JP2024501324A - 酸化エチレンの生成のためのプロセス - Google Patents

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Abstract

エチレンのエポキシ化のためのプロセスであって、エチレンと、酸素と、有機塩化物からなる1種以上の反応修飾剤とを含む入口供給ガスを、担体を含み、その上に堆積された銀と、レニウム促進剤と、1種以上のアルカリ金属促進剤とを有するエポキシ化触媒と接触させることを含み、入口供給ガスが、式(I)によって表される全触媒塩化有効度値(Cleff)を有し、[MC]、[EC]、[EDC]、及び[VC]が、それぞれ、塩化メチル(MC)、塩化エチル(EC)、二塩化エチレン(EDC)、及び塩化ビニル(VC)のppmv単位での濃度であり、[CH4]、[C2H6]、及び[C2H4]が、それぞれ、入口供給ガス中のメタン、エタン、及びエチレンのモルパーセント単位での濃度であり、少なくとも0.2kton酸化エチレン/m3触媒の累積酸化エチレン生成量cumEO1で、当該プロセスが、酸化エチレンを生成するために、値EO1での酸化エチレン生成パラメータを用いて、値T1を有する反応温度で、かつCleff1の最適全触媒塩化有効度値を有する入口供給ガスを用いて運転され、担体が、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体であり、累積酸化エチレン生成量cumEOxで、cumEOxが、cumEO1よりも少なくとも0.6kton酸化エチレン/m3触媒高く、当該酸化エチレン生成パラメータを値EO1に維持するために、反応温度5が、増加した値Txを有しながら、Cleffx/Cleff1の比が0.8~1.2の範囲にあるように入口供給ガスの最適全触媒塩化有効度値Cleffxが制御されるように、当該プロセスがその後運転されることを特徴とする、プロセス。

Description

本発明は、酸化エチレンの生成のためのプロセスに関する。
酸化エチレン(Ethylene oxide、EO)は、多種多様な化学物質及び生成物の生成における多用途な化学中間体としてのその使用について周知である、貴重な原料である。例えば、酸化エチレンは、多くの場合、エチレングリコールを生成するために使用され、エチレングリコールは、多くの多様な用途において使用され、自動車エンジン不凍液、油圧ブレーキ液、樹脂、繊維、溶媒、塗料、プラスチック、フィルム、家庭用及び工業用洗浄剤、薬学的調製物、並びに化粧品、シャンプーなどのパーソナルケア物品を含む、多様な製品において見出され得る。
酸化エチレンの商業的生成において、エチレンは、エポキシ化反応器内で、エポキシ化触媒の存在下で酸素と反応して、酸化エチレンを含むガス状流をエポキシ化反応器の出口で生成する。反応器出口流は、典型的には、酸化エチレンに加えて、未反応エチレン、未反応酸素、反応修飾剤(例えば、有機塩化物)、希釈ガス(例えば、窒素、メタン、又はそれらの組み合わせ)、エポキシ化反応の様々な副生成物(例えば、二酸化炭素及び水)、並びに様々な不純物(例えば、アルデヒド、酸性不純物、アルゴン、エタンなど)を含む。
次の段階において、酸化エチレンは、典型的には反応器出口流を酸化エチレン分離システムに供給することによって反応器出口流から回収され、ここで、生成された酸化エチレンは、再循環溶媒(一般的に「リーン吸収剤」と称される)との接触を通じて他の大部分のガス状成分から分離される。
多くの場合、生成された酸化エチレンを更に反応させて、例えば、触媒又は非触媒加水分解を介して、グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど)を提供する。典型的には、酸化エチレン分離システム内の残りのガス状成分(例えば、未反応エチレン、未反応酸素、反応修飾剤、希釈ガスなど)の大部分は、オーバーヘッドガス流としてそこから除去され、その少なくとも一部分は、典型的には、リサイクルガス流の使用によって、エポキシ化反応器に供給される必要がある未使用の「補給」供給物(例えば、エチレン、酸素など)の量が減少するため、廃棄物を最小限にし、かつ/又は節約を増加させるように、リサイクルガスループを介してエポキシ化反応器にリサイクルされる。任意選択的に、リサイクルガス流の少なくとも一部分は、二酸化炭素分離システムなどの1つ以上の分離及び/又は精製システムに供給され、その後、エポキシ化反応器に供給される場合がある。
酸化エチレンは、銀系エチレンエポキシ化触媒の存在下でエチレンを酸素と反応させることによって形成される。触媒性能は、選択性、活性、及び運転の安定性に基づいて評価することができる。「効率」としても知られるエチレンエポキシ化触媒の選択性は、競合する副生成物(例えば、CO及びHO)に対して、エチレンを所望の反応生成物である酸化エチレンに変換するエポキシ化触媒の能力を指し、典型的には、反応したエチレンのモル数当たりの生成された酸化エチレンのモル数のパーセンテージとして表される。
安定性は、触媒の充填物が使用されている間に、すなわち、より多くの酸化エチレンが生成されている間に、プロセスの選択性及び/又は活性がどのように変化するのかを指す。
選択性、活性、及び安定性の改善を含む、エチレンエポキシ化触媒の性能を改善するための様々なアプローチが調査されてきた。例えば、現在の「高選択性」銀系エチレンエポキシ化触媒は、銀に加えて、レニウム促進剤、及び任意選択的に、アルカリ金属(例えば、セシウム、リチウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、遷移金属(例えば、タングステン)、及び主族非金属(例えば、硫黄)などの1種以上の追加の促進剤を含み得、例えば、米国特許第4761394(A)号及び同第4766105(A)号に開示されている。
選択性は、エポキシ化プロセスの経済的魅力を大いに決定する。例えば、エポキシ化プロセスの選択性を1パーセント改善することによって、大規模酸化エチレンプラントの年間運転コストをかなり低減することができる。更に、活性及び選択性を許容可能な値により長く維持することができるほど、触媒充填物をより長く反応器内に保持することができ、より多くの生成物が得られる。選択性、活性、並びに長期間にわたる選択性及び活性の維持を非常にわずかでも改善することは、プロセス効率の観点における実質的な利益をもたらす。
触媒配合の改善の他に、選択性を改善するために供給物に添加することができる反応修飾剤が見出されている(例えば、欧州特許第0352850(Al)号を参照されたい)。かかる反応修飾剤は、酸化エチレンの望ましい形成に対して望ましくない、エチレン又は酸化エチレンの二酸化炭素及び水への酸化を、現在解明されていない機構によって抑制する。好適な反応修飾剤は、例えば有機ハロゲン化物である。
欧州特許第0352850(A1)号は、レニウムを含む高選択性銀触媒が、修飾剤に対して比較的急勾配の選択性曲線を呈する傾向があること、すなわち、レニウムを含む高選択性銀触媒では、選択性は、反応修飾剤の量の比較的小さな変化でかなり変動し、選択性は、反応修飾剤のある特定の量で顕著な最大値、すなわち最適値を呈することについて開示している。これは、欧州特許第0352850(A1)号に示されている(その図3を参照されたい)。
また、高選択性銀エポキシ化触媒、すなわち、固体耐火性支持体上に銀、レニウム促進剤、及び任意選択的に1種以上の追加の促進剤を含む触媒を使用する場合、触媒が劣化し、それによって触媒活性が低減するにつれて、酸化エチレン生成量を必要とされるレベルに維持するためには、反応温度を経時的に上昇させる必要があることは、エチレンエポキシ化の分野において周知である。
更に、選択性曲線、より具体的には、選択性が最大である反応修飾剤の量は、反応温度と共に、したがって触媒寿命中に変化する傾向がある。
その結果、かかる高選択性銀エポキシ化触媒を反応修飾剤と組み合わせて用いる場合、選択性は、反応温度の変化と共に、及び触媒寿命にわたって、望ましくないほど大幅に変動し得る。すなわち、例えば、触媒の活性の低減を補うために反応温度を変化させる場合、酸化エチレン生成量に対して選択性を最大化することに関して最適な反応条件を維持することが必要である。
米国特許第4761394(A)号及び米国特許第4766105(A)号における現在の銀系エチレンエポキシ化触媒の開発以来、かかる高選択性銀エポキシ化触媒を使用する場合、最大選択性性能を維持するために、触媒が劣化するにつれて、供給ガス中の反応修飾剤、具体的には有機塩化物の濃度を経時的に増加させることも必要であることが、過去30年間にわたってこの分野において教示され続けている(例えば、欧州特許第0352850(A1)号、国際公開第03/044003(A1)号、国際公開第2010/123844(A1)号、国際公開第2010/123842(A1)号、及び国際公開第2015/100209(A1)号において)。
したがって、反応修飾剤を適用する場合、選択性が最大値に維持されるように、供給物中の反応修飾剤の濃度を選択するべきであることが一般教示であった。結果として、過去には、多くの場合、試行錯誤手順によって、すなわち、反応修飾剤供給速度を段階的に変化させ、選択性に対する影響を監視することによって、エポキシ化プロセスの運転中に選択性が最大である最適反応修飾剤濃度を見出していた。しかしながら、かかる手順は面倒であり、最も経済的な条件よりも低い条件でプロセスをしばらくの間運転し続けることになる。更に、反応修飾剤の濃度を新しい反応条件に調整するには、供給物組成が変化すると試行錯誤手順をやり直す必要がある。
しかしながら、かかる触媒を運転する場合、最適塩化物反応修飾剤濃度は温度と共に変化するという、受け入れられている一般教示の観点では、所与の温度での最適塩化物反応修飾剤濃度をより効率的に決定し、それに応じて面倒な試行錯誤手順に頼る必要なく供給ガスを調整するための、様々な代替的な方法論及び数学的関係性について、当該技術分野において記載されている。
当該技術分野における当該方法は、通常、供給ガス中に存在する有機塩化物及び炭化水素のスレートに基づく、全塩化物反応修飾剤濃度の決定(国際公開第2015/100209(A1)号におけるM)又は全触媒塩化有効度値の決定(国際公開第03/044003(A1)号、国際公開第2010/123844(A1)号、及び国際公開第2010/123842(A1)号におけるQ又はZ)に焦点を当てていた。
供給ガス中の最適塩化物濃度は、触媒劣化に起因する反応温度の上昇と関連して経時的により高い濃度へと移動するので、先行技術の有効な教示は、固体耐火性支持体上に銀、レニウム、及び1種以上のアルカリ金属促進剤を含むエポキシ化触媒を使用する場合、全触媒塩化有効度の値も経時的に増加することが理解されるであろう。
先行技術は、工業的エチレンエポキシ化プロセスの運転中の最適塩化物濃度の継続的な決定(試行錯誤方法によるか又は計算によるかにかかわらず)及び塩化物反応修飾剤濃度の調整が、困難かつ面倒であることを認識している。
更に、銀、レニウム、及び1種以上のアルカリ金属促進剤を含むエポキシ化触媒が劣化し、最適塩化物濃度がより高い濃度へと移動するにつれて、反応器システム内の塩化物含有量の増加を管理するのに下流の精製装置に求められる要求は大きくなる。すなわち、供給ガス中の塩化物濃度が経時的に増加するにつれて、下流の精製装置は、副生成物の有機塩化物並びに酸性化合物の量の増加に直面する。反応器システムの水性部分において妥当なpHを維持するには、かかる酸性化合物によって、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物の添加が必要となる。
したがって、エチレンエポキシ化の分野において既に改善が達成されているにもかかわらず、エチレンエポキシ化触媒の性能を更に改善することが望まれている。具体的には、運転中に塩化物反応修飾剤濃度を継続的に監視及び最適化する必要性を回避するだけでなく、エポキシ化触媒が劣化するにつれて、所与の供給ガス中の塩化物反応修飾剤の濃度又は全触媒塩化有効度値を経時的に増加させる必要性も回避する、必要とされる酸化エチレン生成レベルで工業的エチレンエポキシ化プロセスを運転するための簡略化された方法を見出すことが非常に望ましい。
本発明では、必要とされる酸化エチレン生成レベルで最大選択性性能を維持するために、触媒が劣化するにつれて、反応温度の上昇に応じて、供給ガス中の塩化物濃度又は最適全触媒塩化有効度値を増加させることを必要としない、銀、レニウム、及び1種以上のアルカリ金属促進剤を含む特定のエポキシ化触媒が存在することが、驚くべきことに見出された。
米国特許第4761394号明細書 米国特許第4766105号明細書 欧州特許第0352850号明細書 国際公開第2003/044003号 国際公開第2010/123844号 国際公開第2010/123842号 国際公開第2015/100209号
本発明は、エチレンのエポキシ化のためのプロセスであって、
エチレンと、酸素と、有機塩化物からなる1種以上の反応修飾剤とを含む入口供給ガスを、担体を含み、その上に堆積された銀と、レニウム促進剤と、1種以上のアルカリ金属促進剤とを有するエポキシ化触媒と接触させることを含み、入口供給ガスが、次式によって表される全触媒塩化有効度値(Cleff)を有し、-
Figure 2024501324000002
式中、[MC]、[EC]、[EDC]、及び[VC]が、それぞれ、塩化メチル(methyl chloride、MC)、塩化エチル(ethyl chloride、EC)、二塩化エチレン(ethylene dichloride、EDC)、及び塩化ビニル(vinyl chloride、VC)のppmv単位での濃度であり、[CH]、[C]、及び[C]が、それぞれ、入口供給ガス中のメタン、エタン、及びエチレンのモルパーセント単位での濃度であり、
少なくとも0.2kton酸化エチレン/m触媒の累積酸化エチレン生成量cumEOで、当該プロセスが、酸化エチレンを生成するために、値EOでの酸化エチレン生成パラメータを用いて、値Tを有する反応温度で、かつCleff1の最適全触媒塩化有効度値を有する入口供給ガスを用いて運転され、
担体が、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体であり、累積酸化エチレン生成量cumEOで、cumEOが、cumEOよりも少なくとも0.6kton酸化エチレン/m触媒高く、当該酸化エチレン生成パラメータを値EOに維持するために、反応温度が、増加した値Tを有しながら、Cleffx/Cleff1の比が0.8~1.2の範囲にあるように入口供給ガスの最適全触媒塩化有効度値Cleffxが制御されるように、当該プロセスがその後運転されることを特徴とする、プロセスを提供する。
本開示のいくつかの具体的な例である実施形態は、以下の記載及び添付の図面を部分的に参照することによって理解することができる。
例示的なエチレンエポキシ化プロセスを示す概略図である。 条件1で試験した触媒A~Gについての活性プロファイルを示すグラフである。 図2に示される生成期間にわたる、触媒A~Gについての最適全塩化有効度値(Cleff)を示すグラフである。 図2に示された生成期間にわたる、触媒A~Gの各々についての、任意の時間の最適全塩化有効度値(Cleffx)対0.2kton/m累積酸化エチレン生成量での最適全塩化有効度値(Cleff1)の比を示すグラフである。 条件2で試験した触媒A、B、E、H、及びIについての活性プロファイルを示すグラフである。 図5に示される生成期間にわたる、触媒A、B、E、及びIについての最適全塩化有効度値(Cleff)を示すグラフである。 図5に示された生成期間にわたる、触媒A、B、E、H、及びIの各々についての、任意の時間の最適全塩化有効度値(Cleffx)対0.2kton/m累積酸化エチレン生成量での最適全塩化有効度値(Cleff1)の比を示すグラフである。 示される生成期間にわたる触媒Jの複数回の実験と比較した、触媒A及びBについての任意の時間の最適全塩化有効度値(Cleffx)対0.2kton/m累積酸化エチレン生成量での最適全塩化有効度値(Cleff1)の比を示すグラフである。
本開示は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、具体的な例である実施形態が図に示されており、本明細書でより詳しく記載されている。
しかしながら、具体的な例である実施形態の記載は、開示の特定の形態に本発明を限定することを意図せず、逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって部分的に示されるような全ての修正物及び等価物を網羅することが理解されるべきである。
本開示の理解を容易にするために、エポキシ化反応及びエポキシ化触媒性能に関するある特定の用語を定義することが有用である。
本明細書で使用される場合、「酸化エチレン生成パラメータ」は、エチレンのエポキシ化のためのプロセス中に酸化エチレンが生成される程度の尺度である。当該生成パラメータは、生成ガス酸化エチレン濃度、酸化エチレン生成速度、及び酸化エチレン生成速度/触媒体積(作業速度(work rate、WR)としても知られる)からなる群から選択され得る。
エポキシ化触媒の「活性」は、典型的には、所与の酸化エチレン生成パラメータを維持するのに必要とされる反応温度の観点で表される。一般に、エポキシ化触媒の活性は、エポキシ化触媒の表面上に存在する触媒活性部位の総数及び各部位の反応速度の両方に相関する。したがって、エポキシ化触媒の表面上の触媒活性部位の数が低減される場合、及び/又は活性部位のうちの1つ以上の反応速度が(例えば、局在化した被毒に起因して)減少する場合、触媒の活性は低下するであろう(したがって、所与の酸化エチレン生成パラメータを維持するのに必要とされる反応温度は上昇するであろう)。活性部位の総数は、いくつかの方式で、例えば、触媒的に活性な粒子(すなわち、銀粒子)の焼結によって低減され得、これは、銀粒子サイズの増加、及びそれに応じて銀表面積の減少を生じる。活性部位の数はまた、過剰量のアルカリ金属又は硫黄などの他の望ましくない元素の存在下で、入口供給ガス中の塩素化合物と反応して塩化銀化合物を形成することによって低減され得、これらは、不純物又は毒素として反応器に入り得、触媒上に堆積し得る。塩化銀化合物は、エポキシ化反応に対して不活性である。更に、活性は、例えば、硫黄、ヨウ素、ケイ素、及びリンなどの毒素へのエポキシ化触媒の曝露による触媒被毒に起因して低下し得る。
多くの場合、酸化エチレン生成パラメータは、触媒の単位体積当たりの時間当たりのエポキシ化反応器内で生成された酸化エチレンの量(例えば、酸化エチレンのキログラム又はモル/時間/m触媒)を指す「作業速度」の単位で記載される。当業者には理解されるであろうように、所与の一連の条件下での触媒の活性における改善は、それらの条件で所与の作業速度を維持するのに必要とされる反応温度を下げることによって影響を受ける。したがって、別のエポキシ化触媒と比較して「より高い活性」を有するエポキシ化触媒は、所与の一連の条件下の所与の作業速度で、より低い反応温度を用いるものである。
あるいは、エポキシ化触媒の「活性」は、反応温度を実質的に一定に維持しながら、入口供給ガス中の酸化エチレンのモルパーセントに対する反応器出口流中に含有される酸化エチレンのモルパーセントとして表すことができる(入口供給ガス中の酸化エチレンのモルパーセントは、典型的には、必ずしもではないが、0パーセントに近い)。したがって、この場合、別のエポキシ化触媒と比較して「より高い活性」を有するエポキシ化触媒は、所与の一連の条件下の所与の反応温度で、より多くの酸化エチレンを生成する(すなわち、より高い作業速度を有する)ものである。
本明細書で使用される場合、「効率」としても知られるエポキシ化触媒の「選択性」は、競合する副生成物(例えば、CO及びHO)に対して、エチレンを所望の反応生成物である酸化エチレンに変換するエポキシ化触媒の能力を指し、典型的には、反応器内で消費されたエチレンのモル数当たりの生成された酸化エチレンのモル数のパーセンテージとして表される。当業者によって理解されるであろうように、別のエポキシ化触媒と比較して「より高い選択性」を有するエポキシ化触媒は、所与の一連の条件下で、消費されたエチレンのモル数当たりのより高いモル数で生成された酸化エチレンを提供するものである。
本明細書で使用される場合、「失活」は、触媒活性及び/又は選択性の永久的な減少又は損失を指す。エポキシ化プロセス中に、エポキシ化触媒が利用されるにつれて、触媒は、最終的には「劣化」し始め、その触媒性能は、徐々に悪化する(例えば、触媒の活性は、例えば、銀焼結などに起因して減少する)。典型的には、現在のエポキシ化触媒の平均有用寿命は、エポキシ化触媒の種類、反応温度、運転条件、触媒毒素への曝露などの要因に応じて、およそ2~5年である。多くの場合、触媒活性が低下し始めると、酸化エチレン生成パラメータによって測定した、酸化エチレン生成量を補い、その一定レベルを維持するために(例えば、所望の作業速度を維持するために)、反応温度を上昇させる。しかしながら、この反応温度の上昇は、多くの場合、触媒選択性を低減し、触媒失活の速度を増加させる(すなわち、触媒の劣化を加速させる)。選択性低下の現象は、複雑であり、触媒活性、運転条件、作業速度、触媒の古さ、毒素の存在などの数々の要因に依存する。一般に、エポキシ化触媒の「安定性」は、触媒失活の速度に反比例し、触媒性能及び生産性は、触媒を未使用の触媒と交換することが必要になるまで、許容可能な値に維持することができる時間の長さに比例する。「安定性」という用語は、経時的な活性低下及び選択性低下の両方に適用することができる。容易に理解されるであろうように、エポキシ化触媒は、プラントにとってかなりの出費であり、触媒交換時のプラント停止に起因して生産性損失が生じることを理由に、触媒安定性(活性安定性及び/又は選択性安定性)の改善は、経済的観点から非常に望ましい。
本明細書で使用される場合、「触媒寿命の終わり」とは、触媒が、反応器から除去され、任意選択的に触媒の未使用の触媒充填物と交換されるまでに、その最終累積EO生成量を達成したことを意味する。すなわち、触媒は、始動され、その運転中にEOを生成しながら運転される。後のある時点で、その触媒運転は停止され、触媒は、反応器から除去され、交換される。最終累積EO生成量は、触媒の始動から反応器から除去されるまでに生成されたEOの総量である。
通常の触媒寿命は、以下に記載の多くの要因に依存する。典型的には、触媒寿命は、少なくとも1.5kton/m累積EO生成量であり、4.0kton/m以上の累積EO生成量まで延長され得る。未使用の充填物に触媒をいつ交換するかについての決定は、効果のある触媒活性、触媒選択性、及び生産性、交換スケジュール、法定検査、大幅なメンテナンス停止などを含む数々の要因に依存し得る。
本明細書で先に考察したように、先行技術は、銀、レニウム、及び1種以上のアルカリ金属促進剤を含むエポキシ化触媒が、劣化に関連する活性低下を受けるにつれて、酸化エチレン生成パラメータを維持するために反応温度を上昇させながら、最大選択性性能を維持するために供給ガス中の有機塩化物反応修飾剤の濃度も上昇させる必要があることを教示している。
本発明では、最大選択性性能を維持するために、触媒が劣化するにつれて供給ガス中の有機塩化物反応修飾剤の濃度の注意深い制御を必要としない、銀、レニウム、及び1種以上のアルカリ金属促進剤を含む特定のエポキシ化触媒が存在することが、驚くべきことに見出された。
したがって、本発明は、供給ガス中の有機塩化物反応修飾剤の濃度を、所与の供給ガスに対して一定に又は狭い濃度範囲内に維持することによって、一定値の酸化エチレン生成パラメータでの最大選択性性能を有利にも達成することができるので、プラントオペレータにとってのエチレンエポキシ化プロセスの工業的運転を大幅に簡略化する。
供給ガスが、エチレン又は炭化水素(例えば、エタン)などの他の供給ガス構成成分の濃度のわずかな変動を受ける状況では、本発明の下で、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を含み、担体上に堆積された銀、レニウム促進剤、及びアルカリ金属促進剤を有するエポキシ化触媒を使用すると、EOプラントオペレータは、もはや塩化物濃度の最適化を行う必要がなく、全触媒塩化有効度値が触媒運転全体を通じて狭い範囲内に維持されることを簡単に確実にすることができるので、EOプラントオペレータは、運転が大幅に簡略化されたことを見出すであろう。
エポキシ化プロセス
本発明のエポキシ化プロセスは、当該技術分野において既知の様々な方式で実行することができるが、しかしながら、エポキシ化プロセスを連続気相プロセスとして実行することが好ましい。同様に、エポキシ化プロセスは、固定床反応器(例えば、固定床チューブ状反応器)、連続撹拌タンク反応器(continuous stirred tank reactor、CSTR)、流動床反応器などの任意の既知のエポキシ化反応器(例えば、エチレンと酸素とを反応させるために使用される任意の反応器容器)で実行することができる。
好適なエポキシ化反応器の1つの商業的な例は、垂直シェルアンドチューブ熱交換器であり、シェルが、エポキシ化反応器の温度を調節するための冷却剤(例えば、熱伝達流体(テトラリンなど)、水など)を含有し、複数のチューブが、エポキシ化触媒を含有する実質的に平行な細長いチューブである。チューブのサイズ及び数は、反応器ごとに変動し得るが、商業用反応器で使用される典型的なチューブは、3~25メートル、5~20メートル、又は6~15メートルの長さを有し得る。同様に、反応器チューブは、5~80ミリメートル、10~75ミリメートル、又は20~60ミリメートルのチューブ内径を有し得る。エポキシ化反応器内に存在するチューブの数は、広く変動し得、数千、例えば最大22,000、又は1,000~11,000、又は1,500~18,500の範囲にあり得る。
エポキシ化触媒を含有するエポキシ化反応器の部分(例えば、反応器チューブ)は、一般的に「触媒床」と称される。一般に、触媒床内のエポキシ化触媒の量、触媒床の高さ、及び触媒床内のエポキシ化触媒の充填密度(すなわち、「チューブ充填密度」)は、例えば、エポキシ化反応器内に存在するチューブのサイズ及び数、並びにエポキシ化触媒のサイズ及び形状に応じて、広い範囲にわたって変動し得る。しかしながら、チューブ充填密度の典型的な範囲は、400~1500kg/mであり得る。同様に、触媒床高さの典型的な範囲は、反応器チューブ長さの50%~100%であり得る。触媒床高さが反応器チューブ長さの100%未満であるそれらの実施形態では、チューブの残りの部分は空であってもよいか、又は任意選択的に非触媒材料又は不活性材料の粒子を含んでもよい。
図1は、例示的なエチレンエポキシ化プロセスを示す概略図である。エチレン、酸素、希釈ガス、及び反応修飾剤は、1でリサイクルガス流14に供給されて入口供給ガス2を規定し、これは、エポキシ化反応器4の入口3に供給される。エポキシ化反応器4内では、エチレンと酸素とがエポキシ化触媒の存在下で反応する。酸化エチレン、未反応エチレン、未反応酸素、反応修飾剤、希釈ガス、エポキシ化反応の様々な副生成物(例えば、二酸化炭素及び水)、及び様々な不純物を含む反応器出口流5は、エポキシ化反応器4から引き出され、酸化エチレン分離システム6に供給される。酸化エチレン分離システム6からの正味生成物流7の少なくとも一部分を更に反応させて、例えば、触媒又は非触媒加水分解を介して、グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど)を提供することができる。
酸化エチレン分離システム6に吸収されなかったガス状成分(例えば、未反応エチレン、未反応酸素、反応修飾剤、希釈ガスなど)の大部分は、オーバーヘッドガス流8としてそこから引き出され、リサイクルガス圧縮器9に供給される。次いで、オーバーヘッドガス流8の少なくとも一部分は、二酸化炭素分離システム10に供給され得、残りの部分(存在する場合)は、バイパス流11を介して二酸化炭素分離システムを迂回する。二酸化炭素分離システム10では、二酸化炭素が除去され、二酸化炭素流12を介して流出する一方で、オーバーヘッドガス流13は、バイパス流11と組み合わせられてリサイクルガス流14を形成する。先に述べたように、リサイクルガス流14は、「補給」エチレン、酸素、希釈ガス、及び反応修飾剤と組み合わせられて入口供給ガス2を形成する。
本明細書に記載のエポキシ化プロセスは、いかなる特定の反応器又は流れ構成にも限定されず、図1に示されるものは、単なる例示である。加えて、様々な供給構成成分がプロセスに導入される順序及びそれらのそれぞれの導入点、並びに流れの接続は、図1に示されるものから変動し得る。
入口供給ガス組成
本明細書に記載のエポキシ化プロセスによれば、入口供給ガスは、エチレンと、酸素と、有機塩化物からなる1種以上の反応修飾剤と、を含む。任意選択的に、入口供給ガスは、エタンなどの非塩化物含有炭化水素、二酸化炭素、希釈ガス、水蒸気、及びそれらの組み合わせを更に含み得る。
本明細書で使用される場合、語「入口供給ガス」という用語は、エポキシ化反応器の入口におけるガス状流の全体を指すと理解される。したがって、当業者によって理解されるであろうように、入口供給ガスは、多くの場合、エチレン流、酸素流、反応修飾剤注入流、リサイクルガス流などの1つ以上のガス状流の組み合わせで構成される。
エチレンは、広い範囲にわたって変動し得る濃度で入口供給ガス中に存在し得る。しかしながら、エチレンは、典型的には、総入口供給ガスに対して少なくとも5モル%、又は同じ基準で、少なくとも8モル%、若しくは少なくとも10モル%、若しくは少なくとも12モル%、若しくは少なくとも14モル%、若しくは少なくとも20モル%、若しくは少なくとも25モル%の濃度で入口供給ガス中に存在する。同様に、エチレンは、典型的には、同じ基準で、最大65モル%、又は最大60モル%、又は最大55モル%、又は最大50モル%、又は最大48モル%の濃度で入口供給ガス中に存在する。いくつかの実施形態では、エチレンは、総入口供給ガスに対して5モル%~60モル%、又は同じ基準で、10モル%~50モル%、若しくは12モル%~48モル%の濃度で入口供給ガス中に存在し得る。
エチレンに加えて、入口供給ガスは、純酸素又は空気のいずれかとして提供され得る酸素を更に含む。「Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」,3rd edition,Volume 9,1980,pp.445-447を参照されたい。空気系プロセスでは、空気又は酸素富化空気が用いられる一方で、酸素系プロセスでは、高純度(少なくとも95モル%)の酸素又は非常に高純度(少なくとも99.5モル%)の酸素が用いられる。酸素系エポキシ化プロセスの更なる記載については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6040467(A)号を参照することができる。現在、ほとんどのエポキシ化プラントは、酸素系であり、これが好ましい。典型的には、酸素系プロセスでは、入口供給ガスは、可燃性の考慮によって、許容される最大レベル未満に酸素濃度を維持するために希釈ガスを更に含み、これについては以下でより詳細に考察されるであろう。
一般に、入口供給ガス中の酸素濃度は、一般的な運転条件において反応器入口又は反応器出口のいずれかで可燃性混合物を形成するであろう酸素濃度未満であるべきである。多くの場合、実際には、入口供給ガス中の酸素濃度は、一般的な運転条件においてエポキシ化反応器入口又はエポキシ化反応器出口のいずれかで可燃性混合物を形成するであろう酸素の所定のパーセンテージ(例えば、95%、90%など)以下であり得る。酸素濃度は広い範囲にわたって変動し得るが、入口供給ガス中の酸素濃度は、典型的には、総入口供給ガスに対して少なくとも0.5モル%、又は同じ基準で、少なくとも1モル%、若しくは少なくとも2モル%、若しくは少なくとも3モル%、若しくは少なくとも4モル%、若しくは少なくとも5モル%である。同様に、入口供給ガスの酸素濃度は、典型的には、総入口供給ガスに対して最大20モル%、又は同じ基準で、最大15モル%、若しくは最大12モル%、若しくは最大10モル%である。いくつかの実施形態では、酸素は、総入口供給ガスに対して1モル%~15モル%、又は同じ基準で、2モル%~12モル%、若しくは3モル%~10モル%の濃度で入口供給ガス中に存在し得る。典型的には、入口供給ガス中の酸素濃度が増加するにつれて、必要な運転温度は低下する。しかしながら、先に述べたように、実際には、可燃性は、一般に、入口供給ガス中の酸素の最大濃度についての制限要因である。したがって、入口供給ガスのエチレン濃度が増加するにつれて、入口供給ガスの酸素濃度を下げて可燃性領域外に留まることができる。例えば、圧力及び温度などの他の運転条件と共に全入口供給ガス組成を考慮して、入口供給ガス中に含まれるべき酸素の好適な濃度を決定することは、当業者の能力の範囲内である。
エチレン及び酸素に加えて、入口供給ガスは、有機塩化物からなる1種以上の反応修飾剤を更に含む。
疑義を回避するために、本発明のプロセスで使用される入口供給ガス中の唯一の反応修飾剤は、有機塩化物である。すなわち、入口供給ガスは、窒素含有反応修飾剤を実質的に含まず、好ましくは完全に含まない。すなわち、入口供給ガスは、100ppm未満の窒素含有反応修飾剤、好ましくは10ppm未満、より好ましくは1ppm未満、最も好ましくは0ppmの窒素含有反応修飾剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「窒素含有反応修飾剤」という用語は、酸化条件下で窒素酸化物として存在するか、又は窒素酸化物を形成することが可能である、ガス状化合物又は揮発性液体を指す。窒素含有反応修飾剤の例としては、限定されないが、NO、NO、N、N、N、又はエポキシ化条件下で前述のガスのうちの1つを形成することが可能な任意の物質(例えば、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アンモニア、有機ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼンなど)、アミン、アミド、有機亜硝酸塩(亜硝酸メチルなど)、ニトリル(アセトニトリルなど))、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
入口供給物中で使用され得る好適な有機塩化物反応修飾剤の例としては、限定されないが、C1~C3クロロ炭化水素が挙げられる。好適な有機塩化物の具体例としては、限定されないが、塩化メチル、塩化エチル、二塩化エチレン、塩化ビニル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
1種以上の反応修飾剤は、一般に、総入口供給ガスに対して0.1体積百万分率(parts per million by volume、ppmv)以上、又は同じ基準で、0.3ppmv以上、若しくは0.5ppmv以上の総濃度で入口供給ガス中に存在する。同様に、1種以上の反応修飾剤は、一般に、総入口供給ガスに対して最大25ppmv、又は同じ基準で、最大22ppmv、若しくは最大20ppmvの総濃度で入口供給ガス中に存在する。いくつかの実施形態では、1種以上の反応修飾剤は、総入口供給ガスに対して0.1~25ppmv、又は同じ基準で、0.3~20ppmvの総濃度で入口供給ガス中に存在し得る。
国際公開第03/044002(A1)号、国際公開第03/044003(A1)号、及び国際公開第2010/123844(A1)号で考察されているように、酸化エチレンの生成において固体耐火性担体上に銀、レニウム、及び1種以上のアルカリ金属促進剤を含む、エポキシ化触媒の性能(例えば、選択性及び/又は活性)を向上させる有機塩化物反応修飾剤の能力は、例えば、原子状塩素又は塩化物イオンなどの特定の塩素種を触媒上に堆積させることによって、当該有機塩化物がエポキシ化触媒の表面を塩化する程度に依存すると考えられる。しかしながら、入口供給ガス中に存在する塩素原子を欠く炭化水素は、触媒の表面から塩化物をストリッピングし、したがって、有機塩化物反応修飾剤によって提供される全体的な性能向上を損なうと考えられる。
エタン又はメタンなどのパラフィン系化合物は、エポキシ化触媒から塩化物をストリッピングするのに特に有効であると考えられる。しかしながら、エチレンはまた、触媒から塩化物をストリッピングするように作用すると考えられる。
これらの炭化水素のうちのいくつかはまた、エチレン供給物中の不純物として導入され得るか、又は他の理由(リサイクル流14の使用など)で存在し得る。典型的には、入口供給ガス2中のエタンの好ましい濃度は、存在する場合、0~約2モル%である。
入口供給ガス2中の有機塩化物反応修飾剤と塩化物除去炭化水素との競合効果を考慮すると、エポキシ化触媒の塩化における有機塩化物反応修飾剤の正味の効果を表す「全触媒塩化有効度値」を定義することが好都合である。
当該全触媒塩化有効度値は、無次元量Cleffとして定義することができ、以下の式によって表すことができ、
Figure 2024501324000003
式中、MC、EC、EDC、及びVCが、それぞれ、塩化メチル(MC)、塩化エチル(EC)、二塩化エチレン(EDC)、及び塩化ビニル(VC)のppmv単位での濃度であり、CH、C、及びCが、それぞれ、入口供給ガス中のメタン、エタン、及びエチレンのモルパーセント単位での濃度である。
したがって、塩化エチルが入口供給ガス2中に存在する唯一の有機塩化物反応修飾剤である場合、塩化メチル、二塩化エチレン、及び塩化ビニルの濃度は0であり、したがって等式(I)の分子に寄与しないので、等式(I)の分子は、ppmv単位での塩化エチル濃度である。同様に。塩化ビニル、塩化メチル、又は二塩化エチレンが入口供給ガス中で単独で又は塩化エチルと共に使用される場合、等式(I)における分子は、ppmv単位でのそれらの濃度に応じて調整される。
次いで、塩化メチル、塩化エチル、二塩化エチレン、及び/又は塩化ビニル以外の有機塩化物が入口供給ガス中に存在する実施形態では、等式(I)を使用してCleffを計算する目的では、当該有機塩化物の濃度は無視される。同様に、CH、C及びCの他に任意の追加の炭化水素が存在する場合、等式(I)を使用してCleffを計算する目的では、当該追加の炭化水素の濃度は無視される。
有機塩化物反応修飾剤は、単一種として供給され得るが、エポキシ化触媒と接触すると、他の種が形成されて、気相中の有機塩化物反応修飾剤の混合物がもたらされる場合がある。その結果、リサイクル流14などを介して反応ガスがリサイクルされる場合、種の混合物が反応器の入口に見出されるであろう。
具体的には、塩化エチル又は二塩化エチレンのみがシステムに供給される場合であっても、入口でリサイクルされる反応ガスは、塩化エチル、塩化ビニル、二塩化エチレン、及び塩化メチルを含有し得る。塩化エチル、塩化ビニル、及び二塩化エチレンの濃度は、Cleffを計算する際に考慮する必要がある。
典型的な運転では、全塩化有効度値(Cleff)は、運転条件の特定の組で可能な限り高い(最大)選択性を達成するように調整される。本明細書では、一連の運転条件下で最大の選択性を達成するように全塩化有効度値が選択されている場合、これは「最適全塩化有効度値」と表される。
本明細書で先に述べたように、先行技術(例えば、国際公開第03/044003(A1)号、国際公開第2010/123844(A1)号、国際公開第2010/123842(A1)号、及び国際公開第2015/100209(A1)号)は、銀、レニウム、及び1種以上のアルカリ金属促進剤を含むエポキシ化触媒が、エチレンのエポキシ化プロセス中に経時的に劣化し、触媒活性の任意の損失に対抗するために反応温度を上昇させるにつれて、最大選択性性能のために最適塩化物濃度が、より高い濃度に移動することについて教示している。
しかしながら、本発明では、驚くべきことに、本明細書に記載の特定のエポキシ化触媒は、触媒劣化に起因して反応温度を上昇させるにつれて、一定値の酸化エチレン生成パラメータで最大選択性性能を維持するために、経時的な塩化物濃度の顕著な変化を必要としないことが見出された。
したがって、少なくとも0.2kton酸化エチレン/m触媒、好ましくは少なくとも0.25kton酸化エチレン/m触媒、より好ましくは少なくとも0.3kton酸化エチレン/m触媒の累積酸化エチレン生成量cumEOが存在する(かつ当該プロセスが、酸化エチレンを生成するために、値EOでの酸化エチレン生成パラメータを用いて、値Tを有する反応温度で、かつCleff1の最適全触媒塩化有効度値を有する入口供給ガスを用いて運転される)エポキシ化プロセス中の初期時点と比較して、エポキシ化触媒が経時的に更に劣化するにつれて、本発明は、当該プロセスのその後の運転に好都合な方法をEOプラントオペレータに提供する。
したがって、本発明では、当該酸化エチレン生成パラメータを値EOに維持するために反応温度を経時的に値Tまで上昇させる際に、EOプラントのオペレータは、Cleffx/Cleff1の比が、0.8~1.2の範囲、好ましくは0.9~1.1の範囲にあるように入口供給ガスの最適全触媒塩化有効度値Cleffxを制御することによって、最大触媒選択性を好都合に維持することができる。
本発明では、「当該酸化エチレン生成パラメータを値EOに維持する」とは、酸化エチレン生成パラメータがEOと実質的に同じであることを意味する。すなわち、当該酸化エチレン生成パラメータは、EOの目標値で制御され、これは、商業的実施における通常の運転変動に起因し、目標値の±5%、好ましくは目標値の±3%、より好ましくは目標値の±2%の間で変動し得る。
本発明の好ましい実施形態では、累積酸化エチレン生成量cumEOでの反応温度Tは、Tよりも少なくとも3℃、好ましくは少なくとも5℃、最も好ましくは少なくとも10℃高い。
本発明の別の好ましい実施形態では、cumEOは、cumEOよりも少なくとも0.8kton酸化エチレン/m触媒高く、好ましくはcumEOよりも少なくとも1.0kton酸化エチレン/m触媒高く、当該累積EO生成量cumEOでの入口供給ガスでの最適全触媒塩化有効度値Cleffxが、Cleffx/Cleff1の比が0.8~1.2の範囲、好ましくは0.9~1.1の範囲にあるようなものである。
本発明の更に好ましい実施形態では、累積酸化エチレン生成量を、cumEOからcumEOへと増加させる際のように、Cleffx/Cleff1の比は、当該増加の期間全体を通じて0.8~1.2の範囲、より好ましくは0.9~1.1の範囲に維持される。
本発明の特に好ましい実施態様では、累積酸化エチレン生成量が、cumEOから増加して触媒寿命の終わりにcumEOのその最終値に達する際に、Cleffx/Cleff1の比は、触媒寿命全体を通じて0.8~1.2の範囲、好ましくは0.9~1.1の範囲に維持される。
疑義を回避するために、本発明のプロセスでは、前述の好ましい実施形態の態様は、単独で又は組み合わせで存在し得る。
任意選択的に、入口供給ガスは、二酸化炭素を更に含み得る。二酸化炭素は、存在する場合、典型的には、総入口供給ガスに対して0.10モル%以上、又は同じ基準で、0.12モル%以上、若しくは0.15モル%以上、若しくは0.17モル%以上、若しくは0.20モル%以上、若しくは0.22モル%以上、若しくは0.25モル%以上の濃度で入口供給ガス中に存在する。同様に、二酸化炭素は、一般に、総入口供給ガスに対して最大10モル%、又は同じ基準で、最大8モル%、若しくは最大5モル%、若しくは最大3モル%、若しくは最大2.5モル%の濃度で入口供給ガス中に存在する。いくつかの実施形態では、二酸化炭素は、総入口供給ガスに対して0.10モル%~10モル%、又は同じ基準で、0.15モル%~5モル%、若しくは0.20モル%~3モル%、若しくは0.25モル%~2.5モル%の濃度で入口供給ガス中に存在し得る。
先に述べたように、二酸化炭素は、反応副生成物として生成され、典型的には、エポキシ化プロセスにおいてリサイクルガス流を使用することを介して入口供給ガス中に導入される。二酸化炭素は、一般に、触媒性能に悪影響を及ぼし、入口供給ガス中に存在する二酸化炭素の濃度が増加するにつれて運転温度が上昇する。
したがって、酸化エチレンの商業的生成において、入口供給ガス中の二酸化炭素の濃度を許容可能なレベルに維持するために、二酸化炭素の少なくとも一部分をリサイクルガス流から(例えば、二酸化炭素分離システムを介して)連続的に除去することが一般的である。
任意選択的に、入口供給ガスは、水蒸気を更に含む。水蒸気は、総入口供給ガスに対してOモル%~3モル%の範囲、好ましくは同じ基準で、0.1モル%~2モル%の範囲、より好ましくは0.2モル%~1モル%の範囲の濃度で入口供給ガス中に存在し得る。
入口供給ガスは、任意選択的に、窒素、メタン、又はそれらの組み合わせなどの希釈ガスを更に含み得る。使用される場合、希釈ガスを入口供給ガスに添加して、酸素可燃性濃度を増加させることができる。必要に応じて、希釈ガスは、総入口供給ガスに対して少なくとも5モル%、又は同じ基準で、少なくとも10モル%、若しくは少なくとも20モル%、若しくは少なくとも25モル%、若しくは少なくとも30モル%の濃度で入口供給ガス中に存在し得る。同様に、希釈ガスは、総入口供給ガスに対して最大80モル%、又は同じ基準で、最大75モル%、若しくは最大70モル%、若しくは最大65モル%の濃度で入口供給ガス中に存在し得る。いくつかの実施形態では、希釈ガスは、総入口供給ガスに対して20モル%~80モル%、又は同じ基準で、30モル%~70モル%の濃度で入口供給ガス中に存在し得る。
更に、先に述べたように、入口供給ガスは、アルゴン、エタンなどの1種以上の不純物を含み得る。当業者によって理解されるであろうように、入口供給ガス中に存在する不純物の種類及び濃度は、少なくとも部分的に、エポキシ化反応器に供給される酸素及びエチレンの純度、並びに任意のかかる不純物がエポキシ化プロセス中に除去される程度によって決定される。
入口供給ガスの構成成分が、エポキシ化触媒と接触する前に組み合わせられる順序及び様式は限定されず、それらは同時に又は順次組み合わせられ得る。しかしながら、当業者によって認識されるであろうように、安全上の理由から、入口供給ガスのある特定の構成成分を特定の順序で組み合わせることが望ましい場合がある。例えば、酸素は、安全上の理由から、希釈ガスの添加後に入口供給ガスに添加され得る。
同様に、当業者によって理解されるであろうように、入口供給ガス中に存在する様々な供給物構成成分の濃度は、例えば、所望の生産性を維持するために、エポキシ化プロセスを最適化するためになど、エポキシ化プロセス全体を通じて調整され得る。
運転条件
本発明のエポキシ化プロセスは、少なくとも部分的に、初期プラント設計、その後の拡張プロジェクト、供給原料の利用可能性、使用されるエポキシ化触媒の種類、プロセス経済性などに応じて、異なる酸化エチレンプラント間で広く変動し得る広範な運転条件下で実行され得る。かかる運転条件の例としては、限定されないが、供給ガス組成、反応器入口圧力、(一般的に、ガス毎時空間速度又は「gas hourly space velocity、GHSV」と表される)エポキシ化反応器を通るガスの流れ、及び酸化エチレン生成パラメータ(すなわち、酸化エチレン生成速度、酸化エチレン生成速度/触媒体積(作業速度)、又は生成ガス酸化エチレン濃度)が挙げられる。
妥当な商業的酸化エチレン生成速度を達成するために、エポキシ化反応は、典型的には、180℃以上、又は190℃以上、又は200℃以上、又は210℃以上、又は225℃以上の反応温度で実行される。同様に、反応温度は、典型的には、325℃以下、又は310℃以下、又は300℃以下、又は280℃以下、又は260℃以下である。反応温度は、180℃~325℃、又は190℃~300℃、又は210℃~300℃であってもよい。本明細書で使用される「反応温度」という用語は、触媒床温度を直接又は間接的に示す任意の選択された温度を指すことに留意するべきである。例えば、反応温度は、触媒床内の特定の位置での触媒床温度、又は1つ以上の触媒床寸法に沿って(例えば、長さに沿って)行われたいくつかの触媒床温度測定値の数値平均であり得る。あるいは、反応温度は、例えば、触媒床の特定の位置でのガス温度、1つ以上の触媒床寸法に沿って行われたいくつかのガス温度測定値の数値平均、エポキシ化反応器の入口又は出口で測定されたガス温度、1つ以上の触媒床寸法に沿って行われたいくつかの冷却剤温度測定値の数値平均、又はエポキシ化反応器の出口で測定された冷却剤温度であり得る。反応温度を測定するために使用される周知のデバイスの一例は、熱電対である。
疑義を回避するために、本発明は、反応温度を決定するために任意の酸化エチレンプラントオペレータによって選択される特定の方法に依存しない。唯一の要件は、一旦選択されると、反応温度を決定する方法が、触媒寿命全体を通じて一貫して適用されるべきであるということである。
本発明では、当該プロセスが、値Tを有する反応温度で運転されるその時点で、少なくとも0.2kton酸化エチレン/m触媒、好ましくは少なくとも0.25kton酸化エチレン/m触媒、より好ましくは少なくとも0.3kton酸化エチレン/m触媒の累積酸化エチレン生成量cumEOが存在する。
反応温度Tは、好ましくは180~260℃の範囲、より好ましくは195~250℃の範囲、最も好ましくは210~240℃の範囲の値である。
本発明のプロセスでは、エポキシ化触媒が経時的に劣化するにつれて、当該酸化エチレン生成パラメータを値EOに維持するために、反応温度を値Tまで上昇させながら、Cleffx/Cleff1の比が、0.8~1.2の範囲、好ましくは0.9~1.1の範囲にあるように、入口供給ガスの最適全触媒塩化有効度値CleffXが制御される。
したがって、累積酸化エチレン生成量cumEOで、cumEOが、cumEOよりも少なくとも0.6kton酸化エチレン/m触媒高く、より好ましくは少なくとも1.0kton酸化エチレン触媒高く、より好ましくは少なくとも0.8kton酸化エチレン/m触媒高く、当該酸化エチレン生成パラメータを値EOに維持するために、反応温度が、増加した値Tを有しながら、Cleffx/Cleff1の比が、0.8~1.2の範囲、好ましくは0.9~1.1の範囲にあるように入口供給ガスの最適全触媒塩化有効度値CleffXが制御されるように、当該プロセスがその後運転される。
反応温度Tは、好ましくは200~300℃の範囲、より好ましくは210~290℃の範囲、最も好ましくは220~280℃の範囲の値である
本明細書に開示のエポキシ化プロセスは、典型的には、1000~3000kPa、又は1200~2500kPa(絶対)の反応器入口圧力で実行される。反応器入口圧力を測定するために様々な周知のデバイスが使用され得、例えば、圧力を示す変換器、ゲージなどが用いられ得る。例えば、エポキシ化反応器の特定の種類、所望の生産性などを考慮して、好適な反応器入口圧力を選択することは、当業者の能力の範囲内である。
エポキシ化反応器を通るガスの流れは、ガス毎時空間速度(「GHSV」)の単位で表され、これは、常温及び常圧(例えば、0℃、1atm)での入口供給ガスの体積流量を触媒床体積(すなわち、エポキシ化触媒を含有するエポキシ化反応器の体積)で除算した商である。GHSVは、ガスが、常温及び常圧(例えば、0℃、1atm)である場合、入口供給ガスがエポキシ化反応器の体積を時間当たり何回置換するかを表す。一般に、GHSVが増加するにつれて、触媒選択性は増加する。しかしながら、固定された触媒体積では、GHSVを増加させることは、一般に、エネルギーコストの増加をもたらし、したがって、通常、より高い触媒選択性と運転コストの増加との間には経済的なトレードオフが存在する。典型的には、気相エポキシ化プロセスでは、GHSVは、時間当たり1,500~10,000である。
酸化エチレン生成パラメータは、典型的には、触媒の単位体積当たりの時間当たりに生成される酸化エチレンの量を指す作業速度の観点で記載される。当業者には既知であるように、作業速度は、限定されないが、反応器温度、反応器圧力、GHSV、及び入口供給ガスの組成(例えば、エチレン濃度、酸素濃度、二酸化炭素濃度など)を含む、いくつかの異なる変数に相関する。一般に、所与の一連の条件では、それらの条件で反応温度を上昇させることは、作業速度を増加させ、酸化エチレン生成量の増加を生じる。しかしながら、この温度上昇は、多くの場合、触媒選択性を低減し、触媒の劣化を加速させ得る。一方、エポキシ化触媒が、経時的に自然な触媒劣化を受けるにつれて、作業速度は、一定の反応温度で徐々に減少する。かかる状況下では、作業速度を必要な値に維持するために、反応温度を上昇させる。典型的には、ほとんどの反応器における作業速度は、時間当たりの触媒m当たり50~600kgの酸化エチレン(kg/m/h)、例えば50~400kg/m/h、又は120~350kg/m/hである。
本開示の利益によって、当業者は、例えば、プラント設計、装置の制約、入口供給ガス組成、エポキシ化触媒の古さなどに応じて、適切な、反応温度、反応器入口圧力、GHSV、及び作業速度などの運転条件を選択することが可能であろう。
本明細書に開示のエポキシ化プロセスによって生成された酸化エチレンは、当技術分野において既知の方法を使用して回収され得る。いくつかの実施形態では、必要に応じて、既知の方法に従って、酸化エチレンを、水、アルコール、二酸化炭素、又はアミンと更に反応させて、それぞれ、エチレングリコール、エチレングリコールエーテル、エチレンカーボネート、又はエタノールアミンを形成することができる。
したがって、本発明のプロセスは、生成された酸化エチレンの少なくとも一部分を、水、アルコール、二酸化炭素、及びアミンからなる群から選択される少なくとも1種の試薬と反応させて、それぞれ、エチレングリコール、エチレングリコールエーテル、エチレンカーボネート、及びエタノールアミンを形成することを更に含み得る。
1,2-エタンジオール(エチレングリコール)又は1,2-エタンジオールエーテル(エチレングリコールエーテル)への変換は、例えば、好適には酸性又は塩基性触媒を使用して、酸化エチレンを水と反応させることを含み得る。例えば、1,2-エタンジオールを主に、1,2-エタンジオールエーテルをより少なく作製するためには、酸化エチレンを、10倍モル過剰の水と、酸触媒、例えば総反応混合物に基づいて0.5~1.0重量%の硫酸の存在下で、50℃~70℃の温度及び1絶対バールの圧力での液相反応において、又は130℃~240℃及び20~40絶対バールの圧力での気相反応において、好ましくは触媒の非存在下で反応させてもよい。一般に、水の割合が下がると、反応混合物中の1,2-エタンジオールエーテルの割合が増加する。このようにして生成された1,2-エタンジオールエーテルは、ジ-エーテル、トリ-エーテル、テトラ-エーテル、又はそれに続くエーテルであり得る。あるいは、1,2-エタンジオールエーテルは、水の少なくとも一部分をアルコールで置き換えることによって、酸化エチレンをアルコール、特にメタノール又はエタノールなどの一級アルコールで変換することによって調製することができる。
エタノールアミンへの変換は、例えば、酸化エチレンをアンモニアと反応させることを含み得る。無水又は水性アンモニアを使用することができるが、無水アンモニアは、典型的にはモノエタノールアミンの生成に有利に使用される。酸化エチレンのエタノールアミンへの変換に適用可能な方法については、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4845296(A)号を参照することができる。
エチレングリコール及びエチレングリコールエーテルは、多種多様な工業用途、例えば、食品、飲料、タバコ、化粧品、熱可塑性ポリマー、硬化性樹脂系、洗剤、熱伝達システムなどの分野において使用され得る。エチレンカーボネートは、例えば、エチレングリコールの製造における前駆体、又は希釈剤として、具体的には溶媒として使用され得る。エタノールアミンは、例えば、天然ガスの処理(「スイートニング」)において使用され得る。
エポキシ化触媒
本明細書に記載のプロセスでの使用に好適なエポキシ化触媒は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体と、当該担体上に堆積された、銀、レニウム促進剤、1種以上のアルカリ金属促進剤、並びに任意選択的に、1種以上の共促進剤及び/又は1種以上の更なる金属促進剤を含む。
本発明のプロセスで使用されるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体、及びフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を含むエポキシ化触媒に関する詳細な情報を、以下に提供する。
疑義を回避するために、本明細書で以下に記載の当該担体及び触媒の好ましい実施形態の態様は、本発明のプロセスにおいて単独で又は組み合わせて使用され得る。
フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の調製
一般に、本発明のプロセスのための触媒中で使用されるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、フッ化物鉱化剤の存在下でアルファ-アルミナ前駆体を焼成することによって調製される。フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が調製される特定の様式は限定されず、したがって、アルファ-アルミナの鉱化に関する記載について、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3950507(A)号、米国特許第4379134(A)号、米国特許第4994588(A)号、米国特許第4994589(A)号、及び米国特許第6203773(B1)号、米国特許第2012/0108832(A1)号、及び米国特許第2018/0161761(A1)号に記載のそれらの方法などの、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を調製するための当該技術分野において既知の任意の方法が使用され得る。
フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を調製するための1つの方法は、アルファ-アルミナ前駆体をフッ化物鉱化剤と組み合わせ、その組み合わせを焼成することを含む。アルファ-アルミナ前駆体は、当該技術分野において既知の任意の方法によって、フッ化物鉱化剤と組み合わせられ得る。更に、アルファ-アルミナ前駆体及びフッ化物鉱化剤は、任意の他の所望の原料と共に、任意の形態で提供され、任意の順序で組み合わせられ得る。例えば、アルファ-アルミナ前駆体は、典型的には、形成体(例えば、その意図される使用に好適な選択された形状へと成形された固体)へと形成され、フッ化物鉱化剤は、かかる形成体の形成前、形成中、又は形成後の任意の時点で、同様に、焼成前又は焼成中の任意の時点で、アルファ-アルミナ前駆体と組み合わせられ得る。例えば、場合によっては、アルファ-アルミナ前駆体は、フッ化物鉱化剤を含む溶液と組み合わせられ得、組み合わせは、混合され、形成体へと形成(例えば、押出成形)され得、形成体は、焼成されてフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が形成され得る。あるいは、アルファ-アルミナ前駆体は、最初に形成体へと形成され得、次いで、形成体は、フッ化物鉱化剤と組み合わせられ(例えば、フッ化物鉱化剤を含む溶液を形成体に含浸させることによって)、その後焼成されて、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が形成され得る。更に、他の場合では、アルファ-アルミナ前駆体は、形成体へと形成され、次いで、焼成中に(例えば、フッ化物鉱化剤を含むガス状雰囲気中で形成体を焼成することによって)フッ化物鉱化剤と接触され得る。したがって、アルファ-アルミナ前駆体が、フッ化物鉱化剤の存在下で焼成されることを条件として、任意の既知の調製方法が使用され得る。
好適なアルファ-アルミナ前駆体に関して、1200℃以下の温度で加熱される場合、少なくとも部分的にアルファ-アルミナに変換されることが可能である、任意の材料が使用され得る。例えば、好適なアルファ-アルミナ前駆体としては、限定されないが、ギブサイト、バイヤライト、及びノルドストランダイトなどのアルミニウムトリ-ヒドロキシド;ベーマイト、擬ベーマイト、及びダイアスポラなどの水酸化酸化アルミニウム;ガンマ-アルミナ、デルタ-アルミナ、エータ-アルミナ、カッパ-アルミナ、カイ-アルミナ、ロー-アルミナ、及びシータ-アルミナなどの遷移アルミナ;並びにそれらの組み合わせが挙げられる。先に述べたように、アルファ-アルミナ前駆体は、任意の形態であり得る。典型的には、アルファ-アルミナ前駆体は、焼成後に、少なくとも80重量%、若しくは少なくとも85重量%、若しくは少なくとも90重量%、若しくは少なくとも95重量%のアルファ-アルミナ、又は最大99.9重量、若しくは100重量%のアルファ-アルミナを含む、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を提供するのに十分な量で含まれる。
当業者によって認識されるであろうように、使用されるアルミナ-アルミナ前駆体の微粒子サイズの変動は、細孔サイズ分布及び総細孔容積などの、生じるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の物理的特性に影響を及ぼす。同様に、当業者によって理解されるであろうように、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体中に存在する不純物のレベルは、少なくとも部分的に、(任意の他の原料と共に)使用されるアルファ-アルミナ前駆体の純度、焼成中の不純物の揮発の程度、並びに任意の不純物が任意のその後の洗浄及び/又は処理手順中に除去されるかどうかによって決定される。一般的な不純物としては、シリカ、アルカリ及びアルカリ土類金属酸化物、並びに微量の金属及び/又は非金属含有添加剤を挙げることができる。
好適なフッ化物鉱化剤に関して、揮発性であるか、又はアルファ-アルミナ前駆体の焼成条件下で容易に揮発させることができる、任意の材料が使用され得る。好ましくは、フッ化物鉱化剤は、1200℃以下、典型的には800℃~1200℃の温度で揮発性フッ素種を提供する可能である。フッ化物鉱化剤は、有機又は無機であってもよく、イオン性、共有結合性、及び極性共有結合性の化合物を含み得る。フッ化物鉱化剤が提供される特定の形態は限定されず、したがって、揮発性フッ素種としては、フッ素、フッ化物イオン、及びフッ素含有化合物を挙げることができる。同様に、フッ化物鉱化剤は、ガス状、又は液体溶液(例えば、フッ化物鉱化剤を含む溶液の形態で提供される)、又はガス状形態で提供され得る。好適なフッ化物鉱化剤の例としては、限定されないが、F、三フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化水素アンモニウム(NHHF)及びフッ化アンモニウム(NHF)などのフッ化アンモニウム、フッ化水素、フッ化水素酸、ジクロロジフルオロメタン(CCl)、四フッ化ケイ素(SiF)、六フッ化ケイ素([SiF2-)、三フッ化ホウ素(BF)、三フッ化窒素(NF)、二フッ化キセノン(XeF)、六フッ化硫黄(SF)、五フッ化リン(PF)、四フッ化炭素(CF4)、フルオロホルム(CHF)、テトラフルオロエタン(C)、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロアルミン酸、アルカリ金属(第1族)フッ化物、アルカリ土類金属(第2族)フッ化物、第4族金属フッ化物、第6族金属フッ化物、第8~13族金属フッ化物、ランタニドフッ化物、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
一般に、フッ化物鉱化剤は、アルファ-アルミナ前駆体とフッ化物鉱化剤が添加される任意の任意選択的な添加剤との総重量に対する、使用される元素フッ素の重量として計算して、少なくとも0.10重量%の量で使用される。好ましくは、フッ化物鉱化剤は、0.20重量%以上、より好ましくは0.25重量%以上の量で使用される。典型的には、フッ化物鉱化剤は、最大5重量%、又は最大3重量%、又は最大2.5重量%の量で使用される。5重量%を超えてフッ化物鉱化剤を使用することは可能であるが、かかる量は、不必要であると見なされる一般に用いられない。これらの量は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を調製するために使用されるフッ化物鉱化剤の量を指し、かかる量は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が作製された特定のプロセス条件(例えば、焼成温度、加熱速度、使用されるアルファアルミナ前駆体の種類及び量、焼成雰囲気など)に応じて変動するので、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体中に最終的に存在し得る量を必ずしも反映しない。担体特性に対するフッ化物濃度の影響に関する更なる考察については、例えば、Shaklee,et al,「Growth ofα:-Al Platelets in the HF-γ-Al System」,Journal of the American Ceramic Society,Volume 77,No.11(1994),pp.2977-2984を参照されたい。
必要に応じて、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を調製する際に、1種以上の任意選択的な添加剤が含まれ得る。例えば、形成体の形成を容易にするため、及び/又は生じるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の特徴のうちの1つ以上を変化させるために、1種以上の添加剤を含むことが望ましい場合がある。好適な添加剤としては、多種多様な既知の担体添加剤のうちのいずれかを挙げることができ、限定されないが、結合剤(例えば、酸化ポリオレフィン、セルロース、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸カルシウムなどのアルカリ土類金属化合物、並びにアルカリ金属化合物)、押出助剤(例えば、ワセリン、水素化油、合成アルコール、合成エステル、グリコール、デンプン、酸化ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物)、溶媒(例えば、水)、解膠酸(例えば、無機酸(硝酸など)、1~約5つの炭素原子を含有する単官能性脂肪族カルボン酸(酢酸、プロパン酸、及びギ酸など)、1~約5つの炭素原子を含有するハロゲン化単官能性脂肪族カルボン酸(モノ-、ジ-、及びトリクロロ酢酸)など)、フラックス剤、結合剤、分散剤、バーンアウト材料(「細孔形成剤」としても知られる)、強度向上添加剤などが挙げられる。加えて、いくつかの実施形態では、アルファ-アルミナが、添加剤として含まれ得る。例えば、調製方法、及び生じるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の所望の特性を考慮して、好適な添加剤を適切な量で選択することは、当業者の能力の範囲内である。更に、アルファ-アルミナ前駆体及び任意の他の所望の添加剤は、任意の形態であってもよく、任意の順序で組み合わせられてもよく、すなわち、アルファ-アルミナ前駆体及び任意の他の添加剤の添加順序は重要ではない。
形成体の成形を容易にするために、及び/又は生じるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の細孔性を変化させるために、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を調製する場合、バーンアウト材料が任意選択的に含まれ得る。典型的には、バーンアウト材料は、乾燥又は焼成中にバーンアウト、昇華、又は揮発する。好適なバーンアウト材料の例としては、限定されないが、ペカン、カシュー、クルミ、モモ、アプリコット、及びヘーゼルナッツなどのナッツの粉砕された殻、並びにポリエチレン及びポリプロピレンなどの粒状ポリオレフィンが挙げられる。
強度向上添加剤は、例えば、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の破砕強度を増加させ、及び/又は耐摩耗性を改善するために、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体に任意選択的に含めることができる。強度向上添加剤に関する記載については、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7560411(B2)号、米国特許第8513156(B2)号、米国特許第8536083(B2)号、及び米国特許第8603937(B2)号を参照されたい。好適な強度向上添加剤の例としては、限定されないが、ジルコニウム種、ランタニド族種、第2族金属種、無機ガラス、又はそれらの混合物を挙げることができる。強度向上添加剤がフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体に組み込まれる前に存在する特定の形態は、限定されない。したがって、ジルコニウム種、ランタニド族種、及び第2族金属種は、任意の特定の元素それ自体及びその元素の化合物を含む。加えて、強度向上添加剤は、強度向上添加剤を含む溶液又はエマルションなどの、強度向上添加剤を含む組成物の形態で使用され得る。例示的な強度向上添加剤としては、限定されないが、フルオロジルコン酸アンモニウム、ジルコン酸カルシウム、酢酸ジルコニウム、アセチルアセトン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、炭酸ランタン、フッ化ランタン、硝酸ランタン、シュウ酸ランタン、酸化ランタン、炭酸セリウム、フッ化セリウム、硝酸セリウム、シュウ酸セリウム、酸化セリウム、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、硝酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、及び酸化カルシウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、強度向上添加剤は、アルファ-アルミナ前駆体と、強度向上添加剤が添加される任意の任意選択的な添加剤との総重量に対して、使用される元素の量として計算して、0.10重量%~5重量%の量で含まれ得る。
強度向上添加剤が無機ガラスを含むそれらの実施形態では、無機ガラスは、焼成が実行される温度以下の融解温度を有することが好ましい。例えば、無機ガラスは、1200℃未満である融解温度を有し得る。無機ガラスの融解温度は、無機ガラスの成分が、ガラス製造中に加熱されて流体が得られる温度を意味すると理解される。典型的な無機ガラスは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属などの多くの他の元素と組み合わせた、元素のケイ素、ホウ素、アルミニウム、又は鉛を含み得る。これらの元素は、典型的にはそれらの酸化物として用いられる。本開示の目的のために使用され得る例示的な無機ガラスとしては、とりわけ、以下のものが挙げられる:NaO.SiO+NaO.2SiO、NaO.SiO+SiO(石英)、KO.SiO+KO.2SiO、KO.2SiO+KO.4SiO、PbO、2PbO.SiO+PbO.SiO、NaO.SiO+NaO.2SiO+2NaO.CaO.3SiO、KO.2SiO+KO.2CaO.9SiO+KO.4SiO、NaO.4B+SiO、及びNaO.2B+NaO.SiO
任意選択的に、カリウム化合物が、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を調製するときに含まれ得る。例えば、焼成中に低融点を有する融解物を形成するために、カリウム化合物を含めることが望ましい場合がある。好適なカリウム化合物としては、カリウムの無機酸塩、有機酸塩、又は水酸化物などのカリウム含有無機又は有機化合物、例えば、硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、フッ化カリウム、硫酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ケイ酸カリウム、シュウ酸カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、メタ-アルミン酸カリウムを挙げることができる。いくつかの実施形態では、カリウム化合物は、アルファ-アルミナ前駆体と、カリウム化合物が添加される任意の任意選択的な添加剤との総重量に対して、使用されるカリウムの量として計算して、0.01~3重量%の量で含まれ得る。
典型的には、アルファ-アルミナ前駆体、並びに任意選択的にフッ化物鉱化剤及び/又は1種以上の添加剤は、焼成前に形成体へと形成される。形成体が調製される様式は、限定されず、いくつかの既知の方法のうちのいずれかを挙げることができる。いくつかの実施形態では、形成体は、アルファ-アルミナ前駆体、並びに任意選択的にフッ化物鉱化剤及び/又は1種以上の添加剤を含む原料の展性混合物から調製され得る。原料の展性混合物は、いくつかの既知の方法(例えば、ボールミリング、混合混練、リボンブレンド、垂直スクリュー混合、Vブレンド、アトリションミリングなど)のうちのいずれかに従って調製され、その後、いくつかの既知の方法(例えば、押出成形、噴霧、噴霧乾燥、凝集、プレス、射出成形、スリップキャスティング、テープキャスティング、圧延圧縮など)のうちのいずれかによって形成体へと形成され得る。展性混合物(例えば、生地、ペーストなど)は、乾燥(すなわち、液体媒体の非存在下で)又は湿潤状態で調製され得る。適用可能な方法については、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5145824(A)号、米国特許第5512530(A)号、米国特許第5384302(A)号、米国特許第5100859(A)号、及び米国特許第5733842(A)号を参照することができる。
一旦形成されると、形成体は、任意選択的に、焼成前に、水を除去するか、任意の有機添加剤を分解するか、又は形成体を修飾するのに十分な雰囲気下で加熱され得る。好適な雰囲気としては、限定されないが、空気、窒素、アルゴン、水素、二酸化炭素、水蒸気、フッ素含有ガスを含むもの、又はそれらの組み合わせが挙げられる。必要に応じて、かかる加熱は、一般に、20℃~500℃、好ましくは30℃~300℃の範囲の温度で、典型的には少なくとも1分~最大100時間、好ましくは5分~50時間の期間の間行われる。乾燥に好適な容器は、当該技術分野において一般に既知であり、焼成に使用される容器と同じであっても異なっていてもよい。
焼成は、一般に、アルファ-アルミナ前駆体の少なくとも一部分の鉱化を誘導するのに十分に高い温度で、十分に長い期間の間行われる。具体的には、焼成は、アルファ-アルミナ前駆体の少なくとも50%、又は少なくとも75%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%をアルファ-アルミナに変換するのに十分な、1つ以上の温度、1つ以上の圧力、及び1つ以上の期間の間行われ得る。焼成は、限定されないが、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水蒸気、フッ化物鉱化剤を含むもの、及びそれらの組み合わせを含む、任意の好適な雰囲気中で実行され得る。しかしながら、形成体が有機バーンアウト材料を更に含むそれらの実施形態では、加熱及び/又は焼成のうちの少なくとも1つは、酸素含有雰囲気中などの酸化雰囲気中で少なくとも部分的に又は完全に実行される。
焼成は、一般に、1200℃以下の温度で行われ、好ましくは750℃以上の温度で、更により好ましくは900℃以上の温度で行われる。フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の形態に悪影響を及ぼし得るので、過剰量のフッ化物が遊離するのを防止するために、焼成温度を1200℃以下に維持することが一般に望ましい。焼成中の圧力は、亜大気圧、大気圧、及び超大気圧を含む、任意の圧力であり得る。好ましくは、焼成は、大気圧で行われる。焼成温度に応じて、焼成は、典型的には最大5時間、好ましくは0.5~3時間の期間の間、大気圧で行われる。当業者によって認識されるであろうように、焼成が、より低い温度で行われる場合、一般に、より長い期間が鉱化プロセスに必要とされ、同様に、焼成が、より高い温度で行われる場合、鉱化プロセスは、典型的には、より短い時間が必要とされる。
焼成は、一般に、アルファ-アルミナ前駆体の少なくとも一部分の鉱化を誘導するのに十分に高い温度で、十分に長い期間の間(例えば、750℃~1200℃の範囲の温度で、0.5~3時間の期間の間、大気圧で)行われるべきであることが本明細書では提供されているが、それにもかかわらず、本開示は、焼成が行われる様式に依存しない。したがって、ある温度である特定の期間の間保持し、次いで第2の期間にわたって温度を第2の温度まで上昇させるなどの、当該技術分野において既知の焼成における変形形態が、本開示によって企図される。同様に、生じるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の表面特性は、焼成温度だけでなく、少なくとも部分的に、焼成中の加熱速度にも依存することに留意するべきである。例えば、生じるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の所望の特性を考慮して、好適な焼成条件を選択することは、当業者の能力の範囲内である。鉱化プロセスに対する温度の影響に関する更なる考察については、例えば、米国特許第4379134(A)号、及びDaimon,et al.,「Morphology of Corundum Crystallized by Heating Mixture ofη-Al and A1F」,Journal of Crystal Growth,Volume 75(1986),pp.348-352を参照されたい。
焼成に好適な容器に関して、かかる容器は、当該技術分野において一般に既知である。焼成が実施される特定の容器は限定されず、したがって、当該技術分野において既知の任意の好適な容器が使用され得る。かかる容器の例としては、限定されないが、スタティックキルン、回転窯などの炉が挙げられる。更に、かかる容器内の温度及び圧力は、任意の好適な手段によって測定され得る。
焼成後、生じたフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、任意選択的に、触媒材料(例えば、銀)の堆積前に洗浄及び/又は処理され得る。同様に、必要に応じて、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を形成するために使用される任意の原料は、焼成前に洗浄及び/又は処理され得る。洗浄及び/又は処理のための当該技術分野において既知の任意の方法は、かかる方法が、生じるエポキシ化触媒の性能に悪影響を及ぼさないことを条件として、本開示に従って使用され得る。かかる方法に関する記載については、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6368998(B1)号、米国特許第7232918(B2)号、及び米国特許第7741499(B2)号を参照されたい。洗浄が望ましい場合、典型的には、15℃~120℃の範囲の温度で、最大100時間、好ましくは5分~50時間の期間にわたって行われる。洗浄は、連続様式又はバッチ様式のいずれかで行われ得る。
好適な洗浄溶液の例としては、限定されないが、水(例えば、脱イオン水)、1種以上の塩(例えば、アンモニウム塩)を含む水溶液、アミン溶液(例えば、エチレンジアミン)、水性有機希釈剤、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。同様に、好適な水溶液は、酸性、塩基性、又は中性であり得る。洗浄溶液の体積は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が、担体の初期湿潤点に達するまで含浸されるようなものであり得る。あるいは、より大きな体積が使用され得、過剰の溶液が、例えば、遠心分離によって、湿潤な担体から除去され得る。更に、任意の洗浄及び/又は処理ステップに続いて、触媒材料(例えば、銀)の堆積の前に、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を乾燥又は焙焼することが好ましい。例えば、担体は、空気流中で、例えば80℃~400℃の温度で、十分な期間の間乾燥され得る。
フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、担体製造業者から市販されている。
フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体-物理的特性
本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、形状、サイズ、充填密度、表面積、吸水率、破砕強度、耐摩耗性、総細孔容積、メジアン細孔直径、細孔サイズ分布などを含む、様々な広範囲の物理的特性を有するものから選択することができる。
好ましい実施形態では、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、層状又はプレートレットタイプの形態を有する微粒子マトリックスを有する。より好ましくは、層状又はプレートレットタイプの形態は、少なくとも1つの方向に0.1マイクロメートルよりも大きいサイズを有する粒子が、少なくとも1つの実質的に平坦な主表面を有するようなものである。
フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体に好適な形状としては、担体では既知の多種多様な形状のうちのいずれかが挙げられ、限定されないが、ピル、チャンク、タブレット、ピース、ペレット、リング、球体、車輪、台形体、ドーナツ、アンホラ、リング、ラシヒリング、ハニカム、モノリス、サドル、円筒、中空円筒、多葉形円筒、交差分割中空円筒(例えば、壁間に延在する少なくとも1つの仕切りを有する円筒)、側壁から側壁へのガスチャネルを有する円筒、2つ以上のガスチャネルを有する円筒、及びリブ付き又はフィン付き構造が挙げられる。円筒は、多くの場合円形であるが、楕円形、六角形、四辺形、三辺形、及び多葉形などの他の断面も有用であり得る。好ましくは、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、多葉形である。多葉形担体の更なる記載については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2012/0171407(A1)号を参照することができる。
加えて、一般に、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体のサイズは限定されず、エポキシ化反応器での使用に好適な任意のサイズを挙げることができる。例えば、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、5~15ミリメートル(「mm」)の長さ、5~15mmの外径、及び0.2~4mmの内径を有する円筒の形状であり得る。いくつかの実施形態では、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、0.8~1.2の長さ対外径比を有し得る。加えて、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、1~7mmの壁厚を有する中空円筒の形状であり得る。例えば、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が用いられるであろうエポキシ化反応器の種類及び構成(例えば、エポキシ化反応器内のチューブの長さ及び内径)を考慮して、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の好適な形状及びサイズを選択することは、本開示の利益を用いる当業者の能力の範囲内である。
一般に、担体の表面積は、触媒材料(例えば、銀)の堆積に利用可能な担体のグラム当たりの表面積の量を示す。本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の表面積は、厳密には重要ではなく、例えば、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の重量に対して0.1~10m/g、又は同じ基準で、0.5~5m/g、若しくは0.7~3m/g、若しくは少なくとも0.1m/g、若しくは少なくとも0.3m/g、若しくは少なくとも0.5m/g、若しくは少なくとも0.6m/g、若しくは最大10m/g、若しくは最大5m/g、若しくは最大3m/gであり得る。本明細書で使用される場合、「表面積」は、Brunauer,S.,Emmet,P.Y.and Teller,E.,J.Am.Chem.Soc.,60,309-16(1938)に詳述される、B.E.T.(Brunauer,Emmett and Teller)方法に従って測定した、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の表面積を指すと理解される。
担体の吸水率は、典型的には、担体の重量に対する、担体の細孔に吸収され得る水の重量として表され、したがって、担体のグラム当たりの水のグラムとして報告され、単位は、「g/g」と略される場合がある。典型的には、本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の吸水率は、例えば、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の重量に対して0.2~1.2g/g、又は同じ基準で、0.3g/gから、若しくは少なくとも0.2g/g、若しくは少なくとも0.3g/g、若しくは最大0.8g/g、若しくは最大0.7g/gであり得る。本明細書で使用される場合、「吸水率」という用語は、以下の手順に従って測定される、担体の吸水率を指すと理解される:まず、およそ100gのフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の代表的な試料を110℃で最低1時間乾燥させる。次いで、試料をデシケータ内で冷却し、次いで、各試料の乾燥重量(D)を0.01g単位まで決定する。次いで、試料を蒸留水の皿に入れ、30分間煮沸する。水が沸騰している間に、試料を水で覆い、セッターピン又はいくつかの同様のデバイスを使用して、試料をパンの底部及び側面から、並びに互いから分離する。30分間煮沸した後、試料を室温の水に移し、更に15分間浸漬させる。室温まで戻した後、各試料を湿らせたリントフリーのリネン又は綿布で軽く拭き取って表面から過剰な水を全て除去し、各試料の飽和重量(M)を0.01g単位まで決定する。拭き取り作業は、予め水で飽和させた湿潤な布上で試験片を軽く転がし、次いで布から滴り落ちるかかる水を除去するのに十分なだけ押しつけることを伴い得る。過剰な拭き取りは、試料の細孔から水を引き抜くことによって誤差を導入するので、回避するべきである。試料は、拭き取り直後に秤量するべきである。試料からの水の蒸発によって引き起こされる誤差を最小限に抑えるために、作業全体をできるだけ迅速に完了させるべきである。吸水率(A)は、乾燥担体の重量に対する吸収された水の重量として表され、以下の式:A=[(M-D)/D]を使用して決定され、式中、吸水率は、担体のグラム当たりの水のグラム(「g/g」)の単位で表される。吸水率はまた、測定された条件での水の密度に対する補正があることを条件に、「cc/g」の単位で表され得る。あるいは、吸水率が、上述の手順に従って測定される場合、100グラムの担体当たりの吸収される水のグラムの単位(例えば、60g/100g)で吸水率を表すことが好都合であり得、これは、100gの担体当たりの吸収される水の重量パーセンテージ(例えば、60%)としても表され得る。担体の吸水率は、触媒担体の分野において、担体の開放気孔細孔性を意味すると通常理解される、「細孔性」という用語と正に相関し得、したがって互換的に使用され得る。一般に、担体の吸水率が増加するにつれて、担体上への触媒材料の堆積の容易さが増加する。しかしながら、より高い吸水率では、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体、又は担体を含むエポキシ化触媒は、より低い破砕強度又は耐摩耗性を有し得る。
担体の破砕強度は、典型的には、担体の長さに対する、担体を破砕するのに必要とされる圧縮力の量として表され、したがって、担体のミリメートル当たりの力の量として報告され、単位は、「N/mm」と略される場合がある。本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の破砕強度は、厳密には重要ではないが、酸化エチレンの商業的生成における使用を可能にするのに十分な破砕強度を有するべきである。典型的には、本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の破砕強度は、例えば、少なくとも1.8N/mm、又は少なくとも2N/mm、又は少なくとも3.5N/mm、又は少なくとも5N/mm、多くの場合、40N/mmほど、又は25N/mmほど、又は15N/mmほどであり得る。本明細書で使用される場合、「破砕強度」という用語は、試験試料が、その調製後にそのまま、すなわち、試験試料を乾燥させるステップを表す、当該方法のステップ7.2を排除して試験される、ASTM D6175-03に従って測定した、担体の破砕強度を指すと理解される。この破砕強度試験方法では、担体の破砕強度は、典型的には、外径8.8mm、内径3.5mm、及び長さ8mmの中空円筒状粒子の破砕強度として測定される。
一般に、担体の耐摩耗性は、輸送、取り扱い、及び使用の過程で微粉を生成する担体の傾向を示す。本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の耐摩耗性は、厳密には重要ではないが、酸化エチレンの商業的生成における使用を可能にするように十分に頑強であるべきである。典型的には、本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、最大50%、又は最大40%、又は最大30%の摩耗性を呈し得、典型的には、少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%である。本明細書で使用される場合、「耐摩耗性」は、試験試料が、その調製後にそのまま、すなわち、試験試料を乾燥させるステップを表す、当該方法のステップ6.4を排除して試験される、ASTM D4058-92に従って測定した、担体の耐摩耗性を指すと理解される。この試験方法では、担体の耐摩耗性は、典型的には、外径8.8mm、内径3.5mm、及び長さ8mmの中空円筒状粒子の耐摩耗性として測定される。
担体の総細孔容積、メジアン細孔直径、及び細孔サイズ分布は、液体水銀が担体の細孔に圧入される従来の水銀圧入ポロシメトリーデバイスによって測定され得る。水銀をより小さい細孔に圧入するには、より大きな圧力が必要であり、圧力増分の測定は、浸透した細孔の体積増分に対応し、したがって増分体積の細孔のサイズに対応する。本明細書で使用される場合、細孔サイズ分布、メジアン細孔直径、及び細孔容積は、2.1×10Paの圧力まで、Micromeritics
Autopore9200モデル(130°接触角、0.480N/mの表面張力を有する水銀、及び適用される水銀圧縮についての補正)を使用する水銀圧入ポロシメトリーによって測定したものである。本明細書で使用される場合、メジアン細孔直径は、細孔サイズ分布における点に対応する細孔直径を意味すると理解され、その点では、総細孔容積の50%が、当該点よりも小さい(又は大きい)細孔に見出される。
本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の総細孔容積は、厳密には重要ではなく、例えば、少なくとも0.20mL/g、少なくとも0.30mL/g、少なくとも0.40mL/g、少なくとも0.50mL/gであり得、典型的には最大0.80mL/g、最大0.75mL/g、又は最大0.70mL/gである。一般に、担体の総細孔容積が増加するにつれて、担体上に触媒材料を堆積させる能力が増加する。しかしながら、より高い総細孔容積では、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体、又は担体を含むエポキシ化触媒は、より低い破砕強度又は耐摩耗性を有し得る。本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体のメジアン細孔直径は、厳密には重要ではなく、例えば、0.50~50μmであり得る。加えて、本明細書での使用に好適なフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、単峰性、二峰性、又は多峰性である細孔サイズ分布を有し得る。
当業者によって理解されるであろうように、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を含むエポキシ化触媒の触媒性能は、一般に、使用されるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の特定の物理的特性に応じて変動するであろう。したがって、かかる物理的特性に関して本明細書に開示の範囲は、物理的特性における最も広い可能な変動を網羅するように選択され、その効果は、実験によって容易に決定することができる。
エポキシ化触媒組成物
本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、先に上述したようなフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体と、当該担体上に堆積された、銀、レニウム促進剤、及び1種以上のアルカリ金属促進剤を含む。任意選択的に、当該エポキシ化触媒は、共促進剤のうちの1種以上、更なる金属促進剤のうちの1種以上、及び/又はそれらの組み合わせを更に含み得る。本明細書で使用される場合、「任意選択的な促進剤」という用語は、共促進剤のうちの1種以上、更なる金属促進剤のうちの1種以上、及びそれらの任意の組み合わせを指す。
広義には、銀は、エチレンと酸素との気相反応を触媒して酸化エチレンを生成するのに十分な量で、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積される。異なる量の銀を含むエポキシ化触媒が、同様の充填密度の担体上に調製される場合、典型的にはエポキシ化触媒の総重量に相関する銀の重量パーセントで表される銀重量基準で、エポキシ化触媒を比較することが好都合である。本明細書で使用される場合、別段指定されないない限り、エポキシ化触媒の総重量は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体、並びに銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び任意の任意選択的な促進剤を含む、その上に堆積された全ての構成成分の重量を指すと理解される。
典型的には、本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、エポキシ化触媒の総重量に対して1~55重量%、又は同じ基準で、1~50重量%、若しくは5~40重量%、若しくは8~35重量%、若しくは10~30重量%、若しくは少なくとも10重量%、若しくは少なくとも15重量%、若しくは最大45重量%、若しくは最大40重量%の量で銀を含む。銀の好適な量の上限及び下限は、特定の触媒性能特徴若しくは所望の効果、又は経済的要因を含む関与する他の変数に応じて、好適に変動し得る。
あるいは、エポキシ化触媒中に含まれる銀の量は、エポキシ化反応器内(例えば、触媒床内)に充填されるエポキシ化触媒の単位体積当たりの銀の質量の単位で表され得る。この方式で、異なる充填密度のフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に調製された、エポキシ化触媒間の銀充填量の比較を行うことができる。最終的に、触媒床は、規定体積のエポキシ化触媒を含有するので、エポキシ化触媒上に堆積された銀の量を比較するこの方法が適切である。したがって、本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、触媒床に充填されたエポキシ化触媒の総体積に対して少なくとも50kg/m、又は同じ基準で、少なくとも100kg/m、若しくは少なくとも125kg/m、若しくは少なくとも150kg/mの量で銀を含み得る。同様に、本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、触媒床に充填されたエポキシ化触媒の総体積に対して最大500kg/m、又は同じ基準で、最大450kg/m、若しくは最大400kg/m、若しくは最大350kg/mの量で銀を含み得る。好ましくは、エポキシ化触媒は、触媒床に充填されたエポキシ化触媒の総体積に対して50~500kg/m、又は同じ基準で、100~450kg/m、若しくは125~350kg/mの量で銀を含む。
銀に加えて、本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び任意選択的に、1種以上の共促進剤、更なる金属促進剤のうちの1種以上、及び/又はそれらの組み合わせを更に含む。
エポキシ化触媒での使用に好適なアルカリ金属促進剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好適な共促進剤は、硫黄、リン、ホウ素、タングステン、モリブデン、クロム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好適な更なる金属促進剤としては、アルカリ土類金属(例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウム、タリウム、トリウム、タンタル、ニオブ、ガリウム、ゲルマニウム、マンガン、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
酸化エチレンを作製するための反応の間、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、共促進剤、及び更なる金属促進剤の具体的な形態は不明であり得る。
一般に、レニウム促進剤、1種以上のアルカリ金属促進剤、及び任意選択的な促進剤が提供される特定の形態は、限定されず、既知の多種多様な形態のうちのいずれかを挙げることができる。例えば、レニウム促進剤、1種以上のアルカリ金属促進剤、及び任意選択的な促進剤は、イオン(例えば、カチオン、アニオン、オキシアニオンなど)として、又は化合物(例えば、レニウム塩、共促進剤の塩、アルカリ金属塩、更なる金属促進剤の塩など)として好適に提供され得る。一般に、好適な化合物は、水含有溶媒などの適切な溶媒に可溶化され得るものである。本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、イオン結合及び/又は共有結合及び/又は配位結合などの表面結合及び/又は化学結合による、特定の元素と1種以上の異なる元素との組み合わせを指す。「イオン」又は「イオン性」という用語は、電気的に化学的に荷電した部分を指し、「カチオン」又は「カチオン性」は、正に荷電した部分であり、「アニオン」又は「アニオン性」は負に荷電した部分であり、「オキシアニオン」又は「オキシアニオン性」は、別の元素と組み合わせられた少なくとも1つの酸素原子を含有する負に荷電した部分(すなわち、酸素含有アニオン)である。イオンは、真空中には存在しないが、添加されると電荷平衡対イオンとの組み合わせで見出されることが理解される。「酸化物」という用語は、対象である元素が、イオン結合及び/又は共有結合及び/又は配位結合などの表面結合及び/又は化学結合によって、酸素、及び可能な場合1種以上の異なる元素に結合している、荷電種又は中性種を指す。したがって、酸化化合物は、混合、二重、又は複合表面酸化物でもあり得る、酸素含有化合物である。例示的な酸化化合物としては、限定されないが、酸化物(第2の元素として酸素のみを含有する)、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、オキシハロゲン化物など、並びに対象である元素が、基材又は表面のいずれかで酸素に直接又は間接的に結合している表面種が挙げられる。
当業者によって理解されるであろうように、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、又は任意選択的な促進剤の特定の形態は、触媒調製中に提供され得るが、エポキシ化触媒の調製の条件中及び/又はエポキシ化プロセスでの使用中に、最初に存在する特定の形態が、別の形態に変換され得ることが可能である。実際に、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積された後、及び/又はエポキシ化触媒の使用中に、レニウム促進剤、アルカリ促進剤、又は任意選択的な促進剤の特定の形態は、常には知られていない。更に、多くの場合、分析技術は、存在する形態を正確に同定するのに十分ではない場合がある。したがって、本開示は、使用中にエポキシ化触媒上に最終的に存在し得るレニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び/又は任意選択的な促進剤の正確な形態によって限定されることを意図しない。加えて、触媒調製中に特定の化合物が使用され得る(例えば、水酸化セシウムが含浸溶液に添加される)が、触媒調製中に添加された対イオンが、完成したエポキシ化触媒中に存在しない場合がある可能性がある(例えば、水酸化セシウムを含む含浸溶液を使用して作製されたエポキシ化触媒は、完成したエポキシ化触媒中にセシウムを含有するが水酸化物を含有しないと分析され得る)ことが理解されるべきである。
本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に、エポキシ化触媒の総重量に対するレニウムの量として計算して、0.01~
50ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.1~50ミリモル/kg、若しくは0.1~25ミリモル/kg、若しくは0.1~20ミリモル/kg、若しくは0.5~10ミリモル/kg、若しくは1~6ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.01ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.1ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも1ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.5ミリモル/kg、若しくは最大50ミリモル/kg、若しくは最大20ミリモル/kg、若しくは最大10ミリモル/kg、若しくは最大6ミリモル/kgの量で堆積されたレニウム促進剤を含み得る。別の言い方をすれば、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の表面積に対して表されるレニウム促進剤の量は、好ましくは、0.25~10μモル/m、又は0.5~5μモル/m、又は1~3μモル/mの量でエポキシ化触媒中に存在し得る。便宜上、エポキシ化触媒上に堆積されたレニウム促進剤の量は、それが存在する形態に関係なく、金属として測定される。
上に定義された濃度限界内で得られる利益の程度は、例えば、エポキシ化条件、触媒調製条件、利用される担体の物理的特性及び表面化学特性、エポキシ化触媒上に堆積された銀の量、堆積されたアルカリ金属促進剤の量、堆積された任意選択的な促進剤の量(存在する場合)、並びに単独で、又はレニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び/若しくは任意選択的な促進剤と組み合わせてエポキシ化触媒中に存在する他のカチオン及びアニオンの量などの1つ以上の特性及び特徴に応じて変動するであろう。したがって、上に定義された限界は、特性及び特徴における最も広い可能な変動を網羅するように選択した。
先に考察されているように、一般に、レニウム促進剤が提供される特定の形態は限定されず、既知の多種多様な形態のうちのいずれかを挙げることができる。例えば、レニウム促進剤は、金属として、イオン(例えば、カチオン、アニオン、オキシアニオンなど)として、又はレニウム化合物として提供され得る。好適なレニウム化合物の例としては、限定されないが、ハロゲン化レニウム、オキシハロゲン化レニウムなどのレニウム塩、レニウム酸塩、過レニウム酸塩(例えば、過レニウム酸アンモニウム、過レニウム酸アルカリ金属、過レニウム酸アルカリ土類金属、過レニウム酸銀など)、レニウムの酸化物及び酸が挙げられる。レニウム化合物の具体例としては、限定されないが、Re、HReO、NHReO、LiReO、NaReO、KReO、RbReO、CsReO、及びそれらの組み合わせが挙げられる。それ自体は水に可溶性ではない多くのレニウム化合物が存在することが理解されるべきである。しかしながら、これらの化合物は、様々な酸、塩基、過酸化物、アルコールなどを利用することによって可溶化することができる。可溶化後、これらの化合物は、例えば、適切な量の水又は他の好適な溶媒と共に使用して、レニウム促進剤を提供することができる。無論、これらの化合物のうちの多くを可溶化する際には、可溶化後に元の化合物がもはや存在しないことも理解される。例えば、レニウム金属は、水に可溶性ではない。しかしながら、濃硝酸並びに過酸化水素溶液に可溶性である。したがって、適切な反応性溶媒を使用することによって、レニウム金属を使用して、レニウム促進剤を提供することができる。
本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、フッ素鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積されたアルカリ金属促進剤(すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組み合わせ)を、エポキシ化触媒の総重量に対する元素の量として計算して、0.01~500ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.01~400ミリモル/kg、若しくは0.1~300ミリモル/kg、若しくは0.1~250ミリモル/kg、若しくは0.5~200ミリモル/kg、若しくは1~100ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.01ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.05、若しくは少なくとも0.1ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも1ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも2ミリモル/kg、若しくは少なくとも3ミリモル/kg、若しくは最大500ミリモル/kg、若しくは最大400ミリモル/kg、若しくは最大300ミリモル/kg、若しくは最大250ミリモル/kg、若しくは最大200ミリモル/kg、若しくは最大150ミリモル/kg、若しくは最大100ミリモル/kgの量で更に含み得る。便宜上、エポキシ化触媒上に堆積されたアルカリ金属の量は、それが存在する形態に関係なく、元素として測定される。
フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積されたアルカリ金属促進剤の量は、必ずしもエポキシ化触媒中に存在するアルカリ金属の総量ではないことが理解されるべきである。
むしろ、堆積量は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体に(例えば、含浸を介して)添加されたアルカリ金属促進剤の量を反映する。そのように、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積されたアルカリ促進剤の量は、例えば、焼成によって担体中に固定され得るか、又は水、若しくは低級アルカノール、若しくはアミン、若しくはそれらの混合物などの好適な溶媒中で抽出可能ではなく、促進効果を提供しない、任意の量のアルカリ金属を含まない。アルカリ金属促進剤の供給源は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体自体であり得ることも理解される。すなわち、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、水又は低級アルカノールなどの好適な溶媒で抽出することができる、したがって、アルカリ促進剤をフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積又は再堆積させることができる溶液を調製することができる、抽出可能な量のアルカリ促進剤を含有し得る。
上に定義された濃度限界内で得られる利益の程度は、例えば、エポキシ化条件、触媒調製条件、利用される担体の物理的特性及び表面化学特性、エポキシ化触媒上に堆積された銀の量、エポキシ化触媒上に堆積されたレニウム促進剤の量、エポキシ化触媒上に堆積された共促進剤及び/若しくは更なる金属促進剤の量(存在する場合)、並びに単独で、又はレニウム促進剤及び/若しくは任意選択的な促進剤と組み合わせてエポキシ化触媒中に存在する他のカチオン及びアニオンの量などの1つ以上の特性及び特徴に応じて変動するであろう。したがって、上に定義された限界は、特性及び特徴における最も広い可能な変動を網羅するように選択した。
先に考察されているように、一般に、アルカリ金属促進剤が提供される特定の形態は限定されず、既知の多種多様な形態のうちのいずれかを挙げることができる。例えば、アルカリ金属促進剤は、イオン(例えば、カチオン)として、又はアルカリ金属化合物として提供され得る。好適なアルカリ金属化合物の例としては、限定されないが、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、シュウ酸塩、カルボン酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、ホウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、酸化物、過酸化物、及びイソプロポキシドなどの、アルカリ金属塩及びアルカリ金属の酸化化合物が挙げられる。
先に述べたように、アルカリ金属促進剤は、2種以上のアルカリ金属促進剤の組み合わせを含み得る。非限定的な例としては、セシウムとルビジウムとの組み合わせ、セシウムとカリウムとの組み合わせ、セシウムとナトリウムとの組み合わせ、セシウムとリチウムとの組み合わせ、セシウムとルビジウムとナトリウムとの組み合わせ、セシウムとカリウムとナトリウムとの組み合わせ、セシウムとリチウムとナトリウムとの組み合わせ、セシウムとルビジウムとナトリウムとの組み合わせ、セシウムとルビジウムとカリウムとリチウムとの組み合わせ、及びセシウムとカリウムとリチウムとの組み合わせが挙げられる。
更に、エポキシ化触媒が2種以上のアルカリ金属促進剤の組み合わせを含むそれらの実施形態では、アルカリ金属促進剤が、カリウムと、セシウム、ルビジウム、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の追加のアルカリ金属促進剤、好ましくはセシウムとを含む場合、特に有益であり得る。フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積されたカリウムの量は、エポキシ化触媒の総重量に対する元素の量として計算して、0.01~50ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.1~400ミリモル/kg、若しくは0.2~30ミリモル/kg、若しくは0.5~20ミリモル/kg、若しくは1~15ミリモル/kg、若しくは1.5~10ミリモル/kg、若しくは2~8ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.01ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.1ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.2、又は少なくとも0.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも1ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.75ミリモル/kg、若しくは少なくとも2ミリモル/kg、若しくは少なくとも3ミリモル/kg、若しくは最大40ミリモル/kg、若しくは最大35ミリモル/kg、若しくは最大30ミリモル/kg、若しくは最大25ミリモル/kg、若しくは最大20ミリモル/kg、又は最大15ミリモル/kg、又は最大10ミリモル/kgの量であり得る。フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積されたセシウム、ルビジウム、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の追加のアルカリ金属促進剤の量は、エポキシ化触媒の総重量に対する元素(例えば、セシウム及び/又はルビジウム)の量として計算して、0.1~40ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.2~35ミリモル/kg、若しくは0.25~30ミリモル/kg、若しくは0.5~20ミリモル/kg、若しくは1~15ミリモル/kg、若しくは3~10ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.1ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.15、若しくは少なくともミリ0.2ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.3ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.35ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.4ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.45ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.5ミリモル/kg、若しくは最大40ミリモル/kg、若しくは最大35ミリモル/kg、若しくは最大30ミリモル/kg、若しくは最大25ミリモル/kg、若しくは最大20ミリモル/kg、若しくは最大15ミリモル/kg、若しくは最大10ミリモル/kgの量であり得る。更に、カリウム対追加のアルカリ金属促進剤のモル比が、少なくとも0.25、又は少なくとも0.5、少なくとも0.75、少なくとも1、又は少なくとも1.25、又は最大20、最大15、最大10、又は最大7.5、又は最大5であるような量で、カリウムと、セシウム、ルビジウム、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の追加のアルカリ金属促進剤とを堆積させることが有益であり得る。
更に、アルカリ金属促進剤が、カリウムと、セシウム、ルビジウム、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の追加のアルカリ金属促進剤との組み合わせを含むそれらの実施形態では、リチウム、ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第3のアルカリ金属促進剤、好ましくはリチウムを堆積させることが更に有利であり得る。
フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積されたリチウム、ナトリウム、及びそれらの組み合わせから選択される第3のアルカリ金属促進剤の量は、エポキシ化触媒の総重量に対する元素(例えば、リチウム及び/又はナトリウム)の量として計算して、0.1~400ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.5~350ミリモル/kg、若しくは1~300ミリモル/kg、若しくは1~200ミリモル/kg、若しくは1~150ミリモル/kg、若しくは5~100ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.1ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.1、若しくは少なくともミリ0.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.75ミリモル/kg、若しくは少なくとも1ミリモル/kg、若しくは少なくとも2.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも5ミリモル/kg、若しくは最大400ミリモル/kg、若しくは最大350ミリモル/kg、若しくは最大300ミリモル/kg、若しくは最大250ミリモル/kg、若しくは最大200ミリモル/kg、若しくは最大150ミリモル/kg、若しくは最大100ミリモル/kgの量であり得る。
更に、アルカリ金属促進剤がカリウムを含むそれらの実施形態では、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が、フッ化物鉱化担体の重量に対して85重量百万分率(「ppmw」)未満、又は同じ基準で、80ppmw未満、75ppmw未満、若しくは65ppmw未満の量で硝酸浸出性カリウムを含有する場合、特に有利であり得る。硝酸浸出性カリウムの量は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体から抽出することができる限りの量であると見なされる。抽出は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の10グラムの試料を、100mLの10重量%の硝酸を用いて100℃(1気圧)で30分間抽出すること、及び標準的な原子吸光分光技術を使用して抽出物中に存在するカリウムの量を決定することを含む。同様に、アルカリ金属促進剤がカリウムを含むそれらの実施形態では、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の重量に対して40ppmw未満、同じ基準で、35ppmw未満、又は30ppmw未満の量で水浸出性カリウムを含有する場合も有利であり得る。フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体中の水浸出性カリウムの量は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体から抽出することができる限りの量であると見なされる。抽出は、2グラムのフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の試料を、25グラムずつ100℃の脱イオン水中で5分間加熱することによって3回抽出し、合わせた抽出物中のアルカリ金属の量を、既知の方法、例えば原子吸光分光法を使用することによって決定することを含む。
これらの実施形態では、カリウムは、触媒の重量に対する堆積されたカリウムの総量として計算して、少なくとも0.5ミリモル/kg、少なくとも1ミリモル/kg、少なくとも1.5ミリモル/kg、少なくとも1.75ミリモル/kgの量で堆積され得る。同様に、カリウムは、同じ基準で、最大20ミリモル/kg、最大15ミリモル/kg、最大10ミリモル/kg、最大5ミリモル/kgの量で堆積され得る。カリウムは、同じ基準で、0.5~20ミリモル/kg、1~15ミリモル/kg、1.5~7.5ミリモル/kg、1.75~5ミリモル/kgの範囲の量で堆積され得る。加えて、エポキシ化触媒が、触媒の水抽出性カリウムの量がエポキシ化触媒の重量に対して少なくとも1.25ミリモル/kg、同じ基準で、少なくとも1.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.75ミリモル/kgであり得るような量でカリウムを含む場合、有利であり得る。好適には、エポキシ化触媒は、同じ基準で、最大10ミリモル/kg、最大7.5ミリモル/kg、最大5ミリモル/kgの量で水抽出性カリウムを含み得る。好適には、エポキシ化触媒は、同じ基準で、1.25~10ミリモル/kg、1.5~7.5ミリモル/kg、又は1.75~5ミリモル/kgの範囲の量で水抽出性カリウムを含み得る。水抽出性カリウム源は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体及び/又はエポキシ化触媒の構成成分に由来し得る。触媒中の水抽出性カリウムの量は、それが触媒から抽出され得る限りの量であると見なされる。抽出は、2グラムの触媒の試料を、25グラムずつ100℃の脱イオン水中で5分間加熱することによって3回抽出し、合わせた抽出物中のカリウムの量を、既知の方法、例えば原子吸光分光法を使用することによって決定することを含む。
任意選択的に、本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、エポキシ化触媒の総重量に対する元素の量として計算して、0.01~500ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.01~100ミリモル/kg、若しくは0.1~50ミリモル/kg、若しくは0.1~20ミリモル/kg、若しくは0.5~10ミリモル/kg、若しくは1~6ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.01ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.05、若しくは少なくとも0.1ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも1ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも2ミリモル/kg、若しくは少なくとも3ミリモル/kg、若しくは最大100ミリモル/kg、若しくは最大50ミリモル/kg、若しくは最大40ミリモル/kg、若しくは最大30ミリモル/kg、若しくは最大20ミリモル/kg、若しくは最大10ミリモル/kg、若しくは最大5ミリモル/kgの量でフッ素鉱化アルファ-アルミナ担体上に担持された共促進剤(例えば、硫黄、リン、ホウ素、タングステン、モリブデン、クロム、又はそれらの組み合わせ)を更に含み得る。便宜上、エポキシ化触媒上に堆積された共促進剤の量は、それが存在する形態に関係なく、元素として測定される。
上に定義された濃度限界内で得られる利益の程度は、例えば、エポキシ化条件、触媒調製条件、利用される担体の物理的特性及び表面化学特性、エポキシ化触媒上に堆積された銀の量、エポキシ化触媒上に堆積されたレニウム促進剤及びアルカリ金属促進剤の量、エポキシ化触媒上に堆積された更なる金属促進剤の量(存在する場合)、並びに単独で、又はレニウム促進剤、共促進剤、アルカリ金属促進剤、及び/若しくは更なる金属促進剤と組み合わせてエポキシ化触媒中に存在する他のカチオン及びアニオンの量などの1つ以上の特性及び特徴に応じて変動するであろう。したがって、上に定義された限界は、特性及び特徴における最も広い可能な変動を網羅するように選択した。
先に考察されているように、一般に、共促進剤が提供される特定の形態は限定されず、既知の多種多様な形態のうちのいずれかを挙げることができる。例えば、共促進剤は、イオン(例えば、カチオン、アニオン、オキシアニオンなど)として、又は共促進剤化合物(例えば、共促進剤の塩)として提供され得る。好適な共促進剤化合物の例としては、限定されないが、共促進剤元素のオキシアニオン性化合物(例えば、硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウムなどのオキシアニオン酸アンモニウム;硫酸カリウム、クロム酸セシウム、タングステン酸ルビジウム、硫酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、クロム酸リチウムなどのオキシアニオン酸アルカリ金属)などの共促進剤元素の塩が挙げられる。好適に適用することができる硫黄のアニオンの具体例としては、硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、重硫酸塩、スルホン酸塩、過硫酸塩、チオ硫酸塩、ジチオン酸塩、亜ジチオン酸塩などが挙げられる。好適に適用することができるリン及びホウ素のアニオンの具体例としては、リン酸塩、ポリリン酸塩など;及びホウ酸塩などが挙げられる。好適に適用することができるモリブデン、タングステン、及びクロムのアニオンの具体例としては、モリブデン酸塩、ジモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、他のイソ及びヘテロ-ポリモリブデン酸塩など;タングステン酸塩、パラタングステン酸塩、メタタングステン酸塩、他のイソ及びヘテロ-ポリタングステン酸塩など;並びにクロム酸塩、ジクロム酸塩、クロマイト、ハロクロム酸塩などが挙げられる。アニオンは、様々な対イオン(例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び水素(すなわち、酸形態))と共に供給され得る。アニオンは、酸化物(例えば、SO、SO、MoO、WO、Crなど)などの様々な非アニオン性材料、並びに共促進剤元素のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、ヒドロキシハロゲン化物、水酸化物、硫化物などの他の材料の反応性溶解によって調製することができる。
本発明で使用するためのエポキシ化触媒が共促進剤を含むそれらの形態では、共促進剤が、硫黄、リン、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第1の共促進剤と、タングステン、モリブデン、クロム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の共促進剤との組み合わせを含む場合、特に有益であり得る。
フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積される第1の共促進剤の量は、エポキシ化触媒の総重量に対する元素(例えば、硫黄、リン、及び/又はホウ素)の量として計算して、0.2~50ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.5~45ミリモル/kg、若しくは0.5~30ミリモル/kg、若しくは1~20ミリモル/kg、若しくは1.5~10ミリモル/kg、若しくは2~6ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.2ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.3、若しくは少なくともミリ0.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも1ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.75ミリモル/kg、若しくは少なくとも2ミリモル/kg、若しくは少なくとも3ミリモル/kg、若しくは最大50ミリモル/kg、若しくは最大45ミリモル/kg、若しくは最大40ミリモル/kg、若しくは最大35ミリモル/kg、若しくは最大30ミリモル/kg、若しくは最大20ミリモル/kg、若しくは最大10ミリモル/kg、若しくは最大6ミリモル/kgの量であり得る。フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積される第2の共促進剤の量は、エポキシ化触媒の総重量に対する元素(例えば、タングステン、モリブデン、及び/又はクロム)の量として計算して、0.1~40ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.15~30ミリモル/kg、若しくは0.2~25ミリモル/kg、若しくは0.25~20ミリモル/kg、若しくは0.3~10ミリモル/kg、若しくは0.4ミリモル/kg~5ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.1ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.15、若しくは少なくともミリ0.2ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.3ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.35ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.4ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.45ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.5ミリモル/kg、若しくは最大40ミリモル/kg、若しくは最大35ミリモル/kg、若しくは最大30ミリモル/kg、若しくは最大25ミリモル/kg、若しくは最大20ミリモル/kg、若しくは最大15ミリモル/kg、若しくは最大10ミリモル/kg、若しくは最大5ミリモル/kgの量であり得る。更に、第1の共促進剤対第2の共促進剤のモル比が、1超、又は少なくとも1.25、少なくとも1.5、少なくとも2、又は少なくとも2.5であるような量で、第1及び第2の共促進剤を堆積させることが有益であり得る。第1の共促進剤対第2の共促進剤のモル比は、最大20、最大15、最大10、又は最大7.5であることが更に好ましい。加えて、レニウム促進剤対第2の共促進剤のモル比は、1超、少なくとも1.25、又は少なくとも1.5であり得ることが好ましい。レニウム促進剤対第2の共促進剤のモル比は、最大20、最大15、又は最大10であり得ることが更に好ましい。
任意選択的に、本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、フッ素鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積された更なる金属促進剤(例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウム、タリウム、トリウム、タンタル、ニオブ、ガリウム、ゲルマニウム、マンガンなど)を、エポキシ化触媒の総重量に対する元素の量として計算して、0.01~500ミリモル/kg、又は同じ基準で、0.01~100ミリモル/kg、若しくは0.1~50ミリモル/kg、若しくは0.1~20ミリモル/kg、若しくは0.5~10ミリモル/kg、若しくは1~6ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.01ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.05、若しくは少なくともミリ0.1ミリモル/kg、若しくは少なくとも0.5ミリモル/kg、若しくは少なくともlミリモル/kg、若しくは少なくとも1.25ミリモル/kg、若しくは少なくとも1.5ミリモル/kg、若しくは少なくとも2ミリモル/kg、若しくは少なくとも3ミリモル/kg、若しくは最大100ミリモル/kg、若しくは最大50ミリモル/kg、若しくは最大40ミリモル/kg、若しくは最大30ミリモル/kg、若しくは最大20ミリモル/kg、若しくは最大10ミリモル/kg、若しくは最大5ミリモル/kgの量で更に含み得る。便宜上、エポキシ化触媒中の更なる金属促進剤の量は、それが存在する形態に関係なく、元素として測定される。
上に定義された濃度限界内で得られる利益の程度は、例えば、エポキシ化条件、触媒調製条件、利用される担体の物理的特性及び表面化学特性、エポキシ化触媒上に堆積された銀の量、エポキシ化触媒上に堆積されたレニウム促進剤及びアルカリ金属促進剤の量、エポキシ化触媒上に堆積された共促進剤の量(存在する場合)、並びに単独で、又はレニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び/若しくは共促進剤と組み合わせてエポキシ化触媒中に存在する他のカチオン及びアニオンの量などの1つ以上の特性及び特徴に応じて変動するであろう。したがって、上に定義された限界は、特性及び特徴における最も広い可能な変動を網羅するように選択した。
先に考察されているように、一般に、更なる金属促進剤が提供される特定の形態は限定されず、既知の多種多様な形態のうちのいずれかを挙げることができる。例えば、更なる金属促進剤は、イオン(例えば、カチオン、アニオン、オキシアニオンなど)として、又は化合物(例えば、更なる金属の塩)として提供され得る。好適な化合物の例としては、限定されないが、アルカリ土類金属塩などの更なる金属の塩(例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、シュウ酸塩、カルボン酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、ホウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、及びイソ-プロポキシドなど)、並びに更なる金属の酸化物、ハロゲン化物、及びオキシハロゲン化物が挙げられる。
周知の方法を用いて、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積された銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び任意選択的な促進剤の量を分析することができる。当業者は、例えば、材料バランスを用いて、これらの堆積された構成成分のうちのいずれかの量を決定することができる。一例として、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が、銀及びレニウム促進剤の堆積の前及び後に秤量される場合、2つの重量の差は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積された銀及びレニウム促進剤の量に等しくなり、そこから堆積されたレニウム促進剤の量を計算することができる。加えて、堆積された銀及び促進剤の量は、含浸溶液中に含まれる銀及び促進剤の濃度と、完成したエポキシ化触媒中の総重量との比に基づいて計算することができる。
あるいは、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積された促進剤の量は、既知の浸出方法によっても決定することができ、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体中に存在する金属性浸出物の量及びエポキシ化触媒中に存在する金属性浸出物の量が、独立して決定され、2つの測定値間の差が、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積された促進剤の総量を反映する。一例として、エポキシ化触媒上に堆積されたアルカリ金属促進剤の量は、10グラムのフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の試料、及び10グラムのエポキシ化触媒の試料を100mLの10重量%の硝酸で、100℃(1atm)で30分間別々に浸出させ、標準的な原子吸光分光技術を使用して抽出物中に存在するアルカリ金属促進剤の量を決定することによって決定することができる。担体と触媒との間の測定値の差は、担体上に堆積されたアルカリ金属促進剤の量を反映する。
エポキシ化触媒の調製
銀を含むエポキシ化触媒の調製は、当該技術分野において既知である。本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒を調製する具体的な様式は限定されず、したがって、当該技術分野において既知の任意の方法が使用され得る。エポキシ化触媒の調製に関する記載については、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4761394(A)号、米国特許第4766105(A)号、米国特許第5380697(A)号、米国特許第5739075(A)号、米国特許第6368998(B1)号、及び米国特許第6656874(B2)号を参照されたい。
一般に、本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤を含む1種以上の溶液と接触(例えば、含浸)させ、その後、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意の任意選択的な促進剤を、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積させること、典型的には含浸させた担体を加熱することによって調製される。
本明細書で使用される場合、「フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を、銀、レニウム促進剤、アルカリ促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤を含む1種以上の溶液と接触させる」という語句、及び同様の又は同族の専門用語は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を、銀、レニウム促進剤、アルカリ促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤を含む1種の溶液と、単一のステップ若しくは複数ステップで接触(例えば、含浸)させること;又は複数のステップで、各溶液が、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤から選択される少なくとも1種の構成成分を含み、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤の構成成分の全てが、溶液のうちの少なくとも1種に個々に見出されることを条件とする、2種以上の溶液と接触させることを意味する。更に、当該技術分野において既知であるように、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤を含む1種以上の溶液と接触させる順序、並びにこれらの構成成分をフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積させる順序は、変動し得る。したがって、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤の含浸及び堆積は、同時に又は順次行うことができる。例えば、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤は、銀及び互いの堆積の前、同時、又は後のいずれかに、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に堆積され得る。同様に、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び任意選択的な促進剤は、一緒に又は順次堆積され得る。更に、例えば、銀を最初に堆積させ、続いてレニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤を同時に若しくは順次堆積させてもよいか、又はあるいは、レニウム促進剤を最初に堆積させ、続いて銀、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意の任意選択的な促進剤を同時に若しくは順次堆積させてもよいか、又はあるいは、任意選択的な促進剤を最初に堆積させ、続いて銀、レニウム促進剤、及びアルカリ金属促進剤を同時に若しくは順次堆積させてもよい。2回以上の含浸が用いられる場合、含浸された担体は、典型的には、担体上への構成成分の堆積を確実にするために、各連続含浸の間、乾燥又は加熱される。更に、エポキシ化触媒が25重量%超の量の銀を含むことが望ましい場合、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体に、銀を含む溶液の少なくとも2回以上の連続含浸を施して、担体上に堆積された所望の量の銀を得ることが、多くの場合必要である。
本明細書での使用に好適なエポキシ化触媒は、典型的には、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体を、銀、レニウム促進剤、アルカリ促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤を含む1種以上の溶液(一般的に「含浸溶液」と称される)で含浸させることによって調製されるが、本開示は、任意の特定の調製方法に限定されることを意図しない。したがって、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び任意選択的な促進剤(存在する場合)がフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に好適な様式で堆積されることを条件として、任意の既知の調製方法が使用され得る。例えば、あるいは、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意選択的な促進剤のコーティングを、構成成分を含有する1種以上のエマルション又はスラリーからフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に形成することができる。
1種以上の溶液中で使用される銀の特定の形態に関して、銀が、その中に可溶化され得ることを条件として、既知の多種多様な形態のうちのいずれかが使用され得る。例えば、銀は、硝酸銀、酸化銀、炭酸銀などの銀錯体又は銀塩、並びに酢酸銀、プロピオン酸銀、酪酸銀、シュウ酸銀、マロン酸銀、リンゴ酸銀、マレイン酸銀、乳酸銀、クエン酸銀、フタル酸銀、高級脂肪酸塩銀などの最大16個の炭素原子の一塩基性及び多塩基性カルボン酸及びヒドロキシカルボン酸の銀塩などの、銀化合物として好適に提供され得る。同様に、先に述べたように、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び任意選択的な促進剤(存在する場合)が提供される特定の形態は、それらが、適切な溶媒に可溶化することができ、溶液中に存在する他の構成成分と望ましくない反応をしないことを条件として、重要ではない。例えば、アルカリ金属促進剤が、銀と同時に堆積される場合、用いられるアルカリ金属促進剤は、好ましくは、溶液中の銀化合物(例えば、銀塩)からの早すぎる銀沈殿を回避するために、溶液中の銀化合物と反応しないものである。
銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び/又は任意の任意選択的な促進剤を溶液中で所望の濃度まで可溶化するために、多種多様な溶媒又は錯化剤/可溶化剤が、1種以上の溶液中で用いられ得る。使用される溶媒は、特に限定されず、銀化合物を適切に溶解するか、若しくは銀化合物を可溶性形態に変換することが可能な任意の溶媒若しくは薬剤を挙げることができるか、又は溶液が、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び/若しくは任意選択的な促進剤を含む場合、これらの構成成分を適切に溶解するか若しくは可溶性形態に変換することが可能であるべきである。更に、好適な溶媒又は錯化剤/可溶化剤は、洗浄、揮発、又は酸化手順などのいずれかによって、その後のステップで容易に除去することが可能であるべきである。好ましくは、溶媒又は錯化剤/可溶化剤は、水溶液を好都合に用いることができるので、水と容易に混和可能である。好適な溶媒又は錯化剤/可溶化剤の例としては、限定されないが、エチレングリコールなどのグリコール、アンモニア、アミン及びアミンの水性混合物、乳酸などのカルボン酸、並びにそれらの混合物を含むアルコールが挙げられる。加えて、好適なアミンの例としては、限定されないが、1~5つの炭素原子の低級アルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン)、1~5つの炭素原子の低級アルカノールアミンと1~5つの炭素原子の低級アルキレンジアミンとの混合物(例えば、エタノールアミンと組み合わせたエチレンジアミン)、並びにアンモニアと1~5つの炭素原子の低級アルカノールアミン又は低級アルキレンジアミンとの混合物(例えば、アンモニアと組み合わせたエタノールアミン、アンモニアと組み合わせたエチレンジアミン)などの有機アミンが挙げられる。銀を含むそれらの溶液中のこれらの可溶化剤/還元剤は、一般に、存在する銀のモル当たり0.1~10モルの量で添加される。
任意選択的に、1種以上の溶液は、20℃で測定して11.2超、より典型的には少なくとも11.7、好ましくは少なくとも12のpHを有する溶液を提供するのに十分な量で、金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化ナトリウム)、水酸化アルキルアンモニウム(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム又は水酸化テトラエチルアンモニウムなどの水酸化テトラアルキルアンモニウム)、1,8-ビス-(ジメチルアミノ)-ナフタレン、又はそれらの組み合わせなどの塩基を更に含み得る。溶液が水性でない場合、溶液のpHは、真のpHでなくてもよいことが理解されるべきである。更に、塩基が含まれる場合、有機塩基などの1種以上の溶液の金属濃度を変化させない塩基を選択することが、多くの場合望ましいが、しかしながら、溶液の金属濃度を変化させることが問題でなければ、金属塩基が使用され得る。
1種以上の溶液を用いたフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の含浸に続いて、担体は、典型的には、任意の残りの吸収されていない溶液から分離され(例えば、過剰な溶液を排出させることによって、又は濾過、遠心分離、若しくは好適な温度の減圧下での蒸発などの分離技術を使用することによって)、銀、レニウム促進剤、アルカリ金属促進剤、及び必要に応じて、任意の任意選択的な促進剤は、ほとんどの場合、加熱(「焙焼」とも称される)によって担体上に堆積される。一般に、含浸された担体は、銀化合物(例えば、銀錯体)の金属銀への還元を引き起こし、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の表面である、外面及び細孔表面の両方に結合している微細に分割された銀の層を形成するのに十分に高い温度で、十分に長い期間の間、加熱される。銀がフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に沈殿する前に溶液中に存在する形態に依存せずに、「銀化合物の金属銀への還元」という語句が使用されるが、その間に、多くの場合、加熱による銀化合物の分解が生じることが観察される。「還元」という用語は、好ましくは、正に荷電したAg+イオンの金属Ag原子への変換の観点で、本明細書では使用される。
一般に、含浸された担体は、100℃~600℃の温度で0.01~12時間の範囲の期間の間、加熱され得る。加熱中の圧力は、好ましくは、大気圧である。当業者によって認識されるであろうように、加熱がより低い温度で行われる場合、より長い期間が一般に必要とされ、同様に、加熱がより高い温度で行われる場合、典型的には、より短い時間が必要とされる。加熱は、一般に、100℃~600℃の範囲の温度で、0.01~12時間の期間の間、大気圧で行われるべきであることが本明細書では提供されているが、それにもかかわらず、本開示は、かかる加熱が行われる様式に依存しない。したがって、ある温度である特定の期間の間保持し、次いで第2の期間にわたって温度を第2の温度まで上昇させるなどの、当該技術分野において既知の加熱における変形形態が、本開示によって企図される。更に、加熱は、空気、又は他の酸化ガス、還元ガス、不活性ガス、又はそれらの混合物などの任意の好適な雰囲気中で実行され得る。かかる加熱のために使用される装置は、還元を行うためにかかるガスの静的又は流動雰囲気、好ましくは流動雰囲気を使用し得る。
任意選択的に、含浸された担体は、銀化合物を金属銀に還元する雰囲気の存在下で乾燥され得る。当該分野において既知の乾燥方法としては、蒸気乾燥、制御された酸素濃度を有する雰囲気中での乾燥、還元雰囲気中での乾燥、及び空気乾燥が挙げられる。
還元後、好適な銀粒子サイズは、直径1~1000nm、又は直径10nm超~500nm未満の範囲であり得る。
必須ではないが、銀は、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体上に比較的均一に堆積されることが一般に好ましい。
本発明について概説してきたが、以下の実施例を参照することによって更なる理解が得られ得、これらの実施例は、例示の目的のみのために提供され、別段指定されない限り、限定することを意図しない。
本発明の方法を、以下の非限定的な実施例によって説明する。
実施例1-従来の触媒A、B、Cの調製
異なる従来の(非フッ化物鉱化)アルファ-アルミナ担体A及びB上に、銀、レニウム促進剤、及びアルカリ金属促進剤を含む3つの別個の触媒組成物A、B、及びC。以下の表1に示されるように、触媒Aを担体A上に調製した一方で、触媒B及びCを担体B上に調製した。
全ての触媒は、例えば、国際公開第2006/133183(A2)号に記載の既知の方法に従って調製した。担体A及びBは、B.E.T.方法に従って測定して、0.7~3.0m/gの範囲の表面積を有していた。
触媒A、B、及びCは、各々、銀、レニウム、タングステン、硫黄、リチウム、カリウム、及びセシウムを含んでいた。
実施例2-FMA触媒D~Kの調製
以下の表1に示されるように、異なるフッ化物鉱化アルファ-アルミナ(fluoride-mineralized alpha-alumina、FMA)担体C~G上に銀、レニウム促進剤、及びアルカリ促進剤を含む様々な触媒組成物D~Kを、例えば、国際公開第2006/133183(A2)号に記載の既知の方法に従って調製した。
当該触媒組成物において使用したフッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体C~Gは、各々、少なくとも1つの方向に0.1マイクロメートルよりも大きいサイズを有する粒子が少なくとも1つの実質的に平坦な主表面を有するような、層状又はプレートレットタイプの形態を有していた。更に、当該フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、各々、B.E.T.方法に従って測定して、0.7~3.0m/gの範囲の表面積を有していた。当該フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体は、各々、米国特許第2018/0161761(A1)号に記載の既知の方法に従って、アルファ-アルミナ前駆体、フッ化物鉱化剤、及び水を含む混合物から作製した。
触媒D~Kは、各々、銀、レニウム、タングステン、硫黄、リチウム、カリウム、及びセシウムを含んでいた。
Figure 2024501324000004
実施例3-条件1での触媒A~G及びKの試験
上述の触媒A~G及び触媒Kを、各々、米国特許第8084390(B2)号の実施例3に見出される以下の方法に従って試験した。
各触媒を使用して、エチレン及び酸素から酸化エチレンを生成した。
これを行うために、破砕した触媒を、ステンレス鋼のU字型チューブに充填した。チューブを融解金属浴(熱媒体)中に浸漬させ、端部をガスフローシステムに接続した。使用した触媒の重量及び入口ガス流量(0.249Nl/分)を、未破砕触媒に対して計算して3300Nl/(1・h)のガス毎時空間速度を得るように調整した。入口ガス圧は、1550kPa(絶対)であった。
始動を含む全試験実験の間、「1回通過」運転で触媒床を通過したガス混合物は、30.0体積パーセントのエチレン、8.0体積パーセントの酸素、5.0体積パーセントの二酸化炭素、57体積パーセントの窒素、及び1.0~6.0体積百万分率(ppmv)の塩化エチルからなっていた。
初期反応器温度は180℃であり、これを時間当たり10℃の速度で225℃まで上昇させ、次いで、2.0ppmvの塩化エチル濃度で出口ガス流中3.1体積パーセントの一定の酸化エチレン含有量を達成するように調整した。
この変換レベルでの性能データは、通常、初期ピーク選択性として得られる。使用される触媒、及びエチレンエポキシ化プロセスのパラメータに応じて、初期ピーク選択性、すなわちプロセスの初期段階で達する最高選択性に達するのに必要な時間は変動し得る。全試験実験の過程にわたって、時間当たり200kg EO/m触媒の生成作業速度に対応する3.1体積%の出口EO濃度を維持するように、反応器温度を調整した。塩化エチル濃度を定期的に調整して、最大触媒選択性を維持した。
実施例4-条件2での触媒A、B、E、H、Iの試験
また、触媒A、B、E、H、及びIの各々を、以下の方法に従って試験した。
各触媒を使用して、エチレン及び酸素から酸化エチレンを生成した。
これを行うために、粉砕した触媒を、ステンレス鋼のU字型チューブに充填した。チューブを融解金属浴(熱媒体)中に浸漬させ、端部をガスフローシステムに接続した。使用した触媒の重量及び入口ガス流量(0.249N1/分)を、未破砕触媒に対して計算して4800N1/(1・h)のガス毎時空間速度を得るように調整した。入口ガス圧は、2000kPa(絶対)であった。
始動を含む全試験実験の間、「1回通過」運転で触媒床を通過したガス混合物は、35.0体積パーセントのエチレン、7.3体積パーセントの酸素、0.7体積パーセントの二酸化炭素、57体積パーセントの窒素、及び0.8~6.5体積百万分率(ppmv)の塩化エチルからなっていた。
初期反応器温度は180℃であり、これを時間当たり10℃の速度で225℃まで上昇させ、次いで、1.8ppmvの塩化エチル濃度で出口ガス流中3.0体積パーセントの一定の酸化エチレン含有量を達成するように調整した。
この変換レベルでの性能データは、通常、初期ピーク選択性に対して得られる。使用される触媒、及びエチレンエポキシ化プロセスのパラメータに応じて、初期ピーク選択性、すなわちプロセスの初期段階で達する最高選択性に達するのに必要な時間は変動し得る。全試験実験の過程にわたって、時間当たり280kg EO/m触媒の生成作業速度に対応する3.0体積%の出口EO濃度を維持するように、反応器温度を調整した。塩化エチル濃度を定期的に調整して、最大触媒選択性を維持した。
上の実施例3及び4に記載の反応器試験条件の比較を、以下の表2に示す。
Figure 2024501324000005
実施例5-条件1での触媒試験結果
条件1での触媒A~G及び触媒Kについての試験結果を、図2~4にグラフで示す。
図2は、1.6~3.0kton EO/m触媒まで変動する累積EO生成量の期間にわたり、条件1、及び3.1体積%の一定出口EO濃度で試験した、従来の触媒A、B、及びC、並びにFMA触媒D、E、F、G、及びKについての活性プロファイルを示す。
図3は、同じ生成期間にわたる、触媒A~G及び触媒Kについての最適全塩化有効度値(Cleff)を示す。この図から、触媒D~G及びKについての最適全塩化有効度値は安定なままであるが、触媒A、B、及びCについては経時的にほぼ2倍になることが明らかである。
全ての触媒A~G及びKは、0.2kton/mの累積酸化エチレン生成量によって、安定な定常状態運転を達成した。0.2kton/mの累積酸化エチレン生成量では、触媒A、B、C、D、E、F、G、及びKについての最適全塩化有効度値は、それぞれ、12.0、8.0、12.3、9.1、7.2、7.4、8.1、及び6.3である。これらの値を使用して、任意の時間の最適全塩化有効度値(Cleffx)対0.2kton/m累積酸化エチレン生成量での最適全塩化有効度値(Cleff1)の比を計算した。この計算の結果を、図4に示す。触媒A、B、及びCについてのこの比の値は、すぐに1.2を超え、全触媒実験の間、連続的に上昇する。驚くべきことに、触媒D、E、F、G、及びKの全実験では、0.2kton/m累積酸化エチレン生成量を超えて、この比は、0.8~1.2のままである。
実施例6-条件2での触媒試験結果
条件2での触媒A、B、E、H、及びIについての試験結果を、図5~7にグラフで示す。
図5は、2.1~4.5ktonEO/m触媒で変動する累積EO生成量の期間にわたり、条件2、及び3.0体積%の一定出口EO濃度で試験した、従来の触媒A及びB、並びにFMA触媒E、H、及びIについての活性プロファイルを示す。
図6は、同じ生成期間にわたる、触媒A、B、E、H、及びIについての最適全塩化有効度値(Cleff)を示す。この図から、触媒E、H、及びIについての最適全塩化有効度値は安定なままであるが、触媒A及びBについては経時的にほぼ2倍になることが明らかである。
全ての触媒A、B、E、及びIは、0.2kton/mの累積酸化エチレン生成量によって、安定した定常状態運転を達成した。0.2kton/mの累積酸化エチレン生成量では、触媒A、B、E、H、及びIについての最適全塩化有効度値は、それぞれ、12.6、5.7、6.0、6.0、及び5.7である。これらの値を使用して、任意の時間の最適全塩化有効度値(CleffX)対0.2kton/m累積酸化エチレン生成量での最適全塩化有効度値(Cleff1)の比を計算した。この計算の結果を、図7に示す。触媒A及びBについてのこの比の値は、すぐに1.2を超え、全触媒実験の間、連続的に上昇する。驚くべきことに、触媒E、H及びIの全実験では、0.2kton/m累積酸化エチレン生成量を超えて、この比は、0.8~1.2のままである。実際に、この比は、触媒E及びIの全実験では、更に0.9~1.1のままである。
実施例7-条件1での繰り返し触媒試験結果
1.5~1.9kton EO/m触媒の範囲の累積EO生成量の期間にわたり、条件1、及び3.1体積%の一定出口EO濃度で、2つの異なる時間、触媒Jを試験した。
これらの繰り返し試験の目的は、同じ触媒配合の複数回の実験にわたる塩化有効度値の安定性の再現性を実証することであった。初期最適全塩化有効度値は、通常の実験室運転及び測定変動に起因して、実験間でわずかに異なったが、各実験は、経時的な塩化有効度値の顕著な安定性を実証した。
触媒Jの繰り返し実験において、0.2kton/mの累積酸化エチレン生成量での最適全塩化有効度値は、6.7及び7.0であった。これらの値を使用して、各対応する実験について、任意の時間の最適全塩化有効度値(CleffX)対0.2kton/m累積酸化エチレン生成量での最適全塩化有効度値(Cleff1)の比を計算し、条件1での触媒A及びBの試験結果(前述)と比較した。
条件1での触媒Jのこれら2回の繰り返し実験の結果を、図8に示す。先に示したように、触媒A及びBについての全塩化有効度比の値は、すぐに1.2を超え、全触媒実験の間、連続的に上昇する。しかしながら、触媒Jの両方の繰り返し実験では、0.2kton/m累積酸化エチレン生成量を超えて、この比は、0.8~1.2のままである。実際、この比は、触媒Jの実験1のほぼ全体にわたって、更に0.9~1.1のままである。
Cleff要件に対するドーパント変動性の可能性のある影響に対処するために、同様のドーパントレベルを有するが異なる担体を用いた触媒の比較を行った。触媒C、D、及びEについての相対的ドーパントレベルの選択を、表3に示す。ここでは、ドーパントレベルは、比較触媒Cに対する比として計算する。これらの触媒は、ドーパントの相対量に僅かな差しか含有せず、したがって、調節剤濃度要件に影響を及ぼすドーパントレベルの差の変数を除去する手段を提供することが、表3から明らかである。これはまた、運転中の塩化物調節剤要件に関係するので、触媒性能に対するFMA及び非FMA担体効果を比較するための追加の手段を提供する。
表3のデータは、触媒C、D、及びEが非常に類似したドーパント配合を有することを示す。この類似性にもかかわらず、触媒Cの反応修飾剤濃度要件を触媒D及びEのものと比較すると、劇的に異なる挙動が存在する。
両方の担体の種類に対する広いドーパント範囲が、非FMA触媒については触媒A、B、及びCにおいて表され、また、FMA触媒については触媒D~Kにおいて表されるので、逆もまた当てはまる。しかし、Cleff要件の顕著な増加は、比較非FMA担体系触媒においてのみ見られる。
Figure 2024501324000006
比較
**発明による
結論
典型的な市販の酸化エチレン触媒の寿命は、触媒の種類、運転条件、装置及び供給物の制約、オペレータの経済性、法定検査要件、触媒被毒事象などを含む、多くの要因に依存する。しかしながら、累積酸化エチレン生成量の観点での触媒寿命の典型的な範囲は、1.5~4.0ktonEO/m超である。すなわち、実施例において本明細書に提示されるデータは、商業的性能を表す。
従来の(非FMA担体系)触媒A、B、及びCは、触媒寿命にわたって典型的な反応修飾剤濃度プロファイルを示した。先行技術において先に記載したように、長期失活に起因して触媒温度を上昇させるにつれて、最大触媒選択性を維持するために最適反応修飾剤濃度(すなわち、最適全塩化有効度値)の増加を必要とした。触媒A、B、及びCについては、反応修飾剤濃度(Cleffによって記載される)は、条件1及び2の両方で触媒運転の過程にわたってほぼ2倍であった。
驚くべきことに、FMA担体上の触媒D~Kは、触媒寿命にわたって非常に異なる反応修飾剤プロファイルを示した。任意の点xでのCleff(Cleffx)対0.2kton/m累積酸化エチレン生成量でのCleff(Cleff1)の比が0.8~1.2の狭い範囲内のままであることによって示されるように、これらの触媒の各々は、全触媒寿命にわたって反応修飾剤濃度の顕著な安定性を示した。触媒Eが、条件1及び2の両方でこの技術的効果を実証したので、この効果は、選択された運転条件に依存しない。この効果はまた、触媒Cと触媒D及びEとの間の挙動の差によって証明されるように、触媒ドーパント配合に依存しない。各担体の種類内で、広範囲のドーパントレベルは、調節剤レベル要求の観点で触媒の挙動に影響を及ぼさない。すなわち、触媒A、B、及びCの全てについてのドーパントレベルの変動は、触媒寿命にわたって塩化物調節剤の増加の必要性を生じる。非FMA触媒とは対照的に、広範囲のドーパントレベルでのFMA触媒D~Kは全て、触媒寿命にわたって、調節剤要件において小さな変動しか示さない。
事実上、これは、商業プラントオペレータが、本発明の特許請求の範囲に従って運転する際に利点を有することを意味する。過去には、オペレータは、時間と共に絶えず変化する最適レベルを維持するために、反応修飾剤濃度(すなわち、全塩化有効度値)を連続的に調整する必要があったであろう。プラントオペレータは、選択されたCleffが高すぎる(過剰に調整されている)か又は低すぎる(過少に調整されている)場合の移動する最適を探すこの試行錯誤プロセスを利用して、最適を下回る選択性性能を達成している。しかしながら、本発明に従い、実施例において実証されるように、同じプラントオペレータは、全触媒寿命を通じて反応修飾剤濃度(すなわち、Cleff)を一定又はほぼ一定の値に確実に維持して、最大の触媒性能を確実にすることができる。

Claims (20)

  1. エチレンのエポキシ化のためのプロセスであって、
    エチレンと、酸素と、有機塩化物からなる1種以上の反応修飾剤とを含む入口供給ガスを、担体を含み、その上に堆積された銀と、レニウム促進剤と、1種以上のアルカリ金属促進剤とを有するエポキシ化触媒と接触させることを含み、
    前記入口供給ガスが、次式によって表される全触媒塩化有効度値(Cleff)を有し、-
    Figure 2024501324000007
    式中、[MC]、[EC]、[EDC]、及び[VC]が、それぞれ、塩化メチル(MC)、塩化エチル(EC)、二塩化エチレン(EDC)、及び塩化ビニル(VC)のppmv単位での濃度であり、[CH]、[C]、及び[C]が、それぞれ、前記入口供給ガス中のメタン、エタン、及びエチレンのモルパーセント単位での濃度であり、
    少なくとも0.2kton酸化エチレン/m触媒の累積酸化エチレン生成量cumEOで、前記プロセスが、酸化エチレンを生成するために、値EOでの酸化エチレン生成パラメータを用いて、値Tを有する反応温度で、かつCleff1の最適全触媒塩化有効度値を有する前記入口供給ガスを用いて運転され、前記担体が、フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体であり、累積酸化エチレン生成量cumEOで、cumEOが、cumEOよりも少なくとも0.6kton酸化エチレン/m触媒高く、前記酸化エチレン生成パラメータを値EOに維持するために、前記反応温度が、増加した値Tを有しながら、Cleffx/Cleff1の比が0.8~1.2の範囲にあるように前記入口供給ガスの前記最適全触媒塩化有効度値CleffXが制御されるように、前記プロセスがその後運転されることを特徴とする、プロセス。
  2. cumEOが、少なくとも0.25kton酸化エチレン/m触媒、好ましくは少なくとも0.3kton酸化エチレン/m触媒である、請求項1に記載のプロセス。
  3. 累積酸化エチレン生成量cumEOで、前記反応温度Tが、Tよりも少なくとも3℃、好ましくは少なくとも5℃、最も好ましくは少なくとも10℃高い、請求項1又は2に記載のプロセス。
  4. cumEOが、cumEOよりも少なくとも0.8kton酸化エチレン/m触媒高く、好ましくはcumEOよりも少なくとも1.0kton酸化エチレン/m触媒高い、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
  5. Cleffx/Cleff1の比が、0.9~1.1の範囲にある、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. 累積酸化エチレン生成量を、cumEOからcumEOへと増加させる際に、Cleffx/Cleff1の比が、前記増加の期間全体を通じて0.8~1.2の範囲、より好ましくは0.9~1.1の範囲に維持される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 累積酸化エチレン生成量が、cumEOから増加して触媒寿命の終わりにcumEOのその最終値に達する際に、Cleffx/Cleff1の比が、前記触媒寿命全体を通じて0.8~1.2の範囲、好ましくは0.9~1.1の範囲に維持される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 前記反応温度Tが、180~260℃の範囲の値にある、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
  9. 前記反応温度Tが、200~300℃の範囲の値にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
  10. 前記酸化エチレン生成パラメータEOが、作業速度であり、EOが、時間当たりの触媒m当たり50~600kgの酸化エチレンの範囲から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
  11. 前記入口供給ガスが、総入口供給ガスに対して0.10モル%~10モル%の濃度で二酸化炭素を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
  12. 1種以上の反応修飾剤が、塩化メチル、塩化エチル、二塩化エチレン、塩化ビニル、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
  13. 前記1種以上のアルカリ金属促進剤が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
  14. 前記エポキシ化触媒が、硫黄、リン、ホウ素、タングステン、モリブデン、クロム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の共促進剤を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
  15. 前記エポキシ化触媒が、
    硫黄、リン、ホウ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第1の共促進剤と、
    タングステン、モリブデン、クロム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の共促進剤と、を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
  16. 前記エポキシ化触媒が、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウム、タリウム、トリウム、タンタル、ニオブ、ガリウム、ゲルマニウム、マンガン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される更なる金属を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
  17. 前記フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が、B.E.T.方法に従って測定して、前記フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体の重量に対して、0.1~10m/gの範囲、好ましくは0.5~5m/gの範囲、より好ましくは0.7~3m/gの範囲の表面積を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
  18. 前記フッ化物鉱化アルファ-アルミナ担体が、層状又はプレートレットタイプの形態を有する微粒子マトリックスを有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
  19. 前記層状又はプレートレットタイプの形態は、少なくとも1つの方向に0.1マイクロメートルよりも大きいサイズを有する粒子が、少なくとも1つの実質的に平坦な主表面を有するようなものである、請求項18に記載のプロセス。
  20. 生成された前記酸化エチレンの少なくとも一部分を、水、アルコール、二酸化炭素、及びアミンからなる群から選択される少なくとも1種の試薬と反応させて、それぞれ、エチレングリコール、エチレングリコールエーテル、エチレンカーボネート、及びエタノールアミンを形成することを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
JP2023539803A 2020-12-29 2022-01-07 酸化エチレンの生成のためのプロセス Pending JP2024501324A (ja)

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