配列番号1~5のいずれか1つのN末端を有するポリペプチドである。他の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、表1に正確に示されるように、配列番号1~5のいずれか1つのC末端を有するポリペプチドである。いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、表1に正確に示されるように、配列番号1~5のいずれか1つのN末端及びC末端を有するポリペプチドである。
ポリペプチドが様々な方法で翻訳後修飾できることが当技術分野で理解されている。一般に観察される翻訳後修飾の例には、限定されるものではないが、リン酸化、グリコシル化、シアリル化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、脂質化、ジスルフィド結合の形成、及びアミノ酸の架橋が含まれる。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用できるTGF-βリガンドトラップは、配列番号1~5のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列、又は表1に示される配列番号1~5から選択された配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一の配列を含むポリペプチドであり、このポリペプチドは、1つ又は複数の翻訳後修飾をさらに含む。
本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用できるTGF-βリガンドトラップは、他の免疫調節ドメイン又は標的ドメインに融合又は連結することができる。これらの得られたポリペプチドは、国際公開第2019241625号パンフレット(Acceleron Pharma,Inc.);米国特許出願公開第2015/0225483号明細書(Merck Patent GMBH);若しくはDavid et al.,Oncoimmunology, 2017に記載されているもののように二官能性であるか;又は米国特許出願公開第20200140547号明細書(The Johns Hopkins University);若しくは国際公開第2020/069372号パンフレット(Elstar Therapeutics,Inc.)のように多官能性であり得る。本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用できるTGF-βリガンドトラップは、低いpM効力でTGF-β1及びTGF-β3に結合する。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、10マイクロモル(μM)、5μM、1μM、500ナノモル(nM)、100nM、50nM、10nM、1nM、100ピコモル(pM)、50pM、10pM、1pM、又はそれ以下の結合親和性(K)でTGF-β1及びTGF-β3に結合する。特定の実施形態では、TGF-β2アイソフォームに対するTGF-βリガンドトラップのKは、1nM、5nM、10nM、50nM、100nM、500nM、1μM、又はそれ以上である。本明細書に開示されるTGF-βリガンドトラップに対する結合親和性を決定するために、限定されるものではないが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び/又はBiacore systemなどの表面プラズモン共鳴(SPR)法を含む様々なアッセイを使用することができる。
加えて、TGF-βリガンドトラップは、細胞上のその受容体へのTGF-βリガンドの結合を阻害することができ、その結果、TGF-βの生物学的活性が中和される。特定の実施形態では、TGF-β1又はTGF-β3アイソフォームに対するTGF-βリガンドトラップのIC50は、1μM、500nM、100nM、50nM、10nM、1nM、100pM、50pM、10pM、1pM、又はそれ以下である。TGF-βリガンドトラップがTGF-βを中和する能力を決定するために、限定されるものではないが、国際公開第2008/157367号パンフレット(Genzyme,Inc.)に記載のインビトロバイオアッセイを含む様々なアッセイを使用することができる。TGF-βアイソフォームは、Magnetic Luminex Performance Assayなどのインビトロアッセイを使用して決定することができる。
本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用できるTGF-βリガンドトラップは、流入領域リンパ節から単離されたT細胞の、腫瘍細胞を特異的に認識して殺す能力を増強することができる。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、高い抗腫瘍T細胞活性化能力を有する。具体的な実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用できるTGF-βリガンドトラップは、汎中和TGF-β抗体1D11よりも高い抗腫瘍T細胞活性化能力を有する(Ling et al., 2013, PLoS One.8(1):e54499;Watanabe H et al.2020 Sci Rep 10(1):9211)。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物と共に使用できるTGF-βリガンドトラップはAVID200であり得る。
4.3 併用療法
本明細書では、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)リガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、及びAVID200)と免疫療法との組み合わせに関連する方法及び組成物が提供される。特定の実施形態では、免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含む。PD-1阻害剤などのPD-1媒介シグナル伝達の阻害剤として使用できる薬剤を含む免疫チェックポイント阻害剤は、セクション4.3.1に記載される。
4.3.1 免疫チェックポイント阻害剤
細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)及びプログラム細胞死受容体-1(PD-1)及びそのリガンドPD-L1を標的とする腫瘍免疫薬の臨床での使用は、多くの種類の癌の治療における標準治療と比べて改善をもたらした。これらのチェックポイント阻害剤は、そのような特定の癌において臨床反応の改善をもたらしたが、持続的な臨床反応は、患者の約10~45%でしか起こらない。さらに、かなりの数の腫瘍が、耐性を示すか、又は難治性になる。
TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)と組み合わせて投与される免疫チェックポイント阻害剤は、阻害性免疫チェックポイント分子の活性を阻害又はブロックする任意の医薬品であり得る。具体的な実施形態では、活性は、免疫チェックポイント分子の天然の結合パートナーへの結合である。免疫チェックポイント分子が受容体である場合、その活性は、リガンド結合活性であり得る。免疫チェックポイント分子がリガンドである場合、その活性は、受容体結合活性であり得る。
具体的な実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)と組み合わせて投与される免疫チェックポイント阻害剤は、T細胞活性化に関与する負のチェックポイント調節因子(例えば、アンタゴニスト)、又はT細胞の活性化に関与する正若しくは刺激性のチェックポイント調節因子(例えば、アゴニスト)である。特定のより具体的な実施形態では、そのような負のチェックポイント調節因子、又は正若しくは刺激性のチェックポイント調節因子は、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、CD80、CD86、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラム細胞死リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3;CD223としても知られる)、ガレクチン3、B及びTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ガレクチン-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-15052、又はCGEN-15092である。このようなチェックポイント調節因子及びそれらを標的とする薬物の概要を表2に示す。具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM-3、VISTA、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、IDO、又はTDOの阻害剤である。
特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、小分子、又はオリゴヌクレオチド(アプタマー、shRNA、miRNA、siRNA、又はアンチセンスDNAなど)であり得る。具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、癌又は病原体によって引き起こされる疾患の治療のために、米国食品医薬品局(FDA)又は外国の同等機関によって承認されている。
具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントに結合してその活性を阻害する抗体である。免疫チェックポイント阻害剤であり得る抗体には、限定されるものではないが、モノクローナル抗体(Fc最適化モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗原結合活性を保持する抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、ダイアボディ、線状抗体、単鎖抗体分子(例えば、scFv)、抗体断片から形成される多重特異性抗体、及び抗体断片を含む融合タンパク質が含まれる。具体的な実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。様々な実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。
特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1の阻害剤である。具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に結合し、PD-1の活性(例えば、リガンド結合活性)を阻害するモノクローナル抗体である。
特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ピジリズマブ、MEDI0680、ペムブロリズマブ、AMP-224、AMP-514、STI-A1110、TSR-042、AUR-012、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、及びトリパリマブからなる群から選択される。
具体的な実施形態では、モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ピジリズマブ、MEDI0680、又はペムブロリズマブである。さらに具体的な実施形態では、モノクローナル抗体はニボルマブである。別の具体的な実施形態では、PD-1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はAMP-224である。別の具体的な実施形態では、PD-1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はピジリズマブである。別の具体的な実施形態では、PD-1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はペムブロリズマブである。別の具体的な実施形態では、PD-1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はMEDI0680である。別の具体的な実施形態では、PD-1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はSTI-A1110である。別の具体的な実施形態では、PD-1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はTSR-042である。別の具体的な実施形態では、PD-1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はAUR-012である。
特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1の阻害剤である。具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1に結合してその活性(例えば、受容体結合活性)を阻害するモノクローナル抗体である。
特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、mpdl3280A、デュルバルマブ、アベルマブ、BMS-936559、アテゾリズマブ、RG7446、及びSTI-A1010からなる群から選択される。
具体的な実施形態では、モノクローナル抗体は、mpdl3280A、デュルバルマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はアテゾリズマブである。別の具体的な実施形態では、PD-L1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はRG7446である。別の具体的な実施形態では、PD-L1の阻害剤である免疫チェックポイント阻害剤はSTI-A1010である。
特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA4の阻害剤(例えば、イピリムマブ)である。
特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG3の阻害剤(例えば、BMS-986016)である。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)と組み合わせて投与される免疫チェックポイント阻害剤には、限定されるものではないが:OPDIVO(登録商標)(ニボルマブ);YERVOY(登録商標)(イピリムマブ);レラトリマブ;リンロドスタット;EMPLICITI(登録商標)(エロツズマブ);BMS-986258;BMS 986315;BMS-986207;BMS-986249;及びBMS-986218が含まれる。
本明細書に記載の組み合わせに有用なPD-1阻害剤には、PD-1の活性又は発現を阻害、ブロック、排除、又は妨害できる任意の分子が含まれる。特に、抗PD-1阻害剤は、小分子化合物、核酸、ポリペプチド、抗体、ペプチボディ、ダイアボディ、ミニボディ、単一ドメイン抗体若しくはナノボディ、単鎖可変断片(ScFv)、又はその機能的断片若しくは変異体であり得る。一例では、PD-1阻害剤は、小分子化合物(例えば、約1,000Da未満の分子量を有する化合物)である。他の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせにおける有用なPD-1阻害剤には、核酸及びポリペプチドが含まれる。
4.3.2 ニボルマブ
具体的な実施形態では、本明細書で提供される抗PD-1抗体はニボルマブ(Bristol Myers Squibb)である。
ニボルマブの重鎖及び軽鎖の配列を表3に示す。
ニボルマブの重鎖可変領域は、CDR1(配列番号23)領域、CDR2(配列番号30)領域、及びCDR3(配列番号37)領域を含む配列番号9のアミノ酸配列を有する。ニボルマブの軽鎖可変領域は、CDR1(配列番号44)領域、CDR2(配列番号51)領域、及びCDR3(配列番号58)領域を含む配列番号16のアミノ酸配列を有する。ニボルマブの重鎖可変領域、軽鎖可変領域、並びにCDR1領域、CDR2領域、及びCDR3領域の配列を以下の表4に示す。
4.3.3 アゴニスト及び刺激因子受容体
いくつかの態様では、治療は、チェックポイントタンパク質又は受容体に結合し、且つ/又はその活性を調節する、例えば刺激及び/又は増加させる薬剤である免疫調節剤を投与することを含む。様々な実施形態では、免疫調節剤は、OX40、CD27、CD28、CD40、及びCD137のいずれか1つに結合し、且つ/又はそれを調節する。腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーであるOX40は、T細胞の活性化、増殖、生存、特に記憶細胞の分化に重要な第2のシグナルを提供する。Croft et al.,Immunol Rev,229(1)(2009),pp.173-191。腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーの55kDaのI型膜貫通タンパク質であるCD27は、そのリガンドCD70に結合した後にT細胞の活性化を共刺激する。ヒトでは、CD27は、ナイーブT細胞によって構成的且つ排他的に発現され、活性化T細胞及びB細胞で上方制御されるが、II型膜貫通タンパク質であるCD70の発現は、高度に制御されており、活性化T細胞、B細胞、及び樹状細胞(DC)で一時的にしか起こらない(Wajant,2016)。CD27は、ナイーブT細胞の増殖、エフェクター機能の強化、及びT細胞免疫とレスポンダーT細胞プールの生成と長期維持において重要な役割を果たす(Hendricks et al.,2003 J Exp Med,198,pp.1369-1380)。CD28は、ユニークなリン酸化及び転写シグナル伝達、代謝、並びにT細胞の長期増殖と分化に不可欠な重要なサイトカイン、ケモカイン、及び生存シグナルの生成を含む重要な細胞内生化学的事象を駆動する。Bour-Jordan et al.,Immunol Rev.2011;241:180-205。腫瘍壊死因子遺伝子スーパーファミリーの膜貫通受容体であるD40は、単球、B細胞、抗原提示細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、及び線維芽細胞などの様々な細胞で発現される。CD40とCD40リガンド(CD40L)との間の相互作用は、主に核因子κBの刺激を通じて、サイトカイン、ケモカイン、マトリックスメタロプロテイナーゼ、増殖因子、及び接着分子の発現を促進する。Chatzigeorgiou et al.,Biofactors.Nov-Dec 2009;35(6):474-83。CD137、又は4-1BB/腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF9)は、抗原への曝露後すぐにCD4+及びCD8+T細胞上で発現され、CD137と活性化されたT細胞上のT細胞受容体(TCR)との架橋が、T細胞に共刺激シグナルを伝達することができ、その結果、T細胞の増殖、生存、記憶形成、及び細胞毒性とサイトカイン産生に対するより強力なエフェクター機能がもたらされることが示された。Wortzman et al.,Immunol.Rev.2013;255:125-148。
4.3.4 併用療法
本明細書では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び本明細書に記載の免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を予防及び/又は治療する方法が提供される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び本明細書に記載の免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を予防する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び本明細書に記載の免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、薬学的有効量のTGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)が投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤が同時に投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)と免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)の同時投与は、疾患又は障害(例えば、癌)を治療するのに薬学的に有効である。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び本明細書に記載のPD-1媒介シグナル伝達の阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を予防及び/又は治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び本明細書に記載のPD-1媒介シグナル伝達の阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を予防する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び本明細書に記載のPD-1媒介シグナル伝達の阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、薬学的有効量のTGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)が投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及びPD-1媒介シグナル伝達の阻害剤が同時に投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及びPD-1媒介シグナル伝達の阻害剤の同時投与は、疾患又は障害(例えば、癌)を治療するのに薬学的に有効である。
特定の実施形態では、PD-1媒介シグナル伝達の阻害剤は、抗PD-1阻害剤である。
特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び本明細書に記載の抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を予防及び/又は治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び本明細書に記載の抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を予防する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び本明細書に記載の抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、薬学的有効量のTGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)が投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び抗PD-1抗体が同時に投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)と本明細書に記載の抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)との同時投与は、疾患又は障害(例えば、癌)を治療するのに薬学的に有効である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はニボルマブである。
特定の実施形態では、AVID200及びニボルマブを対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を予防及び/又は治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、AVID200及びニボルマブを対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を予防する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、AVID200及びニボルマブを対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を治療する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、薬学的有効量のAVID200が投与される。特定の実施形態では、AVID200とニボルマブが同時投与される。特定の実施形態では、AVID200とニボルマブの同時投与は、疾患又は障害(例えば、癌)を治療するのに薬学的に有効である。
適応症
本明細書に記載の方法及び組成物を使用して治療又は予防できる疾患及び障害には、以下に列挙する腫瘍学的適応症が含まれる。具体的には、これらの適応症は、TGF-βリガンドトラップ(セクション3.2を参照)と免疫療法(セクション4.3.1を参照)の併用療法、及び本明細書に記載のTGF-βリガンドトラップの単剤療法(セクション4.4を参照)で治療することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物で治療される疾患又は障害は、異常な細胞増殖及び/又はアポトーシス異常調節の疾患である。このような疾患の例には、限定されるものではないが、癌、中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、皮膚又は眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、消化管(胃、結腸直腸、及び/又は十二指腸)癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部肉腫、尿道癌、陰茎癌、精巣癌、肝細胞(肝及び/又は胆管)癌、原発性又は二次性中枢神経系腫瘍、原発性又は二次性脳腫瘍、ホジキン病、慢性又は急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞又はB細胞由来のリンパ性悪性腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓及び/又は尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系の新生物、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、又はそれらの組み合わせが含まれる。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、骨髄癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、結腸直腸癌、食道癌、肝細胞癌、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞又はB細胞由来のリンパ性悪性腫瘍、黒色腫、骨髄性白血病、骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、及び脾臓癌からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫などの血液癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、皮膚B細胞リンパ腫、活性化B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性中心リンパ腫、形質転換リンパ腫、中分化型リンパ球性リンパ腫、中間リンパ球性リンパ腫(ILL)、びまん性低分化型リンパ球性リンパ腫(PDL)、中心細胞性リンパ腫、びまん性小開裂細胞リンパ腫(DSCCL:diffuse small-cleaved cell lymphoma)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫、マントル帯リンパ腫(mantle zone lymphoma)、低悪性度濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性T細胞性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病、前駆T細胞急性リンパ芽球性白血病、バーキット白血病(バーキットリンパ腫)、急性混合型白血病、慢性骨髄性リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、及び慢性単球性白血病からなる群から選択される。具体的な実施形態では、疾患又は障害は骨髄腫である。具体的な実施形態では、疾患又は障害は、骨髄異形成症候群(MDS)である。別の具体的な実施形態では、疾患又は障害は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的な実施形態では、疾患又は障害は、慢性リンパ性白血病(CLL)である。さらに別の具体的な実施形態では、骨髄腫は、多発性骨髄腫(MM)である。
他の実施形態では、疾患又は障害は、固形悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形悪性腫瘍は、癌、腺癌、副腎皮質癌、結腸腺癌、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、膵管癌、肺癌、甲状腺癌、上咽頭癌、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、及び肺癌からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、固形悪性腫瘍は、進行性非CNS原発性固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形悪性腫瘍は、胃/胃食道接合部(GEJ)癌、膀胱/尿路上皮癌、及び非小細胞肺癌(NSCLC)からなる群から選択される。
特定の実施形態では、疾患又は障害は、悪性固形腫瘍又は骨髄線維症である。特定の実施形態では、骨髄線維症は、中間2以上の原発性骨髄線維症(PMF)、本態性血小板血から移行した骨髄線維症、又は真性赤血球増加症関連MF(POST ET/PV MF)である。他の実施形態では、疾患又は障害は、進行性又は転移性悪性腫瘍である。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、TGF-βを発現する癌である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、癌を有さない正常な患者と比較して、TGF-βの高い発現レベル又は上昇した発現レベルに関連する癌である。このような疾患の例には、限定されるものではないが、膵臓癌、肉腫、中皮腫、子宮頸癌、骨髄線維症、NSCLC、UC、結腸直腸癌、SCCHN、肝細胞癌(HCC)、卵巣癌、及び乳癌が含まれる。
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、癌、例えば、血液悪性腫瘍と診断された対象である。
投与及びレジメン
疾患又は症状の予防及び/又は治療に有効となる予防薬又は治療薬(本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ及び免疫チェックポイント阻害剤)、又は本明細書で提供される組成物の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。製剤に使用される正確な用量は、投与経路、疾患又は状態の重症度にも依存し、いくつかの実施形態では、医師の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。
本開示の文脈において対象に投与される用量は、治療反応に影響を与えるのに十分であるべきである。当業者であれば、用量は、特定の化合物の効力、患者の年齢、状態、及び体重、並びに疾患の段階/重症度を含む様々な要因に依存することを認識するであろう。用量はまた、投与経路(投与形態)、投与時期、及び投与頻度によって決まる。
TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤は、異なる医薬組成物に製剤化し、それを必要とする対象に別々に投与することができる。或いは、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤は、同じ医薬組成物中で一緒に投与される。
いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤が同時に投与される。「同時に」という用語は、同時であるか、又は、例えば、1時間未満、2時間未満、3時間未満、4時間未満、若しくは12時間未満の短い期間内を意味する。
いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤は同時に投与されるのではなく、2つの化合物が異なる時間に投与される。様々な実施形態では、TGF-βリガンド(例えば、AVID200)トラップは、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)の投与前に投与される。或いは、免疫チェックポイント阻害剤は、TGF-βリガンドトラップの投与前に投与される。いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤は、投与期間中に少なくとも1回投与される。本明細書で使用される投与期間は、各治療薬が少なくとも1回投与される期間を意味する。投与サイクルは、約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、又は30日であり得る。いくつかの実施形態では、投与サイクルは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、又は10週間である。特定の実施形態では、投与期間は投与サイクルである。
予防薬又は治療薬(本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップポリペプチド(例えば、AVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤)は、単回用量(例えば、単回ボーラス注射)として、又は時間をかけて送達(例えば、時間をかけた連続注入又は時間をかけた分割ボーラス投与)することができる。薬剤は、必要に応じて、例えば、患者が疾患の安定若しくは退行を経験するまで、又は患者が疾患の進行若しくは許容できない毒性を経験するまで、繰り返し投与することができる。疾患の安定又は欠如は、患者の症状の評価、身体検査、及びX線、CAT、PET、MRIスキャン、又は他の一般的に受け入れられている評価手段を使用して画像化された腫瘍の視覚化などの当技術分野で公知の方法によって決定される。
予防薬又は治療薬(本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤)は、1日1回(QD)、又は1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QID)などの1日複数回の用量に分割して投与することができる。加えて、投与は、連続的(則ち、連日又は毎日)であってもよいし、断続的、例えば周期的(則ち、薬物を使用しない数日、数週間、又は数ヶ月の休止を含む)であってもよい。本明細書で使用される場合、「毎日」という用語は、治療用化合物が、例えば一定期間、毎日1回又は複数回投与されることを意味する。「連続的」という用語は、治療用化合物が、例えば少なくとも10日間の連続した期間にわたって毎日投与されることを意味する。本明細書で使用される「断続的」又は「断続的に」という用語は、定期的又は不規則な間隔で停止及び開始することを意味する。例えば、化合物の断続的投与は、週に1~6日の投与、周期的投与(例えば、2~8週間連続して毎日投与し、その後、最大1週間投与しない休止期間)、又は1日置きの投与である。
いくつかの実施形態では、投与頻度は、ほぼ毎日の投与からほぼ毎月の投与の範囲である。特定の実施形態では、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日置きに1回、週2回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回である。
特定の実施形態では、予防薬又は治療薬(TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び本明細書で提供される免疫チェックポイント阻害剤)は、1日~6ヶ月、1週間~3ヶ月、1週間~4週間、1週間~3週間、又は1週間~2週間、1日に1回投与される。
いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤は1~10サイクル投与される。いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤は、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、又は10サイクル投与される。いくつかの実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)及び免疫チェックポイント阻害剤は、11サイクル以上投与される。
本明細書に記載の併用投与のためのレジメンは、必要に応じて、TGF-βリガンドトラップ及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の投与を含むように修正することができる。このような活性薬剤、例えば、TGF-βリガンドトラップ及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の投与は、QD、QW、QM、BID、BIW、TIW、Q2W、Q3W、若しくはQ4Wで行ってもよいし、例えば添付文書に記載されているような免疫チェックポイント阻害剤についての処方情報に従って行ってもよい。特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、1週間、2週間、3週間、又は4週間に1回投与される。具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、毎週1回投与される。別の具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、2週間に1回投与される。別の具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、3週間に1回投与される。別の具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、4週間に1回投与される。特定の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、1週間、2週間、3週間、又は4週間に1回投与される。具体的な実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、毎週1回投与される。具体的な実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、2週間に1回投与される。別の具体的な実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、3週間に1回投与される。別の具体的な実施形態では、TGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)は、4週間に1回投与される。
特定の実施形態では、組み合わせには、約:1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、70mg、80mg、85mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、又は200mgを超える量で投与されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)が含まれる。特定の実施形態では、組み合わせには、約:200mg、250mg、300mg、350mg、又は400mg以上の量で投与されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のポリペプチドのいずれか1つ及びAVID200)が含まれる。例えば、TGF-βリガンドトラップは、約400mg、800mg、1,200mg、又は1,600mgの用量で投与される。一実施形態では、本明細書に記載の組み合わせには、約100mg/m、200mg/m、300mg/m、400mg/m、500mg/m、600mg/m、700mg/m、800mg/m、900mg/m、1,000mg/m、1500mg/m、2,000mg/m、2500mg/m、3,000mg/m、3500mg/m、4,000mg/m、4500mg/m、5,000mg/m、5,500mg/m、6,000mg/m、6,500mg/m、7,000mg/m、8,000mg/m、9,000mg/m、又は1,000mg/mを超える量で投与されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)が含まれる。具体的な実施形態では、組み合わせには、約70mg/m、約180mg/m、約550mg/m、又は約1,100mg/mの量で投与されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、AVID200)が含まれ得る。
特定の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせには、100mg~200mg、200mg~300mg、300mg~400mg、400mg~500mg、500mg~600mg、600mg~700mg、700mg~800mg、800mg~900mg、又は900mg~1,000mgの量で投与される免疫チェックポイント阻害剤が含まれる。具体的な実施形態では、本明細書に記載の組み合わせには、約240mg、約360mg、約400mg、又は約480mgの量で投与される免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)が含まれる。具体的な実施形態では、本明細書に記載の組み合わせには、約240mgの量で投与される免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)が含まれる。具体的な実施形態では、本明細書に記載の組み合わせには、約480mgの量で投与される免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)が含まれる。
特定の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせにおける免疫チェックポイント阻害剤の用量は、患者の体重に比例する(則ち、mg/kg)。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、約:0.0001mg/kg~約200mg/kg、0.001mg/kg~約200mg/kg、0.01mg/kg~約200mg/kg、0.01mg/kg~約150mg/kg、0.01mg/kg~約100mg/kg、0.01mg/kg~約50mg/kg、0.01mg/kg~約25mg/kg、0.01mg/kg~約10mg/kg、又は0.01mg/kg~約5mg/kg、0.05mg/kg~約200mg/kg、0.05mg/kg~約150mg/kg、0.05mg/kg~約100mg/kg、0.05mg/kg~約50mg/kg、0.05mg/kg~約25mg/kg、0.05mg/kg~約10mg/kg、又は0.05mg/kg~約5mg/kg、0.5mg/kg~約200mg/kg、0.5mg/kg~約150mg/kg、0.5mg/kg~約100mg/kg、0.5mg/kg~約50mg/kg、0.5mg/kg~約25mg/kg、0.5mg/kg~約10mg/kg、又は0.5mg/kg~約5mg/kgに等しい量で投与される。
具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、又は約3.0mg/kgの用量で投与される。具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、約3.0mg/kgの用量で投与される。具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、約4.5mg/kgの用量で投与される。例えば、ニボルマブは、約4.5mg/kgの用量で、Q3Wで投与される。具体的な実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、約6.0mg/kgの用量で投与される。例えば、実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)は、約6mg/kgの用量で、Q4Wで投与される。
特定の実施形態では、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)の治療有効量は、PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)と共に提供される添付文書に記載の量として決定される。添付文書という用語は、米国食品医薬品局(US FDA)又は米国以外の国の同様の規制当局(例えば、欧州医薬品庁(EMA))によって承認された市販の医薬品パッケージに慣例的に含まれる説明書を指し、この添付文書には、例えば、そのような医薬品の使用法、用量、投与、禁忌、及び/又は警告に関する情報が含まれている。
患者集団
本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、げっ歯類及び霊長類などの任意の哺乳動物、好ましい実施形態では、ヒトであり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、げっ歯類及び霊長類などの任意の哺乳動物、好ましい実施形態ではヒト対象又はヒト患者の癌を治療するために使用することができる。
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較して、バイオマーカーのレベル及び/又は活性が上昇しており、バイオマーカーのレベルは、ニボルマブ治療及び/又はポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、(i)癌に罹患し;且つ(ii)参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較してバイオマーカーの異常なレベル及び/又は活性を有し、このバイオマーカーのレベルは、ニボルマブ治療及び/又はポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である。特定の実施形態では、バイオマーカーの異常なレベル及び/又は活性は、参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較して上昇している。特定の実施形態では、バイオマーカーの異常なレベル及び/又は活性は、参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較して低下する。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、(i)癌に罹患し;且つ(ii)参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較してバイオマーカーのレベル及び/又は活性の上昇を有し、このバイオマーカーのレベルは、ニボルマブ治療及び/又はポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である。特定の実施形態では、バイオマーカーの上昇したレベルは、参照集団のバイオマーカーのレベルよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、又は500%高い。特定の実施形態では、バイオマーカーの上昇したレベルは、参照集団における上位10%、上位5%、上位4%、上位3%、上位2%、又は上位1%のバイオマーカーのレベルに等しいか、又はそれよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、又は500%高い。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療された対象は、バイオマーカーレベルの上昇に関連する疾患を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較してバイオマーカーのレベルが減少しており、このバイオマーカーのレベルは、ニボルマブ治療及び/又はポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、(i)癌に罹患し;且つ(ii)参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較してバイオマーカーのレベル及び/又は活性の低下を有し、このバイオマーカーのレベルは、ニボルマブ治療及び/又はポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である。特定の実施形態では、バイオマーカーの低下したレベルは、参照集団におけるバイオマーカーのレベルよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%低い。特定の実施形態では、参照集団における下位10%、下位5%、下位4%、下位3%、下位2%、又は下位1%のバイオマーカーのレベルよりも60%、70%、75%、80%、90%、又は100%低い。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療された対象は、バイオマーカーレベルの低下に関連する疾患に罹患している。特定の実施形態では、疾患及び/又は癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、尿路上皮癌(UC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)、又は膵管腺癌(PDAC)である。特定の実施形態では、バイオマーカーはコラーゲンである。特定の実施形態では、バイオマーカーは、CD8腫瘍浸潤リンパ球である。
特定の実施形態では、本明細書に記載の参照集団から得られるデータ(例えば、バイオマーカーのレベル又は臨床症状)を利用して、本明細書で提供される方法に従って治療される、又は治療されるべき対象から得られる類似データが病理学的に高いか(例えば、上昇)又は低いか(例えば、低下)を判定する。
特定の実施形態では、参照集団の規模は、1人、5人、10人、25人、50人、75人、100人、200人、250人、300人、400人、500人、又は1,000人の個人であり得る。特定の実施形態では、参照集団は、無作為のボランティアからなる。特定の実施形態では、参照集団は健康な人からなる。特定の実施形態では、参照集団は、患者集団と同じ年齢、体重、及び/又は性別の人からなる。特定の実施形態では、参照集団は、癌に罹患していない人からなる。特定の実施形態では、参照集団は、癌の1つ又は複数の症状の発症前に、本明細書で提供される方法に従って治療された対象を指す。
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、バイオマーカーのレベル及び/又は活性が、癌の症状の発症又は診断の1ヶ月前、2ヶ月前、3ヶ月前、4ヶ月前、5ヶ月前、6ヶ月前、8ヶ月前、10ヶ月前、12ヶ月前、18ヶ月前、24ヶ月前、又は48ヶ月前の対象の以前のバイオマーカーのレベルと比較して上昇し、このバイオマーカーのレベルは、ニボルマブ治療及び/又はポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である。特定の実施形態では、バイオマーカーの上昇したレベルは、癌の症状の発症又は診断の1ヶ月前、2ヶ月前、3ヶ月前、4ヶ月前、5ヶ月前、6ヶ月前、8ヶ月前、10ヶ月前、12ヶ月前、18ヶ月前、24ヶ月前、又は48ヶ月前の対象の以前のバイオマーカーのレベルよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、又は500%高い。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療された対象は、バイオマーカーレベルの上昇に関連する疾患を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療された対象は、癌の症状の発症又は診断の1ヶ月前、2ヶ月前、3ヶ月前、4ヶ月前、5ヶ月前、6ヶ月前、8ヶ月前、10ヶ月前、12ヶ月前、18ヶ月前、24ヶ月前、又は48ヶ月前の対象の以前のバイオマーカーのレベルと比較してバイオマーカーのレベル及び/又は活性が低下し、このバイオマーカーのレベルは、ニボルマブ治療及び/又はポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である。特定の実施形態では、バイオマーカーの低下したレベルは、癌の症状の発症又は診断の1ヶ月前、2ヶ月前、3ヶ月前、4ヶ月前、5ヶ月前、6ヶ月前、8ヶ月前、10ヶ月前、12ヶ月前、18ヶ月前、24ヶ月前、又は48ヶ月前の対象の以前のバイオマーカーのレベルの約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%未満である。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療された対象は、バイオマーカーレベルの低下に関連する疾患に罹患している。特定の実施形態では、バイオマーカーはコラーゲンである。特定の実施形態では、バイオマーカーは、CD8腫瘍浸潤リンパ球である。特定の実施形態では、疾患及び/又は癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、尿路上皮癌(UC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)、又は膵管腺癌(PDAC)である。
当業者によって認識されるように、バイオマーカーのレベル及び/又は活性はそれぞれ、対応する参照集団におけるバイオマーカーのレベル及び/若しくは活性、並びに/又は対象の以前のレベルと独立して比較することができる。特定の実施形態では、バイオマーカーのレベル及び/又は活性は:(a)TGF-β上皮間葉移行/癌関連線維芽細胞(EMT/CAF)、インターフェロンガンマ(IFNγ)シグネチャ、分化8クラスター(CD8)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、及び/又はT/NK細胞の遺伝子発現プロファイリング;(b)TGF-βシグナル伝達経路のモニタリング;(c)腫瘍及び/又は末梢におけるサイトカインプロファイリング;(d)組織中のペプチド又はタンパク質プロファイリング;(e)循環マイクロリボ核酸のプロファイリング;(f)循環デオキシリボ核酸(ctDNA)のプロファイリング;(g)全エクソームの配列決定;及び/又は(h)バイオマーカーの測定及び/又は評価によって決定される。例えば、バイオマーカーの測定及び/又は評価は、対象からのサンプルを免疫染色することを含む。特定の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのタンパク質レベルである。特定の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、バイオマーカーのmRNAレベルである。特定の実施形態では、mRNAレベルは、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)によって決定される。
4.4 単剤療法
別の態様では、治療有効量のTGFβトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)を対象に投与することを含む、対象の疾患又は障害(例えば、癌)を治療する方法が本明細書で提供され、この疾患又は障害(例えば、PD-1及び/又はPDL1を発現する癌)は、再発性又は難治性である。特定の実施形態では、再発性又は難治性の疾患又は障害(例えば、癌)は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)による治療に対して抵抗性である。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)で以前に治療されていた。
特定の実施形態では、疾患又は障害(例えば、PD-1及び/又はPDL1を発現する癌)は、本明細書に開示される併用療法によって治療される、セクション4.3.4に開示される疾患又は障害(例えば、癌)である。
特定の実施形態では、再発性又は難治性の疾患又は障害(例えば、癌)は、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌、肝細胞癌、卵巣癌、乳癌、腎細胞癌(RCC)、及び膵臓癌からなる群から選択される。
さらに別の態様では、治療有効量のTGFβトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)を投与することによって、再発性又は難治性の非小細胞肺癌(NSCLC)を治療する方法が本明細書で提供され、この再発性又は難治性NSCLCは、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)による治療に対して抵抗性である。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)で以前に治療されていた。いくつかの実施形態では、再発性又は難治性のNSCLCは、ステージIIA又はステージIIBである。この再発性又は難治性NSCLCは、ステージIIIA又はステージIIIBの癌であり得る。NSCLCは、ステージIVの癌であり得る。本明細書に記載の癌の病期分類は、当技術分野でよく理解されているように、米国癌合同委員会による悪性腫瘍のTNM分類の癌病期分類表記によって記載される。
さらに別の態様では、治療有効量のTGFβトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)を投与することによって、再発性又は難治性の結腸直腸癌を治療する方法が本明細書で提供され、この再発性又は難治性の結腸直腸癌は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)による治療に対して抵抗性である。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)で以前に治療されていた。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は、ステージIの癌である。別の実施形態では、結腸直腸癌は、ステージIIA、ステージIIB、又はステージIICの癌である。さらに別の実施形態では、結腸直腸癌は、ステージIIIA、ステージIIIB、又はステージIIICの癌である。さらに別の実施形態では、結腸直腸癌は、ステージIVA又はステージIVBの癌である。場合によっては、結腸直腸癌は、癌の悪性度によってさらに特徴付けられる。結腸直腸癌は、本明細書で提供されるいずれかのステージにおけるグレード1、グレード2、グレード3、又はグレード4の癌であり得る。
さらに別の態様では、治療有効量のTGFβトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)を投与することによって、再発性又は難治性の肝細胞癌を治療する方法が本明細書で提供され、この再発性又は難治性の肝細胞癌は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)による治療に対して抵抗性である。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)で以前に治療されていた。いくつかの実施形態では、再発性又は難治性の肝細胞癌は、ステージIIの癌である。再発性又は難治性の肝細胞癌は、ステージIIIA、ステージIIIB、又はステージIIICの癌であり得る。肝細胞癌は、ステージIVA又はステージIVBの癌であり得る。
さらに別の態様では、治療有効量のTGFβトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)を投与することによって、再発性又は難治性の黒色腫を治療する方法が本明細書で提供され、この再発性又は難治性の黒色腫は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)による治療に対して抵抗性である。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)で以前に治療されていた。いくつかの実施形態では、再発性又は難治性の黒色腫は、ステージIIA、IIB、又はIICの癌である。再発性又は難治性の黒色腫は、ステージIIIA、ステージIIIB、又はステージIIICの癌であり得る。黒色腫はステージIVの癌であり得る。
さらに別の態様では、治療有効量のTGFβトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)を投与することによって、再発性又は難治性の卵巣癌を治療する方法が本明細書で提供され、この再発性又は難治性の卵巣癌は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)による治療に対して抵抗性である。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)で以前に治療されていた。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、FIGO卵巣癌病期分類基準によって定義されるステージIの癌である。卵巣癌は、ステージIA、IB、又はIC(例えば、IC1、IC2、又はIC3)の癌であり得る。別の実施形態では、卵巣癌は、ステージIIの癌である。卵巣癌は、ステージIIA又はIIBの癌であり得る。
さらに別の態様では、治療有効量のTGFβトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)を投与することによって、再発性又は難治性の乳癌を治療する方法が本明細書で提供され、この再発性又は難治性の乳癌は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)による治療に対して抵抗性である。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)で以前に治療されていた。乳癌は、HER2陰性乳癌であり得る。乳癌は、HER2陽性乳癌であり得る。乳癌は、トリプルネガティブ乳癌であり得る。いくつかの実施形態では、乳癌は、ステージIA又はステージIBの癌である。別の実施形態では、乳癌は、ステージIIA又はステージIIBの癌である。さらに別の実施形態では、乳癌は、ステージIIIA、ステージIIIB、又はステージIIICの癌である。さらに別の実施形態では、乳癌は、ステージIVの癌である。
さらに別の態様では、治療有効量のTGFβトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)を投与することによって、再発又は難治性の膵臓癌を治療する方法が本明細書で提供され、この再発性又は難治性の膵臓癌は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)による治療に対して抵抗性である。特定の実施形態では、対象は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)で以前に治療されていた。いくつかの実施形態では、膵臓癌は、局所進行性の外科的に切除済み若しくは未切除の膵臓癌、又は転移性膵腺癌である。いくつかの実施形態では、膵臓癌は、ステージIA又はステージIBの癌である。別の実施形態では、膵臓癌は、ステージIIA又はステージIIBの癌である。さらに別の実施形態では、膵臓癌は、ステージIIIの癌である。さらに別の実施形態では、膵臓癌は、ステージIVの癌である。
4.5 医薬組成物
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府若しくは州政府の規制当局によって承認されているか、又は米国薬局方、ヨーロッパ薬局方、若しくは動物、特にヒトに使用するためにその他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
「賦形剤」は、液体又は固体の充填剤、希釈剤、溶媒、又はカプセル化材料などの薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを意味する。賦形剤には、例えば、カプセル化材料又は添加剤、例えば、吸収促進剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、着香剤、湿潤剤、潤滑剤、香料、防腐剤、推進剤、離型剤、滅菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤、及びそれらの混合物が含まれる。「賦形剤」という用語はまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全又は不完全))、又はビヒクルを指し得る。
いくつかの実施形態では、賦形剤は、薬学的に許容される賦形剤である。薬学的に許容される賦形剤の例には、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化物質;低分子量(例えば、約10アミノ酸残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトール又はソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩を形成する対イオン;及び/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)など非イオン性界面活性剤が含まれる。薬学的に許容される賦形剤の他の例は、Remington and Gennaro,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.1990)に記載されている。
一実施形態では、各成分は、医薬製剤の他の成分と適合するという意味で「薬学的に許容される」ものであり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又はその他の問題や合併症を伴うことなく、ヒト及び動物の組織又は器官と接触して使用するのに適して、合理的なベネフィット/リスク比に見合っている。例えば、Lippincott Williams&Wilkins: Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.;Rowe et al.,Eds.;The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2009;Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd ed.;Ash and Ash Eds.;Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd ed.;Gibson Ed.;CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2009を参照されたい。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、使用される用量及び濃度で、この賦形剤に曝露される細胞又は哺乳動物に対して無毒である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、pH緩衝水溶液である。
TGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列又はAVID200を含むTGF-βリガンドトラップポリペプチド)は、1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化することができる。同様に、免疫チェックポイント阻害剤は、1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤を用いて医薬組成物に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列又はAVID200を含むTGF-βリガンドトラップポリペプチド)及び第1の薬学的に許容される賦形剤を含む第1の医薬組成物と、本明細書で提供される免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ)及び第2の薬学的に許容される賦形剤を含む第2の医薬組成物とを含む併用療法が本明細書で提供される。第1及び第2の薬学的に許容される賦形剤は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列又はAVID200を含むTGF-βリガンドトラップポリペプチド)及び本明細書で提供される免疫チェックポイント阻害剤は、単一の医薬組成物中に一緒に製剤化される。他の実施形態では、本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列又はAVID200を含むTGF-βリガンドトラップポリペプチド)、本明細書で提供される免疫チェックポイント阻害剤、及び1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ及び/又は免疫チェックポイント阻害剤は、注射(皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、骨内、心臓内、関節内、及び海綿体内)、舌下及び頬側、直腸、膣、眼、耳、鼻、吸入、噴霧、皮膚、又は経皮などの様々な投与経路に適した医薬組成物に製剤化することができる。上述の化合物は、当技術分野で周知の技術及び手順を用いて医薬組成物に製剤化することができる(例えば、Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, (7th ed. 1999)を参照されたい)。
組成物では、有効濃度の1つ又は複数の化合物(則ち、本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ又は免疫チェックポイント阻害剤)又は薬学的に許容される塩が、適切な薬学的賦形剤と混合される。特定の実施形態では、組成物中の化合物の濃度は、投与時に、本明細書で提供される疾患又は障害(例えば、固形癌及び血液由来癌を含む癌)の1つ又は複数の症状及び/又は進行を治療、予防、又は改善する量の送達に有効である。
活性化合物は、治療される患者に対して治療上有用な効果を発揮するのに十分な量である。治療有効濃度は、インビトロ及びインビボ系で化合物を試験することによって経験的に決定され、次いで、それからヒトに対する用量を推定することができる。医薬組成物中の活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、組織分布、不活化、及び排出速度、化合物の物理化学的特性、投薬スケジュール、及び投与量、並びに当業者に公知の他の要因に依存するであろう。
治療の正確な用量及び期間は、治療される疾患の関数であり、既知の試験プロトコルを使用して経験的に、又はインビボ若しくはインビトロ試験データからの推定によって決定できることを理解されたい。濃度及び投与量の値は、緩和すべき状態の重症度によっても変化し得ることに留意されたい。任意の特定の対象について、具体的な用量レジメンは、個々の必要性、及び組成物の投与を管理又は監督する人の専門的判断に従って時間経過と共に調整されるべきであること、並びに本明細書に記載の濃度範囲が、単なる例示であり、請求される組成物の範囲又は医療行為を制限することを意図するものではないことをさらに理解されたい。
本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチド及びAVID200のいずれか)及び/又は免疫チェックポイント阻害剤は、患者にとって都合のよい形態、又は患者への投与を容易にする形態の医薬組成物で提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤が本明細書に記載の抗PD-1抗体である場合、PD-1阻害剤は、非経口投与用のすぐに使用できる溶液として製剤化することができる。他の実施形態では、例えば抗PD-1抗体を含むPD-1阻害剤は、非経口投与に適した液体中に再懸濁できる粉末(例えば、凍結乾燥粉末)として製剤化することができる。一実施形態では、PD-1抗体は、静脈内投与用に製剤化される。別の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ及びPD-1阻害剤は共に、静脈内投与用に製剤化される。別の実施形態では、TGF-βリガンドトラップ及びPD-1阻害剤は共に、静脈内注射投与用に製剤化することができる。
本明細書に記載の組み合わせは、放出制御医薬品として提供することができ、これは、非制御の対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという目標を有する。放出制御製剤は、薬物の活性を延長し、投与頻度を減らし、対象のコンプライアンスを高めることができる。加えて、放出制御製剤は、作用の発現時間又は薬物の血中濃度などの他の特性に影響を与えるために使用でき、従って、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を与えることができる。
本明細書に記載の組み合わせ及び医薬組成物は、キットの一部として提供することができる。このようなキットは、例えば、患者のコンプライアンスを改善したり、組み合わせを投与するための調製の精度又は容易さを改善したりすることができる。キットは、本明細書に記載のTGF-βリガンドトラップを含む。キットは、本明細書に記載の抗PD-1阻害剤も含む。キットは、AMP-224を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の抗PD-1抗体、例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、REGN2810、PDR001、又はMEDI0680などを含む。キットは、本明細書に記載の癌患者などのそれを必要とする患者への併用投与に有用な添付文書又は他の情報(例えば、処方情報)を含み得る。
本発明のキットは、同じ又は異なる剤形を有する本明細書に記載の組み合わせ(例えば、TGF-βリガンドトラップと抗PD-1抗体)を含み得る。キット内の本明細書に記載の組み合わせの各成分は、別個の容器で供給することができる。代替的又は追加的に、本明細書に記載の組み合わせの成分は、単一の容器で供給することができる。このような場合、容器は、例えば、IVバッグ、アンプル、又は注射器など、それを必要とする患者にすぐに投与できる容器であり得る。一実施形態では、PD-1阻害剤は、例えば、粉末(例えば、凍結乾燥粉末)として、又は非経口投与用の溶液として供給することができる。特定の実施形態では、PD-1阻害剤は、例えば静脈内投与などの非経口投与用に製剤化された、本明細書に記載の抗PD-1抗体である。
本明細書で提供されるTGF-βリガンドトラップ(例えば、配列番号1~5のアミノ酸配列のポリペプチドのいずれか及びAVID200)又は免疫チェックポイント阻害剤、又はその薬学的に許容される塩は、治療されるべき対象の体の特定の組織、受容体、又はその他の領域を標的とするように製剤化することもできる。このような標的方法の多くは、当業者に周知である。すべてのこのような標的方法は、本発明の組成物での使用が本明細書で企図される。一実施形態では、腫瘍標的化リポソームなどの組織標的化リポソームを含むリポソーム懸濁液もまた、薬学的に許容される賦形剤として適切であり得る。これらは、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
本発明は、多数の実施形態を説明するために肯定的な言語を使用して本明細書に一般的に開示される。本発明はまた、具体的には、物質又は材料、方法のステップ及び条件、プロトコル、手順、アッセイ、又は分析などの特定の主題が完全又は部分的に除外される実施形態を含む。従って、本発明は一般に、本発明が含まないものに関しては本明細書で述べていないが、それでもなお本発明に明示的に含まれていない態様も本明細書に開示される。
以上のことから、具体的な実施形態が、説明目的で本明細書に記載されているが、本明細書で提供される内容の精神及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができることを理解されたい。上記で参照した参考文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
5.実施例
5.1 実施例1
プロトコルの概要-治験の概説
これは、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドを、選択された進行固形腫瘍:NSCLC、UC、HCC、MSS CRC、及びPDACを有する参加者に、単剤として及びニボルマブと組み合わせて投与する治験である。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、従来の治療法(αPD-L1ベースの免疫療法を含む)に抵抗性又は難治性である進行性/転移性NSCLC、UC、SCCHN、HCC、MSS CRC、又はPDACの参加者において評価する。この治験は、パート1A(TGF-βリガンドトラップポリペプチドの単剤療法の用量漸増)、及びパート1B(ニボルマブと組み合わせたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量決定)の2つのパートから構成される。各パートで、TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、3週間間隔(Q3W)の投与スケジュール(ニボルマブを含む場合、Q3W)及び2週間間隔(Q2W)の投与スケジュール(ニボルマブを含む場合、Q4W)で評価する。
パート1A:単剤療法
治験の単剤療法の漸増部分(パート1A)は、連続コホートにおいて配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量の増加を評価して、最大耐量(MTD)/最大投与量(MAAD)を決定する。配列番号1~5のTGF-βリガンドトラップポリペプチドは、細胞上のその同族受容体へのTGF-βリガンドの結合を阻害し、インビボでの腫瘍増殖を阻害することが観察された、単離されたTGF-β受容体から構成される(国際公開第2017/037634号パンフレット、Thwaites et al., Blood 130:2532 (2017)、及び図1~図5)。
パート1Aは、漸増決定を導くための時間-事象ベイズ最適間隔(TITE-BOIN)設計を使用して、用量制限毒性(DLT)に基づくTGF-βリガンドトラップポリペプチド単剤療法の安全性及び耐容性、並びに利用可能な安全性、PK、及びPDデータの全体的な評価を判断する。具体的には、パート1Aは、400mg、800mg、及び1,600mgの用量のTGF-βリガンドトラップポリペプチドを(一定用量、Q3W、又はQ2Wで)評価する。計画された用量レベルが許容できない安全性プロファイルに関連している場合、中間用量レベル(限定されるものではないが、例として1,200mg)を評価する。
参加者は、疾患の進行、許容できない毒性、同意の撤回、治療の35サイクル(Q3W)又は26サイクル(Q2Wスケジュール、4週間のサイクル長)の完了(治療の遅延に関係なく)、又は治験の終了まで治療を継続する。
パート1B:併用療法
パート1Bは、ニボルマブと組み合わせた、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量範囲にわたる安全性及び耐容性を評価する。パート1Bの治療は、パート1Aに対して時間差で開始し、パート1Aで安全性が確認された2つのTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量を評価する。具体的には、パート1Bでは、400mg、800mg、及び1,600mgの用量のTGF-βリガンドトラップポリペプチド(一定用量、Q3W、又はQ2W)を評価する。どの時点でも、パート1Bでニボルマブと組み合わせて投与したTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量は、パート1Aで耐容可能であると判断された最高用量を超えていない。パート1Bでは、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量を漸増するが、ニボルマブの用量は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ3W投与の場合は360mg Q3Wに、TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ2Wで投与の場合は480mg Q4Wに固定する。しかしながら、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの計画された用量レベルが許容できない安全性プロファイルと関連している場合は、中間用量レベル(限定されるものではないが、例として1,200mg)を評価するが、ニボルマブの用量は同じままである。
目的及びエンドポイント
治験の1つの目的は、進行固形腫瘍の参加者における、単剤療法としての、及びニボルマブと組み合わせた、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの安全性及び耐容性を評価することである。この治験の別の目的は、単剤療法及びニボルマブとの組み合わせで静脈内送達されたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態特性を評価することである。この治験の別の目的は、RECIST v1.1によって前記単剤療法及び併用療法の予備的な抗癌活性を評価することである。この治験の別の目的は、無増悪生存期間及び全生存期間に対する単剤療法及び併用療法の予備的な抗癌活性を評価することである。この治験の別の目的は、腫瘍及び末梢サンプルにおけるTGF-β及びその他の関連シグナル伝達及びシグネチャに対する、単剤療法としての、又はニボルマブと組み合わせたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの効果を評価することである。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの曝露、抗腫瘍活性、選択されたバイオマーカー、薬力学的効果、及び重要な安全対策の間の潜在的な関係を調べることである。この治験の別の目的は、単剤療法として、及びニボルマブと組み合わせて静脈内投与されたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの免疫原性を調べることである。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドと組み合わせたニボルマブの薬物動態特性及び免疫原性を調べることである。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの潜在的な補正QT間隔薬物動態濃度及び用量関連効果を評価することである。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの代謝産物の薬物動態特性を評価することである。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量比例性を評価することである。
この治験の臨床エンドポイントには、有害事象、重篤な有害事象、用量制限毒性基準を満たす有害事象、中止につながる有害事象、及び死亡の発生率;配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドによる単剤療法又は併用療法に関連するプロトコル規定の最大耐量又は最大投与量を決定することが含まれる。この治験の別の臨床エンドポイントには、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態パラメーターの測定が含まれる。他の臨床エンドポイントには、単剤療法又は併用療法に関連する客観的な奏効率と奏効期間の決定が含まれる。さらに他の臨床エンドポイントには、単剤療法又は併用療法に関連する全生存、無増悪生存、又は無増悪生存率の決定が含まれる。さらなる臨床エンドポイントには、単剤療法及び併用療法によるベースラインサンプルと治療後のサンプルとの間の腫瘍及び末梢バイオマーカーの変化を評価することが含まれる。追加の臨床エンドポイントには、選択された有効性、バイオマーカー、又は安全性尺度を用いたTGF-βリガンドトラップポリペプチド曝露応答分析から関連尺度を評価することが含まれる。別の臨床エンドポイントには、TGF-βリガンドトラップポリペプチドのADAの発生率を決定することが含まれる。別の臨床エンドポイントには、ニボルマブCtroughの集約尺度及びニボルマブADAの発生率を決定することが含まれる。別の臨床エンドポイントには、用量によるベースラインからの補正QT間隔の変化の集約尺度、及びTGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態学的曝露による補正QT間隔の変化の関連尺度が含まれる。別の臨床エンドポイントには、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの代謝産物の薬物動態パラメータの集約尺度を決定することが含まれる。別の臨床エンドポイントには、パワーモデルを使用して評価された薬物動態パラメータの集約尺度を決定することが含まれる。
治験デザイン
この治験は、最大28日間のスクリーニング期間を含み、参加者が主要なインフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名したときに開始する。参加者は、治験責任医師が治験に適格であると判断した許容可能な臨床リスクで生検できる病変を有している。スクリーニング期間中、参加者は、新鮮な生検を提出し、この生検は、中央検査室によって適切且つ評価可能な腫瘍組織について評価する。
スクリーニング期間の後に治療期間が続く。治療期間には、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドでの単剤療法又は併用療法の投与レジメンが含まれる。TGF-βリガンドトラップポリペプチドの投与レジメンは、Q3W又はQ2Wである。
TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ3W投与の場合、参加者を、最大35の治療サイクル(各サイクルは3週間の長さである)からなる最大105週間(治療遅延に関係なく)治療する。
パート1A(TGF-βリガンドトラップポリペプチドの単剤療法の用量漸増)における治験来院は、治験治療の最初の投与後の最初の9週間は毎週行われる。配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドを3週間間隔(Q3W)でIV投与する。TGF-βリガンドトラップポリペプチドの注入(用量レベルに応じて60~90分)には、各参加者に対するサイクル1のすべての注入後に60分間の観察期間が含まれていた。
パート1B(ニボルマブと組み合わせたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量決定)では、ニボルマブをIV Q3Wによって投与し、30分間かけて注入する。最初にニボルマブを投与し、その後30分間の観察期間が続く。TGF-βリガンドトラップポリペプチドの注入には、各参加者に対するサイクル1のすべての注入後に60分間の観察期間が含まれる。
TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ2W投与の場合、参加者を、最大26の治療サイクル(各サイクルは4週間の長さである)からなる最大104週間(治療遅延に関係なく)治療する。併用療法では、TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、IV Q4Wで投与するニボルマブ480mgと共に投与する。画像化の頻度はQ8W(2サイクルごと)であり、他の治験来院/手順のタイミング/頻度をそれに応じて調整する。
治験対象母集団
参加者は、組織学的又は細胞学的に確認された局所進行性切除不能、転移性、又は再発性の選択された固形腫瘍を有し、治験に参加する資格がある。対象となる腫瘍の種類には、非小細胞肺癌(NSCLC)、尿路上皮癌(UC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)、膵管腺癌(PDAC)が含まれる。
臨床上の利益を提供することが公知である既存の標準治療に対して抵抗性/難治性、又は不耐性を有する参加者は、治験に参加する資格がある。加えて、NSCLC、SCCHN、HCC、又はUCの参加者は、抗PD-L1ベースの免疫療法に対して抵抗性又は難治性である必要がある。
脳転移が制御されている参加者は適格である。脳転移が制御されているとは、放射線治療及び/又は外科的治療後少なくとも4週間(又は介入が臨床的に必要でない場合は4週間の観察)、X線検査で進行が見られず、治験治療の初回投与の前の少なくとも2週間ステロイドを服用しておらず、新たな又は進行性の神経学的兆候や症状がないことと定義する。
限定されるものではないが、大動脈瘤、石灰化/変性僧帽弁膜症若しくは大動脈弁膜症、臨床的に重大な不整脈、又は心筋炎を含む、制御不能又は重大な心血管疾患の病歴を有するか、又は現在罹患している参加者は除外してもよい。マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群、又はロイス・ディーツ症候群などの結合組織病に罹患していることが分かっている参加者も除外してもよい。慢性的な抗凝固薬又は抗血小板薬(低用量アスピリンを除く)が医学的に必要な参加者も除外してもよい。
治験介入
治験介入は、治験プロトコルに従って治験参加者に投与することを意図した任意の治験介入、市販製品、プラセボ、又は医療機器として定義する。
治験介入-単剤療法の用量漸増。配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドを参加者に投与する。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、使い捨てバイアル内の溶液として製剤化する。製剤中のTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単位用量強度は80mg(8mg/mL)である。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、400mg、800mg、1,600mgの用量レベル、任意選択により1,200mgなどの中間用量レベルで投与する。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、Q3W又はQ2Wの投与サイクルスケジュールに従って投与する。TGF-βリガンドトラップポリペプチドをIV注入によって投与する。IV注入は、60~90分(用量レベルに応じて)であり、各参加者に対するサイクル1での注入後の60分間の観察期間を含む。投与は、予定日の3日以内に行う。例えば、Q3Wの投与サイクルでは、参加者に、前回の投与から19日後以降に投与することができる。
治験介入-ニボルマブとの併用治療。配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドを参加者に投与する。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、使い捨てバイアル内の溶液として製剤化する。製剤中のTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単位用量強度は80mg(8mg/mL)である。ニボルマブは、使い捨てバイアルに入った溶液として製剤化する。ニボルマブの単位用量強度は100mg(10mg/mL)である。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、400mg、800mg、1,600mgの用量レベル、任意選択により1,200mgなどの中間用量レベルで投与する。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、Q3W又はQ2Wの投与サイクルスケジュールに従って投与するTGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ3W投与の場合、360mgのニボルマブを、Q3Wの投与サイクルスケジュールに従って投与する。TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ2W投与の場合、480mgのニボルマブを、Q4Wの投与サイクルスケジュールに従って投与する。TGF-βリガンドトラップポリペプチドとニボルマブを共に、IV注入によって投与する。ニボルマブの30分間の注入後に30分間の観察期間が続き、その後TGF-βリガンドトラップポリペプチドの60~90分間の注入(用量レベルに応じて)、そして各参加者に対するサイクル1のすべての注入後の60分間の観察期間が続く。投与は、予定日の3日以内に行う。
投与の遅延又は中止。用量遅延基準を、すべての薬物関連AEに適用する。潜在的な用量制限毒性(DLT)を経験した参加者は、DLT関連性が明確になるまですべての治験介入を保留し、AE及び検査所見の異常を選択する。用量レベルの決定を導く目的で、DLTを、疾患の進行又は併発疾患に明らかに関連する毒性を除き、AEの発生率、強さ、及び期間に基づいて定義する。参加者は、例えば、AE管理(例えば、コルチコステロイドの漸減)を完了している場合、又は10mg以下のプレドニゾン又は同等品が投与されている場合、治験介入による治療を再開することができる。
治験の評価
有効性の評価。配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単独及びニボルマブとの組み合わせの抗腫瘍活性についての有効性評価は、RECIST v1.1を使用した腫瘍測定に基づく。スクリーニング画像を、スクリーニング期間中に得る。治験中の画像を、参加者が治験を中止するまで最初の投与日から得る。画像化は、治験の追跡調査中も継続することができる。どの画像化も、腫瘍の反応又は進行を明らかにし得る。腫瘍評価のために、胸部、腹部、骨盤、及びその他すべての既知の、及び/又は疑いのある疾患部位の造影CTを行う。SCCHNの参加者には、頸部のCT又はMRIも行う。参加者にとってCT静脈造影が禁忌を有する場合、胸部の非造影CT及び頸部(SCCHN参加者の場合)、腹部、骨盤、及びその他の既知の/疑いのある疾患部位の造影MRIを行う。参加者にとってMRIとCTの静脈内造影の両方が禁忌である場合、胸部の非造影CT及び頸部(SCCHN参加者の場合)、腹部、骨盤、及びその他の既知の/疑いのある疾患部位の非造影MRIを行う。参加者にとって静脈造影CTが禁忌であることに加えて、MRIが禁忌(例えば、不適合ペースメーカー)である場合、頸部(SCCHN参加者の場合)、胸部、腹部、骨盤、及びその他の既知の/疑いのある疾患部位の非造影CTは許容可能である。PET-CTの一部として実行したCTが診断用CT(IV及び経口造影による)と同等の診断品質であることを画像化部位が立証できる場合、PET-CTのCT部分をRECIST v1.1測定に使用することができる。
有害事象。参加者によって報告された有害事象、例えば、治験介入又は治験に関連すると考えられる有害事象などを立証する。有害事象の発生、頻度、及び原因を評価し、判断する。
薬物動態。配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドのPK及び免疫原性評価のための血清サンプルを、単剤療法及びニボルマブとの併用療法を受けているすべての参加者で採取する。すべての濃度データを、要約統計を使用して表にまとめる。これらのデータは、集団のPK、PK/PD、及び曝露応答(ER)分析のためにプールしてもよい。評価するPKパラメーターには、限定されるものではないが、観察された最大血清濃度(Cmax)、観察された最大血清濃度の時間(Tmax)、時間ゼロから最後の定量可能な濃度の時間までの血清濃度-時間曲線下面積(AUC)、トラフで観察された血清濃度(Ctrough)、注入終了時の血清濃度(Ceoi)、1回の投与間隔における濃度-時間曲線下面積(AUC(TAU))、時間ゼロから無限時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC(INF))までが含まれる。
免疫原性の評価。配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチド及びニボルマブ(関連する場合)に対する抗体を、参加者から採取した血清サンプルにおいて評価する。TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブに対する抗体の検出及び特徴付けを、検証された方法を使用して行う。TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブに対する抗体の検出のために採取したサンプルを、抗体データの解釈を可能にするために、TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブの血清濃度についても評価する。抗体を、TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブの活性を中和する能力についてさらに特徴付け及び/又は評価することができる。
バイオマーカー。この治験では、末梢血及び腫瘍組織サンプルを、ベースライン時、治療中、及び疾患進行時(任意)に採取して、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチド及びニボルマブ(関連する場合)への応答に関連するPDマーカーを同定する。評価するバイオマーカーには、限定されるものではないが、TGF-β上皮間葉移行/癌関連線維芽細胞(EMT/CAF)及びインターフェロンガンマ(IFNγ)シグネチャ、分化クラスター8(CD8)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、T/NK細胞の遺伝子発現プロファイリング、TGF-βシグナル伝達経路への影響、腫瘍及び/又は末梢におけるサイトカインプロファイリング、並びに組織におけるペプチド及び/又はタンパク質(例えば、コラーゲン)プロファイリングが含まれる。限定されるものではないが、単剤療法及びニボルマブとの併用療法における作用機序及び反応との結び付きに関連する循環マイクロリボ核酸、循環デオキシリボ核酸(ctDNA)、及び全エクソーム配列決定を含む追加のバイオマーカーを評価する。
5.2 実施例2
パートA
概要。この治験は、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドが、ピコモル効力でTGF-β1及びTGF-β3を特異的に中和することを実証した。
方法及び材料。TGF-β阻害を、A549細胞ベースのIL-11放出機能アッセイ(R&D Systems Human IL-11 Immunoassay Quantikine ELISA Kit,CAT#D1100)を使用してモニタリングした。細胞播種から一定期間(24時間)後、段階希釈しない又は段階希釈する、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドで、A549細胞を固定濃度のTGF-β(20pM)で処理した。細胞上清を収集し、ELISAによってIL-11についてアッセイした。
結果。TGF-βトラップ濃度の関数としての、TGF-β刺激後の相対的なIL-11放出を図1に示す。このデータから、TGF-β1及びTGF-β3のIC50値が約3pMであり、TGF-β2の阻害は最小限(約10nM)であると決定した。従って、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドは、TGF-β1及びTGF-β3の中和において、TGF-β2よりも1,500倍以上強力である。
パートB
概要。この治験は、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドが非ヒト霊長類において十分に耐容性であることを実証した。
方法及び材料。配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの非ヒト霊長類への1ヶ月又は6ヶ月にわたる投与の安全性を評価した。1ヶ月にわたる投与の毒性を、1日目、15日目、及び29日目に最大30mg/kgの用量でTGF-βリガンドトラップポリペプチド又はビヒクルを静脈内投与することによって評価した。6ヶ月にわたる投与の毒性を、6ヶ月間のQ1Wスケジュールの日に最大25mg/kgの用量でTGF-βリガンドトラップポリペプチド又はビヒクルを皮下投与することによって評価した。これらの投与スケジュールを図2に例示する。
結果。非ヒト霊長類での1ヶ月及び6ヶ月の反復投与によるGLP毒性治験では、関連する副作用は認められなかった。無毒性量(NOAEL)は、試験した最高の用量であった。
パートC
概要。この治験は、配列番号3の選択されたアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドが、非ヒト霊長類において長期の全身曝露を達成したことを実証し、投与期間全体にわたる末梢標的結合を実証した。
方法及び材料。配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単回用量をカニクイザルに15mg/kgで静脈内投与した。血清を、図4Bに示す投与後の時点で採取した。TGF-β1 ELISA(R&D systems)を使用して、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの静脈内投与後のカニクイザル血清(酸活性化によって放出される)に含まれるすべてのTGF-β1の隔離を決定した。TGF-β1 ELISAアッセイの略図を図3に示す。
結果。TGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態プロファイルを図4Aに示す。図4Bは、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの静脈内投与後のカニクイザル血清中に含まれるTGF-β1(酸活性化によって放出される)の隔離を示す。この治験は、配列番号3の選択されたアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドが、非ヒト霊長類において、長期の全身曝露を達成したことを実証し、投与期間全体にわたる末梢標的結合を実証した。配列番号3の選択されたアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドが、非ヒト霊長類において用量比例曝露を達成したことを示す追加のデータ(図示せず)が得られた。
5.3 実施例3
概要。この治験は、抗PD-L1抗体と組み合わせた、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドが、TNBCモデル腫瘍におけるCD8+T細胞の浸潤を可能にすることを実証した。
方法及び材料。EMT6細胞(1×10個)を雌Balb/cマウスの乳房脂肪体に同所注射した。治療開始時の腫瘍サイズは、7日後に平均100mm(75~130mm)であった。TGF-βリガンドトラップポリペプチド(5mg/kg)及び抗PD-L1抗体(10mg/kg)を、週に2回、3週間にわたってIP用量で投与した。動物は、腫瘍の組織学的分析のために治療後14日目に屠殺した。腫瘍サンプルをホルマリン固定し、パラフィン包埋し、CD8 IHC染色用に処理した。
結果。図5は、PBSのみ(図5A)、TGF-βリガンドトラップポリペプチドのみ(図5B)、抗PD-L1のみ(図5C)、又はTGF-βリガンドトラップポリペプチドと抗PD-L1の両方(図5D)を投与して処理したサンプルのCD8 IHC染色画像を示す。この治験は、抗PD-L1と組み合わせた、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドが、TNBCモデル腫瘍におけるCD8+T細胞の浸潤を可能にすることを実証した。
5.4 実施例4
概要。この治験は、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドが、インビボ結腸癌モデルにおいて免疫チェックポイント遮断に対して腫瘍を感作することを実証した。
方法及び材料。多数(3×10個)のMC-38細胞を、5~6週齢の雌C57BL/6マウスの右脇腹に皮下注射した。平均腫瘍体積が50mm~100mmに達したとき、マウスを無作為に割り付け、治療を開始した(1日目)。対象の治療は、2週間にわたる、5mg/kgの用量で週2回のTGF-βリガンドトラップポリペプチド及び週3回の200μgの用量の抗PD-L1抗体の投与を含んでいた。
結果。図6は、腫瘍サイズに対するTGF-βリガンドトラップポリペプチドと抗PD-L1抗体療法の併用治療の増殖阻害効果を示す。
5.5 実施例5
プロトコルの概要-治験の概説
実施例1に記載したように、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドを単剤として、及びニボルマブと組み合わせて、選択された進行性固形腫瘍:NSCLC、UC、HCC、MSS CRC、及びPDACの参加者に投与する治験を計画した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、従来の治療法(αPD-L1ベースの免疫療法を含む)に対して抵抗性又は難治性である進行性/転移性NSCLC、UC、SCCHN、HCC、MSS CRC、又はPDACの参加者で評価した。この治験は、2つのパート:パート1A(TGF-βリガンドトラップポリペプチドの単剤療法の用量漸増)、及びパート1B(ニボルマブと組み合わせたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量決定)から構成された。各パートにおいて、TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、3週間間隔(Q3W)の投与スケジュール(ニボルマブ、Q3W)及び2週間間隔(Q2W)の投与スケジュール(ニボルマブ、Q4W)で評価した。
パート1A:単剤療法
治験の単剤療法漸増部分(パート1A)では、MTD/MAADを決定するために、連続コホートにおいて配列番号3の選択されたアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量の増加を評価した。
パート1Aは、漸増の決定を導くためのTITE-BOIN設計、及び利用可能な安全性、PK、及びPDデータの全体的な評価を使用して、DLTに基づくTGF-βリガンドトラップポリペプチド単剤療法の安全性及び耐容性を評価した。具体的には、パート1Aでは、400mg、800mg、及び1,600mgの用量のTGF-βリガンドトラップポリペプチドを評価した(固定用量、Q3W、又はQ2W)。計画した用量レベルが許容できない安全性プロファイルと関連している場合、中間用量レベル(限定されるものではないが、例として1,200mg)を評価した。
参加者は、疾患の進行、許容できない毒性、同意の撤回、治療の35サイクル(Q3W)又は26サイクル(Q2Wスケジュール、4週間のサイクル長)の完了(治療の遅延に関係なく)、又は治験が終了するまで治療を継続する。
パート1B:併用療法
パート1Bは、ニボルマブと組み合わせた、配列番号3の選択されたアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量範囲にわたる安全性及び耐容性を評価した。パート1Bの治療は、パート1Aに対して時間差で開始し、パート1Aで安全性が確認された2つのTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量を評価した。具体的には、パート1Bでは、400mg、800mg、及び1,600mgの用量のTGF-βリガンドトラップポリペプチド(一定用量、Q3W、又はQ2W)を評価した。どの時点でも、パート1Bでニボルマブと組み合わせて投与したTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量は、パート1Aで耐容可能であると判断された最高用量を超えることはなかった。パート1Bでは、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量を漸増したが、ニボルマブの用量は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ3W投与の場合は360mg Q3Wに、TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ2W投与の場合は480mg Q4Wに固定した。しかしながら、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの計画した用量レベルが許容できない安全性プロファイルと関連している場合は、中間用量レベル(限定されるものではないが、例として1,200mg)を評価したが、ニボルマブの用量は同じままとした。
目的及びエンドポイント
治験の1つの目的は、進行性固形腫瘍を有する参加者における、単剤療法としての、及びニボルマブとの併用療法での配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの安全性及び耐容性を評価することであった。この治験の別の目的は、単剤療法及びニボルマブとの併用で静脈内送達されたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態特性を評価することであった。この治験の別の目的は、RECIST v1.1によって前記単剤療法及び併用療法の予備的な抗癌活性を評価することであった。治験の別の目的は、無増悪生存期間及び全生存期間に対する単剤療法及び併用療法の予備的な抗癌活性を評価することであった。この治験の別の目的は、腫瘍及び末梢サンプルにおけるTGF-β及びその他の関連シグナル伝達及びシグネチャに対する、単剤療法又はニボルマブと組み合わせたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの効果を評価することであった。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの曝露と、抗腫瘍活性と、選択されたバイオマーカーと、薬力学的効果と、重要な安全対策との間の潜在的な関係を調べることであった。この治験の別の目的は、単剤療法として、及びニボルマブとの組み合わせて静脈内投与したTGF-βリガンドトラップポリペプチドの免疫原性を調べることであった。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドと組み合わせたニボルマブの薬物動態特性と免疫原性を調べることであった。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの潜在的な補正QT間隔薬物動態濃度及び用量関連効果を評価することであった。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの代謝産物の薬物動態特性を評価することであった。この治験の別の目的は、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量比例性を評価することであった。
この治験の臨床エンドポイントには、有害事象、重篤な有害事象、用量制限毒性基準を満たす有害事象、中止につながる有害事象、及び死亡の発生率:配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単剤療法又は併用療法に関連するプロトコル規定の最大耐量又は最大投与量を決定することが含まれていた。この治験の別の臨床エンドポイントには、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態パラメータの測定が含まれていた。他の臨床エンドポイントには、単剤療法又は併用療法に関連する客観的な奏効率及び奏効期間の決定が含まれていた。さらに他の臨床エンドポイントには、単剤療法又は併用療法に関連する全生存、無増悪生存、又は無増悪生存率を決定することが含まれていた。さらなる臨床エンドポイントには、単剤療法及び併用療法によるベースラインと治療後のサンプルとの間の腫瘍及び末梢バイオマーカーの変化を評価することが含まれていた。追加の臨床エンドポイントには、選択された有効性、バイオマーカー、又は安全性尺度を用いたTGF-βリガンドトラップポリペプチド曝露応答分析から関連尺度を評価することが含まれていた。別の臨床エンドポイントには、TGF-βリガンドトラップポリペプチドのADAの発生率を測定することが含まれた。別の臨床エンドポイントには、ニボルマブCtroughの集約尺度及びニボルマブADAの発生率を決定することが含まれていた。別の臨床エンドポイントには、用量によるベースラインからの補正されたQT間隔の変化の集約尺度、及びTGF-βリガンドトラップポリペプチドの薬物動態学的曝露による補正されたQT間隔の変化の関連尺度が含まれていた。別の臨床エンドポイントには、TGF-βリガンドトラップポリペプチドの代謝産物の薬物動態パラメータの集約尺度を決定することが含まれていた。別の臨床エンドポイントには、パワーモデルを使用して評価した薬物動態パラメータの集約尺度を決定することが含まれていた。
治験デザイン
この治験は、最大28日間のスクリーニング期間を含み、参加者が主要なICFに署名したときに開始した。参加者は、治験責任医師が治験に適格であると判断した許容可能な臨床リスクで生検した病変を有していた。スクリーニング期間中、参加者は、新鮮な生検を提出し、この生検を、中央検査室によって適切且つ評価可能な腫瘍組織について評価した。
スクリーニング期間の後に治療期間が続いた。治療期間は、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドでの単剤療法又は併用療法の投与レジメンを含んでいた。TGF-βリガンドトラップポリペプチドの投与レジメンは、Q3W又はQ2Wであった。
TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ3W投与の場合、参加者を、最大35の治療サイクル(各サイクルは3週間の長さである)からなる最大105週間(治療遅延に関係なく)治療した。
パート1A(TGF-βリガンドトラップポリペプチドの単剤療法の用量漸増)における治験来院は、治験治療の最初の投与後の最初の9週間は毎週行った。配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドを3週間間隔(Q3W)でIV投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドの注入(用量レベルに応じて60~90分)には、各参加者に対するサイクル1のすべての注入後に60分間の観察期間が含まれていた。
パート1B(ニボルマブと組み合わせたTGF-βリガンドトラップポリペプチドの用量決定)では、ニボルマブをIV Q3Wによって投与し、30分間かけて注入した。最初にニボルマブを投与し、その後30分間の観察期間が続いた。TGF-βリガンドトラップポリペプチド注入には、各参加者に対するサイクル1のすべての注入後に60分間の観察期間が含まれていた。
TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ2W投与の場合、参加者を、最大26の治療サイクル(各サイクルは4週間の長さである)からなる最大104週間(治療遅延に関係なく)治療した。併用療法では、TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、IV Q4Wで投与するニボルマブ480mgと共に投与した。画像化の頻度はQ8W(2サイクルごと)であり、他の治験来院/処置のタイミング/頻度をそれに応じて調整した。
治験対象母集団
参加者は、組織学的又は細胞学的に確認された局所進行性切除不能、転移性、又は再発性の選択された固形腫瘍を有し、治験に参加する資格があった。対象となる腫瘍の種類には、NSCLC、UC、SCCHN、HCC、MSS CRC、及びPDACが含まれていた。
臨床上の利益を提供することが公知である既存の標準治療に対して抵抗性/難治性、又は不耐性を有する参加者は、治験に参加する資格があった。加えて、NSCLC、SCCHN、HCC、又はUCの参加者は、抗PD-L1ベースの免疫療法に対して抵抗性又は難治性である必要がある。
脳転移が制御されている参加者は適格であった。脳転移が制御されているとは、放射線治療及び/又は外科的治療後少なくとも4週間(又は介入が臨床的に必要でない場合は4週間の観察)、X線検査で進行が見られず、治験治療の初回投与の前の少なくとも2週間ステロイドを服用しておらず、新たな又は進行性の神経学的兆候や症状がないことと定義した。
限定されるものではないが、大動脈瘤、石灰化/変性僧帽弁膜症若しくは大動脈弁膜症、臨床的に重大な不整脈、又は心筋炎を含む、制御不能又は重大な心血管疾患の病歴を有する、又は現在罹患している参加者は除外してもよかった。マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群、又はロイス・ディーツ症候群などの結合組織病に罹患していることが分かっている参加者も除外してもよかった。慢性的な抗凝固薬又は抗血小板薬(低用量アスピリンを除く)の医学的に必要な参加者も除外してもよかった。
治験介入
治験介入は、治験プロトコルに従って治験参加者に投与することを意図した任意の治験介入、市販製品、プラセボ、又は医療機器として定義した。
治験介入-単剤療法の用量漸増。配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドを参加者に投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、使い捨てバイアル内の溶液として製剤化した。製剤中のTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単位用量強度は80mg(8mg/mL)であった。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、400mg、800mg、1,600mgの用量レベル、任意選択により1,200mgなどの中間用量レベルで投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、Q3W又はQ2Wの投与サイクルスケジュールに従って投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドをIV注入によって投与した。IV注入は、60~90分間(用量レベルに応じて)であり、各参加者に対するサイクル1での注入後の60分間の観察期間を含んでいた。投与は、予定日の3日以内に行った。例えば、Q3Wの投与サイクルでは、参加者に、前回の投与から少なくとも19日後以降に投与することができた。
治験介入-ニボルマブとの併用治療。配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドを参加者に投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、使い捨てバイアル内の溶液として製剤化した。製剤中のTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単位用量強度は80mg(8mg/mL)であった。ニボルマブを、使い捨てバイアル内の溶液として製剤化した。ニボルマブの単位用量強度は100mg(10mg/mL)であった。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、400mg、800mg、1,600mgの用量レベル、任意選択により1,200mgなどの中間用量レベルで投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドを、Q3W又はQ2Wの投与サイクルスケジュールに従って投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ3W投与の場合、360mgのニボルマブを、Q3Wの投与サイクルスケジュールに従って投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドのQ2W投与の場合、480mgのニボルマブを、Q4Wの投与サイクルスケジュールに従って投与した。TGF-βリガンドトラップポリペプチドとニボルマブを共に、IV注入によって投与した。ニボルマブの30分間の注入の後に30分間の観察期間が続き、その後TGF-βリガンドトラップポリペプチドの60~90分間の注入(用量レベルに応じて)、そして各参加者に対するサイクル1のすべての注入後の60分間の観察期間が続いた。投与は、予定日の3日以内に行った。
投与の遅延又は中止。用量遅延基準を、すべての薬物関連AEに適用した。DLTを経験した参加者は、DLT関連性が明確になるまですべての治験介入を保留し、AE及び検査所見の異常を選択する。用量レベルの決定を導く目的で、DLTを、疾患の進行又は併発疾患に明らかに関連する毒性を除き、AEの発生率、強さ、及び期間に基づいて定義した。参加者は、例えば、AE管理(例、コルチコステロイドの漸減)を完了している場合、又は10mg未満のプレドニゾン又は同等品を投与されていた場合、治験介入による治療を再開した。
治験の評価
有効性の評価。配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドの単独及びニボルマブとの組み合わせの抗腫瘍活性についての有効性評価は、RECIST v1.1を使用した腫瘍測定に基づいていた。スクリーニング画像を、スクリーニング期間中に得た。治験中の画像を、参加者が治験を中止するまで最初の投与日から得た。画像化は、治験の追跡調査中も継続した。どの画像化も、腫瘍の反応又は進行を明らかにした。腫瘍評価のために、胸部、腹部、骨盤、及びその他すべての既知の、及び/又は疑いのある疾患部位の造影CTを行った。SCCHNの参加者には、頸部のCT又はMRIも行った。参加者にとってCT静脈造影が禁忌を有する場合、胸部の非造影CT及び頸部(SCCHN参加者の場合)、腹部、骨盤、及びその他の既知の/疑いのある疾患部位の造影MRIを行った。参加者にとってMRIとCTの静脈内造影の両方が禁忌である場合、胸部の非造影CT及び頸部(SCCHN参加者の場合)、腹部、骨盤、及びその他の既知の/疑いのある疾患部位の非造影MRIを行った。参加者にとって静脈造影CTが禁忌であることに加えて、MRIが禁忌(例えば、不適合ペースメーカー)である場合、頸部(SCCHN参加者の場合)、胸部、腹部、骨盤、及びその他の既知の/疑いのある疾患部位の非造影CT疾患は許容可能であった。PET-CTの一部として実行したCTが診断用CT(IV及び経口造影)と同等の診断品質であることを画像化部位が立証できた場合、PET-CTのCT部分をRECIST v1.1測定に使用した。
有害事象。参加者によって報告された有害事象、例えば、治験介入又は治験に関連すると考えられる有害事象などを立証した。有害事象の発生、頻度、及び原因を評価し、判断した。
薬物動態。配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチドのPK及び免疫原性評価のための血清サンプルを、単剤療法及びニボルマブとの併用療法を受けているすべての参加者で採取した。すべての濃度データを、要約統計を使用して表にまとめた。これらのデータはまた、集団のPK、PK/PD、及びER分析のためにプールした。評価するPKパラメータには、限定されるものではないが、Cmax、Tmax、AUC、Ctrough、Ceoi、AUC(TAU)、AUC(INF)が含まれる。
免疫原性の評価。配列番号3のTGF-βリガンドトラップポリペプチド及びニボルマブ(関連する場合)に対する抗体を、参加者から採取した血清サンプルにおいて評価した。TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブに対する抗体の検出及び特徴付けを、検証された方法を使用して行った。TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブに対する抗体の検出のために採取したサンプルを、抗体データの解釈を可能にするために、TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブの血清濃度についても評価した。抗体を、TGF-βリガンドトラップポリペプチド又はニボルマブの活性を中和する能力についてさらに特徴付け、且つ/又は評価した。
バイオマーカー。この治験では、末梢血及び腫瘍組織サンプルを、ベースライン時、治療中、及び疾患進行時(任意)に採取して、配列番号3のアミノ酸配列を有するTGF-βリガンドトラップポリペプチド及びニボルマブ(関連する場合)への応答に関連するPDマーカーを同定した。評価するバイオマーカーには、限定されるものではないが、TGF-β EMT/CAF及びIFNγシグネチャ、CD8TIL、T/NK細胞の遺伝子発現プロファイリング、TGF-βシグナル伝達経路への影響、腫瘍及び/又は末梢におけるサイトカインプロファイリング、並びに組織におけるペプチド及び/又はタンパク質(例えば、コラーゲン)のプロファイリングが含まれる。限定されるものではないが、単剤療法及びニボルマブとの併用療法における作用機序及び反応との結び付きに関連する循環マイクロリボ核酸、ctDNA、及び全エクソーム配列決定を含む追加のバイオマーカーを評価する。
結果
上記の複数のインビトロ実験及び前臨床インビボモデルにおいて、本明細書に記載のTGFβリガンドトラップ(配列番号3)は、TGFβリガンド1及びTGFβリガンド3に結合し、TGFβリガンド2に対しては低い親和性で結合し、生体内での腫瘍の増殖を阻害することが観察された。いくつかの実験では、抗PD-L1抗体と組み合わせたTGFBリガンドトラップの抗腫瘍活性が、いずれかの薬剤で個別に見られた抗腫瘍活性よりも高いことが示された。現在の臨床試験は、癌を治療するための配列番号3のTGFBリガンドトラップの単剤治療とニボルマブとの併用治療の最適化された用量、レジメン/スケジュール、及び薬力学(PD)プロファイルを調べるための最初のヒトでの解析である。2022年6月14日の時点で、出願者は、上記の臨床試験の患者の募集を開始した。サンプルを収集し、データ(例えば、有効性、安全性、PD、及びPK)を得た。

Claims (128)

  1. それを必要とする対象の癌を治療する方法であって、ニボルマブ治療、及び配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる治療を施すことを含み;
    (i)前記ニボルマブ治療が、投与サイクルの約1日目に約360~480mgのニボルマブを前記対象に投与することを含み;且つ
    (ii)配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる前記治療が、投与サイクルの約1日目に約400~1,600mgの用量の前記ポリペプチドを前記対象に投与することを含む、方法。
  2. 前記ニボルマブ治療が、約360mgのニボルマブを前記対象に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ニボルマブ治療が、ニボルマブを投与サイクル当たり1回、前記対象に投与することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる前記治療が、前記ポリペプチドを投与サイクル当たり1回、前記対象に投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記投与サイクルが、1日目に始まり、21日目に終了する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記投与サイクルが、約10回~約20回繰り返される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記投与サイクルが、約15回~約25回繰り返される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記投与サイクルが、約20回~約30回繰り返される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記投与サイクルが、約25回~約35回繰り返される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記投与サイクルが、約30回~約40回繰り返される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記投与サイクルが、約35回繰り返される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  12. それを必要とする対象の癌を治療する方法であって、ニボルマブ治療、及び配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる治療を施すことを含み;
    (i)前記ニボルマブ治療が、投与サイクルの約1日目に約360~480mgのニボルマブを前記対象に投与することを含み;且つ
    (ii)配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる前記治療が、投与サイクルの約1日目に約400~1,600mgの用量の前記ポリペプチド、及び投与サイクルの約15日目に約400~1,600mgの用量の前記ポリペプチドを前記対象に投与することを含む、方法。
  13. 約1日目に投与される前記ポリペプチドの用量と約15日目に投与される前記ポリペプチドの用量が同じである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記ニボルマブ治療が、約480mgのニボルマブを前記対象に投与することを含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記ニボルマブ治療が、ニボルマブを投与サイクル当たり1回、前記対象に投与することからなる、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる前記治療が、前記ポリペプチドを投与サイクル当たり2回、前記対象に投与することからなる、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記投与サイクルが、1日目に始まり、28日目に終了する、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記投与サイクルが、約10回~約20回繰り返される、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記投与サイクルが、約15回~約25回繰り返される、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記投与サイクルが、約20回~約30回繰り返される、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記投与サイクルが、約25回~約35回繰り返される、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記投与サイクルが、約30回~約40回繰り返される、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記投与サイクルが、約26回繰り返される、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  24. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドの用量が約400mgである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量が約800mgである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  26. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量が約1,200mgである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  27. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの用量が約1,600mgである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記ニボルマブが、賦形剤をさらに含む医薬組成物中に存在する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドが、賦形剤をさらに含む医薬組成物中に存在する、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記ニボルマブ、及び配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドが、賦形剤をさらに含む単一の医薬組成物中に一緒に製剤化される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記ポリペプチドが、配列番号1からなるアミノ酸配列を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記ポリペプチドが、配列番号2からなるアミノ酸配列を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記ポリペプチドが、配列番号3からなるアミノ酸配列を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記ポリペプチドが、配列番号4からなるアミノ酸配列を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記ポリペプチドが、配列番号5からなるアミノ酸配列を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記癌が、進行性固形腫瘍を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)、尿路上皮癌(UC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)、及び膵管腺癌(PDAC)からなる群から選択される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記癌に関連する腫瘍のサイズ又は腫瘍の数の減少をもたらす、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記対象が、臨床上の利益をもたらすことが知られている既存の標準的な癌治療に対して抵抗性若しくは難治性、又は不耐性である、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記対象が、PD-1シグナル伝達を阻害する免疫療法に対して抵抗性又は難治性である、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記対象が、抗PD-(L)1ベースの免疫療法に対して抵抗性又は難治性である、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 対象の癌を予防又は治療する方法であって、それを必要とする対象に有効量のTGF-βリガンドトラップ及びニボルマブを投与することを含む、方法。
  43. 前記癌が、抗PD1ベースの免疫療法又は抗PD-L1ベースの免疫療法に対して抵抗性又は難治性である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記抗PD1ベースの免疫療法が抗PD-1抗体を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記抗PD-1抗体がニボルマブである、請求項44に記載の方法。
  46. 前記ニボルマブが、賦形剤をさらに含む医薬組成物中に存在する、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記TGF-βリガンドトラップが、賦形剤をさらに含む医薬組成物中に存在する、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記ニボルマブ及び前記TGF-βリガンドトラップが、賦形剤をさらに含む単一の医薬組成物中に一緒に製剤化される、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記TGF-βリガンドトラップが、配列番号1~5の配列のいずれか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項42~38のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記TGF-βリガンドトラップが、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項49に記載の方法。
  51. 前記TGF-βリガンドトラップが、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項49に記載の方法。
  52. 前記TGF-βリガンドトラップが、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項49に記載の方法。
  53. 前記TGF-βリガンドトラップが、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項49に記載の方法。
  54. 前記TGF-βリガンドトラップが、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項49に記載の方法。
  55. 前記TGF-βリガンドトラップがAVID200である、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
  56. 治療有効量の前記TGF-βリガンドトラップを前記対象に投与することを含む、請求項42~55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記治療有効量が、約400mg~約1,600mgの前記対象への前記TGF-βリガンドトラップである、請求項56に記載の方法。
  58. 前記治療有効量が、約400mg、約800mg、約1,200mg、及び約1,600mgからなる群から選択される少なくとも1つの用量を含む、請求項57に記載の方法。
  59. 前記治療有効量が約400mgである、請求項58に記載の方法。
  60. 前記治療有効量が約800mgである、請求項58に記載の方法。
  61. 前記治療有効量が約1,200mgである、請求項58に記載の方法。
  62. 前記治療有効量が約1,600mgである、請求項58に記載の方法。
  63. 前記TGF-βリガンドトラップを2週間間隔(Q2W)で投与することを含む、請求項42~62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記TGF-βリガンドトラップを3週間間隔(Q3W)で投与することを含む、請求項42~62のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記TGF-βリガンドトラップが、静脈内注射によって投与される、請求項42~64のいずれか一項に記載の方法。
  66. ニボルマブが、360mgの用量で投与される、請求項42~65のいずれか一項に記載の方法。
  67. ニボルマブが、480mgの用量で投与される、請求項42~65のいずれか一項に記載の方法。
  68. ニボルマブが、3週間間隔Q3Wで投与される、請求項42~67のいずれか一項に記載の方法。
  69. ニボルマブが、4週間間隔(Q4W)で投与される、請求項42~67のいずれか一項に記載の方法。
  70. ニボルマブが、静脈内注射によって投与される、請求項42~69のいずれか一項に記載の方法。
  71. 前記癌が、再発性又は難治性である、請求項42~70のいずれか一項に記載の方法。
  72. 前記癌が、再発性であるか、又は化学療法、放射線療法、若しくは免疫療法に対して難治性である、請求項71に記載の方法。
  73. 前記再発性又は難治性の癌が、ニボルマブによる治療に対して抵抗性である、請求項72に記載の方法。
  74. 前記癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)、尿路上皮癌(UC)、結腸直腸癌、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、卵巣癌、乳癌、及び膵臓癌からなる群から選択される、請求項42~73のいずれか一項に記載の方法。
  75. 前記癌に関連する腫瘍のサイズ又は腫瘍の数の減少をもたらす、請求項42~74のいずれか一項に記載の方法。
  76. 前記癌の存在又は進行の兆候の軽減をもたらす、請求項42~75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 少なくとも1つの治療薬を投与することをさらに含む、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 前記少なくとも1つの治療薬が治療用抗体を含む、請求項77に記載の方法。
  79. 前記癌が、高レベルのTGF-βと関連している、請求項1~78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記対象が:
    (a)参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較して高いレベルの前記バイオマーカー;又は
    (b)参照集団におけるバイオマーカーのレベルと比較して低いレベルの前記バイオマーカーを有し;且つ
    前記バイオマーカーのレベルが、前記ニボルマブ治療及び/又は前記ポリペプチドによる治療に対する反応性の徴候である、請求項1~79のいずれか一項に記載の方法:
  81. 前記バイオマーカーの高いレベルが、前記参照集団における前記バイオマーカーのレベルよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、又は500%高い、請求項80に記載の方法。
  82. 前記バイオマーカーの高いレベルが、前記参照集団における上位10%、上位5%、上位4%、上位3%、上位2%、又は上位1%の前記バイオマーカーのレベルと等しいか、又はそれよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、又は500%高い、請求項80に記載の方法。
  83. 前記バイオマーカーの低いレベルが、前記参照集団における前記バイオマーカーのレベルよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%低い、請求項80に記載の方法。
  84. 前記バイオマーカーの低いレベルが、前記参照集団における下位10%、下位5%、下位4%、下位3%、下位2%、又は下位1%の前記バイオマーカーのレベルと等しいか、又はそれよりも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%低い、請求項80に記載の方法。
  85. 前記バイオマーカーのレベルが:
    (a)TGF-β上皮間葉移行/癌関連線維芽細胞(EMT/CAF)、インターフェロンガンマ(IFNγ)シグネチャ、分化8クラスター(CD8)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、及び/又はT/NK細胞の遺伝子発現プロファイリング;
    (b)TGF-βシグナル伝達経路のモニタリング;
    (c)腫瘍及び/又は末梢におけるサイトカインプロファイリング;
    (d)組織中のペプチド又はタンパク質プロファイリング;
    (e)循環マイクロリボ核酸のプロファイリング;
    (f)循環デオキシリボ核酸(ctDNA)のプロファイリング;
    (g)全エクソーム配列決定;及び/又は
    (h)バイオマーカー免疫染色によって決定される、請求項80~84のいずれか一項に記載の方法。
  86. 前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーのタンパク質レベルである、請求項80~85のいずれか一項に記載の方法。
  87. 前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーのmRNAレベルである、請求項80~85のいずれか一項に記載の方法。
  88. 前記mRNAレベルが、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)によって決定される、請求項87に記載の方法。
  89. 前記バイオマーカーのレベルが組織中のレベルである、請求項80~88のいずれか一項に記載の方法。
  90. 前記対象がヒトである、請求項80~89のいずれか一項に記載の方法。
  91. 前記バイオマーカーがコラーゲンである、請求項80~90のいずれか一項に記載の方法。
  92. 前記バイオマーカーが、CD8腫瘍浸潤リンパ球である、請求項80~90のいずれか一項に記載の方法。
  93. 前記参照集団が、1、5、10、25、50、75、100、200、250、300、400、500、又は1,000の個体からなる、請求項80~92のいずれか一項に記載の方法。
  94. 前記参照集団が、健康な人からなる、請求項80~93のいずれか一項に記載の方法。
  95. 前記参照集団が、前記対象と同じ年齢、体重、及び/又は性別の人からなる、請求項80~94のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記参照集団が、癌に罹患していない人からなる、請求項80~95のいずれか一項に記載の方法。
  97. 前記対象における前記バイオマーカーのレベルをモニタリングすることをさらに含む、請求項1~96のいずれか一項に記載の方法。
  98. それを必要とする対象の癌を治療する方法であって、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを約400~1,600mgの用量で前記対象に投与することを含む、方法。
  99. 約360mgのニボルマブをQ3Wで前記対象に投与することをさらに含む、請求項98に記載の方法。
  100. 約480mgのニボルマブをQ4Wで前記対象に投与することをさらに含む、請求項98に記載の方法。
  101. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドによる治療が、前記ポリペプチドを投与サイクル当たり1回、前記対象に投与することを含む、請求項98~100のいずれか一項に記載の方法。
  102. 前記投与サイクルが、1日目に始まり、21日目に終了する、請求項98~101のいずれか一項に記載の方法。
  103. 前記投与サイクルが、約10回~約20回繰り返される、請求項98~102のいずれか一項に記載の方法。
  104. 前記投与サイクルが、約15回~約25回繰り返される、請求項98~102のいずれか一項に記載の方法。
  105. 前記投与サイクルが、約20回~約30回繰り返される、請求項98~102のいずれか一項に記載の方法。
  106. 前記投与サイクルが、約25回~約35回繰り返される、請求項98~102のいずれか一項に記載の方法。
  107. 前記投与サイクルが、約30回~約40回繰り返される、請求項98~102のいずれか一項に記載の方法。
  108. 前記投与サイクルが、約35回繰り返される、請求項98~102のいずれか一項に記載の方法。
  109. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドの用量が約400mgである、請求項98~108のいずれか一項に記載の方法。
  110. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドの用量が約800mgである、請求項98~108のいずれか一項に記載の方法。
  111. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドの用量が約1,200mgである、請求項98~108のいずれか一項に記載の方法。
  112. 配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドの用量が約1,600mgである、請求項98~108のいずれか一項に記載の方法。
  113. 前記ポリペプチドがQ3Wで投与される、請求項98~112のいずれか一項に記載の方法。
  114. 前記ポリペプチドがQ4Wで投与される、請求項98~113のいずれか一項に記載の方法。
  115. 前記ニボルマブ、及び配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドが、賦形剤をさらに含む単一の医薬組成物中に一緒に製剤化される、請求項98~114のいずれか一項に記載の方法。
  116. 前記ポリペプチドが、配列番号1からなるアミノ酸配列を含む、請求項98~115のいずれか一項に記載の方法。
  117. 前記ポリペプチドが、配列番号2からなるアミノ酸配列を含む、請求項98~115のいずれか一項に記載の方法。
  118. 前記ポリペプチドが、配列番号3からなるアミノ酸配列を含む、請求項98~115のいずれか一項に記載の方法。
  119. 前記ポリペプチドが、配列番号4からなるアミノ酸配列を含む、請求項98~115のいずれか一項に記載の方法。
  120. 前記ポリペプチドが、配列番号5からなるアミノ酸配列を含む、請求項98~115のいずれか一項に記載の方法。
  121. 前記癌が、進行性固形腫瘍を含む、請求項98~120のいずれか一項に記載の方法。
  122. 前記癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)、尿路上皮癌(UC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)、腎細胞癌(RCC)、及び膵管腺癌(PDAC)からなる群から選択される、請求項98~121のいずれか一項に記載の方法。
  123. 前記癌に関連する腫瘍のサイズ又は腫瘍の数の減少をもたらす、請求項98~122のいずれか一項に記載の方法。
  124. 前記対象が、臨床上の利益をもたらすことが知られている既存の標準的な癌治療に対して抵抗性若しくは難治性、又は不耐性である、請求項98~123のいずれか一項に記載の方法。
  125. 前記対象が、PD-1シグナル伝達を阻害する免疫療法に対して抵抗性又は難治性である、請求項98~124のいずれか一項に記載の方法。
  126. 前記対象が、抗PD-(L)1ベースの免疫療法に対して抵抗性又は難治性である、請求項98~125のいずれか一項に記載の方法。
  127. 請求項1~97のいずれか一項に記載の癌を治療する方法における、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド及びニボルマブの使用。
  128. 請求項98~126のいずれか一項に記載の癌を治療する方法における、配列番号1~5のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの使用。
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