JP2024114082A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化物表面の残留タック性、および伸びに優れる硬化物が得られる硬化性組成物を提供する。【解決手段】特定の構造を有する、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物、ならびに特定の構造を有する1種以上のシリコン化合物(C)を含む硬化性組成物であり、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.24MPa以上であり、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.20MPa以下である、硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオキシアルキレン系重合体を含む硬化性組成物に関する。
分子中に少なくとも1個の加水分解性シリル基を含有する有機重合体は、室温においても湿分等による反応性ケイ素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるという性質を有することが知られている。上記有機重合体は、シーリング材、接着剤、塗料等の用途に広く使用されている。
例えば、上記有機重合体を含む2液系シーラントは、高級用途に用いられる。このような技術として、例えば、特許文献1には、速硬化性であって、かつ優れた柔軟性と良好な復元性を示す硬化物を得ることができる硬化性組成物として、反応性ケイ素基を1つの末端に平均して1.0個より多く有する反応性ケイ素基含有重合体(A)、一般式(1):RSi-(式中、Rはそれぞれ独立に置換または非置換の1価の炭化水素基または水素原子)で示される基を含有し、加水分解によりRSiOHを生成するシリコン化合物(B)、シラノール縮合触媒(C)、を含有する硬化性組成物が記載されている。
また、特許文献2には、いずれもポリオキシアルキレンの主鎖構造と、前記主鎖構造の末端に結合した末端構造を有する、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物が開示されている。
特開2015-105323号公報 国際公開第2021/200342号
上述した技術は優れたものであるが、硬化物表面の残留タック性、および伸びの観点で、改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、硬化物表面の残留タック性、および伸びに優れる硬化物が得られる硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリオキシアルキレン系重合体を含む硬化性組成物において、特定構造のポリオキシアルキレン系重合体の混合物を用い、特定のモジュラス範囲に調整することで、硬化物表面の残留タック性、および伸びを同時に達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の一態様は、いずれもポリオキシアルキレンの主鎖構造と、前記主鎖構造の末端に結合した末端構造を有する、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物、ならびに1種以上のシリコン化合物(C)を含む硬化性組成物であって、前記末端構造が、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有し、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、前記末端構造を1分子中に2個以上有し、前記ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、前記末端構造を1分子中に1個有し、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)のそれぞれにおいて、前記末端構造中の加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数が、末端構造1個あたり平均して1.0より多く、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.24MPa以上であり、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.20MPa以下であり、前記シリコン化合物(C)が、一般式(1):RSi-(式中、Rはそれぞれ独立に置換または非置換の1価の炭化水素基または水素原子)で示される基を含有し、加水分解によりRSiOHを生成するシリコン化合物(C)である、硬化性組成物(以下、「本硬化性組成物」と称する。)である。
本発明の一態様によれば、硬化物表面の残留タック性、および伸びに優れる硬化物が得られる硬化性組成物を提供することができる。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
〔1.本発明の概要〕
上述の通り、ポリオキシアルキレン系重合体を含む硬化性組成物において、従来の技術では、硬化物表面の残留タック性と伸びとを高いレベルで同時に達成することは困難である場合があった。例えば、特許文献1では、加水分解性シリル基含有リオキシアルキレン系重合体に、特定のシリコン化合物を加えることで、硬化時に組成物内での架橋が抑制され、硬化時のモジュラスを下げることが可能であることが記載されている。一方で、硬化物表面では該化合物の揮発等によりそのキャップ効果が阻害され、ポリマー本来のモジュラスに近い硬化物となる。
ここで、モジュラスは高い方が、タック(べたつき)が小さくなり、好ましい。一方、モジュラスが高いと伸びが低下する傾向であるため、配合物内部でのモジュラスは低いことが好ましい。そのため、ポリマーのモジュラスを一定以上とし、該化合物添加時のモジュラスを一定以下とすることで、タックと伸びをある程度両立させられるが、特許文献1等に記載の技術範囲では、両者の高レベルでの発揮には不十分であった。また、これらと同時に、硬化物の優れた復元性、耐久性および低モジュラス性を発揮することも困難であった。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ポリオキシアルキレン系重合体を含む硬化性組成物において、特定構造のポリオキシアルキレン系重合体の混合物を用い、特定のモジュラス範囲に調整することにより、硬化物表面の残留タック性、および伸びを同時に発揮できることを初めて見出した。より具体的には、特定の構造を有する、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物、ならびに特定の構造を有する1種以上のシリコン化合物(C)を含み、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.24MPa以上であり、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.20MPa以下である、硬化性組成物を調製することにより、上記物性を同時に発揮できることを初めて見出した。さらに、本発明者らは、上記構成により、硬化物の優れた復元性、耐久性および低モジュラス性を発揮できることも初めて見出した。
このように、硬化物表面の残留タック性と伸びの両立に加え、さらに復元性と耐久性に優れ、かつ、低モジュラスの硬化物が得られる硬化性組成物は、従来知られていなかったものであり、加水分解性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体を含む組成物を用いる分野において、極めて有用である。以下、本硬化性組成物の構成について詳説する。
〔2.硬化性組成物〕
本硬化性組成物は、特定の構造を有する、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物、ならびに特定の構造を有する1種以上のシリコン化合物(C)を含む。
(ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物)
本硬化性組成物における混合物に含まれるポリオキシアルキレン系重合体(A)と、ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、それぞれ、ポリオキシアルキレンの主鎖構造と、該主鎖構造の末端に結合した末端構造を有する。なお、本硬化性組成物における混合物とは、実質的に、ポリオキシアルキレン系重合体(A)とポリオキシアルキレン系重合体(B)のみを含むものを指す。
前記主鎖構造とは、オキシアルキレン繰り返し単位から構成される重合体主鎖のことをいう。主鎖構造は、直鎖状のものであってもよいし、分岐鎖状のものであってもよい。前記主鎖構造は、オキシアルキレン繰り返し単位のみから構成される重合体主鎖であるか、または、オキシアルキレン繰り返し単位に加えて、重合時に使用される開始剤に由来する構造を含み、これらのみから構成される重合体主鎖であることが好ましい。ここで、オキシアルキレン繰り返し単位とは、ポリエーテルを構成する繰り返し単位を指し、例えば、炭素数2~6、好ましくは炭素数2~4のオキシアルキレン単位のことをいう。
ポリオキシアルキレンの主鎖構造としては特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレン共重合体等が挙げられる。好ましくはポリオキシプロピレンである。主鎖構造としては、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖構造と、ポリオキシアルキレン系重合体(B)の主鎖構造は同一でもよいし、異なっていてもよい。
前記末端構造とは、前記主鎖構造を構成するオキシアルキレン繰り返し単位を含まない部位であって、前記主鎖構造の末端に結合した部位を指す。前記末端構造は、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有するものである。加水分解性シリル基、末端オレフィン基、内部オレフィン基のいずれも含まない末端基(例えば、主鎖構造の末端に結合したブチル基等)は、前記末端構造に該当しないものとする。
例えば、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖構造が直鎖状の場合、前記末端構造は重合体(A)1分子あたり最大2個存在する。重合体(A)の主鎖構造が分岐鎖状の場合、例えば前記分岐鎖が3分岐鎖の場合、末端構造は重合体(A)1分子あたり最大3個存在し、また、分岐鎖の構造によっては3個以上存在し得る。また、重合体(A)の主鎖構造が直鎖状と分岐鎖状の混合物である場合には、重合体1分子あたりの末端構造の数は平均して2~3の間の数値になり得る。前記末端構造は、酸素原子を介して、前記主鎖構造の末端に位置するオキシアルキレン単位に結合していることが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)は、それぞれ、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基と内部オレフィン基のいずれか一方または双方とを有する末端構造を持つ。末端構造が加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有するとは、重合体に含まれる個々の末端構造が全て、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有することを意味するのではなく、多数の重合体分子を含む重合体(A)または(B)の総体において、末端構造が加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有していればよいことを意味する。即ち、重合体(A)または(B)に含まれるある1分子中の末端構造は、加水分解性シリル基のみを有し、末端オレフィン基または内部オレフィン基を有しないものであってもよいし、また、末端オレフィン基と内部オレフィン基のいずれか一方または双方を有するが、加水分解性シリル基を有しないものであってもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、前記末端構造を1分子中に2個以上有する重合体である。重合体(A)1分子当たりの前記末端構造の数の上限値は特に限定されないが、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、前記末端構造を1分子中に2個有する重合体であることが特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)が直鎖状の主鎖構造を有する場合、分子鎖末端は2個存在するが、その2個の分子鎖末端がいずれも、前記末端構造を含むことで、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は前記末端構造を1分子中に2個有することになる。このような直鎖状の主鎖構造を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)は、例えば、1分子中に水酸基を2個有する開始剤の存在下でエポキシ化合物を重合した後、加水分解性シリル基を導入する一段階または二段階以上の反応を行うことで製造できる。
また、ポリオキシアルキレン系重合体(A)が分岐鎖状の主鎖構造を有する場合、分子鎖末端は3個以上存在するが、そのうちの少なくとも2個の分子鎖末端(好ましくは、全ての分子鎖末端)が前記末端構造を含むことで、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は前記末端構造を1分子中に2個以上有することになる。このような分岐鎖状の主鎖構造を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)は、例えば、1分子中に水酸基を3個以上有する開始剤の存在下でエポキシ化合物を重合した後、加水分解性シリル基を導入する一段階または二段階以上の反応を行うことで製造できる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、直鎖状の主鎖構造を有する重合体であることが好ましい。しかし、ポリオキシアルキレン系重合体(A)として、分岐鎖状の主鎖構造を有する重合体を使用してもよいし、直鎖状の主鎖構造を有する重合体と、分岐鎖状の主鎖構造を有する重合体を併用してもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、前記末端構造を1分子中に1個のみ有する重合体である。このようなポリオキシアルキレン系重合体(B)は、例えば、1分子中に水酸基を1個のみ有する開始剤の存在下でエポキシ化合物を重合した後、加水分解性シリル基を導入する一段階または二段階以上の反応を行うことで製造できる。これにより得られるポリオキシアルキレン系重合体は、1つの分子鎖末端に、前記開始剤に由来する構造を含む。例えば、開始剤としてブタノールを用いた場合、得られるポリオキシアルキレン系重合体は、1つの分子鎖末端にブチル基を含む。このような開始剤に由来する構造は、加水分解性シリル基、末端オレフィン基、内部オレフィン基のいずれも含まない前記末端基に該当する。
尚、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを含む前記末端構造を有することに加えて、加水分解性シリル基、末端オレフィン基、内部オレフィン基のいずれも含まない前記末端基を有してもよいし、有しなくてもよい。一方、ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、前記末端構造と、前記末端基の双方を有する。
前記加水分解性シリル基とは、加水分解および脱水縮合することによりシロキサン結合を形成し互いに結合し得るシリル基をいう。ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)はそれぞれ、当該加水分解性シリル基を有することで、脱水縮合反応に基づく硬化性を示す。ポリオキシアルキレン系重合体(A)が有する加水分解性シリル基と、ポリオキシアルキレン系重合体(B)が有する加水分解性シリル基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
当該加水分解性シリル基は、具体的には、下記一般式(1):
-(Si(R 2-b)(Y’)O)SiR 3-a ・・・(1)
で表すことができる。式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1~20の置換または非置換の一価の炭化水素基、または、(R’)SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を表す。R’は、同一または異なって、炭素数1~20の置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。YおよびY’は、同一または異なって、水酸基または加水分解性基を表す。aは、0、1、2または3を表す。bは、0、1または2を表すが、mが2以上の場合、bとしては異なる数字が併存してもよい。mは、0~19の整数を表す。但し、a+m×bは1以上の整数を表す。
またはRが表す炭素数1~20の置換または非置換の一価の炭化水素基において、前記炭素数は1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3がより更に好ましく、1または2が特に好ましい。前記炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基としては特に限定されないが、例えば、クロロ基等のハロゲン基、メトキシ基等のアルコキシ基、N,N-ジエチルアミノ基等のアミノ基等が挙げられる。
前記トリオルガノシロキシ基におけるR’は、炭素数1~20の置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。前記炭素数は1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3がより更に好ましく、炭素数1または2が特に好ましい。前記炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基としては特に限定されないが、例えば、クロロ基等のハロゲン基、メトキシ基等のアルコキシ基、N,N-ジエチルアミノ基等のアミノ基等が挙げられる。3個のR’は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
およびRとしては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-ドデシル基等の無置換のアルキル基;クロロメチル基、メトキシメチル基、N,N-ジエチルアミノメチル基等の置換アルキル基;ビニル基、イソプロペニル基、アリル基などの不飽和炭化水素基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トルイル基、1-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;R’がメチル基、フェニル基等である(R’)3SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基であり、特に好ましくは、メチル基である。RおよびRとしては、一種類の基のみを使用してよいし、二種類以上の基を併用してもよい。
YおよびY’としては、例えば、水酸基、水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。前記のアルコキシ基等は、置換基を有していてもよい。加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。YおよびY’としては、それぞれ、一種類の基のみを使用してよいし、二種類以上の基を併用してもよい。
mは上述のとおり0~19の整数を表すが、0を表すことが好ましい。mが0の時、前記一般式(1)は、下記一般式(2):
-SiR 3-a ・・・(2)
で表される。この一般式(2)においてはaは1、2または3を表す。
一般式(2)で表される加水分解性シリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2-プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメトキシエチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基等が挙げられる。なかでも、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基は、高い反応性を示し、良好な機械物性を有する硬化物が得られるため好ましい。反応性の観点からは、トリメトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基がより好ましい。安定性の観点からは、メチルジメトキシシリル基、トリエトキシシリル基がより好ましく、トリエトキシシリル基がさらに好ましい。また、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基は、製造が容易であるためより好ましい。中でも、メチルジメトキシシリル基が最も好ましい。
前記一般式(2)において、重合体の貯蔵安定性および反応性と、硬化物の柔軟性を両立させるため、aは2を表すことが好ましい。aが2の時、前記一般式(2)は、下記一般式(3):
-SiR ・・・(3)
で表される。式中、RとYはそれぞれ上述したものである。ただし、前記一般式(1)または(2)において、異なるaを有する2種類以上の加水分解性シリル基を併用してもよい。
前記末端オレフィン基とは、メチリデン基(HC=)を有する炭素-炭素二重結合のことをいい、具体的には、下記一般式(4):
C=C(R)-CH- ・・・(4)
で表すことができる。式(4)中、Rは、水素、または、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数6~10のアリール基、置換または非置換の炭素数7~10のアラルキル基を表す。前記アルキル基の炭素数は1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1または2が特に好ましい。前記アリール基の炭素数は6~8が好ましく、6~7がより好ましい。前記アラルキル基の炭素数は7~8がより好ましい。前記アルキル基、アリール基、またはアラルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては特に限定されないが、例えば、クロロ基等のハロゲン基、メトキシ基等のアルコキシ基、N,N-ジエチルアミノ基等のアミノ基が挙げられる。
としては、例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。特に、Rとしては、水素、アルキル基が好ましく、水素、メチル基、エチル基がより好ましく、水素、メチル基がさらに好ましい。また、重合体中に複数存在するRは、互いに同じでも異なっていてもよい。
前記内部オレフィン基とは、メチリデン基(HC=)を有しない炭素-炭素二重結合のことをいい、具体的には、下記一般式(5):
C-C(R)=CH- ・・・(5)
で表すことができる。式(5)中のRは、通常、前記式(4)中のRと同じ基を表すが、Rの定義の範囲内で、式(4)中のRとは異なる基を表してもよい。また、重合体中に複数存在するRは、互いに同じでも異なっていてもよい。
当該内部オレフィン基は、後述するように、前記末端オレフィン基の内部転移反応により生成し得る基である。末端オレフィン基がアリル基(R=H)の場合、これの内部転移反応により生成する内部オレフィン基は、1-プロペニル基である。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)は、それぞれ、その末端構造中に、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有するものであるが、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)のそれぞれにおいて、前記末端構造中の加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数は、末端構造1個あたり平均して1.0より多い。重合体(A)および(B)それぞれにおける前記合計数は、1.1以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、1.8以上が特に好ましい。前記合計数の上限値は限定されないが、10以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、3以下が特に好ましい。尚、ポリオキシアルキレン系重合体(A)における前記合計数と、ポリオキシアルキレン系重合体(B)における前記合計数は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記末端構造1個あたりの加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数は、当業者が適宜決定することができる。一例として、後述のように水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)に、末端オレフィン基を有するエポキシ化合物を反応させ、次いで、末端オレフィン基を有する有機ハロゲン化物を反応させる方法を経てポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または(A)と(B)の混合物を製造する場合には、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)が有する水酸基に対する前記エポキシ化合物の当量数(前記エポキシ化合物によって導入されるオレフィン基の個数)に、1(前記有機ハロゲン化物によって導入されるオレフィン基の個数)を合計することで、前記合計数を算出することができる。その他、前記合計数は、本発明のポリオキシアルキレン系重合体(A)および/または(B)やその前駆中間体の、H NMRや滴定によるヨウ素価/水酸基価等の分析によっても算出することができる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)が有する、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有する末端構造の具体的な構造は、特に限定されないが、加水分解性シリル基と末端オレフィン基とを有する末端構造の一例として、下記一般式(6):
を示すことができる。また、別の例として、下記一般式(7):
を示すことができる。一般式(6)および(7)中の左端の酸素原子は、ポリオキシアルキレンの主鎖構造の末端に位置するオキシアルキレン単位中の酸素を示す。当該一般式(6)および(7)では、加水分解性シリル基として前述した一般式(2)で表される基を示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(6)および(7)中、dおよびeは、それぞれ、0以上の整数を表すが、dとeの合計は末端構造1個あたり平均して0より大きい。当該dとeの合計は0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、0.8以上が特に好ましい。また、前記dとeの合計は9以下が好ましく、6以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、2以下が特に好ましい。
およびRはそれぞれ上述したものである。各式中に複数存在するRまたはRは、互いに同じでも異なっていてもよい。
一般式(6)および(7)中、Rは、直接結合、または、酸素原子を有していてもよい炭素数1~6の2価の有機基を表す。該有機基の炭素数は1~4が好ましく、1~2がより好ましく、2がさらに好ましい。Rとしては、酸素原子を有していてもよい炭素数1~6の2価の有機基が好ましく、-CH-、-CHO-、-CHOCH-、-C(=O)-O-CH-がより好ましく、-CHOCH-がさらに好ましい。複数存在するRは、互いに同じでも異なっていてもよい。
一般式(6)および(7)中、Rは、直接結合、または、酸素原子を有していてもよい炭素数1~6の2価の有機基を表す。該有機基の炭素数は1~4が好ましく、1~2がより好ましく、1がさらに好ましい。R5としては、直接結合、炭素数1~6の2価の炭化水素基が好ましく、直接結合、-CH-、-CHCH-がより好ましく、直接結合、-CH-がさらに好ましく、-CH-が特に好ましい。
一般式(6)で表される末端構造は、(e+1)個の加水分解性シリル基を有し、d個の末端オレフィン基を有する。一般式(7)で表される末端構造は、e個の加水分解性シリル基を有し、(d+1)個の末端オレフィン基を有する。一般式(6)または(7)中に示した、d個の末端オレフィン基含有単位と、e個の加水分解性シリル基含有単位が、それぞれ、後述する末端オレフィン基を有するエポキシ化合物に由来する部位に相当する。
一般式(6)または(7)で表される末端構造は、主鎖構造の1つの末端に結合した1つの末端構造を表すものである。式(6)または(7)中には複数個の加水分解性シリル基および/または末端オレフィン基が示されているが、式(6)または(7)はそれぞれ、2以上の末端構造を示すものではなく、1つの末端構造を示すものであり、1つの末端構造の中に、複数個の加水分解性シリル基および/または末端オレフィン基が存在していることを示している。また、式(6)または(7)中には、主鎖構造を構成するオキシアルキレン繰り返し単位は示していない。つまり、式(6)または(7)中にd個またはe個存在するカッコ内の構造は、主鎖構造を構成するオキシアルキレン繰り返し単位に該当するものではない。
これらの一般式はあくまで説明のための例にすぎず、本発明における末端構造はこれらの化学構造に限定されるものではない。一般式(6)および(7)に含まれる末端オレフィン基は、内部オレフィン基であってもよい。特に、複数存在する末端オレフィン基の一部は、内部オレフィン基であってもよい。また、d個の末端オレフィン基含有単位と、e個の加水分解性シリル基含有単位の結合順序は一般式(6)および(7)で示した順序に限定されない。ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)が有する末端構造の具体的な構造式は、単一のものに限定されず、通常、種々の構造式が併存し得る。一般式(6)で表される末端構造と一般式(7)で表される末端構造も併存していてよい。また、ポリオキシアルキレン系重合体(A)が有する末端構造と、ポリオキシアルキレン系重合体(B)が有する末端構造は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本硬化性組成物における混合物中のポリオキシアルキレン系重合体(A)と(B)の割合(混合比)は特に限定されないが、重量比で、95:5~50:50が好ましく、90:10~65:35がより好ましく、80:20~60:40がさらに好ましい。なお、本発明のポリオキシアルキレン系重合体(A)と(B)はそれぞれ1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)と(B)それぞれの数平均分子量は、特に限定されないが、製造コストと重合体の作業性を両立する観点から、GPCにおけるポリスチレン換算分子量において好ましくは3000~100000、より好ましくは3000~50000であり、さらに好ましくは3000~30000である。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の、GPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量は、25000以下であることが好ましく、22000以下であることがより好ましく、20000以下であることがさらに好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の、GPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量が25000以下であると、作業性の面で利点を有する。また、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の、GPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量の下限値は、特に限定されないが、例えば、5000以上であり、7000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の、GPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量が5000以上であると、硬化物の柔軟性の面で利点を有する。ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の、GPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量は、実施例に記載の測定条件に基づき測定される。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)と(B)それぞれの分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、狭いことが好ましい。具体的には2.0未満が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましい。また、硬化物の耐久性や伸びを向上させる等、各種機械的物性を向上させる観点からは、1.2以下が好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、GPC測定により求められる数平均分子量と重量平均分子量から算出することができる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物は、硬化物表面の残留タック性を向上させる観点から、該混合物の硬化物の100%モジュラスは、0.24MPa以上であり、0.25MPa以上であることが好ましく、0.26MPa以上であることがより好ましい。一方で、硬化物の伸びをさらに向上させる観点から、前記混合物の硬化物の100%モジュラスは、0.35MPa以下であることが好ましく、0.32MPa以下であることがより好ましく、0.30MPa以下であることがさらに好ましい。ここで、前記混合物の硬化物の100%モジュラスは、実施例に記載の測定条件に基づき測定される値である。
また、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物は、硬化物の復元性や耐久性の観点から、該混合物の硬化物の100%モジュラスは、例えば、0.05MPa以上であり、0.06MPa以上であることが好ましく、0.08MPa以上であることがより好ましい。一方で、伸びを向上させる観点から、前記混合物の硬化物の100%モジュラスは、0.20MPa以下であり、0.18MPa以下であることが好ましく、0.16MPa以下であることがより好ましい。ここで、前記混合物の硬化物の100%モジュラスは、実施例に記載の測定条件に基づき測定される値である。
(ポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または重合体(A)と(B)の混合物の製造方法)
次にポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または重合体(A)と(B)の混合物を製造する方法について説明する。尚、前記混合物を製造するには、ポリオキシアルキレン系重合体(A)と(B)をそれぞれ個別に合成した後、両重合体を混合してもよいし、一つの系でポリオキシアルキレン系重合体(A)と(B)を同時に合成することもできる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または、一つの系でポリオキシアルキレン系重合体(A)と(B)を同時に合成する場合の重合体(A)と(B)の混合物は、いずれも、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)に対し、水酸基の反応性を利用して、末端構造1個あたり平均して1.0より多い個数の末端オレフィン基を導入した後、該末端オレフィン基との反応性を有する加水分解性シリル基含有化合物を反応させて加水分解性シリル基を導入することで製造できる。
以下、ポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または重合体(A)と(B)の混合物を製造する方法を具体的に説明するが、以下の記載に限定されるものではない。まず、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)に対し、末端オレフィン基を有するエポキシ化合物(8)を反応させ、さらに、末端オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(10)を反応させて、重合体の末端構造1個あたり平均して1.0より多い個数の末端オレフィン基を導入する。次に、該末端オレフィン基に対し、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(12)をヒドロシリル化反応させることで、加水分解性シリル基を末端構造に導入してポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または重合体(A)と(B)の混合物を得る。以上の製造方法において、重合体の末端構造の反応は、例えば、次の反応式により表すことができる。なお、式中、Xはハロゲンを表し、Mはアルカリ金属を表す。
内部オレフィン基は、前記ヒドロシリル化反応の際に副反応として、末端オレフィン基が内部転移反応(異性化)することで生成し得る。生成した内部オレフィン基はヒドロシリル化活性が低いため、ヒドロシリル化反応においてヒドロシラン化合物と反応することなく、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および/または(B)に残留することになる。
以下、ポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または重合体(A)と(B)の混合物を製造する方法の一実施形態を詳述するが、ポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または重合体(A)と(B)の混合物を製造する方法は以下の記載に限定されるものではない。
<重合>
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖構造は、従来公知の方法によって、水酸基を有する開始剤にエポキシ化合物を重合させることで形成することができ、これによって水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)が得られる。具体的な重合方法としては特に限定されないが、分子量分布(Mw/Mn)の小さい水酸基末端重合体が得られることから、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体等の複合金属シアン化物錯体触媒を用いた重合方法が好ましい。
水酸基を有する開始剤としては特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、低分子量のポリオキシプロピレングリコール、低分子量のポリオキシプロピレントリオール、ブタノール、アリルアルコール、低分子量のポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、低分子量のポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル等の、水酸基を1個以上有する有機化合物が挙げられる。
水酸基を有する開始剤として、1分子中に水酸基を2個以上有する開始剤と、1分子中に水酸基を1個有する開始剤の混合物を使用し、該混合物の存在下でエポキシ化合物を重合させて主鎖構造を形成することで、2種類の重合体の混合物として、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)を得ることができる。前記1分子中に水酸基を2個以上有する開始剤は、1分子中に水酸基を2個有する開始剤であることが好ましい。例えば、1分子中に水酸基を2個有する開始剤と、ブタノールなど1分子中に水酸基を1個有する開始剤の混合物を使用した場合、得られる水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)は、水酸基を両末端に有するポリオキシアルキレン系重合体と、水酸基を片末端に有するポリオキシアルキレン系重合体の混合物となる。この後、後述する末端オレフィン基の導入工程および加水分解性シリル基の導入工程を実施して末端構造を形成することで、1つの系中で、重合体(A)と(B)の混合物を合成することができる。
また、水酸基を有する開始剤として、水酸基を2個以上有する有機化合物のみを使用すれば、重合体(A)が合成され、水酸基を1個有する有機化合物のみを使用すれば、重合体(B)が合成され得る。
前記エポキシ化合物としては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等が挙げられる。好ましくはプロピレンオキサイドである。
<末端オレフィン基の導入>
末端構造1個あたり平均して1.0より多い個数の末端オレフィン基を導入する方法としては、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)に対しアルカリ金属塩を作用させて末端の水酸基をアルコキシド基に変換した後、まず、末端オレフィン基を有するエポキシ化合物(8)と反応させ、次いで、末端オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(10)を反応させる方法が好ましい。また、アルカリ金属塩の代わりに、複合金属シアン化物錯体触媒を用いることもできる。
前記アルカリ金属塩としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、水酸化セシウム、セシウムアルコキシド等が挙げられる。取り扱いの容易さと溶解性から、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシドがより好ましい。入手性の点で、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。反応性の点で、ナトリウムt-ブトキシドが特に好ましい。アルカリ金属塩は溶剤に溶解した状態で反応に供してもよい。
前記アルカリ金属塩の使用量は、特に限定されないが、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)が有する水酸基に対するモル比として、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましく、0.8以上がより更に好ましい。前記モル比は1.2以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。
前記アルカリ金属塩は、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)が有する水酸基をアルコキシド基に変換するために使用するが、この変換反応を効率的に進行させるために、水分や、ポリオキシアルキレン系重合体以外の水酸基を有する物質を予め反応系中から除去しておくことが好ましい。除去するためには、公知の方法を利用すれば良く、例えば加熱蒸発、減圧脱揮、噴霧気化、薄膜蒸発、共沸脱揮等を利用できる。
アルカリ金属塩を作用させる際の温度は、当業者が適宜設定できるが、50℃以上150℃以下が好ましく、100℃以上145℃以下がより好ましい。アルカリ金属塩を作用させる際の時間としては、10分以上5時間以下が好ましく、30分以上3時間以下がより好ましい。
次いで、前記ポリオキシアルキレン系重合体に対し、末端オレフィン基を有するエポキシ化合物(8)を開環付加反応させることで、末端オレフィン基を有するエポキシ化合物に由来する部位を含む末端構造(9)が形成される。
前記末端オレフィン基を有するエポキシ化合物は、前記反応式中の化学式(8)で表すことができるが、これに限定されない。該エポキシ化合物の具体例としては、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエンモノオキシド、1,4-シクロペンタジエンモノエポキシド等が挙げられ、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。
前記末端オレフィン基を有するエポキシ化合物(8)の使用量は、特に限定されず、目的の末端構造中の加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数や、使用するエポキシ化合物の反応性を考慮して、適宜設定すればよい。具体的には、エポキシ化合物(8)の使用量は、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)が有する水酸基に対するモル比が0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、1.0以上がより更に好ましい。さらに、1.0より大きいことが特に好ましく、1.5以上が最も好ましい。また、前記モル比は9以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、4以下が特に好ましい。
末端オレフィン基を有するエポキシ化合物(8)を開環付加反応させる際の反応温度は、当業者が適宜設定できるが、60℃以上150℃以下が好ましく、100℃以上145℃以下がより好ましい。反応時間は、10分以上5時間以下が好ましく、1時間以上4時間以下がより好ましい。
次いで、末端オレフィン基を有するエポキシ化合物に由来する部位を含む末端構造(9)を有するポリオキシアルキレン系重合体に対し、末端オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(10)を反応させることで、ハロゲンの置換反応によりエーテル結合を形成し、重合体末端のアルコキシド基を、末端オレフィン基に変換する。これにより、末端構造1個あたり平均して1.0より多い個数の末端オレフィン基を有する末端構造(11)が形成される。
前記末端オレフィン基を有する有機ハロゲン化物は、前記反応式中の化学式(10)で表すことができるが、これに限定されない。該有機ハロゲン化物の具体例としては、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、ヨウ化メタリル等が挙げられる。取り扱いの容易さから、塩化アリル、塩化メタリルが好ましい。
前記末端オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(10)の使用量は、特に限定されないが、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体(E)が有する水酸基に対するモル比として、0.7以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。前記モル比は5.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。
前記末端オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(10)を反応させる際の温度は、当業者が適宜設定できるが、50℃以上150℃以下が好ましく、100℃以上145℃以下がより好ましい。反応時間は、10分以上5時間以下が好ましく、20分以上2時間以下がより好ましい。
<加水分解性シリル基の導入>
以上によって得られた末端構造1個あたり平均して1.0より多い個数の末端オレフィン基を有する末端構造(11)を有するポリオキシアルキレン系重合体に対し、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(12)をヒドロシリル化反応させて、末端オレフィン基の一部に対し加水分解性シリル基を導入する。この際、末端オレフィン基の残部は、ヒドロシラン化合物(12)と反応せずに、重合体中に残留させる。また、該ヒドロシリル化反応では、前述したように、副反応により、末端オレフィン基の一部が内部オレフィン基に異性化し得る。以上によって、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基を有する末端構造(6)および/または(7)を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)もしくは(B)、または重合体(A)と(B)の混合物を製造することができる。ヒドロシリル化反応には、簡便に実施できることに加え、加水分解性シリル基の導入量の調整が容易であり、また、得られる重合体の物性が安定している利点がある。
前記加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物は、前記反応式中の化学式(12)で表すことができるが、これに限定されない。前記ヒドロシラン化合物の具体例としては、トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、ジクロロフェニルシラン、(クロロメチル)ジクロロシラン、(メトキシメチル)ジクロロシランなどのハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジメトキシシラン、[(クロロメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン等のアルコキシシラン類;ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシフェニルシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランなどのケトキシメートシラン類、トリイソプロペニロキシシラン、(メトキシメチル)ジイソプロペニロキシシラン等のイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)等が挙げられる。
前記加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(12)の使用量は、特に限定されず、目的の末端構造中の加水分解性シリル基の数や、使用するヒドロシラン化合物の反応性を考慮して適宜設定すればよい。具体的には、ヒドロシリル化反応前のポリオキシアルキレン系重合体が有する末端オレフィン基に対するヒドロシラン化合物のモル比として、40~80%が好ましく、60%~80%がより好ましい。
ヒドロシリル化反応は、反応促進のため、ヒドロシリル化触媒の存在下で実施することが好ましい。ヒドロシリル化触媒としては、コバルト、ニッケル、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の金属や、その錯体等が知られており、これらを用いることができる。具体的には、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコールやアルデヒドやケトン等とからなる塩化白金酸錯体;白金-オレフィン錯体[例えばPt(CH=CH(PPh)、Pt(CH=CHCl];白金-ビニルシロキサン錯体[例えばPt{(vinyl)MeSiOSiMe(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}];白金-ホスフィン錯体[例えばPh(PPh、Pt(PBu];白金-ホスファイト錯体[例えばPt{P(OPh)]等が挙げられる。反応効率の点から、塩化白金酸、白金ビニルシロキサン錯体等の白金触媒が好ましい。
ヒドロシリル化反応の温度条件は、特に限定されず、当業者が適宜設定できるが、反応系の粘度を下げたり、反応性を向上させる目的で、加熱条件下での反応が好ましく、具体的には、50℃~150℃での反応がより好ましく、70℃~120℃での反応がさらに好ましい。反応時間も適宜設定すればよいが、意図しない重合体の縮合反応が進行しないように、温度条件とともに反応時間を調整することが好ましい。具体的には、反応時間は、30分以上5時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましい。
(シリコン化合物(C))
本硬化性組成物においては、硬化物のモジュラスを調整する目的で、シリコン化合物(C)を添加する。シリコン化合物(C)は、下記一般式(8):
Si- ・・・(8)
(式中、Rはそれぞれ独立に置換または非置換の1価の炭化水素基または水素原子)で示される基を含有し、加水分解によりRSiOHを生成する。
その中でも、
QOSiR ・・・(9)
(式中、Rは一般式(8)におけるRと同一であり、Qは炭素数1~20の置換または非置換の1価の炭化水素基)、あるいは
ZNHSiR ・・・(10)
(式中、Rは一般式(8)におけるRと同一であり、Zは炭素数1~20の置換または非置換の1価の有機基)で示されるシリコン化合物を用いることが好ましい。
以下に具体例を示すが、シリコン化合物(C)はこれによって限定されるものではない。
上記一般式(9)で示される化合物としては、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、またはこれらの置換された基が挙げられ、例えば、
などが挙げられる。
上記一般式(10)で示される化合物としては、例えば、
などが挙げられる。
また、特開平11-241029号公報に記載されているトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールあるいはソルビトールなどの水酸基数が3以上の多価アルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物も好適に使用することができる。
また、特開平7-258534号公報に記載されているようなオキシプロピレン重合体の誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物も好適に使用することができる。さらに特開平6-279693号公報に記載されている架橋可能な加水分解性ケイ素含有基と加水分解によりモノシラノール含有化合物となりうるケイ素含有基を有する重合体を使用することもできる。
上記したシリコン化合物(C)の中では、
などの1価のアルコールやフェノールの誘導体が好ましい。また、アルコールのトリメチルシリル誘導体であって分子量が140、好ましくは150以上の化合物が好ましい。特開平11-241029号公報に記載されているトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールあるいはソルビトールなどの水酸基数が3以上の多価アルコールのトリメチルシリル誘導体、特開平7-258534号公報に記載されているようなオキシプロピレン重合体のトリメチルシリル誘導体が望ましい。特に、トリメチロールプロパンのトリメチルシリル誘導体(1,1,1-トリス(トリメチルシロキシメチル)プロパン)とフェノキシトリメチルシラン([化6]の最初の化合物)の混合物も用いることができる。
シリコン化合物(C)の使用量(含有量)は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.1~3.0重量部であることが好ましく、0.2~2.5重量部であることがより好ましく、0.3~2.0重量部であることがさらに好ましく、0.4~1.5重量部であることが特に好ましい。シリコン化合物(C)の使用量(含有量)が、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の合計量に対して、0.1~3.0重量部であると、硬化物の100%モジュラスを適切な範囲に調整しやすいという利点を有する。なお、シリコン化合物(C)が複数使用される場合は、シリコン化合物(C)の使用量(含有量)は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の合計量に対して、その合計量である。
(無機スズ化合物(F))
本硬化性組成物は、さらに、加水分解性シリル基を加水分解・縮合させる反応を促進し、重合体を鎖延長または架橋させる目的で、無機スズ化合物(F)を含有していても良い。
無機スズ化合物としては、例えば、バーサチック酸スズ、2-エチルヘキサン酸スズ、ネオデカン酸スズ、ピバル酸スズ等が挙げられる。硬化速度や着色が少ないという観点から、バーサチック酸スズや2-エチルヘキサンスズが好ましい。
無機スズ化合物に助触媒としてアミン化合物を併用すると、硬化速度が速くなり、また触媒の粘度が低下するため好ましい。アミン化合物としては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7(DBU)等が挙げられる。硬化速度や入手のし易さの観点から、ラウリルアミンやジエチエルアミノプロピルアミンが好ましい。
無機スズ化合物(F)の使用量(含有量)は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、例えば、0.1~20重量部であり、0.5~10重量部であることが好ましく、1~5重量部であることがより好ましい。無機スズ化合物(F)の使用量(含有量)が、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の合計量に対して、0.1~20重量部であると、適度な硬化速度と、硬化後に良好な復元性を示すという利点を有する。
また、助触媒としてのアミン化合物の使用量(含有量)は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の合計量に対して、例えば、0.01~20重量%であり、0.05~10重量%であることが好ましく、0.1~3重量%であることがより好ましい。無機スズ化合物(F)の使用量(含有量)が、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の合計量に対して、0.01~20重量%であると、適度な硬化速度と、硬化後に良好な表面性を示すという利点を有する。
(その他の添加剤)
本硬化性組成物には、加水分解性シリル基を有する重合体(A)の他に添加剤として、シラノール縮合触媒、充填剤、接着性付与剤、可塑剤、溶剤、希釈剤、タレ防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、物性調整剤、粘着付与樹脂、エポキシ基を含有する化合物、光硬化性物質、酸素硬化性物質、エポキシ樹脂、その他の樹脂、を添加しても良い。また、本硬化性組成物には、硬化性組成物または硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、表面性改良剤、発泡剤、硬化性調整剤、難燃剤、シリケート、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、防かび剤などが挙げられる。
<シラノール縮合触媒>
本発明の一実施形態において、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の加水分解性シリル基を加水分解・縮合させる反応を促進し、重合体を鎖延長または架橋させる目的で、無機スズ化合物(F)以外のシラノール縮合触媒を使用しても良い。
シラノール縮合触媒としては、例えば有機錫化合物、カルボン酸金属塩、アミン化合物、カルボン酸、アルコキシ金属、などが挙げられる。
有機錫化合物の具体例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫ビス(ブチルマレエート)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジオクチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジオクチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物などが挙げられる。
カルボン酸金属塩の具体例としては、カルボン酸ビスマス、カルボン酸チタン、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸鉄、カルボン酸カリウム、カルボン酸カルシウムなどが挙げられる。カルボン酸基としては下記のカルボン酸と各種金属を組み合わせることができる。
アミン化合物の具体例としては、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、などのアミン類;ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5(DBN)、などの含窒素複素環式化合物;グアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジンなどのグアニジン類;ブチルビグアニド、1-o-トリルビグアニドや1-フェニルビグアニドなどのビグアニド類;アミノ基含有シランカップリング剤;ケチミン化合物などが挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、バーサチック酸などが挙げられる。
アルコキシ金属の具体例としては、テトラブチルチタネート、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトセテート)などのチタン化合物や、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどのアルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)などのジルコニウム化合物類が挙げられる。
その他のシラノール縮合触媒として、フッ素アニオン含有化合物、光酸発生剤や光塩基発生剤も使用できる。
シラノール縮合触媒は、異なる2種類以上の触媒を併用して使用してもよい。
シラノール縮合触媒の使用量としては、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.001~20重量部が好ましく、更には0.01~15重量部がより好ましく、0.01~10重量部が特に好ましい。
<充填剤>
本硬化性組成物には、種々の充填剤を配合することができる。充填剤としては、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、酸化チタン、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、PVC粉末、PMMA粉末、ガラス繊維およびフィラメント等が挙げられる。上記充填剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
充填剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、1~300重量部が好ましく、特に10~250重量部が好ましい。
組成物の軽量化(低比重化)の目的で、有機バルーン、無機バルーンを添加してもよい。バルーンは、球状体充填剤で内部が中空のものであり、このバルーンの材料としては、ガラス、シラス、シリカなどの無機系の材料、および、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン、サランなどの有機系の材料があげられる
バルーンの使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.1~100重量部が好ましく、特に1~20重量部が好ましい。
<接着性付与剤>
本硬化性組成物には、接着性付与剤を添加することができる。
接着性付与剤としては、シランカップリング剤、シランカップリング剤の反応物を添加することができる。
シランカップリング剤の具体例としては、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、(2-アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シラン類;γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、α-イソシアネートメチルトリメトキシシラン、α-イソシアネートメチルジメトキシメチルシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類、が挙げられる。
また、アミノシランの縮合物、アミノシランと他のアルコキシシランとの縮合物、等の各種シランカップリング剤の縮合物;アミノシランとエポキシシランの反応物、アミノシランと(メタ)アクリル基含有シランの反応物、等の各種シランカップリング剤の反応物も使用できる。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
シランカップリング剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.1~20重量部が好ましく、特に0.5~10重量部が好ましい。
<可塑剤>
本硬化性組成物には、可塑剤を添加することができる。可塑剤の具体例としては、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジヘプチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル化合物;ビス(2-エチルヘキシル)-1,4-ベンゼンジカルボキシレートなどのテレフタル酸エステル化合物;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルなどの非フタル酸エステル化合物;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリブチルなどの脂肪族多価カルボン酸エステル化合物;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの不飽和脂肪酸エステル化合物;アルキルスルホン酸フェニルエステル;リン酸エステル化合物;トリメリット酸エステル化合物;塩素化パラフィン;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニルなどの炭化水素系油;プロセスオイル;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ可塑剤、などをあげることができる。
また、高分子可塑剤を使用することができる。高分子可塑剤の具体例としては、ビニル系重合体;ポリエステル系可塑剤;数平均分子量500以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール、これらポリエーテルポリオールのヒドロキシ基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類;ポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン-アクリロニトリル、ポリクロロプレン等があげられる。
可塑剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、5~150重量部が好ましく、10~120重量部がより好ましく、特に20~100重量部が好ましい。可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<溶剤、希釈剤>
本硬化性組成物には溶剤または希釈剤を添加することができる。溶剤および希釈剤としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、エーテルなどを使用することができる。溶剤または希釈剤を使用する場合、組成物を屋内で使用した時の空気への汚染の問題から、溶剤の沸点は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃以上が特に好ましい。上記溶剤または希釈剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。溶剤および希釈剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、1~50重量部が好ましく、特に3~30重量部が好ましい。
<タレ防止剤>
本硬化性組成物には、必要に応じてタレを防止し、作業性を良くするためにタレ防止剤を添加しても良い。また、タレ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。これらタレ防止剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
タレ防止剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.1~20重量部が好ましい。
<酸化防止剤>
本硬化性組成物には、酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐候性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系が例示できる。酸化防止剤の具体例は特開平4-283259号公報や特開平9-194731号公報にも記載されている。
酸化防止剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、特に0.2~5重量部が好ましい。
<光安定剤>
本硬化性組成物には、光安定剤を使用することができる。光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止できる。光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。
光安定剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、特に0.2~5重量部が好ましい。
<紫外線吸収剤>
本硬化性組成物には、紫外線吸収剤を使用することができる。紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、置換アクリロニトリル系および金属キレート系化合物等が例示できるが、特にベンゾトリアゾール系が好ましく、市販名チヌビンP、チヌビン213、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン329、チヌビン571(以上、BASF製)が挙げられる。
紫外線吸収剤の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、特に0.2~5重量部が好ましい。
<粘着付与樹脂>
本発明の一実施形態において、基材への接着性や密着性を高める目的、あるいはその他必要に応じて粘着付与樹脂を添加できる。粘着付与樹脂としては、特に制限はなく通常使用されているものを使うことが出来る。
具体例としては、テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、キシレン-フェノール樹脂、シクロペンタジエン-フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、キシレン樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、スチレン共重合体樹脂、スチレン系ブロック共重合体およびその水素添加物、石油樹脂(例えば、C5炭化水素樹脂、C9炭化水素樹脂、C5C9炭化水素共重合樹脂等)、水添石油樹脂、DCPD樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
粘着付与樹脂の使用量はポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して2~100重量部が好ましく、5~50重量部であることがより好ましく、5~30部であることがさらに好ましい。2重量部より少ないと基材への接着、密着効果が得られにくく、また100重量部を超えると組成物の粘度が高くなりすぎ取扱いが困難となる場合がある。
<エポキシ基を含有する化合物>
本硬化性組成物においてはエポキシ基を含有する化合物を使用できる。エポキシ基を有する化合物を使用すると硬化物の復元性を高めることができる。エポキシ基を有する化合物としてはエポキシ化不飽和油脂類、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル類、脂環族エポキシ化合物類、エピクロルヒドリン誘導体に示す化合物およびそれらの混合物等が例示できる。具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化あまに油、ビス(2-エチルヘキシル)-4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカーボキシレート(E-PS)、エポキシオクチルステアレ-ト、エポキシブチルステアレ-ト等があげられる。エポキシ化合物はポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して0.5~50重量部の範囲で使用するのがよい。
<光硬化性物質>
本硬化性組成物には光硬化性物質を使用できる。光硬化性物資を使用すると硬化物表面に光硬化性物質の皮膜が形成され、硬化物のべたつきや硬化物の耐候性を改善できる。この種の化合物には有機単量体、オリゴマー、樹脂或いはそれらを含む組成物等多くのものが知られており、代表的なものとしては、アクリル系またはメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマー或いはそれ等の混合物である不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が使用できる。
光硬化性物質はポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して0.1~20重量部、好ましくは0.5~10重量部の範囲で使用するのがよく、0.1重量部以下では耐候性を高める効果はなく、20重量部以上では硬化物が硬くなりすぎて、ヒビ割れを生じる傾向がある。
<酸素硬化性物質>
本硬化性組成物には酸素硬化性物質を使用することができる。酸素硬化性物質には空気中の酸素と反応し得る不飽和化合物を例示でき、空気中の酸素と反応して硬化物の表面付近に硬化皮膜を形成し表面のべたつきや硬化物表面へのゴミやホコリの付着を防止するなどの作用をする。酸素硬化性物質の具体例には、キリ油、アマニ油などで代表される乾性油や、該化合物を変性してえられる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコン樹脂;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3-ペンタジエンなどのジエン系化合物を重合または共重合させてえられる1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエン、C5~C8ジエンの重合体などの液状重合体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
酸素硬化性物質の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して0.1~20重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.5~10重量部である。特開平3-160053号公報に記載されているように酸素硬化性物質は光硬化性物質と併用して使用するのがよい。
<エポキシ樹脂>
本硬化性組成物にはエポキシ樹脂を併用することができる。エポキシ樹脂を添加した組成物は特に接着剤、殊に外壁タイル用接着剤として好ましい。エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂類またはノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらのエポキシ樹脂と、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の使用割合は、重量比で(A)および(B)の混合物/エポキシ樹脂=100/1~1/100の範囲である。
エポキシ樹脂を添加する場合、本硬化性組成物には、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤を併用できる。使用し得るエポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限はなく、一般に使用されているエポキシ樹脂硬化剤を使用できる。
エポキシ樹脂の硬化剤を使用する場合、その使用量はエポキシ樹脂100重量部に対し、0.1~300重量部の範囲が好ましい。
(硬化性組成物の調製)
本硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と有機重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。カラーマスターも併用して多色を揃えやすい点からは、2成分型が好ましい。
前記硬化性組成物が1成分型の場合、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用するか、また配合混練中に減圧などにより脱水するのが好ましい。また、脱水乾燥法に加えてメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物を添加することにより、さらに貯蔵安定性は向上する。脱水剤としては、Evonik社のDynasylan6490などの部分的に縮合したシラン化合物なども、安全性、安定性の観点で好適に使用できる。
脱水剤、特にビニルトリメトキシシランなどの水と反応し得るケイ素化合物の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、0.1~20重量部、好ましくは0.5~10重量部の範囲が好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
すなわち、本発明の一実施形態は、以下である。
<1>いずれもポリオキシアルキレンの主鎖構造と、前記主鎖構造の末端に結合した末端構造を有する、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物、ならびに1種以上のシリコン化合物(C)を含む硬化性組成物であって、
前記末端構造が、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有し、
前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、前記末端構造を1分子中に2個以上有し、
前記ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、前記末端構造を1分子中に1個有し、
前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)のそれぞれにおいて、前記末端構造中の加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数が、末端構造1個あたり平均して1.0より多く、
前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.24MPa以上であり、
前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.20MPa以下であり、
前記シリコン化合物(C)が、一般式(1):RSi-(式中、Rはそれぞれ独立に置換または非置換の1価の炭化水素基または水素原子)で示される基を含有し、加水分解によりRSiOHを生成するシリコン化合物(C)である、硬化性組成物。
<2>前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.35MPa以下である、<1>に記載の硬化性組成物。
<3>前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.30MPa以下である、<1>に記載の硬化性組成物。
<4>前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.08MPa以上0.16MPa以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<5>前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合比が、重量比で95/5~50/50である、<1>~<4>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<6>前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、前記シリコン化合物(C)の含有量が、0.1~2.0重量部である、<1>~<5>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<7>さらに、無機スズ化合物(F)を含有する、<1>~<6>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<8>前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の、GPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量が、25000以下である、<1>~<7>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<9><1>~<8>のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下で言及する「両末端成分」とは、直鎖状のポリオキシプロピレンの両末端のそれぞれに、反応性シリル基、および/または、反応性シリル基を導入可能な基(水酸基、アリル基等)を有するポリオキシプロピレンを指す。「両末端成分」は、前記末端構造を重合体1分子中に2個有することになる。
「片末端成分」とは、直鎖状のポリオキシプロピレンの両末端のうち片方の末端のみに、反応性シリル基、および/または、反応性シリル基を導入可能な基を有しており、もう一方の末端には、反応性シリル基、および反応性シリル基を導入可能な基をいずれも有しないポリオキシプロピレンを指す。「片末端成分」は、前記末端構造を重合体1分子中に1個有することになる。また、両末端成分は、第一態様および第二態様に係るポリオキシアルキレン系重合体(A)に該当し、片末端成分は、第一態様および第二態様に係るポリオキシアルキレン系重合体(B)に該当し得る。
なお、本実施例において、「ポリオキシアルキレン系重合体」は、単に「重合体」と称する場合がある。また、実施例中に記載の数平均分子量は、以下の条件で測定したGPC分子量である:
送液システム:東ソー製HLC-8420GPC
カラム:東ソー製TSKgel SuperHシリーズ
溶媒:THF
分子量:ポリスチレン換算
測定温度:40℃
検出器:RI。
〔合成例〕
(合成例1-1)
数平均分子量約4,000のポリオキシプロピレンジオール、およびn-ブタノールの混合物を開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にて、下記分子量に達するまでプロピレンオキシドの重合を行い、両末端成分と片末端成分を含む数平均分子量が約17,000の水酸基末端ポリオキシプロピレン混合物(E-1)を得た。該ポリオキシプロピレン混合物(E-1)中の、両末端成分/片末端成分の重量比は、およそ7/3であった。
(合成例1-2~1-5)
表1に示すように、数平均分子量約4,000のポリオキシプロピレンジオール、および/またはn-ブタノールを開始剤とし、合成例1と同様の手順を経ることで、水酸基末端ポリオキシプロピレンまたはその混合物(E-2)~(E-5)を得た。
(合成例2-1)
前記水酸基末端ポリオキシプロピレン混合物(E-1)の水酸基に対して1.0当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加して、140℃でメタノールを留去した。続いて、0.9当量のアリルグリシジルエーテルを140℃で添加して、2時間反応させて不飽和結合を導入し、さらに1.5当量の3-クロロ-1-プロペン(塩化アリル)を添加して、末端の水酸基をアリル基に変換した。残存する金属塩等の不純物の除去後、得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン混合物100重量部に対して、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3質量%のイソプロピルアルコール溶液)50ppmおよびメチルジメトキシシラン2.2重量部を加え、90℃で2時間反応させることにより、末端にメチルジメトキシシリル基を有し、両末端成分と片末端成分を含む数平均分子量が17,000のポリオキシプロピレン混合物(AB-1)を得た。ポリオキシプロピレン混合物(AB-1)中の、両末端成分/片末端成分の重量比はおよそ7/3であり、末端構造1個あたりの加水分解性シリル基、末端オレフィン基、内部オレフィン基の合計数は1.9であった。
なお、ポリオキシプロピレン混合物(AB-1)は、末端構造を1分子中に2個有する両末端成分であるポリオキシアルキレン系重合体(A)と、末端構造を1分子中に1個有する片末端成分であるポリオキシアルキレン系重合体(B)の双方を含むものである。各重合体をそれぞれ(A-1)および(B-1)と称することもできるが、同時に製造していることから、便宜上、両重合体の混合物を(AB-1)と称し、一般に重合体混合物(AB)とする。重合体混合物(AB)に含まれるポリオキシアルキレン系重合体(A)及び(B)は、同時に末端変性していることから、各重合体における前記末端構造中の加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数は、混合物全体における前記末端構造中の加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数と同数であると考えることができる。
(合成例2-2~2-10)
表2に示す各水酸基末端重合体(E)を使用し、表2に示すような各原料量にて、合成例2-1と同様の手順を経ることで、末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレンまたはその混合物(AB-2)~(AB-4)、(A-5)、(A-6)、(A’-7)、(A’-8)、(B-5)および(B’-6)を得た。なお、重合体(A’)および重合体(B’)は、それぞれ重合体(A)および重合体(B)と類似構造ながら、前記末端構造中の加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数が、末端構造1個あたり平均して1.0より多くないことにより、重合体(A)および重合体(B)としての要件を満たさない重合体を示す。
(合成例3-1)
前記ポリオキシプロピレン混合物(AB-1)100重量部に対して、1,1,1-トリス(トリメチルシロキシメチル)プロパン(C-1)0.7重量部を添加し、よく混合することにより混合物(D-1)を得た。
(合成例3-2)
前記ポリオキシプロピレン混合物(AB-2)100重量部に対して、フェノキシトリメチルシラン(C-2)1.0重量部を添加し、よく混合することにより混合物(D-2)を得た。
(合成例3-3~3-12)
表3に示す混合比で、各重合体またはその混合物(A)、(B)、(A’)、(B’)、(AB)およびシリコン化合物(C)を使用し、合成例3-1と同様の手順を経ることで、混合物(D-3)~(D-12)を得た。なお、ポリオキシアルキレン系重合体(A)、(A’)、(B)および(B’)を含むものについては、あらかじめこれらを混合後に、シリコン化合物(C)を添加して混合した。
また、混合物(D-1)~(D-12)について、シリコン化合物(C)の添加前後に分けて、以下の記載の方法にて100%モジュラスの測定を行った。その結果も併せて表3に示す。なお、混合物(D-7)、(D-8)は、シリコン化合物(C)を含まないため、シリコン化合物(C)混合後の100%モジュラスは存在しない。
<重合体または混合物の硬化物の100%モジュラスの測定方法>
重合体、または混合物/オクチル酸錫(II)/ラウリルアミン/蒸留水=40/1.2/0.2/0.24(重量比)の混合物を、3mm厚のシート状型枠に充填する。23℃、相対湿度50%下で1時間以上保管した後、70℃の乾燥機内で20時間養生し、シート状硬化物を得る。
得られた硬化物をJIS K 6251に従って3号ダンベル型に打ち抜き試験片を得る。得られた試験片を用い、23℃、相対湿度50%下で、オートグラフを用いて引張試験(引張速度200mm/分)を行い、100%伸長時の応力を測定し、100%モジュラスとする。
〔実施例1~4、比較例1~8〕
上記で得られた各混合物(D)100重量部に対し、膠質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名:カルファイン200M)130重量部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム工業(株)製、商品名:ホワイトンSB)70重量部、ポリプロピレングリコール系可塑剤(Covestro社製、商品名:ACCLAIM POLYOL 12200N)90重量部、反応性可塑剤((株)カネカ製、商品名:サイリルSAT145)10重量部、エポキシ系可塑剤(三菱ケミカル(株)製、商品名:jER828)5重量部、チクソ性付与剤(楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン308)4重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製、商品名:TINUVIN326)1重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン(株)製、商品名:Irganox245)1重量部を計量・混合し、三本ペイントロールでよく混錬しこれを主剤とした。この主剤に、硬化触媒としてオクチル酸錫(日東化成(株)製、商品名:ネオスタンU-28)3重量部とラウリルアミン(東京化成(株)製試薬)0.5重量部を予め混合していたものを加えて均一に混錬し、硬化性組成物を得た。
〔評価方法〕
(残留タック)
23℃50%RHの条件下で、硬化性組成物を3mm程度の厚みになるまでヘラで延ばし広げた。23℃、相対湿度50%下で12日間の養生後、硬化物表面を指で軽く触り、べたつき程度を8段階の整数値で判定した。表4中、8がべたつきが全くない状態で、数字が小さいほどべたつきが大きい。
(ミニダンベル)
23℃、相対湿度50%下で、硬化性組成物を3mm厚のシート状型枠に充填した。23℃、相対湿度50%下で3日間硬化させた後、50℃の乾燥機内で4日間養生し、シート状硬化物を得た。得られた硬化物を23℃、相対湿度50%条件に1時間以上置いた後、JIS K 6251に従って7号ダンベル型に打ち抜き試験片を得た。得られた試験片を用い、23℃、相対湿度50%下で、オートグラフを用いて引張試験(引張速度200mm/分)を行い、破断時伸びと、100%伸張したときのモジュラスを測定した。
(H型引張試験)
JIS A1439(建築用シーリング材の試験方法)に基づき以下の方法にて評価した。陽極酸化アルミ基材にプライマー(セメダイン(株)製、商品名:MP-2000)を塗布し、約30分間放置した後、2つのアルミ基材の間に硬化性組成物が12×12×50mmの形状となるよう充填し、H型試験体を作成した。23℃、50%RHで7日間置き、その後50℃乾燥機で7日間硬化養生させた後、島津(株)製のオートグラフを用いて引張測定を実施した。100%伸張したときのモジュラスを測定した。
(耐久性試験CR90の復元率)
上記の引張試験と同様の硬化養生を施したH型試験体を30%圧縮した状態で90℃乾燥機に入れ、24時間後に取り出して23℃50%RHで圧縮を開放し、24時間後の復元率を測定した。この結果を、復元性の指標とした。
(耐久性試験CR90の判定)
上記のH型試験体を繰り返し試験機に設置し、目地幅を12mmに固定する。23℃50%RH条件で目地幅を±30%の拡大・圧縮繰り返しを5回/分の速度で6000回行う。取り外した試験体の接着破壊や凝集破壊の有無を判定した。この結果を、耐久性の指標とした。
〔評価結果の判断基準〕
残留タックに関して、以下の基準で合格を判断した:
・残留タック:4以上が合格。
また、伸びに関して、以下の基準で評価した:
A:(合格:優良)、840%以上
B:(合格:良)、800%以上840%未満
C:(不合格)、800%未満。
その他の評価項目に関しては、以下を好ましい範囲とした:
・ミニダンベル引張試験の100%モジュラス:0.14MPa以下
・H型引張試験の100%モジュラス:0.16MPa以下
・耐久性試験CR90の復元率:52%以上
・耐久性試験CR90の判定:破壊無し。
〔結果〕
以上の評価によって得られた結果を表4に示す。
表4で示した結果より、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)を含み、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが0.24MPa以上であり、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物の硬化物の100%モジュラスが0.20MPa以下である硬化性組成物は、硬化初期の残留タック性が良好であり、かつ良好な伸びを示すことが分かる。特に、前記ポリオキシアルキレン系重合体(B)の含有により、残留タック性が良好になることが分かる。加えて、良好な復元性および耐久性、かつ低モジュラス性のいずれも発揮されることが分かる。また、実施例4とその他の実施例の比較から、前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが0.30MPa以下の場合は、さらに良好な伸びを示すことが分かる。
本発明の一態様によれば、硬化物表面の残留タック性と伸びを両立し、復元性と耐久性に優れ、かつ、低モジュラスを示す硬化物が得られる硬化性組成物を提供できるため、例えば、塗料、インク、離型剤、接着剤、粘着剤、シーリング材、コーティング材、化粧品等の分野で好適に利用することができる。

Claims (9)

  1. いずれもポリオキシアルキレンの主鎖構造と、前記主鎖構造の末端に結合した末端構造を有する、ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物、ならびに1種以上のシリコン化合物(C)を含む硬化性組成物であって、
    前記末端構造が、加水分解性シリル基と、末端オレフィン基および/または内部オレフィン基とを有し、
    前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、前記末端構造を1分子中に2個以上有し、
    前記ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、前記末端構造を1分子中に1個有し、
    前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)のそれぞれにおいて、前記末端構造中の加水分解性シリル基、末端オレフィン基および内部オレフィン基の合計数が、末端構造1個あたり平均して1.0より多く、
    前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.24MPa以上であり、
    前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.20MPa以下であり、
    前記シリコン化合物(C)が、一般式(1):RSi-(式中、Rはそれぞれ独立に置換または非置換の1価の炭化水素基または水素原子)で示される基を含有し、加水分解によりRSiOHを生成するシリコン化合物(C)である、硬化性組成物。
  2. 前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.35MPa以下である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.30MPa以下である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  4. 前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)、ならびにシリコン化合物(C)の混合物の硬化物の100%モジュラスが、0.08MPa以上0.16MPa以下である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  5. 前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合比が、重量比で95/5~50/50である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  6. 前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物100重量部に対して、前記シリコン化合物(C)の含有量が、0.1~2.0重量部である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  7. さらに、無機スズ化合物(F)を含有する、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  8. 前記ポリオキシアルキレン系重合体(A)および(B)の混合物の、GPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量が、5000以上25000以下である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  9. 請求項1または2に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
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