JP2024521711A - 改善された免疫細胞集団を産生する方法 - Google Patents

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リ,ジャスミン
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Abstract

本発明は、改善された免疫細胞集団を産生する方法に関する。
【選択図】なし

Description

本出願は、2021年5月19日に出願されたAU2021/901496からの優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、改善された免疫細胞集団を産生する方法に関する。
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、がんを治療することが困難な患者の治療において顕著な進歩を遂げているが、CAR-Tの不十分な持続性は、依然として重要な課題である。注入されたCAR-T細胞の不十分な持続性は、がんを有する患者における持続的な臨床寛解と逆相関する。ナイーブ、セントラルメモリー(TCM)又は幹細胞(TSCM)表現型を有するCAR-T細胞の頻度は、エフェクター(TE)及びエフェクターメモリー(TEM)表現型を有する、より良好な持続性CAR-T細胞を達成する能力を有する、臨床的有効性の重要な予測因子であることが示されている(McLellan and Ali Hosseini Rad,2019)。TE及びTEM細胞は、インビトロで優れた腫瘍殺傷能力を示すが、それらは、低い自己再生能力を有し、ニッチホーミング及び生存の能力が低下しており、活性化誘導細胞死(AICD)又は疲弊に対してより脆弱である(McLellan and Ali Hosseini Rad,2019)。
したがって、CAR-T療法で使用するためのCAR-T細胞集団などの改善された免疫細胞の集団が必要とされている。
本発明者らは、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤が、インビボで投与されるとき、その治療を必要とする対象における従来のCAR-T療法の有効性を改善することができることを示した。本発明者らはまた、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を使用して、培養された免疫細胞の特性を改善することができることを示した。
したがって、一態様では、本発明は、対象における免疫応答を修飾する方法であって、対象に免疫細胞の集団を投与することを含み、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生され、好ましくは、免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、骨髄細胞、マクロファージ、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
ある実施形態では、本方法は、対象におけるT細胞免疫応答、樹状細胞免疫応答、ナチュラルキラー細胞免疫応答、又は骨髄細胞若しくはマクロファージ免疫応答を修飾するためのものである。
更なる態様では、本発明は、対象における免疫応答を修飾するための薬品の調製における免疫細胞の集団の使用であって、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生され、好ましくは、免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、骨髄細胞、マクロファージ、又はそれらの組み合わせである、使用を提供する。
更なる態様では、本発明は、対象における免疫応答の修飾に使用するための免疫細胞の集団であって、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生され、好ましくは、免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、骨髄細胞、マクロファージ、又はそれらの組み合わせである、免疫細胞の集団を提供する。
更なる態様では、本発明は、対象におけるT細胞応答を修飾する方法であって、対象に、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団を投与することを含み、CAR-T細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中でCAR-T細胞を培養することを含む方法を使用して産生される、方法を提供する。
更なる態様では、本発明は、対象におけるT細胞応答を修飾するための薬品の調製におけるキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団の使用であって、CAR-T細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中でCAR-T細胞を培養することを含む方法を使用して産生される、使用を提供する。
更なる態様では、本発明は、対象におけるT細胞応答の修飾に使用するためのキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団であって、CAR-T細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中でCAR-T細胞を培養することを含む方法を使用して産生される、T細胞の集団を提供する。
更なる態様では、本発明は、対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾する方法であって、
a)対象に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を投与することと、
b)ステップa)の少なくとも約18時間後に、対象に、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団を投与することと、を含む、方法を提供する。
更なる態様では、本発明は、対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾するための薬品の調製におけるAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用であって、治療は、
a)対象に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を投与することと、
b)ステップa)の少なくとも約18時間後に、対象に、好ましくは、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団を投与することと、を含む、使用を提供する。
更なる態様では、本発明は、対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答の修飾に使用するための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤であって、
a)対象に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を投与することと、
b)ステップa)の少なくとも約18時間後に、対象に、好ましくは、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団を投与することと、を含む、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を提供する。
ある実施形態では、免疫応答の修飾又はT細胞応答の修飾は、セントラルメモリー細胞(TCM)の濃縮を含む。ある実施形態では、TCM細胞は、CD45RO+ CD62L+ T細胞、好ましくは、CD45RO+ CD62LhiT細胞を含む。
更なる態様では、本発明は、対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾する方法であって、
a)対象に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を投与することと、
b)対象に、樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を含む細胞の集団を投与することと、を含む、方法を提供する。
ある実施形態では、細胞の集団が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の約18時間~約72時間後に投与される。ある実施形態では、細胞の集団が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の約24時間~約72時間後に投与される。ある実施形態では、細胞の集団が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の約24時間~約48時間後に投与される。
本発明者らは、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤が、CAR-T細胞の殺傷活性を低減させ、したがって、サイトカイン放出症候群(CRS)の発生を低減させるために使用されることができることを決定した。したがって、更なる態様では、本発明は、CAR-T細胞療法を受けている対象におけるサイトカイン放出症候群(CRS)を低減させる方法であって、対象に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤並びに/又はCAR-T細胞を投与することを含み、CAR-T細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で培養されている、方法を提供する。
更なる態様では、本発明は、CAR-T細胞療法を受けている対象におけるサイトカイン放出症候群(CRS)を低減させるための薬品の調製におけるAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤並びに/又はCAR-T細胞の使用であって、CAR-T細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地で培養されている、使用を提供する。
更なる態様では、本発明は、CAR-T細胞療法を受けている対象におけるサイトカイン放出症候群(CRS)を低減させるのに使用するためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤並びに/又はCAR-T細胞であって、CAR-T細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地で培養されている、AKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤並びに/又はCAR-T細胞を提供する。
ある実施形態では、キメラ抗原受容体が、CD28z共刺激ドメインを含む。
本発明に使用することができるAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の例としては、トリシリビン(TCN)、トリシリビン5’-モノホスフェート(TCN-P)、AKT阻害剤VIII、MK-2206、AZD5363、GDC-0068、GSK2141795、及びGSK2110183塩酸塩から選択される1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤が、TCN又はTCN-Pである。
ある実施形態では、免疫細胞又はCAR-T細胞が、1kg当たり約20万、1kg当たり約50万、1kg当たり約70万、1kg当たり約100万、1kg当たり約120万、1kg当たり約150万、1kg当たり約170万、1kg当たり約200万、1kg当たり約220万、1kg当たり約250万、1kg当たり約270万、1kg当たり約300万以上の投薬量で投与される。別の実施形態では、免疫細胞又はCAR-T細胞が、1kg当たり約20~50万、1kg当たり約50~70万、1kg当たり約70~100万、1kg当たり約100~120万、1kg当たり約120~150万、1kg当たり約150~170万、1kg当たり約170~200万、1kg当たり約200~220万、1kg当たり約220~250万、1kg当たり約250~270万、又は1kg当たり約270~300万の投薬量で投与される。別の実施形態では、免疫細胞又はCAR-T細胞が、1kg当たり50~200万の投薬量で投与される。
ある実施形態では、対象が、免疫枯渇されている。免疫枯渇を提供する方法の例としては、リンパ枯渇化学療法又は放射線療法が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、対象が、がん、感染症、又は炎症性疾患を有する。
ある実施形態では、感染症が、細菌、真菌、原虫、又はウイルス感染症である。ある実施形態では、感染症が、ウイルス感染症である。ある実施形態では、ウイルス感染症が、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎(HCB)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、水痘帯状疱疹ウイルス、コクサッキーウイルス、又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染症などの慢性ウイルス感染症である。
ある実施形態では、対象が、がんを有する。ある実施形態では、対象が、乳がん又は結腸がんなどの固形腫瘍を有する。
ある実施形態では、対象が、低抗原存在量に関連するがんを有する。ある実施形態では、対象が、
i)低CD33+芽球が優性である急性骨髄性白血病、又は
ii)低レベルのCD19及び/若しくはCD20を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫若しくは非ホジキンリンパ腫を有する。
ある実施形態では、対象が、動物である。ある実施形態では、対象が、哺乳動物である。ある実施形態では、対象が、ヒトである。
対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用であって、対象が、薬品の少なくとも18時間後に、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団とともに投与される、使用も提供される。
対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団の使用であって、対象が、薬品の少なくとも18時間前に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されるか、又は投与されている、使用も提供される。
対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用であって、薬品が、CAR-T細胞である、使用も提供される。
対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用も提供される。
対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を含む、免疫細胞の集団の使用であって、対象が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されているか、又は投与される、使用も提供される。
対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾するための、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団の産生に使用するための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤も提供される。
対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答の修飾に使用するための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤であって、対象が、薬品の少なくとも18時間後に、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団とともに投与される、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤も提供される。
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、チェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-1抗体の投与を更に含む。有利には、本発明のCAR-T細胞、好ましくは、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤で前処置されたCAR-T細胞と組み合わせたチェックポイント阻害剤の投与は、がんを有する対象又はがんを有する疑いのある対象の腫瘍成長及び/又は生存に対する相乗効果を実証する。
したがって、一態様では、対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための方法であって、対象に、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団、及びチェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-1抗体を投与することを含み、好ましくは、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、方法が提供される。好ましくは、免疫細胞は、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、骨髄細胞、マクロファージ、又はそれらの組み合わせである。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤並びにチェックポイント阻害剤で前処置されたCAR-T細胞を、任意選択的に、同時に、又は連続的に投与することを含む。この実施形態では、治療の効果(すなわち、腫瘍成長及び/又は生存)は、各治療の個々の効果と比較して相乗的である。
別の実施形態では、本方法は、CAR-T細胞、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤、並びにチェックポイント阻害剤を、任意選択的に、同時に、又は連続的に投与することを含む。この実施形態では、治療の効果(腫瘍の成長及び/又は生存に対する)は、各治療単独の個々の効果と比較して相乗的である。ある実施形態では、CAR-T細胞は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤で前処置されない。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための方法であって、対象に、チェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-1抗体並びにAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を投与することを含む、方法が提供される。この実施形態では、治療の効果(腫瘍の成長及び/又は生存に対する)は、各治療単独の個々の効果と比較して相乗的である。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための、薬品の調製における、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団、及びチェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-1抗体の使用であって、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、使用が提供される。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための、薬品の調製における、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団の使用であって、対象が、チェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-1抗体とともに投与されているか、又は投与され、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、使用が提供される。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための、薬品の調製における、チェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-1抗体の使用であって、対象が、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団とともに投与されているか、又は投与され、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、使用が提供される。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答の修飾に使用するための、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団、及びチェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-1抗体であって、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、免疫細胞の集団及びチェックポイント阻害剤が提供される。
ある実施形態では、免疫応答又はT細胞免疫応答の修飾は、対象の生存期間を、CAR-T細胞並びに/又はAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤を受けていない対象と比較して増加させる。ある実施形態では、生存期間は、本発明のCAR-T細胞並びに/又はAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤を受けていない対象と比較して、3、6、9、12、24、36、48、60、72、84、96ヶ月又はそれ以上増加する。
ある実施形態では、対象は、がん、感染症、又は炎症性疾患などの疾患又は障害を有すると診断されているか、又は有する疑いがある。ある実施形態では、対象は、結腸がん又は乳がんを有すると診断されているか、又は有する疑いがある。したがって、ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象を、がん、好ましくは結腸がん若しくは乳がん、感染症、又は炎症性疾患などの疾患又は障害を有するか、又は有する疑いがあると診断するステップを含む。
ある実施形態では、本方法又は使用は、任意選択的に、化学療法、放射線療法、手術、骨髄移植、薬物療法、凍結アブレーション、又は高周波アブレーションからなる群から選択される追加の治療剤の投与を更に含み得る。
ある実施形態では、免疫細胞、CAR-T細胞、AKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、並びに/又はチェックポイント阻害剤は、連続的に、又は同時に投与され得る。
本発明者らはまた、CAR-T細胞の製造プロセス中に加えて、AKT阻害剤をアジュバントとして使用することによって、がんに対する治療の有効性が増加し得ることを有利に見出した。
したがって、ある態様では、対象における免疫応答、好ましくはT細胞免疫応答を修飾するための方法であって、対象に、
(i)免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団と、
(ii)AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤と、を投与することを含み、
免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、方法が提供される。
ある実施形態では、本方法は、本発明の免疫細胞を含む細胞集団を産生するステップを更に含む。
ある実施形態では、対象に投与されるAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の用量は、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、又は約3.0mg/kg以上である。別の実施形態では、対象に投与されるAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の用量は、約0.5mg/kg~1.0mg/kg、約1.0mg/kg~1.5mg/kg、約1.5mg/kg~2.0mg/kg、約2.0mg/kg~2.5mg/kg、約2.5mg/kg~3.0mg/kg以上である。好ましくは、対象に投与されるAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の用量は、約2mg/kgである。
ある実施形態では、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤は、対象に、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回以上、静脈内投与される。別の実施形態では、AKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、免疫細胞、又はチェックポイント阻害剤は、連続的に、又は同時に投与され得る。好ましくは、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の第1の用量は、免疫細胞及び/又はチェックポイント阻害剤の投与と同時に投与される。
ある実施形態では、本方法は、脾臓におけるCD4+及び/又はCD8+ CAR-T細胞の増加を提供する。別の実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の存在下で培養されず、かつAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されないT細胞と比較して、より低いパーセンテージの調節(TREG)T細胞を産生する。別の実施形態では、腫瘍TREG細胞は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の存在下で培養されず、かつAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されないT細胞と比較して、約50%低減する。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくはT細胞免疫応答を修飾するための、薬品の調製における、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団、並びにAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用であって、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、使用が提供される。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための、薬品の調製における、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団の使用であって、対象が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されているか、又は投与され、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、使用が提供される。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための、薬品の調製における、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用であって、対象が、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団とともに投与されているか、又は投与され、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、使用が提供される。
別の態様では、対象における免疫応答、好ましくはT細胞免疫応答の修飾に使用するための、免疫細胞、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団、並びにAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤であって、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、免疫細胞の集団並びにAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤が提供される。
対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答の修飾に使用するための、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団であって、対象が、薬品の少なくとも18時間前に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されるか、又は投与されている、免疫細胞の集団も提供される。
対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾するための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤も提供される。
対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾するための、樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を含む、細胞の集団の使用であって、対象が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されているか、又は投与される、使用も提供される。
別の態様では、本発明は、免疫細胞を含む細胞集団を産生する方法であって、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含み、好ましくは、免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、骨髄細胞、又はそれらの組み合わせである、方法を提供する。
ある実施形態では、免疫細胞は、トランスジェニックである。ある実施形態では、免疫細胞は、キメラ抗原受容体を含む。ある実施形態では、免疫細胞は、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)である。
ある実施形態では、本方法は、
a)対象から単離された免疫細胞の集団から、T細胞濃縮細胞集団を産生することと、
b)T細胞濃縮細胞集団を、キメラT細胞受容体をコードするベクターで形質転換することと、
c)AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で、ステップb)で得られた細胞を培養することと、を含む。
ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞は、セントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞を含む。
ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の少なくとも約10%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の少なくとも約15%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の少なくとも約20%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の少なくとも約25%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の少なくとも約25%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の約10%~約60%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の約10%~約50%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の約10%~約40%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCAR-T細胞の約10%~約30%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。
ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の少なくとも約0.8%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の少なくとも約1.5%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の少なくとも約2.5%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の少なくとも約3.5%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の少なくとも約4.5%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の約0.8%~約15%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の約0.8%~約10%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の約0.8%~約5%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。
ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の少なくとも約0.37%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の少なくとも約1%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の少なくとも約2%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の少なくとも約3%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の少なくとも約4%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の少なくとも約5%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の約0.37%~約15%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の約0.37%~約10%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。ある実施形態では、本方法を使用して産生される総リンパ球の約0.37%~約5%は、TCM及び/又はTSCM細胞である。
ある実施形態では、TCM細胞は、CD45RO+CD62L+T細胞、好ましくは、CD45RO+CD62LhiT細胞を含む。
ある実施形態では、TSCM細胞は、CD27CD95T細胞を含む。
ある実施形態では、本方法は、TCM及び/又はTSCM細胞について、培養された細胞を濃縮することを更に含む。そのような細胞を細胞の集団から選択する方法は、抗体ベースの細胞選別を使用するなど、当該技術分野で既知である。
ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも高いパーセンテージのTCM及び/又はTSCMを産生する。
ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少ないパーセンテージの調節(TREG)T細胞を産生する。
ある実施形態では、TREG細胞は、CD3+ CD4+ CD25+ FoxP3+ T細胞である。
ある実施形態では、本方法は、同じ細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養される場合よりも、1つ以上の炎症性サイトカインの発現が少ない細胞の集団を産生する。ある実施形態では、1つ以上の炎症性サイトカインは、TNFα、IFNγ、又は両方である。
ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも高いパーセンテージのナイーブT細胞を産生する。
本発明者らは、本発明の方法を使用して、ウイルス感染症を標的とする改善されたCAR-T細胞を産生することができることを決定した。したがって、ある実施形態では、キメラ抗原受容体は、ウイルス抗原に結合する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるCAR-T細胞の集団よりも高い抗ウイルス活性を有するCAR-T細胞の集団を産生する。
代替の実施形態では、T細胞は、トランスジェニックではなく、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞の集団よりも高い抗ウイルス活性を有する。
別の実施形態では、本方法は、
a)対象から単離された免疫細胞の集団から、樹状細胞濃縮細胞集団を産生することと、
b)ステップa)からの細胞を抗原に曝露することと、
c)AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で細胞を培養することと、を含む。したがって、本発明の方法を使用して、樹状細胞ワクチンを産生することができる。ある実施形態では、抗原は、がん抗原、又はウイルス抗原などの病原体の抗原である。
ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同じ条件下で培養される樹状細胞よりも多くの樹状細胞を産生する。
更なる実施形態では、本方法は、
a)対象から単離された免疫細胞の集団から、ナチュラルキラー細胞(NK)濃縮細胞集団を産生することと、
b)AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で、ステップa)からの細胞を培養することと、を含む。
ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるNK細胞の集団よりも高い細胞傷害活性を有するNK細胞の集団を産生する。
ある実施形態では、NK細胞は、キメラ抗原受容体を含み、本方法は、ナチュラルキラー細胞(NK)濃縮細胞集団を、キメラ抗原受容体をコードするベクターで形質転換することを更に含む。
ある実施形態では、培養培地中のAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の濃度は、約0.5μM~9μM、約1μM~約7μM、約1μM~約5μM、又は約1μM~3μMである。別の実施形態では、培養培地中のAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の濃度は、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、又は約9μMである。
ある実施形態では、細胞は、動物細胞である。ある実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。ある実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。
ある実施形態では、培養細胞、又は免疫細胞を含むその亜集団(目的の特定の細胞種類について更に濃縮されているなど)を対象に投与する。
別の態様では、本発明は、本発明の方法を使用して産生される細胞の集団であって、好ましくは、免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生された、細胞の集団を提供する。
更なる態様では、本発明は、CAR-T細胞を含む細胞集団であって、CAR-T細胞の少なくとも10%が、CD8+ TCM及び/又はTSCM細胞である、細胞集団を提供する。
ある実施形態では、細胞集団は、培養後に選別されないなど、選別されていない。
ある実施形態では、CAR-T細胞の25%未満は、TREGである。
ある実施形態では、免疫細胞集団、好ましくは本発明のキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団、AKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、並びに/又はチェックポイント阻害剤は、医薬組成物の形態で投与される。ある態様では、したがって、本発明の免疫細胞の集団を含む医薬組成物が提供される。
ある実施形態では、医薬組成物は、免疫細胞、好ましくは、本発明のキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団、並びにAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む。ある実施形態では、医薬組成物は、免疫細胞、好ましくは、本発明のキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団及びチェックポイント阻害剤を含む。
本明細書における任意の実施形態は、別段の定めがない限り、任意の他の実施形態に準用されるものとする。
本発明は、例示のみを目的とする本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。機能的に等価な産生物、組成物、及び方法は、本明細書に記載されるように、明らかに本発明の範囲内である。
本明細書全体を通して、別段の定めがない限り、又は文脈上別段の必要がない限り、単一のステップ、物質の組成物、ステップの群、又は物質の組成物の群への言及は、1つ及び複数(すなわち、1つ以上)のそれらのステップ、物質の組成物、ステップの群、又は物質の組成物の群を包含するように解釈されなければならない。
本発明は、以下の非限定的な例によって、及び添付の図面を参照して説明される。
マウスT細胞の生存能力に対する様々なTCN及びTCN-P濃度の影響。 形質導入後のマウスCAR-T細胞の増殖に対する繰り返しTCN曝露の影響。 マウスCD8+ CAR-T細胞におけるセントラルメモリー表現型(CD44+CD62Lhi)に対する繰り返しTCN曝露の影響。 マウスCD8+ CAR-T細胞によるIFNγ及びTNFα産生に対するTCN処置の影響。TCN曝露で前処置されたCAR-T細胞は、2:1及び1:1のエフェクター:標的比(A)で同等のレベルのIFNγを産生する。同様の傾向が、同じエフェクター:標的比でのTNFαの放出で観察された(B)。 腫瘍抗原への曝露の非存在下での、マウスCAR-T細胞における早期活性化マーカーの発現に対する繰り返しTCN曝露の影響。TCN前処置は、マウスCD8+ CAR-T細胞の表面上でPD-1(A)及びCD69(B)の発現を増加させた。 TCNで前処置されたマウスCAR-T細胞は、鈍化した腫瘍抗原指向性細胞傷害(A)を発揮するが、TCN前処置は、CAR-T細胞の継続的な生存に影響を及ぼさない。 CD4及びCD8 T細胞において、CAR-T形質導入効率(Her2PE)は変化しなかった。 CD8+ CAR-T細胞をTCN又はTCN-Pのいずれかで処置したときのセントラルメモリー表現型への移行を示すフローサイトメトリー等高線図。 図8に由来する定量化フローサイトメトリーデータ(24時間)。セントラルメモリーT(TCM)細胞表現型(CD45RO+ CD62L+)は、CD8+ CAR-T細胞において、平均11%(対照、ビヒクル)から17%(TCN、TCN-P)に増加し、エフェクターT(T)細胞の同時低減(8%対5%、n=3)(A)を伴った。TCN/TCN-P処置に対するこの応答のパターンは、3人のドナー全てにわたって保存された(B)。 CAR-T細胞のTCN又はTCN-Pへの短時間の曝露(24時間)は、エフェクターT(T)細胞のセントラルメモリーT(TCM)細胞への持続した移行を少なくとも3日間もたらした。これは、3人全てのPBMCドナーにわたって一貫していた。 図10に由来する定量化フローサイトメトリーデータ(3日)。24時間の処置期間後、セントラルメモリーT(TCM)細胞表現型(CD45RO+ CD62L+)は、CD8+ CAR-T細胞において増加したままであり(9%対16%、対照/ビヒクル対TCN/TCN-P)、これは、エフェクターT(T)細胞の低減(35%対23%、n=3)(A)を伴った。TCN/TCN-P処置に対するこの応答のパターンは、3人のドナー全てにわたって保存された(B)。 TCN/TCN-Pによる前処置は、CCR7+ TCMを平均9%から16%に増加させ、CCR7+ Tの35%から23%への低減を伴った。 TCN又はTCN-Pによる前処置は、処置後24時間で、CD4 TCM(CD45RO+ CD62L+)にいかなる影響も及ぼさなかった。 TCN/TCN-Pによる前処置が、CD4+ TCM又はCD4+ Tに影響を与えなかった、図14に由来する定量化フローサイトメトリーデータ(24時間)。 TCN/TCN-Pによる前処置は、処置後24時間で、CD4 TCM(CD45RO+ CD62L+)にいかなる影響も及ぼさなかった。 TCN/TCN-Pによる前処置が、CD4+ TCM又はCD4+ Tに影響を与えなかった、図15に由来する定量化フローサイトメトリーデータ(3日間)。 TCN前処置は、CAR-T細胞における調節T(TREG)細胞亜集団(CD4+CD25+FoxP3+)を低減した。 CAR-T細胞機能に対するTCN又はTCN-P前処置のインビボ効果を測定するためのプロトコルの概要。 CAR-T製造中のTCN-P前処置は、セントラルメモリーT細胞の濃縮をもたらす。200,000個の腫瘍細胞が乳房脂肪パットに同所移植され、2000万個のCAR-T細胞が6日後に尾静脈注射を介して投与された、E0771-hHer2乳がんモデルの例示的な表現。腫瘍が>120mmであったとき、又は他の人道的エンドポイントに到達したときに、動物を人道的に殺処分した(A)。TCN-P事前条件付けが、製造プロセス中にCD4:CD8 T細胞比に影響を与えなかった(B、上部パネル)が、CD44+ CD62L+ セントラルメモリーCD8+ T細胞に対する優先的な濃縮をもたらした(B、下部パネル)ことを示す代表的なフローサイトメトリー等高線図。動物は、同じ割合のCD4:CD8 T CAR+細胞を受けた(C)。未処置のCAR-T細胞の投与は、腫瘍体積を低減させ、動物の生存期間を2日間延長したが、腫瘍制御は、TCN-P事前条件付けされたCAR-T細胞によって最も有意に低減した。生存期間も14日間増加した(D)。これは、生存の確率の有意な改善につながった(E、p=0.0012)。 腫瘍成長の低減は、CAR-T投与後の持続したセントラルメモリー表現型に対応した。動物の別個のコホートを同じ乳房腫瘍モデルに供し、全ての動物をCAR-T処置後8日目に犠牲にし、腫瘍測定を2~3日ごとに行った(A)。代表的なフローサイトメトリー分析は、TCN-Pによる事前条件付けが、セントラルメモリー表現型(下部パネル)を持続させながら、CD8+ T細胞(B、上部パネル)と比較して循環CD4+ T細胞の割合を増加させ、CD8+ CAR-T細胞(中央パネル)を低減させることができることを示した。腫瘍内CD4+及びCD8+ T細胞は有意に変化しなかった(C)、しかしながら、より多くの数の脾臓内CD4+ T細胞が、事前条件付けされた群で観察された(D)。腫瘍対照の変化は、IFN-ガンマ及びTNF-アルファ産生の有意な変化とは関連しなかった(E)。 循環T細胞に対するTCN-P事前条件付けの影響。事前条件付けは、CD4+又はCD8+ T細胞数に有意な影響を与えなかった(A~B)。CD8+ CAR-T細胞に有意な変化は観察されなかった(C)が、CD4+ CAR-Tの数は、事前条件付けされたCAR-T細胞を受けた動物において有意により高かった(D、p=0.0009)。CD8+及びCD4+セントラルメモリーT細胞のパーセンテージは、事前条件付けされたCAR-T細胞を受けた動物においてより高かった(E~F、p<0.0001)。これは、CD8+(G、p<0.0001)及びCD4+(H、p=0.0029)エフェクターメモリーT細胞の低減と同時であった。 腫瘍内及び脾内T細胞に対するTCN-P事前条件付けの影響。CD4+及びCD8+セントラルメモリーT細胞の腫瘍内パーセンテージ及び脾内パーセンテージに有意な変化は観察されなかった(A、C)。CD101+CD8+ T細胞の腫瘍内パーセンテージに変化は観察されなかったが(B)、CD101+CD8+ T細胞の脾内レベルは、事前条件付けされた群においてより低く、事前条件付けが、CD8+ T細胞における枯渇に対する保護効果を付与したことを示唆した(D)。 PD-1チェックポイント阻害薬と組み合わせたTCN-P事前条件付けされたCAR-T細胞は、固形腫瘍に対する抗腫瘍有効性を改善する。A)Her2+トランスジェニックマウスに2.5e5E0771-hHer2を接種した。マウスを、腫瘍接種の5日後に、20mmの平均腫瘍サイズを有するように無作為に割り付けた。それらは、未処置のままに放置したか、又は以下の療法で処置した:抗PD-1(aPD1)、CAR-T細胞(CAR-T細胞+2A3)、抗PD-1を有するCAR-T細胞(CAR-T+aPD1)、TCN-P事前条件付けされたCAR-T細胞(PTX-2+2A3)、及び抗PD-1チェックポイント阻害薬と組み合わせたTCN-P事前条件付けされたCAR-T細胞(PTX-2+aPD1)。腫瘍成長を2~3日ごとに測定した(mm)。各処置群は、6匹のマウスからなる。B)これらの処置におけるマウスの生存曲線。 CAR-TのネオアジュバントとしてのTCN及びTCN-Pのインビボ有効性を測定するためのプロトコルの概要。 TCN-Pのアジュバント効力。Her2+トランスジェニックマウスに2.5e5MC-38-hHer2を接種した。マウスを、腫瘍接種の5日後に、20mm2の平均腫瘍サイズを有するように無作為に割り付けた。処置として、3~4日ごとに、5、25又は50mg/KgでDMSO(ビヒクル対照)又はTCN-Pのいずれかを腹腔内注射した。腫瘍成長を2~3日ごとに測定した(mm)。各処置群は、6匹のマウスからなる。TCN-Pは、投薬量依存性の抗腫瘍効果を有する。 TCN-Pは、固形腫瘍に対するCAR-T細胞療法の有効性を増強する。A)Her2+トランスジェニックマウスに2.5e5MC-38-hHer2を接種した。それらを、腫瘍接種の5日後に、20mmの平均腫瘍サイズを有するように無作為に割り付けた。それらを、未処置のまま放置したか、又は3~4日ごとにTCN-P(25mg/Kg)を腹腔内注射、20e6抗ヒトHer2 CAR-T細胞を静脈内注射、及び20×10抗ヒトHer2 CAR-T細胞と25mg/KgのTCN-Pとを静脈内注射(3~4日ごとに注射)の併用処置を含む処置レジメンの対象とした。腫瘍成長を2~3日ごとに測定する(mm)。各処置群は、6匹のマウスからなる。B)個々のマウスの腫瘍成長(N=6/処置群)。C)TCN-Pは、固形MC-38-hHer2腫瘍を保有するマウスの生存を向上させる。CAR-T細胞とTCN-P(25mg/Kg)の併用療法を受けた腫瘍保有マウスは、CAR-T細胞のみでの処置と比較して、生存期間中央値が6日間増加したことを示した。 CAR-T治療のためのアジュバントとしてのTCN-P。CAR-T治療及び3日ごとのアジュバントTCN-P同時投与の開始の約6日前に、250,000個のMC-38腫瘍細胞を皮下移植するMC-38結腸がんモデルの例示的な表現(A)。暫定データは、TCN-Pアジュバント療法が、CAR-T指向性腫瘍低減を有意に改善した(*p<0.05)が、最も有効なレジメンは、TCN-Pアジュバント及びTCN-P事前条件付けされたCAR-T細胞の併用であったことを示す。 A)TCN-P前処置及びTCN-Pアジュバント療法の併用は、処置後14日目までに、脾臓におけるCD4+及びCD8+ CAR T細胞の有意な蓄積及び/又は拡大をもたらした(p<0.0001)。B)TCN-Pの投与により、腫瘍内Tregが50%低減した。
一般的な技法及び定義
別途具体的に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有すると解釈されるものとする(例えば、細胞培養、分子遺伝学、CAR-T技術、免疫学、及び生化学)。
別段の指示がない限り、本発明で利用される組換えタンパク質、細胞培養、及び免疫学的技術は、当業者に周知の標準的な手順である。そのような技術は、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984)、J.Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989)、T.A.Brown(編集者),Essential Molecular Biology: A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991)、D.M.Glover and B.D.Hames(編集者),DNA Cloning: A Practical Approach,Volumes 1-4,IRL Press(1995 and 1996)、並びにF.M.Ausubel et al.(編集者),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988,現在までの全ての改訂を含む)、Ed Harlow and David Lane(編集者)Antibodies: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory,(1988)、及びJ.E.Coligan et al.(編集者)Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(現在までの全ての改訂を含む)などの情報源の文献全体で記載及び説明されている。
「及び/又は」、例えば、「X及び/又はY」という用語は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解され、両方の意味又はいずれかの意味を明示的にサポートするように解釈されるものとする。
本明細書で使用される場合、反対に述べられない限り、約という用語は、指定された値の+/-10%、より好ましくは+/-5%を指す。
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という単語、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を含めることを暗示するが、任意の他の要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を除外することを暗示しないことが理解される。
本出願で使用される場合、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図される。すなわち、特に指定されない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを採用する」は、自然な包括的順列のいずれかを意味することが意図される。すなわち、XがAを採用する、XがBを採用する、又はXがA及びBの両方を採用する場合、「XがA又はBを採用する」は、前述の例のいずれかの下で満たされる。更に、A及びBのうちの少なくとも1つ、並びに/又は同様のものは、一般に、A若しくはBを意味するか、又はA及びBの両方を意味する。加えて、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される「a」及び「an」という冠詞は、特に指定されない限り、又は単数形を指すことが文脈から明確でない限り、一般に「1つ以上」を意味すると解釈され得る。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、任意の動物であり得る。一実施形態では、動物は、脊椎動物である。例えば、動物は、哺乳動物、鳥類、脊索動物、両生類、又は爬虫類であり得る。例示的な対象には、ヒト、霊長類、家畜(例えば、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、ウマ、ロバ、ブタ)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター)、捕獲野生動物(例えば、キツネ、シカ)が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。ある実施形態では、本発明の方法は、獣医使用のためのものである。
対象の「治療」又は「治療すること」という用語は、疾患若しくは状態、疾患若しくは状態の症状、又は疾患若しくは状態のリスク(若しくは感受性)を遅延させる、減速させる、安定化させる、治す、治癒する、緩和する(alleviating)、緩和する(relieving)、変更する、是正する、悪化を軽減させる、改善する、向上させる、又は影響を与えることを目的として、本発明の免疫細胞の集団、又はその組成物を適用又は投与することを含む。「治療すること」という用語は、軽減、寛解、悪化の速度の減少、疾患の重症度の減少、安定化、症状の減少、又は傷害、病理学的状態若しくは状態を対象に対してより許容可能にすること、変性若しくは減少の速度の遅延、変性の最終点を衰弱しにくくすること、又は対象の身体的若しくは精神的幸福を向上させることなどの任意の客観的若しくは主観的パラメータを含む、傷害、病理学的状態、又は状態の治療又は改善の成功の任意の徴候を指す。
本明細書で使用される場合、「予防すること」又は「予防」は、疾患又は障害を獲得するリスク(又は疾患若しくは障害に対する感受性)の可能性の少なくとも低減(すなわち、疾患に曝露され得るか、又は疾患の素因となり得るが、疾患の症状をまだ経験していないか、又は表示していない患者において、疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つを発症させないこと)を指すことを意図している。そのような患者を同定するための生物学的及び生理学的パラメータが本明細書に提供され、医師によっても周知である。例えば、乳がんを有することが疑われる対象の場合、対象は、がんの家族歴を有し得、がんを引き起こす可能性が高いが、疾患の明らかな症状を示さない突然変異を有すると同定されている。この場合、本発明の免疫細胞又はその組成物は、対象における疾患(例えば、乳がん)に関連する1つ以上の症状の発現を予防するのに有用性を有すると企図される。
本明細書で使用される場合、「サイトカイン放出症候群」(CRS)は、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法、治療用抗体、及びハプロ同一同種移植と関連している、発熱及び多臓器機能障害を特徴とする急性全身性炎症症候群を指す。
本明細書で使用される場合、「濃縮された集団」又はその変形は、対象から単離された末梢血単核細胞(PBMC)集団などの、細胞の開始集団からいくつかの種類の細胞を除去するか、又は少なくともその表現を低減させるように処理された細胞の集団を指す。特定の細胞型を正又は負に選択する方法は、濃縮又は除去される特定の細胞型の細胞表面タンパク質に選択的に結合する抗体を含む磁気ビーズを使用するなど、当該技術分野で周知である。ある実施形態では、出発細胞集団(PBMCなど)と比較した場合、集団が濃縮されている細胞型は、出発集団と比較して、濃縮された集団において、例えば、1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、又は50倍以上の表現を有する。
本明細書で使用される場合、「同一の条件」という用語は、同じ細胞集団が、亜集団のうちの1つに対する阻害剤の存在とは別に、全く同じ培養手順に曝露されたときに、例えば、2つの同一の亜集団に分割することを意味する相対的な用語である。
本明細書で使用される「併用療法」、「併用投与」、又は「同時投与」などの用語は、選択された治療剤の単一の対象への投与を包含することを意味し、薬剤が、同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同じ若しくは異なる時間に投与される治療レジメンを含むことを意図している。
阻害剤
本明細書で使用される場合、「PHドメインタンパク質」という用語は、PHドメインを含むタンパク質を指す。プレクストリン相同ドメイン(PHドメイン)又は(PHIP)は、細胞内シグナル伝達に関与する、又は細胞骨格の構成要素としての多数のタンパク質に存在する、約100~120個のアミノ酸のタンパク質ドメインである。全て、N末端プレクストリンPHドメインのNMR構造において最初に観察された同じβ-サンドイッチ折り畳み構造を共有する。タンパク質のアミノ末端半分は、β3/β4ループ内の追加の短いαヘリックス(βスペクトリンPHドメインに特異的)を伴って、4本鎖βシートを形成する。タンパク質のもう一つの半分は、第1のシートにほぼ直交するβシート蛇行(β5~β7鎖)を形成する。2枚のシートは、ドメインの疎水性コアで満たされている「サンドイッチ」を形成する。一実施形態では、PHドメインタンパク質は、小Gタンパク質である。別の実施形態では、PHドメインタンパク質は、セリン/トレオニン特異的タンパク質キナーゼである。別の実施形態では、PHドメインタンパク質は、オキシステロール結合タンパク質(OSBP)である。別の実施形態では、PHドメインタンパク質は、Gタンパク質受容体キナーゼである。本発明の方法を使用して阻害され得るPHドメインタンパク質の例には、オキシステロール結合タンパク質1、オキシステロール結合タンパク質2、スペクトリンベータ鎖、非赤血球1、Rho GTPase活性化タンパク質27、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)、AKT、又はそれらの1つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明に有用なPHドメインタンパク質の阻害剤の例としては、D-3-デオキシ-ミオ-イノシトール、例えばD-3-デオキシ-ホスファチジル-ミオ-イノシトール1-[(R)-2-メトキシ-3-オクタデシルオキシプロピルリン酸水素](DPIEL、PX-316)などのホスファチジルイノシトールエーテル脂質類似体(PIA);エデルホシン、ミルテホシン、及びペリホシンなどのアルキルリン脂質(APL);Ins(1,3,4,5,6)ペンタキスリン酸(IP5)、Ins(1,4,5,6)テトラキスリン酸(IP4)、フィチン酸(IP6)、2-O-ベンジー-myo-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタキスリン酸(2-O-Bn-InsP)、ジホスホイノシトールペンタキスリン酸(5-PP-IP5)などのイノシトールリン酸(IP);イノシトールリン酸-6-キナーゼ1(IP6K1);ジアゾ-スルホ-アミド阻害剤、例えばNSC348900(PH-316)及び4-ドデシル-N-(1,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゼンスルホンアミド(例えばPH-427)などのスルホンアミド;トリシリビン(三環式ジヌクレオシド、NSC154020、TCN、AKT/PKBシグナル伝達阻害剤-2、API-2)、トリシリビンホスフェート(NSC280594;トリシリビン5’-モノホスフェート;TCN-P)、API-1(NSC177223-ピリド[2,3-d]ピリミジン)などのプリン/ピリミジン類似体;Trp80(例えば、MK-2206、SC66)、チルカリ酸、PITenin(PIT)、ペプチド模倣物(例えば、NH2-AVTDHPDRLWAWEKF-COOHなどのAKT-in)、1,2,3-トリアゾール-4-イルメタノールベースのアンタゴニストを介してPHドメイン内でのみ相互作用するアロステリック化合物などの他の阻害剤、並びにそれらの塩、エステル、類似体、変異体、及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、PHドメインタンパク質阻害剤は、トリシリビン(TCN)又はトリシリビン5’-モノホスフェート(TCN-P)である。
タンパク質キナーゼB(PKB)としても知られるAKTは、グルコース代謝、アポトーシス、細胞増殖、転写、及び細胞移動などの複数の細胞プロセスにおいて重要な役割を果たすセリン/トレオニン特異的タンパク質キナーゼである。AKT1は、PI3K/AKT/mTOR経路及び他のシグナル伝達経路に関与する。本発明で使用するためのAKT阻害剤の例としては、MK-2206 2HCl(8-[4-(1-アミノシクロブチル)フェニル]-9-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[3,4]-f][1,6]ナフト-ヒリジン-3(2H)-オン二塩酸塩);ペリホシン(1,1-ジメチル-4[(オクタデシルオキシ)ヒドロキシホスフィニル]オキシ]-ピペリジニウム内部塩、KRX-0401);GSK690693(4-[2-(4-アミノ-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル)-1-エチル-7-[[(3S)-ピペリジン-3-イル]メトキシ]イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-イル]-2-メチルブト-3-イン-2--オール);イパタセルチブ((2S)-2-(4-クロロフェニル)-1-{4-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H--シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]-1-ピペラジニル}-3-(イソプロピルアミノ)-1-プロパノン-、GDC-0068);AZD5363(4-アミノ-N-[(1S)-1-(4-クロロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-1-(7H-ピロロ[2,3-d]-ピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボキサミド);PF-04691502(2-アミノ-8-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン);AT7867(4-(4-クロロフェニル)-4-[4-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]ピペリジン);トリシリビン(5-メチル-1-(β-D-リボフラノシル)-1,5-ジヒドロ-1,4,5,6,8-ペンタアザアセナフチレン-3-アミン);トリシリビン5’-モノホスフェート;CCT128930(4-(4-クロロベンジル)-1-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-4-ピペリジンアミン)-;A-674563((2S)-1-[5-(3-メチル-2H-インダゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]オキシ-3-フェニルプロパン-2-アミン);PHT-427(4-ドデシル-N-(1,3,4-チアジアゾール-2-イル)ベンゼンスルホンアミド);AKTi-1/2(3-[1-[[4-(7-フェニル-3H-イミダゾ[4,5-g]キノキサリン-6-イル)フェニル]メチル]ピペリジン-4-イル]-1H-ベンズイミダゾール-2-オン);アフレセルチブ(GSK2110183、N-[(2S)-1-アミノ-3-(3-フルオロフェニル)プロパン-2-イル]-5-クロロ-4-(4-クロロ-2-メチルピラゾール-3-イル))チオフェン-2-カルボキサミド);AT13148((1S)-2-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-1-[4-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]エタノール);[0189]ミルテホシン(ヘキサデシル2-(トリメチルアザニウムミル)エチルホスフェート);ホノキオール(2-(4-ヒドロキシ-3-プロパ-2-エニルフェニル)-4-プロパ-2-エニルフェノール);TIC10類似体(2,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-10-[(2-メチルフェニル)メチル]-7-(フェニルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリド[4,3-d]ピリミジン-5(3H)-オン);AKT阻害剤VIII(1,3-ジヒドロ-1-(1-((4-(6-フェニル-1H-イミダゾ[4,5-g]キノキサリン-7-イル)フェニル)メチル)-4-ピペリジニル)-2H-ベンズイミダゾール-2-オン);ウプロセルチブ(GSK2141795);TIC10(2,4,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-4-[(2-メチルフェニル)メチル]-7-(フェニルメチル)-イミダズ-オ[1,2-a]ピリド[3,4-e]ピリミジン-5(1H)-オン);カピバセルチブ(AZD5363)及びMS-222(エチル-3-アミノ安息香酸メタンスルホン酸塩)、並びにそれらの塩、エステル、類似体、変異体、及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、AKT阻害剤は、トリシリビン、トリシリビン5’-モノホスフェート、AKT阻害剤VIII、MK-2206、AZD5363、GDC-0068、GSK2141795、及びGSK2110183塩酸塩、並びにそれらの塩、エステル、類似体、変異体、及び誘導体である。ある実施形態では、AKT阻害剤は、トリシリビン(TCN)又はトリシリビン5’-モノホスフェート(TCN-P)である。
AKT及び/又はPHドメインタンパク質の活性の阻害は、100%未満、例えば、約10%~約95%、例えば、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は活性の別のパーセント阻害、例えば、約10%~約95%であり得る。阻害剤は、例えば、小分子、ペプチド、タンパク質(抗体など)、核酸、又はそれらの組み合わせであり得る。
免疫細胞
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という語句は、抗原の認識時に免疫応答に影響を及ぼすか、又は免疫応答を誘導することができる細胞を指す。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、骨髄細胞、又は樹状細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。細胞は、それらが投与される対象に対して自己又は同種であり得る。ある実施形態では、本発明は、CAR-T細胞などのCAR発現細胞の集団を提供する。
本明細書で使用される場合、「免疫応答を修飾する」又は「T細胞免疫応答を修飾する」という語句は、抗原の認識時に免疫応答を誘導又は増加させる免疫細胞又はT細胞の能力を指す。免疫応答又はT細胞応答のそのような修飾は、本明細書に記載されるがん、感染症、又は炎症性疾患の治療に十分であると理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、「細胞傷害性活性」という語句は、NK細胞などの免疫細胞が生細胞を破壊する能力を指す。
本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、当該技術分野におけるその通常の意味を有し、体液性免疫及び細胞性免疫の両方を含む。免疫応答は、抗抗原抗体の発症、抗原特異的T細胞の拡大、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の増加、抗腫瘍又は抗腫瘍抗原遅延型過敏症(DTH)応答の発症、病原体のクリアランス、病原体及び/又は腫瘍の成長及び/又は広がりの抑制、腫瘍低減、転移の低減又は排除、再発までの時間の増加、病原体又は腫瘍を含まない生存期間の増加、並びに生存時間の増加のうちの1つ以上として現れることができる。免疫応答は、B細胞活性化、T細胞活性化、ナチュラルキラー細胞活性化、抗原提示細胞(例えば、B細胞、DC、単球、及び/又はマクロファージ)の活性化、サイトカイン産生、ケモカイン産生、特異的細胞表面マーカー発現、特に共刺激分子の発現のうちの1つ以上によって媒介され得る。免疫応答は、体液性、細胞性、Th1若しくはTh2応答、又はそれらの組み合わせを特徴とし得る。ある実施形態では、免疫応答は、自然免疫応答である。
T細胞
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、例えば、CAR-T細胞である。T細胞又はTリンパ球は、細胞媒介性免疫において中心的な役割を果たすリンパ球の一種である。それらは、細胞表面にT細胞受容体(TCR)が存在することによって、B細胞及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの他のリンパ球と区別することができる。T細胞にはいくつかのサブセットがあり、各々が異なる機能を有する。
ある実施形態では、T細胞は、セントラルメモリー(TCM)T細胞であるか、又はそれを含む。TCM細胞は、リンパ節を巡回し、既知の病原体に対するセントラル免疫サーベイランスを提供するが、一次組織免疫サーベイランスを行うものとして説明されていない。ある実施形態では、本発明の方法を使用して産生されるTCM細胞は、CD45RO+ CD62L+ T細胞、好ましくはCD45RO+ CD62LhiT細胞を含む。そのような細胞はまた、CCR7+であり得る。
ある実施形態では、T細胞は、セントラルメモリー幹細胞(TSCM)T細胞であるか、又はそれを含む。TSCM細胞は、幹細胞様の自己再生能力、並びにメモリー及びエフェクターサブセットの全スペクトルを再構成する多能性能力を備えた、メモリーリンパ球のまれなサブセットである。ある実施形態では、TSCM細胞は、CD27CD95T細胞を含む。
ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも高いパーセンテージのTCM及び/又はTSCMを産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約25%多いセントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約50%多いセントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約75%多いセントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも、約25%~約90%多くのセントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞を産生する。
本明細書で使用される場合、調節T細胞(TREG)又はその変形は、免疫寛容の維持に重要であるT細胞の集団を指す。それらの主な役割は、免疫反応の終わりに向かってT細胞媒介免疫をシャットダウンし、胸腺内の負の選択のプロセスを逃れた自己反応性T細胞を抑制することである。CD4+ TREG細胞の2つの主要なクラス-Foxp3+及びFoxp3-が記載されている。
ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少ないパーセンテージの調節(TREG)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約5%少ない調節(TREG)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約10%少ない調節(TREG)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約15%少ない調節(TREG)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約20%少ない調節(TREG)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約25%少ない調節(TREG)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも約5%~約30%少ない調節(TREG)T細胞を産生する。ある実施形態では、本方法は、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも約5%~約25%少ない調節(TREG)T細胞を産生する。ある実施形態では、TREG細胞は、CD25+ FoxP3+ T細胞である。
本明細書で使用される場合、「ナイーブT細胞」という用語は、成熟し、胸腺によって放出されたが、対応する抗原にまだ遭遇していないT細胞の集団を指す。言い換えれば、ナイーブT細胞は、成熟と活性化との間の段階にある。ナイーブT細胞は、L-セレクチン(CD62L)及びC-Cケモカイン受容体7型(CCR7)の表面発現、活性化マーカーCD25、CD44、又はCD69の非存在、及びメモリーCD45ROアイソフォームの非存在を一般に特徴としている。それらはまた、サブユニットIL-7受容体-α、CD127、及びコモン-γ鎖、CD132からなる機能的IL-7受容体を発現する。
機能的内因性T細胞受容体(TCR)を欠くT細胞は、例えば、その表面上にいかなる機能的TCRも発現しないように操作されてもよく、機能的TCRを含む1つ以上のサブユニットを発現しないように操作されてもよく、又はその表面上にほとんど機能的TCRを産生しないように操作されてもよい。代替的に、T細胞は、例えば、TCRのサブユニットのうちの1つ以上の変異形態又は切断形態の発現によって、実質的に障害のあるTCRを発現することができる。「実質的に障害のあるTCR」という用語は、このTCRが、宿主において有害な免疫反応を誘発しないことを意味する。
本明細書に記載のT細胞は、例えば、その表面に機能的HLAを発現しないように操作されることができる。例えば、本明細書に記載のT細胞は、T細胞表面発現HLA、例えば、HLAクラス1及び/又はHLAクラスIIが下方調節されるように操作されることができる。いくつかの実施形態では、T細胞は、機能的TCR及び機能的HLA、例えば、HLAクラスI及び/又はHLAクラスIIを欠くことができる。
機能的TCR及び/又はHLAの発現を欠く修飾されたT細胞は、TCR又はHLAの1つ以上のサブユニットのノックアウト又はノックダウンを含む任意の好適な手段によって得ることができる。例えば、T細胞は、siRNA、shRNA、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、又はジンクフィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用したTCR及び/又はHLAのノックダウンを含むことができる。
ナチュラルキラー細胞
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞である。ナチュラルキラー(NK)細胞は、感染した細胞及び形質転換された細胞を殺傷することができるCD56 CD3大顆粒リンパ球であり、先天性免疫系の重要な細胞サブセットを構成する。細胞傷害性CD8+ Tリンパ球とは異なり、NK細胞は、事前の感作を必要とせずに腫瘍細胞に対する細胞傷害を発揮し、MHC-I-陰性細胞を根絶することもできる。ある実施形態では、NK細胞は、CD3-CD56+ CD7+CD127-NKp46+T-bet+Eomes+である。ある実施形態では、細胞傷害性NK細胞CD56dim CD16+。
樹状細胞
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、樹状細胞である。樹状細胞は、CD34+幹細胞から骨髄に起源し、主要組織適合性複合体(MHC)クラスII分子を発現する、特化された抗原提示細胞の異質の群である。成熟樹状細胞は、T細胞及びNK細胞などのエフェクター免疫細胞をプライミング、活性化、及び拡大することができる。樹状細胞療法は、当該分野で既知である(例えば、Sabado et al.,2017を参照されたい)。簡潔に述べると、樹状細胞は、患者から単離されてもよく、疾患特異的抗原、例えば、がん特異的抗原に曝露されてもよく、又はCAR若しくは疾患特異的抗原を発現するように遺伝子改変されてもよく、次いで、患者に戻して注入されて、エフェクター免疫細胞、例えば、T細胞をプライミング、活性化、及び拡大する。
骨髄細胞
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、骨髄細胞である。顆粒球、単球、マクロファージ、及び樹状細胞は、集合的に骨髄細胞と呼ばれる白血球のサブグループを表す。それらは、血液及びリンパ系を通して循環し、様々なケモカイン受容体を介して、組織損傷及び感染の部位に迅速に動員される。組織内で、それらは、貪食及び炎症性サイトカインの分泌のために活性化され、それによって保護免疫において主要な役割を果たす。骨髄細胞療法は、当技術分野で既知であり、がん、感染症、又は疾患の治療に有用であり得る。例えば、骨髄細胞は、腫瘍間質に豊富であることが知られており、これらの細胞の存在は、多くのがん型において患者の転帰に影響を及ぼし得る。簡潔に述べると、骨髄細胞は、患者から単離されてもよく、疾患特異的抗原、例えば、がん特異的抗原に曝露されてもよく、又はCAR若しくは疾患特異的抗原を発現するように遺伝子改変されてもよく、次いで、患者に戻して注入されて、エフェクター免疫細胞、例えば、T細胞をプライミング、活性化、及び拡大する。
マクロファージ
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、マクロファージである。マクロファージは、組織マクロファージ、抗原提示樹状細胞、及び骨再吸収破骨細胞に分化する骨髄由来の単球前駆細胞から生じる骨髄系細胞である。マクロファージ細胞療法は、当技術分野で既知であり、がん、感染症、又は疾患の治療に有用であり得る。簡潔に述べると、マクロファージは、患者から単離されてもよく、疾患特異的抗原、例えば、がん特異的抗原に曝露されてもよく、又はCAR若しくは疾患特異的抗原を発現するように遺伝子改変されてもよく、次いで、患者に戻して注入されて、エフェクター免疫細胞、例えば、T細胞をプライミング、活性化、及び拡大する。
キメラ抗原受容体
「キメラ抗原受容体」又は代替的に「CAR」という用語は、ポリペプチド又はポリペプチドのセットを指し、これは、免疫細胞内にあるとき、標的T細胞、例えば、がん細胞に対する特異性、及び細胞内シグナル生成を、細胞に提供する。
CARを使用して、選択された標的に特異的なT細胞、樹状細胞、又はナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫細胞を生成することができる。CARを生成するための好適な構築物は、US5,843,728、US5,851,828、US5,912,170、US6,004,811、US6,284,240、US6,392,013、US6,410,014、US6,753,162、US8,211,422、及びWO9215322に記載されている。代替的なCAR構築物は、連続した世代に属するものとして特徴付けることができる。第一世代CARは、典型的には、抗原に特異的な抗体の一本鎖可変断片からなり、例えば、柔軟なリンカー、例えば、CD8aヒンジドメイン及びCD8a膜貫通ドメインによって、CD3C又はFcRy又はscFv-FcRyのいずれかの膜貫通及び細胞内シグナル伝達ドメインに連結された、特定の抗体のVHに連結されたVLを含む(例えば、US7,741,465、US5,912,172、及びUS5,906,936を参照されたい)。第二世代CARは、エンドドメイン内のCD28、CD28z、OX40(CD134)、又は4-1BB(CD137)などの1つ以上の共刺激分子の細胞内ドメイン、例えば、scFv-CD28/OX40/4BB-CD3(例えば、US8,911,993、US8,916,381、US8,975,071、US9,101,584、US9,102,760、US9,102,761を参照されたい)を組み込む。第三世代CARは、CD3C鎖、CD97、GDI la-CD18、CD2、ICOS、CD27、CD154、CDS、OX40、4-1BB、又はCD28シグナル伝達ドメインなどの共刺激エンドドメイン、例えば、scFv-CD28-4BB-CD3C又はscFv-CD28-OX40-CD3Qの組み合わせを含む(例えば、US8,906,682、US8,399,645、US5,686,281、WO2014/134165、及びWO2012/079000を参照されたい)。いくつかの実施形態では、共刺激は、共刺激とともに、例えば、プロフェッショナル抗原提示細胞上の抗原との相互作用に続いて、活性化及び拡大されるように選択される抗原特異的T細胞においてCARを発現することによって調整されることができる。例えば、T細胞攻撃の標的化を改善し、かつ/又は副作用を最小限に抑えるために、追加の操作された受容体を免疫細胞に提供することができる。
CAR発現細胞を調製する方法
細胞の供給源
拡大、及び可能な遺伝子改変又は他の修飾の前に、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、又はそれらの組み合わせなどの免疫細胞を含むか、又はそれらからなる細胞集団を、対象から得ることができる。免疫細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位の組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍などのいくつかの供給源から得ることができる。
本開示のある特定の実施形態では、免疫細胞、例えば、T細胞は、Ficoll(商標)分離などの当業者に知られている任意の数の技法を使用して、対象から収集された血液の単位から得ることができる。好ましい一実施形態では、個体の循環血液からの細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス産物は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、樹状細胞、他の有核白血球、赤血球、及び血小板を含む、リンパ球を含有する。一実施形態では、アフェレーシスによって回収された細胞は、血漿画分を除去するために、かつ任意選択的に、後続の処理ステップのために細胞を適切な緩衝液又は培地に配置するために、洗浄され得る。一実施形態では、細胞は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。代替の実施形態では、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、マグネシウムを欠き得るか、又は全てではないが多くの二価カチオンを欠き得る。
カルシウムの非存在下での最初の活性化ステップは、増幅された活性化につながる可能性がある。当業者であれば容易に理解されるように、洗浄ステップは、製造元の指示に従い、半自動「フロースルー」遠心分離器(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ、Baxter CytoMate、又はHaemonetics Cell Saver 5)を使用することによるなど、当業者に既知の方法によって達成され得る。洗浄後、細胞は、例えば、無Ca、無Mg PBS、PlasmaLyte A、又は緩衝液の有無にかかわらず他の生理食塩溶液などの様々な生体適合性緩衝液に再懸濁され得る。代替的に、アフェレーシス試料の望ましくない成分を除去し、細胞を培養培地中に直接再懸濁し得る。
本出願の方法は、5%以下、例えば2%のヒトAB血清を含む培養培地条件を利用することができ、公知の培養培地条件及び組成物、例えば、Smith et al.(2015)に記載されるものを採用することができることが認識される。
一実施形態では、T細胞は、例えば、PERCOLL(商標)勾配による遠心分離又は対向流遠心溶出法によって、赤血球を溶解し、単球を枯渇させることによって、末梢血リンパ球から単離される。
本明細書に記載の方法は、例えば、T調節細胞枯渇集団である免疫細胞、例えば、T細胞の特定の亜集団の選択を含むことができる。例えば、CD25+の枯渇した細胞集団は、例えば、本明細書に記載の負の選択技術を使用して得ることができる。好ましくは、T調節枯渇細胞の集団は、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満のCD25+細胞を含有する。しかしながら、本明細書で考察されるように、本発明の方法で使用されるAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤のみで、培養中にTREG細胞を低減させることができる。
一実施形態では、T調節(TREG)細胞、例えば、CD25+ T細胞は、抗CD25抗体若しくはその断片、又はCD25結合リガンド、IL-2を使用して集団から除去される。一実施形態では、抗CD25抗体若しくはその断片、又はCD25結合リガンドは、基質、例えばビーズにコンジュゲートされるか、又はそれ以外の場合、基質、例えばビーズ上にコーティングされる。一実施形態では、抗CD25抗体又はその断片は、本明細書に記載の基質にコンジュゲートされる。
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、アフェレーシスの前に、又はCAR発現細胞産物の製造中に、対象における免疫細胞の負の調節因子のレベルを低下させること(例えば、望ましくない免疫細胞、例えば、TREG細胞の数を減少させること)は、対象の再発のリスクを低減させることができる。例えば、TREG細胞を枯渇させる方法は、当技術分野で知られている。TREG細胞を減少させる方法には、シクロホスファミド、抗GITR抗体(本明細書に記載される抗GITR抗体)、CD25-枯渇、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、製造方法は、CAR発現細胞の製造前にTREG細胞の数を低減させる(例えば、枯渇させる)ことを含む。例えば、製造方法は、試料、例えば、アフェレーシス試料を、抗GITR抗体及び/又は抗CD25抗体(又はその断片、若しくはCD25結合リガンド)と接触させて、例えば、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物を製造する前に、TREG細胞を枯渇させることを含む。
ある実施形態では、本発明の方法は、培養細胞を選別して、CD45RO- CCR7- CD62L- Tメモリー細胞を単離することを含まない。
刺激のためのT細胞はまた、洗浄ステップの後に凍結することもできる。理論に拘束されないことを望むと、凍結及びその後の解凍ステップは、細胞集団内の顆粒球及びある程度の単球を除去することによって、より均一な産物を提供する。血漿及び血小板を除去する洗浄ステップの後、細胞は、凍結溶液に懸濁され得る。多くの凍結溶液及びパラメータが、当該技術分野で知られており、この文脈では有用であるが、1つの方法は、20%のDMSO及び8%のヒト血清アルブミンを含有するPBS、又は10%のデキストラン40及び5%のデキストロース、20%のヒト血清アルブミン及び7.5%のDMSO、若しくは31.25%のPlasmalyte-A、31.25%のデキストロース5%、0.45%のNaCl、10%のデキストラン40及び5%のデキストロース、20%のヒト血清アルブミン、並びに7.5%のDMSOを含む培養培地、又は例えばHespan及びPlasmaLyte Aを含有する他の好適な細胞凍結培地を使用することを伴い、次いで、細胞を、1分間当たり1°の速度で-80℃に凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相に保管する。制御凍結の他の方法も、-20℃間近での又は液体窒素中での未制御凍結とともに使用され得る。
ある特定の実施形態では、凍結保存された細胞を本明細書に記載されるように解凍し、洗浄し、本発明の方法を使用して活性化する前に室温で1時間休ませる。
本発明の文脈において、本明細書に記載の拡大された細胞が必要とされ得る前の期間の、対象からの血液試料又はアフェレーシス産物の収集も企図される。したがって、拡大される細胞の供給源は、必要な任意の時点で収集することができ、本明細書に記載のものなど、免疫細胞療法から利益を得るであろう任意の数の疾患又は状態のための免疫細胞療法において後で使用するために、T細胞などの所望の細胞を単離及び凍結することができる。一実施形態では、血液試料又はアフェレーシスは、概して健康な対象から採取される。ある特定の実施形態では、血液試料又はアフェレーシスは、疾患を発症するリスクがあるがまだ疾患を発症していない概して健康な対象から採取され、目的の細胞は、単離され、後で使用するために凍結される。ある特定の実施形態では、T細胞は、拡大され、凍結され、後で使用され得る。ある特定の実施形態では、試料は、本明細書に記載される特定の疾患の診断直後に、任意の治療の前に患者から収集される。更なる実施形態では、細胞は、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法、放射線などの薬剤、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸塩、及びFK506などの免疫抑制剤、抗体、又はCAMPATH、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、及び放射線などの他の免疫除去剤による治療を含むが、それに限定されない、任意の数の関連する治療様式の前に、対象からの血液試料又はアフェレーシスから単離される。
CAR発現細胞を作製する方法
ある実施形態では、本発明の方法は、CARをコードするベクター又は核酸を細胞に導入することによって、CAR発現細胞を作製することを含む。遺伝子を細胞に導入及び発現させる方法は、当該技術分野で知られている。発現ベクターの文脈において、ベクターは、当該技術分野の任意の方法によって、宿主T細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、又は昆虫T細胞に容易に導入されることができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的手段によって宿主T細胞に移入されることができる。
宿主T細胞中にポリヌクレオチドを導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝撃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を産生するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Sambrook Molecular Cloning:A Laboratory Manual,volumes 1-4,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)。ポリヌクレオチドを宿主T細胞に導入するための好ましい方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションである。
目的のポリヌクレオチドを宿主T細胞に導入するための生物学的方法としては、DNA及びRNAベクターの使用が挙げられる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物、例えば、ヒト細胞に挿入するための最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る(例えば、US5,350,674及びUS5,585,362を参照されたい)。
ポリヌクレオチドを宿主T細胞に導入するための化学的手段には、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、並びに水中油乳剤、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベースの系などのコロイド分散系が含まれる。インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。標的化ナノ粒子又は他の好適なサブミクロンサイズの送達系によるポリヌクレオチドの送達などの、核酸の最先端の標的化送達の他の方法が利用可能である。
例示的な非ウイルス送達ビヒクルは、リポソームである。脂質製剤の使用は、核酸の宿主T細胞への導入(インビトロ、エクスビボ、又はインビボ)のために企図される。別の実施形態では、核酸は、脂質と関連し得る。脂質に関連する核酸は、リポソームの水性内部にカプセル化されてもよく、リポソームの脂質二重層内に散在されてもよく、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方に関連している連結分子を介してリポソームに結合されてもよく、リポソームに捕捉されてもよく、リポソームと複合体化されてもよく、脂質を含有する溶液に分散されてもよく、脂質と混合されてもよく、脂質と組み合わされてもよく、脂質中に懸濁液として含有されてもよく、ミセルに含有されるか、若しくはそれと複合体化されてもよく、又はそうでなければ脂質と関連していてもよい。脂質、脂質/DNA、又は脂質/発現ベクター関連組成物は、溶液中の任意の特定の構造に限定されない。例えば、それらは、二重層構造に、ミセルとして、又は「崩壊した」構造で存在し得る。それらはまた、単に溶液中に散在されてもよく、場合によっては、サイズ又は形状が均一ではない凝集体を形成してもよい。脂質は、天然に存在する脂質か、又は合成脂質であり得る脂肪性物質である。例えば、脂質としては、細胞質内に天然に存在する脂肪液滴、並びに脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素及びそれらの誘導体を含有する化合物のクラスが挙げられる。使用に好適な脂質を、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma Aldrichから得ることができ、ジセチルホスフェート(「DCP」)は、K&K Laboratoriesから得ることができ、コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから得ることができ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、例えば、Avanti Polar Lipids,Inc.から得ることができる。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保管することができる。クロロホルムは、メタノールよりも容易に蒸発するため、唯一の溶媒として使用される。「リポソーム」は、封入された脂質二重層又は凝集体の生成によって形成される様々な単層及び多層脂質ビヒクルを包含する一般的な用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内部水性媒体を有する小胞構造を有するものとして特徴付けることができる。
多層リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が、過剰な水溶液に懸濁されるときに自発的に形成される。脂質成分は、閉じた構造を形成する前に自己再構成され、脂質二重層の間に水及び溶解した溶質を捕捉する(Ghosh et al.,1991)。しかしながら、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造を想定するか、又は単に脂質分子の不均一な凝集体として存在し得る。リポフェクタミン核酸複合体も企図される。宿主T細胞に外因性核酸を導入するために使用される方法にかかわらず、又はそうでなければ細胞を本発明の阻害剤に曝露するために使用される方法にかかわらず、宿主T細胞中の組換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイを行い得る。かかるアッセイとしては、例えば、サザンブロッティング及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCRなどの当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ;例えば、免疫学的手段(ELISA及びウェスタンブロット)によって、又は本明細書に記載されるアッセイによって、特定のペプチドの存在又は非存在を検出して、本発明の範囲に入る薬剤を同定することなどの「生化学的」アッセイが挙げられる。
免疫細胞を培養及び拡大させる方法
T細胞などの免疫細胞は、一般に、例えば、US6,352,694、US6,534,055、US6,905,680、US6,692,964、US5,858,358、US6,887,466、US6,905,681、US7,144,575、US7,067,318、US7,172,869、US7,232,566、US7,175,843、US5,883,223、US6,905,874、US6,797,514、US6,867,041、及びUS2006/0121005に記載の方法を使用して活性化及び拡大され得る。
本明細書に開示される方法によってT細胞を拡大することは、細胞を約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍又はそれ以上、及びそれらの間の全ての整数又は部分整数増殖させることができる。一実施形態では、T細胞は、約20倍~約50倍の範囲で拡大する。
ある実施形態では、細胞を、約7日~約14日間、又は約7日~約10日間培養する。
一般に、免疫細胞の集団、例えば、T調節細胞枯渇細胞は、それに結合された表面と、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する薬剤及びT細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドを接触させることによって拡大され得る。具体的には、T細胞集団は、抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片又は表面上に固定された抗CD2抗体と接触させることにより、又はカルシウムイオノフォアと併用してタンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)と接触させることなどにより、本明細書に記載されるように刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリ分子の共刺激のために、アクセサリ分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞の集団は、T細胞の増殖を刺激するために適切な条件下で、抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触させることができる。CD4+ T細胞又はCD8+ T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を使用することができる。抗CD28抗体の例としては、9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone,Besancon,France)が挙げられ、当該技術分野において一般的に知られている他の方法(Berg et al.,1998、Haanen et al.,1999、Garland et al.,1999)と同様に使用され得る。
免疫細胞培養に適切な条件は、血清(例えば、ウシ胎仔又はヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGF、及びTNF-a、又は当業者に既知の細胞の成長のための任意の他の添加剤を含む、増殖及び生存能に必要な因子を含有し得る適切な培地(例えば、最小必須培地若しくはRPMI Media 1640、又はX-vivo 15(Lonza))を含む。細胞の成長のための他の添加剤としては、界面活性剤、プラズマネート、並びにN-アセチル-システイン及び2-メルカプトエタノールなどの還元剤が挙げられるが、これらに限定されない。培地としては、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、及びビタミンが添加され、無血清であるか、又は適切な量の血清(若しくは血漿)若しくは定義されたホルモンのセット、並びに/又はT細胞の成長及び拡大に十分な量のサイトカインが補充された、RPMI1640、AIM-V、DMEM、MEM、a-MEM、F-12、X-Vivo 15、及びX-Vivo 20、Optimizerが挙げられ得る。抗生物質、例えば、ペニシリン及びストレプトマイシンは、実験培養物にのみ含まれ、対象に注入される細胞の培養物には含まれない。標的T細胞は、成長を支援するのに必要な条件、例えば、適切な温度(例えば、37℃)及び雰囲気(例えば、空気プラス5%CO2)下で維持される。
CAR発現細胞療法
CAR-T細胞療法
CAR-T細胞療法は、免疫細胞(例えば、T細胞)が、CARを発現するように遺伝子改変され、CAR発現細胞(例えば、CAR-T細胞)が、それを必要とするレシピエントに注入される、細胞療法の一種である。注入された細胞は、レシピエントにおけるCARの標的を発現する疾患細胞を殺傷することができる。抗体療法とは異なり、CAR修飾免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)は、インビボで複製することができ、持続した腫瘍制御をもたらすことができる長期持続性をもたらす。様々な実施形態では、CAR-T細胞は、患者に投与され、CAR-T細胞の患者への投与後、少なくとも4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、2年、3年、4年、又は5年間、患者においてCAR-T細胞又はその子孫が持続する。
本発明はまた、免疫細胞(例えば、T細胞)が、例えば、インビボ転写RNAによって、キメラ抗原受容体(CAR)を一過性に発現するように修飾され、CAR-T細胞が、それを必要とするレシピエントに注入される、細胞療法の一種を含む。注入された細胞は、レシピエントにおける腫瘍細胞を殺傷することができる。したがって、様々な実施形態では、患者に投与される免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)は、CAR-T細胞を患者に投与した後、1ヶ月未満、例えば、3週間、2週間、1週間存在する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、CAR-T細胞によって誘発される抗腫瘍免疫応答は、能動免疫応答又は受動免疫応答であってもよく、又は代替的に、直接的な対間接的な免疫応答に起因してもよい。
上述のように、エクスビボ手順は、当該技術分野で周知であり、上記で説明されている。簡潔に述べると、細胞は、哺乳動物(例えば、ヒト)から単離され、CARを発現するベクターを用いて遺伝子改変される(すなわち、インビトロで形質導入又はトランスフェクトされる)。CAR発現細胞(例えば、CAR-T細胞)は、治療効果を提供するために哺乳動物レシピエントに投与することができる。哺乳動物レシピエントは、ヒトであってもよく、CAR発現細胞は、レシピエントに関して自己であり得る。代替的に、細胞は、レシピエントに関して、同種、同系、又は異種であり得る。
造血幹細胞及び前駆細胞のエクスビボ拡大のための手順は、US5,199,942に記載されており、本発明の細胞に適用することができる。他の好適な方法は、当該技術分野で既知であり、したがって、本発明は、細胞のエクスビボ拡大の任意の特定の方法に限定されない。簡潔に述べると、免疫細胞(例えば、T細胞)のエクスビボ培養及び拡大は、(1)末梢採血又は骨髄外植体からの哺乳動物からのCD34+造血幹細胞及び前駆細胞を収集することと、(2)そのような細胞をエクスビボで拡大させることと、を含む。US5,199,942に記載の細胞成長因子に加えて、flt3-L、IL-1、IL-3、及びc-キットリガンドなどの他の因子を、細胞の培養及び拡大に使用することができる。
本発明のCAR-T細胞は、本明細書に記載されるように、単独で、又は希釈剤と組み合わせた、及び/又はIL-2若しくは他のサイトカイン若しくは細胞集団などの他の成分と組み合わせた医薬組成物としてのいずれかで、投与され得る。免疫細胞は、単独で、又は希釈剤と組み合わせた、及び/又はIL-2、IL-15若しくは他のサイトカイン若しくは細胞集団などの他の成分と組み合わせた医薬組成物としてのいずれかで、投与され得る。簡潔に述べると、医薬組成物は、1つ以上の薬学的に又は生理学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載される免疫細胞を含み得る。かかる組成物は、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロース、又はデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;ポリペプチド又はグリシンなどのアミノ酸;抗酸化剤;EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含み得る。開示される方法で使用するための組成物は、いくつかの実施形態では、静脈内投与のために製剤化される。
本明細書に記載される細胞を含む医薬組成物は、10~10個の細胞/kg体重などの10~10個の細胞/kg体重(これらの範囲内の全ての整数値を含む)の投薬量で投与され得る。細胞組成物は、これらの投薬量で複数回投与され得る。細胞は、免疫療法で一般的に知られている注入技法を使用することによって投与することができる(例えば、Rosenberg et al.,1988を参照されたい)。特定の患者に最適な投薬量及び治療レジメンは、患者を疾患の徴候について監視し、適宜に治療を調整することによって、医療分野の当業者によって容易に決定されることができる。
ある特定の実施形態では、活性化された免疫細胞を対象に投与し、次いで、その後再採血し(又はアフェレーシスを行い)、その血液から免疫細胞を活性化及び拡大し、これらの活性化及び拡大した細胞を患者に再注入することが望ましい場合がある。このプロセスは、数週間ごとに複数回実行されることができる。ある特定の実施形態では、免疫細胞は、10cc~400ccの採血から活性化され得る。ある特定の実施形態では、免疫細胞は、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc、又は100ccの採血から活性化される。この複数回採血/複数回再注入プロトコルを使用することは、ある特定の免疫細胞の集団を選出するように機能し得る。
併用療法
本発明のCAR-T細胞などの、又は本発明の方法によって産生される免疫細胞は、PRLRアンタゴニスト(例えば、抗PRLR抗体又はPRLRの小分子阻害剤)、EGFRアンタゴニスト(例えば、抗EGFR抗体[例えば、セツキシマブ又はパニツムマブ]又はEGFRの小分子阻害剤[例えば、ゲフィチニブ又はエルロチニブ])、Her2/ErbB2、ErbB3、又はErbB4などの別のEGFRファミリーメンバーのアンタゴニスト(例えば、抗ErbB2[例えば、トラスツズマブ又はT-DM1]、抗ErbB3、若しくは抗ErbB4抗体、又はErbB2、ErbB3、若しくはErbB4活性の小分子阻害剤)、cMETアンタゴニスト(例えば、抗cMET抗体)、IGF1Rアンタゴニスト(例えば、抗IGF1R抗体)、B-raf阻害剤(例えば、ベムラフェニブ、ソラフェニブ、GDC-0879、PLX-4720)、PDGFR-アルファ阻害剤(例えば、抗PDGFR-アルファ抗体)、PDGFR-ベータ阻害剤(例えば、抗PDGFR-ベータ抗体、又はイマチニブメシレート若しくはスニチニニブマレートなどの小分子キナーゼ阻害剤)、PDGFリガンド阻害剤(例えば、抗PDGF-A、-B、-C、又は-D抗体、アプタマー、siRNAなど)、VEGFアンタゴニスト(例えば、アフリベルセプトなどのVEGF-Trap、例えば、US7,087,411を参照されたい(本明細書では「VEGF阻害融合タンパク質」とも称される)、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、VEGF受容体の小分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、又はパゾパニブ))、DLL4アンタゴニスト(例えば、REGN421などのUS20009/0142354に開示されている抗DLL4抗体)、Ang2アンタゴニスト(例えば、H1H685PなどのUS2011/0027286に開示されている抗Ang2抗体)、FOLH1アンタゴニスト(例えば、抗FOLH1抗体)、STEAP1又はSTEAP2アンタゴニスト(例えば、抗STEAP1抗体又は抗STEAP2抗体)、TMPRSS2アンタゴニスト(例えば、抗TMPRSS2抗体)、MSLNアンタゴニスト(例えば、抗MSLN抗体)、CA9アンタゴニスト(例えば、抗CA9抗体)、ウロプラキンアンタゴニスト(例えば、抗ウロプラキン[例えば、抗UPK3A]抗体)、MUC16アンタゴニスト(例えば、抗MUC16抗体)、Tn抗原アンタゴニスト(例えば、抗Tn抗体)、CLEC12Aアンタゴニスト(例えば、抗CLEC12A抗体)、TNFRSF17アンタゴニスト(例えば、抗TNFRSF17抗体)、LGR5アンタゴニスト(例えば、抗LGR5抗体)、一価のCD20アンタゴニスト(例えば、リツキシマブなどの一価抗CD20抗体)、PD-1抗体、PD-L1抗体、CD3抗体、CTLA-4抗体などからなる群から選択される1つ以上の追加の治療活性成分と共製剤化、及び/又はそれらと組み合わせて投与され得る。本発明のCAR-T細胞と組み合わせて有益に投与され得る他の薬剤には、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12、IL-13、IL-17、IL-18などのサイトカイン、又はそれらのそれぞれの受容体に結合する低分子サイトカイン阻害剤及び抗体を含む、例えば、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤、及びサイトカイン阻害剤が含まれる。
本発明の方法によって任意選択的に産生される本発明のCAR-T細胞などの免疫細胞は、チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用され得る。別の実施例では、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤は、チェックポイント阻害剤とともに投与されることができる。2つの既知の阻害性チェックポイント経路は、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)及びプログラム死1(PD-1)受容体を通るシグナル伝達を伴う。これらのタンパク質は、T細胞機能の全ての段階にわたって重要な役割を果たす共シグナリング分子のCD28-B7ファミリーのメンバーである。PD-1受容体(CD279としても知られる)は、活性化されたT細胞の表面に発現される。そのリガンド、PD-L1(B7-H1;CD274)及びPD-L2(B7-DC;CD273)は、樹状細胞又はマクロファージなどのAPCの表面上に発現される。PD-L1が優勢なリガンドである一方、PD-L2は、はるかに制限された発現パターンを有する。リガンドがPD-1に結合すると、阻害シグナルがT細胞に伝達され、サイトカイン産生が低減し、T細胞増殖が抑制される。チェックポイント阻害剤には、PD-1(ニボルマブ(BMS-936558又はMDX1106)、CT-011、MK-3475)、PD-L1(MDX-1105(BMS-936559)、MPDL3280A、MSB0010718C)、PD-L2(rHlgM12B7)、CTLA-4(イピリムマブ(MDX-010)、トレメリムマブ(CP-675,206))、IDO、B7-H3(MGA271)、B7-H4、TIM3、LAG-3(BMS-986016)をブロックする抗体が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)又はMPDL3280A(Roche)などの、PD-L1に特異的に結合する抗体を含む。いくつかの実施形態では、PD1阻害剤は、ランブロリズマブ(Merck)、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、又はMEDl4736(AstraZeneca)などの、PD1に特異的に結合する抗体を含む。PD-1に対するヒトモノクローナル抗体、及び抗PD-1抗体を単独で又は他の免疫療法剤と組み合わせて使用してがんを治療するための方法は、米国特許第8,008,449号に開示されており、これらの抗体については参照により組み込まれる。したがって、抗PD-L1抗体及びその使用は、米国特許第8,552,154号に記載されており、これらの抗体については参照により組み込まれる。抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体を含む抗がん剤は、米国特許第8,617,546号に記載されており、これらの抗体については参照により組み込まれる。
本発明は、本明細書に記載されるCAR-T細胞などの免疫細胞のいずれかを、1つ以上の化学療法剤と組み合わせて含む、組成物及び治療製剤を含む。化学療法剤の例としては、チオテパ及びシクロスホスファミド(Cytoxan(商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボクオン、メトレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンホスホルアミド、及びトリメチロメラミンを含む、エチレンイシンイミン及びメチルアメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、オキシド塩酸化メクロレタミン、メルファラン、ノベミチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトーシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオラシル(5-FU)などの抗代謝物質;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎薬、フロリン酸などの葉酸補充剤、アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’‘-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン類、例えば、パクリタキセル(Taxol(商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton,N.J.)及びドセタキセル(Taxotere(商標)、Aventis Antony、France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼロダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。この定義には、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン剤;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン剤などの腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体も含まれる。
開示される治療剤のいずれかの投与は、注射、輸血、又は移植を含む、任意の都合のよい様式で実行され得る。本明細書に記載される組成物は、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髄内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射、又は腹腔内で患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、開示される組成物は、i.v.注射によって投与される。組成物はまた、腫瘍、リンパ節、又は感染部位に直接注射され得る。
当業者であれば理解するであろうが、上記の細胞は、治療有効量で対象に投与される。本明細書で使用される場合、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、治療される疾患又は状態の症状のうちの1つ以上をある程度緩和するか、又は悪化を防止する、投与される十分な量の治療剤を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、又は原因の低減若しくは進行の防止、又は生体系の他の任意の所望の変化であり得る。例えば、治療上の使用のための「有効量」は、過度の有害な副作用なしに疾患症状の臨床的に有意な減少をもたらすために必要な治療剤の量である。
「治療有効量」という用語は、例えば、予防有効量を含む。治療剤の「有効量」は、過度の有害な副作用なしに所望の薬理学的効果又は治療改善を達成するのに有効な量である。「有効量」又は「治療有効量」は、対象の年齢、体重、全身状態、治療される状態、治療される状態の重症度、及び処方医師の判断のいずれかの化合物の代謝の変動に起因して、対象によって異なる場合があることが理解される。
定期的な実験(用量漸増臨床試験を含むが、これらに限定されない)によってそのような治療有効量を決定することは、当技術分野の技術の範囲内であると考えられる。任意の個々の症例における適切な「有効量」は、用量漸増研究などの技術を使用して決定され得る。
1つ以上の治療剤が、組み合わせて使用される場合、各治療剤の「治療有効量」は、それ自体が使用されるときに治療有効であるであろう治療剤の量を指すことができ、又は1つ以上の追加の治療剤との組み合わせによって治療有効である低減した量を指すことができる。
治療の方法
本発明の、又は本発明を使用して産生される免疫細胞、例えば、CAR-T細胞は、とりわけ、疾患又は障害の治療、予防、及び/又は改善に有用である。例えば、本発明のCAR-T細胞は、がん、感染症、又は炎症性疾患の治療に有用である。別の例として、本発明の方法によって産生される樹状細胞は、例えば、がん、感染症(細菌又はウイルス感染症など)、又は自己免疫疾患(糖尿病など)を治療するための樹状細胞ワクチン(例えば、Datta et al.,2014を参照されたい)として使用することができる。更なる例として、NK-CAR細胞などのNK細胞を使用して、がんを治療することができる(例えば、Liu et al.,2021を参照されたい)。
CAR-T細胞は、脳及び髄膜、中咽頭、肺及び気管支樹、消化管、男性及び女性の生殖管、筋肉、骨、皮膚及び付属器、結合組織、脾臓、免疫系、血液形成細胞及び骨髄、肝臓及び尿路、並びに眼などの特殊感覚器官に発生する原発性及び/又は転移性腫瘍を治療するために使用され得る。特定の実施形態では、本発明のCAR-T細胞は、腎細胞がん、膵臓がん、頭頸部がん、前立腺がん、悪性神経膠腫、骨肉腫、大腸がん、胃がん(例えば、MET増幅を伴う胃がん)、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、卵巣がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、滑膜肉腫、甲状腺がん、乳がん、黒色腫、白血病、又はリンパ腫のうちの1つ以上を治療するために使用される。
ある実施形態では、本発明のCAR-T細胞は、白血病、例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、又は慢性リンパ性白血病を治療するために使用される。ある実施形態では、白血病は、低CD33+芽球が優勢である急性骨髄性白血病である。
別の実施形態では、本発明のCAR-T細胞は、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫を治療するために使用される。非ホジキンリンパ腫の種類としては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、又は末梢T細胞リンパ腫が挙げられる。ある実施形態では、リンパ腫は、低レベルのCD19及び/又はCD20を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫又は非ホジキンリンパ腫である。
本明細書に記載される治療の方法の文脈では、CAR-T細胞などの免疫細胞は、単剤療法として(すなわち、唯一の治療剤として)、又は1つ以上の追加の治療剤(その例は本明細書の他の場所に記載される)と組み合わせて(併用療法)投与され得る。
一実施形態では、対象は、がん(例えば、がん)を発症するリスクにある。対象者が、対照集団よりもがんを発症するリスクが高い場合、対象者は、リスクにある。対照集団は、がんに罹患していないか、又はがんの家族歴を有する一般集団から無作為に選択された(例えば、年齢、性別、人種、及び/又は民族によってマッチングされた)1つ以上の対象を含み得る。がんに関連する「リスク因子」が、その対象に関連することが判明した場合、対象は、がんのリスクにあるとみなされることができる。リスク因子には、例えば、対象の集団に関する統計学的又は疫学的研究を通じて、所与の障害に関連する任意の活動、形質、事象、又は特性が含まれ得る。したがって、基礎となるリスク因子を同定する研究に、対象が具体的に含まれていなくても、対象は、がんのリスクにあると分類されることができる。
一実施形態では、対象は、がんを発症するリスクにあり、細胞又は組成物は、がんの症状の発現前又は発現後に投与される。一実施形態では、細胞又は組成物は、がんの症状の発現前に投与される。一実施形態では、細胞又は組成物は、がんの症状の発現後に投与される。一実施形態では、本発明の細胞又は組成物は、リスクにある対象におけるがんの症状のうちの1つ以上を緩和又は軽減する用量で投与される。
ある実施形態では、対象は、がん、感染症、又は炎症性疾患などの疾患又は障害を有すると診断されているか、又は有する疑いがある。ある実施形態では、対象は、結腸がん又は乳がんを有すると診断されているか、又は有する疑いがある。ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象を、がん、感染症、又は炎症性疾患、好ましくは結腸がん又は乳がんなどの疾患又は障害を有するか、又は有する疑いがあると診断するステップを含む。
本明細書で使用される診断は、対象又は患者が、本発明のCAR-T細胞並びに/又はAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤による治療を必要とするという決定を指す。本明細書に記載の方法に従って診断される疾患又は障害の種類は、当該技術分野で既知の又は本明細書に記載の任意の種類であり得る。
ある実施形態では、本発明のCAR-T細胞並びに/又はAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤による治療を必要とする対象を特定又は診断するステップは、対象が、がんを有するという決定を含み、
-血液プロファイリング;
-細胞生検吸引物;
-コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、骨スキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャン、超音波及びX線などのイメージング;
-身体検査のうちの1つ以上又は全ての評価を含み得る。
NK細胞で治療することができる疾患の例としては、がん(例えば、黒色腫、前立腺がん、乳がん、及び肝臓がん)、並びにウイルス感染症(例えば、HSV、肝炎ウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、及びHIV-1による感染症)、細菌感染症(例えば、マイコバクテリア、リステリア、及びブドウ球菌による感染症)、及び原虫感染症(例えば、マラリア原虫による感染症)、及び真菌感染症(例えば、アスペルギルスによる感染症)が挙げられるが、それらに限定されない。
当業者には明らかであるように、対象におけるがんの症状の「軽減」は、同じくがんに罹患しているが、本明細書に記載の方法による治療を受けていない別の対象と比較されるであろう。これは、必ずしも2人の対象の対照比較を必要としない。むしろ、集団データを信頼することができる。例えば、本明細書に記載の方法で治療を受けていないがんに罹患している対象の集団(任意選択的に、治療された対象と同様の対象の集団、例えば、年齢、体重、人種)が評価され、平均値が、本明細書に記載の方法で治療された対象又は対象の集団の結果と比較される。
一実施形態では、本発明のCAR-T細胞及び方法は、がん、感染症、又は炎症性疾患などの疾患又は障害に罹患している対象の生存を改善するために使用される。生存が企図される場合、生存分析は、カプラン・マイヤー法を使用して行うことができる(図26Cに示すように)。カプラン・マイヤー法は、生存期間データから生存関数を推定し、治療後一定期間生存する患者の割合を測定するために使用することができる。生存関数のカプラン・マイヤー法のプロットは、十分な大きさの試料が採取されたときに、その集団の真の生存関数に近づく、大きさが減少する一連の水平ステップである。連続した別個のサンプリングされた観察(「クリック」)間の生存関数の値は、一定であると仮定される。
カプラン・マイヤー曲線の重要な利点は、方法が、最終的な結果が観察される前に(例えば、患者が研究から離脱した場合)、試料からの「打ち切り」データ損失を考慮に入れることができることである。プロットでは、小さな垂直のチェックマークは、患者データが打ち切られた損失を示す。切り捨てや打ち切りが発生しない場合、カプラン・マイヤー曲線は、経験分布と同等である。
統計学では、ログランク検定(Mantel-Cox検定としても知られている)は、2つのグループの患者の生存分布を比較する仮説検定である。それは、ノンパラメトリック検定であり、データが正しく打ち切られる場合に使用するのに適している。それは、測定が事象までの時間である場合に、対照群と比較して新薬の有効性を確立するために、臨床試験で広く使用されている。ログランク検定統計量は、観察された各事象時間における2つのグループのハザード関数の推定値を比較する。それは、各観察された事象時間におけるグループのうちの1つにおける観察された事象及び予想される事象の数を計算し、次いでこれらを加算して、事象が存在する全ての時点にわたる全体的な概要を得ることによって構築される。ログランク統計量は、2つのグループを比較するCox比例ハザードモデルのスコア検定として導出することができる。したがって、そのモデルに基づく尤度比検定統計量と漸近的に同等である。
実施例1-材料及び方法
マウスCAR-T製造プロトコル
CD3/CD28抗体を使用してマウス脾細胞を活性化し、CAR-Tベクターによる形質導入の前に、組換えIL-2及びIL-7の存在下で24時間培養した。形質導入の直後にTCN(トリシリビン)又はTCN-P(トリシリビンホスフェート)を添加し、次いでCAR-T細胞をTCN/TCN-Pに24、48、又は72のいずれかの時間曝露した。
ヒトPBMCをバフィーパック(Australian Red Cross Blood Service)から抽出した。それらは、抗CD3抗体(OKT3)を使用して、全てIL-2の存在下で、48時間形質導入の前に2日間活性化された。IL-2において最大3日間培養されたこれらのCAR-T細胞に、TCN又はTCN-Pを直ちに添加した。
腫瘍殺傷アッセイ
100,000E0771-Her2腫瘍細胞を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、37℃、5%CO2で維持した。2時間後、マウスCAR-T細胞を、2:1、1:1、及び0.5:1)のエフェクター対標的T細胞比で同じウェルに播種し、最大16時間インキュベートした。培養上清を収集し、インターフェロンガンマ(IFNγ)及び腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベルを測定した。
フローサイトメトリー表現型決定
マウスCAR-T細胞を製造後に表現型決定するために、CD4、CD8、CD44、CD62Lに対する蛍光色素標識抗体を使用して細胞を染色した。ヒトCAR-T細胞は、CD4、CD8、CD45RA、CD45RO、CD44、CD62L、CCR7、CD27、PD-1、及びCD69に対する蛍光色素コンジュゲート抗体を使用して表現型決定された。生細胞又は死細胞を区別するために、固定可能な生/死染料を使用した。
質量分析
ヒトCAR-T細胞を、TCN又はTCN-Pのいずれかで24又は3日間処置した後に収集した。各時点で、細胞を、収集し、グローバルなプロテオーム解析のために、細胞溶解の前に、冷たいDPBSで3回洗浄した。具体的には、リン酸化プロテオーム解析のために、ヒトCAR-T細胞を未処置として放置するか、又はDPBSで洗浄した後、細胞溶解する前に、0、5、及び15分間、TCN又はTCN-Pで処置した。
細胞プロテオーム及びリン酸化プロテオームの質量分析
LysC(酵素:基質1:100、Wako Pure Chemical Industries)トリプシン(酵素:基質1:50)によるSera-Mag Speed Beadベースのタンパク質消化の前に、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(HALT)を含有する細胞を、チッププローブ超音波処理によって均質化/可溶化し、定量化、正規化、及び還元し(ジチオスレイトール、DTT)、アルキル化(ヨードアセトアミド)した。タンデム質量タグ(TMT)多重化を、正規化されたペプチド混合物(9-プレックスTMT、参照131C等圧標識)に対して行った。ペプチドを脱塩し(SDB-RPSステージチップ)、グローバルな細胞プロテオームについて分析した。リン酸化プロテオーム解析のために、高選択二酸化チタン(TiO2)ビーズ捕捉を使用して、各TMTセットからホスホペプチドを濃縮した。
Easy-nLC1200(Thermo Fisher Scientific)超高圧液体クロマトグラフィー(UHPLC)ポンプに結合されたOrbitrap Q-Exactive HF-X質量分析計でのデータ依存性取得で取得したスペクトル。ペプチドを、勾配5~100%緩衝液B(80%ACN、0.1%FA)を用いて、240分間にわたって、300nL/分の流速で、55℃で直接注入して、分離した(1.9μm粒径C18、0.075×250mm、Nikkyo Technos Co.Ltd)。スキャン配列には、MS1スペクトル(分解能60,000;質量範囲300~1650m/z;自動ゲイン制御(AGC)標的3e6、最大注射時間128ms、分離ウィンドウ0.8Th)が含まれた。最も強力なMS1イオンを、MS2分析のために選択し、33の正規化された衝突エネルギーで高エネルギーの衝突解離によって断片化した。前駆体は、電荷状態≧2に従って濾過し、MS/MSについてはAGCが1e5に設定され、単一同位体ピークが使用された。
データ処理及びバイオインフォマティクスパイプライン
質量スペクトルは、MaxQuant(1.6.14)を使用して前処理及び処理された。スペクトルは、Andromedaを使用して、UniProt(配列データベースJan-2021)に注釈付けされたヒトタンパク質配列の全セットに対して検索した。データを、固定修飾、システインカルバミドメチル化及び可変修飾、N-アセチル化及びメチオニン酸化(並びにリン酸化(STY))で検索した。検索を、総タンパク質/リンタンパク質レベル分析のための20ppm前駆体イオン耐性、及びバッチ効果を正規化するための内部参照標識チャネルを使用して行った。更なる修飾としては、静的修飾として設定されたペプチドN末端/リジン残基(+229.16293Da)上のTMTタグが挙げられた。厳格な1%の偽発見率を適用して、ペプチド及びタンパク質レベルで不十分な同定をフィルタリングした。得られたp値は、多数の比較のためにBenjamini-Hochberg多重検定補正法によって補正した。
更なるデータ分析のために、正規化された強度を、各試料群にわたって測定された各タンパク質の中央値強度にわたる強度のlog2比に変換し、スチューデントのT検定又はANOVAを使用して統計解析を行った(p値<0.05を有意とみなした)。Microsoft Office Excel、R(ggPlot2)、及びPerseus(Max-Planck Institute of Biochemistry,Department of Proteomics and Signal Transduction、Munich)ソフトウェアを使用したデータ分析。Gprofiler/Reactomeバイオインフォマティクスを使用して、遺伝子濃縮機能アノテーションクラスタリング分析を行った。全てのデータは、内部基準TMTチャネルに対して正規化され、DMSO及び未処置対照(プロテオーム解析)、並びに時間0におけるDMSO対照(リン酸化プロテオーム解析)のいずれかに対して比較が行われた。PH含有ドメインは、SMARTオンラインソフトウェアツール(http://smart.embl-heidelberg.de/)から取得した。
実施例2-結果
形質導入のプロセス中又はその後のいずれかに50μMのTCN又はTCN-Pを添加すると、少なくとも80%のCAR-T細胞死をもたらした(図1)。しかしながら、低濃度のTCN又はTCN-P(最大10μM、50μM未満)は、3日間の処置まででさえ、高レベルの生存CAR-T細胞(約60%)を維持した。TCNで前処置したマウスCAR-Tでは、増殖率が低い(図2)一方、セントラルメモリー表現型(CD44hiCD62Lhi)を保持しながら(図3)、わずかに低減したレベルのIFNγ及びTNFαを産生したが細胞傷害能力を保持していた(図4A~B)。
マウスCAR-T細胞において活性化マーカーを測定した場合、本発明者らは、TCNの前処置が古典的な初期の活性化マーカーであるPD-1及びCD69の発現を増加させることを観察した(図5A~B)。腫瘍抗原指向性細胞傷害は、鈍化しているにもかかわらず、TCN前処置後に保持される(図6A)。対照的に、マウスCD8+ CAR-T細胞の生存は、TCN前処置でわずかに改善された(図6B)。
マウスCAR-T細胞におけるこれらの転帰に基づいて、同じプロトコルを使用して、ヒトPBMCからCAR-T細胞を生成した。3人のドナーからのバフィーコートを処理して、PBMCを単離し、5000万個のPBMCを、抗CD3抗体(OKT3、1.5μg/mL)及び組換えIL-2(600U/mL)を含有する培地の存在下で2日間培養した。次いで、活性化されたT細胞を、5μMのTCN又はビヒクル(DMSO)で、600U/mLの組換えIL-2の存在下で治療する前に、Her2標的化CAR構築物を用いた2日間のレトロウイルス形質導入プロトコルに供した。試料を24時間後又は72時間後のいずれかに収集した。ここで、TCN処置がCD4+又はCD8+ T細胞の形質導入効率に影響を与えなかったことが観察された(図7)。
興味深いことに、TCN処置は、3人全てのドナーにわたって一貫してセントラルメモリーT(TCM)細胞の割合を増加させた(図8)。3人のPBMCドナーにわたって定量化すると、このTCMの増加は、エフェクターT細胞(T)の低減(8%対5%)を伴った(図9、11%対17%)ことに留意されたい。図9Aは、データが、各生物学的ドナー(すなわち、個々のPBMCドナー)の代表を指し示す定量化データを示し、図9Bは、ビヒクル(DMSO)、TCN、又はTCN-Pに応答した、TCMCAR-T細胞への変化を示す。また、TCN又はTCN-PへのCAR-T細胞のこの短い曝露は、エフェクターT(T)細胞の低減(35%対23%)を伴って、少なくとも3日間、TCM細胞へのこの移行を持続させる(図10~11、9%対16%)ことに留意されたい。表面マーカー現象を回避するために、TCM細胞の追加のマーカー(すなわち、CD45RO及びCCR7)を含め、TCN又はTCN-Pによる前処置後に、CD8+ CAR-TにおけるTCMの増加とともに同様のパターンが観察された(図12)。興味深いことに、TCN又はTCN-Pによる前処置は、CD4+ CAR-T細胞のTCM又はT表現型にいかなる効果も有さなかった(図13~16)。これは、TCMCD4+ CAR-T細胞(45~60%のCD62L+CD45RO+ CD4+ CAR-T細胞、図14A)の比較的高い出発存在量に起因していた可能性がある。
腫瘍微小環境の免疫耐性における調節T(TREG)細胞の役割を考えると、形質導入されたヒトCAR-T細胞におけるTREG細胞の相対的な割合もまた評価された。ここで、TCN前処置が、CD4+形質導入CAR-T細胞におけるTREG割合を低減させたことが観察された(図17)。PBMCのTCN又はTCN-P治療は、インターフェロンシグナル伝達及び抗ウイルス活性に関連するタンパク質の濃縮を増加させた。これらのタンパク質には、MX1-インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1、グアニル酸結合タンパク質-1及び-2、並びにDnaJ相同性サブファミリーBメンバー1が含まれた。抗ウイルス活性はまた、核酸感知及びTLR-3、8、及び-9シグナル伝達に不可欠であるLRRC59の上方調節によっても示唆される。代謝及びRNAプロセシングに関連するタンパク質が濃縮されたPBMCのTCN又はTCN-P治療。
TCN又はTCN-Pがそれらの上流で働く可能性が高い、複数のPHドメイン含有タンパク質及び非PHドメイン含有タンパク質の有意な脱リン酸化。セリン/トレオニン-タンパク質キナーゼPRP4ホモログ、スペクトリンベータ鎖、TGFβシグナル伝達の阻害を介した調節T細胞機能に重要である非赤血球1。データは、以下のタンパク質、オキシステロール結合タンパク質1、オキシステロール結合タンパク質2、スペクトリンベータ鎖、非赤血球1、及びRho GTPase活性化タンパク質27が、TCN投与後に有意に阻害されることを示した。
結論
TCN又はTCN-Pによる前処置は、インビボで持続し、かつCAR-T療法後の臨床応答に対応することが示されているT細胞表現型における濃縮を可能にした。AKT阻害剤として使用される場合のT細胞に対する毒性の以前の報告を考慮すると(例えば、Mousset et al.,2018を参照されたい)、現在の研究の知見は、驚くべきものであった。非常に低濃度のTCN及びTCN-Pは両方とも、形質導入されたT細胞によって十分に耐容され、CCR7+CD45RO+CD8+ T細胞を含むTCM表現型を有するT細胞の濃縮に有効であった。更に、低濃度のTCN又はTCN-Pによる前処置は、形質導入されたCAR-T細胞におけるTREG細胞を低減させた。
まとめると、これらの知見は、TCN又はTCN-P前処置が、インビボで持続することが知られており、かつ部分的又は完全な臨床応答に関連するT細胞表現型を濃縮することによって、CAR-T療法の有効性を増強するための有効な方法であることを実証する。TCN及びTCN-P前処置は、CD8+ CAR-T細胞に大きな影響を及ぼし、CD4+ CAR-T細胞にほとんど又は全く影響を及ぼさないようである。データは更に、阻害剤を使用して、樹状細胞数、及びNK細胞の細胞傷害活性を増加させることができることを示した。
実施例3-インビボでの前処置又はネオアジュバントとしてのTCN及びTCN-Pの有効性を試験するための材料及び方法
本発明者らは次に、治療上関連のあるがんモデルにおけるインビボでのTCM及びCAR-TSCM表現型の増強に対するAKT阻害剤の効果を決定しようとした。第1のアプローチは、図18に例示される概略図に従って、内因性CAR-T又は養子移入されたCAR-TのいずれかにおいてCAR-TCM及びCAR-TSCM表現型を濃縮するための製造試薬として使用される場合のAKT阻害剤の効果を試験することであった。第2のアプローチは、図24に例示される概略図に従って、内因性CAR-T又は養子移入されたCAR-TのいずれかにおいてCAR-TCM及びCAR-TSCM表現型を濃縮するためのアジュバントとして使用される場合のAKT阻害剤の効果を試験することであった。
細胞株及びマウス
マウス結腸腺がんMC-38-hHer2及び乳がんE0771-hHer2がん細胞株を、インビトロ及びインビボ実験で使用した。レトロウイルスベクターを産生するために使用されるGP+e86細胞株は、ATCC(VA,USA)から入手した。全ての腫瘍及びパッケージング細胞株を、10%熱不活性ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPES、100U mL-1ペニシリン、及び100ug mL-1ストレプトマイシンを補充したRPMI培地中の5%COで37℃に維持した。全ての細胞株は、マイコプラズマ陰性であることが検査された。
C57BL/6J野生型(WT)及びヒトHer2(hHer2)トランスジェニックマウス株は全て、Peter MacCallum Cancer Centre(Victoria,Australia)で飼育及び維持された。6~16週齢のマウスを、性別をマッチングさせ、異なる処置群に無作為化した。全ての動物実験は、Animal Experimental Ethics Committee(Protocol E678)によって承認された。
マウスCAR-T細胞のレトロウイルス形質導入
C57BL/6ドナーマウスからの脾細胞を、1μg mL-1抗CD3、1μg mL-1抗CD28で、IL-2及び200pg mL-1 IL-7の存在下で1日間活性化した後、フィコール勾配処置した。細胞を、GP+86 LXSN-抗Her2 CARパッケージング細胞株から産生された上清を使用して、1ug mLのレトロネクチンでコーティングされたプレートに形質導入した。その後、形質導入された細胞を、5μMのPTX-200の有無にかかわらず、同じ濃度のIL-2及びIL-7を有する完全なRPMIで拡大させた。完全培地中の新鮮なIL-2及びIL-7を、形質導入の2日後に全てのCAR-T細胞に添加した。
ヒトHer2+同系マウス腫瘍モデル。
Her2トランスジェニックレシピエントに、2.5×10のMC38-hHer2又は2.5×10のE0771-hHer2のいずれかを乳房脂肪パッドに皮下注射した。腫瘍が触知可能になり、手動のカリパスを使用して測定し、腫瘍面積を平方ミリメートル(mm、長さ×幅)で計算した。腫瘍接種後6~7日目に、腫瘍保有Her2+マウスを20mmの平均腫瘍サイズを有するように無作為化し、20×10個のCAR形質導入T細胞をこれらのレシピエントに養子移入した。50,000UのIL-2を、次の2日間にわたって5回腹腔内注射することによって投与した。腫瘍サイズを測定し、腫瘍サイズが、120mmを超えるまで、又は腫瘍保有マウスが、指定された実験時点に達するまで、2~3日ごとに監視した。
PTX-200の腹腔内注射
DPBSで希釈したPTX-200を、腹腔内注射を介して3~4日ごとにマウス1匹当たり5、25、又は50mg/Kgで投与した。
マウスの腫瘍部位、流入領域リンパ節、脾臓、及び血液における免疫サブセットの分析
マウスの血液を、処置後8~9日目に顎下出血を介してEDTA含有チューブに直接収集した。実験的エンドポイントでは、安楽死の直後に、腫瘍、流入領域リンパ節(dLN)、及び脾臓を含む様々な臓器を収集した。dLN及び脾臓からの単一細胞懸濁液は、これらの臓器を70μmのフィルタを通して処理することによって達成した。脾細胞については、赤血球をACK溶解緩衝液で溶解した。固形腫瘍を手動でスライスし、1mg mL-1IV型コラゲナーゼ及び0.02mg mL-1DNAseを含有するDMEMで、37℃で30分間、120r.p.mでのロッキングインキュベーションで消化した。消化をDMEMで中和し、70μmのフィルタを通して処理し、FACS緩衝液又は完全なRPMI培地のいずれかで再懸濁した。エクスビボで細胞を再刺激するために、これらの異なる組織からの単一細胞懸濁液を、補充されたRPMI培地中に再懸濁し、フローサイトメトリー分析の分析の前に、37℃で4時間、Golgi Plug(BD Biosciences)及びSTOP(BD Biosciences)を添加したフォルボール12-ミリスチン酸12-酢酸塩(PMA;10ng mL-1)、カルシウムイオノフォア(1μg mL-1)で活性化した。
インビトロ慢性腫瘍再刺激
CAR-T細胞を、IL-7(200pgmL-1)及びIL-15(10ngmL-1)の存在下で、示されたエフェクター:標的比で、MC-38がん細胞又はE0771-hHer2がん細胞のいずれかと共培養した。1日後、CAR-T細胞懸濁液を収集し、がん細胞の新鮮な層と共培養した。これをIL-7及びIL-15で3回繰り返した。上清を毎日収集し、サイトカインビーズアレイで分析し、3回目の腫瘍再刺激後の細胞をフローサイトメトリー分析に供した。
経時的な生がん細胞の分析
未処置又はPTX-200前処置のCAR-T細胞を、384ウェルプレート中で、示されたエフェクター:標的比でMC-38又はE0771-hHer2のいずれかと共培養した。カスパーゼ3/7染料を細胞懸濁液に分配した。Incucyte SX5を使用して、4時間ごとに画像を撮影した。IncuCyte Zoomソフトウェアを使用して、細胞数及び関連するカスパーゼ3/7活性を定量化した。
フローサイトメトリー
Fc受容体ブロック(FACS緩衝液で1:50希釈したハイブリドーマ上清のクローン2.4G2)を用いて、細胞を室温で15分間ブロックした。細胞をFACS緩衝液で洗浄し、次いで氷上で30分間蛍光色素コンジュゲート抗体で染色した。染色された細胞を、20,000個のカウントビーズを有するFACS緩衝液中に再懸濁させる前に、FACS緩衝液で2回洗浄した。細胞内又は核内染色について、染色された細胞を、次いで、それぞれ製造元の指示に従って、BD Biosciences又はeBioscienceキットのいずれかで固定及び透過化した。固定及び透過化された細胞を、室温で30分間、蛍光色素コンジュゲート抗体で染色した後、パーマ/洗浄緩衝液で2回洗浄し、カウントビーズを用いてFACS緩衝液中で最終的に再懸濁した。BD FACSymphony(登録商標)(BD Biosciences)で、染色した試料を取得した。標的T細胞集団の数は、標的化集団の試料/ビーズ事象×事象における入力ビーズの数を使用して計算した。
統計分析
FACS分析は、Flowjo vs.10を使用して行った。図及び統計分析は、バージョン9のGraphPad PRISMソフトウェアを使用して生成した。データは、平均±標準誤差として表され、統計分析は、一元配置分散分析/二元配置分散分析(ANOVA)を使用して行われ、ログランク(両側Mantel-Cox)検定を使用して、生存分析における統計的有意性を決定した。
実施例4-インビボでの前処置としてのTCN及びTCN-Pの有効性の結果
本発明者らはまず、図18に例示される概略図に従って、内因性CAR-T又は養子移入されたCAR-TのいずれかにおいてCAR-TCM及びCAR-TSCM表現型を濃縮するための製造試薬として使用される場合のAKT阻害剤の効果を決定しようとした。
免疫応答性同系hHer2マウスにおける腫瘍モデルの代表的な例を図19Aに示す。CAR-T細胞の投与前に、フローサイトメトリーを採用して、CD4:CD8 T細胞の比を決定し、これは、CAR-T製造中のTCN-P条件付けによって変化しないことが観察された(図19B、上部パネル、及び図19C)。しかしながら、TCN-P事前条件付けは、セントラルメモリーCD8+ CAR-T細胞に有意な濃縮を付与した(図19B、下部パネル)。CAR-T細胞に対するTCN-P事前条件付けの影響は、インビボでの腫瘍制御の改善につながった。非制御のままに放置した場合、E0771乳がん腫瘍モデルは、14日目までに実験的エンドポイントに達した(すなわち、腫瘍>120mm)。CAR-T投与は、これを16日目まで延長することができ、事前条件付けされたCAR-T細胞は、これを24日目まで延長することができ(図19D)、生存の確率の有意な改善(図19E、p=0.0012)。
同じ同系hHer2乳がんモデルを使用して、動物の別のコホートを、処置後8日までの腫瘍成長について評価した(図20A)。循環T細胞の分析は、CD4+ CAR-T細胞が、未処置のCAR-T細胞を受けたものと比較して、TCN-P事前条件付けされたCAR-T細胞を受けた動物においてより多く見られるように、CAR-T細胞の事前条件付けが、インビボでのCD4:CD8比の歪みをもたらしたことを示した(図20B、上部パネル)。また、事前条件付けにより、インビボでのCD8+ CAR-T細胞の減少がもたらされたことも指摘された(図20B、中央パネル)。これらの観察は、セントラルメモリーT細胞がほぼ2倍になったこと一致した(図20B、下パネル)。
フローサイトメトリー分析は、CAR-T細胞の事前条件付けが、腫瘍内のCD4+又はCD8+組成物に有意な影響を及ぼさなかった(図20C)が、二次リンパ器官である脾臓内のCD4+細胞を増加させるように見えた(図20D)ことを更に明らかにした。興味深いことに、事前条件付けされたCAR-T細胞による腫瘍殺傷効率の改善は、サイトカイン、TNF-アルファ、又はIFN-ガンマの産生の任意の有意な変化と一致しなかった(図20E)。
宿主CD4+及びCD8+ T細胞の循環数は、群間で有意ではなかった(図21A~B)。CD8+ CAR-T細胞は、群間でも同様であったが、循環CD4+ CAR-T細胞は、事前条件付けされたCAR-T細胞を受けた動物において、平均3倍増加した(図21D、p=0.0009)。循環CAR-T細胞の表現型決定は、製造ステップ中の事前条件付けが、CAR-T細胞がインビボでセントラルメモリー表現型を保持することを可能にしたことを示唆した。セントラルメモリー表現型を有するCD8+ CAR-T細胞のパーセンテージは、事前条件付けされた群でほぼ2倍であった(図21E、p<0.0001)。セントラルメモリー表現型を有するCD4+ CAR-T細胞のパーセンテージは、事前条件付けされた群で約20%高かった(図21F、p<0.0001)。これらの知見は、エフェクターメモリー表現型を有するCD8+及びCD4+ CAR T細胞の半減と一致した(それぞれ、図21G~H、p<0.001及びp=0.0029)。
腫瘍及び脾臓の免疫細胞を分析したとき、事前条件付けが、セントラルメモリー表現型を保有するCD8+又はCD4+ CAR-T細胞に対して有意な効果を有さないことを観察した(図22A及びC)。腫瘍中のCD8+ CAR-T細胞における早期枯渇マーカーの発現において有意差は観察されなかったが(図22B)、事前条件付けは、脾臓に動員されたときにCD8+ CAR-T細胞を枯渇から保護するように見えた(図22D)。
次いで、発明者らは、PD-1チェックポイント阻害薬と組み合わせてTCN-Pで前処置されたCAR-T細胞の効果を決定して、この治療が固形腫瘍に対する抗腫瘍有効性を改善するかどうかを決定しようとした。図23A~Bに示すように、CAR-T細胞をPD-1チェックポイント阻害薬と組み合わせてTCN-Pで前処置した場合、腫瘍面積の相乗的な低減が観察された。
実施例5-インビボでのネオアジュバントとしてのTCN及びTCN-Pの有効性の結果
第2のアプローチでは、図24に例示される概略図に従って、内因性CAR-T又は養子移入されたCAR-TのいずれかにおいてCAR-TCM及びCAR-TSCM表現型を濃縮するためのアジュバントとして使用される場合のAKT阻害剤の効果を試験した。
図25に示すように、Her2+トランスジェニックマウスに、2.5e5MC-38-hHer2を接種し、その後3~4日ごとに、5、25、又は50mg/KgのDMSO(ビヒクル対照)又はTCN-Pのいずれかを腹腔内注射した場合、TCN-Pは、インビボで腫瘍成長に効果を発揮する能力を実証する強力な抗腫瘍効果を誘導した。次いで、CAR-T細胞療法と併用して、TNC-pの効果を試験した。図26A~Bに示されるように、20×10個の抗ヒトHer2 CAR-T細胞及び25mg/KgのTCN-Pによる静脈内注射の併用処置を受けたマウスは、単回処置単独と比較して有意に腫瘍サイズが低減したことを実証した。一貫して、20×10個の抗ヒトHer2 CAR-T細胞及び25mg/KgのTCN-Pによる静脈内注射の併用処置を受けたマウスも、単回処置単独と比較して生存率の増加を実証した(図26C)。特に、対照群の生存期間の中央値は、25mg/KgのTNC-pで処置したマウスについて、15日及び20日であった。CAR-T細胞の存在下では、生存期間は、26日に増加したが、CAR-T細胞及びTCN-Pの両方の存在下では、生存期間は、32.5日に増加した。
最後に、CAR-T療法のためのアジュバントとしてのTCN-Pの有用性もまた、マウスが、ビヒクル、未処置のCAR-T細胞、CAR-T投与後3日ごとに25mg/kgのTCN-Pアジュバントと組み合わせてCAR-T細胞、又は前処置のCAR-T細胞とTCN-Pアジュバントとの組み合わせのいずれかを投与された結腸がんのMC-38 hHer2モデルを使用して評価した(図27A)。14日目までの腫瘍サイズを評価した。ここで、発明者らは、アジュバントとしてのTCN-Pの投与が、Her2標的化CAR-T細胞による腫瘍制御を有意に改善したことを観察し(図27B、*p<0.05)、ここで、事前条件付けされたCAR-T細胞とTCN-Pアジュバントとの組み合わせは、インビボで最も有意な腫瘍殺傷をもたらした(p<0.01)。予想外に、脾臓が、TCN-P前処置とTCN-Pアジュバント療法との組み合わせに応答して、CD4+及びCD8+ CAR T細胞の有意な蓄積及び/又は拡大を含有した(p<0.0001)と判定された(図28A)。更に、CAR-T細胞の存在下でのアジュバントとしてのTCN-Pの投与は、腫瘍内Tregの50%の低減をもたらした(図28B)。
この研究からの知見は、TCN-P事前条件付けが、インビボで持続することが知られており、かつ部分的又は完全な臨床応答に関連するT細胞表現型を濃縮することによって、従来のCAR-T療法の有効性を高めることができることを実証する。腫瘍学的適応におけるTCN-Pの使用に関する臨床安全性データを考慮すると、TCN-P及び同様の化合物を、CAR-T療法と併用して、セントラルメモリーCAR-T細胞のインビボ持続性を高め、そうすることで、臨床的耐久性及び応答を改善することができることはもっともらしい。
当業者は、広く説明されているような本発明の主旨又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されているように、本発明に対して多数の変形及び/又は変更を行うことができることを理解されよう。したがって、本実施形態は、全ての点で例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
本明細書で説明及び/又は参照される全ての刊行物は、その全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、物品などの任意の考察は、単に本発明の文脈を提供する目的のためである。これらの事項のいずれか又は全てが、先行技術の基礎の一部を形成していることか、又は本出願の各請求項の優先日前に存在した本発明に関連する分野における共通一般的知識であったことを認めるものとして解釈されるべきではない。
参照文献
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Smith et al.(2015)Clinical & Translational Immunology(2015)4:e31.

Claims (68)

  1. 対象における免疫応答を修飾する方法であって、前記対象に免疫細胞の集団を投与することを含み、前記免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生され、好ましくは、前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、骨髄細胞、マクロファージ、又はそれらの組み合わせである、方法。
  2. 対象におけるT細胞応答を修飾する方法であって、前記対象に、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)の集団を投与することを含み、前記CAR-T細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中でCAR-T細胞を培養することを含む方法を使用して産生される、方法。
  3. 対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾する方法であって、
    a)前記対象に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を投与することと、
    b)ステップa)の少なくとも約18時間後に、前記対象に、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団を投与することと、を含む、方法。
  4. 対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾する方法であって、
    a)前記対象に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を投与することと、
    b)前記対象に、樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を含む免疫細胞の集団を投与することと、を含む、方法。
  5. 前記免疫細胞の集団が、前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の約18時間後~約72時間後に投与される、請求項3又は4に記載の方法。
  6. CAR-T細胞療法を受けている対象におけるサイトカイン放出症候群(CRS)を低減させる方法であって、前記対象に、AKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤並びに/又はCAR-T細胞を投与することを含み、前記対象に投与される前記CAR-T細胞が、前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で培養されている、方法。
  7. 前記キメラ抗原受容体が、CD28z共刺激ドメインを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用であって、前記対象が、前記薬品の少なくとも18時間後に、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団とともに投与される、使用。
  9. 対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団の使用であって、前記対象が、前記薬品の少なくとも18時間前に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されるか、又は投与されている、使用。
  10. 対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用であって、前記薬品が、CAR-T細胞である、使用。
  11. 対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の使用。
  12. 対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾するための薬品の製造のための、樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を含む、免疫細胞の集団の使用であって、前記対象が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されているか、又は投与される、使用。
  13. 対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団の産生に使用するための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤。
  14. 対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答の修飾に使用するための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤であって、前記対象が、前記薬品の少なくとも18時間後に、好ましくはキメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団とともに投与される、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤。
  15. 対象における免疫応答、好ましくはT細胞応答の修飾に使用するための、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)を含む、免疫細胞の集団であって、前記対象が、前記薬品の少なくとも18時間前に、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されるか、又は投与されている、免疫細胞の集団。
  16. 対象における免疫応答を修飾するための方法であって、前記対象に、免疫細胞の集団及びチェックポイント阻害剤を投与することを含み、前記免疫細胞が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生され、好ましくは、前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、骨髄細胞、マクロファージ、又はそれらの組み合わせである、方法。
  17. 前記免疫細胞が、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)であり、前記チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、請求項16に記載の方法。
  18. 治療が、いずれかの治療単独の効果と比較して相乗的である、請求項17に記載の方法。
  19. 対象における免疫応答、好ましくはT細胞免疫応答を修飾するための方法であって、前記対象に、
    (i)好ましくは、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含む方法を使用して産生される、免疫細胞の集団であって、前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、又はそれらの組み合わせであり、最も好ましくは、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)である、免疫細胞の集団と、
    (ii)AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤と、を投与することを含む、方法。
  20. 前記免疫応答又はT細胞免疫応答の修飾が、前記対象の生存期間を、CAR-T細胞並びに/又はAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤を受けていない対象と比較して増加させる、請求項1~7若しくは16~19のいずれか一項に記載の方法、請求項8~12のいずれか一項に記載の使用、請求項13若しくは14に記載の使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は請求項15に記載の免疫細胞の集団。
  21. 生存期間が、3、6、9、12、24、36、48、60、72、84、96ヶ月又はそれ以上増加する、請求項20に記載の方法、使用、使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は免疫細胞の集団。
  22. 前記対象が、免疫枯渇されている、請求項1~7若しくは16~21のいずれか一項に記載の方法、請求項8~12若しくは20若しくは21のいずれか一項に記載の使用、請求項13若しくは14若しくは20若しくは21のいずれか一項に記載の使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は請求項15若しくは20若しくは21のいずれか一項に記載の免疫細胞の集団。
  23. 前記対象が、リンパ枯渇化学療法又は放射線療法を使用してリンパ枯渇されている、請求項22に記載の方法、使用、使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は免疫細胞の集団。
  24. 前記対象が、がん、感染症、又は炎症性疾患を有する、請求項1~7若しくは16~23のいずれか一項に記載の方法、請求項8~12若しくは20~23のいずれか一項に記載の使用、請求項13若しくは14若しくは20~23のいずれか一項に記載の使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は請求項15若しくは20~23のいずれか一項に記載の免疫細胞の集団。
  25. 前記感染症が、ウイルス感染症である、請求項24に記載の方法、使用、使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は免疫細胞の集団。
  26. 前記対象が、結腸がん及び乳がんから選択されるがんを有する、請求項24に記載の方法、使用、使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は免疫細胞の集団。
  27. 前記対象が、低抗原存在量に関連するがんを有する、請求項24に記載の方法、使用、使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は免疫細胞の集団。
  28. 前記対象が、
    i)低CD33+芽球が優性である急性骨髄性白血病、又は
    ii)低レベルのCD19及び/若しくはCD20を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫若しくは非ホジキンリンパ腫を有する、請求項27に記載の方法、使用、使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は免疫細胞の集団。
  29. 前記対象が、ヒトである、請求項1~7若しくは16~28のいずれか一項に記載の方法、請求項8~12若しくは20~28のいずれか一項に記載の使用、請求項13若しくは14若しくは20~28のいずれか一項に記載の使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は請求項15若しくは20~28のいずれか一項に記載の免疫細胞の集団。
  30. 対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾するための、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤。
  31. 対象における樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞応答を修飾するための、樹状細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を含む、細胞の集団の使用であって、前記対象が、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤とともに投与されているか、又は投与される、使用。
  32. 前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤が、トリシリビン(TCN)、トリシリビン5’-モノホスフェート(TCN-P)、AKT阻害剤VIII、MK-2206、AZD5363、GDC-0068、GSK2141795、及びGSK2110183塩酸塩から選択される、請求項1~7若しくは16~29のいずれか一項に記載の方法、請求項8~12若しくは20~29若しくは31のいずれか一項に記載の使用、請求項13若しくは14若しくは20~30のいずれか一項に記載の使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は請求項15若しくは20~29のいずれか一項に記載の免疫細胞の集団。
  33. 前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質阻害剤の阻害剤が、トリシリビン(TCN)又はトリシリビン5’-モノホスフェート(TCN-P)である、請求項1~7若しくは16~29若しくは32のいずれか一項に記載の方法、請求項8~12若しくは20~29若しくは31のいずれか一項に記載の使用、請求項13若しくは14若しくは20~30のいずれか一項に記載の使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は請求項15若しくは20~29若しくは32のいずれか一項に記載の免疫細胞の集団。
  34. 前記対象に投与されるAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の用量が、約2mg/kgである、請求項1~7若しくは16~29若しくは32若しくは33のいずれか一項に記載の方法、請求項8~12若しくは20~29若しくは31~33のいずれか一項に記載の使用、請求項13若しくは14若しくは20~30若しくは32若しくは33のいずれか一項に記載の使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は請求項15若しくは20~29若しくは32若しくは33のいずれか一項に記載の免疫細胞の集団。
  35. 前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤が、前記対象に毎週2回静脈内に投与される、請求項34に記載の方法、使用、使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は免疫細胞の集団。
  36. AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の第1の用量が、前記免疫細胞及び/又はチェックポイント阻害薬の投与と同時に投与される、請求項35に記載の方法、使用、使用のためのAKT阻害剤及び/若しくはPHドメインタンパク質の阻害剤、又は免疫細胞の集団。
  37. 対象における免疫応答、好ましくは対象におけるT細胞応答を修飾するための方法であって、前記対象に、チェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-1抗体並びにAKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を投与することを含み、治療の効果が、各治療の個々の効果と比較して相乗的である、方法。
  38. 免疫細胞を含む細胞集団を産生する方法であって、AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で免疫細胞を培養することを含み、好ましくは、前記免疫細胞が、T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、骨髄細胞、又はそれらの組み合わせである、方法。
  39. 前記免疫細胞が、キメラ抗原受容体を含むT細胞(CAR-T細胞)である、請求項38に記載の方法。
  40. a)対象から単離された免疫細胞の集団から、T細胞濃縮細胞集団を産生することと、
    b)前記T細胞濃縮細胞集団を、キメラT細胞受容体をコードするベクターで形質転換することと、
    c)AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で、ステップb)で得られた前記細胞を培養することと、を含む、請求項39に記載の方法。
  41. 前記方法を使用して産生される前記CAR-T細胞が、セントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞を含む、請求項39又は40に記載の方法。
  42. 前記セントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞が、前記方法を使用して産生される前記CAR-T細胞の少なくとも約10%を含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記セントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞が、前記方法を使用して産生される前記CAR-T細胞の約10%~約30%を含む、請求項42に記載の方法。
  44. 前記セントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞が、前記方法を使用して産生されるCD8+ T細胞の少なくとも約0.8%を含む、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記セントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞が、前記方法を使用して産生される前記CD8+ T細胞の約0.8%~約5%を含む、請求項44に記載の方法。
  46. 前記セントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞が、前記方法を使用して産生される総リンパ球の少なくとも約0.37%を含む、請求項38~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記セントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞が、前記方法を使用して産生される前記総リンパ球の約0.37%~約5%を含む、請求項46に記載の方法。
  48. 前記TCM細胞が、CD45RO+ CD62L+ T細胞、好ましくはCD45RO+ CD62Lhi T細胞を含む、請求項41~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記TSCM細胞が、CD27CD95T細胞を含む、請求項41~48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記TCM及び/又はTSCM細胞について前記培養された細胞を濃縮することを更に含む、請求項41~49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記方法が、前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも高いパーセンテージのセントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞を産生する、請求項38~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記方法が、前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約25%多いセントラルメモリー(TCM)及び/又は幹細胞(TSCM)T細胞を産生する、請求項51に記載の方法。
  53. 前記方法が、前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少ないパーセンテージの調節(TREG)T細胞を産生する、請求項38~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記方法が、前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるT細胞よりも少なくとも約5%少ない調節(TREG)T細胞を産生する、請求項53に記載の方法。
  55. 前記TREG細胞が、CD3+ CD4+ CD25+ FoxP3+ T細胞である、請求項53又は54に記載の方法。
  56. 前記キメラ抗原受容体が、ウイルス抗原に結合する、請求項39~55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるCAR-T細胞の集団よりも高い抗ウイルス活性を有するCAR-T細胞の集団を産生する、請求項56に記載の方法。
  58. a)対象から単離された免疫細胞の集団から、樹状細胞濃縮細胞集団を産生することと、
    b)ステップa)からの前記細胞を抗原に曝露することと、
    c)AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で前記細胞を培養することと、を含む、請求項38に記載の方法。
  59. 前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養される樹状細胞よりも多くの樹状細胞を産生する、請求項38又は58に記載の方法。
  60. a)対象から単離された免疫細胞の集団から、ナチュラルキラー細胞(NK)濃縮細胞集団を産生することと、
    b)AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤を含む培地中で、ステップa)からの前記細胞を培養することと、を含む、請求項38に記載の方法。
  61. 前記AKT阻害剤及び/又はPHドメインタンパク質の阻害剤の非存在下で同一の条件下で培養されるNK細胞の集団よりも高い細胞傷害活性を有するNK細胞の集団を産生する、請求項38又は60に記載の方法。
  62. 前記細胞が、ヒト細胞である、請求項38~61のいずれか一項に記載の方法。
  63. 前記培養された細胞、又は前記免疫細胞を含むその亜集団が、前記対象に投与される、請求項38~62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 請求項40~63のいずれか一項に記載の方法を使用して産生される、免疫細胞の集団。
  65. 前記CAR-T細胞の少なくとも10%が、CD8+ TCM及び/又はTSCM細胞である、CAR-T細胞を含む細胞集団。
  66. 選別されていない、請求項65に記載の細胞集団。
  67. 前記CAR-T細胞の25%未満が、TREGである、請求項65又は66に記載の細胞集団。
  68. 請求項64~67のいずれか一項に記載の免疫細胞の集団を含む、医薬組成物。
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