JP2024509839A - 水素ガスを作製するシステムおよび方法 - Google Patents

水素ガスを作製するシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

本明細書には、金属ヒドロキシ塩を金属塩からアノードで形成し、水素ガスを電気化学セルのカソードで発生させることに関する方法およびシステムが開示される。次いで金属ヒドロキシ塩を、熱反応または別の電気化学反応に供して、酸素ガスを形成すると共に金属塩を再生する。一部の実施例では、熱反応は、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩も形成する。一部の実施例では、方法は、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を再循環して、電気化学セル内の元のアノード電解質に戻すことをさらに含む。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる2021年3月1日に出願された「SYSTEMS AND METHODS TO MAKE HYDROGEN GAS USING METAL HALIDE(金属ハロゲン化物を使用して水素ガスを作製するシステムおよび方法)」という発明の名称の米国仮特許出願第63/155,178号および2021年9月28日に出願された「SYSTEMS AND METHODS TO MAKE HYDROGEN GAS USING METAL SALT(金属塩を使用して水素ガスを作製するシステムおよび方法)」という発明の名称の米国仮特許出願第63/249,127号の、優先権の利益を主張する。
背景
電力生産が、低COフットプリント技術に移行するにつれ、電気を低炭素/ゼロ炭素輸送燃料に変換する能力は、世界のCO排出量を軽減する際に益々重要な課題になりつつある。そのような燃料の選択肢の中で、水素(H)は、その酸化生成物が水であるという点で、独自の利点を有し得る。このように水素は、低炭素フットプリントで製造できる場合、低炭素輸送燃料である。
水素は、水蒸気分解およびクロル-アルカリプロセスなどのいくつかの工業的に重要なプロセスにおける副生成物として発生され得る。意図的な水素生成は、典型的には、メタンおよび水の両方における水素原子を水素ガスに変換する、水蒸気メタン改質(SMR)として公知のプロセスを介して実現され得る。このプロセスは大量の水素を生成できるが、メタン中に当初存在した炭素原子は最終的にはCO排出としてプロセスから離れる。ゼロ炭素または低炭素輸送燃料として水素を使用するあらゆる試みは、別のプロセスを必要とする可能性がある。
概要
本明細書では、水素ガスおよびその他の商業的に価値ある生成物の生成に関する方法およびシステムが提供される。
本開示は:
アノード、および金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供し、金属ヒドロキシ塩をアノードで形成すること;
カソードおよびカソード電解質を電気化学セル内に提供すること;ならびに
水素ガスをカソードで形成すること
を含む、水素ガスを発生させる方法について記述する。
一部の実施例では、方法はさらに、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を熱反応器または第2の電気化学セルに移送して、酸素ガスを発生させ、金属塩を再生することを含む。
本開示は:
アノード、および金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供すること;
金属ヒドロキシ塩をアノードで形成すること;
カソードおよびカソード電解質を電気化学セル内に提供すること;
水素ガスをカソードで形成すること;
金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を、電気化学セルの外側に移送すること;ならびに
金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質を、熱反応に供して、酸素ガスを形成すること
を含む、水素ガスを発生させる方法についても記述する。
一部の実施例では、方法はさらに、金属塩の金属イオンを、アノードで、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、金属ヒドロキシ塩を形成することを含む。一部の実施例では、方法はさらに、水をカソードで還元して、水酸化物イオンおよび水素ガスを形成することを含む。一部の実施例では、方法はさらに、水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に移動させることを含む。一部の実施例では、方法はさらに、金属ヒドロキシ塩を、アノード電解質中の金属塩および水酸化物イオンから形成することを含む。
一部の実施例では、方法はさらに、金属塩の金属イオンを、アノードで、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、金属ヒドロキシ塩および水素イオンを形成することを含む。一部の実施例では、方法はさらに、水素イオンをアノード電解質からカソード電解質に輸送し、水素イオンをカソードで還元して水素ガスを形成することを含む。
一部の実施例では、熱反応は、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩も形成する。
一部の実施例では、方法は、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を再循環して、電気化学セル内の元のアノード電解質に戻すことをさらに含む。
一部の実施例では、アノード電解質はさらに、水酸化物イオンを含む。
一部の実施例では、アノード電解質のpHは10よりも高い。
一部の実施例では、電気化学セルは、2V未満の理論的電圧を有する。
一部の実施例では、酸素ガスがアノードで形成されず、またはファラデー効率の25%未満がアノードでの酸素発生反応に関するものである。
一部の実施例では、熱反応は、水酸化物イオンの存在下で実施される。
一部の実施例では、電気化学セルの動作電圧は、アノードで酸素ガスを形成するセルの動作電圧よりも低い。一部の実施例では、電気化学セルの動作電圧は、より低い過電位、より低いサーモニュートラル電圧、より低い半電池電位、またはこれらの組合せの1つまたは複数に起因して、アノードで酸素ガスを形成するセルの動作電圧よりも低い。
一部の実施例では、アノード電解質はさらに塩を含む。一部の実施例では、塩は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、ランタニドハロゲン化物、またはこれらの組合せである。
一部の実施例では、方法はさらに、アニオン交換膜によってアノードをカソードから分離することを含む。
一部の実施例では、アノード電解質はさらに水を含み、金属塩は、アノード電解質に部分的にまたは完全に可溶である。
一部の実施例では、方法はさらに、熱反応の前および/または後に金属塩をアノード電解質から分離することを含む。
一部の実施例では、金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンは:マンガン、鉄、クロム、セレン、銅、スズ、銀、コバルト、ウラン、鉛、水銀、バナジウム、ビスマス、チタン、ルテニウム、オスミウム、ユウロピウム、亜鉛、カドミウム、金、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、テクネチウム、レニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施例では、金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンは:マンガン、クロム、銅、鉄、スズ、セレン、タンタル、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
一部の実施例では、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩は:CuCl、CuBr、CuI、FeCl、FeBr、FeI、SnCl、SnBr、SnI、CuSO、FeSO、SnSO、CuPO、Fe(PO、およびSn(POからなる群から選択される。
一部の実施例では、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩は:Cu(OH)Cl、Cu(OH)Br、Cu(OH)、Fe(OH)Cl、Fe(OH)Br、Fe(OH)、Sn(OH)Cl、Sn(OH)Br、Sn(OH)、Cu(OH)(SO、Fe(OH)(SO、Sn(OH)(SO、Cu(OH)(PO、Fe(OH)(PO、およびSn(OH)(POからなる群から選択され、式中、xおよびyは整数であり、合計されて金属上の電荷と釣り合う。
一部の実施例では、
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はCuClであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はCu(OH)Clであり;
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はCuBrであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はCu(OH)Brであり;
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はCuIであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はCu(OH)であり;
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はFeClであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はFe(OH)Clであり;
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はFeBrであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はFe(OH)Brであり;または
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はFeIであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はFe(OH)であり、
式中、xおよびyは整数である。
一部の実施例では、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩は、M m+(OH)(mx-y)、M(OH)(2x-y)、M(OH)(3x-y)、M(OH)(4x-y)、またはこれらの組合せであり、式中、Mは金属イオンであり、Xは対アニオンであり、m、x、およびyは整数である。一部の実施例では、対アニオンはハロゲン化物イオン、硫酸イオン、またはリン酸イオンである。
一部の実施例では、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩の濃度は、約0.1Mから約1Mである。
一部の実施例では、金属イオンがより高い酸化状態にある金属塩の濃度は、約0.2Mから約1.5Mである。
一部の実施例では、電気化学セルの動作電圧は、約1.5Vから約2.5Vである。
一部の実施例では、電気化学セルの温度は、約50℃から約100℃である。
一部の実施例では、方法はさらに、熱反応を水酸化物イオンの存在下で実施することを含む。一部の実施例では、水酸化物イオンは、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物として存在する。
一部の実施例では、方法はさらに、熱反応を約10よりも高いpHで実施することを含む。
一部の実施例では、方法はさらに、熱反応を触媒の存在下で実施することを含む。一部の実施例では、触媒は金属酸化物である。一部の実施例では、金属酸化物は、酸化マンガン、酸化ルテニウム、酸化ケイ素(例えば、SiO)、酸化鉄(例えば、Fe)、酸化アルミニウム(例えば、Al)、またはこれらの組合せである。
一部の実施例では、熱反応の温度は約50℃から約500℃である。
一部の実施例では、方法はさらに:廃熱ならびに/または太陽熱プロセス、地熱プロセス、および/もしくは核プロセスから選択されるクリーンな熱源からなる群から選択される、別のプロセスからの熱反応に使用される熱の一部分または全てを提供することを含む。
一部の実施例では、方法はさらに、水素ガスの圧縮により発生した熱から熱反応で使用される熱の一部分または全てを提供することを含む。
一部の実施例では、方法はさらに、電解セルと熱反応との間に、熱反応から離れる溶液から、熱反応に進入する流れに熱を回収するように働く熱交換器を設けることを含む。
一部の実施例では、方法はさらに、高圧で、電気化学セルまたは熱反応の少なくとも1つを動作させることを含む。
一部の実施例では、電気化学セルを高圧で動作させることは、水素ガスの圧縮のコストを削減し、熱プロセスをより低い圧力で動作させることは、酸素発生を容易にする。
一部の実施例では、電気化学セルは、約40psiから約500psiの圧力で動作する。
一部の実施例では、熱反応は、約14psiから約300psiの圧力で動作する。
一部の実施例では、金属塩または金属ヒドロキシ塩中の対アニオンは、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、またはリン酸イオンである。
一部の実施例では、方法はさらに、約1から約6のpH差など、アノード電解質とカソード電解質との間で約1よりも大きい定常状態のpH差を維持することを含む。
本開示は:
第1のアノード、および金属塩を含む第1のアノード電解質を、第1の電気化学セル内に提供すること;
金属塩を、第1のアノードで金属ヒドロキシ塩に酸化すること;
第1のカソードおよび第1のカソード電解質を第1の電気化学セル内に提供し、水素ガスを第1のカソードで形成すること;
金属ヒドロキシ塩を含む第1のアノード電解質の少なくとも一部分を、第1の電気化学セルから出して第2の電気化学セルの第2のカソード電解質に移送すること;
金属ヒドロキシ塩を、第2の電気化学セルの第2のカソードで還元すること;
水酸化物イオンを、第2の電気化学セルの第2のカソード電解質から第2のアノード電解質に、第2の電気化学セルのAEMを通して移動させること;ならびに
水酸化物イオンを、第2の電気化学セル内の第2のアノードで酸化して、酸素ガスを形成すること
を含む、水素ガスを発生させる方法についても記述する。
本開示は:
アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質であって、アノードが、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするように構成されている、アノードおよびアノード電解質と;
カソード、および水を含むカソード電解質であって、カソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と;
水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に輸送するように構成されている、アニオン交換膜と
を含む電気化学セルと;
電気化学セルに動作可能に接続された熱反応器であって、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、かつ金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質のその部分を熱反応に供して、酸素ガスと、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩とを形成するように構成されている、熱反応器と
を含む、水素ガスを発生させるシステムについても記述する。
本開示は:
アノード、ならびに金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩および水を含むアノード電解質であって、アノードが、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩および水素イオンにするように構成されている、アノードおよびアノード電解質と;
カソードおよびカソード電解質あって、カソードが、水素イオンを還元して水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と;
アノードとカソードとの間のカチオン交換膜であって、水素イオンをアノード電解質からカソード電解質に輸送するように構成されている、カチオン交換膜と
を含む電気化学セルと;
電気化学セルに動作可能に接続された熱反応器であって、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、かつ金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質のその部分を熱反応に供して、酸素ガスと、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩とを形成するように構成されている、熱反応器と
を含む、水素ガスを発生させるシステムについても記述する。
本開示は:
第1のアノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含む第1のアノード電解質であって、第1のアノードが、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするように構成されている、第1のアノードおよび第1のアノード電解質と;
第1のカソード、および水を含む第1のカソード電解質であって、第1のカソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、第1のカソードおよび第1のカソード電解質と;
水酸化物イオンを第1のカソード電解質から第1のアノード電解質に輸送するように構成されている、第1のアニオン交換膜と
を含む第1の電気化学セルと;
第2のアノードおよび第2のアノード電解質と;
第2のカソードおよび第2のカソード電解質であって、第2のカソード電解質が、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を含む第1のアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように構成されており、第2のカソードが、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を還元して金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩にするように構成されている、第2のカソードおよび第2のカソード電解質と
を含む、第1の電気化学セルに動作可能に接続された第2の電気化学セルと
を含む、水素ガスを発生させるシステムについても記述する。
一部の実施例では、第2の電気化学セルはさらに、水酸化物イオンを第2の電解化学セル内で第2のカソード電解質から第2のアノード電解質に移送するように構成されている、第2のアニオン交換膜(AEM)を含み、第2のアノードは、水酸化物イオンを酸化して酸素ガスを形成するように構成される。
本開示は:
アノード、および金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供すること;
金属塩の金属イオンを、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、金属ヒドロキシ塩を形成すること;
カソードおよびカソード電解質を、電気化学セル内に提供すること;ならびに
水素ガスおよび水酸化物イオンをカソードで形成すること
を含む、水素ガスを発生させる方法について記述する。
一部の実施例では、方法はさらに、アニオン交換膜でアノード電解質をカソード電解質から分離すること、および水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に移動させることを含む。一部の実施例では、金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンは:マンガン、鉄、クロム、セレン、銅、スズ、銀、コバルト、ウラン、鉛、水銀、バナジウム、ビスマス、チタン、ルテニウム、オスミウム、ユウロピウム、亜鉛、カドミウム、金、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、テクネチウム、レニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施例では、金属塩は:CuCl、CuBr、CuI、FeCl、FeBr、FeI、SnCl、SnBr、SnI、CuSO、FeSO、SnSO、CuPO、Fe(PO、およびSn(PO、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施例では、金属ヒドロキシ塩は:Cu(OH)Cl、Cu(OH)Br、Cu(OH)、Fe(OH)Cl、Fe(OH)Br、Fe(OH)、Sn(OH)Cl、Sn(OH)Br、Sn(OH)、Cu(OH)(SO、Fe(OH)(SO、Sn(OH)(SO、Cu(OH)(PO、Fe(OH)(PO、およびSn(OH)(PO、ならびにこれらの組合せからなる群から選択され、式中、xおよびyは整数であり、合計されて金属上の電荷と釣り合う。一部の実施例では、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩は、M m+(OH)(mx-y)、M(OH)(2x-y)、M(OH)(3x-y)、M(OH)(4x-y)、またはこれらの組合せであり、式中、Mは金属イオンであり、Xは対アニオンであり、m、x、およびyは整数である。一部の実施例では、金属塩または金属ヒドロキシ塩中の対アニオンは、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、またはリン酸イオンである。一部の実施例では、方法はさらに、アノード電解質とカソード電解質との間で約1から約6の定常状態のpH差を維持することを含む。一部の実施例では、酸素ガスはアノードで形成されず、またはファラデー効率の25%未満がアノードでの酸素発生反応に関するものである。一部の実施例では、方法はさらに、水酸化物イオンをアノードで酸化して、酸素ガスを形成することを含む。一部の実施例では、方法はさらに、アノードで、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするため、より低い電流密度で電気化学セルを動作させること;およびアノードで水酸化物イオンを酸化して酸素ガスを形成するため、より高い電流密度で電気化学セルを動作させることを含む。一部の実施例では、方法はさらに、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を電気化学セルの外側に移送すること;および金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質のその部分を熱反応に供して、酸素ガスと、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩とを形成することを含む。一部の実施例では、方法はさらに、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を再循環させて、電気化学セルのアノード電解質に戻すことを含む。一部の実施例では、方法はさらに、熱反応を、水酸化物イオンの存在下;10よりも高いpHで;および/または触媒の存在下で、実施することを含む。一部の実施例では、方法はさらに、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を電気化学セルから出して第2の電気化学セルの第2のカソード電解質に移送すること;および第2の電気化学セルの第2のカソードで金属ヒドロキシ塩を還元して、金属塩を形成することを含む。一部の実施例では、方法はさらに、水酸化物イオンを第2の電気化学セルの第2のカソード電解質から第2のアノード電解質に、第2の電気化学セル内の第2のAEMを通して移動させること;および水酸化物イオンを第2の電気化学セル内の第2のアノードで酸化して、酸素ガスを形成することを含む。
本開示は:
アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質であって、アノードが、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするように構成されている、アノードおよびアノード電解質と;
カソード、および水を含むカソード電解質であって、カソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と;
水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に輸送するように構成されている、アニオン交換膜と
を含む電気化学セルを含む、水素ガスを発生させるシステムについても記述する。
一部の実施例では、システムはさらに、電気化学セルに動作可能に接続され、かつ金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、および金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質のその部分を熱反応に供して、酸素ガスと、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩とを形成するように構成されている、熱反応器を含む。一部の実施例では、アノードはさらに、水酸化物イオンをアノードで酸化して酸素ガスを形成するように構成される。一部の実施例では、システムはさらに、電気化学セルに動作可能に接続された第2の電気化学セルを含み、第2の電気化学セルは、第2のアノードおよび第2のアノード電解質、第2のカソードおよび第2のカソード電解質を含み、第2の電気化学セルの第2のカソード電解質は、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を含む電気化学セルのアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように構成されており、第2の電気化学セルの第2のカソードは、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を還元して、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩にするように構成される。
図面は、本文書で論じられる様々な実施形態を、概略的に、例として、しかし如何様にも限定せずに、例示する。
図1は、水素ガスをカソードで形成し;アノードで金属塩を金属ヒドロキシ塩に酸化し;および金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質を熱反応器または熱酸素発生ユニットに移送して金属塩を再生し、酸素ガスを形成するための、例示的なシステムの図である。
図2は、水素ガスおよび水酸化物イオンをカソードで形成し;水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に移動させ;アノードで金属塩を金属ヒドロキシ塩に酸化し;および金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質を熱反応器または熱酸素発生ユニットに移送するための、例示的なシステムの図である。
図3は、水素ガスおよび水酸化物イオンを第1の電気化学セルのカソードで形成し;水酸化物イオンを第1の電気化学セルのカソード電解質からアノード電解質に移動させ;金属塩を、第1の電気化学セルのアノードで金属ヒドロキシ塩に酸化し;および金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質を第2の電気化学セルのカソード電解質に移送して、金属塩を再生し酸素ガスを形成するための、例示的なシステムの図である。
図4は、水素イオンおよび金属ヒドロキシ塩をアノードで形成し;水素イオンをアノード電解質からカソード電解質に移動させ;水素ガスをカソードで形成し;および金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質を熱反応器または熱酸素発生ユニットに移送するための、例示的なシステムの図である。
図5は、水素ガスをカソードで形成し;アノードで金属塩を金属ヒドロキシ塩に酸化し;アノードで水酸化物イオンを酸化して酸素ガスを形成し;金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質を熱反応器または熱酸素発生ユニットおよび/または第2の電気化学セルに移送して、金属塩を再生し酸素ガスを形成するための、例示的なシステムの図である。
詳細な説明
本明細書には、水素ガスおよびその他の商業的に価値ある生成物の、環境に優しく低コストの生成に関するシステムおよび方法が開示される。その他の商業的に価値のある生成物は、限定するものではないが酸素ガスを含むことができる。
水素ガスは、水が電気化学セルのアノードとカソードでそれぞれ酸素ガスと水素ガスとに分解する水分解反応によって電気化学的に形成される。そのような電気化学的プロセスの例には、限定するものではないがプロトン電解質膜(PEM)電気分解およびアルカリ水電気分解(AWE)が含まれる。しかしながら、そのような電気化学反応では、様々なエネルギー非効率の結果としての追加のエネルギーコストに起因して、セルの動作エネルギーは比較的高い。例えば、電極間のイオン種の望ましくない移動を低減するため、カソードおよびアノードは、これらの移動を低減し得るダイアフラムまたは膜などの構成要素によって分離されてもよい。これらの構成要素はセルの全体効率を改善し得るが、セルにおける追加の抵抗損失という犠牲を払う可能性があり、それが動作電圧を増大させ得る。水の電気分解におけるその他の非効率には、とりわけ溶液抵抗損失、導電性非効率、および/または電極過電位が含まれる。これらの様々な非効率およびそれらの低減に関連する資本コストは、水分解電気分解を介した水素発生の経済的実現可能性において重要な役割を演じ得る。
上述の水分解反応に関連したエネルギーコストに加え、別の重要なコストは、水素圧縮のコストであり得る。実現可能な輸送燃料として採用されるように、水分解電気分解によって生成された水素もまた、燃料補給所に送達され得る。この送達プロセスを実現可能にするため、水分解電気分解によって発生した水素は、輸送および燃料補給用に圧縮される。水素が大規模に輸送燃料として使用されることになる場合、燃料補給圧力は、約5,000psiから約10,000psiになると予測され得る。その結果、圧縮コストは、電気分解による水素ガス生成の全体コストの有意なパーセンテージになり得る。
本明細書に記述される方法およびシステムは、電気化学的および熱化学的または熱的プロセスの独自の組合せおよび/または2つもしくはそれよりも多くの電気化学反応の組合せであって、組み合わされたときに、水素ガスの効率的で低コストの、および低エネルギー生成をもたらすものに関する。一部の実施例では、電気化学反応は、以下に記述されるように、酸性媒体中で生じてもよく、またはアルカリ性媒体中で生じてもよい。
当業者により理解されるように、本発明は、本明細書に記述される特定の実施形態に限定されず、したがって当然ながら様々になり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を記述する目的のためのみであり、限定するものではないことも理解されたい。
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間にある各値、およびその言及される範囲における任意のその他の言及されるまたは介入する値は、文脈が他に明示しない限り下限の単位の10分の1まで、その範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、言及される範囲において何らかの特に排除される限界が存在することを条件として、より小さい範囲に含まれ得る。言及される範囲がその限界の1つまたは両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外した範囲も、その範囲に含まれる。
本明細書で使用される「約」という用語は、値または範囲の変動率を、言及される値または言及される範囲の限界の例えば10%以内、5%以内、1%以内、0.5%以内、0.1%以内、0.05%以内、0.01%以内、0.005%以内、または0.001%以内にすることができ、厳密な言及される値または範囲の限界を含む。
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%もしくはそれよりも多くなどの大部分もしくは大半、または100%を指す。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記述されるものに類似するまたは等しい任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験において使用することができ、代表的な例示的な方法および材料を、次に記述する。
本明細書に引用される全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許のそれぞれが参照により組み込まれることを具体的におよび個々に示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が引用されるものに関連して方法および/または材料を開示し記述するように参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示のためであり、本発明が、先行発明によるそのような公開に先行する権利を持たないことを認めると解釈すべきではない。さらに、提供される公開日は実際の公開日と異なっているかもしれず、独立して確認する必要があり得る。
本明細書でおよび添付される特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。請求項は、いずれかの必要に応じた要素を除外するように起草されているかもしれないことにさらに留意されたい。したがってこの言及は、請求項の要素の言及に関連した「単に」および「~のみ」などの排他的用語の使用の、または「否定的」限定の使用の、先行詞として働くものとする。
本開示を読むことにより当業者に明らかにされるように、本明細書に記述され例示される個々の実施例のそれぞれは、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、その他のいくつかの実施例のいずれかの特徴から容易に分離されても組み合わされてもよい個別の構成要素および特徴を有する。任意の記載される方法は、記載される事象の順序でまたは論理的に可能な任意のその他の順序で実施することができる。
方法およびシステム
カソードで水素ガスを生成する様々な方法およびシステムが本明細書に記述され、金属塩の酸化、酸素ガスの形成、またはこれらの組合せなどであるがこれらに限定されない様々な反応を、アノードで実施することができる。
一態様では、水素ガスを発生させる方法は:
アノード、および金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供すること;
金属ヒドロキシ塩をアノードで形成すること;
カソードおよびカソード電解質を電気化学セル内に提供すること;ならびに
水素ガスをカソードで形成すること
を含む。
一部の実施例では、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分は、電気化学セルの外側に移送され、熱的に(例えば、熱反応器内で)および/または電気化学的に(例えば、第2の電気化学セル内で)還元されて、酸素ガスと、還元形態の金属ヒドロキシ塩、即ち金属塩を形成する。酸素ガスを形成する熱反応/反応器および電気化学反応/セルは共に、以下に、より詳細に記述される。酸素ガスを形成する熱反応/反応器および第2の電気化学反応/セルは、同時に(熱反応および第2の電気化学反応が共に同時に実施される)、逐次(熱反応および第2の電気化学反応が次々に実施される)、または独立して実施されてもよく、これらの組合せの全ては、十分に本開示の範囲内にある。
一部の実施例では、方法はさらに、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を電気化学セルの外側に移送すること、および金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質のその部分を熱反応に供して酸素ガスを形成することを含む。
一部の実施例では、方法はさらに、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を、第1の電気化学セルから出して第2の電気化学セルの第2のカソード電解質に移送すること、金属ヒドロキシ塩を第2の電気化学セルの第2のカソードで還元して、金属塩にすること、水酸化物イオンを、第2の電気化学セル内の第2のAEMを通して第2の電気化学セルの第2のカソード電解質から第2のアノード電解質に移動させること、および水酸化物イオンを第2の電気化学セルの第2のアノードで酸化して酸素ガスを形成することを含む。
一態様では、水素ガスを発生させるシステムは:
アノード、および金属塩を含むアノード電解質であって、アノードが、金属塩から金属ヒドロキシ塩を形成するように構成されている、アノードおよびアノード電解質と;
カソード、および水を含むカソード電解質であって、カソードが、水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と
を含む電気化学セルを含む。
一部の実施例では、システムはさらに、電気化学セルに動作可能に接続された熱反応器であって、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、かつアノード電解質のその部分を熱反応に供して、酸素ガスおよび金属塩を形成するように構成されている、熱反応器を含む。
一部の実施例では、システムはさらに、第1の電気化学セルに動作可能に接続された第2の電気化学セルであって、第2の電気化学セルが、第2のアノードおよび第2のアノード電解質、第2のカソードおよび第2のカソード電解質を含み、第2のカソード電解質は、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を含む第1の電気化学セルの第1のアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように構成されており、第2の電気化学セルの第2のカソードは、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を還元して、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩にするように構成されている、第2の電気化学セルを含む。
水素ガスは、商用目的で捕獲され貯蔵されてもよい。酸素ガスは、排出されてもよく、または商用目的で捕獲され貯蔵されてもよい。
本明細書で使用される「金属塩」という用語は、「MX」と表され得、Mは金属イオンであり、Xは対アニオンである。「金属塩」は、金属カチオンおよび対アニオンにより形成されたイオン性化合物である。本明細書で使用される「金属ヒドロキシ塩」という用語は、「M(OH)X」と表され得、Mは金属イオンであり、OHはヒドロキシイオンであり、Xは対アニオンである。「金属ヒドロキシ塩」は、金属カチオン、ヒドロキシイオン、および対アニオンにより形成されるイオン性化合物である。金属イオンまたは金属カチオンは、本明細書で記述してきた。金属塩または金属ヒドロキシ塩中の対アニオン(X)の例には、限定するものではないが:ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、またはこれらの均等物が含まれる。本明細書で使用される「ハロゲン化物」は、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、フッ化物イオン(F)、またはヨウ化物イオン(I)を含む。
一部の実施例では、アノード電解質は、より低い酸化状態にある金属イオンを含む金属塩(例えば、アノード電解質溶液を形成する原料の部分として)、および金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩(例えば、アノードでの酸化後に形成される)の両方を含む。
本明細書で記述されるレドックス金属としての金属塩の使用(例えば、より低い酸化状態からより高い酸化状態となる、およびその逆)は、半電池電圧が酸素発生の半電池電圧よりも上にある場合であっても、動作セル電圧を低下させ得る。典型的には、水素ガスがカソードで発生するセルと同じセルでのアノードでの酸素発生は、分子状酸素を妥当な電流密度で発生させるために、アノードでの理論的最小値を超える過電位を必要とし得る。したがって、アノードでの金属塩の酸化に関係して本明細書で提供される態様で必要とされる過電位を低減させることは、理論的電圧が僅かに高い場合であっても動作電圧を低下させることができる。
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩からの、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩の形成は、非触媒電子移動ステップ、例えば金属塩の金属イオンの酸化であってもよい。例えば金属ヒドロキシ塩の形態の酸化された金属塩は、セルの外側に輸送され、次いでここで熱を使用して、酸素ガスを金属ヒドロキシ塩から遊離させて(熱反応)、酸素ガス形成に必要とされるエネルギーを熱的に提供できるようにすることができる。上述のように、金属ヒドロキシ塩を形成する、半電池反応でのこのタイプの変化は、過電位の節約のために基本的な半電池電位がより高い場合であっても、より低い動作電圧をもたらすことができる。
より低い酸化状態からより高い酸化状態へ、即ち金属ヒドロキシ塩の形態への金属塩の酸化の酸化は、サーモニュートラル電圧を低減させることによって、動作電圧をさらに低減させることができる。典型的には、熱がセル内の抵抗損失以外の供給源から供給される場合、セルは、より低い電圧で動作することができる。しかしながら、セル内に熱を付加する抵抗損失は、セル電圧がサーモニュートラル電圧を超えるまで、損失と見なされないかもしれない。金属塩をアノードで酸化して金属ヒドロキシ塩を形成することによって、サーモニュートラル電圧を低減させることにより動作電圧を低下させることが可能になり得る。例えば、アノードで金属塩を酸化して金属ヒドロキシ塩を形成することで、サーモニュートラル電圧を約1.48Vよりも下に低下させることにより全電圧を低下させることができる。本明細書に記述される、より低いサーモニュートラル電圧は、電気化学セルの全動作電圧を低下させるのに使用することができる。
動作電圧の低減は、アノードでの酸素発生にまたはカソードでの水素発生に必要とされると考えられるよりも低い半電池電位の結果であってもよい。ギブスの自由エネルギーは、所与の変換(例えば、水から水素および酸素への変換)を実現するのに必要とされる、最小限に抑えられた外部仕事を含み得るので、熱力学的最小電圧よりも下での動作は、追加のエネルギーが仕事としてまたは熱としてシステム内に提供される場合に可能になり得る。熱が、セル内で抵抗損失以外の供給源から得られる場合(これらの損失は、限定するものではないが膜内での損失、伝導性抵抗、溶液抵抗、および電極過電位を含み得る)、正味の効果は、電力の需要減少になる。
したがって、一部の実施例では、酸素ガスがアノードで形成されない。別の実施例では、電気化学セルのファラデー効率の25%未満が、アノードでの酸素発生反応に関するものである。
図1~5は、上記にてまとめられた態様の様々な実施例を示す。図1は、アノード104およびアノード電解質106を収容するアノードチャンバー102を持つ電気化学100を含む、水素ガスを生成するための例示的なシステムを示す。アノード電解質106は、以下に、より詳細に記述されるように、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含む。電気化学セル100は、カソード110およびカソード電解質112を収容するカソードチャンバー108も含む。アノード104で、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩は酸化されて、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を形成する。水素ガス114はカソード110で形成される。金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を含む、アノード電解質106の少なくとも一部分は、電気化学セル100の外側に、例えばアノード電解質溶液116として移送されて、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を熱反応に(例えば、熱反応器内で)または第2の電気化学プロセスに(例えば、第2の電気化学セル内で)供することができるようになる。熱反応または第2の電気化学プロセスのいずれかは、酸素ガス118の発生と、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩の還元をもたらし、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を再形成する。図1に示される例示的なシステムは、電気化学セル100からアノード電解質溶液116を受容し、熱122を加えて金属ヒドロキシ塩を熱反応に供して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩に還元する熱反応器120を含む。金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩の少なくとも一部分は、例えば電解質溶液124として移送されて、電気化学セル100のアノードチャンバー102に戻されてもよい。熱反応器120での熱反応で形成された水は、セルのカソードチャンバーに部分的にまたは完全に移送されてもよい(図には示さず)。膜126またはその他のセパレーターは、アノード104をカソード110から分離するように、電気化学セル100のアノードチャンバー102とカソードチャンバー108との間に位置決めすることができる。以下に、より詳細に記述される一部の実施例では、膜126は、アニオン交換膜(AEM)またはカチオン交換膜(CEM)を含むことができる。
一部の実施例では、金属ヒドロキシ塩は、アルカリまたは酸性条件下、アノード104で形成され得る。
アルカリ性条件
一部の実施例では、カソード電解質112は水を含み、カソード110での水素ガス114の形成は、カソード電解質中に水酸化物イオンを、および水素ガスを形成する。そのような例では、水酸化物イオンは、アノード電解質とカソード電解質との間に位置付けられたアニオン交換膜を通してなど、カソード電解質からアノード電解質に輸送することができる。水酸化物イオンの少なくとも一部分は、電気化学セルから出て熱反応プロセスにまたは第2の電気化学プロセスに移送することができる。
したがって、一態様では、水素ガスを発生させる方法は:
アノード、および金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供すること;
金属塩の金属イオンを、アノードで、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、金属ヒドロキシ塩を形成すること;
カソード、および水を含むカソード電解質を、電気化学セル内に提供すること;
カソードで水を還元して、水酸化物イオンおよび水素ガスを形成すること;
水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に輸送しまたは移動させることであって;
金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩が、アノード電解質中の金属塩および水酸化物イオンから形成される、輸送しまたは移動させること;
金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を、電気化学セルの外側に移送すること;ならびに
金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質のその部分を熱反応に供して、酸素ガスおよび金属塩を形成すること
を含む。
一態様では、水素ガスを発生させるシステムは:
アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質であって、アノードが、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするように構成されている、アノードおよびアノード電解質と;
カソード、および水を含むカソード電解質であって、カソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と;
水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に輸送するように構成されている、アニオン交換膜と
を含み、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩が、アノード電解質中の金属塩および水酸化物イオンからアノードで形成される
電気化学セルと、
電気化学セルに動作可能に接続され、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、かつアノード電解質のその部分を熱反応に供して、酸素ガス、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を形成するように構成されている、熱反応器と
を含む。
図2は、これらの態様を組み込むシステムを示す。図2に見られるように、このシステムは、図1の電気化学セル100と本質的に同一である電気化学セル130を含み、この電気化学セル130は、アノード134、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質136を収容するアノードチャンバー132、カソード140およびカソード電解質142を収容するカソードチャンバー138を含む。図1のシステムにおけるように、アノード134は、金属ヒドロキシ塩を形成するために、金属塩の金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化する。一部の実施例では、アノード電解質136は金属塩および水を含み、または一部の実施例では、アノード電解質136は金属塩および塩水(本明細書でさらに記述される)を含む。一部の実施例では、塩(本明細書でさらに記述される)の存在は、アノード電解質136中の金属塩を可溶化し得、その結果、プロセスの改善された効率をもたらすことができる。一部の実施例では、熱反応中の塩の存在は、酸素ガスの発生を容易にし得る。
図2の電気化学セル130のアノードチャンバー132およびカソードチャンバー138は、PEMではなくアニオン交換膜(AEM)144によって分離される。AEM 144の使用は、アノードチャンバー132からカソードチャンバー138への金属イオンの輸送を低減させまたは最小限に抑え、そのことがカソード電解質142の汚染を低減させまたは最小限に抑え、プロセスの効率を改善することができる。カソード電解質142は水を含んでいてもよく、カソード110は水を還元して、水素ガス146および水酸化物イオン148を形成する。水酸化物イオン148は、カソード電解質142からAEM 144を通ってアノード電解質136へと移送しまたは移動する。次いで水酸化物イオン148を、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩と合わせて、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を形成してもよい。金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分は、アノード電解質溶液152などと共に、電気化学セル130から出されて熱反応器150に移送することができる。熱反応器150内で、熱154が金属ヒドロキシ塩に加えられて熱反応に供し、その結果、酸素ガス156の発生および金属ヒドロキシ塩の還元がもたらされて、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を形成する。この金属塩の少なくとも一部分は、電解質溶液158などを介して移送されて、電気化学セル130のアノードチャンバー132に戻されてもよい。金属ヒドロキシ塩をアノードチャンバー132から熱反応器150に移送するアノード電解質溶液152は、固体形態であっても液体溶液形態であってもよい。一部の実施例では、金属ヒドロキシ塩は、アノード電解質136に部分的に不溶であっても完全に不溶であってもよい。そのような実施例では、金属ヒドロキシ塩は、アノード電解質136から分離されても分離されなくてもよい。液-固分離のための技法、例えば濾過を含むがこれらに限定されない様々な公知の技法を、分離のために使用することができる。
一部の実施例では、アノード電解質136のpHは、金属塩の酸化および/またはヒドロキシイオン148の酸化に影響を及ぼして、任意のその他の競合する酸化反応に勝って酸素ガスを形成することができる(本明細書で後で記述される)。一部の実施例では、アノード電解質136のpHは、約5よりも高く、例えば約6よりも高く、約7よりも高いなど、例えば約8よりも高く、約9よりも高いなど、例えば約10よりも高く、約5から約15など、例えば約5から約10、約9から約15など、例えば約9から約14、約9から約13など、例えば約9から約12、約9から約11など、例えば約9から約10、約10から約12など、例えば約10から約14、約10から約11.5など、例えば約11から約15、例えば9に等しくまたは実質的に等しく、10に等しくまたは実質的に等しいなど、例えば11に等しくまたは実質的に等しく、11.5に等しくまたは実質的に等しいなどである。一部の実施例では、アノード電解質136のpHは、カソード電解質142からアノード電解質136に移動する水酸化物イオンの酸化に勝って金属塩の酸化を容易にし得る。一部の実施例では、方法はさらに、アノード電解質136とカソード電解質142との間で1よりも大きい定常状態のpH差を維持することを含み、例えばpH差は約1から約6である。
本明細書で提供される方法およびシステムは、場合によっては閉ループプロセスであり、したがって本明細書で提供される1つまたは複数のステップの順序は、交互になされても再構成されてもよく、ステップは、必ずしもひと続きに構成される必要はない。
本明細書に記述されるシステムまたは方法のいずれかにおける金属塩中の金属イオンは、任意の適合するレドックス金属とすることができる。一部の実施例では、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩は、電気化学セル130のアノードチャンバー132に進入し、そこで金属塩の金属イオンは、より高い酸化状態にアノードで酸化する。金属イオンがより高い酸化状態にある金属塩は、1個または複数の水酸化物イオン148と合わさって、より高い酸化状態にある金属イオンを有する金属ヒドロキシ塩を形成してもよく、これは下記の半電池反応に示されるような酸化状態の変化に従い生じることができる:
アノード反応: Mn++(m-n)OH→Mm+(m-n)OH+(m-n)e
カソード反応: (m-n)e+(m-n)HO→((m-n)/2)H+(m-n)OH
上述の反応において、より低い酸化状態にある金属塩の金属イオンはMn+として表され、より高い酸化状態にある金属塩の金属イオンはMm+として表される。次いで金属ヒドロキシ塩Mm+(m-n)OHは、熱反応を受けて、下記の熱反応におけるように酸素ガスを形成する:
熱反応: Mm+(m-n)OH→ Mn++((m-n)/4)O+((m-n)/2)H
本明細書で提供される方法およびシステムにおける金属ヒドロキシ塩は、化学量論的にM m+(OH)(mx-y)、M(OH)(2x-y)、M(OH)(3x-y)、またはM(OH)(4x-y)(式中、Mは金属イオンであり、Xは対アニオンであり、m、x、およびyは整数である)の1種または複数種の化学種であってよいことを理解されたい。一部の実施例では、m、x、およびyは、1から5の整数である。例えば、CuBrOH種は、化学量論的にCuBr(OH)(2x-y)の多くの可能性ある銅ヒドロキシ臭化物種の1種を表す。金属ヒドロキシ塩のその他の例には、限定するものではないがMX(OH)、MX(OH)、およびMX(OH)(式中、Mは金属であり、Xは対アニオンである)が含まれる。
金属塩の金属イオンの例示的な例は、銅である。一部の実施例では、金属塩が銅塩であるとき、反応は、以下のように例示することができる:
アノード反応: 4CuX+4OH→4CuXOH+4e
カソード反応: 4e+4HO→2H+4OH
熱反応: 4CuXOH→4CuX+O+2H
一部の実施例では、対アニオンXがハロゲン化物イオン、硫酸イオン、またはリン酸イオンである。ハロゲン化物イオンの例には、フッ化物イオン(F)、臭化物イオン(Br)、塩化物イオン(Cl)、またはヨウ化物イオン(I)が含まれる。例えば、上記反応における金属ヒドロキシ塩CuXOHは、塩化水酸化銅(CuClOH)、臭化水酸化銅(CuBrOH)、またはヨウ化水酸化銅(CuIOH)であってよい。
一部の実施例では、酸素ガスを発生させる熱反応器/反応は、第2の電気化学セル/反応と置き換えられてもよく、または同時に実行されてもよい。
一態様では、水素ガスを発生させる方法は:
第1のアノードおよび第1のアノード電解質を第1の電気化学セル内に提供することであって、第1のアノード電解質が金属塩を含むものである、提供すること;
金属塩を、第1のアノードで金属ヒドロキシ塩に酸化すること;
第1のカソードおよび第1のカソード電解質を第1の電気化学セル内に提供すること;
水素ガスおよび水酸化物イオンを第1のカソードで形成すること;
金属ヒドロキシ塩を含む第1のアノード電解質の少なくとも一部分を、第1の電気化学セルから出して第2の電気化学セルの第2のカソード電解質に移送すること;
金属ヒドロキシ塩を、第2の電気化学セルの第2のカソードで金属塩に還元すること;ならびに
水酸化物イオンを、第2のカソード電解質から第2のアノード電解質に、第2の電気化学セル内の第2のAEMを通して移動させること;ならびに
水酸化物イオンを、第2の電気化学セル内の第2のアノードで酸化して、酸素ガスを形成すること
を含む。
一部の実施例では、方法はさらに、水酸化物イオンを第1のカソード電解質から第1のアノード電解質に、第1の電気化学セル内で第1のAEMを通して移送することを含む。一部の実施例では、方法はさらに、第2の電気化学セルの第2のカソード電解質(金属塩を含む)の少なくとも一部分を移送して、第1の電気化学セルの第1のアノード電解質に戻すことを含む。
一態様では、水素ガスを発生させるシステムは:
第1のアノード、および金属塩を含む第1のアノード電解質であって、第1のアノードが、金属塩を酸化して金属ヒドロキシ塩にするように構成されている、第1のアノードおよび第1のアノード電解質と;
第1のカソード、および水を含む第1のカソード電解質であって、第1のカソードが、水を還元して、水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、第1のカソードおよび第1のカソード電解質と
を含む、第1の電気化学セルと;
第2のアノードおよび第2のアノード電解質;
第2のカソードおよび第2のカソード電解質であって、第2のカソード電解質が、金属ヒドロキシ塩を含む第1の電気化学セルの第1のアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように構成されており、第2のカソードが、金属ヒドロキシ塩を還元して金属塩にするように構成されている、第2のカソードおよび第2のカソード電解質
を含む、第1の電気化学セルに動作可能に接続された、第2の電気化学セルと
を含む。
一部の実施例では、前述のシステムがさらに、第1の電気化学セルの第1のアノードと第1のカソードとの間に第1のAEMを含む。一部の実施例では、システムはさらに、第2の電気化学セルの第2のアノードと第2のカソードとの間に第2のAEMを含む。一部の実施例では、システムは、第1の電気化学セル内の第1のアノードと第1のカソードとの間に第1のAEMを、および第2の電気化学セル内の第2のアノードと第2のカソードとの間に第2のAEMを含む。各AEMは、水酸化物イオンを対応するカソード電解質から対応するアノード電解質に、AEMを通して移送するように構成することができる。一部の実施例では、第2の電気化学セル内の第2のアノードは、水酸化物イオンを酸化して酸素ガスを形成するように構成される。
一部の実施例では、第1の電気化学セルおよび第2の電気化学セルは、それらのそれぞれのアノード反応を選択的に行うように、異なる電流および異なる電圧で動作する。
図3は、前述の態様に関連して記述された2つの電気化学セルを組み込むシステムを示す。図3に見られるように、システムは、第1のアノード164および第1のアノード電解質166を収容する第1のアノードチャンバー162を含む、第1の電気化学セル160を含む。上述の前出のアノード電解質106、136のように、第1のアノード電解質166は、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含み、これは第1のアノード164で酸化されて、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩を形成することができる。第1の電気化学セル160は、第1のカソード170および第1のカソード電解質172を収容する第1のカソードチャンバー168も含む。第1のカソード電解質172は水を含むことができ、この水は、第1のカソード170で還元されて水素ガス174および水酸化物イオン176を発生させる。アノードチャンバー162とカソードチャンバー168との間に位置付けられた第1のアニオン交換膜(AEM)178は、第1のアノード電解質166を第1のカソード電解質172から分離する。第1のAEM 178は、水酸化物イオン176を第1のカソード電解質172から第1のアノード電解質162に移送しまたは移動させることができる。
図3のシステムは、第1の電気化学セル160に構造的に類似しまたは同一である第2の電気化学セル180も含み、例えば、第2のアノード184および第2のアノード電解質186を収容する第2のアノードチャンバー182、第2のカソード190および第2のカソード電解質192を収容する第2のカソードチャンバー188、ならびに第2のアノードチャンバー182と第2のカソードチャンバー188との間に位置付けられて第2のアノード電解質186を第2のカソード電解質192から分離する第2のアニオン交換膜(AEM)194を備える。
一部の実施例では、金属ヒドロキシ塩を含む第1のアノード電解質166の少なくとも一部分は、第1の電気化学セル160の外側に例えばアノード電解質溶液196として移送され、第2の電気化学セル180の第2のカソード電解質192に添加される。第2の電気化学セル180内では、金属ヒドロキシ塩(例えば、金属イオンがより高い酸化状態にある)が第2のカソード190で還元されて、金属塩(例えば、金属イオンがより低い酸化状態にある)になる。金属ヒドロキシ塩から金属塩へのこの還元から形成される水酸化物イオン198は、第2のカソード電解質192から第2のアノード電解質186に、第2のAEM 194を通して移動することができる。第2のアノード184は、水酸化物イオン198を酸化して酸素ガス200を形成する。第2のカソード190で、金属ヒドロキシ塩の還元により形成された金属塩を含む、第2の電気化学セル180からの第2のカソード電解質192の少なくとも一部分は、移送されて第1の電気化学セル160の第1のアノードチャンバー162に戻され、第1のアノード電解質166と合わせられ、例えば、金属イオンがより低い酸化状態にある再形成された金属塩を第1のアノード164で酸化して、金属ヒドロキシ塩を形成できるようにすることができる。
出願人は、アノード電解質とカソード電解質との間で定常状態のpH差を維持する、例えばアノード電解質のpHを上昇させおよび/またはカソード電解質のpHを低下させ、アノードおよびカソードでの反応の合計が、約1.23V未満の理論的電位をもたらすことができる、独自の方法およびシステムを見出した。
本明細書に記述される方法およびシステムは、それぞれがNaOHまたはKOHなどであるがこれらに限定されないアルカリ電解質を使用する、2つの電極チャンバーを分離するアニオン交換膜(AEM)などの膜を用いるアルカリ水電気分解を含む。一部の実施例では、カソード電解質は、比較的低いpHにあり得、アノード電解質は、比較的高いpHにされ得る。アノード電解質、およびカソード電解質のpHの両方は、それらのそれぞれのpHで、水の収支に関する熱的手段を介して維持することができる。水電気分解反応全体に関する理論的電圧は、1.23-0.059×ΔpHボルトにすることができ、ここでΔpHは、アノード電解質とカソード電解質との間のpH差である。例えば、15のアノード電解質pHおよび11のカソード電解質pHは、約0.944V、すなわち1.23Vの理論的電位から約0.236V低い、理論的水電気分解電位を有し得る。
一態様では、水素ガスを発生させる方法は:
アノードおよびアノード電解質を、電気化学セル内に提供することであって、このアノード電解質が金属塩を含む、提供すること;
金属塩を、アノードで金属ヒドロキシ塩に酸化すること;
カソードおよびカソード電解質を電気化学セル内に提供すること;
水素ガスおよび水酸化物イオンをカソードで形成すること;
アノード電解質を、アニオン交換膜(AEM)によってカソード電解質から分離すること;
水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に、AEMを通して移動させること;ならびに
アノード電解質とカソード電解質との間で、1よりも大きい定常状態のpH差を維持すること
を含む。
一部の実施例では、方法はさらに、電気化学セルを、約1.23V未満の理論的電圧で動作させることを含む。
一態様では、水素ガスを発生させる電気化学セルは:
アノード、および金属塩を含むアノード電解質であって、アノードが、金属塩を酸化して金属ヒドロキシ塩にするように構成されている、アノードおよびアノード電解質;
カソード、および水を含むカソード電解質であって、カソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質;ならびに
アノード電解質とカソード電解質との間に配置されたアニオン交換膜であって、水酸化物イオンをカソード電解質からアノード電解質に移動させるように構成されている、アニオン交換膜
を含み;
電気化学セルは、アノード電解質とカソード電解質との間で1よりも大きい定常状態のpH差を維持するように構成される。
一部の実施例では、電気化学セルシステムは、約1.23V未満の理論的電圧で動作するように構成される。
一部の実施例では、カソード電解質のpHがアノード電解質のpHよりも低い。一部の実施例では、アノード電解質のpHが約10から約15であり、カソード電解質のpHが約8から約13である。一部の実施例では、アノード電解質のpHが約10から約15であり、カソード電解質のpHが約8から約13であり、それと共にアノード電解質とカソード電解質との間で1よりも大きい定常状態のpH差が維持される。
一部の実施例では、アノード電解質のpHは、約10から約15、例えば約10から約14、約10から約13など、例えば約10から約12、約10から約11など、例えば約11から約15、約11から約14など、例えば約11から約13、約11から約12など、例えば約12から約15、約12から約14など、例えば約12から約13、約13から約15など、例えば約13から約14、約14から約15などである。
一部の実施例では、カソード電解質のpHは、約8から約13、例えば約8から約12、約8から約11など、例えば約8から約10、約8から約9など、例えば約9から約13、約9から約12など、例えば約9から約11、約9から約10など;約10から約13の間、例えば約10から約12、約10から約11など;例えば約11から約13、約11から約12など、例えば約12から約13である。
一部の実施例では、アノード電解質のpHは、約10から約15、例えば約10から約14、約10から約13など、例えば約10から約12、約10から約11などであり;カソード電解質のpHは、約8から約13、例えば約8から約12、約8から約11など、例えば約8から約10、約8から約9などである。一部の実施例では、アノード電解質のpHは、約10から約15、例えば約10から約14、約10から約13など、例えば約10から約12、約10から約11などであり;カソード電解質のpHは、約8から約13、例えば約8から約12、約8から約11など、例えば約8から約10、約8から約9などであり;アノード電解質とカソード電解質との間の定常状態のpH差は、約1から約6、例えば約1から約5、約1から約4など、例えば約1から約3、約1から約2などである。
一部の実施例では、アノード電解質のpHは、約12から約15、例えば約12から約14、約12から約13など、例えば約13から約15、約13から約14など、例えば約14から約15であり;カソード電解質のpHは、約11から約13、例えば約11から約12、約12から約13などである。
一部の実施例では、アノード電解質とカソード電解質との間の定常状態のpH差は、1よりも大きく、例えば約1から約7、約1から約6など、例えば約1から約5、約1から約4など、例えば約1から約3、約1から約2など、例えば約2から約7、約2から約6など、例えば約2から約5、約2から約4など、例えば約2から約3、約3から約7など、例えば約3から約6、約3から約5など、例えば約3から約4、約4から約7など、例えば約4から約6、約4から約5など、例えば約5から約7、約5から約6など、例えば約6から約7である。
カソード電解質およびアノード電解質のpHは、水の収支のための熱的手段を介して維持することができる。一部の実施例では、カソードチャンバーに添加されている水は、外部原料からとすることができおよび/またはアノードチャンバーから再循環することができる。一部の実施例では、水の少なくとも一部分は、電気化学セルのアノードチャンバーから、内部熱または外部熱により除去され得、カソードチャンバーに移送されてもよい。そのような移送のための手段は、当技術分野で周知であり、限定するものではない貯蔵および/または移送のためのコンジット、パイプ、および/またはタンクを含む。
一部の実施例では、カソード電解質の導電率とそのpHとの間のバランスは、カソード電解質のpHがアノード電解質のpHよりも低くなるように、およびカソード電解質が大きい抵抗によってセル電圧に悪影響を及ぼさない導電率を有するように維持される。
一部の実施例では、本明細書で提供される方法およびシステムはさらに、カソード電解質中に、多原子アニオンを含む塩を含む。本明細書で使用される「塩中の多原子アニオン」という用語は、ゼロでない正味の電荷を有する、共有結合された2個またはそれよりも多くの原子の組を指す。塩中の多原子アニオンの例は:炭酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、マレイン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、またはこれらの組合せを含むことができるがこれらに限定されない。一部の実施例では、多原子アニオンを含む塩中の対カチオンは:リチウム、ナトリウム、カリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される。カソード電解質中の「塩中の多原子アニオン」は、アノード電解質中の「金属塩」または本明細書に記述される電解質中の任意のその他の「塩」もしくは「塩水」と異なることを理解されたい。
一部の実施例では、1種または複数種のカチオンおよび多原子アニオンを含む塩は、塩がアルカリ性(例えば、pH>7)条件で安定であり可溶であるように、および限定するものではないが膜輸送メカニズムを遮断せず、膜を通って移動せず、カソードで反応せず、および/または水酸化物、水素、もしくは酸素と反応しないなどの1つまたは複数の性質を保有するように、選択される。一部の実施例では、多原子アニオンは、pH差を維持するために水酸化物イオンのみがAEMを横断してカソードチャンバーからアノードチャンバーに輸送されるように、多原子アニオンがAEMによって選択的に拒絶されるようなものである。一部の実施例では、多原子アニオンはまた、水が多原子アニオンの代わりにカソードで還元されるよう、多原子アニオンが還元環境で安定であるように選択されてもよい。一部の実施例では、塩中の、対応するカチオンは、カチオンが膜を通してカソードチャンバーからアノードチャンバーに拡散しないように、かつカソードで還元されないように選択される。
一部の実施例では、カソード電解質中の多原子アニオンを含む塩の濃度は、約0.1Mから約3M、例えば約0.1Mから約2.5M、約0.1Mから約2Mなど、例えば約0.1Mから約1.5M、約0.1Mから約1Mなど、例えば約0.1Mから約0.5M、約0.5Mから約3Mなど、例えば約0.5Mから約2.5M、約0.5Mから約2Mなど、例えば約0.5Mから約1.5M、約0.5Mから約1Mなど、例えば約1Mから約3M、約1Mから約2.5Mなど、例えば約1Mから約2M、約1Mから約1.5Mなど、例えば約1.5Mから約3M、約1.5Mから約2.5Mなど、例えば約1.5Mから約2M、約2Mから約3Mなど、例えば約2Mから約2.5Mである。
一部の実施例では、方法およびシステムは、電気化学セルの、1.3V未満、または1.5V未満、または2V未満、または2.5V未満の理論的電圧を有する。一部の実施例では、方法およびシステムは、電気化学セルの、1.3Vから約3Vの間、または1.5Vから約3Vの間、または2Vから約3Vの間、または1Vから約3Vの間、または1.5Vから約2.5Vの間の動作電圧を有する。
酸性条件
一態様では、水素ガスを発生させる方法は:
第1のアノード、金属塩および水を含む第1のアノード電解質を、第1の電気化学セル内に提供すること;
金属塩の金属イオンを、第1のアノードで、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、金属ヒドロキシ塩および水素イオンを形成すること;
第1のカソードおよび第1のカソード電解質を第1の電気化学セル内に提供すること;
水素イオンを第1のアノード電解質から第1のカソード電解質に輸送すること;
水素イオンを第1のカソードで還元して、水素ガスを形成すること;
金属ヒドロキシ塩を含む第1のアノード電解質の少なくとも一部分を、第1の電気化学セルの外側に移送すること;ならびに
金属ヒドロキシ塩を含む第1のアノード電解質のその部分を、熱反応にまたは第2の電気化学セルに供して、酸素ガスを形成すること
を含む。
一態様では、水素ガスを発生させるシステムは:
アノードと、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩および水を含むアノード電解質とであって、アノードが、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にし、水素イオンを形成するように構成されている、アノードとアノード電解質;
カソードおよびカソード電解質であって、カソードが、水素イオンを還元して水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質;および
アノードとカソードとの間に構成されているカチオン交換膜であって、水素イオンをアノード電解質からカソード電解質に輸送するように構成されている、カチオン交換膜
を含む電気化学セルと;
電気化学セルに動作可能に接続され、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、かつアノード電解質のその部分を熱反応に供して、酸素ガスと、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩とを形成するように構成されている、熱反応器と
を含む。
一態様では、水素ガスを発生させるシステムは:
第1のアノードと、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩および水を含む第1のアノード電解質とであって、第1のアノードが、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にし、水素イオンを形成するように構成されている、第1のアノードと第1のアノード電解質;
第1のカソードおよび第1のカソード電解質であって、第1のカソードが、水素イオンを還元して水素ガスを形成するように構成されている、第1のカソードおよび第1のカソード電解質;および
第1のアノードと第1のカソードとの間の第1のカチオン交換膜であって、水素イオンを第1のアノード電解質から第1のカソード電解質に輸送するように構成されている、第1のカチオン交換膜
を含む第1の電気化学セルと;
第1の電気化学セルに動作可能に接続された第2の電気化学セルであって、
第2のアノードおよび第2のアノード電解質;
第2のカソードおよび第2のカソード電解質であって、第2のカソード電解質が、金属ヒドロキシ塩を含む第1の電気化学セルの第1のアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように構成されており、第2のカソードが、金属ヒドロキシ塩を金属塩に還元するように構成されている、第2のカソードおよび第2のカソード電解質
を含む、第2の電気化学セルと
を含む。
図4は、酸性条件で動作するためのシステムを示す。このシステムは、上述の電気化学セル100、130、160に類似する電気化学セル210を含み、例えば、アノード214と、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩および水を含むアノード電解質216とを収容するアノードチャンバー212を含む。電気化学セル210は、カソード220およびカソード電解質222を収容するカソードチャンバー218も含む。上述のセルに類似して、アノード214は、金属塩の金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、金属ヒドロキシ塩を形成する。しかしながら、上述のセルとは異なって、図3の電気化学セル210のアノード214は、アノード電解質216中の水も酸化して、水素イオン224を形成する。
一部の実施例では、アノード電解質216はさらに、塩を含む(本明細書でさらに記述される)。一部の実施例では、塩(本明細書でさらに記述される)の存在は、アノード電解質216中の金属塩を可溶化することができ、これにより電気化学セル210の効率を改善することができ、および/または熱プロセスの効率を改善することができる。
図3の電気化学セル210の、既に記述されたセルとの別の相違は、電気化学セル210のアノードチャンバー212およびカソードチャンバー218が、金属イオンのアノードチャンバー212からカソードチャンバー218への輸送を低減させまたは最小限に抑えまたはなくすため、およびカソード電解質222の汚染を低減させ最小限に抑えまたは防止するため、および電気化学セル210の効率を改善するために、アニオン交換膜(AEM)ではなくカチオン交換膜(CEM)226によって分離されることである。
水素イオン224は、CEM 226を通してアノード電解質216からカソード電解質222中へ移送されまたは移動し、そこで水素イオン224がカソード220で還元されて、水素ガス228を形成する。金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質216の少なくとも一部分は、アノード電解質溶液232などと共に電気化学セル210から出されて熱反応器230に移送される。熱反応器230内で、金属ヒドロキシ塩は、熱234を加えることによって熱反応に供され、その結果、酸素ガス236が発生し、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩が還元されて、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩に戻される。あるいは、アノード電解質216のその部分は、第2の電気化学セル(図示しないが、図3に例示されるシステムに類似する)に移送することができ、そこで金属ヒドロキシ塩が電気化学的に還元されて金属塩になり得、酸素ガスが、電気化学的に発生することができる。金属イオンがより低い酸化状態にある再形成された金属塩の少なくとも一部分は、電解質溶液238などを介して移送されて、電気化学セル210のアノードチャンバー212に戻されることができる。金属ヒドロキシ塩をアノードチャンバー212から熱反応器230または第2の電気化学セルに「移送する」電解質溶液232は、固体の形態であっても液体溶液の形態であってもよい。一部の実施例では、金属ヒドロキシ塩は、アノード電解質216に部分的に不溶性であっても完全に不溶性であってもよい。そのような実施例では、金属ヒドロキシ塩は、アノード電解質216から分離されても分離されなくてもよい。限定するものではないが液-固分離のための技法、例えば濾過を含む分離のための様々な公知の技法が、使用することができる。
本明細書に記述されるシステムおよび方法における金属塩の金属イオンは、任意のレドックス金属とすることができる。一部の実施例では、より低い酸化状態にある金属イオンが電気化学セル210のアノードチャンバー216に進入し、アノード214で、水分解反応により、より高い酸化状態に酸化されて、金属ヒドロキシ塩および水素イオン224を形成する。水素イオン224は、CEM 226を通してカソード電解質222に移送しまたは移動することができ、ここでカソード220は水素イオン224を還元して、水素ガス228を発生させる。半電池反応は、以下に与えられる通りである:
アノード反応: Mn++(m-n)HO→Mm+(m-n)OH+(m-n)H+(m-n)e
カソード反応: (m-n)e+(m-n)H→((m-n)/2)H
上述の反応で、より低い酸化状態にある金属塩の金属イオンはMn+と表され、より高い酸化状態にある金属塩の金属イオンはMm+と表される。熱反応は、同じままである:
熱反応: Mm+(m-n)OH→Mn++((m-n)/4)O+((m-n)/2)H
一部の実施例では、方法およびシステムは、電気化学セル210に関して約1.3V未満、または約1.5V未満、または約2V未満、または約2.5V未満の理論的電圧を有する。一部の実施例では、方法およびシステムは、電気化学セル210に関して約1.3~3Vの間、または約1.5V~3Vの間、または約2~3Vの間、または約1~3Vの間、または約1.5~2.5Vの間の動作電圧を有する。
前述の方法およびシステムで記述されたように、アノードでの金属塩の酸化は、セル内の効率損失を防止するため、ガス(例えば、酸素または塩素ガス)を発生しないようにまたは最小限の量のガスを発生するように、十分低い電圧でなされる。そのような例では、セルは、酸素に対して約25%よりも低いファラデー効率で動作し得る(即ち、約75%程度に低い電流が、金属塩から金属ヒドロキシ塩への酸化のためであり、最大で約25%のみ、例えば最大で約15%のみ、例えば最大で約10%のみ、例えば最大で約5%のみ、例えば最大で約1%のみなどが、酸素発生のためであってもよい)。
一部の実施例では、アノードで金属塩を酸化する電気化学セルは、印加される電流または電流密度およびセル内の電圧に応じて、同時にまたは順次または単独で、アノードで酸素ガスを形成するような手法で動作してもよい。そのような実施例では、セルは、酸素に対して約95%よりも低いファラデー効率で動作してもよい(即ち、最大約95%が酸素発生のためであってもよい)。
典型的には、電気化学システムは、電極での二次反応を防止して、望ましくない生成物の作製による効率の損失を防止するように設計される。出願人は意外にも予期せずに、可変電力の利用可能性/料金と協調してアノードで種々の生成物を形成するのに、およびより低いコストで、カソードで水素ガスを形成するのに、様々な電力で実行する柔軟性を持つ電気化学システムを有することが経済的に有利であることを見出した。例えば、アノードでの金属塩の酸化は、アノードでの酸素ガスの形成が最小限に抑えられまたはない状態で、低い電流および電圧で優勢となり得、一方、水酸化物イオンから酸素ガスへの酸化は、金属塩の酸化が最小限に抑えられまたはない状態で、高電流および高電圧で優勢となり得る。セルは、金属塩を酸化するため、ピーク電気料金(例えば、昼間など)または電力平均分配中に低電流で動作されてもよく、同じセルは、アノードで酸素ガスを形成するため、低い電気料金(例えば、夜間、または電力がソーラープラントから来るときの昼間など)で高電流または電力増加中に動作してもよい。
一部の実施例では、選択される金属塩の酸化は、酸素発生よりも低い電圧で、アノードで生じ、カソードでの水素生成の効率が増大する(即ち、全電圧が低下する)。出願人は意外にも、一部の実施例で、金属塩の酸化が、物質移動制限に起因して、より高い電流で持続できず、したがって反応性種は電極で十分速く補充されない場合があることを見出した。システムの電圧は、所望の電流を持続するために増大されてもよく、次のエネルギー的に最も低い反応物を酸化してもよく、例えば水酸化物を酸素ガスにしてもよい。したがって一部の実施例では、金属塩を酸化することができ、電流および電圧を制御することによって、酸素ガスを同時に(図5に示される例示的なシステムに示され、これは図1のシステムと実質的に同一であるが、アノード104で酸素ガス240の発生があり、破線矢印で示されている)、または順次、または単独で発生させることができる。動作におけるこの柔軟性は、全体的により低い電圧で水素を発生させ、条件が好ましいときには(低い電気料金など)、金属塩を酸化させると共に酸素ガスを同じアノードで発生させることによって水素生成を増大させる能力を有するという利点を提供することができる。
したがって、一態様では、水素ガスを発生させる方法は:
アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供すること;
アノードで、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にすること;
水酸化物イオンをアノードで酸化して、酸素ガスを形成すること;
カソードおよびカソード電解質を電気化学セル内に提供すること;ならびに
水素ガスをカソードで形成すること
を含む。
一部の実施例では、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分が、電気化学セルの外側に移送され、熱的に(例えば、熱反応器内で)および/または電気化学的に(例えば、第2の電気化学セル内で)還元されて、酸素ガスと、金属塩の還元形態とを形成する。酸素ガスを形成する熱的反応および電気化学的反応は共に、本明細書に記述されてきた(かつ図に例示される)。一部の実施例では、カソードは水酸化物イオンを形成し、水酸化物イオンはカソード電解質からアノード電解質に移送または移動する。
一態様では、水素ガスを発生させるシステムは:
アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質であって、アノードが、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするように、および/または水酸化物イオンを酸素ガスに酸化するように、構成されている、アノードおよびアノード電解質と;
カソード、および水を含むカソード電解質であって、カソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と
を含む電気化学セルを含む。
一部の実施例では、システムはさらに、電気化学セルに動作可能に接続された、かつ金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、かつアノード電解質のその部分を熱反応に供して酸素ガスおよび金属塩を形成するように構成されている、熱反応器を含む。
一部の実施例では、金属塩の酸化は、より低い電流密度でなされ、水酸化物イオンから酸素ガスへの酸化は、より高い電流密度でなされる。
一部の実施例では、水酸化物イオンはカソード電解質からアノード電解質に移送される。
一態様では、水素ガスを発生させる方法は:
アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供すること;
約1mA/cmから約1000mA/cm、または約1mA/cmから約600mA/cm、または約1mA/cmから約500mA/cm、または約1mA/cmから約300mA/cmの電流密度で、アノードで金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にすること;
約300mA/cmから約3000mA/cm、または約300mA/cmから約2000mA/cm、または約300mA/cmから約1000mA/cm、または約300mA/cmから約500mA/cmの電流密度で、アノードで水酸化物イオンを酸化して酸素ガスを形成すること;ならびに
カソードおよびカソード電解質を電気化学セル内に提供すること;ならびに
水素ガスをカソードで形成すること
を含む。
一態様では、水素ガスを発生させるシステムは:
アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質であって、アノードが:
約1mA/cmから約1000mA/cm、または約1mA/cmから約600mA/cm、または約1mA/cmから約500mA/cm、または約1mA/cmから約300mA/cmの電流密度で、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を酸化して、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするように;および/あるいは
約300mA/cmから約3000mA/cm、または約300mA/cmから約2000mA/cm、または約300mA/cmから約1000mA/cm、または約300mA/cmから約500mA/cmの電流密度で、水酸化物イオンを酸素ガスに酸化するように
構成されている、アノードおよびアノード電解質と;
カソード、および水を含むカソード電解質であって、カソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と
を含む電気化学セルを含む。
一部の実施例では、酸素ガスを形成するためのアノードでの水酸化物イオンの酸化は、金属塩の酸化と同時にもしくは順次、または単独で生じる。
一部の実施例では、セルは、金属塩の酸化中、酸素に対して約25%のファラデー効率よりも下で動作し、セルは、酸素ガスを形成するための水酸化物イオンの酸化中、酸素に対して約95%のファラデー効率よりも下で動作する。
一部の実施例では、セルは、金属塩の酸化中、低電流または高い電気料金でまたは日中に動作し、セルは、酸素ガスを形成するための水酸化物イオンの酸化中、高電流または低い電気料金で、または夜間に動作する。
一部の実施例では、アノード電解質および/またはカソード電解質は、水をさらに含む。
一部の実施例では、アノード電解質および/またはカソード電解質はさらに、塩水を含む。一部の実施例では、アノード電解質および/またはカソード電解質はさらに、アノード電解質が金属塩を含むときに塩水を含む。本明細書で使用される「塩」または「塩水」という用語は、アルカリ金属ハロゲン化物、例えばナトリウムハロゲン化物、カリウムハロゲン化物、リチウムハロゲン化物、セシウムハロゲン化物など;アルカリ土類金属ハロゲン化物、例えばカルシウムハロゲン化物、ストロンチウムハロゲン化物、マグネシウムハロゲン化物、バリウムハロゲン化物など;またはアンモニウムハロゲン化物;またはランタニドハロゲン化物を含むがこれらに限定されないいくつかの異なるタイプの塩を指す、その従来の意味で使用される。本明細書で使用される「ハロゲン化物」という用語は、フッ化物、臭化物、塩化物、またはヨウ化物などのハロゲンまたはハロゲン化物原子に関する。一部の実施例では、塩は、アルカリ金属ハロゲン化物および/またはアルカリ土類金属ハロゲン化物を含む。
一部の実施例では、塩が、熱反応器内に存在していてもよく、酸素ガスの発生を容易にし得る。アノード電解質中のこの塩は、金属塩溶液と共に熱反応器から電気化学セルのアノードチャンバーへと再循環され得る。したがって塩は、アノード電解質と熱反応器との両方に存在し得る。
本明細書で使用される「ランタニドハロゲン化物」という用語は(例えば、「塩」の例として)、ランタニド系列からの元素のハロゲン化物を含む。ランタニド系列からの元素は:ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、およびこれらの組合せからなる群から選択することができる。希土類元素としてしばしばまとめて公知であるスカンジウムおよびイットリウムなどの化学的に類似する元素も、本明細書で使用されるランタニドハロゲン化物中に含まれる。一部の実施例では、ランタニドハロゲン化物がセリウムハロゲン化物、例えば塩化セリウム、臭化セリウム、またはヨウ化セリウムである。本明細書で使用されるランタニドハロゲン化物は、1種のランタニドハロゲン化物とすることができるか、あるいは2種またはそれよりも多くのランタニドハロゲン化物の組合せであってもよく、1種または複数種のランタニドハロゲン化物中のランタニドは、上述の通りである。ランタニドハロゲン化物は、無水形態または水和物の形態であり得る。
アノード電解質および/またはカソード電解質および/または熱反応器内の塩濃度は、約1重量%から約30重量%、例えば約1重量%から約20重量%の塩、約0.1重量%から約5重量%など;または1重量%から約5重量%の間、例えば約2重量%から約5重量%、約3重量%から約5重量%など、例えば約5重量%から約10重量%、約5重量%から約8重量%など、例えば約2重量%から約6重量%、約1重量%から約3重量%などとすることができる。
一部の実施例では、金属塩を含むアノード電解質はさらに、塩(例えば単に塩化ナトリウム、または塩化カリウム、または塩化リチウム、または塩化カルシウム、または臭化ナトリウム、または臭化カリウム、または臭化リチウム、または臭化カルシウム、またはランタニドハロゲン化物、あるいはそれぞれのヨウ化物塩)を含み、約1重量%から約30重量%の塩、例えば1重量%から約25重量%の塩、約1重量%から約20重量%などの塩、例えば1重量%から約10重量%の塩、約1重量%から約5重量%などの塩、例えば5重量%から約30重量%の塩、約5重量%から約20重量%などの塩、例えば5重量%から約10重量%の塩、約8重量%から約30重量%などの塩、例えば約8重量%から約25重量%の塩、約8重量%から約20重量%などの塩、例えば約8重量%から約15重量%の塩、約10重量%から約30重量%などの塩、例えば約10重量%から約25重量%の塩、約10重量%から約20重量%などの塩、例えば約10重量%から約15重量%の塩、約15重量%から約30重量%などの塩、例えば約15重量%から約25重量%の塩、約15重量%から約20重量%などの塩、例えば約20重量%から約30重量%の塩、約20重量%から約25重量%などの塩を含む。水中の塩は、本明細書に記述される塩水を構成する。
一部の実施例では、アノード電解質および/またはカソード電解質中の水は、金属塩および必要に応じて塩の量に応じて、電解質の約10重量%から約80重量%の間、例えば約20重量%から約80重量%、約40重量%から約80重量%など、例えば40重量%から約70重量%、約40重量%から約60重量%など、例えば40重量%から約50重量%、約50重量%から約80重量%など、例えば50重量%から約70重量%、約50重量%から約60重量%など、例えば60重量%から約80重量%、約60重量%から約70重量%など、例えば70重量%から約80重量%、約60重量%から約85重量%など、例えば60重量%から約75重量%、約60重量%から約65重量%など、例えば70重量%から約75重量%、約75重量%から約80重量%などとすることができる。
一部の実施例では、アノード電解質および/またはカソード電解質はさらに、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の例は、本明細書で提供されている。一部の実施例では、アノード電解質は、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含む。一部の実施例では、アノード電解質は、アルカリ金属水酸化物、例えばKOHもしくはNaOH、またはアルカリ土類金属水酸化物、例えばCa(OH)もしくはMg(OH)を、1Mから約6Mの間、または1Mから約5Mの間、または1Mから約4Mの間、または1Mから約3Mの間、または1Mから約2Mの間、または2Mから約7Mの間、または3Mから約6Mの間、または4Mから約6Mの間の量で含む。
本明細書で使用される「金属イオン」または「金属」または「金属塩の金属イオン」または「金属ヒドロキシ塩の金属イオン」は、より低い酸化状態からより高い酸化状態に変換することが可能な任意の金属イオンを含む。対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンの例には、限定するものではないが:マンガン、鉄、クロム、セレン、銅、スズ、銀、コバルト、ウラン、鉛、水銀、バナジウム、ビスマス、チタン、ルテニウム、オスミウム、ユウロピウム、亜鉛、カドミウム、金、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、テクネチウム、レニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、およびこれらの組合せが含まれる。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンには、限定するものではないが:鉄、銅、スズ、クロム、マンガン、セレン、タンタル、またはこれらの組合せを含めることができる。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンは銅である。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンはスズである。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンは鉄である。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンはクロムである。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンはマンガンである。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンはセレンである。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンはタンタルである。一部の実施例では、対応する金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンは白金である。
本明細書で使用される「酸化状態」という用語は、金属塩または金属ヒドロキシ塩の金属イオンを指すとき、金属塩または金属ヒドロキシ塩中の金属イオンの酸化度を含む。一部の実施例では、酸化状態は、金属イオン上の正味の電荷である。本明細書で使用される「より低い酸化状態」という用語は、「より高い酸化状態」と比較したときの相対的な酸化状態を指し、即ち、より高い酸化状態にあるときの同じ金属イオンの酸化数と比較したときに、より低い酸化数を持つものである。「より低い酸化状態」は、金属イオンのより低い酸化状態を示す、Mn+中のn+と表され得る。例えば、金属イオンのより低い酸化状態は、1+、2+、3+、4+、5+、または6+であってよい。同様に、本明細書で使用される場合、「より高い酸化状態」という用語は、「より低い酸化状態」と比較したときの相対的な酸化状態を指し、即ち、より低い酸化状態にあるときの同じ金属イオンの酸化数と比較したときに、より高い酸化数を持つものである。「より高い酸化状態」は、金属イオンのより高い酸化状態を示す、Mm+中のm+と表され得る。例えば、金属イオンのより高い酸化状態は、2+、3+、4+、5+、6+、7+であってよい。
一部の実施例では、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩は:CuCl、CuBr、CuI、FeCl、FeBr、FeI、SnCl、SnBr、SnI、CuSO、FeSO、SnSO、CuPO、Fe(PO、およびSn(POからなる群から選択される。
一部の実施例では、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩は:Cu(OH)Cl、Cu(OH)Br、Cu(OH)、Fe(OH)Cl、Fe(OH)Br、Fe(OH)、Sn(OH)Cl、Sn(OH)Br、Sn(OH)、Cu(OH)(SO、Fe(OH)(SO、Sn(OH)(SO、Cu(OH)(PO、Fe(OH)(PO、およびSn(OH)(POからなる群から選択され、式中、xおよびyは整数であり、合計されて金属上の電荷と釣り合う。
一部の実施例では、
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はCuClであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はCu(OH)Clであり;
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はCuBrであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はCu(OH)Brであり;
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はCuIであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はCu(OH)であり;
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はFeClであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はFe(OH)Clであり;
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はFeBrであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はFe(OH)Brであり;または
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩はFeIであり、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩はFe(OH)であり、
式中、xおよびyは整数である。
一部の実施例では、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩は、M m+(OH)(mx-y)、M(OH)(2x-y)、M(OH)(3x-y)、M(OH)(4x-y)、またはこれらの組合せであり、式中、Mは金属イオンであり、Xは対アニオンであり、m、x、およびyは整数である(MおよびXの価数に依存する)。一部の実施例では、xおよびyは独立して1から10の整数であり、例えば1から8であり、1から5などである。
アノードでの金属イオンの反応の一部の実施例は、以下の表Iに示す通りである(SHEは、標準水素電極である)。アノード電位の理論値も示す。これらの電圧からのいくらかのばらつきが、条件、pH、電解質の濃度などに応じて生じることがあり、そのようなばらつきは、本開示のシステムおよび方法の十分範囲内にあることが理解されよう。
Figure 2024509839000002
一部の実施例では、本明細書に記述される金属塩の金属イオンは、アノード電解質中の金属塩の溶解度、および/またはより低い酸化状態からより高い酸化状態への金属酸化に望まれるセル電圧に基づいて選択され得る。
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩、および金属イオンがより高い酸化状態にある金属塩(即ち、金属ヒドロキシ塩)は共に、酸化に応じてアノードチャンバーから出て行くアノード電解質中に存在してもよいことを理解されたい。
アノードでの、より低い酸化状態からより高い酸化状態への金属塩の酸化により、より低い酸化状態にある金属塩の量は、アノードチャンバーに進入するアノード電解質中と、アノードチャンバーから出て行くアノード電解質中とで異なる。
一部の実施例では、アノード電解質中の金属イオンは、混合金属イオンである。例えばアノード電解質が、銅イオンがより低い酸化状態にある金属塩および銅イオンがより高い酸化状態にある金属塩を含む場合、アノード電解質は、限定するものではないが鉄などの別の金属イオンを含有していてもよい。一部の実施例では、アノード電解質中の第2の金属イオンの存在は、電気化学反応の全エネルギーを低下させるのに有益となり得る。
本明細書で提供されるシステムおよび方法に使用され得る、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩の一部の例には、限定するものではないが銅(I)塩、鉄(II)塩、スズ(II)塩、クロム(II)塩、亜鉛(II)塩などが含まれる。
一部の実施例では、アノードチャンバーに進入する、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩の濃度は、約0.01Mより高く、約0.05Mより高いなど、例えば約0.01Mから約2M、約0.01Mから約1.8Mなど、例えば約0.01Mから約1.5M、約0.01Mから約1.2Mなど、例えば約0.01Mから約1M、約0.01Mから約0.8Mなど、例えば約0.01Mから約0.6M、約0.01Mから約0.5Mなど、例えば約0.01Mから約0.4M、約0.01Mから約0.1Mなど、例えば約0.01Mから約0.05M、約0.05Mから約2Mなど、例えば約0.05Mから約1.8M、約0.05Mから約1.5Mなど、例えば約0.05Mから約1.2M、約0.05Mから約1Mなど、例えば約0.05Mから約0.8M、約0.05Mから約0.6Mなど、例えば約0.05Mから約0.5M、約0.05Mから約0.4Mなど、例えば約0.05Mから約0.1M、約0.1Mから約2Mなど、例えば約0.1Mから約1.8M、約0.1Mから約1.5Mなど、例えば約0.1Mから約1.2M、約0.1Mから約1Mなど、例えば約0.1Mから約0.8M、約0.1Mから約0.6Mなど、例えば約0.1Mから約0.5M、約0.1Mから約0.4Mなど、例えば約0.5Mから約2M、約0.5Mから約1.8Mなど、例えば約0.5Mから約1.5M、約0.5Mから約1.2Mなど、例えば約0.5Mから約1M、約0.5Mから約0.8Mなど、例えば約0.5Mから約0.6M、約1Mから約2Mなど、例えば約1Mから約1.8M、約1Mから約1.5Mなど、例えば約1Mから約1.2M、約1.5Mから約2Mなどである。
一部の実施例では、アノードチャンバーから出て行く金属ヒドロキシ塩(金属イオンがより高い酸化状態にある)の濃度は、約0.1Mから約2M、例えば約0.1Mから約1.8M、約0.1Mから約1.5Mなど、例えば約0.1Mから約1.2M、約0.1Mから約1Mなど、例えば約0.1Mから約0.8M、約0.1Mから約0.6Mなど、例えば約0.1Mから約0.5M、約0.1Mから約0.4Mなど、例えば約0.5Mから約2M、約0.5Mから約1.8Mなど、例えば約0.5Mから約1.5M、約0.5Mから約1.2Mなど、例えば約0.5Mから約1M、約0.5Mから約0.8Mなど、例えば約0.5Mから約0.6M、約1Mから約2Mなど、例えば約1Mから約1.8M、約1Mから約1.5Mなど、例えば約1Mから約1.2M、約1.5Mから約2Mなどである。
金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩および金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩に関する前述の濃度の任意の組合せは、高効率を実現するために組み合わせることができることを理解されたい。
一部の実施例では、アノード電解質中で、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩の濃度は、約0.01Mから約2M、例えば約0.01Mから約1.5M、約0.01Mから約1Mなど、例えば約0.1Mから約1Mであり、金属ヒドロキシ塩の濃度は約0.2Mから約2M、例えば約0.3Mから約2M、約0.5Mから約1Mなど、例えば約0.3Mから約1Mである。
一部の実施例では、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩の濃度、および金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩の濃度は、それぞれ個々にまたはまとめて、電気化学セル/反応および熱反応器/反応のそれぞれの性能に影響を及ぼし得る。
一部の実施例では、電気化学反応に入る、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩の濃度は、約0.1Mから約1Mであり、熱反応に入る(電気化学反応から出て行く)、金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩の濃度は、約0.01Mから約0.9Mである。
一部の実施例では、電気化学セル/反応におけるアノード電解質の温度が、約50℃から約100℃、例えば約60℃から約100℃、約70℃から約100℃などである。
本明細書に記述される方法およびシステムにおける電気化学セルは、膜電解槽であってもよい。各電気化学セルは、単一セルであってもよく、または直列にもしくは並列に接続されたセルの積層体であってもよい。電気化学セルは、直列にまたは並列に接続された5または6または50または100個またはそれよりも多くの電解槽の積層体であってもよい。各セルは、アノード、カソード、およびイオン交換膜を含む。
一部の実施例において、本明細書で提供される電解槽は、単極型電解槽である。単極型電解槽では、電極が並列に接続されていてもよく、この場合、全てのアノードおよび全てのカソードが並列に接続される。そのような単極型電解槽では、動作は、高アンペア数および低電圧で行われる。一部の実施例では、本明細書で提供される電解槽は、双極型電解槽である。双極型電解槽では、電極が直列に接続されていてもよく、この場合、全てのアノードおよび全てのカソードが直列に接続される。そのような双極型電解槽では、動作は、低アンペア数および高電圧で行われる。一部の実施例では、電解槽は、単極型および双極型電解槽の組合せであり、ハイブリッド電解槽と呼ばれてもよい。
上述の双極型電解槽の一部の実施例では、セルは、直列に積層されて電解槽全体を構成し、2つの方法で電気的に接続される。双極型電解槽では、双極型プレートと呼ばれる単一プレートが、カソードおよびアノードの両方のベースプレートとして働いてもよい。電解質溶液は、共通のマニホールド、およびセル積層体の内部のコレクターを通して、液圧により接続されてもよい。積層体は、全てのフレームおよびプレートを互いに対して封止するように外部から圧縮されてよく、これを典型的にはフィルタープレスデザインと呼ぶ。一部の実施例では、双極型電解槽は、単一素子デザインとして典型的に公知の、個々に封止されかつ背中合わせでの接触を通して電気的に接続された、直列のセルとして設計されてもよい。単一素子デザインは並列に接続されてもよく、その場合、単極型電解槽となる可能性がある。
一部の実施例では、セルサイズは、活性領域の寸法によって示され得る。一部の実施例では、本明細書で使用される電解槽の活性領域は、約0.5メートルから約1.5メートルの高さ、および約0.4メートルから約3メートルの幅に及んでもよい。一部の実施例では、個々のチャンバーの厚さは、約0.5mmから約50mmに及ぶ。
本明細書で提供される方法およびシステムで使用される電気化学セルは、耐腐食性材料から作製することができる。耐腐食性材料には、限定するものではないがポリフッ化ビニリデン、バイトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素化エチレンプロピレン、繊維強化型プラスチック、ヘイラー、ウルテム(PEI)、パーフルオロアルコキシ、テフゼル、tyvar、derakane 441-400樹脂でコーティングされた繊維強化型プラスチック、黒鉛、エイコット、タンタル、ハステロイC2000、チタンGr.7、チタンGr.2、またはこれらの組合せが含まれる。一部の実施例では、これらの材料は、電気化学セルおよび/またはその構成要素であってタンク材料、配管、熱交換器、ポンプ、反応器、セルハウジング、セルフレーム、電極、計測器、弁、およびプラント材料のその他全ての残りのものを含むがこれらに限定されない構成要素を作製するのに使用することができる。一部の実施例では、電気化学セルおよびその構成要素を作製するのに使用される材料には、チタンGr.2が含まれるがこれに限定するものではない。
一部の実施例では、アノードは、腐食安定な導電性ベース支持体を含有していてもよい。限定するものではないが非晶質炭素など、例えばカーボンブラック、フッ素化炭素が、SFC(商標)炭素という商標の下で入手可能である。導電性ベース材料のその他の例には、限定するものではないが準化学量論的酸化チタン、例えば式TiO(式中、xは約1.67から約1.9に及ぶ)を有するマグネリ相準化学量論的酸化チタンが含まれる。チタン亜酸化物の一部の例には、限定するものではないが酸化チタンTiが含まれる。導電性ベース材料は、限定するものではないがチタン酸金属、例えばMTi、例えばMTiなどを含むこともできる。一部のその他の例には、限定するものではないが鉄(合金、例えば鋼の形をとる)、チタン、ニッケル、およびこれらの合金が含まれる。一部の実施例では、炭素系材料は、機械的支持体を提供しまたは導電率を高めるブレンド材料として提供するが、腐食を防止する触媒支持体として使用されないかもしれない。
一部の実施例では、アノードは、電気触媒でコーティングされない。一部の実施例では、アノードは、電気触媒でコーティングされたまたは電気触媒のないチタンなどの導電性ベース金属で作製される。導電性ベース材料の一部の例には、限定するものではないが準化学量論的酸化チタン、例えば式TiO(式中、xは約1.67から約1.9に及ぶ)を有するマグネリ相準化学量論的酸化チタンが含まれる。チタン亜酸化物の一部の例には、限定するものではないが酸化チタンTiが含まれる。導電性ベース材料は、限定するものではないがチタン酸金属、例えばMTi、例えばMTiなどを含むこともできる。一部のその他の例には、限定するものではないが鉄(合金、例えば鋼の形をとる)、チタン、ニッケル、およびこれらの合金が含まれる。
電気触媒の例は、本明細書で記述されており、限定するものではないが白金族金属、例えば白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、またはこれらの組合せの、高分散金属または合金、例えば白金-ロジウム、白金-ルテニウム、PtIr混合金属酸化物でコーティングされたチタンメッシュ、または亜鉛めっきされた白金でコーティングされたチタン;電気触媒金属酸化物、例えば限定するものではないがIrO;金、タンタル、炭素、黒鉛、有機金属大環状化合物、および当技術分野で周知のその他の電気触媒を含む。電極は、当技術分野で周知のプロセスを使用して電気触媒でコーティングされてもよい。
一部の実施例では、本明細書に記述される電極(例えば、アノードおよびカソード)は、多孔質均質複合構造、または不均質層状型複合構造を含み、これは各層が、異なる物理的および組成的構成、例えば多孔度および導電性ベースを有して、フラッディングおよび三相界面の損失を防止し、電極性能をもたらすことができるものである。
一部の実施例では、本明細書に記述される電極は、電極のアノード電解質溶液側もしくはカソード電解質溶液側に、またはこれらに隣接して、多孔質ポリマー層を有するアノードおよびカソードを含んでいてもよく、これらの多孔質ポリマー層は、浸透および電極汚損の減少を支援し得る。安定なポリマー樹脂またはフィルムは、非イオン性ポリマー、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホンなど、またはイオン型荷電ポリマーであって、ポリスチレンスルホン酸、スチレンおよびビニルベンゼンのスルホン化コポリマー、カルボキシル化ポリマー誘導体、部分的にまたは全体がフッ素化された炭化水素鎖を有するスルホン化もしくはカルボキシル化ポリマー、およびポリビニルピリジンのようなアミン化ポリマーから形成されたものなどのポリマーから形成された樹脂を含み、アノード電解質またはカソード電解質に隣接する複合電極層に含まれてもよい。安定な微小孔ポリマーフィルムもまた、電解質の浸透を阻止するため、乾燥側に含まれ得る。一部の実施例では、気体拡散カソードは、金および/または銀などの貴金属、貴金属合金、およびニッケルなどの高表面積コーティングでコーティングされた当技術分野で公知のようなカソードを含む。
一部の実施例では、イオン交換膜は、アニオン交換膜(アルカリ性条件の場合)またはカチオン交換膜(酸性条件の場合)である。一部の実施例では、本明細書に開示される電気化学セル内のカチオン交換膜は、従来通りであり、例えば旭化成(東京、日本)から;またはMembrane International of Glen Rock、NJ、またはDuPont(USA)から入手可能である。CEMの例には、限定するものではないがN2030WX(Dupont)、F8020/F8080(Flemion)、およびF6801(Aciplex)が含まれる。本明細書の方法およびシステムで望ましいCEMは、最小限に抑えられた抵抗損失、90%よりも大きい選択性、および高い安定性を有し得る。本明細書に記述される方法およびシステムにおけるAEMは、濃厚な金属塩を収容するアノード電解質に曝露される。例えば、完全四級化アミン含有ポリマーが、AEMとして使用され得る。
カチオン交換膜の例には、限定するものではないが、アニオン基、例えばスルホン酸基および/またはカルボン酸基を含有する過フッ素化ポリマーを含むカチオン性膜が含まれる。しかしながら一部の実施例では、電解質間での特定のカチオンまたはアニオン種の移動を制限または許容する必要性に応じて、より制限的でありしたがって1種のカチオン種の移動を許容すると共に別のカチオン種の移動を制限するカチオン交換膜が、使用されてもよいことが、理解され得る。同様に、一部の実施例では、電解質間での特定のアニオン種の移動を制限または許容する必要性に応じて、より制限的でありしたがって1種のアニオン種の移動を許容すると共に別のアニオン種の移動を制限するアニオン交換膜が、使用されてもよい。そのような制限的なカチオン交換膜およびアニオン交換膜は、市販されており、当業者により選択されることができる。
一部の実施例では、膜は、必要に応じて酸性および/またはアルカリ電解質溶液中で機能できるように選択されてもよい。膜のその他の望ましい特徴は、室温から150℃またはそれよりも高い温度範囲で、電解質溶液内での高いイオン選択性、低いイオン抵抗、高い破裂強度、および高い安定性を含む。一部の実施例では、イオン交換膜は、アノード電解質からカソード電解質への金属イオンの輸送を低減させ、最小限に抑え、または防止さえすることが望ましい。
一部の実施例では、膜は、約0℃から約150℃の範囲、例えば約0℃から約100℃、約0℃から約90℃など、例えば約0℃から約80℃、約0℃から約70℃など、例えば約0℃から約60℃、約0℃から約50℃など、例えば約0℃から約40℃、約0℃から約30℃など、またはそれよりも高い温度で安定である。他の実施例では、電解質中で1種または複数種の所望の生成物を実現するため、1つのタイプのカチオンの移動を許容するが別のカチオンの移動を許容せず、または1つのタイプのアニオンの移動を許容して別のアニオンの移動を許容せず、イオン特異的イオン交換膜を利用することが有用であり得る。
膜のオーム抵抗は、アノードとカソードとの間での電圧降下に影響を及ぼす可能性があり、例えば膜のオーム抵抗が増大するにつれ、アノードとカソードとの間の電圧は増大する可能性があり、その逆も同様である。使用することができる膜には、限定するものではないが、比較的低いオーム抵抗および比較的高いイオン易動度を持つ膜、または温度と共に増大する比較的高い水和特性を持つ、したがってオーム抵抗が低下する、膜が含まれる。当技術分野で公知のより低いオーム抵抗を持つ膜を選択することにより、指定された温度でのアノードとカソードとの間の電圧降下を低下させることができる。
一部の実施例では、アノード電解質は、約0.3Mから約5M、例えば約0.3Mから約4.5M、約0.3Mから約4Mなど、例えば約0.3Mから約3.5M、約0.3Mから約3Mなど、例えば約0.3Mから約2.5M、約0.3Mから約2Mなど、例えば約0.3Mから約1.5M、約0.3Mから約1Mなど、例えば約0.3Mから約0.5M、約0.5Mから約5Mなど、例えば約0.5Mから約4.5M、約0.5Mから約4Mなど、例えば約0.5Mから約3.5M、約0.5Mから約3Mなど、例えば約0.5Mから約2.5M、約0.5Mから約2Mなど、例えば約0.5Mから約1.5M、約0.5Mから約1Mなど、例えば約1Mから約5M、約1Mから約4.5Mなど、例えば約1Mから約4M、約1Mから約3.5Mなど、例えば約1Mから約3M、約1Mから約2.5Mなど、例えば約1Mから約2M、約1Mから約1.5Mなど、例えば約2Mから約5M、約2Mから約4.5Mなど、約2Mから約4Mなど、例えば約2Mから約3.5M、約2Mから約3Mなど、例えば約2Mから約2.5M、約3Mから約5Mなど、例えば約3Mから約4.5M、約3Mから約4Mなど、例えば約3Mから約3.5M、約4Mから約5Mなどの全金属塩溶液(金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩と、金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩との両方を含む)を含む。
カソード電解質に望まれるアルカリ度に応じて、カソード電解質のpHが調節されてもよく、一部の実施例では、約7から約15、例えば約7から約14またはそれよりも高い、約7から約13など、例えば約7から約12、約7から約11など、例えば約10から約14またはそれよりも高い、約10から約13など、例えば約10から約12、約10から約11などで維持される。一部の実施例では、カソード電解質のpHは、約7から約14またはそれよりも高い任意の値、例えば約12未満のpH、例えば7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、および/またはそれよりも高いpHに調節されてよい。
アノードとカソードとの間の電圧は、アノード電解質とカソード電解質との間のpHの差(ネルンストの式により決定することができるような)を含むいくつかの要因に依存し得る。一部の実施例では、アノード電解質のpHは、アノードとカソードとの間の所望の動作電圧に応じて約9から約15の値に調節され得る。
本明細書で使用される「電圧」という用語は、電気化学セルのアノードとカソードとの間での所望の反応を推進する、電気化学セルから印加されたまたは引き出された電圧またはバイアスを含む。一部の実施例では、所望の反応は、水素ガスがカソードで形成されかつ金属塩がアノードで酸化されるような、アノードとカソードとの間の電子移動であり得る。電圧は、電気化学セルのアノードとカソードとの間に電流を印加する任意の手段によって電気化学セルに印加されてよい。そのような手段は、当技術分野で周知であり、限定するものではないが電源、燃料電池、日光により電力供給されるデバイス、風により電力供給されるデバイス、およびこれらの組合せなどのデバイスを含む。電流を供給する電源のタイプは、当業者に公知の任意の電源とすることができる。一部の実施例では、電圧は、セルのアノードおよびカソードを外部直流(DC)電源に接続することによって印加されてもよい。電源は、DCに整流された交流(AC)とすることができる。DC電源は、電気化学セルに必要量の電圧を印加するために、調節可能な電圧および電流を有していてもよい。
一部の実施例では、電気化学セルに印加される電流は、少なくとも約50mA/cm;または少なくとも100mA/cm;または少なくとも150mA/cm;または少なくとも200mA/cm;または少なくとも500mA/cm;または少なくとも1000mA/cm;または少なくとも1500mA/cm;または少なくとも2000mA/cm;または少なくとも2500mA/cm、例えば100~2500mA/cm、約100~2000mA/cmなど、例えば100~1500mA/cm、約100~1000mA/cmなど、例えば100~500mA/cm、約200~2500mA/cmなど、例えば200~2000mA/cm、約200~1500mA/cmなど、例えば200~1000mA/cm、約200~500mA/cmなど、例えば500~2500mA/cm、約500~2000mA/cmなど、例えば500~1500mA/cm、約500~1000mA/cmなど、例えば1000~2500mA/cm、約1000~2000mA/cmなど、例えば1000~1500mA/cm、約1500~2500mA/cmなど、例えば1500~2000mA/cm、約2000~2500mA/cmなどである。
一部の実施例では、アノード電解質の少なくとも一部分は、電気化学セルから出されて熱反応器にまたは第2の電気化学セルに、溶液を移送するための任意の手段を使用して移送される。例には、限定するものではないがコンジット、パイプ、チューブ、および液体溶液を移送するためのその他の手段が含まれる。一部の実施例では、システムに取着されるコンジットは、限定するものではないがパイプ、チューブ、およびタンクなどの気体を移送するための手段も含む。
本明細書で提供される全てのシステムにおいて、電気化学的および/または熱的反応の使用は、1日を通して時間と共に様々になり得る。例えば熱反応器/反応は、電気化学セル/反応と比較して、ピーク電力料金時間中に実行されてもよく、それによってエネルギー使用が低減される。エネルギーコストを節約するために、例えば熱反応器/反応は日中に実行されてもよく、一方、電気化学セル/反応は夜間に実行されてもよく、その逆も同様である。
本明細書で提供されるシステムは、酸素ガスを形成するための、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質の熱反応を実施する熱反応器を含む。本明細書で使用される「反応器」または「ユニット」は、本明細書で提供される反応が実施される任意の槽またはユニットである。熱反応器は、金属ヒドロキシ塩を含むアノード電解質を加熱して酸素ガスおよび金属塩(金属イオンがより低い酸化状態にある)を形成するように構成される。反応器は、上述の内容物を接触させるための任意の手段であってよい。そのような手段またはそのような反応器は、当技術分野で周知であり、限定するものではないがパイプ、カラム、ダクト、タンク、一連のタンク、容器、塔、およびコンジットなどを含む。反応器は、温度センサー、圧力センサー、制御機構、不活性ガスインジェクターなどを制御して、反応をモニターし、制御し、および/または容易にする制御器の1つまたは複数を備えてもよい。一部の実施例では、反応器は、耐腐食性材料から作製される。
一部の実施例では、熱反応器システムは、1つの反応器であり得るか、または互いに接続された一連の反応器である。熱反応器は、撹拌タンクであってもよい。撹拌は、金属ヒドロキシ塩への熱の分布を容易にし得、それによって酸素ガスを形成する熱反応を加速し得る。熱反応器は、システム間を流れる金属塩を含有する水流または塩水流に適合する材料で作製され得る。一部の実施例では、熱反応器は、金属塩を含有する水に適合性である耐腐食性材料で作製され、そのような材料にはチタン、鋼などが含まれる。
反応器流出ガスは、収集され、必要に応じて圧縮されてもよい。塔から離れる液体は、冷却され、リサイクルされて塔に戻されもよく、または塔にリサイクルされている分割部分であってもよく、その残りは電気化学セルのアノードチャンバーにリサイクルされてもよい。プラントまたはシステムの構成材料は、プレストレストれんが張り、ハステロイ(Hastealloy)BおよびC、インコネル、ドーパント級チタン(例えば、エイコット,グレードII)、タンタル、カイナー、テフロン(登録商標)、PEEK、ガラス、またはその他のポリマーもしくはプラスチックを含んでいてもよい。反応器は、アノード電解質を反応器の中および外に連続的に流すように設計されてもよい。
一部の実施例では、酸素ガスを形成する金属ヒドロキシ塩の熱反応は、50~500℃の間または50~400℃の間または50~300℃の間または50~200℃の間または50~100℃の間の温度;10~500psigの間または10~400psigの間または10~300psigの間または10~200psigの間または10~100psigの間または50~350psigの間または200~300psigの間の圧力;水酸化物イオンの存在;触媒の存在;10よりも高いpH;またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の反応条件下、反応器で実施される。
一部の実施例では、酸素ガスを形成するための金属ヒドロキシ塩の熱反応は、触媒の存在によって容易にすることができる。触媒の例には、限定するものではないが金属酸化物、例えば酸化マンガン、酸化ルテニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、または酸化アルミニウムなど;および/あるいは非金属塩(または塩)、例えばアルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物またはランタニドハロゲン化物などが含まれる。一部の実施例では、例えばCo2+、Ni2+、Fe2+、Ag、Cu2+、Mn2+、Sn4+、Pb2+、Hg2+、Ca2+、CI、CO 2-、MoO 2-、WO 2-、SiO 4-などのイオンが、熱反応器での酸素ガス発生のための触媒として作用し得る。一部の実施例では、これらのイオンの濃度は、10-10から10-1Mの間または10-9から10-4Mの間であり得る。
一部の実施例では、酸素ガスを形成するための金属ヒドロキシ塩の熱反応は、水酸化物イオンの存在、または10よりも高い、もしくは10~12の間もしくは10~14の間のpHによって容易になる。
反応熱は、水を気化することによってまたは熱交換ユニットを使用することによって除去され得る(本明細書でさらに記述する)。一部の実施例では、冷却表面は反応器で必要とされなくてもよく、したがって温度勾配または精密な温度制御が必要とされなくてもよい。
一部の実施例では、システムは、運転コストを最小限に抑えるために熱統合型である。様々な熱統合手法を、本明細書で提供される方法およびシステムで使用することができる。一部の実施例では、システムはさらに、電解セルと熱反応器との間に供給/流出熱交換器を含み、熱反応器/反応から離れる溶液から熱反応器/反応に進入する流れに熱を回収する働きをする。一部の実施例では、熱反応器/反応で使用される熱の一部分は、別のプロセスからの熱によって提供される。別のプロセスからのこの熱は、通常の条件下で経済的に回収可能ではない廃熱であり得るか、または太陽熱システム、地熱システム、もしくは核プロセスなどのクリーンな熱源からの意図的な熱である。一部の実施例では、別のプロセスからの熱は、送達圧力まで水素を圧縮することによってまたは何らかのその他の流体加圧仕事によって発生したものであってもよい。
一部の実施例では、電解セル/反応または熱反応器/反応の少なくとも1つが、高圧で動作する。水素送達圧力に関する要件により、一部の実施例では、電解槽を大気圧よりも上の圧力で動作することが有利になり得る。カソードで水素をおよびアノードで酸素を発生させる水分解電解槽の高圧動作の1つの懸念は、爆発性混合物に至る内部部品の故障のリスクであり得る。一部の実施例では、電解槽内で酸素は発生せずまたは非常に少量で発生し、それによってこのリスクが低下する。一部の実施例では、アノードで形成された最少量の酸素ガスが、カソードで形成された水素ガスを汚染し得る。そのような実施例では、水素酸素セパレーターが、本明細書の電気化学システム/方法に動作可能に接続されて、水素ガスを酸素ガスから分離してもよい。そのようなセパレーターの例には、限定するものではないが膜またはその他の多孔質セパレーターが含まれる。そのようなセパレーターは市販されている。
一部の実施例では、熱反応器/反応をより低い圧力で動作することは、酸素の放出を容易にし得る。したがって熱反応器/反応をより低い圧力で動作することは、プロセスの安全性の理由またはその他の理由で、生成の全コストを低減させるために行われてもよい。例えば電解セルは、水素の圧縮コストを低減させるためにさらに高い圧力で動作し得、同時に酸素発生が容易になるように、熱反応器/反応をより低い圧力で動作させる。一部の実施例では、熱反応器/反応は、真空下で生じてもよく、次いで大気圧まで圧縮されてもよい。反応の経済性は、熱源および圧縮の相対的なコストに依存し得る。
一部の実施例では、電気化学セルは、約40~500psiの間;または40~400psi;または40~300psi;または40~200psi;または40~100psi;または100~200psi;または200~300psi;または300~400psi;または400~500psi;または500~3000psiの間の圧力で動作する。一部の実施例では、熱反応は、約14~300psiの間;または14~200psi;または14~100psi;または14~50psiの間の圧力で動作する。
一部の実施例では、システムは、1つの反応器、または互いに接続されたもしくは別々に動作する一連の多数の反応器を含んでいてもよい。反応器は、充填材料で満たされた中空チューブ、パイプ、カラム、またはその他の槽などであるがこれらに限定されない充填床であってもよい。反応器は、トリクルベッド反応器であってもよい。一部の実施例では、反応器は棚段塔またはスプレー塔であってもよい。本明細書に記述される反応器の構成の任意のものが、本明細書で提供される方法/システムを実施するのに使用され得る。
金属ヒドロキシ塩溶液は、撹拌または振盪または任意の所望の技法によって混ぜられてもよく、例えば反応は、充填カラムなどのカラム、またはトリクルベッド反応器、または本明細書に記述される反応器で実施されてよい。例えば酸素ガスが形成されるとき、酸素ガスがカラムまたは反応器内を上向きに通過しかつ金属ヒドロキシ塩溶液がこのカラムまたは反応器内を下向きに通過する、向流技法が用いられてもよい。
様々な形状、サイズ、構造、湿潤特性、および形態などの様々な充填材料が、本明細書に記述される充填床またはトリクルベッド反応器で使用されてよい。充填材料には、限定するものではないがポリマー(例えば、Teflon(登録商標)PTFEのみ)、セラミック、ガラス、金属、天然物質(木材または樹皮)、またはこれらの組合せが含まれる。一部の実施例では、充填材は、構造化充填材または緩んだもしくは非構造化もしくはランダムな充填材、またはこれらの組合せとすることができる。構造化充填材には、非流動性の波型金属板またはガーゼが含まれる。一部の実施例では、構造化充填材料は個々にまたは積層体として、反応器の直径に完全に適合する。非構造化充填材または緩んだ充填材もしくはランダムな充填材は、流動性の空隙を満たす充填材料を含む。
緩んだまたは非構造化またはランダムな充填材料の例には、限定するものではないがラッシングリング(セラミック材料のものなど)、ポールリング(例えば、金属およびプラスチックのもの)、レッシングリング、Michael Bialeckiリング(例えば、金属のもの)、ベルルサドル、インタロックスサドル(例えば、セラミックのもの)、スーパーインタロックスサドル、tellerette(登録商標)リング(例えば、ポリマー材料による螺旋形状)などが含まれる。
構造化充填材料の例には、限定するものではないが、特定の表面積を持つ種々の形状の薄い波型の金属板またはガーゼ(ハニカム構造)が含まれる。構造化充填材料は、リングもしくは層、またはリングもしくは層の積層体であって反応器の直径に適合し得る直径を有するものとして使用されてよい。リングは、反応器を完全に満たす個々のリングであってもリングの積層体であってもよい。一部の実施例では、反応器内の構造化充填により取り残された空隙は、非構造化充填材料で満たされる。
構造化充填材料の例には、限定するものではないがFlexipac(登録商標)、Intalox(登録商標)、Flexipac(登録商標)HC(登録商標)などが含まれる。構造化充填材料では、波型シートは十字形パターンに配置されて、蒸気相用の流動チャネルを創出してもよい。波型シートの交差点は、液相と蒸気相との混合点を創出し得る。構造化充填材料は、カラム(反応器)軸を中心に回転して、蒸気と液体流との交差混合および全方向での拡がりとを提供してもよい。構造化充填材料は様々な波型サイズで使用されてもよく、充填構成は、反応器の最高の効率、容量、圧力降下要件を実現するように最適化され得る。構造化充填材料は、チタン、ステンレス鋼合金、炭素鋼、アルミニウム、ニッケル合金、銅合金、ジルコニウム、熱可塑性樹脂などを含むがこれらに限定されない建築材料で作製されてよい。構造化充填材料の波型捲縮は、水平から45°の傾斜角を有するY指定充填、または水平から60°の傾斜角を有するX指定充填を含むがこれらに限定されない任意のサイズのものであってよい。X充填は、同じ表面積での理論段当たり、より低い圧力降下を提供してもよい。構造化充填の比表面積は、50~800m/mの間、例えば75~350m/m、約200~800m/mなど、例えば150~800m/m、約500~800m/mなどであってよい。
本明細書で提供されるシステムは、本明細書に記述される1つまたは複数の方法のいずれかに適用可能でありまたは使用することができる。一部の実施例では、本明細書で提供されるシステムはさらに、熱反応器に動作可能に接続された酸素ガス送達システムを含む。酸素ガス送達システムは、酸素ガスを酸素ガス収集ユニットに提供するように構成される。酸素ガスは、酸素ガスを熱反応器から方向付けるための任意の手段を使用して、酸素ガス収集ユニットに送達されてよい。酸素ガスを熱反応器から酸素ガス送達システムに方向付けるためのそのような手段は、当技術分野で周知であり、限定するものではないがパイプ、ダクト、およびコンジットなどを含む。一部の実施例では、熱反応器からの酸素ガスは、収集前に精製されてもよく、必要に応じて圧縮されてもよい。
一部の実施例では、本明細書で提供される反応器および/または電気化学セルならびにその構成要素は、電気化学セルのアノードチャンバー内に導入される金属塩の量、熱反応器または第2の電気化学セル内に導入されるアノード電解質の量、ユニットの温度および圧力、水の量、反応器への出入りの流量、電気化学セルに戻る水の時間および流量などの、1つまたは複数を制御するように構成されている制御ステーションを含んでいてもよい。
制御ステーションは、手動で、機械的に、もしくはデジタル式に制御されるひと組の弁もしくは多重弁システムを含んでいてもよく、または任意のその他の都合の良い流れ調整器プロトコールを用いてもよい。ある場合には、制御ステーションは、ユーザーに、上述の量および条件を制御するための入力および出力パラメーターを提供するように構成されているコンピューターインターフェース(調整がコンピューター支援型でありまたはコンピューターによって全体が制御される)を含んでいてもよい。
方法およびシステムは、気体の流れまたは水/塩水中の金属塩の濃度などをモニターするように構成されている1つまたは複数の検出器を含んでいてもよい。モニタリングは、限定するものではないが水性媒体および気体の圧力、温度、および組成に関するデータ収集を含み得る。検出器は、例えば、圧力センサー(例えば、電磁圧力センサー、電位差圧力センサーなど)、温度センサー(抵抗温度検出器、熱電対、気体温度計、サーミスター、高温計、赤外線センサーなど)、体積センサー(例えば、地球物理学的回折断層撮影、X線断層撮影、水中音響学的測量など)、および水性媒体または気体の化学構成を決定するためのデバイス(例えば、IR分光計、NMR分光計、UV-vis分光光度計、高速液体クロマトグラフ、誘導結合プラズマ発光分光計、誘導結合プラズマ質量分光計、イオンクロマトグラフ、X線回折、ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフィー-質量分光計、フローインジェクション分析、シンチレーションカウンター、酸滴定、およびフレーム発光分光計など)など、モニターするように構成されている任意の都合の良いデバイスであってよい。
一部の実施例では、検出器は、ユーザーに水、金属塩、および/または塩に関する収集データを提供するように構成されているコンピューターインターフェースを含んでいてもよい。例えば検出器は、金属塩の濃度を決定してもよく、コンピューターインターフェースは、経時的な水中の組成の変化の概要を提供してもよい。一部の実施例では、概要は、コンピューター可読データファイルとして保存されてもよく、またはユーザー可読文書として印刷されてもよい。
一部の実施例では、検出器は、水、金属塩、および/または塩イオンに関する実時間データ(例えば、内圧、温度など)を収集できるような、モニタリングデバイスであってもよい。他の実施例では、検出器は、規則的な間隔で金属塩および/または塩イオンのパラメーターを決定するように、例えば組成を1分ごと、5分ごと、10分ごと、30分ごと、60分ごと、100分ごと、200分ごと、500分ごと、またはいずれかのその他の間隔で決定するように構成されている、1つまたは複数の検出器であってもよい。
以下の実施例は、当業者に、本発明をどのように作製し使用するかの完全な開示および記述を提供するように記述され、本発明者らが自分の発明であると見なす範囲を限定するものでもなく、以下の実験が全てでありまたは行われた唯一の実験であることを表すものでもない。本明細書に記述されるものに加えて本発明の様々な修正例が、前述の説明および添付図から当業者に明らかになる。そのような修正例は、添付される特許請求の範囲内に包含される。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを確実にするために努力がなされてきたが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。他に示さない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度を単位とし、圧力は大気圧または大気圧付近である。
(実施例1)
金属塩の酸化ならびに水素ガスおよび酸素ガスの発生
アノードおよびカソードを持つ電気化学セルを、チャンバーを分離するアニオン交換膜と共に構成する。セルには、0.4Mの塩化銅(I)(CuCl)および6Mの水酸化カリウム(KOH)の水溶液がアノードチャンバーに供給され、水酸化カリウムの水溶液がカソードチャンバーに供給される。所望の全電流に応じて1.3Vから3Vの間の電位を、アノードとカソードとの間に印加し、CuClはアノードでCu(OH)Clに酸化され、水はカソードで水素ガスと水酸化物とに還元される。水酸化物イオンは、アニオン交換膜をカソードチャンバーからアノードチャンバーに通過することによって、系の荷電平衡を維持する。Cu(OH)Clに酸化されるCuClの量は、約0.1Mである。
カソードチャンバーからの水素は、気-液分離用の槽でKOH水溶液から分離される。カソードチャンバーからのKOH水溶液は、還元された水を置き換える量の水で再構成され、カソードチャンバーに供給する中間供給タンクに再循環される。
アノードチャンバーからの溶液は、熱反応器内に入る。この熱反応器では、溶液はより高い温度、100℃程度に加熱されて、酸素発生およびCu(OH)Cl還元に影響を及ぼし、水酸化物も消費しかつCuClおよび水を発生させる。この反応器からの水は凝縮によって分離され、水の一部は、カソードチャンバーに供給されるKOH水溶液を再構成するのに使用される。熱反応器からのCuClおよびKOHの水溶液は、中間タンクに戻されて供給されてアノードチャンバーへと供給される。
上記詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態を、本明細書では「実施例」とも呼ぶ。そのような実施例は、図示されまたは記述されるものの他に要素を含むことができる。しかしながら本発明者らは、図示されまたは記述されるような要素のみ提供される実施例も企図する。さらに本発明者らは、図示されまたは記述される要素の任意の組合せまたは並べ替えを使用する実施例(またはそれらの1つもしくは複数の態様)も、本明細書に示されまたは記述される特定の実施例(またはそれらの1つもしくは複数の態様)に関してまたはその他の実施例(またはそれらの1つもしくは複数の態様)に関して企図する。
本文書と参照により組み込まれるような任意の文書との間の一貫性のない利用の場合、本文書での利用が優先する。
本文書では、「a」または「an」という用語は、特許文書で一般的であるように、任意のその他の場合または「少なくとも1つ」もしくは「1つまたは複数」の利用とは独立して、1または1より多くを含むように使用される。本文書では、「または」という用語は、他に示されない限り、非排他的であることを指すのに、または「AまたはB」が「BではなくA」、「AではなくB」、および「AおよびB」を含むように、使用される。本文書では、「含んでいる(including)」および「in which」という用語は、「含む(comprising)」および「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の請求項において、「含む(including)」および「含む(comprising)」という用語は非制限的であり、即ち、請求項におけるそのような用語の後に列挙されたものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、配合物、またはプロセスが、その請求項の範囲内に包含されると依然として考えられる。さらに、以下の請求項において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単に標識として使用され、それらの対象に数値要件を課すものではない。
本明細書に記述される方法の実施例は、少なくとも部分的には機械またはコンピューターで実現することができる。一部の実施例は、上記実施例に記述される方法を行うために電子デバイスを構成するよう動作可能な命令がコードされたコンピューター可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。そのような方法の実現には、コード、例えばマイクロコード、アセンブリ言語コード、または高レベル言語コードなどを含めることができる。そのようなコードは、様々な方法を行うためのコンピューター可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータープログラムプロダクトの部分を形成してもよい。さらに実施例では、コードは、1つまたは複数の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形コンピューター可読媒体を、実行中またはその他の時間などに明らかに保存することができる。これらの有形コンピューター可読媒体の例には、限定するものではないがハードディスク、取出し可能な磁気ディスク、取出し可能な光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、埋込み型フラッシュメモリ、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、およびリードオンリーメモリ(ROM)などを含めることができる。
これまでの記述は例示的なものとし、制限的なものではない。例えば上述の実施例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。その他の実施形態は、上記説明を検討することによって当業者などにより使用することができる。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように提供される。これは請求項の範囲または意味を解釈しまたは制限するよう使用されるものではないという理解と共に提出される。また、上記詳細な説明では、本開示を合理化するよう様々な特徴が一緒にグループ分けされてもよい。これは請求項に開示されていない特徴が任意の請求項に必須であることを意図すると解釈されるべきではない。むしろ本発明の対象は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少なく存在し得る。したがって下記の請求項は、実施例または実施形態として本明細書により詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自体が個別の実施形態として自立しており、そのような実施形態は、様々な組合せまたは並べ替えで互いに組み合わせることができることが企図される。本発明の範囲は、添付の請求項が権利を有する均等物の全範囲と共に、そのような請求項を参照しながら決定されるべきである。
これまでの記述は例示的なものとし、制限的なものではない。例えば上述の実施例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。その他の実施形態は、上記説明を検討することによって当業者などにより使用することができる。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように提供される。これは請求項の範囲または意味を解釈しまたは制限するよう使用されるものではないという理解と共に提出される。また、上記詳細な説明では、本開示を合理化するよう様々な特徴が一緒にグループ分けされてもよい。これは請求項に開示されていない特徴が任意の請求項に必須であることを意図すると解釈されるべきではない。むしろ本発明の対象は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少なく存在し得る。したがって下記の請求項は、実施例または実施形態として本明細書により詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自体が個別の実施形態として自立しており、そのような実施形態は、様々な組合せまたは並べ替えで互いに組み合わせることができることが企図される。本発明の範囲は、添付の請求項が権利を有する均等物の全範囲と共に、そのような請求項を参照しながら決定されるべきである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
アノード、および金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供すること、
前記金属塩の金属イオンを、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、金属ヒドロキシ塩を形成すること、
カソードおよびカソード電解質を前記電気化学セル内に提供すること、ならびに
水素ガスを前記カソードで形成すること
を含む、水素ガスを発生させる方法。
(項目2)
水酸化物イオンを前記カソードで形成すること、前記アノード電解質をアニオン交換膜によって前記カソード電解質から分離すること、および前記水酸化物イオンを前記カソード電解質から前記アノード電解質に移動させることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記金属塩の前記金属イオンを、前記アノードで、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、前記金属ヒドロキシ塩および水素イオンを形成することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記水素イオンを前記アノード電解質から前記カソード電解質に輸送すること、および前記水素イオンを前記カソードで還元して前記水素ガスを形成することをさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記金属塩または前記金属ヒドロキシ塩の前記金属イオンが、マンガン、鉄、クロム、セレン、銅、スズ、銀、コバルト、ウラン、鉛、水銀、バナジウム、ビスマス、チタン、ルテニウム、オスミウム、ユウロピウム、亜鉛、カドミウム、金、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、テクネチウム、レニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記金属塩または前記金属ヒドロキシ塩の前記金属イオンが、マンガン、クロム、銅、鉄、スズ、セレン、タンタル、およびこれらの組合せからなる群から選択される、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記金属塩が、CuCl、CuBr、CuI、FeCl 、FeBr 、FeI 、SnCl 、SnBr 、SnI 、Cu SO 、FeSO 、SnSO 、Cu PO 、Fe (PO 、およびSn (PO からなる群から選択される、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記金属ヒドロキシ塩が、Cu(OH) Cl 、Cu(OH) Br 、Cu(OH) 、Fe(OH) Cl 、Fe(OH) Br 、Fe(OH) 、Sn(OH) Cl 、Sn(OH) Br 、Sn(OH) 、Cu (OH) (SO 、Fe(OH) (SO 、Sn(OH) (SO 、Cu (OH) (PO 、Fe (OH) (PO 、およびSn (OH) (PO からなる群から選択され、式中、xおよびyは整数であり、合計されて前記金属上の電荷と釣り合う、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がCuClであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がCu(OH) Cl であり、
前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がCuBrであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がCu(OH) Br であり、
前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がCuIであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がCu(OH) であり、
前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がFeCl であり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がFe(OH) Cl であり、
前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がFeBr であり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がFe(OH) Br であり、または
前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がFeI であり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がFe(OH) であり、
式中、xおよびyは整数である、
項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩が、M m+ (OH) (mx-y) 、M (OH) (2x-y) 、M (OH) (3x-y) 、M (OH) (4x-y) 、またはこれらの組合せであり、式中、Mは前記金属イオンであり、Xは対アニオンであり、m、x、およびyは整数である、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記金属塩または前記金属ヒドロキシ塩中の対アニオンが、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、またはリン酸イオンである、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記アノード電解質と前記カソード電解質との間で約1から約6の定常状態のpH差を維持することをさらに含む、項目1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
酸素ガスが前記アノードで形成されず、またはファラデー効率の25%未満が前記アノードでの酸素発生反応に関するものである、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
水酸化物イオンを前記アノードで酸化して酸素ガスを形成することをさらに含む、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記アノードで、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩を、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩に酸化するために、より低い電流密度で前記電気化学セルを動作させること、および前記アノードで水酸化物イオンを酸化し酸素ガスを形成するために、より高い電流密度で前記電気化学セルを動作させることをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を含む前記アノード電解質の少なくとも一部分を、前記電気化学セルの外側に移送すること、および前記アノード電解質の前記部分を熱反応に供して、酸素ガスと、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩とを形成することをさらに含む、項目1から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩の少なくとも一部分を再循環させて、前記電気化学セルの前記アノード電解質に戻すことをさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記熱反応を、水酸化物イオンの存在下、約10もしくはそれよりも高いpHで、および/または触媒の存在下で実施することをさらに含む、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
前記水酸化物イオンが、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物として存在する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記触媒が金属酸化物である、項目18または項目19に記載の方法。
(項目21)
前記金属酸化物が、酸化マンガン、酸化ルテニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、または酸化アルミニウムである、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記熱反応の温度が約50℃から約500℃である、項目16から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記熱反応で使用された熱の一部分または全てを、廃熱、ならびに/または太陽熱プロセス、地熱プロセス、および/もしくは核プロセスから選択されるクリーンな熱源からなる群から選択される別のプロセスから提供することをさらに含む、項目16から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記水素ガスの圧縮により発生した熱から、前記熱反応で使用される熱の一部分または全てを提供することをさらに含む、項目16から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記電気化学セルと前記熱反応との間に、前記熱反応を離れる溶液から前記熱反応に進入する流れに熱を回収するように働く熱交換器を設けることをさらに含む、項目16から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記電気化学セルまたは前記熱反応の少なくとも1つを高圧で動作させることをさらに含む、項目16から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記電気化学セルを高圧で動作させることが、前記水素ガスの圧縮コストを削減し、前記熱プロセスをより低い圧力で動作させることが、酸素発生を容易にする、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記電気化学セルが、約40psiから約500psiの圧力で動作する、項目26または27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記熱反応が、約14psiから約300psiの圧力で動作する、項目16から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を含む前記アノード電解質の少なくとも一部分を、前記電気化学セルから出して第2の電気化学セルの第2のカソード電解質に移送すること、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を、前記第2の電気化学セルの第2のカソードで還元して、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩を形成することをさらに含む、項目1から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
水酸化物イオンを前記第2の電気化学セル内で、前記第2のカソード電解質から第2のアノード電解質に、アニオン交換膜を通して移動させること、および前記水酸化物イオンを前記第2の電気化学セルの第2のアノードで酸化して、酸素ガスを形成することをさらに含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記アノード電解質のpHが、約10またはそれよりも高い、項目1から31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記電気化学セルが、約2V未満の理論的電圧を有する、項目1から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記電気化学セルの動作電圧が、前記アノードで酸素ガスを形成する対応するセルの対応する動作電圧よりも低い、項目1から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記電気化学セルの前記動作電圧が、より低い過電位、より低いサーモニュートラル電圧、より低い半電池電位、またはこれらの組合せの1つまたは複数に起因して、前記対応するセルの前記対応する動作電圧よりも低い、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記アノード電解質が、第2の塩をさらに含む、項目1から35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記第2の塩が、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、またはランタニドハロゲン化物である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記アノード電解質が水をさらに含み、前記金属塩が、前記アノード電解質に部分的にまたは完全に可溶である、項目1から37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩の濃度が、約0.1Mから約1Mである、項目1から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属塩の濃度が、約0.2Mから約1.5Mである、項目1から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質であって、前記アノードが、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩を酸化して、前記金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするように構成されている、アノードおよびアノード電解質と、
カソード、および水を含むカソード電解質であって、前記カソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と、
水酸化物イオンを前記カソード電解質から前記アノード電解質に輸送するように構成されているアニオン交換膜と
を含む電気化学セルを含む、水素ガスを発生させるシステム。
(項目42)
前記電気化学セルに動作可能に接続され、前記金属ヒドロキシ塩を含む前記アノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、かつ前記アノード電解質の前記部分を熱反応に供して、酸素ガスと、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩とを形成するように構成されている、熱反応器をさらに含む、項目41に記載のシステム。
(項目43)
前記アノードが、前記水酸化物イオンを前記アノードで酸化して酸素ガスを形成するようにさらに構成されている、項目41または42に記載のシステム。
(項目44)
前記電気化学セルに動作可能に接続された第2の電気化学セルをさらに含み、前記第2の電気化学セルが、
第2のアノードおよび第2のアノード電解質と、
第2のカソードおよび第2のカソード電解質と
を含み、前記第2の電気化学セルの前記第2のカソード電解質は、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を含む前記アノード電解質の少なくとも一部分を、前記電気化学セルから受容するように構成されており、前記第2の電気化学セルの前記第2のカソードは、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を還元して、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩にするように構成されている、
項目41から43のいずれか一項に記載のシステム。

Claims (44)

  1. アノード、および金属塩を含むアノード電解質を、電気化学セル内に提供すること、
    前記金属塩の金属イオンを、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、金属ヒドロキシ塩を形成すること、
    カソードおよびカソード電解質を前記電気化学セル内に提供すること、ならびに
    水素ガスを前記カソードで形成すること
    を含む、水素ガスを発生させる方法。
  2. 水酸化物イオンを前記カソードで形成すること、前記アノード電解質をアニオン交換膜によって前記カソード電解質から分離すること、および前記水酸化物イオンを前記カソード電解質から前記アノード電解質に移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記金属塩の前記金属イオンを、前記アノードで、より低い酸化状態からより高い酸化状態に酸化して、前記金属ヒドロキシ塩および水素イオンを形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記水素イオンを前記アノード電解質から前記カソード電解質に輸送すること、および前記水素イオンを前記カソードで還元して前記水素ガスを形成することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記金属塩または前記金属ヒドロキシ塩の前記金属イオンが、マンガン、鉄、クロム、セレン、銅、スズ、銀、コバルト、ウラン、鉛、水銀、バナジウム、ビスマス、チタン、ルテニウム、オスミウム、ユウロピウム、亜鉛、カドミウム、金、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、テクネチウム、レニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記金属塩または前記金属ヒドロキシ塩の前記金属イオンが、マンガン、クロム、銅、鉄、スズ、セレン、タンタル、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記金属塩が、CuCl、CuBr、CuI、FeCl、FeBr、FeI、SnCl、SnBr、SnI、CuSO、FeSO、SnSO、CuPO、Fe(PO、およびSn(POからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記金属ヒドロキシ塩が、Cu(OH)Cl、Cu(OH)Br、Cu(OH)、Fe(OH)Cl、Fe(OH)Br、Fe(OH)、Sn(OH)Cl、Sn(OH)Br、Sn(OH)、Cu(OH)(SO、Fe(OH)(SO、Sn(OH)(SO、Cu(OH)(PO、Fe(OH)(PO、およびSn(OH)(POからなる群から選択され、式中、xおよびyは整数であり、合計されて前記金属上の電荷と釣り合う、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がCuClであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がCu(OH)Clであり、
    前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がCuBrであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がCu(OH)Brであり、
    前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がCuIであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がCu(OH)であり、
    前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がFeClであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がFe(OH)Clであり、
    前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がFeBrであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がFe(OH)Brであり、または
    前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩がFeIであり、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩がFe(OH)であり、
    式中、xおよびyは整数である、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩が、M m+(OH)(mx-y)、M(OH)(2x-y)、M(OH)(3x-y)、M(OH)(4x-y)、またはこれらの組合せであり、式中、Mは前記金属イオンであり、Xは対アニオンであり、m、x、およびyは整数である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記金属塩または前記金属ヒドロキシ塩中の対アニオンが、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、またはリン酸イオンである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記アノード電解質と前記カソード電解質との間で約1から約6の定常状態のpH差を維持することをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 酸素ガスが前記アノードで形成されず、またはファラデー効率の25%未満が前記アノードでの酸素発生反応に関するものである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 水酸化物イオンを前記アノードで酸化して酸素ガスを形成することをさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記アノードで、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩を、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩に酸化するために、より低い電流密度で前記電気化学セルを動作させること、および前記アノードで水酸化物イオンを酸化し酸素ガスを形成するために、より高い電流密度で前記電気化学セルを動作させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を含む前記アノード電解質の少なくとも一部分を、前記電気化学セルの外側に移送すること、および前記アノード電解質の前記部分を熱反応に供して、酸素ガスと、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩とを形成することをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩の少なくとも一部分を再循環させて、前記電気化学セルの前記アノード電解質に戻すことをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記熱反応を、水酸化物イオンの存在下、約10もしくはそれよりも高いpHで、および/または触媒の存在下で実施することをさらに含む、請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記水酸化物イオンが、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物として存在する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記触媒が金属酸化物である、請求項18または請求項19に記載の方法。
  21. 前記金属酸化物が、酸化マンガン、酸化ルテニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、または酸化アルミニウムである、請求項20に記載の方法。
  22. 前記熱反応の温度が約50℃から約500℃である、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記熱反応で使用された熱の一部分または全てを、廃熱、ならびに/または太陽熱プロセス、地熱プロセス、および/もしくは核プロセスから選択されるクリーンな熱源からなる群から選択される別のプロセスから提供することをさらに含む、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記水素ガスの圧縮により発生した熱から、前記熱反応で使用される熱の一部分または全てを提供することをさらに含む、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記電気化学セルと前記熱反応との間に、前記熱反応を離れる溶液から前記熱反応に進入する流れに熱を回収するように働く熱交換器を設けることをさらに含む、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記電気化学セルまたは前記熱反応の少なくとも1つを高圧で動作させることをさらに含む、請求項16から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記電気化学セルを高圧で動作させることが、前記水素ガスの圧縮コストを削減し、前記熱プロセスをより低い圧力で動作させることが、酸素発生を容易にする、請求項26に記載の方法。
  28. 前記電気化学セルが、約40psiから約500psiの圧力で動作する、請求項26または27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記熱反応が、約14psiから約300psiの圧力で動作する、請求項16から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を含む前記アノード電解質の少なくとも一部分を、前記電気化学セルから出して第2の電気化学セルの第2のカソード電解質に移送すること、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を、前記第2の電気化学セルの第2のカソードで還元して、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩を形成することをさらに含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 水酸化物イオンを前記第2の電気化学セル内で、前記第2のカソード電解質から第2のアノード電解質に、アニオン交換膜を通して移動させること、および前記水酸化物イオンを前記第2の電気化学セルの第2のアノードで酸化して、酸素ガスを形成することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記アノード電解質のpHが、約10またはそれよりも高い、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記電気化学セルが、約2V未満の理論的電圧を有する、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記電気化学セルの動作電圧が、前記アノードで酸素ガスを形成する対応するセルの対応する動作電圧よりも低い、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記電気化学セルの前記動作電圧が、より低い過電位、より低いサーモニュートラル電圧、より低い半電池電位、またはこれらの組合せの1つまたは複数に起因して、前記対応するセルの前記対応する動作電圧よりも低い、請求項34に記載の方法。
  36. 前記アノード電解質が、第2の塩をさらに含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記第2の塩が、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、またはランタニドハロゲン化物である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記アノード電解質が水をさらに含み、前記金属塩が、前記アノード電解質に部分的にまたは完全に可溶である、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩の濃度が、約0.1Mから約1Mである、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属塩の濃度が、約0.2Mから約1.5Mである、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
  41. アノード、および金属イオンがより低い酸化状態にある金属塩を含むアノード電解質であって、前記アノードが、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩を酸化して、前記金属イオンがより高い酸化状態にある金属ヒドロキシ塩にするように構成されている、アノードおよびアノード電解質と、
    カソード、および水を含むカソード電解質であって、前記カソードが、水を還元して水酸化物イオンおよび水素ガスを形成するように構成されている、カソードおよびカソード電解質と、
    水酸化物イオンを前記カソード電解質から前記アノード電解質に輸送するように構成されているアニオン交換膜と
    を含む電気化学セルを含む、水素ガスを発生させるシステム。
  42. 前記電気化学セルに動作可能に接続され、前記金属ヒドロキシ塩を含む前記アノード電解質の少なくとも一部分を受容するように、かつ前記アノード電解質の前記部分を熱反応に供して、酸素ガスと、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩とを形成するように構成されている、熱反応器をさらに含む、請求項41に記載のシステム。
  43. 前記アノードが、前記水酸化物イオンを前記アノードで酸化して酸素ガスを形成するようにさらに構成されている、請求項41または42に記載のシステム。
  44. 前記電気化学セルに動作可能に接続された第2の電気化学セルをさらに含み、前記第2の電気化学セルが、
    第2のアノードおよび第2のアノード電解質と、
    第2のカソードおよび第2のカソード電解質と
    を含み、前記第2の電気化学セルの前記第2のカソード電解質は、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を含む前記アノード電解質の少なくとも一部分を、前記電気化学セルから受容するように構成されており、前記第2の電気化学セルの前記第2のカソードは、前記金属イオンが前記より高い酸化状態にある前記金属ヒドロキシ塩を還元して、前記金属イオンが前記より低い酸化状態にある前記金属塩にするように構成されている、
    請求項41から43のいずれか一項に記載のシステム。
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