JP2024508344A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

ビード部の耐久性を向上させるために、空気入りタイヤ1は、ビードワイヤ28をリング状に巻いて形成されると共に、タイヤ子午断面における形状が多角形断面で形成されるビードコア21と、タイヤ幅方向における両側のビード部20間に架け渡されると共に、ビード部20でビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に折り返され、カーカスコード6cをコートゴム6dによって被覆して形成されるカーカス6と、ビードコア21に巻き付けられ、有機繊維コード51をコートゴム52によって被覆して形成される内側有機繊維補強層50と、内側有機繊維補強層50とカーカス6との間で、少なくともタイヤ幅方向におけるビードコア21の最内側の頂点を覆って配置されるゴム補強層60と、を備え、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離は3mm以上である。

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、複数のビードワイヤを束ねてなる環状部材であるビードコアを有するビード部がリムホイールのリムに嵌合することにより、リムホイールに装着される。ビード部は、空気入りタイヤをリムホイールに装着する際に、リムホイールに対して実際に装着される部分であるため、空気入りタイヤの耐久性や性能確保において重要な部位になっているが、従来の空気入りタイヤの中には、ビード部に種々の工夫を施すことにより、所望の性能の実現を図っているものがある。
例えば、特許文献1に記載された空気入りタイヤでは、ベルト層下部からビード部下を通りビードフィラー内面側まで連続して覆うゴムシート層を設け、ゴムシート層のゴム硬さを領域に応じて異ならせることにより、ロードノイズの低減を図っている。また、特許文献2に記載された重荷重用空気入りタイヤでは、ビードコア基体の表面を、複数本の有機繊維コードをトッピングゴムで被覆したラッピング材によって包囲し、ビードコア基体のタイヤ軸方向最内側のスチールワイヤとカーカスコードとの最短距離を1.8~3.0mmとすることにより、カーカスコードの破断を抑制し、ビード部の耐久性の向上を図っている。また、特許文献3に記載された空気入りタイヤでは、ビードコアの周囲に螺旋状に巻き回される二層の有機繊維補強層を有し、内層側の有機繊維補強層は、有機繊維コードがタイヤ周方向に重なり合うことなく少なくとも一部にタイヤ周方向の隙間を設けて巻き回され、外層側の有機繊維補強層は、内層側の有機繊維補強層の隙間の少なくとも一部を覆うように設けられることにより、カーカスプライの耐久性の低下を防止している。
また、特許文献4に記載された空気入りタイヤでは、ビードコアは、コア本体とラッピング用ゴム層とからなり、硬質のゴムからなる下エーペックス部は、ビードコアのタイヤ半径方向上面に沿う底片部と、底片部のタイヤ軸方向内端から立ち上がりタイヤ半径方向外方に延びる立片部とからなる断面L字状をなし、ラッピング用ゴム層のゴム硬度と下エーペックス部のゴム硬度とを82~87°の範囲とすることにより、ビード耐久性を高く確保しながら転がり抵抗性能を向上させている。また、特許文献5に記載された空気入りラジアルタイヤでは、ビードコアの外周面に、有機繊維の平織物をゴム被覆してなる3枚のビードカバーテープがオーバーラップしながら巻き付けられ、ビードコアの特定の一面に3枚のビードカバーテープのオーバーラップ部が存在することにより、加硫成形時におけるビードコアの型崩れを防止している。
特許第5981136号公報 特許第4934178号公報 特許第5878534号公報 特許第4878179号公報 特許第4996112号公報
ここで、近年では、鉱山で使用される車両は、輸送効率の向上を目的として車両の大型化が求められており、このような車両に装着される空気入りタイヤも、増大した積載量に耐えられる、より負荷能力の高い超大型の空気入りタイヤが求められている。超大型の空気入りタイヤでは、一般的にビードコアは、タイヤ子午断面における形状が多角形状になっているが、ビードコアの角によるカーカスへの応力集中を避けるため、超大型の空気入りタイヤの中には、ビードコアの周りにナイロンカバーが巻かれたものがある。しかし、ナイロンカバーのみでは、ビードコアの角とカーカス間の距離が十分ではないため、カーカスに大きな張力が作用した際に、ビードコアの角の付近とカーカスとが大きな力を受けながら擦れることにより、ビードコアがナイロンカバーから露出する虞がある。この場合、ビードコアの角とカーカスとが擦れ、カーカスコードが破断してしまう虞がある。このため、従来の空気入りタイヤでは、ビード部の耐久性の観点で改良の余地があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ビード部の耐久性を向上させることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面の両側に配置される一対のビード部と、前記ビード部に配置され、ビードワイヤをリング状に巻いて形成されると共に、タイヤ子午断面における形状が多角形断面で形成されるビードコアと、タイヤ幅方向における両側の前記ビード部間に架け渡されると共に、前記ビード部で前記ビードコアのタイヤ幅方向内側から前記ビードコアのタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に折り返され、カーカスコードをコートゴムによって被覆して形成されるカーカスと、前記ビードコアに巻き付けられ、有機繊維コードをコートゴムによって被覆して形成される内側有機繊維補強層と、前記内側有機繊維補強層と前記カーカスとの間で、少なくともタイヤ幅方向における前記ビードコアの最内側の頂点を覆って配置されるゴム補強層と、を備え、前記ビードワイヤと前記カーカスコードとの最短距離は3mm以上であることを特徴とする。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ゴム補強層は、前記ビードコアのタイヤ幅方向内側から前記ビードコアのタイヤ径方向内側を通り前記ビードコアのタイヤ幅方向外側にかけて配置され、前記ゴム補強層と前記カーカスとの間で、前記ビードコアのタイヤ幅方向内側から前記ビードコアのタイヤ径方向内側を通り前記ビードコアのタイヤ幅方向外側にかけて配置されるゴム接着層を有し、前記ゴム接着層のゴム硬さは、前記カーカスの前記コートゴムのゴム硬さ以上の硬さになっており、前記ゴム補強層のゴム硬さは、前記ゴム接着層のゴム硬さ、及び前記内側有機繊維補強層の前記コートゴムのゴム硬さより硬くなっており、前記ゴム接着層は、硫黄量が前記カーカスの前記コートゴムの硫黄量以上であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ゴム接着層は、ゴム硬さが72以上78以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ゴム接着層と前記ゴム補強層とにおける前記ビードコアのタイヤ幅方向内側に位置する部分は、前記ゴム補強層のタイヤ径方向外側の端部よりも、前記ゴム接着層のタイヤ径方向外側の端部の方がタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ゴム補強層は、タイヤ径方向外側の端部が前記ビードコアの外周面よりもタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ゴム接着層は、コバルト化合物を含有することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、有機繊維コードをコートゴムによって被覆して形成されると共に、少なくとも前記ゴム補強層と前記カーカスとの間に配置され、且つ、前記ビードコアのタイヤ幅方向内側から前記ビードコアのタイヤ径方向内側を通り前記ビードコアのタイヤ幅方向外側にかけて配置される外側有機繊維補強層を備えることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ゴム補強層のゴム硬さは、前記内側有機繊維補強層の前記コートゴム、及び前記外側有機繊維補強層の前記コートゴムのゴム硬さ以上の硬さであることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記外側有機繊維補強層の前記有機繊維コードの太さは、前記内側有機繊維補強層の前記有機繊維コードの太さ以上であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記外側有機繊維補強層の前記コートゴムのゴム硬さは、前記内側有機繊維補強層の前記コートゴムのゴム硬さ以上の硬さであることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記外側有機繊維補強層は、帯状の部材が、タイヤ周方向に延びる前記ビードコアに対して螺旋状に巻かれることにより形成され、前記帯状の部材は、隣り合う周回部分同士が接触しながら螺旋状に巻かれることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記内側有機繊維補強層は、帯状の部材が、タイヤ周方向に延びる前記ビードコアに対して螺旋状に巻かれることにより形成され、前記内側有機繊維補強層と前記外側有機繊維補強層とは、前記内側有機繊維補強層を形成する前記帯状の部材を螺旋状に巻く方向と前記外側有機繊維補強層を形成する前記帯状の部材を螺旋状に巻く方向とが同じ方向であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ビードワイヤと前記カーカスコードとの最短距離は、4mm以上8mm以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ゴム補強層は、ゴム硬さが80以上85以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記カーカスにおける前記ビードコアのタイヤ幅方向外側に折り返される部分であるターンナップ部のタイヤ幅方向内側で、且つ、前記ビードコアのタイヤ径方向外側にはビードフィラーが配置され、前記ゴム補強層のゴム硬さは、前記ビードフィラーのゴム硬さ以上の硬さであることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、ビード部の耐久性を向上させることができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態1に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。 図2は、図1のA部詳細図である。 図3は、図2に示す内側有機繊維補強層がビードコアに巻き付けられる状態を示す説明図である。 図4は、図2のB部詳細図である。 図5は、実施形態2に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。 図6は、図5のC部詳細図である。 図7は、図6に示す内側有機繊維補強層とゴム補強層と外側有機繊維補強層がビードコアに巻き付けられる状態を示す説明図である。 図8は、図6のD部詳細図である。 図9は、実施形態1に係る空気入りタイヤの変形例であり、ゴム補強層のタイヤ幅方向外側の外側端部がビードコアの外周面よりタイヤ径方向内側に位置する状態についての説明図である。 図10は、実施形態1に係る空気入りタイヤの変形例であり、ゴム補強層のタイヤ幅方向内側の外側端部がビードコアの外周面よりタイヤ径方向内側に位置する状態についての説明図である。 図11は、実施形態1に係る空気入りタイヤの変形例であり、ゴム補強層のタイヤ幅方向両側の外側端部がビードコアの外周面よりタイヤ径方向内側に位置する状態についての説明図である。 図12は、実施形態1に係る空気入りタイヤの変形例であり、ビードコアが八角形の断面形状で形成される場合の説明図である。 図13は、実施形態2に係る空気入りタイヤの変形例であり、ゴム補強層がビードコアのタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側にかけて配置される状態についての説明図である。 図14は、実施形態2に係る空気入りタイヤの変形例であり、ゴム補強層がビードコアのタイヤ幅方向内側に配置される状態についての説明図である。 図15は、実施形態2に係る空気入りタイヤの変形例であり、外側有機繊維補強層がビードコアのタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側にかけて配置される状態についての説明図である。 図16は、実施形態2に係る空気入りタイヤの変形例であり、ビードコアが八角形の断面形状で形成される場合の説明図である。 図17は、実施形態1に係る空気入りタイヤの変形例であり、ビード部にビードコアが複数配置される場合の説明図である。 図18は、実施形態2に係る空気入りタイヤの変形例であり、ビード部にビードコアが複数配置される場合の説明図である。 図19Aは、空気入りタイヤの第1の性能評価試験の結果を示す図表である。 図19Bは、空気入りタイヤの第1の性能評価試験の結果を示す図表である。 図20Aは、空気入りタイヤの第2の性能評価試験の結果を示す図表である。 図20Bは、空気入りタイヤの第2の性能評価試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸であるタイヤ回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、タイヤ回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、タイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。また、以下の説明では、タイヤ子午断面とは、タイヤ回転軸を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。
図1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の要部を示す子午断面図である。実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、ORタイヤ(Off the Road Tire)と呼ばれる、建設車両用ラジアルタイヤになっている。本実施形態1として図1に示す空気入りタイヤ1は、タイヤ子午断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配置されており、トレッド部2は、ゴム組成物であるトレッドゴム2aによって構成されている。トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド踏面3として形成されている。
トレッド部2のトレッド踏面3には、タイヤ周方向に延びる周方向溝15やタイヤ幅方向に延びるラグ溝等の溝(図示省略)が複数形成されており、トレッド部2には、これらの溝によって複数の陸部10が区画形成されている。
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両端は、ショルダー部4として形成されており、ショルダー部4から、タイヤ径方向内側の所定の位置までは、サイドウォール部5が配置されている。つまり、サイドウォール部5は、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2箇所に配置されている。サイドウォール部5は、ゴム組成物であるサイドウォールゴム5aによって構成されている。また、タイヤ幅方向両側のそれぞれのサイドウォール部5におけるタイヤ径方向内側寄りの位置には、リムチェックライン9が形成されている。リムチェックライン9は、サイドウォール部5の表面から突出し、タイヤ周方向における一周に亘って形成されている。
さらに、それぞれのサイドウォール部5のタイヤ径方向内側には、ビード部20が位置しており、ビード部20は、サイドウォール部5と同様に、タイヤ赤道面CLの両側2箇所に配置されている。即ち、ビード部20は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に一対が配置されている。一対のビード部20のそれぞれにはビードコア21が配置されており、それぞれのビードコア21のタイヤ径方向外側にはビードフィラー40が配置されている。ビードコア21は、スチールワイヤであるビードワイヤ28(図4参照)をリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー40は、後述するカーカス6のタイヤ幅方向端部がビードコア21の位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。また、ビードフィラー40は、ビードコア21の外周面に当接して配置されるローアーフィラー41と、ローアーフィラー41よりもタイヤ径方向外側寄りの位置に配置されるアッパーフィラー42とを有している。
ビード部20は、5°テーパーの規定リムRを有するリムホイールに装着することができるように構成されている。即ち、本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、ビード部20と嵌合する部分がリムホイールの回転軸に対して5°±1°の傾斜角でタイヤ幅方向における内側から外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に向かう方向に傾斜する規定リムRに装着することが可能になっている。なお、規定リムRとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、或いはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。
トレッド部2のタイヤ径方向内側には、ベルト層7が設けられている。ベルト層7は、3枚以上のベルトプライを積層する多層構造をなし、一般的なORタイヤでは、4枚~8枚のベルトプライが積層される。本実施形態1では、ベルト層7は6層のベルトプライ7a,7b,7c,7d,7e,7fが積層されている。このようにベルト層7を構成するベルトプライ7a,7b,7c,7d,7e,7fは、スチール或いは有機繊維材からなる複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成される。また、ベルトプライ7a,7b,7c,7d,7e,7fは、タイヤ周方向に対するベルトコードのタイヤ幅方向の傾斜角が互いに異なっており、ベルトコードの傾斜方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成される。これにより、ベルト層7は、構造強度が高められている。6層のベルトプライ7a,7b,7c,7d,7e,7fは、例えば、交差ベルト7a,7b,7c,7dと、保護ベルト層7e,7fとから構成される。
このベルト層7のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部5のタイヤ赤道面CL側には、ラジアルプライのコードを内包するカーカス6が連続して設けられている。このカーカス6は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配置されるビードコア21間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。詳しくは、カーカス6は、一対のビード部20間に架け渡されており、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部20のうち、一方のビード部20から他方のビード部20にかけて配設されている。また、カーカス6は、ビードコア21及びビードフィラー40を包み込むように、ビード部20でビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に折り返されている。即ち、カーカス6はビード部20で、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて、ビードコア21周りに折り返されている。
このためカーカス6は、一対のビード部20同士の間に亘って配置されるカーカス本体部6aと、カーカス本体部6aから連続して形成されビードコア21のタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側にかけて折り返されるターンナップ部6bと、を有している。ここでいうカーカス本体部6aは、カーカス6における一対のビードコア21のタイヤ幅方向内側同士の間に亘って形成される部分になっており、ターンナップ部6bは、ビードコア21のタイヤ幅方向内側でカーカス本体部6aから連続して形成され、ビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側にかけて折り返される部分になっている。ビードフィラー40は、このようにビードコア21のタイヤ幅方向外側に折り返される部分であるターンナップ部6bのタイヤ幅方向内側で、且つ、ビードコア21のタイヤ径方向外側に配置されている。
このように配置されるカーカス6のカーカスプライは、スチール、或いはアラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成るコード部材である複数のカーカスコード6c(図2参照)をゴム部材であるコートゴム6d(図2参照)で被覆して圧延加工して構成されている。また、カーカス6は、タイヤ周方向に対するカーカスコード6cの傾斜角であるカーカス角度が、85°以上95°以下となっている。
また、カーカス6の内方側、或いは、当該カーカス6の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ8がカーカス6に沿って形成されている。
図2は、図1のA部詳細図である。ビードコア21は、タイヤ子午断面で見た場合における形状が、多角形断面で形成されており、本実施形態1では、ビードコア21は、略六角形の断面形状で形成されている。具体的には、ビードコア21は、ビードコア21全体で見た場合におけるビードコア21の内周面であるビードコア底23とビードコア21の外周面22とが略平行に形成されており、タイヤ幅方向における両端側の位置に、タイヤ幅方向に突出する角部を有する、略六角形の形状で形成されている。即ち、ビードコア21は、タイヤ径方向における外周面22とビードコア底23との間に、タイヤ幅方向における最内側の頂点であるビードコア最内点26と、タイヤ幅方向における最外側の頂点であるビードコア最外点27とを有して形成されている。
なお、この場合におけるビードコア21のビードコア底23とは、タイヤ子午断面において、ビードコア21のタイヤ径方向内側の位置で一列に並んでビードコア21の表面を構成する複数のビードワイヤ28(図4参照)における、ビードコア21の表面側に露出する部分に接する仮想の直線によって示される面をいう。同様に、ビードコア21の外周面22とは、空気入りタイヤ1をタイヤ子午断面で見た場合において、ビードコア21のタイヤ径方向外側の位置で一列に並んでビードコア21の表面を構成する複数のビードワイヤ28における、ビードコア21の表面側に露出する部分に接する仮想の直線によって示される面をいう。
また、ビード部20は、ビード部20の内周面に位置するビードベース部30を有している。ビードベース部30は、ビードコア21のタイヤ径方向内側に位置すると共に、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従ってタイヤ径方向外側に広がる方向に、タイヤ回転軸に対して傾斜して形成されている。
また、カーカス6におけるビードコア21周りに折り返されている部分には、カーカス6を補強する補強層であるチェーファーが配置されている。チェーファーとしては、例えばコード部材としてスチールコードが用いられるスチールチェーファーや、有機繊維材からなるコード部材が用いられるナイロンチェーファーが適用される。ナイロンチェーファーは、例えば、複数の有機繊維コードを配列して圧延加工して成るシート状部材、複数の有機繊維コードを織り上げて成る織物、これらのシート状部材あるいは織物をゴム引きして成る複合材などから構成される。本実施形態1では、チェーファーとして、スチールコードが用いられるスチールチェーファー45が配置されている。
スチールチェーファー45は、カーカス6における折り返されている部分のカーカス6の外側でカーカス6に重ねられて配置され、カーカス6と同様にビードコア21周りにタイヤ幅方向における内側から外側に折り返されてタイヤ周方向に連続的に配置されている。つまり、スチールチェーファー45は、カーカス6がビードコア21よりもタイヤ幅方向内側に位置している部分ではカーカス6のタイヤ幅方向内側に位置し、カーカス6がビードコア21よりもタイヤ径方向内側に位置している部分では、カーカス6のタイヤ径方向内側に位置し、カーカス6がビードコア21よりもタイヤ幅方向外側に位置している部分ではカーカス6のタイヤ幅方向外側に位置している。
ビード部20におけるスチールチェーファー45の外側には、リムクッションゴム35が配置されている。リムクッションゴム35は、スチールチェーファー45と同様に、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からタイヤ径方向内側、タイヤ幅方向外側に亘って配置されており、タイヤ周方向に連続的に設けられている。このように配置されるリムクッションゴム35は、規定リムRのフランジに対するビード部20の接触面を構成している。
ビード部20には、さらに内側有機繊維補強層50と、ゴム補強層60と、ゴム接着層70とが配置されている。このうち、内側有機繊維補強層50は、タイヤ子午断面において、ビードコア21に対してビードコア21の全周に亘って巻き付けられている。
また、ゴム補強層60は、内側有機繊維補強層50とカーカス6との間で、内側有機繊維補強層50の外側から、少なくともタイヤ幅方向におけるビードコア21の最内側の頂点であるビードコア最内点26を覆って配置されている。本実施形態では、ゴム補強層60は、内側有機繊維補強層50とカーカス6との間で、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通り、ビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配置されている。つまり、タイヤ子午断面において、ビードコア21の重心に近付く方向を、ビードコア21を基準とする内側方向とし、ビードコア21の重心から離れる方向を、ビードコア21を基準とする外側方向とする場合に、ゴム補強層60は、ビードコア21を基準とする内側有機繊維補強層50の外側に配置されている。
また、ゴム接着層70は、ゴム補強層60とカーカス6との間で、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通り、ビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配置されている。つまり、ゴム接着層70は、タイヤ子午断面において、ビードコア21を基準とするゴム補強層60の外側に配置されている。
図3は、図2に示す内側有機繊維補強層50がビードコア21に巻き付けられる状態を示す説明図である。ビードコア21に巻き付けられる内側有機繊維補強層50は、帯状の部材である内側有機繊維補強材55が、タイヤ周方向に延びるビードコア21に対して螺旋状に巻かれることにより形成されている。つまり、ビードコア21は、スチールからなる1本或いは複数本のビードワイヤ28を、多重にリング状に巻き回して形成されるが、内側有機繊維補強層50は、多重に巻き回されるビードワイヤ28の外側に、内側有機繊維補強材55が螺旋状に巻かれることにより形成される。
即ち、内側有機繊維補強層50は、タイヤ周方向に延びるビードコア21を螺旋の中心として、内側有機繊維補強材55がビードコア21の延在方向に沿ってビードコア21の表面に螺旋状に巻き付けられている。その際に、内側有機繊維補強材55は、隣り合う周回部分同士が接触しながら螺旋状に巻かれている。つまり、内側有機繊維補強材55は、隣り合う周回部分同士を突き合わせにしたり、オーバーラップさせたりしながら螺旋状に巻かれており、本実施形態1では、内側有機繊維補強材55は、隣り合う周回部分同士で、帯状に形成される内側有機繊維補強材55の幅方向における一部が重ねられながら巻かれている。これにより、内側有機繊維補強層50は、ビードコア21の表面全体に亘って隙間なく巻き付けられている。多重に巻き回されるビードワイヤ28は、このようにビードコア21に巻き付けられる内側有機繊維補強層50により束ねられ、ばらけるのが防止される。
ゴム補強層60は、このように形成される内側有機繊維補強層50に対して、ビードコア21を基準とする内側有機繊維補強層50の外側に配置されており、タイヤ子午断面における形状が、タイヤ径方向外側が開口側となるU字状の形状で、カーカス6に沿って配置されている。つまり、ゴム補強層60は、カーカス6のカーカス本体部6a及びターンナップ部6bに沿って配置されており、内側有機繊維補強層50が巻き付けられるビードコア21は、カーカス6に沿ってU字状の形状で配置されるゴム補強層60の、U字の内側に配置されている。
詳しくは、ゴム補強層60は、タイヤ径方向における外側の端部である外側端部61が、ビードコア21の外周面22よりもタイヤ径方向外側に位置している。具体的には、タイヤ子午断面においてU字状に形成されるゴム補強層60は、ビードコア21よりもタイヤ幅方向内側に位置する部分の外側端部61と、ビードコア21よりもタイヤ幅方向外側に位置する部分の外側端部61とのいずれもが、ビードコア21の外周面22よりもタイヤ径方向外側に位置している。このため、ゴム補強層60は、ビードコア21のビードコア最内点26をビードコア21のタイヤ幅方向内側から覆い、ビードコア21のビードコア最外点27をビードコア21のタイヤ幅方向外側から覆って配置されている。
また、ゴム補強層60とカーカス6との間に配置されるゴム接着層70は、ゴム補強層60に対して、ビードコア21を基準とするゴム補強層60の外側に配置されており、タイヤ子午断面における形状が、ゴム補強層60と同様にタイヤ径方向外側が開口側となるU字状の形状で、カーカス6に沿って配置されている。つまり、ゴム接着層70は、ゴム補強層60の外側で、カーカス6のカーカス本体部6a及びターンナップ部6bに沿って配置されており、ゴム補強層60は、カーカス6に沿ってU字状の形状で配置されるゴム接着層70の、U字の内側に配置されている。
詳しくは、タイヤ子午断面においてU字状に形成されるゴム接着層70は、ビードコア21のタイヤ幅方向における内側の位置と外側の位置との双方で、タイヤ径方向における外側の端部である外側端部71が、ゴム補強層60の外側端部61よりもタイヤ径方向外側に位置している。つまり、ゴム接着層70とゴム補強層60とにおけるビードコア21のタイヤ幅方向内側に位置する部分は、ゴム補強層60の外側端部61よりも、ゴム接着層70の外側端部71の方がタイヤ径方向外側に位置している。また、ゴム接着層70とゴム補強層60とにおけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する部分も同様に、ゴム補強層60の外側端部61よりも、ゴム接着層70の外側端部71の方がタイヤ径方向外側に位置している。
なお、ゴム接着層70とゴム補強層60とにおける、タイヤ幅方向においてビードコア21に対して同じ側に位置する部分同士では、ゴム接着層70の外側端部71は、ゴム補強層60の外側端部61に対して、5mm以上15mm以下の範囲内でタイヤ径方向外側に位置するのが好ましい。
また、ゴム接着層70は、ビードコア21を基準とする外側の面、即ち、カーカス6に対向する側の面が、カーカス6に密着して配置されている。また、ゴム補強層60は、ビードコア21を基準とする外側の面、即ち、ゴム接着層70に対向する側の面が、ゴム接着層70に密着して配置されている。また、ゴム補強層60は、内側有機繊維補強層50に対向する側の面が、少なくとも、タイヤ子午断面においてビードコア底23側を通るビードコア21のビードコア最内点26とビードコア最外点27とにかけた範囲で、内側有機繊維補強層50に密着して配置されている。
これらのように配置される内側有機繊維補強層50、ゴム補強層60、ゴム接着層70のうち、ビードコア21に巻き付けられる内側有機繊維補強層50は、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成るコード部材である有機繊維コード51を、コートゴム52によって被覆して形成されている。
詳しくは、内側有機繊維補強層50は、内側有機繊維補強層50を形成する帯状の部材である内側有機繊維補強材55の状態では、複数の有機繊維コード51が帯の幅方向に平行に並んで配置され、各有機繊維コード51は、内側有機繊維補強材55の長さ方向に延びて配置されている。コートゴム52は、このように内側有機繊維補強材55の帯の幅方向に並んで配置される複数の有機繊維コード51を、一体で被覆することにより、複数の有機繊維コード51を一体に保持している。また、有機繊維コード51は、内側有機繊維補強材55の長さ方向に延びて配置されるため、内側有機繊維補強材55がビードコア21に螺旋状に巻き付けられることにより、有機繊維コード51もビードコア21に対して螺旋状に巻かれた状態になる。
内側有機繊維補強層50の外側に配置されるゴム補強層60は、シート状のゴム部材からなり、ゴム硬さが、周囲のゴム部材のゴム硬さよりも硬くなっている。ゴム補強層60のゴム硬さは、例えば、内側有機繊維補強層50のコートゴム52のゴム硬さより硬くなっており、また、カーカス6のコートゴム6dのゴム硬さより硬くなっている。また、ゴム補強層60のゴム硬さは、ビードフィラー40のゴム硬さ以上の硬さになっており、詳しくは、ビードフィラー40のうち、ビードコア21の外周面に当接して配置されるローアーフィラー41のゴム硬さ以上の硬さになっている。
ゴム補強層60は、具体的には、ゴム硬さが80以上85以下の範囲内になっている。本実施形態1では、ゴム硬さは、JIS K6253に準拠したJIS-A硬度により示されるゴム硬さになっている。
ゴム補強層60の外側で、ゴム補強層60とカーカス6との間に配置されるゴム接着層70は、シート状のゴム部材からなり、ゴム硬さが、カーカス6のコートゴム6dのゴム硬さ以上の硬さになっている。また、ゴム接着層70のゴム硬さは、ゴム補強層60のゴム硬さよりも柔らかくなっており、即ち、ゴム補強層60のゴム硬さは、ゴム接着層70のゴム硬さより硬くなっている。このように形成されるゴム接着層70は、ゴム硬さが72以上78以下の範囲内になっている。
各ゴム部材のゴム硬さは、これらの関係になっているため、不等号を使って表すと、ゴム硬さは、カーカス6のコートゴム6d<ゴム接着層70<ゴム補強層60の関係になっており、また、内側有機繊維補強層50のコートゴム52<ゴム補強層60の関係になっている。この場合におけるゴム硬さの大小関係は、JIS-A硬度により示されるゴム硬さにおいて、1以上の差を有している。
また、ゴム接着層70は、含有する硫黄量が、カーカス6のコートゴム6dの硫黄量以上になっており、即ち、ゴム接着層70は、質量部により示される硫黄量が、カーカス6のコートゴム6dの硫黄量以上になっている。ゴム接着層70が含有する硫黄量は、具体的には2質量部以上10質量部以下になっていることが好ましい。さらに、ゴム接着層70は、コバルト化合物を含有するゴム部材により形成されている。
図4は、図2のB部詳細図である。ビードコア21とカーカス6との間には、内側有機繊維補強層50と、ゴム補強層60と、ゴム接着層70とが介在しているが、このうち、内側有機繊維補強層50は、厚さWfが1mm以上3mm以下の範囲内になっている。また、ゴム補強層60は、厚さWrが1mm以上7mm以下の範囲内になっており、ゴム接着層70は、厚さWaが1mm以上3mm以下の範囲内になっている。
ビードコア21とカーカス6との間の各部材は、これらの厚さで形成されることにより、ビードコア21が有するビードワイヤ28と、カーカス6が有するカーカスコード6cとの最短距離は、3mm以上10mm以下の範囲内になっている。ここで、ビードコア21は、タイヤ子午断面における形状が略六角形となる断面形状で形成されている。このため、ビードコア21が有するビードワイヤ28と、カーカス6が有するカーカスコード6cとの最短距離は、断面形状が略六角形で形成されるビードコア21における、いずれかの角部に位置するビードワイヤ28と、カーカス6が有するカーカスコード6cとの距離になっている。
従って、ビードコア21の断面形状における中心側から見て外側に凸となるビードコア21の角部に位置するビードワイヤ28と、カーカス6のカーカスコード6cとの距離は、いずれの角部においても3mmm以上になっている。これにより、例えば、ビードコア最内点26とカーカス6が有するカーカスコード6cとの距離も、3mm以上になっている。なお、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離は、4mm以上8mm以下の範囲内であるのが好ましい。
これらのように構成される空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、まず、リムホイールが有する規定リムRに対して、ビードベース部30を嵌合させることにより、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着し、空気入りタイヤ1をリムホイールに対してリム組みをする。空気入りタイヤ1をリム組みしたらインフレートし、車両には、リム組みしてインフレートした状態の空気入りタイヤ1を装着する。本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、例えば、鉱山で使用される車両等の大型の車両に装着され、負荷が大きい条件下で使用される。
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド踏面3のうち下方に位置するトレッド踏面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両は、トレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。
空気入りタイヤ1を装着した車両の走行時は、このように空気入りタイヤ1のトレッド踏面3と路面との間に発生する摩擦力により、車両は走行することが可能となるが、車両の走行時は、空気入りタイヤ1の各部には、様々な方向の荷重が作用する。空気入りタイヤ1に作用する荷重は、内部に充填された空気の圧力や、空気入りタイヤ1の骨格として設けられるカーカス6等によって受ける。
例えば、車両の重量や路面の凹凸によって、トレッド部2とビード部20との間でタイヤ径方向に作用する荷重は、主に、空気入りタイヤ1の内部に充填された空気の圧力で受けたり、サイドウォール部5等が撓んだりしながら受ける。特に、本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、大型の車両に装着され、負荷が大きい条件下で使用されるため、サイドウォール部5やカーカス6では、非常に大きな荷重を受ける。このため、カーカス6には、大きな張力が作用する。
カーカス6は、ビード部20でビードコア21周りに折り返されることにより、ビード部20で保持されているため、カーカス6に大きな張力が作用した場合、カーカス6の張力はビードコア21に伝達され、カーカス6とビードコア21との間で、大きな力が作用する。つまり、カーカス6は、ビードコア21周りに折り返されることによりビード部20で保持されているため、カーカス6に対して張力が作用する場合、カーカス本体部6aには、ビード部20側からタイヤ径方向外側に向かう方向の張力が作用する。このため、ビードコア21とカーカス6との間においても、大きな力が作用する。
ここで、サイドウォール部5は、ビード部20の位置からタイヤ径方向外側に向かうに従ってタイヤ幅方向外側に向かう方向に、タイヤ径方向に対して傾斜している。このため、カーカス本体部6aに大きな張力が作用した場合、カーカス本体部6aは、タイヤ径方向に引っ張られながら、ビード部20付近ではタイヤ幅方向外側に向かう方向の力を発生する。
一方で、ビードコア21は、タイヤ子午断面において略六角形となる断面形状で形成されており、タイヤ子午断面において複数の角部を有しており、ビードコア最内点26は、タイヤ幅方向内側に凸となる角部になっている。このため、カーカス6に大きな張力が作用し、カーカス本体部6aがビード部20付近で、タイヤ幅方向外側方向への力を発生しながら張力によってタイヤ径方向に移動しようとする場合、カーカス本体部6aは、ビードコア最内点26に対して大きな荷重を付与しながら擦れることになる。これにより、カーカス本体部6aは、コートゴム6dが摩耗してカーカスコード6cが直接擦れ、カーカスコード6cが破断する等の故障が発生する虞がある。
また、カーカス6は、ビードコア21周りに折り返されているため、カーカス6に大きな張力が作用した場合、カーカス6とビードコア21とは、ビードコア最内点26以外の位置でも擦れが発生し、カーカス6は、この擦れによってカーカスコード6cが破断する等の故障が発生する虞がある。
これに対し、本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、ビードコア21に内側有機繊維補強層50が巻き付けられ、内側有機繊維補強層50とカーカス6との間には、ゴム補強層60が少なくともビードコア最内点26を覆って配置されている。これにより、カーカス6に大きな張力が作用することによって、カーカス6とビードコア21との間で大きな力が作用する場合でも、弾力性を有しつつ、ゴム硬さが硬いゴム補強層60によって、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を分散させることができる。従って、カーカス6とビードコア21との間で作用する力によってコートゴム6dが摩耗することを抑制でき、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を抑制することができる。
また、ビードコア21のビードワイヤ28とカーカス6のカーカスコード6cとの最短距離は、3mm以上になっているため、カーカス6とビードコア21との間で大きな力が作用する場合でも、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの間のゴム部材等により、この力は分散され易くなる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で大きな力が作用する際における応力集中を緩和することができ、例えば、略六角形の断面形状で形成されるビードコア21の角部とカーカス6との間の応力集中を緩和することができる。従って、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を、より確実に抑制することができる。この結果、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ゴム補強層60とカーカス6との間には、ゴム硬さがカーカス6のコートゴム6dのゴム硬さ以上の硬さとなるゴム接着層70が配置されているため、カーカス6とビードコア21との間で大きな力が作用する場合でも、この力をゴム接着層70によってさらに分散させることができる。さらに、ゴム補強層60のゴム硬さは、ゴム接着層70のゴム硬さ、及び内側有機繊維補強層50のコートゴム52のゴム硬さより硬くなっている。従って、カーカス6とビードコア21との間で作用する力に起因して発生するカーカス6の故障を、ゴム補強層60とゴム接着層70とによって、より確実に抑制することができる。
また、ゴム接着層70は、硫黄量がカーカス6のコートゴム6dの硫黄量以上であるため、カーカス6のコートゴム6dの硫黄成分が、ゴム接着層70に流れることを抑制することができ、カーカス6のコートゴム6dとカーカスコード6cとの間でセパレーションが発生することを抑制できる。つまり、コートゴム6dの硫黄成分は、コートゴム6dにおいて接着成分としての役割も果たしているため、コートゴム6dの硫黄成分が流出した場合、接着成分が減少するため、コートゴム6dとカーカスコード6cとの間でセパレーションが発生し易くなる。ここで、ゴム部材同士が接触している場合における、ゴム部材に含まれる硫黄成分は、一般的に、硫黄量が相対的多い側のゴム部材から、硫黄量が少ない側のゴム部材に流出する。このため、カーカス6に接触して配置されるゴム接着層70の硫黄量が、カーカス6のコートゴム6dの硫黄量よりも少ない場合、コートゴム6dの硫黄成分は、ゴム接着層70に流れ易くなる。
これに対し、本実施形態1では、カーカス6に接触して配置されるゴム接着層70の硫黄量は、カーカス6のコートゴム6dの硫黄量以上であるため、カーカス6のコートゴム6dからゴム接着層70に対して硫黄成分が流出することを抑制することができる。これにより、カーカス6のコートゴム6dにおける接着成分の減少を抑制することができ、コートゴム6dとカーカスコード6cとの間でのセパレーションの発生を抑制することができる。従って、カーカスコード6cの破断を抑制するのみでなく、カーカスコード6cとコートゴム6dとの間でのセパレーションの発生も抑制することができ、ビード部20の故障を、より確実に抑制することができる。これらの結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ゴム接着層70は、ゴム硬さが72以上78以下の範囲内であるため、ゴム接着層70と周囲の部材との間でのセパレーションの発生を抑制しつつ、より確実にカーカスコード6cの破断を抑制することができる。つまり、ゴム接着層70のゴム硬さが72未満である場合は、ゴム接着層70のゴム硬さが柔らか過ぎるため、カーカス6とビードコア21との間の応力集中を、緩和し難くなる虞がある。この場合、カーカス6とビードコア21との間で作用する力によって発生するカーカスコード6cの破断を、効果的に抑制し難くなる虞がある。また、ゴム接着層70のゴム硬さが78より大きい場合は、ゴム接着層70のゴム硬さが硬過ぎるため、ゴム接着層70とカーカス6のコートゴム6dとの間でのゴム硬さの差が大きくなり過ぎる虞がある。この場合、ゴム接着層70とカーカス6のコートゴム6dとの間で、ゴム硬さの差が大き過ぎることに起因してセパレーションが発生し易くなる虞がある。
これに対し、ゴム接着層70のゴム硬さが72以上78以下の範囲内である場合は、ゴム接着層70のゴム硬さが硬過ぎることによってカーカス6のコートゴム6dとのゴム硬さの差が大きくなり過ぎることを抑制しつつ、カーカス6とビードコア21との間の応力集中を、より確実に緩和することができる。これにより、ゴム接着層70とカーカス6との間でのセパレーションの発生を抑制しつつ、より確実にカーカスコード6cの破断等の故障の発生を抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ゴム接着層70とゴム補強層60とにおけるビードコア21のタイヤ幅方向内側に位置する部分は、ゴム補強層60の外側端部61よりも、ゴム接着層70の外側端部71の方がタイヤ径方向外側に位置するため、ゴム補強層60がカーカス6に接触することを抑制することができる。これにより、カーカス6のコートゴム6dからゴム補強層60に対して硫黄成分が流出することを抑制することができ、カーカス6のコートゴム6dにおける接着成分の減少を抑制できるため、コートゴム6dとカーカスコード6cとの間でのセパレーションをより確実に抑制することができる。
また、ゴム接着層70の外側端部71を、ゴム補強層60の外側端部61よりもタイヤ径方向外側に位置させることより、ゴム硬さが硬いゴム補強層60とカーカス6との間で、剛性が急激に変化することを抑制することができる。つまり、ゴム接着層70の外側端部71を、ゴム補強層60の外側端部61よりもタイヤ径方向外側に位置させて階段状にすることにより、ゴム補強層60の外側端部61付近での、周囲の部材との間の剛性差を和らげることができる。これにより、隣接する部材同士の剛性差が大きい部分が存在することに起因するセパレーションの発生を抑制することができる。これらの結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ゴム補強層60は、タイヤ径方向における外側端部61が、ビードコア21の外周面22よりもタイヤ径方向外側に位置するため、ビードコア21とカーカス6との間のより広い範囲に、ゴム補強層60を介在させることができる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で大きな力が作用する際における応力集中を、ゴム補強層60によってより確実に緩和することができ、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ゴム接着層70は、コバルト化合物を含有するため、ゴム接着層70の接着性を高めることができる。これにより、ゴム接着層70は、カーカス6とゴム補強層60との双方に対する接着性を高めることができ、周囲の部材と比較してゴム硬さが硬いゴム補強層60を配置した場合におけるセパレーションの発生を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離は、4mm以上8mm以下の範囲内であるため、カーカス6と周囲の部材との間でのセパレーションを抑制しつつ、より確実にカーカスコード6cの破断を抑制することができる。つまり、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離が、4mm未満である場合は、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離が小さ過ぎるため、カーカス6とビードコア21との間で大きな力が作用した際における、カーカス6とビードコア21との間の応力集中を緩和し難くなる虞がある。この場合、カーカス6とビードコア21との間で作用する力によって発生するカーカスコード6cの破断を、効果的に抑制し難くなる虞がある。また、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離が、8mmより大きい場合は、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離が大き過ぎるため、カーカス6が動き易くなり過ぎる虞がある。この場合、カーカス6に作用する力によってカーカス6が動き過ぎることにより、カーカス6と周囲の部材との間でセパレーションが発生し易くなる虞がある。
これに対し、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離が、4mm以上8mm以下の範囲内である場合は、カーカス6が動き過ぎることを抑制しつつ、カーカス6とビードコア21との間の応力集中を、より確実に緩和することができる。これにより、カーカス6と周囲の部材との間でのセパレーションを抑制しつつ、より確実にカーカスコード6cの破断等の故障の発生を抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ゴム補強層60は、ゴム硬さが80以上85以下の範囲内であるため、ゴム補強層60と周囲の部材との間でのセパレーションの発生を抑制しつつ、より確実にカーカスコード6cの破断を抑制することができる。つまり、ゴム補強層60のゴム硬さが80未満である場合は、ゴム補強層60のゴム硬さが柔らか過ぎるため、カーカス6とビードコア21との間の応力集中を、緩和し難くなる虞がある。この場合、カーカス6とビードコア21との間で作用する力によって発生するカーカスコード6cの破断を、効果的に抑制し難くなる虞がある。また、ゴム補強層60のゴム硬さが85より大きい場合は、ゴム補強層60のゴム硬さが硬過ぎるため、ゴム補強層60と内側有機繊維補強層50との間でのゴム硬さの差が大きくなり過ぎる虞がある。この場合、ゴム補強層60と内側有機繊維補強層50との間で、ゴム硬さの差が大き過ぎることに起因してセパレーションが発生し易くなる虞がある。
これに対し、ゴム補強層60のゴム硬さが80以上85以下の範囲内である場合は、ゴム補強層60のゴム硬さが硬過ぎることによって内側有機繊維補強層50とのゴム硬さの差が大きくなり過ぎることを抑制しつつ、カーカス6とビードコア21との間の応力集中を、より確実に緩和することができる。これにより、ゴム補強層60と内側有機繊維補強層50との間でのセパレーションの発生を抑制しつつ、より確実にカーカスコード6cの破断等の故障の発生を抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ゴム補強層60のゴム硬さは、ビードフィラー40のゴム硬さ以上の硬さになっているため、より確実にゴム補強層60のゴム硬さを確保することができる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を、ゴム硬さが硬いゴム補強層60によってより確実に分散させることができる。従って、カーカス6とビードコア21との間で作用する力によるコートゴム6dの摩耗をより確実に抑制でき、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
[実施形態2]
実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と略同様の構成であるが、ゴム補強層60の外側には外側有機繊維補強層80が配置される点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図5は、実施形態2に係る空気入りタイヤ1の要部を示す子午断面図である。実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と同様に、ORタイヤと呼ばれる、建設車両用ラジアルタイヤになっている。実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に一対のビード部20が配置され、一対のビード部20のそれぞれには、ビードコア21が配置されている。また、タイヤ幅方向における両側のビード部20間にはカーカス6が架け渡されており、カーカス6は、ビード部20でビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に折り返されて配置されている。
図6は、図5のC部詳細図である。ビードコア21は、実施形態1と同様に、タイヤ子午断面で見た場合における形状が、略六角形の断面形状で形成されている。具体的には、ビードコア21は、ビードコア21全体で見た場合におけるビードコア21の内周面であるビードコア底23とビードコア21の外周面22とが略平行に形成されており、タイヤ幅方向における両端側の位置に、タイヤ幅方向に突出する角部を有する、略六角形の形状で形成されている。
また、ビード部20には、内側有機繊維補強層50とゴム補強層60とが配置されており、内側有機繊維補強層50は、タイヤ子午断面において、ビードコア21に対してビードコア21の全周に亘って巻き付けられている。一方、ゴム補強層60は、実施形態1とは異なり、本実施形態2では、ゴム補強層60は、内側有機繊維補強層50とカーカス6との間で、内側有機繊維補強層50の外側から、タイヤ子午断面におけるビードコア21の全周に亘って巻き付けられている。これにより、ゴム補強層60は、タイヤ子午断面においてビードコア21の重心に近付く方向を、ビードコア21を基準とする内側方向とし、ビードコア21の重心から離れる方向を、ビードコア21を基準とする外側方向とする場合に、ビードコア21を基準とする内側有機繊維補強層50の外側に配置されている。
さらに、実施形態2では、実施形態1とは異なりビード部20にはゴム接着層70は配置されておらず、ビード部20には、外側有機繊維補強層80が配置されている。外側有機繊維補強層80は、少なくともゴム補強層60とカーカス6との間に配置され、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通りビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配置されている。本実施形態2では、外側有機繊維補強層80は、ゴム補強層60の外側から、タイヤ子午断面におけるビードコア21の全周に亘って巻き付けられている。
図7は、図6に示す内側有機繊維補強層50とゴム補強層60と外側有機繊維補強層80がビードコア21に巻き付けられる状態を示す説明図である。ビードコア21に巻き付けられる内側有機繊維補強層50は、実施形態1と同様に、帯状の部材である内側有機繊維補強材55が、タイヤ周方向に延びるビードコア21に対して螺旋状に巻かれることにより形成されている。
内側有機繊維補強層50の外側からビードコア21の全周に亘って巻き付けられるゴム補強層60は、帯状の部材であるゴム補強材65が、タイヤ周方向に延びるビードコア21に対して、内側有機繊維補強材55の外側から螺旋状に巻かれることにより形成されている。即ち、ゴム補強層60は、タイヤ周方向に延びるビードコア21を螺旋の中心として、ゴム補強材65がビードコア21の延在方向に沿って、内側有機繊維補強材55が巻き付けられるビードコア21に、内側有機繊維補強材55の外側から螺旋状に巻き付けられている。その際に、ゴム補強材65は、隣り合う周回部分同士が接触しながら螺旋状に巻かれており、例えば、ゴム補強材65は、隣り合う周回部分同士で、帯状に形成されるゴム補強材65の幅方向における一部が重ねられながら巻かれている。これにより、ゴム補強材65は、内側有機繊維補強材55が巻き付けられるビードコア21における内側有機繊維補強材55の外側全体に、隙間なく巻き付けられている。
ゴム補強層60の外側からビードコア21の全周に亘って巻き付けられる外側有機繊維補強層80は、帯状の部材である外側有機繊維補強材85が、タイヤ周方向に延びるビードコア21に対して、ゴム補強材65の外側から螺旋状に巻かれることにより形成されている。即ち、外側有機繊維補強層80は、タイヤ周方向に延びるビードコア21を螺旋の中心として、外側有機繊維補強材85がビードコア21の延在方向に沿って、ゴム補強材65が巻き付けられるビードコア21に、ゴム補強材65の外側から螺旋状に巻き付けられている。その際に、外側有機繊維補強材85は、隣り合う周回部分同士が接触しながら螺旋状に巻かれており、例えば、外側有機繊維補強材85は、隣り合う周回部分同士で、帯状に形成される外側有機繊維補強材85の幅方向における一部が重ねられながら巻かれている。これにより、外側有機繊維補強材85は、ゴム補強材65が巻き付けられるビードコア21におけるゴム補強材65の外側全体に、隙間なく巻き付けられている。
また、これらの内側有機繊維補強層50とゴム補強層60と外側有機繊維補強層80とは、内側有機繊維補強材55を螺旋状に巻く方向と、ゴム補強材65を螺旋状に巻く方向と、外側有機繊維補強材85を螺旋状に巻く方向とが、全て同じ方向になっている。
また、内側有機繊維補強層50は、実施形態1と同様に、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成るコード部材である有機繊維コード51を、コートゴム52によって被覆して形成されている。即ち、内側有機繊維補強層50は、内側有機繊維補強材55がビードコア21に螺旋状に巻き付けられることにより、有機繊維コード51もビードコア21に対して螺旋状に巻かれた状態になり、コートゴム52は、複数の有機繊維コード51を一体で被覆することにより、複数の有機繊維コード51を一体に保持している。
外側有機繊維補強層80も同様に、有機繊維材から成るコード部材である有機繊維コード81を、コートゴム82によって被覆して形成されている。即ち、外側有機繊維補強層80は、帯状の部材である外側有機繊維補強材85の状態では、外側有機繊維補強材85の長さ方向に延びる複数の有機繊維コード81が平行に並んで配置され、コートゴム82は、複数の有機繊維コード81を一体で被覆することにより、複数の有機繊維コード81を一体に保持している。また、有機繊維コード81は、外側有機繊維補強材85の長さ方向に延びて配置されるため、外側有機繊維補強材85が、ゴム補強層60の外側から螺旋状に巻き付けられることにより、有機繊維コード81も、内側有機繊維補強層50及びゴム補強層60が巻かれるビードコア21に対して螺旋状に巻かれた状態になる。
内側有機繊維補強層50と外側有機繊維補強層80との間に配置されるゴム補強層60を形成するゴム補強材65は、帯状のゴム部材になっている。このため、ゴム補強材65が螺旋状に巻かれることにより形成されるゴム補強層60は、内側有機繊維補強層50の外側に巻かれて内側有機繊維補強層50と外側有機繊維補強層80との間に配置されるゴム部材になっている。ゴム補強層60のゴム硬さは、例えば、内側有機繊維補強層50のコートゴム52のゴム硬さや外側有機繊維補強層80のコートゴム82のゴム硬さより硬くなっており、また、カーカス6のコートゴム6dのゴム硬さより硬くなっている。また、ゴム補強層60のゴム硬さは、ビードフィラー40のローアーフィラー41のゴム硬さ以上の硬さになっている。ゴム補強層60は、本実施形態2では、実施形態1と同様に、ゴム硬さが80以上85以下の範囲内になっている。また、本実施形態2では、実施形態1と同様に、ゴム硬さは、JIS K6253に準拠したJIS-A硬度により示されるゴム硬さになっている。
ゴム補強層60の内側に配置される内側有機繊維補強層50と、ゴム補強層60の外側に配置される外側有機繊維補強層80とは、それぞれ有機繊維コード51、81を有しているが、外側有機繊維補強層80の有機繊維コード81の太さは、内側有機繊維補強層50の有機繊維コード51の太さ以上になっている。外側有機繊維補強層80の有機繊維コード81の太さは、内側有機繊維補強層50の有機繊維コード51の太さに対して、1.0倍以上2.5倍以下の範囲内であるのが好ましい。具体的には、内側有機繊維補強層50の有機繊維コード51は、繊度が700dtex以上2000dtex以下の範囲内になっており、外側有機繊維補強層80の有機繊維コード81は、繊度が700dtex以上2000dtex以下の範囲内になっている。
また、外側有機繊維補強層80のコートゴム82のゴム硬さは、内側有機繊維補強層50のコートゴム52のゴム硬さ以上になっている。具体的には、内側有機繊維補強層50のコートゴム52は、ゴム硬さが65以上75以下の範囲内になっており、外側有機繊維補強層80のコートゴム82は、ゴム硬さが70以上80以下の範囲内になっている。
図8は、図6のD部詳細図である。ビードコア21とカーカス6との間には、内側有機繊維補強層50と、ゴム補強層60と、外側有機繊維補強層80とが介在しているが、このうち、内側有機繊維補強層50は、厚さWiが1mm以上3mm以下の範囲内になっている。また、ゴム補強層60は、厚さWrが1mm以上8mm以下の範囲内になっており、外側有機繊維補強層80は、厚さWoが1mm以上3mm以下の範囲内になっている。
ビードコア21とカーカス6との間の各部材は、これらの厚さで形成されることにより、ビードコア21が有するビードワイヤ28と、カーカス6が有するカーカスコード6cとの最短距離は、3mm以上10mm以下の範囲内になっている。ここで、ビードコア21は、タイヤ子午断面における形状が略六角形となる断面形状で形成されている。このため、ビードコア21が有するビードワイヤ28と、カーカス6が有するカーカスコード6cとの最短距離は、断面形状が略六角形で形成されるビードコア21における、いずれかの角部に位置するビードワイヤ28と、カーカス6が有するカーカスコード6cとの距離になっている。
従って、ビードコア21の断面形状における中心側から見て外側に凸となるビードコア21の角部に位置するビードワイヤ28と、カーカス6のカーカスコード6cとの距離は、いずれの角部においても3mmm以上になっている。これにより、例えば、ビードコア最内点26とカーカス6が有するカーカスコード6cとの距離も、3mm以上になっている。なお、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離は、4mm以上8mm以下の範囲内であるのが好ましい。
これらのように構成される空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と同様に、空気入りタイヤ1を規定リムRに装着し、空気入りタイヤ1をリムホイールに対してリム組みをする。空気入りタイヤ1をリム組みしたらインフレートし、車両には、リム組みしてインフレートした状態の空気入りタイヤ1を装着する。
空気入りタイヤ1を装着した車両の走行時は、空気入りタイヤ1の各部には、様々な方向の荷重が作用する。本実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、大型の車両に装着され、負荷が大きい条件下で使用されるため、サイドウォール部5やカーカス6では、非常に大きな荷重を受ける。このため、カーカス6には、大きな張力が作用し、カーカス6は、ビードコア21のビードコア最内点26等に対して大きな荷重を付与しながら擦れることにより、カーカスコード6cが破断する等の故障が発生する虞がある。
これに対し、本実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、ビードコア21に内側有機繊維補強層50が巻き付けられ、内側有機繊維補強層50とカーカス6との間には、ゴム補強層60が少なくともビードコア最内点26を覆って配置されている。これにより、カーカス6に大きな張力が作用することによって、カーカス6とビードコア21との間で大きな力が作用する場合でも、弾力性を有しつつ、ゴム硬さが硬いゴム補強層60によって、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を分散させることができる。従って、カーカス6とビードコア21との間で作用する力によってコートゴム6dが摩耗することを抑制でき、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を抑制することができる。
さらに、ゴム補強層60とカーカス6との間には、外側有機繊維補強層80が配置され、ゴム補強層60は、外側有機繊維補強層80により覆われるため、空気入りタイヤ1の加硫成形時に、ゴム補強層60がカーカス6とビードコア21との間の位置から流れ出るのを抑制することができる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を、ゴム補強層60によってより確実に分散させることができ、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を、より確実に抑制することができる。この結果、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ゴム補強層60のゴム硬さは、内側有機繊維補強層50のコートゴム52や外側有機繊維補強層80のコートゴム82のゴム硬さ以上の硬さであるため、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を、ゴム硬さが硬いゴム補強層60によってより確実に分散させることができる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で作用する力によってカーカス6のコートゴム6dが摩耗することをより確実に抑制することができ、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、外側有機繊維補強層80の有機繊維コード81の太さは、内側有機繊維補強層50の有機繊維コード51の太さ以上であるため、ビードコア21に対する外側有機繊維補強層80の巻き付け力を、より確実に確保することができる。これにより、ビードコア21を形成するビードワイヤ28がばらけることを、外側有機繊維補強層80によってより確実に抑制することができ、ビードコア21に大きな力が作用した際に、ビードコア21の形状が崩れることをより確実に抑制することができる。また、外側有機繊維補強層80の有機繊維コード81が太いため、空気入りタイヤ1の加硫成形時に、ゴム補強層60が外側有機繊維補強層80の外側へ流れ出ることを、外側有機繊維補強層80によってより確実に抑制することができる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を、ゴム補強層60によってより確実に分散させることができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、外側有機繊維補強層80のコートゴム82のゴム硬さは、内側有機繊維補強層50のコートゴム52のゴム硬さ以上の硬さであるため、ビードコア21に対する外側有機繊維補強層80の巻き付け力を、より確実に確保することができ、ビードコア21を形成するビードワイヤ28がばらけることを、より確実に抑制することができる。また、外側有機繊維補強層80のコートゴム82のゴム硬さが硬いため、空気入りタイヤ1の加硫成形時に、ゴム補強層60が外側有機繊維補強層80の外側へ流れ出ることを、外側有機繊維補強層80によってより確実に抑制することができる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を、ゴム補強層60によってより確実に分散させることができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、外側有機繊維補強層80は、外側有機繊維補強材85が螺旋状に巻かれることにより形成され、外側有機繊維補強材85は、隣り合う周回部分同士が接触しながら螺旋状に巻かれるため、空気入りタイヤ1の加硫成形時に、ゴム補強層60がカーカス6とビードコア21との間の位置から流れ出るのを、より確実に抑制することができる。つまり、螺旋状に巻かれる外側有機繊維補強材85に隙間があると、その隙間からゴム補強層60が流れ出る虞があるが、外側有機繊維補強材85を螺旋状に巻く際に、隣り合う周回部分同士を突き合わせにしたり、オーバーラップさせたりしながら巻くことにより、外側有機繊維補強材85の隙間の発生を抑制するこができる。これにより、空気入りタイヤ1の加硫成形時に、外側有機繊維補強材85の内側に位置するゴム補強層60が、外側有機繊維補強材85の隙間から流れ出て、カーカス6とビードコア21との間の位置から流れ出ることを抑制することができ、ゴム補強層60を、より確実にカーカス6とビードコア21との間に配置することができる。従って、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を、ゴム補強層60によってより確実に分散させることができ、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、内側有機繊維補強層50と外側有機繊維補強層80とは、内側有機繊維補強材55を螺旋状に巻く方向と外側有機繊維補強材85を螺旋状に巻く方向とが同じ方向であるため、内側有機繊維補強材55と外側有機繊維補強材85とを、より確実に隙間を発生させることなく巻き付けることができる。これにより、ゴム補強層60の内側と外側との双方で、隙間が発生することを抑制することができ、空気入りタイヤ1の加硫成形時に、ゴム補強層60がカーカス6とビードコア21との間の位置から流れ出ることを、より確実に抑制することができる。従って、ゴム補強層60を、より確実にカーカス6とビードコア21との間に配置することができ、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を、より確実に抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
[変形例]
なお、上述した実施形態1に係る空気入りタイヤ1では、ゴム補強層60のタイヤ径方向における外側端部61は、タイヤ幅方向におけるビードコア21の内側と外側の双方で、ビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向外側に位置しているが、ゴム補強層60の外側端部61は、ビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向外側に位置していなくてもよい。
図9は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ゴム補強層60のタイヤ幅方向外側の外側端部61がビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向内側に位置する状態についての説明図である。図10は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ゴム補強層60のタイヤ幅方向内側の外側端部61がビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向内側に位置する状態についての説明図である。実施形態1に係る空気入りタイヤ1のゴム補強層60は、例えば、図9に示すように、ビードコア21のタイヤ幅方向内側に位置する外側端部61は、ビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向外側に位置し、ビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する外側端部61は、ビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向内側に位置していてもよい。この場合、ゴム補強層60におけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する側の外側端部61は、ビードコア21のビードコア最外点27よりもタイヤ径方向外側に位置するのが好ましい。
反対に、図10に示すように、実施形態1に係る空気入りタイヤ1のゴム補強層60は、ビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する外側端部61は、ビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向外側に位置し、ビードコア21のタイヤ幅方向内側に位置する外側端部61は、ビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向内側に位置していてもよい。この場合も、ゴム補強層60におけるビードコア21のタイヤ幅方向内側に位置する側の外側端部61は、ビードコア21のビードコア最内点26よりもタイヤ径方向外側に位置するのが好ましい。
図11は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ゴム補強層60のタイヤ幅方向両側の外側端部61がビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向内側に位置する状態についての説明図である。さらに、図11に示すように、実施形態1に係る空気入りタイヤ1のゴム補強層60は、ビードコア21のタイヤ幅方向両側に位置する外側端部61が、ビードコア21の外周面22よりタイヤ径方向内側に位置していてもよい。この場合も、ゴム補強層60におけるビードコア21のタイヤ幅方向内側に位置する側の外側端部61は、ビードコア21のビードコア最内点26よりもタイヤ径方向外側に位置し、ビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する側の外側端部61は、ビードコア21のビードコア最外点27よりもタイヤ径方向外側に位置するのが好ましい。
これらのように、ゴム補強層60におけるビードコア21のタイヤ幅方向両側に位置する外側端部61は、少なくともビードコア21のビードコア最内点26やビードコア最外点27よりもタイヤ径方向外側に位置していればよい。これにより、ゴム補強層60は、ビードコア21における、ビードコア最内点26とビードコア最外点27とに亘る範囲を覆うことができるため、ビードコア21とカーカス6との間で、応力集中が発生し易い位置の応力集中を緩和することができる。
つまり、ビードコア21は、略六角形の断面形状で形成されており、カーカス6は、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に折り返されている。このため、ビードコア最内点26とビードコア最外点27とに亘る範囲をゴム補強層60で覆うことにより、ビードコア21の断面形状の角部において、カーカス6に覆われる部分を、ビードコア21とカーカス6との間に位置するゴム補強層60によって覆うことができる。
これにより、ビードコア21とカーカス6との間において、応力集中が発生し易い部分である、ビードコア21の断面形状の角部付近の応力集中を、ゴム補強層60によって緩和することができる。従って、応力集中によってコートゴム6dが摩耗し易くなることを抑制でき、カーカスコード6cが破断することを、より確実に抑制することができる。この結果、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、上述した実施形態1に係る空気入りタイヤ1では、ビードコア21はタイヤ子午断面における形状が略六角形の断面形状になっているが、ビードコア21は、これ以外の形状で形成されていてもよい。図12は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ビードコア21が八角形の断面形状で形成される場合の説明図である。実施形態1に係る空気入りタイヤ1のビードコア21は、例えば、図12に示すように、タイヤ子午断面における形状が略八角形の断面形状で形成されていてもよい。ビードコア21が略八角形の断面形状で形成される場合において、タイヤ幅方向における最内側の辺がタイヤ径方向に沿って形成される場合には、当該辺の両端に位置する2箇所の角部の双方が、ビードコア21のビードコア最内点26となる。同様に、ビードコア21が略八角形の断面形状で形成される場合において、タイヤ幅方向における最外側の辺がタイヤ径方向に沿って形成される場合には、当該辺の両端に位置する2箇所の角部の双方が、ビードコア21のビードコア最外点27となる。
このため、ビードコア21のタイヤ幅方向における両側の辺が、タイヤ径方向に沿って形成される場合には、実施形態1に係る空気入りタイヤ1のゴム補強層60は、ビードコア21のタイヤ幅方向における両側の辺に亘る範囲を覆って配置するのが好ましい。これにより、ゴム補強層60は、2箇所のビードコア最内点26と、2箇所のビードコア最外点27とを覆うことができるため、略八角形の断面形状で形成されるビードコア21とカーカス6との間において、応力集中が発生し易い部分の応力集中を、より確実にゴム補強層60によって緩和することができる。従って、応力集中によるカーカス6の故障を抑制することができ、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、上述した実施形態2に係る空気入りタイヤ1では、ゴム補強層60は、タイヤ子午断面においてビードコア21の全周に亘って配置されているが、ゴム補強層60は、ビードコア21の全周に亘って配置されていなくてもよい。
図13は、実施形態2に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ゴム補強層60がビードコア21のタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側にかけて配置される状態についての説明図である。図14は、実施形態2に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ゴム補強層60がビードコア21のタイヤ幅方向内側に配置される状態についての説明図である。実施形態2に係る空気入りタイヤ1のゴム補強層60は、例えば、図13に示すように、タイヤ子午断面において、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配置されていてもよい。即ち、ゴム補強層60は、帯状のゴム補強材65(図7参照)を、ビードコア21に対して螺旋状に巻き付けるのではなく、シート状のゴム部材を、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて折り返すことにより配置されていてもよい。この場合、内側有機繊維補強層50の外側において、ゴム補強層60が配置されない部分は、内側有機繊維補強層50の外側に外側有機繊維補強層80が直接配置される状態になる。
または、実施形態2に係る空気入りタイヤ1のゴム補強層60は、図14に示すように、ビードコア21のタイヤ幅方向内側の部分にのみ配置されていてもよい。この場合も、ゴム補強層60は、シート状のゴム部材を使用し、ビードコア21のタイヤ幅方向内側における、ビードコア21の外周面22よりもタイヤ径方向外側の位置からビードコア底23よりもタイヤ径方向内側の位置にかけて配置してもよい。ゴム補強層60は、必ずしもビードコア21の全周に亘って配置されていなくてもよく、内側有機繊維補強層50とカーカス6との間で、少なくともビードコア最内点26を覆って配置されていればよい。
ビードコア最内点26とカーカス6との間の部分は、カーカス6に大きな張力が作用した際に、応力集中が発生し易い部分であるため、ゴム補強層60を、少なくともビードコア最内点26を覆って配置することにより、応力集中の発生を抑制することができる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で作用する力によってコートゴム6dが摩耗することを抑制でき、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を抑制することができる。この結果、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、上述した実施形態2に係る空気入りタイヤ1では、外側有機繊維補強層80は、タイヤ子午断面においてビードコア21の全周に亘って配置されているが、外側有機繊維補強層80は、ビードコア21の全周に亘って配置されていなくてもよい。図15は、実施形態2に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、外側有機繊維補強層80がビードコア21のタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側にかけて配置される状態についての説明図である。実施形態2に係る空気入りタイヤ1の外側有機繊維補強層80は、例えば、図15に示すように、タイヤ子午断面において、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配置されていてもよい。即ち、外側有機繊維補強層80とゴム補強層60とのいずれもが、図15に示すように、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて折り返すことにより配置されていてもよい。
外側有機繊維補強層80は、少なくともゴム補強層60とカーカス6との間に配置され、且つ、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通りビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配置されていればよい。外側有機繊維補強層80は、ゴム補強層60とカーカス6との間に配置されることにより、空気入りタイヤ1の加硫成形時に、外側有機繊維補強層80によってゴム補強層60がビードコア21とカーカス6との間の位置から流れ出ることを抑制することができる。これにより、カーカス6とビードコア21との間で作用する力を、ゴム補強層60によってより確実に分散させることができ、カーカスコード6cの破断等の故障の発生を抑制することができるため、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、上述した実施形態2に係る空気入りタイヤ1では、ビードコア21はタイヤ子午断面における形状が略六角形の断面形状になっているが、ビードコア21は、これ以外の形状で形成されていてもよい。図16は、実施形態2に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ビードコア21が八角形の断面形状で形成される場合の説明図である。実施形態2に係る空気入りタイヤ1においても、ビードコア21は、例えば、図16に示すように、タイヤ子午断面における形状が略八角形の断面形状で形成され、内側有機繊維補強層50とゴム補強層60と外側有機繊維補強層80とは、略八角形の断面形状のビードコア21に巻き付けて配置されていてもよい。実施形態2に係る空気入りタイヤ1においても、ビードコア21が略八角形の断面形状で形成される場合において、タイヤ幅方向における最内側の辺がタイヤ径方向に沿って形成される場合には、当該辺の両端に位置する2箇所の角部の双方が、ビードコア21のビードコア最内点26となる。
このため、ビードコア21のタイヤ幅方向における最内側の辺が、タイヤ径方向に沿って形成される場合には、実施形態2に係る空気入りタイヤ1のゴム補強層60は、少なくとも2箇所のビードコア最内点26を覆って配置されるのが好ましい。これにより、ゴム補強層60は、略八角形の断面形状で形成されるビードコア21とカーカス6との間において、応力集中が発生し易い部分の応力集中を、より確実にゴム補強層60によって緩和することができる。従って、応力集中によるカーカス6の故障を抑制することができ、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、上述した実施形態1、2に係る空気入りタイヤ1では、内側有機繊維補強層50は、1層が配置されているが、内側有機繊維補強層50は、複数の層が積層されて配置されていてもよい。同様に、上述した実施形態2に係る空気入りタイヤ1では、外側有機繊維補強層80は、1層が配置されているが、外側有機繊維補強層80も複数の層が積層されていてもよい。
また、上述した実施形態1に係る空気入りタイヤ1では、ビードコア21は、1つのビード部20に1つが配置されているのみであるが、ビードコア21は、1つのビード部20に複数が配置されていてもよい。図17は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ビード部20にビードコア21が複数配置される場合の説明図である。実施形態1に係る空気入りタイヤ1のビードコア21は、例えば、図17に示すように、1つのビード部20に3つが配置されていてもよい。この場合、カーカス6は、ビードコア21ごとに、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に折り返される。つまり、実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、バイアスプライのコードを内包するカーカス6を有する、バイアスタイヤとして形成され、カーカス6は、複数のカーカス6が積層されることにより、ビード部20で、異なるカーカス6がビードコア21ごとに折り返されていてもよい。
このように、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の1つのビード部20に複数のビードコア21が配置され、複数のカーカス6がビードコア21ごとに折り返される場合には、内側有機繊維補強層50、ゴム補強層60、ゴム接着層70は、ビードコア21ごとに配置される。即ち、1つのビード部20に配置される複数のビードコア21のそれぞれに内側有機繊維補強層50が巻き付けられ、それぞれの内側有機繊維補強層50とカーカス6との間に、ゴム補強層60及びゴム接着層70が配置されていてもよい。
1つのビード部20に複数のビードコア21が配置される場合でも、空気入りタイヤ1に大きな荷重が作用し、カーカス6に大きな張力が作用した場合は、カーカス6とビードコア21とが擦れることによるカーカス6の故障は、カーカス6ごとに発生する虞がある。このため、1つのビード部20に複数のビードコア21が配置され、複数のカーカス6がビードコア21ごとに折り返される場合には、内側有機繊維補強層50、ゴム補強層60、ゴム接着層70も、ビードコア21ごとに配置することにより、各カーカス6の故障を抑制することができる。この結果、1つのビード部20に複数のビードコア21が配置される場合におけるビード部20の耐久性を向上させることができる。
同様に、実施形態2に係る空気入りタイヤ1においても、ビードコア21は、1つのビード部20に複数が配置されていてもよい。図18は、実施形態2に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、ビード部20にビードコア21が複数配置される場合の説明図である。実施形態2に係る空気入りタイヤ1においても同様に、ビードコア21は、例えば、図18に示すように、1つのビード部20に3つが配置されていてもよい。つまり、実施形態2においても同様に、空気入りタイヤ1は、バイアスプライのコードを内包するカーカス6を有する、バイアスタイヤとして形成され、カーカス6は、複数のカーカス6が積層されることにより、ビード部20で、異なるカーカス6がビードコア21ごとに折り返されていてもよい。
このように、実施形態2に係る空気入りタイヤ1の1つのビード部20に複数のビードコア21が配置され、複数のカーカス6がビードコア21ごとに折り返される場合には、内側有機繊維補強層50、ゴム補強層60、外側有機繊維補強層80は、ビードコア21ごとに配置される。1つのビード部20に複数のビードコア21が配置される場合でも、空気入りタイヤ1に大きな荷重が作用し、カーカス6に大きな張力が作用した場合は、カーカス6とビードコア21とが擦れることによるカーカス6の故障は、カーカス6ごとに発生する虞がある。このため、1つのビード部20に複数のビードコア21が配置され、複数のカーカス6がビードコア21ごとに折り返される場合には、内側有機繊維補強層50、ゴム補強層60、外側有機繊維補強層80も、ビードコア21ごとに配置することにより、各カーカス6の故障を抑制することができる。この結果、1つのビード部20に複数のビードコア21が配置される場合におけるビード部20の耐久性を向上させることができる。
[実施例]
図19A、図19Bは、空気入りタイヤの第1の性能評価試験の結果を示す図表である。図20A、図20Bは、空気入りタイヤの第2の性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する比較例の空気入りタイヤとについて行なった第1、第2の性能評価試験について説明する。第1、第2の性能評価試験は、空気入りタイヤ1の耐久性を評価する耐久試験を行った。
これらの第1、第2の性能評価試験は、タイヤの呼びが46/90R57サイズの空気入りタイヤ1を試験タイヤとして使用し、この試験タイヤをTRA規格に準拠するリムホイールにリム組みし、空気圧をTRA規格で規定される空気圧に調整して、TRA規格で規定される荷重を付与する条件下で行った。
第1、第2の性能評価試験における評価項目のうち、耐久性についての評価方法は、室内ドラム試験機を使用し、荷重をTRAで規定される最大負荷荷重の85%、速度を15km/hに設定して走行試験を行い、空気入りタイヤを目標走行時間として設定した30日間走行させた後、耐久試験走行を止めて、ビード部でのカーカスの損傷の程度と、ビード部でのカーカスコードの破断の有無とに基づいて評価を行った。ビード部でのカーカスコードの破断の有無は、室内ドラム試験機での走行試験後の空気入りタイヤに対して、ビード部にてカーカスとビードコアを剥離し、カーカスコードの損傷及び破断の程度を確認し、カーカスコードの判断の有無を確認した。ビード部の耐久性を示す、ビード部でのカーカスの損傷の程度は、カーカスコード損傷及び破断の程度を指数化し、指数の逆数を、第1の性能評価試験では後述する従来例1を100とする指数で表し、第2の性能評価試験では後述する従来例2を100とする指数で表すことにより評価した。
第1の性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例1の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例1-1~1-12と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する空気入りタイヤである比較例1-1、1-2との15種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、従来例1の空気入りタイヤは、ビードコアに内側有機繊維補強層が巻き付けられているものの、ビード部には、ゴム補強層とゴム接着層とが配置されていない。また、比較例1-1の空気入りタイヤは、ビード部にゴム補強層とゴム接着層とが配置されているものの、ゴム補強層のゴム硬さが、ゴム接着層及び内側有機繊維補強層のコートゴムのゴム硬さよりも硬くなっておらず、また、ビードワイヤとカーカスコードとの最短距離が3mm以上になっていない。また、比較例1-2の空気入りタイヤは、ビード部にゴム補強層とゴム接着層とが配置されているものの、ゴム補強層はビードコア最内点を覆っていない。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1-1~1-12は、全てビード部20にゴム補強層60が配置され、ゴム補強層60はビードコア最内点26を覆っており、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離が3mm以上になっている。さらに、実施例1-1~1-12に係る空気入りタイヤ1は、ゴム補強層60のゴム硬さや、ゴム接着層70のゴム硬さ、ゴム接着層70のタイヤ径方向における外側端部71は、ゴム補強層60のタイヤ径方向における外側端部61よりもタイヤ径方向外側に位置するか否か、ゴム補強層60のタイヤ径方向における外側端部61は、ビードコア21よりもタイヤ径方向外側に位置しているか否か、ゴム接着層70はコバルト化合物を含有するか否かが、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図19A、図19Bに示すように、実施例1-1~1-12に係る空気入りタイヤ1は、従来例1や比較例1-1、1-2に対して、ビード部20の損傷の程度が小さく、また、ビード部20でのカーカスコード6cの破断が発生し難いことが分かった。実施例1-1~1-12に係る空気入りタイヤ1は、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、第2の性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例2の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例2-1~2-14と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する空気入りタイヤである比較例2との16種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、従来例2の空気入りタイヤは、ビードコアに内側有機繊維補強層が巻き付けられているものの、ゴム補強層及び外側有機繊維補強層を有しておらず、ビードワイヤとカーカスコードとの最短距離が1mmになっている。また、比較例2の空気入りタイヤは、ビードコアに内側有機繊維補強層が巻き付けられているものの、ゴム補強層及び外側有機繊維補強層を有しておらず、ビードワイヤとカーカスコードとの最短距離が3mmになっている。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例2-1~2-14は、全てビード部20に、内側有機繊維補強層50と、ゴム補強層60と、外側有機繊維補強層80とを有している。さらに、実施例2-1~2-14に係る空気入りタイヤ1は、ビードワイヤ28とカーカスコード6cとの最短距離や、ゴム補強層60のゴム硬さは、内側有機繊維補強層50のコートゴム52のゴム硬さや、外側有機繊維補強層80のコートゴム72のゴム硬さ以上であるか否か、ゴム補強層60のゴム硬さは、ビードフィラー40のゴム硬さ以上であるか否か、ゴム補強層60のゴム硬さ、外側有機繊維補強層80は隣り合う周回部分同士が接触しながら巻かれるか否か、内側有機繊維補強層50と外側有機繊維補強層80とで螺旋状に巻く方向が同じ方向であるか否か、外側有機繊維補強層80の有機繊維コード81の太さは、内側有機繊維補強層50の有機繊維コード51の太さ以上であるか否か、外側有機繊維補強層80のコートゴム72のゴム硬さは、内側有機繊維補強層50のコートゴム52のゴム硬さ以上であるか否かが、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図20A、図20Bに示すように、実施例2-1~2-14に係る空気入りタイヤ1は、従来例2や比較例2に対して、ビード部20の損傷の程度が小さく、また、ビード部20でのカーカスコード6cの破断が発生し難いことが分かった。実施例2-1~2-14に係る空気入りタイヤ1は、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 トレッド踏面
4 ショルダー部
5 サイドウォール部
6 カーカス
6a カーカス本体部
6b ターンナップ部
6c カーカスコード
6d コートゴム
7 ベルト層
8 インナーライナ
10 陸部
20 ビード部
21 ビードコア
22 外周面
23 ビードコア底
26 ビードコア最内点
27 ビードコア最外点
28 ビードワイヤ
30 ビードベース部
40 ビードフィラー
50 内側有機繊維補強層
51 有機繊維コード
52 コートゴム
55 内側有機繊維補強材
60 ゴム補強層
61 外側端部
65 ゴム補強材
70 ゴム接着層
71 外側端部
80 外側有機繊維補強層
81 有機繊維コード
82 コートゴム
85 外側有機繊維補強材

Claims (15)

  1. タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面の両側に配置される一対のビード部と、
    前記ビード部に配置され、ビードワイヤをリング状に巻いて形成されると共に、タイヤ子午断面における形状が多角形断面で形成されるビードコアと、
    タイヤ幅方向における両側の前記ビード部間に架け渡されると共に、前記ビード部で前記ビードコアのタイヤ幅方向内側から前記ビードコアのタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に折り返され、カーカスコードをコートゴムによって被覆して形成されるカーカスと、
    前記ビードコアに巻き付けられ、有機繊維コードをコートゴムによって被覆して形成される内側有機繊維補強層と、
    前記内側有機繊維補強層と前記カーカスとの間で、少なくともタイヤ幅方向における前記ビードコアの最内側の頂点を覆って配置されるゴム補強層と、
    を備え、
    前記ビードワイヤと前記カーカスコードとの最短距離は3mm以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴム補強層は、前記ビードコアのタイヤ幅方向内側から前記ビードコアのタイヤ径方向内側を通り前記ビードコアのタイヤ幅方向外側にかけて配置され、
    前記ゴム補強層と前記カーカスとの間で、前記ビードコアのタイヤ幅方向内側から前記ビードコアのタイヤ径方向内側を通り前記ビードコアのタイヤ幅方向外側にかけて配置されるゴム接着層を有し、
    前記ゴム接着層のゴム硬さは、前記カーカスの前記コートゴムのゴム硬さ以上の硬さになっており、
    前記ゴム補強層のゴム硬さは、前記ゴム接着層のゴム硬さ、及び前記内側有機繊維補強層の前記コートゴムのゴム硬さより硬くなっており、
    前記ゴム接着層は、硫黄量が前記カーカスの前記コートゴムの硫黄量以上である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ゴム接着層は、ゴム硬さが72以上78以下の範囲内である請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ゴム接着層と前記ゴム補強層とにおける前記ビードコアのタイヤ幅方向内側に位置する部分は、前記ゴム補強層のタイヤ径方向外側の端部よりも、前記ゴム接着層のタイヤ径方向外側の端部の方がタイヤ径方向外側に位置する請求項2または3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ゴム補強層は、タイヤ径方向外側の端部が前記ビードコアの外周面よりもタイヤ径方向外側に位置する請求項2~4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ゴム接着層は、コバルト化合物を含有する請求項2~5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 有機繊維コードをコートゴムによって被覆して形成されると共に、少なくとも前記ゴム補強層と前記カーカスとの間に配置され、且つ、前記ビードコアのタイヤ幅方向内側から前記ビードコアのタイヤ径方向内側を通り前記ビードコアのタイヤ幅方向外側にかけて配置される外側有機繊維補強層を備える請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ゴム補強層のゴム硬さは、前記内側有機繊維補強層の前記コートゴム、及び前記外側有機繊維補強層の前記コートゴムのゴム硬さ以上の硬さである請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記外側有機繊維補強層の前記有機繊維コードの太さは、前記内側有機繊維補強層の前記有機繊維コードの太さ以上である請求項7または8に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記外側有機繊維補強層の前記コートゴムのゴム硬さは、前記内側有機繊維補強層の前記コートゴムのゴム硬さ以上の硬さである請求項7~9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記外側有機繊維補強層は、帯状の部材が、タイヤ周方向に延びる前記ビードコアに対して螺旋状に巻かれることにより形成され、
    前記帯状の部材は、隣り合う周回部分同士が接触しながら螺旋状に巻かれる請求項7~10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記内側有機繊維補強層は、帯状の部材が、タイヤ周方向に延びる前記ビードコアに対して螺旋状に巻かれることにより形成され、
    前記内側有機繊維補強層と前記外側有機繊維補強層とは、前記内側有機繊維補強層を形成する前記帯状の部材を螺旋状に巻く方向と前記外側有機繊維補強層を形成する前記帯状の部材を螺旋状に巻く方向とが同じ方向である請求項11に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記ビードワイヤと前記カーカスコードとの最短距離は、4mm以上8mm以下の範囲内である請求項1~12のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記ゴム補強層は、ゴム硬さが80以上85以下の範囲内である請求項1~13のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  15. 前記カーカスにおける前記ビードコアのタイヤ幅方向外側に折り返される部分であるターンナップ部のタイヤ幅方向内側で、且つ、前記ビードコアのタイヤ径方向外側にはビードフィラーが配置され、
    前記ゴム補強層のゴム硬さは、前記ビードフィラーのゴム硬さ以上の硬さである請求項1~14のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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