JP2024511618A - エンドボスの密封 - Google Patents

Abstract

本発明は、プラスチック製のライナ（２）と、圧力容器（１）の開口の領域に配置される少なくとも１つのネックピース（４）と、繊維複合材料の外層（３）とを備えるコンポジット圧力容器（１）に関する。ネックピース（４）は貫通孔（５）を有し、かつバルブを接続するために用いられる。ライナ（２）は、軸方向の端に開口部を有する軸方向の管状ネック部分（１４）を有し、管状ネック部分はネックピース（４）内に延び、その外面に雄ねじ部（１５）とねじ山のない領域とが設けられている。雄ねじ部はネックピース（４）の貫通孔（５）の雌ねじ部にねじ込まれる。密封を最適化するために、ネック部分（１４）のねじ山のない領域と接触するネックピース（４）の内壁は、互いに軸方向に距離をおいて配置される少なくとも２つのリング溝（１０，１１）を有し、これらのリング溝に２つのシールリング（１６，１７）が配置されている。第１のシールリング（１６）は、低温でシールする第１の材料からなり、第２のシールリング（１７）は、低い気体透過性を有する第２の材料からなる。【選択図】図４

Description

本発明は、気体媒体のためのコンポジット圧力容器（複合圧力容器）に関する。圧力容器は、プラスチック製のライナと、圧力容器の開口の領域に配置されるネックピースと、ライナを補強する繊維複合材料（繊維強化材料）の外層とを備える。ネックピースは、貫通孔を有し、かつ、バルブを接続するように形成される。ライナは、軸方向の端に開口部（口部）を有する管状ネック部分を有し、管状ネック部分は圧力容器の軸の方向にネックピース内に延び、管状ネック部分の外面には雄ねじ部と雄ねじ部に隣接するねじ山のない領域とが設けられる。ネックピースの貫通孔に雌ねじ部が配置され、雌ねじ部にライナのネック部分の雄ねじ部がねじ込まれる（螺合する）。

実際には、このようなコンポジット圧力容器のネックピースはエンドボスと呼ばれる。このようなコンポジット圧力容器は、例えば国際公開第９９／２７２９３号から知られている。開口部を有するライナのネック部分が雄ねじ部を有し、これはネックピースの内壁の雌ねじ部にねじ込まれる。ライナに面したネックピースの端領域が平らなカラーを有し、これはライナと補強外層との間に配置されている。この構造では、ライナのネック部分は締付リングによって内壁に圧入される。雄ねじ部とライナの端面開口部との間には、ネック部分の外面にシールリングがあり、これはネックピースの溝に配置されている。第２のシールリングは、ライナとネックピースとの間の平らなカラーの領域に配置されている。この第２のシールリングに高いシール作用はない。ライナの端面開口部の近くの第１のシールリングも、ライナ内の高圧を周囲に対して所定の全温度範囲で確実に密封するのに常に十分であるとは限らない。

類似の構成が米国特許出願公開第２０１７／０２６８７２４号明細書及び独国特許出願公開第１０２０１００１８７００号明細書から知られている。後者の文献では、管状開口部の端面側の端の近くには内面と外面にシールリングがある。独国特許発明第１０２００９０４９９４８号明細書には、ライナとネックピースとの間に密封をもたらすための追加の挿入物が記載されている。ここでは、シールリングは、ライナとネックピースとの間に直接設けられていない。米国特許出願公開第２０１０／１６３５６５号明細書でも、追加の構成部品によってライナの端面側の端の向こう側で密封が行われる。

独国特許発明第１１２００７００２４９１号明細書、米国特許出願公開第２００１／０２５５９４０号明細書及び米国特許出願公開第２００７／０１１１５７９号明細書では、ネックピースが圧力容器の内部に突き出た管状の突出部を有し、ライナは、この突出部の外面に沿って容器の中心に向かって延び、そこで密封されている。

本発明の課題は、簡単な構造で最適に密封されるコンポジット圧力容器を提案することである。

本発明によれば、ネック部分のねじ山のない領域と接触するネックピースの内壁が、互いに軸方向に距離をおいて配置される少なくとも２つのリング溝を有し、２つのシールリングが、ネック部分のねじ山のない領域が内圧によってシールリングに押し付けられるようにリング溝に配置され、第１のシールリングが、低温でシールする第１の材料からなり、第２のシールリングが、低い気体透過性を有する第２の材料からなることによって、上記課題が解決される。

換言すれば、ライナの管状開口部が外側に折り返され（曲げられ）、すなわち外側へ突出する。ライナのこの管状開口部は、加圧や締付けがされるのではなく、単に容器内の内圧によって半径方向外側へ押される。開口部の外面には、２つのシールリングが互いに軸方向に距離をおいて配置され、これらは、ネックピースの円筒形の内壁に設けられた２つのリング溝に入っている。このようにして、ライナのネック部分の内部で作用する圧力によるのと同じ力でシールリングが、ネックピースの内壁に半径方向に押し付けられることが保証される。これらのシールリングの２つの異なる材料は、このような圧力容器の密封に求められる高い性能要求を満たすことを保証する。シール性は、－６０℃～＋１２０℃の広い温度範囲で保証される必要がある。この理由から、第１のシールリングには、－３０℃未満の非常に低い温度、殊に－６０℃に近い温度でも優れたシール特性を有する第１の材料が選択される。エチレンプロピレンジエンゴム（ＥＰＤＭ）は、極めて低い温度でも確実にシールする材料の１つである。

更に、ほぼ絶対的なシール性を達成する必要がある。特に、コンポジット圧力容器を車両の水素タンクとして使用する場合、貯蔵された水素が周囲空気中に拡散することによって容器が数日又は数週間後には空になり、それにより車両が走行不能になるということを回避しなければならない。密封の高いシール性は、低い気体透過性を有する第２の材料からなる第２のシールリングによって達成される。この第２の材料はポリウレタンであってもよい。

２つのシールリングによる完全な密封によって、ライナと補強外層との間に配置されるネックピースのカラーを省略することができる。このようなカラーは、ライナを周囲に対して密封するために必要ではない。

実際には、ネックピースは、ライナの材料にめり込む（押し込まれる）シール用エッジ部（シーリングエッジ部）を有することができる。シール用エッジ部は、シール作用を更に高める。シール作用を高めるために追加の構成部品の必要はない。効果的な密封を達成するために、容器の内部にライナを戻す必要もない。

選択された構造は、加圧下のガス、実際の実施形態では４００ｂａｒ以上の圧力の水素が入っているライナの内部空間との間に最適な密封をもたらす。プラスチックライナ内の高いガス圧は、ライナを全方向に膨張させる。２つのシールリングとシール用エッジ部との両方が、内圧によりライナの壁がシール要素に押し付けられ、それによって高いシール作用が達成されるように配置されている。

その場合、実際には、ライナのネック部分の肉厚（壁厚）は、ねじ山のない領域において実質的に一定であり得る。ライナは、特別な機械的接続要素又は反り返り部を有していないため、ライナの肉厚は全ての領域で実質的に同じであり得る。ネックピースの円筒形の内壁に２つのシールリングを配置することによって、ネックピースに対する、従ってネックピースに接続可能なバルブに対するライナの密封が保証される。両方のシールリングに容器の同じ半径方向の内圧が作用し、この内圧がライナの管状ネック部分を広げて半径方向に拡径する。

特に、実際には、ネックピースは、ライナの開口部の環状の端面に対向し、かつ、半径方向内方に突出する（張り出す）ショルダ面を有することができ、シール用エッジ部は、ショルダ面から軸方向に突出し、かつ、開口部の環状の端面にめり込む。容器の内圧が高い場合に開口部の端面に押し付けられ、かつ、めり込むこのような環状のシール用エッジ部には、ネックピースの外部（周囲）に対するライナの密封を著しく高める作用がある。更に、シール用エッジ部は、ライナの開口部領域を安定させる。容器内圧が頻繁に変動し、かつ、温度変動が激しい圧縮ガス容器（加圧ガス容器）のライフサイクルにわたって、ライナの開口部領域が内側へ変形し、ネックピースの内壁から持ち上がることが観察されている。開口部の環状の端面に軸方向に入り込む環状のシール用エッジ部によって、開口部が機械的に固定され、自由に変形することができない。

以下、本発明の他の実用的な実施形態及び利点を図面との関連で説明する。

本発明により形成されたコンポジット圧力容器の縦断面図である。 圧力容器の上ネックピースの縦断面図である。 ネックピース内のシーリング構成を示す、図２の細部Ａの拡大図である。 シールリングとライナのネック部分が入っているネックピースの図２に対応する図である。

図１において、上記のコンポジット圧力容器１が縦断面図で示されている。コンポジット圧力容器は、ブロー成形によって、或いは回転焼結法又は熱成形法で製造されるプラスチックライナ２からなる。ライナ２は、外側から取り付けられた外層３によって補強されている。外層３は、実際には、プラスチック樹脂と、例えばエポキシ樹脂又はフェノール樹脂などのデュロマーのマトリックス、或いは例えばＰＡ１２、ＰＡ６、ＰＰなどの熱可塑性樹脂に埋め込まれる、例えば炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ホウ素繊維、Ａｌ_２Ｏ_３繊維、又はこれらの混合物（ハイブリッドヤーン）などの繊維強化材との複合材からなる。繊維をライナ上に直接巻き付けることができ、又は外層３を、いわゆるオルガノシート、すなわち殊に、互いに織り合わせられプラスチックマトリックスに結合された繊維テープから形成することができる。

外層３の繊維複合材料の場合、繊維を容器の軸方向と接線方向の両方に、又は斜め方向（対角線方向）にも設けることができる。ライナ２のポールキャップも軸方向の巻き付けによって均一に巻き付けられる。このポールキャップを巻く前に、交互に、又は巻いた後に、繊維強化体を円筒状の容器部分の接線方向若しくは円周方向にだけ置くことができる。接線方向巻き付けと軸方向の巻き付けの肉厚の割合は、プラスチックライナ２の外径、繊維強化体の強度、巻き付け角度等に依存する。

コンポジット圧力容器１は軸方向の両端に開口を有し、これらはそれぞれがネックピース４で閉塞されている。図１に示される実施形態では、貫通孔５を有する同一のネックピース４が両端に配置され、それによりコンポジット圧力容器１からのガス取出し若しくは補給が両端で可能である。しかしながら、一端でネックピースが貫通孔を有していない実施形態もよく知られ、それによりガス取出しと補給は軸方向の一端でのみ行うことができる。このような実施形態は、国際公開第９９／２７２９３号に示されている。

両方のネックピース４は、知られているように、円錐台状に形成されたカラー６を有し、カラーにおける、容器中心に向いた側７に、ライナ２が当接する。しかし、このカラー６は、ここで説明される実施形態ではライナ２を密封するために寄与しないので、必要な場合にはこれを省略することもでき、ネックピースは、実質的に管状の構成部品のみからなることができる。コンポジット圧力容器１の長手方向の両端は、繊維複合材料でできた外層３の少なくとも径方向外側に位置する領域を覆って保護する衝撃吸収層８で覆われる。殊に、この層８は、ポリウレタンフォームからなる。

図２はネックピース４の縦断面を拡大した図を示し、図３は図２の細部Ａを更に拡大した図を示す。貫通孔５は、例えば水素などの液体又は気体の媒体の注入及び取出しのために用いられる。図２の上領域で、バルブをネックピース４に接続することができ、バルブによって媒体の充填及び取出しが調節される。円錐台状のカラー６の下面７は、ライナ２の上面に当接するように設けられ（図１）、ライナのネック部分は、貫通穴５の下領域の雌ねじ部９にねじ込まれる。貫通穴５における、雌ねじ部９の上方の、ねじ山のない領域には、シールリングを収容するための２つのリング溝（環状溝）１０，１１が設けられている。

上リング溝１１の上方には、内方に突出してライナ２の開口部の環状の端面のための当接面（図４参照）を形成する半径方向ショルダ面１２がある。半径方向内方に突出する環状のショルダ面１２から、環状のシール用エッジ部（尖状部、刃部）１３が容器中心に向かって容器の軸方向に突出する。

図４は、ライナ２が挿入されたネックピース４の図２に対応する縦断面図を示す。ライナ２が管状ネック部分１４を有し、その外面には下領域に雄ねじ部１５が配置されていることが認識できる。この雄ねじ部１５は、ネックピース４の雌ねじ部９にねじ込まれる。図４において雄ねじ部１５の上方に、ネック部分１４のねじ山のない領域が隣接し、それがライナ２の内部空間を密封する。ライナ２のねじ山のない領域の外面は、リング溝１０，１１に配置された２つのシールリング１６，１７と協働する。更に、環状のシール用エッジ部１３は、ネック部分１４の環状の端面１８にめり込む。従って、環状のシール用エッジ部１３は、周囲に対するネック部分１４の内部空間の追加的密封をもたらす。更に、シール用エッジ部は、ネック部分１４の端面１８をその位置に固定し、従ってネック部分１４の端面１８の変形を阻止する。

シールリング１６及び１７は、ライナ２の密封に求められる様々な要求を満たすために異なった材料を有している。第１のシールリング１６はエチレンプロピレンジエンゴム（ＥＰＤＭ）からなり、これは－６０℃までの温度で優れたシール特性を保証する。第２のシールリング１７はポリウレタンからなり、これは低い気体透過性を有し、従って、圧縮ガス容器に貯蔵されるガスが長期間にわたってその中にとどまるようにし、かつ、圧縮ガス容器から流出して許容できないほど大量に拡散することがないようにする。

本明細書、図面、及び請求項に開示された本発明の特徴は、本発明を様々な実施形態で実現するために個別及び任意の組み合わせの両方で本質的であり得る。本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明は、請求項の範囲で、及び有効たる当業者の知識を考慮して変更することができる。

１ コンポジット圧力容器
２ ライナ
３ 外層
４ ネックピース
５ 貫通孔
６ カラー
７ 容器中心に向いた側
８ 衝撃吸収層
９ 雌ねじ部
１０ リング溝
１１ リング溝
１２ ショルダ面
１３ シール用エッジ部
１４ ネック部分
１５ 雄ねじ部
１６ シールリング
１７ シールリング
１８ 端面

Claims (5)

1. 気体媒体のためのコンポジット圧力容器（１）であって、
   プラスチック製のライナ（２）と、
   前記圧力容器（１）の開口の領域に配置される少なくとも１つのネックピース（４）と、
   前記ライナ（２）を補強する繊維複合材料の外層（３）と、
   を備え、
   前記ネックピース（４）は、貫通孔（５）を有し、かつ、バルブを接続するように形成され、
   前記ライナ（２）は、軸方向の端に開口部を有する管状ネック部分（１４）を有し、前記管状ネック部分（１４）は、前記圧力容器（１）の軸の方向に前記ネックピース（４）内に延び、前記管状ネック部分（１４）の外面には雄ねじ部（１５）と前記雄ねじ部（１５）に隣接するねじ山のない領域とが設けられ、
   前記ネックピース（４）の前記貫通孔（５）に雌ねじ部（９）が配置され、前記雌ねじ部（９）に前記ライナ（２）の前記管状ネック部分（１４）の前記雄ねじ部（１５）がねじ込まれ、
   前記管状ネック部分（１４）の前記ねじ山のない領域と接触する前記ネックピース（４）の内壁は、互いに軸方向に距離をおいて配置される少なくとも２つのリング溝（１０，１１）を有し、
   前記管状ネック部分（１４）の前記ねじ山のない領域が内圧によって２つのシールリング（１６，１７）に押し付けられるように前記シールリング（１６，１７）が前記リング溝（１０，１１）に配置され、第１のシールリング（１６）が、低温でシールする第１の材料からなり、第２のシールリング（１７）が、低い気体透過性を有する第２の材料からなることを特徴とする、コンポジット圧力容器（１）。
2. 前記第１の材料がエチレンプロピレンジエンゴムであり、及び／又は、前記第２の材料がポリウレタンであることを特徴とする、請求項１に記載のコンポジット圧力容器（１）。
3. 前記ネックピース（４）は、前記ライナ（２）の材料にめり込むシール用エッジ部（１３）を有することを特徴とする、請求項１又は請求項２に記載のコンポジット圧力容器（１）。
4. 前記ライナ（２）の前記ネックピース（４）の肉厚が前記ねじ山のない領域において実質的に一定であることを特徴とする、請求項３に記載のコンポジット圧力容器（１）。
5. 前記ネックピース（４）は、前記ライナ（２）の前記開口部の環状の端面（１８）に対向し、かつ、半径方向内方に突出するショルダ面（１２）を有し、
   前記シール用エッジ部（１３）は、前記ショルダ面（１２）から軸方向に突出し、かつ、前記開口部の前記環状の端面（１８）にめり込むことを特徴とする、請求項３又は請求項４に記載のコンポジット圧力容器（１）。