JP2024103144A - 異種材料同士の接合方法、及び異種材料接合体 - Google Patents

異種材料同士の接合方法、及び異種材料接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストを抑えつつ異種材料を強固に接合した信頼性の高い異種材料接合体を得ることができる異種材料同士の接合方法、及び異種材料接合体を提供する。【解決手段】高融点材11と、高融点材11より融点の低い低融点材13とを重ね合わせてスポット溶接する異種材料同士の接合方法であって、高融点材11の低融点材13との重ね合わせ面11aにおける溶接予定位置に環状の溝部31A,31Bを形成する工程と、高融点材11と低融点材13とを重ね合わせ、溶接予定位置をスポット溶接する工程と、を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、異種材料同士の接合方法、及び異種材料接合体に関する。
従来より、車両における乗員の安全性向上が求められており、係る目的のために車体の強度を向上させてきた。他方、地球温暖化問題等の深刻化を背景に、自動車の燃費改善の動きが加速している。燃費改善には車体の軽量化が有効であることが知られている。
そこで、近年においては車体の軽量化を図るため、例えば、軽量なアルミニウム材を鉄材と接合した接合体が用いられている。このような異種材料を接合させる技術として、特許文献1には、鉄とアルミニウム合金とを溶接するための異種材料の抵抗溶接方法であって、アルミニウム合金の少なくとも抵抗溶接を行う部分に、予め、鉄又は鉄基合金による被覆処理を行って表層を形成し、この表層を介して鉄とアルミニウム合金との抵抗溶接を行う技術が開示されている。
また、特許文献2には、互いに異なる金属材料同士を重ね合わせた被接合材の間に第3の材料を介在させ、被接合材の少なくとも一方の材料と第3の材料との間で共晶溶融を生じさせて抵抗スポット溶接し、金属間化合物の生成を抑制することが開示されている。
さらに、特許文献3には、アルミニウム又はアルミニウム合金と他種の金属とを高温度で結合させるに当たり、両者の間に銅含有量5~33%のアルミニウム合金からなる中間層を介在させ、金属間化合物の組成を制御することが開示されている。
特開2005-288524号公報 特開2007-301606号公報 特開昭64-18559号公報
ところで、特許文献1~3の技術のように、皮膜処理を施したり、介在物を介在させたりすることは、前処理工程や介在物を要するため、製造コストが増加する。また、介在物を介在させずに異種材料を抵抗溶接で接合する場合、強度を担保する金属間化合物層は、厚くなりすぎても脆くなるが、薄すぎて不連続になっても十分な接合強度が得られない。したがって金属間化合物層を広く薄く形成することが要求されている。
そこで本発明は、製造コストを抑えつつ異種材料同士を強固に接合した信頼性の高い異種材料接合体を得ることができる異種材料同士の接合方法、及び異種材料接合体を提供することを目的とする。
本発明は下記の構成からなる。
(1) 高融点材と、前記高融点材より融点の低い低融点材とを重ね合わせてスポット溶接する、異種材料同士の接合方法であって、
前記高融点材の前記低融点材との重ね合わせ面における溶接予定位置に、少なくとも1つの環状の溝部を形成する工程と、
前記高融点材と前記低融点材とを重ね合わせ、前記溶接予定位置をスポット溶接する工程と、
を含む異種材料同士の接合方法。
(2) 高融点材と、前記高融点材より融点の低い低融点材とが重ね合わされてスポット溶接された異種材料接合体であって、
前記高融点材の前記低融点材との溶接個所における前記低融点材側に、少なくとも1つの環状の溝部が形成され、
前記溝部に、前記低融点材が溶融して硬化したナゲットが食い込み、前記高融点材における前記重ね合わせ面に沿って金属間化合物が形成されている、
異種材料接合体。
本発明によれば、製造コストを抑えつつ異種材料同士を強固に接合した信頼性の高い異種材料接合体を得ることができる。
図1は、異種材料同士の接合方法を説明する接合箇所の概略側面図である。 図2Aは、溝部を形成した高融点材の断面図である。 図2Bは、溝部を形成した高融点材の重ね合わせ面の平面図である。 図3は、溝部形成工程を説明するためのダイスと高融点材との断面図である。 図4は、高融点材と低融点材とのスポット溶接工程を説明する断面図である。 図5は、高融点材と低融点材とのスポット溶接工程を説明する断面図である。 図6は、図5におけるA部拡大図である。 図7は、せん断引張強さの測定について説明する供試材の平面図である。 図8は、せん断引張強さの測定結果を示すグラフである。 図9は、実施例1における異種材料接合体の断面画像である。 図10は、図9におけるB部を拡大した断面画像である。 図11は、図10におけるC部を拡大した断面画像である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、異種材料同士の接合方法を説明する接合箇所の概略側面図である。本構成例に係る異種材料同士の接合方法は、高融点材11と、低融点材13とをスポット溶接して接合させる接合方法である。これらの高融点材11及び低融点材13は、それぞれ金属板であり、これらの高融点材11と低融点材13とを、重ね合わせ面11a,13aが接するように互いに重ね合わせて接合する。
高融点材11は、例えば、銅又は鉄などの金属材料である。低融点材13は、高融点材11よりも融点が低い金属材料であり、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金などである。
スポット溶接機21は、一対の電極23,25を有している。一対の電極23,25は、例えば、曲面からなる端面を有するR形又はDR形の電極である。例えば、一方の電極23は、正極の電極であり、他方の電極25は、負極の電極である。高融点材11及び低融点材13は、これらの電極23,25の間に重ね合わされた状態で挟み込まれる。
スポット溶接機21は、互いに重ね合わされた高融点材11及び低融点材13を、電極23,25によって板厚方向に加圧し、この加圧状態で電極23,25間に通電する。すると、電極23,25に挟まれた高融点材11及び低融点材13がスポット溶接されて互いに接合される。これにより、これらの高融点材11及び低融点材13が互いにスポット溶接された異種材料接合体15が得られる。なお、上記例はダイレクトスポット溶接であるが、これに限らず、インダイレクトスポット溶接であってもよい。
次に、本構成例に係る異種材料同士の接合方法に基づく溶接手順を工程毎に説明する。
図2Aは、溝部31A,31Bを形成した高融点材11の断面図である。図2Bは、溝部31A,31Bを形成した高融点材11の重ね合わせ面11aの平面図である。
(溝部形成工程)
図2A及び図2Bに示すように、高融点材11には、溝部31A,31Bが形成される。溝部31A,31Bは、高融点材11の低融点材13との重ね合わせ面11aにおける溶接予定位置で、溶接予定位置の中心点Oを中心とした環状に、それぞれ同心円状に形成する。
溝部31A,31Bは、断面視において、内周側の側壁33aと、外周側の側壁33bと、底壁33cとを有している。溝部31A,31Bは、内周側の側壁33aへ向かって外周側の側壁33bが次第に近接するように傾斜されている。これらの溝部31A,31Bの深さDは、高融点材11の厚さtの20%以上、60%以下が好ましい。深さDが厚さtの20%以上であることで、後述するかしめ効果が得られやすくなり、60%以下であることで、高融点材11の板厚を大きく減肉させることがない。
また、これらの溝部31A,31Bにおける最外周の溝部31Aの外径からなる最外径φは、3.0mm以上、6.0mm以下が好ましい。最外径φを3.0mm以上にすることで、溝部を設けた効果を顕著にでき、6.0mm以下にすることで、一般的なスポット溶接によるナゲット径(又は電極先端径)を溝部が超えない大きさにでき、スポット溶接時の加圧領域内に溝部31A,31Bを配置できる。
さらに、溝部31Aと溝部31Bとの互いのピッチPは、高融点材11の厚さtの20%以上、60%以下が好ましい。これにより、スポット溶接により形成されるナゲットの領域内で効率よく適切な大きさの凹凸形状を形成できる。
なお、本例では2つの溝部31A,31Bを形成する場合を例示しているが、1つの溝部のみ形成してもよい。また、溝部31A,31Bのような二重溝に限らず、三重以上の溝部を設けてもよい。また、溝部の形状は円形に限らず、多角形状等の任意の環状形状であってもよい。さらに、溝部を同心の多重環状とする場合には、いずれかの溝の一部を切り欠いてもよい。つまり、ナゲットとなる溶湯金属が溝部の内側から飛散することを抑制できればよい。
図3は、溝部形成工程を説明するためのダイス41と高融点材11との断面図である。高融点材11の溝部31A,31Bは、ダイス41を用いて形成する。このダイス41は、凹凸形状を含む成形面43を有している。成形面43には、溝部31A,31Bを成形するための2つの環状の突条45A,45Bが形成されている。また、成形面43における突条45A,45B同士の間には、環状の逃げ溝47が形成されている。逃げ溝47は、突条45A,45Bの成形面43からの突出高さより深くてもよく、等しい高さでもよい。
高融点材11に溝部31A,31Bを形成するには、高融点材11の重ね合わせ面11aにおける溶接予定位置にダイス41の成形面43を配置させた状態で、ダイス41を高融点材11に加圧させる。すると、高融点材11には、その重ね合わせ面11aにおける溶接予定位置に、ダイス41の突条45A,45Bが食い込み、溝部31A,31Bが形成される。
(スポット溶接工程)
図4及び図5は、高融点材11と低融点材13とのスポット溶接工程を説明する断面図である。図4に示すように、スポット溶接機21の電極23,25の間に、高融点材11と低融点材13とを重ね合わせ面11a,13aが接するように互いに重ね合わせた状態で配置させる。この状態において、互いに重ね合わせた高融点材11及び低融点材13を、電極23,25によって板厚方向に加圧し、加圧状態で電極23,25間に通電する。
すると、図5に示すように、電極23,25間において、低融点材13の重ね合わせ面13a側が溶融し、その溶融アルミニウムからなる溶融物Mが高融点材11の重ね合わせ面11aに形成された溝部31A,31Bに入り込む。そして、設定した通電時間の通電が行われると、溶融物Mが硬化し、溝部31A,31Bに食い込んだナゲットNが形成される。これにより、高融点材11と低融点材13とが互いに接合されて一体化された異種材料接合体15が得られる。そして、通電終了後に電極23,25を離間させ、異種材料接合体15をスポット溶接機21から取り出す。
図6は、図5におけるA部拡大図である。上記のように得られた異種材料接合体15には、ナゲットNと高融点材11の表面との間に、高融点材11と低融点材13との金属間化合物Coが均一な厚さで形成される。高融点材11が銅からなり、低融点材13がアルミニウムからなる場合、ナゲットNと高融点材11の表面との間には、高融点材11の重ね合わせ面11aに沿って、銅とアルミニウムとの金属間化合物Coが薄く均一な厚みで形成される。なお、高融点材11が鉄からなり、低融点材13がアルミニウムからなる場合、ナゲットNと高融点材11の表面との間には、高融点材11の重ね合わせ面11aに沿って、鉄とアルミニウムとの金属間化合物Coが薄く均一な厚みで形成される。
以上、説明したように、本構成例においては、高融点材11の低融点材13との重ね合わせ面11aにおける溶接予定位置に環状の溝部31A,31Bを形成し、高融点材11と低融点材13とを重ね合わせて溶接予定位置をスポット溶接する。これにより、低融点材13の溶融物Mが硬化したナゲットNが、高融点材11に形成した溝部31A,31Bに噛み込み、かしめ効果が得られる。また、高融点材11における重ね合わせ面11aに沿って均一な厚さで金属間化合物Coを形成でき、接合面積を増加できる。したがって、被膜処理を施したり、介在物を介在させたりすることなく、高融点材11と低融点材13との接合強度を高められる。つまり、工程を煩雑化することなく製造コストを抑えて、短時間に異種材料を強固に接合できる。これにより、信頼性の高い異種材料接合体15が生産性よく得られる。
しかも、本構成例では、溝部31Aの外径からなる最外径φを、3.0mm以上6.0mm以下とする。また、溝部31A,31Bの深さDを、高融点材11の厚さtの20%以上、60%以下とする。また、同心円状に形成した複数の溝部31A,31B同士のピッチPを、高融点材11の厚さtの20%以上、60%以下とする。これにより、ナゲットNと高融点材11とのかしめ効果を高め、しかも双方の接合面積を増加させて、高融点材11と低融点材13とをより高強度に接合できる。
図7は、せん断引張強さの測定について説明する供試材T1,T2の平面図である。金属板からなる供試材T1,T2の一部を互いに重ね合わせ、図7のSp部に示す位置でスポット溶接して異種材料接合体を得た。この異種材料接合体に対して供試材T1,T2を面方向に牽引し、せん断引張り強さを測定した。供試材T1,T2は、長さL=90mm、幅W=30mmとし、これらの供試材T1,T2を長手方向に重ね合わせ寸法OL=30mmで重ね合わせ、この重ね合わせ部分をスポット溶接した。
スポット溶接には、直流インバータ式抵抗スポット溶接機を用い、正極の電極側に供試材T1を配置させ、負極の電極側に供試材T2を配置させて接合した(図1参照)。溶接条件は、加圧力3kN、溶接電流28kA、溶接時間80msとした。
<供試材>
(比較例1)
T1:板厚1.0mmのアルミニウム(A1050:JIS H 4000)の板材
T2:板厚1.0mmのアルミニウム(A1050)の板材
(比較例2)
T1:板厚1.0mmの銅(C1020:JIS H 3100)の板材
T2:板厚1.0mmのアルミニウム(A1050)の板材
(実施例1)
T1:板厚1.0mmの銅(C1020)の板材
T2:板厚1.0mmのアルミニウム(A1050)の板材
<異種材料接合体>
(比較例1,2)
供試材T1,T2に加工を施すことなく、スポット溶接して異種材料接合体を得た。
(実施例1)
供試材T1の溶接予定位置における供試材T2との重ね合わせ面に2つの環状の溝部31A,31B(図2A及び図2B参照)を同心円状に形成してスポット溶接して異種材料接合体を得た。溝部31A,31Bは、供試材T1に対してダイス41(図3参照)を8kN程度の加圧力でプレスして形成した。溝部31A,31Bの深さは0.5mmとし、互いの溝部31A,31Bのピッチは0.5mmとした。
<試験結果>
図8は、せん断引張強さの測定結果を示すグラフである。測定は同条件で複数回実施し、グラフにはその信頼区間も示している。いずれの供試材T1,T2もアルミニウムの板材からなる比較例1では、せん断引張強さが1003Nであった。また、供試材T1が銅、供試材T2がアルミニウムの板材からなる比較例2では、せん断引張強さが984Nであった。
これに対して、供試材T1が銅、供試材T2がアルミニウムの板材からなり、高融点材である供試材T1に溝部31A,31Bを形成した実施例1では、せん断引張強さが1145Nであった。このように、実施例1の異種材料接合体の場合、溝部31A,31Bを形成せずにアルミニウムの板材同士又は銅及びアルミニウムの板材同士をスポット溶接した比較例1,2の異種材料接合体と比較して、せん断引張強さが向上(約16%向上)した。
図9は、実施例1における異種材料接合体の断面画像である。図10は、図9におけるB部を拡大した断面画像である。図11は、図10におけるC部を拡大した断面画像である。図9に示すように、実施例1で得られた異種材料接合体では、供試材T2の溶融物が硬化して形成されたナゲットNが溝部31A,31Bに入り込んでいた。さらに、図10及び図11に示すように、ナゲットNと高融点材である供試材T1の表面との間には、銅とアルミニウムとの金属間化合物Coが均一な厚みで形成されていた。
このように、実施例1の異種材料接合体の場合、銅の板材(高融点材)からなる供試材T1の溝部31A,31Bにアルミニウムの板材(低融点材)からなる供試材T2の溶融物が硬化してナゲットNとなって噛み込んで、かしめ効果が付与されたと考えられる。また、銅の板材(高融点材)からなる供試材T1における重ね合わせ面に沿って均一な厚さで金属間化合物Coが形成されたことで接合面積が増加したことにより、せん断引張強さが向上したと推測される。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 高融点材と、前記高融点材より融点の低い低融点材とを重ね合わせてスポット溶接する、異種材料同士の接合方法であって、
前記高融点材の前記低融点材との重ね合わせ面における溶接予定位置に、少なくとも1つの環状の溝部を形成する工程と、
前記高融点材と前記低融点材とを重ね合わせ、前記溶接予定位置をスポット溶接する工程と、
を含む異種材料同士の接合方法。
この異種材料同士の接合方法によれば、低融点材の溶融物が硬化したナゲットを高融点材に形成した溝部へ噛み込ませてかしめ効果を得ることができる。また、高融点材における重ね合わせ面に沿って均一な厚さで金属間化合物を形成でき、接合面積を増加できる。したがって、被膜処理を施したり、介在物を介在させたりすることなく、高融点材と低融点材とを高強度に接合できる。つまり、製造コストを抑えつつ短時間に異種材料を強固に接合して、信頼性の高い異種材料接合体が得られる。
(2) 前記溝部の最外径を、3.0mm以上、6.0mm以下とする、(1)に記載の異種材料同士の接合方法。
この異種材料同士の接合方法によれば、溝部を設けた効果が顕著となり、一般的なスポット溶接によるナゲット径(又は電極先端径)を超えない大きさにでき、スポット溶接時の加圧領域内に溝部を配置できる。
(3) 前記溝部の深さを、前記高融点材の厚さの20%以上、60%以下とする、(1)又は(2)に記載の異種材料同士の接合方法。
この異種材料同士の接合方法によれば、高融点材とナゲットとのかしめ効果が得られやすくなり、しかも、高融点材の板厚を大きく減肉させることがない。
(4) 複数の前記溝部を同心円状に形成し、それぞれの前記溝部同士のピッチを、前記高融点材の厚さの20%以上、60%以下とする、(1)から(3)のいずれか1つに記載の異種材料同士の接合方法。
この異種材料同士の接合方法によれば、スポット溶接により形成されるナゲットの領域内で効率よく凹凸形状を形成できる。
(5) 高融点材と、前記高融点材より融点の低い低融点材とが重ね合わされてスポット溶接された異種材料接合体であって、
前記高融点材の前記低融点材との溶接個所における前記低融点材側に、少なくとも1つの環状の溝部が形成され、
前記溝部に、前記低融点材が溶融して硬化したナゲットが食い込み、前記高融点材における前記重ね合わせ面に沿って金属間化合物が形成されている、異種材料接合体。
この異種材料接合体によれば、低融点材の溶融物が硬化したナゲットが高融点材に形成された溝部へ食い込んで、かしめ効果を得ることができる。また、高融点材における重ね合わせ面に沿って金属間化合物が形成されて接合面積が増加する。したがって、被膜処理を施したり、介在物を介在させたりした異種材料接合体と比較して、製造コストを抑えつつ高い接合強度で高融点材と低融点材とを接合できる。
(6) 前記溝部の最外径が、3.0mm以上、6.0mm以下である、(5)に記載の異種材料接合体。
この異種材料接合体によれば、高融点材に形成された最外径が3.0mm以上、6.0mm以下の溝部に、低融点材の溶融物が硬化したナゲットが食い込んでいる。これにより、溝部を設けた効果が顕著となり、一般的なスポット溶接によるナゲット径(又は電極先端径)を超えない大きさにでき、スポット溶接時の加圧領域内に溝部を配置できる。
(7) 前記溝部の深さが、前記高融点材の厚さの20%以上、60%以下である、(5)又は(6)に記載の異種材料接合体。
この異種材料接合体によれば、高融点材とナゲットとのかしめ効果が得られやすくなり、しかも、高融点材の板厚を大きく減肉させることがない。
(8) 複数の前記溝部が同心円状に形成され、それぞれの前記溝部同士のピッチが、前記高融点材の厚さの20%以上、60%以下である、(5)から(7)のいずれか1つに記載の異種材料接合体。
この異種材料接合体によれば、スポット溶接により形成されるナゲットの領域内で、効率よく適正な大きさの凹凸形状が形成される。
11 高融点材
11a 重ね合わせ面
13 低融点材
13a 重ね合わせ面
15 異種材料接合体
21 スポット溶接機
23,25 電極
31A,31B 溝部
33a 側壁
33b 側壁
33c 底壁
41 ダイス
43 成形面
45A,45B 突条
47 溝
Co 金属間化合物
D 深さ
M 溶融物
N ナゲット
O 中心点
T1 供試材
T2 供試材

Claims (8)

  1. 高融点材と、前記高融点材より融点の低い低融点材とを重ね合わせてスポット溶接する、異種材料同士の接合方法であって、
    前記高融点材の前記低融点材との重ね合わせ面における溶接予定位置に、少なくとも1つの環状の溝部を形成する工程と、
    前記高融点材と前記低融点材とを重ね合わせ、前記溶接予定位置をスポット溶接する工程と、
    を含む異種材料同士の接合方法。
  2. 前記溝部の最外径を、3.0mm以上、6.0mm以下とする、
    請求項1に記載の異種材料同士の接合方法。
  3. 前記溝部の深さを、前記高融点材の厚さの20%以上、60%以下とする、
    請求項1に記載の異種材料同士の接合方法。
  4. 複数の前記溝部を同心円状に形成し、それぞれの前記溝部同士のピッチを、前記高融点材の厚さの20%以上、60%以下とする、
    請求項1に記載の異種材料同士の接合方法。
  5. 高融点材と、前記高融点材より融点の低い低融点材とが重ね合わされてスポット溶接された異種材料接合体であって、
    前記高融点材の前記低融点材との溶接個所における前記低融点材側に、少なくとも1つの環状の溝部が形成され、
    前記溝部に、前記低融点材が溶融して硬化したナゲットが食い込み、前記高融点材における前記重ね合わせ面に沿って金属間化合物が形成されている、
    異種材料接合体。
  6. 前記溝部の最外径が、3.0mm以上、6.0mm以下である、
    請求項5に記載の異種材料接合体。
  7. 前記溝部の深さが、前記高融点材の厚さの20%以上、60%以下である、
    請求項5に記載の異種材料接合体。
  8. 複数の前記溝部が同心円状に形成され、それぞれの前記溝部同士のピッチが、前記高融点材の厚さの20%以上、60%以下である、
    請求項5に記載の異種材料接合体。
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