JP2024516554A - 摩擦材料組成物及び関連するブレーキパッド - Google Patents

摩擦材料組成物及び関連するブレーキパッド Download PDF

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Abstract

摩擦材料組成物と、スティクション及びクリープグローンの両方に対する低減された又はゼロの傾向を有する車両用の関連するブレーキパッドとであり、組成物は、有機結合剤と、無機充填剤と、潤滑剤と、限定的に、例えば、アルミナ、コランダム、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素から成る丸みのある形状を有する7超過のモース硬度を有する硬質研磨剤と、7未満のモース硬度を有する軟質研磨剤と、炭素ベースの材料と、組成物の総体積に対して計算された7体積%未満の量の、Cuを除く金属又は金属の混合物とを含み、丸みを帯びた硬質研磨剤と炭素ベースの材料との間の比は、1:3であり、丸みを帯びた硬質研磨剤と軟質研磨剤との間の比は、1:6であり、金属又は金属の混合物と炭素ベースの材料との間の比は、1:6である。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年4月8日に出願されたイタリア特許出願第102021000008807号の優先権を主張し、その開示全体が、参照によって本明細書に援用される。
本発明は、制動要素、例えば車両用のブレーキパッド又はブレーキシューなどの摩擦要素のための摩擦層/摩擦ブロックの製造に特に適した摩擦材料の組成物に関する。本発明はまた、この摩擦材料の組成物で作製され、特に、ただし限定的ではないが、車両の後車軸に装備するのに適している関連するブレーキパッドに関する。
本発明の摩擦材料の組成物は、アスベストを含まず、特に、ただし限定的ではないが、いわゆる「低鋼」タイプであり、「スティクション」及び「クリープグローン」として知られる現象に関して優れた特性を有し、即ち、そのような現象の発生が限定されるか、又は存在しない。
ブレーキパッドを生産するための摩擦材料組成物は、50%超過の鉄金属(鉄粉、鋼繊維)を有する半金属材料、5~35%の鉄金属を有する低金属材料又はLS(低鋼)、及び鉄材料を実質的に含有しない非アスベスト有機材料(NAO)に分類することができる。
特に、過酷な動作及び/又は環境条件下では、これは、使用時に、鋳鉄又は鋼で作製された関連するブレーキディスクへの車両のブレーキパッドのうちの1つ以上の「付着」をもたらし得ることが知られている。これは、一般に、ブレーキディスクに影響を及ぼし、制動中に、ブレーキパッドの摩擦材料と組み合わさってブレーキパッドのブレーキディスクへの偶発的な接着を引き起こす腐食生成物をもたらす腐食現象に起因し、この接着は、車両ブレーキが作動停止されたときでも一時的に維持される。この接着の現象は、「スティクション(stiction)」という英語の技術用語によって知られており、この用語は、「静的(static)」及び「摩擦(friction)」という用語の縮約及び融合、即ち「静的摩擦(static friction)」という用語に由来する。
明らかに、車両におけるスティクション即ち付着現象の使用時の発生は、制動中及びその後のブレーキの解放中の衝撃/歪み、増大するエネルギー消費、並びに極端な場合には、車両の故障及び/又はブレーキパッドの早期交換の必要性につながるブレーキパッドの摩擦材料の破損などの様々な欠点を伴う。そのため、スティクション現象は、ブレーキパッドの分野で良く知られており、湿った天候条件にさらされたときに、舗装道路を常に走行している車両にも影響を及ぼす。
ブレーキパッド、特にLS摩擦材料で作製されたときにブレーキパッドに生じる別の現象は、いわゆる「クリープグローン」である。この現象は、車両における低周波数のシャーシ振動から成り、それは、非常に低いブレーキパッド圧力及び極めて低い速度で遭遇され、運転者に非常に不快な感覚を与える。これは、いわゆる「スティックスリップ」効果、即ち、ブレーキディスク上でのブレーキパッドの繰り返される「固着」及びその後の滑り、又は動的摩擦と静的摩擦との間の繰り返される移行によって引き起こされる自励制動振動の古典的な例である。
これらの現象を低減しようとする様々な解決策が当該技術分野で知られているが、それらは、問題を完全には解決しないか、又は追加の欠点を提示する。
EP0959262は、アスベストを除いて、繊維質基材、結合剤、及び摩擦調整剤を含有する組成物を使用してクリープグローンを低減することが可能なディスクブレーキパッドを開示しており、ここにおいて、結合剤は、全体的に又は部分的に変性シリコーン樹脂から成り、組み合わせて、摩擦材料組成物は、摩擦を調整する薬剤の一部として0.5~20体積%のゼオライトを含有し、変性シリコーン樹脂は、総組成物の3体積%~30体積%の量で摩擦材料の組成物中に含有される。変性シリコーン樹脂は、油又はシリコーンゴムをノボラック型のフェノール樹脂と反応させることによって得られる。この結果、材料が高価になり、生産が困難になる。
US2005/004258は、銅を含まないが、かなりの量のステンレス鋼繊維を含有する摩擦ライニング材料を説明している。US2005/004258で使用される充填材料は、7~15体積%の量のグラファイトである。
WO2011/131227は、実質的に銅を含まない、ブレーキパッド用の低鋼(LS)摩擦材料を開示している。炭素成分は、そこに説明された組成物中に36~51体積%の量で含有される。低鋼摩擦ライニング組成物は、高圧、高温用途のために設計され、高速で良好な材料特性を有する。しかしながら、知られている低鋼(LS)摩擦ライニング材料混合物/組成物は、制動快適性の点で不利である。
WO2019120648は、ハイブリッド摩擦ライニング材料及びそれから作製されたブレーキパッドを開示しており、ここにおいて、鋼低摩擦ライニング材料(いわゆる低鋼(LS)摩擦ライニング又は摩擦ライニング材料)及びアスベストを含まない有機摩擦ライニング材料(いわゆる非アスベスト有機(NAO)摩擦ライニング又は摩擦ライニング材料)のプラスの特性が、組み合わせられることを試みられている。好ましい実施形態では、そのようなハイブリッド摩擦材料は、15~22%、特に17~20%の少なくとも1つの結合剤、5~11%の有機繊維又は有機繊維の混合物、1~20%、特に8~14%の少なくとも1つの更なる有機化合物、0又は8~16%の無機繊維又は無機繊維の混合物、10~40%の少なくとも1つの無機酸化物、6~12%の少なくとも1つの無機ケイ酸塩、13~15%の硫黄又は少なくとも1つの無機硫黄化合物、10~16%の炭素、又は特に天然グラファイト、合成グラファイト、石油コークス、脱硫された石油コークス、カーボンブラック、及びそれらの任意の混合物から成る群から選択された、本質的に炭素から成る少なくとも1つの材料、無機水酸化物の群から選択された1~1.5%の少なくとも1つの充填剤、特に水酸化カルシウム、並びに0~1%の少なくとも1つの金属、特に鉄又は鉄合金を含有する。
そのようなハイブリッド材料は、しかしながら、制動性能及び快適性の点で妥協した挙動を生じさせ、それは、多くの用途にとって最適ではない場合があるか、又は最適未満であり得る。
本発明の目的は、特に、ただし限定的ではないが、ブレーキパッド用の摩擦ブロック又は摩擦層を生産するように設計された摩擦材料の実施形態を提供することであり、ここにおいて、摩擦材料は、摩擦ブロックがそれと協働する摩擦相手の表面に対してステッチ(stitch)する傾向を低減することによって、スティクション及びクリープグローン(creep groan)の両方の現象を減少させるか又は排除することを可能にする配合を有する。
特に、本開示の目的は、そのような摩擦材料の実施形態を、鋼又は鋳鉄で作製されたブレーキディスクと使用時に協働するように設計されたブレーキパッドの一体部分として、又はブレーキパッドに一体化されたものとして提供することである。
本発明の更なる目的は、LS(低鋼)摩擦組成物タイプの制動挙動を得ることを目的とし、不純物を除いて銅及び/又は銅合金を含まない組成物を有する摩擦材料の実施形態を提供することであるが、ここにおいて、配合は、NAO(非アスベスト有機)摩擦組成物のものと比較して同等の又は更に良好な、スティクション及びクリープグローン挙動に対する低い傾向を得ることを目的とする。
本開示は、従って、いわゆる「銅を含まない」種類の摩擦材料及び関連するブレーキパッドの実施形態に関し、添付の特許請求の範囲に定義されるように、鋼若しくは鋳鉄で作製されたブレーキディスク、又は車両用若しくは任意の他の用途のためのクラッチディスクの一体部分のようなその摩擦相手の表面に対して摩擦ブロックがステッチする傾向を減少させるか又は排除するように配合/作製される。
ここで、及び以下で、「銅を含まない」という表現は、0.5%mass(重量)以下の銅の含有量及び/又は銅合金のような銅含有材料の含有量を暗示すると理解されるべきである。
本開示は更に、本発明による摩擦材料で作製されたそのような摩擦ブロック又は摩擦層を装備されたか、又はその一体化された構成要素として有するブレーキパッドの実施形態に関する。
本開示はまた、スティクション及びクリープグローンの両方に対する低減された又はゼロの傾向を有する車両用のブレーキパッドを製造するための方法の実施形態に関する。
以下に本明細書で開示する本発明の実施形態では、アスベストを含まない摩擦材料組成物は、摩擦ブロック又は摩擦層として成形されるように、好ましくは、ただし限定的ではないが、ブレーキパッド又はブレーキシューのような制動要素を装備するように設計される。
アスベストを含まない摩擦材料組成物は、その組成材料として、少なくとも1つの有機結合剤、少なくとも1つの無機充填剤、少なくとも1つの潤滑剤、少なくとも1つの硬質研磨剤、少なくとも1つの軟質研磨剤、炭素ベースの材料、及び任意選択で少なくとも1つの金属又は金属の混合物を備える。
ここで、及び以下で、硬質研磨剤は、7又は7超過のモース硬度を有する無機物であると理解されなければならず、その一方で、軟質研磨剤は、7未満のモース硬度を有する無機物であると理解されなければならない。
本開示による本発明の実施形態では、7超過のモース硬度の硬質研磨剤は、限定的に、丸みのある形状を有する硬質研磨剤から成る。
ここで、及び以下で、「丸みのある形状」は、粒子、例えば粉末形態の物質の形状であると理解されなければならず、それについて、その真円度とその真球度との間の比R/Sが計算され得、上記の間隔の下限値及び上限値を含む0.6~0.8から成る値を有する。
真円度及び真球度は、例えば、刊行物「Oil Sand Characterization for Standalone Screen Design and Large-Scale Laboratory Testing for Thermal Operations」- Mahadi Mahmoudi et al. - SPE Thermal Well Integrity and Design Symposium - Banff, Alberta, Canada, 23-25 November 2015に記載されているように、Krumbein and Sloss (1963)に従って数学的に定義された量である。
本発明に従って使用するのに適した丸みのある形状の硬質研磨剤(即ち、7超過のモース硬度を有する)は、好ましくは、ただし限定的ではないが、アルミナ、コランダム、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素、それらの任意の混合物から成る群において選ばれ得る。
本開示による実施形態において使用され得る炭素ベースの材料は、好ましくは、ただし限定的ではないが、グラファイト、グラファイト化されたコークス、石油コークス、脱硫された石油コークス、カーボンブラック、グラフェン、それらの混合物から成る群において選ばれ得る。
本開示による実施形態において使用され得る炭素ベースの材料は、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された22%vol(「%vol」は「体積の百分率」を意味する)未満の量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有され得る。
少なくとも1つの金属又は金属の混合物は、好ましくは、不純物(銅の含有量は、いずれの場合も0.5重量%以下に維持される)を除いて、銅及び/又は銅合金から成らず、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算されたが7体積%未満の量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有され得、好ましくは、ただし限定的ではないが、鉄、鋼、ステンレス鋼、スズ、亜鉛、粉末又は繊維形態の金属合金、鋼繊維、ステンレス鋼繊維から成る群において選ばれ得る。
少なくとも1つの潤滑剤は、好ましくは、ただし限定的ではないが、Sn、Zn、Fe、Mo、及びそれらの混合物の金属硫化物から成る群において選ばれた硫化物ベースの潤滑剤から成り得、硫化物ベースの潤滑剤は、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された6%vol~18%volから成る量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有され得る。
7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの軟質研磨剤は、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された26%vol~38%volから成る量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有され得、好ましくは、ただし限定的ではないが、マグネシア、クロム鉄鉱、ジルコニア、磁鉄鉱、赤鉄鉱、石英、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ケイ酸塩、フッ化物、それらの任意の混合物から成る群において選ばれ得る。
少なくとも1つの有機結合剤は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、及びそれらの混合物のうちのいずれか1つから成り得、有機結合剤は、単独で又は有機繊維と共に、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された20%vol~30%volから成る量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在し得る。適した有機繊維は、好ましくは、ただし限定的ではないが、ポリアクリル繊維、ポリアラミド繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、それらの任意の混合物から成る群において選ばれ得る。
組成物中に存在する有機繊維の含有量は、有機結合剤の総含有量の一部分として、即ちその一部として計算される。
少なくとも1つの無機充填剤は、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された8%vol~20%volから成る量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在し得、好ましくは、ただし限定的ではないが、鉱物繊維、ガラス繊維、ロックウール、フィロケイ酸塩(雲母、バーミキュライト、滑石)、チタン酸塩、Ca、Mg、Kの無機水酸化物、それらの任意の混合物から成る群において選ばれ得る。
本発明の一態様によると、本開示の実施形態は、不純物を除いて、Krumbein and Sloss (1963)に従って定義されたような角張った形状を有する、即ち、比R/S(真円度/真球度)が0.6未満である粒度を有する7超過のモース硬度のいかなる硬質研磨剤も含まない場合がある。
その上、本開示の実施形態は、不純物を除いて、粉末又は繊維のうちのいずれかの形態の任意の銅又は銅合金を含まない場合がある。
丸みを帯びた硬質研磨剤の体積含有量と軟質研磨剤の体積含有量との間の比は、1:5であり得、組み合わせて、潤滑剤の体積含有量と研磨剤の合計(軟質及び硬質、丸みを帯びた)の体積含有量との間の比は、1:4であり得る。
丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくとも1つの硬質研磨剤の体積含有量と、炭素ベースの材料の体積含有量との比は、1:3であり得る。
少なくとも1つの金属又は金属の混合物の体積含有量と炭素ベースの材料の体積含有量との間の比は、1:6であり得、組み合わせて、少なくとも1つの金属又は金属の混合物の体積含有量と、丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくとも1つの硬質研磨剤の体積含有量との間の比は、1:2であり得る。
摩擦材料組成物で作製された摩擦材料ブロックを含むブレーキパッドは、上述した摩擦材料組成物を使用して、任意の適した知られている様式で成形及び硬化され得る。
スティクション及びクリープグローンの両方に対する低減された又はゼロの傾向を有する車両用のブレーキパッドを製造するための方法の実施形態では、本方法は、上記に記載したようなアスベストを含まない摩擦材料組成物を調製するステップと、金属支持体上に適用された摩擦材料ブロック又は摩擦層中に摩擦材料組成物を成形するステップと、そのように得られた摩擦材料ブロック又は摩擦層を硬化させるステップとを備える。
ここで、本開示の内容の一部である特徴を非網羅的且つ非限定的な様式で開示することのみを意図された、その実施のいくつかの実際の実施例を参照して、及び添付の図面の図を参照して、好ましいが非限定的な実施形態をより詳細に説明する。
成形及び硬化後の本発明による摩擦材料組成物の実施形態のSEM(走査型電子顕微鏡)顕微鏡写真を示す。 不規則な形状の固体粒子の丸みのある形状又は丸みのない形状の分類方法を概略的に且つ簡潔な様式で示す。 本開示で挙げられる定義による丸みのある形状を有する硬質研磨剤(ケイ酸ジルコニウム)のSEM顕微鏡写真を示す。 本開示で挙げられる定義による丸みのある形状を有しない硬質研磨剤(炭化ケイ素)のSEM顕微鏡写真を示す。 本発明の摩擦材料の実施形態の他の組成材料と混合される前の、本開示の実施形態において充填剤として使用される原料(バーミキュライト-フィロケイ酸塩)のSEM顕微鏡写真を示す。 図5と同じ材料(バーミキュライト-フィロケイ酸塩)であって、本開示の実施形態において充填剤として使用される材料の、混合、成形、及び硬化後の摩擦材料ブロックにおけるSEM顕微鏡写真を示す(灰色の細長い粒子を参照)。 標準配合によるLS摩擦材料で作製された摩擦材料ブロックに関する振幅(m/s2)対時間(s)におけるSQuadriga三軸加速度計試験の結果を報告するグラフを示す。 本発明による摩擦材料で作製された摩擦材料ブロックに関する振幅(m/s2)対時間(s)における同じSQuadriga三軸加速度計試験の結果を報告するグラフを示す。 図7の標準配合によるLS摩擦材料(左側のグラフ)及び図8の本発明による摩擦材料(右側のグラフ)においてそれぞれ形成された2つの摩擦材料ブロックに対して実行された同じAK-Master効率試験の試験結果を示すグラフのそれぞれの対応するフェーディング部分の間の比較を示す。
発明を実施するための形態の説明
摩擦ブロック又は摩擦層中に形成されるように、好ましくは、ただし限定的ではないが、ブレーキパッド又はブレーキシューのような制動要素を装備するように設計されたアスベストを含まない摩擦材料組成物が、標準混合技法を用いて操作して、調製され、試験された。
それは、標準配合のアスベストを含まないLS摩擦材料組成物を基準材料(reference material)として調製され、試験された。本発明の可能な実施形態に従って配合されたが、残りの材料については、基準材料の配合に実質的に対応する配合を有する摩擦材料組成物も調製され、試験された。
調製され、試験されたアスベストを含まない摩擦材料組成物(基準及び本発明)の全ての配合は、その組成材料として、少なくとも1つの有機結合剤、少なくとも1つの無機充填剤、少なくとも1つの潤滑剤、7超過のモース硬度を有する少なくとも1つの硬質研磨剤、7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの軟質研磨剤、炭素ベースの材料、及び任意選択で少なくとも1つの金属又は金属の混合物を備える。
少なくとも1つの潤滑剤は、好ましくは、ただし限定的ではないが、Sn、Zn、Fe、Mo、及びそれらの混合物の金属硫化物から成る群において選ばれた硫化物ベースの潤滑剤から成り得、本発明の例証的な実施形態では、硫化物ベースの潤滑剤は、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された6%vol~18%volから成る量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有され得る。
7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの軟質研磨剤は、好ましくは、ただし限定的ではないが、組成物の総体積に対して計算された26%vol~38%volから成る量で組成物中に含有され得る。
軟質研磨剤は、好ましくは、ただし限定的ではないが、マグネシア、クロム鉄鉱、ジルコニア、磁鉄鉱、赤鉄鉱、石英、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ケイ酸塩、フッ化物、それらの任意の混合物から成る群において選ばれ得る。
少なくとも1つの有機結合剤は、好ましくは、ただし限定的ではないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、及びそれらの混合物のうちのいずれか1つから成り得る。
有機結合剤は、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された20%vol~30%volから成る量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在し得る。
本発明による摩擦材料組成物はまた、有機繊維を備え得、有機繊維は、好ましくは、ただし限定的ではないが、ポリアクリル繊維、ポリアラミド繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、それらの任意の混合物から成る群において選ばれ得る。
有機繊維は、本開示の摩擦材料組成物から製造され得るブレーキパッド/シューの動作作動条件下でのその強度を増加させることを主な目的とし得るので、好ましくは、ただし限定的ではないが、有機結合剤の一部として本開示の摩擦材料組成物中に含有され得る。
それ故に、本開示の組成物中に存在する有機繊維の含有量は、原料組成物から成形された最終摩擦材料ブロックにおいて実現される機械的特性、並びに/又はブレーキパッド/シューの動作条件、例えば、機械的及び熱的負荷に応じて、有機結合剤の含有量の一部分として、例えば、その組成物の総体積に対して計算された20%vol~30%volの総量の一部として選ばれている。
少なくとも1つの無機充填剤は、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された8%vol~20%volから成る量で本開示のアスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在し得、少なくとも1つの無機充填剤は、好ましくは、ただし限定的ではないが、鉱物繊維、ガラス繊維、ロックウール、フィロケイ酸塩(雲母、バーミキュライト、滑石)、チタン酸塩、Ca、Mg、Kの無機水酸化物、それらの任意の混合物から成る群において選ばれる。
本開示の摩擦材料組成物中に使用される炭素ベースの材料は、好ましくは、ただし限定的ではないが、グラファイト、グラファイト化されたコークス、石油コークス、脱硫された石油コークス、カーボンブラック、グラフェン、それらの混合物から成る群において選ばれ得る。
本発明の第1の態様によると、本開示の摩擦材料組成物中に使用され得る7超過のモース硬度を有する硬質研磨剤は、限定的に又はほぼ限定的に、丸みのある硬質研磨剤、即ち、丸みのある形状を有する固体粒子によって形成された硬質研磨剤(即ち、7超過のモース硬度を有する)から成り得、ここで、「丸みのある」とは、図2を参照して以下に記載するように定義される。
ここで、及び以下で、「丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の硬質研磨剤」とは、限定的に又はほぼ限定的に、以下の間隔内の比R/S(真円度/真球度)を有する研磨粒子を含み得る硬質研磨剤であると理解されるべきであり:
0.6≦R/S≦0.8
ここにおいて、R及びSは、例えば、論文「Oil Sand Characterization for Standalone Screen Design and Large-Scale Laboratory Testing for Thermal Operations」 - Mahadi Mahmoudi et al. - SPE Thermal Well Integrity and Design Symposium - Banff, Alberta, Canada, 23-25 November 2015に言及されるように、Krumbein and Sloss (1963)に従って計算される。
ここで、及び以下で、「ほぼ限定的に」とは、考慮される硬質研磨剤物質の総体積の90%又は90%に近い体積である粒子の量であると理解されるべきである。
値R及びSの計算は、以下の式(図2にも報告される)を使用して行われ、公式に導入される係数は、図2の右側部分に与えられた非限定的な視覚的な例に示す。
即ち、不規則形状粒子は、図2の右側に示すように図式化され得、そのような粒子は、図2に示すように、いくつかの丸みを帯びた縁を有し得、半径の各々は、r1、r2、..riであり得、粒子は、円に内接され得、最小半径の内接円は、図2に示すように、半径「rmin-cir」を有し、最大半径の丸みを帯びた縁は、半径「rmax-in」を有し、丸みを帯びた縁が見出されない場合でも、「rmax-in」は、この場合、粒子境界内に内接され得るより大きい円の半径であろう。
図2の左側に示す表では、いくつかの「実際の」粒子の境界の形状が視覚的に図式化され、上記で説明したように計算され得るR及びSの値が与えられる。見て分かり得るように、鋭い縁のみを有するP1として識別される粒子でさえも、高い真球度(0.9)を有し得るが、(当然ながら)非常に低い真円度(0.1)を有する。
それ故に、比R/Sは、常に計算することができ、図2の左側の図形表から見て分かり得るように、最も滑らかで丸みを帯びた境界を有するように見える粒子は全て、上記で挙げられた間隔内にある:
0.6≦R/S≦0.8
上記で挙げられた定義によると、丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の硬質研磨剤は、好ましくは、ただし限定的ではないが、アルミナ、コランダム、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素、それらの任意の混合物から成る群において選ばれ得る。
「丸みのある形状の硬質研磨剤」として分類され得る硬質研磨剤原料の視覚的態様が何であるかの更なる例として、ケイ酸ジルコニウムのSEM顕微鏡写真を図3に提示する。図3のこの材料の態様は、図4に示す材料の態様と比較されるべきであり、図4は、7超過のモース硬度であるが丸みのある形状を有しない硬質研磨剤、即ち、示す例では炭化ケイ素の、図3と同じ倍率を有する顕微鏡写真である。
図1は、硬化後の本発明による摩擦材料組成物における、即ち、ブレーキパッドを形成するために金属支持体に適用される準備ができている(又は既に適用されている)摩擦材料の摩擦ブロックにおける図3の原料によって想定される態様を示す。明らかに示しているように、硬化された摩擦材料の母材中に分散された大きい丸みのある粒子は、ケイ酸ジルコニウムの粒子、即ち、スペクトル顕微鏡写真分析によって識別され得るように、7超過のモース硬度を有する丸みのある形状の硬質研磨剤の粒子である。
また、正しい充填剤(複数可)の選択は、本開示の摩擦材料組成物において非常に重要であり得る。特に、図5では、好ましい充填剤、即ちバーミキュライト-フィロケイ酸塩から成る原料の顕微鏡写真を示す。図6は、本発明による硬化された摩擦材料組成物内の同じ充填剤の態様を示す。出発原料の態様を考慮すると、バーミキュライト-フィロケイ酸塩は、摩擦材料の母材中に埋め込まれた細長い粒子中に押し込まれており、それは、硬化された摩擦材料組成物により高い強度を付与することができる。
本発明の更なる態様によると、上記で言及されたような炭素ベースの材料は、本開示による組成物中に、組成物の総体積に対して計算された22(体積)%vol未満の量で、即ち、限定された、又はいずれにしても制限された量で含有され得る。
本発明の更なる態様によると、少なくとも1つの金属又は金属の混合物は、組成物中に存在するとき、不純物(いずれの場合も、銅の総含有量は、最大で0.5%mass、即ち重量%に等しいか、又は好ましくはそれ未満であるべきである)を除いて、銅及び/又はいかなる銅合金からも成らず、いずれにしても少量で、即ち、組成物の総体積に対して計算された7体積%未満の量で組成物中に含有されなければならない。
また、本発明による摩擦材料組成物内の成分材料の選択された対の間の比は、本開示の冒頭に記載したような目的の技術的問題を解決するという目標を達成するために、即ち、最終摩擦材料がクリープグローン及びスティクションの両方の現象を受ける傾向を低減又は排除するために最も重要であり得る。
少なくとも1つの金属又は金属の混合物の体積含有量と炭素ベースの材料の体積含有量との間の比は、好ましくは1:6であり、いずれにしても5:100~88:100の範囲内であるべきである。
上記の特徴と組み合わせて、少なくとも1つの金属又は金属の混合物の体積含有量と、丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくとも1つの硬質研磨剤の体積含有量との間の比は、好ましくは1:2であり、いずれにしても11:100~233:100の範囲内であるべきである。
本発明の態様によると、本開示の摩擦材料組成物は、不純物を除いて又はいずれにしても実質的な量で、Krumbein and Sloss (1963)に従って定義されたような角張った形状を有する、即ち、比R/S(真円度/真球度)が0.6未満である粒度を有する7超過のモース硬度のいかなる硬質研磨剤も含まない。
そのため、例えば、本発明による組成物は、硬質研磨剤として炭化ケイ素を含まず、少なくとも実質的な量では含まないであろう。
ここで、及び以下で、「実質的な量」とは、組成物の総体積の10%vol未満の量と理解されるべきである。
(7超過のモース硬度の)丸みを帯びた/丸みのある硬質研磨剤の体積含有量と軟質研磨剤の体積含有量との間の比は、好ましくは1:6であり、いずれにしても8:100~35:100の範囲内である。
上記の特徴と組み合わせて、潤滑剤の体積含有量と研磨剤の合計(軟質及び硬質、丸みを帯びた)の体積含有量との間の比は、好ましくは1:5であり、いずれにしても13:100~62:100の範囲内である。
丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくとも1つの硬質研磨剤の体積含有量と炭素ベースの材料の体積含有量との間の比は、約1:3に、いずれにしても15:100~113:100の範囲内に維持されることが重要である。
本発明は、ここで、以下の実施例を参照してより良く開示され、それらは、いずれにしても非限定的且つ非網羅的であることを意図される。
例及び比較例が、例示として以下に本明細書で挙げられ、従って、本発明を限定することを意図されない。
例1
以下の表に従って、「標準」及び「革新的」とマークされた2つの配合が調製された。「標準」配合は、車両のブレーキパッド用の摩擦材料ブロックを製造するために通常使用されるLS(低鋼)カテゴリの良く知られている摩擦材料配合に対応し、本明細書では「基準」材料として使用される。
混合物/ブレンドの総体積に対する体積%の値を示す表1に示す成分は、水平ミキサ(例えば、Loedigeの種類のミキサ)中で均一に混合され、160℃の温度で3分間、20トンの圧力下で金型中に成形され、次いで、400℃で10分間の熱処理で硬化させられて、「革新的」と示す本発明による摩擦材料と、「標準」と示す、知られている技術による、その後の比較試験のために使用される基準材料とを生産し、そのように得られた摩擦材料の各ブロックは、平坦な鋼板(背板)から成る同一の金属支持体と一体化させられて、車両ブレーキパッドを形成する。
例2
例1に説明した様式で生産されたブレーキパッドは、車両上に取り付けられ、以下の試験を受けた。
スティクション試験-手順1
・ベディング→20%gで50~0kphの100回の停止
・水道水でのコンディショニング
・駐車ブレーキが適用された駐車モード
・屋内での夜間駐車
・駐車ブレーキを解除し、音(dB)レベルを記録する
・上記のステップを10日間(週末を除く)繰り返す
・可能な限り低い音圧が要求され、音圧は、全指向性、事前分極コンデンサ、自由場マイクロフォン、周波数範囲5Hz~20kHz、1kHz~27.5dBV/Pa±2dB(42mV/Pa)で典型的な感度を提供されたNTI Audio社のオーディオ及び音響ハンドヘルドアナライザタイプXL2を介してdBで検出される
得られた結果は、以下の表2及び3に報告される。
43dBは、エンジンON時の車両(車)の騒音レベル(即ち、暗騒音)に相当することに留意されたい。43dB未満のスティクション騒音レベルは、従って、車の暗騒音によってカバーされるので、知覚されない。それ故に、騒音が記録されていないとき、(43)dBの値が表に報告される。
上記の表2及び3の騒音値の比較から見て分かり得るように、低鋼「革新的」配合について生じたdBの騒音は、「標準」配合(基準)の騒音よりも遙かに低い。
スティクション試験-手順2
・0.3gで80km/hから20km/hまでの200回の停止
・ディスクに5%NaCl溶液を噴霧する
・プロジェクトパラメータに応じたクランプ力
・3日間(第1及び第2の試験)及び10日間(第3の試験)、車を屋外に駐車させる
・トルクレンチを用いるトルク測定
・結果はNmで表される
試験結果は、以下の表4に報告される。
表4に示すように、低鋼革新的配合についてのスティクション結果は、標準配合よりも遙かに低い。
クリープグローン車両の手順-説明及び評価:
・ベディング→40br.-30bar-100~50km/h-1.5km毎
・ブレーキ鳴き評価ステップ1~5:
・ステップ1-朝-一晩車両を屋外に駐車後、ブレーキを掛けずにスロープまで運転-12%のスロープ-エンジンオン-[前進]
・ステップ2-ステップ1を繰り返す[バック]
・ステップ3-平坦路
・ステップ4-30℃での暖機運転後にステップ1を繰り返す[前進]
・ステップ5-30℃での暖機運転後にステップ2を繰り返す[バック]
・ステップ1~5を3日間繰り返す
・湿度RH [%]及び温度 [℃]を考慮すること
・以下を考慮してCG(クリープグローン)を評価する:強度/再現性-主観的指数最小:4;指数最大:10
得られた結果は、以下の表5に報告される。
見て分かり得るように、低鋼革新的配合は、基準(標準)配合よりもかなり良好なクリープグローン挙動を示し、知られているNAO材料のクリープグローン挙動と一致している。
時間の関数における振動もまた、SQuadriga三軸加速度計によってブレーキ適用中に測定された:振幅(m/s2)対時間(s)。得られた結果は、図7及び8に報告される。図7は、基準(標準)配合の挙動を示し、図8は、革新的配合の挙動を示す。検出された振動の振幅及び周波数は、本発明による摩擦材料組成物(革新的)において劇的により低いことが明らかである。
例3
例1に説明した様式で生産されたブレーキパッドが車両上に取り付けられ、沈降制動、異なる流圧での制動、低温制動(<50℃)、高速道路模擬制動、一連の回復制動が散在する2つの一連の高エネルギー制動(FADE試験)を含む、AK-Master標準に従った効率試験を受けた。
得られた結果は、図9に報告され、それは、標準(基準)配合の場合-左側のグラフ-及び革新的(本発明による)配合の場合-右側のグラフ-の試験のFADEセクションに関するグラフを比較する。
特に重要なのは、両方のグラフにおいて円で囲まれた部分である。革新的配合は、標準低鋼配合(0.41対0.44)に匹敵する全体的な公称摩擦レベルを示したが、革新的配合のフェーディング性能は、全てのフェードセクションに沿って標準配合のフェード性能よりも高く、安定している。
例4
10の配合が、以下の表6に挙げられた範囲内で、表6自体に列挙された摩擦材料成分の相対量をランダムに変えて調製された。
その後、表6の内容に従って調製された摩擦材料組成物の10の異なる配合を使用し、例1にあるのと同様に操作して、対応する摩擦パッドが調製された。その後、例2及び3に説明及び報告されている試験が新しいブレーキパッドに対して繰り返され、以前に説明した結果に常に匹敵する結果を得た(組成物の挙動は、例1の革新的組成物よりも10%多い又は少ない変動に限定された)。
上記に記載したことから、及び先行する実施例から、本発明は、本開示による摩擦材料組成物で作製された摩擦材料ブロックを含むブレーキパッドにも及ぶことが明らかである。
そのうえ、本発明はまた、スティクション及びクリープグローンの両方に対する低減された又はゼロの傾向を有する車両用のブレーキパッドを製造するための方法にまで及び、本方法は、その組成材料として、少なくとも1つの有機結合剤、少なくとも1つの無機充填剤、少なくとも1つの潤滑剤、7超過のモース硬度を有する少なくとも1つの硬質研磨剤、7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの軟質研磨剤、炭素ベースの材料、及び任意選択で少なくとも1つの金属又は金属の混合物を備えるアスベストを含まない摩擦材料組成物を調製するステップと、金属支持体上に適用された摩擦材料ブロック又は摩擦層中にアスベストを含まない摩擦材料組成物を整形し、そのように得られた摩擦材料ブロック又は摩擦層を硬化させるステップとを備え、
i.アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる7超過のモース硬度の硬質研磨剤は、限定的に又はほぼ限定的に、(上記で明確にした意味の範囲内で)丸みのある形状を有する硬質研磨剤から成り、
ii.アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる炭素ベースの材料は、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された22(体積)%vol未満の量で維持され、
iii.アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる少なくとも1つの金属又は金属の混合物は、不純物を除いてCuから成らず、鉄、鋼、ステンレス鋼、スズ、亜鉛、粉末又は繊維形態の(不純物がない限り)Cu合金を除く金属合金、鋼繊維、ステンレス鋼繊維、それらの混合物から成る群において選ばれ得、アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された7体積%未満の量でアスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる。
本発明の方法では、丸みのある形状を有する7超過のモース硬度を有する少なくとも1つの硬質研磨剤の体積含有量と、炭素ベースの材料の体積含有量とは、摩擦材料組成物の全体に対して1:3の比で選ばれ得る。
その上、炭素ベースの材料は、好ましくは、グラファイト、グラファイト化されたコークス、石油コークス、脱硫された石油コークス、カーボンブラック、グラフェン、それらの混合物から成る群において選ばれ得る。
最後に、摩擦材料組成物中の、少なくとも1つの金属又は金属の混合物の体積含有量と炭素ベースの材料の体積含有量とは、1:6の比で選ばれ得、摩擦材料組成物中の、少なくとも1つの金属又は金属の混合物の体積含有量と丸みのある形状を有する7超過のモース硬度を有する少なくとも1つ硬質研磨剤の体積含有量とは、1:2の比で選ばれ得る。
結論
上記の実施例及び開示から、本開示に従って調製され、特に表6に挙げられた相対組成値内にある摩擦材料組成物は、標準LS組成物に匹敵するか又は更に良好な制動性能を維持しながら、同様の標準LS組成物よりもスティクション及びクリープグローンの両方の現象をかなり受けにくく、クリープグローン挙動は、その上、LS材料と比較してNAO材料のあまり良好でないことで有名な制動性能を提示する、革新的材料を有しないNAO摩擦材料のクリープグローン挙動に実質的に匹敵することが明らかである。
従って、本開示の全ての目的が果たされる。
ある特定の専門用語
ある特定の制動デバイス、システム、及び方法を、ある特定の実例的な実施形態の文脈で開示しているが、本開示の範囲は、具体的に開示した実施形態を超えて、他の代替の実施形態及び/又は実施形態の使用、並びにそれらのある特定の修正形態及び均等物にまで及ぶことが当業者によって理解されるであろう。任意の構造との使用は、明らかに本発明の範囲内である。開示した実施形態の様々な特徴及び態様は、アセンブリの様々なモードを形成するために、互いに組み合わせるか、又は互いに置換することができる。本開示の範囲は、本明細書で説明した特定の開示した実施形態によって限定されるべきではない。
「することができる(can)」、「することができる(could)」、「し得る(might)」、又は「し得る(may)」などの条件付き言語は、別段に明記されていない限り、又は使用されるような文脈内で別段に理解されない限り、一般に、ある特定の実施形態が、ある特定の特徴、要素、及び/又はステップを含むか、又は含まないことを伝えることを意図される。このことから、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、及び/又はステップが1つ以上の実施形態のために何らかの形で必要とされることを暗示することを意図されない。
別段の記載がない限り、「およそ(approximately)」、「約(about)」、及び「実質的に(substantially)」という用語は、本明細書で使用される場合、依然として所望の機能を実行するか、又は所望の結果を達成する、記載した量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、文脈が指図し得るように、「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、記載した量の10%以下の範囲内の量を指し得る。同様に、「一般に(generally)」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の値、量、若しくは特性を主に含むか、又はそれに向かう傾向がある値、量、若しくは特性を表す。
本開示は、開示した実施形態の様々な特徴及び態様を互いに組み合わせるか、又は互いに置換することができることを明示的に企図する。それ故に、本開示の範囲は、上記で説明した特定の開示した実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の全範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきである。
本開示は、開示した実施形態の様々な特徴及び態様を互いに組み合わせるか、又は互いに置換することができることを明示的に企図する。それ故に、本開示の範囲は、上記で説明した特定の開示した実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の全範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきである。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 好ましくは、ただし限定的ではないが、ブレーキパッド又はブレーキシューのような制動要素を装備するために、摩擦ブロック又は摩擦層として形成されるように設計された、0.5%mass未満の銅の含有量を有するアスベストを含まない摩擦材料組成物であって、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物は、その組成材料として、少なくとも1つの有機結合剤、少なくとも1つの無機充填剤、少なくとも1つの潤滑剤、7超過のモース硬度を有する少なくとも1つの硬質研磨剤、7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの軟質研磨剤、炭素ベースの材料、及び任意選択で少なくとも1つの金属又は金属の混合物を備える、アスベストを含まない摩擦材料組成物において、組み合わせて、
i.7超過のモース硬度の前記硬質研磨剤は、限定的に、丸みのある形状を有する硬質研磨剤から成る、
ii.前記炭素ベースの材料は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された22(体積)%vol未満の量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有される、
iii.少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物は、不純物を除き銅及び/又は銅合金から成らず、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された7体積%未満の量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有される、
を組み合わせることを特徴とする、アスベストを含まない摩擦材料組成物。
[2] 少なくとも1つの前記潤滑剤は、Sn、Zn、Fe、Mo、及びそれらの混合物の金属硫化物から成る群において選ばれた硫化物ベースの潤滑剤から成り、前記硫化物ベースの潤滑剤は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された6%vol~18%volから成る量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有されることを特徴とする、[1]に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[3] 7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの前記軟質研磨剤は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された26%vol~38%volから成る量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有され、前記軟質研磨剤は、好ましくは、マグネシア、クロム鉄鉱、ジルコニア、磁鉄鉱、赤鉄鉱、石英、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ケイ酸塩、フッ化物、それらの任意の混合物から成る群において選ばれることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[4] 丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の前記硬質研磨剤は、限定的に、以下の間隔内の比R/S(真円度/真球度)を有する研磨粒子を含み:
0.6≦R/S≦0.8
R及びSは、Krumbein and Sloss (1963)に従って計算されることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[5] 丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の前記硬質研磨剤は、アルミナ、コランダム、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素、それらの任意の混合物から成る群において選ばれることを特徴とする、[4]に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[6] 少なくとも1つの前記有機結合剤は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、及びそれらの混合物のうちのいずれか1つから成り、前記有機結合剤は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された20%vol~30%volから成る量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在することを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[7] 少なくとも1つの前記無機充填剤は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された8%vol~20%volから成る量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在し、少なくとも1つの前記無機充填剤は、好ましくは、鉱物繊維、ガラス繊維、ロックウール、フィロケイ酸塩(雲母、バーミキュライト、滑石)、チタン酸塩、Ca、Mg、Kの無機水酸化物、それらの任意の混合物から成る群において選ばれることを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[8] 不純物を除いて、Krumbein and Sloss (1963)に従って定義されたような角張った形状を有する、即ち、前記比R/S(真円度/真球度)が0.6未満である粒子サイズを有する7超過のモース硬度のいかなる硬質研磨剤も含まないことを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[9] 丸みを帯びた前記硬質研磨剤の体積含有量と前記軟質研磨剤の体積含有量との間の比は、8:100~35:100から成り、好ましくは1:6であり、組み合わせて、前記潤滑剤の体積含有量と前記研磨剤の合計(軟質及び硬質、丸みを帯びた)の体積含有量との間の比は、13:100~62:100から成り、好ましくは1:5であることを特徴とする、[1]~[8]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[10] 丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくも1つの前記硬質研磨剤の体積含有量と前記炭素ベースの材料の体積含有量との間の比は、15:100~113:100から成り、好ましくは1:3であり、前記炭素ベースの材料は、好ましくは、グラファイト、グラファイト化されたコークス、石油コークス、脱硫された石油コークス、カーボンブラック、グラフェン、それらの混合物から成る群において選ばれることを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[11] ポリアクリル繊維、ポリアラミド繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、それらの任意の混合物から成る群において選ばれた有機繊維も備え、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在する有機繊維の含有量は、前記有機結合剤の含有量の一部分として、例えばその一部として選ばれることを特徴とする、[1]~[10]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[12] 少なくとも1つの前記金属は、鉄、鋼、ステンレス鋼、スズ、亜鉛、粉末又は繊維形態のCu合金を除く金属合金、鋼繊維、ステンレス鋼繊維から成る群において選ばれ、少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物の体積含有量と前記炭素ベースの材料の体積含有量との間の比は、5:100~88:100から成り、好ましくは1:6であり、組み合わせて、少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物の体積含有量と丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくとも1つの前記硬質研磨剤の体積含有量との間の比は、11:100~233:100から成り、好ましくは1:2であることを特徴とする、[1]~[11]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
[13] [1]~[12]のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物で作製された摩擦材料ブロックを含むブレーキパッド。
[14] スティクション及びクリープグローンの両方に対する低減された又はゼロの傾向を有する車両用のブレーキパッドを製造するための方法であって、前記方法は、その組成材料として、少なくとも1つの有機結合剤、少なくとも1つの無機充填剤、少なくとも1つの潤滑剤、7超過のモース硬度を有する少なくとも1つの硬質研磨剤、7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの軟質研磨剤、炭素ベースの材料、及び任意選択で少なくとも1つの金属又は金属の混合物を備えるアスベストを含まない摩擦材料組成物を調製するステップと、金属支持体上に適用された摩擦材料ブロック又は摩擦層中に前記アスベストを含まない摩擦材料組成物を整形し、そのように得られた前記摩擦材料ブロック又は摩擦層を硬化させるステップとを備える、方法において、
i.前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる7超過のモース硬度の前記硬質研磨剤は、限定的に、丸みのある形状を有する硬質研磨剤から成ること、
ii.前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる前記炭素ベースの材料は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された22(体積)%vol未満の量で維持されること、
iii.前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる前記少なくとも1つの金属又は金属の混合物は、鉄、鋼、ステンレス鋼、スズ、亜鉛、粉末又は繊維形態のCu合金を除く金属合金、鋼繊維、ステンレス鋼繊維、それらの混合物から成る群において選ばれ、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された7体積%未満の量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれることを特徴とする、方法。
[15] 丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくも1つの前記硬質研磨剤の体積含有量と前記炭素ベースの材料の体積含有量とは、15:100~113:100から成る比、好ましくは1:3の比で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物において選ばれ、前記炭素ベースの材料は、好ましくは、グラファイト、グラファイト化されたコークス、石油コークス、脱硫された石油コークス、カーボンブラック、グラフェン、それらの混合物から成る群において選ばれ、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中の、少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物の体積含有量と前記炭素ベースの材料の体積含有量とは、5:100~88:100から成る比、好ましくは1:6の比で選ばれ、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中の、少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物の体積含有量と丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくとも1つの前記硬質研磨剤の体積含有量とは、11:100~233:100から成る比、好ましくは1:2の比で選ばれる、[14]に記載の方法。

Claims (15)

  1. 好ましくは、ただし限定的ではないが、ブレーキパッド又はブレーキシューのような制動要素を装備するために、摩擦ブロック又は摩擦層として形成されるように設計された、0.5%mass未満の銅の含有量を有するアスベストを含まない摩擦材料組成物であって、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物は、その組成材料として、少なくとも1つの有機結合剤、少なくとも1つの無機充填剤、少なくとも1つの潤滑剤、7超過のモース硬度を有する少なくとも1つの硬質研磨剤、7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの軟質研磨剤、炭素ベースの材料、及び任意選択で少なくとも1つの金属又は金属の混合物を備える、アスベストを含まない摩擦材料組成物において、組み合わせて、
    i.7超過のモース硬度の前記硬質研磨剤は、限定的に、丸みのある形状を有する硬質研磨剤から成る、
    ii.前記炭素ベースの材料は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された22(体積)%vol未満の量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有される、
    iii.少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物は、不純物を除き銅及び/又は銅合金から成らず、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された7体積%未満の量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有される、
    を組み合わせることを特徴とする、アスベストを含まない摩擦材料組成物。
  2. 少なくとも1つの前記潤滑剤は、Sn、Zn、Fe、Mo、及びそれらの混合物の金属硫化物から成る群において選ばれた硫化物ベースの潤滑剤から成り、前記硫化物ベースの潤滑剤は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された6%vol~18%volから成る量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有されることを特徴とする、請求項1に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  3. 7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの前記軟質研磨剤は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された26%vol~38%volから成る量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含有され、前記軟質研磨剤は、好ましくは、マグネシア、クロム鉄鉱、ジルコニア、磁鉄鉱、赤鉄鉱、石英、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ケイ酸塩、フッ化物、それらの任意の混合物から成る群において選ばれることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  4. 丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の前記硬質研磨剤は、限定的に、以下の間隔内の比R/S(真円度/真球度)を有する研磨粒子を含み:
    0.6≦R/S≦0.8
    R及びSは、Krumbein and Sloss (1963)に従って計算されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  5. 丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の前記硬質研磨剤は、アルミナ、コランダム、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素、それらの任意の混合物から成る群において選ばれることを特徴とする、請求項4に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  6. 少なくとも1つの前記有機結合剤は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、及びそれらの混合物のうちのいずれか1つから成り、前記有機結合剤は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された20%vol~30%volから成る量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  7. 少なくとも1つの前記無機充填剤は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された8%vol~20%volから成る量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在し、少なくとも1つの前記無機充填剤は、好ましくは、鉱物繊維、ガラス繊維、ロックウール、フィロケイ酸塩(雲母、バーミキュライト、滑石)、チタン酸塩、Ca、Mg、Kの無機水酸化物、それらの任意の混合物から成る群において選ばれることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  8. 不純物を除いて、Krumbein and Sloss (1963)に従って定義されたような角張った形状を有する、即ち、前記比R/S(真円度/真球度)が0.6未満である粒子サイズを有する7超過のモース硬度のいかなる硬質研磨剤も含まないことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  9. 丸みを帯びた前記硬質研磨剤の体積含有量と前記軟質研磨剤の体積含有量との間の比は、8:100~35:100から成り、好ましくは1:6であり、組み合わせて、前記潤滑剤の体積含有量と前記研磨剤の合計(軟質及び硬質、丸みを帯びた)の体積含有量との間の比は、13:100~62:100から成り、好ましくは1:5であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  10. 丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくも1つの前記硬質研磨剤の体積含有量と前記炭素ベースの材料の体積含有量との間の比は、15:100~113:100から成り、好ましくは1:3であり、前記炭素ベースの材料は、好ましくは、グラファイト、グラファイト化されたコークス、石油コークス、脱硫された石油コークス、カーボンブラック、グラフェン、それらの混合物から成る群において選ばれることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  11. ポリアクリル繊維、ポリアラミド繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、それらの任意の混合物から成る群において選ばれた有機繊維も備え、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に存在する有機繊維の含有量は、前記有機結合剤の含有量の一部分として、例えばその一部として選ばれることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  12. 少なくとも1つの前記金属は、鉄、鋼、ステンレス鋼、スズ、亜鉛、粉末又は繊維形態のCu合金を除く金属合金、鋼繊維、ステンレス鋼繊維から成る群において選ばれ、少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物の体積含有量と前記炭素ベースの材料の体積含有量との間の比は、5:100~88:100から成り、好ましくは1:6であり、組み合わせて、少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物の体積含有量と丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくとも1つの前記硬質研磨剤の体積含有量との間の比は、11:100~233:100から成り、好ましくは1:2であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のアスベストを含まない摩擦材料組成物で作製された摩擦材料ブロックを含むブレーキパッド。
  14. スティクション及びクリープグローンの両方に対する低減された又はゼロの傾向を有する車両用のブレーキパッドを製造するための方法であって、前記方法は、その組成材料として、少なくとも1つの有機結合剤、少なくとも1つの無機充填剤、少なくとも1つの潤滑剤、7超過のモース硬度を有する少なくとも1つの硬質研磨剤、7未満のモース硬度を有する少なくとも1つの軟質研磨剤、炭素ベースの材料、及び任意選択で少なくとも1つの金属又は金属の混合物を備えるアスベストを含まない摩擦材料組成物を調製するステップと、金属支持体上に適用された摩擦材料ブロック又は摩擦層中に前記アスベストを含まない摩擦材料組成物を整形し、そのように得られた前記摩擦材料ブロック又は摩擦層を硬化させるステップとを備える、方法において、
    i.前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる7超過のモース硬度の前記硬質研磨剤は、限定的に、丸みのある形状を有する硬質研磨剤から成ること、
    ii.前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる前記炭素ベースの材料は、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された22(体積)%vol未満の量で維持されること、
    iii.前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれる前記少なくとも1つの金属又は金属の混合物は、鉄、鋼、ステンレス鋼、スズ、亜鉛、粉末又は繊維形態のCu合金を除く金属合金、鋼繊維、ステンレス鋼繊維、それらの混合物から成る群において選ばれ、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物の総体積に対して計算された7体積%未満の量で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中に含まれることを特徴とする、方法。
  15. 丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくも1つの前記硬質研磨剤の体積含有量と前記炭素ベースの材料の体積含有量とは、15:100~113:100から成る比、好ましくは1:3の比で前記アスベストを含まない摩擦材料組成物において選ばれ、前記炭素ベースの材料は、好ましくは、グラファイト、グラファイト化されたコークス、石油コークス、脱硫された石油コークス、カーボンブラック、グラフェン、それらの混合物から成る群において選ばれ、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中の、少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物の体積含有量と前記炭素ベースの材料の体積含有量とは、5:100~88:100から成る比、好ましくは1:6の比で選ばれ、前記アスベストを含まない摩擦材料組成物中の、少なくとも1つの前記金属又は金属の混合物の体積含有量と丸みのある形状を有する7超過のモース硬度の少なくとも1つの前記硬質研磨剤の体積含有量とは、11:100~233:100から成る比、好ましくは1:2の比で選ばれる、請求項14に記載の方法。
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