JP2024501941A - アフリカブタ熱divaイムノアッセイ - Google Patents

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Abstract

本発明は、試験サンプルにおけるASFV抗体の存在を検出するための、アフリカブタ熱ウイルスCD2vタンパク質の診断的使用、方法、装置およびキット、特に、DIVAイムノアッセイにおけるその使用に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、試験サンプルにおけるアフリカブタ熱ウイルス(ASFV)抗体の存在を検出するための、アフリカブタ熱ウイルス(ASFV)CD2v抗原の診断的使用、方法、装置およびキットに関する。
アフリカブタ熱(アフリカ豚コレラ)(ASF)なる疾患の背景、その原因因子であるASFウイルスおよび該ウイルスを制御する試みは最近の多数のレビューの対象となっている(Ariasら,Vaccines ,35,2017;Galindoら,Viruses ,103,2017;Revillaら,Advances in Vir.Res.100,2018;Sanchezら,Vir.Res.265,150-155,2019;Blomeら,Vir.Res.287,98099,2020;Bosch-Camosら,Porcine Health Management,2020 :17;Dixonら,Annu.Rev.Anim.Biosci.,2020,:221-246)。1900年代初頭、ASFは、ほぼ全ての感染家畜ブタの死亡をもたらす急性出血熱として東アフリカにおいて報告された。感染源は、古代の森林サイクルから広がったウイルスであると特定された。それ以来、ASFVはサハラ以南のほとんどのアフリカ諸国および欧州に広がっている。この疾患の根絶は欧州においては1990年代半ばまでに達成された。2007年にカフカス地方のジョージアに伝播したことは新たな感染時代の予兆となった。なぜなら、ASFVはその後、主に東欧の多数の国に広がったからである。2018年に、世界のブタ頭数の半分を含むと考えられる中国でASFVが検出され、状況は大幅に悪化した。ASFの大きな社会経済的影響は、動物が受ける苦痛、ブタ生産連鎖における事業の損失、疾病管理のコストおよび商業的損失から生じる。伝染病の大流行は国内のブタ集団の劇的なサイズ減少、ならびにブタおよびブタ肉製品の価格の高騰をもたらしうる。ASFは国際獣疫事務局(World Organisation for Animal Health)(OIE)によって届出疾患として列挙されている。
ASFVの宿主域はイノシシ科動物(suid)とヒメダニ(Ornithodoros)属のヒメダニとに限定されている。アフリカにおけるその野生イノシシ科動物宿主においては、ASFV感染は軽度の臨床症状を引き起こし、長期にわたる持続感染をもたらしうる。対照的に、ほとんどのASFV分離体は、家畜ブタおよび野生イノシシにおいて、致死率が100%に近い急性出血熱を引き起こす。家畜ブタおよび野生イノシシで観察される疾患には急性型および超急性型が含まれ、これらは高毒性分離体によって引き起こされ、感染後4~15日以内に死をもたらす。中等度の毒性の分離体はより低い致死率をもたらす(30~70%)。低毒性分離体は低い死亡率をもたらし、または死亡を全くもたらさず、血管病変を引き起こさない。しかし、関節炎のような慢性疾患の徴候が観察されうる。急性ASFの臨床徴候には、高熱、食欲不振ならびに嗜眠および罹患の増加が含まれる。血性下痢、嘔吐および流産も観察されうる。
ASFVは、最大の且つ最も複雑な細胞質二本鎖DNAウイルスの1つである。このウイルスは、単核食細胞系の細胞、主に単球およびマクロファージにおいて複製されるが、他の細胞型にも感染しうる。ASFVビリオンは約200nmの正二十面体構造であり、これは、内部コア、コアシェル(中心殻)、内膜、カプシドを含む、そして細胞外ビリオンにおいては外部エンベロープを含む同心円層によって形成される。このウイルスはアスファウイルス(Asfaviridae)科の唯一のメンバーであり、アスフィウイルス(Asfivirus)属内に分類される。
ASFVゲノムは、ASFV株によって異なる170~190kbpの様々な長さを有する。これは、特にゲノムの多重遺伝子ファミリー(MGF)領域における幾つかのオープンリーディングフレーム(ORF)のサイズのばらつきと、遺伝子および遺伝子間領域内の短いタンデムリピートのばらつきとによるものである。株に応じて、ゲノムは150~167個のORFを含有し、これらはウイルス複製および形態形成ならびに宿主細胞機能の調節および免疫回避に関与している。分子遺伝子型解析に基づいて、ASFVの23個の異なる遺伝子型が現在までに記載されている。
ウイルス感染、免疫原性および病原性におけるASFVの種々の構造タンパク質および非構造タンパク質の役割が過去に研究されており、とりわけ、Jiaら,J.Vet.Res.61,135-143,2017;Blomeら,Virus Research 287,98099,2020;およびBosch-Camosら,Porcine Health Management,2020 6:17においてレビューされている。50個を超えるタンパク質がウイルス粒子内にパッケージングされ、100個を超えるタンパク質が感染に関与する。現在研究中のASFVタンパク質としては、とりわけ、pp220、pp62、p54、p30、p72、p14.5、p17、CD2v、A238Lp、A179Lp、A238Lp、A224Lp、DP71Lp、およびMGFによってコードされるタンパク質が挙げられる。
過去数年間に幾つかの研究グループが、不活化ワクチン、組換えタンパク質/ペプチドワクチン、DNAワクチンおよび弱毒化生ウイルス(LAV)ワクチン候補にわたる新規ワクチン技術を開発してきたにもかかわらず、現在のところ、商業的で効果的で安全なASFVワクチンは存在しない。したがって、現在、ASF疾患と闘うためには、予防、制御および根絶の手段のみが講じられうる。これらは、主に、検査室での診断による早期検出、ならびに厳格な衛生的措置、移動および貿易の制限の実施、ならびに感染集団の殺処分に基づいている。これらの問題は、理論的には、いわゆるマーカーワクチンの使用によって解決されうる。そのようなワクチンは免疫原性ウイルスタンパク質の1以上を欠いており、その結果、マーカーワクチンで免疫化された動物は全ての免疫原性ウイルスタンパク質に対する抗体を産生するわけではない。ワクチン接種動物と感染動物との間のASFV抗体パレット(palette)の違いの検出は、この目的のために設計された診断試験において行われうる。したがって、そのような試験は「感染動物をワクチン接種動物から識別すること」(DIVA)を可能にする。
有効かつ安全なASF(マーカー)ワクチンが利用可能になれば、ASF疾患の制御および根絶プログラムが改善されて、動物福祉が改善され、経済的損失が低減するであろう。しかし、ASFウイルス自体の複雑さ、およびASFVに対する防御免疫の複雑さに対する理解の欠如が、これまでのところ、安全かつ有効なワクチンの商業的利用可能性を妨げている。
不活化ASFVワクチンは安全であるが、強力なアジュバントの存在下でさえも、防御をもたらさない。
ASFVサブユニットワクチンを開発する幾つかの試みが報告されている(Bosch-Camosら,2020,前掲)。現在、40個を超えるASFVタンパク質が研究されている。これらには、p30、p12、p72、p54、p22、CD2vおよびD117Lのようなタンパク質が含まれる。しかし、免疫原性サブユニットタンパク質に基づくワクチンは、病原性ASFVチャレンジに対して、同種(homologous)防御を全くもたらさなかった、または低い同種防御をもたらしたに過ぎない。
弱毒化生ウイルス(LAV)ワクチンは、ASFと闘うための最も有望なタイプのワクチンであると考えられている。最近、宿主免疫応答の遮断および/または病原性に関連する遺伝子が不活性化された生きた複製性ASFV株に基づく組換えLAVを開発する試みが行われている。ASFV株の安全性を改善するための欠失の対象となるASFV遺伝子の例には、とりわけ、DP71L、幾つかのMGF360およびMGF505遺伝子、9GL、DP96R、CD2v、A283L、A224L、EP153R、A276R、DP148R、B119LおよびDP96Rが含まれる。
WO 2018/005358(University of Connecticut)は、親ジョージア2007株の9GL(B119L)遺伝子とUK(DP96R)遺伝子との両方の大部分の欠失から生じる新規突然変異体ASFV-G Δ9GL/ΔUKウイルスを開示している。
WO 2020/049194(University of Madrid)は、Lv17/WB/Rie1と命名されたASFVの野外分離体を開示し、特徴付けしている。このASFV株はラトビアにおいて感染野生イノシシから分離された。該新規ASFV株は経口投与による野生イノシシにおける弱毒化生ワクチンとして使用され、安全かつ有効であることが証明された。
US 2020/0129609(Pirbright Institute)は、5つのMGF360遺伝子、すなわち、10L、11L、12L、13L、14L、および3つのMGF505遺伝子、すなわち、1R、2R、3Rの欠失、ならびに追加的な遺伝子(MGF360 9L、MGF505 4RおよびDP148R)の中断(interruption)を開示している。これらの突然変異は病原性ウイルスの弱毒化をもたらし、該新規突然変異株でのワクチン接種は親ASFV株によるチャレンジに対する100%の防御を誘導した。
現在の世界的なASFV流行と成功裏に闘うためには、安全かつ有効なワクチンが利用可能となることに加えて、真に有効なワクチン接種戦略のための追加的な要件、すなわち、信頼しうるDIVAアプローチを可能にする診断アッセイが利用可能となることが満たされなければならないことが、一般に受け入れられている。一般に、DIVA診断アッセイは、安全かつ有効なDIVAワクチンと共に使用されうるように設計され適合化された診断アッセイである。そのようなアッセイおよび付随的(accompanying)ワクチンは、一緒になって、免疫学的予防および感染監視に基づいて疾患を根絶することを可能にする。基本的には、DIVAワクチンにおける有効成分は、野外で蔓延している病原体(陰性マーカー)とは異なる表現型/遺伝子型特性を示す。
欧州連合ASF参照試験所(European Union Reference Laboratory for ASF)(eurl-asf)によると、現在、PCRが、その優れた感度、特異性、堅牢性およびハイスループット適用ゆえに、家畜ブタ、ブタ、イノシシおよびダニからの任意の種類の臨床サンプルにおけるASFVゲノムを検出するための、疾患の早期検出のための「ゴールドスタンダード」(「至適基準」)検査とみなされている。過去20年にわたり、種々の公知ウイルス遺伝子型に属する広範なASF分離体を検出するために、伝統的なPCRアッセイおよびリアルタイムPCRアッセイの両方を含む種々のPCR試験が開発され、検証されている。これらのPCRアッセイの全ては、任意のASFV分離体の(潜在的)検出が保証されるように、主要ウイルスタンパク質をコードする高度に保存された遺伝子であるVP72コード領域を使用して設計されている。
ELISAによるASFVに対する特異的抗体の検出は、これまでのところ、国際貿易のためにOIEによって規定された試験である。現在、抗原として生ウイルスを使用することに基づく試験の幾つかのOIE「組織内(in house)」形態だけでなく、多数のASF ELISA変法が利用可能である。3つの市販ELISAキット(INGENASA、IDVETおよびSVANOVIR)が検証されており、抗ASFV抗体の検出に利用可能である。これらのELISAアッセイは、p72、p32、pp62およびp54のようなこれまでに記載されている最も抗原性のタンパク質に基づいている(https://asf-referencelab.info/asf/en/procedures-diagnosis/diagnostic-proceduresを参照されたい)。
Kollnbergerら(J.Gen.Virol.83,1331-1342,2002)は、発現されたASFVタンパク質を回復期抗血清でELISAスクリーニングすることによってASFVの主要な血清学的免疫決定基を特定し、ELISAにおいて認識される抗体応答を刺激する14種類のウイルスタンパク質を特定した。これらには、これまでに未帰属であったORF(B602L、C44L、CP312R、E184L、K145RおよびK205R)によってコードされる6つのタンパク質、ならびにより詳細に研究されている構造タンパク質(A104R、p10、p32、p54およびp73)および非構造タンパク質[RNAレダクターゼF334Lp、F778Rp、DNAリガーゼ(NP419Lp)およびチミジンキナーゼ(K169Rp)]が含まれる。
WO 2020/102370においては、ASFV回復期血清を使用して、ASFV診断用抗原が検証された。KPI712と称されるキメラ抗原は、診断抗原としてこれまでに評価されているp32、p54、p72およびpp62よりも強力に認識された。
しかし、前記文献はいずれも、一方では診断アッセイにおいて抗原として使用可能であり他方ではDIVAを可能にするマーカーワクチンにおける付随的マーカー免疫原として使用可能であるASFVタンパク質を特定していない。
したがって、ASFVマーカーワクチンでワクチン接種された動物からのサンプルと、野外で蔓延しているASFVに感染した動物からのサンプルとを血清学的に識別しうるインビトロ診断アッセイを提供することが、本発明の目的である。
実施例で使用される完全長ASFV CD2vタンパク質、そのドメインおよび断片の概要図。番号付けはGenBankアクセッション番号CAD2068420に基づいている。 種々のASFV株のASFV CD2vタンパク質のアミノ酸配列アラインメント。MView(https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/mview/)でのアライメントの視覚化。番号1~8は遺伝子型II株、血清群8 CD2vである。番号9~15は遺伝子型I株、血清群4 CD2vである。配列番号との対応を以下に示す。
Figure 2024501941000002
種々の血清サンプルに関してELISA[CD2「16-204」抗原(すなわち、CD2「16~204」抗原;以下同様)]において450nmで測定された相対光学濃度。 種々の血清サンプルに関してELISA(CD2「132-204」抗原)において450nmで測定された相対光学濃度。 種々の血清サンプルに関してELISA(CD2「132-204」抗原)において450nmで測定された相対光学濃度。 種々のサンプル希釈剤における幾つかの血清サンプル希釈度で450nm(CD2「132-204」抗原)で測定されたELISA光学濃度。 ELISAの性能に対するCD2v断片のサイズの影響。種々の長さのCD2v断片と、1:300に希釈された種々の血清サンプルとを使用して、ELISA光学濃度を450nmで測定した。注意:CD2v断片132-204は、血清S13、S15、S19またはS21では、ペプチド物質の欠如ゆえに、試験されなかった。 ELISAのP/N比に対するサンプル希釈剤における界面活性剤濃度の影響。使用したCD2vペプチド断片はCD2「132-204」であり、一連の希釈度の種々の血清サンプルを使用した。 ELISAのP/N比に対するサンプル希釈剤における塩濃度の影響。CD2「132-204」ペプチドを使用し、幾つかの希釈度の血清サンプルを使用した。注意:C-67血清に関するデータ点はS3血清のものと完全に重なっている。 ELISAのP/N比に対するサンプル希釈剤におけるPBSバッファーの影響。CD2「132-204」ペプチドを使用し、幾つかの希釈度の血清サンプルを使用した。
発明の説明
驚くべきことに、この目的は、抗ASFV抗体の検出のためのインビトロ診断イムノアッセイであって、単離されたASFV CD2v抗原に基づくものによって達成されうることが見出された。
ASFV感染動物と、ASFV(CD2-)マーカーワクチンでワクチン接種された動物とを有効に識別するために、単離されたASFV CD2v抗原が使用可能であるという観察は、その流行と闘うためのDIVA戦略の実施を初めて可能にするものである。
この有利な観察に至った重要な段階は、ASFV CD2vタンパク質が弱い免疫原であるという先行技術における報告(Ruiz-Gonzalvoら,Virology 196,769-777,1993;Argilaguetら,PLoS ONE 7(9):e40942.doi:10.1371/journal.pone.0040942;Gomez-Puertasら,J.of Virol.Aug.1996,p.5689-5694;Lokhandwalaら,Vet.Micr.235,10-20,2019およびPLoS ONE 12(5):e0177007.https://doi.org/10.1371/journal.pone.0177007,2017)にもかかわらず、単離されたASFV CD2v抗原が本発明の目的のためにイムノアッセイにおいて有利に使用されうるという発明者らによる認識であった。
付随的LAV CD2v-マーカーワクチンでワクチン接種された動物から得られた試験サンプルは、野生型ASFV株に感染した動物から得られた試験サンプルから、必要な特異性および感度で血清学的に識別されうる(実施例1~3)。この観察は、獣医学界が長年待ち望んでいたDIVA戦略でASFの流行と闘うことを初めて可能にするものである。
実施例はまた、CD2v抗原に基づく抗体ELISAにおいては、抗ASFV抗血清における成分とイムノアッセイにおけるASFV CD2v抗原との非特異的結合が生じた結果として、回復期ASFVブタ抗血清がASFV陰性対照ブタ血清サンプルから確実には識別され得なかったことを示している。サンプル希釈剤での回復期ブタ血清サンプルの処理は以下のことを示した:(i)ASFVのCD2vタンパク質が、十分な特異性および感度でブタ試験サンプルにおける抗CD2v抗体の存在または非存在を検出するための抗原としてイムノアッセイにおいて使用されうること、(ii)CD2vタンパク質(EP402R)をコードするASFV遺伝子が、DIVAワクチンとして使用されうるLAV ASFV株を与える遺伝的修飾の適切な標的であること、(iii)野生型ASFVにおけるCD2vタンパク質が、ブタにおける検出可能な抗CD2v抗体応答を誘導するのに十分な免疫原性を有すること、ならびに(iv)修飾LAV ASFVが、DIVAを可能にする有利な診断プロトコールにおけるイムノアッセイにおいて併用されうること。
したがって、第1の態様においては、本発明は、固体支持体に結合した単離されたアフリカブタ熱ウイルス(ASFV)CD2vタンパク質またはその抗原性断片の、イムノアッセイにおける抗原としての使用であって、CD2vタンパク質またはその抗原性断片が、付随的ASFV弱毒化生ウイルスCD2v-マーカーワクチン(LAV CD2v-マーカーワクチン)でワクチン接種されたブタから得られた試験サンプルにおけるASFV抗体の存在(非存在を含む)を検出するために使用されることを特徴とする、前記使用を提供する。
ASFV CD2vタンパク質は、公知であり十分に確立されたASFVタンパク質である(Borcaら,Virology 199,463-468,1994;Rodriguezら,J.Gen.Virol.67,5312-5320,1993)。それは、インビトロでASFV感染細胞の赤血球吸着表現型をもたらす、約105kDaの相対分子量を有する糖タンパク質であり、ASFVゲノム上のEP402R遺伝子によってコードされている。このASFVタンパク質は細胞Tリンパ球表面接着受容体CD2タンパク質のウイルスホモログ(CD2v)である。配列データおよびハイドロパシー(疎水性親水性指標)プロファイルに基づけば、ASFV CD2vタンパク質は典型的な(CD2)クラスIII膜貫通タンパク質に類似している。一般に、完全長ASFV CD2vタンパク質は以下の4つの異なる部分を含有する:(i)タンパク質のN末端側の疎水性リーダー、(ii)多数の潜在的なN結合グリコシル化部位を含む親水性細胞外ドメイン、(iii)膜貫通ドメインとして機能するアミノ酸の疎水性伸長、および(iv)ヘキサペプチド(PPPKPC)の多数の典型的な不完全反復を含有するC末端親水性細胞質ドメイン(図1)。多数のASFV株のEP402遺伝子およびASFV CD2vタンパク質に関する詳細な情報[ASFV遺伝子のゲノム位置、ヌクレオチド/アミノ酸配列情報(のアラインメント)、4つのCD2vドメインの特定、および他のアノテーションを含む]が、図2、ならびに欧州連合アフリカブタ熱参照試験所(EURL-ASF)のような種々の公的な核酸配列およびタンパク質配列のデータベース[例えば、NCBIゲノムデータベース、UniProt、EMBL/GenBank、およびCentro de investigacion en sanidad animal(CISA-INIA)における欧州連合アフリカブタ熱参照試験所(European Union reference laboratory for African Swine Fever)(EURL-ASF)(https://asf-referencelab.info/asf/en/sequence-data-base)]において見出されうる。ZhuおよびMeng(Database,1-9,2020)において、該著者はASFVデータベースの確立を報告しており、該データベースにおいては、集合的な公的なゲノムおよびプロテオームASFV情報が収集されており、利用可能となる。ASFVdbは、http://asfvdb.popgenetics.netおよびviruSITEゲノムブラウザ;http://virusite.org/index.php,Stano,M.,Beke,G.,Klucar,L.(2016):viruSITE - integrated database for viral genomics.Database(Oxford).baw162.doi:10.1093/database/baw162において自由にアクセス可能である。
本発明で用いるCD2v ASFVタンパク質およびそのポリペプチド断片の配列は、本明細書に開示されている特定の配列とは異なりうる。これは、前記の公的配列データベースおよび図2から入手可能な配列から明らかなとおり、ASFV株間の、存在する自然配列変異によるものである。本明細書に記載されている特定のCD2vアミノ酸配列および特定の配列番号付けはASFV参照株ジョージア(Georgia)2007/1に関するものであり、GenBankアクセッション番号CAD2068420(配列番号1)においても開示されている。その完全なゲノムヌクレオチド配列、およびジョージア2007/1のゲノムによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号FR682468においても示されている。
特に、本明細書中で用いるASFV CD2vタンパク質は、重複(MUSCLEアルゴリズム www.ebi.ac.uk/Tools/msa/muscle/でのアライメント)の領域において、配列番号2(CD2「16-204」)に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、配列番号2に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む細胞外ドメインを含むタンパク質として定義される。
本発明の文脈においては、前記のASFV CD2vタンパク質の抗原性断片も抗原として使用されうる。そのような抗原性断片はCD2vタンパク質のトランケート化(truncated)形態を表し、野生型ASFVに感染したブタから得られた試験サンプルにおける抗ASFV CD2v抗体によって認識されうる1以上のエピトープを含むポリペプチドである。
好ましくは、抗原性断片は、CD2vタンパク質の細胞外ドメインまたは細胞外ドメインの抗原性断片を含むポリペプチドである。
ASFV CD2vタンパク質の細胞外ドメインは膜貫通ドメインのN末端側に位置する。
ASFV CD2vタンパク質の細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインは、例えばKyteおよびDoolittle(J.Mol.Biol.157,105-132)ならびにRodriguezら(J.Virol.67,5312-5320,1993)によって記載されているような当技術分野で公知の方法によって、その典型的なアミノ酸配列に基づいて特定されうる。あるいは、そのようなドメインは公知ASFV株の公的配列データベースに開示されており、または公的配列データベースから入手可能なASFV細胞外ドメインのアミノ酸配列の1以上とのアミノ酸配列アライメントによって特定されうる。例えば、Georgia 2007/1 CD2vタンパク質の4つのドメインはおよそ以下のアミノ酸領域に伸長している:リーダー:aa(アミノ酸)1~15;細胞外ドメイン:aa 16~204;膜貫通領域:aa 205~229;および細胞外ドメイン:aa 230~360(ここで、アミノ酸番号は参照アミノ酸配列配列番号1の番号付けに関して示されている)。
特に好ましい実施形態においては、ASFV CD2vタンパク質の細胞外ドメインは、重複の領域において、配列番号2に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、配列番号2に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう1つの好ましい実施形態においては、本発明における使用のための細胞外ドメインの抗原性断片は、重複の領域において、配列番号3(CD2「132-204」)に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、配列番号3に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
より好ましい実施形態においては、本発明における使用のための細胞外ドメインの抗原性断片は、重複の領域において、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
最も好ましい実施形態においては、本発明における使用のための細胞外ドメインの抗原性断片は、重複の領域において、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号25に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号25に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
本発明の場合、配列番号3はCD2「132-204」であり、配列番号23はCD2「132-194」であり、配列番号24はCD2「142-204」であり、配列番号25はCD2「142-194」である。
実施例において、(遺伝子型II株の)細胞外ドメインのCD2「132-204」断片がELISAにおける抗原として使用された場合、遺伝子型I陽性試験サンプルもこの抗原と反応することが示されており、一方、完全な細胞外ポリペプチドCD2「16-204」は遺伝子型I陽性サンプルにおける抗体によっては認識されないことも示されている。したがって、CD2「132-204」断片は、LAV株に付随する遺伝子型Iまたは遺伝子型IIのいずれかによってワクチン接種されたブタからのサンプルと、無傷CD2v遺伝子を含有する野生型ASFVに感染したブタからのサンプルとを血清学的に識別するためのDIVAイムノアッセイにおいて、本発明に従い有利に使用されうる。
したがって、より一層好ましい実施形態においては、本明細書中で用いる細胞外ドメインの抗原性断片は、重複の領域において、配列番号3(CD2「132-204」)に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、配列番号3に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
更により一層好ましい実施形態においては、本明細書中で用いる細胞外ドメインの抗原性断片は、重複の領域において、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
最も好ましい実施形態においては、本明細書中で用いる細胞外ドメインの抗原性断片は、重複の領域において、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号25に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号25に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
あるいは、本明細書中で用いる細胞外ドメインの抗原性断片は、配列番号1に示されている断片132~194、132~214、122~194、122~204または142~214のいずれか、ならびに配列番号1に示されている断片132~194、142~204または142~194のいずれかに対して、重複の領域において、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
前記のASFV CD2v抗原は、ASFウイルスに関して公知の任意の血清群、特に血清群4または8、好ましくは血清群8のものでありうる。
ASFV血清群のクラスター化は、同じグループに属する血清によるASFV赤血球吸着表現型の抑制の検査に基づく。現在、血清群1~8の存在が確定されている(Malogolovkinら,J.Gen.Virol.96,866-873,2015)。
更に、前記のASFV CD2v抗原は、タンパク質発現の検出または抗原の精製を可能にするタグを含みうる。適切なタグには、Chatterjee(Opin.Biotech 17,353-358,2006)に開示されているとおり、6×Hisタグ、c-Mycドメイン:EQKLISEEDL(配列番号4)、血球凝集素タグ:YPYDVPDYA(配列番号5)、マルトース結合タンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、FLAGタグペプチド、ビオチンアクセプターペプチド、ストレプトアビジン結合ペプチドまたはカルモジュリン結合ペプチドが含まれる。FLAGタグまたはHisタグが好ましいタグである。
本明細書中で用いるCD2v抗原の製造には、細菌、酵母、真菌、昆虫および脊椎動物の細胞発現系を含む、一般的な及び商業的に利用可能な通常のペプチド合成法ならびに組換えDNA発現系および方法が使用されうる。原核生物および真核生物の発現系に関する詳細な指針は、とりわけ、例えば以下のような組換えDNA発現法に関する総説および教科書に記載されている:Trepe,K.,Applied Microbiology and Biotechnology,72,Number 2(2006),211-222;Production of Recombinant Proteins:Novel Microbial and Eukaryotic Expression Systems,Gellissen,G編.Publisher:Wiley-VCR,ISBN:3527310363 edition 2005,Expression systems,Michael DysonおよびYves Durocher編,Scion Publishing Ltd,ISBN 9781904842439 edition 2007。
有利には、CD2v抗原は、バキュロウイルス昆虫細胞発現系を使用することによって製造されうる。この系を例示する科学論文、教科書および総説の例としては、Luckowら,1988,Bio-technology,vol.6,p.47;Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual by David R.O’Reilly,Oxford University press,1993,ISBN:0716770172;The Baculovirus Expression System:A laboratory guide,King & Possee編,1992,ISBN:9401050473が挙げられ、総説としては、van Oersら,2015,J.of Gen.Virology,96,6-23が挙げられる。大腸菌および昆虫細胞系におけるASFVポリペプチドの発現および精製は、例えば、Lokhandwalaら,PLOS ONE,May 2017、およびKollnbergerら(前掲)に記載されている。
本発明における使用のためのバキュロウイルスの効率的作製のための手段およびキットが商業的に入手可能であり、それらとしては、例えば、Bac-to-Bac(商標)(Thermo Fisher Sci.,Waltham,MA.,USA);ProEasy(商標)(AB Vector,San Diego,CA.,USA);およびflashBAC(商標)(Oxford Expression Technologies,Oxford,UK)が挙げられる。
「マーカーワクチン」は獣医ワクチン学の分野におけるよく知られた概念である。マーカーワクチンは、野生型形態と比較して少なくとも1つのエピトープを欠く又は異なる形態のエピトープを有する点で対応野生型ポリペプチド免疫原とは免疫原性において異なる改変されたポリペプチド免疫原を含む、および/または発現する。典型的には、マーカーワクチンにおける、またはマーカーワクチンによって発現されるポリペプチド免疫原(をコードする遺伝子)は生化学的技術または組換えDNA技術によって改変されており、その結果、マーカーワクチンにおける改変免疫原における野生型部分に対する抗体応答の欠如を利用して、ワクチン接種に無関係な感染動物を血清学的に検出することが可能である。これは血清学的DIVAを可能にするであろう。典型的には、改変免疫原は、存在しない免疫原であり、または野生型ポリペプチド免疫原の断片である。
本明細書中で用いる免疫原なる語は、生物の免疫系による特異的抗体応答を誘発する分子(例えば、タンパク質またはポリペプチド)の能力を指し、一方、抗原なる語は、生物の免疫系によって産生される抗体に特異的に結合する分子の能力を指す。
本明細書中で用いるエピトープは、この部分に特異的な抗体応答を誘発しうる、および/またはそのような応答によって産生される特異的抗体に結合しうる、タンパク質またはポリペプチド内の、典型的には5~15アミノ酸の伸長である。
本明細書中で用いるLAV CD2v-マーカーワクチンは、野生型ASFV株のCD2vポリペプチド免疫原から血清学的に識別可能な改変CD2vポリペプチド免疫原を発現しうる弱毒化生複製性ASFVマーカーワクチン株を含むワクチンである。
「付随的(accompanying)」LAV CD2v-マーカーワクチンは、前記のCD2v-マーカーワクチン株を含むワクチンを意味し、ここで、改変CD2vポリペプチド免疫原はイムノアッセイにおけるCD2vポリペプチド抗原とアライメントされ、イムノアッセイにおけるCD2vポリペプチド抗原とは異なるように設計され、その結果、該CD2vポリペプチド抗原は、CD2vポリペプチド免疫原の野生型部分に特異的な試験サンプル中の抗体を血清学的に検出しうるが、CD2vポリペプチド免疫原の改変部分に特異的な抗体を認識し得ない。
したがって、付随的LAV CD2v-マーカーワクチンは前記のCD2v-マーカーワクチン株を含み、該ワクチン株はブタにおいて有効な免疫応答を誘発して、野生型ASFVに感染したブタの血清サンプルにおける抗体レパートリーに存在する抗体を欠くワクチン接種ブタの血清サンプルにおける抗体レパートリーを生成する。したがって、感染動物とワクチン接種動物または陰性動物との識別は、マーカーワクチンに欠けている1以上のASFV CD2vエピトープに特異的な抗体を検出するイムノアッセイに基づく。
特に、付随的LAV CD2v-マーカーワクチンは、トランケート化CD2vタンパク質を含む及び/若しくは発現しうる、またはCD2vタンパク質を含まない及び/若しくは発現し得ないASFV CD2v-マーカーワクチン株を含む。好ましくは、トランケート化CD2vタンパク質は、細胞外ドメインまたはその断片を欠くCD2vタンパク質のポリペプチド断片である。
より好ましくは、トランケート化CD2vタンパク質は、細胞外ドメインの断片を欠くCD2vタンパク質のポリペプチド断片である。
より一層好ましい実施形態においては、トランケート化CD2vタンパク質は、重複の領域において、配列番号3(CD2「132-204」)に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、配列番号3に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、CD2vタンパク質の細胞外ドメインの断片を欠くCD2vタンパク質のポリペプチド断片である。
更により一層好ましい実施形態においては、トランケート化CD2vタンパク質は、重複の領域において、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、CD2vタンパク質の細胞外ドメインの断片を欠くCD2vタンパク質のポリペプチド断片である。
最も好ましい実施形態においては、トランケート化CD2vタンパク質は、重複の領域において、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号25に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号25に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、CD2vタンパク質の細胞外ドメインの断片を欠くCD2vタンパク質のポリペプチド断片である。
更により好ましい実施形態においては、トランケート化CD2vタンパク質は、重複の領域において、配列番号3(CD2「132-204」)に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、配列番号3に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含む、CD2vタンパク質の細胞外ドメインの断片を欠くCD2vタンパク質のポリペプチド断片である。
更により一層好ましい実施形態においては、トランケート化CD2vタンパク質は、重複の領域において、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含む、CD2vタンパク質の細胞外ドメインの断片を欠くCD2vタンパク質のポリペプチド断片である。
最も好ましい実施形態においては、トランケート化CD2vタンパク質は、重複の領域において、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは、配列番号25に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号25に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含む、CD2vタンパク質の細胞外ドメインの断片を欠くCD2vタンパク質のポリペプチド断片である。
付随的LAV CD2v-マーカーワクチンでワクチン接種されたブタから得られた試験サンプルにおけるASFV抗体の存在(非存在を含む)を検出する前記のイムノアッセイにおけるASFV CD2v抗原の使用の特定の実施形態においては、ASFV CD2v抗原は、CD2v-マーカーワクチン株の、またはCD2v-マーカーワクチン株によって発現される改変CD2vポリペプチド免疫原と共通のエピトープ、特に重複するアミノ酸配列を有さない。重複するアミノ酸配列を有さないは、イムノアッセイにおけるASFV CD2v抗原と、LAV CD2v-マーカーワクチン株の又はLAV CD2v-マーカーワクチン株によって発現される改変CD2vポリペプチド免疫原とが、CD2vタンパク質の、異なる領域に由来し、それらの末端において重複を示さないことを意味する。
より好ましくは、前記のとおり、イムノアッセイにおけるASFV CD2v抗原と、付随的マーカーワクチンにおける改変CD2vポリペプチド免疫原とは、ASFV CD2vタンパク質の細胞外ドメインの、2つの異なる重複しない断片を表す。
適切な弱毒化生ASFV CD2v-マーカーワクチン株は当技術分野で公知であり、または例えばCRISPR-Casもしくは相同組換えのような標準的な方法を用いる組換えDNA技術によって製造可能であり、または野外から分離されうる。
最近、ASFV株を遺伝的に修飾することによるASFV LAV株の(合理的)設計を開示する種々の研究活動の結果が公開された(前掲のASFVの総説およびそこに引用されている参考文献を参照されたい)。これらの先行技術文献は、弱毒化された有効なASFVワクチン株を得るために突然変異されうる種々のASFV遺伝子を開示している。
先行技術はまた、改変CD2vタンパク質を含む又は発現する種々のASFV突然変異株の作製を開示している:Gallardoら(Transbound.Emerg.Dis.66,1399-1404,2019)およびBarasonaら(Front.Vet.Sci.6;137,2019)。ASFV株Lv17/WB/Rie1(WO 2020/049194)が家畜ブタおよび野生イノシシの免疫化の後のその安全性および有効性プロファイルに関して試験されている。Lv17/WB/Rie1は、トランケート化CD2vタンパク質(突然変異EP402R遺伝子によってコードされる)を有する、およびインビトロで非赤血液吸着表現型を有する自然弱毒化株である。もう1つの天然に存在する非病原性ASFV分離体OURT88/3は、CD2vの細胞質ドメインをコードする配列にフレームシフト突然変異を含み、その結果、最後の215個のアミノ酸が翻訳されない。Borcaら(J.Virol.72,2881-2889,1998およびSci Rep.2020,10:494)およびMonteagudoら(J.Virol.91,2017,91(21):e01058-17)は、それぞれ、ASFV株Malawi(マラウイ)、Georgia(ジョージア)2007/1およびBA71に基づく、組換えDNA技術によるCD2v欠失突然変異体の作製を開示している。Chenら(Sci China Life Sci,63,2020)は、ブタにおける弱毒化生ウイルスワクチンとして有効かつ安全である、7個の遺伝子が欠失したASFV株(HLJ/18)の作製を開示している。欠失のなかでもとりわけ、CD2vタンパク質をコードする遺伝子もHLJ/18においては欠失している。
本発明において使用されるASFV CD2v抗原およびASFV CD2v-マーカーワクチン株は例えば以下の株の1つのような任意のASFV遺伝子型または任意のASFV株に由来しうる:Georgia 2007/1、Benin(ベニン)97/1、Kenyan(ケニア)およびMalawi。好ましいASFV遺伝子型はIまたはIIである。ASFVの遺伝子型決定は、ASFV主要カプシドタンパク質に相当するp72タンパク質(B646L遺伝子によってコードされる)のC末端の部分配列決定によってASFVゲノムを遺伝的に特徴付けることに基づく。この方法は現在までに24個の異なる遺伝子型を決定している(Bastosら,Arch.Virol.2003 Apr;148:693-706.2003;Quemboら,Transbound.Emerg.Dis.;65,420-431,2018)。
好ましい実施形態においては、付随的LAV CD2v-マーカーワクチンは、WO 2020/049194に開示されているASFV株Lv17/WB/Rie1に基づいており、ASFV CD2v抗原は、重複の領域において、配列番号3(CD2「132-204」)に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、配列番号3に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
より好ましい実施形態においては、付随的LAV CD2v-マーカーワクチンは、WO 2020/049194に開示されているASFV株Lv17/WB/Rie1に基づいており、ASFV CD2v抗原は、重複の領域において、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
最も好ましい実施形態においては、付随的LAV CD2v-マーカーワクチンは、WO 2020/049194に開示されているASFV株Lv17/WB/Rie1に基づいており、ASFV CD2v抗原は、重複の領域において、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号25に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号25に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
本発明において使用される付随的LAV CD2v-マーカーワクチンは、商業的に入手可能な弱毒化生ウイルスワクチンで一般的に使用される方法のような通常の方法によって製造されうる。簡潔に説明すると、感受性基質に前記の弱毒化生CD2v-マーカーワクチン株を接種し、ウイルスが所望の力価まで複製するまでそれを増殖させ、その後、ASFV含有物質を回収する。次いで、必要に応じて精製されおよび/または濃縮された該回収物質を、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に、免疫化特性を有する医薬製剤へと製剤化する。担体には、安定剤、保存剤およびバッファーが含まれる。適切な安定剤は、例えば、SPGA(スクロース、ホスファート、グルタマートおよびアルブミン)、炭水化物(例えば、ソルビトール、マンニトール、デンプン、スクロース、デキストラン、グルタマートまたはグルコース)、タンパク質(例えば、乾燥乳清、アルブミンまたはカゼイン)またはそれらの分解産物である。適切なバッファーは、例えば、PBSバッファー、TrisバッファーまたはHEPESバッファーである。適切な保存剤はチメロサール、メルチオラートおよびゲンタマイシンである。
ワクチンは、ASF疾患に対してブタを防御するのに有効な量で、筋肉内、皮下、皮内、経口または鼻腔内の接種または注射によって投与されうる。この量は、動物の年齢および体重を考慮して、接種される動物に応じて変動しうる。
実施例においては、共に前記で定義されているDIVA診断アッセイと付随的DIVA LAV CD2v-マーカーワクチンとの併用によって、成功したASFV DIVAアプローチが初めて確立されたことが実証されている。本発明者らは、一方では、ASFV CD2vが野生型ASFVにおける適切な免疫原に相当し、他方では、ASFV CD2vが、DIVAを可能にする必要な特異性および感度でイムノアッセイにおいて使用されうる適切な抗原にも相当することを確認した。前記のDIVA法は、感染の存在に関する血清学的監視の可能性を維持しながらワクチン接種を可能にし、それによって、容易に規模拡大可能な、動物におけるASFと闘うための強力かつ実用的な手段を初めて提供するものである。なぜなら、とりわけ、該方法は、高度な封じ込め施設においてそのような方法を実施することを要する生きた感染性ASFVの使用を伴わないからである。
したがって、特定の実施形態においては、前記のASFV CD2v抗原は、イムノアッセイがDIVAイムノアッセイであることを特徴とするイムノアッセイにおいて使用される。
一般に、感染動物とワクチン接種動物とを最終的に識別するためには、試験スコアが陽性または陰性として解釈される必要がある。実際には、それは、特定の閾値を上回る又は下回ることを意味する。これは、例えば実施例に記載されているとおり、試験サンプルと並行して試験される幾つかの参照サンプルを該方法に組み込むことによって簡便に行われうる。陽性および陰性の参照サンプルはブタにおいて調製可能であり、または幾つかの機関および世界中の(国内)参照試験所(例えば、European Union Reference Laboratory for ASFV,Centro de investigacion en sanidad animal(CISA-INIA),Madrid,Spain)から入手可能である。
前記のイムノアッセイにおいて使用される固体支持体は、原則として、任意の固体支持体でありうる。ただし、それは、本発明による使用の性能を可能にするもの、特に、固体支持体への前記のASFV CD2v抗原の結合を可能にするものでなければならない。それは種々のサイズ、形状または形態のものでありうる。結合は、通常の手段、例えば共有結合または非共有結合相互作用(すなわち、吸着またはコーティング)によって生じうる。あるいは、結合は、アビジンでコーティングされた固体支持体に結合したビオチン化CD2v抗原を介して達成されうる。
特に、固体支持体はマイクロタイタープレート、バイアル、ビーズペーパー(bead paper)ストリップ、膜、ゲルまたは側方流動ストリップである。好ましくは、固体支持体はマイクロタイタープレートである。
もう1つの態様においては、本発明は、ASFV感染動物(陽性試験結果)とワクチン接種動物(陰性試験結果)とを識別するための方法を提供し、ここで、該方法はイムノアッセイであり、固体支持体に結合した前記の単離されたASFV CD2vタンパク質またはその抗原性断片が抗原として使用され、マーカーワクチンは付随的LAV CD2v-マーカーワクチンであり、該方法は、該抗原に結合するASFV CD2v抗体の存在に関して、動物から得られた試験サンプルを試験する工程を含むことを特徴とする。
本発明のこの追加的な態様およびその実施形態においては、ここにおいて及びこの態様の種々の実施形態において言及される特定の用語の定義は、前記の第1の態様に関して記載されているものと同じである。
この態様の1つの実施形態においては、本発明は、抗原性断片が、CD2vタンパク質の細胞外ドメインまたは細胞外ドメインの抗原性断片を含むポリペプチドであり、より詳細には、細胞外ドメインの抗原性断片が、配列番号3(CD2「132-204」)に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、より一層詳細には、細胞外ドメインの抗原性断片が、重複の領域において、配列番号3(CD2「132-204」)に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含む、前記方法を提供する。
この態様の好ましい実施形態においては、細胞外ドメインの抗原性断片は、重複の領域において、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号23および24から選択される配列に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
この態様の最も好ましい実施形態においては、細胞外ドメインの抗原性断片は、重複の領域において、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性、より一層好ましくは、配列番号25に対して少なくとも99%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは、配列番号25に対して100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
この態様のもう1つの実施形態においては、本発明は、付随的LAV CD2v-マーカーワクチンが、改変CD2vポリペプチド免疫原を含む及び/又は発現するASFV CD2v-マーカーワクチン株を含み、より詳細には、改変CD2vポリペプチド免疫原がCD2vタンパク質の細胞外ドメインまたはその断片を欠いており、あるいは、ASFV CD2v抗原と改変CD2vポリペプチド免疫原とが、重複するアミノ酸配列を有さない(全て前記のとおりである)、前記方法を提供する。
前記の本発明の種々の態様において使用されるイムノアッセイの設計は、固体支持体に結合した抗原に基づく一般的に使用されるイムノアッセイに類似している。原則として、イムノアッセイは、抗体-抗原複合体の形成、およびそれに続く、そのような複合体の存在(非存在を含む)の後続試験に基づく。以下に挙げるようなハンドブックは、本明細書において使用されうる種々の診断アッセイおよびそれらの特定の特徴を記載している(Handbook of Immunoassay Technologies,Vashist,Sandeep K.およびLuong,John H.T.,2018;ならびにImmunoassays:Development,Applications and Future Trends,R.O’Kennedy,C.Murphy 2017)。
本発明において使用されるASFVイムノアッセイのための準備、プロトコール、標準操作手順、試薬などに関する詳細な情報も、例えば、European Union Reference Laboratory for ASFV(前掲)、FAO(Beltran-Alcrudoら,2017,African swine fever:detection and diagnosis - A manual for veterinarians.FAO Animal Production and Health Manual No.19,Rome)およびGallardoら,Virus Research 271,197676,2019に開示されている。
本発明による方法のより詳細な実施形態においては、該方法は、
1.アッセイ混合物中で試験サンプルを抗原と共にインキュベートする工程、
2.アッセイ混合物中でASFV CD2v抗体-抗原複合体の形成を可能にする工程、および
3.アッセイ混合物中の抗体-抗原複合体の存在を検出する工程
を含む。
この実施形態においては、抗体-抗原複合体の存在の検出は、標識に結合した検出用抗体の使用を含みうる。特に、それは、該複合体を抗体標識コンジュゲートと接触させることを含みうる。
標識の性質は重要ではなく、イムノアッセイにおいて常套的に使用される任意の標識でありうる。標識は、検出可能なシグナルを与える、または検出可能なシグナルを誘発しうる実体である。
特に、標識は酵素、発蛍光団、発色団、放射性同位体、酵素基質、化学発光分子または金コロイドである。
好ましくは、標識は、特にビオチン/アビジン結合によって、検出用抗体に直接的または間接的に結合されうる酵素である。
典型的には、本明細書中で用いる酵素はホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)であり、酵素基質はTMB(3,3’,5.5’テトラメチルベンジジン)である。
前記の本発明の特に好ましい実施形態においては、イムノアッセイはELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)である。ELISAの利点には、その実用性、信頼性、迅速性、および規模拡大(スケールアップ)の容易さが含まれる。ELISAは当技術分野でよく知られており、形態およびプロトコルにおいて種々のタイプのものが本明細書において適用されうる。
前記のイムノアッセイは直接的または間接的な抗原抗体反応に基づきうる。直接的アッセイは抗原へのサンプル抗体の1工程の結合を含む。間接的アッセイは、一次(サンプル)抗体と、一次抗体に結合しうる標識化二次(検出用)抗体との使用を含む2工程の結合プロセスを含む。イムノアッセイは競合イムノアッセイであることも可能であり、この場合、サンプル中の抗体が、抗原に結合しうる標識化二次抗体と、限られた数の抗原結合部位に関して競合する。
前記の本発明による好ましい方法においては、
1.アッセイ混合物中で試験サンプルを固体支持体結合抗原と共にインキュベートする工程、
2.抗ASFV CD2v抗体を認識しうる標識化抗体をアッセイ混合物に加える工程、
3.アッセイ混合物に酵素基質を加えて、検出可能なシグナルを生成させる工程、および
4.シグナルを測定する工程
を含む間接的ELISAが使用される。
発色させるために発色基質をアッセイ混合物に加えると、高い抗体濃度を有するサンプルは、より低い抗体濃度を含むものより高いシグナルを生成する。
前記の本発明によるもう1つの好ましい方法においては、
1.試験サンプル、および抗原に結合しうる抗体を、固体支持体結合抗原と共にアッセイ混合物中でインキュベートする工程、
2.アッセイ混合物に酵素基質を加えて、検出可能なシグナルを生成させる工程、および
3.シグナルを測定する工程
を含む競合的ELISAが使用される。
発色させるために発色基質をアッセイ混合物に加えると、高い抗体濃度を有するサンプルは、低い抗体濃度を含むサンプルより低いシグナルを生成して、サンプル中の抗体濃度とアッセイにおける発色との間に逆相関が生じる。
ELISAの結果は、読み取りに使用される技術的装置の特性および設定に応じて、通常、任意の吸光度単位、典型的には、0.1~2.5の光学濃度(OD)単位で表される。通常、適切な陽性対照サンプルおよび陰性対照サンプルが含まれ、ほとんどの場合、サンプルは複数回、試験される。標準化は、定められた参照サンプル(の希釈範囲)を含めることによって達成され、これは、陽性または陰性を決定するための予め設定された閾値に或るスコアを照合することをも可能にし、生物学的意義に対する相関、例えば、野生型ウイルスに感染している動物と、マーカーワクチンでワクチン接種された動物との識別を可能にする。
特に好ましいELISAは実施例に示されている。
本発明によるもう1つの方法においては、イムノアッセイは側方流動(イムノクロマトグラフィー)アッセイである。側方流動イムノアッセイは当技術分野で一般的に使用されている。原理的には、側方流動イムノアッセイは、前記のELISAと同じ原理で機能する。本発明において使用される側方流動イムノアッセイにおいては、前記の抗原は、毛管活性の結果として流体を輸送する能力を有する固体支持体、例えば多孔紙または(ニトロセルロース)膜、微細構造ポリマーまたは焼結ポリマーに、試験線(test line)として結合しうる。本質的には、固体支持体は、検出される抗体を含有する試験サンプルのサンプル液を、支持体の表面に沿った吸収ゾーンから移動させる。次いで抗体-抗原複合体が試験線において形成され、抗原が固体支持体に結合している固体支持体の検出ゾーンにおいて検出されうる。
したがって、本発明の方法の特定の実施形態においては、本明細書中で用いるイムノアッセイは側方流動イムノアッセイである。
より詳細には、側方流動イムノアッセイは、
1.吸収ゾーンにおいて試験サンプルを固体支持体と共にインキュベートする工程、
2.抗体-抗体/標識複合体の形成を可能にする工程、
3.固体支持体を介して該複合体の側方移動を可能にする工程、
4.試験線において固体支持体に結合した抗原によって複合体を捕捉し、それによって、抗体-抗原-抗体/標識複合体の形成を可能にする工程、および
5.検出ゾーンにおいてアッセイ混合物中の複合体の存在を検出する工程
を含む。
側方流動イムノアッセイにおいて使用される標識は、LFイムノアッセイにおいて通常使用される任意の標識であることが可能であり、特に、着色粒子、例えばラテックス粒子、ナノメートルサイズの粒子または金粒子、蛍光標識、磁気標識または無線周波数識別(RFID)粒子でありうる。
本明細書中で用いるLFイムノアッセイは競合アッセイまたはサンドイッチアッセイのいずれかとして機能しうる。
本発明者らは、当初、ASFV CD2v抗体陽性血清検査サンプルをELISAにおいてCD2v抗原と共にインキュベートしたところ、シグナル対ノイズ比が最適以下であり、その結果、ELISAの特異性が負の影響を受け、信頼しうるDIVAイムノアッセイをこれからは得ることができないことを観察した。その後、この制限は、特異的な抗原-抗体相互作用に無関係な短期的な分子間相互作用によるものであることが判明した。実施例は、これらの非特異的分子間相互作用を制限する、イムノアッセイにおける(ブタ抗血清の)希釈工程を組み込むことによって、この負の影響が克服されうることを実証している。この工程で使用されうるサンプル希釈剤はストリンジェンシーの増加を示す。
サンプル希釈剤のストリンジェンシーなる語は、特に実施例に記載されているとおりに、ELISAにおいて測定される、希釈された陽性血清対照サンプルの吸収値(OD単位)/希釈された陰性血清対照サンプルの吸収値(OD単位)の比(P/N比)を表す数値として、本明細書においては定義される。
したがって、本発明の有利な方法においては、特異的な抗原-抗体相互作用に、望ましくないレベルまで影響を及ぼすことなく、望ましくない非特異的相互作用を制限するのに十分な最適ストリンジェンシーのサンプル希釈剤でブタ試験サンプルを希釈する。
本発明において使用されるサンプル希釈剤は、ELISAにおいて測定された場合に、5以上、好ましくは10以上のストリンジェンシーP/N比を有しうる。
実施例は、サンプル希釈工程を組み込みこむことと、サンプル希釈剤のストリンジェンシーを増加させることとが共に、前記のCD2v抗原に基づくイムノアッセイが高信頼性DIVAイムノアッセイとなることを可能にすること、およびどのようにしてそれを可能にするのかの更なる指針を実証し、提供する。サンプル希釈工程は、Elisaにおける抗ブタASFV抗血清とCD2v抗原との間の非特異的相互作用を低減し、したがって、P/N比を増加させる。そして該サンプル希釈工程は、ストリンジェンシーが増加した適切なサンプル希釈剤を使用することによって、同時に、陽性対照サンプルに関するElisa(OD)シグナルが適切なレベルに維持されるように、当業者によって設計されうる。
本発明の方法において有利に使用されうるサンプル希釈剤は、界面活性剤、例えばTween(商標)20またはTween80、トリトン、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アミノキシドまたはCHAP界面活性剤が添加された通常のバッファー、例えばPBSまたはTRISバッファーを含みうる。
本発明による識別方法の好ましい実施形態においては、あるいは本発明による決定方法の好ましい実施形態においては、サンプル希釈剤は、Tween(商標)20、Tween80およびアミノキシドから選択される界面活性剤の1以上を含む。好ましくは、アミノキシドは、コカミドプロピルアミンオキシドとしても公知であるアミノキシドWS35である。より好ましくは、アミノキシドWS35は、CAS番号53988-60-6を有する化合物である。
好ましい実施形態においては、界面活性剤はサンプル希釈剤中に1~5% w/v、より好ましくは2~4% w/v、更には3% w/vで含まれる。
したがって、本発明の好ましい実施形態においては、本発明による方法は、5以上、好ましくは10以上のP/N比をもたらすストリンジェンシーを有するサンプル希釈剤で試験サンプルを希釈する工程を含む。
有利なP/N比は、ブタ試験サンプルをサンプル希釈剤で1:100~1:2700の比、好ましくは1:100~1:900の比、より好ましくは1:100~1:300、より詳細には1:300の比で希釈することによっても得られうる。
本発明による更に好ましい方法においては、ブタ試験サンプルを、5以上、好ましくは10以上のP/N比をもたらすストリンジェンシーを有するサンプル希釈剤で、1:100~1:2700の比、好ましくは1:100~1:900の比、より好ましくは1:100~1:300、より詳細には1:300の比の希釈度で希釈する。
本発明による識別方法の好ましい実施形態においては、あるいは本発明による決定方法の好ましい実施形態においては、サンプル希釈剤は0.01~1M、より好ましくは0.05~0.5M、より一層好ましくは0.1Mの塩を含む。好ましい実施形態においては、塩は塩化マグネシウムである。
最も好ましい実施形態においては、サンプル希釈剤はTween、アミノキシドおよび塩化マグネシウムを含む。
前記の本発明の種々の態様は、ASFVに感染しやすいブタに由来するサンプルを試験することによって有利に適用されうる。特に、ブタはイノシシ(Suidae)科のブタ動物、好ましくは、イノシシ(Sus)属のブタ動物、例えばブタまたは野生イノシシである。好ましくは、ブタは家畜ブタである。
したがって、本発明の種々の態様の好ましい実施形態においては、試験サンプルは家畜ブタに由来する。
本発明の種々の態様における使用のための試験サンプルは、原則として、抗ASFV CD2v抗体を含む可能性があるブタからの任意のタイプのサンプル、例えば血漿サンプルまたは血清サンプルでありうる。好ましくは、サンプルは血清サンプルである。
本発明のもう1つの態様は、前記の付随的LAV CD2v-マーカーワクチンでワクチン接種されたブタから得られた試験サンプルにおけるASFV CD2v抗体の存在を検出するための方法における使用のための装置であって、前記の固体支持体に結合した単離されたASFV CD2v抗原を含む装置である。
本発明のもう1つの態様は、前記の装置を含む診断用キットである。
本発明による診断用キットは、本発明による方法において適用される追加的成分を含む単一のパッケージング単位を含みうる。
特に、診断用キットは、
・サンプル希釈剤、
・抗体-標識コンジュゲート、
・陽性対照サンプル、および/または
・陰性対照サンプル
を含む1以上の容器を更に含む。
より詳細な実施形態においては、前記の診断用キットは、前記の付随的LAV CD2v-マーカーワクチンでワクチン接種されたブタから得られた試験サンプルに関するキットの使用説明をも含む。
特に、使用説明は、診断用キットがDIVAに使用されうること、およびASFV感染ブタからの試験サンプルはその試験において陽性となり、これとは対照的に、ワクチン接種された未感染ブタからの試験サンプルは陰性となることを記載している。
実施例
実施例1 - ASFV CD2vに基づくELISA
ブタ血清中の抗CD2v抗体がELISAによって検出されうるかどうかを検証するために、CD2「16-204」と称されるASFV CD2vタンパク質の断片を使用してELISAを行った。CD2「16-204」は細胞外ドメインに伸長し、完全長CD2vタンパク質のリーダー配列、膜貫通ドメインおよびプロリンに富む細胞内部分を欠いている(図1)。それはそのN末端にGP64シグナルペプチド:MVSAIVLYVLLAAAAHSAFA(配列番号6)を含有し、そのC末端に6×Hisタグを含有する。それはバキュロウイルス発現およびそれに続くGenScriptによる精製によって製造された。
血清サンプルを欧州連合アフリカブタ熱参照試験所(European Union Reference Laboratory for African Swine Fever)(CISA-INIA,Spain)から入手した。
ELISAのために、96ウェルマイクロタイタープレートを、1μg/mlの濃度でCD2v断片を含有する溶液で2~8℃で一晩コーティングした。プレートを洗浄バッファー(0.04M PBS+0.15% Tween20)で4回洗浄した後、カゼインで37℃で1時間ブロッキングした。プレートを4回洗浄した後、EIAバッファー(0.2M PBS+0.1% BSA)中の血清サンプルの3倍系列希釈物を各列のウェルA~ウェルGにおいて調製した(ウェルHはEIAバッファーのみを含有し、対照として使用した)。血清サンプルをEIAバッファー中で1:100に予め希釈した。血清希釈物を含有するプレートを37℃で1時間インキュベートし、ついで洗浄バッファーで4回洗浄した。各ウェルに、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ブタIgG(H+L)抗体を含有する溶液を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートし、次いでそれらを洗浄バッファーで4回洗浄した。次いで3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液を各ウェルに加え、少なくとも10分間インキュベートした。着色反応を、4N HSOを加えることによって停止させた。光学濃度をマイクロタイタープレートリーダーで450nmで測定し、データを分析した。
結果を図3に示す。遺伝子型II ASFV,血清型8株(S1、S2およびS3-ASFV株Lv17/WB/Rie1;WO 2020/049194)に感染したブタの血清は、1:900の血清希釈度で、陰性血清C-67を上回る明らかな陽性シグナルを示した。遺伝子型I ASFV株に2回感染し、次いで遺伝子型II株にも感染したブタから得られた血清サンプルC+113は、100%に設定された明らかな陽性シグナルを示した。遺伝子型I,血清型4 ASFV株(S13、S15、S19、S21)に感染したブタからの血清は陰性血清対照から識別できなかった。したがって、結果は、CD2vが免疫原性であること、および遺伝子型II ASFV株によって誘導される抗CD2v抗体を測定するために、CD2「16-204」断片に基づくELISAが使用可能であることを示している。
実施例2 - 遺伝子型IおよびII ASFV株の検出のためのCD2vに基づくELISA
CD2「16-204」細胞外CD2v断片のトランケート化形態を設計した。この断片、すなわち、CD2「132-204」は、CD2vタンパク質のN末端の131アミノ酸を欠いている(図1)。それは、そのC末端に、5×GlyGlyGlySer(配列番号7)リンカー、およびそれに続くFlagタグを含有し、バキュロウイルス発現およびそれに続くGenScriptによる精製によって製造された。
実施例1に記載されているとおりにELISAを行った。
結果を図4に示す。遺伝子型II ASFV株(S1およびS2)または遺伝子型I ASFV株(S13、S15、S19、S21)に感染したブタからの血清は全て、1:300の血清希釈度において、陰性血清C-67を上回る明らかな陽性シグナルを示した。血清サンプルC+113も、100%に設定された明らかな陽性シグナルを示した。したがって、CD2「132-204」断片に基づくELISAは、遺伝子型I/血清型4または遺伝子型II/血清型8 ASFV株によって誘導される抗CD2v抗体を測定するために使用されうる。
実施例3 - DIVAイムノアッセイとしてのCD2vに基づくELISA
実施例2で使用したCD2v断片、すなわち、CD2「132-204」をこの実験においても使用した。実施例1に記載されているとおりにELISAを行ったが、EIAバッファーの代わりに0.04M PBS+0.05% v/v Tween20において血清を希釈した(1:300)。CD2v陽性血清サンプルC+113、S1およびS2、ならびに陰性血清サンプルC-67がELISAに含まれた。血清サンプルS3も含まれており、これは、Lv17/WB/Rie1ワクチン株(これはCD2vの最初の131アミノ酸のみを発現する)で免疫化されたブタに由来する。結果を図5に示す。1:300の血清希釈度でC+113血清サンプルで得られたOD450値を100%に設定した。無傷EP402R遺伝子を含有する非ワクチン遺伝子型II株(C+113、S1およびS2)に感染したブタの血清は、陰性血清C-67を遥かに上回る明らかな陽性シグナルを示した。しかし、Lv17/WB/Rie1で免疫化されたブタに由来する血清サンプル(S3)は、陰性対照血清に類似したシグナルを生成した。これは、サンプルS3中に抗CD2v抗体が存在するという実施例1でなされた観察とは対照的である。それは、サンプルS3中の抗CD2v抗体が、CD2「132-204」と重複しないCD2「16-204」における部分に対するものであることによって説明されうる。したがって、該データは、ワクチン株Lv17/WB/Rie1がCD2「132-204」に対する抗体を誘導し得ないことを証明している。したがって、CD2「132-204」断片に基づくELISAは、CD2「132-204」断片と反応する抗体をASFワクチンが誘導しない場合に、ASFV感染動物をASFVワクチン接種動物から識別するために使用されうる。
実施例4 - サンプル希釈剤の影響
本実施例においては、シグナル対ノイズ比に対するサンプル希釈剤の影響を調べた。

この実験においては、CD2v断片CD2「132-204」を使用した。実施例1に記載されているとおりにELISAを行ったが、EIAバッファー(0.04M PBS+0.2M NaCl+0.1% w/v BSA)、EIA/T(EIA+0.05% v/v Tween)、PBS/T(0.04M PBS+0.15M NaCl+0.05% v/v Tween20)、または3% v/v Tween20、3% v/v アミノキシドWS35および0.1M 塩化マグネシウムを含有しリン酸バッファーを含有しない低金属塩・高界面活性剤(LSHD)バッファーのいずれかで、血清を希釈した。CD2v陽性血清サンプルC+113および陰性血清サンプルC-67ならびに血清サンプルS3(Lv17/WB/Rie1ワクチン株に感染した動物に由来する)がELISAに含まれた。信頼しうるDIVAイムノアッセイのためには、S3サンプルのOD450値は陰性血清サンプルC-67のものに類似しているべきである。
図6Aは、界面活性剤を含有せず比較的高い塩濃度を有するバッファーであるEIAがサンプル希釈曲線の劣悪な分離をもたらすことを示している。そしてS3のOD450シグナルはC-67のものを明らかに上回っており、このことは、EIAが、CD2に基づくDIVA ELISAのための適切なバッファーではないことを意味する。低濃度の界面活性剤を含有する低塩バッファーPBS/Tをサンプル希釈剤として使用することによって、アッセイが改善しうる(図6B)。サンプルS3の希釈曲線は陰性血清サンプルのものと重なっているが、C+113のOD450値はEIAの場合よりも少し低い。P/N比は5.7である。陽性シグナルを陰性シグナルから更に分離するために、LSHDバッファーを評価した(図6C)。サンプル希釈剤としてのLSHDは、それらの3つのバッファーのなかで最も最適なシグナル対ノイズ比(P/N比10.3)を示し、アッセイにおいて陰性であるべきサンプルを、陽性シグナルを与えるべきサンプルから、明らかに分離することを可能にする。したがって、CD2「132-204」断片に基づくELISAは、ASFV感染動物をASFVワクチン接種動物から識別するために、低塩・高界面活性剤バッファーと組合せて使用されうる。
EIA/Tサンプル希釈剤への尿素の添加は、主に陽性対照に関するシグナルの減少ゆえに、P/N比を減少させた。

この実験においては、CD2v断片CD2「16-204」を使用した。実施例1に記載されているとおりにELISAを行った。サンプル希釈剤のストリンジェンシーは、界面活性剤および金属塩の含有量を増加させることによって変化した。使用した3つのサンプル希釈剤のストリンジェンシーは、それぞれ、2.9、5.7および9.9であった。表1は、5.7以上のストリンジェンシーを有するサンプル希釈剤のみが陰性対照サンプルのOD値とワクチン試験サンプルのODとの間の明らかな差異をもたらしたことを示している。
Figure 2024501941000003

この実験においては、CD2v断片CD2「132-204」を使用した。実施例1に記載されているとおりにELISAを行った。実験Bの同じサンプル希釈剤およびEIAサンプル希釈剤を使用した。血清サンプルを、表2に示されているとおりに希釈した。高ストリンジェンシーのサンプル希釈剤を使用して1/100の希釈度の血清を試験したところ、P/N比は5.8となり、ワクチン接種動物からの血清(S3)は陰性対照と同程度に陰性であり、一方、ノイズ(0.4)は比較的高い。
このサンプル希釈剤を使用して1/300の希釈度の血清を試験したところ、P/N比は10.0となり、ワクチン接種動物からの血清(S3)は陰性対照と同程度に陰性であり、ノイズ(0.2未満)は低い。その他のサンプル希釈剤で得られたP/Nの結果は、全ての希釈度に関して、それほど満足しうるものではなかった(5未満)。
Figure 2024501941000004
実施例5 - ELISAにおいて使用されるCD2v断片サイズの更なる特徴付け
CD2「132-204」細胞外CD2v断片の幾つかの短形態および長形態を設計した。これらの断片はCD2vからのアミノ酸「122-204」、「142-204」、「132-194」、「132-214」または「122-194」を含有していた。また、これらの断片は、それらのC末端に、配列番号7のリンカー、およびそれに続くFlagタグを有していた。ペプチド断片は、実施例2に記載されているとおり、バキュロウイルス発現およびそれに続くGenScriptによる精製によって製造された。実施例1に記載されているとおりにELISAを行った。
結果を図7に示す。試験した全てのペプチドに関して、遺伝子型II ASFV株(S1およびS2)または遺伝子型I ASFV株(S13、S15、S19、S21)に感染したブタからの血清は、1:300の血清希釈度において、陰性血清C-67のシグナルを上回る明らかな陽性シグナルを示した。血清サンプルC+113も、100%に設定された明らかな陽性シグナルを示した。これまでと同様に、遺伝子型II株(S3)でワクチン接種された動物の血清はELISAにおいて反応しなかった。
この分析から、CD2vペプチド断片132~194(配列番号23)および142~204(配列番号24)は共に、ELISAにおいて陽性シグナルを示したことが明らかである。したがって、そのペプチド上の関連エピトープはCD2vタンパク質のアミノ酸142と194との間に位置する、と確実に結論付けられる。したがって、ペプチド142-194(配列番号25)は本発明のASFV DIVAにおいて有効に使用されうる。
実施例6 - サンプル希釈剤の変動
本実施例は、本発明のためのELISAのシグナル対ノイズ比に対するサンプル希釈剤の組成の変動の影響を試験した。
A:サンプル希釈剤における界面活性剤濃度の影響
CD2v断片CD2「132-204」を使用し、実施例1に記載されているとおりにELISAを行った。ただし、この場合は、以下の種々の形態のサンプル希釈剤において試験血清を希釈した:0.01M PBS+0.33% v/v Tween20;0.01M PBS+3% v/v Tween20;0.01M PBS+0.33% v/v Tween80;0.01M PBS+3% v/v Tween80:0.01M PBS;またはLSHDバッファー。
CD2v陽性血清サンプルC+113および陰性血清サンプルC-67、ならびに血清サンプルS3(Lv17/WB/Rie1ワクチン株に感染した動物に由来する)がELISAに含まれた。信頼しうるDIVAイムノアッセイのためには、S3サンプルのOD450値は陰性対照血清のものに類似しているべきである。
種々のサンプル希釈剤に関するELISAの結果を図8に示し、対応するP/Nスコアを表3に示す。
図8のパネルA~Eは、Tweenを含有するバッファー(パネル8A~D)が、Tweenを含有せずPBSのみを含有する希釈剤(パネル8E)よりも良好な、陽性サンプルと陰性サンプルとの分離をもたらしたことを示している。これは、サンプル希釈剤中のTweenの存在が重要であることを示した。
表3に示されている対応するP/N比が示すところによると、LSHDバッファー(パネル8F)が最良の結果をもたらし、0.01M PBS+0.33% v/v Tween20を含有する希釈剤がそれに次ぐ良好な結果をもたらした。これは、どのサンプル希釈剤が5以上または10以上のストリンジェンシーを有することを満たしているかをも示している。
Figure 2024501941000005
B:サンプル希釈剤における塩濃度の影響
再び、CD2v断片CD2「132-204」を使用した。実施例1に記載されているとおりにELISAを行ったが、以下の種々のサンプル希釈剤で血清を希釈した:0.01M PBS+3% v/v Tween20+0.1M MgCl2;0.01M PBS+3% v/v Tween20+0.33M MgCl2;0.01M PBS+3% v/v Tween20+1M MgCl2;またはLSHDバッファー。CD2v陽性血清サンプルC+113および陰性血清サンプルC-67、ならびに血清サンプルS3がELISAに含まれた。
ELISAの結果を図9に示し、対応するP/N比を表4に示す。
図9のパネルA~Cは、サンプル希釈剤における塩の最低濃度(すなわち、0.1M MgCl)がサンプル曲線の最良の分離をもたらしたことを示している。換言すれば、塩濃度が増加すると、陽性サンプルと陰性サンプルとを識別する能力が低下する(パネル9BおよびC)。見たところ、より低い塩濃度は陽性サンプルのシグナル強度に有益な効果をもたらし、それが今度はP/N比に正の効果をもたらす(表4)。サンプル希釈剤としてのLSHDは、試験した3つの希釈剤のなかで最適なシグナル対ノイズ比をもたらした(図9D;表4)。注意:パネル9Dにおいては、希釈度1:24300におけるC+113血清に関するデータ点は明らかに異常値であり、ほぼ間違いなく実験上の過誤であろう。
Figure 2024501941000006
C:サンプル希釈剤におけるバッファーの影響
CD2v断片CD2「132-204」を使用した。ELISAを、実施例1に記載されているとおりに行い、それにより、以下のものを含有するサンプル希釈剤で血清を希釈した:0.01M PBS+3% v/v Tween20+0.1M MgCl;3% v/v Tween20+0.1M MgCl2;0.01M PBS+3% v/v Tween20;またはLSHD希釈剤。CD2v陽性血清サンプルC+113および陰性血清サンプルC-67、ならびにLv17/WB/Rie1ワクチン株で接種された動物に由来する血清サンプルS3がELISAに含まれた。
ELISAの結果を図10に示し、対応するP/N比を表5に示す。
図10は、試験した全てのバッファーがサンプル希釈曲線の明らかな分離をもたらしたことを示している。PBSを含有しない(3% v/v Tween20+0.1M MgCl2を含有する)サンプル希釈剤はLSHDとほぼ同等の性能を示した。パネル10CおよびD、ならびに表5におけるP/N比を比較されたい。したがって、本発明のためのサンプル希釈剤においてはPBSを使用しないこと、または少なくともリン酸バッファーを使用しないことが好ましい。
Figure 2024501941000007

Claims (22)

  1. 固体支持体に結合した単離されたアフリカブタ熱ウイルス(ASFV)CD2vタンパク質またはその抗原性断片の、イムノアッセイにおける抗原としての使用であって、CD2vタンパク質またはその抗原性断片が、付随的ASFV弱毒化生ウイルスCD2v-マーカーワクチン(LAV CD2v-マーカーワクチン)でワクチン接種されたブタから得られた試験サンプルにおけるASFV抗体の存在を検出するために使用されること、および該抗原が、CD2vタンパク質の細胞外ドメインまたは該細胞外ドメインの抗原性断片を含むポリペプチドであることを特徴とする、前記使用。
  2. 細胞外ドメインの抗原性断片が、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであることを特徴とする、請求項1記載の使用。
  3. 細胞外ドメインの抗原性断片が、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むポリペプチドであることを特徴とする、請求項2記載の使用。
  4. 付随的LAV CD2v-マーカーワクチンが、改変CD2vタンパク質を発現しうるASFV CD2v-マーカーワクチン株を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項記載の使用。
  5. 改変CD2vタンパク質がCD2vタンパク質の細胞外ドメインまたはその断片を欠いていることを特徴とする、請求項4記載の使用。
  6. 改変CD2vタンパク質が、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む細胞外ドメインの断片を欠いていることを特徴とする、請求項5記載の使用。
  7. 細胞外ドメインの断片が、配列番号25に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなるASFVアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項6記載の使用。
  8. ASFV CD2v抗原が改変CD2vタンパク質と共通のエピトープを有さないことを特徴とする、請求項4~7のいずれか1項記載の使用。
  9. ASFV CD2v抗原と改変CD2vタンパク質とが、重複するアミノ酸配列を有さないことを特徴とする、請求項8記載の使用。
  10. イムノアッセイが、ワクチン接種動物と感染動物とを識別する(DIVA)イムノアッセイであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項記載の使用。
  11. CD2vタンパク質またはその抗原性断片が、野生型ASFVに感染したブタおよび/またはASFVに感染していないブタから得られた試験サンプルにおけるASFV抗体の存在を検出するためにも使用されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項記載の使用。
  12. 固体支持体がマイクロタイタープレート、バイアル、ビーズペーパーストリップ、膜、ゲルまたは側方流動ストリップであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項記載の使用。
  13. ブタが野生型ASFVに感染しているのか、またはマーカーワクチンでワクチン接種されているのかを決定するための方法であって、該方法が、固相支持体に結合した単離されたアフリカブタ熱ウイルス(ASFV)CD2vタンパク質またはその抗原性断片をイムノアッセイにおける抗原として使用するイムノアッセイであり、該方法が、該抗原に結合するASFV CD2v抗体の存在に関して、ブタから得られた試験サンプルを検査する工程を含み、該抗原が、CD2vタンパク質の細胞外ドメインまたは該細胞外ドメインの抗原性断片を含むポリペプチドであることを特徴とする、前記方法。
  14. 該方法が、
    1.アッセイ混合物中で試験サンプルを抗原と共にインキュベートする工程、
    2.アッセイ混合物中でASFV CD2v抗体-抗原複合体の形成を可能にする工程、および
    3.アッセイ混合物中の抗体-抗原複合体の存在を検出する工程
    を含むことを特徴とする、請求項13記載の方法。
  15. 該方法が、抗体-抗原複合体の存在を、標識を含む抗体と該複合体を接触させることによって、検出することを含むことを特徴とする、請求項13または14記載の方法。
  16. イムノアッセイがELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)であることを特徴とする、請求項13~15のいずれか1項記載の方法。
  17. 試験サンプルを、少なくとも5のストリンジェンシーを有するサンプル希釈剤で希釈することを特徴とする、請求項13~16のいずれか1項記載の方法。
  18. サンプル希釈剤が少なくとも10のストリンジェンシーを有することを特徴とする、請求項17記載の方法。
  19. イムノアッセイが、「感染動物をワクチン接種動物から識別する」(DIVA)イムノアッセイであることを特徴とする、請求項13~18のいずれか1項記載の方法。
  20. ブタから得られた試験サンプルにおけるASFV CD2v抗体の存在をDIVAイムノアッセイにおいて検出するための、前記請求項のいずれか1項記載の固体支持体に結合した単離されたASFV CD2v抗原を含む装置の使用。
  21. 請求項21記載の装置を含む、ブタから得られた試験サンプルにおけるASFV CD2v抗体の存在をDIVAイムノアッセイにおいて検出するための方法におけるパーツキット(kit-of-parts)の使用。
  22. キットが、
    ・サンプル希釈剤、
    ・抗体-標識コンジュゲート、
    ・陽性対照サンプル、および/または
    ・陰性対照サンプル
    を含む1以上の容器を更に含むことを特徴とする、請求項21記載のパーツキットの使用。
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