JP2024504510A - ミニセルの拡張可能な大量生産のためのバイオプロセスシステムおよび方法 - Google Patents

ミニセルの拡張可能な大量生産のためのバイオプロセスシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、限定された発酵パラメータを用いる、増強されたミニセル生産のための制御されたバイオプロセスシステム、および前記バイオプロセスシステムの方法、およびバイオリアクターまたは発酵槽を使用した前記バイオプロセスシステムからのミニセルの生産方法を提供する。【選択図】図1A

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2020年12月11日出願の米国仮出願第63/124,559号に対する優先権の利益を主張し、前記仮出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
発明の属する技術分野
本開示は、概して、バイオプロセスシステムおよび方法に関し、より詳細には、バイオリアクターシステムからのミニセルの生産のためのバイオプロセスシステムおよび方法に関する。
発明の背景
バイオプロセスシステムによって生産される高品質でかつ大量の生体材料は、バイオリアクターから生体材料を生産する際に、信頼性が高く、堅牢性があり、かつ経済的な生産手順を実現するために重要である。
大量生産における生産性を最大化しつつ、品質を向上させ、製品の同一性を維持することは、バイオプロセス開発における課題を生む。培地組成は、大量生産のための目的の細胞における細胞増殖、生産性、および翻訳後修飾に影響を与える。
しかしながら、ミニセルは、ヒト治療薬および診断薬、ワクチン、化学薬品、農薬、および生物活性剤のための重要な送達システムとして開発されているにもかかわらず、ミニセル生産という局面での細胞の性能と製品の品質に対する培地の影響に関しては、それほど多くの研究は行われていない。
従って、リアルタイムでかつ大量生産において、ミニセル産生物の所望のアウトカムを達成するようにバイオプロセスを最適化するためにバイオプロセスシステムを導入する必要がある。その結果は、ミニセル生産のためのより安全で、よりエネルギー効率が高く、環境中で持続性の(サステナブルな)生産プロセスであることができる。
本開示は、(a)少なくとも1つのバイオリアクターと、(b)ミニセル生産のための最少培地と、(c)無染色体ミニセルの集団を生産することができる少なくとも1つの細菌細胞株とを含む、ミニセル生産のためのバイオプロセスシステムを提供する。いくつかの実施形態においては、前記バイオリアクターは、前記無染色体ミニセルの集団を提供するように構成された連続式バイオプロセスを維持するように準備され、前記バイオリアクターは、供給速度、温度、成分、溶存酸素、撹拌速度、空気流量、酸素、pH、接種材(種菌)、および発酵時間の長さから成る群より選択される、発酵パラメータを使って設定される。実施形態では、前記バイオプロセスシステムにおけるミニセルの生産収率は、無制御のバイオプロセスシステムにおけるミニセル生産収率よりも少なくとも1.1倍高い。ある実施形態では、前記供給速度は0から約10mL/分/Lである。実施形態では、前記温度は約10℃~約70℃である。実施形態では、前記成分は、炭素源、微量金属、ビタミン、緩衝剤、窒素源、消泡剤、追加の増殖促進成分を含む。ある実施形態では、前記溶存酸素は0~100%である。ある実施形態では、撹拌速度は、約50~約10,000rpmである。実施形態では、前記空気流量は、約0.1~約20標準リットル毎分(SLPM)である。実施形態では、前記酸素は0~100%である。ある実施形態では、前記pHは約3~約10である。ある実施形態では、前記接種材(種菌)は約0.1~約20%である。ある実施形態では、前記発酵時間の長さは、約12~約200時間である。ある実施形態では、前記ミニセルのサイズは、約150nm~約950nmの長さである。ある実施形態では、前記炭素源は、グリセロールまたはグルコースである。ある実施形態では、前記無制御のバイオプロセスシステムは、インキュベータシステムまたは振盪フラスコシステムである。ある実施形態では、バイオプロセス後のミニセル比は、バイオリアクター中の総細胞数の少なくとも40%である。
本開示は、本明細書に教示されたバイオプロセスシステムから生産されたミニセルが、農業用薬剤を内包化することができることを教示している。いくつかの実施形態において、前記農業用薬剤は、農薬化合物または生物活性化合物である。実施形態において、前記農薬化合物は、殺有害生物剤(pesticide)、除草剤、殺虫剤(insecticide)、殺菌剤、殺線虫剤、肥料およびホルモンまたは化学成長物質からなる群より選択される。ある実施形態では、生物活性化合物は、核酸、ペプチド、タンパク質、精油、およびそれらの組み合わせから選択される。ある実施形態では、核酸は、アンチセンス核酸、二本鎖RNA(dsRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、小干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、アプタマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。ある実施形態では、精油は、ゲラニオール、オイゲノール、ゲニステイン、カルバクロール、チモール、除虫菊(pyrethrum)、またはカルバクロールを含む。
本開示は、当該バイオプロセスシステムが、無染色体ミニセルの集団を連続的に生産することができる、制御された連続式バイオプロセスシステムであることを提供する。ある実施形態では、前記生産されたミニセルは、部分的に収穫され、前記バイオプロセスシステムが連続的に実行されて、無染色体ミニセルの別の集団を生産する。ある実施形態では、前記ミニセルは、前記バイオリアクター中の全細胞の約5%から約90%まで部分的に収穫される。
本開示は、(a)最少培地を含むバイオリアクター設定に少なくとも1つの細菌細胞株を導入する工程と、(b)前記細菌細胞株を(a)から培養して、前記バイオリアクター設定において無染色体ミニセルの集団を生産する工程であって、前記細菌細胞株が、ミニセル産生菌細胞株であり、前記無染色体ミニセルの集団が工程(b)から生産され、そして前記バイオリアクター設定が、表1に列挙されているように、供給速度、温度、成分、溶存酸素、撹拌速度、空気流量、酸素、pH、接種材(種菌)、および発酵時間の長さから成る群より選択される発酵パラメータで構成されている工程を含む、バイオプロセス方法を提供する。ある実施形態では、当該方法は、(c)工程(b)からの前記細菌細胞と新たに生産されたミニセルの集団とを含む細胞のバッチを収穫する工程、(d)前記細胞のバッチを精製する工程、(e)前記細胞のバッチから前記無染色体ミニセルの集団を濾過または選別する工程、および(f)前記ミニセルを濃縮する工程、をさらに含む。ある実施形態では、前記精製は、ディスクスタック遠心分離によって実行される。実施形態では、前記濃縮されたミニセルは、液体形態または粉末形態として保存される。実施形態では、前記粉末形態は、前記濃縮されたミニセルを凍結乾燥、真空乾燥、または加熱乾燥することによって調製される。ある実施形態では、前記バイオプロセスは、無染色体ミニセルの集団を連続的に生産することができる制御された連続式バイオプロセスである。ある実施形態では、前記生産されたミニセルが部分的に収穫され、そして前記バイオプロセスシステムが連続的に実行されて、無染色体ミニセルの別の集団を生産する。ある実施形態では、前記ミニセルは、前記バイオリアクター中の全細胞の約5%から約90%まで部分的に収穫される。
本開示は、本明細書に記載の方法によって生産されたミニセルを提供する。いくつかの実施形態では、前記ミニセルは、無制御のバイオプロセス設定におけるミニセル生産よりも少なくとも1.1倍高いバイオプロセス設定において生産される。
図1Aは、振盪器を使用する無制御のバイオプロセスシステムにおける、時間1でのP6細菌株からのミニセル生産の経時変化を示すグラフである。菌株を、LB培地(Lysogeny Broth;溶原培地)、TB培地(Terrific Broth;高栄養培地)または類似の複合培地を有する振盪フラスコ内で37℃にて増殖させた。~0.5μmの1番目のピークはミニセルを捕捉し、>1μmの2番目のピークは親の細菌細胞を捕捉する。グラフ(図1A~1D)は、n=4の複製試験からのデータを表す。ミニセル生産は、1時間(図1A)目に測定された。 図1Bは、振盪器を使用する無制御のバイオプロセスシステムにおける、時間2でのP6細菌株からのミニセル生産の経時変化を示すグラフである。ミニセル生産が2時間目に測定されたこと以外、図1Aと同様である。 図1Cは、振盪器を使用する無制御のバイオプロセスシステムにおける、時間3でのP6細菌株からのミニセル生産の経時変化を示すグラフである。ミニセル生産が3時間目に測定されたこと以外、図1Aと同様である。 図1Dは、振盪器を使用する無制御のバイオプロセスシステムにおける、時間16でのP6細菌株からのミニセル生産の経時変化を示すグラフである。ミニセル生産が16時間目に測定されたこと以外、図1Aと同様である。 図1Eは、ミニセルサイズ範囲(nm)、総ミニセル数、平均ミニセル長(nm)、親細菌サイズ範囲(nm)、全細菌細胞数、平均細菌長さ(nm)、全対象物、および、異なるインキュベーション時間(1時間;2時間;3時間;および16時間)でのミニセル比(%)を含む、図1A~1Dに表示される実験データの実際の数字を示す。 図2Aは、バイオリアクター/発酵槽を使用する制御されたバイオプロセスシステムにおけるP6細菌株からのミニセル生産のための4つの個別試験のうちの試験1を示す。菌株を、成分既知(defined)最少培地を使ってバイオリアクター中で37℃で増殖させた。各グラフ(図2A~2D)は、n=4の複製試験からのデータを表す。各データは、36時間の発酵で4回の個別発酵が完了した後に収集された。独立した4つの制御されたバイオプロセスから、異なる日にミニセル生産を測定した。図2Aは試験1の結果を示すグラフである。 図2Bは、バイオリアクター/発酵槽を使用する制御されたバイオプロセスシステムにおけるP6細菌株からのミニセル生産のための4つの個別試験のうちの試験2を示す。ミニセル生産の測定日以外、図2Aと同様である。 図2Cは、バイオリアクター/発酵槽を使用する制御されたバイオプロセスシステムにおけるP6細菌株からのミニセル生産のための4つの個別試験のうちの試験3を示す。ミニセル生産の測定日以外、図2Aと同様である。 図2Dは、バイオリアクター/発酵槽を使用する制御されたバイオプロセスシステムにおけるP6細菌株からのミニセル生産のための4つの個別試験のうちの試験4を示す。ミニセル生産の測定日以外、図2Aと同様である。 図2Eは、図2A~2Dから示される実験データの実際の数字を示し、ミニセルサイズ範囲(nm)、総ミニセル数、平均ミニセル長(nm)、親細菌サイズ範囲(nm)、総細菌細胞数、平均細菌長(nm)、全対象物、および4回の個別36時間発酵からのミニセル比(%)を含む。 図3は、バイオリアクターを使用した制御されたバイオプロセスシステムの様々なパラメータの組み合わせで保持される、増強されたミニセル生産を提示している表である。組み合わせについて試験されたパラメータは、酸素移動(酸素取込み速度:OURによって測定される)、空気流(VVM)、および酸素(O)の存在である。 図4Aは、ミニセル生産に関する試験パラメータの影響を示す。図4Aは、酸素移動(OURによって測定される)対ミニセル生産収率を示すグラフである。 図4Bは、ミニセル生産に関する試験パラメータの影響を示す。図4Bは、空気流(VVM)対ミニセル生産収率を示すグラフである。 図4Cは、ミニセル生産に関する試験パラメータの影響を示す。図4Cは、酸素の供給(O)対ミニセル生産収率を示すグラフである。 図5は、P826株からのミニセル生産に関する温度の影響を示す。 図6Aと6Bは、2種のバイオプロセスシステム間のP826株からのミニセル生産の比較(無制御vs制御)を示す。図6Aでは、無制御のバイオプロセスシステムが、所与のパラメータを常に制御することはできない振盪器を使って実施された。 図6Aと6Bは、2種のバイオプロセスシステム間のP826株からのミニセル生産の比較(無制御vs制御)を示す。図6Bでは、制御されたバイオプロセスシステムが、所与のパラメータ(pH6.7、溶存酸素(DO)約30%、および25℃の温度)を維持するように自動制御された。 図6Cは、温度が35℃に設定されたこと以外は図6Aの同設定を使用した、P826株からのミニセル生産の比較を示す。 図6Dは、温度が35℃に設定されたこと以外は図6Bの同設定を使用した、P826株からのミニセル生産の比較を示す。 図7A~7Dは、定義されたパラメータ範囲内の制御されたバイオプロセスシステムにおいて生体分子(RNA/タンパク質/代謝産物)も発現するミニセル産生菌株からのミニセル生産を示す。図7Aは、ミニセル産生P8-T7細胞株からのミニセル生産について試験した。 図7Bは、図7Aと同様にして、蛍光dsRNAヘアピンを発現する構築物を担持しているBL21-AI由来のR1株からのミニセル生産について試験した。 図7Cは、図7Aと同様にして、昆虫を防除するdsRNAを発現する構築物を担持しているミニセル産生R1株からのミニセル生産について試験した。 図7Dは、図7Aと同様にして、真菌を防除するdsRNAを発現する構築物を担持しているR1株からのミニセル生産について試験した。 図7Eは、制御されたバイオプロセスシステム内での昆虫を防除するdsRNAを発現する構築物を担持しているミニセル産生菌株(R1)からのミニセル生産を示しているが、本開示の定義されたパラメータ範囲の外側でのミニセル生産である。
〔発明が解決しようとする課題〕
詳細な説明
生産性を最大化しつつ、高品質および多量のミニセル生産を維持するために、安全で、拡張可能(スケーラブル)であり、エネルギー効率的で、環境的に持続可能(サステナブル)であり、ミニセル生産のための費用効果の高いバイオプロセスを保証する、新たなバイオプロセスシステムが必要とされている。
〔課題を解決するための手段〕
本開示は、バイオリアクター/発酵槽システムを使用するミニセルの制御された生産に関する。本開示はまた、大量生産におけるミニセル生産物の所望のアウトカムを達成するためにバイオプロセスを最適化する方法に関する。
定義
以下の用語は当業者によく理解されると考えられるが、下記定義は、現在開示されている発明の内容の説明を容易にするために与えられる。
「1つの(aまたはan)」は、その存在物の1または複数を指し、すなわち、複数の指示対象を指すことができる。このように、「1つの(aまたはan)」、「1つ以上」、「少なくとも1つ」という用語は、本明細書で互換的に使用される。加えて、不定冠詞「a」または「an」による「1つの要素」への参照は、文脈上、要素が1つであり、要素の1つのみが存在することを明確にする必要がない限り、1つ以上の要素が存在する可能性を排除するものではない。
本明細書で使用されるように、「細胞性生物」、「微生物(microorganism)」または「微生物(microbe)」という用語は、広く解釈すべきである。これらの用語は、互換的に使用され、限定されるものでないが、細菌および古細菌という2つの原核生物ドメイン、並びにある種の真核真菌および原生生物を含む。
「原核生物」という用語は、当技術分野で認識され、核または他の細胞小器官を含まない細胞を指す。原核生物は、一般に、細菌と古細菌の2つのドメインのうちの1つに分類される。古細菌ドメインの生物と細菌ドメインの生物との間の決定的な差異は、16SリボソームRNAにおけるヌクレオチド塩基配列の基本的な相違に基づいている。
「古細菌(アーキア)」という用語は、典型的には、特殊な環境に見出され、リボソームタンパク質の数および細胞壁中のムラミン酸の欠如といった、いくつかの基準によって原核生物の残部から区別される、Mendosicutes(メンドシクテス)という系統の生物のカテゴリーを指す。ssrRNA分析に基づいて、古細菌は2つの系統発生的に異なる群:クレン古細菌(Crenarchaeota)およびユーリ古細菌(Euryarchaeota)から成る。それらの生理学に基づいて、古細菌は、3つのタイプ:メタン菌(メタンを産生する原核生物)、高度好塩菌(非常に高濃度の塩(NaCl)のもとで生存する原核生物)、および超好熱菌(非常に高温の環境で生きている原核生物)に編成することができる。また、古細菌を細菌と区別する統合的な古細菌の特徴(すなわち、細胞壁内にムレインがないこと、エステル結合膜脂質など)に加えて、それらの原核生物は、自身を特定の生息場所に適合させる独特の構造または生化学的属性を示す。クレン古細菌(Crenarchaeota)は、主に超好熱性の硫黄依存性原核生物から成り、ユーリ古細菌(Euryarchaeota)は、メタン菌と超好塩菌を含む。
「細菌」または「真正細菌」は、原核生物の1ドメインを指す。細菌は、以下のように少なくとも11個の異なる群を含む:(1)グラム陽性(gram+)菌、この菌類は2つの主要なサブ分類がある:(i)高G+C群(放線菌(Actinomycetes)、マイコバクテリア、ミクロコッカス等)、(ii)低G+C群(バチルス属、クロストリジウム属、ラクトバチルス属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、マイコプラズマ属);(2)プロテオバクテリア、例えば紅色光合成細菌+非光合成グラム陰性菌(大部分の「一般的な」グラム陰性菌を含む);(3)シアノバクテリア、例えば、酸素発生型光栄養菌;(4)スピロヘータおよび類縁種;(5)プランクトミセス;(6)バクテロイデス、フラボバクテリア門;(7)クラミジア;(8)緑色硫黄細菌;(9)緑色非硫黄細菌(嫌気性光栄養細菌);(10)放射線抵抗性ミクロコッカスおよび近縁菌;(11)サーモトガ(Thermotoga)およびサーモシフォ(Thermosipho)好熱菌。
「真核生物」は、細胞が膜に内包された核と他の細胞小器官(オルガネラ)とを含む任意の生物である。真核生物は、真核生物ドメインまたは真核生物上界の分類群に属している。原核細胞(上述した細菌および古細菌)と切り離して真核細胞を設定する明らかな特徴は、それらが膜に結合したオルガネラ、特に遺伝物質を含む核、を有しており、かつ核エンベロープによって包まれている点である。
「遺伝的に改変された宿主細胞」、「組換え宿主細胞」、および「組換え株」という用語は、本明細書では互換的に使用され、本開示のクローニングおよび形質転換方法によって遺伝的に改変された宿主細胞を指す。従って、この用語は、それが誘導されたもとの天然に存在する生物体と比較したとき、それが変更、修飾または異なる遺伝子型および/または表現型を示すように遺伝的に変更、修飾、または改変されている(例えば遺伝子修飾が当該微生物の核酸コード配列に影響を及ぼす)宿主細胞(例えば、細菌、酵母細胞、真菌細胞、CHO、ヒト細胞など)を包含する。いくつかの実施形態では、この用語は、問題の組換え宿主細胞だけでなく、そのような宿主細胞の子孫または潜在的子孫も指すことが理解される。
「野生型微生物」または「野生型宿主細胞」という用語は、天然に存在する細胞、すなわち遺伝的に改変されていない細胞を説明する。本開示において、「野生型株」、または「野生株」または「野生型細胞株」とは、ミニセルを産生することができる細胞株/系を指す。いくつかの実施形態では、大腸菌株p678-54および枯草菌(B. subtilis)CU403などの野生型細菌株および/または細胞系は、DNA中に欠損があるミニチュア細胞を作製することができる。そのようなミニセルを作製するための方法は、当該技術分野で知られている。例えば、Adler他、1967、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 57:321-326;Inselburg J、1970、J. Bacteriol. 102(3):642-647;Frazer 1975、Curr. Topics Microbiol. Immunol. 69:1-84、Reeve他、1973、J. Bacteriol. 114(2):860-873;およびMendeson他、1974 J. Bacteriol. 117(3):1312-1319を参照されたい。
「遺伝的に改変された」という用語は、宿主細胞のゲノムの任意の操作(例えば、核酸の挿入、欠失、突然変異、または置換による)を指すことができる。
本明細書で使用する場合、「遺伝子工作(または遺伝子操作)」は、1つ以上の細胞の遺伝子操作技術であって、それによって1つ以上の細胞のゲノムが、少なくとも1つのDNA配列により改変され、挿入され、欠失され、変異され、または置換される、遺伝子操作技術を指す。候補DNA配列は、天然に存在しない遺伝子、正常にRNAに転写されないかまたはタンパク質に翻訳されないDNA配列、および1つ以上の細胞に導入しようとする他の遺伝子またはDNA配列を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「遺伝子編集」または「ゲノム編集」とは、対象内の1つ以上の細胞に存在する内因性染色体配列を、標的指向化されたエンドヌクレアーゼおよび一本鎖核酸を使用して、編集すること、例えば修飾することができる技術である。ゲノム編集方法は、ゲノム内の特定の領域に核酸配列を挿入すること、ゲノムから特定の配列を切除すること、および/または特定のゲノム配列を新たな核酸配列と置換すること、をもたらしうる。特定の実施形態では、ゲノム編集技術は、遺伝子の発現の抑制をもたらすことができる。例えば、限定されるものではないが、融合遺伝子の染色体分断点に核酸配列を挿入することができる。本開示の方法で使用するためのゲノム編集技術の非限定的例は、CRISPRシステム、例えばCRISPR/Cas9システムである。そのようなゲノム編集技術の非限定的例は、PCT出願WO2014/093701およびWO2014/165825に開示されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ゲノム編集技術は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含むゲノム内の特定配列(すなわち標的)に相補的な1つ以上のガイドRNA(gRNA)を、ヌクレアーゼ(例えばエンドヌクレアーゼ)を特定のゲノム配列のほうへと誘導する(ガイドする)ために使用することを含みうる。特定の実施形態では、ゲノム編集技術は、1つ以上のガイドRNA(gRNA)の使用を含むことができ、これらの配列は、標的に隣接および/または重複する配列に相補的であり、1つ以上のヌクレアーゼを誘導することができる。
「対照」または「対照宿主細胞」とは、遺伝的改変または実験的処置の効果を決定するための適切な比較参照の宿主細胞を指す。いくつかの実施形態では、対照宿主細胞は野生型細胞である。他の実施形態では、対照宿主細胞は、処置宿主細胞を識別する遺伝子修飾を除いて、遺伝的に改変された宿主細胞と遺伝的に同一である。
本明細書で使用される場合、「対立遺伝子(複数可)」という用語は、全ての対立遺伝子が少なくとも1つの形質または特性に関連する、遺伝子の1つ以上の代替形態のいずれかを意味する。二倍体細胞では、所与の遺伝子の2つの対立遺伝子は、一対の相同染色体上の対応する遺伝子座を占有している。
本明細書で使用する場合、「遺伝子座(複数可)」という用語は、例えば、遺伝子または遺伝子マーカーが見出される染色体上の特定の1つ以上の場所または部位を意味する。
本明細書で使用する場合、「遺伝的に連結された」という用語は、交差を介して分離することが困難であるように、育種中に高い比率で共継承される2つ以上の形質を指す。
本明細書で使用する場合の「組換え」または「組換え現象」は、染色体の交差または独立した組合せを指す。
本明細書で使用する場合、「表現型」という用語は、個体の遺伝的構成(すなわち遺伝子型)と環境との間の相互作用に起因する、個体の細胞、細胞培養物、生物、または生物群の観察可能な特性を指す。
核酸配列またはタンパク質配列を記述する際に、本明細書で用いる場合の「キメラ」または「組換え」という用語は、核酸、または少なくとも2つの異種ポリヌクレオチドもしくは2つの異種ポリペプチドを単一の高分子に連結するタンパク質配列、または少なくとも1つの天然核酸もしくはタンパク質配列の1つ以上の要素を再配置するタンパク質配列を指す。例えば、「組換え」という用語は、例えば化学合成による、または遺伝子工学的技術による、単離された核酸セグメントの操作による、他の形では分離されている2つの核酸セグメントの人工的な組み合わせを指すことができる。
本明細書で使用されるように、合成ヌクレオチド配列または合成ポリヌクレオチド配列は、天然に存在することが知られていないかまたは天然に存在しない、ヌクレオチド配列である。一般に、このような合成ヌクレオチド配列は、他の天然に存在するヌクレオチド配列と比較して、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を含むだろう。
本明細書で使用されるように、「合成アミノ酸配列」または「合成ペプチド」または「合成タンパク質」は、天然には存在することが知られていないかまたは天然には存在しないアミノ酸配列である。一般に、このような合成タンパク質配列は、他の天然に存在するタンパク質配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸の差異を含む。
本明細書で使用する場合、「核酸」という用語は、任意の長さのヌクレオチド、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドのいずれか、またはその類似体の重合形態を指す。この用語は、分子の一次構造を指し、二本鎖および一本鎖DNA、並びに二本鎖および一本鎖RNAを含む。それはまた、メチル化および/またはキャップ付核酸、修飾塩基を含む核酸、主鎖の修飾などの修飾核酸を包含する。この用語の「核酸」と「ヌクレオチド配列」とは、交換可能に使用される。
本明細書で使用する場合、「遺伝子」という用語は、生物学的機能に関連するDNAの任意のセグメントを指す。従って、遺伝子は、限定されるものではないが、コード配列および/またはそれらの発現に必要な調節配列を含む。遺伝子はまた、例えば、他のタンパク質の認識配列を構成する非発現型DNAセグメントを含むことができる。遺伝子は、目的の起源からのクローニング、または既知のもしくは予測の配列情報からの合成をはじめとする、様々な供給源から得ることができ、所望のパラメータを有するように設計された配列を含むことができる。
本明細書で使用する場合、「相同」または「相同体」または「オルソログ」という用語は、当該技術分野で既知であり、共通の祖先またはファミリーのメンバーを共有し、かつ配列同一性の程度に基づいて決定される、関連する配列を指す。用語「相同性」、「相同」、「実質的に類似した」、および「実質的に相当する」という用語は、本明細書では互換的に使用される。それらは、1または複数のヌクレオチド塩基の変化が、遺伝子発現を媒介するか、またはある表現型を生じる核酸断片の能力に対して影響を及ぼさない核酸断片を指す。これらの用語はまた、最初の未修飾断片に対して生成した核酸断片の機能的特性を実質的に改変しない、1つ以上のヌクレオチドの欠失または挿入といった、本開示の核酸断片の修飾を指す。従って、当業者であれば理解されるように、本開示は、特定の例示的配列を包含することを理解するであろう。これらの用語は、種、亜種、品種または株に見出される遺伝子と、他の種、亜種、品種または株における対応するもしくは同等の遺伝子との間の関係を説明する。本開示の目的のために、相同配列が比較される。「相同配列」または「相同体」または「オルソログ」は、機能的に関連性があると考えられるか、信じられているか、または知られている。機能的関係は、(a)配列同一性の程度および/または(b)同一もしくは類似の生物学的機能を含むがそれらに限定されない、多数の方法の中のいずれか1つにおいて示すことが可能である。好ましくは、(a)と(b)の両方が示される。相同性は、Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel他編、1987)増補30、第7.718節、表7.71に論じられているものなど、当技術分野で容易に入手可能なソフトウェアプログラムを使用して決定することができる。配列の比較に利用される局所アライメントアルゴリズムの例は、NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST(登録商標))(Altschul他、1990、J. Mol. Biol. 215: 403-10)であり、これは、The National Center for Biotechnology Information (NCBI、Bethesda、米国メリーランド州)を含む複数の情報源から、およびインターネット上から入手可能であり、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、tblastxと関連づけて使用される。それは米国国立医学図書館(NLM)のワールドワイドウェブのURL経由でインターネット上でアクセスすることができる。このプログラムを使用して配列同一性を決定する方法の説明は、BLASTチュートリアル上のNLMウェブサイトにおいて利用可能である。配列のグローバル比較に利用される数学的アルゴリズムの別の例は、Clustal WおよびClustal X(Larkin他、2007、Bioinfomatics、23、2947-294、Clustal WおよびClustal Xバージョン2.0)並びにClustal Omegaである。別段の記載がない限り、本明細書で使用される配列同一性への参照は、NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST(登録商標))を指す。
本明細書で使用される場合、用語「内因性」または「内因性遺伝子」は、それが宿主細胞ゲノム内で天然に見出される場所において、天然に存在する遺伝子を指す。本開示の文脈では、異種プロモーターを内因性遺伝子に作動可能に連結することとは、遺伝子が天然に存在する場所において、既存の遺伝子の前に異種プロモーター配列を遺伝子的に挿入することを意味する。本明細書に記載の内因性遺伝子は、本開示の方法のいずれかに従って突然変異された、天然型遺伝子の対立遺伝子を含むことができる。
本明細書で使用する場合、「外因性」という用語は、用語「異種」と互換的に使用され、その天然源以外のいくつかの供給源から誘導された物質を指す。例えば、「外因性タンパク質」、または「外因性遺伝子」という用語は、非天然の供給源または位置からのタンパク質または遺伝子を指し、生物学的システム(系)に人工的に供給されているタンパク質または遺伝子を指す。
本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド変化」という用語は、当技術分野でよく理解されるように、例えば、ヌクレオチド置換、欠失、および/または挿入を指す。例えば、突然変異は、サイレント置換、付加、または欠失を生成するが、コードされたタンパク質の特性もしくは活性、またはタンパク質がどのように作成されるかを変更しないような改変を含む。
本明細書で使用する場合、用語「タンパク質修飾」は、当技術分野でよく理解されるように、例えば、アミノ酸置換、アミノ酸修飾、欠失および/または挿入を指す。
本明細書で使用する場合、核酸またはポリペプチドの「少なくとも一部」または「断片」という用語は、そのような配列の最小サイズ特性を有する部分、または全長分子の任意のより大きな断片であって、全長分子まで包含した部分のことを意味する。本開示のポリヌクレオチドの断片は、遺伝子調節要素の酵素活性部分をコードし得る。遺伝子調節要素の酵素活性部分は、遺伝子調節要素を含む本開示のポリヌクレオチドのうちの1つの部分を単離し、本明細書に記載の活性を評価することによって調製することができる。同様に、ポリペプチドの一部分は、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸など、全長ポリペプチドにまで増加していく部分であってもよい。使用される部分の長さは、特定の用途に依存する。ハイブリダイゼーションプローブとして有用な核酸の一部分は、12ヌクレオチドと短くてもよく、いくつかの実施形態では、20ヌクレオチドである。エピトープとして有用なポリペプチドの一部分は、4個のアミノ酸ほどに短くてもよい。全長ポリペプチドの機能を果たすポリペプチドの一部分は、一般に4アミノ酸よりも長いだろう。
変異ポリヌクレオチドはまた、変異原性およびDNAシャフリングなどの組換え操作から誘導された配列も包含する。そのようなDNAシャフリングの戦略は、当該技術分野で知られている。例えば、Stemmer(1994)PNAS 91:10747-10751;Stemmer(1994)Nature 370:389-391;Crameri他(1997)Nature Biotech. 15:436-438;Moore他(1997)J. Mol. Biol. 272:336-347;Zhang他(1997)PNAS 94:4504-4509;Crameri他(1998)Nature 391:288-291;米国特許第5,605,793号および同第5,837,458号明細書を参照されたい。
本明細書に開示されるポリヌクレオチドのPCR増幅のためには、オリゴヌクレオチドプライマーを、目的の任意生物体から抽出されたcDNAまたはゲノムDNAから、対応するDNA配列を増幅させるためのPCR反応での使用のために設計することができる。PCRプライマーの設計およびPCRクローニングの方法は、当技術分野で一般的に知られており、Sambrookら(2001)Molecular Cloning : A Laboratory Manual(第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York)に開示されている。また、Innis他編(1990)PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications(Academic Press、New York);Innis & Gelfand編(1995)PCR Strategies(Academic Press、New York);Innis & Gelfand編(1999)PCR Methods Manual(Academic Press、New York)も参照されたい。PCRの公知方法としては、限定されないが、プライマー対、nested(ネステッド)プライマー、単一の特異的プライマー、縮重プライマー、遺伝子特異的プライマー、ベクター特異的プライマー、部分的に不一致のプライマーなどを用いる方法が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「プライマー」とは、増幅標的にアニーリングしてDNAポリメラーゼを付着可能にすることができ、それによって、プライマー伸長生成物の合成が誘導される条件下に置いたとき、すなわちヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの重合用薬剤の存在下および適切な温度とpHに置いたときに、DNA合成の開始点として働くことができるオリゴヌクレオチドを指す。(増幅)プライマーは、最大増幅効率のためには一本鎖であることが好ましい。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、重合用薬剤の存在下で伸長生成物の合成を開始させるのに十分なほど長くなければならない。プライマーの正確な長さは、プライマーの温度および組成(A/T含有量対G/C含有量)をはじめとする多くの因子に依存する。一対の双方向性プライマーは、PCR増幅などのDNA増幅の技術分野で一般的に使用される、1つの正方向プライマーと1つの逆方向プライマーから成る。
本明細書で使用されるように、「プロモーター」は、コード配列または機能性RNAの発現を制御することができるDNA配列を指す。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、近位のおよびより遠位の上流要素からなり、後者の要素はしばしばエンハンサーと呼ばれる。従って、「エンハンサー」は、プロモーター活性を刺激することができるDNA配列であり、プロモーターの固有要素であるかまたはプロモーターのレベルもしくは組織特異性を増強するために挿入された異種(外来)要素であってもよい。プロモーターは、その全体が天然遺伝子に由来してもよく、または天然に見出される異なるプロモーターに由来する別の異なる要素から構成されてもよく、またはさらに合成DNAセグメントを含んでいてもよい。異種プロモーターは、異なる組織もしくは細胞タイプにおける遺伝子の発現、または異なる発生段階にある遺伝子の発現、または異なる環境条件に応答した遺伝子の発現、を誘導し得ることが当業者には理解される。多くの場合、制御配列の正確な境界は完全には定義されていないため、ある程度の変異を有するDNA断片が、同じプロモーター活性を有しうることはさらに認識されよう。
本明細書で使用する場合、「組換え構築物」、「発現構築物」、「キメラ構築物」、「構築物」、および「組換えDNA構築物」という文言は、本明細書では互換的に使用される。また、本明細書では、「構築物」、「ベクター」、および「プラスミド」は互換的に用いられる。組換え構築物は、天然に一緒に見出されない調節配列およびコード配列などの核酸断片の人工的組み合わせを含む。例えば、キメラ構築物は、異なる供給源に由来する調節配列およびコード配列、または同じ供給源に由来する調節配列およびコード配列を含んでもよいが、本質的に見出されるものとは異なる様式で配置されてもよい。このような構築物は、単独で使用されてもよいし、ベクターと共に使用されてもよい。ベクターが使用される場合、ベクターの選択は、宿主細胞を形質転換するために使用される方法に依存する。例えば、プラスミドベクターを用いることができる。当業者は、本開示の単離された核酸断片のいずれかを含む宿主細胞を良好に変換、選択および増殖させるために、ベクター上に存在しなければならない遺伝要素を十分に理解している。当業者はまた、異なる独立した形質転換事象が、異なる発現レベルおよび発現パターンで起こり(Jones他(1985)EMBO J. 4:2411-2418;De Almeida他(1989)Mol. Gen. Genetics 218: 78-86)、それゆえに所望の発現レベルと発現パターンを示す系を取得するために多数の事象をスクリーニングしなければならない。そのようなスクリーニングは、とりわけ、DNAのサザン分析、mRNA発現のノーザン分析、タンパク質発現のイムノブロット分析、または表現型分析によって達成され得る。ベクターは、自律的に複製するか、または宿主細胞の染色体に組み込むことができる、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、プロウイルス、ファージミド、トランスポゾン、人工染色体などであることができる。ベクターは、自律的に複製しない、ネイキッド(裸の)RNAポリヌクレオチド、ネイキッドDNAポリヌクレオチド、同じ鎖内のDNAとRNAの両方からなるポリヌクレオチド、ポリリジン結合型DNAまたはRNA、ペプチド結合型DNAまたはRNA、リポソーム結合型DNAなどであることもできる。本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、機能的最終生成物、例えばmRNAまたはタンパク質(前駆体または成熟)の産生を指す。
本文脈における「作動可能に連結された」とは、本開示に係るプロモーターポリヌクレオチドを追加のオリゴまたはポリヌクレオチドと共に連続的に配置させて、前記追加のポリヌクレオチドの転写をもたらす配置を意味する。
本明細書で使用する場合、「表示」という用語は、ミニセルの外面上への目的のポリペプチドの曝露を指す。非限定的例として、表示されたポリペプチドは、細胞外ドメインまたは関心領域がミニセルの表面上に露出している(ミニセルの表面上に発現されて表示されているか、または分離/出芽(budded)したミニセルの表面上に表示されるように親細胞中で発現される)ように、ミニセルの膜上に発現されるかまたはミニセルの膜と融合している、タンパク質またはタンパク質ドメインであることができる。どんな場合でも、「表示された」タンパク質またはタンパク質ドメインは、細胞外成分との相互作用のために利用可能である。膜結合タンパク質(膜タンパク質)は、1つ以上の細胞外ドメインを有してもよく、本開示のミニ細胞は、1つ以上の膜結合タンパク質を表示してもよい。
本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」、「タンパク質」および「タンパク質ドメイン」という用語は、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸の単鎖からなる高分子を指す。本開示のポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸、合成アミノ酸、遺伝的にコード化されたアミノ酸、非遺伝的にコード化されたアミノ酸、およびそれらの組み合わせを含むことができる。ポリペプチドは、L型アミノ酸とD型アミノ酸の両方を含むことができる。
本明細書で使用する場合、「酵素活性ポリペプチド」という用語は、酵素的機能性タンパク質をコードするポリペプチドを指す。用語「酵素活性ポリペプチド」とは、限定されるものではないが、生物学的機能を果たす融合タンパク質を含む。例示としての酵素活性ポリペプチドは、特定の受容体または生物学的/化学的基質に特異的に結合して、生物学的シグナル伝達または化学的不活性化などの生物学的機能を果たす、酵素/酵素部分(例えば、野生型、変異体、または改変された変異体)を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「プロテアーゼ欠損株」という用語は、1つ以上の内因性プロテアーゼが欠損している株を指す。例えば、プロテアーゼ欠損は、少なくとも内因性プロテアーゼに対して、欠失、除去、ノックアウト、サイレンシング、抑制、または他の方法でダウンレギュレートすることによって作出することができる。当該プロテアーゼは、カタストロフィー性プロテアーゼを含むことができる。例えば、BL21(DE3)大腸菌(E coli)株は、プロテアーゼLonおよびOmpT欠損である。大腸菌株は、タンパク質生産と膜への局在化を有意に減少させることができる細胞質プロテアーゼおよび膜プロテアーゼを有する。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ欠損株は、着目のタンパク質の産生と細胞膜への該タンパク質の局在化を最大化することができる。本開示において、「プロテアーゼフリー」は、「プロテアーゼ不含有」と互換的に使用することができる。
本明細書で使用する場合、「無核化細胞(anucleated cell)」という用語は、核を欠いており、染色体DNAも欠いている細胞を指し、また、「無核細胞(anucleate cell)」とも称され得る。真正細菌および古細菌細胞は、真核細胞とは異なり、本来、核(染色体を含有する別個のオルガネラ)を有さないため、これらの非真核細胞は、「染色体を持たない」または「染色体欠如」であるとしてより正確に説明される。それにもかかわらず、当業者は、他の真核のミニセルに加えて、細菌ミニセルについて言及する際に、「無核化」という用語を使用することが多い。従って、本開示において、「ミニセル」という用語は、染色体を欠いている真正細菌細胞の誘導体;染色体を欠いている古細菌細胞の誘導体;および核を欠いており、その結果として染色体を欠いている真核細胞の無核誘導体を包含する。本開示では、「無核化細胞」または「無核細胞」は、「無染色体細胞」という用語と互換的に使用することができる。
本明細書で使用される場合、「非発現型」農薬化合物という用語は、宿主細胞から内因的に、先天的に、または天然に産生されない農薬化合物を指す。例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringenesis;BT菌)は、植物を食下する(chewing)昆虫の幼虫並びに蚊の幼虫を死滅させることができる毒素を産生する。農薬化合物として用いることができるこの毒素は、BT菌(B. thuringenesis)から内因的に発現されるCryタンパク質である。本開示において、この天然に発現されるCryタンパク質は、非発現型農薬化合物としてみなされない。
本明細書で使用されるように、「担体(キャリア)」、「許容される担体」、または「農業上許容される担体」は、組成物をその標的に供与することができ、組成物に悪影響を及ぼさない、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。
本明細書で使用する場合、「核酸」という用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのヌクレオチド、またはその類似体のポリマー形態を指す。この用語は、分子の一次構造を指し、二重鎖および一本鎖DNA、並びに二重鎖および一本鎖RNAを含む。それはまた、メチル化および/またはキャップ付核酸、修飾塩基を含む核酸、主鎖修飾などの修飾核酸を含む。これらの用語は、「核酸」、「ヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」と互換的に使用される。
本明細書で使用する場合、「プロテアーゼ欠損株」という用語は、1つ以上の内因性プロテアーゼが欠損している株を指す。例えば、プロテアーゼ欠損は、少なくとも内因性プロテアーゼにおいて、削除、除去、ノックアウト、サイレンシング、抑制、または他の方法でダウンレギュレートすることによって生成することができる。当該プロテアーゼは、破壊型(catastprophic)プロテアーゼを含むことができる。例えば、BL21(DE3)大腸菌(E coll)株は、プロテアーゼLonおよびOmpT欠損である。大腸菌株は、タンパク質産生および膜への局在化を有意に減少させることができる細胞質プロテアーゼおよび膜プロテアーゼを有する。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ欠損株は、細胞の膜に対する目的タンパク質の産生および膜への局在化を最大化することができる。本開示において、「プロテアーゼ欠損」は「プロテアーゼフリー(プロテアーゼ不含有)」と互換的に使用することができる。
本明細書で使用する場合、「リボヌクレアーゼ欠損株」という用語は、1つ以上の内因性リボヌクレアーゼが欠損している株を指す。例えば、リボヌクレアーゼ欠損は、少なくとも内因性リボヌクレアーゼに対して欠失、除去、ノックアウト、サイレンシング、抑制、または他の方法でダウンレギュレートすることによって作出することができる。リボヌクレアーゼは、リボヌクレアーゼIIIを含むことができる。例えば、HT115大腸菌株は、RNアーゼIII欠損である。いくつかの実施形態では、リボヌクレアーゼ欠損株は、dsRNAを認識することができずそして/または認識する能力が減少しており、かつdsRNAを特定の標的指向された位置で開裂させることができずそして/または開裂させる能力が減少している。「リボヌクレアーゼ欠損」は、本開示において「リボヌクレアーゼ不含有」と互換的に使用することができる。
本明細書で使用される場合、「無染色体細胞」、「無核化細胞」という用語は、核を欠いており、染色体DNAも欠損している細胞を指し、また、「無核細胞」と称することもできる。真正細菌および古細菌細胞は、真核細胞とは異なり、天然には核(染色体を含有する別個の細胞小器官(オルガネラ))を持たないため、これらの非真核細胞は、当然、「染色体を持たない」または「無染色体」であるとしてより正確に説明される。それにもかかわらず、当業者は、他の真核ミニセルに加えて、細菌ミニセルを言及するときに「無核化」という用語をしばしば使用する。従って、本開示において、「ミニセル」という用語は、染色体を欠く真正細菌細胞の誘導体;それらの染色体を欠く古細菌細胞の誘導体;核を欠き、その結果染色体を欠く真核細胞の無核誘導体を包含する。よって、本開示では、「無核化細胞」または「無核細胞」は、「無染色体細胞」という用語と互換的に使用することができる。
本明細書で使用する場合、「結合部位」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、脂肪酸、脂質、またはそのような分子構造もしくは化合物における特定の領域、またはそのような分子構造もしくは化合物の特定のコンフォメーション、またはそのような分子構造もしくは化合物の組合せもしくは複合体などの、分子構造もしくは化合物を意味する。特定の実施形態では、少なくとも1つの結合部位は、無傷の生存植物上にある。本明細書で使用される「無傷の生存植物」は、それが土壌中、水中または人工生息環境(substrate)中で生育するかどうか、および、それが屋外、温室、野外、庭、ポットまたは水耕栽培システムにおいて生育するかどうかに関係なく、それが生育しているそのままの植物を意味する。無傷の生存植物は、好ましくは、そのような植物に天然存在する全ての植物部分(根、茎、枝、葉、針状葉、胸部、花、種子等)を含むが、例えば、いくつかの植物部分、例えば花は、植物の生活環における一定期間の間存在しなくてもよい。
本明細書で使用する場合の「結合ドメイン」は、標的分子に対する特定の分子間相互作用を使用して結合することができるタンパク様(タンパク質、タンパク質様またはタンパク質含有)分子の全部または一部を意味する。結合ドメインは、天然に存在する分子とすることができ、それは天然に存在する分子から誘導することができ、または完全に人工的に設計することができる。結合ドメインは、限定されるものではないが、微生物タンパク質、プロテアーゼ阻害剤、毒素、フィブロネクチン、リポカリン、一本鎖逆行性コイルドコイルタンパク質、または反復モチーフタンパク質をはじめとするタンパク質に存在するドメインに基づくことができる。そのような結合ドメインの非限定的例は、植物を標的とするセルロース結合ドメイン等の炭水化物結合モジュール(CBM)である。いくつかの実施形態では、細胞接着部分は、結合ドメインを含む。
本明細書で使用する場合、「担体」、「許容される担体」、または「生物学的に活性な許容される担体」は、組成物をその標的に投与することができ、該組成物に悪影響を及ぼさない、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。
本明細書で使用する場合、「植物」および「植物誘導体」は、根、茎、柄、葉、枝、種子、花、果実などを含む、生育している植物の任意の部分を指すことができる。例えば、桂皮精油は、肉桂植物の葉または樹皮から誘導することができる。
本明細書で使用する場合、「精油」という用語は、植物材料から抽出された芳香性の揮発性液体を指す。精油は、しばしば揮発性芳香族化合物を含む疎水性液体に濃縮される。精油化学成分は、テルペン類(例えば、p-シメン、リモネン、サビネン、α-ピネン、γ-テルピネン、β-カリオフィレン)、テルペノイド類(例えば、ゲラニオール、シトロネラル、チモール、カルバクロール、カルボン、ボルネオール)およびフェニルプロパノイド類(例えばシンナムアルデヒド、オイゲノール、バニリン、サフロール)などの一般クラスに分類されうる。精油は、天然(すなわち、植物由来)であってもよく、または合成であってもよい。
本明細書で使用する場合、「精油」という用語には、植物油および脂質もまた、本開示の範囲内に包含される。精油の非限定的例としては、ゴマ油、除虫菊(抽出物)、グリセロール由来の脂質またはグリセロール脂肪酸誘導体、桂皮油、スギ油、クローブ油、ゲラニウム油、レモングラス油、アンジェリカ油、ミント油、ウコン油、ウインターグリーン油(冬緑油)、ローズマリー油、アニス油、カルダモン油、カラウェー油、カモミール油、コリアンダー油、グアヤク樹脂、クミン油、ジラ油、ミント油、パセリ油、バジル油、ショウノウ油、カナンガ油、シトロネラ油、ユーカリ油、フェンネル油、ショウガ油、コパイババルサム油、シソ油、スギ油、ジャスミン油、パルマローザ油、西洋ミント油、スターアニス油、月下香油、ネロリ油、トルーバルサム油、パチョリ油、パルマローザ油、ヒノキ油、ヒバ油、サンダルウッド油、プチグレン油、ベイ油、ベチベル油、ベルガモット油、ペルーバルサム油、BDR(灰色を帯びた赤色)油、グレープフルーツ油、レモン油、マダリン油、オレンジ油、オレガノ油、ラベンダー油、クロモジ油(ウヤク油)、松葉油、コショウ油、バラ油、アイリス油、スイートオレンジ油、タンジェリン油、ティーツリー油、茶種子油、タイム油、チモール油、ニンニク油、ペパーミント油、タマネギ油、リンアロエ油、日本ミント油、スペアミント油、巨大結節抽出物、および本明細書全体に開示されているような他のものである。
本明細書で使用する場合、用語「複合培地(複数可)」は、主として細胞培養(例えば、細菌の増殖)に用いられる栄養的に豊富な培地を指し、その成分がトリプトンおよび酵母エキスを含む。複合培地は、トリプトンおよび酵母エキスなどの複雑で高価な炭素源と窒素源を含んでいる。トリプトンは、生育中の細菌に対するペプチドおよびペプトンなどの必須アミノ酸の供給源であり、酵母エキスは、細菌の増殖に役立つ大量の有機化合物を提供するために使用される。LB培地(Lysogeny Broth;溶原培地)およびTB培地(Terrific Broth;高栄養培地)は、細菌を培養するための最も汎用性で一般的な培地である、複合培地の例である。
本明細書で使用される場合、「最少培地」または「成分既知(defined)最少培地」は、細胞培養に使用される培地を指しているが、市販の生存可能な炭素源およ
び窒素源(例えば、炭素源としてのグルコースまたはグリセロール、および窒素源としてのリン酸アンモニウム)を含有し、これは、上述の複合培地に使用される酵母エキスやトリプトンよりも費用効果が高い。費用効果が高い炭素源および窒素源から構成される最少培地または培地は、経済的な方法における生体材料(例えばミニセル)の生産にとって必須である。実施形態では、最少培地は、本明細書に記載の限定されたパラメータ範囲で小規模、中規模または大規模のバイオリアクターを使用する、本開示の制御されたバイオプロセスシステムにおける無染色体(または無核化)ミニセル生産に利用される。
細菌ミニセル生産
ミニセルは、細胞分裂および/または染色体分配(partitioning)に関与する遺伝子中に突然変異を有し、そして/または該遺伝子を過剰発現している親細胞により、または細胞分裂および/または染色体分配に関与する遺伝子を発現させながら、または細菌細胞の異常分裂を引き起こすそして/または細胞分裂中に異常な染色体分離様式での(娘細胞への)分配を引き起こす親細胞から、生産される。「親細胞」という用語は、ミニセルが産生される細胞を指す。大部分が染色体DNAを欠いているミニセル(Mulder他、Mol Gen Genet、221:87-93、1990)は、必ずしも必要ではないが、通常は、それらの親細胞よりも小さい。典型的には、大腸菌細胞から生産されたミニセルは、一般に球形の形状であり、直径が約0.1~約0.5μmであり、長さが1μm未満であるが、一方で、大腸菌細胞全体では、直径約1~約3μmで、長さが約2~約10μmである。DNAに結合する化合物DAPI(4,6-ジアミジノ-z-フェニルインドール)で染色した、大腸菌細胞およびミニセルの顕微鏡写真は、ミニセルが染まらないのに対して、親の大腸菌は明るく染色されることを示している。かかる顕微鏡写真は、ミニセル中に染色体DNAが欠損していることを実証する(Mulder他、Mol. Gen. Genet. 221:87-93、1990)。
ミニセルは、無染色体の、膜に内包された生体ナノ粒子(≦1μm)であり、それは細菌細胞の正常な分裂装置における破壊に続いて細菌によって形成される。本質的に、ミニセルは、染色体DNAを含まないことを除いて、正常な細菌細胞の代謝的に活性な複製物であり、かかる複製物はそれ自体非分割であり、生存可能でない。ミニセルは染色体DNAを含まないが、プラスミド、RNA、天然型タンパク質および/または組換え発現されたタンパク質、並びに他の代謝産物は、いずれも、ミニセルに分離する能力を持つことは証明されている。ミニセル産生菌株のいくつかの作製方法は、米国特許出願第10/154,951号(米国特許公開第US/2003/0194798 Al号公報)に詳細に論じられており、それは参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。
染色体複製と細胞分裂との間の協調関係(coordination)の破壊は、大部分が棒状体の原核生物の極性領域からのミニセル形成をもたらす。染色体複製と細胞分裂との間の協調関係の破壊は、隔膜形成および二極分裂に関与するいくつかの遺伝子の過剰発現を通して促進され得る。あるいは、ミニセルは、隔膜形成および二極分裂(二元分裂)を調節する遺伝子中に突然変異を所有する株において生産させることができる。異常な染色体分離機構はまた、多くの異なる原核生物に示されているように、ミニセル形成につながる可能性がある。
細菌ミニセルの作製、生産、および精製方法の説明は、例えば、国際特許出願第WO2018/201160、WO2018/201161、およびWO2019/060903号公報に見ることができ、それらは参照により本明細書に組み込まれる。
また、ミニセルを生産するための菌株の説明は、例えば、国際特許出願第WO2018/201160、WO2018/201161号、WO2019/060903号公報は、参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本開示は、ミニセルと活性薬剤とを含む組成物を教示する。いくつかの実施形態では、ミニセルは細菌細胞から誘導される。いくつかの実施形態では、ミニセルは直径1μm以下である。
ミニセルは、サイズが約10nm~約1000nm、サイズが約50nm~約950nm、サイズが約100nm~約950nm、サイズが約150nm~約950nm、またはサイズが約200nm~約900nmである。他の実施形態では、ミニセルはサイズが約250nm~約900nmである。さらなる実施形態では、本開示の制御されたバイオプロセスシステムから製造される平均ミニセルのサイズは、約400~約750nm、約450~約700nm、および約500~約650nmの長さである。
農業用薬剤
本開示は、塗抹(コーティング)プラットフォーム、組成物、製剤、農業用薬剤および農業製品上に多層構造を創製するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、農業用薬剤は、農薬、生物活性剤、または農業製品である。
本開示は、農業用薬剤が殺有害生物剤、殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺ウイルス剤、殺線虫剤、殺軟体動物剤、抗生剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、施肥剤、忌避剤、植物生長調節剤または植物改質剤であることを教示する。
他の実施形態では、農業用薬剤は、核酸、ポリペプチド、代謝産物、半化学物質、精油、または小分子である。いくつかの実施形態では、核酸は、DNA、RNA、PNA、またはハイブリッドDNA-RNA分子である。いくつかの実施形態では、RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)、ガイドRNA(gRNA)、または阻害RNAである。いくつかの実施形態では、阻害RNAはRNAi、shRNA、またはmiRNAである。いくつかの実施形態では、阻害RNAは、植物において遺伝子発現を阻害する。いくつかの実施形態では、阻害RNAは、植物共生植物において遺伝子発現を阻害する。
いくつかの実施形態では、核酸は、植物において酵素、細孔形成タンパク質、シグナル伝達リガンド、細胞透過性ペプチド、転写因子、受容体、抗体、ナノボディ、遺伝子編集タンパク質、リボタンパク質、タンパク質アプタマー、またはシャペロンの発現を増加させる、mRNA、修飾mRNA、またはDNA分子である。
いくつかの実施形態では、核酸は、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNA、aiRNA、PNA、モルホリノ(モルホリノ核酸)、LNA、piRNA(PIWI-interacting RNA)、リボザイム、DNAzyme、アプタマー、circRNA、gRNA、または植物において、酵素、転写因子、分泌タンパク質、構造因子、リボタンパク質、タンパク質アプタマー、シャペロン、受容体、シグナル伝達リガンド、またはトランスポーターの発現を減少させるDNA分子である。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、酵素、細孔形成タンパク質、シグナル伝達リガンド、細胞透過性ペプチド、転写因子、受容体、抗体、ナノボディ、遺伝子編集タンパク質、リボタンパク質、タンパク質アプタマー、またはシャペロンである。
農業用薬剤および有効成分の説明は、例えば、国際特許出願第WO2018/201160、WO2018/201161、WO2019/060903、およびWO2021/133846号公報などに見出すことができ、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
農薬
いくつかの実施形態では、農業用薬剤は農薬化合物である。
ここで、「農薬」とは、天然に得られるか合成的に得られるかにかかわらず、植物、有害生物、またはその遺伝子座に施用され、所望の生物活性の発現をもたらす化学物質を意味する。本明細書で使用される用語「生物活性」は、植物において、または植物中もしくは植物上に存在する病原体、寄生虫もしくは給餌生物などの有害生物において、刺激、阻害、調節、治療、毒性もしくは致死性応答を惹起させること、または植物、害虫もしくは構造物の遺伝子座において、かかる応答を惹起させることを意味する。「植物」という用語は、限定するものではないが、すべての食品、繊維、飼料および飼料作物(収穫前および収穫後種子および種子処理剤)、樹木、芝および装飾物を含む。農薬物質としては、限定されないが、化学農薬(除草剤、殺藻剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺ウイルス剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、殺線虫剤、殺軟体動物剤など)、除草剤安全剤、植物成長調節剤(ホルモン、細胞増殖剤など;例えばアブシジン酸、オーキシン、ブラシノステロイド、サイトカイニン、エチレン、ジベレリン、ジャスモン酸、サリチル酸、ストリゴラクトン、植物ペプチドホルモン、ポリアミン、一酸化窒素、カリキン、トリアコンタノなどを含む)、肥料、土壌改良剤、および栄養素、殺配偶子、落葉剤、乾燥剤、これらの混合物が挙げられる。
いくつかの実施形態では、農薬は、合成であるかまたは合成的に得られる。他の実施形態では、農薬は天然に存在しているか、天然に取得される。
上述の農薬のより多くの例は、例えば、米国特許出願公開第2012/0016022号および同第2020/0113177号公報に記載されており、それらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、農業用化合物は、殺有害生物剤、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、肥料、栄養素、ホルモンまたは化学成長物質などの植物成長調節剤、およびそれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない
生物活性剤
いくつかの実施形態では、農業用薬剤は生物活性剤である。
「生物活性剤(「生物活性物質」と同義である)」は、薬剤、組成物または化合物自体が生物学的作用を有すること、または生物学的作用を有する内因性分子と反応もしくは結合するか、またはそれらと反応もしくは結合することを変更、誘発、促進、強化、増強、阻止、減少、制限、低下、限定することを意味する。生物学的作用は、植物への生物学的プロセスに影響を与えるもの;有害生物、病原体または寄生虫の生物学的プロセスに影響を与えるもの;検出可能な信号を生成するかまたは生成を引き起こすものなどであってもよいが、それらに限定されない。生物活性剤、組成物、複合体または化合物は、農業用途および組成物において使用され得る。生物活性剤、組成物、複合体または化合物は、植物、昆虫、ワーム、細菌、真菌、またはウイルスに対して所望の効果を引き起こすか、または刺激するように作用する。所望の効果の非限定的な例としては、例えば、(i)植物の疾患または状態を予防、治療または治癒させること、(ii)植物に感染する有害生物、病原体または寄生虫の生育を抑制するまたは死滅させること、(iii)植物の表現型または遺伝子型を増強すること、(iv)植物における正の応答を刺激して発芽させ、栄養的に成長させ、開花させ、施肥し、果実および/または種子を生成させ、そして収穫させること;および(v)疾患または障害を引き起こす病害虫を防除することが挙げられる。
本開示の農業用途の文脈において、「生物活性剤」という用語は、薬剤、組成物、複合体または化合物が、植物の栄養的および繁殖的生育に対して影響を及ぼし、疾患もしくは障害に罹患している植物に良い意味で(positive sense)影響を及ぼし、そして/または有害生物、病原体もしくは寄生虫に悪い意味で(negative sense)影響を与える活性を有することを示す。従って、生物学的に活性な剤、組成物、複合体または化合物は、有害生物、病原体もしくは寄生虫の生育および/または維持;または異常な生育特性もしくは生化学的特性を有する植物の細胞、組織もしくは器官の生育および/または維持;および/または植物のような宿主内で疾患もしくは障害を引き起こす有害生物、病原体もしくは寄生虫の生育および/または維持、にとって有害である植物内の生物学的または生化学的活性を引き起こすかまたは促進することができる。
いくつかの実施形態では、生物活性剤は、生物由来の天然物である。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、核酸、ポリペプチド、タンパク質、代謝産物、半化学物質(フェロモン等)、または天然物/天然存在物であるかまたは天然物と同一である精油である。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、以下に記載される生物防除剤および生物刺激剤を含む。
生物活性剤の一例として、ペパーミント油(PO)、タイム油(TO)、クローブ油(CO)、レモングラス油(LO)、桂皮油(CnO)等の精油(EO)が、抗菌性、抗ウイルス性、抗炎症性、抗真菌性、抗酸化性のため利用されている。メントールやチモール等のテルペノイド類、オイゲノールやシンナムアルデヒド等のフェニルプロペン類は、主として抗菌活性に影響を与えるEOの成分である。例えば、チモールは、その極性頭部基を脂質二重層の中に統合させることにより微小膜を破壊し、細胞内ATP濃度を増加させることができる。オイゲノールは、細胞膜を介したイオンの輸送に影響を及ぼすことも見出された。シンナムアルデヒドは、サイトカイン相互作用に関連する酵素を阻害し、かつATPアーゼ阻害剤として作用する。
いくつかの実施形態では、テルペン類は、精油(EO)の構成成分として、自然界に、主として植物に、広く分布している化学化合物である。その構成単位(building block)は、炭化水素イソプレン(Cである。
いくつかの実施形態では、テルペン類の例としては、シトラール、ピネン、ネロール、b-イオノン、ゲラニオール、カルバクロール、オイゲノール、カルボン、テルペニオール、アネトール、カンファー、メントール、リモネン、ネロリドール、フラメゾール、フィトール、カロテン(ビタミンA1)、スクアレン、チモール、トコトリエノール、ペリリルアルコール、ボルネオール、ミルセン、シメン、カレン、テルペネン、リナロール、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、精油は、ゲラニオール、オイゲノール、ゲニステイン、カルバクロール、チモール、除虫菊(パイリースラム)、またはカルバクロールを含む。
いくつかの実施形態では、精油は、テルペン、テルペノイド、フェニルプロペンおよびそれらの組み合わせの分類からの油を含むことができる。本明細書に提供される精油はまた、植物由来の精油(すなわち「天然」精油)、および追加的にまたは代替的に、それらの合成類似体を含有する。
なお、テルペン類は、これらを含有する抽出物または精油の名称、例えばペパーミント油(PO)、タイム油(TO)、クローブ油(CO)、レモングラス油(LO)および桂皮油(CnO)によっても知られている。
いくつかの実施形態では、生物活性剤は、炭水化物、脂肪、繊維、ミネラル、タンパク質、炭水化物、繊維、ビタミン、酸化防止剤、精油、および水を含む栄養素である。動物の健康のための重要な栄養素の例は、(i)タンパク質およびアミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、タウリン、コラーゲンおよびゼラチンなど)、(ii)脂肪(トリグリセリド、オメガ-3、オメガ-6またはオメガ-9脂肪酸など)、リノール酸、トコフェロール、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)など)、(iii)炭水化物(グルコース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、二糖およびオリゴ糖)、(iv)繊維(セルロースおよびその誘導体、多糖類およびグリコサミノグリカン)、(v)ビタミン類(A、B複合体、D、C、E、K、チアミンおよびβ-カロテン)、(vi)ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムなど)、(vii)既知の重要な微量ミネラル、例えば鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、フッ素、セレン、クロム、(viii)動物の栄養に有用な他のミネラル、例えばコバルト、モリブデン、カドミウム、ヒ素、ケイ素、バナジウム、ニッケル、鉛、スズ、および(ix)アスコルビン酸、ポリフェノール、タンニン、フラボノールおよびトリテルペングルコシドなどである。
非限定的例として、生物活性剤または化合物は、核酸、ポリペプチド、代謝産物、半化学物質または微量栄養素である。これらの生物活性剤は、広義では生物防除剤および生物刺激剤として分類することができる。
(i)生物防除剤
本開示は、生物活性剤を、殺有害生物剤(pesticide)、殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺線虫剤、精油、抗菌剤、抗真菌剤、および抗ウイルス剤はじめとする生物防除剤として教示している。
いくつかの実施形態では、殺有害生物剤、殺虫剤、除草剤、殺菌剤、殺線虫剤、抗菌剤、抗真菌剤、および抗ウイルス剤は、生物によって産生される天然物または天然物の薬剤である。
本開示は、生物活性剤を、限定されるものではないが、RNAi、プロトキシン、代謝産物、抗体、発酵産物、ホルモン、フェロモンおよび半化学物質を含む生物防除剤として教示している。いくつかの実施形態では、生化学的防除剤として、限定されるものではないが、半化学薬品、例えば植物成長調節剤、ホルモン、酵素、フェロモン、アロモンおよびカイロモンを含み、これらは天然に存在するかまたは天然物と同一であり、誘引、遅延、破壊、または他の方法で有害生物防除活性を作用させることができる。いくつかの実施形態では、生物学的防除剤は、生物活性化合物、ポリペプチド、代謝産物、半化学物質、ホルモン、フェロモン、およびアンチセンス核酸、dsRNA、shRNA、siRNA、miRNA、リボザイム、およびアプタマーを含むRNA生体分子などの核酸を指す。
いくつかの実施形態では、半化学物質は、フェロモン、アロモン、カイロモン、およびシノモンを含む。例えば、微生物の揮発性有機化合物の1種であるフェロモンは、昆虫および他の無脊椎動物に対して誘引剤および忌避剤として作用することができる。これらは、種々の病原体を制御するための生物防除剤、並びに植物の成長促進に使用される生物肥料として使用することもできる。これらはさらに、植物病害を予防するためのポストハーベストとしても使用されている(Kanchiswamy他、Trends Plant Sci. 40(4):206-211、2015)。フェロモンは、天然に産生され得るか、または合成的に製造され得る。フェロモンは植物の成長促進に用いることができる。微生物由来のいくつかのフェロモンは、様々なストレス条件下である種の植物の成長を促進することができる。例えば、バチルス(Bacillus属)由来の2,3-ブタンジオールは、全身抵抗性を誘導し、かつ高塩分濃度のような様々なストレス性条件下で植物の成長を促進することが示されている(Ryu他、Plant Physiol. 134(3):1017-1026, 2004; Ryu他、PNAS 100(8):4927-2932,2003)。フェロモンは、有害生物の管理にも使用することができる。通常は昆虫由来である、特定のフェロモンは、生物防除剤として使用することができる。それらは、標的有害生物を誘引して死滅させることができる製剤の一部であり、または有害生物集団の「大量捕獲」のために使用することができる(Witzgall他、J.Chem.Ecol.36(1):80-100、2010)。例えば、フェロモン(イッテンオオメイガ(S.incertulas)の成分である(Z)-9-ヘキサデセナール、(Z)-ll-ヘキサデセナール、および(Z)-9-オクタデセナール)は、イネにおいて黄色の茎食い虫(イッテンオオメイガ(Scirpophagaincertulas))の集団を防除できることが実証されている(Cork他、BulletinofEntomologicalResearch、86(5):515-524)。
(ii)生物刺激剤
本開示は、生物刺激剤としての生物活性剤を教示する。これらの生物刺激剤の非限定的例には、ホルモンおよび生化学的成長物質(因子)が含まれる。これらの活性物質は、アブシジン酸(ストレス下の休眠機構に関与する)、オーキシン類(植物の成長に良い(ポジティブな)影響を与える)、サイトカイニン(影響細胞分裂および芽形成)、ACCデアミナーゼ(エチレンの成長阻害効果を低下させる)、ジベレリン(茎を伸長させ、花粉管の生長を刺激することにより、植物の成長に良い(ポジティブな)影響を与える)、および植物の成長を正および負に調節するために使用される、多くの他の物質(ブラシノステロイド、サリチル酸、ジャスモネート、植物ペプチドホルモン、ポリアミン、一酸化窒素、ストリゴラクトン、カリキン、およびトリアコンタノール)を含む。
いくつかの実施形態では、生物活性化合物は、植物が成長し、生物刺激剤としてストレスと闘うのを助けるように、化学反応を改善および修飾するフェロモンである。
いくつかの実施形態では、生物活性剤は、肥料、植物の微量栄養素および主要(多量)栄養素であり、これらは、限定されないが、窒素、カリウム、およびリン、並びに鉄、銅、亜鉛、ホウ素、マンガン、カルシウム、モリブデンおよびマグネシウムなどの微量栄養素を含む。
いくつかの実施形態では、生物刺激剤は、リゾビウム(PGPR)特性、真菌性、サイトカイニン、植物ホルモン、ペプチド、およびACCデアミナーゼなどの微生物学的性質を含む。例えば、窒素固定は、窒素固定を補助するためにミニセルを介してウレアーゼおよび/またはニトロゲナーゼを送達することにより達成することができる。
いくつかの実施形態では、生物刺激剤は、酸(腐植物質、フミン、フルボ酸、ビタミンB類、アミノ酸、脂肪酸/脂質)、抽出物(例えば、カルボキシル、ボタニカル、アレロケミカル、ベタイン、ポリアミン、ポリフェノール、キトサンおよび他のバイオポリマー)、亜リン酸塩、リン酸塩可溶化剤、含窒素化合物、無機塩、タンパク質水解物、および有用元素を含む。
一例として、タンパク質水解物は、広範囲の作物の発芽、生産性および品質を増加させる潜在力を有する。タンパク質水解物はまた、塩分、渇水および重金属の悪影響を軽減することもできる。タンパク質水解物は、炭素および窒素の代謝を刺激し、ホルモン活性と干渉作用することができる。タンパク質水解物は、植物成長基質における栄養素利用能を高めることができ、植物における栄養素の取込みおよび利用効率を増加させることができる。タンパク質水解物はまた、植物の微生物叢を刺激することができ、タンパク質加水分解物によって提供されるアミノ酸などの基質は、植物関連微生物のための食用資源を提供し得る。
生物刺激剤は、種子の発芽から植物の成熟に至るまで、作物の生活環を通して数多くの実証された方法で植物の発育を促進する。これらは、植物、種子、土壌または他の生育培地に適用することができ、栄養素を資源化しそして適切に生育する植物の能力を増強することができる。補助的土壌微生物を育成し、かつ代謝効率、根の発達および栄養素送達を改善することにより、生物刺激剤は、種子と果実セットの重量の観点からの収穫高を増加させることができ、糖度、色および貯蔵寿命に影響を与え、水の使用効率を向上させ、ストレス耐性および回復を強化することができる。これらの生物刺激剤は、フェロモンまたはACCデアミナーゼのような酵素を含むことができる。
生物刺激剤は、非栄養的な植物成長応答を生じさせ、ストレス耐性を強化することによってストレスを低減する化合物である。栄養的応答を誘導する肥料は、生物刺激剤と考えることができる。生物刺激剤の多くの重要な利点は、ホルモン活性への影響に対するそれらの能力に基づく。植物中のホルモン(植物ホルモン)は、通常の植物の発達および環境への応答を調節する化学的メッセンジャーである。根と芽の成長、並びに他の成長応答は、植物ホルモンによって調節される。生物刺激剤中の化合物は、植物のホルモン状態を変化させることができ、その成長および健康に大きな影響を及ぼすことができる。昆布、腐植酸およびビタミンB群は、植物の成長およびホルモン活性に影響を与える化合物の重要な源である生物刺激剤の共通成分である。酸化防止剤は、環境および化学的ストレス(乾燥、熱、UV光および除草剤)に対する植物の応答を調節するのに重要である、植物性化学物質の別の群である。植物がストレス下にあるとき、「フリーラジカル」または反応性酸素分子(例えば過酸化水素)が植物細胞を損傷する。酸化防止剤は、かかるフリーラジカル毒性を抑制する。抗酸化物質のレベルが高い植物は、より良好な根および芽の成長をもたらし、正常な環境とストレス環境の両方においてより高い葉含水率およびより低い疾患発生率を維持する。生物刺激剤を施用することは、抗酸化活性を強化し、それにより植物の防御システムが増強される。ビタミンC、ビタミンE、グリシン等のアミノ酸は、生体刺激剤の範疇に含まれる酸化防止剤である。
生物刺激剤は、土壌または他の植物成長培地中に存在する微生物の成長を刺激するように作用し得る。生物刺激剤は、微生物接種材(種菌)に含まれる微生物の増殖を刺激することができる。従って、微生物接種材で使用した場合に、天然微生物および接種材微生物の両方の集団を増強することができる生物刺激剤を得ることが望ましい。
いくつかの実施形態では、生物活性化合物は、新時代(ニューエイジ)の作物保護および強化となった生物防除剤および生物刺激剤として使用することができる。
生物防除剤の例はRNAiいわゆるRNA干渉であり、これは標的有害生物の遺伝子をサイレンシングし、非標的有害生物を無害化しながら死滅させるために使用される。無脊椎動物では、長鎖dsRNAが、dsRNA活性化プロテインキナーゼ(PKR)の活性化および哺乳動物細胞系で起こることが示されているインターフェロン応答を活性化することなく、遺伝子発現をサイレンシングするために効率的に使用することができる。
別の例は、有害生物に対抗するためにタンパク質毒素を送達することである。タンパク質毒素の一例は、経口活性殺虫性ペプチド-1(OAIP-1)であり、これは合成殺虫剤イミダクロプリドと同様の奏効で昆虫に対して高度に毒性にするものである。このOAIP-1毒素は、本開示で教示されている生物活性化合物の1つとして使用することができるオーストラリア・タランチュラの毒液から単離することができる。
キチナーゼは、殺菌剤として植物に送達することができる。
植物抗体は、有害生物を特異的に標的するために使用できる生物防御剤の別の形態である。免疫グロブリンドメイン、軽鎖、重鎖、およびCDR、Fv、Fab、およびFc領域は、活性化合物としてカプセル封入され、標的に送達され得る。本開示は、グルコシルセラミドから生成されるものなど殺菌性抗体を提供する。
植物成長調節剤、ホルモン、酵素、フェロモン、アロモンおよびカイロモン類も生物防除剤である。フェロモンは、虫および/または昆虫が交尾するのを防止するための生物防除剤として作用することができる。
生物刺激剤は、種子の発芽から植物体の成熟まで、作物の生活環を通して数多くの実証された方法で植物成長を促進する。それらは、植物、種子、土壌または他の生育培地に適用することができ、これは、栄養素を資源化しそして適切に成長する植物の能力を増強することができ、補足の土壌微生物を育成し、代謝を改善することができる。生物刺激剤は、種子と果実セットの重量の点での収穫高を増加させることができ、品質を向上させ、糖度、色および貯蔵期間に影響を与え、水の使用効率を向上させ、ストレス耐性および回復を強化することができる。これらの生物刺激剤はフェロモンまたはACCデアミナーゼのような酵素を含むことができる。
生物刺激剤は、非栄養的な植物成長応答を生成し、ストレス耐性を強化することによってストレスを低減する化合物である。栄養応答を生成する肥料は、生物刺激剤であると考えることができる。生物刺激剤の多くの重要な利点は、ホルモン活性への影響に対するそれらの能力に基づく。植物中のホルモン(植物ホルモン)は、通常の植物の発達および環境への応答を調節する化学的メッセンジャーである。根およびシュート(芽)の成長、並びに他の成長応答は、植物ホルモンによって調節される。生物刺激剤の中の化合物は、植物のホルモン状態を変化させることができ、植物の成長および健康に大きな影響を及ぼすことができる。昆布、腐植酸およびビタミンB群は、植物の成長およびホルモン活性に影響を与える化合物の重要な源である生物刺激剤の共通成分である。酸化防止剤は、植物応答を環境および化学的ストレス(乾燥、熱、UV光および除草剤)に変換するのに重要である植物性化学物質の別の群である。植物がストレス下に置かれると、フリーラジカルまたは反応性酸素分子(例えば、過酸化水素)が植物細胞を損傷する。酸化防止剤は、かかるフリーラジカル毒性を抑制する。抗酸化物質のレベルが高い植物は、より良好な根およびシュートの成長をもたらし、正常環境とストレス環境の両方において、より高い葉面含水率とより低い疾患発生率を維持する。生物刺激剤を適用することにより、抗酸化活性が増強され、植物の防御システムが高まる。ビタミンC、ビタミンE、グリシン等のアミノ酸は、生体刺激剤に含まれる酸化防止剤である。
生物刺激剤は、土壌または他の植物成長培地中に存在する微生物の増殖を刺激するように作用し得る。生物刺激剤は、微生物接種材(種菌)に含まれる微生物の増殖を刺激することができる。従って、微生物接種材(種菌)において使用した場合に、天然微生物と接種材微生物の両集団を増強することができる生物刺激剤を得ることが望ましい。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の無核化細胞ベースのプラットフォームおよび/または工業用製剤を使用することによって、拡張可能で費用効果の高い手段で、生物防除剤および生物刺激剤を局所的に送達させることができる、産業上適切な無核化細胞ベースのプラットホームおよび/または工業用製剤を提供する。生物防除剤および生物刺激剤を局所的に送達することができる、工業的に適した有核細胞ベースのプラットフォームおよび/または工業用製剤を提供する。この無核化細胞ベースのプラットフォームおよび/または工業用製剤はまた、生物防除および生物刺激剤を、水耕培養に植物を含む植物に、非侵襲的に送達させるように改変することもできる。
一態様では、無核化細胞ベースのプラットフォームおよび/または工業用製剤は、リボヌクレアーゼ(リボヌクレアーゼIII)を欠く細菌細胞を使用し、標的のRNA干渉(RNAi)に使用されるdsRNAを産生するT7、T3またはSp6RNAポリメラーゼプロモーターを有する。次いで、この細菌細胞を改変して、前記dsRNAが内包化されたミニセルを作製する。これは、精製および内包化を簡略化し、かつ廉価にするのに役立つ。dsRNAを内包化することによって、dsRNA分子は環境中に存在するRNアーゼから保護される。例えば、昆虫を含む有害生物は、dsRNA送達用のミニセルを経口摂取する。いったん昆虫の内側に入ると、dsRNAはDicer(ダイサー)またはDicer様タンパク質と呼ばれるRNアーゼIII様タンパク質の基質となる。Dicerは、dsRNAの末端でのdsRNA開裂を優先的に開始させ、21bp(塩基対)~24bpの小分子干渉(si)RNA二重鎖を生成して、標的転写産をサイレンシングまたは抑制し、そして該転写産物の翻訳を阻害するように見える。得られたsiRNA二重鎖は、パッセンジャー(センス)鎖が除去され、ガイド(アンチセンス)鎖がサイレンシングのために標的mRNAに残るという、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる多タンパク質複合体に搭載される。RISC内のガイド鎖は、Argonaute(アルゴノート)タンパク質と呼ばれるタンパク質の部類によって、相補的mRNA転写産物への該複合体の塩基対合、並びに該標的mRNAの酵素開裂を可能にし、それによって該標的mRNAの翻訳を防止する。これこそが、標的とされた有害生物を死滅させる一方で、標的とされていない有害生物を無害化する所以である。また、無核化細胞ベースのプラットフォームおよび/または工業製剤は、dsRNA、siRNAshRNA、またはmiRNAを内包化するために利用することができる。他の態様では、アンチセンス核酸、リボザイム、またはアプタマーは、プラットフォームに内包化され得る。
いくつかの実施形態では、無核化細胞ベースのプラットフォームおよびdsRNAは、異なる宿主細胞から産生され、独立生産が完了した後に一緒にインキュベートされる。いくつかの実施形態では、無核化細胞ベースのプラットフォームを利用して、無核ミニセルの内部にdsRNAを産生することができる組換えプラスミドから、dsRNAを内部発現させることができる。次いで、内部に産生されたdsRNAは、無核ミニセル内でその標的に送達される。他の実施形態では、無核化細胞ベースのプラットフォームを利用して、最初は無核化細胞の外側で産生される、外部および/または外因的に産生されたdsRNAを内包化することができる。次いで、ミニセルに内包化された外部産生されたdsRNAが、無核化ミニセル内でその標的に送達される。さらなる実施形態では、無核化細胞ベースのプラットフォームを利用して、該プラットフォーム内でdsRNAを内部発現させ、次いで1または複数の異なる有害生物を標的とする目的で、外因的に産生されたdsRNAの1つ以上の配列を該プラットフォームに内包化することができる。これは、内部発現されたdsRNA配列に対して同種または異種のいずれかであるdsRNAを内包化することを伴う。かくして、無核化細胞ベースのプラットフォームは、内部発現されたdsRNAと外部発現されたものとの両方を送達させることができるが、内包化されたdsRNAをより多くその意図する標的に運ぶことができる。
本開示は、無核化細胞ベースのプラットフォームおよび/または工業用製剤が、内部生産されたdsRNAおよび外部産生/エクソソーム産生されたdsRNAを個別に、または一緒に、標的細胞に送達することができることを教示する。標的細胞は、哺乳動物細胞ではない。
本開示は、工業的に適した無核化細胞ベースのプラットフォームおよび/または少なくとも1つの生物活性化合物の内包化および送達のための工業用製剤であって、前記細胞内に少なくとも1つの生物活性化合物を含むリボヌクレアーゼ欠損親細胞由来の無傷の無核化細胞を含んでおり、前記生物活性化合物が核酸であり、前記核酸が標的細胞内のポリペプチドをコードする転写産物を標的とし、そして標的細胞は哺乳動物細胞ではないものを教示する。無核化細胞ベースのプラットフォームおよび/または工業用製剤は、少なくとも1つの生物学的に許容される担体をさらに含む。
いくつかの実施形態では、タンパク質媒介生物防除のために、本開示は、プロテアーゼを欠く細菌細胞を使用し、有意な量のタンパク質を産生するT7、T3、またはSp6ポリメラーゼプロモーターを有する。次いで、この細菌細胞を改変して、タンパク質が表面上に固定化された、または中に内包化されたミニセルを作製する。タンパク質発現プラスミドを細菌の核酸DNAに組み込むことにより、安全でかつ効率的にタンパク質を生産することができる。次いで、昆虫が、所望のタンパク質を発現または保持するミニセルと相互作用するかまたは経口的に摂取する。抗体媒介性生物防除のために、ミニセルは、特異的に標的指向された有害生物を標的とする抗体を発現しまたは内包化することができる。ミニセルは、昆虫または真菌病原体に対して特異性の高い生物農薬として働く抗体または組換え抗体を送達することができる(Raymond他、FungalBiologyReview25(2):84-88、2011)。
いくつかの実施形態では、ミニセルが、生物刺激剤として植物の表面、その種子、およびその根系に広範囲の植物成長促進性生体分子を送達することができることを本開示は教示している。これらの生体分子の多くは、一部の微生物が植物と共存するという動的な共生関係の結果として生成し、特定の環境キューまたはストレスに応答して自然に産生される。ミニセルは、微生物または植物に依存することなく、その表面上において細胞外に固定化されているか、または細胞内に内包化されているかのいずれかの形の、これらの植物成長促進性生体分子の高ペイロード容量を天然に生産するように操作することができる。これにより、それらの生体分子のより高い有効濃度を、植物の微小環境に送達することができ、また、より制御された、農業資材(アグリインプット)のニーズに対する適応応答を可能にすることができる。これらの生体分子の多くは、細胞内または細胞外のいずれかにおいて細菌が産生する酵素であり、土壌肥沃度を高め、植物病原体に対する防御を提供するのに重要な役割を果たす(Jog他、JournalofAppliedMicorbiology113:1154-1164、2012;Sathan他、Biotech7:102、2017)。他には、1-アミノシクロプロパン-1-カルボキシレート(ACC)デアミナーゼのように、植物の微小環境中のエチレンレベルを低下させることによって、ホルモンレベルで植物成長を調節することができる(Sozaら、Genet.Mol.Biol.38(4):401-419、2015)。
いくつかの実施形態では、生物学的に活性な化合物は、これに限定されないが、セルラーゼ、フィターゼ、キチナーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、ヌクレアーゼ、リパーゼ、グルカナーゼ、キシラナーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、ペルオキシダーゼ、リグニナーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、およびケラチナーゼを含む。植物の成長を促進するために酵素を効果的に送達することができることを超えて、本明細書に記載のミニセルは、植物の成長を促進する役割を果たす、別の高価値の生体分子を送達させることができる。それらの生体分子は、限定されるものでないが、オーキシンIAA、ペプチド、一次代謝産物、および二次代謝産物などの植物ホルモンを含む。
いくつかの実施形態では、生物活性化合物は、植物が、生物刺激剤として成長を助けストレスと闘うのを助けるために、化学反応を改善および修飾するフェロモンである。
他の実施形態では、生物防除剤および生物刺激剤の送達は、ミニセルの表面上に発現される結合ドメインを通して支援することができる。例えば、ミニセルは、植物を標的とする炭水化物結合モジュール(CBM)などの結合ドメインを発現することができる。これらのドメインは、植物表面でのより良好な保持を可能にし、流出またはドリフトを防止する。いくつかの実施形態では、ミニセルは、少なくとも1つの表面発現部分および少なくとも1つの標的細胞接着部分を含む融合タンパク質を発現し、ここで、標的細胞接着部分が炭水化物結合モジュールを含む。標的細胞接着部分は、セルロース結合ドメイン、キシラン結合ドメイン、キチン結合ドメイン、およびリグニン結合ドメインからなる群より選択される炭水化物結合モジュールを含む。
他の実施形態では、ミニセルはまた、葉表面または根を経由した侵襲性送達のために植物に取り込まれるように促す、様々なタンパク質を発現することができる。いくつかの実施形態では、ミニセルは、ポリペプチドおよび/またはタンパク質などの生物活性化合物をそれらの表面に発現および表示することができる。他の実施形態では、ミニセルは、ポリペプチドおよび/またはタンパク質などの生物活性化合物と、表面に発現された結合タンパク質との両方を、発現し表示させることができる。
表面に発現された結合タンパク質は、上述した炭水化物結合モジュール(CBM)としてのものである。表面に発現された生物学的/酵素的活性ポリペプチド/タンパク質は、細胞刺激性部分および/または細胞分解性部分を含む。そのような活性タンパク質の非限定的例としては、限定されないが、ACCデアミナーゼ、キチナーゼ、セルラーゼ、フィターゼ、キチナーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、ヌクレアーゼ、リパーゼ、グルカナーゼ、キシラナーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、過酸化酵素、リグニンナーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、およびケラチナーゼが挙げられる。
いくつかの実施形態では、これらのタンパク質は、外因的に発現され、ミニセルに内包化される。他の実施形態では、これらのタンパク質は内部発現され、ミニセルの表面上に固定化される。このようなタンパク質のような生物活性化合物は、ミニセルの外部で発現された後に、ミニセルに内包化されるか、またはミニセル内で内部発現され、ミニセルの表面上に表示される。さらなる実施形態では、ミニセルは、その表面上に少なくとも1つの生物活性化合物を発現し、別の生物活性化合物を同時に内包化することができる。従って、ミニセルは、ミニセル内およびミニセルの表面上に少なくとも2つの生物活性化合物を担持することができる。そのようなタンパク質の非限定的例としては、ACCデアミナーゼ、セルラーゼ、フィターゼ、キチナーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、ヌクレアーゼ、リパーゼ、グルカナーゼ、キシラナーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、ペルオキシダーゼ、リグニナーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、およびケラチナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、タンパク質が、生物防除化合物として使用されるリパーゼである。他の実施形態では、タンパク質が、生物刺激化合物として使用されるリパーゼである。さらなる実施形態では、タンパク質が、生体刺激化合物として使用されるACCデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、タンパク質が、生物防除化合物として使用されるリパーゼである。他の実施形態では、タンパク質が、生物刺激化合物として使用されるリパーゼである。さらなる実施形態では、タンパク質が、生物刺激化合物として使用されるACCデアミナーゼである。
いくつかの実施形態では、ミニセルは、少なくとも1つの表面発現部分と少なくとも1つの標的細胞分解部分とを含む融合タンパク質を発現し、ここで、標的細胞分解部分は、クチナーゼおよびセルロースを含む。
本開示は、微生物のRNA合成および非対称分割能力を利用することによる、発酵サイクル中のアンチセンス核酸、dsRNA、shRNA、siRNA、miRNA、リボザイム、またはアプタマーを含む、RNA生体分子の生産および内包化を教示する。この無核化細胞ベースのプラットフォームおよび/または工業用製剤は、システムへのリボ核酸(RNA)の送達に大きな困難を引き起こす次の3つの重要な問題を解決する:(1)RNAの拡張可能な合成および内包化;(2)合成/内包化されたオリゴヌクレオチドペイロードは該プロセスに生残しなければならない;(3)RNA生体分子が対象となる組織または細胞に到達し、所望の表現型応答を引き出すようなRNA生体分子の標的指向化送達。RNA送達の現在の形態は、siRNAのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)への直接結合であり、RNA(しばしば化学修飾されたもの)をカチオン性脂質および他の賦形剤と混合して、オリゴヌクレオチドを環境から保護してそのサイズをコンパクトにし、リボース環上の2′-ヒドロキシ基を2′-メトキシおよび2′-フルオロ部分で置き換えるなど、オリゴヌクレオチドをRNAi用途のために安定化させる化学修飾を施す。dsRNA生産のためには、dsRNAのinvivo細菌生産と比較して、invitro転写は非常に高価である。dsRNA生産のための無細胞系およびタンパク質キャプシドプロセスもまた存在する。細菌モデルは、改変種の増殖による環境汚染のリスクを伴う。この増殖は、環境中の天然に存在する種に、有害かつ不測の結果を有する可能性がある。ミニセルの結果は、天然の突然変異から生じる。RNAの精製および送達のためのミニセルの使用は、遺伝的に改変された細菌を使用することに関連するリスクなしに、dsRNA生産をスケーリングする(規模を増減する)ための発酵の利点を使用することを可能にする。ミニセルの使用はまた、生物農薬(biopesticide)として遺伝子改変された細菌を使用するよりも、プロトキシンおよび酵素の送達のためにも良好である
本開示の制御されたバイオプロセスシステムから生産されるミニセルに内包化されるペイロード(搭載物)は、例えば、生体分子(例えば、酵素、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸)、合成農薬を含む農業用薬剤、および本明細書に教示される生物活性剤をはじめとする、多種多様な薬剤から選択され得る。農業用薬剤は、限定されるものではないが、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、核酸、プラスミド、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴ、DNA結合化合物、ホルモン、ビタミン、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、殺有害生物剤(pesticide)、殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺線虫剤、および精油を含み得る。
いくつかの実施形態では、前記ミニセルは、農業用薬剤を内包化することができる。いくつかの実施形態では、前記農業用薬剤は、農薬化合物または生物活性化合物である。いくつかの実施形態では、前記農薬化合物は、殺有害生物剤、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺線虫剤、肥料、およびホルモンまたは化学成長物質からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、生物活性化合物は、核酸、ペプチド、タンパク質、精油、およびそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、核酸は、アンチセンス核酸、二本鎖RNA(dsRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)、microRNA(miRNA)、リボザイム、アプタマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、精油は、ゲラニオール、オイゲノール、ゲニステイン、カルバクロール、チモール、ピレトリン、またはカルバクロールを含む。
バイオプロセスシステム
多くの場合、細菌または酵母の培養は、細胞培養に関連する多くの用途を有する、振盪フラスコ中でおよび培養皿中で、またはT-フラスコの振盪フラスコ、細胞培養皿、およびT-フラスコ内の細胞において良好に目的を果たす。本開示では、振盪フラスコシステムを使用して実験室内で原核細胞を増殖させる培養は、無制御のバイオプロセスシステムとして見なされる。
本開示は、バイオリアクターおよび発酵槽が、大量の細胞/微生物/産生物を可能にし、培養効率を高め、生産物の品質を向上させ、および/または細胞増殖の再現性を向上させる制御されたバイオプロセスシステムであることを教示する。
一般的に言えば、バイオリアクターおよび発酵槽は、細胞または生物を産生するための培養システムである。それらは、基本的な研究および開発、並びに生物医薬品、食品および食品添加物、化学薬品、並びに他の製品の製造をはじめとする様々な用途で使用される。細胞(哺乳動物細胞株、昆虫細胞および幹細胞)、微生物(細菌、酵母および真菌)、並びに植物細胞および藻類をはじめとして、広範囲の細胞型および生物をバイオリアクターや発酵槽において培養することができる。細菌、酵母または真菌を培養する当業者は、しばしば、発酵槽という用語を使用するが、一方でバイオリアクターという用語はしばしば哺乳動物細胞の培養に関連して用いられる。
本開示では、バイオリアクターおよび発酵槽は、基本的に同じものを指すので、互換的に使用される。
いくつかの実施形態では、バイオリアクターは培養容器を指す。
いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、1リットルバイオリアクター、2リットルバイオリアクター、3リットルバイオリアクター、4リットルバイオリアクター、5リットルバイオリアクター、6リットルバイオリアクター、7リットルバイオリアクター、8リットルバイオリアクター、9リットルバイオリアクター、10リットルバイオリアクター、15リットルバイオリアクター、20リットルバイオリアクター、100リットルバイオリアクター、1000リットルバイオリアクター、または10,000リットルバイオリアクターであり、それらの間のすべての数値および範囲を包含する。
いくつかの実施形態では、商業生産用のバイオリアクターは、少なくとも10,000リットルのバイオリアクター、少なくとも20,000リットルのバイオリアクター、少なくとも30,000リットルのバイオリアクター、少なくとも40,000リットルのバイオリアクター、少なくとも50,000リットルのバイオリアクター、少なくとも60,000リットルのバイオリアクター、少なくとも約70,000リットルのバイオリアクター、少なくとも80,000リットルのバイオリアクター、少なくとも90,000リットルのバイオリアクター、少なくとも100,000リットルのバイオリアクター、少なくとも200,000リットルのバイオリアクター、少なくとも300,000リットルのバイオリアクター、少なくとも400,000リットルのバイオリアクター、または少なくとも500,000リットルのバイオリアクターであり、それらの間のすべての数値および範囲を包含する。
他の実施形態では、リアクターは、1mL~250mLの間の処理容積を有するバイオリアクターである。さらなる実施形態では、リアクターは、マルチウェルマイクロタイタープレートでは100μLウェルほどの小容積であり、また更にマイクロチップと同じくらい小容積であり、またはその間の全ての数値および範囲を包含する。
いくつかの実施形態では、培養容器のサイズは、細胞型の数、培地の数、試験のための異なる条件の数などの実験パラメータに依存する。当業者は、適切な細胞培養容器を容易に決定して採用することができる。
実施形態では、培養容器の可能性としては、限定されるものではないが、キュベット、6ウェルプレート、24ウェルプレート、48ウェルプレートおよび96ウェルプレートなどの培養プレート、培養皿、マイクロチップ、1リットル以上のバイオリアクター、細胞培養フラスコ、ローラーボトル、培養チューブ、培養バイアル、例えば3、4または5mLのバイアル、フレキシブルバッグなどが挙げられる。本開示は、任意のタイプの容器を培養容器として使用することができることを教示する。
一実施形態では、細胞培養はバイオリアクター槽(いわゆる容器)内で行われ、培養物は攪拌(振盪の代わりに)により混合される。攪拌槽型バイオリアクターは、異なるサイズ(数ミリリットルから数千リットルまでの培養に合わせて)になる。
いくつかの実施形態では、攪拌槽型バイオリアクターを本開示のミニセル生産に使用することができる。かかるバイオリアクターは、制御されたバイオプロセスシステムによって実行され、一方、振盪器またはインキュベータは、無制御のバイオプロセスシステムによって実行される。
本明細書で使用する場合、「無制御のバイオプロセスシステム」とは、培養または発酵/培養パラメータ(pH、温度、溶存酸素、空気流量、供給速度、増殖速度など)が、バイオプロセス全体にわたって所望の設定点に制御および維持することができないバイオプロセスシステムを指す。細胞培養または生体材料生産のための振盪器またはインキュベータは、無制御のバイオプロセスシステムの一例である。これらの発酵培養パラメータは、振盪器またはインキュベータシステムにおいて制御することができない。
本明細書で使用する場合、「制御されたバイオプロセスシステム」とは、培養または発酵パラメータ(pH、温度、溶存酸素、空気流量、および供給速度など)が、バイオプロセス全体にわたってセンサにより、所望の設定点で該パラメータを継続的に監視しかつ一貫して維持することによって制御される、バイオプロセスシステムを指す。細胞培養のためのバイオリアクターまたは発酵槽は、制御されたバイオプロセスシステムの一例である。
本明細書で使用する場合、「制御された連続式バイオプロセス」とは、バッチの約5%~約95%のミニセルの部分収穫によって連続的に実行され、次いで、発酵を継続するために培地が補充されるというバイオプロセスを指す。本開示は、制御されたバイオプロセスに関与する溶解工程が存在しないので、制御されたバイオプロセスシステムがミニセル生産のために連続的に実行され得ることを教示している。すなわち、制御されたバイオプロセスがバイオリアクターのバッチ内で継続している間に、ミニセルがバッチから部分的に収穫され、さらなる工程で精製される。
本開示は、本明細書に記載のバイオプロセスシステムが、無染色体ミニセルの集団を連続的に産生することができる、制御された連続式バイオプロセスシステムであることを教示している。いくつかの実施形態では、産生されたミニセルは、バイオプロセスシステムが連続的に実行されている間に部分的に収穫されて、無染色体ミニセルの別の集団を生成する。いくつかの実施形態では、前記ミニセルは、バイオリアクター中の全細胞の約1%~約99%、約2%~約98%、約3%~約97%、約4%~約95%、約5%~約90%が部分的に収穫される。
バイオリアクターは、培養物混合によって細胞または微生物の増殖のための最適な環境条件の構築を可能にする。バイオリアクターでは、培養物が羽根車(インペラー)で攪拌される。本開示は、細菌細胞培養物が常時混合されることを教示する。
培地の温度は、温度センサを用いて連続的に監視することにより制御される。容器は、通常、サーモウェル内に配置され、加熱ブランケットによって包まれ、またはウォータージャケットを有する。実施形態では、本開示の制御されたバイオプロセスシステムにおいて、温度は、約10℃~約70℃、約15℃~約60℃、約20℃~約50℃、約25℃~約40℃、または約30℃~約37℃の間で制御することができる。さらなる実施形態では、本開示の制御されたバイオプロセスシステムでは、約15℃~約45℃の間で温度を制御することができる。
振盪器またはインキュベータとは異なり、バイオリアクターでは、通常は空気または純粋酸素(例えば、圧縮空気シリンダから入る)が培養物に導入される。酸素は培養物の増殖に重要であり、培地中に溶存する酸素の量(溶存酸素濃度、DO)がDOセンサで連続的に測定される。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、DOを設定点に維持するように設定される。実施形態では、所与の培地に溶解した酸素である溶存酸素(DO)は、本開示の制御されたバイオプロセスシステムにおいて、0%~100%、約1%~約99%、約2%~約98%、約3%~約97%、約4%~約96%、または約5%~約95%の間で制御することができる。
いくつかの実施形態では、撹拌、ガス流量および酸素濃度の最小値と最大値は、生物およびプロセスの要求に応じて最適化することができる。いくつかの実施形態では、攪拌は、本開示の制御されたバイオプロセスシステムにおいて、約50~約10,000rpm、または約100~約9,000rpm、または約200~約8000rpmの間で制御することができる。実施形態では、空気流量は、本開示の制御されたバイオプロセスシステムにおいて約0.1~約20標準リットル毎分(SLPM)、約0.5~約15SLPM、または約1~約10SLPMの間で制御することができる。いくつかの実施形態では、制御されたバイオプロセスシステムに供給される酸素は、本開示の制御されたバイオプロセスシステムにおいて、0%~100%、約1%~約99%、約2%~約98%、約3%~約97%、約4%~約96%、または約5%~約95%の間で制御することができる。
いくつかの実施形態では、酸素は、定義された値または範囲を維持するようにシステムに供給される。さらなる実施形態では、酸素は培地に溶解され、溶存酸素(DO)の設定レベルが維持され、増殖または発酵のための細菌による消費に利用可能である。
バイオリアクターでは、pHセンサを用いて培地pHが連続的に測定され、必要に応じてCOが添加される。バイオリアクター内での微生物培養には、pH調整のために塩基性および酸性溶液が一般的に使用される。これは、通常、培養pHが制御されていない、振盪フラスコ中での培養とは異なる。実施形態では、本開示の制御されたバイオプロセスシステムにおいて、pHを2~11または3~10の間で制御することができる。
設定点におけるパラメータの制御。バイオリアクターでは、異なる構成成分および制御ソフトウェアが共同機能して、所望の設定点におけるpH、温度、および溶存酸素を制御する。パラメータは、pH、温度、およびDOセンサを使用して常時測定される。センサが情報をバイオプロセス制御ソフトウェアに送信し、バイオプロセス制御ソフトウェアが、COおよび液体pH剤の添加、テンパリング(tempering)装置のアクティビティ、撹拌、並びに空気および/またはOでのガス処理を調整する。
バイオリアクターは、生物および用途に応じて、数時間、数日、または数週間持続しうる、特定の実験または生産工程のために使用される。実施形態では、発酵期間の長さは、本開示の制御されたバイオプロセスシステムにおいて、12時間~200時間または16時間~150時間の間で制御することができる。
バイオプロセス工程は、典型的には以下の工程を含む:
(1)前培養:バイオリアクター内の培地に前培養物を接種する。前培養物は、振盪器もしくはインキュベータ内で、またはより小型のバイオリアクター内で増殖させることができ、より大型のバイオリアクターへの接種のため前培養物を増殖させることができる;(2)バイオリアクターの準備:バイオリアクターは、接種材料の調製と並行して準備される。準備は、バイオリアクター、供給ライン、およびセンサの滅菌;バイオリアクターへの培地添加;バイオプロセス制御ステーションとバイオリアクターの接続;およびバイオプロセス制御ソフトウェアにおけるプロセスパラメータ設定点の定義づけを含む;(3)接種:培地をバイオリアクターに接種する;(4)培養期間(誘導期、指数増殖期、固定期、定常増殖期):培養サンプルを採取して、バイオマスおよび代謝産物の濃度を分析する。最終的に、培養物は、栄養溶液を添加することによって供給される;(5)培養物収穫:固定増殖期に到達した時点で培養物が採取される;(6)下流プロセス:培養ブロスをさらに処理し、限定されるものではないが、培養ブロスからの細胞のバッチを、ディスクスタック遠心分離によって精製することができる。精製物を濃縮のために濾過することができる。精製された細胞のバッチは、濃縮のためにろ過することができ(細胞のサイズ、長さまたは直径などに従って)、次いで、液体濃縮物として保存するか、または凍結乾燥、真空乾燥、もしくは加熱乾燥を介して、粉末へと濃縮または乾燥させることができる;(7)バイオリアクターのクリーニング:バイオリアクターを滅菌して培養残渣を不活化し、清浄化することができる。UlrikeRasche.InternationalBioPharm:bioprocessingbasics、2020年6月エッペンドフル社HP(eppendorf.com/product-media/doc/en/897339/Fermentors-Bioreactors_Publication_Bioprocess_Bioprocessing-basics.pdf)を参照されたい。
本開示は、(a)最少培地を含むバイオリアクター設定に少なくとも1つの細菌細胞株を導入する工程と、(b)前記細菌細胞株を(a)から培養して、前記バイオリアクター設定における無染色体ミニセルの集団を産生する工程とを含む、バイプロセス方法を教示する。この方法の実施形態では、前記細菌細胞株は、ミニ細胞産生細菌細胞株である。本方法の実施形態では、(c)工程(b)から、前記細菌細胞と、新たに産生されたミニセルの集団とを含む細胞のバッチを収穫する工程;(d)前記細胞のバッチを精製する工程;(e)前記無染色体ミニセルの集団を、前記細胞のバッチから濾過または選別する工程、および(f)前記ミニセルを濃縮する工程、から製造される。ある実施形態では、精製は、ディスクスタック遠心分離によって実行される。ある実施形態では、濃縮されたミニセルは、液体形態または粉末形態として保存される。ある実施形態では、前記粉末形態は、前記濃縮されたミニセルの凍結乾燥、真空乾燥、または加熱乾燥によって調製される。
なお、上述したバイオプロセスシステムは、細胞培養に限定されない。本開示は、バイオプロセスシステムが、条件を最適化し、パラメータを決定しそして/または比較研究を行うために、ミニセル生産に並行して利用されることを教示する。
いくつかの実施形態では、ミニセル生産のためのバイオプロセスシステムは、大量のミニセルを培養するために使用される。
本開示は、バイオリアクターが、より高い培養密度を可能にすることができるのに対し、フラスコおよび培養皿内での細胞増殖は、それ以上増加することなく、固定期に到達することを教示している。
いくつかの実施形態では、栄養素、酸素、および温度制御などの成長調節因子を、バイオリアクター中の微生物細胞培養物にさらに供給することができる。バイオリアクターでは、空気または純粋酸素をガス注入により供給することができ、これは、振盪または攪拌のみよりも効率的である。栄養素が限界になると、生育は停止する。バイオリアクター中の培養物は、当該システムの一体化型ポンプを使用して供給液を添加することによって、極めて容易にかつ自動的に供給することができる。
細胞株または微生物株に応じて、他のパラメータは、例えば、培地のpH、代謝産物の濃度、酸化還元電位、および機械力など、培養物の増殖および/または生産物の形成のために重要であり得る。バイオリアクターは、培養条件を最適化するための有用なツールである。
本開示は、制御されたバイオプロセスシステム内のバイオリアクターが、再現性を高めることができることを教示する。バイオリアクターでは、センサを使用して、pH、温度、および溶存酸素などのプロセスパラメータを常時測定することができる。センサは、バイオプロセス制御ソフトウェアに情報を送信し、バイオプロセス制御ソフトウェアが、ポンプ、テンパリング装置、および気体注入装置のようなアクチュエータの動作を調整し、パラメータを設定点に維持する。プロセス値のモニタリング、制御、および記録は、培養物の増殖、生産物の形成、製品特性、および追加のものの再現性を増加させるのを助ける。いくつかの実施形態では、制御されたバイオプロセスシステム内のバイオリアクターは、親細菌細胞から産生されるミニセルの再現性を増加させることができる。
温度、培地pH、DO、代謝産物濃度、機械力、および培地組成を含むバイオプロセスパラメータは、培養物の増殖および生産物の収率(すなわち、ミニセル収率)に影響を与え得る。プロセスパラメータは、細胞生存率、細胞挙動、および分化に影響を及ぼす。バイオプロセスでは、温度、pHおよびDOは、日常的に監視および制御される。UlrikeRasche.InternationalBioPharm:bioprocessingbasics、2020年6月を参照のこと。
本開示は、(a)少なくとも1つのバイオリアクターと、(b)ミニセル生産のための最少培地と、(c)無染色体ミニセルの集団を生産することができる少なくとも1つの細菌細胞株とを含む、ミニセル生産のためのバイオプロセスシステムを教示する。
実施形態では、最少培地は、例えばLBまたはTBのような栄養豊富な複合培地と比較すると、微量金属およびビタミン類などの他の成分の量が少ない、費用効果の高い炭素源と窒素源を使用することによって、商業的に拡張可能である。最少培地は、バイオリアクターまたは発酵槽を使用する制御されたバイオプロセスシステムにおいて使用され、複合培地は、振盪器またはインキュベータを使用する無制御のバイオプロセスシステムにおいて使用される。
本明細書で使用されるように、ミニセル産生細胞は、無染色体ミニセルの集団(すなわちミニセル)を産生することができる細胞株を指す。いくつかの実施形態では、ミニセル産生菌細胞とは、無染色体ミニセルの集団(すなわちミニセル)を産生することができる細菌細胞を指す。
バイオプロセスシステムのいくつかの実施形態では、前記バイオリアクターは、前記ミニセルの前記集団を提供するように構成された連続式バイオプロセスを維持するように配置される。
バイオプロセスシステムのさらなる実施形態では、バイオプロセスシステムにおけるミニセル生産収率は、無制御のバイオプロセスシステムにおけるミニセル生産収率の少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍高い。
いくつかの実施形態では、無制御のバイオプロセスシステムは、インキュベータシステムまたは振盪フラスコシステムである。
いくつかの実施形態では、前記ミニセルのサイズ範囲は、約100~約900nm、約150~約800nm、約200~約700nm、または約250~約650nmである。
いくつかの実施形態では、バイオプロセス後のミニセル比は、バイオリアクター中の総細胞数の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%である。
ミニセル生産のための細胞培養または発酵パラメータ
この高い生産収率を付与するミニセル生産株と組み合わされたバイオリアクターにおいて一様に制御される、成長速度、栄養素供給、バイオマス密度、および一般原理を、ここで開示することにする。
ミニセル生産は、定義されたパラメータの範囲内でミニセル生産が観察されるため、細胞増殖よりも生体分子(タンパク質など)の生産に類似しており、一方、表1に示されるような適切なパラメータ(温度、溶存酸素、撹拌、空気流量など)の範囲内ではない場合には、ミニセル生産を伴わずに、構成的ミニセル産生細胞株において細胞増殖が起こり得る。
Figure 2024504510000002
本開示は、(a)少なくとも1つのバイオリアクターと、(b)ミニセル生産のための最少培地と、(c)無染色体ミニセルの集団を生産することができる少なくとも1つの細菌細胞株とを含む、ミニセル生産のためのバイオプロセスシステムを教示する。
バイオプロセスシステムのいくつかの実施形態では、バイオリアクターは、供給速度、温度、成分、溶存酸素、撹拌速度、空気流量、酸素、pH、接種材(種菌)、および発酵期間の長さから成る群より選択される発酵パラメータで設定される。
ある実施形態では、前記供給速度は0~約10mL/分/Lであり、前記温度は約10℃~約70℃である。ある実施形態では、前記成分は、炭素源、微量金属、ビタミン、緩衝剤、窒素源、消泡剤、追加の成長促進成分を含む。ある実施形態では、前記溶存酸素は0~100%である。ある実施形態では、前記撹拌速度は約50~約10,000rpmである。ある実施形態では、前記空気流量は約0.1~約20リットル毎分(SLPM)である。ある実施形態では、前記酸素は0~100%である。ある実施形態では、前記pHは約3~約10である。ある実施形態では、前記接種材は約0.1~約20%である。ある実施形態では、前記発酵時間の長さは、約12~約200時間である。いくつかの実施形態では、前記炭素源は、グリセロールまたはグルコースである。
ミニセル生産は、栄養要求性および原栄養性ミニセル生産株を評価することによって分析される。いずれのタイプのミニセル生産株とも、表1に記載されたパラメータに基づいてバイオリアクター内で一度増殖させたミニセル生産において、予想できない増加を示す。原栄養性株は、バイオリアクター設定で、より多くのミニセルを産生する。
本開示は、栄養要求性株を修正、改変、変異、または遺伝子操作することができることを教示する。栄養要求性が修正された株は、一定のバイオリアクター条件下で増殖させたときに反応する。いくつかの実施形態では、栄養要求性が修正された株は、発酵パラメータにより増殖させることができる。本開示は、原栄養性株のみならず、栄養要求性が修正、改変、変異、または遺伝子操作された株からも、所与の条件下で、ミニセル生産の有意な増加が観察されることを提供する。
栄養要求体と原栄養体とは二者択一的な表現型である。栄養要求体は、それらの生育に要求される特定の有機化合物を生産することができない生物であり、原栄養体は、それらの生育に必要な全ての有機化合物を無機化合物から合成することができる生物体である。
いくつかの実施形態では、ミニセル産生細菌細胞株は、栄養要求性株とすることができる。他の実施形態では、ミニセル産生細菌細胞株は、その独立栄養性が修正された栄養要求性株とすることができる。修正または軽減された栄養要求性形質は、栄養要求性形質に関連する遺伝子に対する遺伝子修飾、突然変異または遺伝子/ゲノム編集技術から、得ることができる。
いくつかの実施形態では、ミニセル産生菌細胞株は、原栄養性株とすることができる。
いくつかの実施形態では、ミニセル産生菌はグラム陰性菌である。グラム陰性菌は、大腸菌(Escherichiacoli)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonellatyphimurium)を含むサルモネラ属菌、シゲラ・フレクスネリ(Shigellaflexneri)を含むシゲラ属菌、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonasaeruginosa)を含むシュードモナス属菌、アグロバクテリウム属、カンピロバクター・イエユニ(Campylobacterjejuni)、ラクトバチルス属菌、ナイセリア・ゴノロエ(Neisseriagonorrhoeae)、およびレジオネラ・ニューモフィラ(Legionellapneumophila)を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、ミニセル産生グラム陰性菌は、細胞分裂および/または染色体分割に関連する内因性または外因性突然変異によって自然に引き起こされたミニセルを産生することができる。いくつかの実施形態では、ミニセル産生細菌は、細胞分裂および/または染色体分割に関与する内因性または外因性遺伝子を含み、ここで、該遺伝子は、対応する野生型遺伝子と比較して、相同組換えによって遺伝的に改変されている。いくつかの実施形態では、ミニセル産生グラム陰性菌は、プロテアーゼおよび/またはその活性が、自然におよび/または遺伝子工学的技術によって欠損している。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ欠損ミニセル産生グラム陰性菌は、本開示に記載された目的のタンパク質に関与する1つ以上の遺伝子を含む組換え発現ベクターを含有している。
いくつかの実施形態では、ミニセル産生菌細胞株は、大腸菌属、サルモネラ属、シゲラ属、シュードモナス属、およびアグロバクテリウム属から成る群より選択される細菌属に由来する。さらなる実施形態では、ミニセル産生菌細胞株は、大腸菌、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonellatyphimurium)、シゲラ・フレクスネリ(Shigellaflexneri)、およびシュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonasaeruginosa)から成る群より選択される細菌種から誘導される。
いくつかの実施形態では、ミニセル産生菌細胞株(例えばR1、P8-T7、およびP826株)は、いくつかの実施形態では、BL21およびP678-54などの商業的に入手可能な株から誘導される様々な株である。いくつかの実施形態では、ミニセル産生菌細胞株(例えばR1、P8-T7、およびP826株)は、BL21およびP678-54のような市販の菌株の遺伝的修飾、自然突然変異または人工的に誘導された突然変異、遺伝子操作、または遺伝子/ゲノム編集技術によって生成された様々な菌株である。
いくつかの実施形態では、ミニセル産生菌はグラム陽性菌であり得る。グラム陽性細菌としては、限定されるものではないが、バチルス・スブチリス(Bacillussubtilis;枯草菌)、バチルス・セレウス(Bacilluscereus;セレウス菌)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacteriumglutamicum;コリネ型グルタミン酸産生菌)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillusacidophilus;アシドフィルス菌)、スタフィロコッカス種(Staphylococcusspp)、またはストレプトコッカス種(Streptococcusspp.)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ミニセル産生グラム陽性菌は、細胞分裂および/または染色体分割に関連した内因性または外因性突然変異によって、自然に引き起こされたミニセルを産生する。いくつかの実施形態では、ミニセル産生グラム陽性菌は、細胞分裂および/または染色体分割に関連する内因性または外因性遺伝子を含み、ここで、該遺伝子は、対応する野生型遺伝子と比較して、相同組換えによって遺伝的に改変されている。いくつかの実施形態では、ミニセル産生グラム陽性菌は、プロテアーゼおよび/またはその活性が、自然におよび/または遺伝子工学的技術によって欠損している。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ欠損ミニセル産生グラム陽性菌は、本明細書に開示された目的タンパク質に関与する1つ以上の遺伝子を含む組換え発現ベクターを含有している。
いくつかの実施形態では、ミニセル産生菌細胞株は、バチルス属、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)およびラクトバチルス属(Lactobacillus)から成る群より選択される菌属に由来する。さらなる実施形態では、ミニセル産生菌細胞株は、バチルス・スブチリス(Bacillussubtilis;枯草菌)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacteriumglutamicum;コリネ型グルタミン酸産生菌)、およびラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillusacidophilus;アシドフィルス菌)から成る群より選択される細菌種から誘導される。
本開示は、(a)少なくとも1つのバイオリアクターと、(b)ミニセル生産のための最少培地と、(c)無核化ミニセルの集団を生産することができる少なくとも1つの細菌細胞株とを含む、ミニセル生産のためのバイオプロセスシステムを教示する。
バイオプロセスのための方法
本開示は、(a)最少培地を含むバイオリアクター設定に少なくとも1つの細菌細胞株を導入する工程と、(b)前記細菌細胞株を(a)から培養して、前記バイオリアクター設定において無核化ミニセルの集団を生産する工程と、を含むバイオプロセス方法を教示する。この方法の実施形態では、前記細菌細胞株は、ミニセル産生菌細胞株である。当該方法の実施形態では、無核化ミニセルの集団は、工程(b)から製造される。当該方法の実施形態では、バイオリアクター設定は、供給速度、温度、成分、溶存酸素、撹拌速度、空気流量、酸素、pH、接種材(種菌)、および発酵時間の長さの群より選択される発酵パラメータで構成される。前記方法の実施形態では、前記バイオプロセスにおける前記ミニセルの生産収率は、無制御のバイオプロセスにおけるミニセル生産収率よりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍高い。
いくつかの実施形態では、当該方法は、(c)工程(b)から、前記細菌細胞と、新しく産生されたミニセルの集団とを含む細胞のバッチを収穫する工程;(d)前記細胞のバッチを精製する工程;(e)前記細胞のバッチから前記無染色体ミニセルの集団を濾過または選別する工程;および(f)前記ミニセルを濃縮する工程、を含む。
ある実施形態では、前記精製は、ディスクスタック遠心分離によって実行される。ある実施形態では、前記濃縮されたミニセルは、液体形態または粉末形態として保存される。ある実施形態では、前記粉末形態は、前記濃縮ミニ細胞の凍結乾燥、真空乾燥、または加熱乾燥によって調製される。
実施形態では、前記バイオプロセスは、制御された連続式バイオプロセスであり、このバイオプロセスは、連続的に非染色体ミニセルの集団を生産することができる。ある実施形態では、生産されたミニセルは、部分的に収穫され、バイオプロセスシステムが連続的に実行され、非染色体ミニセルの別の集団を生産する。ある実施形態では、前記ミニセルは、前記バイオリアクター中の全細胞の約5%から約90%まで部分的に収穫される。
前記方法の実施形態では、前記供給速度は、0~約10mL/分/Lである。前記方法の実施形態では、前記温度は約10℃~約70℃である。前記方法の実施形態では、前記成分は、炭素源、微量金属、ビタミン、緩衝剤、窒素源、消泡剤、追加の成長促進成分を含む。該方法の実施形態では、前記溶存酸素は0~100%である。該方法の実施形態では、撹拌速度は約50~約10,000rpmである。該方法の実施形態では、空気流量は、約0.1~約20標準リットル毎分(SLPM)である。該方法の実施形態では、前記酸素は0~100%である。前記方法の実施形態では、前記pHは約3~約10である。前記方法の実施形態では、前記接種材は約0.1~約20%である。該方法の実施形態では、前記発酵時間の長さは約12~約200時間である。該方法の実施形態では、前記ミニセルは、長さが約150nm~約950nmである。該方法の実施形態では、前記炭素源はグリセロールまたはグルコースである。該方法の実施形態では、前記無制御のバイオプロセスは、インキュベータの設定または振盪フラスコの設定である
この方法の実施形態では、前記ミニセルは、農業用薬剤を内包化することができる。実施形態においては、前記農業用薬剤は、農薬化合物または生物活性化合物である。実施形態では、前記農薬化合物は、殺有害生物剤(pesticide)、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、肥料およびホルモンまたは化学成長物質からなる群より選択される。実施形態では、生物活性化合物は、核酸、ペプチド、タンパク質、精油、およびそれらの組み合わせから選択される。実施形態では、核酸は、アンチセンス核酸、二本鎖RNA(dsRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、アプタマー、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される。実施形態では、精油はゲラニオール、オイゲノール、ゲニステイン、カーバクロル、チモール、およびゲニステイン、ピレトリンまたはカルバクロールを含む。実施形態では、前記ミニセルのサイズ範囲は、約100~約900nm、約150~約800nm、約200~約700nm、または約250~約650nmである。
実施形態においては、バイオプロセス後のミニセル比は、バイオリアクター中の全細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%である。
本開示は、本明細書に記載の方法によって生産されたミニセルを教示する。いくつかの実施形態では、前記ミニセルは、前記バイオプロセス設定において、無制御のバイオプロセスシステムでのミニセル生産効率よりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、または少なくとも1.5倍高い生産収率で生産される。いくつかの実施形態では、発酵パラメータが表1に列挙される。
以下の実施例は、本開示の様々な実施形態を例示するために与えられ、任意の様式で本開示を限定することを意図していない。特許請求の範囲によって定義されるように、本開示の精神の範囲内に包含されるその変更および他の使用は、当業者に想定されるであろう。
実施例1―株P678-54からの株P6の作製
大腸菌株P678-54は、本発明者らが行った実験に従って栄養要求性であった。Adler他、Geneticcontrolofcelldivisioninbacteria、154、Science417(1966)およびAdler他(前記Adler1966によっても裏付けられる)、MiniatureEscherichiacolicellsdedicientinDNA、57Proc.Nat.Acad.Sci.(Wash.)321(1967)を参照されたい。配列決定分析に基づいて、大腸菌株MG1655に対する、株P678-54のゲノムに栄養要求性変異が観察された。
株P678-54のゲノムは、栄養要求性を緩和するために栄養要求性形質に関連する遺伝子にある突然変異を修正するように改変された。標的遺伝子を同時に修正するために、当技術分野で周知である天然の指向性進化法または遺伝子/ゲノム編集技術を使用することができる。
突然変異をDNA配列決定で確認し、ロイシンおよび/またはトレオニンを含有または不含有の最少培地上で平板培養することによって栄養要求性を試験した。
修正された栄養要求性をもつ、新たな株(P6)をP678-54から作製した。マイナーな遺伝子修飾を有するP6*を、R1を含む他のミニセル産生株のようにミニセル産生株として使用した。
P6株は、高レベルのミニセルを生産することができ、限定されたバイオリアクタ培地レシピで増殖させることができる。上述したP6株には栄養要求性が固定されているので、その拡張可能な増殖と高いミニセル収率が達成される。遺伝子操作されたP6株は、成分既知培地での増殖を可能にし、費用効果の高い拡張可能なミニセル生産を可能にする。
実施例2―無制御のバイオプロセスシステムにおけるミニセル生産
無制御のバイオプロセスシステム(すなわち、発酵/培養パラメータを制御することができなかった振盪フラスコシステムは、精密に制御されない)において、ミニセル生産収率を理解するために、実施例1に記載されているようなミニセルを産生することができる親細菌株P6の集団を、振盪フラスコシステム内の成分未知の(undefined)LB、TB、または類似の複合培地に接種した。この株を16時間インキュベートし、接種後1時間、2時間、3時間、16時間でミニセル生産収率を観察した。この温度を振盪フラスコ系で37℃に設定した。この例では、経時的ミニセル生産収率は4つの独立した試験についての平均であり、各時点で平均化される。
図1A~1Dは、成分未知(undefined)の複合LB培地、TB培地または類似の複合培地で37℃で1時間(図1A)、2時間(図1B)、3時間(図1C)、および16時間(図1D)増殖させた、無制御のバイオプロセス(振盪フラスコシステム)におけるミニセル生産の時間経過を示す。新たに生産されたミニ細胞集団は、ミニセルを捕捉する約0.5μmの位置で第1のピークとして検出され、細菌株P6は、親細菌細胞を捕捉する>1μmの位置で第2のピークとして検出された。データはn=4回複製された実験。ミニセル比(%)は、異なるインキュベーション時間(1時間;2時間;3時間;および16時間)からの、全対象物(ミニセルと親細菌細胞の両方)あたりの総ミニセルの割合(%)によって計算される。この実施例は、図1Eに示されるように、振盪器を使用する無制御のバイオプロセスシステムを利用した場合に、平均ミニセル比が40%未満であることを実証している。
実施例3―制御されたバイオプロセスシステムにおけるミニセル生産
制御されたバイオプロセスシステム(すなわち、発酵/培養パラメータが精密に制御され、一定に維持されたバイオリアクター/発酵槽システム)において、増強されたミニセル生産収率を試験するために、ミニ細胞を生産することができる親細菌株P6の集団を、バイオリアクター/発酵槽システム内の成分既知最少培地に接種した。バイオリアクター/発酵器システムは、表1に示すミニセル生産のための発酵パラメータが設定された。ミニセル生産収率は、親細菌株を接種した後36時間目に観察した。バイオリアクター/発酵槽システムでは、温度を37℃に設定した。
独立した4つの制御されたバイオプロセスから、異なる日にミニセル生産を測定した;試行1(図2A)、試行2(図2B)、試行3(図2C)、および試行4(図2D)。図2A~2Dは、37℃で最少培地中で増殖させた、制御された生物プロセス(バイオリアクター/発酵槽システム)におけるP6*細菌株からのミニセル生産についての4つの独立の実験を示す。図2A~2Dにおいて、第一のピークはミニセルを捕捉する~0.5μMで観察され、第二のピークは親細菌細胞を捕捉する>1μmで観察される。n=4回の複製試験からのデータが図2A~2Dに表示される。ミニセル比(%)は、発酵時間の終了時点(すなわち、36時間)における全対象物(ミニセルと親細菌細胞の両方)当たりの全ミニセルの百分率によって計算される。この例は、図2Eに示されるように、異なる時点で平均ミニセル比が>65%であることを実証している。
4つの独立した制御されたバイオプロセス試験(図2E)からのこれらのデータ点は、無制御のバイオプロセス試験(図1E)におけるミニセル生産と比較した場合、一貫したミニセル生産の増強を示した。制御されたバイオプロセスシステム(図2A~2E)におけるミニセル生産収率は、無制御のバイオプロセスシステム(図1A~1E)におけるミニセル生産収率よりも少なくとも1.5倍高いことを示した。
実施例4―制御されたバイオプロセスシステムにおける発酵パラメータの変動の影響
様々なパラメータがどのようにミニセル生産に影響を及ぼすかを理解するために、様々な範囲の発酵パラメータを試験した。12種の個々のバイオリアクター試験(BR1~12)を、制御されたバイオプロセスシステム内で、酸素移動(図4A)、気流(VVM)(図4B)、および酸素(O)供給量(図4C)といった発酵パラメータの組み合わせを用いて実施した。OURは、細胞がどのくらい速く増殖しているかの指標である、酸素取込み速度である。MaxOD583は、消費された最大バイオマスP6株の尺度である。全12回の試験について最少培地における炭素源はグリセロールであった。
図3は、制御されたバイオプロセスシステムの様々なパラメータ、例えばOUR、VVMおよびOの組み合わせにおける、増強されたミニセル生産(約63%~約89%)を示す。また、バイオマスに関連する他の出力(MaxOD583およびMaxOD583の時点)も、制御されたバイオプロセス設定において12反復の個々のミニセル生産において観察された。酸素の「0(ゼロ)」は、バイオリアクター内の通常の空気以外に供給される追加の酸素がないことを意味し、酸素の「1」は、通常の空気中のOレベルを富化するための酸素の補充を意味する。図3のデータは、様々なバイオプロセス制御パラメータの組合せにおいて、ミニセル生産効率が>63%であることを示す。パラメータ変数は、高度に相互関連している。
この実験は、図3で定義された発酵パラメータにおいて、ミニセル生産が増強されることを示している。しかし、増強されたミニセル生産は、バイオマス生産の増強(MaxOD583)に必ずしも相関するわけではない。従って、本明細書で説明される増強されたミニセル生産のための制御されたバイオプロセスは、もっぱらバイオマス生産のための制御されたバイオプロセスとは区別され、異なるものである。
図4A~4Cは、ミニセル生産に関する様々なパラメータの影響を示す。酸素の移動/取込み(パラメータOURにより測定される)対ミニセル生産収率(図4A)、気流(VVM)対ミニセル生産収率(図4B)、および酸素(O)の供給量対ミニセル生産収率(図4C)。これらのデータは、増加した酸素移動(OURによって測定される)が、増強されたミニセル生産と正の相関関係を有することを示す。しかしながら、VVMは、OURほどに強くはミニセル生産(%)と相関していない。
実施例5-制御されたバイオプロセスシステムにおける温度の影響
制御されたバイオプロセスシステムにおいて、温度がミニセル生産に影響を及ぼすかどうかを試験するために、異なる温度設定(15℃~45℃)を株P826に対して設定して、ミニセルを生産した。
図5は、ミニセル比が温度に基づいて変化し、そしてミニセル生産収率が約18℃から約30℃~37℃まで上昇することを示す。
他のミニセル生産株(P826)からのミニセル生産収率を比較するために、複合培地中のP826株を接種して、無制御の振盪フラスコシステムにおいてミニセル生産のために25℃でインキュベートした(図6A)。一方で、最少培地におけるP826株を、pH6.7および約30%のDOで、制御されたバイオリアクターシステムでのミニセル生産のために25℃で接種し、培養した(図6B)。図6Aは、ミニセル(1番目のピーク)が、親のP826細胞(2番目のピーク)の1/3未満に比例して生産されたことを示し、一方、図6Bは、親P826細胞(2番目のピーク)に対するミニセル(1番目のピーク)の約1:1の比(または0.8:1の比)を示す。また、図6Bの生産されたミニセルの量は、図6Aの場合と比較して少なくとも8倍である。図6Aは、ミニセル比が総細胞数(ミニセルおよび親P826細胞)から25%未満少ないことを示す。一方で図6Bは、発酵パラメータの限定範囲内での制御されたバイオプロセスシステムにおいて、増強されたミニセル生産(少なくとも45%のミニセル比)を示す。
図6C~6Dは、35℃に設定された温度以外は同じ実験設定を有しており、同様のミニセル生成パターンを示す。図6Cは、ミニセル(1番目のピーク)が、親のP826細胞(2番目のピーク)の約半分に比例して生産されたことを示す。図6Dは、ミニセル(1番目のピーク)と親のP826細胞(2番目のピーク)が約1:1の比(または0.9:1の比)で生産されたことを示す。また、図6Dのミニセルの生産量は、図6Cの生産量の少なくとも8倍である。図6Cは、ミニセル比が全細胞の33%未満であることを示すが、図6Dは、規定された発酵パラメータの範囲内での制御されたバイオプロセスシステムにおいて、ミニセル生産の増強(少なくとも45%のミニセル比)を示す。
図6Bおよび図6Dは、図6Aおよび図6Cと比較して、制御されたバイオプロセスシステムにおいて、表1に列挙された制御パラメータを使用することにより、ミニセル生産が強化されたことを実証する。
実施例6―限定された発酵パラメータを有する制御されたバイオプロセスシステムにおける、生体分子を発現する細菌株からのミニセル生産
生体分子(RNA/タンパク質/代謝産物)発現株からのミニセル生産は、表1の限定範囲内で、制御されたバイオプロセスシステムにおいて試験された。別個の少なくとも1つの構築物も担持している二本鎖RNAを発現する2つのミニセル産生細胞株(P8-T7およびR1細菌株)が、制御されたバイオプロセスシステムにおけるミニセル生産の効率を検査するために使用された。図7A~7Dは、表1に列挙された定義されたパラメータを有する、制御されたバイオプロセスシステムにおいて、異なる構築物を担持する4つの個々の菌株からの増強されたミニセル生産を示す。ミニセル生産は全細胞の少なくとも50%(図7A)、全細胞の少なくとも40%(図7B)、全細胞の少なくとも65%(図7C)、および全細胞の少なくとも60%(図7D)である。
対照として、昆虫を防除するdsRNAを発現する構築物を担持しているR1株のうちの1つを、制御されたバイオプロセスシステムにおけるミニセル生産効率について試験したが、定義されたパラメータの外(すなわち、表1に列挙されている定義されたパラメータの範囲外であって、制御されていない)であった。図7Eは、前記株からのミニセル生産が有意に低い(全細胞の約25%以下)であることを示す。
これらのデータは、表1の定義されたパラメータが、制御されたバイオプロセスシステムにおいても、より高い収率を提供することを示す。
番号付けされた本開示の実施形態
添付の特許請求の範囲にもかかわらず、本開示は、以下の番号付実施形態を記載する。
1.ミニセル生産のためのバイオプロセスシステムであって:
(a)少なくとも1つのバイオリアクター;
(b)ミニセル生産のための最少培地;
(c)無染色体ミニセルの集団を生産することができる少なくとも1つの細菌細胞株
を含み、
前記バイオリアクターは、前記無染色体ミニセルの集団を提供するように構成された連続式バイオプロセスを維持するように配置され、
前記バイオリアクターは、供給速度、温度、成分、溶存酸素、撹拌速度、空気流量、酸素、pH、接種材(種菌)、および発酵時間の長さから成る群より選択される発酵パラメータを用いて設定され、
前記バイオプロセスシステムにおけるミニセル生産収率が、無制御のバイオプロセスシステムにおけるミニセル生産収率よりも少なくとも1.1倍高いことを特徴とする、バイオプロセスシステム。
2.前記供給速度が、0~約10mL/分/Lである、実施形態1に記載のバイオプロセスシステム。
3.前記温度が約10℃~約70℃である、実施形態1~2のいずれかに記載のバイオプロセスシステム。
4.前記成分が、炭素源、微量金属、ビタミン、緩衝剤、窒素源、消泡剤、追加の成長促進成分を含む、実施形態1~3のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
5.前記溶存酸素が0~100%である、実施形態1~4のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
6.前記撹拌速度が約50~約10,000rpmである、実施形態1~5のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
7.前記空気流量が約0.1~約20標準リットル毎分(SLPM)である、実施形態1~6のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
8.前記酸素が0~100%である、実施形態1~7のいずれか1に記載のバイオプロセスシステム。
9.前記pHが約3~約10である、実施形態1~8のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
10.前記接種材が約0.1~約20%である、実施形態1~9のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
11.前記発酵時間の長さが、約12~約200時間である、実施形態1~10のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
12.前記ミニセルが、約150nm~約950nmの長さである、実施形態1~11のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
13.前記炭素源がグリセロールまたはグルコースである、実施形態1~12のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
14.前記無制御のバイオプロセスシステムが、インキュベータシステムまたは振盪フラスコシステムである、実施形態1~13のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
15.前記ミニセルが、農薬を内包化することができる、実施形態1~14のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
16.前記農業用薬剤が、農薬化合物または生物活性化合物である、実施形態15に記載のバイオプロセスシステム。
17.前記農薬化合物が、殺有害生物剤(pesticide)、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、肥料、ホルモンまたは化学成長物質からなる群より選択される、実施形態16のバイオプロセスシステム。
18.前記生物活性化合物が、核酸、ペプチド、タンパク質、精油、およびそれらの組み合わせから選択される、実施形態16のバイオプロセスシステム。
19.前記核酸が、アンチセンス核酸、二本鎖RNA(dsRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)、microRNA(miRNA)、リボザイム、アプタマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態18に記載のバイオプロセスシステム。
20.前記精油が、ゲラニオール、オイゲノール、ゲニステイン、カルバクロール、チモール、ピレトラムまたはカルバクロールを含む、実施形態18に記載のバイオプロセスシステム。
21.前記バイオプロセス後のミニセル比が、バイオリアクター中の全細胞の少なくとも40%である、実施形態1~20のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
22.前記バイオプロセスシステムが、無染色体ミニセル集団を生産することができる制御された連続式バイオプロセスシステムである、実施形態1~21のいずれか一に記載のバイオプロセスシステム。
23.生産されたミニセルが部分的に収穫され、同バイオプロセスシステムが連続的に実行されて無染色体ミニセルの別の集団を生産する、実施形態22のバイオプロセスシステム。
24.前記ミニセルが、前記バイオリアクター中の全細胞の約5%から約90%まで部分的に収穫される、実施形態23のバイオプロセスシステム。
25.以下の工程:
(a)最少培地を含むバイオリアクター設定に少なくとも1つの細菌細胞株を導入する工程;
(b)工程(a)から細菌細胞株を培養して、前記バイオリアクター設定において無染色体ミニセルの集団を生産する工程
を含むバイオプロセスを実行する方法であって、
前記細菌細胞株がミニセル産生菌細胞株であり;
前記バイオリアクター設定が、供給速度、温度、成分、溶存酸素、撹拌速度、空気流量、酸素、pH、接種材、および発酵時間の長さから成る群より選択される発酵パラメータで構成され;
前記バイオプロセスにおける前記ミニセルの生産収率が、無制御のバイオプロセスにおけるミニセル生産収率よりも少なくとも1.1倍高いことを特徴とする方法。
26.前記供給速度が0~約10mL/分/Lである、実施形態25に記載の方法。
27.前記温度が約10℃~約70℃である、実施形態25~26のいずれか一に記載の方法。
28.前記成分が、炭素源、微量金属、ビタミン、緩衝剤、窒素源、消泡剤、追加の成長促進成分を含む、実施形態25~27のいずれか一に記載の方法。
29.前記溶存酸素が0~100%である、実施形態25~28のいずれか一に記載の方法。
30.前記撹拌速度が約50~約10,000rpmである、実施形態25~29のいずれか一に記載の方法。
31.前記空気流量が約0.1~約20標準リットル毎分(SLPM)である、実施形態25~30のいずれか一に記載の方法。
32.前記酸素が0~100%である、実施形態25~31のいずれか一に記載の方法。
33.前記pHが約3~約10である、実施形態25~32のいずれか一に記載の方法。
34.前記接種材が約0.1~約20%である、実施形態25~33のいずれか一に記載の方法。
35.前記発酵時間の長さが約12~約200時間である、実施形態25~34のいずれか一に記載の方法。
36.前記ミニセルが長さ約150nm~約950nmである、実施形態25~35のいずれか一に記載の方法。
37.前記炭素源がグリセロールまたはグルコースである、実施形態25~36のいずれか一に記載の方法。
38.前記無制御のバイオプロセスが、インキュベータ設定または振盪フラスコ設定で実行される、実施形態25~37のいずれか一に記載の方法。
39.前記ミニセルが、農業用薬剤を内包化することができる、実施形態25~38のいずれか一に記載の方法。
40.前記農業用薬剤が、農薬化合物または生物活性化合物である、実施形態39に記載の方法。
41.前記農薬化合物が、殺有害生物剤、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、肥料およびホルモンまたは化学成長物質からなる群より選択される、実施形態40に記載の方法。
42.前記生物活性化合物が、核酸、ペプチド、タンパク質、精油、およびそれらの組み合わせから選択される、実施形態40に記載の方法。
43.前記核酸が、アンチセンス核酸、二本鎖RNA(dsRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)、microRNA(miRNA)、リボザイム、アプタマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態42に記載の方法。
44.前記精油がゲラニオール、オイゲノール、ゲニステイン、カルバクロール、チモール、ピレトリン、またはカルバクロールを含む、実施形態42に記載の方法。
45.前記バイオプロセス後のミニセル比が、バイオリアクター中の全細胞の少なくとも40%である、実施形態25~44のいずれか一に記載の方法。
46.以下の工程:
(c)工程(b)から、前記細菌細胞と、新たに産生されたミニセルの集団とを含む、細胞のバッチを収穫する工程;
(d)前記細胞のバッチを精製する工程;
(e)前記細胞のバッチから無染色体ミニセルの前記集団を濾過または選別する工程;および
(f)前記ミニセルを濃縮する工程
を更に含む、実施形態25に記載の方法。
47.前記精製がディスクスタック遠心分離によって実行される、実施形態46に記載の方法。
48.前記濃縮されたミニセルが、液体形態または粉末形態として保存される、実施形態46に記載の方法。
49.前記粉末形態が、前記濃縮されたミニセルの凍結乾燥、真空乾燥、または加熱乾燥によって調製される、実施形態48に記載の方法。
50.前記バイオプロセスが、連続的に無染色体ミニセルの集団を生産することができる制御された連続式バイオプロセスである、実施形態25または46に記載の方法。
51.前記生産されたミニセルが部分的に収穫され、バイオプロセスシステムが連続的に実行されて無染色体ミニセルの別の集団を生産する、実施形態25または46に記載の方法。
52.前記ミニセルが、前記バイオリアクター中の全細胞の約5%から約90%まで部分的に収穫される、実施形態51に記載のバイオプロセスシステム。
53.実施形態25または46の方法によって生産されたミニセル。
54.前記ミニセルが、無制御のバイオプロセス設定におけるミニセル生産よりも少なくとも1.1倍高い前記バイオプロセス設定で生産される、実施形態53に記載のミニセル。
55.前記発酵パラメータが表1に記載されている、実施形態1、25または46に記載の発酵パラメータ。
参照による組込み
本明細書で引用されたすべての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報および特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。しかしながら、本明細書で引用されたいずれの参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報および特許出願の言及も、それらが世界中のどの国においても、有効な先行技術を構成する、または共通の一般知識の一部を構成する、ということの承認としてまたは任意の形態の指示として解釈されず、またそう解釈されるべきではない。
〔特許文献〕
米国特許第3,467,604号明細書
米国特許出願第2012/0016022号明細書
米国特許出願第2012/0016022号明細書
米国特許出願第2016/0174571号明細書
国際特許出願第WO09/013361号パンフレット
国際特許出願第WO2018/201160号パンフレット
国際特許出願第WO2018/201161号パンフレット
国際特許出願第WO2019/060903号パンフレット
国際特許出願第WO2021/133846号パンフレット

Claims (55)

  1. ミニセル生産のためのバイオプロセスシステムであって:
    (a)少なくとも1つのバイオリアクター;
    (b)ミニセル産生のための最少培地;
    (c)無染色体ミニセルの集団を生産することができる少なくとも1つの細菌細胞株
    を含み、
    前記バイオリアクターは、前記無染色体ミニセルの集団を提供するように構成された連続式バイオプロセスを維持するように配置され、
    前記バイオリアクターは、供給速度、温度、成分、溶存酸素、撹拌速度、空気流量、酸素、pH、接種材、および発酵時間の長さから成る群より選択される発酵パラメータを用いて設定され、
    前記バイオプロセスシステムにおけるミニセル生産収率が、無制御のバイオプロセスシステムにおけるミニセル生産収率よりも少なくとも1.1倍高いことを特徴とする、
    バイオプロセスシステム。
  2. 前記供給速度が、0~約10mL/分/Lである、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  3. 前記温度が、約10℃~約70℃である、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  4. 前記成分が、炭素源、微量金属、ビタミン、緩衝剤、窒素源、消泡剤、および追加の成長促進成分を含む、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  5. 前記溶存酸素が0~100%である、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  6. 前記撹拌速度が約50~約10,000rpmである、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  7. 前記空気流量が約0.1~約20標準リットル毎分(SLPM)である、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  8. 前記酸素が0~100%である、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  9. 前記pHが約3~約10である、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  10. 前記接種材が約0.1~約20%である、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  11. 前記発酵時間の長さが、約12~約200時間である、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  12. 前記ミニセルが、長さ約150nm~約950nmである、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  13. 前記炭素源がグリセロールまたはグルコースである、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  14. 前記無制御のバイオプロセスシステムが、インキュベータシステムまたは振盪フラスコシステムである、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  15. 前記ミニセルが、農業用薬剤を内包化することができる、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  16. 前記農業用薬剤が、農薬化合物または生物活性化合物である、請求項15に記載のバイオプロセスシステム。
  17. 前記農薬化合物が、殺有害生物剤、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺線虫剤、肥料、ホルモンまたは化学成長物質からなる群より選択される、請求項16に記載のバイオプロセスシステム。
  18. 前記生物活性化合物が、核酸、ペプチド、タンパク質、精油、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項16に記載のバイオプロセスシステム。
  19. 前記核酸が、アンチセンス核酸、二本鎖RNA(dsRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)、microRNA(miRNA)、リボザイム、アプタマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項18に記載のバイオプロセスシステム。
  20. 前記精油が、ゲラニオール、オイゲノール、ゲニステイン、カルバクロール、チモール、ピレトラムまたはカルバクロールを含む、請求項18に記載のバイオプロセスシステム。
  21. 前記バイオプロセス後のミニセル比が、バイオリアクター中の全細胞数の少なくとも40%である、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  22. 前記バイオプロセスシステムが、無染色体ミニセルの集団を生産することができる、制御された連続式バイオプロセスシステムである、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
  23. 前記生産されたミニセルが部分的に収穫され、前記バイオプロセスシステムが連続的に実行されて無染色体ミニセルの別の集団を生産する、請求項22のバイオプロセスシステム。
  24. 前記ミニセルが、前記バイオリアクター中の全細胞の約5%から約90%まで部分的に収穫される、請求項23に記載のバイオプロセスシステム。
  25. 以下の工程:
    (a)最少培地を含むバイオリアクター設定に少なくとも1つの細菌細胞株を導入する工程;
    (b)(a)からの前記細菌細胞株を培養して、前記バイオリアクター設定において無染色体ミニセルの集団を生産する工程
    を含むバイオプロセスを実行する方法であって、
    前記細菌細胞株がミニセル産生菌細胞株であり;
    前記バイオリアクター設定が、供給速度、温度、成分、溶存酸素、撹拌速度、空気流量、酸素、pH、接種材、および発酵時間の長さから成る群より選択される発酵パラメータで構成され;
    前記バイオプロセスにおける前記ミニセルの生産収率が、無制御のバイオプロセスにおけるミニセル生産収率よりも少なくとも1.1倍高いことを特徴とする、
    方法。
  26. 前記供給速度が0~約10mL/分/Lである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記温度が約10℃~約70℃である、請求項25に記載の方法。
  28. 前記成分が、炭素源、微量金属、ビタミン、緩衝剤、窒素源、消泡剤、追加の成長促進成分を含む、請求項25に記載の方法。
  29. 前記溶存酸素が0~100%である、請求項25に記載の方法。
  30. 前記撹拌速度が約50~約10,000rpmである、請求項25に記載の方法。
  31. 前記空気流量が約0.1~約20標準リットル毎分(SLPM)である、請求項25に記載の方法。
  32. 前記酸素が0~100%である、請求項25に記載の方法。
  33. 前記pHが約3~約10である、請求項25に記載の方法。
  34. 前記接種材が約0.1~約20%である、請求項25に記載の方法。
  35. 前記発酵時間の長さが約12~約200時間である、請求項25に記載の方法。
  36. 前記ミニセルが長さ約150nm~約950nmである、請求項25に記載の方法。
  37. 前記炭素源がグリセロールまたはグルコースである、請求項25に記載の方法。
  38. 前記無制御のバイオプロセスが、インキュベータの設定または振盪フラスコの設定で実行される、請求項25に記載の方法。
  39. 前記ミニセルが、農業用薬剤を内包化することができる、請求項25に記載の方法。
  40. 前記農業用薬剤が、農薬化合物または生物活性化合物である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記農薬化合物が、殺有害生物剤(pesticide)、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、肥料およびホルモンまたは化学成長物質からなる群より選択される、請求項40の方法。
  42. 前記生物活性化合物が、核酸、ペプチド、タンパク質、精油、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項40に記載の方法。
  43. 前記核酸が、アンチセンス核酸、二本鎖RNA(dsRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、小分子干渉RNA(siRNA)、microRNA(miRNA)、リボザイム、アプタマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項42に記載の方法。
  44. 前記精油がゲラニオール、オイゲノール、ゲニステイン、カルバクロール、チモール、ピレトリン、またはカルバクロールを含む、請求項42に記載の方法。
  45. 前記バイオプロセス後のミニセル比が、バイオリアクター中の全細胞の少なくとも40%である、請求項25に記載の方法。
  46. 以下の工程:
    (c)前記細菌細胞と、(b)からの新たに生産されたミニセルの集団とを含む、細胞のバッチを収穫する工程:
    (d)細胞のバッチを精製する工程;
    (e)前記細胞のバッチから前記無染色体ミニセルの集団を濾過または選別する工程;および
    (f)前記ミニセルを濃縮する工程
    を更に含む、請求項25に記載の方法。
  47. 前記精製がディスクスタック遠心分離によって実行される、請求項46に記載の方法。
  48. 前記濃縮されたミニセルが、液体形態または粉末形態として保存される、請求項46に記載の方法。
  49. 前記粉末形態が、前記濃縮されたミニセルの凍結乾燥、真空乾燥、または加熱乾燥によって調製される、請求項48に記載の方法。
  50. 前記バイオプロセスが、連続的に無染色体ミニセルの集団を生産することができる制御された連続式バイオプロセスである、請求項25または46に記載の方法。
  51. 前記生産されたミニセルが部分的に収穫され、前記バイオプロセスシステムが連続的に実行されて無染色体ミニセルの別の集団を生産する、請求項25または46に記載の方法。
  52. 前記ミニセルが、前記バイオリアクター中の全細胞の約5%から約90%まで部分的に収穫される、請求項51に記載のバイオプロセスシステム。
  53. 請求項25または46の方法によって生産されたミニセル。
  54. 前記ミニセルが、無制御のバイオプロセス設定におけるミニセル生産よりも少なくとも1.1倍高い前記バイオプロセス設定で生産される、請求項53に記載のミニセル。
  55. 前記発酵パラメータが表1に記載されている、請求項1、25または46に記載の発酵パラメータ。
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