JP2024520550A - 固体状態ファントムの3d印刷 - Google Patents

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Abstract

本発明は、放射性重合性溶液の調製方法及び溶液自体に関する。溶液は、水溶液に溶解される半減期>5dのカチオン性放射性核種を使用することによって調製される。放射性核種は、放射性錯体を形成するための親油性配位子を使用することによって有機溶媒又はモノマー溶液に抽出される。配位子は、炭素原子及び/又はケイ素原子と特定のヘテロ原子との2:1以上の比を特徴とする。抽出に有機溶媒を使用する場合、続いて、得られた有機相をモノマー溶液で希釈して、放射性重合性溶液を得る。発明は更に、医療撮像用のファントムなどの放射性物体を調製する方法における前記溶液の使用及び物体自体に関する。

Description

本発明は、放射性重合性溶液の調製方法、その溶液自体、特に放射性重合性溶液を用いて放射性物体を調製する方法、及び前記方法を行うことによって得られる医療撮像用ファントムなどの放射性物体に関する。
コンピュータ断層撮影法と組み合わせた陽電子放射断層撮影法(positron emission tomography/computed tomography、PET/CT)は、代謝過程を定量的に画像化する。臨床ルーチン及び臨床治験は、再現性のある同等の撮像データを作成するために、検証及び較正されたPET/CTシステムに依存している。したがって、新たに設置されたPET/CTシステム、並びに核医学及び多施設臨床治験(MCT)における品質保証(quality assurance、QA)の受け入れ[1]は、臨床PET/CTシステムの試験[2]を決定づける。
PET/CTシステムのそのような試験及び定期的品質管理(quality control、QC)は、通常、明確に定義された陽電子放出体分布を有するファントムを含む。長寿命の固体状態ファントム(通常は毎日のQA用の均一な円柱)が存在するとしても、ほとんどのファントムは、臨床使用からの液体放射性核種で充填可能な一組の空隙である。例えば、National Electrical Manufacturers Association(NEMA)プロトコル[3,4]による画像品質試験又はEARL PET/CT認定プログラム[5,6]によるコンプライアンス試験は、(液体)背景区画内に位置する充填可能な球の使用を要求する。しかしながら、そのようなファントムは、充填可能な球の非放射性壁に起因するアーチファクトを提供し、充填エラーを起こしやすい(充填溶液、気泡等の放射性同位体濃度)[7]。
およそ271dの半減期を有するため、固体状態でゲルマニウム-68を含有するファントムは、フッ素-18、ガリウム-68又は更にはゲルマニウム-68の水溶液で充填されたファントムと比較して、反復測定の再現性を改善し[8]、より安全な放射線取り扱いを提供する[9]。ゲルマニウム-68の長い半減期は、多施設研究におけるPET/CTシステムの交差較正にも役立つ[8,10]。更に、固体放射性源の輸送に付随するより低い規制要件[11]は、多中心コンソーシアム内の標準化された固体状態ファントムの交換を容易にする。多くの利点にもかかわらず、固体状態ファントムは、おそらくそれらの製造のための安全で安価な方法がないため、まだ広く応用されていない。
付加製造は、任意の形状の固体状態ファントムを合理的なコストで供給することを約束する。充填可能な3D印刷ファントムは2014年以来存在しているが[12]、高温ファントムの直接印刷はその後の充填を回避し、ファントム寿命中の放射性同位体半減期を考慮してそれらの放射性特性の一定の品質を提供し、したがって試験は同等であり、冷壁アーチファクトを回避する。
設定されると、3D印刷は非常に単純で費用効果が高いが、通常は印刷の進行が遅いため、その使用は、広く使用されている陽電子放出体ガリウム-68の母同位体であるゲルマニウム-68などの中寿命から長寿命の放射性核種に制限される。しかしながら、PET/CTで使用するための68Ge含有液体樹脂モノマーを用いた3D印刷は、いくつかの困難、例えば最終ファントム内の均一な分布、及び危険を伴う。最も重要なことに、取り扱い及び印刷中、並びに固体ファントムの全寿命中に、揮発性放射性ゲルマニウムハロゲン化物の形成及び放出を回避するように注意しなければならない。明らかに、水相はモノマー及びポリマーの両方と不混和性であり、本質的に、イオン性の非結合放射性同位体の経時的な相分離及び拡散に起因する放射能漏れ及び放射能汚染のリスクをもたらすので、3D印刷のために市販の68Ge水溶液を希塩酸中で疎水性モノマーと単純に混合すると、不均一なエマルジョンが得られる。これは、テクネチウム-99mなどの短寿命放射性核種でファントムを製造する場合にはわずかな問題であり得るが、ゲルマニウム-68などの長寿命の放射性核種を使用する場合には許容できず、揮発性68Geハロゲン化物種の拡散不安定性と共に相分離が潜在的な不均一性及び放射能の放出を経時的に促進する可能性がある。
これまで、放射能の放出なしで印刷されたファントム内で長時間しっかりと固定するゲルマニウム-68の安定した疎水性錯体の形態でゲルマニウム-68を水溶液から有機液体樹脂構築材料に移す容易に適用可能な方法は存在しない。本発明者らの有効化技術は、これまでステレオリソグラフィ及び他の3D印刷技術による長寿命のファントムの付加製造を妨げてきたギャップを埋める。
任意の形状及びサイズのPET/CTファントムを取り扱うのに安価で再利用可能で安全なものを提供することは、日常的なルーチン及び臨床研究におけるQC、PET/CT撮像特性の特性評価[13]、及びPET/CT[14,15]システムの性能調和を単純化する。複数のプリンタヘッドで印刷する場合、ファントムの形状を特定の科学的又は臨床的需要に適合させることができるだけでなく、それに応じてその放射能分布を調整することもできる[16]。しかしながら、放射性核種の印刷樹脂への緊密な組み込み及び均一な分布は、冷たいファントム壁又は厚い保護コーティングを省くために重要であり、したがって、放射能の流入及び流出に起因する壁関連のバイアスを排除するために重要である[17]。MCTを実施する機関は、改善された生理学的類似性を有するファントムを使用しながら、比較可能性のためのPET/CT測定における較正ファントムの取り扱い誘発変動性を低減するのに有用な本発明の方法を見出すであろう[18]。
したがって、そのようなファントムは、撮像に適した長寿命カチオン性放射性核種をこの目的に使用できるポリマーに組み込むための安全な方法を必要とする。本発明者らは、まず、短寿命カチオン性放射性核種テクネチウム-99(t1/2 約6時間)を用いて概念を試験し、適切な錯体形成相間移動剤としてトリオクチルホスフィンを同定し、これはテクネチウム-99の有機溶媒への移動に非常に有効であることが判明し、次いで3D印刷のために有機アクリラート系液体樹脂モノマーと混合することができた[23]。しかしながら、長寿命のカチオン性放射性核種を用いたその後の実験は、テクネチウム-99mを用いた結果の他のカチオン性放射性核種への適合が実現不可能であることを示した。配位子トリオクチルホスフィンは、テクネチウム-99mのみに作用するが、一般に他のカチオン性放射性核種には作用しないことが判明した。
したがって、多くの場合、錯体形成アニオン性親油性配位子と、補助配位子として及び/又は電荷補償のために作用する別の添加剤(典型的には塩基又は適切なカチオン若しくはアニオン)の両方の添加を必要とする新規な手順を開発する必要があった。これらの新規な手順の一般的な特徴はこの特許に記載されており、市販の水溶液酸から、3D印刷用のアクリラート系液体樹脂モノマーと混和性である有機相へのゲルマニウム-68、コバルト-57、及びルテチウム-177の移行のための具体例が提供されている。
本発明は、高度な光源の均一性及び最大限に安全な取り扱い特性を有する、取り扱いが容易で長寿命の壁のない固体状態PETファントムを製造することを目的とする。本発明のファントムは、放射性核種の確実な固定化を達成し、漏れを回避するためのポリマーマトリックス内の安定な錯化を特徴とする。
放射性核種の疎水性モノマーへの錯化及び相間移動は、主に疎水相に分布する疎水性錯体の中性の全体的なイオン電荷を達成するために、必要に応じてpH修飾疎水性添加剤と組み合わせて、放射性カチオンのキレート化のための疎水性アニオン性配位子の一般的なアプローチを使用して達成された。
上述の技術水準に基づいて、本発明の目的は、ファントムなどの放射性物体を調製するのに適した放射性重合性溶液を調製するための手段及び方法を提供することである。この目的は、本明細書の従属請求項、例、図面及び一般的な説明に記載されている更なる有利な実施形態を用いて、本明細書の独立請求項の主題によって達成される。
発明の第1の態様は、放射性重合性溶液を調製する方法であって、
a)
・半減期>5dのカチオン性放射性核種を含む放射性核種水溶液と、
・錯体形成親油性配位子であって、
-前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であり、前記比について考慮される前記ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
-前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に1500g/mol未満である、錯体形成親油性配位子と、
・場合により、添加剤であって、前記添加剤が、塩基、又は補助配位子として及び/又は電荷補償のために作用する適切なカチオン若しくはアニオンである、添加剤と、
・アクリラート及びメタクリラートから選択される1つ以上のモノマーを含むモノマー溶液であって、前記放射性核種水溶液と混和しないモノマー溶液と、
・場合により、有機溶媒と、
を提供する工程と、
b)放射性核種水溶液を
・前記錯体形成親油性配位子、及び
・場合により、前記添加剤、及び
・前記モノマー溶液又は前記有機溶媒
と混合して、水相及び放射性有機相を生じさせる工程と、
c)工程(b)で前記モノマー溶液を使用する場合は、前記放射性有機相を分離して回収する工程、又は
工程(b)において前記有機溶媒を使用する場合は、前記放射性有機相を分離して回収し、前記モノマー溶液を前記放射性有機相に添加する工程と、
を含む、方法に関する。
発明の第2の態様は、放射性重合性溶液であって、特に第1の態様に記載の方法によって調製され、アクリラート及びメタクリラートから選択される1つ以上のモノマーを含むモノマー溶液に溶解した錯体を含み、前記錯体が、
・半減期>5dのカチオン性放射性核種と、
・錯体形成親油性配位子であって、
-前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子が、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1、特に2.5:1、更に特に3:1であり、前記比について考慮されるヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
-前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に<1500g/mol未満である、錯体形成親油性配位子と、
・場合により添加剤であって、前記添加剤が、塩基又は適切なカチオン若しくはアニオンである添加剤と、
を含む、放射性重合性溶液に関する。
発明の第3の態様は、放射性物体を調製する方法に関する。本方法は、
a)発明の第1の態様による方法に従って調製された放射性重合性溶液、又は発明の第2の態様による放射性重合性溶液を提供する工程と、
b)開始剤、特に光開始剤、更に特にフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを添加する工程と、
c)光又はUV光を使用することによる重合工程と、
を含む。
発明の第4の態様は、特に発明の第3の態様による方法に従って調製された放射性物体に関する。放射性物体は、アクリラートポリマー及びメタクリラートポリマーから選択される1つ以上のポリマーを含むポリマーネットワークに分布する錯体を含み、錯体は、
・半減期>5dのカチオン性放射性核種と、
・錯体形成親油性配位子であって、
-錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は2:1、特に2.5:1であり、比について考慮されるヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
-錯体形成親油性配位子の質量が5000g/mol未満、特に1500g/mol未満である、錯体形成親油性配位子と、
・場合により添加剤であって、前記添加剤が塩基又は適切なカチオン若しくはアニオンである、添加剤と、を含む。
印刷された(a)及び液体充填された球(b)の写真を示す。 FBP画像から得られた3D印刷及び液体充填された8mL球の重心を通るx/z平面を示す。赤色及び緑色の線はラインプロファイルの位置を示し、黒丸は8mLの球の実際の拡張を示す。画像の下には、上のPET画像に見られるように、球の重心を通るそれぞれのx線、y線、及びz線プロファイルがある。線プロファイルは、より良好な比較可能性のために積分正規化される。緑色の矢印は、液体充填された球のフィラーネックを指す。 OSEM画像から得られた3D印刷及び液体充填された8mL球の重心を通るx/z平面を示す。赤色及び緑色の線はラインプロファイルの位置を示し、黒丸は8mLの球の実際の拡張を示す。画像の下には、上のPET画像に見られるように、球の重心を通るそれぞれのx線、y線、及びz線プロファイルがある。線プロファイルは、より良好な比較可能性のために積分正規化される。緑色の矢印は、液体充填された球のフィラーネックを指す。 FBP(a)及びOSEM(b)で再構成した8mL球のPET/CT画像で見出された放射能の累積確率ヒストグラムを示す。 非放射性(8ml)印刷された球の高分解能CTスキャン。矢印は、印刷中の空隙を示す。 ガリウム-68の急速崩壊溶液の存在下でのNEMA仕様による68Ge球ファントムのPETスキャン。球中の比放射能は、25.9kBq/mLであった。
用語及び定義
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切である場合には常に、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆も同様である。以下に記載されるいずれかの定義が参照により本明細書に組み入れられるいずれかの文書と矛盾する場合、記載されている定義が優先するものとする。
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」及び「含む(including)」という用語、及びその他の類似の形態、並びにそれらの文法的等価物は、これらの単語の任意の1つに続く1つ又は複数の項目が、このような1つ又は複数の項目の網羅的な列挙であることを意味しないか、列挙された1つ又は複数の項目のみに限定されることを意味しないという点で、意味において等価であり、非限定的であることが意図される。例えば、構成要素A、B及びCを「備える(comprising)」物品は、構成要素A、B及びCからなる(すなわち、のみを含有する)ことができ、又は構成要素A、B及びCのみならず1つ又は複数の他の成分も含有することができる。したがって、「備える(comprises)」及びその類似の形態、並びにそれらの文法的等価物は、「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」の実施形態の開示を含むことが意図され、理解される。
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限の間にある、下限の単位の10分の1までの各介在する値、及びその記載された範囲内の任意の他の記載された又は介在する値は、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界に服して、本開示内に包含されることが理解される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれた限界の一方又は両方を除外した範囲も本開示に含まれる。
本明細書における「約」値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体に向けられた変動を含む(及び記載する)。例えば、「約X」という記載は、「X」という記載を含む。
本明細書で使用される場合、添付の特許請求の範囲を含めて、単数形「a」、「or」及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書の文脈におけるファントムという用語は、撮像装置、特に単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(single-photon emission computed tomography、SPECT)又は陽電子放射断層撮影法(positron emission tomography、PET)(https://en.wikipedia.org/wiki/Imaging_phantom-cite_note-1)で使用するための撮像装置の性能を評価、分析、及び調整するために医療撮像の分野でスキャン又は撮像される物体に関する。ファントムは、任意の形状であってもよい。適切な形状の非限定的な例は、球、円柱、又は直方体である。発明によるファントムは、規定された放射能分布、特に均一な放射能分布を特徴とし、異なるファントム部品又は冷壁の間に冷界面を含む必要はない。更に、発明によるファントムは固体状態ファントムである。
本発明の文脈において、誘導体という用語は、アルキル、フェニル、エーテル、エステル、アルコール、特にアルキル、フェニル、エーテル、エステルから選択される1つ以上の部分で置換された化合物に関する。例えば、酒石酸の誘導体は、アルキル部分で置換された酒石酸である。
詳細な説明
発明の第1の態様は、放射性重合性溶液を調製する方法であって、
a)
・半減期>5dのカチオン性放射性核種を含む放射性核種水溶液と、
・錯体形成親油性配位子であって、
-前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であり、前記比について考慮される前記ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
-前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に1500g/mol未満である、錯体形成親油性配位子と、
・場合により、添加剤であって、前記添加剤が、塩基、又は補助配位子として及び/又は電荷補償のために作用する適切なカチオン若しくはアニオンである、添加剤と、
・アクリラート及びメタクリラートから選択される1つ以上のモノマーを含むモノマー溶液であって、前記放射性核種水溶液と混和しないモノマー溶液と、
・場合により、有機溶媒と、
を提供する工程と、
b)放射性核種水溶液を
・前記錯体形成親油性配位子、及び
・場合により、前記添加剤、及び
・前記モノマー溶液又は前記有機溶媒
と混合して、水相及び放射性有機相を生じさせる工程と、
c)工程(b)で前記モノマー溶液を使用する場合は、前記放射性有機相を分離して回収する工程、又は
工程(b)において前記有機溶媒を使用する場合は、前記放射性有機相を分離して回収し、前記モノマー溶液を前記放射性有機相に添加する工程と、
を含む、方法に関する。
発明の第1の態様による方法は、3D印刷に適した放射性重合性溶液を提供する。特に医療撮像の分野では、放射能がファントム内に均一に分布している、取り扱いが容易で長寿命の固体状態ファントムが必要とされている。
PET及びSPECT測定などの測定の再現性及び精度の改善を可能にする長寿命固体状態ファントムを得るために、放射性核種は5日(5 days)を超える半減期を有するべきである。例えば、半減期が271日のゲルマニウム-68は、PET用途で使用されるファントムに適した放射性核種である。
放射性核種は、塩酸水溶液で希釈されたカチオン性ゲルマニウム-68などの水溶液として市販されている。水溶液は、有機液体3D構築材料、すなわち3D印刷に適した重合性モノマーと混和性ではない。したがって、本方法は、錯体形成親油性配位子を利用する。錯体形成親油性配位子は、炭素及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比が2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であることを特徴とし、カチオン性放射性核種との錯体形成及び有機溶媒又はモノマー溶液への錯体の相間移動を可能にする。疎水性錯体は安定である。
特定の実施形態では、この比について考慮されるヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン及びセレン、特に酸素、窒素、硫黄及びリンから選択される。
特定の実施形態では、塩基又は適切なアニオン若しくはカチオンを補助配位子として、及び/又は電荷補償のために添加して、非荷電錯体を得る。例えば、ゲルマニウム-68の抽出は、ドデシルガレートなどの錯化剤及び相間移動剤トリブチルアミンなどの添加剤の両方の存在を必要とする。
本方法を実施する場合、放射性核種水溶液を錯体形成親油性配位子と混合し、場合により添加剤を補助配位子として及び/又は電荷補償のために添加して非荷電錯体を生成し、3D印刷に適したモノマー溶液を添加するか、又はモノマー溶液の代わりに有機溶媒を使用する。
組み合わせた錯体形成及び抽出手順では、錯体形成した放射性核種を有機相、すなわちモノマー溶液又は有機溶媒に移し、続いて水相と有機相を分離する。放射性同位体の錯化及び相間移動は、疎水性相内の錯体の均一な分布をもたらす効率的な平衡制御プロセスである。
3D印刷のための市販の放射性核種水溶液と疎水性モノマーとの単純な混合は、エマルジョンをもたらし、本質的に、イオン性の非結合同位体の相分離及び拡散に起因する放射能漏れ及び放射能汚染のリスクを経時的にもたらす。相分離は、未錯化の潜在的に揮発性の放射性種の拡散不安定性と共に、潜在的な不均一性及び経時的な放射能の放出を促進することができる。本発明は、安定な錯体の形成による放射性ゲルマニウムハロゲン化物などの揮発性放射性化合物の放出を回避する。これにより、放射性重合性溶液並びに印刷された物体の安全な取り扱いが可能になる。
モノマー溶液を混合工程で添加した場合、収集した有機相を3D印刷プロセスにおける放射性重合性溶液として直接使用することができる。必要に応じて、モノマー溶液を添加して所望の放射能濃度を調整することによって溶液を希釈してもよい。
混合工程で有機溶媒を添加した場合、回収した有機相を3D印刷での使用に適したモノマー溶液で希釈する。同様に、所望の放射能濃度は、適切な量のモノマー溶液を添加することによって調整することができる。
この2段階アプローチ(最初に有機溶媒を使用し、その後適切なモノマー溶液に希釈する)は、放射性核種がゲルマニウム-68である場合に特に行われる。
特定の実施形態では、放射性重合性溶液を調製する方法であって、
a)
・半減期>5dのカチオン性放射性核種を含む放射性核種水溶液と、
・錯体形成親油性配位子であって、
-前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であり、前記比について考慮される前記ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
-前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に1500g/mol未満である、錯体形成親油性配位子と、
・場合により、添加剤であって、前記添加剤が、塩基、又は補助配位子として及び/又は電荷補償のために作用する適切なカチオン若しくはアニオンである、添加剤と、
・アクリラート及びメタクリラートから選択される1つ以上のモノマーを含むモノマー溶液であって、前記放射性核種水溶液と混和しないモノマー溶液と、
・場合により、有機溶媒と、
を提供する工程と、
b)放射性核種水溶液を
・前記錯体形成親油性配位子と、
・場合により、前記添加剤であって、特に前記放射性核種がゲルマニウム-68である場合に添加剤が添加される、添加剤と、
・前記モノマー溶液又は前記有機溶媒と、
を混合する工程であって、水相及び放射性有機相を生じさせる、工程と、
c)前記放射性有機相を分離して回収し、前記モノマー溶液を前記放射性有機相に添加する工程と、
を含む。
収率を高めるために、放射性核種水溶液からのカチオン性放射性核種の抽出を繰り返し行うことができる。上記の工程(b)及び(c)を繰り返し、前の性能からの水相を放射性核種水溶液として使用する。
特定の実施形態では、工程(b)及び(c)は繰り返し実行される。
特定の実施形態では、カチオン性放射性核種は、Ge、Na、Co又はLuのカチオンである。
特定の実施形態では、カチオン性放射性核種は、68Ge、22Na、57Co又は177Luのカチオンである。
放射性核種水溶液は、1種類のカチオンのみ、例えば[68Ge]Ge4+のみ、又は異なるカチオンの混合物、例えば[177Lu]Lu3+及び[68Ge]Ge4+を含んでもよい。
放射性核種水溶液は、潜在的に溶液中のヒドロキソ種及び他の錯体としても、解離した塩の形態のカチオン性放射性核種を含有し得る。カチオン性放射性核種は、異なる溶液で市販されている。例えば、[68Ge]Ge4+は、[68Ge]Ge塩化物などの溶解したハロゲン化物として放射性水溶液中に存在し得る。
特定の実施形態では、放射性水溶液中のカチオン性放射性核種は、ハロゲン化物、特に塩化物、硝酸塩、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩、アミノ酸アニオンによって平衡状態にあるカチオン、特にアスパラギン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、重炭酸塩から選択される化合物の一部である。
特定の実施形態では、カチオン性放射性核種は塩の形態である。
特定の実施形態では、カチオン性放射性核種は、[68Ge]Ge塩、[68Ge]Ge水酸化物、[22Na]Na塩、[22Na]Na水酸化物、[57Co]Co塩、[177Lu]Lu塩から選択される。水溶液中では、塩は通常解離し、カチオン性放射性核種は、ヒドロキソ種の形成も含む複数の対イオンと会合し得る。
特定の実施形態では、カチオン性放射性核種は、[68Ge]Ge塩、[22Na]Na塩、[57Co]Co塩、[177Lu]Lu塩から選択される。
特定の実施形態では、塩は、塩化物又は硝酸塩である。非限定的な例は、[68Ge]Ge塩化物又は[68Ge]Ge硝酸塩である。
特定の実施形態では、塩は、塩化物である。
適切なカチオン性放射性核種は、中性pHで不溶性コロイド状水酸化物を形成することが多い。水溶液中のカチオン性放射性核種の溶解度は、酸性又は塩基性条件下で増加させることができる。特に、Ge、Co及びLuの放射性カチオンは酸性条件下で可溶性であり、[22Na]Naは酸性、中性又はアルカリ性溶液、特に中性又はアルカリ性溶液に可溶性である。
特定の実施形態では、放射性核種がNa、Ge、Co又はLuのカチオンである場合、放射性核種溶液のpHは7未満であり、及び/又は放射性核種がNaのカチオンである場合、放射性核種溶液のpHは7以上である。
特定の実施形態では、放射性核種がGe、Co又はLuのカチオンである場合、放射性核種溶液のpHは、7未満であり、かつ/又は放射性核種がNaのカチオンである場合、放射性核種溶液のpHは、7以上、特に7超である。
特定の実施形態では、放射性核種溶液のpHは、7未満、特に5未満、更に特に3未満、更に更に特に2未満である。
特定の実施形態では、放射性核種水溶液は、酸、特に塩酸を含む。
特定の実施形態では、放射性核種水溶液は、0.01~1.0M、特に0.01~0.1MのHCl、更に特に0.05MのHClを含む。
水溶液中のカチオン性放射性核種の溶解度だけでなく、水相及び有機相中の錯体形成親油性配位子の分布もpH依存性である。水相と有機相との間の化合物のpH依存性分布は、一般に、1-オクタノール中の化合物の全種の濃度の合計と特定のpHでの水相中の化合物の全種の濃度の合計との比であるその分配係数Dによって記述される。pH依存性分配係数DpHは、一般に、その対数logDpHとして報告される。様々な配位子について、logDpH値は既知であるか、若しくは当業者によって決定され得るか、又は文献[19,20]に記載されている方法を使用して推定されて、市販のコンピュータプログラム構築、例えば「ACD/Labs」(https://www.acdlabs.com/)、「ChemAxon」(https://chemaxon.com/)及び他において実行され得る。そのような表形式又は計算されたlogDpH値は、適切な錯体形成配位子の事前選択に使用することができる。しかしながら、錯体形成配位子の最終的な適合性は、適用可能であれば、工程a)及びb)で述べた適切な添加剤も含めて、その放射性金属錯体の分布によって決定される。抽出に適用される特定の条件下では、有機相と水相との間のこの放射性金属錯体の分配係数は、特にNaなどの一価カチオンについて、少なくとも5:1超であるべきである。
特定の実施形態では、特にGe、Co、Luなどの多価カチオンについて、有機相と水相との間のこの放射性金属錯体の分配係数は、少なくとも10:1超であるべきである。
特定の実施形態では、特にGe、Co、Luなどの多価カチオンについて、有機相と水相との間のこの放射性金属錯体の分配係数は、少なくとも30:1超であるべきである。
特定の実施形態では、有機相と水相との間のこの放射性金属錯体の分配係数は、少なくとも1000:1超であるべきである。
特定の実施形態では、有機相と水相との間のこの放射性金属錯体の分配係数は、少なくとも10000:1超であるべきである。
錯体形成配位子は、炭素原子及び/又はケイ素原子並びに1つ以上のヘテロ原子で構成される。原子の組成は、錯体形成配位子の親油性を決定する。上記のように炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比を決定するために決定的であるヘテロ原子とは別に、錯体形成配位子は、ホウ素又はハロゲンなどの更なるヘテロ原子を含んでもよい。
特定の実施形態では、錯体形成親油性配位子中の1つ以上のヘテロ原子は、互いに独立して、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン、ヒ素、ホウ素及びハロゲンから選択される。
特定の実施形態では、錯体形成親油性配位子は、ガレート、特に、アルキルガレート、ピロカテコール、ジ-若しくはトリカルボン酸、タンニン若しくはその誘導体、8-ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体、クラウンエーテル若しくはその誘導体、クリプタンド若しくはその誘導体、ポダンド若しくはその誘導体、スフェランド若しくはその誘導体、カリクサレン若しくはその誘導体、トリアルキルホスフィン、チオール若しくはその誘導体、チオエーテル若しくはその誘導体、モノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DTPA若しくはその誘導体、アルキル鎖の1つ以上の任意の位置にアリール、ヘテロアリール及び/若しくは他の官能基を含有するモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DOTA又はアリール、1つ以上のアルキル鎖中の任意の位置におけるヘテロアリール及び/又は他の官能基から選択される。
特定の実施形態では、錯体形成親油性配位子は、ガレート、特に、アルキルガレート、ピロカテコール、ジ-若しくはトリカルボン酸、タンニン若しくはその誘導体、8-ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体、クラウンエーテル若しくはその誘導体、クリプタンド若しくはその誘導体、ポダンド若しくはその誘導体、スフェランド若しくはその誘導体、カリクサレン若しくはその誘導体、チオール若しくはその誘導体、チオエーテル若しくはその誘導体、モノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DTPA若しくはその誘導体、アルキル鎖の1つ以上の任意の位置にアリール、ヘテロアリール及び/若しくは他の官能基を含有するモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DOTA又はアリール、1つ以上のアルキル鎖中の任意の位置におけるヘテロアリール及び/又は他の官能基から選択される。
特定の実施形態では、錯体形成親油性配位子は、ガレート、特にアルキルガレートである。
特定の実施形態では、68Geのカチオンの場合、錯体形成親油性配位子は、ガレート、特にアルキルガレート、ピロカテコール、ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸、タンニン若しくはその誘導体、8-ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体から選択され、及び/又は
22Naのカチオンの場合、錯体形成親油性配位子は、クラウンエーテル又はその誘導体、特にモノアニオン性クラウンエーテル誘導体から選択され、及び/又は
57Coのカチオンの場合、錯体形成親油性配位子は、トリアルキルホスフィン、チオエーテル若しくはその誘導体、モノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DTPA若しくはその誘導体、モノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DOTA若しくはその誘導体又はその混合物から選択され、及び/又は
177Luのカチオンの場合、錯体形成親油性配位子は、モノ-、ジ-、若しくはトリ-アルキル-DTPA若しくはその誘導体、若しくはモノ-、ジ-、若しくはトリ-アルキル-DOTA若しくはその誘導体から選択される。
特定の実施形態では、68Geのカチオンの場合、錯体形成親油性配位子は、ガレート、特にアルキルガレート、ピロカテコール、ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸、タンニン若しくはその誘導体、8-ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体から選択され、及び/又は
22Naのカチオンの場合、錯体形成親油性配位子は、クラウンエーテル又はその誘導体、特にモノアニオン性クラウンエーテル誘導体から選択され、及び/又は
57Coのカチオンの場合、錯体形成親油性配位子は、チオエーテル若しくはその誘導体、モノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DTPA若しくはその誘導体、モノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DOTA若しくはその誘導体又はその混合物から選択され、及び/又は
177Luのカチオンの場合、錯体形成親油性配位子は、モノ-、ジ-、若しくはトリ-アルキル-DTPA若しくはその誘導体、若しくはモノ-、ジ-、若しくはトリ-アルキル-DOTA若しくはその誘導体から選択される。
特定の実施形態では、ガレートは、C3-20-アルキルガレート、特にC6-18-アルキルガレート、更に特にドデシルガレートである。
特定の実施形態では、ジカルボン酸は、式(I)の化合物であり、

、式中
及びRは、独立して、H、直鎖又は分岐鎖アルキルから選択され、アルキルは、-OH、ハロゲン、アリール、ヘテロアリールで、場合により置換されており、
及びRは、独立して、H、-OH、直鎖又は分岐鎖アルキルから選択され、アルキルは、-OH、ハロゲン、アリール、ヘテロアリールで場合により置換されており、
nは0~6、特に0~3の整数であり、
部分R、R、R及びRは、C原子とヘテロ原子との比が上記の通りであるように選択される。
例えば、R及びRがC-アルキルであり、n=1であり、R及びRがHであることを特徴とする化合物は、合計9個のC原子及び4個のヘテロ原子(酸素)を含む。したがって、C原子とヘテロ原子との比は、2:1より大きい。
nが2以上である場合、R及びRは異なるC間で異なり得る。例えば、nが2である場合、第1のC原子に結合したRはHであり得、第1のC原子に結合したRは-OHであり得、第2のC原子に結合したRはHであり得、第2のC原子に結合したRはアルキル部分であり得る。
適切な配位子の非限定的な例は、シュウ酸又は酒石酸の誘導体である。
特定の実施形態では、nは、0、1又は2である。
特定の実施形態では、トリカルボン酸は、式(II)の化合物であり、

(式中、
及びRは、独立して、H、直鎖又は分岐鎖アルキルから選択され、アルキルは、-OH、ハロゲン、アリール、ヘテロアリールで場合により置換されており、
及びRは、独立して、H、-OH、-COOH、直鎖又は分岐鎖アルキルから選択され、アルキルは、-OH、-COOH、ハロゲン、アリール、ヘテロアリールで場合により置換されており、
mは1~6、特に1~4の整数であり、
部分R、R、R及びRは、C原子とヘテロ原子との比が上記の通りであるように選択され、部分R及びRのうちの少なくとも1つはカルボン酸部分を含む。
mが2以上である場合、R及びRは異なるC間で異なり得る。例えば、mが2である場合、第1のC原子に結合したRはHであり得、第1のC原子に結合したRは-COOHであり得、第2のC原子に結合したRはHであり得、第2のC原子に結合したRはアルキル部分であり得る。
適切な配位子の非限定的な例は、クエン酸の誘導体である。
特定の実施形態では、mは、3である。
3D印刷中にモノマーが重合すると、放射性錯体はポリマーネットワークに捕捉される。放射性錯体を更に固定化するために、親油性配位子はアクリラート又はメタクリラート部分を含んでもよい。そのような部分は、3D印刷中の共重合に起因して、放射性錯体の親油性配位子とポリマーネットワークのモノマーとの間の共有結合形成を可能にする。
特定の実施形態では、錯体形成配位子は、1つ以上のアクリラート部分及び/又は1つ以上のメタクリラート部分で置換されている。
特に、配位子とカチオン性放射性核種とによって形成された錯体が負又は正に帯電している場合、塩基又は適切なアニオン若しくはカチオンが補助配位子として、及び/又は電荷補償のために添加されて、非荷電錯体を生成する。
特定の実施形態では、添加剤は、疎水性アミン、特にモノ-、ジ-又はトリアルキルアミン、対応するテトラアルキルアンモニウム塩、トリフラート、メシレート、トシレート、ベンゾエート、サリシレート、ペルクロレート、テトラフルオロボレート、テトラフルオロカルボキシレート、アルキルスルホネート、アルキルホスホネートから選択される。
特定の実施形態では、添加剤は、疎水性アミン、特にモノ-、ジ-又はトリアルキルアミン、対応するテトラアルキルアンモニウム塩、トリフラート、メシレート、トシレート、ベンゾエート、サリシレート、ペルクロレート、テトラフルオロボレート、テトラフルオロカルボキシレート、アルキルスルホネート、アルキルホスホネートから選択され、アルキル部分は少なくとも3個のC原子を含む。
特定の実施形態では、添加剤は、疎水性アミン、特にモノ-、ジ-又はトリアルキルアミンである。特定の実施形態では、添加剤はトリアルキルアミンである。
特定の実施形態では、モノ-ジ-又はトリアルキルアミンの直鎖又は分岐鎖アルキル部分は、それぞれ2~18個のC原子を含む。
アルキル部分は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。ジ-又はトリアルキルアミンの場合、アルキル部分は同一であっても変化していてもよい。例えば、同一のアルキル部分を有する適切なトリアルキルアミンは、トリブチルアミン(N,N-ジブチルブタン-1-アミン、CAS番号102-82-9)である。様々なアルキル部分を有するトリアルキルアミンの非限定的な例は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(N-エチル-N-(プロパン-2-イル)プロパン-2-アミン、CAS番号7087-68-5)である。
特定の実施形態では、添加剤は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン又はトリブチルアミンである。
特定の実施形態では、添加剤はトリブチルアミンである。
それぞれが18個のC原子を含むアルキル部分を有するトリアルキルアミンは、合計で54個のC原子を有する。
特定の実施形態では、トリアルキルアミンのC原子の総量は、54以下、特に6~24である。
上記の配位子と同様に、添加剤はまた、共重合のためのアクリラート又はメタクリラート部分を含んでもよい。
特定の実施形態では、添加剤は、1つ以上のアクリラート部分及び/又は1つ以上のメタクリラート部分で置換されている。
68Ge]Ge4+含有錯体の相間移動を促進するために、トリブチルアミンなどの添加剤を工程(b)で添加する。
特定の実施形態では、放射性核種が68Geのカチオンである場合、添加剤は工程(b)で使用される。
3D印刷時にポリマーネットワークの形成を可能にするために、モノマー溶液のモノマーは、1つ以上のアクリラート及び/又はメタクリラート部分を含む。
特定の実施形態では、モノマー溶液のアクリラートは、モノアクリラート、ジアクリラート及びトリアクリラートから選択され、及び/又は
モノマー溶液のメタクリラートは、モノメタクリラート、ジメタクリラート及びトリメタクリラートから選択される。
特定の実施形態では、モノマーは、トリシクロデカンジメタノールジアクリラート(CAS番号42594-17-2)、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリラート(CAS番号43048-08-4)、モノ-、ジ-、又はトリ-エチレングリコールジアクリラート(CAS番号2274-11-5、CAS番号4074-88-8、CAS番号1680-21-3)、モノ-、ジ-、又はトリ-エチレングリコールジ(メタ)アクリラート(CAS番号97-90-5、CAS番号2358-84-1、CAS番号109-16-0)、ビスフェノールAエトキシラートジアクリラート(CAS番号64401-02-1)、ビスフェノールAエトキシラートジメタクリラート(CAS番号41637-38-1)から選択される。
特定の実施形態では、モノマーは、トリシクロデカンジメタノールジアクリラート、モノ-、ジ-、又はトリ-エチレングリコールジアクリラート、ビスフェノールAエトキシラートジメタクリラートから選択される。
特定の実施形態では、モノマー溶液は、1つ以上のモノマーを含む。例えば、モノマー溶液は、トリエチレングリコールジアクリラート及びトリシクロデカンジメタノールジアクリラートの混合物を含んでもよい。
相分離を容易にし、放射性有機相を収集する間の安全で容易な取り扱いを可能にするために、放射性有機相は好ましくは上側相であるべきであり、水相は下側相であるべきである。特定の場合には、放射性有機相も下側相であり得るが、この状況はあまり好ましくない。
特定の実施形態では、モノマー溶液は、0.05g/ml超の密度差を水溶液に提供する。
特定の実施形態では、モノマー溶液は、0.95g/mL以下の密度を有する。
3D印刷に典型的に使用されるモノマー溶液が高粘度を有する場合、抽出は粘性の低い有機溶媒を用いて行われ得る。続いて、得られた放射性有機相を3D印刷の前にモノマー溶液と混合する。
特定の実施形態では、有機溶媒は、0.05g/ml超の密度差を水溶液に提供する。
特定の実施形態では、有機溶媒は、0.95g/mL以下の密度を有する。
重合を促進するために、有機溶媒は、アクリラート及び/又はメタクリラート部分を含み得る。
特定の実施形態では、有機溶媒は、アクリラート、メタクリラート及びアセタート、又はそれらの混合物から選択される。
特定の実施形態では、有機溶媒は、アルキルアクリラート、アルキルメタクリラート及びアルキルアセタート、又はそれらの混合物から選択される。
特定の実施形態では、有機溶媒は、C2-12-アルキルアクリラート、C2-12-アルキルメタクリラート及びC2-12-アルキルアセタート、又はそれらの混合物から選択される。
特定の実施形態では、有機溶媒は、ブチルアクリラート及びブチルアセタートから選択される。
特定の実施形態では、有機溶媒は、80℃超の沸点を有する。
発明の第2の態様は、放射性重合性溶液であって、特に第1の態様に記載の方法によって調製され、アクリラート及びメタクリラートから選択される1つ以上のモノマーを含むモノマー溶液に溶解した錯体を含み、前記錯体が、
・半減期>5dのカチオン性放射性核種と、
・錯体形成親油性配位子であって、
-前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子が、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であり、前記比について考慮されるヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
-前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に<1500g/mol未満である、錯体形成親油性配位子と、
・場合により添加剤であって、前記添加剤が、塩基又は適切なカチオン若しくはアニオンである添加剤と、
を含む、放射性重合性溶液に関する。
放射性重合性溶液は、特にファントム内に均一に分布した放射能を特徴とする固体状態ファントムを製造するために、3D印刷に使用することができる。
PET又はSPECT測定などの医療撮像における用途を可能にするために、ファントムは放射能の特定の閾値を通過する必要があり、それはファントムが生成される放射性重合性溶液にも適用される。
特定の実施形態では、放射性重合性溶液の放射能濃度は、1mL当たり0.1kBq~1MBq、特に1mL当たり1~100kBqである。
放射性重合性溶液は、重合反応を開始するための開始剤などの3D印刷に必要な更なる化合物を含んでもよい。適切な開始剤は、当業者に公知である。
特定の実施形態では、放射性重合性溶液は、開始剤、特に光開始剤、更に特にフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを更に含む。
特に、モノマー溶液、カチオン性放射性核種、錯体形成親油性配位子及び添加剤に関して、発明の第1の態様の説明及び実施形態を参照する。
発明の第3の態様は、放射性物体を調製する方法に関する。本方法は、
a)発明の第1の態様による方法に従って調製された放射性重合性溶液、又は発明の第2の態様による放射性重合性溶液を提供する工程と、
b)開始剤、特に光開始剤、更に特にフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを添加する工程と、
c)光又はUV光を使用することによる重合工程と、
を含む。
上述のように、発明の第1又は第2の態様による放射性重合性溶液は、PET又はSPECT測定用のファントムなどの放射性物体を調製する方法に使用することができる。
特定の実施形態では、放射性重合性溶液の放射能濃度は、1mL当たり0.1kBq~1MBq、特に1mL当たり1~100kBqである。
この方法は、3Dプリンタを使用して実行することができる。ステレオリソグラフィなどの標準的な3D印刷プロセスを適用して、任意の形状の放射性物体を得ることができる。典型的には、放射性重合性溶液を3Dプリンタのカートリッジに充填し、物体を層ごとに構築し、光又はUV光によって硬化させる、すなわち光開始剤を光又はUV光によって活性化して重合反応を開始させる。同位体をポリマーマトリックスに組み込むためのプロセスは、エントロピー制御とは対照的に、エネルギー的に(又はエンタルピー的に)制御される。したがって、より大きな安定性がシステムに伝えられる。
特定の実施形態では、発明の第3の態様による方法を実行するために3Dプリンタが使用される。
特に、モノマー溶液、カチオン性放射性核種、錯体形成親油性配位子及び添加剤に関して、発明の第1及び第2の態様の説明及び実施形態を参照する。
発明の第4の態様は、特に発明の第3の態様による方法に従って調製された放射性物体に関する。放射性物体であって、アクリラートポリマー及びメタクリラートポリマーから選択される1つ以上のポリマーを含むポリマーネットワーク中に分布した錯体を含み、前記錯体が、
・半減期>5dのカチオン性放射性核種と、
・錯体形成親油性配位子であって、
-前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子が、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であり、前記比について考慮されるヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
-前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に<1500g/mol未満である、錯体形成親油性配位子と、
・場合により添加剤であって、前記添加剤が、塩基、若しくは補助配位子として及び/又は電荷補償のために作用する適切なカチオン若しくはアニオン若しくはアニオンである添加剤と、
を含む。
放射性物体は、PET又はSPECT測定などの医療撮像に有用なファントムであり得る。
放射性物体は、ポリマーネットワーク内に均一に分布する放射性錯体を特徴とする。冷壁のないそのようなファントムは、長寿命であり、取り扱いが容易である。更に、既知のファントムと比較して、反復測定の再現性及び精度を改善することができる。錯体放射性同位体は、硬質ポリマーマトリックスに安定に組み込まれ、浸出を防止し、動作上の安全性を追加する。更に、固体状態放射性源の輸送に関連する規制要件は、液体充填された放射性ファントムと比較して低い。これにより、多施設コンソーシアム内での標準化された固体状態ファントムの交換が容易になる。
特定の実施形態では、複数の前記錯体がポリマーネットワーク内に均一に分布している。
特定の実施形態では、ポリマーは、トリシクロデカンジメタノールジアクリラートポリマー、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリラートポリマー、モノ-、ジ-、若しくはトリ-エチレングリコールジアクリラートポリマー、モノ-、ジ-、若しくはトリ-エチレングリコールジ(メタ)アクリラートポリマー、ビスフェノールAエトキシラートジアクリラートポリマー、ビスフェノールAエトキシラートジメタクリラートポリマー、又はそれらの混合物から選択される。
特定の実施形態では、ポリマーは、トリシクロデカンジメタノールジアクリラートポリマー、モノ-、ジ-、若しくはトリ-エチレングリコールジアクリラートポリマー及びビスフェノールAエトキシラートジメタクリラートポリマー又はそれらの混合物から選択される。
特定の実施形態では、ポリマーは、重合トリエチレングリコールジアクリラート及びトリシクロデカンジメタノールジアクリラートを含むコポリマーである。
特定の実施形態では、放射性物体は、定量的陽電子放射断層撮影法(quantitative positron emission tomography、PET)若しくは/及びPET/CT若しくは/又は定量的単一放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)若しくは/及びSPECT/CT、及び/又は放射能の定量的検出のための他の装置のためのファントムである。
特定の実施形態では、放射性物体は、定量的陽電子放射断層撮影法(PET)又は/及びPET/CT及び/又は定量的単一放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)又は/及びSPECT/CTのためのファントムである。
放射性物体は、線量測定計算及び/又は放射線治療計画及び/又は実証目的に使用することができる。特定の実施形態では、放射性物体は、臓器、腫瘍、別の身体部分又はそれらの組み合わせを表し、特にその形状を有する。
特に、重合してポリマーネットワークを形成するモノマー、カチオン性放射性核種、錯体形成親油性配位子及び添加剤に関して、発明の第1、第2及び第3の態様の説明及び実施形態を参照する。
発明は、以下の例及び図面によって更に例示され、そこから更なる実施形態及び利点を引き出すことができる。これらの例は、発明を例示するためのものであり、発明の範囲を限定するためのものではない。

例1:
希塩酸中の68Ge水溶液から開始して、相間移動プロセスを使用して、3D印刷のためにゲルマニウム-68を疎水性アクリラート系モノマー混合物に組み込んだ。次いで、8mL球をこの放射性構築材料を用いてステレオリソグラフィ装置で印刷した。印刷後、ワイプ試験を行った。本発明者らは、PET/CT撮像を用い、ガンマカウンタで断片化された球の断片を測定することにより、源の均一性を確認した。断片化する前に、球を50℃のエタノールに1時間供して、源気密性及び同位体浸出を評価した。
材料及び方法
化学物質及び同位体
すべての化学物質及び溶媒は、商業的供給業者から購入した。トリブチルアミン(nBuN、TBA;puriss.p.a.,純度-GC 99.6%)、ラウリルガレート(ドデシルガレート;純度-HPLC 99.9%)、n-ブチルアクリラート(純度-GC≧99%;モノメチルエーテルヒドロキノン、MEQH、4-メトキシフェノールで安定化)、活性化塩基性酸化アルミニウム(Al、Brockmann I、粒径約150メッシュ、細孔径58Å)、0.1N塩酸及び0.1N水酸化ナトリウム溶液は、Sigma-Aldrich/Merck KGaA(Darmstadt、ドイツ)から入手し、2-プロパノール(≧99.8%、p.a.)は、Carl Roth GmbH&Coから入手した。
KG(カルルスルーエ、ドイツ)、及びHanseler AG(ヘリザウ、スイス)製の96%エタノール。0.05M HCl水溶液中のゲルマニウム-68は、ITM Medical Isotopes GmbH(Garching/Munchen、ドイツ)から購入した。
68Ge抽出実験は、それぞれ1.5mL又は50mLのポリプロピレン(PP)(マイクロ)遠心管で行った。Spectrafuge(商標)24D微量遠心機(Labnet International,Inc.)を遠心分離に使用した。計量は、Mettler Toledo GmbH(Greifensee、スイス)製の較正されたXS205DU分析天秤で行った。正確な放射能測定のために、材料の小さなアリコート(5つ組)を分析天秤で秤量し、2470 Wizard2(商標)自動ガンマカウンタ(PerkinElmer、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)で、試料当たり2分間(試料>1,000cpm)又は試料当たり1時間(試料<1,000cpm)カウントした。すべての試料を試料調製の10時間後に測定して、測定されたカウントが試料の68Ge含有量を表していること、すなわち、試料調製時に存在するガリウム-68が完全に減衰しており(10の半減期の後、最初に存在するガリウム-68の99.9%超が崩壊している)、親(68Ge;t1/2=271日間)と娘(68Ga;t1/2=68分)との間の経年平衡が確立されていることを確認した(7半減期後、娘は親濃度の99%超に達した)。
適用可能な場合、正確に知られている放射能濃度を有する試料の希釈系列に基づく検量線を使用することによって、カウント毎分(cpm)値をkBqに変換した。希釈系列の調製のために、製造業者からの0.05M HCl中のゲルマニウム-68の原液を、予め秤量した11mL-ガラス-バイアル(このバイアルについては、異なる充填体積を有するISOMED 2010線量キャリブレータの較正係数が以前に決定されている)に移し、溶液の質量を微量天秤で決定した。11mL-ガラス-バイアルをゴム隔壁で密封し、溶液の放射能を、NUVIA Instruments GmbH(ドレスデン、ドイツ)の較正されたISOMED 2010線量キャリブレータで測定した。測定時、全溶液の質量は0.481g、放射能は43.85MBqであった。マイクロピペットを使用する。約10μLのこの元の製造業者の原液を、予め秤量した1.5mL微量遠心管に移し、溶液の正確な質量を微量天秤で測定した。次いで、1.5mL微量遠心管に移した放射能を、移した溶液の質量及び線量キャリブレータで測定した製造業者の原液の既知の放射能濃度に基づいて計算した。次いで、1.5mL微量遠心管中の約10μL原液を、0.05M HCl水溶液で約1MBq/mLの放射能濃度に希釈した(正確な濃度は、添加した0.05M HClの質量に基づいて計算した)。この希釈原液を使用して、約20kBq/g、約10kBq/g、約4kBq/g、約0.8kBq/g、約0.16kBq/g、約0.032kBq/g(各個々の試料の正確な濃度は、溶液の質量に基づいて計算され、これはマイクロバランスで決定された)の放射能濃度を有する0.05M HCl水溶液中で2つの独立した希釈系列を調製した。これらの試料から、0.5mL(マイクロバランスで測定した各試料の正確な質量)をWizardチューブに移し、2470 Wizard2(商標)自動ガンマカウンタでカウントした。これらの値に基づいて、cpm-Bq検量線を作成した。相関は、試験した放射能範囲全体にわたって線形であった。
ゲルマニウム-68の液体樹脂モノマーへの相間移動の手順
68Ge抽出手順で開始する直前に、いくつかの準備工程を行った:i)活性化塩基性酸化アルミニウム(長さ=3cm、直径=1cm)を充填したカラムにモノマーを通すことによって、ラジカル安定剤MEQHをn-ブチルアクリラート(10mL)の少量から除去した。ii)約250kBqの0.05M HCl中68Ge溶液を微量遠心管に移し、必要量の0.05M HCl水溶液の添加によって体積を100μLに調整した。iii)以下のように、微量遠心管中で2つの試薬原液:100%エタノール中のドデシルガレート200mg/mL(原液I)及び安定剤を含まないn-ブチルアクリラート中のトリブチルアミン120mg/mL(原液II)を調製した。
ゲルマニウム-68の抽出のために、20μLのエタノール原液I(4mgのドデシルガレートに相当)を100μLの0.05M HCl中68Ge溶液に添加し、内容物をボルテックスで素早く混合した。その後直ちに、100μLの有機原液II(トリブチルアミン12mgに相当し、ドデシルガレートに対して約5.5モル当量に等しい)を添加し、得られた二相混合物をボルテックス上で1分間完全に混合し、続いて16300×gで3分間遠心分離した。68Ge含有有機上層を、マイクロピペットを使用することによって、新しい予め秤量した微量遠心管に慎重に移した。有機抽出物を水層の一部で汚染しないように注意しなければならないため、抽出管内の有機相の残存量によるわずかな損失は避けられなかった。有機層及び水層の秤量されたアリコートを、試料調製の10時間後にガンマカウンタでカウントして、ガンマカウンタで測定されたガリウム-68がカウント試料中のゲルマニウム-68のみに由来することを確実にした(上記参照)。結果を用いて、各層の放射能濃度を算出し、分配係数及び抽出効率を算出した。最終ファントム中の所望の放射能濃度に基づいて、適切な体積の68Ge含有有機抽出物を慎重に、しかし印刷に必要な体積の液体モノマーと完全に混合した。この工程の間、気泡及び泡の形成を回避する必要があった。次いで、放射性液体モノマーを印刷のためにプリンタカートリッジに移した。68Ge含有液体樹脂モノマーの秤量されたアリコート(プリンタカートリッジへの移送中に抜き出した)をガンマカウンタでカウントして、68Ge含有液体モノマー中の放射能分布の均一性を評価した。
ステレオリソグラフィ
球(直径25mm、体積約8mL)の3D印刷を、強化されたLEDデジタル光処理(DLP)技術で動作するProJet(登録商標)1200 3Dプリンタ(3D Systems,Inc.、米国)で行った。ProJet(登録商標)1200 3Dプリンタの正味の構築体積は43×27×150mm(xyz)であり、ネイティブ解像度(xyz)は0.056mm(有効585dpi)であり、層厚は0.03mmであり、垂直構築速度は14mm/hであった[21]。造形材料「VisiJet FTX Green」は、40~55%のトリエチレングリコールジアクリラート、15~25%のトリシクロデカンジメタノールジアクリラート、及び1.5~2.5%の光開始剤フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを含むUV硬化性液体樹脂モノマー混合物である[22]。
ステレオリソグラフィ手順の完了後、印刷された物体を2-プロパノールで2回すすぎ、乾燥させ、次いで、ユーザガイド[21]の指示に従ってUV硬化チャンバ内で後硬化させた。
ゲルマニウム-68(直径7.7/10.0/13.0/17.0/22.0/28.0/37.0mm)を用いた7.7mm~37mmの範囲の球のセットの印刷を、造形材料として「フロゼン樹脂ABS様クリーミー白色」を使用して3DプリンタであるAnycubic Photon Mono Xで行った。
印刷された球の測定された体積、重量、及び真球度を表1に示す。標的直径からの偏差は通常サブミリメートルの範囲にあるため、検査されたすべての球の真球度は、1に近かった。
源気密性測定
68Geファントムからの放射能の潜在的な漏れを検出するために、水で濡らしたスワブ及びエタノールで濡らしたスワブ(各溶媒について5つの試料)を使用してワイプ試験を最初に行い、それをガンマカウンタ(試料調製の10時間後、上記を参照)で測定した。これらの試験における検出限界(limit of detection、LOD)及び定量限界(limit of quantification、LOQ)は、バックグラウンド試料(キャップ付き空チューブ)の標準偏差(standard deviation、SD)に基づいており、式LOD=3×SD(バックグラウンド)及びLOQ=10×SD(バックグラウンド)に従って計算した。これらの式及び試料当たり1時間のカウント時間を使用して、LODは7cpmであり、68Geファントムの総カウントの2.9ppmに対応し、LOQは22cpmであり、総ファントム放射能の9.5ppmに対応した。
安全な取り扱い及び長期安定性を確保するために、本発明者らはまた、加速条件下、すなわち高温、エタノール、酸性及び塩基性水性抽出下でのファントムからのゲルマニウム-68の潜在的な漏れを調査した。この目的のために、放射性ファントムを閉じた50mL遠心管中の96%エタノール(40mL)に浸漬し、管を50℃の水浴中で1時間加熱した。最適な混合のために、抽出中にチューブを数回振盪した。最初の抽出後、新鮮なエタノール(40mL、50℃、1時間)を用いて同じ方法で2回の追加のエタノール抽出を行い、続いて0.1N HCl水溶液(40mL、50℃、1時間)及び0.1N NaOH水溶液(40mL、50℃、1時間)で単一抽出を行った。抽出溶液のアリコート(1mL)をガンマカウンタ(試料調製後10時間以内に、上記を参照)で測定し、各抽出における抽出放射能を68Geファントムの全放射能の割合として表した。
PET/CT測定
印刷された8mL球又は代替的に液体充填された8mL球を、長さ120mmのポリメチルメタクリラートロッドに取り付け、直径220mm及び長さ186mmの水充填されたポリメチルメタクリラートシリンダーの中央に配置した。充填された球の放射能濃度は、2.4kBq/mLのゲルマニウム-68であった。次いで、印刷された球又は液体充填された球のいずれかをPET/CTシステムのFOVの中心にして、円筒を配置した。PET/CTデータを、液体充填された球については18.4時間、印刷された球については15時間取得して、非常に低ノイズのPET画像を得た。両方のPET測定値を崩壊、減衰、ランダム、デッドタイム及び散乱について補正した。次いで、画像を、フィルタ補正逆投影(FBP)又は順序付きサブセット期待値最大化(OSEM)を用いて880×880×880のマトリックスに再構成した。すべての再構成は、1mmガウス再構成後フィルタリングを用いて行った。画像スライスの厚さは0.8mmであり、等角ボクセルを生成した。画像データは、DICOMフォーマットで保存し、処理した。球画像は、IGRO Pro 8(WaveMetrics,Lake Oswego,オレゴン州、米国)を使用して、球重心を中心とする120ボクセルのエッジ長の直方体内で分析した。
PET減衰補正及び印刷材料の均一性の分析のために、本発明者らは、120keVの管電圧、80mAsの管電流、1.5mmのコリメーションスライス厚及び0.8ピッチでCTスキャンを実施した。CT画像を512×512のマトリックスに再構成した。
3D印刷された68Geファントムの破壊分析
印刷した8mLの球を液体窒素(-196℃)に浸漬し、すぐに厚い透明プラスチックバッグに入れ、ハンマーを使用して破壊した。小片をWizardチューブ(10チューブ;約40~200mg/チューブ)に移し、2470 Wizard2(商標)自動ガンマカウンタでカウントした。cpm値を使用して、cpm-kBq検量線並びに測定された質量(9.747g)及び測定された球の体積(8.029mL)を使用して、放射能濃度(kBq/g及びkBq/mL)を計算した。更に、断片を含む10個の試料の放射能濃度の相対標準偏差(RSD)を決定することによって、印刷された68Geファントムの放射能分布の均一性を評価した。
結果
ゲルマニウム-68の錯化及び相間移動
安全な作業手順及び3D印刷された固体ファントムへのゲルマニウム-68の安定した組み込みを確実にするために、いくつかの重要な課題に対処する必要があった。第1に、製造中並びに3D印刷された固体ファントムの全寿命中に、揮発性放射性ゲルマニウムハロゲン化物の形成及び放出を回避するために適切な措置を取らなければならない。第2に、放射性ゲルマニウム-68は、市販の希塩酸水溶液から、水と混和性でない有機液体3D構築材料に移す必要がある。本発明者らは、ゲルマニウム-68とドデシルガレートとのキレート化と、それに続く水性層から有機層へのトリブチルアミン誘導相間移動とに基づく組み合わせた錯化-抽出手順を開発することによって両方の問題を同時に解決することを目的とし、次いで有機液体樹脂モノマー、すなわち3D構築材料と混合する。
最初の実験により、ゲルマニウム-68の抽出には、ドデシルガレート錯化剤及び相間移動剤トリブチルアミンの両方の存在が必要であることが確認された。これは、これらの薬剤のうちの1つが存在しないと効率的な移動を達成することができなかったからである。本発明者らは、両方の試薬の異なる濃度、溶媒体積、及び他の抽出パラメータの効果を評価することによって続けた。最適化された手順は、塩酸中の68Ge溶液をドデシルガレートのエタノール原液と混合し、続いてn-ブチルアクリラート中のトリブチルアミンの原液を添加し、繰り返し混合し、遠心分離し、最後に68Ge含有有機上層を清浄な微量遠心管中に除去することを含む。
抽出手順の効力は、親ゲルマニウム-68と娘ガリウム-68との間の平衡が各相で確立されていることを確実にするために、調製後10時間超で両方の相からの秤量されたアリコートの放射能濃度を決定することによって評価した。有機相と水相との間の観察された放射能濃度比は3700:1超であり、この手順を非常に効率的にした。
印刷される物体中の所望の放射能濃度に応じて、適切な体積の68Ge含有n-ブチルアクリラート相及び有機液体3D構築材料を完全に混合し、3D印刷のためにプリンタカートリッジに移した。PET/CT測定によって確認したところ、目標放射能濃度は10~11kBq/mLであった。液体3D構築材料中の放射能分布の均一性は、プリンタカートリッジの充填中に引き出された材料のいくつかのアリコートの放射能濃度を決定することによって確認された。試料の放射能濃度の相対標準偏差(RSD)は、2%未満であった(n=5)。
ステレオリソグラフィ及び源気密性測定
68Ge含有構築材料によるステレオリソグラフィは、非放射性液体モノマー樹脂を充填した元のプリンタカートリッジと同じ方法で行った。本発明者らは、印刷挙動におけるいかなる違いにも留意しなかった。また、更なる処理(すすぎ、乾燥、及び後硬化)に関して、本発明者らは、非放射性構築材料を用いた3D印刷に使用される標準的な手順から逸脱しなかった。図1は、液体充填された球と比較して最終的に印刷された球を示す。
水で湿らせたスワブ及びエタノールで湿らせたスワブを用いてワイプ試験を行うことによって、68Ge含有球の源気密性を評価した。両方のワイプ試験は、検出限界(LOD、ファントムの全カウントの2.9ppmに対応)をわずかに上回るが、定量限界(LOQ;ファントムの全放射能の9.5ppmに対応)をはるかに下回る結果をもたらした。表面抽出可能な放射能を定量化し、ファントムの長期安定性に関するより多くの洞察を得るために、ゲルマニウム-68の漏れを加速条件下、すなわち高温、エタノール、及び水性酸性並びに水性塩基性抽出下で調査した。最初に、50℃の96%エタノール中で3回の連続抽出を行った(1回の抽出当たり1時間)。抽出可能な放射能(ファントムの全放射能の割合として表される)は、最初の抽出での1.8‰から2番目の抽出での0.7‰まで、そして3番目の抽出での0.5‰まで連続的に降下した。その後の0.1N HCl水溶液及び0.1N NaOH水溶液中での50℃での酸性抽出及び塩基性抽出はそれぞれ、検出限界のすぐ上であるが定量限界(LOQ=0.4‰)をはるかに下回る抽出可能な放射能値をもたらした。
PET/CT測定
図2は、FBPで再構成された印刷及び液体充填された8mL球のPET/CT画像を示す。視覚的には、充填された球画像においてフィラーネックが軸(z)方向に認識され得ることを除いて、印刷された球と充填された球との間にほとんど違いを識別することができない。x方向及びy方向に球の重心を通る線プロファイルは、印刷された球と充填された球との間で区別できない。z線プロファイルは、充填された球(図2、緑色矢印)のフィラーネックにおける残留放射能を明らかにする。
図3は、OSEM画像について同じものを示す。OSEM再構成の空間分解能がわずかに向上すると、フィラーネック信号が更に見やすくなる。印刷された球において、記録された最大値は、FBP再構成については11.3kBqであり、OSEM再構成については11.2kBq/mLであった。印刷された球の重心で測定された放射能は、FBP及びOSEMの再構成の両方について10.8kBq/mLであった。
球重心の周りの120×120×120ボクセルの直方体内に見られる全放射能から計算された累積ヒストグラムは、画像再構成にかかわらず、印刷された球と充填された球との間の放射能分布にほとんど差を示さない(図4)。
高分解能CTスキャンにより、印刷された球内に3つの空隙が明らかになり、最大の空隙は1mm未満の直径を有する。
同じ直径の非放射性の印刷された球にも同じ空隙が観察された。より小さい印刷された球は、そのようなアーチファクトを明らかにしなかった。本発明者らは、欠陥が本発明者らの相間移動法の結果ではなく、印刷に関連していると結論付ける。
別の構成では、最新技術のPET/CTスキャナBiograph Vision Quadraで背景に対する異なる前景の影響を見るために、6つの球からなるゲルマニウム-68ファントムを崩壊ガリウム-68溶液中で測定した。ファントムは、NEMA NU 2-2018規格の公開された仕様に従って設定したが、直径37mmの最大球を除き、これを7.7mmの球に置き換えて、規格が設定されたときの時間と比較して撮像の非常に著しい進歩を考慮した。そのような構成は、高分解能、低ノイズ、及び定量的な結果を最適化するために、既知の活動及び様々なバックグラウンドのファントムを用いた試験機及び再構成アルゴリズムを短時間で提供する。
3D印刷された68Geファントムの破壊分析によるPETデータの検証
PETスキャンから得られた放射能濃度データを検証するために、3D印刷された球を破壊し、秤量された断片の放射能をガンマカウンタで決定した。破壊分析に基づく放射能濃度は10.9±0.3kBq/mL(平均±SD)であり、PETデータから計算された値と本質的に同一であった。更に、破壊分析におけるファントム断片の放射能濃度の相対標準偏差(RSD)は2%未満(n=10)であり、放射能が3D印刷された68Geファントム全体に均一に分布していることが確認された。
結論
本発明者らは、ゲルマニウム-68を印刷モノマーに転写することに成功し、この構築材料を用いて冷壁のない高温球を製造することが可能であることを実証した。印刷後、得られた8mL球は、10.9±0.3kBq/mLの均一な放射能分布を有し、ほぼ完全な同位体保持を有していた。放射能は均一に分布しており、印刷された球のPET画像は、液体充填された8mLの球のPET画像と区別できなかった。実際には、液体充填された球は、フィラーネックに残留放射能を保持し、印刷された球では確実に除外することができる。
ゲルマニウム-68がファントムの全寿命中に安定に固定化される均質な最終生成物には、キレート化と相間移動とを組み合わせた方法が不可欠であるだけでなく、放射線保護の点で、樹脂と68Ge水溶液との単純な混合物よりも本質的に安全である。エネルギー的に有利なプロセスは、疎水性構築材料へのゲルマニウム-68の錯化及び相間移動を提供し、剛性ポリマーマトリックス中の均一な同位体分布を確実にし、水性環境での浸出を防止する。強い同位体保持は、放射線安全性のために冷壁を陳腐化させる。これは、前景-背景インターフェース[17]におけるフリンジ効果を回避し、より良い生理学的表現を与える。更に、本発明の方法は、異なるタイプの光造形装置で機能する他の市販の印刷モノマーで首尾よく試験されている。
まとめると、本発明者らは、68GeベースのPETファントムの3D印刷、すなわち水溶液から有機アクリラート系モノマーへのゲルマニウム-68の移動及び不揮発性疎水性錯体の形態のモノマー中のゲルマニウム-68の安全な封じ込めをこれまで妨げてきた2つの重要な課題を解決するための組み合わせた錯化-抽出手順を開発した。前記手順は、ゲルマニウム-68のモノマーへの移動を最大化し、最終放射能濃度の正確な制御を可能にする。得られた放射性モノマーを用いて、分子撮像のためのファントムの迅速、容易かつ分散的な製造が実現可能になる。容易に入手可能なゲルマニウム-68水溶液は、本発明の方法を任意の形状の長寿命PET/CTファントムの低コスト製造に本質的に適したものにする。更に、本発明の方法は、他の3D成形ポリマーベースのプロセス、異なるポリマー及び他の放射性核種に適合可能である。
例2:
この例は、この特許で特許請求された方法を使用して、放射性核種コバルト-57及びルテチウム-177を用いた代表的な相間移動実験の手順及び結果を説明する。
ドデシルガレートを用いたコバルト-57及びルテチウム-177のブチルアクリラートへの相間移動手順
放射性同位体を水相からブチルアクリラート又はブチルアセタートに直接移すために、既知の比放射能の放射性同位体水溶液が使用される。典型的な実験では、モノマー又は有機溶媒としてのブチルアクリラート130μL、錯体形成親油性配位子としてのドデシルガレート5mg、及び添加剤としてのトリブチルアミン15μLを1.5mLエッペンドルフチューブ内で混合する。次いで、放射性同位体溶液150μLを添加する。試料をシェーカー中室温で30分間混合し、遠心分離する。次いで、相を分離し、分配係数の決定又は放射性標識のために使用する。
分配係数の計算:分配係数を決定するために、調整可能なピペットを使用して50μLの各相を分離し、Perkin-Elmer Wizardガンマカウンタで両相の溶液放射能を測定する。分配係数は、水相中のカウントに対する有機相中の決定されたカウントの比として計算される。
本発明者らは、半減期が272dのガンマ放出体コバルト-57を試験した。約1.5MBq/mLの比放射能を有する塩化コバルト-57の水溶液を使用した。
相分離手順の後、コバルト-57分配係数は、71:1であると決定された。参考として、すべての添加剤の影響を別々に試験し、分配係数を計算した。有機相中のカウントのブチルアクリラートのみを含む水相中のカウントとの決定された比は1:40’000であり、ブチルアクリラート中5mgのラウリルガレートでは1:34’000であり、ブチルアクリラート中15μLのトリエチルアミンでは1:5’600であった。
結果は、コバルト-57の有機相への効率的な移動を達成するためには、ラウリルガレート及びトリエチルアミンの両方が必要であることを明確に示している。
本発明者らはまた、6.7dの半減期を有する電子及びガンマ放出体ルテチウム-177の相分布を決定した。比放射能が約5MBq/mLの塩化ルテチウム-177の水溶液を使用した。ブチルアクリラートの水に対する分配係数は20.8:1であった。添加剤を含まないブチルアクリラートのみの分配係数は1:130であり、ブチルアクリラートのみのラウリルガレートの分配係数は1:110であり、ブチルアクリラートのみのトリブチルアミンの分配係数は1:17’800であった。
印刷のために、有機相を3D印刷のためのモノマー溶液に直接添加し、十分に混合することができる。
8-ヒドロキシ-キノリンを用いたコバルト-57のブチルアクリラートへの相間移動手順
1.5mLエッペンドルフチューブ内で、錯体形成親油性配位子としての10mgの8-ヒドロキシ-キノリンを、モノマー又は有機溶媒としての150μLのブチルアクリラートに溶解した。次いで、0.1mol/L酢酸アンモニウム中の150μLのコバルト-57溶液を添加する。試料を80℃のシェーカーで30分間混合し、遠心分離する。次いで、相を分離し、分配係数の決定又は放射性標識のために使用する。コバルト-57について41.1:1の分布が計算された。


Claims (15)

  1. 放射性重合性溶液を調製する方法であって、
    a)
    ・半減期>5dのカチオン性放射性核種を含む放射性核種水溶液と、
    ・錯体形成親油性配位子であって、
    -前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であり、前記比について考慮される前記ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
    -前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に1500g/mol未満である、
    錯体形成親油性配位子と、
    ・場合により、添加剤であって、塩基、又は補助配位子として及び/又は電荷補償のために作用する適切なカチオン若しくはアニオンである、添加剤と、
    ・アクリラート及びメタクリラートから選択される1つ以上のモノマーを含むモノマー溶液であって、前記放射性核種水溶液と混和しないモノマー溶液と、
    ・場合により、有機溶媒と、
    を提供する工程と、
    b)放射性核種水溶液を
    ・前記錯体形成親油性配位子、及び
    ・場合により、前記添加剤、及び
    ・前記モノマー溶液又は前記有機溶媒
    と混合して、水相及び放射性有機相を生じさせる工程と、
    c)工程(b)で前記モノマー溶液を使用する場合は、前記放射性有機相を分離して回収する工程、又は
    工程(b)において前記有機溶媒を使用する場合は、前記放射性有機相を分離して回収し、前記モノマー溶液を前記放射性有機相に添加する工程と、
    を含む、方法。
  2. 前記カチオン性放射性核種が、Ge、Na、Co又はLu、特に68Ge、22Na、57Co又は177Luのカチオンである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記抽出の条件下で、及び適用可能であれば前記添加剤の存在下で、前記有機相と前記水相との間の放射性金属錯体の分配係数が少なくとも>5:1である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記錯体形成親油性配位子が、
    ・ガレート、特にアルキルガレート、
    ・ピロカテコール、
    ・ジカルボン酸又はトリカルボン酸、
    ・タンニン又はその誘導体、
    ・8-ヒドロキシキノリン又はその誘導体、
    ・クラウンエーテル、クリプタンド、ポダンド、スフェランド、カリクサレン、又はそれらの誘導体、
    ・トリアルキルホスフィン、
    ・チオール、チオエーテル、又はそれらの誘導体、
    ・アルキル鎖の1つ以上の中の任意の位置にアリール、ヘテロアリール及び/又は他の官能基を含有するモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DTPA又はその誘導体、
    ・1つ以上のアルキル鎖の中の任意の位置にアリール、ヘテロアリール及び/又は他の官能基を含有する、モノ-、ジ-及びトリ-アルキル-DOTA又はその誘導体、特に、
    ・ガレート、特にアルキルガレート、
    ・ピロカテコール、
    ・ジカルボン酸又はトリカルボン酸、
    ・タンニン又はその誘導体、
    ・8-ヒドロキシキノリン又はその誘導体、
    ・クラウンエーテル、クリプタンド、ポダンド、スフェランド、カリクサレン、又はそれらの誘導体、
    ・チオール、チオエーテル、又はそれらの誘導体、
    ・アルキル鎖の1つ以上の中の任意の位置にアリール、ヘテロアリール及び/又は他の官能基を含有するモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキル-DTPA又はその誘導体、
    ・アルキル鎖の1つ以上の任意の位置にアリール、ヘテロアリール及び/又は他の官能基を含有するモノ-、ジ-及びトリ-アルキル-DOTA又はその誘導体
    から選択される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記錯体形成配位子が、1つ以上のアクリラート部分及び/又は1つ以上のメタクリラート部分で置換されている、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記添加剤が、疎水性アミン、特にモノ-、ジ-又はトリアルキルアミン、対応するテトラアルキルアンモニウム塩、トリフラート、メシラート、トシラート、ベンゾアート、サリチラート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、テトラフルオロカルボキシラート、アルキルスルホナート、アルキルホスホナートである、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記放射性核種が68Geのカチオンである場合、前記添加剤が工程(b)で使用される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
  8. ・前記モノマー溶液の前記アクリラートが、モノアクリラート、ジアクリラート及びトリアクリラート、特にトリシクロデカンジメタノールジアクリラート、モノ-、ジ-若しくはトリ-エチレングリコールジアクリラート、ビスフェノールAエトキシラートジアクリラートから選択され、及び/又は
    ・前記モノマー溶液の前記メタクリラートが、モノメタクリラート、ジメタクリラート及びトリメタクリラート、特にトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリラート、モノ-、ジ-若しくはトリ-エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ビスフェノールAエトキシラートジメタクリラート
    から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記有機溶媒が、アクリラート、メタクリラート及びアセタート又はそれらの混合物から、特にアルキルアクリラート、アルキルメタクリラート及びアルキルアセタート又はそれらの混合物から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
  10. 放射性重合性溶液であって、特に請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によって調製され、アクリラート及びメタクリラートから選択される1つ以上のモノマーを含むモノマー溶液に溶解した錯体を含み、前記錯体が、
    ・半減期>5dのカチオン性放射性核種と、
    ・錯体形成親油性配位子であって、
    -前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子が、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であり、前記比について考慮されるヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
    -前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に<1500g/mol未満である、
    錯体形成親油性配位子と、
    ・場合により添加剤であって、前記添加剤が、塩基、若しくは補助配位子として及び/又は電荷補償のために作用する適切なカチオン若しくはアニオンである添加剤と、
    を含む、放射性重合性溶液。
  11. 前記放射性標識された印刷溶液が、開始剤、特に光開始剤、更に特にフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを更に含む、請求項10に記載の放射性重合性溶液。
  12. 放射性物体を調製するための方法であって、
    a)請求項1~9のいずれか一項に記載の方法に従って調製された放射性重合性溶液、又は請求項10~11のいずれかに記載の放射性重合性溶液を準備する工程と、
    b)開始剤、特に光開始剤、更に特にフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを添加する工程と、
    c)光又はUV光を使用することによる重合工程と、
    を含む、方法。
  13. 放射性物体であって、特に請求項12に記載の方法によって調製され、アクリラートポリマー及びメタクリラートポリマーから選択される1つ以上のポリマーを含むポリマーネットワーク中に分布した錯体を含み、前記錯体が、
    ・半減期>5dのカチオン性放射性核種と、
    ・錯体形成親油性配位子であって、
    -前記錯体形成親油性配位子が、1つ以上の炭素原子及び/又は1つ以上のケイ素原子と、1つ以上のヘテロ原子とを含み、少なくとも1つのヘテロ原子が、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、炭素原子及び/又はケイ素原子とヘテロ原子との比は、2:1以上、特に2.5:1以上、更に特に3:1以上であり、前記比について考慮されるヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、セレン及びヒ素から選択され、
    -前記錯体形成親油性配位子の質量が、5000g/mol未満、特に<1500g/mol未満である、
    錯体形成親油性配位子と、
    ・場合により添加剤であって、前記添加剤が、塩基、若しくは補助配位子として及び/又は電荷補償のために作用する適切なカチオン若しくはアニオンである添加剤と、
    を含む、放射性物体。
  14. 前記放射性物体が、定量的陽電子放射断層撮影法(quantitative positron emission tomography、PET)若しくは/及びPET/CT若しくは/又は定量的単一放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)若しくは/及びSPECT/CT、又は/及び放射能の定量的検出のための他の装置のためのファントムである、請求項13に記載の放射性物体。
  15. 前記放射性物体が、臓器、腫瘍、別の身体部分、又はそれらの組み合わせを表す、請求項13に記載の放射性物体。
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