JP2024507286A - 益虫に対する植物の誘引性を増強するための方法および3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(dopa)のエナンチオマーの使用 - Google Patents

益虫に対する植物の誘引性を増強するための方法および3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(dopa)のエナンチオマーの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、益虫に対する植物の誘引性を増強するための方法およびエナンチオマー3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)の使用に関する。本発明の方法は、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)およびD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)からなる群から選択されるDOPAのエナンチオマーまたはそれらの混合物を有効量含む組成物を、前記植物の葉、茎および/または根に少なくとも1回適用することを含む。本方法は、有害な害虫の経済的防除を提供し、さらには、蔓延前の予防的防除を可能にする。同様に、益虫の誘引を増加させ、次に植物の成長および繁殖の増加を提供する。

Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、植物における自己防御を調節するための、より具体的には益虫に対する植物の誘引性を増強するための、新規な方法および3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーの使用に関する。
〔発明の背景〕
DOPAとして知られる3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンは、植物中に広く分布する非タンパク質アミノ酸である。この非タンパク質アミノ酸は、多数の二次代謝産物のグループを構成し、窒素および炭素の関連するリザーバーを表す。それらの中でも、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)および3,4-ジヒドロキシフェネチルアミン(ドーパミン)は、植物に対して関連する生理学的および生化学的作用を有する(Baluska Fら)。DOPAは、レボドパまたはL-DOPAとしても知られるL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、およびデキストロドパまたはD-DOPAとしても知られるD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンという2つの異性体を有する。
DOPAは、動物、植物、およびヒトの組織中にも存在し、その産生は、酵素チロシンヒドロキシラーゼによるアミノ酸チロシンからの生合成を介しており、神経伝達物質:ドーパミン、ノルエピネフリン、およびエピネフリンの前駆体である。
DOPAは、パーキンソン病の最も有効な薬物治療として1961年から広く使用されており(PD)(例えば、EP0867179A1、US4863962AおよびCN111701024A)、その使用は主に医薬分野に関連している。
農業分野では、多くの研究は、アレロケミカルとしてのDOPAの使用を記載している。この化合物は、典型的には種子の発芽を抑制し、根に損傷を引き起こし、苗の成長を阻害する。Nishihara, Eら(2004)は、L-DOPAを、植物に対して顕著に生理学的および生化学的効果を有する最も強力な天然のアレロケミカルとして報告しており、例えば、当該化合物は、多くの植物の成長(特に、小根および胚軸)を低下させた。
一方、文書KR20200048417Aには、カテコールおよびバニリン酸の共重合体、またはカテコールおよびバニリン酸の混合物を、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)と共に添加することにより合成された共重合体を含む、植物病害に対する耐性を増進するための組成物が記載されている。この組成物は、植物の病害耐性を増進する優れた効果に起因して、肥料として、および土壌改良剤として、植物の成長を促進するために使用することができる。具体的には、植物病害は、細菌性植物病害である。
しかしながら、有害生物防除などの他の農業目的のためのDOPAおよび/またはその異性体の使用は、従来技術には記載されていない。農業における有害生物防除は主に、標的でない有益生物に影響を与え、望ましくない生態学的効果をもたらすことがある殺虫剤の適用に基づく。
〔発明の説明〕
L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)もしくはD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)などのDOPAのエナンチオマー、またはそれらの混合物の適用は、アブラムシの捕食者および寄生者の誘引において、ならびに寄生者による採餌を刺激するVOCの産生を誘導する気中浮遊信号として、直接的な信号伝達の役割を有する。
植物は、草食動物の被害から自らを守ることができ、他の近づいてくる草食動物を忌避し、益虫を引きつけるようになる。この反応は、天敵の採餌の手がかりとなり得る揮発性有機化合物(VOC)の放出に反映されている。このVOCの分析は、植物におけるDOPAまたはそのエナンチオマーの外因性適用が、VOCの放出、より具体的には中でも、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、オシメン、シス-3-ヘキセン-1-オールおよびシス-3-ヘキセニル酢酸の放出を有意に増加させることを示した。
これは、有害な害虫の経済的防除を提供し、さらには、蔓延前の予防的防除を可能にする。同様に、益虫の誘引を増加させ、次に植物の成長および繁殖の増加を提供する。
第1の態様において、本発明は、益虫に対する植物の誘引性を増強するための方法に関し、当該方法は、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)およびD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)からなる群から選択される3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーまたはそれらの混合物を有効量含む組成物を、植物の葉、茎および/または根に少なくとも1回適用することを含むことを特徴とする。
本発明において使用されるDOPAのエナンチオマーは、人工的であってもよく、例えば有機合成によって生成されてもよく、または、天然源から単離されてもよく、例えば植物抽出物から単離もしくは微生物抽出物から単離されてもよい。
好ましい実施形態において、益虫は、コマユバチ(Braconidae)科に属する。コマユバチ科は、昆虫の最も種が豊富な科の1つを構成する。コマユバチの大多数は、他の昆虫、特に、一部の不完全変態昆虫(アブラムシ類、異翅類昆虫、シロアリモドキ目(embiidina)など)も含む、鞘翅類、双翅目、鱗翅目の幼生期での、一次寄生虫である。
好ましい実施形態において、益虫は、アブラバチ(Aphidiinae)亜科に属し、特には、益虫は、エルビアブラバチ(Aphidius ervi)である。
好ましい実施形態において、植物は、中でも、イネ(Poaceae)科、ナス(Solanaceae)科、アブラナ(Brassicaceae)科、ミカン(Rutaceae)科、Rosacea family、クロウメモドキ(Rhamnaceae)科、セリ(Apiaceae)科およびマメ(Leguminosae)科に属する植物種から選択される。
本発明の第1の態様の方法において、有害生物蔓延の前に、または、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、抗ウイルス剤、および有害生物蔓延を制御する化学的化合物、もしくはそれらの混合物から選択される化学薬品の適用の後に、組成物が植物に適用される。
本発明の第1の態様の方法において、噴霧(spraying)、散布(spreading)、噴霧(fogging)、浸漬(dipping)、浸漬(drenching)、撒布(dusting)、植物または植物の基質への注入、根を通した適用、または潅漑用水への添加によって、組成物が植物に少なくとも1回適用される。好ましくは、葉面噴霧(foliar spraying)によって、または潅漑用水への添加による。
本発明の第1の態様の方法において、水耕栽培または土壌培養栽培において、組成物が植物に適用される。さらに、組成物は、少なくとも3ヶ月に1回、好ましくは少なくとも1ヶ月に1回、より好ましくは少なくとも1週間に1回、植物に適用される。
本発明の第1の態様の方法において、組成物は、植物ホルモン、除草剤、殺菌剤、アミノ酸、腐植土成分、有機化合物、ポリフェノール、微量養素、肥料、誘導因子、植物成長調節剤、生物刺激剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる活性成分を含む。
第2の態様において、本発明は、益虫に対する植物の誘引性を増強するための、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)およびD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)からなる群から選択される3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーまたはそれらの混合物の使用に関する。
好ましい実施形態において、益虫は、コマユバチ科に属する。特には、益虫は、アブラバチ亜科に属し、より特には、益虫は、エルビアブラバチである。
好ましい実施形態において、植物は、中でも、イネ科、ナス科、アブラナ科、ミカン科、Rosacea family、クロウメモドキ科、セリ科およびマメ科に属する植物種から選択される。
第3の態様において、本発明は、植物における有害生物の処理または予防のための方法に関し、当該方法は、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーまたはその混合物を有効量含む組成物を、植物の葉、茎および/または根に少なくとも1回適用することを含むことを特徴とする。
好ましい実施形態において、有害生物はアブラムシ害虫である。アブラムシは、温帯地域で栽培される植物にとって最も破壊的な害虫である。アブラムシの防除は、容易ではない。殺虫剤は、いくつかの種類の殺虫剤に対する耐性、およびアブラムシが葉の下面を食べることが多いという事実を考慮すると、必ずしも信頼できる結果をもたらすとは限らない。したがって、本発明の第3の態様は、植物におけるアブラムシ害虫の処理または予防のための生態学的かつ有効な代案である。
好ましい実施形態において、植物は、中でも、イネ科、ナス科、アブラナ科、ミカン科、Rosacea family、クロウメモドキ科、セリ科およびマメ科に属する植物種から選択される。
本発明の第3の態様の方法において、有害生物蔓延の前に、または、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、抗ウイルス剤、および有害生物蔓延を制御する化学的化合物、もしくはそれらの混合物から選択される化学薬品の適用の後に、組成物が植物に適用される。
本発明の第3の態様の方法において、噴霧(spraying)、散布(spreading)、噴霧(fogging)、浸漬(dipping)、浸漬(drenching)、撒布(dusting)、植物の基質への注入、根を通した適用、または潅漑用水への添加によって、組成物が植物に少なくとも1回適用される。好ましくは、葉面噴霧(foliar spraying)によって、または潅漑用水への添加による。
本発明の第3の態様の方法において、水耕栽培または土壌培養栽培において、組成物が植物に適用される。さらに、組成物は、少なくとも3ヶ月に1回、好ましくは少なくとも1ヶ月に1回、より好ましくは少なくとも1週間に1回、植物に適用される。
本発明の第3の態様の方法において、組成物は、植物ホルモン、除草剤、殺菌剤、アミノ酸、腐植土成分、有機化合物、ポリフェノール、微量養素、肥料、誘導因子、植物成長調節剤、生物刺激剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる活性成分を含む。
第4の態様において、本発明は、植物における有害生物の処理または予防のための、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)およびD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)からなる群から選択される3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーまたはそれらの混合物の使用に関する。
好ましい実施形態において、益虫は、コマユバチ科に属する。特には、益虫は、アブラバチ亜科に属し、より特には、益虫は、エルビアブラバチである。
好ましい実施形態において、植物は、中でも、イネ科、ナス科、アブラナ科、ミカン科、Rosacea family、クロウメモドキ科、セリ科およびマメ科に属する植物種から選択される植物から選択される。
第5の態様において、本発明は、植物における揮発性有機化合物(VOC)の濃度を変化させるための方法に関し、当該方法は、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)およびD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)からなる群から選択される3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーまたはそれらの混合物を有効量含む組成物を、植物の葉、茎および/または根に少なくとも1回適用することを含むことを特徴とする。
本発明の第5の態様の方法は、植物を益虫に対してより誘引性にする、植物中の揮発性有機化合物(VOC)のうち少なくとも1つの濃度の変化を生じさせる。好ましくは、本方法は中でも、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、オシメン、シス-3-ヘキセン-1-オールおよびシス-3-ヘキセニル酢酸からなる群から選択されるVOCのうち少なくとも1つの濃度を変化させる。
好ましくは、化合物6-メチル-5-ヘプテン-2-オンの濃度の変化は、50~15重量%、好ましくは40~20重量%、より好ましくは35~25重量%である。
好ましくは、化合物オシメンの濃度の変化は、75~30重量%、好ましくは65~40重量%、より好ましくは60~50重量%である。
好ましくは、化合物シス-3-ヘキセン-1-オールの濃度の変化は、40~5重量%、好ましくは30~10重量%、より好ましくは25~13重量%である。
好ましくは、化合物シス-3-ヘキセニル酢酸の濃度の変化は、45~5重量%、好ましくは30~10重量%、より好ましくは25~13重量%である。
好ましい実施形態において、益虫は、コマユバチ科に属する。特には、益虫は、アブラバチ亜科に属し、より特には、益虫は、エルビアブラバチである。
好ましい実施形態において、植物は、イネ科、ナス科、アブラナ科、ミカン科、Rosacea family、クロウメモドキ科、セリ科およびマメ科に属する植物種から選択される。
本発明の第5の態様の方法において、有害生物蔓延の前に、または、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、抗ウイルス剤、および有害生物蔓延を制御する化学的化合物、もしくはそれらの混合物から選択される化学薬品の適用の後に、組成物が植物に適用される。
本発明の第5の態様の方法において、噴霧(spraying)、散布(spreading)、噴霧(fogging)、浸漬(dipping)、浸漬(drenching)、撒布(dusting)、植物または植物の基質への注入、根を通した適用、または潅漑用水への添加によって、組成物が植物に少なくとも1回適用される。好ましくは、葉面噴霧(foliar spraying)によって、または潅漑用水への添加による。
本発明の第5の態様の方法において、水耕栽培または土壌培養栽培において、組成物が植物に適用される。さらに、組成物は、少なくとも3ヶ月に1回、好ましくは少なくとも1ヶ月に1回、より好ましくは少なくとも1週間に1回、植物に適用される。
本発明の第5の態様の方法において、組成物は、植物ホルモン、除草剤、殺菌剤、アミノ酸、腐植土成分、有機化合物、ポリフェノール、微量養素、肥料、誘導因子、植物成長調節剤、生物刺激剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる活性成分を含む。
第6の態様において、本発明は、植物における揮発性有機化合物(VOC)の濃度を変化させるための、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)およびD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)からなる群から選択される3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーまたはそれらの混合物の使用に関する。
VOCは、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、オシメン、シス-3-ヘキセン-1-オールおよびシス-3-ヘキセニル酢酸である。
好ましい実施形態において、益虫は、コマユバチ科に属する。特には、益虫は、アブラバチ亜科に属し、より特には、益虫は、エルビアブラバチである。
好ましい実施形態において、植物は、中でも、イネ科、ナス科、アブラナ科、ミカン科、Rosacea family、クロウメモドキ科、セリ科およびマメ科に属する植物種から選択される植物から選択される。
本明細書中で使用する場合、用語「植物の誘引性を増強する」は、植物への益虫のより大きな誘引が存在するという意味を有する。また、当該用語は、未処理の植物よりも最大約20%、植物上でのより長い滞在時間を益虫が有するという事実を指す。
本明細書中で使用する場合、用語「益虫」は、当技術分野において一般的に帰属される意味を有し、すなわち、他の昆虫に対する寄生者および捕食者として働く昆虫である。特には、アブラムシの捕食者および捕食寄生者として働く。
本明細書中で使用する場合、用語「有害生物」は、当技術分野において一般に帰属される意味を有し、すなわち、植物もしくは植物作物に有害な、植物、動物または病原体の任意の種、株または生物型である。
本明細書中で使用する場合、用語「有害生物蔓延」は、当技術分野において一般的に帰属される意味を有し、すなわち、それらの数および影響が現にまたは潜在的に耐えられない水準にある領域または場所における、1種以上の有害生物種の発生である。
〔図面の簡単な説明〕
以下の図を下記にて説明する。これらは、例示的な実施形態を図示するものであり、それらの範囲を限定するものではない。
図1は、2方向オルファクトメーターの対照(cnt)アームに対する処理(trt)アームのエルビアブラバチ雌の滞在時間(%)を示す。処理(trt)は、L-Dopaで処理された豆植物(ソラマメ(Vicia faba))である一方、対照(cnt)は、清浄な豆植物である。対応のあるt検定によりデータを解析した(“*”:P<0.05)。
図2は、2方向オルファクトメーターの対照(cnt)アームに対する処理(trt)アームのエルビアブラバチ雌の滞在時間(%)を示す。処理(trt)は、D-Dopaで処理された豆植物(ソラマメ)である一方、対照(cnt)は、清浄な豆植物である。対応のあるt検定によりデータを解析した(“*”:P<0.05)。
図3は、土壌/バーミキュライトの未処理混合物(対照)、ならびに土壌/バーミキュライトと0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAとの処理混合物中で生育した豆植物(ソラマメ)によって産生された揮発性有機化合物(VOC)6-メチル-5-ヘプテン-2オン、シス-3-ヘキセン-1-オール、シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンのFID応答(pA)を示す。
図4は、未処理の水耕栽培培地(対照)、および0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAで処理した水耕栽培培地中で生育した豆植物(ソラマメ)によって産生された揮発性有機化合物(VOC)6-メチル-5-ヘプテン-2オン、シス-3-ヘキセン-1-オール、シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンのFID応答(pA)を示す。
図5は、未処理土壌(対照)、および0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAで処理した土壌中で生育した豆植物(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))によって産生された揮発性有機化合物(VOC)シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンのFID応答(pA)を示す。
図6は、未処理水耕栽培培地(対照)、および0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAで処理した水耕栽培培地中で生育した豆植物(インゲンマメ)によって産生された揮発性有機化合物(VOC)6-メチル-5-ヘプテン-2オン、シス-3-ヘキセン-1-オール、シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンのFID応答(pA)を示す。
図7は、未処理土壌(対照)、および0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAで処理した土壌中で生育したコムギ植物(ヒトツブコムギ(Triticum monococcum))によって産生された揮発性有機化合物(VOC)オシメンのFID応答(pA)を示す。
図8は、L-DOPA、D-DOPAで処理した、および対照(未処理)の豆植物(ソラマメ)における、mg没食子酸当量/mlとして表される、総フェノール含有量を示す。
〔実施形態の説明〕
〔実施例1.土壌中の豆植物(ソラマメ)の挙動解析〕
ソラマメ種子(Vicia faba cv Aguadulce supersimonia)を、Traysubstrat表土(Klasmann-Deilmann GmbH)、またはアグリパーライト、バーミキュライトおよび砂の混合物(1:1:1)を充填したプラスチックポット(6×6×9cm)に個々に植え、環境チャンバー(24±2℃、45±10% RH、14時間:8時間 L:D)で生育させた。
この実施例では、3~4週間の豆植物を使用した。DOPAの2つの異性体:3,4-ジヒドロキシ-L-フェニルアラニン(Alfa Aesar、CAS番号59-92-7)および3,4-ジヒドロキシ-D-フェニルアラニン(Sigma Aldrich、CAS番号5796-17-8)を土壌に適用することによって、植物を処理した。
未処理植物も対照として使用した。
清浄な豆植物(対照)と比較した、DOPAの異性体で処理された豆植物に対する益虫、具体的にはエルビアブラバチの誘引性をオルファクトメーターで評価した。
エルビアブラバチの挙動応答を、2方向オルファクトメーターで10分間にわたって評価した。活性な昆虫、すなわちオルファクトメーターの処理(trt)アームおよび/または対照(cnt)アームにおいて少なくとも60秒間を費やした昆虫のみを計算に入れた。
この実施例で得られた結果は、2つのアームにおいて費やされた総時間に対する、寄生者が残った各オルファクトメーターアームにおける滞在時間の割合として表される。対応のあるt検定は、R(統計計算およびグラフィックのためのフリーソフトウェア環境)を用いて行った。
図1および図2は、それぞれ、清浄な植物と比較した、L-DOPAおよびD-DOPAで処理した豆植物によって誘引されたエルビアブラバチの雌の滞在時間の割合を示す。処理した豆植物の場合の滞在時間は、未処理植物の場合よりも高かった(約+20%)。
〔実施例2.土壌中の豆植物(ソラマメ)に対する誘導アッセイ〕
ソラマメ(Vicia faba cv Histal)植物を、滅菌土壌/バーミキュライト(7:3)の混合物中で10日間生育させ、30mLの蒸留水に溶解したL-DOPA(10μg)、D-DOPA(10μg)またはHPLC水(対照、10μL)で処理した。
24時間後、植物から放出された揮発性有機化合物(VOC)を、ダイナミックヘッドスペースを介して収集した。
豆植物を容積3.2lのガラス容器に封入した。容器の底部を、ポットの頂部の周りに封入した。活性炭フィルター(BDH、10~14メッシュ)を通過することによって精製された空気を、容器に押し込み(750ml・min-1)、容器から引き出した(700ml・min-1)。シラン処理されたガラスウールの2つのプラグによってガラス管(外径5mm)に保持されたPorapackTM(Porous Polymer Adsorbent)50/80メッシュ(50mg;Supelco、Bellefonte、USA)上に、VOCを捕捉した。PorapackTMチューブを、再蒸留したジエチルエーテル(2ml)で洗浄し、精製窒素流下、130℃で4時間加熱することによって、調整した。
PorapakTM上に収集したVOCを750μLの再蒸留ジエチルエーテルで溶出し、クロマトグラフィー分析までサンプルを-20℃で保存した。
分析のために、冷却カラムインジェクター、フレームイオン化検出器(FID)、およびHP-1キャピラリーGCカラム(50m×0.32mm内径×0.52μm膜厚)を備えたAgilent 7820Aガスクロマトグラフ(Agilent Technologies、Santa Clara、California、USA)で、各処理(L-DOPA、D-DOPAおよび対照)からの4つのサンプル(1μL)を分析した。水素がキャリアガスであった。炉温を30℃で0.1分間維持し、次いで250℃まで10℃・min-1で上昇するようにプログラムし、次いで38分間維持した。化学的化合物の基準サンプルを用いて、HP-1のGCカラム上のKovats指数値およびGCピーク増強によって試験的な同定を行った。
得られた結果を図3に示す。L-DOPAおよびD-DOPAが植物に作用することにより引き起こされるVOC濃度の変化が見られる。しかしながら、未処理植物(対照)では、濃度がより低く、6-メチル-5-ヘプテン-2オンのように、ある化合物は放出さえもされないことが分かる。
したがって、植物におけるDOPAまたはそのエナンチオマーの外因性適用が、VOCの放出を有意に増加させることが確認される。
〔実施例3.水耕栽培培地中の豆植物(ソラマメ)に対する誘導アッセイ〕
ソラマメ(Vicia faba cv Histal)を滅菌バーミキュライト中に注封し、23℃のガラスハウス中に保持した。7日後、苗木をバーミキュライトから優しく取り出し、子葉を剥がし、根を再蒸留水でリンスし、すべての土壌粒子を注意深く払った。次いで、それらを、Hoagland改質玄武岩塩混合物(MP、USA)で作製した水耕溶液を含有するガラスビーカーに入れ、23℃の環境チャンバー中で保持した。3つの苗木を含む各ビーカーをアルミホイルで包み、植物を所定の位置に保持し、光が根に到達することを防いだ。4日毎に、各ビーカー中の水耕溶液を取り替えた。10日後、30mLの蒸留水に溶解したL-DOPA(10μg)、D-DOPA(10μg)またはHPLC水(対照、10μL)で、植物を処理した。
豆植物を容積3.2lのガラス容器に封入した。容器の底部を、ポットの頂部の周りに封入した。活性炭フィルター(BDH、10~14メッシュ)を通過することによって精製された空気を、容器に押し込み(750ml・min-1)、容器から引き出した(700ml・min-1)。シラン処理されたガラスウールの2つのプラグによってガラス管(外径5mm)に保持されたPorapackTM(Porous Polymer Adsorbent)50/80メッシュ(50mg;Supelco、Bellefonte、USA)上に、VOCを捕捉した。PorapackTMチューブを、再蒸留したジエチルエーテル(2ml)で洗浄し、精製窒素流下、130℃で4時間加熱することによって、調整した。
PorapakTM上に収集したVOCを750μLの再蒸留ジエチルエーテルで溶出し、分析までサンプルを-20℃で保存した。
分析のために、冷却カラムインジェクター、フレームイオン化検出器(FID)、およびHP-1キャピラリーGCカラム(50m×0.32mm内径×0.52μm膜厚)を備えたAgilent 7820Aガスクロマトグラフ(Agilent Technologies、Santa Clara、California、USA)で、各処理(L-DOPA、D-DOPAおよび対照)からの4つのサンプル(1μL)を分析した。水素がキャリアガスであった。炉温を30℃で0.1分間維持し、次いで250℃まで10℃・min-1で上昇するようにプログラムし、次いで38分間維持した。化学的化合物の基準サンプルを用いて、HP-1のGCカラム上のKovats指数値およびGCピーク増強によって試験的な同定を行った。
得られた結果を図4に示す。L-DOPAおよびD-DOPAが植物に作用することにより引き起こされる6-メチル-5-ヘプテン-2オン、シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンの濃度に変化が見られる。しかしながら、未処理植物(対照)では、シス-3-ヘキセン-1-オールを除いて、濃度がより低いことが分かる。
〔実施例4.土壌中の豆植物(インゲンマメ)に対する誘導アッセイ〕
豆(Phaseolus vulgaris cv CGB0002)植物を、滅菌土壌中で5日間生育させ、30mLの蒸留水に溶解したL-DOPA(10μg)、D-DOPA(10μg)またはHPLC水(対照、10μL)で処理した。
24時間後、植物から放出された揮発性有機化合物(VOC)を、ダイナミックヘッドスペースを介して収集した。
豆植物を容積3.2lのガラス容器に封入した。容器の底部を、ポットの頂部の周りに封入した。活性炭フィルター(BDH、10~14メッシュ)を通過することによって精製された空気を、容器に押し込み(750ml・min-1)、容器から引き出した(700ml・min-1)。シラン処理されたガラスウールの2つのプラグによってガラス管(外径5mm)に保持されたPorapackTM(Porous Polymer Adsorbent)50/80メッシュ(50mg;Supelco、Bellefonte、USA)上に、VOCを捕捉した。PorapackTMチューブを、再蒸留したジエチルエーテル(2ml)で洗浄し、精製窒素流下、130℃で4時間加熱することによって、調整した。
PorapakTM上に収集したVOCを750μLの再蒸留ジエチルエーテルで溶出し、分析までサンプルを-20℃で保存した。
分析のために、冷却カラムインジェクター、フレームイオン化検出器(FID)、およびHP-1キャピラリーGCカラム(50m×0.32mm内径×0.52μm膜厚)を備えたAgilent 7820Aガスクロマトグラフ(Agilent Technologies、Santa Clara、California、USA)で、各処理(L-DOPA、D-DOPAおよび対照)からの4つのサンプル(1μL)を分析した。水素がキャリアガスであった。炉温を30℃で0.1分間維持し、次いで250℃まで10℃・min-1で上昇するようにプログラムし、次いで38分間維持した。化学的化合物の基準サンプルを用いて、HP-1のGCカラム上のKovats指数値およびGCピーク増強によって試験的な同定を行った。
得られた結果を図5に示す。L-DOPAが植物に作用することにより引き起こされるVOC濃度の変化が見られる。
〔実施例5.水耕栽培培地中の豆植物(インゲンマメ)に対する誘導アッセイ〕
豆(Phaseolus vulgaris cv CGB0002)を滅菌バーミキュライト中に播種し、27℃のガラスハウス中に保持した。17日後、苗木をバーミキュライトから優しく取り出した。次いで、それらを、Hoagland改質玄武岩塩混合物(MP、USA)で作製した150mLの水耕溶液を含有するガラスビーカーに入れ、27℃の環境チャンバー中で保持した。1つの苗木を含む各ビーカーをアルミホイルで包み、植物を所定の位置に保持し、光が根に到達することを防いだ。2日後、L-DOPA(10μg)、D-DOPA(10μg)またはHPLC水(対照、10μL)で、植物を処理した。
24時間後、植物から放出された揮発性有機化合物(VOC)を、ダイナミックヘッドスペースを介して収集した。
豆植物を容積3.2lのガラス容器に封入した。容器の底部を、ポットの頂部の周りに封入した。活性炭フィルター(BDH、10~14メッシュ)を通過することによって精製された空気を、容器に押し込み(750ml・min-1)、容器から引き出した(700ml・min-1)。シラン処理されたガラスウールの2つのプラグによってガラス管(外径5mm)に保持されたPorapackTM(Porous Polymer Adsorbent)50/80メッシュ(50mg;Supelco、Bellefonte、USA)上に、VOCを捕捉した。PorapackTMチューブを、再蒸留したジエチルエーテル(2ml)で洗浄し、精製窒素流下、130℃で4時間加熱することによって、調整した。
PorapakTM上に収集したVOCを750μLの再蒸留ジエチルエーテルで溶出し、分析までサンプルを-20℃で保存した。
分析のために、冷却カラムインジェクター、フレームイオン化検出器(FID)、およびHP-1キャピラリーGCカラム(50m×0.32mm内径×0.52μm膜厚)を備えたAgilent 7820Aガスクロマトグラフ(Agilent Technologies、Santa Clara、California、USA)で、各処理(L-DOPA、D-DOPAおよび対照)からの4つのサンプル(1μL)を分析した。水素がキャリアガスであった。炉温を30℃で0.1分間維持し、次いで250℃まで10℃・min-1で上昇するようにプログラムし、次いで38分間維持した。化学的化合物の基準サンプルを用いて、HP-1のGCカラム上のKovats指数値およびGCピーク増強によって試験的な同定を行った。
得られた結果を図6に示す。L-DOPAが作用することにより引き起こされる6-メチル-5-ヘプテン-2オンおよびシス-3-ヘキセニル酢酸の濃度の変化、ならびにL-DOPAおよびD-DOPAが植物に作用することによるシス-3-ヘキセン-1-オールおよびオシメンの濃度の変化が見られる。未処理植物(対照)では、濃度がより低く、シス-3-ヘキセン-1オールのように、ある化合物は放出さえもされないことが分かる。
〔実施例6.土壌中の小麦植物(ヒトツブコムギ)に対する誘導アッセイ〕
小麦(Triticum monococcum VAR Tocayo)植物を、滅菌土壌中で15日間(ポット当たり20個の種子)生育させ、30mLの蒸留水に溶解したL-DOPA(10μg)、D-DOPA(10μg)またはHPLC水(対照、10μL)で処理した。
24時間後、植物から放出された揮発性有機化合物(VOC)を、ダイナミックヘッドスペースを介して収集した。
小麦植物を容積3.2lのガラス容器に封入した。容器の底部を、ポットの頂部の周りに封入した。活性炭フィルター(BDH、10~14メッシュ)を通過することによって精製された空気を、容器に押し込み(750ml・min-1)、容器から引き出した(700ml・min-1)。シラン処理されたガラスウールの2つのプラグによってガラス管(外径5mm)に保持されたPorapackTM(Porous Polymer Adsorbent)50/80メッシュ(50mg;Supelco、Bellefonte、USA)上に、VOCを捕捉した。PorapackTMチューブを、再蒸留したジエチルエーテル(2ml)で洗浄し、精製窒素流下、130℃で4時間加熱することによって、調整した。
PorapakTM上に収集したVOCを750μLの再蒸留ジエチルエーテルで溶出し、分析までサンプルを-20℃で保存した。
分析のために、冷却カラムインジェクター、フレームイオン化検出器(FID)、およびHP-1キャピラリーGCカラム(50m×0.32mm内径×0.52μm膜厚)を備えたAgilent 7820Aガスクロマトグラフ(Agilent Technologies、Santa Clara、California、USA)で、各処理(L-DOPA、D-DOPAおよび対照)からの4つのサンプル(1μL)を分析した。水素がキャリアガスであった。炉温を30℃で0.1分間維持し、次いで250℃まで10℃・min-1で上昇するようにプログラムし、次いで38分間維持した。化学的化合物の基準サンプルを用いて、HP-1のGCカラム上のKovats指数値およびGCピーク増強によって試験的な同定を行った。
得られた結果を図7に示す。L-DOPAが作用することにより引き起こされるオシメン濃度の変化が見られる。他のVOC(6-メチル-5-ヘプテン-2オン、シス-3-ヘキセン-1-オールおよびシス-3-ヘキセニル酢酸)の放出は観察されなかった。
〔実施例7.豆植物(ソラマメ)葉の総フェノール含有量の推定〕
豆植物の葉(ソラマメ)中の総フェノール含有量の推定は、Ainsworth,E.A.ら(2007)が開発した手順に基づいており、フォーリン-チオカルト(F-C)試薬を用いた。F-Cアッセイは一般に、総フェノール含有量をアッセイするために使用される。F-Cアッセイは、植物抽出物中の総フェノール類含有量および他の酸化基質含有量の簡便で迅速かつ単純な推定を提供する。
ソラマメ(Vicia faba cv Histal)植物を、滅菌土壌/バーミキュライト(7:3)の混合物中で10日間生育させ、30mLの蒸留水に溶解したL-DOPA(10μg)、D-DOPA(10μg)またはHPLC水(対照、10μL)で処理した。24時間後に、収穫により、材料(約20mg)をスクリューキャップチューブに入れ、直ちに液体窒素中で凍結する。
組織をホモジナイズするために、3つの炭化タングステンビーズおよび2mlの氷冷95%(vol/vol)メタノールを各サンプルチューブに加え、予め冷却したテフロンアダプターにサンプルを挿入した。組織を30Hzで5分間ホモジナイズした。次に、炭化タングステンビーズを磁石で除去し、室温で48時間、暗所でサンプルをインキュベートした。
その後、サンプルを遠心分離(13,000g、室温で5分間)し、新品の2mlマイクロチューブに上清を回収した。
続いて、100μlの各サンプル上清、標準または95%(vol/vol)メタノールブランクを、控えの2mlのマイクロチューブに加えた。
その後、200μlの10%(vol/vol)フォーリン-チオカルト試薬を各チューブに添加した。全てのサンプルを完全にボルテックスした。次いで、800μlのNaCO(700mM)を各チューブに添加し、アッセイチューブを室温で2時間インキュベートした。
最後に、アッセイチューブからの200mlのサンプル、標準またはブランクを透明96ウェルマイクロプレートに移し、それぞれの吸光度を、分光光度計を用いて750nmで測定した。
総フェノール含有量を算出するために、最初に没食子酸標準のブランク補正A750からの検量線を算出した。次いで、没食子酸標準とA750との間の回帰式を使用して、総フェノール含有量を計算した。フェノール化合物全体の濃度を、抽出物1ml当たりの没食子酸当量(GAE)mgで表した。
得られた結果を図8に示す。未処理植物(対照)で得られた含有量と対比すると、L-DOPAおよびD-DOPAで処理した植物についての総フェノール含有量がより高いことが分かる。オシメンなどのモノテルペンは、イソペンテニルピロリン酸のユニットから生合成的に誘導され、アセチル-CoAと呼ばれる酵素から形成される。フェノール化合物もまた、その酵素から形成される。DOPAおよびそのエナンチオマーは、モノテルペンおよびフェノール合成に関連するいくつかの酵素をアップレギュレートし、このことは、本発明の方法がフェノール含有量を増加させる理由を説明することができた。
〔参照〕
Baluska, F., Mukherjee, S., Ramakrishna, A. “Neurotransmitters in Plant Signaling and Communication”.
Nishihara, E., Parvez, M. M., Araya, H., & Fujii, Y. (2004). Germination growth response of different plant species to the allelochemical L-3, 4-dihydroxyphenylalanine (L-DOPA). Plant Growth Regulation, 42(2), 181-189.
Ainsworth, E. A., & Gillespie, K. M. (2007). Estimation of total phenolic content and other oxidation substrates in plant tissues using Folin-Ciocalteu reagent. Nature protocols, 2(4), 875-877。
図1は、2方向オルファクトメーターの対照(cnt)アームに対する処理(trt)アームのエルビアブラバチ雌の滞在時間(%)を示す。 図2は、2方向オルファクトメーターの対照(cnt)アームに対する処理(trt)アームのエルビアブラバチ雌の滞在時間(%)を示す。 図3は、土壌/バーミキュライトの未処理混合物(対照)、ならびに土壌/バーミキュライトと0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAとの処理混合物中で生育した豆植物(ソラマメ)によって産生された揮発性有機化合物(VOC)6-メチル-5-ヘプテン-2オン、シス-3-ヘキセン-1-オール、シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンのFID応答(pA)を示す。 図4は、未処理の水耕栽培培地(対照)、および0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAで処理した水耕栽培培地中で生育した豆植物(ソラマメ)によって産生された揮発性有機化合物(VOC)6-メチル-5-ヘプテン-2オン、シス-3-ヘキセン-1-オール、シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンのFID応答(pA)を示す。 図5は、未処理土壌(対照)、および0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAで処理した土壌中で生育した豆植物(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))によって産生された揮発性有機化合物(VOC)シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンのFID応答(pA)を示す。 図6は、未処理水耕栽培培地(対照)、および0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAで処理した水耕栽培培地中で生育した豆植物(インゲンマメ)によって産生された揮発性有機化合物(VOC)6-メチル-5-ヘプテン-2オン、シス-3-ヘキセン-1-オール、シス-3-ヘキセニル酢酸およびオシメンのFID応答(pA)を示す。 図7は、未処理土壌(対照)、および0.1ppmのL-DOPAおよびD-DOPAで処理した土壌中で生育したコムギ植物(ヒトツブコムギ(Triticum monococcum))によって産生された揮発性有機化合物(VOC)オシメンのFID応答(pA)を示す。 図8は、L-DOPA、D-DOPAで処理、および対照(未処理)の豆植物(ソラマメ)における、mg没食子酸当量/mlとして表される、総フェノール含有量を示す。

Claims (13)

  1. 益虫に対する植物の誘引性を増強するための方法であって、
    前記方法は、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)およびD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)からなる群から選択される3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーまたはそれらの混合物を有効量含む組成物を、前記植物の葉、茎および/または根に少なくとも1回適用することを含み、
    前記益虫は、コマユバチ(Braconidae)科に属する、
    ことを特徴とする、方法。
  2. 前記益虫は、アブラバチ(Aphidiinae)亜科に属する、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記益虫は、エルビアブラバチ(Aphidius ervi)である、
    請求項2に記載の方法。
  4. 前記植物は、イネ(Poaceae)科、ナス(Solanaceae)科、アブラナ(Brassicaceae)科、ミカン(Rutaceae)科、Rosacea family、クロウメモドキ(Rhamnaceae)科、セリ(Apiaceae)科およびマメ(Leguminosae)科に属する植物種から選択される、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 有害生物蔓延の前に、または、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、抗ウイルス剤、および有害生物蔓延を制御する化学的化合物、もしくはそれらの混合物から選択される化学薬品の適用の後に、前記組成物が前記植物に適用される、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 噴霧(spraying)、散布(spreading)、噴霧(fogging)、浸漬(dipping)、浸漬(drenching)、撒布(dusting)、前記植物の基質への注入、前記根を通した適用、または潅漑用水への添加によって、前記組成物が前記植物に少なくとも1回適用される、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 水耕栽培または土壌培養栽培において、前記組成物が植物に適用される、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記組成物は、植物ホルモン、除草剤、殺菌剤、アミノ酸、腐植土成分、有機化合物、ポリフェノール、微量養素、肥料、誘導因子、植物成長調節剤、生物刺激剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなる活性成分を含む、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記組成物は、少なくとも3ヶ月に1回、前記植物に適用される、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 益虫に対する植物の誘引性を増強するための、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)およびD-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(D-DOPA)からなる群から選択される3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエナンチオマーまたはそれらの混合物の使用であって、
    前記益虫は、コマユバチ(Braconidae)科に属する、使用。
  11. 前記益虫は、アブラバチ(Aphidiinae)亜科に属する、
    請求項10に記載の使用。
  12. 前記益虫は、エルビアブラバチ(Aphidius ervi)である、
    請求項11に記載の使用。
  13. 前記植物は、イネ(Poaceae)科、ナス(Solanaceae)科、アブラナ(Brassicaceae)科、ミカン(Rutaceae)科、Rosacea family、クロウメモドキ(Rhamnaceae)科、セリ(Apiaceae)科およびマメ(Leguminosae)科に属する植物種から選択される、
    請求項10~12のいずれか1項に記載の使用。
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