JP2024523949A - マルチアゴニストおよびその使用 - Google Patents

マルチアゴニストおよびその使用 Download PDF

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本発明は、薬学的および生物学的分野に関し、特に、グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1 R)、グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド受容体(GIP R)、およびグルカゴン受容体(GCG R)に対するトリプルアゴニスト活性を有する一般式(I)のポリペプチド化合物、ならびにメタボリックシンドロームの治療におけるその使用に関する。

Description

本発明は、薬学的分野におけるポリペプチド化合物およびその使用に関する。より具体的には、本発明は、グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1 R)、グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド受容体(GIP R)、およびグルカゴン受容体(GCG R)に対するトリプルアゴニスト活性を有するポリペプチド化合物、ならびにメタボリックシンドロームの治療におけるその使用に関する。
II型糖尿病および肥満は、ヒトの健康に影響を及ぼす世界的疾患にますますなりつつある。肥満は、糖尿病、高血圧症、心臓疾患、脂質異常症、脂肪肝疾患、アテローム性動脈硬化症、関節炎、脳卒中、神経変性疾患等の多くの慢性疾患の主因であり、糖尿病は、心血管および脳血管疾患ならびに他の合併症にもつながり得る。現在、市場に出回っている血糖降下薬のほとんどは、血糖を制御する効果を有するのみであり、肥満患者の体重を改善し得ない。一部の薬物は、体重を増加させる副作用さえ有する。それゆえ、血糖を低下もさせかつ体重を改善もさせることができ、ほとんどの肥満のおよびII型糖尿病の人々の必要に応える複数の有益な効果を含有する薬物を開発する緊急の必要性が依然としてある。
インクレチンは、通常の生理学的食刺激の後に腸から分泌されるポリペプチドホルモンの1種である。初期の調査は、それが、食事の後にグルコースレベルが上昇するにつれて、膵島β-細胞を刺激してインスリンを分泌し得、グルコース恒常性を調節し、膵島β-細胞を保護し、食欲を阻害しかつ胃内容排出を遅延させることによって体重を低下させ得ることを見出している。GLP-1およびGIPは、現在、膵臓刺激ホルモンの2種のタイプとして発見されている。
GLP-1は、31個のアミノ酸を有するポリペプチドであり、腸粘膜L細胞においてグルカゴン遺伝子によって発現され、GLP-1受容体(GLP-1 R)に主に作用し、インスリン分泌を刺激し、グルカゴン分泌を阻害し、膵島β-細胞を保護し、血中グルコース恒常性を調節する生理学的機能を有し、一方で中枢神経系シグナル伝達経路を通じて食物摂取および胃内容排出を阻害し、満腹感を増加させ、ゆえに体重を低下させる。エクセンディン-4は、アフリカ毒トカゲの唾液腺から抽出されたGLP-1類似体であり、それは、より強いGLP-1受容体活性化および同様のGLP-1効果を呈する。天然GLP-1と比較して、エクセンディン-4は、DPP-4に対するより強い抵抗性、およびその体内におけるより長い血漿中半減期を有する。
GIPは、小腸粘膜K細胞から産生される、42個のアミノ酸を有する単鎖ポリペプチドであり、膵島細胞および脂肪細胞におけるGIP受容体(GIP R)に主に作用する。GIPグルコース依存性インスリン分泌は、膵島β-細胞品質を増強し、インスリン分泌を刺激し、胃酸分泌を阻害し、胃蠕動を減速させる。加えて、それは、脂肪組織細胞による脂肪酸の取り込みおよび利用も刺激する。GIPは、骨芽細胞分化を促進する生理学的効果も有し、骨芽細胞アポトーシスを阻害し、骨吸収を阻害し、骨ミネラル密度を増加させ、骨を保護する。
GCGは、29個のアミノ酸を含有するポリペプチドであり、膵島α-細胞においてグルカゴン始原遺伝子によって発現されかつ分泌され、それは、肝臓および腎臓に分布したグルカゴン受容体(GCG R)に主に作用し、肝臓グリコーゲン破壊を刺激し、血糖を上昇させ、リパーゼを活性化し、脂肪分解を促進し、一方で肝臓脂肪合成を阻害し、脂肪酸酸化を強化する。研究結果は、GCGが、食物摂取を低下させる、脂肪組織のエネルギー消費を増加させる、および体脂肪を低下させることに対してある特定の効果を有することを示す。血糖を上昇させるGCGの適当な効果は、インスリンの調節に関するフィードバックを提供し得、血糖降下事象の発生を低下させ得る。
インクレチンの効果を目指して、エキセナチド、リセナチド(Lisenatide)、リラグルチド、デュラグルチド、およびセマグルチド等のGLP-1受容体アゴニストが、II型糖尿病の治療のための開発に成功している。加えて、リラグルチドが、体重喪失のための開発に成功しており、セマグルチドも、肥満兆候に関する臨床研究を受けているところである。GLP-1類似体の利点は、それらが、血中グルコースを低下させ、心血管有益性および体重管理効果も有し得ることである。しかしながら、現時点で、単一のGLP-1受容体アゴニストの体重喪失は、依然として10%未満であり、明白な用量関連胃腸副作用(主に、吐き気、嘔吐、下痢)がある。肥満性II型糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患/非アルコール性脂肪性肝炎(NAFLD/NASH)、糖尿病、および心血管系リスクを有する肥満等、複合病状を有する代謝疾患に罹患した集団に対する体重喪失のより有効な治療薬に対する緊急の必要性が依然としてある。
GLP-1、GIP、およびGCGの生理学的効果に従って、現在、多くの調査が、それらの受容体の両方または3種を同時に活性化することが、GLP-1Rのみを活性化するよりも、糖尿病および肥満に対してより良好な治療効果を達成し得ることを確認している。高血糖症、肥満、およびインスリン抵抗性は、GIP Rおよびそのシグナル伝達経路の効果を妨げることが報告されている。しかしながら、血糖が減少しかつインスリン抵抗性が改善するにつれて、インスリン分泌を促進することおよび膵島機能を改善することにおけるGIPの役割は改善され得る。グリコーゲン破壊を促進することおよび血糖を上昇させることに加えて、GCGは、また、脂肪破壊を促進し得、肝臓脂肪合成を阻害し得、血中脂質および体重を低減する効果を発揮し得る。しかしながら、GLP-1の相乗的阻害が、その血糖上昇効果を抑制するために要される。それゆえ、GLP-1の「先導的」効果を通じて、血糖を低下させることおよびインスリン抵抗性を改善することは、GIPのインスリン分泌促進機能およびインスリン感作相乗効果をさらに増強し得、膵島機能を改善し得、GCGの脂質分解効果をさらに増強し得、脂質代謝を改善し得、体重喪失効果を増強し得る。
GLP-1/GIPおよびGLP-1/GCG二重アゴニストに関する臨床データの開示とともに、薬物の臨床的治療効力に対する異なる受容体の間のGLP-1/GIPまたはGLP-1/GCG二重アゴニスト活性の分布の影響が次第に明らかになりつつある。
例えば、Lilly製のチルゼパチド(LY3298176)の第II相臨床調査結果は、1mg用量のチルゼパチドが体重喪失効果をほとんど有せず、その血糖降下効果は、デュラグルチド1.5mgのものよりも有意に低いことを示した。チルゼパチドの用量を5mgに増加させた場合のみ、それは、1.5mgのデュラグルチドよりも良好な血糖降下および体重喪失効果をもたらし得る。これは、より強いGIP受容体アゴニスト活性へのチルゼパチドの傾向におそらく起因し、一方でGLP-1受容体活性EC50は、野生型GLP-1活性EC50のほんの約15%である。最大効力を追求するために、チルゼパチドの投薬量は大幅に増加されており(最高で15mgの最大用量まで)、それは薬物の安全性リスクを増加させ得る。
他方で、GCGの強い血糖上昇効果に起因して、GCGの血糖上昇効果のバランスを取りかつ抑制するために、GLP-1/GCG受容体ダブルアゴニストにおいて十分なGLP-1活性が要され、それによって血糖降下効果を保証する。AstraZeneca製のGLP-1/GCG受容体ダブルアゴニストMEDI0382(コタデュチド)におけるGLP-1およびGCG受容体の相対活性EC50は、それぞれ29%および12.8%であった。26週間の臨床試験の結果は、リラグルチドと比較して、100~300μgのコタデュチドによる、体重、血中脂質、ならびにALTおよびASTのレベルの用量依存的低下、ならびに300μg用量群の効果は、1.8mgリラグルチドのものよりも有意に良好であることを示した。しかしながら、各用量群において、リラグルチドと比較してHbA1cの低下の有意な利点はなかった。さらに、コタデュチドの投薬量が増加するにつれて、300μg群における糖化ヘモグロビンの低減効果は、200μg群におけるものよりも実際に悪かった。これは、用量が増加するにつれての、コタデュチド分子の低いGLP-1受容体活性におそらく起因し、それは、GCGの効果を抑制するのに不十分である。
週1回、週2回、または週3回生じる、理想的な長時間作用型GLP-1/GIP/GCGトリプル受容体アゴニスト分子は、最も高い考え得るGLP-1R/GIPR活性および比較的制御可能なGCGR活性を有して、最大の体重喪失および血糖降下効果を保証するはずである。CN104902919AおよびCN111040022Aは、毒トカゲエクソペプチド-4(エクセンディン-4)の構造改変に基づく一連のGLP-1/GIP/GCG Rトリプルアゴニスト分子を開示し;CN109071624Aは、長時間作用型コンジュゲートと組み合わされて分子を形成する一連の環状ペプチド分子を開示する。加えて、WO2015067716A1、WO2019125929A1、およびWO2019125938A1は、17位におけるアミノ酸の側鎖に脂肪酸を連結するあるポリペプチドも開示している。これらのポリペプチドはすべて、GLP-1/GIP/GCG Rのトリプル活性化効果を実証し、週1回の長時間作用潜在性を有する。上記特許文献に開示される分子は、GLP-1 R/GIP R/GCG Rに対する十分に高い活性を同時には呈し得ない。
3種のアゴニスト分子のさらなる開発の余地が依然としてある。
上記の技術的条件を考慮して、本発明は、II型糖尿病、肥満、脂質異常症、非アルコール性脂肪肝疾患/非アルコール性脂肪性肝炎、および他の関連代謝疾患の治療において使用され得る、GLP-1/GIP/GCG Rトリプル活性化活性を有する新規のポリペプチド分子を提供する。
本発明は、一般式(I):
Y-Aib-X3-GT-X6-TSDYSI-X13-LDK-X17-AQ-Aib-AFIE-X25-LLE-X29-X30-PSS-X34-X35-PP-X38-S-R(I)
(式中、
X3は、QまたはHであり;
X6は、F、αMeF、またはαMeF(2F)であり;
X13は、αMeL、F、αMeF、またはLであり;
X17はΨであり;
X25は、YまたはFであり;
X29は、T、S、G、またはAibであり;
X30は、G、H、R、またはAibであり;
X34は、GまたはAibであり;
X35は、A、Q、Aib、またはHであり;
X38は、Ac3cまたはPであり;
は、NHもしくはOH、または薬学的に許容されるその塩および/もしくはエステルであり;
Ψは、以下の一般式(II):
Y-Z(II)
によって修飾された側鎖を有するLysであり、
Yは、(AEEAcまたはGlu)a-(AEEAcまたはGlu)b-(AEEAcまたはGlu)cであり、a、b、およびcは、独立して0または1であり、a、b、およびcは同時にゼロではなく(例示的な実例として、AEEAc-AEEAc-γGlu)、Yのカルボキシル末端は、Lysの側鎖上のε-アミノに接続されており;
Zは-CO-(CH-Rであり、mは6~24の整数であり、Rは-COOHから選択される)
を有する、GLP-1/GIP/GCG Rトリプルアゴニストポリペプチド化合物、その塩又はその溶媒和物を提供する。
本発明において、実施形態の1つとして、一般式(I)の化合物は、以下の部位における少なくとも2個の特定のアミノ酸を含む:
X13は、FまたはαMeFであり;
X25はFであり;
X29は、TまたはSであり;
X30は、H、R、またはAibであり;
X35は、Q、Aib、またはHであり;
X38はAc3cである。
本発明において、実施形態の1つとして、一般式(II)は、AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOHである。
本発明において、実施形態の1つとして、化合物は、
Figure 2024523949000001
Figure 2024523949000002
から選択される。
本発明において、実施形態の1つとして、化合物は、
Figure 2024523949000003
からさらに選択される。
本発明において、実施形態の1つとして、天然GLP-1と比較した、GLP-1受容体安定トランスフェクト細胞の活性化能力の観点において、化合物は、GLP-1受容体の活性化能力の観点において少なくとも30%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも100%の相対活性を有する。
本発明において、実施形態の1つとして、天然GIPと比較した、GLP-1受容体安定トランスフェクト細胞の活性化能力の観点において、化合物は、GIP受容体の活性化能力の観点において少なくとも100%、より好ましくは少なくとも150%の相対活性を有する。
本発明において、実施形態の1つとして、天然GCGと比較した、GCG受容体安定トランスフェクト細胞の活性化能力の観点において、化合物は、GCG受容体の活性化能力の観点において少なくとも10%、より好ましくは少なくとも30%の相対活性を有する。
本発明において、実施形態の1つとして、天然GLP-1(7-37)と比較した、膵島組織の代表的な細胞RIN-m5Fに対する活性化の観点において、化合物は、RIN-m5F細胞に対する活性化の観点において少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも100%の相対活性を有する。
本発明において、実施形態の1つとして、天然GIPと比較した、脂肪組織の代表的な細胞3T3-L1に対する活性化の観点において、化合物は、3T3-L1細胞に対する活性化の観点において少なくとも60%、好ましくは少なくとも100%の相対活性を有する。
本発明において、実施形態の1つとして、天然GCGと比較した、肝臓組織を代表するヒト初代肝臓細胞に対する活性化の観点において、化合物は、肝臓細胞に対する活性化の観点において少なくとも60%、好ましくは少なくとも100%の相対活性を有する。
本発明は、有効量の、上記態様のいずれかに従った化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、担体、または賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。
一態様において、医薬組成物は、注射剤、凍結乾燥粉末剤、錠剤、丸剤、トローチ剤、軟カプセル剤、硬カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤、またはシロップ剤であり;代替的に、薬物組成物は、マイクロカプセル剤、マイクロスフェア剤、ナノ粒子剤、またはリポソーム剤の形態にある。
一態様において、医薬組成物は、経口投与、吸入投与、または非経口投与に使用され、非経口投与は、腹腔内、筋肉内、動脈内、静脈内、皮下、または皮内注射投与から選択される。
一態様において、医薬組成物は、少なくとも1日1回、週1回、2週間に1回、または月1回の頻度で投与される。
一態様において、医薬組成物は、抗糖尿病活性化剤(インスリンおよびその類似体、ビグアニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、α-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、二重SGLT1/SGLT2阻害剤、GLP-1受容体アゴニスト、アミリンおよびその類似体等)、GIP受容体アゴニスト、GCG受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、GLP-1/GIP受容体アゴニスト、GLP-1/GCG受容体アゴニスト、GIP/GCG受容体アゴニスト、FGF-21およびその類似体、コレシストキニンB(CCKB)およびその類似体、PYY(3-36)およびその類似体、レプチンおよびその類似体、カルシトニンおよびその類似体、脂質調節活性薬、PPAR-α、β、δアゴニストまたは調節剤、抗血小板凝集活性化剤、PCSK9阻害剤、リパーゼ阻害剤、抗肝臓線維化または抗肝硬変活性化剤、抗炎症活性化剤を含めた、治療のための以下の活性物質の少なくとも1種との組み合わせでも使用され得る。実施形態の1つとして、抗糖尿病活性化剤は、インスリンおよびその類似体、ビグアニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、α-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、二重SGLT1/SGLT2阻害剤、GLP-1受容体アゴニスト、またはアミリンおよびその類似体を含む。
インスリン分泌を促進するおよび血糖を低減するための薬物の調製における、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか1種、あるいは医薬組成物のいずれか1種の適用。
摂食を阻害する、胃内容排出を遅延させる、エネルギー消費を増加させる、および体重を低下させるための薬物の調製における、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか1種、あるいは医薬組成物のいずれか1種の適用。
膵島β-細胞アポトーシスを低下させる、膵島β-細胞数を増加させる、および膵島細胞の機能を改善するための薬物の調製における、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか1種、あるいは医薬組成物のいずれか1種の適用。
血中脂質を改善する、肝臓脂肪蓄積を低下させる、肝臓炎症の発症を阻害する、ならびに非アルコール性脂肪肝疾患を阻止するおよび治療するための薬物の調製における、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか1種、あるいは医薬組成物のいずれか1種の使用。
脳神経の成長を促進する、神経毒性物質を排除する、炎症発症を阻害する、および神経保護効果を発揮するための薬物の調製における、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか1種、あるいは医薬組成物のいずれか1種の使用。
代謝障害および関連合併症の阻止および/または治療のための、好ましくは糖尿病、肥満、または非アルコール性脂肪肝疾患の治療のための薬物の調製における、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか1種、あるいは医薬組成物のいずれか1種の使用。
脂質異常症および関連疾患、ならびにパーキンソン病およびアルツハイマー病を含めた神経変性疾患を治療するための薬物の調製における、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか1種、あるいは医薬組成物のいずれか1種の使用。
内分泌障害に関連した骨疾患、代謝障害、腎臓疾患等を治療するための薬物の調製における、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれか1種、あるいは医薬組成物のいずれか1種の使用、骨疾患は、骨粗鬆症および変形性関節症を含む。
本発明の化合物のいずれか1種は、固相合成によって合成され得る。
一態様において、本発明は、以下の配列を有する化合物またはそれらの塩もしくは溶媒複合体を提供する:
化合物1(配列番号1)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETGPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物2(配列番号2)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETHPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物3(配列番号3)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLESHPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物4(配列番号4)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLEGGPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物5(配列番号5)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLEGGPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物6(配列番号6)
Y-Aib-HGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLE-Aib-HPSSGQPPPS-NH
化合物7(配列番号7)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETGPSSG-Aib-PPPS-NH
化合物8(配列番号8)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETGPSSGQPPPS-NH
化合物9(配列番号9)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLETGPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物10(配列番号10)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLESHPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物11(配列番号11)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLETGPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物12(配列番号12)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLETGPSSGAPPPS-NH
化合物13(配列番号13)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETGPSSGAPPPS-NH
化合物14(配列番号14)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLETGPSSGAPPPS-NH
化合物15(配列番号15)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLESHPSSGAPPPS-NH
化合物16(配列番号16)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLE-Aib-HPSSGAPPPS-NH
化合物17(配列番号17)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETGPSSGAPPPS-NH
化合物18(配列番号18)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLE-Aib-HPSSGAPPPS-NH
化合物19(配列番号19)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLETGPSSGAPPPS-NH
化合物20(配列番号20)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLE-Aib-HPSSGAPPPS-NH
化合物21(配列番号21)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLEGGPSSGQPPPS-NH
化合物22(配列番号22)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLEGGPSSGQPPPS-NH
化合物23(配列番号23)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETGPSSGQPPPS-NH
化合物24(配列番号24)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLETGPSS-Aib-HPPPS-NH
化合物25(配列番号25)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLEGRPSS-Aib-HPPPS-NH
化合物26(配列番号26)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLESHPSSGAPPPS-NH
化合物27(配列番号27)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeF-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLESHPSSGAPPPS-NH
化合物28(配列番号28)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLES-Aib-PSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物29(配列番号29)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLES-Aib-PSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物30(配列番号30)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLET-Aib-PSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物31(配列番号31)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLE-Aib-HPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物32(配列番号32)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSIFLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLE-Aib-HPSSGAPP-Ac3c-S-NH
化合物33(配列番号33)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLESHPSS-Aib-HPP-Ac3c-S-NH
化合物34(配列番号34)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETGPSSGQPP-Ac3c-S-NH
化合物35(配列番号35)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLETGPSSGQPP-Ac3c-S-NH
化合物36(配列番号36)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLEGGPSS-Aib-HPPPS-NH
化合物37(配列番号37)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLEGRPSS-Aib-HPPPS-NH
化合物38(配列番号38)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLETGPSS-Aib-HPPPS-NH
化合物39(配列番号39)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLETRPSS-Aib-HPPPS-NH
化合物40(配列番号40)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLESHPSS-Aib-HPP-Ac3c-S-NH
化合物41(配列番号41)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSILLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLESHPSS-Aib-HPP-Ac3c-S-NH
化合物42(配列番号42)
Y-Aib-QGT-αMeF-TSDYSILLDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEFLLESHPSS-Aib-HPP-Ac3c-S-NH
化合物43(配列番号43)
Y-Aib-QGT-αMeF(2F)-TSDYSI-αMeL-LDKK(AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOH)AQ-Aib-AFIEYLLESHPSS-Aib-HPP-Ac3c-S-NH
GLP-1 R、GIP R、およびGCG Rは、ヒト身体における複数の代謝関連組織、臓器、および細胞において分布しかつ発現されることが見出されている。例えば、GLP-1 R、GIP R、およびGCG Rは、膵島組織細胞において同時に発現され、GLP-1 Rは最も豊富な受容体である。例えば、GLP-1 RおよびGIP Rは、最も高いGIP R存在量を有して、脂肪細胞において発現されることが見出されている。GCG Rの最も高い存在量を有して、肝臓細胞におけるGLP-1 RおよびGCG Rの発現についての報告もある。同時に、本発明者らは、一部の化合物が、単一受容体安定トランスフェクト細胞において、野生型ポリペプチドよりも良好なEC50を有し得るものの、前述の組織細胞において、野生型ポリペプチドと比較して、組織細胞を十分に刺激するのにさらにより高い用量が要されることを見出して驚いた。これは、複数の受容体にわたるマルチアゴニスト化合物の分布傾向におそらく関係する。それゆえ、最大治療効果を達成するために、3種のアゴニスト分子は、組織細胞において複数の受容体を十分に活性化し得、少なくとも、組織細胞において高い存在量の受容体を有効に活性化し得るべきであることが要される。それゆえ、様々な組織細胞上の3種のアゴニスト分子のEC50は、相当する野生型ポリペプチドGLP-1/GIP/GCGよりも少なくとも良好であるべきである。
本発明の化合物は、GLP-1/GIP/GCG Rにおける3種の構成要素に対する強い相対活性EC50を有し、相当する標的臓器組織細胞を十分に刺激し得る。
好ましくは、本発明の化合物は、インスリン分泌を促進し得、血糖を低減させ得る。好ましくは、それは、また、採食を阻害し得、胃内容排出を遅延させ得、エネルギー消費を増加させ得、最終的に体重喪失効果を観察し得る。
好ましくは、本発明の化合物は、膵島β-細胞アポトーシスを低下させ得、膵島β-細胞の数を増加させ得、膵島細胞の機能を改善し得る。
好ましくは、本発明の化合物は、また、血中脂質を改善し得、肝臓脂肪蓄積を低下させ得、肝臓炎症の発症を阻害し得、非アルコール性脂肪肝疾患を阻止し得かつ治療し得る。
好ましくは、本発明の化合物は、脳神経の成長を促進し、神経毒性物質を排除し、炎症の発症を阻害し、神経保護的役割を果たすと予想される。
好ましくは、本発明の化合物または組成物は、代謝障害および関連合併症を阻止しかつ/または治療するために使用され得る。それは、好ましくは、糖尿病、肥満、および非アルコール性脂肪肝疾患を治療するために使用される。
好ましくは、本発明の化合物または組成物は、脂質異常症および関連疾患、ならびにパーキンソン病およびアルツハイマー病等の神経変性疾患を治療するために使用され得る。
好ましくは、本発明の化合物または組成物は、内分泌障害に関連した骨疾患、代謝障害、腎臓疾患、ならびに骨粗鬆症および変形性関節症等の他の原因を治療するために使用され得る。
本発明の化合物は、GLP-1、GIP、およびGCG受容体に対する有意な刺激効果を有する。
本発明のポリペプチド化合物は、公知の技術的方法により、当業者によって合成され得かつ修飾され得る。例えば、本発明のポリペプチド化合物のポリペプチド配列骨格は、合成等の方法によって調製され得る。
本発明の化合物のペプチド骨格は、少なくとも1つの部位で脂肪酸側鎖基によって化学的に修飾される。好ましくは、化合物は、安定なペプチドα-ヘリックス構造を有し得、アルブミン結合力を増強し得、ペプチド化合物の安定性の改善およびペプチド作用時間の延長を達成する。
本発明の化合物は、GLP-1受容体、GIP受容体、およびGCG受容体に対するアゴニスト活性を有する。言及される「アゴニスト活性」とは、特異的受容体細胞を刺激してcAMPを産生する化合物の能力を指し、それは、宿主細胞、膵臓組織細胞、脂肪細胞、肝臓細胞等においてGLP-1受容体、GIP受容体、またはGCG受容体を過剰発現するように当業者によって構築され得る。受容体活性化活性は、受容体細胞を刺激する化合物によって産生されるcAMPのEC50値によって測定され得る。EC50値とは、特定の測定システムにおいて、化合物の最大活性の2分の1(50%活性)に達するために要される薬物濃度値を指す。
具体的な実施形態において、化合物のアゴニスト活性は、特異的天然化合物の相対活性を評価することによって評価され得る。相対活性とは、特異的天然化合物のEC50値対試験化合物のEC50値の比率のパーセンテージである。
既存の化合物と比較して、本発明によって提供されるGLP-1/GIP/GCG Rトリプルアゴニストポリペプチド分子は、良好なGLP-1 R、GIP R、GCG R、および組織細胞相対活性EC50を有する。
定義
「相対活性EC50」とは、相当する野生型陽性ペプチドヒトGLP-1(7-37)、ヒトGIP、およびヒトGCGのEC50値対本発明の化合物のEC50値の比率を指す。
本発明の化合物配列におけるアミノ酸は、天然アミノ酸または関連アミノ酸変種および/もしくは誘導体を起源とする。言及される天然アミノ酸の略語および記号は、当業者によく知られている一般的法則に基づく。Aib、α-MeF、α-MeF(2F)、α-MeL、およびAc3cの化学構造式は、以下のとおりである:
別様に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本文書が優先するものとする。好ましい方法および材料が下で記載されるが、本明細書に記載されるものと同様または等価の方法および材料を使用して、本発明を実行し得るまたは試験し得る。本明細書に開示される材料、方法、および例は、単なる例示であり、制限的であることを意図されるわけではない。
本発明において使用される略語の具体的な意味は、以下のとおりである:
Aib:α-アミノイソ酪酸
α-MeF:α-メチルフェニルアラニン
α-MeF(2F):α-メチル-2-フルオロフェニルアラニン
α-MeL:α-メチルロイシン
Ac3c:1-アミノシクロプロパンカルボン酸
AEEAc:[2-(2-アミノエトキシ)-エトキシ]-アセチル
cAMP:アデノシンシクロホスフェート
Fmoc:フルオレンメトキシカルボニル
Boc:tertブトキシカルボニル
DMF:ジメチルホルムアミド
HBTU:ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート
Trt:トリフェニルメチル
ivdde:1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシル)-3-メチル-ブチル
tBu:tertブチル
OtBu:酸素tertブチル
TFA:トリフルオロ酢酸
Tis:トリイソプロピルシラン
HPLC/MS:高速液体クロマトグラフィー/質量分析
HPLC-UV:高速液体クロマトグラフィーUV
IPTG:イソプロピル-β-D-チオガラクトシド
Tris:トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Trihydroxymethylaminomethane)
DCM:ジクロロメタン
THF:テトラヒドロフラン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
NMP:N-メチルピロリドン
HEK-293:ヒト胎児腎臓細胞
CHO:チャイニーズハムスター卵巣細胞
GLP-1:グルカゴン様ペプチド-1
GIP:グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド
GCG:グルカゴン
GLP-1 R:グルカゴン様ペプチド-1受容体
GIP R:グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド受容体
GCG R:グルカゴン受容体
NAFLD:非アルコール性脂肪肝疾患
NASH:非アルコール性脂肪性肝炎
DMEM:Du改善イーグル培地
FBS:ウシ胎仔血
FCS:仔ウシ血清
P/S:ペニシリン/ストレプトマイシン
PBS:リン酸緩衝溶液
HBSS:ハンクス緩衝塩溶液
EC50:半効果濃度
IBMX:3-イソブチル-1-メチルキサンチン。
以下の実施形態および実験例は、本発明をさらに例示するために提供されるが、決して本発明の有効な範囲を限定するわけではない。
(実施例1)
ペプチド化合物の合成
本発明の中間体および化合物は、当技術分野において公知の様々な方法により合成され得かつ調製され得る。以下の具体的な実施形態は、本発明の化合物を調製するための化学的合成法の使用を例示する。記載される具体的な各合成ステップを、異なる材料および方法を使用して組み合わせて、本発明の様々な相当する化合物または塩を合成し得る。使用される試薬および原材料は、当業者にとって容易に入手可能である。具体的には、以下の実施形態は、本発明を例示することのみを意図され、決して本発明の範囲を限定するべきではない。
材料:
本発明において使用される材料および試薬はすべて、商品から購入され、合成過程全体において使用される保護的アミノ酸は、以下のとおりである:Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Ac3c-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Lys(ivdde)-OH、Fmoc-α-MeLeu-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-His(Trt)-OH、Fmoc-α-MePhe-OH、Fmoc-α-MePhe(2F)-OH、Fmoc-Aib-OH、Boc-Tyr(tBu)-OH。
本発明の化合物の合成および調製方法は、化合物10を例に取って下で例示される(他の化合物の調製は、アミノ酸原材料の合成順序を変化させることのみを要する)。
(1)リンクアミドMBHA樹脂前処理:1gの乾燥リンクアミドMBHA樹脂(置換度S=0.28mmol/g)を計量し、反応カラムに添加し、10mlのDMFを添加し、窒素ガスを30分間吹き付けた。溶媒を除去し、もう10mlのDMFを添加して、各回に対して1分間を有して3回洗浄し、溶媒を除去した。
(2)保護基Fmocの除去:20%ピペリジン/DMF溶液(10ml)を、処理されたリンクアミノ樹脂に添加し、窒素雰囲気下で20分間放置して反応させ、その間、反応の程度をニンヒドリン比色法を使用してモニターし、樹脂色が青色を示した場合、それはFmocの除去の成功を示し、濾過を実施して反応後の溶媒を除去し、DMFを反応系に添加して樹脂を1分間洗浄し、それを6回繰り返した。
(3)カップリング反応(ペプチド結合形成):相当するFmoc保護アミノ酸溶液(3.0当量)を反応器に添加し、次いでDIEA(6.0当量)を添加し、5mlのDMFを反応カラムに添加し、窒素ガスを吹き付け、アミノ酸溶解後にHBTU(2.85当量)に供した。窒素ガスを、樹脂を均一に泡立てるように調整して25℃で30分間反応させ、その間、反応の程度をニンヒドリン比色法を使用することによってモニターし、樹脂が無色かつ透明である場合、それはカップリングの成功を示した。反応が完了した後、濾過を実施して溶媒を除去した。DMFを反応系に添加し、樹脂を撹拌し、1分間洗浄し、それを6回繰り返した。上記ステップを繰り返し、ペプチド鎖合成が完了するまで、相当するアミノ酸溶液を順番に添加した。最後のアミノ酸にBoc-Tyr(tBu)-OHをカップリングし、無色かつ透明の樹脂をテトラクロロベンゾキノンで検出することによって、カップリングが完了したことを判断した。側鎖修飾部位のLysをFmoc-Lys(ivdde)-OHで置き換えた。化合物10主ペプチド配列の合成における添加アミノ酸カップリングの配列は、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Ac3c-OH、Fmoc-Pro-OH(2×)、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH(2×)、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Gly-OH(2×)、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Leu-OH(2×)、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Aib-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Lys(ivdde)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-α-MeF(2F)-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Aib-OH、Boc-Tyr(tBu)-OHであった。
(4)Lysからの側鎖保護基ivddeの除去:3%ヒドラジン水和物/DMF溶液(10ml)を反応カラムに添加し、窒素ガス下で20分間放置して反応させて、修飾部位Lysから側鎖保護基ivddeを除去した。ニンヒドリン検出樹脂の青色は、完了した除去を示した。除去の成功の後、溶媒を除去し、DMFを系に添加して1分間洗浄し、溶媒を除去し、そこでは洗浄を6回実施した。
(5)Lys側鎖修飾:AEEAc(2.0当量)を上記樹脂に添加した。DIEA(4.00当量)を添加し、5mlのDMFを反応カラムに添加した。それに窒素ガスを吹き付け、アミノ酸が溶解した後にHBTU(1.9当量)を添加した。窒素ガスを、樹脂を均一に泡立てるように調整して25℃で1時間反応させた。ニンヒドリン検出樹脂は無色かつ透明であり、完了した反応を示した。反応溶液を除去し、各回に対して1分間を有してDMF(10ml)で6回洗浄した。20%ピペリジン/DMF(10ml)を反応カラムに添加し、窒素ガスを20分間吹き付けてFmoc基を除去した。DMF(10ml)を添加して、各回に対して1分間を有して6回洗浄し、溶媒を除去した。上記ステップに従って、AEEAc、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、およびC20モノtertブチルエステルを連続して添加して、カップリング反応を行って、側鎖修飾を完了させた。最後に、樹脂を毎回3分間MeOH(10ml)で収縮させ、溶媒を排出し、樹脂を注ぎ出しかつ乾燥させ、使用に備えた。
(6)ペプチド樹脂の後処理:上記の乾燥ペプチド樹脂に、調製された切断試薬(95%TFA:2.5%Ti:2.5%HO)を添加し、振とう台において2.5時間振とうして樹脂を切断した。濾過を実施して濾過液を獲得し、それを10倍容積の氷冷イソプロピルエーテルに添加し、遠心分離し、イソプロピルエーテルで5回洗浄した。2時間の真空乾燥によって、粗ペプチドを獲得した。
(7)粗ペプチド化合物の精製:
獲得されたペプチド粉末を、50%アセトニトリル/HO溶液に溶解し、逆相C18分取カラム(島津製作所、Inertsil ODS 20×250mm 5um)を使用して精製した。初回溶離液として95%緩衝液A(0.1%TFA/HO)および5%緩衝液B(0.075%TFA/アセトニトリル)を使用し、緩衝液Bの割合を75%まで次第に増加させて、溶出のために精製を連続的に30分間ランし、標的ペプチド構成要素を回収した。精製されたペプチド化合物を分析し、分析的HPLC/MS法によって確認した。獲得されたペプチド化合物の純度は、少なくとも95%であった。
Figure 2024523949000006
Figure 2024523949000007
Figure 2024523949000008
(実施例2)
ヒトGLP-1/GIP/GCG受容体の安定トランスジェニック細胞に対するペプチド化合物の活性試験
まず、ヒトGLP-1またはGCG受容体を安定に過剰発現するHEK-293細胞、およびGIP受容体を安定に過剰発現するCHO細胞を別個に構築した。前述の細胞のcAMPシグナル応答レベルを測定することによって、相当する受容体に対する個々の化合物のアゴニスト活性を判定した。細胞内cAMP含有量を、HTRF(ホモジニアス時間分解蛍光)技術に基づき、Cisbio Corp.から入手可能な試薬キットを使用して測定した。
ヒトGLP-1、GIP、またはGCG受容体を安定に過剰発現する凍結された細胞を、急速融解および回復のために、37℃の定温水槽に入れた。細胞液を、再懸濁のために10mlのHBSSに移し、室温で5分間1000rpmで遠心分離した。上清を捨て、細胞を1×HBSS(0.1%カゼイン、250μM IBMXを含有する)に再懸濁し、細胞密度を1.0×10個/mLに調整した。
10μLの細胞懸濁液を、384ウェルプレートにおける各ウェルに添加した。試験される対象となる化合物を1×PBS緩衝液に溶解してストック溶液を調製し、それを3倍で段階的に希釈して、合計12濃度点の化合物溶液を調製した。ECHO液体移行システムを使用して、100nLの調製された化合物溶液を、384ウェルプレートにおける相当する細胞懸濁液に添加し、1000rpmで1分間回転させかつ振とうして均一に混合し、次いで室温で60分間インキュベートした。薬物インキュベーションが完了した後、10μLの検出試薬を各ウェルに添加し、インキュベーションを室温で60分間キットにおいて実施した。プレートを、EnVision多機能酵素リーダー(PerkinElmer)に置き、読み取りを665/615nmで取得した。GraphPad Prism 5プロッティングソフトウェアを使用して、化合物濃度応答曲線を作成し、EC50(nM)値を算出した。
試験化合物の受容体活性化効果に対する陽性対照として天然野生型ヒトGLP-1(7-37)、GIP、およびGCGを使用して、GLP-1受容体細胞に関しては、ヒトGLP-1(7-37)のEC50値対試験化合物のEC50値の比率を算出することによって、試験化合物の相対活性(%)を評価した。
GIP受容体細胞に関しては、ヒトGIPのEC50値対試験化合物のEC50値の比率のパーセンテージを算出することによって、試験化合物の相対活性(%)を評価した。
GCG受容体細胞に関しては、ヒトGCGのEC50値対試験化合物のEC50値のパーセンテージを算出することによって、試験化合物の相対活性(%)を評価した。
Figure 2024523949000009
Figure 2024523949000010
表におけるデータは、すべての化合物が、ヒトGLP-1/GIP/GCG受容体安定細胞において高い相対活性を呈し得ることを示している。
(実施例3)
ラット膵島腫瘍RIN-m5F細胞に対するペプチド化合物の機能的活性試験
ラット膵島組織に由来するRIN-m5F細胞株は、内因性GLP-1/GIP/GCG受容体を主に発現し、GLP-1受容体は最も豊富である。本実験は、RIN-m5F細胞に対する、化合物によって産生されたcAMPレベルを測定した。
凍結されたRIN-m5F細胞を、急速融解および回復のために、37℃の定温水槽に入れた。細胞溶液を、再懸濁のために10mlのHBSSに移し、室温で5分間1000rpmで遠心分離した。上清を捨て、細胞を1×HBSS(0.1%カゼイン、250μM IBMXを含有する)に再懸濁し、細胞密度を1.0×10個/mLに調整した。
10μLの細胞懸濁液を、384ウェルプレートにおける各ウェルに添加した。試験される対象となる化合物を1×PBS緩衝液に溶解してストック溶液を調製し、それを3倍で段階的に希釈して、合計12濃度点の化合物溶液を調製した。ECHO液体移行システムを使用して、100nLの調製された化合物溶液を、384ウェルプレートにおける相当する細胞懸濁液に添加し、1000rpmで1分間回転させかつ振とうして均一に混合し、次いで室温で60分間インキュベートした。薬物インキュベーションが完了した後、10μLの検出試薬を各ウェルに添加し、インキュベーションを60分間実施した。プレートを、EnVision多機能酵素リーダー(PerkinElmer)に置き、読み取りを665/615nmで取得した。GraphPad Prism 5プロッティングソフトウェアを使用して、化合物濃度-効果曲線を作成し、算出を実施した。
Figure 2024523949000011
表における本発明の化合物は、膵島腫瘍細胞RIN-m5Fにおいて高い相対活性を呈し得る。
(実施例4)
3T3-L1脂肪細胞に対するペプチド化合物の機能的活性試験
マウス3T3-L1前駆体脂肪細胞は、成熟脂肪細胞に分化するように誘導され得る。3T3-L1細胞を、4×10個/mlの細胞密度によって96ウェルプレートに直接接種し、10%FCSおよび1%P/Sを含有するDMEM培地中で培養し、5%CO2インキュベーターにおいて37℃でインキュベートした。細胞が満杯になり互いと接触した後、20%FBS、0.5mM IBMX、0.4ug/mLデキサメタゾン、および5ug/mLインスリンを含有するDMEM分化培地を使用して、3T3-L1脂肪細胞の分化を誘導した。5日間の誘導および培養の後、20%FBS、4ug/mlインスリン、および10uMロシグリタゾンを含有するDMEM培地を使用して、誘導および培養を3日間続けた。次いで、10%FBSを含有するDMEM培地を使用して、2~3日間培養を続けて、成熟3T3-L1脂肪細胞を誘導した。
3T3-L1脂肪細胞の誘導された分化および成熟は、脂肪組織細胞と同様に、豊富なGIP受容体を発現し得る。3T3-L1脂肪細胞に対する、化合物によって産生されたcAMPレベルを、本実験において判定した。試験化合物溶液を、3倍の濃度勾配に従って段階的に希釈して、合計10連の濃度溶液を獲得した。溶液を添加して、成熟3T3-L1脂肪細胞を誘導し、室温で60分間インキュベートした。薬物インキュベーションの後、キットにおける10μL検出試薬を各ウェルに添加し、室温でもう60分間インキュベートした。プレートを、EnVision多機能酵素リーダー(PerkinElmer)に置いて、665/615nmにおける読み取りを測定した。GraphPad Prism 5プロッティングソフトウェアを使用して、化合物濃度-効果曲線を作成し、算出を実施した。
Figure 2024523949000012
本発明の化合物は、脂肪細胞3T3-L1に対して高い相対活性を呈し得る。
(実施例5)
ヒト初代肝臓細胞に対するペプチド化合物の機能的活性試験
ヒト初代肝臓細胞に対する、化合物によって産生されたcAMPレベルを、本実験において判定した。ヒト初代肝臓細胞をLonza(細胞製品番号HUCPG)から購入した。
凍結されたヒト初代肝臓細胞を、急速融解および回復のために、37℃の定温水槽に入れた。細胞溶液を、再懸濁のために10mlのHBSSに移し、室温で5分間1000rpmで遠心分離した。上清を捨て、細胞を1×HBSS(0.1%カゼイン、250μM IBMXを含有する)に再懸濁し、細胞密度を1.0×10個/mLに調整した。
10μLの細胞懸濁液を、384ウェルプレートにおける各ウェルに添加した。試験される対象となる化合物を1×PBS緩衝液に溶解してストック溶液を調製し、それを3倍で段階的に希釈して、合計12濃度点の化合物溶液を調製した。ECHO液体移行システムを使用して、100nLの調製された化合物溶液を、384ウェルプレートにおける相当する細胞懸濁液に添加し、1000rpmで1分間回転させかつ振とうして均一に混合し、次いで室温で60分間インキュベートした。薬物インキュベーションが完了した後、10μLの検出試薬を各ウェルに添加し、インキュベーションを60分間実施した。プレートを、EnVision多機能酵素リーダー(PerkinElmer)に置き、読み取りを665/615nmで取得した。GraphPad Prism 5プロッティングソフトウェアを使用して、化合物濃度-効果曲線を作成し、算出を実施した。
Figure 2024523949000013
表における本発明の化合物は、肝臓細胞に対して高い相対活性を呈し得る。
(実施例6)
インビボ薬力学
高脂肪食誘導性肥満(DIO)マウスは、そのすべてが、ヒト身体に類似した非常に重大なメタボリックシンドロームである、肥満、高まった血糖、インスリン抵抗性、および脂質異常等の特徴を有する。C57BL/6J DIOマウスにおける体重、食物摂取、血糖、および脂質に対する本発明の化合物の効果を調査した。
5週齢の雄C57BL/6Jマウス(Shanghai Slake Experimental Animal Companyから購入した)を、12時間の明/12時間の暗循環を有する、病原体フリーでかつ清潔な環境において(20~24℃の温度および30~70%の相対湿度で)飼育した。それらに、ケージあたり4匹の動物および2週間の適応期間を有して、通常の餌を給餌した。高脂肪食(脂肪由来の60kcal%のカロリー)を給餌することによって、マウスにおいて肥満を誘導した。16週間の高脂肪食の給餌の後、DIOマウスの体重は41~55gに達し、血中グルコース域は8~12mmol/Lに達した。各群の動物が同様の平均体重および血中グルコースを有するように、DIOマウスをそれらの体重および空腹時血中グルコースに従って群(n=6/群)に無作為に分けた。グループ分けの後、1匹の動物を各ケージにおいて1週間飼育し、その間、動物のそれぞれに、溶媒(1×PBS、5ml/kg)を皮下(S.C.)注射して、実験作業過程にあらかじめ適応させた。
動物の準備後、ビヒクル対照または化合物を動物の群に皮下注射によって投与し、化合物は1×PBSに溶解され、投薬量は5ml/kgであり、投与作業は9:00amに開始し、15日間3日ごとに1回(Q3D)行われた。実験調査全体を通じて、投与前に動物体重および食物摂取を毎日測定し、投与前の同じ動物の初回体重および食物摂取と比較して、動物体重の変化パーセンテージ(%)および累積食物摂取を算出して、体重および食物摂取の変化に対する化合物の影響を評価した。
実験の終点(15日目)に、マウスの体重を測定し、次いで、麻酔なしで損傷した尾部の尾端から血液を採取することによって、空腹時血中グルコースを測定した。血液回収の後、動物をCOで麻酔し、安楽死させた。次いで、心臓から血液を採取し、血漿を遠心分離によって分離した。血漿を使用して、総コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、トリグリセリド(TG)、および血中インスリン含有量を測定した。肝臓をホモジナイゼーションのために分離し、次いで遠心分離して、肝臓におけるトリグリセリド含有量を判定するために上清を獲得した。
すべての結果を平均±SEMで表現し、結果を、GraphPad Prism 5ソフトウェアを使用して一元配置ANOVAによって分析し、その後に、ビヒクル対照群と比較したダネットの事後検定が続いた。p<0.05レベルでの差を、統計的に有意と見なした。
Figure 2024523949000014
Figure 2024523949000015
表6-1および6-2における結果から、本発明の化合物は、体重低下に対して有意な効果を有することが分かる。
Figure 2024523949000016
Figure 2024523949000017
表7-1および7-2における結果から、本発明の化合物は、血中脂質を低下させることに対して有意な治療効果を有することが分かる。
Figure 2024523949000018
Figure 2024523949000019
表8-1および8-2における結果から、本発明の化合物は、血糖および血中インスリンを低下させることに対して有意な治療効果を有することが分かる。
Figure 2024523949000020
Figure 2024523949000021
表9-1および9-2における結果から、本発明の化合物は、肝臓トリグリセリドを低下させることに対して有意な治療効果を有することが分かる。
(実施例7)
化合物のラット薬物動態(PK)調査
7~9週齢の雄SDラット(220~250g、3匹のラット/群)を、30nmol/kg化合物の皮下注射に供した。投与の後、0.25、2、4、8、12、16、24、48、96、120、および144時間の時点で、頸静脈を通じて血液を回収した。血液を処理して血漿サンプルを獲得し、LC-MS/MSを使用して分析した。血中濃度時間曲線を、Phoenix WinNonlinバージョン6.3ソフトウェア(ノンコンパートメントモデル)を使用して分析し、PKパラメーターおよび半減期を算出した。
上記の方法を使用して算出されたPKパラメーターは、表10に示されている。
Figure 2024523949000022
表10は、個々の化合物が、延長した薬物動態分布を呈することを示している。

Claims (25)

  1. 一般式(I):
    Y-Aib-X3-GT-X6-TSDYSI-X13-LDK-X17-AQ-Aib-AFIE-X25-LLE-X29-X30-PSS-X34-X35-PP-X38-S-R(I)
    (式中、
    X3は、QまたはHであり;
    X6は、F、αMeF、またはαMeF(2F)であり;
    X13は、αMeL、F、αMeF、またはLであり;
    X17はΨであり;
    X25は、YまたはFであり;
    X29は、T、S、G、またはAibであり;
    X30は、G、H、R、またはAibであり;
    X34は、GまたはAibであり;
    X35は、A、Q、Aib、またはHであり;
    X38は、Ac3cまたはPであり;
    は、NHもしくはOH、または薬学的に許容されるその塩および/もしくはエステルであり;
    Ψは、以下の一般式(II):
    Y-Z(II)
    によって修飾された側鎖を有するLysであり、
    Yは、(AEEAcまたはGlu)-(AEEAcまたはGlu)b-(AEEAcまたはGlu)であり、a、b、およびcは、独立して別個に0または1であり、a、b、およびcは同時にゼロではなく、Yのカルボキシル末端は、Lysの側鎖のε-アミノに接続されており;
    Zは-CO-(CH-Rであり、mは6~24の整数であり、Rは-COOHから選択される)
    を有する、GLP-1/GIP/GCG Rトリプルアゴニストポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  2. 一般式(I)の化合物は、以下の部位における少なくとも2個の特定のアミノ酸を含む:
    X13は、FまたはαMeFであり;
    X25はFであり;
    X29は、TまたはSであり;
    X30は、H、R、またはAibであり;
    X35は、Q、Aib、またはHであり;
    X38はAc3cである
    ことを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  3. 一般式(II)は、AEEAc-AEEAc-γGlu-CO(CH18COOHであることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  4. 化合物は、
    Figure 2024523949000023
    Figure 2024523949000024
    から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  5. 化合物は、
    Figure 2024523949000025
    からさらに選択されることを特徴とする、請求項4に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  6. 天然GLP-1と比較した、GLP-1受容体安定トランスフェクト細胞の活性化能力の観点において、化合物は、GLP-1受容体の活性化能力の観点において少なくとも30%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも100%の相対活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  7. 天然GIPと比較した、GIP受容体安定トランスフェクト細胞の活性化能力の観点において、化合物は、GIP受容体の活性化能力の観点において少なくとも100%、より好ましくは少なくとも150%の相対活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  8. 天然GCGと比較した、GCG受容体安定トランスフェクト細胞の活性化能力の観点において、化合物は、GCG受容体の活性化能力の観点において少なくとも10%、より好ましくは少なくとも30%の相対活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  9. 天然GLP-1(7-37)と比較した、膵島組織の代表的な細胞RIN-m5Fの観点において、化合物は、RIN-m5F細胞の活性化能力の観点において少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも100%の相対活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  10. 天然GIPと比較した、脂肪組織の代表的な細胞3T3-L1の観点において、化合物は、3T3-L1細胞の活性化能力の観点において少なくとも60%、好ましくは少なくとも100%の相対活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  11. 天然GCGと比較した、肝臓組織を代表するヒト初代肝臓細胞の観点において、化合物は、肝臓細胞の活性化能力の観点において少なくとも60%、好ましくは少なくとも100%の相対活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物のいずれかの有効量、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、担体、または賦形剤を含む、医薬組成物。
  13. 医薬組成物は、注射剤、凍結乾燥粉末剤、錠剤、丸剤、トローチ剤、軟カプセル剤、硬カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤、またはシロップ剤であり;代替的に、薬物組成物は、マイクロカプセル剤、マイクロスフェア剤、ナノ粒子剤、またはリポソーム剤の形態にあることを特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 医薬組成物は、経口投与、吸入投与、または非経口投与に使用され、非経口投与は、腹腔内、筋肉内、動脈内、静脈内、皮下、または皮内注射投与から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
  15. 少なくとも1日1回、週1回、2週間に1回、または月1回の頻度で投与されることを特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
  16. 医薬組成物は、少なくとも1種の治療活性物質との組み合わせで使用され、治療活性物質は、抗糖尿病活性化剤、GIP受容体アゴニスト、GCG受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト、GLP-1/GIP受容体アゴニスト、GLP-1/GCG受容体アゴニスト、GIP/GCG受容体アゴニスト、FGF-21およびその類似体、コレシストキニンB(CCKB)およびその類似体、PYY(3-36)およびその類似体、レプチンおよびその類似体、カルシトニンおよびその類似体、脂質調節活性薬、PPAR-α、β、δアゴニストもしくは調節剤、抗血小板凝集活性化剤、PCSK9阻害剤、リパーゼ阻害剤、抗線維化もしくは抗肝硬変活性化剤、または抗炎症活性化剤を含むことを特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
  17. 抗糖尿病活性化剤は、インスリンおよびその類似体、ビグアニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、α-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、二重SGLT1/SGLT2阻害剤、GLP-1受容体アゴニスト、またはアミリンおよびその類似体を含むことを特徴とする、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. インスリン分泌を促進するおよび血糖を低減するための薬物の調製における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、あるいは請求項12から17のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせの使用。
  19. 摂食を阻害する、胃内容排出を遅延させる、エネルギー消費を増加させる、および体重を低下させるための薬物の調製における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、あるいは請求項12から17のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせの使用。
  20. 膵島β-細胞アポトーシスを低下させる、膵島β-細胞数を増加させる、および膵島細胞の機能を改善するための薬物の調製における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、あるいは請求項12から17のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせの使用。
  21. 血中脂質を改善する、肝臓脂肪蓄積を低下させる、肝臓炎症の発症を阻害する、ならびに非アルコール性脂肪肝疾患を阻止するおよび治療するための薬物の調製における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、あるいは請求項12から17のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせの使用。
  22. 脳神経の成長を促進する、神経毒性物質を排除する、炎症発症を阻害する、および神経保護効果を発揮するための薬物の調製における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、あるいは請求項12から17のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせの使用。
  23. 代謝障害および関連合併症の阻止および/または治療のための、好ましくは糖尿病、肥満、または非アルコール性脂肪肝疾患の治療のための薬物の調製における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、あるいは請求項12から17のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせの使用。
  24. 脂質異常症および関連疾患、ならびにパーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経変性疾患を治療するための薬物の調製における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、あるいは請求項12から17のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせの使用。
  25. 内分泌障害に関連した骨疾患、代謝障害、腎臓疾患等、骨粗鬆症および変形性関節症を含む骨疾患を治療するための薬物の調製における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、あるいは請求項12から17のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせの使用。
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