JP2024500994A - タンパク質及び多官能化変性ポリエチレングリコール系架橋剤を含む反応性乾燥粉末状止血用材料 - Google Patents

タンパク質及び多官能化変性ポリエチレングリコール系架橋剤を含む反応性乾燥粉末状止血用材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2024500994A
JP2024500994A JP2023539117A JP2023539117A JP2024500994A JP 2024500994 A JP2024500994 A JP 2024500994A JP 2023539117 A JP2023539117 A JP 2023539117A JP 2023539117 A JP2023539117 A JP 2023539117A JP 2024500994 A JP2024500994 A JP 2024500994A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dry powder
formula
component
integer
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023539117A
Other languages
English (en)
Inventor
グリーナウォルト,キース
ストリックラー,フレデリック,エイチ.,ジュニア
Original Assignee
デボル,インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by デボル,インコーポレイテッド filed Critical デボル,インコーポレイテッド
Publication of JP2024500994A publication Critical patent/JP2024500994A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L24/00Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
    • A61L24/001Use of materials characterised by their function or physical properties
    • A61L24/0031Hydrogels or hydrocolloids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L24/00Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
    • A61L24/04Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices containing macromolecular materials
    • A61L24/043Mixtures of macromolecular materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G81/00Macromolecular compounds obtained by interreacting polymers in the absence of monomers, e.g. block polymers
    • C08G81/02Macromolecular compounds obtained by interreacting polymers in the absence of monomers, e.g. block polymers at least one of the polymers being obtained by reactions involving only carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • C08G81/024Block or graft polymers containing sequences of polymers of C08C or C08F and of polymers of C08G
    • C08G81/025Block or graft polymers containing sequences of polymers of C08C or C08F and of polymers of C08G containing polyether sequences
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2300/00Biologically active materials used in bandages, wound dressings, absorbent pads or medical devices
    • A61L2300/20Biologically active materials used in bandages, wound dressings, absorbent pads or medical devices containing or releasing organic materials
    • A61L2300/252Polypeptides, proteins, e.g. glycoproteins, lipoproteins, cytokines
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2400/00Materials characterised by their function or physical properties
    • A61L2400/04Materials for stopping bleeding
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2400/00Materials characterised by their function or physical properties
    • A61L2400/06Flowable or injectable implant compositions

Abstract

出血部位への適用時及び/又は適用後に架橋する粉末状止血剤に関する組成物及び方法が記載されている。組成物は、求電子性反応性基で官能化された多官能化ポリメリック組成物(たとえば、多官能化ポリエチレングリコール)を含む第1の成分と、アルブミンなどのタンパク質を含む第2の成分と、を含みうる。組成物は、ある特定の用途では、乾燥粉末形態で出血創傷に適用したときに止血剤として作用しうる。その際、組成物の第1の成分及び第2の成分は、架橋してハイドロゲルを形成する。

Description

関連出願
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により、2020年12月28日出願の、“Reactive Dry Powder Hemostatic Materials Comprising a Protein and a Multifunctionalized Polyethylene Glycol Based Crosslinking Agent”という名称の米国仮特許出願第63/131,267号(その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に基づく優先権を主張する。
技術分野
出血部位への適用時及び/又は適用後に架橋する粉末状止血剤に関する組成物及び方法が一般的に記載されている。
背景
分解性デンプンマイクロスフェア(DSM)や酸化再生セルロース(ORC)などの既存の粉末状止血剤及び液状トロンビンやフィブリン糊などの流動性止血剤は、組織接着性が劣るという問題を抱える可能性があるとともに、ある特定の出血/創傷部位に使用したときに十分に効果を発揮しないおそれがある。これは創傷部位での吸収性の欠如、不十分な組織接着性及び/又は凝集性が原因でありうる。その結果、粉末状止血剤の場合には洗浄除去に耐えられない。そのほか、典型的な従来の止血剤は、強いハイドロゲルネットワークを形成しない。このことから、出血部位への適用後にその物質を所定の位置に保持するために積極的な又は長期にわたる用手圧迫の必要性が生じて、同一領域で外科医が施術を続けることが困難になる可能性がある。それゆえ、改善された止血用組成物及び方法が望まれるであろう。
概要
出血部位への適用時及び/又は適用後に架橋する粉末状止血剤に関する組成物及び方法が一般的に記載されている。本発明の主題は、いくつかの場合には、相互関連製品、特定問題への代替策、及び/又は1つ以上のシステム及び/又は物品の複数の異なる使用が関与する。
一態様では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物が記載される。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、複数の求電子基(multiple electrophilic groups)を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;タンパク質を含む第2の成分であって、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる第2の成分と、を含み、水性液体に暴露されると、第1の成分と第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、
式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
タンパク質を含む第2の成分であって、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる第2の成分と、
を含み、
水性液体に暴露されると、第1の成分と第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;塩基性状態のタンパク質を含む第2の成分と、を含み、水性液体に暴露されると、第1の成分と第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、
式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
塩基性状態のタンパク質を含む第2の成分と、
を含み、
水性液体に暴露されると、第1の成分と第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質を含む第2の成分と;を含み、水性液体に暴露されると、第1の成分と第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、
式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質を含む第2の成分と;
を含み、
水性液体に暴露されると、第1の成分と第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;タンパク質を含む第2の成分と、を含み、0.5gの組成物が、1.0mLの0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水に暴露されると、第1の成分と第2の成分との架橋が開始されて8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、
式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
タンパク質を含む第2の成分と、
を含み、
0.5gの組成物が、1.0mLの0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水に暴露されると、第1の成分と第2の成分との架橋が開始されて8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルを形成する。
別の態様では、キットが提供される。いくつかの実施形態では、キットは、乾燥粉末状架橋性止血用組成物が形成されうる成分を含有する。いくつかの実施形態では、キットは、第1の成分及び第2の成分を含み、第1の成分及び第2の成分は、個別にパッケージされる。
別の態様では、出血を抑える方法(a method for controllung bleeding)が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用することを含み;架橋性乾燥粉末組成物が、複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;タンパク質を含む第2の成分であって、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる第2の成分と;を含み、出血/創傷部位に暴露されると、乾燥粉末組成物の架橋が可能になって出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる。
いくつかの実施形態では、出血を抑える方法が、
架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用することを含み;
架橋性乾燥粉末組成物が、
式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
タンパク質を含む第2の成分であって、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる第2の成分と;
を含み、
出血/創傷部位に暴露されると、乾燥粉末組成物の架橋が可能になって出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる。
いくつかの実施形態では、出血を抑える方法が、架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用することを含み;架橋性乾燥粉末組成物が、複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;塩基性状態のタンパク質を含む第2の成分と;を含み、出血/創傷部位に暴露されると、乾燥粉末組成物の架橋が可能になって出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる。
いくつかの実施形態では、出血を抑える方法が、
架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用することを含み;
架橋性乾燥粉末組成物が、
式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
塩基性状態のタンパク質を含む第2の成分と;
を含み、
出血/創傷部位に暴露されると、乾燥粉末組成物の架橋が可能になって出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる。
いくつかの実施形態では、出血を抑える方法は、架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用することを含み;架橋性乾燥粉末組成物が、複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質を含む第2の成分と;を含み、出血/創傷部位に暴露されると、乾燥粉末組成物の架橋が可能になって出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる。
いくつかの実施形態では、
架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
を含む、出血を抑える方法であって;
架橋性乾燥粉末組成物が、
式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質を含む第2の成分と;
を含み、
出血/創傷部位に暴露されると、乾燥粉末組成物の架橋が可能になって出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる、方法。
いくつかの実施形態では、出血を抑える方法が、架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用することを含み;架橋性乾燥粉末組成物が、複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;タンパク質を含む第2の成分と;を含み、出血/創傷部位に暴露されると、乾燥粉末組成物の架橋が可能になって、出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある、8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルになる。
いくつかの実施形態では、出血を抑える方法が、
架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用することを含み;
架橋性乾燥粉末組成物が、
式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
タンパク質を含む第2の成分と;
を含み、
出血/創傷部位に暴露されると、乾燥粉末組成物の架橋が可能になって、出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある、8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルになる。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物に使用するためのタンパク質を調製する方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分を含む乾燥粉末状架橋性止血用組成物に使用するためのタンパク質を調製する方法であって;タンパク質の少なくとも部分的に溶解された形態を含む調製用水溶液から水を除去し、それによって、タンパク質の固体形態を形成することを含み、調製用水溶液が、8以上のpHを有することを特徴とする、方法である。
いくつかの実施形態では、方法は、式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり;
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分を含む乾燥粉末状架橋性止血用組成物に使用するためのタンパク質を調製する方法であって;
タンパク質の少なくとも部分的に溶解された形態を含む調製用水溶液から水を除去し、それによって、タンパク質の固体形態を形成することを含み、調製用水溶液が、8以上のpHを有することを特徴とする、方法である。
ある特定の実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物が記載される。ここで、この組成物は、式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、且つ
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と、
第1の成分と架橋する能力のあるタンパク質を含む第2の成分と、第1の成分とタンパク質との架橋を開始する架橋開始剤と、
を含み、水性液体に暴露されると架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、出血を抑える方法であって、出血/創傷部位に架橋性乾燥粉末組成物を適用することを含む方法が記載される。ここで、この架橋性乾燥粉末組成物は、式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系組成物を含む第1の成分と、
第1の成分と架橋する能力のあるタンパク質を含む第2の成分と、第1の成分とタンパク質との架橋を開始する架橋開始剤と、
を含み、出血/創傷部位に暴露されると乾燥粉末組成物の架橋が可能になって出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる。
いくつかの実施形態によれば、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、以下:
Figure 2024500994000002
Figure 2024500994000003
PEGジスクシンイミジルバレレート、及び
Figure 2024500994000004
PEGジスクシンイミジルヘキサノエート
からなる群から選択される2官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と、
タンパク質を含む第2の成分と、
を含み、水性液体に暴露されると第1の成分と第2成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
ある特定の実施形態によれば、出血を抑える方法は、出血/創傷部位に乾燥粉末組成物を適用することを含む。ここで、乾燥粉末組成物は、以下:
Figure 2024500994000005
Figure 2024500994000006
PEGジスクシンイミジルバレレート、及び
Figure 2024500994000007
PEGジスクシンイミジルヘキサノエート
からなる群から選択される2官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と、
タンパク質を含む第2の成分と、
を含み、出血/創傷部位に暴露されると乾燥粉末組成物の架橋が可能になって止血用ハイドロゲルになり、止血用ハイドロゲルは、出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力がある。
ある特定の実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、且つ
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と、
第1の成分と架橋する能力のあるタンパク質を含む第2の成分であって、タンパク質が0.30g/ml以上のタップ粒子密度を有する複数の粒子(a plurality of particles)を含む、第2の成分と、第1の成分とタンパク質又は他の求核性ポリマーとの架橋を開始する架橋開始剤と、
を含み、水性液体に暴露されると架橋が起こって止血用ハイドロゲルを形成する。
ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末状止血用組成物は、式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、且つ
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と、
第1の成分と架橋する能力のあるタンパク質を含む第2の成分であって、タンパク質が、50ミクロン以上500ミクロン以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になる、第2の成分と、第1の成分とタンパク質との架橋を開始する架橋開始剤と、
を含み、水性液体に暴露されると架橋が起こって止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、且つ
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と、
第1の成分と架橋する能力のあるタンパク質を含む第2の成分であって、タンパク質が、0.30g/ml以上のタップ粒子密度を有する複数の粒子を含み、且つタンパク質が、50ミクロン以上500ミクロン以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になる、第2の成分と、第1の成分とタンパク質との架橋を開始する架橋開始剤と、
を含み、水性液体に暴露されると架橋が起こって止血用ハイドロゲルを形成する。
ある特定の実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、式:
I-(-X-LM-G)
(式中、
Xは、2官能性ポリオキシエチレン鎖部分又は結合であり、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基であり、
Iは、多求核性化合物から誘導される多官能性連結部分であり、且つ
nは、2~10の整数であり、
ただし、Xが2官能性ポリオキシエチレン鎖部分であり、及びn=2であるとき、-X-I-X-は、式:
-O-(CH-CH-O-)
(ここで、aは20~300の整数である)
により表される2価基フラグメントのポリエチレングリコール(PEG)である)
の多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と、
タンパク質を含む第2の成分と、
を含み、水性液体に暴露されると第1の成分と第2成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態によれば、乾燥粉末状架橋性止血用組成物は、式:
I-(LM-G)
(式中、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基であり、
Iは、LMの官能基と反応可能なn個の官能基を有する多官能性ポリオキシエチレン鎖部分であり、且つ
nは、2~10の整数である)
の多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と、
タンパク質を含む第2の成分と、
を含み、水性液体に暴露されると第1の成分と第2成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、以上に記載の、又は以上に記載のキットを用いて調製される乾燥粉末状止血用組成物は、手術による治療の方法に使用するのに好適である。いくつかの実施形態では、以上に記載の、又は以上に記載のキットを用いて調製される乾燥粉末状止血用組成物は、手術による治療の方法に使用される。手術による治療の方法は、いくつかの実施形態では、乾燥粉末状架橋性止血用組成物を出血/創傷部位に(たとえば、組織部位で)送達すること及び止血用ハイドロゲルを形成することを含みうる。いくつかの実施形態では、組成物は、出血/創傷部位での出血を停止又は低減するのに使用される。
本発明の他の利点及び新規な特徴は、添付図と組み合わせて考えれば、本発明の各種非限定的実施形態の下記の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書及び参照により組み込まれる文書が相反及び/又は矛盾する開示を含む場合には、本明細書が優先されるものとする。
図面の簡単な説明
例として添付図を参照しながら本発明の非限定的実施形態を説明するが、これらは模式的であり原寸通り描くことが意図されていない。図中、例示された各同一又はほぼ同一の成分は、典型的には単一数字により表される。明確を期して、どの成分もどの図にも記されているとは限らず、当業者による本発明の理解を可能にするのに例示が必要でない場合には本発明の各実施形態のどの成分も示されているとは限らない。
ある特定の実施形態に従って、乾燥粉末状混合物を含む止血用ハイドロゲルを形成する方法の模範的工程を示す。 ある特定の実施形態に従って、他の市販の止血剤と比較して止血を達成する乾燥粉末状組成物の測定架橋時間を示す。 ある特定の実施形態に従って、他の市販の止血剤と比較して創傷部位への乾燥粉末状組成物の適用後の再出血のパーセントを示す。 ある特定の実施形態に従って、市販の止血剤と比較して乾燥粉末状組成物の湿潤領域破裂強度(wet field burst strength)を示す。 ある特定の実施形態に従って、血液層の画像の線画を示す。 ある特定の実施形態に従って、血液層への乾燥粉末状止血剤の適用の画像の線画を示す。 ある特定の実施形態に従って、血液層上での止血用ハイドロゲルの形成を示す画像の線画を示す。 ある特定の実施形態に従って、乾燥粉末状組成物の測定架橋時間に及ぼす各種アルブミン源の使用の影響を示す。 ある特定の実施形態に従って、乾燥粉末状組成物の破裂強度に及ぼすタンパク質粒子サイズの影響を示す。 ある特定の実施形態に従って、乾燥粉末状組成物の破裂強度に及ぼすタンパク質粒子密度の影響を示す。 ある特定の実施形態に従って、乾燥粉末状組成物から形成されるハイドロゲルの破裂強度を測定するためのテストフィクスチャー構成を示す。 ある特定の実施形態に従って、乾燥粉末状止血用組成物のためのタンパク質成分を形成する方法における例示的な工程を示す。
詳細な説明
出血部位への適用時及び/又は適用後に架橋する粉末状止血剤に関する組成物及び方法が一般的に記載されている。ある特定の実施形態では、水性液体に暴露されると、反応性止血剤成分の乾燥粉末状混合物は、架橋して止血用ハイドロゲルを形成しうる。組成物は、求電子性反応性基で官能化された多官能化ポリメリック組成物(たとえば、多官能化ポリエチレングリコール)を含む第1の成分と、アルブミンなどのタンパク質を含む第2の成分と、を含みうる。血液及び/又は他の体液を含む出血/創傷部位に乾燥粉末状架橋性組成物が適用されると、水性液体への暴露が達成されうる。出血を抑える又は止めるための止血用材料としての使用に加えて又はその代わりに、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、術後の接着バリア、シーラント、及び創傷ドレッシングなどのさまざまな他の医学用途に有用でありうる。
いくつかの場合には、タンパク質の求核基(たとえば、アミノ酸側鎖及び/又はN末端からのアミノ基)は、多官能化ポリマーの求電子基と反応して、プロトン化される場合よりプロトン化されない場合に、より急速に架橋を達成する。いくつかの実施形態は、水和及び架橋時の反応混合物のpHを評価するために、乾燥粉末状止血用組成物中の個別の固体塩基及び/又は塩基性緩衝剤(たとえば、タンパク質を含有する第2の成分の部分として又は個別の成分として)の包含を含む。代わりの又はさらなる手法は、以下により詳細に記載されるように、塩基性状態のタンパク質(たとえば、遊離アミン基)上に非プロトン化求核基を形成すること(たとえば、乾燥粉末状組成物の第2の成分の形成前又は形成時に、タンパク質を少なくとも部分的に脱プロトン化することによって)を含む。かかる手法の一例は、タンパク質(たとえば、アルブミン)を水に溶解させ、水のpHを塩基性pHに調整し、それによって、タンパク質を少なくとも部分的に脱プロトン化し、次に、水を除去して、乾燥粉末形態におけるpH調整されたタンパク質を得ることである。
本明細書で用いられる場合、「架橋」という用語は、少なくとも1つの共有結合及び/又はイオン結合の形成を介して2つ以上の類似又は非類似のポリマー、コポリマー、オリゴマー、又はマクロマーを連結する、2つ以上の類似又は非類似のポリマー、コポリマー、オリゴマー、及び/又はマクロマーの間の化学反応、或いは少なくとも1つの共有結合及び/又はイオン結合の形成を介して1つ以上のポリマー、コポリマー、オリゴマー、及び/又はマクロマーのより長い鎖を提供する、1つ以上のポリマー、コポリマー、オリゴマー、及び/又はマクロマーの間の鎖延長を意味する。
ある特定の実施形態では、多成分(たとえば、2成分、3成分など)組成物が提供され、使用されうる。いくつかの実施形態では、第1の成分は、多官能化(たとえば2官能化)ポリアルキレンオキサイド系成分を含み、且つ第2の成分は、第1の成分と架橋する能力のあるタンパク質(たとえばアルブミン)及び第1の成分とタンパク質との架橋を開始する架橋開始剤の一方又は両方を含む。多成分組成物に関するある特定の実施形態では、止血用ハイドロゲルを形成する架橋は、水性液体に組成物が暴露されると開始される。たとえば、出血組織への(たとえば、出血/創傷部位での)乾燥粉末状組成物の適用時に血液に乾燥粉末状止血用組成物の第1の成分及び第2の成分が暴露されると、止血用ハイドロゲルを形成する架橋が開始されうる。いくつかの場合には、乾燥粉末組成物のある特定の成分の構造性(たとえば、粒子サイズ及び/又は粒子密度)は、乾燥粉末組成物が架橋して止血用ハイドロゲルを形成するのに必要とされる時間に影響を及ぼしうるか、又は架橋度若しくは両方に影響を及ぼしうる。
いくつかの実施形態では、2成分反応性乾燥粉末組成物(たとえば、乾燥粉末混合物)が提供され、使用されうる。ある特定の実施形態では、第1の成分は、多官能化(たとえば、2官能化)ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の乾燥粉末を含み、第2の成分は、第1の乾燥粉末と架橋する能力のある第2の乾燥粉末(たとえば、アルブミンなどのタンパク質)を含む。水性液体に暴露されると、第2の乾燥粉末は、第1の乾燥粉末と架橋しうるか、又はある特定の場合には2つの異なる反応性粉末状成分間の架橋を開始するように開始剤が使用されうる。その結果、出血/創傷部位での出血を停止及び/又は低減する能力のある架橋された止血用ハイドロゲルがもたらされる。架橋性多官能化(たとえば、2官能化)ポリアルキレンオキサイド系成分(たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)など)及び/又はタンパク質(たとえばアルブミン)を含む止血用前駆体は、ある特定の実施形態では、組織接着性を有するハイドロゲルを形成することにより、特定の既存の止血技術における用手圧迫の必要性に関する問題を軽減する助けとなりうる。
いくつかの実施形態によれば、乾燥粉末状止血用組成物は、第1の成分と第2の成分とを含む。ある特定の実施形態では、第1の成分は、第1の粉末(たとえば第1の乾燥粉末)の形態であり、第2の成分は、第2の粉末(たとえば第2の乾燥粉末)の形態である。ある特定の実施形態では、ツーパーツ架橋性乾燥粉末止血用配合物が提供される。乾燥粉末状止血用組成物の形態に関するさらなる詳細は、以下で考察される。
ある特定の実施形態では、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、多官能化ポリメリック組成物を含む。いくつかの実施形態では、たとえば、多官能化ポリメリック組成物は、2官能化ポリメリック組成物、4官能化ポリメリック組成物、6官能化ポリメリック組成物、8官能化ポリメリック組成物などでありうる。他の官能度もまた可能である(たとえば、3官能化、5官能化など)。多官能化ポリメリック組成物は、(たとえば、水溶液中で)アミノ基などの求核剤と反応する能力のある複数の求電子基を含みうる。
ある特定の実施形態によれば、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、2官能化ポリメリック組成物を含む。いくつかの実施形態では、たとえば、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む。ある特定の態様では、2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分は、式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、且つ
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
のものである。
ある特定の実施形態によれば、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、式:
G-LM-PEG-LM-G
(式中、
PEGは、ポリエチレングリコールであり、
各LMは、同一であり、式-C(O)-、-(CH-C(O)-(ここで、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、基の脂肪族部分は、飽和であっても不飽和であってもよい)、-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは2~10の整数である)により表される2官能性連結部分、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基であり、且つ
各Gは、同一であり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から選択される脱離基である)
の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む。
いくつかの実施形態によれば、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、さまざまな好適な2官能化ポリメリック組成物のいずれかを含む。いくつかの態様では、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、式G-LM-PEG-LM-Gの2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含みうる。たとえば、ある特定の実施形態では、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、
PEGジスクシンイミジルスクシネート(PEG(SS)2)、すなわち、形態:
Figure 2024500994000008
の2アーム架橋剤、
PEGジスクシンイミジルバレレート(PEG(SVA)2)、すなわち、形態:
Figure 2024500994000009
の2アーム架橋、及び/又は
PEGジスクシンイミジルヘキサノエート(PEG(SHA)2)、すなわち、形態:
Figure 2024500994000010
の2アーム架橋剤を含みうる。
いくつかの実施形態では、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、式:
I-(-X-LM-G)
(式中、
Xは、ポリオキシエチレン鎖部分又は結合であり、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基であり、
Iは、多求核性化合物から誘導される多官能性連結部分であり、且つ
nは、2~10の整数であり、
ただし、Xが2官能性ポリオキシエチレン鎖部分であり、及びn=2であるとき、-X-I-X-は、式:
-O-(CH-CH-O-)
(ここで、aは20~300の整数である)
により表される2価基フラグメントのポリエチレングリコール(PEG)である)
の多官能化ポリメリック組成物を含む。
いくつかの実施形態では、以上に記載の式I-(-X-LM-G)の多官能化ポリマーは、PEG(SS)2(たとえば、ここで、Xは、結合であり、nは、2であり、Iは、2官能性ポリエチレングリコール(PEG)である)などの2官能化ポリマーである一方、いくつかの実施形態では、第1の成分は、より高い(2超の)官能度(たとえば、nは、3、4、5、6、7、又は8である)を有する多官能化ポリマーを含む。
いくつかの代替実施形態では、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、式:
I-(-X-LM-G)
(式中、
Xは、ポリオキシエチレン鎖部分又は結合であり、

各LMは、同一であり、式-C(O)-、-(CH-C(O)-(ここで、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、基の脂肪族部分は、飽和であっても不飽和であってもよい)、-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは2~10の整数である)により表される2官能性連結部分、又は式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、若しくは-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基であり、
各Gは、同一であり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から選択される脱離基であり、
Iは、多求核性化合物から誘導される多官能性連結部分であり、且つ
nは、2~10の整数であり、
ただし、Xが2官能性ポリオキシエチレン鎖部分であり、及びn=2であるとき、-X-I-X-は、式:
-O-(CH-CH-O-)
(ここで、aは20~300の整数である)
により表される2価基フラグメントのポリエチレングリコール(PEG)である)
の多官能化ポリメリック組成物を含む。いくつかのかかる実施形態では、多官能化ポリメリック組成物は、より高い(2超の)官能度を有する。
いくつかの実施形態によれば、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、式:
I-(-X-LM-G)
(式中、
Xが結合であるとき、Iは、アーム数がnであるマルチアームPEGである)
の多官能化ポリメリック組成物を含む。
ある特定の実施形態では、式I-(-X-LM-G)中のXは、式:
-O-(CH-CH-O-)
(式中、
aは、20~300の整数である)
により表される2官能性ポリエチレンオキサイドのポリエチレングリコール(PEG)である。
いくつかの実施形態では(たとえば、ここで、Xは、結合である)、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、式:
I-(LM-G)
(式中、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)、-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から独立して選択される脱離基であり、
Iは、LMの官能基と反応可能なn個の官能基を有する多官能性ポリオキシエチレン鎖部分であり、且つ
nは、2~10の整数である)
の多官能化ポリメリック組成物を含む。いくつかのかかる実施形態では、多官能化ポリメリック組成物は、より高い(2超の)官能度を有するが、いくつかの実施形態では、多官能化ポリメリック組成物は、2官能化されている(たとえば、nは、2である)。多官能化ポリオキシエチレン鎖部分が、LMの官能基と反応することが可能なn個の官能基を有することが記載される場合、かかる特徴付けは、サブ成分の性質及びそれらの相互反応性を読者に説明するために、組み立てられていない/分解された状態における分子の部分の性質に関することが理解されるべきである。当然ながら、当業者に明らかであるように、本明細書に記載の化学式によって表される組成物に関して、示される官能基とLMとの間の反応は、式I-(LM-G)によって表されるポリマーにおいて起こったことが理解される(すなわち、式は、未反応状態の一連の反応剤を表す式ではなくそれらの前駆体成分の反応性に基づいて、形成された結合の性質を表す)。たとえば、I-(LM-G)の種としてPEG(SS)2を考えると、Iは、ポリエチレングリコール鎖部分であり、LMは、スクシネート2価基である。ポリエチレングリコールは、スクシネート2価基(-C(O)-(CH-C(O)-)のカルボニル炭素に結合された官能基(酸化物酸素(oxide oxygen))を有する。このように、2つの官能基がPEG(SS)2において結合されるという事実から明らかなように、ポリエチレングリコール鎖部分は、スクシネート2価基の官能基(カルボニル炭素基)と反応することが可能な官能基(オキシル基)を有する。
いくつかの実施形態によれば、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、式:
I-(LM-G)
(式中、
各LMは、同一であり、式-C(O)-、-(CH-C(O)-(ここで、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、基の脂肪族部分は、飽和であっても不飽和であってもよい)、-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは2~10の整数である)により表される2官能性連結部分、又は式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基であり、
各Gは、同一であり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から選択される脱離基であり、
Iは、LMの官能基と反応可能なn個の官能基を有する多官能性ポリオキシエチレン鎖部分であり、且つ
nは、2~10の整数である)
の多官能化ポリメリック組成物を含む。いくつかのかかる実施形態では、多官能化ポリメリック組成物は、より高い(2超の)官能度を有する。
いくつかの実施形態では、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、式G-LM-PEG-LM-G
(式中、
各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり、
各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
の多官能化ポリメリック組成物を含む。
いくつかの実施形態によれば、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、より高い(2超の)官能度を有するさまざまな好適な多官能化ポリメリック組成物のいずれかを含む。たとえば、ある特定の実施形態では、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、
PEGテトラスクシンイミジルグルタレート(PEG(SG)4)、すなわち、形態:
Figure 2024500994000011
の4アーム架橋剤、及び/又は
PEGテトラスクシンイミジルラクチルグルタレート(PEG(SG)42LA)、すなわち、形態:
Figure 2024500994000012
の4アーム架橋剤を含みうる。
いくつかの実施形態では、上記の化学構造(たとえば、PEG(SS)2、PEG(SVA)2、PEG(SHA)2、PEG(SG)4、PEG(SG)42LA)のいずれかにおいて、各nは、独立して、10~500の整数である。いくつかのかかる実施形態では、各nは、独立して、50~200の整数でありうる。
他の多官能化ポリメリック組成物もまた可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、第1の成分(たとえば、第1の乾燥粉末)は、下記のPEG-NHSエステルのいずれかをベースとする2官能以上の多官能化PEGを含む。
Figure 2024500994000013
ある特定の実施形態では、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)は、ポリメリック組成物の組合せを含む。たとえば、ある特定の実施形態では、第1の成分は、2官能化ポリメリック組成物、4官能化ポリメリック組成物、6官能化ポリメリック組成物、及び/又は8官能化ポリメリック組成物のいずれかの好適な組合せを含みうる。いくつかの非限定的実施形態では、第1の成分は、2官能化ポリメリック組成物と4官能化ポリメリック組成物とを含む。
式G-LM-PEG-LM-Gの2官能化ポリメリック組成物及び/又は式I-(-X-LM-G)又はI-(LM-G)の多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)を有するある特定の実施形態によれば、ポリメリック組成物は、さまざまな好適な重量平均分子量のいずれかを有しうる。たとえば、ある特定の実施形態では、第1の成分(たとえば、第1の乾燥粉末)の多官能化ポリメリック組成物(たとえば、2官能化以上)は、1kDa以上、5kDa以上、10kDa以上、15kDa以上、20kDa以上、又は25kDa以上の重量平均分子量を有する。ある特定の実施形態では、ポリメリック組成物は、30kDa以下、25kDa以下、20kDa以下、15kDa以下、10kDa以下、又は5kDa以下の重量平均分子量を有するマクロマーでありうる。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、第1の成分は、1kDa以上30kDa以下、10kDa以上15kDa以下などの重量平均分子量を有する多官能化ポリメリック組成物を含む)。いくつかの実施形態では、多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー-マルチアングルレーザー光散乱(SEC-MALLS)を用いて決定される。重量平均分子量が、たとえば、多官能化ポリメリック組成物の各ポリメリック成分中のモノマーの数に依存しうることが理解されるべきである。たとえば、いくつかの実施形態では、多官能化ポリメリック組成物が、PEG(SS)2である場合、PEG中のエトキシ化度(及び上記のPEG(SS)2について示される式中のnについての値)は、多官能化ポリメリック組成物が、上記に示される範囲のいずれかにおける重量平均分子量を有するようなものである。ある特定の実施形態では、上記に示される2-アームPEGジスクシンイミジルスクシネート(PEG(SS)2)の化学構造について、nは、10~500、又は50~200の範囲内である。
ある特定の実施形態によれば、式G-LM-PEG-LM-G、I-(-X-LM-G)、及び/又はI-(LM-G)により記述可能な多官能化ポリメリック組成物、たとえば、限定されるものではないが以上に述べた例は、当業者に公知のさまざまな好適な合成方法のいずれかにより調製されうる。たとえば、Truongらへの2003年6月10日に発行された米国特許第6,576,263号;Barrowsらへの2005年10月11日に発行された米国再発行特許第38,827号;及びBarrowsらへの2003年6月24日に発行された米国再発行特許第38,158号(それらの各々はその全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
たとえば、式G-LM-PEG-LM-G、I-(-X-LM-G)、及び/又はI-(LM-G)により記述可能な多官能化ポリメリック組成物は、公知のプロセス、手順又は合成方法、たとえば、Rubinsteinへの1978年7月18日に発行された米国特許第4,101,380号、又はDoiらへの1989年6月13日に発行された米国特許第4,839,345号に報告された手順、1990年4月19日出願の国際出願番号PCT/US90/02133号からの、1990年11月15日公開の、Zalipskyによる国際出願公開番号国際公開第1990/013540号に報告された手順、又はAbuchowski et al.,Cancer Biochem. Biophys.,7:175-186(1984)により報告された手順(それらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を用いて調製されうる。簡潔に述べると、ポリアルキレンオキサイド系成分(たとえば、模範的として以下で考察されるポリエチレングリコール)及び好適な酸無水物を塩基の存在下で好適な極性有機溶媒に溶解させて、ポリエチレングリコールジエステル二酸を形成するのに十分な時間にわたり還流する。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド又は他の縮合剤の存在下、好適な極性有機溶媒中でジエステル二酸とN-ヒドロキシイミド化合物などの脱離基とを反応させて、所望の2官能性架橋剤を形成するように室温で撹拌する。
式G-LM-PEG-LM-G、I-(-X-LM-G)、及び/又はI-(LM-G)により記述可能な多官能化ポリメリック組成物の全部又は一部は、限定されるものではないがNOF America Corporation及び/又はLaysan Bio,Inc.をはじめとする供給業者から購入されうる。多官能化ポリメリック組成物はまた、模範的組成物に関する本明細書に記載の教示及び模範的方法、既刊文献、並びに通常の技能レベル及び技能者の知識を考慮して、化学合成技術分野の当業者であれば簡単に合成されうる。
ある特定の非限定的実施形態では、PEG(SS)2は、75.7オキシエチレン繰返し単位に相当する3,350Daの平均重量平均分子量を有する線状PEGを得ることにより合成可能である。線状PEGは、たとえば、Dow Chemical Companyから得ることが可能である。線状PEGは、いくつかの場合には、2工程合成を介してPEG(SS)2に変換されうる。たとえば、第1の工程は、PEG(ジスクシネート)又はPEG(SS)を生成するために線状PEGと無水コハク酸とを反応させることを含みうる。第2の工程は、PEG(SS)2を生成するためにPEG(SS)とN-ヒドロキシスクシンイミドとを反応させることを含みうる。その結果、白色固体及び1分子当たり2個のスクシンイミジル基を有する2アーム架橋剤がもたらされる。
代替的に、他の非限定的一実施形態では、たとえば2,000Da~10,000Da又はそれ以上の重量平均分子量を有するPEGから、無水コハク酸の代わりに無水グルタル酸を利用して中間体を生成し、続いて後続工程で同一のN-ヒドロキシスクシンイミド反応によりPEG(SG)4が誘導される。2個の反応性末端基の代わりに、PEG(SG)4は4個の反応性末端基を有する。合成の第1の工程は、カルボキシル末端基を組み込むように線状PEG(たとえばPEG10,000)への無水物(たとえば無水グルタル酸)の付加が関与する。次いで、第2の工程では、スクシンイミジル反応性末端基を付加するように生成物とN-ヒドロキシスクシンイミド試薬とを反応させる。
さらに他の非限定的一実施形態では、PEG(SG)42LAの合成は、PEG(SG4)と同様に進行するが、ラクチド基を組み込むように乳酸との追加の反応工程を含む。ある特定の実施形態では、ラクチド基を組み込む目的は、最終生成物に易加水分解性連結を提供してより速い再収着を促進することである。いくつかの実施形態では、無水グルタル酸との反応工程前に乳酸の代わりに環状ラクチドを利用してラクチド基が付加される。ラクチドは乳酸のダイマーであるので、鎖中の乳酸基数は偶数になって分子量分布を生成するであろう。たとえば、11,500Daの重量平均分子量を有するPEG(SG)42LAでは、おおよそ2.5個のラクチド基/アーム又は10個のラクチド基/分子(たとえば4アーム)が存在する。第1の合成工程は、PEGの各末端へのラクチド基の付加である。第2の合成工程は、無水グルタル酸の付加、続いてN-ヒドロキシスクシンイミドの付加である。
ある特定の実施形態では、式G-LM-PEG-LM-G、I-(-X-LM-G)、及び/又はI-(LM-G)の多官能化ポリメリック組成物は、求核基、たとえばタンパク質上のアミン基と反応する能力のある(たとえば、それによって置換される)脱離基G(たとえば、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシル)を含む。たとえば、Gが、N-オキシスクシンイミジルである場合、G-LM-PEG-LM-Gは、N-オキシ-スクシンイミジル脱離基を含むNHSエステル求電子基を含む。ある特定の実施形態によれば、脱離基G(たとえば、PEG(SS)2中のNHSエステルのN-オキシスクシンイミジル基)は、タンパク質のアミン基と反応して、脱離基Gが放出されるとアミド結合を形成して架橋組成物を生成する。かかる反応性は、Cruiseらへの2002年10月1日に発行された米国特許第6,458,147号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)にさらに記載されている。
いくつかの実施形態によれば、乾燥粉末止血用配合物は、第1の成分(たとえば、PEG(SS)2などの第1の乾燥粉末)と架橋する第2の成分(たとえば、第2の乾燥粉末)を含む。ある特定の実施形態では、第2の成分は、第2の乾燥粉末の形態である。
ある特定の実施形態では、第2の成分は、タンパク質を含む。ある特定の場合には、タンパク質は、さまざまな好適なアルブミンのいずれかを含む。たとえば、いくつかの実施形態では、タンパク質は、血清アルブミンを含む。血清アルブミンは、いくつかの場合には、ドナー血液に由来するヒト血清アルブミン(HSA)でありうる。いくつかの場合には、血清アルブミンは、酵母に由来する組換えヒトアルブミン(rHA)である。いくつかの場合には、血清アルブミンは、動物源アルブミン(たとえば、ウシ血清アルブミン(BSA))である。ある特定の非限定的実施形態では、たとえば、タンパク質は、Proliant Biologicalsから得られるCohn analog培養グレードBSAでありうる。いくつかの態様では、組換えヒトアルブミンは、Cellastim(商標)組換えヒトアルブミン、Healthgen(商標)組換えヒトアルブミン、又はOptibumin(商標)組換えヒトアルブミンでありうる。
いくつかの実施形態によれば、タンパク質は、コラーゲン又はゼラチンを含む。
いくつかの実施形態では、以上の求核求電子架橋反応はpH感受性であり、酸性pHでは阻害されるが中性又は塩基性のpH値で開始される。いくつかのかかる場合には、乾燥粉末状止血用組成物は、開始剤(たとえば、架橋開始剤)を含む。いくつかの場合には、架橋開始剤は、架橋を開始又は促進するように反応性材料との組合せで使用されうる塩基又は塩基性緩衝剤を含む。塩基又は塩基性緩衝剤は、さまざまな形態のいずれかで提供されうる。いくつかの実施形態では、架橋開始剤は、乾燥粉末状止血用組成物の第2の成分の部分である。たとえば、塩基又は塩基性緩衝剤は、第2の成分中の個別の固体として存在しうる(たとえば、乾燥粉末の個別の粒子として及び/又は複合粒子の個別の領域として)。しかしながら、いくつかの実施形態では、架橋開始剤は、乾燥粉末状止血用組成物の第3の成分(たとえば、第3の乾燥粉末)など、異なる様式で提供される。いくつかの実施形態では、架橋開始剤は、タンパク質の一部、たとえば、タンパク質の化学修飾部分(たとえば、脱プロトン化アミノ酸側鎖)である。ある特定の実施形態によれば、塩基及び/又は塩基性緩衝剤を含む架橋開始剤は、タンパク質のアミン基による脱離基Gの解離時に以上に記載の組成物のいずれかの求電子性成分間の架橋反応を促進する。
以上に記載されるように、いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、架橋開始剤を含み、架橋開始剤は、塩基、タンパク質の塩基処理部分、及び/又は塩基性緩衝剤である。塩基及び/又は塩基性緩衝剤の共役酸は、架橋反応の一環としての、タンパク質の求核基(たとえば、アミノ基)と多官能化ポリメリック組成物の求電子基(たとえば、PEG(SS)2)との間の求核試薬/求電子性反応を開始させるのに好適なpKを有しうる。たとえば、個別の塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、使用されるか又は開始剤として存在する場合、それは、水性液体(たとえば、生理食塩溶液、出血部位での血液など)に暴露されるとタンパク質のアミノ酸側鎖(たとえば、血清アルブミンのリシン)を少なくとも部分的に脱プロトン化するのに十分に高いpKを有しうる。必ずしも全てではないがいくつかの実施形態では、塩基及び/又は塩基性緩衝剤は、非求核性である。いくつかの実施形態では、塩基及び/又は塩基性緩衝剤は、アミン官能基を含まない。当業者に、非求核性塩基又は塩基性緩衝剤は周知であろう。アミン官能基の欠如は、タンパク質との所望の架橋反応と競合しうる、塩基及び/又は塩基性緩衝剤と多官能化ポリマーの求電子基(PEG(SS)2)との間の求核性反応を有利に回避し得る。
いくつかの実施形態では、塩基及び/又は塩基性緩衝剤は、カチオン及びアニオンを含む塩である。塩は、たとえば、無機塩でありうる。いくつかのかかる実施形態では、カチオンは、アルカリ金属カチオン(たとえば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンなど)である。いくつかの実施形態では、塩基性アニオンは、オキシアニオンである。オキシアニオンは、たとえば、重炭酸塩でありうる。いくつかの実施形態では、オキシアニオンは、リン酸アニオン(たとえば、リン酸水素イオン、HPO 2-)である。いくつかの実施形態では、オキシアニオンは、ホウ酸アニオンである。いくつかの実施形態では、塩基及び/又は塩基性緩衝剤は、カチオン及び水酸化物(OH)を含む。潜在的に好適な塩基及び/又は塩基性緩衝剤の非限定的な例としては、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(たとえば、リン酸二ナトリウム、NaHPO)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、架橋開始剤の塩基及び/又は塩基性緩衝剤は、水溶液中で非ガス生成性である。これに関して、ガス生成性塩基及び/又は塩基性緩衝剤は、水中で1つ以上のプロトンと反応すると、標準条件下でガス生成反応を起こすものである。たとえば、プロトン(たとえば、ヒドロニウムイオンHの形態)との重炭酸塩の反応は、二酸化炭素(ガス種)及び水を生成しうる。したがって、重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩は、ガス生成性であると見なされる。対照的に、水中でのプロトンとの非ガス生成性塩基及び/又は塩基性緩衝剤の反応は、ガス種を形成しない。たとえば、1つ以上のプロトン(たとえば、ヒドロニウムイオン、Hの形態)とのリン酸水素イオン(HPO 2-)の反応は、リン酸二水素イオン(HPO )又はリン酸(HPO)を生成し、これらはいずれも標準条件下でガス種でない。したがって、リン酸二ナトリウムなどのリン酸塩は、非ガス生成性であると見なされる。非ガス生成性塩基及び/又は塩基性緩衝剤の他の例としては、限定されるものではないが、ホウ酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが挙げられる。非ガス生成性塩基及び/又は塩基性緩衝剤のさらなる例としては、塩基がホウ酸イオン(BO )又はメタホウ酸イオン(BO )である実施形態を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、塩基は、ホウ酸ナトリウム(NaBO)、ホウ酸カリウム(KBO)、又はそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、塩基は、四ホウ酸塩(たとえば、四ホウ酸ナトリウム、Na、四ホウ酸カリウム、K)である。本開示に関して、ガス生成性塩基及び/又は塩基性緩衝剤、たとえば重炭酸ナトリウムによるガス生成反応が、いくつかの条件下で架橋反応中に気泡を生成しうることが観察された。気泡の形成は、得られる止血用ハイドロゲルの完全性を破壊し、及び/又は出血組織とのかかる止血用ハイドロゲルの接着に悪影響を与えうる。非ガス生成性塩基及び/又は塩基性緩衝剤の包含は、気泡形成及び止血に対する得られる悪影響を軽減するか又はなくしうる。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、何らかの粉末状ガス生成性塩基性塩及び/又は塩基性緩衝剤を含まない。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、炭酸アニオン又は重炭酸アニオン(bicarbonate anion)を含む何らかの粉末状塩基性塩及び/又は塩基性緩衝剤を含まない。
ある特定の実施形態によれば、脱離基Gを含む求電子基とタンパク質のアミン基との間の反応は、7以上のpHで起こり、in situの架橋反応が、7以上のpH、7.4以上のpH、8以上のpH、9以上のpH、10以上のpHで、(たとえば、反応性成分の一方又は両方への、個別の固体塩基若しくは塩基性緩衝剤の添加なしで又は塩基若しくは塩基性緩衝剤の添加によって)起こされる。
本開示に関して、第2の成分のタンパク質(たとえば、血清アルブミン)が、個別の塩基及び/又は塩基性緩衝剤(たとえば、乾燥粉末状組成物に含まれるか又は個別の乾燥粉末として加えられる)を必要とせずに、第1の成分の複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物と反応しうる乾燥粉末状止血用組成物を提供することが可能であることが実現された。乾燥粉末状組成物は、たとえば、乾燥粉末としてのタンパク質を調製することによって得られ、個別の粉末状塩基及び/又は塩基性緩衝剤の非存在下でさえ、水性液体(たとえば、出血組織での血液)に暴露されると、タンパク質のアミン基の一部又は全てが、それらが架橋を開始して止血用ハイドロゲルを形成するのに十分な量で遊離アミンにされた点で開始剤として作用するようになっている。この意外な結果は、開始剤として作用する緩衝塩の個別の粉末状塩基性塩をほとんど又は全く必要とせずに、乾燥粉末状止血用組成物の形成を可能にしうる。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、何らかの粉末状の塩基性塩又は緩衝塩を含まない。何らかの粉末状の塩基性塩又は緩衝塩を含まない乾燥粉末状止血用組成物が、この用語が一般的に理解されるように架橋開始剤をさらに含みうることが理解されるべきである。たとえば、以下に記載されるように、かかる配合物中のタンパク質が、非プロトン化アミノ酸側鎖を含んでいてもよく、これは、架橋を開始する能力のあるタンパク質に塩基性を与えうる(たとえば、得られる水性液体のpHを上昇させ、求核試薬/求電子性反応のための遊離アミノ基を提供することによって)。かかる配合物は、ガス生成性塩基及び/又は塩基性緩衝剤、たとえば重炭酸ナトリウムの使用を回避する(それによって、架橋中のガス発生による悪影響を軽減する)ための一方法を提供しうる。かかる配合物は、乾燥粉末状止血用組成物の増加した貯蔵安定性を促進するための一方法も提供しうる。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物の第2の成分のタンパク質は、少なくとも部分的に脱プロトン化されて、開始剤として作用する上記の遊離アミン基を形成する。タンパク質は、乾燥粉末状止血用組成物に含める前に、少なくとも部分的に脱プロトン化されてもよく、それにより、タンパク質が、架橋反応剤成分及び架橋反応の開始剤の両方として作用するようになっている。たとえば、乾燥粉末状止血用組成物に含める前に、タンパク質は、1つ以上の酸性プロトンがタンパク質から除去されるように塩基に曝されうる。一例として、タンパク質は、プロトン化されたリジンアミノ酸側鎖(アンモニウム基、-NH を有する)を最初に含んでいてもよく、タンパク質は、塩基性条件下で液体に曝されうる。塩基性条件下で、塩基(たとえば、水酸化物イオン)は、タンパク質のプロトン化リジンアミノ酸の一部又は全てを脱プロトン化して、遊離アミノ基(-NH)を得ることができる。いくつかの場合には、塩基性条件下で、塩基(たとえば、水酸化物イオン)は、タンパク質のプロトン化リジンアミノ酸の一部又は全てを脱プロトン化して、塩基が十分に強い場合、負荷電アミドイオン基(-NH)さえ得ることができる。次に、タンパク質は、リシンの少なくとも一部が遊離アミノ基としてまだ存在する固体形態(たとえば、粉末の粒子として)で提供されうる。いくつかの場合には、次に、タンパク質は、リシンの少なくとも一部が遊離アミノ基又はアミドイオン基としてまだ存在する固体形態(たとえば、粉末の粒子として)で提供されうる。水性液体(たとえば、血液)に暴露されると、少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質の遊離アミノ基は、多官能化ポリメリック組成物の求電子基(たとえば、PEG(SS)2)と容易に反応しうる。対照的に、より多くの潜在的に求核性の基(たとえば、リジン側鎖)が、本明細書に記載の少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質中よりプロトン化状態にある乾燥粉末状タンパク質成分をもたらすように、タンパク質を脱プロトン化することを含まない、タンパク質の乾燥粉末の調製。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物の第2の成分のタンパク質は、塩基性状態にあり、それによって、反応剤及び架橋反応の開始剤として作用する。これに関して、塩基性状態におけるタンパク質は、タンパク質のより少ないアミノ酸側鎖が、非緩衝pH中性水溶液に溶解された同等のタンパク質において観察されるよりプロトン化状態にあるものである。例示的な例として、タンパク質は、pH中性の非緩衝水溶液中で、アミノ側鎖の75%がプロトン化状態にあり(たとえば、アンモニウム基を有するリジン側鎖)、25%が非プロトン化状態にある(遊離アミノ基を有するリジン側鎖)ように、可変のpKを有するアミノ酸側鎖を含みうる。同等のタンパク質(たとえば、乾燥粉末状組成物中の)が、アミノ酸基の10%がプロトン化状態にあり、90%が非プロトン化状態にある場合、そのタンパク質は、塩基性状態にあると見なされるであろう。タンパク質は、たとえば、以上に記載されるように少なくとも部分的に脱プロトン化されているため、塩基性状態にありうる。タンパク質のプロトン化状態を比較するための一方法は、タンパク質の「自身の電荷」を比較することである。たとえば、塩基性状態におけるタンパク質(たとえば、乾燥粉末における)のプロトン化状態を、中性pHにおける同等のタンパク質と比較するために、それぞれの自身の電荷が、以下のように決定されうる。中性の非緩衝水性条件下でのプロトン化状態を示す尺度を確立するために、タンパク質は、pH中性の非緩衝水に溶解可能であり、そのタンパク質の「自身の電荷」が測定されうる。次に、塩基性状態におけるタンパク質のプロトン化状態を示す尺度を確立するために、塩基性状態におけるタンパク質は、脱イオン水に溶解可能であり、塩基性状態におけるタンパク質の自身の電荷が測定されうる。塩基性状態におけるタンパク質は、pH中性条件における同等のタンパク質より陰性の自身の電荷を有するであろう。タンパク質の自身の電荷は、タンパク質の正味の電荷から全ての結合イオンの電荷を引いた電荷であり、タンパク質に関連するプロトンの数に相関している。自身の電荷は、Fogh-Andersen,N.,Bjerrum,P. J.,& Siggaard-Andersen,O.(1993).Ionic binding,net charge,and Donnan effect of human serum albumin as a function of pH. Clinical chemistry,39(1),48-52(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法に従って測定されうる。簡潔に述べると、タンパク質を溶液に溶解させ、全イオンの数と溶液中の遊離イオンの数との差を測定し(たとえば、フレーム発光測光法、原子吸光分光法、及びイオン滴定装置を用いて)、次に、電荷の中性条件を用いて、タンパク質の自身の電荷を決定することによって、自身の電荷を決定することができる。
塩基性状態におけるタンパク質(たとえば、血清アルブミン)が、それ自身の開始剤として作用して、多官能化ポリメリック組成物(たとえば、PEG(SS)2)との架橋をより容易に起こし、いくつかの場合には、粉末状塩基及び/又は塩基性緩衝剤などの個別の粉末状開始剤の非存在下でさえそうすることが、本開示に関して、実現され、観察された。
いくつかの実施形態では、タンパク質(たとえば、血清アルブミン)の比較的多くのリジン側鎖が、乾燥粉末状止血用組成物における非プロトン化(遊離アミン)状態にある。たとえば、いくつかの実施形態では、タンパク質の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は全てのリジン側鎖が、乾燥粉末状止血用組成物における非プロトン化状態にある。
いくつかの実施形態では、タンパク質を含む第2の成分は、その自身の開始剤として作用するように、選択、生成又は処理され、脱イオン水に溶解されると、比較的高い得られた溶液のpHを生じうる。第2の成分を脱イオン水に溶解させ、比較的高い得られた溶液のpHを生じることは、第2の成分の特性についてのスクリーニング試験であると考えられ、使用の際、第2の成分を含む乾燥粉末状止血用組成物が、血液などの、脱イオン水と異なる他のタイプの液体が存在する部位に適用されうることが理解されるべきである。タンパク質は、たとえば、乾燥粉末状止血用組成物中で塩基性状態であることによって(たとえば、少なくとも部分的な脱プロトン化によって)比較的高いpHを生じることが可能でありうる。タンパク質の少なくとも部分的な脱プロトン化は、脱イオン水に溶解すると、脱イオン水中のプロトン及び/又は水分子と反応して水酸化物イオンを生成し、それによって、比較的高いpHを生じうる、タンパク質の塩基性部分(たとえば、塩基性アミノ酸側鎖)を提供しうる。対照的に、プロトン化状態における比較的多い数の部分を有するタンパク質は、水中でより少ない水酸化物イオンを生成して(実際にはプロトンを生成しうる)、得られた溶液の比較的低いpHを生じうる。いくつかの実施形態では、第2の成分(たとえば、血清アルブミンなどのタンパク質の粒子を含む)は、脱イオン水に溶解されると、8以上、8.2以上、8.5以上、9以上、9.2以上、9.5以上、及び/又は10まで、10.5まで、11まで、又はそれ以上の、得られた溶液のpHを生じうる。第2の成分が、脱イオン水に溶解されると、上記の範囲内の得られた溶液のpHを生じうるかどうかを考慮する場合、加えられるタンパク質の量は、かかるpHを生じうる脱イオン水に溶解可能なタンパク質の量が存在する限り、規定される必要がないことが理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態では、脱イオン水への比較的少量の第2の成分の溶解は、上記の範囲内のpHを有する溶液を生成しうる。たとえば、いくつかの実施形態では、第2の成分は、脱イオン水に溶解されて、25重量/体積(w/v%)のタンパク質の得られた溶液を形成する場合、8以上、8.2以上、8.5以上、9以上、9.2以上、9.5以上、及び/又は最大10、最大10.5、最大11、又はそれ以上の、pHを有するかかる溶液を生成する。(以下により詳細に記載されるように)タンパク質を含む調製用水溶液から水を除去することによって乾燥粉末状組成物の第2の成分を調製する場合、タンパク質のプロトン化状態は、乾燥粉末状組成物中の第2の成分が、脱イオン水に溶解されると、各溶液中の第2の成分の同一の濃度を仮定して、調製用水溶液のpHと等しいpHを有する得られた溶液を生成するように、実質的に保存されうることが観察された。
乾燥粉末状組成物の第2の成分(たとえば、タンパク質の粉末状形態を含む)は、さまざまな方法のいずれかに従って調製されうる。いくつかのかかる方法は、タンパク質を少なくとも部分的に脱プロトン化するのを促進しうる。いくつかの実施形態では、タンパク質の少なくとも部分的に溶解された形態を含む調製用水溶液が提供される。たとえば、図8において、方法200は、タンパク質(たとえば、アルブミン)を水に少なくとも部分的に溶解させる工程210を含む。水は、脱イオン水でありうる。いくつかの実施形態では、25w/v%の量のタンパク質を含む得られた溶液が生成される。次に、図8の工程220に示されるように、少なくとも部分的に溶解されたタンパク質を含む得られる水のpHは、調整されて調製用水溶液を形成しうる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に溶解されたタンパク質を含む得られる水のpHは、8以上、8.2以上、8.5以上、9以上、9.2以上、9.5以上、及び/又は最大10、最大10.5、最大11、又はそれ以上のpHに調整される。pHは、たとえば、塩基を加えることによって、調整されうる。たとえば、水酸化ナトリウム(たとえば、1NのNaOH溶液として)が、pHを調整するために加えられうる。調製用水溶液のかかるpH調整は、タンパク質を少なくとも部分的に(又は完全に)脱プロトン化しうる。工程の別の順序が使用されうる。たとえば、いくつかの実施形態では、タンパク質を欠いた水が、比較的高いpH(たとえば、8以上、8.2以上、8.5以上、9以上、9.2以上、9.5以上、及び/又は最大10、最大10.5、最大11、又はそれ以上)で提供され、タンパク質は、比較的高いpHを有するその水に少なくとも部分的に溶解され、それによって、以上の記載の範囲の少なくとも1つにpHを維持するタンパク質の溶解形態を含む調製用水溶液を生成する。
いくつかの実施形態では、図8の工程230に示されるように、水が、タンパク質の少なくとも部分的に溶解された形態を含む調製用水溶液から除去され、それによって、タンパク質の固体形態を形成する。タンパク質の固体形態は、いくつかの実施形態では、さらに処理されて、タンパク質の粉末状形態を形成しうる。たとえば、タンパク質の固体形態は、粉砕されて、粉末を形成してもよく、これは、いくつかの場合には、粒子サイズ選択工程(たとえば、シービングによる)を経てもよい。
調製用水溶液から水を除去するための一方法は、調製用水溶液を凍結乾燥することによる。いくつかの実施形態では、調製用水溶液を凍結乾燥することは、調製用水溶液を、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40℃以下、及び/又は最小-50℃、又はそれ以下の温度を有する環境に曝すことを含む。いくつかの実施形態では、調製用水溶液を凍結乾燥することは、調製用水溶液を、100Pa以下、50Pa以下、40Pa以下、33Pa以下、又はそれ以下の圧力を有する減圧環境に曝すことを含む。これらの条件の組合せが可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、調製用水溶液を凍結乾燥することは、調製用水溶液を、-40℃の温度及び33Paの圧力を有する環境に曝すことを含む。水を除去する他の好適な方法としては、限定されるものではないが、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、乾燥など)が挙げられる。
タンパク質を少なくとも部分的に脱プロトン化することを含む以上の方法で生成されたタンパク質が、一般に、必ずしもではないが、新たなタンパク質構造をもたらすか又は溶液中で観察されるタンパク質の構造の分布(たとえば、モノマー、二量体など)を変化させることが、本開示に関して観察された(たとえば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)実験によって)。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、0.5gの組成物が1.0mLの0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水に暴露されると、第1の成分及び第2の成分の架橋が開始されて、比較的低い表面pHを有する止血用ハイドロゲルを形成するように提供される。かかる組成物は、同一の条件下で、比較的高い表面pHを有する止血用ハイドロゲルを生成する特定の組成物と対比されうる。たとえば、いくつかの実施形態では、比較的多量の塩基及び/又は塩基性緩衝剤(たとえば、粉末状塩基性塩又は粉末状塩基性緩衝塩、たとえば重炭酸ナトリウムとして存在する)は、得られるハイドロゲルが比較的高い表面pHを有するように組成物中に存在しうる。(たとえば、少なくとも部分的な脱プロトン化のため)塩基性状態におけるタンパク質が第2の成分中で又は第2の成分として提供されるいくつかの実施形態では、及び/又は塩基性緩衝剤の添加は、これらの条件下で比較的低いpHを有しうる止血用ハイドロゲルをもたらす十分な架橋及びハイドロゲル形成のために不要でありうる(又は減少されうる)。いくつかの実施形態では、0.5gの組成物が1.0mLの0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水に暴露されると、第1の成分及び第2の成分の架橋が開始されて、7.5以下、7.2以下、7以下、6.5以下、6.2以下、6以下、及び/又は最小5.5、最小5、又はそれ以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルを形成する。
いくつかの態様では、キットが提供される。いくつかの実施形態では、キットは、任意に、他の成分、又は、代わりに、以上及び以下に記載の乾燥粉末状架橋性止血用組成物のいずれかが形成されうる成分と共に、以上に記載の乾燥粉末状架橋性止血用組成物のいずれかを含有する。たとえば、キットは、求電子基(たとえば、PEG(SS)2)を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分を含みうる。キットは、タンパク質(たとえば、開始剤として作用する基-たとえば除タンパクされたアミン基を含むように処理されていてもよい)を含む第2の成分を含みうる。個別の架橋開始剤が存在するいくつかの実施形態では、キットは、架橋開始剤(たとえば、第3の成分として単離されるか、及び/又は第2の成分又は第1の成分の部分と混合されるか若しくはそのような部分を形成するなど)を含みうる。いくつかの実施形態では、第1の成分及び第2の成分は、個別にパッケージされる。たとえば、第1の成分は、第1の個別の乾燥粉末としてキット中に存在してもよく、第2の成分は、第2の個別の乾燥粉末としてキット中に存在してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の成分及び第2の成分は、ブレンドされた混合物としてパッケージされる。個別のパッケージングは、第1の成分及び第2の成分が、たとえば、周囲湿度に暴露されると、第1の成分と第2の成分との間の反応を回避することによって、ブレンドされた混合物としてパッケージされるキット中より比較的長い貯蔵期間を促進しうる。第3の成分としての粉末状開始剤を含むキットでは、かかる第3の成分は、個別にパッケージされ、第2の成分と混合されるか若しくは第1の成分と混合されてもよく、又は3つ全ての成分が、一緒に混合されうる。いくつかの実施形態では、キットは、説明書(たとえば、第1の成分及び/又は第2の成分を出血/創傷部位に適用して止血用ハイドロゲルを形成するための説明書)を含み、以下に記載されるタンポナーデなどの他の構成要素を含みうる。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、全乾燥粉末状組成物(すなわち、提供される際に物理的に混合されているか否かにかかわらず、両方の成分の総重量を考える)の、20wt.%以上40wt.%以下の量の第1の成分(たとえば、PEG(SS)2を含む)及び60wt.%以上80wt.%以下の量の第2の成分(たとえば、血清アルブミンなどの少なくとも部分的にプロトン化されたタンパク質を含む)を含む。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、全乾燥粉末状組成物の、25wt.%以上35wt.%以下の量の第1の成分(たとえば、PEG(SS)2を含む)及び65wt.%以上75wt.%以下の量の第2の成分(たとえば、血清アルブミンなどの少なくとも部分的にプロトン化されたタンパク質を含む)を含む。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、全乾燥粉末状組成物の、26wt.%以上28wt.%以下の量の第1の成分(たとえば、PEG(SS)2を含む)及び72wt.%以上74wt.%以下の量の第2の成分(たとえば、血清アルブミンなどの少なくとも部分的にプロトン化されたタンパク質を含む)を含む。いくつかのかかる実施形態では、乾燥粉末状組成物は、粉末状塩基性塩及び/又は粉末状塩基性緩衝剤(たとえば、粉末状重炭酸ナトリウム)を含まない。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、タンパク質脱プロトン化/pH調整工程に起因する残量の固体塩を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、全乾燥粉末状組成物の0.5wt.%以下、0.4wt.%以下、0.3wt.%以下及び最小0.01wt.%の量の、タンパク質脱プロトン化/pH調整工程に起因する固体塩を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質脱プロトン化/pH調整工程に起因する固体は、水酸化ナトリウムなどの塩基を含む。いくつかのかかる実施形態では、タンパク質脱プロトン化/pH調整工程に起因する固体の量は、タンパク質の固体形態を形成するための水の除去の前にpHを調整するために、少なくとも部分的に溶解されたタンパク質を含む水に加えられる塩基(たとえば、NaOH)の既知の量を反映する(及びそれから計算される)。加えられる塩基(たとえば、NaOH)の一部(又は全て)が、溶液中のタンパク質と反応しうる(たとえば、タンパク質を少なくとも部分的に脱プロトン化する中和反応において)ことが理解されるべきである。したがって、タンパク質の固体形態を含む得られる第2の成分は、無傷のイオン結合された固体塩基性塩(たとえば、NaOH)を文字通り含有せず、むしろ対応する反応生成物(たとえば、対アニオンに結合されたナトリウムイオン)を含有しうる。しかしながら、一部の無傷の塩基性塩(たとえば、NaOH粉末)は、モル過剰の塩基が、溶液中のタンパク質の酸性プロトンに対して加えられる場合に存在しうる。
ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末止血剤は、タンパク質を含む第2の成分との組合せで、質量重量パーセント単位のさまざまな好適量のいずれかで多官能化(たとえば、2官能化)求電子性ポリメリックな第1の成分(たとえば、PEG(SS)2などの多官能化ポリメリック組成物を含む第1の乾燥粉末)の混合物を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)は、合計混合物の15wt.%以上、20wt.%以上、25wt.%以上、30wt.%以上、又は35wt.%以上の量の第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)を含む。ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)は、合計混合物の40wt.%以下、35wt.%以下、30wt.%以下、25wt.%以下、又は20wt.%以下の量の第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、乾燥粉末混合物は、合計混合物の15wt.%以上40wt.%以下の量の第1の成分を含み、乾燥粉末混合物は、合計混合物の20wt.%以上25wt.%以下の量の第1の成分を含む)。
ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)の第2の成分は、質量重量パーセント単位のさまざまな好適量のいずれかでタンパク質(たとえばアルブミン)を含みうる。たとえば、ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)は、合計混合物の20wt.%以上、25wt.%以上、30wt.%以上、35wt.%以上、40wt.%以上、45wt.%以上、50wt.%以上、55wt.%以上、又は60wt.%以上の量のタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば、乾燥粉末混合物)は、合計混合物の80wt.%以下、75wt.%以下、70wt.%以下、65wt.%以下、60wt.%以下、55wt.%以下、50wt.%以下、45wt.%以下、40wt.%以下、35wt.%以下、30wt.%以下、又は25wt.%以下の量のタンパク質を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、乾燥粉末混合物は、合計混合物の60wt.%以上80wt.%以下の量のタンパク質を含、み、乾燥粉末混合物は、合計混合物の65wt.%以上75wt.%以下の量のタンパク質を含む)。ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末組成物は、血液に適用したとき、追加のタンパク質(たとえばアルブミン)及び/又は血中細胞成分の存在に起因して乾燥粉末組成物を他の媒体(たとえば生理食塩水)に適用したときと比較して、より少量のタンパク質を必要としうる。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば、乾燥粉末混合物)の第2の成分は、第2の成分の質量基準で20wt.%以上、25wt.%以上、30wt.%以上、35wt.%以上、40wt.%以上、45wt.%以上、50wt.%以上、55wt.%以上、60wt.%以上、65wt.%以上、70wt.%以上、75wt.%以上、80wt.%以上、85wt.%以上、90wt.%以上、95wt.%以上、98wt.%以上、99wt.%以上、99.8wt.%以上、又はそれ以上の量のタンパク質(たとえば、アルブミン)を含む。いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば、乾燥粉末混合物)の第2の成分は、第2の成分の質量基準で99.9wt.%以下、99.8wt.%以下、99wt.%以下、98wt.%以下、95wt.%以下、90wt.%以下、85wt.%以下、65wt.%以下、60wt.%以下、55wt.%以下、50wt.%以下、45wt.%以下、40wt.%以下、35wt.%以下、30wt.%以下、又は25wt.%以下の量のタンパク質(たとえば、アルブミン)を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、第2の成分は、第2の成分の質量基準で20wt.%以上99.9wt.%以下の量のタンパク質を含み、乾燥粉末混合物は、第2の成分の質量基準で40wt.%以上90wt.%以下の量のタンパク質を含む)。
いくつかの実施形態によれば、第2の成分は、ある特定の粒子サイズ分布及び/又はある特定の粒子サイズを有する粒子から本質的になるタンパク質を含む。本明細書で用いられる場合、「ある特定の粒子サイズ分布を有する粒子から本質的になる」という語句は、粒子の80wt.%以上が明記された粒子サイズ範囲内に含まれることを意味する。ある特定の場合には、粒子の90wt.%以上、95wt.%以上、98wt.%以上、99wt.%以上、又は99.9wt.%以上は、明記された粒子サイズ範囲内に含まれる。同様に、「ある特定の粒子サイズを有する粒子から本質的になる」とは、粒子の80wt.%以上が明記された粒子サイズ±20%の範囲内に含まれることを意味する。ある特定の場合には、90wt.%以上、95wt.%以上、98wt.%以上、99wt.%以上、又は99.9wt.%以上は、明記された粒子サイズ±20%の範囲内に含まれる。また同様に、「ある特定の粒子サイズを超えない粒子から本質的になる」又は「少なくともある特定の粒子サイズを有する粒子から本質的になる」とは、粒子の80wt.%以上が、それぞれ、少なくとも明記された粒子サイズのサイズを超えない又はそのサイズを有することを意味する。ある特定の場合には、粒子の90wt.%以上、95wt.%以上、98wt.%以上、99wt.%以上、又は99.9wt.%以上は、それぞれ、少なくとも明記された粒子サイズ超えないか又はそのサイズを有する。
ある特定の実施形態では、タンパク質粒子は実質的に球状であり、且つ粒子サイズは最大断面粒子直径である。しかしながら、他の粒子形状もまた可能である。理論により拘束されることを望むものではないが、いくつかの実施形態では、乾燥粉末状組成物の架橋に要する測定時間及び/又は架橋度は、タンパク質の粒子サイズに依存しうる。それゆえ、ある特定の態様では、以下でより詳細に説明されるように、出血/創傷部位に適用したときの乾燥粉末状組成物の架橋に要する時間及び/又は架橋の程度を制御するために、ある特定の粒子サイズ範囲内の粒子から本質的になるタンパク質を採用することが有利でありうる。
ある特定の実施形態では、タンパク質粒子は、ある特定のシーブ/フィルターカットオフサイズ超及び未満のターゲット粒子を分離するために、当業者に公知の方法を用いて、たとえば、シーブ及び/又はフィルターを用いて、粒子サイズ(たとえば最大粒子直径)により分離されうる。いくつかの実施形態では、シーブ分離タンパク質粒子サイズは、動的光散乱(DLS)、透過電子顕微鏡法(TEM)、走査電子顕微鏡法(SEM)などの分光学的技術を用いてさらに測定されうる。いくつかの態様では、分光学的技術は、シーブ及び/又はフィルターを用いて分離された粒子の粒子サイズを補充及び/又は確認するために使用されうる。
タンパク質粒子は、さまざまな好適な粒子サイズのいずれかを有しうる。ある特定の実施形態では、たとえば、タンパク質は、50マイクロメートル以上、100マイクロメートル以上、150マイクロメートル以上、200マイクロメートル以上、250マイクロメートル以上、300マイクロメートル以上、350マイクロメートル以上、400マイクロメートル以上、450マイクロメートル以上、又は500マイクロメートル以上の粒子サイズを有する粒子から本質的になる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、600マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、450マイクロメートル以下、400マイクロメートル以下、350マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、250マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、又は100マイクロメートル以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になる。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、タンパク質は、50マイクロメートル以上600マイクロメートル以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になり、タンパク質は、100マイクロメートル以上250マイクロメートル以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になるなど)。
ある特定の実施形態では、第2の成分は、ある特定のバルク又はタップ粒子密度(たとえばタップ粒子密度)を有する複数の粒子を含むタンパク質を含む。理論により拘束されることを望むものではないが、いくつかの実施形態では、乾燥粉末状組成物の架橋に要する測定時間及び架橋度は、タンパク質の粒子密度(たとえばタップ粒子密度)に依存しうる。それゆえ、ある特定の態様では、以下でより詳細に説明されるように、出血/創傷部位に適用したときの乾燥粉末状組成物の架橋に要する時間又は架橋度を制御するために、ある特定の粒子密度(たとえばタップ粒子密度)を有するタンパク質を含む組成物を採用することが有利でありうる。
いくつかの実施形態では、ある特定の粒子密度を有するタンパク質を含む組成物を採用することは、乾燥粉末状組成物の架橋に要する時間の制御のほか、さらなる利点を有しうる。いくつかの態様では、たとえば、ある特定の粒子密度を有するタンパク質を含む組成物を利用することは、乾燥粉末状組成物が血液の表面張力を破壊し、血液層を透過し、そして下側組織に接着するのに要する時間に影響を及ぼしうる。いくつかの実施形態では、たとえば、より高い粒子密度を有するタンパク質は、より低い粒子密度を有するタンパク質よりも急速に、血液の表面張力を破壊し、血液層を透過し、そして下側組織に接着する。
いくつかの実施形態によれば、タンパク質の粒子密度は、当業者に公知の方法を用いて測定されうる。たとえば、本明細書で参照される粒子密度は、タップ密度法を用いて決定される。具体的には、本明細書で行われる測定では、タップ密度測定は次のように行われる。すなわち、0.1mgまで読み取る能力のある標準的分析天秤を用いてタンパク質の質量を測定する。たとえば、分析天秤であらかじめ風袋測定された0.1mlまで読み取る能力のある校正された10mlメスシリンダー(たとえば、Pyrex No.3022)に6.0ml超の体積のタンパク質を添加することにより、タンパク質の質量を測定しうる。次いで、メスシリンダー中のタンパク質のパッキング密度を増加させるために、タンパク質の体積がタップ間で0.1mLを超えて変化しなくなるまで、タンパク質を含有するメスシリンダーの底をフラット表面に対して繰返し「タップ」し、そして測定質量を測定体積で除算することによりタップ密度を決定する。
ある特定の実施形態では、タンパク質の粒子密度は制御可能である。いくつかの実施形態では、たとえば、タンパク質の粒子密度は、異なる濃度のタンパク質の溶液を凍結乾燥させることにより変化させうる。たとえば、いくつかの実施形態では、タンパク質の出発材料の粒子密度は、以上に記載のように決定されうるとともに、タンパク質の溶液は可溶化されて、出発材料の粒子密度とは異なる粒子密度を提供するように凍結乾燥される。ある特定の実施形態では、凍結乾燥後のタンパク質の粒子密度は、好ましくはタンパク質出発材料の粒子密度未満である。最終的な凍結乾燥後の密度は、凍結乾燥される溶液中のタンパク質の濃度を制御することにより、少なくとも部分的に制御可能である。いくつかの実施形態では、たとえば、より高濃度の溶液は、より低濃度の溶液と比較してより高い凍結乾燥後の密度をもたらす。いくつかの実施形態では、凍結乾燥後の密度は、タンパク質出発材料の粒子密度よりも小さい。ある特定の他の実施形態では、凍結乾燥後の密度は、タンパク質出発材料の粒子密度よりも大きい。出発材料の粒子密度よりも大きい凍結乾燥後の粒子密度は、いくつかの実施形態では、低粒子密度(たとえば0.30g/ml未満)を有する高濃度の出発材料を含有する溶液を凍結乾燥することにより得られうる。いくつかの実施形態では、タンパク質出発材料の粒子密度は、タンパク質出発材料をローラーコンパクト化及びグラニュレート化(granulated)するにより増加されうる。ある特定の実施形態では、タンパク質を含む第2の成分をローラーコンパクト化することにより、タンパク質の粒子密度を増加させることが有利でありうる。いくつかのかかる場合には、タンパク質は、架橋開始剤(たとえば、個別の塩基又は塩基性緩衝剤)と一緒にローラーコンパクト化される。
タンパク質粒子は、さまざまな好適な粒子密度のいずれか(たとえばタップ粒子密度)を有しうる。たとえば、ある特定の実施形態では、タンパク質は、0.30g/ml以上、0.35g/ml以上、0.40g/ml以上、0.45g/ml以上、0.50g/ml以上、0.55g/ml以上、0.60g/ml以上、0.65g/ml以上、0.70g/ml以上、又は0.75g/ml以上の粒子密度を有する複数の粒子を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、0.80g/ml以下、0.75g/ml以下、0.70g/ml以下、0.65g/ml以下、0.60g/ml以下、0.50g/ml以下、0.45g/ml以下、0.40g/ml以下、又は0.35g/ml以下の粒子密度を有する複数の粒子を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、タンパク質は、0.30g/ml以上0.80g/ml以下の粒子密度を有する複数の粒子を含み、タンパク質は、0.35g/ml以上0.45g/ml以下の粒子密度を有する複数の粒子を含む)。
具体的な非限定的実施形態では、乾燥粉末組成物は、0.60g/mL以上0.70g/mL以下のタップ粒子密度を有する凍結乾燥ウシ血清アルブミンを含む。別の具体的な非限定的実施形態では、乾燥粉末組成物は、0.20g/mL以上0.40g/mL以下の粒子密度を有する凍結乾燥ウシ血清アルブミンを含む。別の具体的な非限定的実施形態では、乾燥粉末組成物は、0.20g/mL以上0.40g/mL以下の粒子密度を有する凍結乾燥ヒト血清アルブミンを含む。
ある特定の実施形態によれば、式G-LM-PEG-LM-G、I-(-X-LM-G)、又はI-(LM-G)により記述可能な多官能化ポリメリック組成物は、タンパク質に関して以上に記載したように決定されうるさまざまな好適な粒子サイズ及び/又は粒子密度(たとえばタップ粒子密度)のいずれかを有する複数の粒子を含む。
いくつかの実施形態では、式G-LM-PEG-LM-G、I-(-X-LM-G)、及び/又はI-(LM-G)により記述可能な多官能化ポリメリック組成物(たとえば、PEG(SS)2、PEG(SG4)、PEG(SG)42LA、及び/又は本明細書に記載の第1の成分の求電子性組成物の他のいずれか(まとめて「多官能化ポリメリック組成物」))は、10マイクロメートル以上、50マイクロメートル以上、100マイクロメートル以上、150マイクロメートル以上、200マイクロメートル以上、250マイクロメートル以上、300マイクロメートル以上、350マイクロメートル以上、400マイクロメートル以上、450マイクロメートル以上、500マイクロメートル以上、又は550マイクロメートル以上の粒子サイズを有する複数の粒子を含む。ある特定の実施形態では、求電子性官能化PEG多官能化ポリメリック組成物は、600マイクロメートル以下、550マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、450マイクロメートル以下、400マイクロメートル以下、350マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、250マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、100マイクロメートル以下、又は50マイクロメートル以下の粒子サイズを有する複数の粒子を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、多官能化ポリメリック組成物は、10マイクロメートル以上600マイクロメートル以下の粒子サイズを有する複数の粒子を含み、多官能化ポリメリック組成物は、200マイクロメートル以上300マイクロメートル以下の粒子サイズを有する複数の粒子を含む)。
ある特定の実施形態では、多官能化ポリメリック組成物は、0.20g/mL以上、0.25g/mL以上、0.30g/mL以上、0.35g/mL以上、0.40g/mL以上、0.45g/mL以上、0.50g/mL以上、又は0.55g/mL以上の粒子密度(たとえばタップ粒子密度)を有する複数の粒子を含む。いくつかの実施形態では、多官能化ポリメリック組成物は、0.60g/mL以下、0.55g/mL以下、0.50g/mL以下、0.45g/mL以下、0.40g/mL以下、0.35g/mL以下、0.30g/mL以下、又は0.25g/mL以下の粒子密度(たとえばタップ粒子密度)を有する複数の粒子を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、多官能化ポリメリック組成物は、0.20g/mL以上0.60g/mL以下の粒子密度を有する複数の粒子を含み、多官能化ポリメリック組成物は、0.25g/mL以上0.35g/mL以下の粒子密度を有する複数の粒子を含む)。
いくつかの実施形態によれば、架橋開始剤(たとえば塩基性塩又は塩基性緩衝塩、たとえば重炭酸ナトリウム又はリン酸二ナトリウムなど)は、タンパク質に関して以上に記載したように決定されうるさまざまな好適な粒子サイズ及び/又は粒子密度(たとえば、タップ粒子密度)のいずれかを有する複数の粒子を含む。
ある特定の実施形態では、架橋開始剤は、20マイクロメートル以上、50マイクロメートル以上、100マイクロメートル以上、150マイクロメートル以上、200マイクロメートル以上、250マイクロメートル以上の粒子サイズを有する複数の粒子を含む。いくつかの実施形態では、架橋開始剤は、300マイクロメートル以下、250マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、100マイクロメートル以下、又は50マイクロメートル以下の粒子サイズを有する複数の粒子を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、架橋開始剤は、20マイクロメートル以上300マイクロメートル以下の粒子サイズを有する複数の粒子を含み、架橋開始剤は、50マイクロメートル以上100マイクロメートル以下の粒子サイズを有する複数の粒子を含む)。
いくつかの実施形態では、架橋開始剤は、0.50g/mL以上、0.60g/mL以上、0.70g/mL以上、0.80g/mL以上、0.90g/mL以上、1.00g/mL以上、1.10g/mL以上、1.20g/mL以上、1.30g/mL以上、又は1.40g/mL以上の粒子密度(たとえばタップ粒子密度)を有する複数の粒子を含む。ある特定の実施形態では、架橋開始剤は、1.50g/mL以下、1.40g/mL以下、1.30g/mL以下、1.20g/mL以下、1.10g/mL以下、1.00g/mL以下、0.90g/mL以下、0.80g/mL以下、0.70g/mL以下、又は0.60g/mL以下の粒子密度(たとえばタップ粒子密度)を有する複数の粒子を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、架橋開始剤は、0.50g/mL以上1.50g/mL以下の粒子密度を有する複数の粒子を含み、架橋開始剤は、0.90g/mL以上1.20g/mL以下の粒子密度を有する複数の粒子を含む)。
乾燥粉末組成物の第2の成分(たとえば、乾燥粉末混合物の第2の粉末)が架橋開始剤として塩基又は塩基性緩衝剤(たとえば重炭酸ナトリウム)をさらに含む実施形態では、かかる塩基又は塩基性緩衝剤は、いずれかの好適量で存在しうる。理論により拘束されることを望むものではないが、塩基又は塩基性緩衝剤の量は、以下でより詳細に説明される乾燥粉末状組成物の架橋に要する測定時間などの乾燥粉末組成物の反応性に影響を及ぼしうる。それゆえ、ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用したときに止血を早めたり遅らせたりするように塩基又は塩基性緩衝剤の量を選択することが有利でありうる。
乾燥粉末組成物は、さまざまな好適量のいずれかで塩基性緩衝剤の塩基を含みうる。たとえば、ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)の第2の成分は、1wt.%以上、5wt.%以上、10wt.%以上、15wt.%以上、20wt.%以上、25wt.%以上、30wt.%以上、35wt.%以上、又は40wt.%以上の量で塩基性架橋開始剤を含む。ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)の第2の成分は、45wt.%以下、40wt.%以下、35wt.%以下、30wt.%以下、25wt.%以下、20wt.%以下、15wt.%以下、10wt.%以下、又は5wt.%以下の量で塩基性架橋開始剤を含む。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、乾燥粉末混合物は、1wt.%以上45wt.%以下の量で塩基性架橋開始剤を含み、乾燥粉末混合物は、25wt.%以上35wt.%以下の量で架橋開始剤を含む)。
具体的な非限定的実施形態によれば、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)は、PEG(SS)2を含む第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)と、アルブミンと重炭酸ナトリウムとを含む第2の成分(たとえば第2の乾燥粉末)と、を含み、PEG(SS)2、アルブミン、及び重炭酸ナトリウムは、それぞれ、1:2:1.3の質量比である(たとえば、23質量wt.%のPEG(SS)2、47質量wt.%のアルブミン、及び30質量wt.%の重炭酸ナトリウム)。
ある特定の実施形態では、本明細書で使用される第1の成分(たとえば、PEG(SS)2などの第1の乾燥粉末)及び/又は第2の成分(たとえば、アルブミンなどの第2の乾燥粉末)は、マイクロスケールの数平均粒子サイズ(たとえば平均断面最大粒子直径)を有しうる。いくつかの実施形態では、第1の成分及び/又は第2の成分は、1マイクロメートル~1000マイクロメートルの範囲内の数平均粒子サイズ(たとえば数平均粒子直径)を有する粉末を含みうる。いくつかの実施形態では、第1の成分及び/又は第2の成分は、10マイクロメートル~500マイクロメートルの範囲内の数平均粒子サイズ(たとえば数平均粒子直径)を有する粉末を含みうる。第1の成分及び/又は第2の成分の数平均粒子サイズは、以上に記載のように、DLS、SEM、及び/又はTEMなどの分光学的技術を用いて決定されうる。
以上に記載の実施形態のいずれでも、乾燥粉末架橋性止血剤組成物(たとえば乾燥粉末架橋性止血剤混合物)は、各種目的の他の活性剤又は成分、たとえば、追加の血液吸収を可能にする架橋ゼラチンやデンプン粒子などのバイオ材料、血液凝固を加速するトロンビンなどの生物製剤、又はさまざまな好適な抗微生物剤のいずれかを含みうる。
乾燥粉末組成物の架橋に要する時間は、乾燥粉末を出血/創傷部位に適用したときにどれほど速く組成物が止血用ハイドロゲルを形成するかを決定しうる。出血/創傷部位に適用したときに止血を急速に促進するように、乾燥粉末状組成物を実質的に短時間で架橋させることが有益でありうる。いくつかの態様では、出血/創傷部位の位置及び/又は患者の状態に依存して、止血用ハイドロゲルの形成を遅らせることが有益でありうる。本明細書で用いられる「測定架橋時間」は、次のように全血又は0.9%通常生理食塩水溶液のどちらかの入ったバイアルに乾燥粉末組成物を最初に適用することにより決定させる。すなわち、60RPMに調整された撹拌プレート上の3mm×12.7mm VWR(商標)ブランドYellow Micro Stir Barを含有する15.5mm×50mm Fisherbrand(商標)Vialに、37℃で33マイクロリットルの0.2M CaClと共に631マイクロリットルの全血又は664マイクロリットルの0.9%通常生理食塩水のどちらかを添加し、これに166mgの乾燥粉末組成物を添加し(粉末がバイアルの側面に固着するのを防止する必要があれば軽くシェイクする)、乾燥粉末組成物を添加したら開始時間(T)を記録して、ゲル化により撹拌子の回転が停止したときに又はゲル化が発生したときに(明らかな稠性(consistency)の変化により示唆される)タイマーを停止する(Tで)。撹拌子は、完全停止に至らせてはならない。明らかな稠性の変化を伴うことなく3分間を超えて撹拌子が動作し続けた場合、「>3分間」の時間を記録するが、オペレーターがゲル形成の指標となる明らかな稠性の変化を観測した場合、いずれの場合も撹拌子を完全に停止させてはならないとしても、かかる観測時間を記録して試験を中止する。測定架橋時間は、タイマーを停止した時間から開始時間を引いた時間である。
乾燥粉末組成物は、さまざまな好適な測定架橋時間のいずれかを有しうる。いくつかの実施形態では、たとえば、乾燥粉末組成物は、15秒間以上、50秒間以上、100秒間以上、150秒間以上、200秒間以上、250秒間以上、300秒間以上、350秒間以上、400秒間以上、又は450秒間以上の測定架橋時間を有しうる。ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物は、500秒間以下、450秒間以下、400秒間以下、350秒間以下、300秒間以下、250秒間以下、200秒間以下、150秒間以下、130秒間以下、100秒間以下、又は50秒間以下の測定架橋時間を有しうる。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、乾燥粉末組成物は、15秒間以上600秒間以下の測定架橋時間を有してもよく、乾燥粉末組成物は、15秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有してもよく、乾燥粉末組成物は、15秒間以上130秒間以下の測定架橋時間を有しうる)。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物の測定架橋時間は、タンパク質のタイプ及び/又はタンパク質源に依存しうる。たとえば、タンパク質がアルブミンを含むとき、測定架橋時間は、アルブミン源に依存しうる。ある特定の非限定的実施形態では、たとえば、タンパク質はウシ血清アルブミンを含み、且つ測定架橋時間は30秒間以上50秒間以下である。他の非限定的一実施形態では、タンパク質はヒト血清アルブミンを含み、且つ測定架橋時間は40秒間超60秒間未満である。さらに他の非限定的一実施形態では、タンパク質は組換えヒトアルブミンを含みうるとともに、測定架橋時間は30秒間以上70秒間以下である。
ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物の測定架橋時間は、乾燥粉末組成物である媒体に依存しうる。たとえば、いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物の測定架橋時間は、全血と混合したときに通常生理食塩水(すなわち脱イオン水中0.90%w/vNaCl)と比較して異なる。いくつかの実施形態では、たとえば、乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに15秒間以上、50秒間以上、又は100秒間以上の測定架橋時間を有する。ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに150秒間以下、100秒間以下、又は50秒間以下の測定架橋時間を有する。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、乾燥粉末は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに15秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有し、乾燥粉末は、乾燥粉末を血液に添加したときに50秒間以上100秒間以下の架橋時間を有する)。ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末組成物は、他の媒体(たとえば生理食塩水)と比較して、追加のタンパク質(たとえばアルブミン)及び/又は血中細胞成分の存在に起因して、血液中で実質的により速い速度で架橋しうる。
ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末組成物は、組成物を通常生理食塩水に添加したときに15秒間以上、50秒間以上、100秒間以上、150秒間以上、又は200秒間以上の測定架橋時間を有する。いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに250秒間以下、200秒間以下、150秒間以下、100秒間以下、又は50秒間以下の架橋時間を有する。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに15秒間以上250秒間以下の測定架橋時間を有し、乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに50秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有する)。
以上に説明したように、乾燥粉末組成物の測定架橋時間は、乾燥粉末組成物の反応性粉末(たとえば、粒子サイズ及び/又は粒子密度)のある特定の性質により影響されうる。たとえば、いくつかの実施形態では、タンパク質は、100マイクロメートル以上、150マイクロメートル以上、又は200マイクロメートル以上の粒子サイズを有する粒子から本質的になり、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに15秒間以上75秒間以下又は他の実施形態では75秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有しうる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、250マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、又は150マイクロメートル以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になり、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに15秒間以上75秒間以下の測定架橋時間を有する。
いくつかの実施形態では、タンパク質は、100マイクロメートル以上、150マイクロメートル以上、又は200マイクロメートル以上の粒子サイズを有する粒子をから本質的になり、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに15秒間以上100秒間以下又は他の実施形態では100秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有する。いくつかの実施形態では、タンパク質は、250マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、又は150マイクロメートル以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になり、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに15秒間以上75秒間以下の測定架橋時間を有する。
ある特定の実施形態では、タンパク質は、0.35g/mL以上、又は0.40g/mL以上、又は0.50g/mL超、又は0.60g/mL超のタップ粒子密度を有する複数の粒子を含み、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに15秒間以上75秒間以下又は他の実施形態では75秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有しうる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、0.45g/mL以下又は0.40g/mL以下のタップ粒子密度を有する複数の粒子を含み、且つ組成物は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに15秒間以上75秒間以下又は他の実施形態では75秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有しうる。
いくつかの実施形態では、タンパク質は、0.35g/mL以上、又は0.40g/mL以上、又は0.50g/mL超、又は0.60g/mL超のタップ粒子密度を有する複数の粒子を含み、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに15秒間以上100秒間以下又は他の実施形態では100秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有しうる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、0.45g/mL以下又は0.40g/mL以下のタップ粒子密度を有する複数の粒子を含み、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに15秒間以上100秒間以下又は他の実施形態では100秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有しうる。
ある特定の場合には、乾燥粉末組成物の測定架橋時間は、塩基又は塩基性緩衝剤の相対量により影響されうる。たとえば、ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物は、架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)を含みうるとともに、架橋開始剤の量は、溶液のpH値の変化に起因して各種媒体(たとえば、血液溶液、生理食塩水溶液)中での組成物の架橋に要する時間に影響を及ぼしうる。いくつかの実施形態では、乾燥粉末は、質量基準で1wt.%以上、5wt.%以上、10wt.%以上、15wt.%以上、20wt.%以上、25wt.%以上、30wt.%以上、35wt.%以上、又は40wt.%以上の塩基又は塩基性緩衝剤を含み、且つ組成物は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに15秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有する。いくつかの実施形態では、乾燥粉末は、質量基準で45wt.%以下、40wt.%以下、35wt.%以下、30wt.%以下、25wt.%以下、20wt.%以下、15wt.%以下、10wt.%以下、又は1wt.%以下の塩基又は塩基性緩衝剤を含み、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を全血に添加したときに15秒間以上150秒間以下の測定架橋時間を有する。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物は、質量基準で1wt.%以上、5wt.%以上、10wt.%以上、15wt.%以上、20wt.%以上、25wt.%以上、30wt.%以上、35wt.%以上、又は40wt.%以上の塩基又は塩基性緩衝剤を含み、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに15秒間以上250秒間以下又は他の実施形態では250秒間以上400秒間以下の測定架橋時間を有する。いくつかの実施形態では、乾燥粉末組成物は、45wt.%以下、40wt.%以下、35wt.%以下、30wt.%以下、25wt.%以下、20wt.%以下、15wt.%以下、質量基準で10wt.%以下、又は1wt.%以下の塩基又は塩基性緩衝剤を含み、且つ乾燥粉末組成物は、乾燥粉末組成物を通常生理食塩水に添加したときに15秒間以上250秒間以下の測定架橋時間を有する。
また、本明細書には、必ずしも限定されものとは限らないが以上に記載の止血用材料を採用しうる出血を抑える方法が開示される。たとえば、いくつかの実施形態では、本方法は、出血/創傷部位(たとえば出血組織)に以上に記載の架橋性乾燥粉末成分のいずれかを適用することを含む。ある特定の実施形態では、出血/創傷部位の水性液体に暴露されると、架橋性乾燥粉末は、架橋して出血/創傷部位での出血を停止及び/又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルを形成する。
たとえば、図1は、乾燥粉末状混合物を用いて止血用ハイドロゲルを形成する模範的方法の工程を示す。方法100では、工程110は、第1の成分(たとえば第1の乾燥粉末)と第2の成分(たとえば第2の乾燥粉末)とを混ぜて乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)を形成することを含む。工程120は、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)を出血/創傷部位に適用することを含み、且つ工程130は、出血/創傷部位の水性液体への暴露により乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)を架橋させて止血用ハイドロゲルにすることを含み、この止血用ハイドロゲルは、出血/創傷部位での出血を停止及び/又は低減する能力がある。乾燥粉末状止血用組成物は、単一粉末混合物として出血/創傷部位に適用されうる。代替的に(描かれていない)、いくつかの実施形態では、第1の成分及び第2の成分(たとえば、第1の成分を含む第1の粉末及び第2の成分を含む第2の粉末)、及び任意の第3の成分(たとえば粉末状開始剤)は、個別にパッケージされる場合、粉末混合物を事前に形成することなく個別に出血/創傷部位に個別に(同時に又は逐次)適用される。
止血用ハイドロゲル(たとえば、出血/創傷部位への乾燥粉末組成物の適用から生じる)は、いくつかの実施形態では、Rheolution, Inc. (Montreal, Quebec, Canada)製のElastoSens(商標)Bio2機器を用いて、1つ以上の測定粘弾性により特徴付けられうる。ある特定の実施形態では、たとえば、ElastoSens(商標)Bio2機器は、たとえば、剪断弾性率(G’)、ゲル化速度(dG’/t)、及び/又は他の関連粘弾性を測定するために使用されうる。いくつかの実施形態では、剪断弾性率(G’)は、乾燥粉末組成物が流体と水和して重合する時間の関数として測定されうる。いくつかの実施形態では、止血用ハイドロゲルは、出血/創傷部位への適用後の止血用ハイドロゲルの弾性変形を防止又は低減するように十分に大きな剪断弾性率を有することが有益でありうる。ある特定の実施形態では、止血用ハイドロゲルは、乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用したときに止血を急速に促進するように十分に速いゲル化速度を有することが有益でありうる。
ElastoSens(商標)Bio2機器は、以下の手順に従って操作されうる。最初に、提供されたプラスチック校正インサート及び関連機器ソフトウェア(ElastoView(商標)version 18.12)を用いて標準的校正手順に従ってElastoSens(商標)Bio2機器を校正する(たとえば各使用日)。次いで、校正後、サンプルホルダーを37℃のインキュベーター上に20分間配置する。サンプルホルダーを機器の熱チャンバー内に配置して、サンプルホルダーが移動できないように固定する。関連機器ソフトウェアを用いて新しい試験を開始する。その次に、0.5gの乾燥粉末組成物を秤量して、サンプルホルダー内に注加する。次いで、シングルピペット又はマルチチャネルピペットに37℃の水和流体(たとえば通常生理食塩水又は全血)を満たし、次いで、すべての粉末が水和流体で一様にカバーされるのを保証するために円運動でサンプルホルダー内に放出する。サンプルローディングが完了したら、機器の蓋を閉めて、ただちに試験を開始する。
止血用ハイドロゲルは、さまざまな剪断弾性率のいずれかを有しうる。
ある特定の実施形態によれば、たとえば、止血用ハイドロゲルは、1000Pa以上、2000Pa以上、3000Pa以上、4000Pa以上、5000Pa以上、6000Pa以上、7000Pa以上、8000Pa以上、9000Pa以上、10000Pa以上、11000Pa以上、12000Pa以上、13000Pa以上、14000Pa以上、15000Pa以上、16000以上、18,000以上、又は19000Pa以上の最大剪断弾性率(G’)を有しうる。ある特定の実施形態では、止血用ハイドロゲルは、20000Pa以下、19000Pa、18000Pa、17000Pa以下、16000Pa、15000Pa以下、14000Pa以下、13000PA以下、12000Pa、11000Pa、10000Pa以下、9000Pa、8000Pa以下、7000Pa以下、6000Pa、5000Pa、4000Pa、3000Pa以下又は2000Pa以下の剪断弾性率を有する。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、止血用ハイドロゲルは、1000Pa以上20000Pa以下の剪断弾性率を有し、止血用ハイドロゲルは、4000Pa以上10000Pa以下の剪断弾性率を有する)。他の範囲もまた可能である。
乾燥粉末組成物は、さまざまな好適なゲル化速度のいずれかを有しうる。本明細書で用いられる場合、「ゲル化速度」という用語は、ハイドロゲル形成が経時的に発生するスピードを意味し、剪断弾性率の微分を時間の微分で割ったもの(dG’/dt)として測定される。いくつかの実施形態では、たとえば、乾燥粉末組成物は20Pa/sec以上、50Pa/sec以上、100Pa/sec以上、150Pa/sec以上、200Pa/sec以上、250Pa/sec以上、300Pa/sec以上、350Pa/sec以上、400Pa/sec以上、又は450Pa/sec以上のゲル化速度を有する。ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物は、500Pa/sec以下、450Pa/sec以下、400Pa/sec以下、350Pa/sec以下、300Pa/sec以下、250Pa/sec以下、200Pa/sec以下、150Pa/sec以下、100Pa/sec以下、又は50Pa/sec以下のゲル化速度を有する。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、乾燥粉末組成物は、20Pa/sec以上500Pa/sec以下のゲル化速度を有し、乾燥粉末組成物は、50Pa/sec以上250Pa/sec以下のゲル化速度を有する)。他の範囲もまた可能である。
ある特定の実施形態によれば、架橋されて形成された後の本明細書に記載の止血用ハイドロゲル組成物の接着性は、ASTM F2392-04(外科用シーラントの標準試験法)に準拠した破裂圧力モデルにより決定可能である。ある特定の実施形態によれば、試験は、シミュレート液リークをカバーするシーラントパッチを破裂させるのに必要とされる圧力を決定してシミュレート組織へのシーラントの接着性を間接測定するように設計される。簡潔に述べると、圧力ゲージ、シリンジポンプ、及び破裂フィクスチャーを図7に示されるようにアセンブルする。破裂フィクスチャーは、より詳細にASTM F2392-04標準プロトコルに記載されている。気泡がチューブ内に存在しないように、着色食用色素(2~3滴/L)で染色された0.9%生理食塩水ですべてのチューブを満たす。チューブを0.9%生理食塩水で満たした後、すべてのチューブへのラインを開けて、破裂フィクスチャーのトップホールから生理食塩水が出始めるまでシリンジをプッシュする。その次に、適切なサイズのコラーゲンピーをカットし、次いで、500mLビーカー内の脱イオン水で最低3回濯いでグリセロールを除去する。コラーゲンを2インチ幅のストリップにカットして脱イオン水の入った新しい500mLビーカーに移し、最低10分間浸漬する。その次に、破裂フィクスチャーのトップを除去して、単一コラーゲンピースを破裂フィクスチャーの開口上に配置する。次いで、破裂フィクスチャーのトップをコラーゲン上に配置して耐密に固定する。破裂欠損針(たとえば図7に示されるもの)を用いて破裂フィクスチャーのホールの中心に真っすぐ下方に針を突き刺してから真っすぐ持ち上げることにより、コラーゲンの中心に単一欠損を作製する。次いで、破裂シリンダー(たとえば図7に示されるもの)をコラーゲン上のフィクスチャーのトップ上に配置する。乾燥粉末組成物を166mgの量で秤量して破裂シリンダー内に注加する。その次に、250マイクロリットルの生理食塩水をシリンダー内にピペッティングして乾燥粉末組成物上に直接加える。生理食塩水をピペッティングした直後、破裂プランジャー(たとえば図7に示されるもの)を破裂シリンダー内に配置して水和組成物上に当てる。水和組成物を2.5分間重合させる。その次に、破裂プランジャーのトップを下方に保持して破裂フィクスチャーのトップ表面からシリンダーを真っすぐ引き上げることにより、破裂シリンダーを除去する。シリンダーを破裂フィクスチャーから引き離した後、プランジャー及びシリンダーをチルトさせて、側方に次いで上方に重合組成物から離れるように持ち上げる。次いで、サンプルを検査して、シリンダー及び/又はプランジャーの除去により重合組成物が破壊しなかったかを確認する。次いで、コンピューター及び適切なソフトウェア(たとえば、Omega Digital Transducer Application, v. 2.3.0.300)を用いて圧力の読みを記録する。サンプル及び/又は基材が破壊するか、大きな圧力低下が発生するか、又は圧力が30秒間プラトーを保つまで、重合組成物を観測する。コラーゲンが材料から引き剥がれた場合、基材破壊が発生する。重合組成物を介する欠損がある場合、凝集破壊が発生する。コラーゲン及び重合組成物が欠損部位から引き剥がれた場合、凝集破壊及び基材破壊が発生する。材料及び基材の界面間に欠損がある場合、接着破壊が発生する。
ある特定の実施形態では、かかる試験により測定される止血用ハイドロゲルの破裂圧力は、10mmHg以上、50mmHg以上、100mmHg以上、150mmHg以上、200mmHg以上、250mmHg以上、300mmHg以上、又は350mmHg以上である。ある特定の実施形態では、止血用ハイドロゲルの破裂圧力は、400mmHg以下、350mmHg以下、300mmHg以下、250mmHg以下、200mmHg以下、150mmHg以下、100mmHg以下、又は50mmHg以下である。以上に列挙された範囲の組合せもまた可能である(たとえば、止血用ハイドロゲルの破裂圧力は、10mmHg以上350mmHg以下である)。
ある特定の実施形態によれば、止血用ハイドロゲル組成物の止血効率は、以上に記載のように、出血が制御された動物モデルにおいて、乾燥粉末混合物止血剤の適用により止血を達成するのに必要とされる用手加圧の回数により決定可能である。いくつかの実施形態では、乾燥粉末混合物止血剤の適用により止血を達成するのに必要とされる圧力サイクル数は、1回以上、2回以上、又は3回以上である。ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末混合物止血剤の適用により止血を達成するのに必要とされる圧力サイクル数は、4回以下、3回以下、又は2回以下である。これらの範囲の組合せもまた可能である(たとえば、乾燥粉末混合物止血剤の適用により止血を達成するのに必要とされる圧力サイクル数は、1回以上3回以下である)。
ある特定の実施形態によれば、止血用ハイドロゲル組成物の止血効率はまた、本明細書に記載の乾燥粉末混合物止血剤の適用により止血を達成するのに要する時間により決定可能である。ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末混合物止血剤の適用により止血を達成するのに要する時間は、2.5分間以下、2.0分間以下、1.5分間以下、1.0分間以下、以下、0.5分間以下、又は0.2分間以下である。
いくつかの実施形態では、止血用ハイドロゲル組成物の止血効率はまた、本明細書に記載の乾燥粉末混合物止血剤の適用により止血を達成及び維持する治療欠損のパーセントにより決定可能である。いくつかの実施形態によれば、乾燥粉末混合物の適用により止血を達成及び維持する治療欠損のパーセントは、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、若しくは99%以上、又は100%である。
ある特定の実施形態では、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)は、さまざまな好適な方法のいずれかにより調製されうる及び/又は混ぜられうる。たとえば、いくつかの実施形態では、乾燥粉末混合物は、ボールミリングにより調製される(たとえば、乾燥粉末混合物は、ボールミル内で粉砕されうる)。ある特定の実施形態では、乾燥粉末混合物は、乳鉢及び乳棒で粉砕することにより調製される及び/又は混ぜられる。いくつかの実施形態では、乾燥粉末混合物は、回転ミキサーを用いて調製及び/又は混合される。
ある特定の実施形態によれば、乾燥粉末組成物(たとえば乾燥粉末混合物)は、混ぜられてシールされた粉末として提供(たとえばパッケージ)可能である。たとえば、いくつかの場合には、乾燥粉末混合物は、バイアル及び/又はアンプルで提供される(たとえば、フレームシールバイアル及び/又はアンプル)。ある特定の実施形態では、乾燥粉末混合物を含有するバイアル及び/又はアンプルは、粉末を(たとえば出血/創傷部位上に)スプレーする能力のあるスプレイヤーに装着されうる。さらに他の実施形態では、乾燥粉末状成分は、架橋パッチング/フィリング 材料として、たとえば、骨出血用途に使用するために、1又は2成分のペースト、パテ、又はワックスの形態に形成可能である。
本明細書に記載の乾燥粉末状止血用組成物は、さまざまな好適な形態のいずれかで提供されうる。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、少なくとも第1の乾燥粉末及び第2の乾燥粉末(並びに任意に第3の乾燥粉末など)を含む。第1の乾燥粉末は、上記の第1の成分を含みうる。たとえば、いくつかの実施形態では、第1の乾燥粉末は、求電子基を含む多官能化ポリアルキレンオキサイド系ポリマー(たとえばPEG(SS)2)を含む。第2の粉末は、上記の第2の成分を含みうる。たとえば、第2の乾燥粉末は、タンパク質(たとえばアルブミン)を含みうる。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、少なくとも1種の複合粉末を含む。たとえば、乾燥粉末状止血用組成物は、上記の成分の一部又は全部の複合材である単一乾燥粉末(たとえば、求電子性成分(たとえばPEG(SS)2)上に被覆された求核性成分(たとえばアルブミン)を含む粒子の単一乾燥粉末)を含みうる。かかる被覆粒子粉末は、たとえば、成分が非反応性である溶媒(たとえば非水性溶媒)を用いてスプレー被覆することにより調製可能である。いくつかの実施形態では、乾燥粉末状組成物は、複数の乾燥粉末(たとえば第1の乾燥粉末及び第2の乾燥粉末)の乾燥粉末混合物を含む。他の実施形態では、第1の乾燥粉末及び第2の乾燥粉末は、分離された非混合粉末として(たとえばパッケージとして)提供され、使用前又は使用時(たとえば、出血/創傷部位への適用前又は適用時)に組み合わされる。
架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)が乾燥粉末状止血用組成物中に存在する実施形態では、架橋開始剤は、さまざまな好適な形態のいずれかで組み込まれうる。たとえば、いくつかの実施形態では、第1の乾燥粉末は架橋開始剤を含む。いくつかのかかる実施形態では、組成物は、反応性求電子性化合物(たとえば、求電子基で官能化された多官能化ポリアルキレンオキサイド系ポリマー)と架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)との粉末混合物又は複合粒子を含む第1の成分を含む第1の乾燥粉末を含む。いくつかの実施形態では、第1の乾燥粉末は、架橋開始剤でスプレー被覆された反応性求電子性化合物の粒子又はその逆の粒子を含む。いくつかの実施形態では、第2の乾燥粉末は架橋開始剤を含む。いくつかのかかる実施形態では、組成物は、反応性求核性化合物(たとえばアルブミンなどのタンパク質)と架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)との粉末混合物又は複合粒子を含む第2の成分を含む第2の乾燥粉末を含む。いくつかの実施形態では、第2の乾燥粉末は、架橋開始剤でスプレー被覆された反応性求核性化合物の粒子又はその逆の粒子を含む。
いくつかの実施形態では、架橋開始剤は、以上の反応性求電子性化合物(たとえばPEG(SS)2)又は求核性化合物(たとえばアルブミン)とは別の粉末として提供される。たとえば、いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、第1の反応性求電子性成分を含む第1の乾燥粉末と、反応性求核性化合物(たとえばアルブミンなどのタンパク質)を含む第2の乾燥粉末と、架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)を含む第3の乾燥粉末と、を含む。第1、第2、及び第3の乾燥粉末は、個別にパッケージされうるか又は乾燥粉末混合物として組み合わされうる。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物は、反応性求核性化合物と架橋開始剤と反応性求電子性化合物とから形成された複合粒子を含む単一乾燥粉末を含む。たとえば、乾燥粉末状止血用組成物は、求核性成分(たとえばアルブミン)を架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)で被覆してから、それを求電子性成分(たとえばPEG(SS)2)で被覆した粒子の単一乾燥粉末を含む。成分の他の構成もまた可能である。かかる被覆粒子粉末は、たとえば、成分が非反応性である溶媒(たとえば非水性溶媒)を用いてスプレー被覆することにより調製可能である。
ある特定の実施形態では、出血/創傷部位に乾燥粉末混合物を適用する前に組成物のある特定の成分間の物理的接触を低減することが有利でありうる。いくつかの実施形態では、たとえば、多官能化ポリメリック組成物(たとえばPEG(SS)2)と、乾燥粉末状組成物の1種以上の成分、たとえば、架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)又はタンパク質(たとえばアルブミン)と、の物理的接触は、出血/創傷部位に乾燥粉末混合物を適用する前に低減されうる。いくつかの実施形態では、たとえば、多官能化ポリメリック組成物と架橋開始剤との物理的接触を低減することにより、貯蔵時に起こりうる両者間の化学反応を回避して乾燥粉末組成物の全体貯蔵寿命を増加させうる。当業者であれば理解されるであろうが、多官能化ポリメリック組成物(たとえばPEG(SS)2)は、いくつかの実施形態では、温度及び/又は湿分に感受性がある。たとえば、ある特定の非限定的実施形態では、多官能化ポリメリック組成物の1つ以上のエステル結合は、湿分(たとえば大気に固有のもの)の存在下で加水分解されうるともに、いくつかの実施形態では、架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)の存在により促進及び/又は加速される。したがって、ある特定の実施形態では、多官能化ポリメリック組成物と架橋開始剤との物理的接触を低減することにより、製品貯蔵時のかかる加水分解の発生を阻害しうるので、乾燥粉末組成物の全体貯蔵寿命が増加する。いくつかの実施形態では、多官能化ポリメリック組成物がタンパク質中に存在する固有湿分に接触したときに発生しうる加水分解を防止するために、多官能化ポリメリック組成物とタンパク質(たとえばアルブミン)との物理的接触を低減することが有利でありうる。
ある特定の実施形態では、物理的接触を低減することは、多官能化ポリメリック組成物と、乾燥粉末状組成物の1種以上の成分、たとえば、架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)又はタンパク質(たとえばアルブミン)と、の間の表面積(たとえば接触箇所)を低下させる(又は排除する)ことを含む。いくつかの実施形態では、たとえば、タンパク質及び/又は架橋開始剤は、多官能化ポリメリック組成物と架橋開始剤との間に限られた物理的接触が存在するように操作されうる。いくつかの実施形態によれば、たとえば、タンパク質は、多官能化ポリメリック組成物と混合する前に、架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)と共にローラーコンパクト化さ及び/又はグラニュレート化されうる。他の実施形態では、タンパク質は、多官能化ポリメリック組成物と混合する前に、混合時に多官能化ポリマー組成物がタンパク質にのみ実質的に接触するが貯蔵時に架橋開始剤に接触しないように架橋開始剤(たとえば塩基又は塩基性緩衝剤)上及び/又はその上方にスプレー被覆されうる。
ある特定の実施形態では、多官能化ポリメリック組成物は、多官能化ポリメリック組成物と乾燥粉末状組成物の1種以上の他の成分(たとえば架橋開始剤及び/又はタンパク質)との間に限られた物理的接触が存在するように操作される。いくつかの実施形態では、たとえば、多官能化ポリメリック組成物は、イナート材料で被覆されうる。イナート材料は、いくつかの実施形態では、ポリマーでありうる。多官能化ポリメリック組成物の反応性を破壊も実質的に分解もせずに被覆するのに好適なさまざまな好適なポリマーはいずれも、利用されうる。好適なポリマーとしては、生分解性、生体適合性、及び/又は可溶性若しくは水分散性のポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、たとえば、かかるポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。
ある特定の場合には、止血用物品は、タンポナーデデバイスと共に、それに接触して、又はさもなければそれに関連付けられて使用される粉末状止血用組成物を含む。タンポナーデを用いて反応性乾燥粉末状止血用組成物を出血創傷に適用することにより、乾燥粉末状止血用組成物単独の使用と比較して、止血用組成物の成分の架橋に起因するハイドロゲルの形成により出血/創傷部位での出血をさらに低減又は停止しうる。タンポナーデの存在は、いくつかの場合には、大量出血が発生する用途での乾燥粉末状止血用組成物の効能を改善する。いくつかの実施形態では、タンポナーデは生分解性タンポナーデである。反応性乾燥粉末状止血用組成物と生分解性タンポナーデとを組み合わせることにより、いくつかの場合には、反応性止血剤のある特定の性能面を改善しつつ、創傷部位又は出血部位に容易に適用可能な止血用デバイスを提供可能である。たとえば、生分解性タンポナーデに接触させて乾燥粉末状止血用組成物を適用することにより、いくつかの場合には、重合止血用組成物と、たとえば非生物分解性アプリケーター又はさもなければ止血用組成物に接触するように使用されるガーゼなどの材料と、の接着を軽減可能である。
いくつかの場合には、タンポナーデと共に(たとえば、それに接触させて)使用される反応性乾燥粉末状止血用組成物は、上記の乾燥粉末状止血用組成物の1つである。たとえば、いくつかの実施形態では、2官能化ポリマーを含む第1の成分(たとえばPEG(SS)2)とタンパク質(たとえばアルブミン)を含む第2の成分とを含む乾燥粉末状止血用組成物は、タンポナーデに接触する。
タンポナーデは、さまざまな好適な材料のいずれかを含みうる。ある特定の場合には、タンポナーデは、いずれかの好適な形状係数又はアスペクト比を有するフォームの形態である。たとえば、タンポナーデは、シート又は層の形態でありうる。いくつかの場合には、タンポナーデは、コラーゲンであるか又はコラーゲン(たとえばコラーゲンフォーム)を含む。かかるコラーゲン含有タンポナーデの1つは、Ultrafoam(商標)タンポナーデである。他の場合には、タンポナーデは、ゼラチンであるか又はゼラチン(たとえばゼラチンフォーム)を含む。かかるゼラチン含有タンポナーデの1つは、Gelfoam(商標)である。ある特定の実施形態では、タンポナーデは、カルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。いくつかの実施形態では、タンポナーデは多糖を含む。例として、いくつかの実施形態では、タンポナーデはデンプンフォームを含む。ある特定の実施形態では、デンプンフォームは、分解性、分散性、及び/又は可溶性でありうる。タンポナーデ(たとえば、Ultrafoam(商標)タンポナーデ、デンプンフォームを含むタンポナーデなど)に接触する反応性乾燥粉末状止血用組成物は、タンポナーデの表面の比較的近くに位置しうる。たとえば、反応性乾燥粉末状止血用組成物は、いくつかの場合には、主にタンポナーデの外表面に接触する。ある特定の実施形態では、反応性乾燥粉末状止血用組成物は、タンポナーデ内に含有される(たとえば、タンポナーデは、反応性乾燥粉末状止血用組成物で含浸される)。
いくつかの実施形態では、反応性乾燥粉末状止血用組成物は、タンポナーデとは異なる時点で出血/創傷部位に適用される。たとえば、いくつかの実施形態では、乾燥粉末状止血用組成物が出血/創傷部位に適用され、続いて、タンポナーデが出血/創傷部位に適用される(任意に、タンポナーデに定常又は間欠用手圧力を加えて)。しかしながら、ある特定の場合には、反応性乾燥粉末状止血用組成物及びタンポナーデ(たとえば、乾燥粉末状止血用組成物を含有する)は、同時に出血/部位に適用される。
2020年12月28日出願の、“Reactive Dry Powder Hemostatic Materials Comprising a Protein and a Multifunctionalized Polyethylene Glycol Based Crosslinking Agent”という名称の米国仮特許出願第63/131,267号は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1
下記実施例には、ブタ脾生検欠損モデルでのPEG(SS)2系乾燥粉末混合物の止血効能が記載されている。乾燥粉末混合物は、PEG(SS)2(119mg)、ウシ血清アルブミン(BSA)(228mg)、及び153mgの重炭酸ナトリウム(153mg)を1:2:1.3の質量比で混合することにより調製された。材料は、ブタ脾生検欠損出血モデルで止血効能が試験された。簡潔に述べると、約5mmの深さまで直径10mmの生検欠損を脾臓に作製した。その次に、0.5gの乾燥粉末混合物を欠損に適用し、それが加圧に使用されるガーゼに固着しないようにUltrafoamの3cm×3cmピースを粉末のトップに配置した。出血停止は、30秒間タンポナーデ又は圧力サイクルの後に評価された。乾燥粉末混合物は、他の市販の止血剤と比較して効能を改善した(表1参照)。材料は一貫して機能し(1回の圧力サイクルで9/10)、組織にしっかりと接着された。
Figure 2024500994000014
実施例2
下記実施例には、ヘパリン化ブタ脾生検欠損モデルにおける実施例1で調製されたPEG(SS)2系乾燥粉末混合物の止血効能が記載されている。ヘパリンは、心血管手術時の臨床関連凝固障害及びヘパリン化をミミックするために使用された。簡潔に述べると、150Uヘパリン/kgの初期IVボーラスを与えて活性化凝固時間(ACT)を約2~3×ベースラインに増加させた。実施例1の内容に従って乾燥粉末混合物を試験して、結果を他の市販の止血剤と比較した(表2参照)。乾燥粉末混合物は、1回の圧力サイクルで一貫して機能し、組織にしっかりと接着された。ヘパリン化モデルでの乾燥粉末混合物の効能は、実施例1に記載の非ヘパリン化モデルの効能に類似していた。これとは対照的に、競合品は、ヘパリン化モデルで効能を低減した。
Figure 2024500994000015
実施例3
下記実施例には、ヘパリン化ブタ脾擦過モデルにおいて実施例1で調製されたPEG(SS)2系乾燥粉末混合物の止血効能が記載されている。0.5”×0.5”の領域にわたり電気焼灼パッドの粗い表面を用いて擦過を作製して滲出出血を作製した。ヘパリンは、心血管手術時の臨床関連凝固障害及びヘパリン化をミミックするために使用された。簡潔に述べると、150Uヘパリン/kgの初期IVボーラスを与えて活性化凝固時間(ACT)を約2~3×ベースラインに増加させた。500ミリグラムの乾燥粉末混合物を出血領域に振りかけて、タンポナーデも圧力サイクルも適用せずに、初期30秒間後に止血を評価した。止血が達成された場合、2分間の観測時間を用いて再出血を評価した。止血が達成且つ維持された場合、創傷部位に生理食塩水を灌注して止血を再評価した。結果を他の市販の止血剤と比較した(表3参照)。乾燥粉末混合物は、競合品よりも良好に機能し、組織にしっかりと接着された。
Figure 2024500994000016
実施例4
下記実施例には、in vitro破裂圧力モデル(ASTM F2392-04、外科用シーラントの標準試験法に準拠した)において実施例1で調製されたPEG(SS)2系乾燥粉末混合物のシーラント性の実証が記載されている。試験は、シミュレート液リークをカバーするシーラントパッチを破裂させるのに必要とされる圧力を決定して、シミュレート組織へのシーラントの接着性を間接測定するように設計される。簡潔に述べると、水和コラーゲンケーシング膜を破裂圧力フィクスチャーに固定して、3-0RB1縫合針でホールを作製した。乾燥粉末混合物を膜に適用して生理食塩水で水和させた。シリンジポンプで生理食塩水を2ml/minの流量でフィクスチャーに供給して、破壊時の破裂圧力を記録した。量及び硬化時間の2つの条件で材料を試験したところ、シーラント性を呈した(表4参照)。
Figure 2024500994000017
実施例5
下記実施例には、ブタ脾生検欠損出血モデル(修正湿潤領域モデル)におけるPEG(SS)2乾燥粉末組成物の止血効能が記載されている。実施例1で調製された材料を以上の実施例1に記載のブタ脾生検欠損出血モデルで止血効能に関して試験した。しかしながら、現実的外科シナリオで止血課題を増大させるために、配置前に欠損にブロットして乾燥させる代わりに積極的出血部位に材料を適用した。簡潔に述べると、約5mmの深さまで直径10mmの生検欠損を脾臓に作製した。次いで、欠損に血液を充満させて0.5gの反応性粉末混合物を欠損に適用し、それがタンポナーデの適用に使用されるガーゼに固着しないように、Ultrafoam(商標)の3cm×3cmピース又はデンプンフォームを含むタンポナーデを粉末のトップに配置した。出血停止は、30秒間タンポナーデサイクル後に評価された。乾燥反応性粉末混合物は、図2Aの止血を達成する時間の低減及び図2Bの止血後の2分間観測時のより少ないパーセント再出血により示されるように、他の市販の止血剤と比較して効能を改善した。
実施例6
下記実施例には、in vitro破裂圧力モデル(たとえば修正湿潤領域モデル)におけるPEG(SS)2乾燥粉末組成物のシーラント性の評価が記載されている。以上の実施例4に記載のように、実施例1で調製された材料をin vitro破裂圧力モデル(ASTM F2392-04、外科用シーラントの標準試験法に準拠した)において試験した。しかしながら、接着性の課題を増大させるために、配置前に膜にブロットして乾燥させる代わりにコラーゲン膜上にすでに血液層を設けて材料を適用した。クエン酸化ヒツジ全血(0.3ml)をコラーゲン膜の表面に適用した(図4A参照)。この量は、おおよそ1.5mmの深さを有していた。実施例1で調製された材料を血液層に適用して5分間硬化させた(図4B及び図4C参照)。シリンジポンプで生理食塩水を2ml/minの流量でフィクスチャーに供給して、破壊時の破裂圧力を測定した。材料は、図3に示されるように、血液層を介してシーラント性を呈し、市販の止血剤よりも何桁も良好な性能を呈した。
実施例7
下記実施例には、PEG(SS)2乾燥粉末組成物の測定架橋時間が記載されている。以上に記載の測定架橋時間アッセイで、実施例1で調製された材料の架橋速度を試験した。簡潔に述べると、664マイクロリットルの生理食塩水を15.5mm×50mmバイアルに添加して、60rpmの3mm×12.7mmマイクロ撹拌子で撹拌した。次いで、166mgの粉末状材料をバイアルに添加して、タイマーをスタートさせた。架橋時間は、架橋ハイドロゲルの形成に起因して撹拌子が停止した時間として測定された。架橋時間は、生理食塩水及びカルシウム再加クエン酸化ヒツジ全血(631マイクロリットルの血液及び33マイクロリットルの0.2M CaCl)の両方で測定された。材料の測定架橋時間は、表5に示されるように、37℃で生理食塩水中よりも血液中の方が速かった。
Figure 2024500994000018
実施例8
下記実施例には、PEG(SS)2乾燥粉末組成物の測定架橋時間に及ぼす塩基量の影響が記載されている。乾燥粉末材料は、PEG(SS)2(119mg)、ウシ血清アルブミン(BSA)(228mg)、及び各種量の重炭酸ナトリウム及び/又は塩化カルシウム(CaCl)を混合することにより調製された。塩化カルシウムは、塩濃度を含めて固定組成比を保持するために使用された。実施例7に記載のように測定架橋時間を測定し、ハイドロゲルの得られたpHを表面電極で測定した。表6の結果は、塩基性pH及び速い測定架橋時間を得るうえでの重炭酸ナトリウム含有率の重要性を示す。
Figure 2024500994000019
実施例9
下記実施例には、乾燥粉末組成物の測定架橋時間に及ぼすタンパク質粒子サイズ及びタンパク質粒子密度の影響が記載されている。材料は、実施例1のように調製されたが、異なる粒子サイズ及び粒子密度のBSAが使用された。異なる粒子サイズを有するBSAは、出発BSA粉末をシーブすることより得られた。BSA粉末の粒子密度を以上に記載のタップ密度法により測定したところ、0.62g/mlの~0.69g/mlの範囲内であった。より低密度のタンパク質粒子は、脱イオン水中30%w/v及び7.5%w/vの濃度で出発BSA粉末を溶解させてから溶液を凍結乾燥させることにより作製された。凍結乾燥BSA粉末の得られたタップ密度は、30%w/v及び7.5%w/v溶液に対して、それぞれ、0.38g/ml及び0.21g/mlであった。反応性粉末は、実施例4及び実施例6に記載のように、それぞれ、標準破裂強度モデル及び修正湿潤領域破裂強度モデルで試験された。血液中及び生理食塩水中での測定架橋時間もまた、実施例8に記載されるように決定された。図6A及び図6Bに示されるように、より小さい粒子サイズ及びより低い粒子密度は、標準モデルでは明らかでなかった湿潤領域破裂強度モデルで性能を低減することが、結果から示唆された。そのほか、表7に示されるように、中間領域の粒子サイズは最も速い測定架橋時間を呈した。
Figure 2024500994000020
実施例10
下記実施例には、乾燥粉末材料の測定架橋時間(実施例8のように決定される)に及ぼす各種タイプのアルブミンの使用の影響が記載されている。材料は、実施例1のように調製されたが、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、及び各種供給源の組換えヒトアルブミンを含めて、異なる供給源のアルブミンが使用された。反応性粉末材料に使用されたさまざまなアルブミンはすべて、架橋されて組織接着性ハイドロゲルになった。図5に示されるように、混合物の血液中測定架橋時間は変動した。これは、アルブミンの各種粒子サイズ及び/又は密度に起因しうる。
実施例11
下記実施例には、乾燥粉末混合物の成分比の変化から生じる各種ハイドロゲル性の比較が記載されている。各種乾燥粉末混合物(すなわちサンプル)は、表8に示されるように配合された。ウシ血清アルブミン(BSA)及びPEG(SS)2の粒子は、500マイクロメートル超の粒子サイズを有する粒子を除去するようにシーブされた。
Figure 2024500994000021
各パラメーターに対して報告され、以下で考察され、そして表9及び10に示された実験値は、各表に示されるように、複数回の試験(n)の平均である。
各サンプルの測定架橋時間は、本明細書に記載されるように評価された。サンプル1~6、8、9、及び11の測定架橋時間は、各々120秒間未満であった。低重炭酸ナトリウムレベルを有するサンプル7及び10は、他のサンプルよりも長い架橋時間であった(すなわち、それぞれ、約300秒間及び、約120秒間)。
各サンプルの標準破裂強度を評価した。サンプル7は、接着破壊及び他のサンプルと比較して有意に低い破裂強度(すなわち約50mmHg)を有していた。他のサンプルの各々は、100mmHg超~200mmHg未満の平均破裂強度を有していた。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いてサンプルの粘弾性を評価した。各サンプルの最大剪断弾性率(G’max)を評価した。サンプル7は、他のサンプルと比較して有意に高いG’max(すなわち約20000Pa)を呈した。他のサンプルの各々は、7500Pa超~15000Pa未満であった。結果は、サンプル中の重炭酸ナトリウムの量にほぼ相関し、より少ない重炭酸ナトリウム(並びにより多いBSA及びPEG(SS)2)を有するサンプルは、より高いG’最大を呈した。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて最大ゲル化速度(maxゲル化速度)も評価した。サンプル7及び8は、他のサンプルと比較して、有意に低いmaxゲル化速度(すなわち100Pa/sec未満)であった。他のサンプルの各々は、125Pa/sec超~325Pa/sec未満のmaxゲル化速度を有する。両方とも高いBSA/PEG(SS)2比を有するサンプル9及び11は、他の群よりも有意に高いmaxゲル化速度であった(すなわち、それぞれ、約270Pa/sec及び約325Pa/sec)。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて最大ゲル化速度(maxゲル化速度の時間)の時間も評価した。このパラメーターは、ハイドロゲル形成の最大速度が発生した時間である。低重炭酸ナトリウムレベルを有するサンプル7及び10は、他のサンプル(すなわち42秒間未満)よりも有意に遅いmaxゲル化速度の時間を有していた(すなわち、それぞれ、約62秒間及び約50秒間)。結果は、サンプル中の重炭酸ナトリウムの量にほぼ相関し、より少ない重炭酸ナトリウムを有するサンプルは、maxゲル化速度に達するのがより長かった。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて5000PaのG’に達する時間も評価した。このパラメーターは、止血用ハイドロゲルが血餅の4~5倍の剪断弾性率を有する時間である。サンプル7及び8は、他のサンプルと比較して、5000PaのG’に達するのがより長かった(たとえば、75秒間以上)。他のサンプルの各々は、5000PaのG’に達するのが55秒間未満であった。サンプル11は、5000PaのG’に達するのが最短時間であった(約23秒間)。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて150秒間の剪断弾性率(G’)も評価した。湿潤破裂試験法でハイドロゲルを硬化させる時間であることから、150秒間の時間マークを選んだ。サンプル8は、150秒間で低いG’(すなわち約3500Pa)を有していたが、サンプル11は、150秒間でより高いG’(すなわち約11500Pa)を有していた。
サンプルの表面pHも測定した。低重炭酸ナトリウムレベルを有するサンプル7及び10は、他の群よりも低い表面pH値(すなわち、それぞれ約6.5及び約7)を有していた。他の群の各々は、約8超の表面pHを有していた。
Figure 2024500994000022
Figure 2024500994000023
実施例12
下記実施例には、乾燥粉末混合物の成分比の変化から生じる各種ハイドロゲル性の比較が記載されている。各種乾燥粉末混合物(すなわち、サンプル)は、表11に示される量に基づいて配合された。ウシ血清アルブミン(BSA)の粒子は、500マイクロメートル超の粒子サイズを有する粒子を除去するようにシーブされた。
Figure 2024500994000024
各パラメーターに対して報告され、以下で考察され、そして表12及び13に示された実験値は、各表に示されるように、複数回の試験(n)の平均である。
各サンプルの測定架橋時間は、本明細書に記載されるように評価された。最小量の重炭酸ナトリウムを有していたサンプル1及び7の測定架橋時間は、それぞれ、約168秒間及び99秒間であった。そのほかのサンプルは、90秒間未満~60秒間超の測定架橋時間を有していた。
湿潤領域破裂強度を評価した。サンプルはすべて、130mmHg超~210mmHg未満の平均湿潤領域破裂強度を呈した。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いてサンプルの粘弾性を評価した。各サンプルの最大剪断弾性率(G’max)を評価した。サンプル6は、最大量の重炭酸ナトリウム(16.5wt.%)及び最低のG’max値(約14000Pa)を有していた。他のサンプルのG’maxは、14900Pa超~18500Pa未満の範囲内であった。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて最大ゲル化速度(maxゲル化速度)も評価した。最小量の重炭酸ナトリウムを有するサンプル1及び7は、より低いmaxゲル化速度(すなわち、それぞれ約125Pa/sec及び約145Pa/sec)であった。他のサンプルのmaxゲル化速度は、235Pa/sec未満~195Pa/sec超であった。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて最大ゲル化速度(maxゲル化速度の時間)の時間も評価した。サンプル1及び7は、他のサンプルと比較して、maxゲル化速度(各約52何秒か)の時間がより長かった。他のサンプルの各々は、32秒間超~41秒間未満のmaxゲル化速度の時間を有していた。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて5000PaのG’に達する時間も評価した。サンプル1及び7は、それぞれ、約56秒間及び約54秒間で5000PaのG’に達する最長時間を有していた。他のサンプルは、5000PaのG’に達する時間が32秒間~39秒間であった。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて150秒間の剪断弾性率(G’)も評価した。サンプル1及び7は、150秒間で最小のG’を有していた(すなわち、それぞれ、約11450Pa及び約10350Pa)。サンプル2~6の150秒間のG’は、13800Pa未満~11700Pa超であった。
Figure 2024500994000025
Figure 2024500994000026
実施例13
下記実施例には、乾燥粉末状混合物中のヒト血清アルブミン(HSA)の密度及び粒子サイズを変化させて得られた各種ハイドロゲル性の比較が記載されている。乾燥粉末混合物(すなわちサンプル)は、表14に示されるように、密度及び粒子サイズの各種組合せのHSAを用いて調製された。「低」密度群は、出発HSA粉末(たとえば0.4g/ml未満)を使用し、「高」密度群は、ロールコンパクト化HSA粉末(0.5g/ml超)を使用した。「低」、「中」、及び「高」粒子サイズ群は、それぞれ、106マイクロメートル未満、106~250マイクロメートル、及び250~500マイクロメートルの粒子サイズ目標にシーブされたHSA粉末に対応する。
Figure 2024500994000027
以下に列挙される各パラメーターに対して報告され、そして表15及び16に示された実験値は、各表に示されるように、複数回の試験(n)の平均である。
各サンプルの測定架橋時間は、本明細書に記載されるように評価された。低密度及びより小さいサイズのHSA粒子のサンプル1は、液体の表面上に着座して、180秒間以内で架橋は観測されなかった。サンプル1の粒子よりも大きい低密度粒子のサンプル2及び3は、60秒間未満で架橋した。サンプル2及び3の粒子サイズは、サンプル1と比較して、より良好に液体表面を透過することが観測された。これは、粒子が低密度であったため、急速に溶解して架橋反応に関与したからである。サンプル4もまた、60秒間未満で架橋した。サンプル6、7、及び8は、各々、100秒間超の架橋時間を有していた。これは、おそらく粒子のより高い密度に起因して、低密度粒子よりも遅く可溶化したためであろう。
各サンプルの湿潤領域破裂強度を評価した。サンプルはすべて、90~200mmHgの平均湿潤領域破裂強度を呈した。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いてサンプルの粘弾性を評価した。各サンプルの最大剪断弾性率(G’max)を評価した。サンプル6のG’max(たとえば10000Pa未満)は、他の群よりも低かった。他の群の各々は、12500超Pa~21000Pa未満のG’maxを有していた。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて最大ゲル化速度(maxゲル化速度)も評価した。サンプル6は、最低のmaxゲル化速度(100Pa/sec未満)を有していた。他のサンプルは、200Pa/sec超~700Pa/sec未満のmaxゲル化速度であった。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて最大ゲル化速度(maxゲル化速度の時間)の時間も評価した。106マイクロメートル未満のHSA粒子のサンプル1及び4は、他のサンプルと比較して、maxゲル化速度の時間がより長かった(それぞれ、約53秒間及び約63秒間)。他のサンプルの各々は、30秒間未満~15秒間超のmaxゲル化速度の時間を有する。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて5000PaのG’に達する時間も評価した。サンプル6は、5000PaのG’に達する最長時間(約90秒間)を有していた。これは、おそらく、より大きい密度のHSA粒子のより遅い溶解性に起因するであろう。サンプル1及び4は両方とも、5000PaのG’に達するのに40秒間超かかった。これは、おそらく、小さい粒子サイズに起因するであろう。サンプル2、3、5、7、及び8は、20秒間未満で5000PaのG’に達した。
ElastoSens(商標)Bio2機器を用いて150秒間の剪断弾性率(G’)も評価した。サンプル4及び6は、150秒間で10000Pa未満の剪断弾性率を有していたが、他のサンプルは、150秒間で12500Pa超~17500Pa未満の剪断弾性率を有していた。
Figure 2024500994000028
Figure 2024500994000029
実施例14
下記実施例には、0時間及び24時間で乾燥粉末状組成物から形成された架橋ハイドロゲルの標準破裂強度が記載されている。乾燥粉末状組成物は、24wt.%PEG(SS)2と、61wt.%ウシ血清アルブミン(BSA)と、15wt.%重炭酸ナトリウムと、を含有していた。以上に記載の破裂試験用にサンプルを調製した。サンプルの半分をt=0(たとえば水和時間)で試験し、半分を破裂フィクスチャーから除去して37℃のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に配置した。1時間後、中性pHを維持するためにPBSを置き換えた。24時間後、サンプルをコラーゲン基材に装着したままPBSから除去してフィクスチャーに戻し、破裂試験を行った。止血用ハイドロゲルは、24時間にわたりin vitroで十分な破裂強度を維持したことが、以下の表17に示されるデータから示唆された。
Figure 2024500994000030
実施例15
下記実施例には、ブタ脾生検欠損モデルで各種乾燥粉末混合物の止血効能が記載されている。各種乾燥粉末混合物(すなわち、サンプル)は、表18に示されるように配合された。
Figure 2024500994000031
ヘパリンは、心血管手術時の臨床関連凝固障害及びヘパリン化をミミックするために各動物に投与された。最初にヘパリンのIVボーラスを与えて活性化凝固時間(ACT)を≧2~3×ベースラインに増加させ、その後、維持のために定期的に与えた。現実的外科シナリオで止血課題を増大させるために、配置前に欠損にブロットして乾燥させる代わりに積極的出血部位に乾燥粉末状材料を適用した。約5mmの深さまで直径10mmの生検欠損を脾臓に作製した。欠損に血液を満たし、次いで、サンプル粉末混合物(0.5g)を欠損に適用し、そして2.5~3cm×2.5~3cmデンプンフォーム又はカルボキシメチルセルロース(CMC)タンポナーデを粉末のトップに配置して、それがタンポナーデの適用に使用されるガーゼに接着するのを防止するようにした。初期止血は、30秒間の持続時間にわたる各10秒間のタンポナーデ加圧サイクル後に評価された。30秒間の観測持続時間にわたり欠損が止血を維持した場合、初期止血と明示した。欠損が依然として出血した場合、追加のタンポナーデサイクルが適用された。タンポナーデサイクルのいずれか後に30秒間にわたり止血が達成された場合、再出血を検査するために欠損をさらに5分間観測した。結果は表19に示される。
Figure 2024500994000032
実施例16
下記実施例には、ブタ脾生検欠損モデルで異なる粒子サイズのアルブミンを含む乾燥粉末混合物の止血効能が記載されている。サンプルは、実施例15で説明されるように調製及び評価された。より小さなアルブミン粒子は、54~299マイクロメートルの範囲内であり、一方、より大きなアルブミン粒子は、101~547マイクロメートルの範囲内であった。より小さな粒子は一般に止血効率に悪影響を及ぼすことが、表20にまとめられたデータから示される。
Figure 2024500994000033
実施例17
下記実施例には、ブタ脾生検欠損モデルで重炭酸ナトリウムの量を変動させることを含む乾燥粉末混合物の止血効能が記載されている。サンプルは、実施例15で説明されるように調製及び評価された。より低い重炭酸ナトリウムレベルは一般に止血効能に悪影響を及ぼすことが、表21にまとめられたデータから示される。
Figure 2024500994000034
実施例18
下記実施例には、ハイドロゲル形成に及ぼす乾燥粉末状混合物の水和に使用された各種流体の影響が記載されている。乾燥粉末状混合物は、24wt.%PEG(SS)2と、61wt.%アルブミンと、15wt.%重炭酸ナトリウムと、で調製された。乾燥粉末混合物は、表22に示される流体で水和された。次いで、pH及び粘弾性が評価された(適用可能であれば)。
Figure 2024500994000035
乾燥粉末混合物は、4種すべての流体中で水和して急速に架橋し、参照血餅よりも高い弾性率を有するシミュレートハイドロゲル血餅を形成可能であった。より低強度の血餅は、PBS又は非常に酸性のシミュレート胃液(0.03M塩酸)で水和された乾燥粉末混合物から形成され、両流体中の血餅の強度は、依然として参照血餅の少なくとも9~10倍であった。クエン酸血又は塩化カルシウムを有するクエン酸血で乾燥粉末混合物を重合することにより形成された血餅は、血餅の30~40倍の弾性率を有して強度が非常に高かったことから、乾燥粉末混合物は、さまざまな凝固障害状況で機能可能であることが裏付けられる。
実施例19
下記実施例には、PEG(SS)2を含有する第1の成分と混合する前にpH調整を行ったHSAを含む第2の成分を用いて、PEG(SS)2系乾燥粉末混合物の止血シーラント性が実証されている。溶解された診断グレードHSAのサンプルのpHは、25w/v%HSAの米国薬局方(United States Pharmacopeia)(USP)標準溶液から出発することによって、又は脱イオン水中の25w/v%HSA溶液を調製することによって調整した。初期のHSA溶液をゆっくりと混合し、pHを測定する一方、1Nの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を、目標pHに達するまでゆっくりと加えて、調整されたpHを有する「出発HSA溶液」を形成した。各溶液のpHを、Orion(商標)9107BN(Thermo Fisher,Waltham,MA)pHプローブを用いて監視した。次に、出発HSA溶液を、150×150mmトレー(12.7mmの充填高さ)に注ぎ、33Paの減圧環境下で、-40℃で凍結乾燥させた。次に、得られた凍結乾燥固体を粉砕して粉末にして、それを、106~500マイクロメートルのサイズを有する粒子を選別するためにシーブした。次に、pH調整されたHSAを含む粒子を、真空乾燥させ、各サンプルについて所望の最終比率でPEG(SS)2粉末とブレンドした。サンプルは、HSAの異なる出発pH値(pH調整された出発HSA溶液の値に対応する)を有しており、出発pH値は、8~9.5の範囲であった。2つの対照サンプルは、pH調整されていない出発HSA溶液を使用し、1つのサンプルは、重炭酸ナトリウム(NaHCO)粉末架橋開始剤を含み(サンプル20)、1つは、塩基又は塩基性緩衝剤粉末を全く含まず(サンプル19)、両方とも、7.11の出発HSA溶液pHを有する。最終ブレンド粉末組成物中のHSA/PEG(SS)2の比率も変化した。表23には、各ブレンドされた粉末混合物サンプルの各成分の重量による推定された最終組成物、並びにHSA/PEG(SS)2重量比、出発HSA溶液pHが報告されている。表23には、凍結乾燥/粉砕後のpH調整されたHSA粒子中の並びに最終ブレンド組成物中の、「NaOH」の重量パーセンテージも報告されている。これらの値は、凍結乾燥前に出発HSA溶液に加えられるNaOHの既知の量を反映する(及びそれから計算される)。加えられるNaOHの一部(又は全て)が、溶液中でHSAと反応するであろう(たとえば、HSAを少なくとも部分的に脱プロトン化する中和反応において)ことが理解されるべきである。したがって、得られる粉末粒子は、無傷のイオン結合された固体NaOHを文字通り含有せず、むしろ対応する反応生成物(たとえば、対アニオンに結合されたナトリウムイオン)を含有しうる。しかしながら、一部の無傷のNaOH粉末は、モル過剰のNaOHが、出発HSA溶液中の酸性プロトンに対して加えられる場合に存在しうる。各サンプルについて、収集され、以下に記載される測定を、7~9レプリケートを用いて行った。
Figure 2024500994000036
各サンプルのブレンドされた粉末混合物の粒子密度を、以上に記載のタップ密度法により測定したところ、0.29g/mL~0.36g/mLの範囲内であった。これを、バルク密度(粉末の質量をタッピング前の粉末の測定体積で除算した値)と比較した。タップ密度対バルク密度の比率(ハウスナー比)は、粒子流動性及び圧縮性の尺度を提供しうる。結果が、表24に示される。同様の分析を、シーブされた後であるが、サンプル中に混合する前の、凍結乾燥されたpH調整されたHSA粒子に対して行い、これらの結果が、表25に示される。サンプルについての粒度分布を、レーザー光散乱によって測定し、表26は、各サンプルについての粒子サイズの10番目パーセンタイル(D10)、50番目パーセンタイル(D50)、及び90番目パーセンタイル(D90)を報告する。
Figure 2024500994000037
Figure 2024500994000038
Figure 2024500994000039
この実施例において調製されたサンプルは、5分間の硬化時間の代わりに2.5分間の硬化時間を用いたことを除いて実施例6に記載のように、修正湿潤領域破裂強度モデルで試験された。表27には、各サンプルについての平均破裂圧力(mmHg)、並びに標準偏差が報告されている。対照サンプル19(pH調整なし及び個別の架橋開始剤なしの対照サンプル)を除いて、全てのサンプルの平均破裂圧力は、臨床的に有用な値である90mmHgを超えた。これらの結果は、該当するHSAを少なくとも部分的に脱プロトン化するHSAのpH調整が、個別の乾燥粉末塩基又は塩基性緩衝剤成分(たとえば、重炭酸ナトリウム)を含めなくても満足のいく性能を有する乾燥した止血用粉末組成物の配合を促進しうることを実証する。
Figure 2024500994000040
実施例20
下記実施例には、実施例19のサンプル16及び対照サンプル20における止血用ハイドロゲル気泡捕捉の評価が記載されている。気泡形成の証拠を記録するために、止血用ハイドロゲルを撮影し、調べた。サンプル16からの5つの止血用ハイドロゲルのうち、3つが、ごく少量の捕捉された空気/ガスの証拠を示した。サンプル16からの2つの止血用ハイドロゲルは、空気又はガスの捕捉の証拠を示さなかった。対照サンプル20からの止血用ハイドロゲルでは、捕捉された気泡が、5つの止血用ハイドロゲルの全てにおいて観察された。定性的に、対照サンプル20の気泡は、サイズがより大きいことが観察された。止血用ハイドロゲルの中心に捕捉された空気及びガス並びに止血用ハイドロゲルの縁部で観察された小さい微小気泡は、対照サンプル20のゲル内のガスの増強された捕捉のさらなる証拠を提供した。これらの観察は、水性環境中の酸性種との反応時の、NaHCOから水及び気体二酸化炭素への転化によるものと考えられる。したがって、いくつかの場合には、実施例19において行われたHSAのpH調整は、止血用ハイドロゲル内のガスの捕捉を有利に減少させうる。
実施例21
下記実施例には、実施例19のPEG(SS)2系乾燥粉末混合物サンプルから形成された止血用ハイドロゲルの粘弾性が記載されている。レオロジー実験は、各サンプルからの20の止血用ハイドロゲルについて収集された、最大剪断弾性率(G’max)、最大ゲル化速度(maxゲル化速度)、maxゲル化速度の時間、及び5000PaのG’に達する時間を決定するために、実施例11及び12に記載される方法(水性媒体として1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いた)に従って行った。
G’max、maxゲル化速度、maxゲル化速度までの時間、及び5000PaのG’に達する時間の平均値(並びにこれらの標準偏差)が、表28に示される。さらに、表面pH各止血用ハイドロゲルは、sympHony(商標)SB70P(VWR(登録商標)International,Radnor,PA)pH計を備えたOrion(商標)81358BN(Thermo Fisher)pHプローブを用いた方法に従って測定した。これらのデータを、表29に最初に報告された出発HSA溶液のpHと比較した。
Figure 2024500994000041
Figure 2024500994000042
一般に、各止血用ハイドロゲルサンプルのレオロジー特性は、対照サンプル20のレオロジー特性と同等であるか又はより優れていた。たとえば、サンプル13及び対照サンプル19のG’maxのみが、対照サンプル20のG’maxより低く、これは、他の止血用ハイドロゲルが、対照サンプル20と比較した際に、同等に堅く、強かったことを示す。サンプル13及び対照サンプル19のレオロジー特性は、それぞれ6.07及び5.72の表面pHを有していた、これらのゲルについて測定された比較的低いpHに起因すると考えられる。HSAのpHが、この場合調節されなかったため、対照サンプル19の低いpHが予測された。maxゲル化速度の測定において同じ傾向があり、試験サンプル13及び対照サンプル19のmaxゲル化速度が、他のサンプルのmaxゲル化速度より低い。
一般に、maxゲル化速度までの時間は、止血用ハイドロゲルの観察された表面pHに関連する傾向にあった。サンプル12及び13、並びに対照サンプル19は、依然として臨床的に許容される範囲内であるものの、他のサンプルよりmaxゲル化速度に達するのに長くかかった。同様に、より高いpHを有するサンプルは、より低いpHを有するサンプルより早く、G’=5000Paに達する傾向にあった。複数のpH調整されたサンプルは、対照サンプル20(特に、サンプル14、16、及び18)より早く、G’=5000Paに達した。
これらの実施例は、一般に、HSAのpH調整が、個別の固体架橋開始剤としてNaHCOを含むPEG(SS)2系乾燥粉末混合物のゲル化挙動と同等か又はそれを超えるゲル化挙動を補助しうることを実証し、pH調整のより高い程度が、典型的に、より速いゲル化並びにより強いゲルの形成を補助することを示す。
実施例22
下記実施例には、PEG(SS)2系乾燥粉末混合物のための架橋開始剤としてのリン酸二ナトリウム(NaHPO)の使用が記載されている。この実施例では、リン酸二ナトリウムは、250マイクロメートル未満でシーブされ、PEG(SS)2は、500マイクロメートル未満でシーブされ、HSA粉末は、106~500マイクロメートルでシーブされた。得られたブレンドされた乾燥粉末中のリン酸二ナトリウムの重量パーセント(w/w%)が、5w/w%~20w/w%で変化した一方、HSA/PEG(SS)2の重量比は、比較的一定に保たれた。実験を、4つのサンプルを用いて行い、それらの組成物が、表30に要約される。
Figure 2024500994000043
レオロジー実験は、各サンプルからの止血用ハイドロゲルについて収集された、最大剪断弾性率(G’max)、最大ゲル化速度(maxゲル化速度)、maxゲル化速度の時間、及び5000PaのG’に達する時間を決定するために、実施例11及び12に記載される方法に従って行った。G’max、maxゲル化速度、maxゲル化速度までの時間、及び5000PaのG’に達する時間の平均値(並びにこれらの標準偏差)が、表31に示される。測定を、9レプリケートを用いて行った。
Figure 2024500994000044
一般に、これらの結果は、PEG(SS)2系乾燥粉末混合物のゲル化性が、非pH調節対照(実施例19~21の対照サンプル19を参照)と比べて実質的に強化されうること、及び満足のいく性能が、非ガス生成性塩基性緩衝剤(リン酸二ナトリウム)を用いて達成されうることを示す。
サンプル22からの止血用ハイドロゲルは、実施例6に記載のように、修正湿潤領域破裂強度モデルで試験された。平均湿潤領域破裂強度は、92mmHgの標準偏差で、124mmHgであり、これは、形成された止血用ハイドロゲルが、臨床的に許容される基準を満たすこのPEG(SS)2系乾燥粉末混合物を形成することを示す。
実施例23
下記実施例は、個別の固体塩基/塩基性緩衝剤架橋開始剤を含まなかったが、9.0の出発pHを有するpH調整されたHSAを含んでいたPEG(SS)2系乾燥粉末混合物(サンプル25);重炭酸ナトリウム架橋開始剤を含んでいたPEG(SS)2系乾燥粉末混合物(15w/w%、サンプル26);及びリン酸二ナトリウム架橋開始剤を含んでいたPEG(SS)2系乾燥粉末混合物(10w/w%、サンプル27)を用いて調製された止血用ハイドロゲルの特性を比較する。各サンプルの修正湿潤領域破裂強度は、20の止血用ハイドロゲルを用いて、実施例6に記載される方法に従って決定された。これらの実験の結果が、表32に要約される。
Figure 2024500994000045
3つ全てのサンプルは、臨床的に許容される湿潤領域破裂強度を提供し、各サンプルの破裂強度間に統計的に有意な差はなかった。この実施例は、3つ全ての配合物が、満足のいく止血用ハイドロゲルを形成するのに使用されうることを実証する。サンプル25~27の止血効率も、実施例1に記載されるプロトコルに従って、ヘパリン化ブタ脾生検欠損モデルを用いて比較した。この実験の結果が、表33に示される。
Figure 2024500994000046
同様に、これらの実験は、3つ全てのPEG(SS)2系乾燥粉末混合物が、欠損の100%について止血を維持したゲルを形成することが可能であったことを実証し、これは、3つ全ての組成物の臨床的実現可能性を実証している。
本発明のいくつかの実施形態を本明細書に説明及び例示してきたが、本明細書に記載の機能を発揮するための並びに/又は結果及び/又は利点の1つ以上を取得するためのさまざまな他の手段及び/又は構造が当業者であれば容易に予想されるであろう。そのような変更及び/又は修正のそれぞれは、本発明の範囲内にあると見なされる。より一般的には、本明細書に記載のパラメーター、寸法、材料、及び構成はすべて、模範的であることが意図され、且つ実際のパラメーター、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が用いられる具体的な1つ又は複数の用途に依存するであろうことは、当業者であれば容易に分かるであろう。本明細書に記載の本発明の具体的実施形態の多くの均等物は、当業者であれば、分かるか又はルーチンの実験の域を出ることなく確認できるであろう。したがって、以上の実施形態は、単なる例として提示されたものであり、且つ添付の請求項及びその等価物の範囲内で、具体的に記載及び特許請求されたもの以外で本発明を実施しうるものと理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載の各個別の特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法に関する。そのほか、2つ以上のかかる特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法の組合せはいずれも、かかる特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法が互いに矛盾しなければ、本発明の範囲内に含まれる。
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる不定冠詞「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、明らかに相反する指定がされていない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる「及び/又は(and/or)」という語句は、そのように結合された要素の「一方又は両方」、すなわち、いくつかの場合には連結して存在し且つ他の場合には分離して存在する要素を意味するものと理解されるべきである。明らかに相反する指示がない限り、具体的に特定された要素に関連するかしないかにかかわらず、「及び/又は(and/or)」という句により具体的に特定された以外の他の要素が任意に存在していてもよい。そのため、非限定的例として、「A及び/又はB」という参照語は、「~を含む(comprising)」などのオープンエンドの言語と組み合わせて用いられる場合、一実施形態では、BでなくA(任意にB以外の要素を含む)、他の一実施形態では、AでなくB(任意にA以外の要素を含む)、さらに他の一実施形態では、A及びBの両方(任意に他の要素を含む)など、を意味しうる。本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、「又は(or)」は、以上に定義された「及び/又は(and/or)」と同一の意味を有するものと理解されるべきである。たとえば、リスト中の分離したアイテムの場合、「又は(or)」又は「及び/又は(and/or)」は、包括的なものと解釈されるものとする。すなわち、少なくとも1つを含むが、それだけでなく、いくつかの要素又は列挙された要素の2つ以上も含まれ、任意に追加の列挙されていないアイテムも含まれる。明らかに相反する指定がされている用語、たとえば、「~のうちの1つのみ(only one of)」又は「~のうちの厳密に1つ(exactly one of)」又は特許請求の範囲で用いられる場合の「~からなる(consisting of)」は、いくつかの要素又は列挙された要素のうち厳密に1つの要素の包含を意味するであろう。一般的には、本明細書で用いられる「又は(or)」という用語は、「どちらか(either)」、「~のうちの1つ(one of)」、「~のうちの1つのみ(only one of)」、又は「~のうちの厳密に1つ(exactly one of)」などのように排他性の用語が先行する場合、排他的代替物(すなわち「一方又は他方ただし両方ではない」)を表すとのみ解釈されるものとする。特許請求の範囲で用いられる「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許法の分野で用いられるその通常の意味を有するものとする。
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、1つ以上の要素のリストを参照する「少なくとも1つ」という語句は、要素のリスト中のいずれかの1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に列挙されたあらゆる要素の少なくともの1つを含むとは限らず、要素のリスト中の要素のいずれかの組合せが除外されるとは限らない。また、この定義では、具体的に特定された要素に関連するかしないかにかかわらず、「少なくとも1つ」という語句が参照する要素のリスト内に具体的に特定された要素以外の要素が任意に存在してもよいことも許容される。そのため、非限定的例として、「A及びBの少なくとも1つ(at least one of A and B)」(又は等価的に「A又はBの少なくとも1つ(at least one of A or B)」又は等価的に「A及び/又はBの少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、一実施形態では、Bが存在せずに(任意にB以外の要素を含む)、任意に2つ以上のAを含めて、少なくとも1つのA、他の一実施形態では、Aは存在せずに(任意にA以外の要素を含む)、任意に2つ以上のBを含めて、少なくとも1つのB、さらに他の一実施形態では、任意に2つ以上のAを含めて、少なくとも1つのA、及び任意に2つ以上のBを含めて、少なくとも1つのB(任意に他の要素を含む)など、を意味しうる。
特許請求の範囲では、以上の明細書の場合と同様に、「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を担持する(carrying)」、「~を有する(having)」、「~を含有する(containing)」、「~が関与する(involving)」、「~を保持する(holding)」などの移行句はすべて、オープンエンドであることが理解されるべきである。「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみは、それぞれ、クローズド又はセミクローズド移行句であるものとする。

Claims (124)

  1. 複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;
    タンパク質を含む第2の成分であって、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる第2の成分と、
    を含み、
    水性液体に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する、乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  2. 式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
    タンパク質を含む第2の成分であって、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる第2の成分と、
    を含み、
    水性液体に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する、乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  3. 複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;
    塩基性状態のタンパク質を含む第2の成分と、
    を含み、
    水性液体に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する、乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  4. 式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
    塩基性状態のタンパク質を含む第2の成分と、
    を含み、
    水性液体に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する、乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  5. 複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;
    少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質を含む第2の成分と;
    を含み、
    水性液体に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する、乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  6. 式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
    少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質を含む第2の成分と;
    を含み、
    水性液体に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて止血用ハイドロゲルを形成する、乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  7. 複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;
    タンパク質を含む第2の成分と、
    を含み、
    0.5gの組成物が、1.0mLの0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルを形成する、乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  8. 式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
    タンパク質を含む第2の成分と、
    を含み、
    0.5gの組成物が、1.0mLの0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルを形成する、乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  9. 前記第1の成分が、式:
    I-(-X-LM-G)
    (式中、
    Xは、2官能性ポリオキシエチレン鎖部分又は結合であり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基であり;
    Iは、多求核性化合物から誘導される多官能性連結部分であり;且つ
    nは、2~10の整数であり、
    ただし、Xが2官能性ポリオキシエチレン鎖部分であり、及びn=2であるとき、-X-I-X-は、式:
    -O-(CH-CH-O-)
    (ここで、aは20~300の整数である)
    により表される2価基フラグメントのポリエチレングリコール(PEG)である)
    の多官能化ポリメリック組成物を含む、請求項1、3、5、及び7のいずれか一項に記載の乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  10. Xが結合であり、
    Iが、LMの官能基と反応可能なn個の官能基を有する多官能性ポリオキシエチレン鎖部分である、請求項9に記載の乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  11. nが2であり、
    Iが、2官能性ポリエチレングリコール(PEG)である、請求項10に記載の乾燥粉末状架橋性止血用組成物。
  12. 水性液体への前記暴露が、出血組織への前記第1の成分及び前記第2の成分の暴露を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  13. 各LMが、同一であり、式-C(O)-、-(CH-C(O)-(ここで、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、基の脂肪族部分は、飽和であっても又は不飽和であってもよい)、-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは2~10の整数である)により表される2官能性連結部分、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基であり;且つ
    各Gが、同一であり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から選択される脱離基である、請求項1~12のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  14. 前記タンパク質が、血清アルブミンを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  15. 前記タンパク質が、ヒト血清アルブミン、組換えヒトアルブミン、及び動物源アルブミンからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  16. 前記タンパク質が、ヒト血清アルブミンである、請求項1~15のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  17. 前記タンパク質が、0.30g/mL以上のタップ粒子密度を有する複数の粒子を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  18. 前記タンパク質が、50ミクロン以上500ミクロン以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になる、請求項1~17のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  19. 前記第1の成分の前記多官能化ポリメリック組成物が、式:
    Figure 2024500994000047
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  20. 前記第1の成分の前記多官能化ポリメリック組成物が、式:
    Figure 2024500994000048
    PEGジスクシンイミジルバレレート
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  21. 前記第1の成分の前記多官能化ポリメリック組成物が、
    Figure 2024500994000049
    PEGテトラスクシンイミジルグルタレート、及び
    Figure 2024500994000050
    PEGテトラスクシンイミジルラクチルグルタレート
    からなる群から選択される多官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  22. 各nが、独立して、10~500である、請求項19~21のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  23. 各nが、独立して、50~200である、請求項19~22のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  24. 前記組成物が、少なくとも第1の乾燥粉末及び第2の乾燥粉末を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  25. 前記組成物が、少なくとも1つの乾燥粉末混合物を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  26. 前記組成物が、前記第1の成分と前記タンパク質との架橋を開始する架橋開始剤を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  27. 前記組成物が、前記第1の成分を含む第1の乾燥粉末、前記タンパク質を含む第2の乾燥粉末、及び前記架橋開始剤を含む第3の乾燥粉末を含む、請求項26に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  28. 前記組成物が、前記第1の成分を含む第1の乾燥粉末及び前記第2の成分を含む第2の乾燥粉末を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  29. 前記架橋開始剤が、塩基及び/又は塩基性緩衝剤を含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  30. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、水溶液中で非ガス生成性である、請求項29に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  31. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、カチオン及びリン酸アニオンを含む塩を含む、請求項29又は30に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  32. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、リン酸ナトリウムを含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  33. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、カチオン及び水酸化物を含む塩を含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  34. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、水酸化ナトリウムを含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  35. 前記組成物が、炭酸アニオン又は重炭酸アニオンを含む緩衝塩の何らかの粉末状塩基性塩を含まない、請求項1~33のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  36. 前記組成物が、何らかの粉末状塩基性塩又は緩衝塩を含まない、請求項1~35のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  37. 前記組成物が、1wt.%以上30wt.%以下の量の前記架橋開始剤を含む、請求項29~36のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  38. 前記タンパク質が、前記架橋開始剤と共にローラーコンパクト化及び/又はグラニュレート化される、請求項29~37のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  39. 前記タンパク質が、前記架橋開始剤上に及び/又はそれを覆うようにスプレー被覆される、請求項29~37のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  40. 前記乾燥粉末混合物が、15wt.%以上40wt.%以下の量の前記第1の乾燥粉末を含む、請求項25~39のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  41. 前記乾燥粉末混合物が、20wt.%以上80wt.%以下の量の前記第2の乾燥粉末を含む、請求項25~40のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  42. 前記乾燥粉末混合物が、20wt.%以上40wt.%以下の量の前記第1の成分及び60wt.%以上80wt.%以下の量の前記第2の成分を含む、請求項25~41のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  43. 前記乾燥粉末混合物が、25wt.%以上35wt.%以下の量の前記第1の成分及び65wt.%以上75wt.%以下の量の前記第2の成分を含む、請求項25~42のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  44. 前記乾燥粉末が、活性剤を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  45. 前記活性剤が、トロンビン及び/又は他の生物剤である、請求項44に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  46. 前記活性剤が、架橋ゼラチン又はデンプン粒子である、請求項44に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  47. 前記活性剤が、抗菌剤である、請求項44に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  48. 前記止血用ハイドロゲルが、10mmHg以上から400mmHg以下の破裂圧力を有する、請求項1~47のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  49. 前記第1の成分が、第1の粉末の形態であり、前記第2の成分が、第2の粉末混合物の形態である、請求項1~48のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  50. 前記組成物が、全血又は生理食塩水に加えられると、15秒間以上130秒間以下の測定架橋時間を有する、請求項1~49のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  51. 前記止血用ハイドロゲルが、少なくとも100mmHgの湿潤領域破裂強度を有する、請求項1~50のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  52. 前記第2の成分が、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる、請求項1~51のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  53. 前記タンパク質が、塩基性状態にある、請求項1~2及び5~52のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  54. 前記タンパク質が、少なくとも部分的に脱プロトン化される、請求項1~4及び7~53のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  55. 前記少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質が、前記タンパク質の少なくとも部分的に溶解された形態を含む調製用水溶液から水を除去し、それによって、前記タンパク質の固体形態を形成することを含む方法によって調製され、前記調製用水溶液が、8以上のpHを有する、請求項5~6及び9~54のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  56. 前記調製用水溶液が、(a)前記タンパク質を水に少なくとも部分的に溶解させること及び(b)pHが8以上になるように得られた溶液のpHを調整することによって調製される、請求項5~6及び9~55のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  57. 前記調製用水溶液から前記水を除去することが、前記調製用水溶液を凍結乾燥させることを含む、請求項5~6及び9~56のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  58. 0.5gの前記組成物が、1.0mLの0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルを形成する、請求項1~6及び9~57のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物。
  59. 前記第1の成分及び前記第2の成分を含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の乾燥粉末状架橋性止血用組成物が形成されうる成分を含有するキットであって;前記第1の成分及び前記第2の成分が、個別にパッケージされる、キット。
  60. 手術による治療の方法に使用するための、請求項1~58のいずれか一項に記載の乾燥粉末状止血用組成物、又は請求項57に記載のキットを用いて調製される、乾燥粉末状止血用組成物。
  61. 手術による前記治療の方法が、前記乾燥粉末状止血用組成物を出血/創傷部位に送達すること及びその出血/創傷部位において止血用ハイドロゲルを形成することを含む、請求項60に記載の使用のための乾燥粉末状止血用組成物。
  62. 前記組成物が、前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減するのに使用される、請求項60又は請求項61に記載の使用のための乾燥粉末状止血用組成物。
  63. 架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
    を含む、出血を抑える方法であって;
    前記架橋性乾燥粉末組成物が、
    複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;
    タンパク質を含む第2の成分であって、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる第2の成分と;
    を含み、
    前記出血/創傷部位に暴露されると、前記乾燥粉末組成物の架橋が可能になって前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる、方法。
  64. 架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
    を含む、出血を抑える方法であって;
    前記架橋性乾燥粉末組成物が、
    式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
    タンパク質を含む第2の成分であって、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる第2の成分と;
    を含み、
    前記出血/創傷部位に暴露されると、前記乾燥粉末組成物の架橋が可能になって前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる、方法。
  65. 架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
    を含む、出血を抑える方法であって;
    前記架橋性乾燥粉末組成物が、
    複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;
    塩基性状態のタンパク質を含む第2の成分と;
    を含み、
    前記出血/創傷部位に暴露されると、前記乾燥粉末組成物の架橋が可能になって前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる、方法。
  66. 架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
    を含む、出血を抑える方法であって;
    前記架橋性乾燥粉末組成物が、
    式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
    塩基性状態のタンパク質を含む第2の成分と;
    を含み、
    前記出血/創傷部位に暴露されると、前記乾燥粉末組成物の架橋が可能になって前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる、方法。
  67. 架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
    を含む、出血を抑える方法であって;
    前記架橋性乾燥粉末組成物が、
    複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;
    少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質を含む第2の成分と;
    を含み、
    前記出血/創傷部位に暴露されると、前記乾燥粉末組成物の架橋が可能になって前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる、方法。
  68. 架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
    を含む、出血を抑える方法であって;
    前記架橋性乾燥粉末組成物が、
    式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
    少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質を含む第2の成分と;
    を含み、
    前記出血/創傷部位に暴露されると、前記乾燥粉末組成物の架橋が可能になって前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある止血用ハイドロゲルになる、方法。
  69. 架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
    を含む、出血を抑える方法であって;
    前記架橋性乾燥粉末組成物が、
    複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分と;
    タンパク質を含む第2の成分と;
    を含み、
    前記出血/創傷部位に暴露されると、前記乾燥粉末組成物の架橋が可能になって、前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある、8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルになる、方法。
  70. 架橋性乾燥粉末組成物を出血/創傷部位に適用すること
    を含む、出血を抑える方法であって;
    前記架橋性乾燥粉末組成物が、
    式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分と;
    タンパク質を含む第2の成分と;
    を含み、
    前記出血/創傷部位に暴露されると、前記乾燥粉末組成物の架橋が可能になって、前記出血/創傷部位での出血を停止又は低減する能力のある、8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルになる、方法。
  71. 複数の求電子基を含む多官能化ポリメリック組成物を含む第1の成分を含む乾燥粉末状架橋性止血用組成物に使用するためのタンパク質を調製する方法であって;
    前記タンパク質の少なくとも部分的に溶解された形態を含む調製用水溶液から水を除去し、それによって、前記タンパク質の固体形態を形成することを含み、前記調製用水溶液が、8以上のpHを有することを特徴とする、方法。
  72. 式:
    G-LM-PEG-LM-G
    (式中、
    PEGは、ポリエチレングリコールであり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基である)
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む第1の成分を含む乾燥粉末状架橋性止血用組成物に使用するためのタンパク質を調製する方法であって;
    前記タンパク質の少なくとも部分的に溶解された形態を含む調製用水溶液から水を除去し、それによって、前記タンパク質の固体形態を形成することを含み、前記調製用水溶液が、8以上のpHを有することを特徴とする、方法。
  73. 前記第1の成分が、式:
    I-(-X-LM-G)
    (式中、
    Xは、2官能性ポリオキシエチレン鎖部分又は結合であり;
    各LMは、式-C(O)-のカーボネート2価基、式-(CH-C(O)-(ここで、bは1~10の整数である)のモノエステル2価基、式-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは1~10の整数であり、この基の脂肪族部分は飽和であっても又は不飽和であってもよい)のジエステル基、式-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)のジカーボネート2価基、式-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、式-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数である)の2価基を含有するアミド、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-、-R-N(H)-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-(CH-C(O)-N(H)-(CH-(ここで、cは1~10の整数であり、dは1~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基からなる群から独立して選択される2官能性連結部分であり;
    各Gは、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルからなる群から独立して選択される脱離基であり;
    Iは、多求核性化合物から誘導される多官能性連結部分であり;且つ
    nは、2~10の整数であり、
    ただし、Xが2官能性ポリオキシエチレン鎖部分であり、及びn=2であるとき、-X-I-X-は、式:
    -O-(CH-CH-O-)
    (ここで、aは20~300の整数である)
    により表される2価基フラグメントのポリエチレングリコール(PEG)である)
    の多官能化ポリメリック組成物を含む、請求項63、65、67、69、及び71のいずれか一項に記載の方法。
  74. Xが結合であり、
    Iが、LMの官能基と反応可能なn個の官能基を有する多官能性ポリオキシエチレン鎖部分である、請求項73に記載の方法。
  75. nが2であり、
    Iが、2官能性ポリエチレングリコール(PEG)である、請求項74に記載の方法。
  76. 前記第1の成分及び前記第2の成分を組み合わせて、単一粉末混合物を形成することをさらに含む、請求項63~75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 前記架橋性乾燥粉末組成物を前記出血/創傷に適用することが、前記組成物を単一粉末混合物として適用することを含む、請求項63~76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 前記架橋性乾燥粉末組成物を前記出血/創傷に適用することが、前記第1の成分を適用し、個別に、前記第2の成分を適用することを含む、請求項63~76のいずれか一項に記載の方法。
  79. 各LMが、同一であり、式-C(O)-、-(CH-C(O)-(ここで、bは1~5の整数である)、-C(O)-(CH-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、基の脂肪族部分は、飽和であっても又は不飽和であってもよい)、-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、dは2~10の整数である)により表される2官能性連結部分、及び式-R-C(O)-、-R-C(O)-(CH-C(O)-、又は-R-C(O)-O-(CH-O-C(O)-(ここで、cは2~10の整数であり、dは2~10の整数であり、Rは、1~10個のモノメリックなラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン又はp-ジオキサノンフラグメントを有するポリマー又はコポリマーである)により表されるオリゴメリック2価基であり;且つ
    各Gが、同一であり、N-オキシスクシンイミジル、N-オキシスルホスクシンイミジル、N-オキシマレイミジル、N-オキシフタルイミジル、ニトロフェノキシ、N-オキシイミダゾリル、及びトレシルの群から選択される脱離基である、請求項63~78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記タンパク質が、血清アルブミンを含む、請求項63~79のいずれか一項に記載の方法。
  81. 前記タンパク質が、ヒト血清アルブミン、組換えヒトアルブミン、及び動物源アルブミンからなる群から選択される、請求項63~80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 前記タンパク質が、ヒト血清アルブミンである、請求項63~81のいずれか一項に記載の方法。
  83. 前記タンパク質が、0.30g/mL以上のタップ粒子密度を有する複数の粒子を含む、請求項63~82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記タンパク質が、50ミクロン以上500ミクロン以下の粒子サイズを有する粒子から本質的になる、請求項63~83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記第1の成分の前記多官能化ポリメリック組成物が、式:
    Figure 2024500994000051
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む、請求項63~84のいずれか一項に記載の方法。
  86. 前記第1の成分の前記多官能化ポリメリック組成物が、式:
    Figure 2024500994000052
    PEGジスクシンイミジルバレレート
    の2官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む、請求項63~85のいずれか一項に記載の方法。
  87. 前記第1の成分の前記多官能化ポリメリック組成物が、
    Figure 2024500994000053
    PEGテトラスクシンイミジルグルタレート、及び
    Figure 2024500994000054
    PEGテトラスクシンイミジルラクチルグルタレート
    からなる群から選択される多官能化ポリアルキレンオキサイド系成分を含む、請求項63~86のいずれか一項に記載の方法。
  88. 各nが、独立して、10~500である、請求項85~87のいずれか一項に記載の方法。
  89. 各nが、独立して、50~200である、請求項85~88のいずれか一項に記載の方法。
  90. 前記組成物が、少なくとも第1の乾燥粉末及び第2の乾燥粉末を含む、請求項63~89のいずれか一項に記載の方法。
  91. 前記組成物が、少なくとも1つの乾燥粉末混合物を含む、請求項63~90のいずれか一項に記載の方法。
  92. 前記組成物が、前記第1の成分と前記タンパク質との架橋を開始する架橋開始剤を含む、請求項63~91のいずれか一項に記載の方法。
  93. 前記組成物が、前記第1の成分を含む第1の乾燥粉末、前記タンパク質を含む第2の乾燥粉末、及び前記架橋開始剤を含む第3の乾燥粉末を含む、請求項92のいずれか一項に記載の方法。
  94. 前記組成物が、前記第1の成分を含む第1の乾燥粉末及び前記第2の成分を含む第2の乾燥粉末を含む、請求項63~82のいずれか一項に記載の方法。
  95. 前記架橋開始剤が、塩基及び/又は塩基性緩衝剤を含む、請求項92~94のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、水溶液中で非ガス生成性である、請求項95のいずれか一項に記載の方法。
  97. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、カチオン及びリン酸アニオンを含む塩を含む、請求項95~96のいずれか一項に記載の方法。
  98. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、リン酸ナトリウムを含む、請求項95~97のいずれか一項に記載の方法。
  99. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、カチオン及び水酸化物を含む塩を含む、請求項95~98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 前記塩基及び/又は塩基性緩衝剤が、水酸化ナトリウムを含む、請求項95~99のいずれか一項に記載の方法。
  101. 前記組成物が、炭酸アニオン又は重炭酸アニオンを含む緩衝塩の何らかの粉末状塩基性塩を含まない、請求項63~100のいずれか一項に記載の方法。
  102. 前記組成物が、何らかの粉末状塩基性塩又は緩衝塩を含まない、請求項63~101のいずれか一項に記載の方法。
  103. 前記組成物が、1wt.%以上30wt.%以下の量の前記架橋開始剤を含む、請求項92~102のいずれか一項に記載の方法。
  104. 前記タンパク質が、前記架橋開始剤と共にローラーコンパクト化及び/又はグラニュレート化される、請求項92~103のいずれか一項に記載の方法。
  105. 前記タンパク質が、前記架橋開始剤上に及び/又はそれを覆うようにスプレー被覆される、請求項92~104のいずれか一項に記載の方法。
  106. 前記乾燥粉末混合物が、15wt.%以上40wt.%以下の量の前記第1の乾燥粉末を含む、請求項91~105のいずれか一項に記載の方法。
  107. 前記乾燥粉末混合物が、20wt.%以上80wt.%以下の量の前記第2の乾燥粉末を含む、請求項91~106のいずれか一項に記載の方法。
  108. 前記乾燥粉末混合物が、20wt.%以上40wt.%以下の量の前記第1の成分及び60wt.%以上80wt.%以下の量の前記第2の成分を含む、請求項91~107のいずれか一項に記載の方法。
  109. 前記乾燥粉末混合物が、25wt.%以上35wt.%以下の量の前記第1の成分及び65wt.%以上75wt.%以下の量の前記第2の成分を含む、請求項91~108のいずれか一項に記載の方法。
  110. 前記乾燥粉末が、活性剤を含む、請求項92~109のいずれか一項に記載の方法。
  111. 前記活性剤が、トロンビン及び/又は他の生物剤である、請求項110に記載の方法。
  112. 前記活性剤が、架橋ゼラチン又はデンプン粒子である、請求項110に記載の方法。
  113. 前記活性剤が、抗菌剤である、請求項110に記載の方法。
  114. 前記止血用ハイドロゲルが、10mmHg以上から400mmHg以下の破裂圧力を有する、請求項63~113のいずれか一項に記載の方法。
  115. 前記第1の成分が、第1の粉末の形態であり、前記第2の成分が、第2の粉末混合物の形態である、請求項63~114のいずれか一項に記載の方法。
  116. 前記組成物が、全血又は生理食塩水に加えられると、15秒間以上130秒間以下の測定架橋時間を有する、請求項63~115のいずれか一項に記載の方法。
  117. 前記止血用ハイドロゲルが、少なくとも100mmHgの湿潤領域破裂強度を有する、請求項63~116のいずれか一項に記載の方法。
  118. 前記第2の成分が、脱イオン水に溶解されると、得られた溶液の8以上のpHを生じうる、請求項62~117のいずれか一項に記載の方法。
  119. 前記タンパク質が、塩基性状態にある、請求項63~64及び67~118のいずれか一項に記載の方法。
  120. 前記タンパク質が、少なくとも部分的に脱プロトン化される、請求項63~66及び69~119のいずれか一項に記載の方法。
  121. 前記タンパク質の少なくとも部分的に溶解された形態を含む調製用水溶液から水を除去し、それによって、前記タンパク質の固体形態を形成することを含む方法によって、前記少なくとも部分的に脱プロトン化されたタンパク質が調製され、前記調製用水溶液が、8以上のpHを有する、請求項67~68及び71~120のいずれか一項に記載の方法。
  122. 前記調製用水溶液が、(a)前記タンパク質を水に少なくとも部分的に溶解させること及び(b)pHが8以上になるように得られた溶液のpHを調整すること、によって調製される、請求項67~68及び73~121のいずれか一項に記載の方法。
  123. 前記調製用水溶液から前記水を除去することが、前記水溶液を凍結乾燥させることを含む、請求項67~68及び73~122のいずれか一項に記載の方法。
  124. 0.5gの前記組成物が、1.0mLの0.01Mのリン酸緩衝生理食塩水に暴露されると、前記第1の成分と前記第2の成分との架橋が開始されて、8以下の表面pHを有する止血用ハイドロゲルを形成する、請求項63~68及び71~119のいずれか一項に記載の方法。
JP2023539117A 2020-12-28 2021-12-27 タンパク質及び多官能化変性ポリエチレングリコール系架橋剤を含む反応性乾燥粉末状止血用材料 Pending JP2024500994A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063131267P 2020-12-28 2020-12-28
US63/131,267 2020-12-28
PCT/US2021/065204 WO2022146917A1 (en) 2020-12-28 2021-12-27 Reactive dry powdered hemostatic materials comprising a protein and a multifunctionalized modified polyethylene glycol based crosslinking agent

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024500994A true JP2024500994A (ja) 2024-01-10

Family

ID=80001274

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023539117A Pending JP2024500994A (ja) 2020-12-28 2021-12-27 タンパク質及び多官能化変性ポリエチレングリコール系架橋剤を含む反応性乾燥粉末状止血用材料

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20220211900A1 (ja)
EP (1) EP4267210A1 (ja)
JP (1) JP2024500994A (ja)
CN (1) CN116744984A (ja)
CA (1) CA3177039A1 (ja)
MX (1) MX2023007767A (ja)
WO (1) WO2022146917A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11739166B2 (en) 2020-07-02 2023-08-29 Davol Inc. Reactive polysaccharide-based hemostatic agent

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IL47468A (en) 1975-06-12 1979-05-31 Rehovot Res Prod Process for the cross-linking of proteins using water soluble cross-linking agents
US4839345A (en) 1985-03-09 1989-06-13 Nippon Oil And Fats Co., Ltd. Hydrated adhesive gel and method for preparing the same
HUT64022A (en) 1989-04-19 1993-11-29 Enzon Inc Process for producing active polyalkileneoxide carbonates for the modification of polypeptides
US5583114A (en) 1994-07-27 1996-12-10 Minnesota Mining And Manufacturing Company Adhesive sealant composition
USRE38827E1 (en) 1994-07-27 2005-10-11 3M Innovative Properties Company Adhesive sealant composition
US6458147B1 (en) 1998-11-06 2002-10-01 Neomend, Inc. Compositions, systems, and methods for arresting or controlling bleeding or fluid leakage in body tissue
CA2398668C (en) 2000-02-17 2010-06-15 3M Innovative Properties Company Delivery systems using preformed biodegradable polymer compositions and methods
TWI436793B (zh) * 2006-08-02 2014-05-11 Baxter Int 快速作用之乾密封膠及其使用和製造方法
US9002133B2 (en) 2013-02-27 2015-04-07 Sharp Laboratories Of America, Inc. Multi layered image enhancement technique

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022146917A1 (en) 2022-07-07
EP4267210A1 (en) 2023-11-01
CN116744984A (zh) 2023-09-12
US20220211900A1 (en) 2022-07-07
CA3177039A1 (en) 2022-07-07
MX2023007767A (es) 2023-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102143252B1 (ko) 지혈 조성물
US20220323637A1 (en) Reactive dry powdered hemostatic materials comprising a nucleophile and a multifunctional modified polyethylene glycol based crosslinking agent
KR102135484B1 (ko) 지혈 조성물
JP5530934B2 (ja) 接着複合コアセルベートならびにその作製および使用方法
WO2019171215A1 (en) Sealant foam compositions for lung applications
JP4638817B2 (ja) 架橋性多糖誘導体、その製造方法、架橋性多糖組成物および医療用処置材
EP2707042B1 (en) Tissue sealants from plasma derived proteins
WO2008066182A1 (en) Self-degradable adhesive for medical use of two-component reactant system comprising powder-liquid or powder-powder
CN113289052B (zh) 一种可控交联、降解的材料及其应用
JP2024500994A (ja) タンパク質及び多官能化変性ポリエチレングリコール系架橋剤を含む反応性乾燥粉末状止血用材料
US20220001075A1 (en) Flowable hemostatic suspension
US11739166B2 (en) Reactive polysaccharide-based hemostatic agent
ES2961107T3 (es) Polvo hemostático
KR20220035182A (ko) 생체적합성의 유연성 지혈 시트
CN117946413A (en) Fibrin gel independent of thrombin and inspired by mussel protein, and preparation method and application thereof