JP2024513914A - バイオコンジュゲート生産のためのプロセス - Google Patents

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シルヴァン ノベラーズ,マルク
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ルイス レイモンド バスコール,デニス
ブロイアー,マクシミリアン
ブラウン,マーティン,エドワード
マーティン,ジレ-アントワン
ダニエル ミュラー,マルクス
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Abstract

本発明は、精製されたO多糖-細胞外タンパク質(O-EPA)バイオコンジュゲートの生産のためのプロセスに関する。特に、プロセスは、第1の陰イオン交換クロマトグラフィーの後のヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、次いで、疎水性相互作用クロマトグラフィー、次いで、第2の陰イオン交換クロマトグラフィーのステップを含む、前記バイオコンジュゲートの精製を含む。

Description

本発明は、精製されたO多糖-細胞外タンパク質A(O-EPA)バイオコンジュゲートの生産のためのプロセスに関する。特に、プロセスは、第1の陰イオン交換クロマトグラフィーの後のヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、次いで、疎水性相互作用クロマトグラフィー、次いで、第2の陰イオン交換クロマトグラフィーのステップを含む、前記バイオコンジュゲートの精製を含む。
高純度で糖コンジュゲートに基づく薬物を提供するためのバイオ製薬会社に対する規制当局の圧力が増大している。しかしながら、担体タンパク質に共有的に連結されたO多糖を含むバイオコンジュゲートなどの、複雑な糖コンジュゲートの精製は、困難な仕事である。そのようなバイオコンジュゲートは、「腸管外病原性大腸菌(ExPEC)」株によって引き起こされる感染症の防止のために現在開発中の多価ワクチン組成物などの、糖コンジュゲートワクチン組成物の重要な成分である[PoolmanおよびWacker, J. Infect. Dis. (2016) v.213(1):6-13]。
そのようなバイオコンジュゲートは一般に、例えば、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼ系を使用して、大腸菌などの原核宿主細胞中での担体タンパク質へのO多糖(O-PS)成分の酵素的コンジュゲーションによって生産することができる[例えば、WO 2015/124769; WO 2020/191082; PoolmanおよびWacker, J. Infect. Dis. (2016) v.213(1), pp. 6-13ならびにその中の参考文献を参照されたい]。この方法では、担体タンパク質へのO-PS成分のカップリングは、ペリプラズム空間、すなわち、細胞質内膜と、大腸菌などのグラム陰性細菌の外膜との間の空間で起こる。
そのようなバイオコンジュゲートの精製を含む生産は、自体公知である。しかしながら、以前に記載されたプロセス、特に、対応する精製ステップは、許容される純度を与え、比較的小さい規模で好適であるが、経済的に実現可能な様式での大勢の人々のワクチン接種のための十分な量の安全な製品、すなわち、許容される全体の収率および非常に高い純度の最終製品を得るのに必要とされるであろう、そのようなバイオコンジュゲートの効率的な大規模製造(例えば、少なくとも100L、最大で20,000Lの容量を有するバイオリアクター中で宿主細胞培養物を培養すること)を目的として改善することができる。糖コンジュゲートワクチン、特に、多価ExPECワクチンの成分として好適であるバイオコンジュゲートを得るためには、それぞれの精製ステップを選択し、特異的に組み合わせた後、最適化することが必要であろう。そのようなバイオコンジュゲートは、高純度で提供し、商業規模で、例えば、100L~20,000Lの容量のバイオリアクター中で製造しなければならない。変化し得る全ての因子を考慮して、ExPECに対する糖コンジュゲートワクチンを生産するための最適条件の発見は、課題を抱えており、精製ステップの選択ならびにそれぞれのステップの順序は、推測的に予測不可能であり、もっと強い理由から、非常に高い純度で、また、商業規模で良好な収率で様々な異なる糖コンジュゲートを得る完全なプロセスに適用される。
Burckhardtら [Vaccine (2019), 37(38):5762-5769]は、全細胞溶解物からの非コンジュゲート化EPA担体タンパク質の生産のための精製プロセスを記載している。記載される精製プロセスの目的は、前記EPA担体タンパク質のための以前に使用された精製方法と比較して、宿主細胞タンパク質(HCP)含量を減少させることである。記載されるプロセスは、陰イオン交換クロマトグラフィーステップ(AEX; Capto Q樹脂)、次いで、以前に使用された疎水性相互作用クロマトグラフィーステップ(HIC; フェニルセファロース樹脂)ではなく2つの混合モードの樹脂(MEP HyperCellおよびその後のヒドロキシアパタイト樹脂)上での精製と組み合わせた第2のAEXステップ(AEX2、Qセファロース樹脂)およびサイズ排除クロマトグラフィー[SEC; Qianら、Vaccine (2007), 25(20):3923-3933]を含む。しかしながら、精製プロセスの基質、すなわち、非コンジュゲート化EPA担体タンパク質は、O-EPAバイオコンジュゲートなどの、EPAコンジュゲートとは有意に異なる(例えば、本発明の目的であるO-EPAコンジュゲートについては、実際の多くの関連する活性部分は、O抗原多糖であり、ワクチン組成物中で使用される場合、血清型特異的免疫応答を生成することが意図される)。さらに、記載される精製プロセスのための出発材料として使用される全細胞溶解物は、O-EPAバイオコンジュゲートの精製のために使用される浸透圧ショック画分などのペリプラズム画分とは異なる。したがって、本発明によって解決しようとする課題は、精製される基質とマトリックスとの両方が異なるため、本明細書に記載される本発明の生産プロセスの目的には適用できない。
Ravenscroftら[Glycobiology (2016), 26(1):51-62]は、EPA担体タンパク質および志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)1型(Sd1)O多糖(O-PS)を含む糖コンジュゲートの生産のために上記のPglBコンジュゲーション系を用いた。Sd1 O-EPAコンジュゲートの単離は、浸透圧ショックによるペリプラズム空間からのその抽出およびAEXとSECとの組合せを用いる精製を含んでいた。より詳細には、第1のステップにおいて、浸透圧ショック画分を、Source 15Q樹脂、すなわち、第1のAEXステップ(AEX1)上で精製した。Sd1 O-EPA含有画分を、SDS-PAGEによって同定し、プールし、濃縮し、接線流濾過(TFF)によるバッファー交換時に、Source 15Q樹脂上に再度添加した(AEX2)。第3のステップとして、O-EPAコンジュゲートを、Superdex 200カラム上でのSECによって精製した。しかしながら、記載される精製プロセスは、バイオコンジュゲートの小規模から中規模の生産、すなわち、最大で50Lのインキュベーション培地を含有するバイオリアクター中での宿主細胞培養物のインキュベーションにとって好適であるが、経済的に実現可能な様式での大規模生産、例えば、少なくとも100Lかつ最大で20,000Lのインキュベーション培地、例えば、150L~5000Lを含有するバイオリアクター中での宿主細胞培養物のインキュベーションのためには、特に、生成物が医薬品成分として好適である必要がある、すなわち、哺乳動物、特に、ヒトに安全に注入することができる、様々な糖コンジュゲートの混合物であることが意図される場合、前記プロセスは、さらなる改善を必要とする。
Van den Dobbelsteenら[Vaccine (2016), 34:4152-4160]は、動物モデルにおける4価大腸菌O抗原バイオコンジュゲートワクチンの免疫原性および安全性を精査する試験を記載している。バイオコンジュゲートを取得するためのバイオマスを、10Lの作業容量のバイオリアクター中での宿主細胞培養物のインキュベーションによって生産した。ウサギおよびマウスにおける試験のために、バイオコンジュゲートを、浸透圧ショックによってペリプラズムから放出させ、2回の陰イオン交換クロマトグラフィーステップにわたって精製した。
ラットにおける試験のために、バイオコンジュゲートを、高圧ホモジェナイゼーションを用いて放出させ、陰イオン交換クロマトグラフィーカラム上での予備精製ステップ、陰イオン交換クロマトグラフィーカラム上での捕捉ステップ、疎水性相互作用クロマトグラフィーステップ、陰イオン交換クロマトグラフィーカラム上での磨き上げステップおよびサイズ排除クロマトグラフィーカラム上での最終磨き上げステップを用いて精製した。
WO 2017/067964は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する新しい担体としてのPcrVの使用およびPcrV担体タンパク質に共有的に連結された抗原を含むコンジュゲートを記載している。金属キレート親和性クロマトグラフィー(IMAC)、AEXおよびSECを使用するEPA-O6バイオコンジュゲートの精製が、記載されている。
WO 2009/104074は、O-EPAバイオコンジュゲート、特に、シゲラO1-EPAバイオコンジュゲートのための生産プロセスを記載している。具体的には、PglB、EPAおよびシゲラO1多糖の生合成のための酵素をコードする遺伝子情報を含む大腸菌宿主細胞を、2Lのバイオリアクター中で培養した。ペリプラズムタンパク質を浸透圧ショックによって抽出し、O1-EPAバイオコンジュゲートを、100,000ODの細胞に由来するペリプラズム画分から精製した。2回の連続したAEXステップ(AEX1およびAEX2;Source Q樹脂)、次いで、SEC(Superdex 200 Hi Load 26/60樹脂)によって、精製を実施した。さらなる実施形態においては、シゲラ(Shigella)O1-EPAバイオコンジュゲートを、AEXとフルオロアパタイトクロマトグラフィーとの組合せを用いて精製した。再度、小規模から中規模の生産プロセス(例えば、最大50Lの容量を有するバイオリアクター中での)にとって好適であるが、大勢の人々のワクチン接種のための安全な製品を得る目的で、O-EPAバイオコンジュゲートの再現性のある大規模製造のために、記載される精製手順を改善することができる。
WO 2017/035181は、EPA担体タンパク質にそれぞれ共有結合した、大腸菌多糖抗原O25B、O1A、O2、およびO6Aのコンジュゲートを含有する多価ワクチンならびにExPEC感染に対する免疫防御をもたらすためのワクチンの使用を記載している。2回の連続したAEXステップおよびSECステップを用いてコンジュゲートを精製した。
WO 2014/057109は、核酸配列を宿主細胞に挿入するための方法およびバイオリアクター中、10L規模での糖コンジュゲートワクチン候補の生産を記載している。第1のAEXステップ、第2のAEXステップおよびSECを用いて、コンジュゲートを精製した。
WO 2015/124769は、4価ExPECワクチンの開発のためのバイオコンジュゲートの生産プロセスであって、前記バイオコンジュゲートが、特に、2個または4個のグリコシル化部位を有するEPA担体タンパク質および大腸菌O抗原、特に、O25AまたはO25Bに対応するPS成分を含む、生産プロセスを記載している。50Lの培養培地から生産されたバイオコンジュゲートを、2回の連続したAEXステップ、次いで、SECによって精製した。別の例では、2Lの培養培地から得られたバイオコンジュゲートを、IMACによって精製した。再度、例えば、前臨床実験のために必要とされるように、最大50Lの培養培地からのバイオコンジュゲートの精製にとって好適であるが、記載される生産プロセスは、商業規模で多価ExPECワクチンを用意するのに必要とされるような、高純度のO-EPAバイオコンジュゲートの大規模製造のためには、さらなる改善を必要とする。
WO 2015/124769; WO 2020/191082; WO 2017/067964 WO 2009/104074 WO 2017/035181 WO 2014/057109 WO 2015/124769
PoolmanおよびWacker, J. Infect. Dis. (2016) v.213(1):6-13 Burckhardtら [Vaccine (2019), 37(38):5762-5769] Qianら、Vaccine (2007), 25(20):3923-3933 Ravenscroftら[Glycobiology (2016), 26(1):51-62 Van den Dobbelsteenら[Vaccine (2016), 34:4152-4160]
以前に記載されたプロセスは、小規模から中規模の生産(例えば、最大50Lの容量を有するバイオリアクター中での)にとって好適であるが、バイオコンジュゲート、特に、大規模製造に適している大腸菌O抗原-EPAコンジュゲートの生産のための改善されたプロセスが必要である。
かくして、技術水準のこの欠点を軽減し、そのようなプロセスを提供することが本発明の目的である。
特に、100Lから20,000Lまでの容量、例えば、150L~5000Lの容量を有するバイオリアクターなどの、バイオリアクター中でのバイオコンジュゲートの大規模生産に適用することができるプロセスを提供することが、本発明の目的である。
さらに、そのようなバイオコンジュゲートの費用効率の高い生産を可能にするために、最小限の精製ステップを必要とするバイオコンジュゲートの生産のためのプロセスを提供することが、本発明の目的である。
さらに、獣医学の分野またはヒトにおける適用のためなどの、様々な適用の純度要求を満たすように適合化させることができるバイオコンジュゲートの生産のためのプロセスを提供することが、本発明の目的である。
上記目的のうちの1つ以上が、請求項1に定義されるバイオコンジュゲートの生産のためのプロセスによって達成される。本発明のさらなる態様は、明細書および独立請求項に開示され、好ましい実施形態は、明細書および従属請求項に開示される。
本発明を、以下でより詳細に説明する。本明細書に提供/開示される様々な実施形態、選択および範囲は任意に組み合わせることができることが理解される。さらに、特定の実施形態に応じて、選択される定義、実施形態または範囲が当てはまらないこともある。
別途記述しない限り、以下の定義が本明細書において適用される。
本明細書で使用される場合、用語「a」、「an」、「the」および本発明の文脈(特に、特許請求の範囲の文脈)で使用される同様の用語は、本明細書で別途指摘しない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数形と複数形との両方を包含すると解釈されるべきである。
本明細書で使用される場合、用語「含む(including)」、「含有する(containing)」および「含む(comprising)」は、そのオープンな、非限定的な意味で本明細書で使用される。様々な実施形態、選択および範囲は、任意に組み合わせることができることが理解される。
本明細書で使用される場合、用語「約」は、数と一緒に使用される場合、参照される数の±1、±5または±10%以内の任意の数を指す。
本明細書を通して、以下を含む、いくつかの省略が使用される:
AEX1 第1の陰イオン交換クロマトグラフィー
AEX2 第2の陰イオン交換クロマトグラフィー
cHA セラミックヒドロキシアパタイト
CV カラム容量
EPA 緑膿菌の細胞外タンパク質A(細胞外毒素Aともいう)
FPF 濾過されたペリプラズム宿主細胞画分
HA ヒドロキシアパタイト
HCP 宿主細胞タンパク質
HIC 疎水性相互作用クロマトグラフィー
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IMAC 固定化金属親和性クロマトグラフィー
O-EPA 細菌O抗原多糖に共有的にカップリングしたEPA担体タンパク質の糖コンジュゲート
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
SE-HPLC サイズ排除-高速液体クロマトグラフィー
TFF タンジェンシャルフロー濾過
WFI 注射用水
用語「糖コンジュゲート」は、当業界で公知であり、特に、1つ以上の多糖に共有結合した化学物質を記載する。そのような糖コンジュゲートを、生細胞中での生物学的コンジュゲーションによって取得する(「バイオコンジュゲート」もしくは「生物学的コンジュゲート」)か、または多糖の化学的コンジュゲーションによって取得することができる(「化学的」もしくは「合成」糖コンジュゲート)。特に好適な化学物質はタンパク質であり、対応する糖コンジュゲートは糖タンパク質である。具体的には、用語「糖コンジュゲート」は、多糖(すなわち、グリカン)が担体タンパク質に共有的にカップリングされているコンジュゲーション生成物に関する。
用語「糖タンパク質」は、「伝統的な糖タンパク質」および「糖コンジュゲートワクチン」を含む。伝統的な糖タンパク質では、例えば、「有効」成分がタンパク質部分により多く存在する抗体またはエリスロポエチンなどのタンパク質部分が強調され、グリカンは、例えば、半減期または他の特性の定義において役割を果たしている。そのような伝統的な糖タンパク質は、薬学的適用において広く有用である。糖コンジュゲートワクチンでは、グリカンが意味のある抗原であるため、免疫応答が望ましいグリカン部分が強調され、タンパク質部分は単に望ましいT細胞記憶免疫応答をもたらすための担体として働く。
用語「多糖」は、当業界で公知であり、特に、線状または分枝状の、グリコシド結合によって一緒に結合した単糖単位から構成されるポリマー性炭水化物を記載する。そのような多糖は、その反復単位を特徴とし、それぞれの反復単位は、そのそれぞれの単糖組成物を用いて記載される。前記反復単位は、化学的に改変されていてもよい(例えば、アミド化、スルホン酸化、アセチル化、リン酸化など)、1つ以上の単糖を含む。前記反復単位中の典型的に見られる単糖は、3~7個の炭素原子を含有する環状または線状の単糖である。糖コンジュゲートワクチンの特定の事例では、コンジュゲート化多糖は、特定の病原体の遺伝学によって定義される前記反復単位を有する病原性種(例えば、大腸菌)を起源とする。かくして、反復単位は、病原体の特異的マーカー/識別子であってもよい。
用語「多糖成分」は結果として、糖コンジュゲートの1つ以上のグリカン鎖を意味する。グリカンは、糖残基のモノマーまたはポリマーであってよいが、典型的には、少なくとも3つの糖を含有し、線状または分枝状であってもよい。グリカンは、天然の糖残基(例えば、グルコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルノイラミン酸、ガラクトース、マンノース、フコース、アラビノース、リボース、キシロースなど)および/または改変された糖(例えば、2’-フルオロリボース、2’-デオキシリボース、ホスホマンノース、6’-スルホN-アセチルグルコサミンなど)を含んでもよい。用語「グリカン」は、糖残基のホモおよびヘテロポリマーを含む。用語「グリカン」はまた、糖コンジュゲート(例えば、糖タンパク質、糖ペプチド)のグリカン成分も包含する。
本明細書で使用される場合、用語「Oアセチル化多糖」とは、反復単位の1つ以上の単糖がアセチル化によって化学的に改変されている多糖を指す。前記単糖は、1つ以上のその存在するヒドロキシル基がアセチル化されている。糖コンジュゲートワクチンにおいて用いられる病原体由来反復単位については、特定の単糖のOアセチル化が、前記病原体のための免疫応答を誘導するために必須であり得る。病原体由来多糖成分の例は、表1に示される。
用語「グリカン」/「グリカン鎖」は、以下に定義されるように、「多糖」の同義語である。それに応じて、本発明の文脈では、「グリカン」および接頭辞「グリコ-」は、糖タンパク質などの、糖コンジュゲートの炭水化物部分も指す。
本明細書で使用される用語「血清型」とは、異なる細菌血清型に由来する異なる多糖鎖を有する糖コンジュゲートを指す。いくつかの大腸菌血清型に由来するグリカンの例は、以下の表1中で同定されている。
本明細書で使用される場合、用語「ロードを調整すること」とは、プロセス中間体、例えば、O-EPAコンジュゲートを含む宿主細胞のペリプラズム画分または第1、第2もしくは第3の精製ステップ後のO-EPAを含む画分のロードを、前記プロセス中間体を、さらなる精製のためにクロマトグラフィー樹脂に適用するのに好適である条件に調整することを指す。別途特定しない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、「ロードを調整すること」は、ロードの伝導度を、その後の精製ステップにとって好適である標的伝導度に調整すること、およびロードのpHを、その後の精製ステップにとって好適である標的pHに調整することを指す。さらに、「ロードを調整すること」は、プロセス中間体の濃度を調整すること、すなわち、特に、TFFによってプロセス容量を減少させることを含む。
用語「樹脂」および「媒体」は、本明細書では同義的に使用され、不純物からの、標的タンパク質、すなわち、O-EPAバイオコンジュゲートの分離のために使用されるクロマトグラフィー樹脂またはクロマトグラフィー媒体に関する。
本発明にとって有用な樹脂は、例えば、ビーズ、フィルター(膜)、カートリッジなどとして、異なる形式にあってもよく、全て、本発明による「樹脂」と考えるべきである。特定の実施形態においては、樹脂は、カラム中で使用することができるビーズの形態にある。特定の実施形態においては、樹脂は、官能基を有する膜の形態にある。特定の実施形態においては、樹脂は、直接使用できるカートリッジの形態にある。本発明に従って使用することができる樹脂を、供給業者、例えば、Cytiva(以前はGE Healthcare)、Bio-Rad、および/またはその他から商業的に入手することができる。
本明細書で使用される用語「薬剤物質(製剤原料)」とは、最終的に対象に投与される生成物よりも高い濃度である、個々のバイオコンジュゲート(例えば、EPA担体タンパク質に共有的にカップリングされた大腸菌O抗原多糖、例えば、EPAに共有的にカップリングされた大腸菌O25B O抗原)のバルク製品を指す。薬剤物質を、バイオコンジュゲートの精製後に生産することができる。薬剤物質は、例えば、好適な製剤化バッファー(例えば、WO2018/077853を参照されたい)中、例えば、凍結条件、例えば、-70℃で、より濃縮された形態で保存することができる。
本明細書で使用される用語「製剤(薬剤製品)」とは、バイオコンジュゲート、特に、対象への投与のための最終的な形態にある、EPA担体タンパク質に個別にカップリングされた大腸菌O抗原多糖の製剤を指す。本明細書で使用される用語「製剤」は、特に、多価ワクチン組成物、例えば、EPA担体タンパク質にそれぞれ個別にカップリングされた、大腸菌O抗原多糖O25B、O1A、O2およびO6Aを含む4価ExPEC糖コンジュゲートワクチン組成物に関する。多価糖コンジュゲートワクチン組成物のさらなる非限定例は、例えば、大腸菌O抗原多糖O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25およびO75を含む9価糖コンジュゲートワクチン組成物ならびに大腸菌O抗原多糖O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25BおよびO75を含む10価糖コンジュゲートワクチン組成物であり、それぞれの大腸菌O抗原多糖は、EPA担体タンパク質に個別にカップリングされている。典型的には、それぞれの糖コンジュゲートの薬剤物質を混合すること、およびワクチンの標的用量が生産されるように、場合により好適な製剤化バッファー(例えば、WO 2018/077853を参照されたい)を希釈することによって、製剤を調製することができる。
本発明は、図面を参照することによってより良好に理解されるであろう。
SDS-PAGEおよびクマシー染色によって分析されたAEX1溶出液の画分を示す。ゲルは、左から右に向かって、分子量マーカー(1)、参照バッチからの精製されたO25B-EPAバイオコンジュゲートの標準(2)、参照バッチの同じプロセス段階のロード材料(3)、ロード(4)、フロースルー(5)、洗浄液(6)、画分1(7)、画分2(8)、画分3(9)、画分4(10)を示す。O-EPAバイオコンジュゲートの大部分は画分1および2(レーン7および8)に溶出したが、画分3および4(レーン9および10)では、不純物の相対量が増加していた。 SDS-PAGEおよびクマシー染色によって分析されたcHA溶出液の画分を示す。A)ゲル1は、左から右に向かって、分子量マーカー(1)、参照バッチからの精製されたO25B-EPAバイオコンジュゲートの標準(2)、参照バッチの同じプロセス段階のロード材料(3)、ロード(4)、フロースルー(5)、洗浄液(6)、画分1~3(7)、画分4(8)、画分5(9)、画分6(10)を示す。B)ゲル2は、左から右に向かって、参照バッチからの精製されたO25B-EPAバイオコンジュゲートの標準(11)、分子量マーカー(12)、画分7(13)、画分8(14)、画分9(15)、画分10(16)、画分11(17)、画分12~14(18)を示す。O-EPAバイオコンジュゲートの溶出は、画分7(13)から始まって目に見える。画分11から始まって、O-EPAバイオコンジュゲートの量は減少するが、生成物は依然として目に見えるが、量は減少し、不純物がより豊富である。 SDS-PAGEおよびクマシー染色によって分析されたHIC溶出液の画分を示す。ゲルは、左から右に向かって、分子量マーカー(1)、参照バッチからの精製されたO25B-EPAバイオコンジュゲートの標準(2)、参照バッチの同じプロセス段階のロード材料(3)、ロード(4)、フロースルー(5)、洗浄液(6)、画分1(7)、画分2(8)、画分3(9)、画分4(10)を示す。 SDS-PAGEおよびクマシー染色によって分析されたAEX2溶出液の画分を示す。A)ゲル1は、左から右に向かって、分子量マーカー(1)、参照バッチからの精製されたO25B-EPAバイオコンジュゲートの標準(2)、参照バッチの同じプロセス段階のロード材料(3)、ロード(4)、フロースルー(5)、洗浄液(6)、空(7)、画分1(8)、画分2(9)、画分3(10)を示す。B)ゲル2は、左から右に向かって、参照バッチからの精製されたO25B-EPAバイオコンジュゲートの標準(11)、分子量マーカー(12)、画分4(13)、画分5(14)、画分6(15)、画分7(16)、画分8(17)、画分9(18)、画分10(19)、画分11(20)を示す。 SDS-PAGEおよびクマシー染色によって分析されたAEX2溶出液の画分を示す。C)ゲル3は、左から右に向かって、分子量マーカー(21)、参照バッチからの精製されたO25B-EPAバイオコンジュゲートの標準(22)、画分12(23)、画分13(24)、画分14(25)、画分15(26)、画分16(27)、画分17(28)、画分18(29)、分子量マーカー(30)を示す。D)ゲル4は、左から右に向かって、参照バッチからの精製されたO25B-EPAバイオコンジュゲートの標準(31)、分子量マーカー(32)、画分19(33)、画分20(34)、ストリップ(35)、空のレーン(36~39)、参照バッチからの精製されたO25B-EPOバイオコンジュゲートの標準(40)を示す。画分1~4においては、主にトランスアルドラーゼ(不純物)が減少する量で溶出している。画分5から始まって、O25B-EPAバイオコンジュゲートが目に見えるが、高い強度は画分6から始まっている。 生産プロセスを通してSE-HPLCによって測定されたグリコシル化EPAの純度を示す。中間体は、捕捉AEX(1)、cHA(2)、HIC(3)および磨き上げAEX(4)ステップの後に測定された。この例の終わりにおける純度は、99.7%である。一般に、HIC後は92~100%の純度を達成し、磨き上げAEX後は、93~100%の純度を達成することができる。
より一般的には、第1の態様において、本発明は、精製されたO多糖-細胞外タンパク質A担体(O-EPA)コンジュゲートの生産のためのプロセスに関する。前記プロセスは、原核宿主細胞から得られたバイオコンジュゲートとしてのO-EPAコンジュゲートの用意ならびにいくつかのクロマトグラフィーステップ(ステップb~eとして本明細書に記載される)を含む精製を含む。これは、以下でより詳細に説明される。
第1のステップにおいて、O-EPAバイオコンジュゲートは、前記バイオコンジュゲートを発現する原核宿主細胞のペリプラズム画分として用意する(ステップa)。
第2のステップにおいて、O-EPAバイオコンジュゲートは、第1の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX1;ステップb)によって精製される。特に、AEX1ステップは、捕捉ステップである。特定の実施形態においては、AEX1は、強力な陰イオン交換樹脂を用いて実施される。特定の実施形態においては、樹脂は、例えば、剛性の、非圧縮性の特徴を有し、高い流量で高い動的結合容量を有する、セラミック樹脂である。AEX1ステップにとって特に好適である樹脂の非限定例は、Q Ceramic HyperD F樹脂である。好ましい実施形態においては、AEX1ステップは、結合-溶出モードで実施される。
第3のステップにおいて、O-EPAコンジュゲートは、ヒドロキシアパタイト(HA)クロマトグラフィー(ステップc)によってさらに精製される。好ましい実施形態においては、HAは、セラミックヒドロキシアパタイト(cHA)を含む。セラミックHAは、球状セラミック形態の結晶性ヒドロキシアパタイトであり、この形態は、そのユニークな分離特性を維持しながら、高い流量で生産規模のカラム中での使用を可能にする。HAクロマトグラフィーは、混合モード(またはマルチモード)形態のクロマトグラフィーとして記載されることもある。好ましい実施形態においては、HA、特に、cHAクロマトグラフィーは、結合-溶出モードで実施される。第3のステップは、第2のステップの後に実施される。
好ましい実施形態においては、O-EPAコンジュゲートは、第4のステップにおいて、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC;ステップd)によってさらに精製され、第5のステップにおいて、第2の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX2;ステップe)によってさらに精製される。この実施形態は最も好ましく、実施例1において概略される。この実施形態は、全体収率が、バイオコンジュゲートの医薬調製物を作製するための大規模プロセスにとって許容し得る点で依然として十分に効率的でありながら、少ないクロマトグラフィーステップを用いて、以下に示される他の実施形態と比較して、最も高い純度のO-EPAコンジュゲートを与える(例えば、少なくとも95%の純度で、少なくとも150Lのバイオリアクターから少なくとも5%の全体収率、好ましくは、少なくとも10%の全体収率、例えば、約5~30%の全体収率[濾過されたペリプラズム画分中に存在するO-EPAコンジュゲートと比較して])。
特定の実施形態においては、HICステップは、疎水性相互作用媒体を用いて実施される。本発明のHICのために使用することができる疎水性相互作用媒体の非限定例は、Sartobind Phenyl吸収体である。
特定の実施形態においては、AEX2ステップは、強力な陰イオン交換樹脂を用いて実施される。本発明のAEX2のために使用することができる陰イオン交換媒体の非限定例は、Source Q樹脂である。
好ましくは、本発明のプロセスは、SECステップを含まない。SECは、小規模から中規模の生産プロセス(すなわち、最大で50Lのインキュベーション培地を含有するバイオリアクター中での宿主細胞培養物のインキュベーション)において都合よく用いることができるが、SECの拡張性は限られている。したがって、SECステップを含まないプロセスは、糖コンジュゲートの経済的な大規模製造(すなわち、少なくとも100Lから最大で20,000Lのインキュベーション培地、例えば、150L~5000Lを含有するバイオリアクター中での宿主細胞培養物のインキュベーション)にとって非常に適している利点を有する。
しかしながら、小規模から中規模の生産プロセスにおけるその頻繁な使用によって示されるように、SECステップを含まないヒトでの使用のための高純度糖コンジュゲートを提供するためのプロセスの開発は、特に困難である。
好ましくは、本発明のプロセスは、追加のクロマトグラフィーステップを含まない。かくして、本発明のプロセスは、好ましくは、4つを超えるクロマトグラフィーステップを含まない。さらなるクロマトグラフィーステップの追加は、得られる生成物の純度を増加させるための一般的な戦略であるが、これは一般に、より低い全体収率をもたらし、プロセスをより骨の折れるものにするであろう。さらに、さらなるクロマトグラフィーステップの追加は、一般に、溶媒消費の増加と関連する。かくして、4つ以下のクロマトグラフィーステップを含むプロセスが、経済的理由と環境保護的理由との双方から、商業規模での糖コンジュゲートの生産にとって好ましい。
好ましくは、本発明のプロセスは、大規模で実施される。かくして、本発明のプロセスは、好ましくは、100L~20000Lの容量、好ましくは、150L~5000L、例えば、150L~1000L、例えば、200Lの容量を有するバイオリアクター中での原核宿主細胞のインキュベーションを含む。
別の実施形態においては、O-EPAコンジュゲートは、第4のステップにおいて、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC;ステップd)によってさらに精製され、さらなるクロマトグラフィーステップは適用されない。
別の実施形態においては、O-EPAコンジュゲートは、第4のステップにおいて、第2の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX2;ステップe)によってさらに精製され、さらなるクロマトグラフィーステップは適用されない。この実施形態は、実施例2に概略される。これは、以前の実施形態よりも好ましい(すなわち、AEX2ではなくHICの省略は実際のプロセスの視点から好ましいが、両実施形態とも、類似する純度のO-EPAバイオコンジュゲートをもたらす)。
別の実施形態においては、O-EPAコンジュゲートは、第4のステップにおいて、第2の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX2;ステップe)によってさらに精製され、第5のステップにおいて、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC;ステップd)によってさらに精製される。
一般に、イオン交換クロマトグラフィーにおいては、結合は静電気的帯電に基づく。AEXの場合、樹脂は正に帯電した官能基を有し、かくして、負に帯電した官能基を有する試料成分がそれに結合する。当業者には公知のように、AEXを、弱い陰イオン交換体または強力な陰イオン交換体を使用して実施することができる。本発明の特定の実施形態においては、強力な陰イオン交換樹脂が、AEXステップ(AEX1およびAEX2)のために使用される。AEX樹脂にとって好適である官能基の非限定例は、第4級アンモニウム基である。そのような樹脂は、市販されており、例えば、Q Ceramic HyperD F樹脂およびSource 15Q樹脂が挙げられる。本開示および一般常識に基づいて、当業者であれば、本発明のプロセスにおける使用のために異なる利用可能なAEX樹脂を変化させる方法を知っているであろう。1つの非限定例として、AEX1を、Q Ceramic HyperD F樹脂を用いて好適に実施し、AEX2を、Source 15Q樹脂を用いて好適に実施することができる。塩濃度の増大と共に、溶出バッファー中の塩イオンは、樹脂に結合した材料と結合について競合し、結合した材料は置き換えられ、溶出される。あるいは、pHが変化した場合、結合したタンパク質は滴定され、最終的には、帯電しなくなるか、または樹脂の官能基と同じ電荷を有し、結合したタンパク質の反発および溶出をもたらす。
HA、特に、cHAクロマトグラフィーは、混合モード(マルチモード)クロマトグラフィーステップとして見ることができる。そのような樹脂は、市販されており、例えば、CHTセラミックヒドロキシアパタイト1型樹脂がある。HA(またはcHA)においては、分離は、特に、イオン相互作用と金属親和性相互作用との組合せによって達成される。典型的には、タンパク質は、HA-ホスホリル(陽イオン交換)またはHA-カルシウム相互作用(金属親和性)によってHAに結合する。小さい塩基性タンパク質は通常、ホスホリル-陽イオン交換によってHAに結合し、酸性タンパク質は典型的には、主にカルシウム親和性によって相互作用する。しかしながら、大きいタンパク質は、両方のメカニズムを使用して結合することが多い[Saraswatら、2013, BioMed Research International, Article ID 312709]。
HIC中に、標的タンパク質、例えば、O-EPAバイオコンジュゲートは、その疎水性に基づいて不純物から分離される。疎水性および親水性領域を含有する標的タンパク質は、典型的には、高塩バッファー中でHICカラムに適用される。バッファー中の塩は、標的タンパク質の溶媒和を減少させる。溶媒和が低下するにつれて、露出するようになる疎水性領域は、HIC樹脂によって吸着される。分子の疎水性が高いほど、結合を促進するために必要とされる塩は少なくなる。通常、疎水性を増加させるためにカラムから試料を溶出させるためには、低下する塩勾配が用いられる。試料の溶出を、界面活性剤などのさらなる成分の、溶出バッファーへの添加によって支援することもできる。上記のHICステップを実施するのに好適であるHICカプセルの非限定例は、Sartobind Phenyl Jumbo 5Lカプセルである。当業者であれば、本開示および様々な市販のHIC樹脂に基づいて、HIC樹脂を変化させ、本発明に従ってそれを使用することができる。
好ましい実施形態においては、AEX1は、結合-溶出モードで実施される。
好ましい実施形態においては、HA(cHA)は、結合-溶出モードで実施される。
好ましい実施形態においては、HICは、結合-溶出モードで実施される。
好ましい実施形態においては、AEX2は、結合-溶出モードで実施される。
好ましい実施形態においては、AEX1、HA(cHA)、HICおよびAEX2は、結合-溶出モードで実施される。
好ましい実施形態においては、AEX1ステップは、捕捉ステップである。
好ましい実施形態においては、AEX2ステップは、磨き上げステップである。
本発明のこの態様、特に、用いられるプロセスステップおよび用語は、以下でさらに詳細に説明される:
バイオコンジュゲート:この用語は、上で考察されている。具体的には、バイオコンジュゲートは、宿主細胞中で調製される糖コンジュゲートであり、ここで、宿主細胞機構は、グリカンおよび担体タンパク質を産生し、例えば、アスパラギンまたはアルギニンのN結合によって、グリカンを担体タンパク質に連結する。バイオコンジュゲートを生産するための特に好ましい宿主細胞は、好ましくは、(i)担体タンパク質、(ii)N結合グリコシル化によって担体タンパク質中のグリコシル化コンセンサス配列(Asn-X-Ser(Thr)(式中、XはPro以外の任意のアミノ酸であってもよい))中のアスパラギン(Asn)残基にO抗原多糖を共有的に連結することができるC.jejuniのPglBなどのオリゴサッカリルトランスフェラーゼ、および(iii)所望の血清型のO抗原多糖を生成するのを担う酵素をコードするrfb遺伝子クラスターをコードする核酸を含む大腸菌である。異なるrfb遺伝子座を有する宿主細胞を作出することによって、例えば、異なる大腸菌またはシゲラ血清型に由来するO抗原多糖を含む、異なるバイオコンジュゲートを調製することができる。そのような宿主細胞の培養は、rfb遺伝子座によってコードされるO抗原が、宿主細胞のペリプラズム内で共有的に結合している担体タンパク質を含むバイオコンジュゲートを生産するであろう。そのような宿主細胞中でのバイオコンジュゲートの生産に関するより詳細な説明を、例えば、WO 2009/104074、WO 2015/124769、WO 2017/035181、またはWO 2020/191082に見出すことができる。特定の大腸菌O抗原のバイオコンジュゲートの生産のためのPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼの最適化されたバリアントは、WO 2020/191088に記載されている。本発明は、そのような宿主細胞から生産されたバイオコンジュゲートの新規かつ改善された精製方法を取り扱う。バイオコンジュゲートの生産のための宿主細胞は、典型的には、原核細胞、好ましくは、細菌細胞、好ましくは、グラム陰性細菌細胞であり、好ましい実施形態においては、宿主細胞は、大腸菌である。かくして、O-EPAバイオコンジュゲートは、大腸菌宿主細胞タンパク質から精製される。宿主細胞タンパク質の一例は、トランスアルドラーゼ、特に、大腸菌トランスアルドラーゼであり、本発明において記載されるプロセスは、驚くべきことに、O-EPAバイオコンジュゲートから除去することが困難である多くの残留宿主細胞タンパク質の1つと考えられた、非常に少量のトランスアルドラーゼを含む、非常に少量の宿主細胞タンパク質を含むO-EPA調製物を得ることができる。宿主細胞は、典型的には、ペリプラズム中でバイオコンジュゲートを発現するように遺伝子操作され、したがって、O-EPAバイオコンジュゲートを精製するための良好な出発点は、宿主細胞のペリプラズム画分、例えば、大腸菌宿主細胞などのグラム陰性細菌宿主細胞に由来する。
特に有用なバイオコンジュゲートは、1つ以上の多糖が結合している担体タンパク質を含む。そのようなバイオコンジュゲートは、例えば、バイオコンジュゲートの多糖に対する機能的免疫応答を誘導することを目的とする、特定のワクチンの活性成分として用いられる。本発明の実施形態においては、前記バイオコンジュゲートは、1つの担体タンパク質および前記担体タンパク質に共有結合した1つ以上の多糖、好ましくは、前記担体タンパク質に共有結合した1~4個の多糖を含む。
本発明の実施形態においては、バイオコンジュゲートは、担体タンパク質に共有結合した大腸菌O抗原を含有するコンジュゲーション産物である。本発明の実施形態においては、バイオコンジュゲートは、担体タンパク質に共有結合したシゲラO抗原を含有するコンジュゲーション産物である。O抗原という用語は、当業界で公知であり、その通常の文脈で使用され、それは、O結合と混同されるべきではない。典型的な実施形態においては、O抗原は、担体タンパク質にN結合されている。O抗原という用語は一般に、大腸菌などの細菌のLPS内に含有される反復グリカンポリマーを指す。大腸菌のO抗原は、免疫原性反復オリゴ糖(典型的には、1~40の反復単位、例えば、5~30の反復単位)のポリマーであり、典型的には、血清型決定および糖コンジュゲートワクチン生産のために用いられる。
担体タンパク質:本発明の文脈における特に好適な担体タンパク質は、緑膿菌の解毒された外毒素A(EPA)である(P.aeruginosaの外毒素Aおよび細胞外タンパク質A、またはEPAという用語は、互換的に用いられる)。特定の実施形態においては、担体タンパク質は、緑膿菌の解毒された外毒素Aである。EPAについては、様々な解毒されたタンパク質バリアントが文献に記載されており、担体タンパク質として使用することができる。例えば、触媒的に必須の残基L552VおよびΔE553を突然変異させ、欠失させることによって、解毒を達成することができる。
好ましくは、EPA担体タンパク質は、1~20個、好ましくは、1~10個、好ましくは、2~4個のグリコシル化部位を含む。
特定の実施形態においては、EPAは、4個のグリコシル化部位を含む。EPA担体タンパク質への大腸菌O抗原多糖のバイオコンジュゲーションの例の説明については、例えば、WO 2015/124769、WO 2017/035181、もしくはWO 2020/191082を、またはEPA担体タンパク質へのシゲラO抗原多糖のバイオコンジュゲーションの例の説明については、例えば、WO 2009/104074を参照されたい。1つの特定の非限定的な実施形態においては、本発明によるバイオコンジュゲートの担体タンパク質は、配列番号1を含む。特定の実施形態においては、宿主細胞中での発現の間に、担体タンパク質は、担体タンパク質をペリプラズム空間に標的化するシグナル配列を含む。様々なシグナル配列を使用することができる。1つの非限定的な実施形態においては、シグナル配列は、配列番号2を含む。シグナル配列は、ペリプラズムへのタンパク質の移動後に切断され、かくして、バイオコンジュゲートの最終担体タンパク質中に最早存在しなくてもよい。
多糖:この用語は、上で考察されている。好適な多糖は、1~100個、例えば、1~50個、1~40個、1~30個、1~20個、および1~10個、3~50個、3~40個、例えば、少なくとも5個、例えば、5~40個、例えば、7~30個、例えば、7~25個、例えば、5~20個、例えば、10~20個の反復単位nを含む。そのような反復単位は、(i)非改変単糖および/または(ii)改変単糖を含有する(すなわち、含む、またはからなる)。用語「改変単糖」は、非限定的な実施形態においては、単糖のNアセチル化、Oアセチル化、アミド化および/またはアミノ化を含む。そのような改変単糖は、同じ単糖に、0個、1個、またはそれより多い改変、例えば、0個、1個、2個または3個の上記改変を含んでもよい。
特定の実施形態においては、改変単糖は、Oアセチル化および/またはNアセチル化単糖、具体的には、1個のOアセチル化またはNアセチル化を含む単糖である。
本発明の実施形態においては、好適な反復単位は、マンノース、ラムノース、グルコース、フコース、ガラクトース、改変マンノース、改変ラムノース、改変グルコース、改変フコース、および改変ガラクトースからなる群から選択される単糖を含む。
本発明の実施形態においては、O多糖は、エシェリシアおよびシゲラの一群から選択されるグラム陰性細菌、好ましくは、大腸菌に特異的である。
大腸菌O抗原多糖の非限定的かつ例示的な構造は、以下の表1に示される。それぞれの大腸菌O抗原多糖の単一の反復単位が示される。この表において、それぞれのnは独立に、1~100の整数、例えば、1~50、1~40、1~30、1~20、および1~10、3~50、3~40、例えば、少なくとも5、例えば、5~40、例えば、7~30、例えば、7~25、例えば、5~20、例えば、10~20であるが、いくつかの例においては、1~2であってもよい。本発明の方法に従って精製される大腸菌O抗原多糖のバイオコンジュゲート組成物に関する特定の好ましい実施形態においては、nは、平均で5~30、好ましくは、10~25、好ましくは、10~20のどこかにある。
Figure 2024513914000001
Figure 2024513914000002
他の大腸菌またはシゲラまたは種々の血清型に由来する他の細菌のO抗原多糖の構造は公知であり、当業界において見出すことができる。
捕捉ステップ:この用語は、当業界において公知であり、粗試料に由来する目的のタンパク質に結合し、プロテアーゼおよびグリコシダーゼなどの重要な夾雑物からそれらを単離するための第1のクロマトグラフィーステップに関する。標的タンパク質、すなわち、O-EPAバイオコンジュゲートを濃縮し、O-EPAバイオコンジュゲートの機能的および構造的完全性を維持するバッファーに移す。他の重要な夾雑物の除去を、結合条件の注意深い最適化によって達成することもできる。
捕捉ステップを最適化する際の焦点は、能力と速度である。かくして、この第1のステップにおける分離の能力および/または速度を最大化するためには、分解に関して妥協することが許容され得る。
磨きあげステップ:この用語は、当業界で公知であり、標的タンパク質、すなわち、O-EPAバイオコンジュゲートの純度をさらに増強するための最終クロマトグラフィーステップとして実施されるクロマトグラフィーステップに関する。
結合-溶出モード:この用語は当業界で公知であり、試料成分、特に、目的のタンパク質/バイオコンジュゲートを、クロマトグラフィー樹脂に最初に結合させることによって動作する分離のモードに関する。試料成分が結合したら、樹脂をバッファーで洗浄し、かくして、非結合材料は除去される。次いで、結合した材料を溶出させる。この分離モードは、タンパク質は結合しないが、カラムから流出し、多くの、または特定の不純物は結合したままにするような試料およびバッファーのpH/イオン強度が選択されるフロースルーモードとは対照的である。
本発明の実施形態においては、精製ステップb)~e)において、条件を、O-EPAコンジュゲートのクロマトグラフィー媒体への結合を可能にするように最初に調整した後、前記媒体からのO-EPAコンジュゲートの溶出を可能にするように調整する、すなわち、クロマトグラフィーステップを、結合-溶出モードで実施する。
混合モードのクロマトグラフィー:この用語は、当業界で公知であり、本明細書ではマルチモードクロマトグラフィーと同義的に用いられる。この用語は、不純物からの分離を達成するために、固定相と、標的タンパク質、すなわち、バイオコンジュゲートとの間の1より多い形態の相互作用を利用するクロマトグラフィー法に関する。混合モードの樹脂の選択性は、典型的には、個々の場合に応じて、静電気的相互作用、疎水性相互作用および/または水素結合の組合せの結果生じる。特定の形態の混合モードのクロマトグラフィーとしても見られることもあるHAまたはcHAクロマトグラフィーの場合、分離は、特に、イオン性相互作用と金属親和性相互作用との組合せによって達成される。そのような樹脂は、市販されており、例えば、CHTセラミックヒドロキシアパタイトXT樹脂がある。
生存性および非生存性粒子:生存性粒子は、細菌などの、1つ以上の生きている微生物を含有する粒子である。これらのものは、医薬品の無菌性に影響し得る。
非生存粒子は、生きている微生物を含有しないが、生存性粒子のための輸送ビヒクルとして作用し得る粒子である。
生存性および非生存性粒子は一般に、約0.2μm~30μmのサイズ、典型的には、約0.2μm~5μmの範囲である。
以下に概略される個々の生産ステップは、個別に見た場合、自体公知である。しかしながら、以下に記載されるステップa~eの特定の組合せが、様々な異なるO-EPAバイオコンジュゲートの生産にとって特に好適であり、大規模生産に適していることが見出された。さらに、ステップa、b、cおよびeの組合せ、かくして、ステップdの省略が、典型的には、85~90%などの、85~95%の純度を有するO-EPAコンジュゲートを得るのに既に十分であることが見出された。少なくとも85%の純度を有するO-EPAコンジュゲートは、例えば、獣医学的ワクチンなどの獣医学的治療剤の生産にとって、または他の目的、例えば、研究もしくは診断にとって好適であり得る。ステップa、bおよびcの組合せ、かくして、ステップdおよびeの省略は、典型的には、SE-HPLCによって測定した場合、約60~80%の純度を有するO-EPAコンジュゲートをもたらす。
好ましい実施形態においては、O-EPAコンジュゲートを、第1のステップ(ステップa)において、O-EPAコンジュゲートを含む原核宿主細胞の濾過されたペリプラズム画分として用意し、第2のステップ(ステップb)[第1のクロマトグラフィーステップ]において、濾過されたペリプラズム画分の場合により調整されたロードを、第1の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX1)ステップにかけて、第1のAEX溶出液(AEX1)を得る。
第3のステップ(ステップc)[第2のクロマトグラフィーステップ]において、ステップb)で得られたAEX1溶出液の調整されたロードを、ヒドロキシアパタイト(HA)クロマトグラフィーステップにかけて、HA溶出液を得る。好ましい実施形態では、HAクロマトグラフィーステップは、セラミックヒドロキシアパタイト(cHA)クロマトグラフィーステップである。かくして、得られたHA溶出液は、好ましくは、cHA溶出液である。
第4のステップ(ステップd)[第3のクロマトグラフィーステップ]において、ステップc)で得られたHAまたはcHA溶出液の調整されたロードを、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップにかけて、HIC溶出液を得る。
第5のステップ(ステップe)[第4のクロマトグラフィーステップ]において、ステップd)で得られたHIC溶出液の調整されたロードを、第2の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX2)ステップにかけて、生成物として第2のAEX溶出液を得る。第4のクロマトグラフィーステップとしてのAEX2の含有は、これが、それを必要とする対象への投与にとって好適である高純度のO-EPAバイオコンジュゲートの再現性のある生産を確保するので、好ましい。
再度、第2、第3、第4および第5のステップのそれぞれにおいて、すなわち、それぞれのクロマトグラフィーステップにおいて、条件を、典型的には、O-EPAコンジュゲートのクロマトグラフィー媒体への結合を可能にするように最初に調整した後、前記媒体からのO-EPAコンジュゲートの溶出を可能にするように調整する(「結合-溶出モード」)。
上記プロトコールに従う場合、第2、第3、第4および第5のステップのそれぞれにおいて、すなわち、クロマトグラフィーステップのそれぞれにおいて、総タンパク質に対するO-EPAコンジュゲートの相対量は、ロード中よりも溶出液中で高い。
これにより、SE-HPLCによって測定した場合、93%以上、例えば、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%、99.9%または100%の純度を有するO-EPAコンジュゲートが得られる。典型的には、O-EPAコンジュゲートの純度は、SE-HPLCによって測定した場合、特に、上記の4つのクロマトグラフィーステップを含むプロセスを用いた場合、98%以上、例えば、98%、99%、99.5%、99.7%、99.9%または100%である。少なくとも95%以上、例えば、少なくとも98%の純度は、複数のO-EPAコンジュゲートを含む多価バイオコンジュゲートワクチンなどの、ヒトへの投与が意図される医薬品の成分にとって有利である。
特定の実施形態においては、特定の用途(応用)、例えば、獣医学的用途、研究または診断の純度用件を満たすためには、AEX2ステップ[第4のクロマトグラフィーステップ]またはHICステップ[第3のクロマトグラフィーステップ]の含有は必要とされない。かくして、特定の実施形態においては、AEX2[第4のクロマトグラフィーステップ]の含有は、任意である。特定の他の実施形態においては、HICステップ[第3のクロマトグラフィーステップ]の含有は、任意である。
かくして、一実施形態においては、O-EPAコンジュゲートは、第1のステップ(ステップa)において、O-EPAコンジュゲートを含む原核宿主細胞の濾過されたペリプラズム画分(FPF)として用意する。
第2のステップ(ステップb)において、濾過されたペリプラズム画分の場合により調整されたロードを、第1の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX1)ステップにかけて、第1のAEX溶出液(AEX1)を得る。
第3のステップ(ステップc)において、ステップb)で得られたAEX1溶出液の調整されたロードを、ヒドロキシアパタイト(HA)クロマトグラフィーステップにかけて、HA溶出液を得る。HAクロマトグラフィーステップは、好ましくは、セラミックヒドロキシアパタイト(cHA)クロマトグラフィーステップである。かくして、得られたHA溶出液は、好ましくは、cHA溶出液である。
第4のステップ(ステップd)において、ステップc)で得られたHAまたはcHA溶出液の調整されたロードを、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップにかけて、生成物としてHIC溶出液を得る。
第2、第3、および第4のステップのそれぞれにおいて、すなわち、それぞれのクロマトグラフィーステップにおいて、条件を、典型的には、O-EPAコンジュゲートのクロマトグラフィー媒体への結合を可能にするように最初に調整した後、前記媒体からのO-EPAコンジュゲートの溶出を可能にするように調整する。これは、典型的には、「結合-溶出モード」ともいう。
上記プロトコールに従う場合、第2、第3および第4のステップのそれぞれにおいて、すなわち、それぞれのクロマトグラフィーステップにおいて、総タンパク質に対するO-EPAコンジュゲートの相対量は、ロード中よりも溶出液中で高い。
これにより、SE-HPLCによって測定した場合、85~90%などの、典型的には85~95%の純度を有するO-EPAコンジュゲートが得られる。
別の実施形態においては、O-EPAコンジュゲートを、第1のステップ(ステップa)において、O-EPAコンジュゲートを含む原核宿主細胞の濾過されたペリプラズム画分として用意し、第2のステップ(ステップb)において、濾過されたペリプラズム画分の場合により調整されたロードを、第1の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX1)ステップにかけて、第1のAEX溶出液(AEX1)を得る。
第3のステップ(ステップc)において、ステップb)で得られたAEX1溶出液の調整されたロードを、ヒドロキシアパタイト(HA)クロマトグラフィーステップにかけて、HA溶出液を得る。HAクロマトグラフィーステップは、好ましくは、セラミックヒドロキシアパタイト(cHA)クロマトグラフィーステップである。かくして、得られたHA溶出液は、好ましくは、cHA溶出液である。
第4のステップ(ステップe)において、ステップc)で得られたHAまたはcHA溶出液の調整されたロードを、第2の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX2)ステップにかけて、生成物として第2のAEX溶出液を得る。したがって、この実施形態においては、ステップd)(HIC)は省略される。利点は、このプロセスが、ステップd)(HIC)を含むプロセスよりも短く、より安価であり、より好都合のプロセスをもたらすことである;このより短いプロセスを超える後者のプロセス(すなわち、HICステップを含む)の利点は、より長いプロセスが、より再現性のある様式でより高純度のO-EPA生成物をもたらすということであり、これは、ヒトでの使用を意図される医薬調製物を調製する場合に有利である。
第2、第3、第4および第5のステップのそれぞれにおいて、すなわち、それぞれのクロマトグラフィーステップにおいて、条件を、典型的には、O-EPAコンジュゲートのクロマトグラフィー媒体への結合を可能にするように最初に調整した後、前記媒体からのO-EPAコンジュゲートの溶出を可能にするように調整する、すなわち、それぞれのクロマトグラフィーステップは、結合-溶出モードで実施される。
上記プロトコールに従う場合、第2、第3、第4および第5のステップのそれぞれにおいて、すなわち、それぞれのクロマトグラフィーステップにおいて、総タンパク質に対するO-EPAコンジュゲートの相対量は、ロード中よりも溶出液中で高い。
これにより、SE-HPLCによって測定した場合、85~90%などの、典型的には85~95%の純度を有するO-EPAコンジュゲートが得られる。
この実施形態は、以前の実施形態よりも好ましい(すなわち、AEX2ではなくHICの省略は実際のプロセスの視点から好ましいが、両実施形態とも、類似する純度のO-EPAバイオコンジュゲートをもたらす)。この実施形態は、実施例2に概略される。
任意の実施形態において、タンジェンシャルフロー濾過(接線流濾過)、限外濾過/透析濾過(接線流濾過の変形)、デッドエンド濾過、および/または滅菌濾過などの追加の濾過ステップ、ならびにO-EPAのための任意の濃縮および/または希釈および/またはバッファー交換ステップを、プロセスにおける特定の時点で追加してもよいが、好ましくは、追加のクロマトグラフィーステップは含まれず、プロセスは、かくして、好ましくは4つより多いクロマトグラフィーステップを含まない。上記のように、本発明によるプロセスは、好ましくは、バイオコンジュゲートの精製のためのサイズ排除クロマトグラフィーステップを含まない。勿論、クロマトグラフィーステップなどのさらなる精製ステップを本発明の方法に追加して、さらにより高い純度を得ることができるが、これは、必然的により低い全体収率をもたらし、かくして、それは、プロセスを、バイオ医薬品の大規模生産にとって経済的に実現不可能なものにするため、望ましくないが、本発明のプロセス、特に、上で概略された4つのクロマトグラフィーステップを含む最も好ましいプロセスは既に、本発明のプロセスを経済的かつ実用的に実現可能なものにする収率で、ヒトへの投与にとって好適な医薬品のための望ましい純度レベルをもたらしている。さらにより有益なものにするようにプロセスを変化させることを探ることができるが、これは、結果が予測できない追加の研究を必然的に伴うであろう。
上で概略されたプロセスステップ(ステップa~e)を、以下でより詳細に説明する。
ステップa:このステップは、精製のためのO-EPAコンジュゲートを含む原核宿主細胞の濾過されたペリプラズム画分を用意するのに役立つ。O-EPAコンジュゲートを含む濾過されたペリプラズム宿主細胞画分の提供は自体公知である(例えば、WO 2009/104074、WO 2015/124769またはWO 2020/191082を参照されたい)。
浸透圧ショック処理によってペリプラズム画分を得るために、細胞を最初に比較的高いオスモル濃度を有するバッファー(高張性)中でインキュベートした後、比較的低いオルモル濃度を有するバッファー(低張性)中でインキュベートする。そのような浸透圧ショック処理は、細胞壁の少なくとも部分的除去およびスフェロプラスト(すなわち、細胞壁が少なくとも部分的に除去された細胞、特に、グラム陰性細胞)の生成をもたらす。かくして、宿主細胞タンパク質の大部分はスフェロプラスト中に残存するが、ペリプラズムタンパク質は懸濁媒体中に放出される。
典型的には、PglB、EPAおよび対応するO抗原多糖の生合成のための酵素をコードする遺伝子情報を含む大腸菌宿主細胞を、例えば、約100L~20000L、例えば、150L~5000L、例えば、150L~1000L、例えば、200Lの容量を有するバイオリアクター中で培養し、その中で細胞はO-EPAを産生する。典型的には、細胞が静止期に入った時、培養物を20℃未満に冷却する際に、遠心分離によって、例えば、ディスクスタック遠心分離機を用いる、例えば、連続遠心分離によって、細胞を収獲する。細胞を好適な液体、例えば、0.9%NaCl溶液またはTris緩衝化生理食塩水(TBS)中に再懸濁し、好ましくは、約2~15℃、好ましくは、約6~10℃の溶液を使用して、浸透圧ショックにかける。浸透圧ショックは、例えば、約20~30%、例えば、25%のスクロースの標的濃度となるようにスクロース溶液(例えば、60%スクロース、pH8、480mM Tris-HCl、24mM EDTA)を細胞に添加し、混合物を約2~15℃、好ましくは、6~10℃で約15分~4時間、例えば、約1時間、混合しながらインキュベートすることによって実施することができる。スクロースと共にインキュベートした後、細胞/スクロース溶液を、例えば、6~10℃で、約4倍容量の10mM Tris-HCL(pH8.0)と混合することによって、低浸透圧値の溶液と混合する。混合は、例えば、静的ミキサーによって実施することができる。O-EPA生成物は、ペリプラズム空間から上清に放出され(ペリプラズム画分、PFという)、PFを収集する。次いで、例えば、ディスクスタック遠心分離機中での分離によってPF中の細胞デブリを除去することによって、材料を清澄化することができ、それによって、上清(遠心分離されたペリプラズム画分、CPFという)を収集する。例えば、深層およびバイオバーデン低減フィルター(例えば、約0.2μmの孔径を有する膜)を介する濾過によって、CPFをさらに濾過して残存する細胞デブリを除去することができ、得られた材料を、濾過されたペリプラズム画分(FPF)として収集する。続いて、このFPFを、本明細書に記載される本発明のクロマトグラフ精製プロセス[ステップb)で始まる]において用いることができる。
かくして、好ましい実施形態においては、ステップa)は、a-1)100L~20000L、例えば、150L~5000L、例えば、150L~1000L、例えば、200Lの容量を有するバイオリアクター中、好ましくは、34℃から36℃、例えば、35℃の温度で、原核宿主細胞をインキュベートして、収獲前に静止期まで増殖させた後、原核宿主細胞を収獲することをさらに含み、収獲は、好ましくは、ペリプラズム中にO-EPAコンジュゲートを含む収獲された原核宿主細胞を得るための連続流遠心分離ステップを含む。
かくして、別の好ましい実施形態においては、ステップa)は、a-2)O-EPAコンジュゲートを含む原核宿主細胞のペリプラズム画分を得るための宿主細胞の浸透圧ショック処理をさらに含む。ステップa-2が、ステップa-1の後であることは、当業者には明らかである。特定の実施形態においては、ステップa-2)における浸透圧ショック処理は、約25%のスクロースの標的濃度となるように、好ましくはEDTAをさらに含むスクロース溶液を細胞に添加すること、約6~10℃で、約15分~2時間、混合しながら混合物をインキュベートすること、続いて、約6~10℃で、低いオスモル濃度を有する溶液(例えば、10mM Tris-HCl pH8)を、細胞/スクロース溶液に添加して、少なくとも4分の1に浸透圧値を下げること(25%スクロースを含む組成物と比較して)によって、O-EPA生成物をペリプラズムから上清中に放出させること、ならびに上清(ペリプラズム画分)を収集すること、続いて、ペリプラズム画分を濾過して、濾過されたペリプラズム画分を得ることを含む。
好ましい実施形態においては、O多糖は、エシェリシアおよびシゲラの一群から選択されるグラム陰性細菌、好ましくは、大腸菌に特異的である。
さらに好ましい実施形態においては、O-EPAコンジュゲートが得られる原核宿主細胞は、O多糖および組換え細胞外タンパク質A(EPA)およびO多糖を含むEPAのNグリコシル化を実行する代謝装置をコードする遺伝子情報を含み、それによって、原核宿主細胞のペリプラズム中、in vivoでO-EPAコンジュゲートを産生する。この態様の詳細は、上により詳細に、また、当業界において、例えば、WO 2009/104074およびWO 2020/191082に記載されている。
ステップb:このステップは、プロセス容量を低減させる、および発酵手順、すなわち、宿主細胞のインキュベーションおよびO-EPAコンジュゲートを含むペリプラズム画分の抽出に由来するプロセス関連不純物を低減させるのに役立つ。特に、プロテアーゼ、ペプチダーゼおよびグリコシダーゼなどの、O-EPAコンジュゲートの分解をもたらし得る不純物が除去される。
濾過されたペリプラズム画分の場合により調整されたロードを、第1の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX1)ステップにかけて、第1のAEX溶出液(AEX1)を得ること自体は、公知である。好ましい実施形態においては、ステップ(b)は、好ましくは、示される順序で、以下のステップ(b-1)~(b-2-iii)のうちの1つ以上をさらに含む。
一実施形態においては、これは、(b-1) 場合により、AEX1媒体への結合にとって好適な濾過されたペリプラズム画分のロードの伝導度を調整することを含む。
AEX1の前に濾過されたペリプラズム画分のロードを調整することは、典型的には必要とされない。その代わりに、濾過されたペリプラズム画分は、典型的には、前記濾過されたペリプラズム画分の条件、特に、伝導度がAEX1にかけるのに好適ではない場合を除いて、直接、AEX1にかけられる。好適なAEX1樹脂の非限定例は、例えば、Q-Ceramic HyperD F樹脂である。
一実施形態においては、これは、(b-2-i)濾過されたペリプラズム画分の場合により調整されたロードと、AEX1媒体とを接触させること、および結合したO-EPAコンジュゲートを含む前記媒体を、洗浄バッファーで洗浄することを含む。典型的には、前記洗浄バッファーは、比較的低い塩濃度および比較的低い伝導度を有する。好適な低塩、低伝導度の洗浄バッファーの例は、10mM Trisおよび50mM NaClを含む、pH8.5のバッファーである。
一実施形態においては、これは、(b-2-ii)典型的には、比較的高い塩濃度および比較的高い伝導度を含む溶出バッファーでO-EPAコンジュゲートを溶出させることを含む。好適な高塩、高伝導度のバッファーの例は、10mMまたは50mM Trisおよび1M NaClを含む、pH8.5のバッファーである。典型的には、溶出は、ステップ勾配を使用して実施される。
本開示に基づいて当業者には公知のように、AEX1樹脂、AEX1カラムもしくは膜もしくはカセット形式の同一性、正確なバッファー成分、pH、および/または塩濃度もしくは伝導度ならびに勾配は変化してもよいことが、これらのステップのそれぞれについて明らかであろう。
一実施形態においては、これは、(b-2-iii)富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分を場合によりプールして、AEX1溶出液を得ることを含む。典型的には、富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分は、SDS-PAGE分析、または所望のO-EPAコンジュゲートの量もしくは相対的純度を決定するための任意の好適な分析を実施することによって同定される。SDS-PAGE分析を実施することによって、意図された生成物、すなわち、O-EPAコンジュゲートを含む画分を同定することは、当業者には周知である。
ステップc:このステップは、ステップb)の後に存在するプロセス関連不純物をさらに低減させるのに役立つ。典型的には、ステップc)の後、ステップaで用意した濾過されたペリプラズム画分と比較して、80%を超えるHCPが枯渇している。さらに、ステップc)は、AEX1溶出液のプールされた画分と比較して、DNA含量および内毒素含量(内毒素が存在する場合;内毒素分析を実施するための好適な方法は、当業者には公知である)を低減させるのに役立つ。
好ましい実施形態においては、ステップc、「ステップ(b)で得られたAEX1溶出液の調整されたロードを、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HA)ステップ(好ましくは、セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(cHA)ステップ)にかけて、HAまたはcHA溶出液を得ること」は、好ましくは、示される順序で、以下のステップ(c-3)~(c-5-iii)のうちの1つ以上をさらに含む。
一実施形態においては、これは、(c-3)HA媒体への結合にとって好適なAEX1溶出液のロードのpHおよび伝導度を調整することを含む。このステップにとって好適であるHA(またはcHA)媒体は、市販されており、その非限定例は、CHTセラミックヒドロキシアパタイト1型樹脂である。好適なcHAまたはHA樹脂への適用の前のAEX1溶出液のロードの好適なpHは、特に、pH=7.2±0.2である。好適なcHAまたはHA樹脂への適用の前のAEX1溶出液のロードの好適な伝導度は、8.25±0.75mS/cmである。典型的には、ロードのpHは、例えば、10mM BisTris、pH7.0を使用して伝導度を調整する前に、好適なバッファー、例えば、0.5M BisTris HClおよびpH6.0を含むバッファーを使用して調整される。
一実施形態においては、これは、(c-4) 場合により、粒子減少濾過1を実施することを含む。このステップは、生存性および非生存性粒子の除去をもたらす。
一実施形態においては、これは、(c-5-i)調整されたAEX1溶出液をHA媒体と接触させること、および結合したO-EPAコンジュゲートを含む前記HA媒体を、典型的には、比較的低い伝導度を有する洗浄バッファーで洗浄することを含む。好適な低い伝導度の洗浄バッファーの例は、30mM BisTris、3.975mM K-リン酸、70mM NaCl、pH7.0を含むバッファーである。
一実施形態においては、これは、(c-5-ii)O-EPAコンジュゲートを塩勾配を用いて溶出させることを含む。好適な塩勾配の例は、塩化ナトリウムおよびリン酸カリウム勾配、例えば、2~3、例えば、2.5カラム容量(CV)にわたる、30mM BisTris、2.5mM K-リン酸、50mM NaCl、pH7.0を含むバッファー(バッファーJ)中の、30mM TrisBis、32mM K-リン酸、450mM NaCl、pH7.0を含むバッファー(バッファーK)の20~45%の線形勾配、次いで、2~3、例えば、2.5CVにわたる、バッファーJ中の70%のバッファーKまでのステップ勾配である。
一実施形態においては、これは、(c-5-iii)富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分を場合によりプールして、HAまたはcHA溶出液を得ることを含む。
本開示に基づいて当業者には公知のように、HAもしくはcHA樹脂、カラム形式の同一性、正確なバッファー成分、pH、および/または塩濃度もしくは伝導度ならびに勾配は変化してもよいことが、これらのステップのそれぞれについて明らかであろう。
ステップd:HICステップは、HCP、特に、非グリコシル化されたEPAおよび様々な中間サイズのHCP(約40~60kDa)をさらに除去するのに役立つ。好ましい実施形態においては、ステップd、「ステップ(c)で得られたHAまたはcHA溶出液の調整されたロードを疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップにかけて、HIC溶出液を得ること」は、好ましくは、示される順序で、以下のステップ(d-6)~(d-8-iii)のうちの1つ以上をさらに含む。
一実施形態においては、これは、d-6)HAまたはcHA溶出液のロードの伝導度を調整することを含む。伝導度は、HIC媒体への結合にとって好適であるローディングバッファーであって、典型的には、比較的高い伝導度を有するローディングバッファーを使用して調整される。好適なローディングバッファーの例は、pH7.0の2M K-リン酸を含むバッファー(バッファーQ)である。このステップにおける好適な標的伝導度は、例えば、118±2mS/cmの伝導度である。このステップのための好適なHIC媒体は、Sartobind Phenyl Jumbo 5Lカプセルである。
一実施形態においては、これは、d-7) 場合により、生存性および非生存性粒子の除去のための粒子減少濾過2を実施することを含む。
一実施形態においては、これは、d-8-i)調整されたHAまたはcHA溶出液と、HIC媒体とを接触させること、および結合したO-EPAコンジュゲートを含む前記媒体を、好適なバッファー、典型的には、比較的高い伝導度を有するバッファー、例えば、2M K-リン酸、pH7.0を含むバッファーで洗浄すること、次いで、場合により、低下した伝導度を有するバッファー(例えば、2M K-リン酸、pH7.0を含む70%のバッファーおよび30%のWFI水を含む混合物)を用いて第2の洗浄ステップを実施することを含む。
一実施形態においては、これは、d-8-ii)好適な溶出バッファー、典型的には、比較的低い伝導度を有する溶出バッファーを使用してO-EPAコンジュゲートを溶出させることを含む。好ましくは、溶出は、好適な溶出バッファーを使用するステップ勾配を用いて実施される。O-EPAコンジュゲートを溶出させるための好適なバッファーの例は、2M K-リン酸、pH7.0を含む30%のバッファーおよび70%のWFI水を含有する混合物である。
本開示に基づいて当業者には公知のように、HIC樹脂、カラムもしくは膜もしくはカセット形式の同一性、正確なバッファー成分、pH、および/または塩濃度もしくは伝導度ならびに勾配は変化してもよいことが、これらのステップのそれぞれについて明らかであろう。
一実施形態においては、これは、d-8-iii)富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分を場合によりプールして、HIC溶出液を得ることを含む。
ステップe:好ましい実施形態においては、ステップe、「(d)で得られたHIC溶出液の調整されたロードを場合により第2の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX2)ステップにかけて、生成物として第2のAEX溶出液を得ること」は、好ましくは、示される順序で、以下の工程(e-9)~(e-12-iii)のうちの1つ以上をさらに含む。このAEX2ステップにとって好適であるAEX媒体は市販されており、非限定例は、Source Q樹脂である。
AEX2ステップは、プロセス関連タンパク質不純物、特に、大腸菌トランスアルドラーゼ(約37kDa)をさらに除去するのに役立つ。かくして、一態様では、本発明は、O-EPAバイオコンジュゲートを含む調製物中のトランスアルドラーゼの量を低減させるための陰イオン交換クロマトグラフィーによる磨き上げステップの使用を提供する。特定の実施形態においては、O-EPAバイオコンジュゲートは、陰イオン交換、ヒドロキシアパタイト、および疎水性相互作用クロマトグラフィーステップをその順序で含む以前の精製ステップを受けている。
一実施形態においては、これは、e-9)O-EPAコンジュゲートの伝導度を低下させるため、およびO-EPAコンジュゲートの濃度の適合化のために、HIC溶出液のロードの接線流濾過1を実施することを含む。AEX2ステップを実施する前のO-EPAバイオコンジュゲートの好適な濃度は、例えば、1.35±0.15のOD280である。HIC溶出液を、好適なバッファー、例えば、10mM BisTrisを含むpH6.0のバッファー(バッファーT)で希釈することによって、または接線流濾過によってHIC溶出液を濃縮することによって、標的濃度を達成することができる。TFFによってHIC溶出液を濃縮するために、透過流動を起こさせることによって、流体の容量を低減させる。かくして、膜孔径よりも小さい溶媒、溶質、および粒子は膜を通過するが、O-EPAバイオコンジュゲートなどの、孔径よりも大きい成分は保持され、それによって、濃縮される。TFFによるそのような濃縮の後、好適な標的伝導度に達するまで透析濾過を行う。かくして、標的濃度に達したら、透過流動速度と同じ速度、すなわち、供給液が膜を通過する速度で新しいバッファーを供給液に追加する。それによって、HIC溶出液は好適なバッファー中で得られ、濃縮されたHIC溶出液の容量は一定のままである(バッファー交換)。好適な伝導度は、例えば、5~6mS/cmである。そのようなバッファー交換のための好適なバッファーは、例えば、10mM BisTrisを含むpH6.0のバッファー(バッファーT)である。
一実施形態においては、これは、e-10)AEX2媒体への結合にとって好適な濾過されたHIC溶出液のロードのpHおよび伝導度を調整することを含む。場合によっては、上記のTFF1によるバッファー交換は、場合によりHIC溶出液のpHを調整するのに十分なものではない。かくして、HIC溶出液のpHを、好適なpH調整バッファー、例えば、0.5M BisTris、pH6.0を含むバッファー(バッファーY)を使用して、典型的には、6.5±0.2のpHに調整することができる。さらに、HIC溶出液の伝導度は、好適な伝導度調整バッファー、例えば、10mM BisTris、200mM NaCl、pH6を含むバッファー(バッファーV)を使用して、典型的には、8.7±0.3mS/cmの標的伝導度に調整される。
一実施形態においては、これは、e-11) 場合により、生存性および非生存性粒子の除去のための粒子減少濾過3を実施することを含む。
一実施形態においては、これは、e-12-i)濾過されたHIC溶出液の場合により調整されたロードと、AEX2媒体とを接触させること、および結合したO-EPAコンジュゲートを含む前記媒体を、洗浄バッファーで、場合により2回洗浄することを含む。このステップのための好適な洗浄バッファーは、典型的には、比較的低い塩濃度および低い伝導度を有し、好適な洗浄バッファーの非限定例は、10mM BisTris、50mM NaCl、pH6.0を含有するバッファー(バッファーU)である。場合により、第2の洗浄ステップを実施し、好適な第2の洗浄ステップは、例えば、バッファーU中の10mM BisTris、200mM NaCl、pH6.0を含有するバッファー(バッファーV)の15~21%の線形勾配を用いる。
一実施形態においては、これは、e-12-ii)O-EPAコンジュゲートを溶出バッファーを用いて溶出させることを含む。特定の実施形態においては、溶出は、特に、ステップ勾配、次いで、増加する塩濃度の線形勾配によって実施される。典型的には、溶出バッファーは、比較的高い塩濃度および高い伝導度を有する。O-EPAコンジュゲートを溶出させるための好適なプロセスの1つの非限定例は、3CVにわたるバッファーU中の21%のバッファーV(ステップ勾配)、次いで、7~8、例えば、7.5CVにわたるバッファーU中の21~56%のバッファーVの線形勾配を適用することによる。
一実施形態においては、これは、e-12-iii)富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分を場合によりプールして、生成物としてのAEX2溶出液を得ることを含む。
別の好ましい実施形態においては、ステップ(e)の間に、O-EPAコンジュゲートを、AEX2マトリックスに結合させ、ステップ勾配、次いで、上記の増加する塩濃度の線形勾配によって溶出させて、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、より好ましくは、少なくとも98%、または少なくとも99%の純度を有するO-EPAコンジュゲートを得る。
本開示に基き当業者に知られているように、AEX2樹脂、AEX2カラムもしくは膜もしくはカセット形式の同一性、正確なバッファー成分、pH、および/または塩濃度もしくは伝導度ならびに勾配は変化してもよいことが、これらのステップのそれぞれについて明らかであろう。
別の好ましい実施形態においては、生産プロセスは、追加のステップf)HIC溶出液または好ましくはAEX2溶出液のロードが製薬上許容し得るバッファーおよび濃度に調整される場合、製薬上の薬剤物質として精製されたO-EPAコンジュゲートを取得することをさらに含む。
好ましい実施形態においては、ステップf)は、好ましくは、示される順序で、以下のステップ(f-13)~(f-17)のうちの1つ以上をさらに含む。
一実施形態においては、これは、f-13)接線流濾過2(TFF2)にとって好適なAEX2溶出液のロードのpHを場合により調整することを含む。TFF2のための好適なpHは、例えば、6.5±0.2であり、好適なバッファーの一例は、100mM Na2HPO4バッファー(バッファーW)である。
一実施形態においては、これは、f-14)調整されたAEX2溶出液のTFF2を実施して、O-EPAコンジュゲートの製薬上許容し得るバッファーおよび濃度を変化させることを含む。一実施形態においては、製薬上許容し得るバッファーは、6.19mM KH2PO4、3.81mM Na2HPO4、5%(w/w)ソルビトール、10mMメチオニン、0.02%(w/w)ポリソルベート-80、pH7.0を含む。
一実施形態においては、これは、f-15)精製されたO-EPAコンジュゲートのバイオバーデン濾過を実施して、精製されたO-EPAコンジュゲートの薬剤物質を取得することを含む。そのようなバイオバーデン濾過を、例えば、0.45+0.2μmのカットオフを有するPES膜を含むフィルター、例えば、Sartopore 2 Capsule Size 9フィルターを用いて実施することができる。
一実施形態においては、これは、f-16)精製されたO-EPAコンジュゲートの薬剤物質を分割および凍結することによって、薬剤物質バルクを取得することを含む。
別の好ましい実施形態においては、生産プロセスは、追加のステップg)いくつかの精製されたO-EPAコンジュゲートの薬剤物質を組み合わせることによって、多価製剤を取得することをさらに含む。
さらに別の好ましい実施形態においては、多価製剤は、大腸菌O血清型O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B、およびO75を含む一群から選択されるO多糖を含む、少なくとも4、5、6、7、8、9または10種の精製されたO-EPAコンジュゲートを含む。さらなる実施形態においては、異なる大腸菌血清型のコンジュゲート(すなわち、担体タンパク質に共有的にカップリングされたO抗原多糖)を添加して、例えば、10~20種のコンジュゲート、例えば、O-EPAコンジュゲートを含む多価製剤を取得することができる。異なる大腸菌血清型のそのようなコンジュゲートは、バイオコンジュゲートであってもよく、本明細書に記載のプロセスに従って精製することもできる。
本発明の以下の実施例は、本発明の性質をさらに例示するためのものである。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定されることが理解されるべきである。
これは、ExPEC O-EPAバイオコンジュゲートのための生産プロセスの例である。
これは、本明細書では「DSP0」という4カラムの精製プロセスの例である。
プロセスは、以下のステップからなる:(i)AEX1(捕捉AEXクロマトグラフィー);(ii)cHAクロマトグラフィーのためのpHおよび伝導度の調整;(iii)粒子減少濾過1;(iv)cHAクロマトグラフィー;(v)HICのためのpHおよび伝導度;(vi)粒子減少濾過2;(vii)HIC;(viii)TFF1;(ix)AEX2(磨き上げステップ)のためのpHおよび伝導度の調整;(x)粒子減少濾過3;(xi)AEX2(磨き上げクロマトグラフィー);(xii)TFF2のためのpH調整;(xiii)TFF2;(xiv)バイオバーデン濾過。
本実施例内で言及される、それらの組成物を含むバッファーは、以下の表2に列挙される。
ステップa:O25B-EPAバイオコンジュゲートを含む濾過されたペリプラズム画分は、以下に概略される精製プロセスのための出発材料として役立った。O-EPAバイオコンジュゲートの生産は、以前に記載されており(例えば、WO2009/104074、WO2015/124769およびWO2020/191082を参照されたい)、これらのプロトコールと同様に実施した。具体的には、O25B-EPAバイオコンジュゲートを含む大腸菌宿主細胞のペリプラズム画分は、以前に記載されたように[WO2020191082]、200Lのバイオリアクター(発酵器)中でのインキュベーション後の浸透圧ショック処理によって得られた。濾過されたペリプラズム画分は、本質的には以下のように得られた。200Lのバイオリアクター中でのインキュベーションは、165Lの収獲等価物(HE;LHE)に対応する。
より詳細には、
a-1: 収獲ステップとして、165Lの培養ブロスを20℃未満に冷却した後、一定流量(例えば、約160L/h)を用いる分離装置を使用して、ディスクスタック遠心分離(DSC)による収獲を開始する。バイオマスを収集し、遠心分離液(上清)を廃棄する。
a-2: 以下のステップは、浸透圧ショックであり、約6~10℃の溶液を使用して実施される。濃縮された収獲物に関する細胞湿重量(CWW)を決定し、CWWに基づいて、細胞懸濁液を、例えば、1/3のTBS(pH7.4)を用いて約390g/Lの標的CWWに希釈し、総容量を決定する。60%スクロース溶液を、25%の標的濃度で希釈された収獲物に添加し、溶液を混合しながら、6~10℃で1h、細胞と共にインキュベートする。スクロースと共にインキュベートした後、細胞/スクロース溶液を、6~10℃で、4倍容量の10mM Tris-HCL(pH8.0)とインラインで混合する。混合を、静的ミキサーによって実施する。生成物は、ペリプラズム空間から上清に放出され(ペリプラズム画分、PFという)、PFを収集する。
続いて、材料を清澄化する:PF中の細胞デブリを、ディスクスタック遠心分離機中での分離によって除去する。一定流量を適用し、遠心分離液の濁度に基づいて流量を調整する。上清を収集し、これは遠心分離されたペリプラズム画分(CPF)という。
CPFは依然として、細胞デブリを含有し、深層フィルターおよびバイオバーデン低減フィルターを介して濾過し、濾過されたペリプラズム画分(FPF)として収集する。FPFを、以下にさらに記載されるように、AEX1ステップ(ステップb)から出発するO-EPAのさらなる精製のために使用した。
ステップb:捕捉AEX1クロマトグラフィー
b-1: 濾過された発酵器の収獲物の伝導度の調整は必要ではなかった。
b-2-i: 浸透圧ショックにかけられ、濾過された発酵器の収獲物のペリプラズム画分を、第1の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX1;20cm床高、0.34L樹脂/L収獲等価物)のために、結合-溶出モードで、Q Ceramic HyperD F樹脂上にロードした。低塩バッファーAを用いてカラムを平衡化させた後、O-EPAバイオコンジュゲートを含む濾過されたペリプラズム画分を、カラム上にロードした。次いで、カラムを、3倍カラム容量(CV)のバッファーAで洗浄した。
b-2-ii: 溶出を、ステップ勾配においてバッファーBV2を使用して達成した。UV吸収が1.0AU/minよりも大きい勾配で増加した時に、溶出液画分の収集を開始し、溶出液を、0.24CVの4つの画分に分画した。
b-2-iii: 個々の画分をSDS-PAGEによって分析し、クマシー染色によって染色した(図1)。「AEX1プール」(AEX1溶出液)を、画分1と画分2とを混合することによって作出した。
ステップc:ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー
c-3: プールされたAEX1画分を、バッファーYを用いて7.2±0.2の標的pHに調整し、その後のステップにおいて、バッファーZを用いて7.5~9mS/cmの標的伝導度に調整した。
c-4: 粒子減少濾過を、0.45+0.2μmのカットオフおよび0.45m2/165 LHEのフィルター面積を有するPES膜(Sartopore)を用いて実施した。
c-5-i: セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(cHA、20cm床高、0.34L樹脂/L収獲等価物)を、結合-溶出モードで実施した。
pHを調整するために6CVのバッファーNで予備平衡化させ、次いで、6CVのバッファーJで平衡化させた後、AEX1溶出液の調整されたロードを、cHA樹脂上に適用した。バッファーJ中の5%バッファーKからなる1CVの低伝導度のバッファーを使用して、カラムを洗浄した。
c-5-ii: 生成物の選択的溶出を、塩勾配、すなわち、塩化ナトリウムおよびリン酸カルシウム勾配を用いて達成する。第1に、2.5CVにわたるバッファーJ中の20~45%のバッファーKの線形勾配を適用した後、2.5CVにわたってバッファーJ中の70%までのバッファーKのステップ勾配を適用した。1.9CVの線形勾配を適用した後、15.565L/165L HEの14の画分の収集を開始した。C-5-c-5-iii: 再度、個々の画分を、SDS-PAGEによって分析した(図2)。「cHAプール」を作出するための画分の選択は、不純物と比較したO-EPAバイオコンジュゲートに対応するバンドの強度に基づくものであった。すなわち、プールのために選択された第1の画分は、弱いものでしかないものから中程度の強度の不純物バンドと一緒に、強い生成物バンドを含有し、プール画分の終わりは、増加する強度の遊離EPAバンドと一緒であることが多い、減衰する生成物バンドを特徴とする。次いで、プールされたcHA溶出液を、選択された画分を混合することによって作出する。この場合、画分7~10をプールした(図2を参照されたい)。
ステップ(d):HICクロマトグラフィー
d-6: 118±2mS/cmの標的伝導度に達するまで、伝導度調整バッファー(バッファーQ)を、プールされたcHA溶出液に添加した。
d-7: 粒子減少濾過を、0.45+0.2μmのカットオフおよび0.45m2/165 LHEのフィルター面積を有するPES膜(Sartopore)を用いて実施した。
d-8-i: HICを、結合-溶出モードで実施した。HICカプセル(Sartobind Phenyl Jumbo 5L、0.8cm床高)を、3CVのバッファーQで平衡化し、cHA溶出液の調整されたロードを適用した。次いで、HICカプセルを、1CVのバッファーQ、次いで、70%のバッファーQおよび30%のバッファーRを含有する4CVのバッファー混合物で洗浄した。
d-8-ii: 30%のバッファーQおよび70%のバッファーRを含有する4CVのバッファー混合物を適用することによって、O-EPAバイオコンジュゲートを溶出させた。溶出液を、0.8CVの4つの画分に分画した。UV吸収が0.1AU/minよりも大きい勾配で増加した時に溶出液画分の収集を開始した。d-8-iii: 個々の画分をSDS-PAGEによって分析し、クマシー染色によって染色した(図3)。「HICプール」を、画分1~3を混合することによって作出した。
ステップe:磨き上げAEX2クロマトグラフィー
e-9: 接線流濾過(TFF1)は、磨き上げステップ、すなわち、AEX2のためにHIC溶出液を条件付けるために行われる。HIC溶出液を、バッファーTを用いるTFF(mPES KrosFlo Filter Module Q、10kDa、1.25m2/165 LHE、膜貫通圧約0.8bar)によって1.35±0.15のOD280に調整(希釈または濃縮)し、バッファーTで透析濾過して、5~6mS/cmの標的伝導度に到達させる。
e-10: HIC溶出液のpHがその後のクロマトグラフィーステップの前にさらなる調整を要する場合、バッファーYを使用してpHを6.5±0.2の標的pHに低下させる。さらなるステップにおいて、バッファーVを使用して、伝導度を8.7±0.3mS/cmに調整した。
e-11: 次いで、調整されたHIC溶出液を、0.45±0.2μmのカットオフおよび0.45m2のフィルター面積を有するPES膜を含むSartopore 2 Capsule Size 0を使用して濾過した。
e-12-i: 磨き上げAEXクロマトグラフィー(AEX2)を、結合-溶出モードで実施した。カラム(Source 15Q、20cm床高、6.3L/165 LHE)を、3CVのバッファーUを使用して平衡化させた。調整されたHIC溶出液をカラムに適用し、1.5CVのバッファーUを使用して洗浄ステップを実施した。第2の洗浄においては、バッファーU中の15~21%のバッファーVの線形勾配を適用した。
e-12-ii: 最初に3CVにわたってバッファーU中の21%のバッファーV(ステップ勾配)、次いで、7.5CVにわたってバッファーU中の21~56%のバッファーVの線形勾配を使用して、溶出を実施した。1.25CVの溶出開始の後、分画を開始し、次いで、0.4975CVの20の画分を収集した。
e-12-iii: 個々の画分をSDS-PAGEによって分析し、クマシー染色によって染色した(図4)。少なくとも0.04AUのOD280を示す最初の画分(画分1~20の間)と、画分20までのその後の画分とを混合することによって、AEX2溶出液プールを作出した。この場合、画分6~20をプールした(図4を参照されたい)。本実施例においては、O25B-EPAバイオコンジュゲートは、SE-HPLCによって測定した場合、99.7%の純度で得られた(図5)。
ステップf:製薬上許容し得るバッファーへの調整および濃縮
f-13:AEX2溶出液のpHを、バッファーWを使用して6.5±0.2の標的pHに調整した。
f-14:第2のTFF(mPES KrosFlo Filter Module Q、10kDa、1.25m2/165 LHE)を適用して、6.19mM KH2PO4、3.81mM Na2HPO4、5%(w/w)ソルビトール、10mMメチオニン、0.02%(w/w)ポリソルベート-80、pH7.0を含む賦形剤バッファー(バッファーXV2)を使用して、0.5±0.1のOD280の濃度のO-EPAバイオコンジュゲートを得た。次いで、調整されたAEX2溶出液を、5~6倍透析濾過容量にわたって賦形剤バッファーを用いて透析濾過した後、OD280=1.40±0.15の標的濃度に濃縮した。次いで、ポリソルベート-80(Tween-80)を、0.02%(w/w)の濃度で賦形剤バッファーに添加して、6.19mM KH2PO4、3.81mM Na2HPO4、5%(w/w)ソルビトール、10mMメチオニン、0.02%(w/w)ポリソルベート-80、pH7.0を含有する製薬上許容し得るバッファー(Tweenにより調整されたバッファーXV2)(例えば、WO 2018/077853を参照されたい)中のO25B-EPAコンジュゲートを得た。
f-15:PES膜(0.45+0.2μmのカットオフおよび0.2m2のフィルター面積)を含むSartopore 2 Capsule Size 9を使用して、バイオバーデン濾過を適用した。
f-16:得られた生成物(薬剤物質)を、ボトル中に充填し(薬剤物質バルク)、一次冷凍庫中、-70℃±10℃で凍結した。72h後、DSボトルを一次冷凍庫から取り出し、-70℃±10℃の最終保管冷凍庫に直接入れ、その間にDSが解凍することのないようにした。
本実施例においては、99.7%の純度および27mg PS/L HEの収率のO25B-EPAバイオコンジュゲートが得られたが、これは、約28%の見積もられた全体収率に対応する(上のステップa-2の、FPF中に存在するO-EPAコンジュゲートと比較して)。
上記と同じプロセスを使用して、広範囲のバイオコンジュゲートを精製した。特に、大腸菌血清型OVA、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B、およびO75について、O-EPAバイオコンジュゲートを精製した。これらのそれぞれの純度は、典型的には少なくとも96%であり、多くの場合、純度は98~100%であった。プロセスの見積もられた全体収率は株ごとに異なっており、特に、出発発現レベルに依存し、約5~30%の間で変化し、その平均は約18%であった。これは、本発明のDSP0プロセスが様々な異なるO-EPAコンジュゲートに広く適用可能であり、ヒトへのO-EPAの投与にとって十分なものである非常に高い純度への任意のO-EPAコンジュゲートの経済的な大規模生産にとって好適であることを示している。
ステップg:多価製剤を得るための精製されたO-EPAバイオコンジュゲート薬剤物質の組合せ
大腸菌O血清型O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B、およびO75に由来するO-EPAバイオコンジュゲートの精製された薬剤物質を、等量で(それぞれのコンジュゲートについて多糖の重量で)混合して、ヒトにおける使用にとって好適である、10価製剤(例えば、WO2020/191082を参照されたい)を得た。
これは、ExPEC O-EPAバイオコンジュゲートのための3カラム生産プロセスの例である。
本実施例においては、O-EPAバイオコンジュゲートを、実施例1に記載のように生産したが、ステップd)、すなわち、HICクロマトグラフィーステップは省略した。本実施例においては、O25B-EPAバイオコンジュゲートは、SE-HPLCによって測定した場合、88.3%の純度で得られた。かくして、HICクロマトグラフィーステップを省略する3カラムプロセスは、最後のAEX2ステップを省略する3カラムプロセスと同様の収率および純度をもたらす(図5を参照されたい)。
Figure 2024513914000003
Figure 2024513914000004

Claims (16)

  1. 精製されたO多糖-細胞外タンパク質A担体(O-EPA)コンジュゲートの生産のための方法であって、
    前記生産方法が、原核宿主細胞から得られるバイオコンジュゲートとしてO-EPAコンジュゲートを用意することを含み、
    前記生産方法が、
    バイオコンジュゲートを発現する原核宿主細胞のペリプラズム画分を用意するステップ、
    ペリプラズム画分を、第1の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX1)、次いで、
    ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HA)、次いで、
    疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、次いで、
    第2の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX2)
    にかけるステップを含む、O-EPAコンジュゲートの精製を含む、前記方法。
  2. 前記精製が、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)ステップを含まない、請求項1に記載の方法。
  3. 前記精製が、追加のクロマトグラフィーステップを含まない、請求項1または2に記載の方法。
  4. 100L~20000Lの容量、好ましくは、150L~5000Lの容量を有するバイオリアクター中での原核宿主細胞のインキュベーションを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記生産方法が、
    a)O-EPAコンジュゲートを含む原核宿主細胞の濾過されたペリプラズム画分を用意するステップ、
    b)濾過されたペリプラズム画分の場合により調整されたロードを、第1の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX1)ステップにかけて、第1のAEX溶出液(AEX1)を得るステップ、および
    c)ステップ(b)で得られたAEX1溶出液の調整されたロードを、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HA)ステップにかけて、HA溶出液を得るステップ、および
    d)ステップ(c)で得られたHA溶出液の調整されたロードを、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップにかけて、HIC溶出液を得るステップ、および
    e)ステップ(d)で得られたHIC溶出液の調整されたロードを、第2の陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX2)ステップにかけて、生成物として第2のAEX溶出液を得るステップ
    を含み、
    精製ステップb)~e)において、条件が、最初にO-EPAコンジュゲートのクロマトグラフィー媒体への結合を可能にするように調整され、続いて、前記媒体からのO-EPAコンジュゲートの溶出を可能にするように調整される、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. O多糖が、エシェリシア(Escherichia)およびシゲラ(Shigella)の一群から選択されるグラム陰性細菌、好ましくは、大腸菌(E.coli)に特異的である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. O-EPAコンジュゲートが得られる原核宿主細胞が、O多糖および組換え細胞外タンパク質A(EPA)およびO多糖を含むEPAのNグリコシル化を実行する代謝装置をコードする遺伝子情報を含み、それによって、原核宿主細胞のペリプラズム中、in vivoでO-EPAコンジュゲートを産生する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップb)が、
    b-1) 場合により、AEX1媒体への結合にとって好適な濾過されたペリプラズム画分のロードの伝導度を調整するサブステップ、
    b-2-i)濾過されたペリプラズム画分の場合により調整されたロードと、AEX1媒体とを接触させるサブステップ、
    b-2-ii)O-EPAコンジュゲートを溶出させるサブステップ、
    b-2-iii) 場合により、富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分をプールして、AEX1溶出液を得るサブステップ
    を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ステップc)が、
    c-3)HA媒体への結合にとって好適なAEX1溶出液のロードのpHおよび伝導度を調整するサブステップ、
    c-4) 場合により、粒子減少濾過1を実施するサブステップ、
    c-5-i)調整されたAEX1溶出液と、HA媒体とを接触させるサブステップ、
    c-5-ii)O-EPAコンジュゲートを溶出させるサブステップ、
    c-5-iii) 場合により、富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分をプールして、HA溶出液を得るサブステップ
    を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. ステップd)が、
    d-6)HAまたはcHA溶出液のロードの伝導度を調整するサブステップ、
    d-7) 場合により、粒子減少濾過2を実施するサブステップ、
    d-8-i)調整されたHAまたはcHA溶出液と、HIC媒体とを接触させるサブステップ、
    d-8-ii)O-EPAコンジュゲートを溶出させるサブステップ、
    d-8-iii) 場合により、富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分をプールして、HIC溶出液を得るサブステップ
    を含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. ステップe)が、
    e-9)O-EPAコンジュゲートの伝導度を低下させるため、およびO-EPAコンジュゲートの濃度の適合化のために、HIC溶出液のロードの接線流濾過1を実施するサブステップ、
    e-10)AEX2媒体への結合にとって好適な濾過されたHIC溶出液のロードのpHおよび伝導度を調整するサブステップ、
    e-11) 場合により、粒子減少濾過2を実施するサブステップ、
    e-12-i)濾過されたHIC溶出液の場合により調整されたロードと、AEX2媒体とを接触させるサブステップ、
    e-12-ii)O-EPAコンジュゲートを溶出させるサブステップ、
    e-12-iii) 場合により、富化されたO-EPAコンジュゲート内容物を含む画分をプールして、生成物としてAEX2溶出液を得るサブステップ
    を含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 追加のステップにおいて、f)AEX2溶出液のロードを、製薬上許容し得るバッファーおよび濃度に調整し、それによって、製薬上の薬剤物質として精製されたO-EPAコンジュゲートを得るステップ
    を含み、
    場合により、ステップf)が、
    f-13)接線流濾過2(TFF2)にとって好適なAEX2溶出液のロードのpHを調整するサブステップ、
    f-14)調整されたAEX2溶出液のTFF2を実施して、O-EPAコンジュゲートの製薬上許容し得るバッファーおよび濃度を変化させるサブステップ、
    f-15)精製されたO-EPAコンジュゲートのバイオバーデン濾過を実施して、精製されたO-EPAコンジュゲートの薬剤物質を得るサブステップ、
    f-16)精製されたO-EPAコンジュゲートを分割および凍結するサブステップ
    を含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 追加のステップにおいて、g)いくつかの精製されたO-EPAコンジュゲート薬剤物質を組み合わせることによって多価製剤を得るステップ
    を含み、
    場合により、ステップg)において、多価製剤が、大腸菌O血清型O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B、およびO75を含む一群から選択される少なくとも4つ、好ましくは、少なくとも8つのO多糖を含む、請求項5~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ステップ(e)の間に、O-EPAコンジュゲートをAEX2マトリックスに結合させ、ステップ勾配、次いで、増加する塩濃度の線形勾配によって溶出させて、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%の純度のO-EPAコンジュゲートを得る、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. ステップ(a)が、
    a-1)34℃~36℃の温度で、100L~20000L、例えば、150L~5000Lの容量を有するバイオリアクター中で原核宿主細胞をインキュベートして、収獲前に静止期まで増殖させた後、原核宿主細胞を収獲するステップ
    を含み、
    収獲が、ペリプラズム中にO-EPAコンジュゲートを含む収獲された原核宿主細胞を得るための連続流遠心分離ステップを含む、請求項5~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. ステップ(a)が、
    a-2)原核宿主細胞の浸透圧ショック処理を行うことによって、O-EPAコンジュゲートを含む原核宿主細胞のペリプラズム画分を得るステップ
    を含む、請求項5~15のいずれか一項に記載の方法。
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