JP2024503372A - 骨髄異形成症候群の処置における使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩 - Google Patents

骨髄異形成症候群の処置における使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩 Download PDF

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Abstract

骨髄異形成症候群(MDS)の処置における使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。

Description

本発明は、キノリン誘導体タスキニモドの新規使用に関する。さらに詳細には、本発明は、骨髄異形成症候群の処置における使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩に関する。
タスキニモドおよびその調製方法が、WO 99/55678として公開された国際出願PCT/SE99/00676号、およびWO 00/03991として公開された国際出願PCT/SE99/01270号に記載され、それらの出願には、自己免疫に起因する疾患、例えば多発性硬化症、インスリン依存性糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患および乾癬、さらに病的炎症が主要な役割を果たす疾患、例えば喘息、アテローム性動脈硬化症、脳卒中およびアルツハイマー病の処置に対するタスキニモドおよびいくつかの他のキノリンカルボキサミドの有用性も開示された。
タスキニモドを調製する方法は、WO 03/106424として公開された国際出願PCT/SE2003/000780号、およびWO 2012/004338として公開された国際出願PCT/EP2011/061490号にも開示されている。タスキニモドの重水素化形が、WO 2012/175541として公開された国際出願PCT/EP2012/061798号に記載された。
がん、さらに詳細には固形がん、例えば前立腺がんや乳がんの処置のためのさまざまなキノリンカルボキサミドの使用が、WO 01/30758として公開された国際出願PCT/SE00/02055号に開示されている。これらの化合物の一部は、腫瘍発生を助長し、腫瘍微小環境における抑制性および血管新生促進性細胞に影響を及ぼし、前転移ニッチの確立に関与する免疫調節タンパク質(S100A9)に結合し、その相互作用を阻害することが見出された。
WO 2016/078921として公開された国際出願PCT/EP2015/075769号には、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病および慢性骨髄性白血病を含めて白血病の処置における使用のためのタスキニモドが開示される。
WO 2016/042112として公開された国際出願PCT/EP2015/071391号には、多発性骨髄腫の処置における使用のためのタスキニモドが開示される。
WO 2016/146329として公開された国際出願PCT/EP2016/053288号には、がん、特に膀胱がんの処置におけるPD-1および/またはPD-L1阻害剤と組み合わせた使用のためのタスキニモドが開示される。
骨髄異形成症候群(MDS)は、症候性血球減少症として現れる無効造血、細胞形態異形成症、および急性骨髄性白血病への進行の相当なリスクに伴う異質スペクトルの慢性骨髄新形成またはクローン性造血幹細胞障害である。
MDSは、年齢中央値65~70歳の高齢者集団において最もよく見られる血液新生物の1つである。しかし、疾患は、いずれの年齢においても発症し得る。明らかなリスク因子が原発性MDSには存在しないが、続発性MDSについては、以前の化学または放射線療法によるDNA損傷が周知のリスク因子である。さらに、小児集団におけるMDSは、遺伝性骨髄機能不全(例えば、ファンコニ貧血症または先天性角化不全症)に付随して生じることがある。
複数の生物学的プロセスが、造血前駆体の増殖および成熟血球への分化を支配する。これらのプロセスのいずれかを妨害する造血幹細胞の分子改変は、MDSの発症機序に不可欠である。MDS患者の約80~90%は、造血幹細胞に体細胞突然変異をもつ。体細胞突然変異のタイプおよび発生率は、MDSにおける機能不全シグナル伝達経路に寄与し、疾患予後およびいくつかの薬物に対する応答性に関連している。造血幹細胞の分子改変に加えて、周辺の骨髄ニッチがMDS発症機序において中心的役割を果たす。NLRP3インフラマソームの活性化を含めて、異常な炎症性シグナル伝達は、悪性MDSクローンの選択、維持および白血病進展を促進することができる。
MDS患者は、診断時に無症候性であり得るが、最大で80%が貧血に苦しむ。患者は主に、血球減少に関連した症状、例えば、貧血が原因である疲労および脱力、好中球減少に関連した感染症、または血小板減少が原因である出血に冒されている。MDS患者の約1/3は、急性骨髄性白血病まで進行する。
MDSの改定国際予後判定システム(IPSS-R)は、疾患予後を決定するための最もよく使用される予後判定システムである。モデルは、血球減少の程度、骨髄芽球百分率および細胞遺伝学的サブグループに従った5つのリスクカテゴリーを示す。
MDSが高齢者集団において最もよく見られる血液新生物の1つであるけれども、限られた処置の選択肢しか利用できない。支持的ケアに加えて、5種の薬物(エリスロポエチン、ルスパテルセプト、鉄キレート剤デフェラシロクス、免疫調節薬レナリドミド、および低メチル化剤アザシチジン)のみ、欧州で承認されている。唯一の根治的治療は、同種造血幹細胞移植であるが、多くの高齢患者において実現可能でない。
支持的ケアとしては、輸血療法、赤血球生成促進剤での処置、および抗生物質療法が挙げられる。輸血療法(輸血)は、疾患または処置によって破壊された血球を置き換えるために赤血球、白血球、または血小板を与える方法である。頻繁な赤血球輸血は、鉄過剰および随伴性臓器毒性を引き起こし、臨床転帰不良を伴う。デフェラシロクスを用いる鉄キレート化療法は、患者の転帰を改善することがある。赤血球生成促進剤(ESA)は、身体によって生成される成熟赤血球の数を増加させ、貧血の効果を和らげるために投与される。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)をESAと共に投与して、処置作業をよりよくするのに役立つこともある。最後に、抗生物質療法を使用して、感染症と戦うことができる。
薬物療法としては、例えば、頻繁な赤血球輸血を必要とする、(5q)の単独欠失を染色体異常とする骨髄異形成症候群患者のみを対象に承認されているレナリドミドでの処置が挙げられる。ESAに不応性であるかまたはESAに応答する可能性が低い、環状鉄芽球を伴う輸血依存性MDS患者は、ルスパテルセプトを使用することができる。低メチル化剤アザシチジンを使用して、骨髄異形成症候群を疾患の進行期に処置して、骨髄異形成症候群の急性骨髄性白血病への進行を遅くすることができる。通常、古典的化学療法は、より高い芽球数を有する患者において幹細胞移植前にのみ使用されて、腫瘍細胞負荷を低減する。
同種幹細胞移植時に、幹細胞(未熟血球)を健常ドナーの血液または骨髄から採取し、条件付け療法の完了後にMDS患者に再注入する。ドナー造血幹細胞は、患者の元々の骨髄に置き代わり、身体の血球を回復させる(生着と呼ばれる)。
第1の態様は、骨髄異形成症候群の処置における使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩である。
別の態様は、骨髄異形成症候群の処置のための医薬品の製造におけるタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩の使用である。
さらに別の態様は、治療有効量のタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩を含む、骨髄異形成症候群の処置のための医薬品剤形である。
別の態様は、骨髄異形成症候群の処置を必要とする哺乳類における骨髄異形成症候群の処置方法であって、治療有効量のタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩の哺乳類への投与による処置である、方法である。
それらの別の態様および実施形態は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
それぞれ健常患者(対照)、低いリスクのMDS(LR-MDS)患者および高いリスクのMDS(HR-MDS)患者から得られた骨髄中のS100A9濃度(pg/ml)を表すグラフである。 S100A9またはS100A9およびタスキニモドで48時間処置した後のMDS MSCにおけるリン酸化IRAK1(80kDa)、NF-κB-p65(65kDa)およびガスダーミン(50kDa)のウェスタンブロットを示す図である。GAPDH(38kDa)は、比較タンパク質となった。レーン1=無処置対照;レーン2=S100A9で処置;レーン3=S100A9/タスキニモドで処置。 タスキニモドのみ(TASQ)、S100A9のみ(S100A9)、またはS100A9とタスキニモドの両方(S100A9+TASQ)で48時間処置した後のMDS MSCのリアルタイムPCRによりIL-1β、IL-18、Casp1およびPD-L1のmRNA発現レベルを表す棒グラフである。IL-1β、IL-18、Casp1およびPD-L1の増幅産物を内因性GAPDH発現に正規化し、無処置MSCを1(=対照)に設定した。 S100A9およびタスキニモドで48時間処置した後の健常およびCMML MSCにおけるPD-L1のウェスタンブロットを示す図である。レーン1=無処置対照;レーン2=タスキニモドで処置;レーン3=S100A9で処置;レーン3=S100A9およびタスキニモドで処置。 TNF-αおよびタスキニモドで48時間処置した後のMDS MSCにおけるリン酸化IRAK1(80kDa)、NF-κB-p65(65kDa)およびガスダーミン(50kDa)のウェスタンブロットを示す図である。GAPDH(38kDa)は、比較タンパク質となった。レーン1=TNF-αで処置;レーン2=TNF-αおよびタスキニモドで処置。 S100A9もタスキニモドも存在せずに(「存在せず」)、タスキニモドの存在下(TASQ)で、S100A9の存在下(S100A9)で、s100A9とタスキニモドの両方の存在下(S100A9+TASQ)で1、2、3および4週間後、MDS MSCを造血前駆細胞と共培養したときのCAF-Cの定量を示す棒グラフである。 300個の細胞を組換えサイトカイン(MethoCult(商標) H4435、STEMCELL Technologies社)で強化されたメチルセルロース培地に播種して、S100A9の存在下もしくはS100A9とタスキニモドの両方の存在下で、またはS100A9とタスキニモドの両方の非存在下(「対照」)で1週間共培養した後に回収した造血前駆細胞と共培養したMDS MSC細胞を使用して行われたCFUアッセイにおいて、コロニーの数/300個の細胞を示す棒グラフである。2週間後、顕微鏡下でまたはSTEMvision(商標)システム(STEMCELL Technologies社)を用いて、コロニーを計数し、分類した。 300個の細胞を組換えサイトカイン(MethoCult(商標) H4435、STEMCELL Technologies社)で強化されたメチルセルロース培地に播種して、タスキニモドの存在下(「TASQ」)または非存在下(「存在せず」)で1週間共培養した後に回収したMDS MSC細胞および造血前駆細胞を使用して行われたCFUアッセイにおいて、コロニーの数/300個の細胞を示す棒グラフである。2週間後に、顕微鏡下でまたはSTEMvision(商標)システム(STEMCELL Technologies社)を用いて、コロニーを計数し、分類した。
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
本文において使用される略語および頭字語は、当業者に周知であると考えられるが、はっきりさせるためにこれらのうちのいくつかの意味を本明細書の以下に示す。
ALP アルカリホスファターゼ
αSMA α-平滑筋アクチン
BCA ビシンコニン酸アッセイ
BFU-E 赤芽球バースト形成単位
BM 骨髄
CAF-C 敷石状領域形成細胞
cDNA 相補的DNA
CFU コロニー形成単位
CFU-E 赤芽球コロニー形成単位
CFU-GEMM 顆粒球、赤血球、単球、巨核球コロニー形成単位
CFU-GM 顆粒球/マクロファージコロニー形成単位
CMML 慢性骨髄単球性白血病
Cy シアニン
DAPI 4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地
dT デオキシチミジン
ECAR 細胞外酸性化速度
ECL 増強化学ルミネセンス
EDTA エチレンジアミン四酢酸
ELISA 酵素結合性免疫吸着アッセイ
FCCP カルボニルシアニド-p-トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン
FCS ウシ胎仔血清
FLT3-L fms様チロシンキナーゼ3リガンド
GAPDH グリセルアルデヒド3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ
HRP ホースラディッシュペルオキシダーゼ
HSA ヒト血清アルブミン
HSC(s) 造血幹細胞(複数可)
IgG 免疫グロブリンG
IL インターロイキン
IRAK1 インターロイキン-1受容体関連キナーゼ1
MDS 骨髄異形成症候群
MDS-RS 環状鉄芽球を伴う骨髄異形成症候群
MSC(s) 間葉系幹細胞(複数可)
NF-κB 活性化B細胞の核内因子κ軽鎖エンハンサー
OCR 酸素消費速度
PBMC 末梢血単核球
PBS リン酸緩衝食塩水
PD-1 プログラム細胞死タンパク質1
PD-L1 プログラム死リガンド1
RIPA 放射性免疫沈降法アッセイ
RNA リボ核酸
ROS 活性酸素種
ROX カルボキシ-X-ローダミン
RT-PCR リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応
SCF 幹細胞因子
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
TLR4 トール様受容体4
TNF-α 腫瘍壊死因子α
化合物タスキニモド、または4-ヒドロキシ-5-メトキシ-N,1-ジメチル-2-オキソ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミドは、以下の構造式を有する。
「任意選択の」または「任意選択で」とは、続いて記載される事象または状況が起こる可能性はあるが起こる必要はないこと、記載には、事象または状況が起こる場合と起こらない場合が含まれることを意味する。
「薬学的に許容される」とは、一般に安全で、非毒性であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないものではない医薬組成物を調製する際に有用であるものを意味し、獣医学的使用およびヒト用医薬品としての使用に許容されるものを含む。
薬学的に許容される塩の例は、(対イオンとして)アルカリ金属イオン、例えばLi、NaもしくはKとの塩、またはアルカリ土類金属イオン、例えばMg2+もしくはCa2+との塩、または他のあらゆる薬学的に許容される金属イオン、例えばZn2+もしくはAl3+との塩;またはジエタノールアミン、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、トリエタノールアミンもしくはトロメタミンなど有機塩基で形成された薬学的に許容される塩を含む。
「治療有効量」とは、病態(この場合、MDS)を処置するために対象に投与されたとき、病態に対してそのような処置をもたらすのに十分な、タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩の量を意味する。「治療有効量」は、例えば処置対象の年齢および相対的健康、病態の進行状態、投与経路および形態、他の薬物の、例えば組合せ療法における考え得る追加的使用などに応じて異なる。いくつかの実施形態において、「有効量」は、1つまたは複数の徴候、自覚的症状、他覚的症状、診断検査、バイタルサインなどの統計学的に有意な変化によって測定して、処置効果(例えば、処置する、予防する、阻害する、緩和する、促進する、改善する、増加する、低減するなど)をもたらす。別の実施形態において、「有効量」は、1つまたは複数の徴候、自覚的症状、他覚的症状、診断検査、バイタルサインなどの統計学的に有意な変化の欠如によって測定して、病態を抑制する、管理する、または予防する。
本明細書では用語「処置」または「処置すること」は、臨床結果を含めて有益なまたは所望の結果を得る手法である。有益なまたは所望の臨床結果としては、検出可能にせよ検出不可能にせよ、処置される病態の1つまたは複数の症状の軽減または改善、病態の範囲の縮小、病態の状態の安定化(すなわち、悪化させない)、病態の拡大の予防、病態の進行の遅延または緩徐化、病態の改善または寛解、および(部分寛解にせよ完全寛解にせよ)寛解を挙げることができるが、これらに限定されない。この用語は、処置なしで予想される生存と比較して生存を延長させることを意味することもできる。
MDS患者は、主に貧血、血小板減少症、好中球減少症、二系統血球減少症、汎血球減少症ならびにそれらの関連症状、例えば疲労、貧血、脱力、内出血または出血傾向、発熱、骨痛、息切れ、および頻繁な感染症など、血球減少症によって影響される。
用語「哺乳類」は、ヒトまたは任意の哺乳類動物、例えば霊長類、家畜、愛玩動物、または実験動物を指す。好ましくは、哺乳類はヒトである。
本発明に従って好適に処置され得る哺乳類(例えばヒト)対象は、MDSに苦しむ対象またはMDSを発症する(増加)リスクがある対象とすることができる。
本明細書では「MDS」は、末梢血球減少および正形成または過形成骨髄によって特徴づけられる一群の後天性造血器障害を指す。MDSのサブタイプとしては、一系統(単一系統)に異形成を有するMDS、多系統に異形成を有するMDS、環状鉄芽球を伴うMDS(MDS-RS)、(5q)の単独欠失を伴うMDSなど単独欠失を染色体異常とするMDS、芽球増加を伴うMDS、および分類不能型MDSが挙げられる。
WHOは、以下の通り、さまざまな形態のMDSを、骨髄における骨髄芽球の百分率、骨髄における異常な赤血球前駆体(環状鉄芽球)の存在、骨髄における異形成系統として知られる異常な細胞型の数、および骨髄細胞の遺伝子プロファイルなどの基準に応じて異なるサブタイプに分類した。
単一系統に異形成を有するMDS(MDS-SLD)-1または2系統の血球減少;骨髄において、1細胞株の≧10%に異形成、芽球<5%
多系統に異形成を有するMDS(MDS-MLD)-1~3系統の血球減少、単球<1×10/L;骨髄において、≧2造血系統で≧10%の細胞に異形成、環状鉄芽球<15%(またはSF3B1変異が存在する場合、環状鉄芽球<5%)、芽球<5%
環状鉄芽球を伴うMDS(MDS-RS)-貧血、芽球なし;骨髄において、赤血球前駆体の≧15%が環状鉄芽球を伴うか、またはSF3B1変異が存在する場合、環状鉄芽球≧5%
(5q)の単独欠失を伴うMDS-貧血、血小板正常または減少;骨髄において、一系統の赤血球異形成、(5q)の単独欠失、芽球<5%±-7/(7q)欠失を除いた1つの他の異常
芽球増加を伴うMDS(MDS-EB)-1~3系統の血球減少、0~3異形成骨髄系統、および骨髄において芽球5~9%もしくは血液において芽球2~4%(MDS-EB1)、または骨髄において芽球10~19%もしくは血液において芽球5~19%(MDS-EB2)
分類不能型MDS-血球減少、少なくとも2回にわたって芽球±1%;骨髄において、単一系統異形成、または異形成はないが特徴的なMDS細胞遺伝学的性質、芽球<5%。
WHO分類は、末梢血において、血球減少および芽球が<2%であり、骨髄において、1~3系統に異形成があり、芽球が<5%である、小児期の不応性血球減少症の暫定的なカテゴリーも含む。
追加的に、WHO分類によれば、CMML(CMML-0、CMML-1、CMML-2)およびMDS/MPN-RS-Tは、古典的MDS/MPN重複症候群である。
WHOによって開発された分類は、本明細書でMDSのさまざまなサブタイプを定義するために使用されるが、別段の指定がない限りまたは文脈から明らかに、本明細書では用語MDSは、MDSのいずれのサブタイプも、例えばCMMLも含めて以上に示したサブタイプのいずれも含むと考えられる。しかし、いくつかの実施形態において、MDSはさらに詳細には、本明細書で以上に定義するように単一系統に異形成を有するMDSである。いくつかの実施形態において、MDSはさらに詳細には、本明細書で以上に定義するように多系統に異形成を有するMDS(MDS-MLD)である。いくつかの実施形態において、MDSはさらに詳細には、本明細書で以上に定義するように環状鉄芽球を伴うMDS(MDS-RS)である。いくつかの実施形態において、MDSはさらに詳細には、本明細書で以上に定義するように(5q)の単独欠失を伴うMDSである。いくつかの実施形態において、MDSはさらに詳細には、本明細書で以上に定義するように芽球増加を伴うMDS(MDS-EB)である。いくつかの実施形態において、MDSはさらに詳細には、本明細書で以上に定義するように分類不能型MDSである。いくつかの実施形態において、MDSはさらに詳細には、本明細書で以上に定義するように小児期の不応性血球減少症である。いくつかの実施形態において、MDSはさらに詳細には、CMMLを含む。いくつかの別の実施形態において、MDSは、CMMLを含まない。
上記の診断分類体系に加えて、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)と呼ばれる予後体系が開発された。それによれば、MDSは、非常に低いリスク、低いリスク、中程度のリスクまたは高いリスクまたは非常に高いリスクと分類することができる。Greenberg、Tuechler、Schanzらによって出版されたガイダンス、Revised International Prognostic Scoring System(IPSS-R for Myelodysplastic Syndrome、Blood、120: 2454、2012)、およびSchanz Jら(J Clin Oncology、2012; 30:820)を参照のこと。この体系は、ヘモグロビン数(g/dl)、好中球絶対数(×10/L)、血小板(×10/L)、骨髄芽球(%)、およびMDSの細胞遺伝学的カテゴリーを使用する。細胞遺伝学的カテゴリーは、表1に表すように、いくつかの細胞遺伝学的異常の存在に基づいて非常に良好、良好、中程度、不十分、または非常に不十分と定義される。
細胞遺伝学的予後サブグループ、および患者の上記の基準のそれぞれの決定値(ヘモグロビン数(g/dl)、好中球絶対数(ANC)(×10/L)、血小板(×10/L)、骨髄芽球(%))を、表2に示すようにスコア付けする。
得られた総リスクスコアを使用して、表3に示すようにMDSをIPSS-R予後リスクカテゴリーに分類する。
最後に、7000人を超える患者のデータに基づいて、IPSS-Rは、表4に示すように各予後リスクカテゴリーを生存期間中央値(年)および25%AML進展期間中央値と関係づけた。
いくつかの実施形態において、適応症MDSには、不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、芽球増加を伴う不応性貧血、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血および慢性骨髄単球性白血病など、さまざまな形態の貧血が含まれる。いくつかの実施形態において、適応症MDSは、白血病に発達したMDSを除外する。いくつかの実施形態において、患者は、白血病に罹っていない。
いくつかの実施形態において、タスキニモドは、本明細書に記載のように骨髄異形成症候群の改定国際予後判定システム(IPSS-R)に従ってリスクスコアに分類されたMDSの処置における使用のためのタスキニモドである。
本明細書において別段の指定がない限り、MDSは、上記の改定国際予後判定システム(IPSS-R)の使用により決定して、上記の特定されたリスクカテゴリーのいずれかの範囲内であり得る。
いくつかの実施形態において、MDSは、非常に低い(1.5以下のリスクスコアを有する)、低い(1.5より高く、3以下のリスクスコアを有する)、または中程度(3より高く、4.5以下のリスクスコアを有する)と定義されるリスクカテゴリーに属する。これらの実施形態のいくつかにおいて、MDSは、低いまたは中程度、例えば中程度と定義されるリスクカテゴリーに属する。いくつかの別の実施形態において、MDSは、非常に低いまたは低い、例えば低いと定義されるリスクカテゴリーに属する。さらに別の実施形態において、MDSは、非常に低いと定義されるリスクカテゴリーに属する。
いくつかの別の実施形態において、MDSは、中程度、高い(4.5より高く、6以下のリスクスコアを有する)または非常に高い(6より高いリスクスコアを有する)と定義されるリスクカテゴリーに属する。これらの実施形態のいくつかにおいて、MDSは、中程度または高い、例えば高いと定義されるリスクカテゴリーに属する。いくつかの別の実施形態において、MDSは、高いまたは非常に高い、例えば非常に高いと定義されるリスクカテゴリーに属する。
貧血は、MDS患者、特により低いリスクのMDS(例えば、非常に低いリスク、低いリスク、または中程度のリスクのMDS)患者における病的状態および生活の質障害の、主要ではないにしろ重要な原因である。したがって、いくつかの実施形態において、タスキニモドは、より低いリスクのMDS患者における貧血の処置において使用される。いくつかの実施形態において、タスキニモドは、MDSと関連した貧血の処置において使用される。いくつかの実施形態において、タスキニモドは、貧血をその症状として伴うMDSの処置において使用される。いくつかの実施形態において、貧血は、不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、芽球増加を伴う不応性貧血、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血および慢性骨髄単球性白血病から選択される。いくつかの実施形態において、貧血は不応性貧血である。いくつかの実施形態において、貧血は、環状鉄芽球を伴う不応性貧血である。いくつかの実施形態において、貧血は、芽球増加を伴う不応性貧血である。いくつかの実施形態において、貧血は、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血および慢性骨髄単球性白血病である。
いくつかの実施形態において、タスキニモドは、ヘモグロビン数、好中球絶対数、血小板数、骨髄芽球(%)、および細胞遺伝学的異常から選択される少なくとも1つの臨床パラメータが決定された患者におけるMDSの処置における使用のためのタスキニモドである。
例えば、いくつかの実施形態において、MDSは、表1に定義するように、「非常に良好」と呼ばれる細胞遺伝学的予後サブグループに属する。いくつかの他の実施形態において、MDSは、表1に定義するように、「良好」と呼ばれる細胞遺伝学的予後サブグループに属する。さらに他の実施形態において、MDSは、表1に定義するように、「中程度」と呼ばれる細胞遺伝学的予後サブグループに属する。さらに他の実施形態において、MDSは、表1に定義するように、「不十分」と呼ばれる細胞遺伝学的予後サブグループに属する。さらに他の実施形態において、MDSは、表1に定義するように、「非常に不十分」と呼ばれる細胞遺伝学的予後サブグループに属する。
いくつかの実施形態において、MDS患者は、2%未満のBM芽球を有する。いくつかの実施形態において、MDS患者は、2%以上で、5%未満のBM芽球を有する。いくつかの実施形態において、MDS患者は、5%以上で、10%未満のBM芽球を有する。いくつかの実施形態において、MDS患者は、10%より高いBM芽球を有する。
いくつかの実施形態において、MDS患者は、10g/dl以上のヘモグロビンレベルを有する。いくつかの実施形態において、MDS患者は、8g/dl以上で、10g/dl未満のヘモグロビンレベルを有する。いくつかの実施形態において、MDS患者は、8g/dl未満のヘモグロビンレベルを有する。
いくつかの実施形態において、MDS患者は、100×10/L以上の血小板数を有する。いくつかの実施形態において、MDS患者は、50×10/L以上で、100×10/L未満の血小板数を有する。いくつかの実施形態において、MDS患者は、50×10/L未満の血小板数を有する。
いくつかの実施形態において、MDS患者は、0.8×10/L以上の好中球絶対数を有する。いくつかの実施形態において、MDS患者は、0.8×10/L未満の好中球絶対数を有する。
いくつかの実施形態において、タスキニモドは、MDSに苦しむかまたはMDSを発症するリスクがある哺乳類(例えば、MDS哺乳類患者)において1つまたは複数の血液学的パラメータを改善するステップを含む処置方法における使用のために提供される。血液学的パラメータのそのような改善は、筋芽細胞の減少、ヘモグロビンの増加、血小板の増加、好中球の増加、ヘプシジンの減少、赤血球輸血単位数の低減、輸血頻度の低減、および輸血依存度の低減から選択することができる。
本明細書の以上に記載したように、タスキニモド、その薬学的に許容される塩、その重水素化形、その結晶塩、および化合物とそれらの塩を含有する医薬組成物、ならびにそのような化合物、それらの塩、重水素化形、および化合物とそれらの塩を含有する医薬組成物を調製する方法が、WO 99/55678、WO 00/03991、WO 03/106424、WO 2005/074899、WO 2012/004338およびWO 2012/175541(上記参照)に記載され、これらの文献は、本明細書によってそれらの全体として参照により本出願に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、タスキニモドへの言及はいずれも、その重水素化形も包含する。本明細書の以上に述べたように、タスキニモドの重水素化形およびそのような形態を調製する方法は、WO 2012/175541に記載されている。したがって、いくつかの実施形態において、タスキニモドは、カルボキサミド-Nメチル基における重水素濃縮が少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%である。
いくつかの実施形態において、タスキニモドは、非重水素化され、重水素の天然存在度に対応する重水素含有量を有する。
本発明は、MDSの処置における使用のための薬学的に許容される賦形剤、例えば担体と任意選択で一緒に医薬組成物として製剤化された、タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩を含む。
いくつかの実施形態において、タスキニモドの薬学的に許容される塩の使用が行われる。
医薬組成物は、哺乳類(特にヒト)への経腸投与、例えば直腸内もしくは経口投与、または非経口投与に適している可能性があり、活性成分として治療有効量のタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩を、任意選択で薬学的に許容される賦形剤、例えば薬学的に許容される担体と一緒に含む。活性成分の治療有効量は、本明細書の以上に定義され、例えば哺乳類の種、体重、年齢、個体の病態、個体の薬物動態データ、および投与様式に依存する。
経腸投与、例えば経口投与の場合、タスキニモドは、多種多様な剤形で製剤化され得る。薬学的に許容される担体は、固体でも、液体でもよい。固体形態の調製剤としては、散剤、錠剤、丸剤、ロゼンジ剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても作用し得る1種または複数の物質とすることができる。散剤において、担体は、一般に微細活性成分との混合物である微細固体である。錠剤において、活性成分は、一般に必要な結合容量を有する担体と好適な割合で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。好適な担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどが挙げられるが、これらに限定されない。
経口投与に適した他の形態としては、乳濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含めて液体形態の調製剤、または使用直前に液体形態の調製剤に変換されるよう意図されている固体形態の調製剤が挙げられる。乳濁剤は、溶液として、例えば水性プロピレングリコール溶液として調製されてもよく、または乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエート、もしくはアカシアなどを含んでもよい。水性液剤は、活性成分を水に溶解し、好適な着色料、香味料、安定剤、および粘稠化剤を添加することによって調製され得る。水性懸濁剤は、微細活性成分を水に粘性材料、例えば天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁化剤と共に分散することによって調製され得る。固体形態の調製剤としては、液剤、懸濁剤、および乳濁剤が挙げられ、活性成分に加えて、着色料、香味料、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、粘稠化剤、可溶化剤などを含むことができる。
直腸内投与のための例示的組成物としては、例えば好適な非刺激性賦形剤、例えばカカオバター、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールを含むことができる坐剤が挙げられ、それらは、常温で固体であるが、直腸腔で液化および/または溶解して、薬物を放出する。
タスキニモドは、例えば注射または点滴によって、例えば静脈内、動脈内、骨内、筋肉内、脳内、脳室内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病巣内、頭蓋内、腫瘍内、皮内および皮下注射または点滴によって非経口投与されることもある。したがって、非経口投与では、医薬組成物は、例えば無菌水性または油性懸濁剤として、無菌注射または点滴調製剤の形をとることができる。この懸濁剤は、当技術分野において公知の技法に従って、好適な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween(登録商標) 80)、および懸濁化剤を使用して製剤化され得る。無菌注射または点滴調製剤は、非毒性の非経口投与に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射または点滴液剤または懸濁剤とすることもできる。例えば、医薬組成物は、1,3-ブタンジオール中の液剤とすることができる。本発明の組成物において採用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の他の例としては、マンニトール、水、リンゲル液および等張食塩水が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、無菌不揮発油が溶媒または懸濁化媒体として通常採用されている。このために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含めて任意の無刺激性不揮発油が採用され得る。脂肪酸、例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、注射剤の調製において、オリーブ油またはヒマシ油など薬学的に許容される天然油が、特にそれらのポリオキシエチル化された形で有用であるように有用である。これらの油液剤または懸濁剤は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤も含むことができる。
非経口使用のための液剤は、好適な安定化剤、必要なら緩衝物質も含むことができる。好適な安定化剤としては、抗酸化剤、例えば重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸の単独または組合せ、クエン酸およびその塩、ならびにEDTAナトリウムが挙げられる。非経口液剤は、保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル-パラベン、およびクロロブタノールも含むことができる。
好適な医薬品剤形の選択および調製の通常の手順については、例えば「Pharmaceutics - The Science of Dosage Form Design」、M.B. Aulton, Churchill Livingstone社、第2版、2002 (ISBN 0443055173, 9780443055171)に記載されている。好適な医薬賦形剤、例えば担体、および医薬品剤形を調製する方法については、製剤の技術分野における標準の参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company社にも記載されている。
医薬組成物(本明細書で医薬品剤形または医薬品とも呼ばれることがある)は、治療有効量のタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩を含み、例えば約1%~約95%、好ましくは約20%~約90%のタスキニモドまたはその塩を少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含むことができる。一般に、タスキニモドまたはその塩は、治療有効量が同様の有用性に役立つ作用剤の許容された投与様式のいずれかによって投与される。
例えば、タスキニモドまたはその塩の注射または直腸内投与は必要なら企図されることがあるが、経口投与は、一般に最も好都合であると考えられる。
投与量レベルおよび頻度は、一般に処置対象の性別、年齢、体重および相対的健康、MDSの重症度、選択された投与経路および形態、他の薬物の、例えば組合せ療法における追加的使用などの因子に当然払うべき配慮をして、処置医によって決定される通りである。
一般に、最低限0.001mg/体重1kg、または0.002mg/体重1kg、または0.005mg/体重1kg、または0.01mg/体重1kgから、最大0.2mg/体重1kg、または0.1mg/体重1kg、または0.05mg/体重1kg、または0.02mg/体重1kgの1日投与量が企図される。
一実施形態において、タスキニモドは、0.05~0.15mg/日、または0.08~0.1mg/日、例えば0.1mg/日の量で投与される。
一実施形態において、タスキニモドは、0.1~0.3mg/日、または0.15~0.25mg/日、例えば0.2mg/日の量で投与される。
一実施形態において、タスキニモドは、0.1~1mg/日、または0.2~0.8mg/日、例えば0.5mg/日の量で投与される。
一実施形態において、タスキニモドは、0.2~1.5mg/日、または0.4~1.2mg/日、例えば0.8mg/日の量で投与される。
一実施形態において、タスキニモドは、0.5~2mg/日、または0.8~1.2mg/日、例えば1mg/日の量で投与される。
一実施形態において、タスキニモドは、0.8~3mg/日、または1~2.5mg/日、例えば2mg/日の量で投与される。
一実施形態において、タスキニモドは、1~6mg/日、または2~4mg/日、例えば3mg/日の量で投与される。
いくつかの実施形態において、投与量は、最適な結果に達するように徐々に調整され、いわゆる漸増され得る。例えば、投与量漸増は、低い1日投与量、例えば0.25mgで開始し、この用量レベルを1週間または2週間維持することを含むことができる。用量の上昇を禁忌とする可能性がある著しい副作用に直面しない場合、レベルを、例えば0.5mg/日に1週間または2週間増加させることができ、その期間後に、1mgの1日投与量などに達するようにもう1回増加が企図され得る。そのような方法では、投与量の漸進的な増加後にいずれか著しい副作用が生じる場合、投与量は、再び以前のレベルに低減され得る。
生じる可能性がある副作用としては、一般にこのタイプの処置において遭遇することがある副作用、例えば胃腸障害、疲労、およびインフルエンザ様症候群が挙げられ、投与量に関連があると考えられる。
タスキニモドは、好ましくは毎日、例えば1日1~3回、または1日1~2回、例えば1日1回投与される。いくつかの実施形態において、薬物は、低い頻繁で、例えば2日ごとに、週1回などで投与される。タスキニモドの薬学的に許容される塩が投与される場合、等価投与量は、指示投与量の非塩の形の化合物を生じる投与量であることにも留意すべきである。
最も広義の意味で、本発明は、MDSの処置における使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩に関する。いくつかの実施形態において、MDSは、本明細書の以上に述べたサブタイプのいずれからでも選択される。
生物学的アッセイ
材料と方法
患者
ヘパリン化BM試料は、標準診断的吸引時に無処置MDS患者(低いリスクのMDS、5qの欠失を伴う、低いリスクのMDS、高いリスクのMDS、およびCMML)から、および人工股関節置換手術を受ける血液学的健常ドナーから得た。Human DuoSet ELISAキット(R&D Systems社)を製造業者の指示書に従って使用して、試料をS100A9のレベルについて分析した。
細胞培養
BM単核細胞をパーコール勾配遠心分離により単離し、MSCを、DMEM/10% FCS中で接着単層として成長させた。継代2~5代を実験に使用した。
炎症性病態を模倣するために、インビトロ培養MSCを、タスキニモド(10μM)の存在下または非存在下に組換えS100A8、S100A9もしくはS100A8/9ヘテロダイマー(それぞれ1.5μg/ml)またはTNF-α(10ng/ml)で、その後の実験に応じて異なる時間処置した。CD34抗体-コンジュゲート磁気ビーズを製造業者の指示書(Miltenyi Biotec社)に従って使用して、共培養のための造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)を単離し、幹細胞因子(SCF)、FLT3-LおよびIL-3(それぞれ10ng/ml)を含有するCellGro培地(CellGenix社)に添加した。
末梢血単核球(PBMC)をフィコール-ハイパック密度遠心法によって調製した。
クローン形成アッセイ
前処置した健常またはMDS MSC層を使用して、CAF-Cアッセイを4週間にわたって行った。1000個の磁気分離CD34+細胞を、StemMACS(商標) HSC-CFU完全培地(Miltenyi Biotec社)に添加した。
300個の細胞を組換えサイトカインを含む強化メチルセルロース培地(MethoCult(商標) H4435、STEMCELL Technologies社)に播種して、1週間共培養した後に採取した細胞を使用して、CFUアッセイを実施した。コロニーを2週間後に計数し、顕微鏡下でまたはSTEMvision(商標)システム(STEMCELL Technologies社)を用いて分類した。
MSC分化アッセイ
脂肪生成および骨形成分化能は、MSCの重要な機能的特徴であり、MDSにおいて変化することが多く、骨代謝の変化につながる。したがって、タスキニモドの脂肪生成および骨形成分化に対する効果を、以下の通りアッセイした。
MSCを6ウェルのプレート(5×10MSCs/cm)に播種し、DMEM中でサブコンフルエントになるまで約4日間培養し、脂肪生成(0.5mM 1-メチル-3-ブチルイソキサンチン、1μM デキサメタゾン、100μM インドメタシン、10μM インスリン)分化または骨形成(0.1μM デキサメタゾン、0.2mM アスコルベート-2-ホスフェート、10mM β-グリセロホスフェート)分化にかけた。脂質生成を、21日後にオイルレッドO染色によって評価した。分化を鏡検分析に従って以下の通り段階分けした。0=分化せず;1=培養ウェルの25%は分化細胞を含む;2=培養ウェルの50%は分化細胞を含む;3=培養ウェルの75%は分化細胞を含む;4=培養ウェルの100%は分化細胞を含む。骨形成をフォンコッサ染色によって決定し、ALPの触媒活性を決定した。
活性酸素種(ROS)レベルの検出
骨髄異形成骨髄の炎症性微小環境は、ROSレベルの増加につながり、それによって異常な細胞機能が生じることがある。したがって、タスキニモドのMSCにおけるROSレベルに対する効果は、CellROX(商標) Deep Red Flow Cytometry Assayキット(Thermo Fisher社)を製造業者の指示書に従って使用してアッセイされる。
Seahorseメタボリック細胞外フラックスプロフィリング
タスキニモドの細胞代謝への影響は、Seahorseシステム(Agilent Technologies社)を使用することによって調査される。MSCは、Seahorse96ウェルプレートに播種される。細胞ミトストレステスト(XF Cell Mito Stress Test Kit、Agilent Technologies社)が、標準プロトコルに従って行われる。酸素消費速度(OCR)および細胞外酸性化速度(ECAR)は、オリゴマイシン(1mM)、カルボニルシアニド-p-トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン(FCCP、0.5mM)、およびロテノンとアンチマイシンの組合せ(Rot/AA、0.5mM)の注入後に検出される。OCRは、XF96分析装置およびWaveソフトウェア(バージョン2.2.0)を用いて測定される。
ウェスタンブロット
プロテイナーゼ阻害剤を含有するRIPA溶解バッファーを使用して、ホールセル可溶化物を調製した。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキットを使用して決定した。等タンパク質量を、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、それぞれポリビニリデンフルオリドメンブレンに移し、IRAK1、NF-κB-p65、ガスダーミンに対する一次抗体、およびOXPHOSを4℃で終夜使用し、続いて二次抗体HRP-コンジュゲートヤギ抗マウスIgG(Invitrogen社)またはロバ抗ウサギIgG(GE Healthcare社)を使用して、特異的タンパク質を検出した。ブロットをECL Plusウェスタンブロッティング試薬(Amersham社)と共にインキュベートし、LAS3000イメージングシステムを使用して、シグナルを取得した。
RT-PCR
RNeasy Miniキット(Qiagen社)を使用して、RNAをMSCから単離し、オリゴ-dTプライマーを含むRevertAid(商標) cDNA合成キット(Thermo Fisher社)を使用して、cDNAに逆転写した。比較CT(ΔΔCT)法を用いて、相対標的量を決定した。RT-PCRは、SYBR Green/ROX PCRマスターミックス(Thermo社)ならびにハウスキーピング遺伝子としてのカスパーゼ1、IL1β、IL18、PD-L1、PD-1およびGAPDHの標的特異的プライマーを使用して、Taqman(商標) Fast 3500サイクラー(Applied Biosystems社)で行った。増幅産物を内因性GAPDH対照に正規化した。
免疫組織化学
MDS患者および健常ドナーの骨髄組織を、マルチプレックス免疫組織化学によって特徴づけた。この方法では、CD271+MSC、CD68+マクロファージおよびCD66b+好中球の配列および空間分布を1種の染色で決定し、VECTRA(登録商標)イメージングシステムを用いて分析した。
免疫蛍光染色および共焦点レーザー走査顕微鏡
S100A9/タスキニモド処置MSCを4%パラホルムアルデヒドで固定した。0.1% Triton(商標) X-100(T-PBS)を含有するPBSを使用して、細胞を透過処理し、10% FCSおよび1% HSAを含むT-PBS(IF-Buffer)でブロックし、αSMA、NFκBまたはPD-L1に対する抗体と共に4℃で終夜インキュベートした。二次抗体ポリクローナルヒツジ-抗ウサギ-Cy3またはポリクローナルヤギ-抗マウス-Cy2を、室温で1時間インキュベートした。細胞核をDAPIで対比染色した。画像分析を、共焦点顕微鏡(LSM800、Carl Zeiss社)およびZENソフトウェアによって行った。
細胞外小胞(EV)のタスキニモド処置MSCからの単離および特徴づけ
EVは、細胞間コミュニケーションにとって重要な役割を果たす。これらの膜に囲まれた小粒子は、さまざまな生物活性物質、例えばスモールRNA、mRNAおよびタンパク質を運ぶ。それらは、エンドソームコンパートメントに由来するか、または細胞膜から直接出芽する。S100A9およびタスキニモドのMSC由来EVに対する影響を試験するために、それらは、ExoEasy Maxiキット(Qiagen社)を使用することによって無血清培養上清から単離される。EVの濃度およびサイズは、ZetaView(登録商標)機器を使用してナノ粒子トラッキング解析(NTA)により検出される。miRNAをmiRNeasyキット(Qiagen社)によって単離し、例えばmiR-145およびmiR-146aのために、特異的プライマーを用いて、Taqmanアッセイを行う。S100A9/タスキニモドでプライミングしたMSC由来EVの機能的影響は、PBMCまたはHSPCとのインキュベーションおよびその後のフローサイトメトリーにより分析される。
結果
MDS患者のBM血漿において、健常対照と比べて高いS100A9レベルが検出され、最高レベルが低い-リスクMDSにおいて測定された(図1)。
インビトロで、関連するS100A9 mRNA発現を、培養されたMDSまたは健常MSCにおいて検出することはできなかった。それは、この細胞型が、骨髄微小環境における主なS100A9源を表していないことを示唆する。むしろ、BM組織の染色が、主にCD66b+好中球によるS100A8およびS100A9の発現を示し、CD68+マクロファージによる、より小さい範囲の発現が認められた。
MDS MSCのS100A9での処置は、IRAK1およびNF-κB-p65の発現増加によって明らかなようにTLR4下流のシグナル伝達を誘導した。その上に、ガスダーミンのより高い発現が検出された。ガスダーミンは、S100A9処置細胞におけるピロトーシスの誘導原である。タスキニモドの添加により、記載のタンパク質の発現が阻害された。これは、誘導された炎症の軽減を示す(図2)。
炎症性サイトカイン、例えばIL-1βやIL-18、およびそれらの活性化因子カスパーゼ1のmRNA発現によって、S100A9での処置後にMSCが増加し、この増加は、タスキニモドの存在下で阻害された(図3)。
MDSにおいて効率的な造血を阻害する可能性を有する潜在的下流標的としてPD-L1は、S100A9によって誘導され、mRNAとタンパク質レベルの両方でタスキニモドによって抑制され得る。PD-L1の基本的発現は、健常なMSCにおいてよりCMMLにおいて明らかに高いと認められた(図4)。驚くべきことに、PD-L1の下方制御が、タスキニモドの場合にS100A9の非存在下でさえ、健常志願者からのMSCにおいてもCMML MDS患者からのMSCにおいても同様に認められた。これも、以前にタスキニモドがPD-L1の発現を上方制御すると報告されていたので驚きである(Oncoimmunology、2016、5巻、6号、e1145333)。
S100A9処置は、MSCにおけるαSMAの発現を増加させた。これは、腫瘍微小環境中に存在する筋線維芽細胞へのMSCの分化にとって典型的である。同時に、NF-κBの核発現の増加が観察された。タスキニモド処置は、αSMAとNF-κB発現の両方を低減する。
脂肪生成分化は、MDS MSCにおいて病理学的に増加することが多い。タスキニモドの添加は、分化培地中で14日培養した後、オイルレッドO陽性細胞で検出して、脂肪細胞の数を25~50%減少させた。
TNF-αのMSC培養物への添加により、IRAK1、NF-κB-p65およびガスダーミンの発現が増加した。また、タスキニモドの添加は、これらのタンパク質の発現を阻害した(図5)。これも、MSCにおけるタスキニモドの効果をS100A9と関係づけることができないことを示す。
インフラマソーム活性化によって誘導されるMSCの機能的変更は、MDS進行に著しい影響を与えるので、ストローマ細胞のタスキニモド処置が正常な造血のその後の支持を変更する可能性を調査した。この目的のために、ストローマ層をS100A9とタスキニモドの組合せで前処置した、MSC/HSPCインビトロ共培養物を使用した。明らかに、S100A9での処置は、その後のクローン形成アッセイにおいてCAF-Cの数およびCFUの数を減少させた。これは、MSCによる造血の支持の妨害を示す。CAF-CとCFUの両方の数を、タスキニモドによって増加させ得る(図6a~c)。
共培養HSPCにおけるPD-1(PD-L1の受容体)発現を、処置MSCにおけるそのリガンドと同様に制御した。
上記の知見から、骨髄異形成骨髄における病理学的炎症活性化は、タスキニモドによって、NF-κB-p65シグナル伝達の阻害およびMSCにおけるPD-L1/PD-1発現によって救出することができると思われる。これらの効果によって、MSCによる造血支持が改善され、それによってMDS患者における貧血および血球減少が改善される。
最後に、MSC分化アッセイの結果から、タスキニモドは、脂肪生成分化を低減し、骨形成分化を改善することができることが示される。CellROX(商標) Deep Redフローサイトメトリーアッセイの結果から、タスキニモドは、MSCにおけるROSレベルの上昇をブロックすることができることが示される。Seahorseメタボリック細胞外フラックスプロファイリングの結果から、タスキニモドの効果は、細胞ストレスの低減および細胞の代謝適合性の読み取りである予備呼吸能の改善につながることが示される。
インビトロ結果のインビボ検証
有望なインビトロ結果は、異なるマウスモデルにおいてインビボで検証される。これらのモデルでは、MDSの典型的な症状、例えば貧血や血球減少を発症する遺伝子修飾マウス(例えば、B6;129-Trp53bp1tm1Jc/JおよびNUP98/HOXD13)を、タスキニモドで処置する。末梢血数を毎週記録し、最後に骨髄を20週間後に分析する。これらの実験から、タスキニモドは、機能性造血を部分回復させることができることが示される。
さらに、上記のように前処置したMSCと共培養したHSPCを免疫不全NSGマウスに移植して、タスキニモド前処置共培養物に由来する細胞の可能性のある改善された生着を分析する。レシピエントの末梢血を、後眼窩静脈叢の静脈穿刺によって3~4週間ごとに得て、ヒトCD45およびCD34に対する抗体で染色した後フローサイトメトリーにより、ヒト細胞の量を分析する。最終の骨髄分析を20週間後に行う。

Claims (46)

  1. 哺乳類患者における骨髄異形成症候群(MDS)の処置における使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  2. 処置が、経口投与による処置である、請求項1に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  3. 処置が、1日当たり0.001mg~0.2mgの量のタスキニモド/体重1kg、または対応する量のその薬学的に許容される塩の投与による処置である、請求項1または2に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  4. 処置が、タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩の1日1~3回の投与による処置である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  5. タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩が、固体剤形として投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  6. 固体剤形が、カプセル剤、錠剤または丸剤である、請求項5に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  7. タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩が、液体ビヒクルに溶解または懸濁した形で投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  8. 処置が、放射線療法および/または自家幹細胞移植をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  9. MDSが、一系統(単一系統)に異形成を有するMDS、多系統に異形成を有するMDS、環状鉄芽球を伴うMDS(MDS-RS)、(5q)の単独欠失を伴うMDSなど単独欠失を染色体異常とするMDS、芽球増加を伴うMDS、および分類不能型MDSから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  10. MDSが、一系統(単一系統)に異形成を有するMDSである、請求項9に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  11. MDSが、多系統に異形成を有するMDSである、請求項9に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  12. MDSが、環状鉄芽球を伴うMDS(MDS-RS)である、請求項9に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  13. MDSが、単独欠失を染色体異常とするMDSである、請求項9に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  14. MDSが、芽球増加を伴うMDSである、請求項9に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  15. MDSが、分類不能型MDSである、請求項9に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  16. MDSが、非常に低いリスクのMDS、低いリスクのMDS、中程度のリスクのMDS、高いリスクのMDSまたは非常に高いリスクのMDSである、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  17. MDSが、非常に低いリスクのMDSである、請求項16に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  18. MDSが、低いリスクのMDSである、請求項16に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  19. MDSが、中程度のリスクのMDSである、請求項16に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  20. MDSが、高いリスクのMDSである、請求項16に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  21. MDSが、非常に高いリスクのMDSである、請求項16に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  22. MDSが、慢性骨髄単球性白血病を含む、請求項1に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  23. 哺乳類患者における1つまたは複数の血液学的パラメータを改善するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩であって、改善が、筋芽細胞の減少、ヘモグロビンの増加、血小板の増加、好中球の増加、ヘプシジンの減少、赤血球輸血単位数の低減、輸血頻度の低減、および/または輸血依存度の低減を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の使用のためのタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩。
  24. 骨髄異形成症候群(MDS)の処置のための医薬品を製造するための、タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩の使用。
  25. 医薬品が、経口投与に適している、請求項24に記載の使用。
  26. 医薬品が、1日当たり0.001mg~0.2mgの量のタスキニモド/体重1kg、または対応する量のその薬学的に許容される塩の投与に適している、請求項24または25に記載の使用。
  27. 医薬品が、1日1~3回の投与に適している、請求項24~26のいずれか一項に記載の使用。
  28. 医薬品が固体剤形である、請求項24~27のいずれか一項に記載の使用。
  29. 固体剤形が、カプセル剤、錠剤または丸剤である、請求項28に記載の使用。
  30. 医薬品が、液体ビヒクルに溶解または懸濁させたタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項24~27のいずれか一項に記載の使用。
  31. MDSが、一系統(単一系統)に異形成を有するMDS、多系統に異形成を有するMDS、環状鉄芽球を伴うMDS(MDS-RS)、(5q)の単独欠失を伴うMDSなど単独欠失を染色体異常とするMDS、芽球増加を伴うMDS、および分類不能型MDSから選択される、請求項24~30のいずれか一項に記載の使用。
  32. MDSが、非常に低いリスクのMDS、低いリスクのMDS、中程度のリスクのMDS、高いリスクのMDSまたは非常に高いリスクのMDSである、請求項24~31のいずれか一項に記載の使用。
  33. MDSが、慢性骨髄単球性白血病を含む、請求項24に記載の使用。
  34. 医薬品が、哺乳類患者における1つまたは複数の血液学的パラメータを改善するための医薬品であり、改善が、筋芽細胞の減少、ヘモグロビンの増加、血小板の増加、好中球の増加、ヘプシジンの減少、赤血球輸血単位数の低減、輸血頻度の低減、および/または輸血依存度の低減を含む、請求項24~33のいずれか一項に記載の使用。
  35. 骨髄異形成症候群(MDS)の処置を必要とする哺乳類における骨髄異形成症候群(MDS)の処置方法であって、治療有効量のタスキニモドまたはその薬学的に許容される塩の哺乳類への投与による処置である、方法。
  36. 処置が、経口投与による処置である、請求項35に記載の方法。
  37. 処置が、1日当たり0.001mg~0.2mgの量のタスキニモド/体重1kg、または対応する量のその薬学的に許容される塩の投与による処置である、請求項35または36に記載の方法。
  38. 処置が、タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩の1日1~3回の投与による処置である、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩が、固体剤形として投与される、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 固体剤形が、カプセル剤、錠剤または丸剤である、請求項39に記載の方法。
  41. タスキニモドまたはその薬学的に許容される塩が、液体ビヒクルに溶解または懸濁した形で投与される、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
  42. 処置が、放射線療法および/または自家幹細胞移植をさらに含む、請求項35~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. MDSが、一系統(単一系統)に異形成を有するMDS、多系統に異形成を有するMDS、環状鉄芽球を伴うMDS(MDS-RS)、(5q)の単独欠失を伴うMDSなど単独欠失を染色体異常とするMDS、芽球増加を伴うMDS、および分類不能型MDSから選択される、請求項35~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. MDSが、非常に低いリスクのMDS、低いリスクのMDS、中程度のリスクのMDS、高いリスクのMDSまたは非常に高いリスクのMDSである、請求項35~43のいずれか一項に記載の方法。
  45. MDSが、慢性骨髄単球性白血病を含む、請求項35に記載の方法。
  46. 哺乳類患者における1つまたは複数の血液学的パラメータを改善するための、請求項35~45のいずれか一項に記載の方法であって、改善が、筋芽細胞の減少、ヘモグロビンの増加、血小板の増加、好中球の増加、ヘプシジンの減少、赤血球輸血単位数の低減、輸血頻度の低減、および/または輸血依存度の低減を含む、請求項35~45のいずれか一項に記載の方法。
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