JP2024511449A - Kv1.3遮断薬 - Google Patents

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Abstract

本発明は、カリウムチャネルKv1.3の新規遮断薬、それらをコードするポリヌクレオチド、並びにそれらの製造方法及び使用方法を提供する。

Description

本発明は、カリウムチャネルKv1.3の新規遮断薬、それらをコードするポリヌクレオチド、並びにそれらの製造方法及び使用方法を提供する。
イオンチャネルは、生体膜に細孔を形成する膜タンパク質であり、関連する膜を横切るイオンの流れを可能とする(及び調節する)。通過を提供するイオンの種類、イオンの通過が調節又は「開口」(例えば、「リガンド開口型」若しくは「電位開口型」)される方法、及びそれらの細胞局在又は細胞内局在などにより、様々な方法で分類されうる多数の異なるタイプのイオンチャネルがある。
カリウムチャネルは4つの主要なクラス、すなわち、電位開口型カリウムチャネル、カルシウム活性化カリウムチャネル、内向き整流カリウムチャネル、及び直列ポアドメインカリウムチャネルに分類される。
電位開口型カリウムチャネルは、他の電位開口型チャネルと同様に、膜貫通電圧に応答して開閉する。それらは、神経伝達物質の放出、心拍数、インスリン分泌、神経細胞の興奮性、上皮電解質輸送、平滑筋収縮、及び細胞体積の調節を含む、多様な生物学的機能を伴う複雑なファミリーを代表している。
Kv1.3(カリウム電位開口型チャネルサブファミリーAメンバー3)チャネルは、T細胞上で発現され、T細胞活性化の調節において役割を担う。Kv1.3の遮断薬は、インビトロで活性化されたT細胞の増殖を阻害することが示されており(Cahalan and Chandy, Immunol.Rev. 231:59-87, 2009において概説されている)、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE,experimental autoimmune encephalomyelitis)、実験的関節炎、遅延型過敏症(DTH,delayed-type hypersensitivity)、アレルギー性接触皮膚炎、及び糸球体腎炎を含む、自己免疫疾患の様々な実験モデルにおいて、T細胞依存性の疾患進行を阻害することが示されている。例えば、Rangaraju et al. (Expert Opin. Ther. Targets 13:909-24, 2009); Beeton et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 103:17414-9, 2006); Koo et al. (J. Immunol. 158:5120-8, 1997); Hyodo et al. (Am. J. Physiol. Renal Physiol. 299 : F1258-69, 2010)を参照。国際公開第2016/112208号パンフレットは、皮膚及び粘膜の炎症の治療のためのKv1.3遮断薬の局所適用について記載している。
したがって、Kv1.3遮断薬は、自己免疫疾患を含む炎症性疾患の治療に使用できる可能性をかなり有している。
国際公開第2015/013330号パンフレットは、シェーグレン症候群などの自己免疫状態に起因する場合を含む、ドライアイ及びぶどう膜炎などの眼の状態の治療のためのKv1.3遮断薬ペプチドの使用を提案している。
Kv1.3の遮断薬はまた、例えば、エネルギー恒常性、体重調節、及びグルコース制御に関連して、有益な代謝作用を有する可能性がある。Kv1.3ノックアウト(Kv1.3(-/-))マウスは、高脂肪食への応答において、対照の同腹子と比較して低減された体重増加、より高いインスリン感受性、及び低減した血漿グルコースレベルを呈する(Xu et al., Hum. Mol. Genet. 12:551-9, 2003)。さらに、Kv1.3遮断薬は、グルコーストランスポーター4(GLUT4,glucose transporter 4)の骨格筋及び脂肪組織における発現を増加させること、正常マウス及びob/ob肥満マウスにおけるインスリン感受性を増加させること、並びにインビトロの初代脂肪細胞におけるグルコース取り込みを増加させることが示されている(Xu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:3112-7, 2004)。ヒトにおいて、Kv1.3遺伝子の一塩基多型(SNP,single nucleotide polymorphism)は、低下したインスリン感受性及び障害された耐糖能とも関連付けられている(Tschritter, Clin Endocrinol Metab 91: 654-8, 2006)。
Kv1.3は、増殖中のヒト及びマウスの平滑筋細胞でも発現される。Kv1.3の遮断薬は、例えば血管手術(例えば血管形成術)後の患者における再狭窄などの平滑筋増殖性疾患において有効となりうる。Kv1.3遮断薬は、エクスビボのヒト静脈試料において、カルシウムの侵入を阻害し、平滑筋細胞の遊走を低減させ、新生内膜過形成を阻害することが示されている(Cheong et al., Cardiovasc. Res. 89:282-9, 2011)。
さらなる証拠は、Kv1.3チャネルが、腫瘍細胞(Bielanska et al., Curr. Cancer Drug Targets 9:904-14, 2009)、ミクログリア(Khanna et al., Am. J. Physiol. Cell Physiol. 280 : C796-806, 2001)を含む多くのタイプの細胞の活性化及び/又は増殖、並びに神経前駆細胞の分化(Wang et al., J. Neurosci. 30:5020-7, 2010)に関与していることを示唆している。したがって、Kv1.3遮断薬は、神経炎症性疾患、神経変性疾患、及びがんの治療に有益となりうる。
Kv1.3は、Kv1.1からKv1.8と呼ばれる、密接に関連したカリウムチャネルのサブファミリーの一部である。大きな相同ファミリーを扱う場合、有効性と安全性を向上させ、望ましくないオフターゲット効果を回避するために、遮断薬が所望の標的に対して可能な限り選択的かつ特異的であることが常に望ましい。現在までに同定された最も特異的なKv1.3遮断薬は、ヘビ、クモ形類動物(サソリ及びクモなど)、イソギンチャクなど、様々なタイプの有毒生物に由来する毒性ペプチドである。そのようなKv1.3遮断薬は、Chandy et al., Trends in Pharmacol. Sci. 25:280-9, 2004により概説されているペプチドのShK、Oskl、マーガトキシン、及びカリオトキシンを含む。Abdel-Mottaleb et al., Toxicon 51:1424-30, 2008、及びMouhat et al., Biochem. J. 385(Pt 1):95-104, 2005も参照されたい。
特異性又は効力を含む特定の特性のために毒素ペプチドを改変する様々な試みが、例えば、国際公開第2006/002850号パンフレット、国際公開第2006/042151号パンフレット、国際公開第2008/088422号パンフレット、国際公開第2006/116156号パンフレット、国際公開第2010/105184号パンフレット及び国際公開第2014/116937号パンフレットに記載されている。国際特許出願第PCT/EP2020/076187号も、Kv1.3遮断薬を開示している。
しかしながら、代替的なKv1.3遮断薬の必要性は残っている。公知の遮断薬と比較して改善された特異性を有する遮断薬が特に望ましいが、安定性及び効力などの他の特性における改善も有用となりうる。
国際公開第2016/112208号パンフレット 国際公開第2015/013330号パンフレット 国際公開第2006/002850号パンフレット 国際公開第2006/042151号パンフレット 国際公開第2008/088422号パンフレット 国際公開第2006/116156号パンフレット 国際公開第2010/105184号パンフレット 国際公開第2014/116937号パンフレット 国際特許出願第PCT/EP2020/076187号
Cahalan and Chandy, Immunol.Rev. 231:59-87, 2009 Rangaraju et al. (Expert Opin. Ther. Targets 13:909-24, 2009) Beeton et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 103:17414-9, 2006) Koo et al. (J. Immunol. 158:5120-8, 1997) Hyodo et al. (Am. J. Physiol. Renal Physiol. 299 : F1258-69, 2010) Xu et al., Hum. Mol. Genet. 12:551-9, 2003 Xu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:3112-7, 2004 Tschritter, Clin Endocrinol Metab 91: 654-8, 2006 Cheong et al., Cardiovasc. Res. 89:282-9, 2011 Bielanska et al., Curr. Cancer Drug Targets 9:904-14, 2009 Khanna et al., Am. J. Physiol. Cell Physiol. 280 : C796-806, 2001 Wang et al., J. Neurosci. 30:5020-7, 2010 Chandy et al., Trends in Pharmacol. Sci. 25:280-9, 2004 Abdel-Mottaleb et al., Toxicon 51:1424-30, 2008 Mouhat et al., Biochem. J. 385(Pt 1):95-104, 2005
本発明は、パラブツス・トランスバリクス(Parabuthus transvaalicus)というサソリの毒素ペプチド由来のイオンチャネル遮断薬に関する。毒素ペプチドは、アミノ酸配列QMDMRCSASVECKQKCLKAIGSIFGKCMNKKCKCYPR(配列番号1)を有する。
数ある望ましい特性の中でも、この分子及びその誘導体又はバリアントは、他の電位開口型カリウムチャネルよりもKv1.3カリウムイオンチャネルに対して極めて選択的な遮断薬であることが判明しており、典型的には、Kv1.3チャネルを遮断する高い効力も有している。
したがって、本発明は、配列QMDMRCSASVECKQKCLKAIGSIFGKCMNKKCKCYPR(配列番号1)のバリアントを含む、Kv1.3阻害剤活性を有するイオンチャネル遮断薬又はその薬学的に許容される塩を提供し、配列番号1の7、8、9、10又は11位の少なくとも1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されており、前記バリアントは、以下の配列のいずれをも含まない:
1つの態様において、本発明は、配列QMDMRCSASVECKQKCLKAIGSIFGKCMNKKCKCYPR(配列番号1)のバリアントを含む、Kv1.3阻害剤活性を有するイオンチャネル遮断薬又はその薬学的に許容される塩を提供し、配列番号1の7、8、9、10又は11位の少なくとも1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。
他の態様において、本発明は、本発明のイオンチャネル遮断薬をコードする核酸、本発明の核酸を含む発現ベクター、及び本発明の核酸若しくは本発明の発現ベクターを含み、本発明のイオンチャネル遮断薬を発現することができる宿主細胞を提供する。
本発明はまた、本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を合成する方法も提供する。
本発明はさらに、本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、本発明のイオンチャネル遮断薬、薬学的に許容される塩、又は医薬組成物の医薬用途、並びに本発明のイオンチャネル遮断薬、薬学的に許容される塩、又は医薬組成物を使用して疾患を治療する方法を提供する。
イオンチャネル遮断薬
本発明は、イオンチャネル遮断薬を提供する。
本発明のイオンチャネル遮断薬は、薬学的に許容される塩の形態であってもよい。本明細書における「イオンチャネル遮断薬」への全ての言及は、「薬学的に許容される塩」が明示的に記載されているかどうかに関係なく、そのいかなる薬学的に許容される塩をも包含するとみなされるべきである。
「イオンチャネル遮断薬」という用語は、イオンチャネルに対する阻害剤(又は遮断)活性を有する化合物、すなわち、典型的にはイオンチャネルに結合することによって、それぞれのイオンチャネルを通るイオンの流れを阻害又は排除することができる化合物を表記するために使用される。同様に、用語「Kv1.3阻害剤」及び「Kv1.3阻害剤成分」は、典型的にはKv1.3チャネルに結合することによって、Kv1.3イオンチャネルを通るイオンの流れを阻害又は排除することができるペプチドを指す。しかしながら、「遮断薬」及び「阻害剤」という用語は、特定の作用機序、又はイオンチャネル自体との相互作用の特定の様式を意味すると解釈されるべきではない。
用語Kv1.3は、カリウム電位開口型チャネルサブファミリーAメンバー3を指し、KCNA3、HPCN3、HGK5、HuKIII及びHLK3とも呼ばれる。「サブファミリーA」は「シェーカー関連サブファミリー」とも呼ばれる場合もある。ヒトのアミノ酸配列は、UniProtアクセッション番号P22001、バージョンP22001.3(Q5VWN2)で提供されている。
Kv1.3チャネルは、T及びBリンパ球で発現され、T細胞の活性化に関係付けられている。多くのグループが、免疫応答の阻害並びにその他の様々な適応のためのKv1.3遮断薬の開発を進めている。しかしながら、Kv1.3チャネルは、異なる生理学的役割を有するKv1.1、Kv1.2、及びKv1.6チャネルも含む、関連するイオンチャネルの複雑なファミリーの一部である。したがって、Kv1.3阻害剤は、他のイオンチャネル、特にKv1.1、Kv1.2、Kv1.4、Kv1.5、Kv1.6、Kv1.7及びKv1.8などの他の電位開口型カリウムチャネルよりも優先して、Kv1.3に対して可能な限り選択的であることが望ましい。
本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩は、Kv1.3阻害剤活性を有する。換言すれば、本発明のイオンチャネル遮断薬(及び単離されたイオンチャネル遮断薬のペプチド成分)は、Kv1.3イオンチャネルにおいて阻害剤又は遮断薬活性を有する、すなわち、Kv1.3イオンチャネルを通るイオンの流れを阻害することができる。
IC50
IC50値は、阻害剤(又は遮断薬)の活性又は効力の尺度として使用されうる。IC50値は、所与のアッセイにおいて、その化合物がイオンチャネル活性の最大阻害の半分を達成するのに必要な阻害剤の濃度の尺度である。特定のイオンチャネルにおいて、参照化合物よりも低いIC50を有する化合物は、参照化合物よりも活性の高い阻害剤、又はより強力な阻害剤であるとみなされうる。「活性」と「効力」という用語は、交換可能に使用される。
IC50値は、イオンの流動(例えば、タリウムイオンの流動)を測定する蛍光ベースのアッセイ及びパッチクランプアッセイなどの任意の適切なアッセイを使用して決定されうる。それらは、以下の実施例に記載されているように実施されうる。例えば、QPatch(登録商標)システムを使用したパッチクランプアッセイが好ましい場合がある。
いくつかの実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、50nM以下、例えば20nM以下、例えば10nM以下、例えば5nM以下、例えば2nM以下、例えば1nM以下、例えば0.5nM以下、例えば0.4nM以下、例えば0.3nM以下、例えば0.2nM以下の、ヒトKv1.3カリウムチャネルに対するIC50を有する。好ましくは、本発明のイオンチャネル遮断薬は、0.5nM以下、最も好ましくは0.2nM以下のヒトKv1.3カリウムチャネルに対するIC50を有する。
本発明のイオンチャネル遮断薬は、本明細書に記載の化合物1~12を含むが、これらは、本明細書の実施例2において、50nM以下のヒトKv1.3カリウムチャネルに対するIC50を有することが示されている。本発明のイオンチャネル遮断薬は、本明細書に記載の化合物1~5及び7~12を含むが、これらは、本明細書の実施例2において、5nM以下のヒトKv1.3カリウムチャネルに対するIC50を有することが示されている。本発明のイオンチャネル遮断薬は、本明細書に記載の化合物1~5、7、8及び10~12を含むが、これらは、本明細書の実施例2において、0.5nM以下のヒトKv1.3カリウムチャネルに対するIC50を有することが示されている。本発明のイオンチャネル遮断薬は、本明細書に記載の化合物1~5、7、8及び11を含むが、これらは、本明細書の実施例2において、0.3nM以下のヒトKv1.3カリウムチャネルに対するIC50を有することが示されている。本発明のイオンチャネル遮断薬は、本明細書に記載の化合物1~5を含むが、これらは、本明細書の実施例2において、0.2nM以下のヒトKv1.3カリウムチャネルに対するIC50を有することが示されている。
半減期
いくつかの実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、少なくとも1時間、例えば少なくとも1.5時間、例えば少なくとも2時間、例えば少なくとも2.5時間のインビボ半減期を有する。
イオンチャネル遮断薬の半減期(T1/2)は、本明細書の実施例3に記載されているように、当分野で公知のアッセイを使用して決定されうる。
選択性
本発明のイオンチャネル遮断薬は、Kv1.3に対して選択的である。1つの実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、Kv1.1、Kv1.2、Kv1.4、Kv1.5、Kv1.6、Kv1.7及びKv1.8よりも選択的である。特に、本発明のイオンチャネル遮断薬は、Kv1.1、Kv1.2及びKv1.6の1又は2以上よりも、Kv1.3に対して選択的である。
例えば、それらはKv1.1よりもKv1.3に対して選択的であるか;Kv1.2よりもKv1.3に対して選択的であるか;Kv1.6よりもKv1.3に対して選択的であるか;Kv1.1及びKv1.2よりもKv1.3に対して選択的であるか;Kv1.1及びKv1.6よりもKv1.3に対して選択的であるか;Kv1.2及びKv1.6よりもKv1.3に対して選択的であるか;又はKv1.1、Kv1.2、及びKv1.6よりもKv1.3に対して選択的でありうる。典型的には、イオンチャネル遮断薬は、Kv1.1よりもKv1.3に対して選択的である。さらに、それらはKv1.2及び/又はKv1.6よりもKv1.3に対して選択的でありうる。
この文脈において「選択的」とは、イオンチャネル遮断薬が、Kv1.1、Kv1.2、及びKv1.6のそれぞれに対するよりもKv1.3に対して、より高い阻害剤活性を有することを意味する。したがって、Kv1.3に対するそれらのIC50は、典型的には他のそれぞれのイオンチャネルに対するよりも低い。
したがって、別のイオンチャネルXに比したKv1.3対する選択性は、例えば、IC50[X] / IC50[Kv1.3]のように、それぞれのIC50値の比として表現されうる。
したがって、本発明のイオンチャネル遮断薬は、Kv1.1に比して少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、又は少なくとも10000のKv1.3に対する選択性を有していてもよく、最大100000又はさらにそれ以上であってもよい。典型的には、本発明のイオンチャネル遮断薬は、Kv1.1に比して少なくとも100、又は少なくとも1000のKv1.3に対する選択性を有する。
したがって、本発明のイオンチャネル遮断薬は、Kv1.2に比して少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、又は少なくとも10000のKv1.3に対する選択性を有していてもよく、最大100000又はさらにそれ以上であってもよい。典型的には、それらは、Kv1.2に比して少なくとも10、好ましくは少なくとも50、又は少なくとも100、又は少なくとも1000のKv1.3に対する選択性を有する。
したがって、本発明のイオンチャネル遮断薬は、Kv1.6に比して少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、又は少なくとも10000のKv1.3に対する選択性を有していてもよく、最大100000又はさらにそれ以上であってもよい。典型的には、それらは、Kv1.6に比して少なくとも100、少なくとも400、又は少なくとも1000のKv1.3に対する選択性を有する。
本発明のイオンチャネル遮断薬は、ShK、モカトキシン(Moka1)、Vm24、Odk2、又はOsk1などの公知のイオンチャネル遮断薬よりも高い選択性を有しうる。したがって、本発明のイオンチャネル遮断薬は、イオンチャネルXよりもKv1.3に対してより高い選択性、すなわち、IC50[X] / IC50[Kv1.3]を有していてもよく、これは、比較分子の選択性よりも高い。2つのイオンチャネル遮断薬の選択性は、直接的な比較を可能とするために、各イオンチャネルについて同じ条件下で決定される。上述のように、蛍光ベースのイオン流動アッセイ及びパッチクランプアッセイなどの任意の適切なアッセイが使用されうる。
本発明のイオンチャネル遮断薬は、Kv1.1、Kv1.2及び/又はKv1.6のいずれか又は全てで、公知のイオンチャネル遮断薬(Odk2又はOsk1など)よりも低い絶対的阻害剤活性(すなわち、より高いIC50)を有していてもよい。しかしながら、Kv1.3に対する選択性が比較化合物のものよりも高ければ、これらのイオンチャネルのいずれか又は全てで、より高い絶対的阻害剤活性をそれらが有していても許容されうる。しかし、典型的には、本発明の化合物は、Kv1.3に対する高い特異性と高い効力を兼ね備えている。
ペプチド
本発明のイオンチャネル遮断薬は、ペプチド配列QMDMRCSASVECKQKCLKAIGSIFGKCMNKKCKCYPR(配列番号1)のバリアントを含む。
配列番号1は、パラブツス・トランスバリクスというサソリの毒素ペプチドのアミノ酸配列である。本明細書に記載されているように、このペプチドは選択的なKv1.3カリウムイオンチャネル阻害剤である。
アミノ酸
本明細書及び特許請求の範囲を通して、天然に存在するアミノ酸に対し、従来的な三文字及び一文字のコード、すなわち、
A(Ala)、G(Gly)、L(Leu)、I(Ile)、V(Val)、F(Phe)、W(Trp)、S(Ser)、T(Thr)、Y(Tyr)、N(Asn)、Q(Gln)、D(Asp)、E(Glu)、K(Lys)、R(Arg)、H(His)、M(Met)、C(Cys)及びP(Pro);
並びに、サルコシン(Sar)、ノルロイシン(Nle)、α-アミノイソ酪酸(Aib,α-aminoisobutyric acid)、2,3-ジアミノプロパン酸(Dap,2,3-diaminopropanoic acid)、2,4-ジアミノブタン酸(Dab,2,4-diaminobutanoic acid)、2,5-ジアミノペンタン酸(オルニチン又はOrn)、アルファ-アミノ酪酸(Abu,alpha-aminobutyric acid、ホモアラニンとしても知られる)、hK(hLys又はホモLys(ホモリジン)としても知られる)、hQ(hGln又はホモGln(ホモグルタミン、6-オキソリシンとしても知られる)としても知られる)、L-5-カルバモイルノルバリン、6-アミノ-6-オキソノルロイシン、5-(アミノカルボニル)ノルバリン)、F(4-F)(4-フルオロ-フェニルアラニン)、F(4-NH)(4-アミノ-フェニルアラニン)、F(4-NO)(4-ニトロ-フェニルアラニン)、及びF(4-CH)(4-メチル-フェニルアラニン)などの他のα-アミノ酸のための一般的に受け入れられているコードが使用される。
[2-アミノ-5-カルボキシペンタノイル]という表記は、2-アミノ-5-カルボキシペンタン酸のペプチド残基を示し、これは、グルタミン酸の側鎖と同様な側鎖を有しているが、以下の構造に示されるように、追加のメチレン基を備えている:
[2,3-ジアミノプロパノイル]という表記は、2,3-ジアミノプロパン酸のペプチド残基を示し、これは、以下の構造を有している:
[2,4-ジアミノブタノイル]という表記は、2,4-ジアミノブタン酸のペプチド残基を示し、これは、以下の構造を有している:
[2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル]という表記は、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸のペプチド残基を示し、これは、以下の構造を有している:
そのような他のα-アミノ酸は、本明細書において一般式又は配列で使用される場合、特に、式又は配列の残りの部分が一文字コードを使用して示される場合、角括弧「[]」中に示されうる(例えば「[Nle]」)。特に指定のない限り、本発明のペプチド中のアミノ酸残基はL-配置である。しかしながら、D-配置のアミノ酸が組み込まれていてもよい。本文脈において、小文字で書かれたアミノ酸コードは、当該アミノ酸のD-配置を表し、例えば、「k」はリジン(K)のD-配置を表す。
配列番号1のバリアントは、残基6Cと27C、残基12Cと32C、及び残基16Cと34Cの間に3つのジスルフィド結合を共に形成する、6つのシステイン(C)残基を含有している。
ジスルフィド結合は、配列番号1を参照すると、以下:
QMDMRC(1)SASVEC(2)KQKC(3)LKAIGSIFGKC(1)MNKKC(2)KC(3)YPR
のように図示されうるが、ジスルフィド結合に共に参加する一対のシステイン残基は、括弧内の同じ数字によって示されている。同様な表記法が、この出願の他の配列のいずれにも適用されうる。文脈上別段の要求がある場合を除き、活性阻害剤化合物は、適切なジスルフィド結合を含むと理解されるべきである。
他のシステイン残基が置換又は挿入によって配列番号1のバリアントに導入されないことが望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号1の6、12、16、27、32、及び34位に対応する位置のものを除いて、他のシステイン残基を含有しない。いくつかの実施形態では、配列番号1のバリアントにおける置換又は欠失は、配列番号1の6、12、16、27、32、及び34位のアミノ酸ではない。
バリアント
本発明のイオンチャネル遮断薬は、配列番号1のバリアントを含む。いくつかの実施形態では、本発明のイオンチャネル遮断薬は、配列番号1のバリアントからなる。配列番号1のバリアントは、配列番号1のアミノ酸とは異なる1又は2以上のアミノ酸(すなわち、配列番号1と比較して1又は2以上のアミノ酸の変化)を含むペプチドである。そのようなバリアントは、「誘導体」、「バリアントペプチド」、「ペプチド」又は「化合物」と称されることもある。
配列番号1のバリアントは、配列番号1の1又は2以上のアミノ酸が欠失している、及び/又は配列番号1の1又は2以上のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、及び/又は1又は2以上のアミノ酸が配列番号1の配列中に挿入されているという点で、配列番号1とは異なりうる。アミノ酸は、配列番号1の内部の位置、配列番号1のN末端、又は配列番号1のC末端に挿入されうる。このように、配列番号1のバリアントは、1又は2以上の置換、挿入及び/又は欠失を含む。
特に断りのない限り、「置換」とは、配列番号1における単一のアミノ酸の置換(すなわち、置き換え)を指す。したがって、例えば、配列番号1における3つの連続するアミノ酸の置換は、単一の置換ではなく、むしろ3つの置換を構成する。同様に、「挿入」は、配列番号1への単一のアミノ酸の挿入(内部、N末端、及び/又はC末端でありうる)を指し、例えば、配列番号1における3つの連続するアミノ酸の挿入は、単一の挿入ではなく、むしろ3つの挿入を構成する。「欠失」とは、配列番号1からの単一のアミノ酸の欠失を指し、したがって、例えば、配列番号1における3つの連続するアミノ酸の欠失は、単一の欠失ではなく、むしろ3つの欠失を構成する。
特に好ましい実施形態において、配列番号1のバリアントは、合計で最大10個までの置換、挿入又は欠失により、配列番号1と異なる。いくつかのそのような実施形態において、バリアントは、配列番号1と比較して、合計で10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1個の置換、挿入又は欠失を含有する。好ましくは、バリアントは、配列番号1の配列と比較して、合計で7個の置換、挿入又は欠失により、配列番号1と異なる。
番号付け
配列番号1のアミノ酸残基には、従来的なN末端からC末端の方向に1~37までの番号が付けられている。本明細書を通して、配列番号1のバリアントにおけるアミノ酸位置は、配列番号1と最適にアライメントさせたときにそれと対応する位置に従って番号付けされる。したがって、特に配列番号1と比較して1又は2以上の挿入又は欠失を含有するバリアントの場合、所与の残基の番号付けは、配列番号1の対応する残基を反映し、必ずしもバリアントの配列におけるその直線的な位置は反映しない。
特定の位置に存在する残基は、存在する残基の一文字コード又は三文字コードと一緒に並べた関連する位置の番号によって示されうる。したがって、1Q又はQ1(これら2つの形式は交換可能)は、1位のグルタミン(Q)残基を示し、2Nle、2[Nle]、Nle2又は[Nle]2は、2位のノルロイシン残基を示す。
アスタリスクは、配列番号1の配列に対する欠失の位置を表記するために使用されうる。例えば、「1」は、配列番号1との比較で、1位の残基の欠失を示す。
挿入は、単一の位置における一連の連続的な残基によって示されてもよく、例えば、「1QA」は、1位のグルタミン(Q)残基の後におけるアラニン(A)残基の挿入を示す。
いくつかの実施形態において、配列番号1と比較した置換は、保存的置換である。しかしながら、以下に提供される一般式のいずれかに列挙されている置換が、それぞれの位置に導入されてもよい。
いくつかの実施形態において、配列番号1のバリアントにおける置換又は欠失は、配列番号1の1~5位、7~11位、13~15位、17~23位、25位、28~31位、33位及び35~37位から選択されるアミノ酸位置におけるものである。好ましくは、配列番号1のバリアントにおける置換又は欠失は、配列番号1の1~5位、7~11位、13位、15位、18位、28位及び30位から選択されるアミノ酸位置におけるものである。
末端基
配列のN末端における「H」(又は「Hy-」)部分は、水素原子を示し[すなわち、R=水素]、これは、N末端における遊離の第一級又は第二級アミノ基の存在に対応する。或いは、バリアントペプチドは、代替的なN末端基(すなわち、N末端修飾)を含んでいてもよい。
したがって、本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩のいくつかの実施形態において、ペプチドは、N末端にC1-4アルキル、アセチル(Ac)、ホルミル、ベンゾイル及びトリフルオロアセチルから選択される基を含む。
配列のC末端における「-OH」部分は、分子のC末端におけるカルボキシ(COOH)基の一部としてのヒドロキシ基(OH)の存在を示す。配列のC末端における「-NH」部分は、分子のC末端おけるアミド(CONH)基の一部としてのアミノ基(NH)の存在を示す。C末端における「CHOH」部分は、分子のC末端におけるアルキル基に連結したヒドロキシル基の存在を示す。
したがって、本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩のいくつかの実施形態において、ペプチドは、C末端にアミノ基(-NH)、ヒドロキシル基(-OH)又はヒドロキシメチル基(-CHOH)、好ましくはアミノ基(-NH)又はヒドロキシル基(-OH)を含む。
配列同一性
いくつかの実施形態において、バリアントは、配列番号1と少なくとも60%の配列同一性、例えば、少なくとも65%の配列同一性、例えば、少なくとも70%の配列同一性、例えば、少なくとも75%の配列同一性、例えば、少なくとも80%の配列同一性、例えば、少なくとも85%の配列同一性、例えば、少なくとも90%の配列同一性、例えば、少なくとも95%の配列同一性、例えば、少なくとも96%の配列同一性、例えば、少なくとも97%の配列同一性、例えば、少なくとも98%の配列同一性、例えば、少なくとも99%の配列同一性、例えば、100%の配列同一性を有する。
本明細書におけるペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列をアライメントさせ、必要に応じてギャップを導入して、配列同一性パーセントを最大にした後に、配列番号1の野生型毒素ペプチド配列におけるアミノ酸と同一である候補配列中のアミノ酸のパーセンテージとして定義され、いずれの保存的置換も配列同一性の一部として考慮されない。配列のアライメントは、当業者により、当技術分野で周知の技術を使用して、例えば、BLAST、BLAST2又はAlignソフトウェアのような一般に入手可能なソフトウェアを使用して行われうる。例えば、Altschul et al., Methods in Enzymology 266: 460-480 (1996)又はPearson et al., Genomics 46: 24-36, 1997を参照。
本発明の文脈において本明細書で使用されるパーセンテージ配列同一性は、これらのプログラムをデフォルトの設定で使用して決定されうる。より一般的には、当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメントを決定するための適切なパラメータを容易に決定することができる。
特定のペプチドバリアント
7~11位
本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩は、配列QMDMRCSASVECKQKCLKAIGSIFGKCMNKKCKCYPR(配列番号1)のバリアントを含み、配列番号1の7、8、9、10又は11位の少なくとも1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。
いくつかの実施形態において、配列番号1の7、8、9、10又は11位の少なくとも1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態において、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸は、H、K、hK、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2,4-ジアミノブタノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル、及び4-アミノ-フェニルアラニン(F(4-NH))からなる群から選択される。好ましくは、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸は、H、K、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル及び2,4-ジアミノブタノイルから選択される。好ましくは、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸は、H、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル及び2,4-ジアミノブタノイルから選択される。
いくつかの実施形態において、配列番号1の7、8、9、10又は11位の少なくとも1つのアミノ酸は、芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態において、芳香族側鎖を有するアミノ酸は、F、W及びYからなる群から選択される。好ましくは、芳香族側鎖を有するアミノ酸はYである。
いくつかの実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩は、配列QMDMRCSASVECKQKCLKAIGSIFGKCMNKKCKCYPR(配列番号1)のバリアントを含み、配列番号1の7、9又は10位の少なくとも1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。
いくつかの実施形態において、配列番号1の7、9又は10位の少なくとも1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態において、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸は、H、K、hK、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2,4-ジアミノブタノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル、及び4-アミノ-フェニルアラニン(F(4-NH))からなる群から選択される。好ましくは、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸は、H、K、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル及び2,4-ジアミノブタノイルから選択される。好ましくは、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸は、H、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル及び2,4-ジアミノブタノイルから選択される。
いくつかの実施形態において、配列番号1の7、9又は10位の少なくとも1つのアミノ酸は、芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態において、芳香族側鎖を有するアミノ酸は、F、W及びYからなる群から選択される。好ましくは、芳香族側鎖を有するアミノ酸はYである。
本発明のイオンチャネル遮断薬のいくつかの実施形態では、配列番号1の7、8、9、10又は11位の正確に1つのアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。本発明のイオンチャネル遮断薬のいくつかの実施形態では、配列番号1の7、9又は10位の正確に1つのアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。
いくつかの実施形態では、配列番号1の7位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。好ましくは、配列番号1の7位のアミノ酸は、H、K、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル、2,4-ジアミノブタノイル又はYで置換されている。好ましくは、配列番号1の7位のアミノ酸は、H、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル、2,4-ジアミノブタノイル又はYで置換されている。
いくつかの実施形態では、配列番号1の8位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態において、配列番号1の8位のアミノ酸は、配列番号1の8位(すなわちA)と同じアミノ酸である。
いくつかの実施形態では、配列番号1の9位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。好ましくは、配列番号1の9位のアミノ酸は、K、Orn又は2,3-ジアミノプロパノイルで置換されている。好ましくは、配列番号1の9位のアミノ酸は、Orn又は2,3-ジアミノプロパノイルで置換されている。
いくつかの実施形態では、配列番号1の10位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。好ましくは、配列番号1の10位のアミノ酸は、Rで置換されている。
いくつかの実施形態では、配列番号1の11位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。好ましくは、配列番号1の11位のアミノ酸は、Rで置換されている。いくつかの実施形態において、配列番号1の11位のアミノ酸は、配列番号1の11位(すなわちE)と同じアミノ酸である。
その他の位置
いくつかの実施形態において、1位の残基はQではない。グルタミン(Q)残基は、インビボ又はインビトロのいずれにおいても、例えば、水溶液中での保存中において、不安定である可能性があり、これは、グルタミン残基が分子のN末端に位置する場合には、側鎖が遊離のアルファアミノ基と立体的に相互作用でき、ピログルタミン酸への脱水が生じる可能性があるため、特に関連しうる。好ましくは、1位のアミノ酸は、N若しくはPであるか、又は欠失している(すなわち、配列番号1のバリアントは、1N、1P又は1を含みうる)。
いくつかの実施形態では、メチオニン(M)残基は酸化されやすいため、2、4、及び28位のアミノ酸のうちの1つ、2つ、又は3つ全てがMではない。好ましくは、2、4及び28位の1、2又は3つ全てのメチオニンアミノ酸が、非酸化性側鎖を有する残基で個別に置換されるか、又は欠失している。非酸化性残基を有する任意の適した残基が使用されうるが、特にNle、I、V及びLが適している。好ましくは、2、4及び28位のアミノ酸は、全てNleである。
本発明のイオンチャネル遮断薬のいくつかの実施形態では、配列番号1のバリアントにおいて、
1位のアミノ酸はN、P若しくはQであるか、欠失しており、
2位のアミノ酸はM若しくはNleであるか、欠失しており、
3位のアミノ酸はD若しくはEであるか、欠失しており、
4位のアミノ酸はM若しくはNleであるか、欠失しており、
5位のアミノ酸はRであるか、欠失しており、
13位のアミノ酸はA若しくはKであり、
15位のアミノ酸はK若しくはSであり、
18位のアミノ酸はA若しくはKであり、
28位のアミノ酸はM若しくはNleであり、並びに/又は
30位のアミノ酸はG若しくはKである。
本発明のイオンチャネル遮断薬のいくつかの実施形態において、バリアントの1~5位は、NMDMR(配列番号108)、N[Nle]D[Nle]R(配列番号109)、N[Nle]E[Nle]R(配列番号110)、及びP[Nle]E[Nle]R(配列番号111)から選択されるアミノ酸配列からなるか、又は1~5位のアミノ酸は全て欠失している。好ましくは、バリアントの1~5位はアミノ酸配列P[Nle]E[Nle]Rからなる。
本発明のイオンチャネル遮断薬のいくつかの実施形態では、配列番号1のバリアントにおいて、
1~5位のアミノ酸はアミノ酸配列P[Nle]E[Nle]Rからなり、
13位のアミノ酸はA若しくはKであり、
15位のアミノ酸はK若しくはSであり、
18位のアミノ酸はAであり、
28位のアミノ酸はNleであり、
30位のアミノ酸はG若しくはKである。
本発明のイオンチャネル遮断薬のいくつかの実施形態において、5、6、12、14、16、17、19~27、29及び31~37位のうちの1又は2以上は、配列番号1中の対応する位置と同じアミノ酸である。好ましくは、5、6、12、14、16、17、19~27、29及び31~37位は全て、配列番号1の対応する位置と同じアミノ酸である。本発明のイオンチャネル遮断薬のいくつかの実施形態において、5、6、8、11、12、14、16、17、19~27、29、及び31~37位のうちの1又は2以上は、配列番号1の対応する位置と同じアミノ酸である。好ましくは、5、6、8、11、12、14、16、17、19~27、29及び31~37位は全て、配列番号1の対応する位置と同じアミノ酸である。
配列番号21のバリアント
いくつかの実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、配列
P[Nle]E[Nle]RCSASVECKQKCLAAIGSIFGKC[Nle]NKKCKCYPR(配列番号21)
のバリアントを含むか、又はそれからなり、
前記バリアントは、4、3、2又は1個の置換により、配列番号21と異なり、
配列番号21の7、8、9、10又は11位の少なくとも1つのアミノ酸が、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。
配列番号21は、配列番号1の特定のバリアントである。このように、配列番号21のバリアントは、本明細書に記載の配列番号1のバリアントであることが理解される。
言い換えると、いくつかの実施形態では、配列番号1のバリアントは、配列P[Nle]E[Nle]RCSASVECKQKCLAAIGSIFGKC[Nle]NKKCKCYPR(配列番号21)のバリアントを含むか、又はそれからなり、
前記バリアントは、4、3、2又は1個の置換により、配列番号21と異なり、
配列番号21の7、8、9、10又は11位の少なくとも1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。
したがって、本明細書に記載の配列番号1のバリアントの実施形態の全ての特色は、配列番号21のバリアントに適用されうる。
いくつかの実施形態において、バリアントは、4個の置換又は1個の置換により、配列番号21と異なる。いくつかの実施形態において、バリアントは、1個の置換により、配列番号21と異なる。
いくつかの実施形態において、配列番号21の7、9又は10位の少なくとも1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。いくつかの実施形態において、配列番号21の7、9又は10位の正確に1つのアミノ酸は、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。
いくつかの実施形態において、任意の置換は、配列番号21の7、9、10、13、15及び30位から選択されるアミノ酸位置におけるものである。
いくつかの実施形態において、バリアントは:
(i)配列番号21と1個の置換により異なり、配列番号21の7若しくは9位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている、又は
(ii)配列番号21と4個の置換により異なり、配列番号21の7若しくは10位の正確に1つのアミノ酸が、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている。
いくつかの実施形態において、バリアントは:
(i)配列番号21と1個の置換により異なり、配列番号21の7若しくは9位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている、又は
(ii)配列番号21と4個の置換により異なり、配列番号21の7若しくは10位の正確に1つのアミノ酸が、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されており、他の3つの置換は、配列番号21の13、15及び30位におけるものである。
いくつかの実施形態において、バリアントは:
(i)配列番号21と1個の置換により異なり、配列番号21の7若しくは9位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されている、又は
(ii)配列番号21と4個の置換により異なり、
配列番号21の7若しくは10位の正確に1つのアミノ酸が、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されており、
他の3つの置換が、配列番号21の13、15、及び30位におけるものであり、
(a)13位のアミノ酸がAであり;及び/若しくは
(b)15位のアミノ酸がSであり、及び/若しくは
(c)30位のアミノ酸がGである。いくつかの実施形態において、バリアントは:
(i)配列番号21と1個の置換により異なり、配列番号21の7若しくは9位のアミノ酸が、H、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2,4-ジアミノブタノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル及びYからなる群より選択されるアミノ酸で置換されている、又は
(ii)配列番号21と4個の置換により異なり、配列番号21の7若しくは10位の正確に1つのアミノ酸が、R及び2,4-ジアミノブタノイルからなる群より選択されるアミノ酸で置換されている。
いくつかの実施形態において、バリアントは:
(i)配列番号21と1個の置換により異なり、配列番号21の7位のアミノ酸が、H、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2,4-ジアミノブタノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル及びYからなる群より選択されるアミノ酸で置換されているか、若しくは配列番号21の9位のアミノ酸は、Ornで置換されている、又は
(ii)配列番号21と4個の置換により異なり、配列番号21の7位の正確に1つのアミノ酸が、R及び2,4-ジアミノブタノイルからなる群より選択されるアミノ酸で置換されているか、若しくは配列番号21の10位の正確に1つのアミノ酸が、Rで置換されている。
配列
好ましい実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、以下の配列のうちの1つを含むか、又はそれからなる:
好ましい実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、配列番号10又は配列番号12を含む。好ましい実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、配列番号10又は配列番号12からなる。
化合物
好ましい実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、以下の化合物のうちの1つを含むか、又はそれからなる:
好ましい実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、化合物番号1又は化合物番号3を含む。好ましい実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、化合物番号1又は化合物番号3からなる。
ディスクレーマー
国際特許出願第PCT/EP2020/076187号は、配列番号2、3、4、5、6、7、8又は9の配列を含む、又はそれからなるイオンチャネル遮断薬を開示している(それぞれ国際特許出願第PCT/EP2020/076187号の配列番号25、27、42、47、63、143、144及び145)。
国際特許出願第PCT/EP2020/076187号は、以下の化合物も開示している:
国際特許出願第PCT/EP2020/076187号は、配列番号2、3、4、5、6、7、8又は9の配列を含む、又はそれからなる任意の他の特定の化合物を開示していない。例えば、国際特許出願第PCT/EP2020/076187号は、C末端ヒドロキシル(-OH)基を有する配列番号2、3、4、5若しくは6、又はC末端アミノ基(-NH)を有する配列番号7、8若しくは9を開示していない。
したがって、本発明のイオンチャネル遮断薬は、配列番号1のバリアントを含み、このバリアントは、以下の配列のいずれも含まない:
本発明のイオンチャネル遮断薬は、国際特許出願第PCT/EP2020/076187号に開示されている化合物25、27、42、47、63、143、144又は145のいずれでもない。
本発明のイオンチャネル遮断薬のいくつかの実施形態において、配列番号1のバリアントは、配列番号2、3、4、5、6、7、8又は9の配列を含まないか、又はそれからならない。いくつかの実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、国際特許出願第PCT/EP2020/076187号に開示されている配列のいずれも含まない。いくつかの実施形態において、本発明のイオンチャネル遮断薬は、国際特許出願第PCT/EP2020/076187号に開示されている化合物のいずれでもない。
イオンチャネル遮断薬の合成方法
本明細書に記載のイオンチャネル遮断薬は、固相又は液相ペプチド合成法によって合成されうる。この文脈において、国際公開第WO98/11125号パンフレット及び、とりわけSynthetic Peptides(第2版)中のFields, G.B. et al., 2002, "Principles and Practice of solid-phase peptide synthesis"、及び本明細書中の実施例が参照されてもよい。
或いは、本明細書に記載のイオンチャネル遮断薬は、組換え技術によって、又は組換え技術とペプチド化学の組み合わせによって合成されうる。
したがって、1つの態様において、本発明は、以下を含む、本発明のイオンチャネル遮断薬を合成する方法を提供する:
(a)固相若しくは液相ペプチド合成法によりペプチドを合成し、それにより得られたペプチドを回収するステップ;
(b)ペプチドをコードする核酸構築物からペプチドを発現させ、発現産物を回収するステップ;又は
(c)前駆体ペプチド配列をコードする核酸構築物から前駆体ペプチドを発現させ、発現産物を回収し、本発明のイオンチャネル遮断薬を得るために前駆体ペプチドを修飾するステップ。
前駆体ペプチドは、1又は2以上の非タンパク質原性アミノ酸(例えばNle)の導入、適切な末端基R及びRの導入などによって修飾されてもよい。
ペプチド又は前駆体ペプチドをコードする核酸からのペプチド又は前駆体ペプチドの発現は、そのような核酸を含む細胞又は無細胞発現系において実施されうる。そのような発現は典型的には、ペプチド又は前駆体ペプチドが、全体的にタンパク質原性のアミノ酸(つまり、標準的な遺伝暗号によってコードされる20個のアミノ酸)で構成されていることを必要とする。
組換え発現の場合、前駆体ペプチドをコードする核酸断片は通常、クローニングベクター又は発現ベクターを形成するために適したベクターに挿入されることになる。ベクターは、目的及び用途のタイプに応じて、プラスミド、ファージ、コスミド、ミニ染色体、又はウイルスの形態をとりうるが、特定の細胞で一時的にのみ発現される裸のDNAも重要なベクターである。好ましいクローニング及び発現ベクター(プラスミドベクター)は、自律複製が可能であり、それにより、高レベルの発現を目的とした高いコピー数又はその後のクローニングのための高レベルの複製を可能とする。
一般的な概要において、発現ベクターは、5’→3’の方向で作動可能に連結された以下の特色を含む:核酸断片の発現を駆動するためのプロモーター、任意の(細胞外相又は場合によりペリプラズムへの)分泌を可能にするリーダーペプチドをコードする核酸配列、前駆体ペプチドをコードする核酸断片、並びに任意のターミネーターをコードする核酸配列。それらは、選択マーカー及び複製起点などの追加の特色を含んでいてもよい。プロデューサー株又は細胞株において発現ベクターを用いて操作する場合、ベクターが宿主細胞ゲノムに統合できることが好ましい場合がある。当業者は、適したベクターに精通しており、特定の要件に従ってベクターを設計することができる。
本発明のベクターは、ペプチド又は前駆体ペプチドを産生するために宿主細胞を形質転換するために使用される。そのような形質転換細胞は、核酸断片及びベクターの増殖のため、及び/又は前駆体ペプチドの組換え生産のために使用される培養細胞又は細胞株でありうる。
好ましい形質転換細胞は、細菌[例えば、エシェリキア(Escherichia)(例えば、大腸菌)、バチルス(Bacillus)(例えば、枯草菌)、サルモネラ(Salmonella)、又はミコバクテリウム(Mycobacterium)(好ましくは、非病原性、例えば、M.ボビスBCG(M. bovis BCG))]、酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)及びピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの種]、並びに原虫などの微生物である。或いは、形質転換細胞は、多細胞生物に由来してもよく、すなわち、真菌細胞、昆虫細胞、藻類細胞、植物細胞、又は哺乳動物細胞などの動物細胞であってもよい。クローニング及び/又は最適化された発現の目的のためには、形質転換細胞が本発明の核酸断片を複製できることが好ましい。核酸断片を発現する細胞は、本発明のペプチドの小規模又は大規模な調製に使用されうる。
形質転換細胞を用いてペプチド又は前駆体ペプチドを産生する場合、まったく必須ではないが、発現産物が培養培地中に分泌されると便利である。
医薬組成物
別の態様において、本発明は、本発明のイオンチャネル遮断薬又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明のイオンチャネル遮断薬若しくはその薬学的に許容される塩、並びに薬学的に許容される担体、賦形剤若しくは媒体を含む。
本発明のイオンチャネル遮断薬はいずれも、薬学的に許容される塩の形態であってもよい。本明細書における「本発明のイオンチャネル遮断薬」への全ての言及は、「薬学的に許容される塩」が明示的に記載されているかどうかに関係なく、そのいかなる薬学的に許容される塩をも包含するとみなされるべきである。イオンチャネル遮断薬は、溶質(本発明によるペプチド又はその薬学的に許容される塩)と溶媒との間で形成される規定の化学量論の複合体を意味する「溶媒和物」とも呼ばれうる。この関連における溶媒は、例えば、水、エタノール、又は他の薬学的に許容される、典型的には低分子の有機種、例えば、酢酸又は乳酸などであるが、これらに限定はされない。問題の溶媒が水である場合、そのような溶媒和物は通常、水和物と呼ばれる。
したがって、本発明の化合物又はその塩、特にその薬学的に許容される塩は、保存又は投与のために調製され、治療有効量の本発明の化合物又はその塩を含む組成物又は医薬組成物として製剤化されうる。
塩基と形成される適した塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はマグネシウム塩;モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、低級モノ-、ジ-又はトリ-アルキルアミン(例えば、エチル-tert-ブチル-、ジエチル-、ジイソプロピル-、トリエチル-、トリブチル-又はジメチルプロピルアミン)、又は低級モノ-、ジ-又はトリ-(ヒドロキシアルキル)アミン(例えば、モノ-、ジ-又はトリエタノールアミン)と形成されるものなどのアンモニア塩及び有機アミン塩を含む。内部塩も形成されうる。同様に、本発明の化合物が塩基性部分を含有する場合、有機酸又は無機酸を使用して塩が形成されうる。例えば、以下の酸から塩が形成されうる:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、安息香酸、炭酸、尿酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(すなわち、4-メチルベンゼンスルホン酸)、カンファースルホン酸、2-アミノエタンスルホン酸、アミノメチルホスホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸(後者はトリフリック酸とも表記される)、並びに他の公知の薬学的に許容される酸。また、アミノ酸付加塩は、リジン、グリシン、フェニルアラニンなどのアミノ酸を用いても形成されうる。
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、化合物が薬学的に許容される酸付加塩の形態であるものである。
医療分野の当業者には明らかとなるように、本発明の化合物又は医薬組成物の「治療有効量」は、とりわけ、治療される対象(患者)の年齢、体重及び/又は性別に応じて変化することになる。関連しうる他の因子は、検討中の特定の患者の身体的特徴、患者の食事、併用薬の性質、採用される特定の化合物、特定の投与様式、所望の薬理学的効果、及び特定の治療適応症を含む。これらの因子及びこの量を決定する際のそれらの関係は、医療分野では周知であるため、所望の治療効果を達成するための治療有効投与量レベルの決定は、当業者の領域の範囲内である。
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、所与の状態又は病状の症状を低減させ、好ましくは、その状態又は病状を有する個体の生理学的応答を正常化する量を指す。症状の低減又は生理学的応答の正常化は、当技術分野で日常的な方法を使用して決定されうるが、所与の状態又は病状によって異なりうる。1つの態様において、本発明の化合物又は医薬組成物の治療有効量は、測定可能な生理学的パラメータを、問題の状態又は病状を有さない個体におけるパラメータと実質的に同じ値(好ましくは値の30%以内、より好ましくは20%以内、そしてさらにより好ましくは10%以内)に回復させる量である。
本発明の1つの実施形態において、本発明の化合物又は医薬組成物の投与は、より低い投薬量レベルで始まり、関連する医学的適応症を予防/治療する所望の効果が達成されるまで、投薬量レベルが増加される。これが治療有効量を定義することになる。単独又は医薬組成物の一部としての本発明の化合物について、活性化合物のそのようなヒト用量は、約0.01pmol/kgから500μmol/kg体重の間、約0.01pmol/kgから300μmol/kg体重の間、0.01pmol/kgから100μmol/kg体重の間、0.1pmol/kgから50μmol/kg体重の間、1pmol/kgから10μmol/kg体重の間、5pmol/kgから5μmol/kg体重の間、10pmol/kgから1μmol/kg体重の間、50pmol/kgから0.1μmol/kg体重の間、100pmol/kgから0.01μmol/kg体重の間、0.001μmol/kgから0.5μmol/kg体重の間、0.05μmol/kgから0.1μmol/kg体重の間でありうる。
有効投薬量及び治療プロトコルは、実験動物において低用量から開始し、それから効果をモニタリングしながら投薬量を増加させ、同様に投薬量レジメンを系統的に変更する従来的な手段によって決定されうる。所与の対象に対する最適な投与量を決定する際には、臨床医によって多数の因子が考慮されうる。そのような考慮事項は、当業者には公知である。
医薬用途及び治療方法
さらなる態様において、本発明は、医学的な治療方法に使用するための本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を提供する。換言すれば、本発明は、本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、医学的な治療方法を提供する。
本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩の医薬用途が、本明細書に記載されている。全ての場合において、記載されている医薬用途は、治療を必要とする対象に本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を投与することを含む、治療方法としても表現されうる。
「患者」、「対象」、及び「個体」という用語は、本明細書では交換可能に使用されてもよく、ヒト又は非ヒト動物のいずれをも指しうる。これらの用語は、ヒト、霊長類、畜産動物(例えば、ウシ及びブタ)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ及びネコ)、並びにげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳類を含む。
上述したように、Kv1.3の遮断薬は、活性化T細胞の増殖を阻害し、様々な実験的疾患モデルにおいて有益な効果を有することが示されている。理論に縛られることは望まないが、T細胞の活性化に必要なカルシウムの流入を維持するためには、Kv1.3チャネルを介したカリウムの細胞外への流出が必要であると考えられている。
Kv1.3は、新たに発症した1型糖尿病患者のGad5/インスリン特異的T細胞、MS患者のミエリン特異的T細胞、及び関節リウマチ患者の滑膜のT細胞において(Beeton et al., Proc Natl Acad Sci USA 103:17414-9, 2006)、乳がん検体において(Abdul et al., Anticancer Res 23:3347, 2003)、また、前立腺がん細胞株(Fraser et al., Pflugers Arch 446:559, 2003)において過剰発現されている。
Kv1.3遮断薬を用いた動物モデルにおける良好な成果が、オバルブミン及び破傷風トキソイドに対する過敏症モデル(Beeton et al., Mol Pharmacol 67:1369, 2005; Koo et al., Clin Immunol 197:99, 1999)、ラット養子移入実験的自己免疫性脳脊髄炎(ATEAE)モデルなどの多発性硬化症モデル(Beeton et al., Proc Natl Acad Sci USA 103:17414-9, 2006)、炎症性骨吸収モデル(Valverde et al., J Bone Mineral Res 19:155, 2004)、関節炎モデル(Beeton et al., Proc Natl Acad Sci 103: 17414, 2006; Tarcha et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 342: 642, 2012)、並びに肥満、糖尿病及び代謝異常(Xu et al., Hum Mol Genet 12:551, 2003; Xu et al., Proc Natl Acad Sci 101 : 3112, 2004)において記載されている。
皮膚及び粘膜の炎症の治療には、Kv1.3遮断薬の局所適用が提案されている。
炎症の治療
いくつかの実施形態において、本発明は、炎症を阻害又は低減する方法において使用するための本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、炎症状態又は炎症性疾患の治療に使用するためのイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を提供する。
炎症状態又は炎症性疾患は、例えば、炎症が症状又は病因に寄与している場合など、炎症の低減が望ましいあらゆる状態又は疾患でありうる。
いくつかの実施形態において、炎症状態又は炎症性疾患は、自己免疫疾患、アレルギー若しくは過敏症、同種移植片拒絶反応、又は移植片対宿主病である。
いくつかの実施形態において、炎症状態又は疾患は、花粉症、喘息、アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹、円形脱毛症、皮膚筋炎、封入体筋炎、多発性筋炎、強直性脊椎炎、血管炎、関節炎(関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎を含む)、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE,systemic lupus erythematosus)、ぶどう膜炎、炎症性線維症(強皮症、肺線維症、肝硬変を含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD,chronic obstructive pulmonary disease)、肝炎、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、炎症性腸疾患、大腸炎(クローン病、潰瘍性大腸炎を含む)、紅斑、甲状腺炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、強皮症、糸球体腎炎、炎症性骨吸収、多発性硬化症、1型糖尿病、移植拒絶反応又は移植片対宿主病である。
代謝作用
Kv1.3の遮断薬はまた、例えば、エネルギー恒常性、体重調節、及びグルコース制御に関連して、有益な代謝作用を有する可能性がある。
したがって、本明細書に記載のイオンチャネル遮断薬は、体重増加の阻害、減量の促進、過剰体重の低減、又は肥満の治療(例えば、食欲、摂食、食物摂取、カロリー摂取、及び/若しくはエネルギー消費の制御による)に使用されてもよく、これは、肥満に関連した炎症、肥満に関連した胆嚢疾患、及び肥満によって引き起こされる睡眠時無呼吸を含む、関連する疾患及び健康状態の治療においても同様である。
体重に対する効果は、治療的又は美容的なものでありうる。
イオンチャネル遮断薬はまた、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、耐糖能不耐症、前糖尿病、空腹時血糖上昇、及び2型糖尿病を含む、グルコース制御障害に起因又は関連する状態の治療に使用されてもよい。これらの状態の一部は、肥満に関連付けられうる。これらの状態に対するその効果は、全体的又は部分的に体重に対する作用を介して媒介される場合もあれば、体重に対する作用とは無関係の場合もある。
増殖性の細胞及びがんの治療
Kv1.3は、増殖中のヒト及びマウスの平滑筋細胞でも発現される。Kv1.3の遮断薬は、例えば血管手術(例えば血管形成術)後の患者における再狭窄などの平滑筋増殖性疾患において有効となりうる。
いくつかの実施形態において、本発明は、平滑筋増殖性疾患の治療において使用するための、本発明によるイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、疾患は再狭窄である。
さらなる証拠は、Kv1.3チャネルが、腫瘍細胞(Bielanska et al., Curr. Cancer Drug Targets 9:904-14, 2009)、ミクログリア(Khanna et al., Am. J. Physiol. Cell Physiol. 280 : C796-806, 2001)を含む多くのタイプの細胞の活性化及び/又は増殖、並びに神経前駆細胞の分化(Wang et al., J. Neurosci. 30:5020-7, 2010)に関与していることを示唆している。したがって、Kv1.3遮断薬は、アルツハイマー病、多発性硬化症(MS,multiple sclerosis)、パーキンソン病、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS,amyotrophic lateral sclerosis)などの神経炎症性疾患及び神経変性疾患の治療に有益となりうる(例えば、ウイルス感染後)。
いくつかの実施形態において、本発明は、がんの治療に使用するための本発明のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、がんは乳がん、前立腺がん又はリンパ腫である。いくつかの実施形態において、リンパ腫は非ホジキンリンパ腫(NHL,non-Hodgkin lymphoma)である。非ホジキンリンパ腫は、T細胞NHL及びB細胞NHLを含む。B細胞NHLの形態は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を含む。T細胞NHLの形態は、菌状息肉症、未分化大細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、及びセザリー症候群を含む。
特許用語
本明細書中で他に定義されない限り、本願において使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。一般的に、本明細書に記載の化学、分子生物学、細胞及びがん生物学、免疫学、微生物学、薬理学、並びにタンパク質及び核酸化学に関連して使用される命名法及びその技術は、当技術分野で周知であり、一般に使用されているものである。
本出願で参照される全ての特許、公開された特許出願、及び非特許文献は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。矛盾がある場合は、その具体的な定義を含め、本明細書が優先するものとする。
本明細書に記載の本発明の各実施形態は、単独で採用されてもよいし、本発明の1又は2以上の他の実施形態と組み合わせて採用されてもよい。
本開示は、本明細書に開示される例示的な方法及び材料により限定されず、本明細書に記載のものと類似又は同等の任意の方法及び材料が、本開示の実施形態の実施又は試験に使用されうる。数値範囲は、範囲を定義する数値を含んでいる。特に示さない限り、任意の核酸配列は、5’から3’の方向で左から右に書かれている;アミノ酸配列は、それぞれアミノからカルボキシの方向で左から右に書かれている。
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでない場合を除き、複数の指示対象を含む。
本明細書を通じて、「含む(comprise)」という語、及び「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などのその文法的変形は、記述された整数若しくは成分、又は整数若しくは成分の群を含むことを暗示するが、任意の他の整数若しくは成分、又は整数若しくは成分の群を除外することを暗示するものではないと理解される。本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」又は「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であって、包含的又は開放的であり、追加的な非記載の部材、要素又は方法ステップを除外するものではない。「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語も包含している。「含む(including)」という用語は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」を意味するために使用される。「含む(including)」と「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」は交換可能に使用されうる。
本明細書において論じる刊行物は、本出願の出願日前の開示のために提供されているに過ぎない。本明細書のいかなる内容も、そのような刊行物が本明細書に添付された態様に対する先行技術を構成することを認めるものとして解釈されるべきではない。
次に、本発明を、実施例によってさらに説明するが、これらは、当業者が本発明を行うのを助けることを意味したものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものでは決してない。
[実施例]
[実施例1]
一般的なペプチド合成
略語及び供給業者のリストを以下の表に提供する。
装置及び合成ストラテジー
ペプチドは、N-α-アミノ保護基として9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc,9-fluorenylmethyloxycarbonyl)を使用して、側鎖官能基として適した一般の保護基を使用した固相ペプチド合成手順に従って、CEM Liberty Peptide Synthesizer又はSymphony X Synthesizerなどのペプチド合成装置によりバッチ式で合成した。
高分子支持体ベースの樹脂としては、例えば、TentaGel(商標)を使用した。合成装置に樹脂を充填し、使用前にDMFで膨潤させた。
カップリング
CEM Liberty Peptide Synthesizer
Fmoc保護アミノ酸の溶液(4当量)を、カップリング試薬溶液(4当量)及び塩基の溶液(8当量)と一緒に樹脂に添加した。混合物をマイクロ波装置で70~75℃に加熱し、5分間カップリングさせるか、又は加熱せずに60分間カップリングさせた。カップリング中、混合物中に窒素をバブリングした。
Symphony X Synthesizer
カップリング溶液を以下の順序で反応容器に移した:アミノ酸(4等量)、HATU(4等量)、DIPEA(8等量)。カップリング時間は、特に明記しない限り、室温(RT,room temperature)で10分間であった。樹脂をDMFで洗浄した(5×0.5分)。カップリングを繰り返した場合、カップリング時間は全ての場合において室温で45分であった。
脱保護
CEM Liberty Peptide Synthesizer
DMF又は他の適した溶媒中のピペリジンを使用して、Fmoc基を脱保護した。脱保護溶液を反応容器に加え、混合物をおよそ40℃に達するまで30秒間加熱した。反応容器の排水を行い、新しい脱保護溶液を加え、その後70~75℃まで3分間加熱した。反応容器の排水後、樹脂をDMF又は他の適した溶媒で洗浄した。
Symphony X Synthesizer
Fmoc脱保護は、DMF中の40%ピペリジンを使用して2.5分間実施し、同じ条件を使用して繰り返した。樹脂をDMFで洗浄した(5×0.5分)。
切断
乾燥したペプチド樹脂をTFA及び適したスカベンジャーでおよそ2時間処理した。濾液の体積を減らし、ジエチルエーテルを添加した後、粗ペプチドを沈殿させた。粗ペプチド沈殿物をジエチルエーテルで数回洗浄し、最後に乾燥させた。
粗ペプチドのHPLC精製
粗ペプチドを5 x 25 cm Gemini NX 5u C18 110Aカラムなどのカラムを備えた二成分勾配適用のための従来的なHPLC装置(331/332ポンプの組み合わせを備えたGilson GX-281など)と、バッファーA(0.1%ギ酸、aq.)又はA(0.1%TFA、aq.)とバッファーB(0.1%ギ酸、90%MeCN、aq.)又はB(0.1%TFA、90%MeCN、aq.)の適した勾配の流量20~40ml/分を使用するフラクションコレクターを使用した分取逆相HPLCによって精製した。フラクションを分析用HPLC及びMSによって分析し、選択したフラクションをプールして凍結乾燥した。最終生成物は、HPLCとMSによりキャラクタリゼーションした。
ジスルフィドの形成
粗製又は部分精製した6個のシステインを有する直鎖状ペプチドを、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)又は酢酸アンモニウム(NHAc)などのバッファーに溶解させ、最終濃度をおよそ0.1mg/ml又は25μMとした。バッファーのpHをpH8.0に調整し、溶液を室温での磁気撹拌下、大気開放下で撹拌した。反応の進行をHPLCで決定し、通例は一晩で完了すると評価された。酢酸又はトリフルオロ酢酸などの有機酸によって溶液のpHを下げることによって溶液をクエンチした(pH<4)。溶液を濾過し、精製のために分取HPLCカラムに直接充填した。
分析用HPLC
最終純度は、オートサンプラー、脱気装置、20μlフローセル、及びChromeleonソフトウェアを備えた分析用HPLC(Agilent 1100/1200シリーズ)によって決定した。HPLCは、Kinetex 2.6 μm XB-C18 100A 100 x 4.6 mmカラムなどの分析用カラムを使用して、40℃で1.2ml/分の流量で操作した。化合物は215nmで検出され、定量された。バッファーA(0.1%TFA、aq.)及びバッファーB(0.1%TFA、90%MeCN、aq.)。
質量分析
最終的なMS分析は、従来的な質量分析計、例えば、エレクトロスプレー検出器を備えたWaters Xevo G2 Tofとロックマスキャリブレーション及びMassLynxソフトウェアを用いて実施した。操作は、直接注入と、クロマトグラムで指定された15V(1TOF)、30V(2TOF)又は45V(3TOF)のコーン電圧を使用して、ポジティブモードで行った。精度は5ppm、典型的な分解能は15,000~20,000であった。
化合物
合成した化合物を表1に示す。
以下の化合物も、参照化合物として使用するために合成した:

[実施例2]
FLIPRタリウムアッセイにおけるKv1.3遮断薬活性
ヒトKv1.3電位開口型K+チャネル細胞株は、Perkin Elmer社から購入した(#TDS-AX-010-C-1)。この細胞株は、ヒトKv1.3電位開口型K+チャネルにより安定にトランスフェクトされたCHO-DUKX細胞に基づいている。
この細胞株を、ヌクレオチド、GlutaMAX(Gibco社#32571028)、10%ウシ胎児血清(FBS, Foetal Bovine Serum)、0.4mg/mlジェネティシン、100ユニット/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを含むMEMα中で増殖させ、黒色ポリ-D-リジンコート96ウェルプレートに10.000個の細胞/ウェルで播種した。
FluxOR(商標)Potassium Ion Channel Assay(Invitrogen社#F10016)を使用して、刺激バッファーによるKv1.3活性化に対する応答が、細胞膜の脱分極を引き起こす際の細胞内へのタリウムイオンの流入(それによってチャネル活性に比例して蛍光シグナルが生成される)を定量化した。アッセイは、アッセイキットメーカーにより記載されたとおりに、0.2X FluxOR(商標)塩化物フリーバッファー、5mMのKSO、1mMのTlSOに対応する最終刺激バッファー組成を使用した細胞膜脱分極の前に、ウシ乳由来の0.02%w/Vカゼイン(Sigma社#C4765)を含有するアッセイバッファー中での化合物のプレインキュベーションステップ(30分、37℃、5%CO)を含めて実施した。FLIPR(登録商標)Tetra High Throughput Screening System(Molecular Devices, Inc.)を使用して、蛍光応答を記録し、定量化した(50秒、37℃での最大応答)。
細胞内へのタリウム流入の阻害を誘発する試験化合物からのデータは、ポジティブコントロール(ShK、10nM)及びネガティブコントロール(媒体)に対して正規化し、式Y = Bottom + (Top-Bottom)/(1+10^((LogIC50-X)*HillSlope))に基づく4パラメータロジスティック(4PL)非線形濃度応答モデルを使用して、濃度応答曲線からIC50を算出した(ここで、Yは阻害パーセント、Xは化合物濃度、Top、Bottom、Hill Slope、及びIC50はフィッティングされたパラメータである)。結果を表3に示す(n≧2)。IC50は、それぞれの化合物に対する阻害の効力の尺度としてみなされうる。IC50値は、所与のアッセイにおいて、その化合物がイオンチャネル活性の最大阻害の半分を達成するのに必要な阻害剤の濃度の尺度である。特定のイオンチャネルにおいて、参照化合物よりも低いIC50値を有する化合物は、参照化合物よりも活性の高い阻害剤、又はより強力な阻害剤であるとみなされうる。

[実施例3]
薬物動態のキャラクタリゼーション
方法
スプラーグドーリー(体重およそ250~350gの雄)に、試験対象の各ペプチドを1回皮下(s.c.)注射した。
選択した化合物のs.c.投与後(用量100nmol/kg、投薬体積2mL/kgのいずれか)、投薬の5分、15分、30分、60分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間後に血液試料を採取した。各サンプリング時点において、舌下出血によりラットから試料を採取した。最後のサンプリング後、O/CO麻酔によりラットを屠殺した。投薬媒体は、10mMリン酸塩、0.8%NaCl、0.05%ポリソルベート20(pH6.0)であった。
血漿試料は、固相抽出(SPE,solid phase extraction)後に液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS,liquid chromatography mass spectrometry)によって分析した。平均血漿濃度は、Phoenix WinNonlin 6.4又はそれ以降のバージョンのノンコンパートメントアプローチを使用した薬物動態パラメータの算出に使用した。血漿終末消失半減期(T1/2)は、ln(2)/λzとして決定されるが、λzは終末期の対数濃度対時間プロファイルの対数線形回帰の傾きの大きさである。AUCinfは、無限大まで外挿した血漿中濃度-時間曲線下面積である(AUCinf = AUClast + Clast/λz、ここでClastは最後に観察された血漿中濃度)。Cmaxは、Tmaxで生じる最大観察濃度である。選択された化合物の結果を表4に示す。
化合物14の薬物動態のキャラクタリゼーションは、国際特許出願第PCT/EP2020/076187号の実施例6に記載の方法に従って実施した。化合物13の結果を以下の表5に示す。

[実施例4]
パッチクランプアッセイにおけるKv1.3選択性
外因性の各カリウムイオンチャネルのヒトα-サブユニットを安定的に発現しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO,Chinese Hamster Ovary)細胞株を、標準的な培養条件下で増殖させ、継代した。
イオン電流を定量するために、自動化されたチップベースの平面パッチクランプデバイスであるQPatch(登録商標)を使用した。記録は全て、ギガオームシールを確立した後に従来的なホールセル構成で行った。外部記録溶液は(150mMのNaCl、10mMのKCl、10mMのHEPES、1mMのMgCl、3mMのCaCl、10mMのグルコース、NaOHでpH7.4に調整)、内部記録溶液は(20mMのKCl、120mMのKF、10mMのHEPES、10mMのEGTA、5mMのNaATP、KOHでpH7.2に調整)を含有していた。実験中、外部記録溶液には全て、媒体として0.1%(v/v)BSAが含まれていた。電流は、-80mVの保持電位から、15秒ごとに500msずつ電圧を30mVにシフトさせる電圧プロトコルを使用して誘発した。
濃度と応答の関係は、化合物の適用ごとに2分間の記録期間で、7段階の漸増濃度の試験試料を個々の細胞に累積的に適用することによって確立した。
有効性は、カーソル位置からの各濃度適用期間の終了時の最後の3回の掃引の平均電荷として決定した。各試験用量適用期間の阻害パーセントは、媒体期間終了時に測定したカーソル値に対する平均カーソル値(電荷)の減少として算出し、濃度応答曲線からIC50を算出するために使用した。
結果を表6に示す。
化合物1と3はいずれも、Kv1.1、Kv1.2、Kv1.6に対する選択性の比が6000以上であると観察され、Kv1.3に対して非常に高い選択性を示した。したがって、治療に関連する濃度の化合物1又は3では、これらのイオンチャネルの検出可能な阻害は予期されない。
また、参照化合物の選択性も、同じ方法を使用して決定した。結果を表7に示す。

[実施例5a]
ヒトPBMCに対するKv1.3遮断薬参照化合物の阻害活性
ヒト末梢血単核球(PBMC,peripheral blood mononuclear cells)を使用して、抗CD3による刺激後のIL-2(サイトカイン)放出によって決定されるT細胞活性化に対するKv1.3遮断薬参照化合物の効果を評定した。
ヒトPBMCは、Precision for Medicine社(フレデリック、メリーランド州)から入手した。5人のドナーからの細胞を使用した。プレートに結合した抗CD3を使用して、PBMC調製物中のバルクのT細胞を刺激した。簡単に説明すると、1×PBSで希釈した0.5μg/mLの抗CD3溶液50μLを使用して、96ウェルプレートを抗CD3抗体により37℃で2時間コーティングした。その後、プレートを2回洗浄した。
表8aに示されているKv1.3遮断薬を、培地(10%v/vウシ胎児血清、1%v/vペニシリン-ストレプトマイシン溶液を含有するGlutamax-Iを含むRPMI1640)で希釈し、0.01pM~100nMの範囲の濃度(10倍希釈)で100μlの容量で添加した。シクロスポリンA(1ug/ml)及びVm24ペプチド(100nM)をポジティブコントロールとして使用した。最後に、1×10個のPBMCを各ウェルに100μLの容量で加え、1ウェルあたりの最終容量を200μLとした。プレートを37℃/5%COインキュベーターで20~24時間インキュベートした。プレートの遠心分離後、25μlの上清をIL-2検出プレート(MSD Human IL-2 Tissue Culture Kit、カタログ番号K151AHB-2)に移し、メーカーの説明に従ってIL-2を測定した(Meso Scale Discovery社、ロックビル、メリーランド州、米国)。
結果を、抗CD3刺激ヒトPBMCアッセイから得られたIC50値の幾何平均として、表8aに示す。値は全て、少なくとも4回の反復に由来している。
抗CD3抗体とのインキュベーションは、hPBMCを活性化し、Kv1.3遮断薬の添加は、IL-2分泌の用量依存的な低減をもたらした。平均すると、試験化合物のIC50値(IL-2放出から算出)は、0.05nM~0.4nMの範囲であった。これは、ShK186(IC50は0.07nM)で観察されたIC50に匹敵し、IL-2分泌を阻害する効力が弱いMoka1のIC50よりも約10~100倍低かった。
試験化合物とShK186の間には有意差が無い。ShK186と試験化合物は全て、Moka1よりも有意に低かった。
シクロスポリンは、全ての実験においてCD3誘導性のIL-2放出を完全に遮断した。
[実施例5b]
ヒトPBMCに対するKv1.3遮断薬参照化合物の阻害活性
ヒト末梢血単核球(PBMC)を使用して、抗CD3による刺激後のIL-2放出によって決定されるT細胞活性化に対するKv1.3遮断薬参照化合物の効果を評定した。
ヒトPBMCは、Precision for Medicine社(フレデリック、メリーランド州)から入手した。5人のドナーからの細胞を使用した。プレートに結合した抗CD3を使用して、PBMC調製物中のバルクのT細胞を刺激した。簡単に説明すると、PBSで希釈した1μg/mlの抗CD3溶液50μlを使用して、96ウェルプレートを抗CD3抗体により5℃でおよそ16時間コーティングした。その後、プレートを2回洗浄した。
続いて、Kv1.3遮断薬を培地(10%v/vウシ胎児血清、1%v/vペニシリン-ストレプトマイシン溶液を含有するGlutamax-Iを含むRPMI1640)で希釈し、50μlの容量で添加した。表8bに示されている化合物は、0.3pM~1000nMの範囲の濃度で使用した(半対数希釈、開始濃度は様々)。シクロスポリンA(1μg/ml)及びVm24ペプチド(100nM)をポジティブコントロールとして使用した。
最後に、同じ培地中の50,000個のPBMCを各ウェルに50μlの容量で加え、1ウェルあたりの最終容量を100μlとした。プレートを37℃/5%COインキュベーターで20~24時間インキュベートした。プレートの遠心分離後、25μlの上清をIL-2検出プレート(MSD Human IL-2 Tissue Culture Kit、カタログ番号K151AHB-2)に移し、メーカーの説明に従ってIL-2を測定した(Meso Scale Discovery社、ロックビル、メリーランド州、米国)。
結果を、抗CD3刺激ヒトPBMCアッセイから得られたIC50値の幾何平均として、表8bに示す。値は全て、少なくとも6回の反復に由来している。
抗CD3抗体とのインキュベーションは、hPBMCを活性化し、本発明の化合物の添加は、IL-2分泌の用量依存的な低減をもたらした。
表8bに示されているように、試験化合物の平均IC50値(IL-2放出から算出)は0.01nM~0.09nMの範囲であった。これは、ShK186で観察されたIC50(IC50は0.05nM)に匹敵するものであった。このアッセイは、実施例5aに使用したものとは異なるドナーを使用して実施されたため、2組の実験におけるShk-186の値が同一となることは期待されない。
シクロスポリンは、全ての実験において抗CD3誘導性のIL-2放出を完全に遮断した。
[実施例6]
ラット全血におけるKv1.3遮断薬参照化合物の阻害活性
ラット全血を使用して、タプシガルギン刺激後のIL-17A放出によって決定されるT細胞活性化に対するKv1.3遮断薬参照化合物の効力を評定した。タプシガルギンの添加は、シグナル伝達カスケードの活性化をもたらし、最終的にはT細胞増殖とサイトカイン産生の活性化を生じさせるが、ここではKv1.3イオンチャネルが重要な役割を果たすため、この実験系において初代細胞におけるKv1.3遮断薬の活性が測定されうる。
ラット全血は、健康でナイーブなルイスラット又はスプラーグドーリーラットを心臓から末期的に出血させ、収集のためにヘパリンナトリウム採血チューブを使用して得た。試験化合物をアッセイバッファー(DMEM+GlutaMAX)で4×最終試験濃度に希釈したが、GlutaMAXは、25mMのHEPESバッファー、1mMのピルビン酸ナトリウム、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、及びウシ乳由来の0.05%カゼイン(Sigma-Aldrich社)を補充した3.97mMのL-アラニン-L-グルタミン(Gibco社カタログ番号61965026)を含む培地であり、25μlを96ウェルプレートのウェルに添加した。次いで、50μlのラット全血を添加し、室温で最低5分間インキュベートして、化合物を結合させた。次に、アッセイバッファーで希釈した25μlの40μMタプシガルジンをアッセイプレートの全てのウェルに添加して、細胞を活性化し、続いて、加湿ボックス中37℃/5%COで24時間インキュベートした。アッセイプレートを300g、4℃で10分間遠心分離し、上清を新しいプレートに移した。上清に放出されたIL-17Aの濃度は、メーカーの推奨に従ってRat IL-17A ELISA Kit(Abcam社カタログ番号ab214028)を使用して測定した。検出キットのバッファー75BSを30μl含有するELISAプレートのウェルに20μlの上清を移して、試料を2.5倍に希釈した。
IL-17Aの阻害を誘発する試験化合物のデータを、完全なタプシガルギン活性化(遮断薬無添加)及び活性化を行わない対照(タプシガルギンの代わりにアッセイバッファーを添加)に対する相対値で正規化し、濃度応答曲線からIC50を算出した。
結果を、標準偏差(IC50_SD)を伴うIC50として、表9に示す。値は全て、少なくとも2回の反復に由来している。エクスビボでの生物学的効果は、化合物の効力との相関を示している。

[実施例7]
ラットのキーホールリンペットヘモシアニン(KLH,keyhole limpet hemocyanin)耳炎症モデルにおけるKv1.3遮断薬参照化合物治療の効果
古典的な遅延型過敏症(DTH)反応をラットの片耳で誘発させた。簡単に説明すると、8~10週齢の雄のルイスラットの尾の付け根に完全フロイントアジュバント(CFA,complete Freund's adjuvant)(Difco社、カタログ番号263810)で乳化した200μLのキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(Sigma社、カタログ番号H7017)(4mg/mL)を-7日目に皮下(SC,subcutaneously)投与して、免疫した。0日目に、ラットの左耳に40μLのKLH/NaCl 0.9%(2mg/mL)を皮内曝露した。耳への曝露後、ラットはKLHを曝露させた左耳にT細胞依存性の炎症を発症した。右耳は炎症を起こさないままであり、対照として働く。
Kv1.3遮断薬参照化合物治療がDTH耳腫脹応答を低減させる能力を、媒体で処置したラットとKv1.3遮断薬で処置したラットの応答を比較することにより調査した(n=8~10/群)。KLH耳曝露の24時間前に、媒体又は媒体に溶解したKv1.3遮断薬をSC投与した(2mL/kg)。Kv1.3遮断薬の試験用量は50、70、又は100nmol/kgであった。試験媒体は、10mMリン酸塩、0.8%w/vのNaCl、0.05%w/vのポリソルベート20、pH6であった。全ての実験において、シクロスポリン(CsA,Cyclosporine)を試験のポジティブコントロールとして含めた。シクロスポリン(Sandimmune Neooral(登録商標)100mg/mL経口溶液、Novartis社)をKLH耳曝露の1時間前に経口投与し(10mg/kg)、KLH耳曝露の6時間後に再度投与した。
有効性の一次読み取り値として、耳のDTH反応の誘導後0~48時間で各動物のΔ耳厚(mm)の曲線下面積(AUC,Area Under Curve)を算出し、変化(D)を次のようにして算出した:左耳の厚さ-右耳の厚さ。次いで、これらの結果を使用して、Kv1.3遮断薬処置による耳厚の%阻害を算出した:%阻害:((1-(個々のΔAUC Kv1.3遮断薬/平均ΔAUC媒体群))×100。結果は、%阻害+/-標準偏差(SD)として算出され、表10及び表11に示されている。
上記明細書において言及された全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載された方法及びシステムの様々な修正及び変形は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかである。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求されている本発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、生化学、分子生物学又は関連分野の当業者にとって明らかな、本発明を行うための記載された様式の様々な修正が、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。

Claims (15)

  1. 配列QMDMRCSASVECKQKCLKAIGSIFGKCMNKKCKCYPR(配列番号1)のバリアントを含み、
    前記バリアントが、合計で最大10個までの置換、挿入又は欠失により、配列番号1と異なり、
    配列番号1の7、8、9、10又は11位の少なくとも1つのアミノ酸が、正に荷電した側鎖を有するアミノ酸及び/又は芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されており、前記バリアントが、以下の配列:

    のいずれをも含まない、Kv1.3阻害剤活性を有するイオンチャネル遮断薬、又はその薬学的に許容される塩。
  2. 配列番号1のバリアントにおける任意の置換又は欠失が、配列番号1の1~5位、7~11位、13~15位、17~23位、25位、28~31位、33位及び35~37位から選択されるアミノ酸位置にあり、好ましくは、配列番号1の1~5位、7~11位、13位、15位、18位、28位及び30位から選択されるアミノ酸位置にある、請求項1に記載のイオンチャネル遮断薬。
  3. 50nM以下、例えば20nM以下、例えば10nM以下、例えば5nM以下、例えば2nM以下、例えば1nM以下、例えば0.5nM以下、例えば0.4nM以下、例えば0.3nM以下、例えば0.2nM以下の、ヒトKv1.3カリウムチャネルに対するIC50を有する、請求項1又は2に記載のイオンチャネル遮断薬。
  4. 正に荷電した側鎖を有するアミノ酸が、H、K、hK、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2,4-ジアミノブタノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル、及び4-アミノ-フェニルアラニン(F(4-NH))からなる群から、好ましくは、H、K、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル、及び2,4-ジアミノブタノイルからなる群から選択される;並びに/又は
    芳香族側鎖を有するアミノ酸が、F、W及びYからなる群から選択され、好ましくはYである;
    請求項1~3のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬。
  5. 配列番号1の7位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸、好ましくは、H、K、R、Orn、2,3-ジアミノプロパノイル、2-アミノ-3-グアニジノプロピオニル、2,4-ジアミノブタノイル又はYで置換されている;
    配列番号1の8位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸で置換されているか、若しくはバリアントの8位のアミノ酸が配列番号1の8位のアミノ酸と同じ、すなわちAである;
    配列番号1の9位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸、好ましくは、K、Orn又は2,3-ジアミノプロパノイルで置換されている;
    配列番号1の10位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸、好ましくはRで置換されている;並びに/又は
    配列番号1の11位のアミノ酸が、正に荷電した側鎖若しくは芳香族側鎖を有するアミノ酸、好ましくはRで置換されている;
    請求項1~4のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬。
  6. 配列番号1のバリアントにおいて、
    1位のアミノ酸がN、P若しくはQであるか、欠失している、
    2位のアミノ酸がM若しくはNleであるか、欠失している、
    3位のアミノ酸がD若しくはEであるか、欠失している、
    4位のアミノ酸がM若しくはNleであるか、欠失している、
    5位のアミノ酸がRであるか、欠失している、
    13位のアミノ酸がA若しくはKである、
    15位のアミノ酸がK若しくはSである、
    18位のアミノ酸がA若しくはKである、
    28位のアミノ酸がM若しくはNleである、及び/又は
    30位のアミノ酸がG若しくはKである、
    請求項1~5のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬。
  7. 配列番号1のバリアントにおいて、
    1~5位のアミノ酸が、アミノ酸配列P[Nle]E[Nle]Rからなり、
    13位のアミノ酸がA若しくはKであり、
    15位のアミノ酸がK若しくはSであり、
    18位のアミノ酸がAであり、
    28位のアミノ酸がNleであり、かつ
    30位のアミノ酸がG若しくはKである、
    請求項1~6のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬。
  8. 配列番号1のバリアントが、以下の配列:

    のうちの1つを含むか、又はそれからなる、請求項1~7のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬。
  9. バリアントが、以下の化合物:

    のうちの1つを含むか、又はそれからなる、請求項1~8のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬をコードする核酸。
  11. 請求項10に記載の核酸を含む発現ベクター。
  12. 請求項10に記載の核酸又は請求項11に記載の発現ベクターを含み、請求項1~9のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬を発現することができる宿主細胞。
  13. 請求項1~9のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬を合成する方法であって、
    (a)固相若しくは液相ペプチド合成法によりイオンチャネル遮断薬を合成し、それにより得られたペプチドを回収するステップ;
    (b)イオンチャネル遮断薬をコードする核酸構築物からイオンチャネル遮断薬を発現させ、発現産物を回収するステップ;又は
    (c)前駆体ペプチド配列をコードする核酸構築物から前駆体ペプチドを発現させ、発現産物を回収し、イオンチャネル遮断薬を得るために前駆体ペプチドを修飾するステップ
    を含む、前記方法。
  14. 請求項1~9のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬又は薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
  15. 医学的な治療方法、好ましくは炎症性の状態又は疾患の治療方法において使用するための、請求項1~9及び14のいずれかに記載のイオンチャネル遮断薬、薬学的に許容される塩、又は医薬組成物。
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