JP2024509276A - キナーゼ阻害剤の塩及び固体形態 - Google Patents

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Abstract

以下の式によって表される化合物(I)の種々の塩形態及び遊離塩基固体形態が開示される。JPEG2024509276000081.jpg7283それを含む薬学的組成物、それを使用して発がん性KIT及びPDGFRA変異に関連する障害及び病態を治療する方法、ならびに化合物(I)の塩形態及びその結晶形態を作製するための方法もまた開示される。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2021年3月10日に出願された米国仮出願第63/159,107号及び2021年6月9日に出願された米国仮出願第63/208,641号に対する優先権を主張するものである。前述の出願の内容全体は、参照により本明細書に援用される。
酵素KIT(別称、CD117)は、多種多様な細胞種に発現する受容体型チロシンキナーゼである。KIT受容体タンパク質は、構造的に関連するタンパク質であるPDGFRα(血小板由来成長因子受容体A)、PDGFRβ、FLT3(FMS様チロシンキナーゼ3)、及びCSF1R(コロニー刺激因子1受容体)もまた含むクラスIII受容体型チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーに属する。KIT分子は、長い細胞外ドメイン、膜貫通セグメント、及び細胞内部分を含む。KITに対するリガンドは、幹細胞因子(SCF)である。通常では、幹細胞因子(SCF)は、KITに結合し、二量体化、自己リン酸化、及び下流のシグナル伝達の開始を誘導することによってそれを活性化する。しかしながら、いくつかの腫瘍の種類において、KITにおける体細胞活性化突然変異がリガンド非依存性の構成的活性を駆動する。
KIT突然変異は一般に、膜近傍ドメインをコードするDNA(エクソン11)において起こる。KIT突然変異はまた、より低い頻度で、エクソン7、8、9、13、14、17、及び18でも起こる。突然変異により、KITの機能はSCFによる活性化に依存しなくなり、細胞の速い分裂速度及びことによるとゲノム不安定性をもたらす。変異KITは、いくつかの障害及び病態、例えば、肥満細胞症、消化管間質腫瘍(GIST)、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、及び精上皮腫の病理発生に関係があるとされている。
構造的に関連する血小板由来成長因子受容体(PDGFR)は、血小板由来成長因子(PDGF)ファミリーのメンバーに対する細胞表面チロシンキナーゼ受容体である。PDGFのα及びβサブユニットは、細胞増殖、細胞分化、細胞増殖、及び細胞発達を制御する。PDGFのα及びβサブユニットにおける変異(例えば、突然変異)は、一部のがんを含めた多くの疾患に関連する。例えば、PDGFRαエクソン18のD842V突然変異が、典型的には胃からのGISTの特有のサブセットにおいて見出されている。D842V突然変異はまた、チロシンキナーゼ阻害剤耐性にも関連する。さらに、PDGFRα D842I及びPDGFRα D842Y等の他のエクソン18の突然変異は、PDGFRαのリガンド非依存性の構成的活性化に関連する。GISTにおいて、PDGFRαシグナル伝達のリガンド非依存性の構成的活性化を付与する機能獲得型突然変異(例えば、PDGFRα D842I、D842V、及びD842Y等)が疾患の駆動因子として同定されている。
米国特許第10,829,493号(同文献の教示全体は参照により本明細書に援用される)は、エクソン17変異タンパク質を含むKIT及び/またはPDGFRαエクソン18変異タンパク質の強力で高度に選択的な阻害剤について開示している。本明細書で「化合物(I)」と称される、米国特許第10,829,493号に開示される阻害剤のうちの1つの構造を下記に示す。
化合物(I)は、KITエクソン17変異酵素、すなわちKIT D816Vの強力で選択的な低分子阻害剤である。その効力は、生化学的(解離定数、Kd=0.24nM)設定及び細胞(半数阻害濃度、[IC50]=4.3nM)設定の両方においてインビトロで実証されている。化合物(I)は、他のキナーゼ、膜貫通または可溶性受容体、イオンチャネル、輸送体、及び他の酵素に照らし合わせて比較したときに、KIT D816Vに対して高度の選択性を有する。化合物(I)は、脳を透過する可能性が限定されている。
化合物(I)等の薬学的に活性な薬剤の成功裏の開発には、典型的には、合成後の容易な単離及び精製を可能にする特性、大規模製造に修正可能である特性、吸水、分解、または他の固体形態への変換が最小限でありながら長期間貯蔵され得る特性、製剤化に好適である特性、ならびに対象への投与後に容易に吸収され得る(例えば、水及び胃液に可溶性である)特性を有する、固体形態の同定が必要とされる。
化合物(I)の遊離塩基は複数の結晶形態を有し、これらは結晶格子中に存在する水の量が異なるため互いに相互変換し得ることが今では判明している。結果として、化合物(I)の遊離塩基の安定な結晶形態の調製は、生産規模で再生産することが困難であることが判明した。
また、1:1リン酸塩、2:1ベシル酸塩、1:1安息香酸塩、及び1:1硫酸塩を、明確に定義された条件下で結晶化させて、非吸湿性の結晶形態を得ることができることも今では判明している。これらの4種の塩は、高い融解開始点をもつ良好な熱挙動を示し、大規模合成に好適である。熱重量分析中に最小限の質量損失が観察された。本明細書に開示される塩はまた、37℃で模擬流体及び水への類似した溶解度を示した。
さらに、1:1リン酸塩は、98%超の純度を維持した。1:1リン酸塩の結晶形態の中でも、リン酸塩の無水結晶形態Aが最も安定な形態であることが判明した。形態Aは、199.7℃の融解開始を有する高結晶質であった。形態Aは、低い残留溶媒(0.45重量%)、ならびに模擬流体及び水への良好な溶解度を示した。形態Aはまた、選択された有機溶媒及び溶媒混合物への低い溶解度を示したが、ジメチルアセトアミド(DMAc)、n-メチルピロリドン(NMP)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)等の沸点の高い溶媒、ならびに(特にテトラヒドロフラン(THF)との)水性/有機混合物には可溶性であった。形態Aは、異なる結晶化実験から、アルコール、アセタート、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トリフルオロエタノール(TFE)、ジオキサン、クロロベンゼン、クロロホルム、アニソールとのスラリー中で、及び多くの水性/有機混合物中で得られた。2-MeTHFを使用した結晶化は、それが残留溶媒を頑強に制御しながら結晶質の化合物(I)リン酸塩である形態Aを提供するという点で有利であった。
「1:1」という表記は、化合物(I)と酸(例えば、硫酸、リン酸、または安息香酸)との間のモル比であり、「2:1」という表記は、化合物(I)と酸(例えば、ベンゼンスルホン酸)との間のモル比である。
一態様では、本開示は、化合物(I)のリン酸塩を提供し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。
別の態様では、本開示は、化合物(I)のベシル酸塩を提供し、ここで、化合物(I)とベンゼンスルホン酸との間のモル比は2:1である。
なおも別の態様では、本開示は、化合物(I)の硫酸塩を提供し、ここで、化合物(I)と硫酸との間のモル比は1:1である。
なおも別の態様では、本開示は、化合物(I)の安息香酸塩を提供し、ここで、化合物(I)と安息香酸との間のモル比は1:1である。
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される化合物(I)の塩または遊離塩基(非晶質形態及び結晶形態の両方を含む)と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物を提供する。
本開示は、発がん性KIT及びPDGFRA変異に関連する障害及び病態を治療する方法を提供し、該方法は、それを必要とする患者に本明細書に開示される化合物(I)の塩または遊離塩基(非晶質形態及び結晶形態の両方を含む)、またはその対応する薬学的組成物を投与することを含む。
本開示は、疾患または病態の治療を必要とする患者において疾患または病態を治療する方法を提供し、該方法は、それを必要とする患者に本明細書に開示される化合物(I)の塩または遊離塩基(非晶質形態及び結晶形態の両方を含む)、またはその対応する薬学的組成物を投与することを含み、該疾患または該病態は、全身性肥満細胞症、消化管間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、精上皮腫、頭蓋内胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、未分化胚細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻性NK/T細胞リンパ腫、慢性骨髄単球性白血病、及び脳癌から選定される。一実施形態では、疾患または病態は、全身性肥満細胞症、消化管間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、精上皮腫、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、未分化胚細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻性NK/T細胞リンパ腫、及び慢性骨髄単球性白血病から選定される。一実施形態では、疾患または病態は、全身性肥満細胞症である。一実施形態では、全身性肥満細胞症は、無痛性全身性肥満細胞症及びくすぶり型全身性肥満細胞症から選定される。
本開示はまた、前の段落に列挙される疾患のうちのいずれかの治療のための、本開示の化合物(I)の塩もしくは遊離塩基またはそれを含むその薬学的組成物の使用も提供する。一実施形態では、本明細書に記載の本開示の方法のうちのいずれかにおいて使用するための、本開示の塩もしくは遊離塩基またはそれを含むその薬学的組成物が提供される。別の実施形態では、記載される本開示の方法のうちのいずれかに向けた医薬の製造のための、本開示の塩もしくは遊離塩基またはそれを含むその薬学的組成物の使用が提供される。
化合物(I)のリン酸塩の形態AのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)のリン酸塩の形態Aの熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)(5mW)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)のリン酸塩の形態Aの示差走査熱量測定分析(DSC)(10mW)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)のリン酸塩の形態GのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。 (y軸を拡大)化合物(I)のリン酸塩の形態GのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)のリン酸塩の形態Gの熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)のリン酸塩の形態Gの示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)のリン酸塩の形態OのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)のベシル酸塩の形態1-AのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)とベンゼンスルホン酸との間のモル比は1:2である。 化合物(I)のベシル酸塩の形態1-Aの熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)とベンゼンスルホン酸との間のモル比は1:2である。 化合物(I)のベシル酸塩の形態1-Aの示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)とベンゼンスルホン酸との間のモル比は1:2である。 化合物(I)のベシル酸塩の形態1-BのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)とベンゼンスルホン酸との間のモル比は1:2である。 化合物(I)の安息香酸塩の形態2-AのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)と安息香酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)の安息香酸塩の形態2-Aの熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)と安息香酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)の安息香酸塩の形態2-Aの示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)と安息香酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)の安息香酸塩の形態2-BのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)と安息香酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)の硫酸塩の形態9-AのX線粉末回折(XRPD)パターンを示し、ここで、化合物(I)と硫酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)の硫酸塩の形態9-Aの示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示し、ここで、化合物(I)と硫酸との間のモル比は1:1である。 化合物(I)の遊離塩基の形態FB-A-0のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。 化合物(I)の結晶質遊離塩基の熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示す。 化合物(I)の結晶質遊離塩基の示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示す。 化合物(I)の遊離塩基の形態FB-A-1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。 化合物(I)の遊離塩基の形態FB-A-2のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。 化合物(I)の非晶質リン酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。 凍結乾燥した化合物(I)の非晶質リン酸塩のDSCサーモグラムを示す。 種々の溶媒系中の結晶性固体の凍結乾燥から調製された非晶質化合物(I)の遊離塩基のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。(1)ACN:水(7:3体積)からの非晶質、(2)t-BuOHからの非晶質(L.C)、(3)t-BuOH:水(9:1体積)からの非晶質。 実施例10から調製された化合物(I)の遊離塩基のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。機器:Bruker D8 Advance X線回折計、X線源:Cu/K、(λ=1.54056Å)、稼働電力:40kV、40mA、開始角度:4°;停止角度:40°、増分:0.05度/ステップ、走査速度:0.5秒/ステップ。
本開示は、i)化合物(I)の薬学的に許容される塩、ii)非溶媒和形態、溶媒和形態、非晶質形態、及び結晶形態を含めた、化合物(I)の遊離塩基の新規の固体形態及び化合物(I)の薬学的に許容される塩の新規の固体形態(これ以降、「本開示の塩及び固体形態」と総称される)、ならびにiii)本開示の塩及び固体形態の使用方法及び調製方法に関する。
化合物(I)のリン酸塩
一態様では、本開示は、化合物(I)のリン酸塩を提供し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。
一部の実施形態では、ホスホン酸塩は、結晶質である。一部の実施形態では、リン酸塩は、単結晶形態である。
一部の実施形態では、リン酸塩は、溶媒和されていない。他の実施形態では、リン酸塩は、溶媒和されている。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)のリン酸塩の結晶形態Aを提供する。XRPDパターン及びピークを図1Aに示す。熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを図1Bに示す。
相対強度が3以上のピークのみを報告する。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)のリン酸塩の結晶形態Gを提供する。XRPDパターン及びピークを図2A及び2Bに示す。熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを図2C及び2Dに示す。
相対強度が0.5以上のピークのみを報告する。
相対強度が0.5以上のピークのみを報告する。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)のリン酸塩の結晶形態Oを提供する。XRPDパターン及びピークを図3に示す。
相対強度が5以上のピークのみを報告する。
化合物(I)のベシル酸塩
一態様では、本開示は、化合物(I)のベシル酸塩を提供し、ここで、化合物(I)とベンゼンスルホン酸との間のモル比は1:2である。
一部の実施形態では、ベシル酸塩は、結晶質である。一部の実施形態では、ベシル酸塩は、単結晶形態である。
一部の実施形態では、ベシル酸塩は、溶媒和されていない。他の実施形態では、ベシル酸塩は、溶媒和されている。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)のベシル酸塩の結晶形態1-Aを提供する。XRPDパターン及びピークを図4Aに示す。熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを図4B及び4Cに示す。
相対強度が5以上のピークのみを報告する。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)のベシル酸塩の結晶形態1-Bを提供する。XRPDパターン及びピークを図5に示す。
相対強度が5以上のピークのみを報告する。
化合物(I)の安息香酸塩
一態様では、本開示は、化合物(I)の安息香酸塩を提供し、ここで、化合物(I)と安息香酸との間のモル比は1:1である。
一部の実施形態では、安息香酸塩は、結晶質である。一部の実施形態では、安息香酸塩は、単結晶形態である。
一部の実施形態では、安息香酸塩は、溶媒和されていない。他の実施形態では、安息香酸塩は、溶媒和されている。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)の安息香酸塩の結晶形態2-Aを提供する。XRPDパターン及びピークを図6Aに示す。熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを図6B及び6Cに示す。
相対強度が5以上のピークのみを報告する。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)の安息香酸塩の結晶形態2-Bを提供する。XRPDパターン及びピークを図7に示す。
相対強度が5以上のピークのみを報告する。

化合物(I)の硫酸塩
一態様では、本開示は、化合物(I)の硫酸塩を提供し、ここで、化合物(I)と硫酸との間のモル比は1:1である。
一部の実施形態では、硫酸塩は、結晶質である。一部の実施形態では、硫酸塩は、単結晶形態である。
一部の実施形態では、硫酸塩は、溶媒和されていない。他の実施形態では、硫酸塩は、溶媒和されている。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)の硫酸塩の結晶形態9-Aを提供する。XRPDパターン及びピークを図8Aに示す。示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを図8Bに示す。
相対強度が5以上のピークのみを報告する。
化合物(I)の遊離塩基
一態様では、本開示は、化合物(I)の遊離塩基を提供する。
一部の実施形態では、化合物(I)の遊離塩基は、非晶質形態である。
一部の実施形態では、化合物(I)の遊離塩基は、結晶質である。一部の実施形態では、化合物(I)の遊離塩基は、単結晶形態である。
一部の実施形態では、化合物(I)の遊離塩基は、溶媒和されていない。他の実施形態では、化合物(I)の遊離塩基は、溶媒和されている。
一部の実施形態では、本開示は、形態FB-A-0(一水和物)、形態FB-A-1(準安定な水和物)、及び形態FB-A-2(脱水物)を含む、化合物(I)の遊離塩基の形態FB-Aの結晶ファミリーを提供する。
本明細書に記載されるとき、結晶ファミリーとは、結晶格子中に存在する水の量が異なるため「相互変換する」ものとして説明され得る、同じ結晶形態を含む結晶形態の群である。異なる量の水は、XRPDにおいて若干のピークシフトをもたらす。
形態FB-A-0の結晶ファミリーは、周囲湿度に応じて結晶格子中に異なる量の水を収容し得る、チャネル水和物であることが判明している。XRPDパターン及びピークを図9Aに示す。
相対強度が5以上のピークのみを報告する。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)の遊離塩基の結晶形態FB-A-1を提供する。XRPDパターン及びピークを図10に示す。
相対強度が3以上のピークのみを報告する。
一部の実施形態では、本開示は、化合物(I)の遊離塩基の結晶形態FB-A-2を提供する。XRPDパターン及びピークを図11に示す。
相対強度が5以上のピークのみを報告する。
一部の実施形態では、本開示は、式:
によって表される化合物(I)遊離塩基の結晶形態を提供し、該結晶形態は、以下:
(a)図9A、10、または11に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターン(XRPD)、
(b)10.6°、12.2°、14.2°、14.8°、17.1°、18.3°、23.1°、及び24.1から選定される少なくとも3つのピークを含むX線粉末回折パターン(XRPD)、
(c)図9Bに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図9Cに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)61.6±2°C及び171.4±2℃に開始温度を有する吸熱を有するDSCサーモグラム、または
(f)それらの組み合わせ、
のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる形態FB-A-0、形態FB-A-1、及び形態FB-A-2から選択される形態Aファミリーの結晶形態を含む。
薬学的組成物
本開示の一部の実施形態は、本開示の塩または固体形態と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物に関する。本開示の一部の実施形態は、薬学的に許容される賦形剤と、化合物(I)のリン酸塩とを含む、薬学的組成物に関し、ここで、化合物(I)とリン酸との間のモル比は1:1である。一部の実施形態では、ホスホン酸塩は、結晶質である。一部の実施形態では、リン酸塩は、単結晶形態である。一部の実施形態では、リン酸塩は、溶媒和されていない。他の実施形態では、リン酸塩は、溶媒和されている。一部の実施形態では、化合物(I)のリン酸塩は、結晶形態Aである。一部の実施形態では、化合物(I)のリン酸塩は、結晶形態Gである。一部の実施形態では、化合物(I)のリン酸塩は、結晶形態Oである。
本開示の一部の実施形態は、薬学的に許容される賦形剤と、化合物(I)のベシル酸塩とを含む、薬学的組成物に関し、ここで、化合物(I)とベンゼンスルホン酸との間のモル比は1:2である。一部の実施形態では、ベシル酸塩は、結晶質である。一部の実施形態では、ベシル酸塩は、単結晶形態である。一部の実施形態では、ベシル酸塩は、溶媒和されていない。他の実施形態では、ベシル酸塩は、溶媒和されている。一部の実施形態では、化合物(I)のベシル酸塩は、結晶形態1-Aである。一部の実施形態では、化合物(I)のベシル酸塩は、結晶形態1-Bである。
本開示の一部の実施形態は、薬学的に許容される賦形剤と、化合物(I)の安息香酸塩とを含む、薬学的組成物に関し、ここで、化合物(I)と安息香酸との間のモル比は1:1である。一部の実施形態では、安息香酸塩は、結晶質である。一部の実施形態では、安息香酸塩は、単結晶形態である。一部の実施形態では、安息香酸塩は、溶媒和されていない。他の実施形態では、安息香酸塩は、溶媒和されている。一部の実施形態では、化合物(I)の安息香酸塩は、結晶形態2-Aである。一部の実施形態では、化合物(I)の安息香酸塩は、結晶形態2-Bである。
本開示の一部の実施形態は、薬学的に許容される賦形剤と、化合物(I)の硫酸塩とを含む、薬学的組成物に関し、ここで、化合物(I)と硫酸との間のモル比は1:1である。一部の実施形態では、硫酸塩は、結晶質である。一部の実施形態では、硫酸塩は、単結晶形態である。一部の実施形態では、硫酸塩は、溶媒和されていない。他の実施形態では、硫酸塩は、溶媒和されている。一部の実施形態では、化合物(I)の硫酸塩は、結晶形態9-Aである。
本開示の一部の実施形態は、薬学的に許容される賦形剤と、化合物(I)遊離塩基とを含む、薬学的組成物に関する。一部の実施形態では、遊離塩基は、非晶質形態である。一部の実施形態では、遊離塩基は、結晶質である。一部の実施形態では、遊離塩基は、単結晶形態である。一部の実施形態では、遊離塩基は、溶媒和されていない。他の実施形態では、遊離塩基は、溶媒和されている。一部の実施形態では、化合物(I)の遊離塩基は、結晶形態FB-A-0である。一部の実施形態では、化合物(I)の遊離塩基は、結晶形態FB-A-1である。一部の実施形態では、化合物(I)の遊離塩基は、結晶形態FB-A-2である。
本開示の塩または固体形態は、人間の医学または獣医学において使用するための任意の好都合な様式での投与用に製剤化され得る。一部の実施形態では、薬学的組成物に含まれる化合物または塩は、それ自体が活性であってもよいし、または例えば、生理学的環境で活性化合物に変換されることができる、プロドラッグであってもよい。
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書において、賢明な医療判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適な、化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指して用いられる。
薬学的に許容される担体/賦形剤の例としては、(1)例えばラクトース、グルコース、及びスクロース等の糖、(2)例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン、(3)例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体、(4)トラガカント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)例えばココアバター及び坐剤ワックス等の賦形剤、(9)例えばピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油等の油、(10)例えばプロピレングリコール等のグリコール、(11)例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール等のポリオール、(12)例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル、(13)寒天、(14)例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質不含水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、(21)例えばCaptisol(登録商標)等のシクロデキストリン、ならびに(22)薬学的製剤に用いられる他の無毒の適合性物質が挙げられる。
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等といった水溶性酸化防止剤、(2)例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール等といった油溶性酸化防止剤、及び(3)例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等といった金属キレート剤が挙げられる。
固体剤形(例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤等)には、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム等の1つもしくは複数の薬学的に許容される担体、及び/または以下のうちのいずれかが含まれ得る:(1)例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/またはケイ酸等の充填剤または増量剤、(2)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/またはアカシア等の結合剤、(3)例えばグリセロール等の保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート、及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤、(5)例えばパラフィン等の溶解遅延剤、(6)例えば第四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、(7)例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、(8)例えばカオリン及びベントナイトクレイ等の吸収剤、(9)例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物等の滑沢剤、ならびに(10)着色剤。
液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、微粒子乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が含まれ得る。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒等の当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油等)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル等の可溶化剤及び乳化剤、ならびにそれらの混合物を含有してもよい。
活性化合物に加えて、懸濁剤は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、寒天、トラガカント、及びそれらの混合物としての懸濁化剤を含有してもよい。
軟膏、パスタ剤、クリーム、及びゲルは、活性化合物に加えて、例えば動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛、またはそれらの混合物等の賦形剤を含有してもよい。
散剤及び噴霧剤は、活性化合物に加えて、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含有し得る。噴霧剤は、クロロフルオロハイドロカーボン(chlorofluorohydrocarbons)ならびに例えばブタン及びプロパン等の揮発性非置換炭化水素等の通例の噴射剤を追加として含有し得る。
本開示の塩または固体形態は、それ自体で、または薬学的に許容される担体と組み合わせて、例えば、0.1~99.5%(0.5~90%等)の活性成分を含有する薬学的組成物として、得ることができる。
製剤は、局所で、経口で、経皮的に、直腸内に、膣内に、非経口で、鼻腔内に、肺内、眼内に、静脈内に、筋肉内に、動脈内に、髄腔内に、嚢内に、皮内に、腹腔内に、皮下に、表皮下に、または吸入によって投与され得る。
治療方法
本開示の一部の実施形態は、治療上有効量の本開示の塩または固体形態を投与することによって、KITまたはPDGFRα阻害剤を必要とする患者を治療する方法に関する。
本開示の塩及び固体形態は、選択的KIT阻害剤である。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、選択的D816V KIT阻害剤である。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、選択的PDGFRα阻害剤である。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、選択的PDGFRαエクソン18阻害剤である。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、選択的PDGFRα D842V阻害剤である。本明細書で使用されるとき、「選択的KIT阻害剤」または「選択的PDGFRα阻害剤」とは、別のタンパク質キナーゼよりもKITタンパク質キナーゼまたはPDGFRαタンパク質キナーゼを選択的に阻害し、別のキナーゼよりもKITタンパク質キナーゼまたはPDGFRαタンパク質キナーゼに対して少なくとも2倍の選択性を示す、本開示の塩または固体形態を指す。例えば、選択的KIT阻害剤または選択的PDGFRA阻害剤は、別のキナーゼよりもKITタンパク質キナーゼまたはPDGFRαキナーゼに対して少なくとも9倍の選択性、10倍の選択性、少なくとも15倍の選択性、少なくとも20倍の選択性、少なくとも30倍の選択性、少なくとも40倍の選択性、少なくとも50倍の選択性、少なくとも60倍の選択性、少なくとも70倍の選択性、少なくとも80倍の選択性、少なくとも90倍の選択性、少なくとも100倍、少なくとも125倍、少なくとも150倍、少なくとも175倍、または少なくとも200倍の選択性を示す。一部の実施形態では、選択的KIT阻害剤または選択的PDGFRα阻害剤は、別のキナーゼ、例えば、VEGFR2(血管内皮細胞増殖因子受容体2)、SRC(非受容体型タンパク質チロシンキナーゼ)、及びFLT3(Fms様チロシンキナーゼ3)に対するよりも少なくとも150倍の選択性を示す。一部の実施形態では、選択的KITまたは選択的PDGFRα阻害剤は、PDGRFβ、CSF1R(コロニー刺激因子受容体1)、及びFLT3に対するよりも選択性を示す。
一部の実施形態では、選択的KITまたは選択的PDGFRα阻害剤は、LCK(リンパ球特異的タンパク質キナーゼ)、ABL(核内タンパク質チロシンキナーゼ)、ネバーインマイトーシス(never-in-mitosis)遺伝子A(NIMA)関連キナーゼ5(NEK5)、及びROCK1(rho関連コイルコイル継続(coil-coil-continuing)タンパク質キナーゼ-1)に対するよりも選択性を示す。一部の実施形態では、別のキナーゼよりもKITタンパク質キナーゼまたはPDGFRαタンパク質キナーゼに対する選択性は、細胞アッセイ(例えば、細胞アッセイ)で測定される。一部の実施形態では、別のキナーゼよりもKITタンパク質キナーゼまたはPDGFRαタンパク質キナーゼに対する選択性は、生化学的アッセイ(例えば、生化学的アッセイ)で測定される。
本開示の塩及び固体形態は、イオンチャネルに対するよりも選択的である。一部の実施形態では、選択的KITまたは選択的PDGFRα阻害剤は、ヒト電位依存性ナトリウムチャネル(hNav 1.2)を阻害する可能性が限定されている。
本開示の塩及び固体形態は、野生型KITよりも変異KITに対して選択的である。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、野生型KITよりもエクソン17変異KITに対して選択的である。
本開示の塩及び固体形態は、ヒトまたは非ヒトにおける変異KITまたは変異PDGFRA活性に関連する疾患または病態を治療するのに有用であり得る。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、医薬として使用するためのものである。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、治療において使用するためのものである。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、医薬の製造において使用するためのものである。一部の実施形態では、本開示は、肥満細胞症(SM)、GIST(消化管間質腫瘍)、AML(急性骨髄性白血病)、黒色腫、精上皮腫、頭蓋内胚細胞腫瘍、及び/または縦隔B細胞リンパ腫を含めた、KITにより駆動される悪性腫瘍を治療するための方法を提供する。さらに、KITにおける突然変異は、ユーイング肉腫、DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、未分化胚細胞腫、MDS(骨髄異形成症候群)、NKTCL(鼻性NK/T細胞リンパ腫)、CMML(慢性骨髄単球性白血病)、及び脳のがんに関連付けられている。一部の実施形態では、本開示は、ユーイング肉腫、DLBCL、未分化胚細胞腫、MDS、NKTCL、CMML、及び/または脳のがんを治療するための方法を提供する。KIT突然変異はまた、甲状腺癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、膀胱癌、NSCLC、及び乳癌(AACRプロジェクトGENIE)においても見出されている。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、肥満細胞活性化症候群(MCAS)を治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、全身性肥満細胞症を治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、進行した全身性肥満細胞症を治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、無痛性SM及びくすぶり型SMを治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、GISTを治療するのに有用であり得る。
本開示の塩及び固体形態は、KIT遺伝子配列のエクソン9、エクソン11、エクソン14、エクソン17、及び/またはエクソン18におけるKIT突然変異に関連する疾患または病態を治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、PDGFRA遺伝子配列のエクソン12、エクソン14、及び/またはエクソン18におけるPDGFRA突然変異に関連する疾患または病態を治療するのに有用であり得る。一部の実施形態では、KIT遺伝子配列のエクソン9、エクソン11、エクソン14、エクソン17、及び/またはエクソン18における少なくとも1つのKIT突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、PDGFRA遺伝子配列のエクソン12、エクソン14、及び/またはエクソン18における少なくとも1つのPDGFRA突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が提供される。
本開示の塩及び固体形態は、KIT遺伝子配列のエクソン17における突然変異(例えば、KITタンパク質突然変異D816V、D816Y、D816F、D816K、D816H、D816A、D816G、D816E、D816I、D816F、D820A、D820E、D820G、D820Y、N822K、N822H、V560G、Y823D、及びA829P)を有する1つまたは複数のKITタンパク質キナーゼに対して活性があり得、野生型KITタンパク質キナーゼに対しては活性がはるかに低いことが可能である。一部の実施形態では、D816V、D816Y、D816F、D816K、D816H、D816A、D816G、D816E、D816I、D816F、D820A、D820E、D820G、D820Y、N822K、N822H、V560G、Y823D、及びA829Pから選定されるKIT突然変異等の、少なくとも1つのKIT突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、例えば、C809、C809G、D816H、D820A、D820G、N822H、N822K、及びY823Dから選定されるKIT突然変異等の、少なくとも1つのKIT突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。
本開示の塩及び固体形態は、KIT遺伝子配列のエクソン11における突然変異(例えば、KITタンパク質突然変異del557-559insF、V559G/D)を有する1つまたは複数のKITタンパク質キナーゼに対して活性があり得る。一部の実施形態では、例えば、L576P、V559D、V560D、V560G、W557G、Del 554-558EVQWK、del557-559insF、Del EVQWK554-558、Del EVQWKVVEEINGNNYVYI554-571、Del KPMYEVQWK550-558、Del KPMYEVQW550-557FL、Del KV558-559、Del KV558-559N、Del MYEVQW552-557、Del PMYE551-554、Del VV559-560、Del WKVVE557-561、Del WK557-558、Del WKVV557-560C、Del WKVV557-560F、DelYEVQWK553-558、及び挿入K558NPから選定されるKIT突然変異等の、少なくとも1つのKIT突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。
本開示の塩及び固体形態は、KIT遺伝子配列のエクソン11/13における突然変異(例えば、KITタンパク質突然変異V559D/V654A、V560G/D816V、及びV560G/822K)を有する1つまたは複数のKITタンパク質キナーゼに対して活性があり得る。一部の実施形態では、エクソン11/13における1つまたは複数のKIT突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される)。
本開示の塩及び固体形態は、KIT遺伝子配列のエクソン9における突然変異を有する1つまたは複数のKITタンパク質キナーゼに対して活性があり得る。一部の実施形態では、エクソン9における少なくとも1つのKIT突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。
一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、突然変異V654A、N655T、T670I、及び/またはN680を有するKITタンパク質キナーゼに対しては活性をもたない。
本開示の塩及び固体形態は、突然変異を有する1つまたは複数のPDGFRαタンパク質キナーゼに対して活性があり得る。一部の実施形態では、例えば、PDGFRαタンパク質突然変異V561D、Del RV560-561、Del RVIES560-564、Ins ER561-562、SPDGHE566-571R、SPDGHE566-571K、またはIns YDSRW582-586等の、PDGFRA遺伝子配列のエクソン12における少なくとも1つのPDGFRA突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、例えば、PDGFRαタンパク質突然変異N659K等の、PDGFRA遺伝子配列のエクソン14における少なくとも1つのPDGFRA突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、例えば、PDGFRαタンパク質突然変異D842V、D842Y、D842I、DI842-843IM、D846Y、Y849C、Del D842、Del I843、Del RD841-842、Del DIM842-845、Del DIMH842-845、Del IMHD843-846、Del MHDS844-847、RD841-842KI、DIMH842-845A、DIMH842-845V、DIMHD842-846E、DIMHD842-846S、DIMHD842-846N、DIMHD842-846G、IMHDS843-847T、IMHDS8843-847M、またはHDSN845-848P等の、PDGFRA遺伝子配列のエクソン18における少なくとも1つのPDGFRA突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。
本開示の塩及び固体形態は、PDGFRA遺伝子配列におけるエクソン18の突然変異(例えば、タンパク質突然変異PDGFRα D842V、PDGFRα D842I、またはPDGFRα D842Y)を有する1つまたは複数のPDGFRαタンパク質キナーゼに対して活性があり得る。一部の実施形態では、例えば、タンパク質突然変異PDGFRα D842V等の、エクソン18における少なくとも1つのPDGFRA突然変異に関連する疾患または病態を治療するための方法が本明細書で提供される。
本開示の塩及び固体形態は、好酸球性障害を治療するのに有用であり得る。一部の実施形態では、好酸球性障害は、変異KITまたはPDGFRαによって媒介される。一部の実施形態では、その好酸球性障害は、野生型KITまたはPDGFRαによって媒介される。一部の実施形態では、好酸球性障害を治療するための方法が本明細書で提供され、該方法は、対象に治療上有効量の本開示の塩及び固体形態またはその薬学的に許容される塩及び/または前述のもののうちのいずれかの溶媒和物を投与することを含む。一実施形態では、好酸球性障害は、好酸球増加症候群、好酸球増多症、好酸球性胃腸炎(enterogastritis)、好酸球性白血病、好酸球性肉芽腫、及び木村病から選択される。
一部の実施形態では、好酸球性障害は、好酸球増加症候群、好酸球増多症、好酸球性胃腸炎(enterogastritis)、好酸球性白血病、好酸球性肉芽腫、及び木村病から選択される。他の好酸球性障害には、好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎(gastroenteritis)、好酸球性筋膜炎、及びチャーグ・ストラウス症候群が含まれる。
一実施形態では、好酸球性障害は、好酸球増加症候群である。特定の実施形態では、好酸球増加症候群は、特発性好酸球増加症候群である。一実施形態では、好酸球性障害は、好酸球性白血病である。特定の実施形態では、好酸球性白血病は、慢性好酸球性白血病である。別の実施形態では、好酸球性障害は、イマチニブ、スニチニブ、及び/またはレゴラフェニブでの治療に不応性である。特定の実施形態では、好酸球性障害は、イマチニブでの治療に不応性である。
本開示の塩及び固体形態は、好酸球の数の低減を必要とする対象において好酸球の数を低減するのに有用であり得る。一部の実施形態では、好酸球の数の低減を必要とする対象において好酸球の数を低減するための方法が本明細書で提供され、該方法は、対象に治療上有効量の本開示の塩及び固体形態またはその薬学的に許容される塩及び/または前述のもののうちのいずれかの溶媒和物を投与することを含む。
一実施形態では、開示される方法は、血液、骨髄、胃腸管(例えば、食道、胃、小腸、及び結腸)、または肺における好酸球の数を低減する。別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、血中好酸球の数を低減する。さらなる実施形態では、本明細書に開示される方法は、肺好酸球の数を低減する。依然としてさらなる実施形態では、本明細書に開示される方法は、好酸球前駆細胞の数を低減する。
別の実施形態では、開示される方法は、好酸球の数を(投与後に)少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低減する。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、好酸球の数を検出限界未満に低減する。
別の実施形態では、開示される方法は、好酸球前駆体の数を(投与後に)少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低減する。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、好酸球前駆体の数を検出限界未満に低減する。
本開示の塩及び固体形態は、肥満細胞障害を治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、肥満細胞症を治療するのに有用であり得る。肥満細胞症は、(1)皮膚に限定される形態を説明する皮膚肥満細胞症(CM)、及び(2)皮膚病変を伴うまたは伴わない、肥満細胞が真皮外の臓器に浸潤する形態を説明する全身性肥満細胞症(SM)の2つの群の障害に細分される。SMは、無痛性(ISM)、くすぶり型(SSM)、アグレッシブ型(ASM)、関連する非肥満細胞系列血液疾患を伴うSM(SM with associated hemotologic non-mast cell lineage disease)(SM-AHNMD)、及び肥満細胞白血病(MCL)の5つの形態さらに細分される。
SMの診断は、非肥満細胞マーカー(CD25及び/またはCD2)を頻繁に異常発現する、形態学的に異型であることが多い肥満細胞による浸潤を示す骨髄の組織学的及び細胞学的検査に部分的に基づく。SMの診断は、以下のうちの1つの関連において骨髄中の肥満細胞浸潤が起こる場合に確定される:(1)異常な肥満細胞形態(紡錘状の細胞)、(2)20ng/mLを上回る血清トリプターゼレベルの上昇、または(3)例えば、D816V等のD816突然変異等のエクソン17突然変異等の、活性化KITタンパク質突然変異の存在。
D816位における活性化突然変異は、大多数の肥満細胞症の症例(90~98%)において見出され、このうち最もよく見られる突然変異はD816V、D816H、及びD816Yである。D816V突然変異は、タンパク質キナーゼドメインの活性化ループにおいて見出され、KITキナーゼの構成的活性化につながる。
非進行型の全身性肥満細胞症であるISMまたはSSMに対して承認されている薬物は存在しない。これらの慢性疾患の管理に対する現行のアプローチには、非特異的な症状指向型治療が含まれ、これらは様々な程度の有効性を有し、MC量に対しては効果がない。クラドリビン及びインターフェロンアルファ等の細胞減少療法は、難治性の症状に対して時折使用される。現行の治療状況に基づいて、利用可能な症状指向型治療によって十分に管理することができない中等度から重度の症状を伴うISM及びSSMを有する患者における満たされていない医療上の必要性が存在する。
本開示の塩及び固体形態は、ISMまたはSSMを治療するのに有用であり得る。一部の実施形態では、ISMまたはSSMを有する患者は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つの対症療法によって十分に管理されない症状を有する。症状は、患者報告アウトカム(PRO)ツール、例えば、無痛性全身性肥満細胞症-症状評価フォーム(ISM-SAF)(ISPOR Europe 2019,Copenhagen Denmark,2-6 Nov 2019)を使用して評価され得る。本開示の塩及び固体形態は、ISMまたはSSMに関連する症状を改善する、例えば、掻痒、潮紅、頭痛、及び/または嘔吐、下痢、及び腹痛等のGI事象を低減または排除するのに有用であり得る。症状の改善は、ISM-SAFを使用して評価され得る。
本開示の塩及び固体形態は、肥満細胞活性化症候群(MCAS)、及び遺伝性アルファトリプターゼ血症(HAT)(Picard Clin.Ther.2013,May 35(5)548、Akin J.Allergy Clin.Immuno.140(2)349 62)等の他の肥満細胞障害を治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、KIT及びPDGFRα突然変異に関連する肥満細胞障害を治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、野生型KIT及びPDGFRαに関連する肥満細胞疾患を治療するのに有用であり得る。
本開示の塩及び固体形態は、肥満細胞が化学伝達物質を不適切かつ過度に放出して、ときにはアナフィラキシー発作またはアナフィラキシーに近い発作を含む、様々な慢性症状をもたらす免疫学的病態である、肥満細胞活性化症候群(MCAS)を治療するのに有用であり得る。患者が異常に増加した数の肥満細胞を有する肥満細胞症とは異なり、MCASを有する患者は、適切に機能せず「応答性亢進」と定義される、正常な数の肥満細胞を有する。MCASの種類には、原発性MCAS(モノクローナル肥満細胞活性化症候群(MMAS))、続発性MCAS(別の疾患から発生するMCAS)、及び特発性MCAS(原発性または続発性MCASを除外するMCAS)が含まれる。
本明細書では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩(例えば、本開示の塩及び固体形態)により、患者において無痛性全身性肥満細胞症(ISM)及びモノクローナル肥満細胞活性化症候群を治療するための改善された方法が開示される。本開示は、ISM及びmMCASの治療のための化合物(I)の投薬レジメンを提供する。より具体的には、本開示は、15mg~200mgの量の化合物(I)の1日1回用量を投与することによって、患者においてISM及びmMCASを治療するための方法を提供する。本開示の目的は、安全で有効な1日1回用量によりISM及びmMCASを治療する新たな方法を提供することである。
本開示の非限定的な実施形態には、以下のものが含まれる。
実施形態1.無痛性全身性肥満細胞症(ISM)またはモノクローナル肥満細胞活性化症候群(mMCAS)を治療する方法であって、それを必要とする患者に15mg~200mgの量の化合物(I)
または15mg~200mgの化合物(I)と同等の量のその薬学的に許容される塩を1日1回経口投与することを含む、前記方法。
実施形態2.前記患者がISMを有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3.前記患者が中等度から重度のISMを有する、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態4.前記患者が、ベースライン時に無痛性全身性肥満細胞症-症状評価フォーム(ISM-SAF)の合計症状スコア(TSS)≧28を有する、実施形態3に記載の方法。代替の実施形態では、前記患者は、ベースライン時にISM-SAFのTSS<28を有する。
実施形態5.前記患者が、ベースライン時に無痛性全身性肥満細胞症-症状評価フォーム(ISM-SAF)の皮膚またはGI領域における≧1の症状を有する、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
実施形態6.前記患者がmMCASを有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態7.前記量が25~100mgである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8.前記量が100mgである、実施形態7に記載の方法。
実施形態9.前記量が50mgである、実施形態7に記載の方法。
実施形態10.前記量が25mgである、実施形態7に記載の方法。
実施形態11.化合物(I)が、遊離塩基として投与される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12.化合物(I)が、前記薬学的に許容される塩として投与される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13.化合物(I)の前記薬学的に許容される塩が、前記塩である、実施形態12に記載の方法。一部の態様では、前記塩は、リン酸塩である。一部の態様では、前記塩は、ベシル酸塩である。一部の態様では、前記塩は、安息香酸塩である。一部の態様では、前記塩は、硫酸塩である。
実施形態14.治療が、肥満細胞量の低減をもたらす、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15.治療が、1つまたは複数の全身性肥満細胞症の症状をもたらす、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16.治療が、アナフィラキシーエピソードの低減をもたらす、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
実施形態17.治療が、1つまたは複数の質問票によって測定したときの生活の質(QoL)の改善をもたらす、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18.治療が、ISM-SAFによって評価したときに前記患者のTSSベースラインスコアと比較して前記患者のTSSスコアの減少をもたらす、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
一部の実施形態では、患者は、遊離塩基(本明細書に開示される遊離塩基の種々の固体形態を含む)としての化合物(I)を投与される。一部の実施形態では、患者は、薬学的に許容される塩(本明細書に開示される薬学的に許容される塩の種々の固体形態を含む)としての化合物(I)を投与される。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩は、リン酸塩である。
一部の実施形態では、本明細書に開示される量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩での患者の治療は、肥満細胞量の低減を含む。一部の実施形態では、肥満細胞量の客観的尺度には、血清トリプターゼレベル、骨髄中肥満細胞数、皮膚の肥満細胞浸潤、及び血液中のKIT D816V変異アレル量が含まれる。一部の実施形態では、肥満細胞量の客観的尺度には、血清トリプターゼ、骨髄中肥満細胞数、及び血液中のKIT D816V変異アレル量が含まれる。一部の実施形態では、50mgの量の化合物(I)または同等量のその薬学的に許容される塩での患者の治療は、患者の血清トリプターゼレベルを減少させる。一部の実施形態では、100mgの量の化合物(I)または同等量のその薬学的に許容される塩での患者の治療は、患者の血清トリプターゼレベルを減少させる。
一部の実施形態では、本明細書に開示される量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩での患者の治療は、1つまたは複数の全身性肥満細胞症の症状の低減を含む。全身性肥満細胞症の症状には、掻痒、潮紅、GIけいれん、下痢、アナフィラキシー(とりわけハチ毒に対する)、骨痛、骨粗鬆症、及び色素性蕁麻疹が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書で定義されるようなISM-SAF(自己評価フォーム)患者報告アウトカム(PRO)尺度を使用して、症状改善が評価される。一部の実施形態では、患者は、治療を受ける前にISM-SAFを1日1回記入し、患者はまた、治療を受けている間もISM-SAFを1日1回記入する。例えば、患者は、インフォームドコンセントの時点から開始してISM-SAFを一定期間、例えば、4週間記入し、その期間中、ベストサポーティブケア(BSC)による薬物療法は最適化され、安定化される。ひとたび、一定期間、例えば、4週間からのデータが収集されると、ISM-SAFは、追加の一定期間、例えば、2週間(14日間)にわたって1日1回記入され、ISM-SAFによる症状閾値に基づいて患者の適格性が決定される。次いで、適格性に対するISM-SAF閾値を満たす患者は、試験適格性を評価するためにスクリーニング手順を完了する間、ISM-SAFを1日1回記入する。
ひとたび、全てのスクリーニング手順が完了すると、ベースライン時の症状が、試験登録の直前の一定期間、例えば、14日間収集される。これらのデータは、ベースラインTSSとして使用される。ISM-SAFは、試験の完了に至るまで患者によって1日1回記入される。一部の実施形態では、試験の主要評価項目は、ベースラインからのISM-SAF TSSの平均変化量である。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩での治療は、アナフィラキシーのエピソードの数を低減する。一部の実施形態では、「アナフィラキシーのエピソード」とは、エピネフリンで治療されるアナフィラキシーのエピソードである。
一部の実施形態では、本明細書に開示される量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩での患者の治療は、1つまたは複数の質問票によって測定したときの生活の質(QoL)を改善する。QoL質問票の非限定的な例としては、MC-QoL、PGIS、SF-12、PGIC、及びEQ-5D-ELが挙げられる。MC-QoLは、ISM及びCMを有する患者において使用するために特別に開発された疾患特異的QoLツールである(Siebenhaar,F.et al.,Allergy 71(6):869-77(2016))。MC-QoLは、症状、感情、社会生活/機能、及び皮膚の4つの領域を評価する27項目を含む。項目は、2週間の想起期間を設けて5ポイントスケールで評価される。PGISは、ある時点での疾患症状についての患者の認識を評価する単一項目スケールである。PGISは、治療が有益となっているかどうかについての患者の全体的感覚を評価するために広範に使用されている。SF-12は、慢性病態を有する患者の多年にわたる研究である医学的アウトカム研究のために開発された。この尺度は、複数の健康次元を伴う群間比較の目的において精度の最低基準を達成しながら、回答者の負担を低減するために設計された。質問票は、患者の観点から8つの健康領域を使用して健康及び福祉を測定する。想起期間は4週間である。PGICは、ある時点での疾患症状の変化についての患者の認識を評価する単一項目スケールである。EQ-5D-5Lは、一般的な健康状態を測定するための標準化された尺度である。それは、健康状態の記述及び評価の2つの要素から成り立つ。健康状態は、移動の程度、身の回りの管理、ふだんの活動、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みの5つの次元(5D)の観点から測定される。回答者は、5段階スケールを使用して各次元の重症度のレベルを自己採点する。想起期間は、「今日」である(Whynes,D.K.,Health Qual Life Outcomes 6:94(2008))。
一部の実施形態では、本明細書に開示される量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩での患者の治療は、骨密度を改善する。骨密度は、腰椎及び股関節の両方を評価する二重エネルギーX線吸収測定法によって測定される。一部の実施形態では、治療は、骨密度に影響を及ぼさない。
本明細書で使用されるとき、「SD」とは、病勢安定を意味する。
本明細書で使用されるとき、「CR」とは、完全奏効を意味する。
本明細書で使用されるとき、「PFS」とは、無増悪生存期間を意味する。
本明細書で使用されるとき、「無痛性全身性肥満細胞症-症状評価フォーム」((著作権)Blueprint Medicines Corporation)または「ISM-SAF」(ISPOR Europe 2019,Copenhagen Denmark,2-6 Nov 2019)が、例えばeDiaryでの、毎日の患者報告アウトカム(PRO)評価に用いられる。ISM-SAFは、ISM及びSSMを有する患者における症状を評価するために特別に開発された12項目PROである。主として治療有効性の仮説を評価するために開発されたものの、ISM-SAFはまた、最小限のレベルの徴候及び症状の重症度に基づいて臨床試験に組み入れる(またはそれから除外する)参加者をスクリーニングするためにも使用され得る。下記の表に示す11項目は、10段階スケール(0から10、なしから最大の重症度)で採点され、1項目(下痢)はまた頻度も評価する。
ISM-SAFは、皮膚/皮膚症状スコア(SSS)の領域、GI/胃腸症状スコア(GSS)の領域、及び非特異的症状の各項目、ならびに合計症状スコア(TSS)についてスコアを生成する。TSSは、全ての症状の合算である。一態様では、TSSは、項目1~10及び12である。一態様では、GSSは、項目2~3及び12である。一態様では、SSSは、項目4~6である。一態様では、患者は、インフォームドコンセントの時点から開始してISM-SAFを4週間毎日記入し、その期間中、BSCによる薬物療法は最適化され、安定化される。ひとたび、4週間のデータが収集されると、ISM-SAFは、追加の2週間(14日間)にわたって毎日記入されて、ISM-SAFによる症状閾値に基づいて患者の適格性が決定される。適格性に対するISM-SAF閾値を満たす患者は、試験適格性を評価するためにスクリーニング手順を完了する間、ISM-SAFを毎日記入する。ひとたび、全てのスクリーニング手順が完了すると、ベースライン時の症状が、試験登録の直前の14日間収集される。これらのデータは、ベースラインTSSとして使用されることになる。
一態様では、ISMを有する患者は、最小限TSSによって特徴付けられる中等度から重度の症状を有する。一態様では、ISMを有する患者は、ISM-SAFを使用して評価したときの≧28の最小限TSSによって特徴付けられる中等度から重度の症状を有する。一態様では、中等度から重度の症状を伴うISMまたはSSMを有する患者は、ベースライン時にISM-SAFの≧28の最小限TSS及び≧1の皮膚またはGI領域における症状を有する。一態様では、ISMを有する患者は、TSS<28を有する。一態様では、ベースラインは、第1サイクル1日目(C1D1)の前の14日の期間である。一態様では、患者は、典型的なベースライン時の症状を超えては症状の急性再燃を経験していない。一態様では、患者は、適格性の決定のためのISM-SAFの開始前に至適(承認された)用量で最低4週間(28日間)施与された以下の対症療法、すなわちH1遮断薬、H2遮断薬、プロトンポンプ阻害薬、ロイコトリエン阻害剤、クロモリンナトリウム、コルチコステロイド、またはオマリズマブのうちの少なくとも2つにより、治験責任医師によって決定される1つまたは複数のベースライン時の症状の症状管理の達成に至らなかった。一態様では、患者は、<20ng/mLのベースライン血清トリプターゼを有する。一態様では、患者は、≧20ng/mLのベースライン血清トリプターゼを有する。
一態様では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩での患者の治療は、ISM-SAFによって評価したときに患者のTSSベースラインスコアと比較してTSSスコアの減少をもたらす。一態様では、患者のTSSは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23だけ減少する。
一態様では、ISMを有する患者は、KIT D816V突然変異を有する。KIT D816V突然変異は、検出限界(LOD)が0.022%の変異アレル頻度(MAF)であるデジタル液滴ポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)アッセイ等の高感度アッセイによって検出され得る。
本明細書で使用されるとき、「BSC」とは、ベストサポーティブケアを意味する。より具体的には、ベストサポーティブケアによる薬物療法の例としては、以下のものが挙げられる:
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物(I)または薬学的に許容される塩で治療される患者は、プロトンポンプ阻害薬を共投与される。一部の実施形態では、患者は、本明細書の化合物(I)または薬学的に許容される塩で治療され、絶食状態でプロトンポンプ阻害薬を共投与される。一部の実施形態では、患者は、本明細書の化合物(I)または薬学的に許容される塩で治療され、中脂肪食の後にプロトンポンプ阻害薬を共投与される。一部の実施形態では、患者は、本明細書の化合物(I)または薬学的に許容される塩で治療され、高脂肪食の後にプロトンポンプ阻害薬を共投与される。
本明細書で使用されるとき、「有害事象(adverse event)」または「AE」とは、薬物に関連するとみなされるかどうかを問わず、ヒトにおける薬物の使用に関連するあらゆる不都合な医療上の出来事である。AE(別称、有害事象(adverse experience))は、因果関係についてのいかなる判定も伴わず、薬物の使用に一時的に関連するあらゆる好ましくない意図されない徴候(例えば、臨床検査所見異常)、症状、または疾患である。AEは、薬物のあらゆる使用(例えば、適応外使用、別の薬物との併用)から、及びあらゆる投与経路、製剤、または用量(過量を含む)から発生し得る。
本明細書で使用されるとき、組成物または剤形の用量、量、またはその成分の重量パーセントに関連して使用される場合の「約」及び「およそ」という用語は、明記される用量、量、または重量パーセントから得られる薬理効果と同等の薬理効果を提供することが当業者によって認識される、明記される用量、量、もしくは重量パーセントの値、または用量、量、もしくは重量パーセントの範囲を含む。
本開示は、無痛性全身性肥満細胞症を治療する方法を提供し、該方法は、それを必要とする患者に15mg~200mgの量の化合物(I)または55mg~200mgの化合物(I)と同等の量のその薬学的に許容される塩を1日1回投与することを含む。一部の実施形態では、それを必要とする患者は、10mg~200mgの量の化合物(I)を1日1回投与される。一部の実施形態では、それを必要とする患者は、15mg、25mg、50mg、100mg、125mg、150mg、175mg、または200mgの化合物(I)(または15mg、25mg、50mg、100mg、125mg、150mg、175mg、もしくは200mgの量の化合物(I)と同等の量のその薬学的に許容される塩)を1日1回投与される。一部の実施形態では、量は、1日1回50mg~200mgである。一部の実施形態では、量は、1日1回100mg~200mgである。一部の実施形態では、量は、1日1回50mg~100mgである。
本開示の塩及び固体形態は、遺伝性アルファトリプターゼ血症(HAT)(TPSAB1の過剰発現により引き起こされるトリプターゼの上昇))を治療するのに有用であり得る。
他の肥満細胞疾患には、肥満細胞媒介性喘息、アナフィラキシー(特発性、Ig-E媒介性及び非Ig-E媒介性を含む)、蕁麻疹(特発性及び慢性を含む)、アトピー性皮膚炎、腫脹(血管性浮腫)、過敏性腸症候群、肥満細胞性胃腸炎、肥満細胞性大腸炎、掻痒、慢性掻痒、慢性腎不全に続発する掻痒、ならびに肥満細胞に関連する心臓、血管、腸、脳、腎臓、肝臓、膵臓、筋肉、骨、及び皮膚の病態が含まれる。一部の実施形態では、肥満細胞疾患は、変異KITまたは変異PDGFRαに関連しない。
KIT及びPDGFRA突然変異は、GISTにおいて大規模に研究されている。本開示の塩及び固体形態は、KIT突然変異に関連するGISTを治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、切除不能または転移性GISTを治療するのに有用であり得る。80%近くの転移性GISTは、KIT遺伝子配列の細胞外領域(エクソン9)または膜近傍(JM)ドメイン(エクソン11)のいずれかに一次活性化突然変異を有する。多くの変異KIT腫瘍は、BCR-ABL、KIT、及びPDGFRAタンパク質を特異的に阻害する選択的チロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブ等の標的療法での治療に応答する。しかしながら、ほとんどのGIST患者は、最終的には、イマチニブの結合親和性を著しく減少させるKITにおける二次突然変異に起因して再発する。これらの耐性突然変異は、当該キナーゼ遺伝子のアデノシン5-三リン酸(ATP)結合ポケット(エクソン13及び14)または活性化ループ(エクソン17及び18)内で常に発生する。GISTに対して現在承認されている薬剤のうち、選択的標的薬剤であるものは何一つ存在しない。GISTの治療に対してイマチニブが現在承認されており、イマチニブの後に多標的キナーゼ阻害剤が使用される。多くの症例において、例えば、スニチニブ、レゴラフェニブ、及びミドスタウリン等のこれらの多標的キナーゼ阻害剤は、イマチニブ耐性変異を弱く阻害するにすぎず、及び/または多標的キナーゼ阻害剤は、より複雑な安全性プロファイル及び狭い治療濃度域によって制限される。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、イマチニブで治療されたことがある患者においてGISTを治療するのに有用であり得る。本開示の塩及び固体形態は、第一選択(1L)、第二選択(2L)、第三選択(3L)、または第四選択(4L)療法としてGISTを治療するのに有用であり得る。
本開示の塩及び固体形態は、KITにおける特定の突然変異が不在であるかまたは存在する場合にGISTを治療するのに有用であり得る。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、KITにおける特定の突然変異が不在である場合、GISTを治療することができる。ある特定の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、KITにおける特定の突然変異が存在する場合、GISTを治療することができない。一部の実施形態では、本開示の塩及び固体形態は、KIT ATP結合ポケットの突然変異(KITタンパク質突然変異V654A、N655T、及び/またはT670I)を有する患者においては臨床的有用性を提供しない。
本開示の塩及び固体形態は、PDGFRA突然変異に関連するGISTを治療するのに有用であり得る。5~6%の切除不能または転移性GISTの患者において、PDGFRAの遺伝子配列のエクソン18における活性化ループのタンパク質アミノ酸842の突然変異が一次突然変異として起こる。
本開示の塩及び固体形態は、AMLの治療においても有用であり得る。AML患者もまたKIT突然変異を有し、これらの突然変異の大部分がKITタンパク質のD816位にある。
本明細書では、化合物(I):
の結晶質リン酸塩である形態Aの調製ための改善されたプロセスが開示され、該プロセスは、2-MeTHF/アセトン/水を含む有機溶媒混合物中でリン酸を用いて化合物(I)のリン酸塩を形成することを含む。一実施形態では、有機溶媒混合物の比は、1.0体積の2-MeTHF:1.0体積のアセトン:1.3~2.0体積の水である。一実施形態では、リン酸の量は、1.0当量の化合物(I)に対して1.1当量である。一実施形態では、該プロセスは、アセトンを添加することによって化合物(I)のリン酸塩である形態Aを結晶化させることをさらに含む。一実施形態では、アセトンは、4~8時間の期間にわたって添加される。
以下の実施例は、例示説明することを意図するものであり、本開示の範囲をいかようにも限定することは意図しない。
分析条件
X線粉末回折(XRPD)
Bruker
本明細書に開示される遊離塩基及びリン酸塩のXRPDは、実施例10(条件は当該実施例で言及される)を除いて、反射モードでLYNXEYE検出器を装備したBruker D8 Advanceを使用して実施した(すなわち、ブラッグ・ブレンターノジオメトリ)。試料は、Siゼロリターンウエハ(zero-return wafer)上で調製した。使用したXRPD法に対するパラメータを下記に列挙する。
Rigaku
本明細書に開示されるベシル酸塩、安息香酸塩、及び硫酸塩のX線粉末回折は、反射モードでRigaku MiniFlex 600を使用して実施した(すなわち、ブラッグ・ブレンターノジオメトリ)。試料は、Siゼロリターンウエハ(zero-return wafer)上で調製した。使用したXRPD法に対するパラメータを下記に列挙する。
同時の熱重量分析及び示差走査熱量測定(TGA及びDSC)
TGA及びDSCは、Mettler Toledo TGA/DSC3+を使用して同じ試料に対して同時に実施した。保護及びパージガスは、それぞれ20~30mL/分及び50~100mL/分の流量での窒素であった。所望の量の試料(5~10mg)を小さい穴のある密閉型アルミニウムパン中で直接秤量し、下記のパラメータに従って分析した。
示差走査熱量測定(DSC)
DSCは、Mettler Toledo DSC3+を使用して実施した。試料(1~5mg)を小さい穴のある40μLの密閉型アルミニウムパン中で直接秤量し、下記のパラメータに従って分析した。
H-核磁気共鳴分光法(H-NMR)
プロトンNMRは、Bruker Avance 300MHz分光計で実施した。固体を4mLバイアル中、0.75mLの重水素化溶媒に溶解させ、NMR管(Wilmad 5mm薄壁8インチ、200MHz、506-PP-8)に移し、以下のパラメータに従って分析した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
HPLCは、Agilent 1220 Infinity LCを使用して実施した。機器の流量範囲は0.2~5.0mL/分であり、操作圧力範囲は0~600barであり、温度範囲は周囲温度の5℃超から60℃であり、波長範囲は190~600nmである。
HPLCは、ダイオードアレイ検出器(DAD)を装備したAgilent 1220 Infinity 2 LCを使用して実施した。機器の流量範囲は0.2~5.0mL/分であり、操作圧力範囲は0~600barであり、温度範囲は周囲温度の5℃超から60℃であり、波長範囲は190~600nmである。
HPLCは、Hitachi LaChrom HPLCを使用して実施した。機器の流量範囲は0.2~10.0mL/分であり、操作圧力範囲は0~412barであり、温度範囲は周囲温度の5℃超から60℃であり、波長範囲は190~600nmである。
この研究を使用して行ったHPLC法を下記に示す。
カールフィッシャー滴定
水分量決定のためのKF滴定は、隔膜付きの電流発生器セル及びダブルプラチナピン電極を装備したMettler Toledo C20S電量KF滴定装置を使用して実施した。機器の検出範囲は、1ppm~5%の水分である。アノード区画及びカソード区画の両方でAquastar(商標)CombiCoulomatフリットレス試薬を使用した。およそ0.03~0.10gの試料をアノード区画に溶解させ、溶液のポテンシャルが100mVを下回って低下するまで滴定した。1重量%Hydranal水標準品を試料分析前の検証に使用した。
顕微鏡観察
光学顕微鏡観察は、2.5倍、10倍、20倍、及び40倍対物レンズならびに偏光子を装備したZeiss AxioScope A1デジタルイメージング顕微鏡を使用して行った。画像は、内蔵のAxiocam 105デジタルカメラにより取得し、Zeissによって提供されるZEN2(blue edition)ソフトウェアを使用して処理した。光学顕微鏡観察は、MiniVID USB 2.0、5.1MPデジタルカメラを装備したHund Wetzlar Wilovert 30倒立顕微鏡を使用して行った。
実施例1:化合物(I)の塩の調製
85mg/mLの濃度を有する原液をTFE中で調製した。14種の異なる対イオン(例えば、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、リン酸、硫酸、クエン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、塩酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び酢酸)の原液をEtOH中で調製した。352μL(30mg)の遊離塩基溶液を各バイアルに加えた。1.1及び/または2.2当量の適切な対イオン原液を各バイアルに加えた。バイアルを45℃で2時間撹拌したまま放置してからキャップを外し、大気下で一晩撹拌しながら40℃で放置して蒸発させた。次いでバイアルを50℃の能動的真空下に3時間置いて、完全に乾燥させた。次いでおよそ20体積(600μL)のスクリーニング溶媒を各バイアルに加え、試料を撹拌(450rpm)しながら45℃まで加熱した。顕著な沈殿またはゴム状化を示すバイアルは、完全な混合を確実にするために頻繁にボルテックスした。2時間後、試料を室温で撹拌したまま放置した。室温でスラリーが観察されたとき、特性評価のために固体を濾過した。
類似の実験をEtOAc及びIPA:水(9:1体積)中でも実施した。
この塩スクリーニングから、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、コハク酸、及びリン酸について結晶性塩が観察された。
結晶性塩を特性評価し、融点、結晶化度、乾燥及び湿潤曝露時の安定性、水への溶解度、多形性、ならびに対イオンの受容性に基づいて実用可能性に関して評価した。
ベシル酸塩、安息香酸塩、及びリン酸塩は全て、それらが乾燥及び/または加湿後の再乾燥に対して安定であったと共に、全てが150℃を上回る融点を示したため、これらをさらなる調査のためのスケールアップに選択した。硫酸塩もさらなる調査のために選定した。
対照的に、マレイン酸及び酢酸を用いたスクリーニングから単離された固体は、それらが塩であることが確認されなかったため選択されなかった。スクリーニング全体にわたって全てが安定な結晶パターンをもたらしたものの、酢酸塩及びリンゴ酸塩の両方についてはNMRにより対イオンの化学量論組成は観察されなかった。リンゴ酸塩はまた、加湿後に可視的に異なる外見も有し、低融点と同時に難水溶性を示した。
HClは、観察された結晶パターン及び非晶質固体の両方が高湿度で潮解し、望ましい対イオンにもかかわらず物理化学的特性が良好でないため選択されなかった。メシル酸塩及びトシル酸塩は、対イオンの良好でない受容性、それらの結晶化度の低さ、ならびに加湿時の固体(非晶質または結晶質)の潮解のため選択されなかった。硫酸は2つのパターンを示し、これらは両方とも加湿に対して安定であったが、9-Aは良好でない熱挙動を示し、9-Bは加湿後に硬い鋲状の固体となった。
実施例2:化合物(I)の非晶質リン酸塩の調製
非晶質材料を水及びt-BuOH:水(6:4体積)からの凍結乾燥によって生成した。約540mgの化合物(I)のリン酸塩である形態A(実施例5)を20mLシンチレーションバイアル中に秤量し、続いて溶媒を添加した。水については、室温で撹拌しながら20mLを3段階で添加したが、溶解は得られなかった。バイアルを75℃のホットプレート上に移すと、数分以内に完全な溶解が達成された。しかしながら、溶液は、約10分間の撹拌後に再び沈殿した。t-BuOH:水については、最初の混合物の比は(9:1体積)であったが、75℃での溶解を達成するためにそれを(6:4体積)に再調整した。溶液を300mLビーカーに移し、総計約500体積のt-BuOH:水(6:4体積)を添加した。
溶液を複数の20mLバイアルに分割し、各々を液体窒素におよそ2分間浸漬して凍結させた。固体を凍結乾燥機に移し、一晩維持した。凍結乾燥によって生成された固体のXRPD分析により非晶質パターンが確認された。図12を参照されたい。
実施例3:化合物(I)のリン酸塩である形態Gの調製及び特性評価
非晶質スラリー実験:
約62mgの非晶質材料(化合物(I)のリン酸塩)を4mLバイアル中に秤量し、1mLのIPA:水(9:1体積)を室温で撹拌しながら添加した。バイアルの底にゴムを有する透明な溶液が形成され、このゴムは、超音波処理によってもボルテックスによっても破砕されなかった。試料を室温で2日間撹拌したまま放置した後、それは濃厚で流動性の白色のスラリーに変化した。アリコートをとり、XRPD分析により形態G+形態Aが確認された。室温の撹拌プレート上で9日後、XRPD分析により高結晶性の形態Gが確認された。形態Gは、50℃の静的真空下で一晩乾燥させた後に結晶化度が低下し、高結晶性Gの試料を周囲条件でXRPDプレート上に放置すると、4日後に結晶化度が低下した。
特性評価
結晶パターンG(湿潤)の同時のTGA/DSCサーモグラムにより、40~140℃で30重量%の質量損失と共に、この温度範囲内で3つの吸熱事象が示された(図2C)。融解に対応する第4の吸熱ピークが149.6℃の開始温度で観察され、これは144.7℃に開始温度を有する以前の研究で得られたパターンGの吸熱ピークと一致していた(図2D)。
DSC及びNMR分析は、形態Gが水和物であることを示す(DSCにより<100℃での質量損失、及びNMRによりわずか0.3重量%のIPAが観察される)。KF分析により、試料内の1.3モル当量の水分を裏付ける試料中3.75重量%の水分が決定された。
形態Gの安定性を試験するために、それを40℃及び相対湿度75%に7日間供した。約10mgの化合物(I)のリン酸塩である形態Gを4mLバイアル中に秤量し、キムワイプで覆った。バイアルを、NaCl飽和水溶液を含有する20mLバイアルの中に入れた。このシステムを40℃のホットプレート上に置いて、相対湿度75%の雰囲気を作り出し、7日間置いた。次いで固体をXRPD分析のためにプレートした。1週間後、XRPDにおけるいくつかのピークシフトが観察され、これらのシフトは形態Oとよく一致したが、それらは同程度に良好には分解されない。
実施例4:化合物(I)のリン酸塩である形態Oの調製及び特性評価
ポリマーを使用して沈殿を促進する実験を、2溶媒系及び2つの異なるポリマーを使用して完了した(表45)。約30mgの化合物(I)のリン酸塩である形態Aを2mLバイアル中に秤量し、溶媒を室温で撹拌しながら添加した。アセトン:水(7:3体積)については、完全な溶解を達成するために1.4mLを添加し、THF:水(7:3体積)については、400μLを添加した。ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーを、沈殿について監視しながら、一度にスパチュラ先端一杯分で漸増的に添加した。溶液はポリマーを添加するほどより粘稠になり、濃厚で粘稠な透明の溶液に変化し、4つ全ての試料中で沈殿は何ら観察されなかった。試料を撹拌プレート上に放置し、8日後、PEGと共にTHF:水(7:3体積)中で調製された試料中で濃厚な白色のスラリーが形成した。この試料から収集した湿潤ケークに対するXRPD分析により形態Oが確認された。
実施例5:化合物(I)のリン酸塩である形態Aの調製及び特性評価
5.1.小規模調製
399.4mgの化合物(I)(遊離塩基)を20mLシンチレーションバイアル中に秤量し、撹拌棒を加えた。10体積(4mL)のTFEを添加して、撹拌しながら45℃で固体を溶解させた。1.1当量(3.5mL)のリン酸原液を遊離塩基の溶液に滴加すると、白色の沈殿物が即座に見て取れるようになった。溶液を45℃で1時間撹拌し続けてからキャップを除去し、温度を40℃に調整し、溶媒を週末にわたって蒸発させた。45℃で撹拌している間、白色の沈殿物は消失し、桃色のゴムのみが存在した。ゴムは、超音波処理及びボルテックスにより破砕するであろうが、「ゴムの玉」は、撹拌する間に迅速に再発生することになろう。次いでバイアルを50℃の能動的真空下に3時間置いた。ひとたび取り出すと、バイアルは灰白色の固体を含んでいた。20体積のEtOH(8.0mL)をバイアルに加えると、灰白色のスラリーがほぼ即時に現れた。スラリーを45℃で1時間、次いで室温で一晩撹拌させた。
灰白色のスラリーをXRPD分析のために試料採取し、形態Aが確認された。スラリーを濾過し、2×1.5体積(599μL)のEtOHで洗浄し、50℃の真空下に置いて乾燥させた。
385.2mg(収率81%、対イオン補正済み)の白色の固体が収集され、63%の乾燥減量(LOD)が観察された。
TGA分析により、120℃までで0.3重量%の徐々の質量損失、続いて210℃までで融解に対応する1.9重量%の損失が示された(図1B)。DSCにより、161.3℃の開始温度を有する小さな吸熱、及び191.8℃の開始温度を有するより大きな吸熱の2つの吸熱事象が示された(図1C)。
API:CI(対イオン)比は、H NMRによって確認されなかったが、残留溶媒は、0.45重量%のEtOHであることが見出された。顕微鏡観察により、小さな針が明らかとなった。
リン酸塩の純度は、HPLCによって98.20a/a%であることが見出された。
5.2.大規模調製
5.2.1
45~55℃のTHF(405kg)中の化合物(I)の(遊離塩基)(21.8kg)の溶液を炭素フィルターに通して濾過した。得られた溶液を60~70℃まで加熱し、蒸留して321kgのTHFを除去した。この濃縮溶液に、16.5重量%のリン酸水溶液(27kg、1.1当量)を混合物と共に40~50℃で添加した。洗浄水(15kg)を装入し、続いて40~50℃でさらに真空蒸留しておよそ40kgを除去した。得られた混合物に、40~50℃のアセトン(24kg)、次いで化合物(I)リン酸塩の種晶(26g)を装入した。アセトンのさらなる仕込量(260kg)を添加し、次いで混合物を15~25℃まで冷却した。化合物(I)のリン酸塩をアセトン/水/THF(47kg/6.4kg/7.3kg)の混合物で2回濾過洗浄することによって単離して、26.1kg、収率>99%、及び純度99.9%を得た。
5.2.2
周囲温度の反応器R1に2-MeTHF(52mL)、アセトン(52mL)、水(70mL)を撹拌しながら装入し、続いて化合物(I)遊離塩基(25g、1当量)及び濃縮HPO(6.7g、76.3重量%アッセイ、1.1当量)を添加した。R1中の混合物を50℃まで加熱し、次いで別個の反応器R2中に研磨濾過(polish filtered)し、それを約47℃で予備加熱した。アセトン(8.7mL)をR2に約47℃で添加し、続いて化合物(I)リン酸塩の種晶(0.25g、1重量%)を添加した。混合物を約47℃で0.5時間撹拌した。アセトンの残部(450mL)を、同じ温度で6時間かけてゆっくりと撹拌しながら添加した(240mLを最初の4時間で添加し、次いで残りの210mLを2時間で添加した)。得られたスラリーを20~25℃まで18時間冷却し、濾過した。湿潤ケークを2-MeTHF:アセトン:水の混合物(9:80:11、38mL×2)で洗浄し、次いで50℃で真空乾燥させて、27.5gの化合物(I)リン酸塩を固体として、収率93%及びHPLC純度99.94%で得た。XRPD分析は、得られた化合物(I)のリン酸塩が結晶形態Aであることを示す。
化合物(I)リン酸塩である形態Aを作製するための元のプロセスをTHF/アセトン/水の溶媒混合物中で実施した。しかしながら、表Aに示すように、この溶媒混合物を使用して調製された化合物(I)リン酸塩である形態Aにおける残留THFは、THFに対するInternational Council for Harmonization(ICH)残留溶媒ガイドラインによる最大許容限度(≦720ppm)に近かったか、またはそれを上回った。THFは、ICHガイドラインに従って、固有の毒性のため医薬品中において制限されるとみなされるクラスII溶媒である。
したがって、化合物(I)リン酸塩である形態Aを作製する改善されたプロセスを、結晶化プロセスにおいてTHFの代わりに2-MeTHFを使用して開発した。2-MeTHFは、ICHガイドラインに従って、最大許容限度が5000ppmであるクラスIII溶媒(毒性の可能性が低い溶媒)である。R&Dデータは、新たに開発された2-MeTHFプロセスにより、残留2-MeTHFを頑強に制御しながら良好な品質の化合物(I)リン酸塩である形態Aが生産されることを示す(表B)。
5.2.化合物(I)のリン酸塩である形態AのためのAPIと対イオンとの比
APIと対イオンとの比を決定するために、既知の濃度の化合物(I)の遊離塩基及び化合物(I)のリン酸塩である形態Aの両方をメスフラスコ中でおよそ0.5mg/mLの濃度になるよう調合した。次いでこれらの試料をHPLC分析のために注入した。主APIピーク下の総面積カウントを強度評価のために比較した。強度は88%であることが決定され、これは0.8モル当量のリン酸と同等である。誘導結合プラズマ原子発光分光分析法(ICP OES)もまた形態Aに対して完了した。リン含量は4.65重量%であることが決定され、これは一リン酸の理論上のリン含量である4.94重量%とよく一致する。
5.3.安定性試験
A.短期スラリー
短期スラリーを重量溶解度評価に従って、14種の溶媒中、2つの温度で実施した。スラリーを含有するバイアルを遠心分離し、沈殿した固体を回収し、XRPD分析のために濾過した。結果の要約を表46に提示する。室温のNMP、DMAc、及びDMSO中で調製された試料は、溶液中に残り、固体は何ら収集されなかった。全ての他の23個の試料はスラリーを形成し、形態Aは21個の試料から得られた。遊離塩基である形態A(FB-A)+リン酸塩である形態Aが50℃の水中で得られ、これはリン酸塩の不均化を示している。50℃のTFE中で得られたパターンは、HPLC分析によって確認すると、分解副生成物からのものであった。
B.長期スラリー及び低速蒸発
低速蒸発及び長期スラリー実験を10種の異なる溶媒/溶媒系において準備した(表47)。約8mgの化合物(I)のリン酸塩である形態Aを2mL HPLCバイアル中に秤量し、1.5mLの溶媒を35℃で撹拌しながら添加した。
アセトン:水(7:3体積)及びACN:水(8:2体積)中の固体は、完全に溶解した。これらの試料を低速蒸発による結晶化に向けて準備した。細いゲージの針をバイアルキャップに挿入し、溶媒を35℃で撹拌しながら放置して蒸発させた。未希釈の溶媒中の試料は、希薄なスラリーであり、固体は、完全には溶解しなかった。これらの試料を長期スラリーに使用した。水和物形成の可能性について探るために、水(75μL)をいくつかの試料(表47)に添加し、ACN、THF、及びMeOAc中の試料を10℃のコールドプレートに移した。10日後、未希釈の溶媒中の試料を濾過し、XRPDによって分析した。リン酸塩である形態Aが全ての試料で得られた。遊離塩基である形態FB-Aが2つの低速蒸発試料から得られた。
C.粉砕
粉砕媒体として1/4インチステンレス鋼ボールを用いたWig-L-Bugボールミルを使用して、乾式及び溶媒滴粉砕を行った。約30mgの固体(化合物(I)のリン酸塩である形態A)を各容器中に秤量し、1体積の溶媒を添加した。粉砕は、粉砕間の固化を最小限に抑えるために固体を容器壁からこすり落としながら、3,800rpmにて3×30秒単位で実施した。得られたパターンの要約を表48に示す。XRPD分析により、乾式粉砕から得られた固体が非晶質+微量の形態Aを有することが示された。
実施例6:化合物(I)のベシル酸塩の調製及び特性評価
6.1.ベシル酸塩である形態1-Aの調製
386.5mgの化合物(I)遊離塩基を20mLシンチレーションバイアル中に秤量し、撹拌棒を加えた。10体積(4mL)のTFEを添加して、撹拌しながら45℃で固体を溶解させた。1.1当量(4.3mL)のベンゼンスルホン酸原液を遊離塩基の溶液に滴加し、可視的な変化は何ら起こらなかった。溶液を45℃で1時間撹拌し続けてからキャップを除去し、温度を40℃に調整し、溶媒を週末にわたって蒸発させた。次いでバイアルを50℃の能動的真空下に3時間置いた。ひとたび取り出すと、バイアルは、バイアル壁面に薄いオレンジ色のゲル/フィルムを含み、可視的な固体は何ら存在しなかった。20体積のEtOH(7.7mL)をバイアルに加えると、灰白色のスラリーがほぼ即時に現れた。いくらかのオレンジ色の外皮が壁面に見て取れた。スラリーを45℃で1時間、次いで室温で一晩撹拌させた。
灰白色のスラリーをXRPD分析のために試料採取し、ベシル酸塩である形態1-Aが確認された。スラリーを濾過し、2×1.5体積(580μL)のEtOHで洗浄し、50℃の真空下に置いて乾燥させた。98.4mg(収率20%、対イオン補正済み)の白色の固体が収集され、71%のLOD(乾燥減量)が観察された。
TGAにより、120℃までで0.9重量%の質量損失、及び200℃までで0.8重量%の損失が示された(図4B)。DSCサーモグラムにおいて189.4℃の開始温度を有する1つのみの吸熱事象が観察された(図4C)。化学量論組成は、H NMRによっておよそ1:2のAPI:CIであることが確認された。いくつかの重複するピークのため、厳密な化学量論組成は入手困難である。残留溶媒は、0.17重量%のEtOHであることが見出された。
ベシル酸塩スケールアップに対する純度は、HPLCによって93.12a/a%であることが見出された。
6.2.ベシル酸塩である形態1-Bの調製
ベシル酸塩である形態1-Bは、ベシル酸塩である形態1-Aを湿度試験に供し、再乾燥させた後に形成された。
実施例7:化合物(I)の安息香酸塩の調製及び特性評価
7.1.安息香酸塩である形態2-Aの調製
389.8mgの化合物(I)遊離塩基を20mLシンチレーションバイアル中に秤量し、撹拌棒を加えた。10体積(4mL)のTFEを添加して、撹拌しながら45℃で固体を溶解させた。1.1当量(3.5mL)の安息香酸原液を遊離塩基の溶液に滴加し、可視的な変化は何ら起こらなかった。溶液を45℃で1時間撹拌し続けてからキャップを除去し、温度を40℃に調整し、溶媒を週末にわたって蒸発させた。次いでバイアルを50℃の能動的真空下に3時間置いた。ひとたび取り出すと、バイアルは灰白色の固体、ならびにバイアル壁面にオレンジ色の外皮を含んでいた。20体積のEtOAc(7.8mL)をバイアルに加えると、灰白色のスラリーがほぼ即時に現れた。いくらかのオレンジ色の外皮が壁面に見て取れた。スラリーを45℃で1時間、次いで室温で一晩撹拌させた。
灰白色のスラリーをXRPD分析のために試料採取し、安息香酸塩である形態2-Aが確認された。スラリーを濾過し、2×1.5体積(585μL)のEtOAcで洗浄し、50℃の真空下に置いて乾燥させた。347.1mg(収率72%、対イオン補正済み)の白色の固体が収集され、54.7%のLODが観察された。
TGA分析により、120℃までで0.2重量%の質量損失、続いて200℃(融解を伴う)までで5.4重量%の損失が示された(図6B)。DSCサーモグラムにより、171.3℃及び180.8℃で2つの吸熱が示された(図6C)。化学量論組成は、H NMRによって1:1のAPI:CIであることが確認され、残留溶媒は、0.83重量%のEtOAcであることが見出された。顕微鏡観察により、小さな棒及び針が明らかとなった。
安息香酸塩の純度は、HPLCによって96.53a/a%であることが見出された。
7.2.安息香酸塩である形態2-Bの調製
安息香酸塩である形態2-Bは、安息香酸塩である形態2-Aを湿度試験に供し、再乾燥させた後に形成された。
実施例8:化合物(I)の硫酸塩の調製及び特性評価
IPA:水(9:1体積)中85mg/mLの濃度を有する硫酸原液をTFE中で調製した。352μL(30mg)の遊離塩基溶液をバイアルに添加した。1.1当量の硫酸原液をバイアルに添加した。バイアルを45℃で2時間撹拌したまま放置してからキャップを外し、大気下で一晩撹拌しながら40℃で放置して蒸発させた。次いでバイアルを50℃の能動的真空下に3時間置いて、完全に乾燥させた。次いでおよそ20体積(600μL)のスクリーニング溶媒をバイアルに加え、試料を撹拌(450rpm)しながら45℃まで加熱した。試料を室温で撹拌したまま放置した。固体を特性評価のために濾過した。XRPD分析により、硫酸塩である形態9-Aが形成されたことが示される。
実施例9:非晶質化合物(I)の遊離塩基
化合物(I)遊離塩基の溶解度を様々な溶媒中で試験した(表49)。
化合物(I)遊離塩基の溶解度は、アセトニトリル(ACN):水(7:3体積)、tert-ブタノール(t-BuOH)、及びt-BuOH:水(9:1体積)中で比較的良好であった。これらの溶液をシリンジ濾過によって濾過してから(試料83-1及び83-2)、凍結乾燥実験に使用した。試料を最初に液体窒素中で凍結させ、次いで凍結乾燥機(0.045mbar、コレクター温度-89℃)の真空システムに入れた。室温での真空乾燥を一晩行い、次いで試料を取り出し、XRPD分析のために調製した。試料をパラフィンで包んだバイアルに保管し、ベンチ上で、室温で放置した翌日、XRPD(図14を参照されたい)を記録した。
実施例10:化合物(I)遊離塩基の調製
(S)-2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノールの合成
6-ブロモ-4-クロロピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジンの合成:
トルエン(100mL)中の6-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-オール(10.0g、46.7mmol)、オキシ塩化リン(13.0mL、140mmol)、及びトリエチルアミン(13.0mL、93.5mmol)の混合物を120℃で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。残渣を、EtOAc/石油エーテル1:10から1:2で溶出させながらシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(9.4g、収率87%)を淡黄色の固体として得た。MS (ES+) CBrClN所要値(requires): 231, 実測値: 232, 234 [M+H]
(S)-1-(2-(4-(6-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)-1-(4-フルオロフェニル)エタンアミンの合成:
ジオキサン(20mL)中の(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタンアミン塩酸塩(2.00g、6.63mmol)、6-ブロモ-4-クロロピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン(2.31g、9.94mmol)、及びトリエチルアミン(2.00g、19.8mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。LC-MSにより、反応物が完全に変換したことが示された。混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=20/1)によって精製して、表題化合物(1.51g、収率45%)を白色の固体として得た。MS (ES+) C2222BrFN所要値: 496, 実測値: 480 [M-16]
(S)-2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(化合物(I))の合成:
ジオキサン/水(20mL/2mL)中の(S)-1-(2-(4-(6-ブロモピロロ[1,2-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)-1-(4-フルオロフェニル)エタンアミン(500mg、1.00mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(285mg、1.20mmol)、Pd(dppf)Cl(219mg、300μmol)、及びNaCO(317mg、3.00mmol)の混合物をN下、100℃で一晩撹拌した。LC-MSにより、反応物が完全に変換したことが示された。混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=15/1)及び分取HPLC(移動相:A=水(0.1%NHHCO)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%-95%;カラム:Xtimate 10um 150A 21.2×250mm)によって精製して、表題化合物(154.0mg、収率29%)を白色の固体として得た。MS (ES+) C2729FN10O所要値: 528, 実測値: 529 [M+H]H-NMR (400 MHz, 6d-DMSO) δ ppm 8.40 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.49-7.44 (m, 2H), 7.24 (s, 1H), 7.14-7.07 (m, 2H), 4.95 (t, 1H, J = 5.2 Hz), 4.16-4.12 (m, 2H), 4.11-4.07 (m, 4H), 3.92-3.88 (m, 4H), 3.77-3.72 (m, 2H), 2.44 (br. S., 2H), 1.73 (s, 3H).
得られた生成物のXRPDスペクトル(図15)及びピーク(表50)を下記に示す。
実施例11:遊離塩基結晶形態間の相互変換
遊離塩基化合物(I)の同じ結晶形態は、種々の量の水を含有し得(すなわち、チャネル水和物)、したがって、異なる副形態、例えば、形態FB-A-0(一水和物)、FB-A-1(準安定な水和物)、及びFB-A-2(脱水物)として特徴付けられる。結晶形態FB-A、FB-A-1、及びFB-A-2は、互いの間で相互変換され得る。例えば、形態FB-A-1は、50℃のMeOHもしくはEtOH中でスラリー化することによって、またはDCM:MeOH(40:60体積)中でスラリー化して、急速冷却することによって、形態FB-Aから得ることができる。形態FB-A-1は、RH 75%での加湿下、40℃で形態FB-Aに変換され得る。
形態FB-A-2は、50℃で3日間真空乾燥させることによって形態FB-A-0から得ることができる。試料をオーブンから取り出したときに窒素でパージし、即座に試料を気密ホルダーで覆い、XRPD分析を実施した。
実施例12:化合物(I)の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価するための第1相無作為割付け二重盲検プラセボ対照単回投与及び反復投与用量漸増試験
パート1及び2は、健康な成人被験者において経口投与した化合物(I)のSAD(パート1)及びMAD(パート2)の無作為割付け二重盲検プラセボ対照調査である。化合物(I)は一リン酸塩として投与した。被験者のスクリーニングは、(1回目の)投与前28日以内に行った。被験者は、1つの試験パートのみの1つのコホートのみに参加した。
パート1(SAD):各々8名の被験者(実薬6名及びプラセボ2名)からなる6つのコホートを評価した。年齢≧18歳の被験者のコホートに、絶食状態でプラセボ経口投与(n=2/コホート)または15、25、50、100、もしくは200mgの化合物(I)の単回経口投与(n=6/コホート)のいずれかを与えた。第1のコホート(コホートS1)は、センチネル群(実薬1名及びプラセボ1名)を含み、この群は、残りの6名の被験者(実薬5名及びプラセボ1名)より少なくとも24時間前に投与を行った。コホートS1における残りの6名の被験者の投与は、センチネル群の安全性評価に次いで行った。
薬物動態(PK)評価のために血漿試料を投与前及び化合物(I)またはプラセボ投与後96時間まで収集した。薬力学(PD)バイオマーカー(トリプターゼ)濃度を測定するために血液試料を-1日目の投与前、2日目、及び5日目に収集した。心臓力学ECGサンプリングを投与前及び化合物(I)投与後24時間まで収集した。
ひとたび安全性審査委員会(SRC)が十分な安全性と忍容性が実証されたと判定すると、次のコホートに対する用量漸増を行った。
パート2(MAD):各々8名の被験者(実薬6名及びプラセボ2名)からなる4つのコホートを評価した。各コホートにおいて、被験者に、絶食状態で25、50、もしくは100mgの化合物(I)またはプラセボ(3:1比)の毎日の経口投与を連続10日間与えた。
PK評価のために血漿試料を1~10日目の投与前に収集した。PK評価のために血漿試料をまた1日目の投与後24時間まで及び10日目の投与後96時間まで収集した。PDバイオマーカー(トリプターゼ)濃度を測定するために血液試料を1日目の投与前、ならびに2、5、及び9日目の投与前に収集した。心臓力学ECGサンプリングを投与前ならびに1日目及び10日目の化合物(I)投与後24時間まで収集した。プラセボと比較した化合物(I)の受容者における有害事象の発生率及び重症度に従って安全性を評価した。
化合物(I)は、5つの化合物(I)SADコホート及び3つのMADコホートにわたって忍容性が良好であった。腹痛、食欲減退、疲労、頭痛、及び悪心を含めた、大部分が薬物に関連しないグレード1の有害事象のみが報告された。重篤なAEは報告されず、報告された検査値またはバイタルサインパラメータにおいて臨床的に重要な所見はなかった。単回投与での化合物(I)の投与後に、Tmax中央値は、投与後1.5~6時間の範囲であった。化合物(I)の半減期(t1/2)の平均値は、20時間~28時間の範囲であり、これは7日目までに定常状態に達すると予想されることを示し、よって1日1回投与が支持される。25~100mgの化合物(I)の10日間の反復経口投与後、AUCの蓄積比の幾何平均値は、1.6~1.8の範囲であった。Vz/Fの幾何平均値は、753~973Lの範囲であり、これは広範な組織分布を示している。全体的に、化合物(I)への全身曝露量の用量比例的増加がSAD及びMADコホートにわたって観察された。化合物(I)の薬物動態は、SAD及びMADコホートにおける用量範囲にわたって線形であった。
実施例13:無痛性全身性肥満細胞症における化合物(I)のリン酸塩である形態A(この実施例13において「化合物(I)」と称される)の無作為割付け二重盲検プラセボ対照第2/3相試験
これは、症状がベストサポーティブケア(BSC)によって十分に管理されないISMを有する患者において化合物(I)+BSCの有効性及び安全性をプラセボ+BSCと比較する無作為割付け二重盲検プラセボ対照第2/3相試験である。パート1では、ISM-SAF TSS≧28を有するISMの患者において化合物(I)の推奨用量(RD)を特定する。パート2では、ISM-SAF TSSを問わず、ISMを有する患者を、パート1で特定されたRDの化合物(I)+BSCまたは一致したプラセボ+BSCに無作為割付けする。パートMでは、mMCASを有する患者は、RDの化合物(I)を非盲検下で与えられる。パート3では、試験のパート1またはパート2を完了した患者は、RD+BSCを非盲検下で与えられる長期継続試験に参加する。
スクリーニング(全てのパート)
書面によるインフォームドコンセントの提供後、患者をスクリーニング期間中に適格性について評価する。
パート1に対するTSSの適格性は、毎日のISM-SAFを14日の期間にわたって平均化することによって決定する。症状重症度に対する閾値を満たす患者は、スクリーニング期間にわたって、及び別途適格であるとみなされた場合は試験参加期間にわたってISM-SAFを間断なく毎日記入し続ける。パート1におけるISM-SAFによる症状適格性が確認された後、残りのスクリーニング評価を開始する。
パート2における患者は、ベースラインスコアを決定するためにスクリーニング期間にわたってISM-SAFを毎日記入するが、試験への組み入れは、特定のTSSに依存しない。集積をTSSスコア(<28及び>28)によって層別化し、TSS>28を有する最小限の患者数が必要とされる。
パート1、2、及びMに対するスクリーニング手順には、以下が含まれる:BM生検(過去12週間以内に得たアーカイブ試料または新鮮な試料;mMCAS患者については直近12ヶ月以内のBM生検が許容される)ならびに皮膚病変部及び皮膚非病変部の皮膚生検(皮膚の肥満細胞症を有するパート1またはパート2の患者における)。BM及び皮膚生検を実施し、ISMまたはmMCAS診断の確定及びMCの定量のために中央病理検査室に送付する。皮膚の肥満細胞症を有する患者は、皮膚の写真撮影を選択してもよい。追加の手順には、脳の磁気共鳴画像法(MRI)またはコンピュータ断層撮影スキャン、骨密度測定、血清トリプターゼ、KIT D816V突然変異の検査、アレル量、通常の臨床検査、ECG、及び身体検査が含まれる。中央検査室によるISMまたはmMCAS診断の確定が要求される。
パート1及びパート2における無作為割付けは、スクリーニングに次いで患者が参加に適格であるとみなされた後に行う。
試験のパート1では、TSS≧28を有するおよそ40名の評価可能なISM患者を、3つの用量のうちの1つの化合物(I)+BSCまたはプラセボ+BSCに均等に無作為割付けする(1:1:1:1比)。3つの用量レベル(25mg、50mg、または100mg)の化合物(I)+BSC及びプラセボ+BSCを並行して試験する。化合物(I)は、1日1回(QD)継続的に経口投与する。患者を安全性、臨床検査モニタリング、及び生活の質(QoL)評価に関して最初の4週間にわたって毎週評価する。全ての患者において薬物動態サンプリングを実施する。薬物動態データは、全ての患者の集中的なPK収集(C1D1及びC1D15)の完了後に盲検解除される。ISM-SAFは、毎日記入される。12週間の治療の完了後、中央病理検査室によるMC定量のためにBM及び皮膚生検を繰り返し、ベースライン時の皮膚の肥満細胞症を有する患者においては皮膚の写真(任意選択)を撮影してもよい。各用量レベルでの有効性、安全性、及びPKデータに基づいてRDを決定する。RDの選択のための主要な有効性基準は、ベースラインと比較して13週目にISM-SAFを使用して評価したときにTSSの最大の減少をもたらす化合物(I)の用量である。他の有効性の尺度(例えば、血清トリプターゼの変化)もまた考慮に入れる。ひとたび13週目の評価が完了すると、患者は、RDが決定されるまで割り付けられた治療及び用量を継続し、決定された時点でパート1の全ての患者が盲検解除され、非盲検様式で化合物(I)をRDで与えられるパート3に移行する。
試験のパート2では、最大303名のISM患者を登録する(TSS≧28を有する少なくとも204名の評価可能な患者及びTSS<28を有する最大99名の患者)。患者を、それぞれRDの化合物(I)+BSCまたは一致したプラセボ+BSCを与える治療に2:1比で無作為割付けする。無作為割付けは、TSSスコア(<28及び>28)及びスクリーニング時の中央検査室により測定される(centrally measured)血清トリプターゼレベル(<20ng/mL対≧20ng/mL)に基づいて層別化される。さらに、<20ng/mLの血清トリプターゼを有する患者の登録は、TSS≧28を有する患者についておよそ20%、及びTSS<28を有する患者についておよそ20%とする上限を設けられる。
化合物(I)及びプラセボ投与は、1日1回継続的に経口投与する。患者を安全性、臨床検査モニタリング、及びQoL評価に関して25週目まで4週間毎に評価する。全ての患者においてまばらな(Sparse)PKサンプリングを実施する。皮膚の肥満細胞症を有する患者がそのように選択する場合、皮膚の写真を12週間毎に撮影する。ISM-SAFは、毎日記入される。
24週間の治療の完了後、中央病理検査室による肥満細胞(MC)定量のためにISM-SAF、BM、及び皮膚生検を繰り返し、ベースライン時の皮膚の肥満細胞症を有する患者においては皮膚の写真(任意選択)を撮影してもよい。25週目の評価を完了する各患者は、パート3の長期継続試験に移行して、非盲検様式で1日1回RDの化合物(I)を与えられる。25週目の評価は、パート3のベースラインである。パート2の全ての患者がパート3に移行した後、パート2の全ての治療の割付けが盲検解除される。この時点で、ベースラインから25週目まででTSSの≧30%の減少を有する患者の割合である主要評価項目、及び他の有効性評価項目が分析される。
パート1の全ての患者がパート1を完了し、RDが決定された後、またはパート2の各患者が25週目の試験評価を完了するときに、患者はパート3に移行する。全ての患者は、RDの化合物(I)による治療を非盲検下で与えられる。
パート3では、化合物(I)を与えられたパート1の患者は、25週目まで4週間毎、次いで49週目まで8週間毎に試験来院を行う。49週目の後は、患者は、適宜パート1またはパート2を含めた、最大5年間の総計の治療継続期間にわたって12週間毎に来院を行う。プラセボを与えられたパート1の患者は、5週目まで毎週来院を行う。
パート3では、パート2から移行してくる患者は、5週目まで毎週来院し、次いでパート1の患者と同じスケジュールに従う。
パート1及びパート2の患者については、ISM-SAFを毎日記入し、QoL評価は、パート3の49週目または治療終了(EOT)のうちのいずれかが先に起こるまで、試験来院時に実施する。パート1またはパート2の間に皮膚の肥満細胞症を有したかまたはそれを発症した患者においては、パート3のベースライン時(パート1またはパート2における過去4週間以内に取得していない場合)及び他の時点で皮膚の写真(任意選択)を撮影してもよい。パート1の13週目の生検から1年後、またはパート2の25週目の生検から1年後、中央病理検査室によるMC定量のために任意選択的なBM及び皮膚生検を繰り返す。パート1またはパート2でプラセボに割り付けられた患者については、BM及び皮膚生検を含むパート1またはパート2の試験評価の終了が、パート3のためのベースライン評価としての役目を果たす。
試験のパートMでは、mMCASを有するおよそ20名の患者は、非盲検単一群においてRDの化合物(I)(1日1回)+BSCを与えられる。用量、製剤、及び投与は、パート2について記載したのと同じである。このパートは、プラセボ群を含まない。24週間の治療の完了後、中央病理検査室によるMC定量のためにBM生検を繰り返す。患者は、パートMの長期追跡調査部分に進む。

Claims (67)

  1. 以下の式:
    によって表される化合物(I)のリン酸塩であって、化合物(I)とリン酸との間のモル比が1:1である、前記リン酸塩。
  2. 前記リン酸塩が結晶質である、請求項1に記載のリン酸塩。
  3. 前記リン酸塩が単結晶形態である、請求項1に記載のリン酸塩。
  4. 前記リン酸塩が溶媒和されていない、請求項1~3のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  5. 前記結晶性塩が、2θで4.6°、11.8°、13.7°、18.3°、及び19.8°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Aである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  6. 前記結晶性塩が、2θで4.6°、11.8°、13.7°、18.3°、19.8°、及び21.8°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Aである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  7. 前記結晶性塩が、2θで4.6°、9.2°、11.8°、13.7°、16.3°、18.3°、19.8°、及び21.8°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Aである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  8. 前記結晶性塩が、図1Aに実質的に類似するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Aである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  9. 前記結晶性塩が、図1Bに実質的に類似する熱重量分析(TGA)によって特徴付けられる、形態Aである、請求項2~8のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  10. 前記結晶性塩が、161.3±2℃及び191.8±2℃の示差走査熱量計(DSC)によるピーク相転移温度によって特徴付けられる、形態Aである、請求項2~9のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  11. 前記結晶性塩が、2θで4.1°、4.4°、7.4°、15.6°、及び23.0°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Gである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  12. 前記結晶性塩が、2θで4.1°、4.4°、7.4°、15.0°、15.6°、18.7°、22.5°、及び23.0°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Gである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  13. 前記結晶性塩が、2θで4.1°、4.4°、7.4°、8.1°、10.6°、11.4°、15.0°、15.6°、18.7°、20.7°、22.5°、及び23.0°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Gである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  14. 前記結晶性塩が、図2Aに実質的に類似するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Gである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  15. 前記結晶性塩が、28.8±2℃、34.7±2℃、99.7±2℃、144.7±2℃、及び152.5±2℃の示差走査熱量計(DSC)によるピーク相転移温度によって特徴付けられる、形態Gである、請求項2~4及び11~14のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  16. 前記結晶性塩が、図2Cに実質的に類似する熱重量分析(TGA)によって特徴付けられる、形態Gである、請求項2~4及び11~15のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  17. 前記結晶性塩が、2θで4.2°、15.2°、21.6°、21.9°、及び22.6°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Oである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  18. 前記結晶性塩が、2θで4.2°、4.3°、15.2°、15.4°、21.6°、21.9°、22.6°、及び24.8°±0.2から選定される少なくとも6つまたは7つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Oである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  19. 前記結晶性塩が、2θで4.2°、4.3°、15.2°、15.4°、21.6°、21.9°、22.6°、及び24.8°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Oである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  20. 前記結晶性塩が、2θで4.2°、4.3°、11.7°、15.2°、15.4°、17.9°、20.6°、21.6°、21.9°、22.6°、23.4°、及び24.8°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Oである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  21. 前記結晶性塩が、図3に実質的に類似するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態Oである、請求項2~4のいずれか1項に記載のリン酸塩。
  22. 以下の式:
    によって表される化合物(I)のベシル酸塩であって、化合物(I)とベンゼンスルホン酸との間のモル比が2:1である、前記ベシル酸塩。
  23. 前記ベシル酸塩が結晶質である、請求項22に記載のベシル酸塩。
  24. 前記結晶形態が、以下:
    (a)図4Aもしくは図5に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターン(XRPD)、
    (b)2θで5.7°、7.1°、9.7°、15.4°、及び24.8°±0.2もしくは2θで5.5°、10.4°、14.0°、及び16.3°±0.2から選定されるピークを含むX線粉末回折パターン(XRPD)、
    (c)図4Bに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
    (d)図4Cに実質的に類似するDSCサーモグラム、
    (e)189.4°Cに開始温度を有する吸熱を有するDSCサーモグラム、または
    (f)それらの組み合わせ、
    のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる、形態1-A及び形態1-Bから選択される形態1ファミリーの結晶形態を含む、請求項23に記載のベシル酸塩。
  25. 前記ベシル酸塩が単結晶形態である、請求項22~24のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  26. 前記ベシル酸塩が溶媒和されていない、請求項22~25のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  27. 前記結晶性塩が、2θで5.7°、7.1°、9.7°、15.4°、及び24.8°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態1-Aである、請求項22~26のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  28. 前記結晶性塩が、2θで5.7°、7.1°、8.9°、9.7°、15.4°、19.8°、21.9°、及び24.8°±0.2から選定される少なくとも4、5、6、または7つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態1-Aである、請求項22~26のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  29. 前記結晶性塩が、2θで5.7°、7.1°、8.9°、9.7°、15.4°、19.8°、21.9°、及び24.8°±0.2から選定されるピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態1-Aである、請求項22~26のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  30. 前記結晶性塩が、2θで5.7°、7.1°、8.9°、9.7°、10.6°、15.4°、17.7°、19.8°、20.8°、21.9°、22.9°、及び24.8°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態1-Aである、請求項22~26のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  31. 前記結晶性塩が、2θで5.5°、10.4°、14.0°、及び16.3°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態1-Bである、請求項22~26のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  32. 前記結晶性塩が、2θで5.5°、10.4°、14.0°、16.3°、18.6°、及び19.0°±0.2から選定される少なくとも3つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態1-Bである、請求項22~26のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  33. 前記結晶性塩が、2θで5.5°、10.4°、10.9°、14.0°、16.3°、18.6°、19.0°、20.9°、21.8°、及び24.6°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態1-Bである、請求項22~26のいずれか1項に記載のベシル酸塩。
  34. 以下の式:
    によって表される化合物(I)の硫酸塩であって、化合物(I)と硫酸との間のモル比が1:1である、前記硫酸塩。
  35. 前記硫酸塩が結晶質である、請求項34に記載の硫酸塩。
  36. 前記硫酸塩が単結晶形態である、請求項34に記載の硫酸塩。
  37. 前記硫酸塩が溶媒和されていない、請求項34~36のいずれか1項に記載の硫酸塩。
  38. 前記結晶性塩が、2θで9.0°、10.4°、13.6°、18.1°、及び21.0°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態9-Aである、請求項34~36のいずれか1項に記載の硫酸塩。
  39. 前記結晶性塩が、2θで9.0°、10.4°、13.6°、18.1°、21.0°、22.7°、及び27.7°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態9-Aである、請求項34~36のいずれか1項に記載の硫酸塩。
  40. 前記結晶性塩が、2θで8.6°、9.0°、10.4°、13.6°、17.4°、18.1°、18.9°、21.0°、22.7°、23.9°、27.2°、及び27.7°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態9-Aである、請求項34~36のいずれか1項に記載の硫酸塩。
  41. 前記結晶性塩が、図8Aに実質的に類似するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態9-Aである、請求項34~40のいずれか1項に記載の硫酸塩。
  42. 前記結晶性塩が、102.0±2℃、148.7±2℃、及び158.2±2℃の示差走査熱量計(DSC)によるピーク相転移温度によって特徴付けられる、形態9-Aである、請求項34~41のいずれか1項に記載の硫酸塩。
  43. 以下の式:
    によって表される化合物(I)の安息香酸塩であって、化合物(I)と安息香酸との間のモル比が1:1である、前記安息香酸塩。
  44. 前記安息香酸塩が結晶質である、請求項43に記載の安息香酸塩。
  45. 前記安息香酸塩が単結晶形態である、請求項43に記載の安息香酸塩。
  46. 前記安息香酸塩が溶媒和されていない、請求項43~45のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  47. 前記結晶性塩が、2θで4.1°、10.6°、16.8°、18.1°、及び22.7°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Aである、請求項43~46のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  48. 前記結晶性塩が、2θで4.1°、8.3°、10.6°、16.8°、18.1°、22.7°、及び28.5°±0.2から選定される少なくとも4、5、6、または7つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Aである、請求項43~46のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  49. 前記結晶性塩が、2θで4.1°、8.3°、10.6°、16.8°、18.1°、22.7°、及び28.5°±0.2から選定されるピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Aである、請求項43~46のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  50. 前記結晶性塩が、2θで4.1°、8.3°、10.6°、15.0°、15.8°、16.8°、18.1°、20.1°、21.0°、22.7°、25.7°、及び28.5°±0.2から選定されるピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Aである、請求項43~46のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  51. 前記結晶性塩が、図6Aに実質的に類似するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Aである、請求項43~50のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  52. 前記結晶性塩が、図6Bに実質的に類似する熱重量分析(TGA)によって特徴付けられる、形態2-Aである、請求項43~51のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  53. 前記結晶性塩が、171.3±2℃及び180.8±2℃の示差走査熱量計(DSC)によるピーク相転移温度によって特徴付けられる、形態2-Aである、請求項43~52のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  54. 前記結晶性塩が、2θで5.8°、9.7°、15.4°、及び17.8°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Bである、請求項43~46のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  55. 前記結晶性塩が、2θで5.8°、7.1°、9.7°、10.7°、15.4°、17.8°、及び22.9°±0.2から選定される少なくとも4つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Bである、請求項43~46のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  56. 前記結晶性塩が、2θで5.8°、7.1°、9.7°、10.7°、15.4°、17.8°、及び22.9°±0.2から選定されるピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Bである、請求項43~46のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  57. 前記結晶性塩が、2θで5.8°、7.1°、9.7°、10.7°、15.4°、16.1°、17.8°、22.9°、24.8°、及び27.0°±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、形態2-Bである、請求項43~46のいずれか1項に記載の安息香酸塩。
  58. 以下の式によって表される化合物(I):
    の非晶質形態。
  59. 図14と実質的に同じX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項58に記載の非晶質形態。
  60. 請求項1~57のいずれか1項に記載の化合物(I)の塩または請求項58~59に記載の化合物(I)の非晶質形態と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物。
  61. 疾患または病態の治療を必要とする患者において前記疾患または前記病態を治療する方法であって、前記方法が、前記患者に請求項1~57のいずれか1項に記載の化合物(I)の塩、請求項58~59に記載の化合物(I)の非晶質形態、または請求項60に記載の薬学的組成物を投与することを含み、前記疾患または前記病態が、全身性肥満細胞症、消化管間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、精上皮腫、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、未分化胚細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻性NK/T細胞リンパ腫、慢性骨髄単球性、及び白血病から選定される、前記方法。
  62. 無痛性全身性肥満細胞症(ISM)またはモノクローナル肥満細胞活性化症候群(mMCAS)を治療する方法であって、それを必要とする患者に15mg~200mgの量の化合物(I)
    または15mg~200mgの化合物(I)と同等の量のその薬学的に許容される塩を1日1回経口投与することを含む、前記方法。
  63. 化合物(I):
    の結晶質リン酸塩である形態Aの調製のためのプロセスであって、2-MeTHF/アセトン/水を含む有機溶媒混合物中でリン酸を用いて化合物(I)のリン酸塩を形成することを含む、前記プロセス。
  64. 前記有機溶媒混合物の比が、1.0体積の2-MeTHF:1.0体積のアセトン:1.3~2.0体積の水である、請求項63に記載のプロセス。
  65. リン酸の量が、1.0当量の化合物(I)に対して1.1当量である、請求項63または64に記載のプロセス。
  66. アセトンを添加することによって化合物(I)のリン酸塩である形態Aを結晶化させることをさらに含む、請求項63~65のいずれか1項に記載のプロセス。
  67. 前記アセトンが、4~8時間の期間にわたって添加される、請求項63~66のいずれか1項に記載のプロセス。
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