JP2024102740A - 疲労軽減又は疲労回復促進用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】飲食品分野での利用が可能な成分により、疲労に対して効果的な組成物を提供することを目的とする。【解決手段】グロビン蛋白分解物を含有する、疲労軽減又は疲労回復促進用組成物、運動能力向上用組成物、体力増進用組成物、血中乳酸低下用組成物、又は、乳酸アシドーシス抑制用組成物を提供する。また、Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、疲労軽減又は疲労回復促進用組成物、運動能力向上用組成物、体力増進用組成物、血中乳酸低下用組成物、又は、乳酸アシドーシス抑制用組成物を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は疲労軽減又は疲労回復促進用組成物に関する。また、本発明は、運動能力向上用、体力増進用、血中乳酸低下用、乳酸アシドーシス抑制用の組成物に関する。
運動、デスクワーク、家事などの活動は、活性酸素の産生を増加させ、生体に対して、酸化ストレスを生じさせることが知られている。活性酸素の増加は、肉体疲労に繋がり、疲労感を感じさせる原因となる。
疲労は、活動効率の低下を引き起こし、疲労の蓄積が常態化することで疾患を誘発する要因にもなり得る。このため、疲労の蓄積を早期に改善し、疾患の発症に至らない段階、すなわち、未病の段階での対策が必要となる。
未病の段階での疲労改善には、機能性原料やサプリメントでの対策が取られ得る。これまでに、食品原料として利用されるユーグレナ等の微細藻類を疲労感改善に用いることが提案されている(特許文献1)。
特許第7150494号公報
飲食品分野での疲労感改善に効果的な成分は、未病の段階での対策として有用であり、多種の成分により開発が進められているが、未だ十分ではない。
よって、本発明は、飲食品分野での利用が可能な成分により、疲労に対して効果的な組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討した結果、食品分野において、安全に使用されているグロビン蛋白分解物において、疲労軽減又は疲労回復促進に対する活性等を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げる組成物を提供する。
[1]グロビン蛋白分解物を含有する、疲労軽減又は疲労回復促進用組成物。
[2]グロビン蛋白分解物を含有する、運動能力向上用組成物。
[3]グロビン蛋白分解物を含有する、体力増進用組成物。
[4]グロビン蛋白分解物を含有する、血中乳酸低下用組成物。
[5]グロビン蛋白分解物を含有する、乳酸アシドーシス抑制用組成物。
[6]前記グロビン蛋白分解物の1日摂取量が、1~3000mgである、[1]~[5]のいずれか1に記載の組成物。
[7]Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、疲労軽減又は疲労回復促進用組成物。
[8]Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、運動能力向上用組成物。
[9]Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、体力増進用組成物。
[10]Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、血中乳酸低下用組成物。
[11]Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、乳酸アシドーシス抑制用組成物。
[12]前記テトラペプチドの1日摂取量が、0.1~100mgである、[7]~[11]のいずれか1に記載の組成物。
[13]飲食品、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、又は、飼料である、[1]~[5]、[7]~[11]のいずれか1に記載の組成物。
本発明によれば、食品分野において、安全に使用されているグロビン蛋白分解物により疲労軽減又は疲労回復を促進させ、疲労を効果的に改善することが可能となる。
図1は、試験例1における、強制歩行(Forced Walking;FW)負荷による自発運動量の測定結果を示したグラフである。 図2は、試験例2における、強制歩行負荷による血糖値変化に対するグロビン蛋白分解物(GD)投与の影響を示したグラフである。 図3は、試験例2における、強制歩行負荷による血中乳酸値変化に対するグロビン蛋白分解物(GD)投与の影響を示したグラフである。 図4は、試験例3における、強制歩行負荷による自発運動量の測定結果を示したグラフである。
[疲労軽減又は疲労回復促進用組成物]
一つの実施形態において、本発明の疲労軽減又は疲労回復促進用組成物は、グロビン蛋白分解物を含有する。
(グロビン蛋白分解物)
グロビン蛋白分解物は、ヘモグロビン等の構成成分であるグロビンを分解して得られる物質であり、グロビンペプチドともいう。グロビンは、球状タンパク質の総称であり、例えば、ヘモグロビン、ミオグロビン、ニューログロビン、サイトグロビン、エリスロクルオリン、レグヘモグロビン、フラボヘモグロビン、グロビンE、プロトグロビン、シアノグロビン等が挙げられる。限定はされないが、グロビンとしては、本発明の効果を顕著に奏する観点から、ヘモグロビン、及び/又は、ミオグロビンが好ましく、ヘモグロビンがより好ましい。上記に例示されるグロビンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グロビンとしては、限定はされないが、上記に例示されるグロビンを含む生体物質を用いてもよい。グロビンを含む生体物質としては、限定はされないが、例えば、血液、血粉等が挙げられる。グロビンを含む生体物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一つの実施形態において、グロビン蛋白の加水分解に関する操作等は、国際公開番号WO89/06970公報記載の方法に従って行うことができる。加水分解は、通常酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ又はアルカリ性プロテアーゼの1種若しくは2種以上の加水分解酵素を用いて行なわれる。
例示的には、グロビンを加水分解するには、まずグロビンを水に5~30重量%(固形分として)となるように分散し、酸若しくはアルカリによってプロテアーゼの至適pHに調整し、プロテアーゼを一度に若しくは逐次的に添加して、20~70℃の温度で3~48時間、当該酵素を反応させる方法を例示することができる。
グロビン蛋白分解物は、上記に例示されるグロビンの分解物を含むものであれば、特に限定はされない。分解方法は特に限定されず、酵素分解であってもよく、更に加水分解であってもよい。グロビン蛋白分解物は、別名として「グロビン由来ペプチド」、「グロビンペプチド」などとも呼ばれ、例えば、「メタップ(登録商標)、エムジーファーマ株式会社製」として市販されている。一つの実施形態において、例えば、グロビン蛋白分解物は、グロビン由来のペプチド及び遊離アミノ酸等を含む混合物であることが挙げられる。これら一つ一つをグロビン由来ペプチドと言い、グロビン由来ペプチドとしては、例えば、テトラペプチドVVYP(Val-Val-Tyr-Pro、以下「VVYP」ともいう、配列番号1)が挙げられるが、これに限定されない。
グロビン蛋白分解物の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等により適宜調整され、限定はされないが、例えば、組成物全量に対して、0.01質量%以上とすることができ、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上等であってもよい。また、グロビン蛋白分解物の含有量は、例えば、組成物全量に対して、100質量%以下とすることができ、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下等が挙げられる。また、グロビン蛋白分解物の含有量は、例えば、組成物全量に対して、0.01~100質量%、0.01~90質量%、0.01~80質量%、0.01~70質量%、0.01~60質量%、0.01~50質量%、0.01~40質量%、0.01~30質量%、0.01~20質量%、0.01~10質量%、0.1~100質量%、0.1~90質量%、0.1~80質量%、0.1~70質量%、0.1~60質量%、0.1~50質量%、0.1~40質量%、0.1~30質量%、0.1~20質量%、0.1~10質量%、0.1~5質量%、0.1~1質量%、1~100質量%、1~90質量%、1~80質量%、1~70質量%、1~60質量%、1~50質量%、1~40質量%、1~30質量%、1~20質量%、1~10質量%等が挙げられる。また、別の実施形態において、グロビン蛋白分解物の含有量は、例えば、組成物全量に対して、10~99質量%、30~99質量%、50~99質量%、70~99質量%、10~90質量%、30~90質量%、50~90質量%、70~90質量%、10~80質量%、30~80質量%、50~80質量%、10~70質量%、30~70質量%、50~70質量%、10~60質量%、30~60質量%などであってもよい。
別の実施態様において、グロビン由来ペプチドがVVYPである場合、VVYPの含有量は、他の成分の種類や量、剤形等により適宜調整され、限定はされないが、例えば、組成物全量に対して、0.0001質量%以上とすることができ、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上等であってもよい。また、VVYPの含有量は、例えば、組成物全量に対して、100質量%以下とすることができ、50質量%以下、30質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.2質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、0.01質量%以下等が挙げられる。また、VVYPの含有量は、例えば、組成物全量に対して、0.0001~100質量%とすることができ、0.001~50質量%、0.001~10質量%、0.001~5質量%、0.001~3質量%、0.001~1質量%、0.001~0.7質量%、0.001~0.5質量%等が挙げられる。また、0.001~0.1質量%、0.001~0.05質量%、0.001~0.01質量%、0.01~1質量%、0.05~1質量%、0.1~1質量%などであってもよい。
グロビン由来ペプチドがVVYPである場合、グロビン蛋白分解物中のVVYPの配合割合としては、例えば、グロビン蛋白分解物全量に対して、0.005質量%とすることができ、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上等であってもよい。また、グロビン蛋白分解物全量に対して、10質量%以下とすることができ、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下等であってもよい。また、グロビン蛋白分解物全量に対して、0.005~10質量%、0.01~5質量%、0.05~3質量%、0.1~1質量、0.3~0.8質量%、0.5~0.7質量%などであってもよい。
[用途]
本発明の疲労軽減又は疲労回復促進用組成物は、疲労と関係のある状態、症状、疾患の改善にも好適に用いられる。本明細書において、疲労とは、健常者における生理的疲労をいう。一例において、疲労とは、身体又は精神に負荷を与えた際に、運動効率又は作業効率が一時的に低下した状態であるとも言える。疲労には、身体に負荷を与えた際の末梢性疲労(肉体疲労等)と、脳に負荷を与えた際の中枢性疲労(精神疲労)に大別することができ、本発明の組成物は、いずれの疲労に対しても効果を奏するが、好ましくは、末梢性疲労に対して用いられることが好ましい。
後述の実施例(試験例)において、健常マウスに強制歩行負荷を与え(身体的疲労モデルマウス)、本発明の組成物をその強制歩行負荷前後に経口により摂取させた場合、自発運動量の低下が有意に抑制されたことが確認されている。よって、本発明の組成物を用いることにより、運動による疲労を軽減し、又は、疲労の回復を促進することが可能となる。限定はされないが、例えば、本発明の組成物を運動の前後又は運動中に摂取することで、運動等の動作により生じる疲労を軽減することが可能であり、疲労の予防に繋がり得る。また、限定はされないが、例えば、本発明の組成物を運動の前後又は運動中に摂取することで、運動等の動作後に生じた疲労を効果的に回復させることが可能となる。
また、健常マウスに強制歩行負荷を与えずに、安静時に本発明の組成物を経口により摂取させた場合も、自発運動量が増加することが確認されている。よって、本発明の組成物を用いることにより、運動能力の向上、及び、体力が増進し、日中の活動パフォーマンスを向上させることが可能となる。
また、健常マウスに強制歩行負荷を与えた場合、血中乳酸値が増加することが知られている。運動強度を上げていくことにより、体内での糖の利用が高まり、血中乳酸値が増加する。運動強度が一定を超えると、血中乳酸濃度が急激に高まることから、この強度を乳酸閾値(LT、Lactate Threshold)と呼ばれている。高い運動強度のトレーニングを行う場合には、血中乳酸濃度が高くなりすぎないように調整することが好ましく、血中乳酸値の上昇を抑制することが求められる。よって、本発明の組成物を用いることにより、血中乳酸値を低下させることが可能となる。血中乳酸値の低下は、好ましくは運動時であることが好ましく、乳酸閾値(LT)を超える運動強度の運動時であることがより好ましい。
運動強度を表す単位の一つとしては、運動所要量・運動指針の策定検討会が平成18年7月に示した「健康づくりのための運動指針2006」によると、「メッツ」が用いられている。前記「メッツ」とは、安静時の何倍に相当するかで表す単位で、座って安静にしている状態が1メッツ、普通の歩行が3メッツに相当し、3メッツの強度を中強度とする。3メッツの「運動」としては、例えば、50ワットでの自転車エルゴメータ、ボーリング、バレーボールなどが挙げられる。4メッツの「運動」としては、例えば、速歩(ウォーキング)、水中運動、卓球などが挙げられる。5メッツの「運動」としては、例えば、ソフトボール、野球などが挙げられる。6メッツの「運動」としては、例えば、ウエイトトレーニング、美容体操、軽いジョギング(ジョギングと歩行の組み合わせ)、ゆっくりしたスイミング、バスケットボールなどが挙げられる。7メッツの「運動」としては、例えば、ジョギング、サッカー、テニス、スケートなどが挙げられる。8メッツ「運動」としては、例えば、ランニング、サイクリングなどが挙げられる。
運動強度としては、例えば、3メッツ~8メッツが好ましく、4メッツ~8メッツがより好ましく、5メッツ~8メッツが更に好ましく、6メッツ~8メッツが更により好ましく、7メッツ~8メッツが特に好ましい。別の実施態様において、例えば、4メッツ~5メッツ、5メッツ~6メッツ、6メッツ~7メッツであってもよい。
運動の頻度は、例えば、週に1回以上が好ましく、2回以上がより好ましく、3回以上が更に好ましく、4回以上が更により好ましく、5回以上が更により好ましい。
運動の時間は、運動の種類により適宜調整され得るが、例えば、10分~3時間が好ましく、15分~3時間がより好ましく、30分~3時間が更に好ましく、1時間~3時間が更により好ましい。
また、本発明の組成物をその強制歩行負荷前後に経口により摂取させた場合、血中乳酸値の増加が有意に抑制されたことが確認されている。よって、本発明の組成物を用いることにより、血中乳酸値を低下させ、又は、乳酸アシドーシスを抑制することが可能となる。
乳酸アシドーシスは、乳酸の蓄積、又は、乳酸の代謝低下が主な原因であり、血液が酸性に傾くことでアシドーシスを生じた状態をいう。具体的には、乳酸アシドーシスは、血中乳酸値の上昇、動脈血pHの低下、血液のPaCO(動脈血二酸化炭素分圧)の上昇、重炭酸イオン(HCO )の低下、アニオンギャップの増加、乳酸/ピルビン酸比の増加等が認められる病態を示す。乳酸アシドーシスの診断は、一般に、血液ガス分析にて血中乳酸値、pHを測定することにより行われる。動脈血ガス分析にて、pHが7.35未満、血中乳酸値濃度が5mmol/L(45mg/dL)以上である場合に、乳酸アシドーシスであると診断される。初期症状としては、筋肉痛や倦怠感がみられ、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等の状態が生じ得る。本発明の組成物を用いることにより、これらの乳酸アシドーシスに関連する初期症状に対して予防・改善効果をもたらすことも可能である。
本発明の組成物は、食品、飲料、医薬品、飼料、ペットフードに添加又はこれらと混合して使用することができる。または、そのままで食品、飲料、医薬品、飼料、又は、ペットフード等として使用することができる。また、本発明の組成物は、疲労軽減、疲労回復促進、疲労予防、運動能力向上、体力増進、血中乳酸低下等を機能性としてその旨を明示又は暗示した飲食品、すなわち、健康食品、機能性表示食品、病者用食品及び特定保健用食品として使用することができる。また、上記機能性を明示又は暗示していなくとも、病院及び/又は医院における、内科や整形外科や動物病院等にて、医師から推薦又は提示されるいわゆるドクターズサプリメントとして使用することができる。上記機能性を明示する場合は、日常生活での一時的な疲労感を軽減する、日常生活や運動により生じる一過性の身体的疲労感を軽減する、日常生活で生じる運動(5~6METs)程度の疲労感を軽減する、と明示される場合があるが、これに限定されない。また、本発明の組成物を予め摂取することで、疲労感の発生を予防したり、疲労感が発生する程度を軽減する、などの明示も可能である。
健康食品、機能性表示食品、病者用食品及び特定保健用食品は、具体的には、固形製剤(錠剤、口腔内崩壊錠、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル錠、飴剤など)や液剤(シロップ剤、懸濁剤)、流動食等の各種製剤形態として使用することができる。製剤形態の食品は、公知の医薬製剤と同様に製造することができ、有効成分と、食品として許容できる担体、例えば適当な賦形剤等とを混合した後、慣用の手段を用いて製造することができる。製剤形態としては、限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、飴剤、顆粒剤、散剤又は液剤であることが好ましい。
例えば、錠剤であれば、粉末状の活性成分と製薬上許容される担体成分(賦形剤など)とを混合して圧縮成形することにより調製でき、キャンディー(飴)などの製菓錠剤は型に注入する方法で調製してもよい。錠剤には、糖衣コーティングを施し、糖衣錠としてもよい。さらに、錠剤は単層錠であってもよく、二層錠などの積層錠であってもよい。
顆粒剤などの粉粒剤は、種々の造粒法(押出造粒法、粉砕造粒法、乾式圧密造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、高速攪拌造粒法など)により調製してもよく、錠剤は、上記造粒法、打錠法(湿式打錠法、直接打錠法)などを適当に組み合わせて調製できる。
カプセル剤は、慣用の方法により、カプセル(軟質又は硬質カプセル)内に粉粒剤(粉剤、顆粒剤など)を充填することにより調製できる。
液剤は、各成分を担体成分である水性媒体(精製水、エタノール含有精製水など)に溶解又は分散させ、必要により濾過又は滅菌処理し、所定の容器に充填し、滅菌処理することにより調製できる。本発明の固形製剤の好ましい剤形は、カプセル剤又は錠剤であり、軟質カプセル(軟カプセル剤、ソフトカプセル)であることがより好ましい。
軟カプセル剤は表面が滑らかで飲み込みやすく、使用者に好まれる。一般的な軟カプセル剤の製造方法として、平板式、ロータリー方式、シームレス方式が例示される。
ロータリー方式(打ち抜き法)の製造は、シート状カプセル皮膜が、流動する充填内容物を挟み込み、回転する円筒型の金型の穴に沿ってカプセル形状に形成する。一方で、シームレス方式(滴下法)の製造は、同心円の多重ノズルからカプセル皮膜組成物と内容物が同時に吐出され、継ぎ目の無いカプセル形状に形成される。
軟カプセル剤の皮膜の基剤は、特に限定はされないが、デンプン、プルラン、セルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、コハク化ゼラチン等を用いることができ、デンプン、ゼラチン、コハク化ゼラチンが好ましく、ゼラチン、コハク化ゼラチンが更に好ましい。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
また、スープ類、ジュース類、果汁飲料、牛乳、乳飲料、乳清飲料、乳酸菌飲料、茶飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、清涼飲料水、水飲料、ココア飲料、ゼリー状飲料、スポーツ飲料、ダイエット飲料等の液状飲料、プリン、ヨーグルトなどの半固形食品、麺類、菓子類、スプレッド類等として、本発明の組成物を製造することができる。
本発明の組成物を食品組成物として調製する場合は、種々の食品添加物を配合してもよい。食品添加物としては、例えば、酸化防止剤、色素、香料、調味料、甘味料、酸味料、pH調整剤、品質安定剤、保存剤等が挙げられる。
本発明の組成物を医薬組成物として調製する場合は、有効成分である、グロビン蛋白分解物と、好ましくは薬学的に許容される担体を含む製剤として調製する。薬学的に許容される担体とは、一般的に、前記有効成分とは反応しない、不活性の、無毒の、固体若しくは液体の、増量剤、希釈剤又はカプセル化材料等をいい、例えば、水、エタノール、ポリオール類、適切なそれらの混合物、植物性油等の溶媒又は分散媒体等が挙げられる。
医薬組成物は、経口により、非経口により、例えば、口腔内に、消化管内に、又は鼻腔内に投与される。経口投与製剤としては、固形製剤(錠剤、口腔内崩壊錠、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル錠、飴剤など)や、液剤(シロップ剤、懸濁剤、吸入剤)等が挙げられる。非経口投与製剤としては、点眼剤、点滴剤、点鼻剤及び注射剤等が挙げられる。製剤形態としては、限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、飴剤、顆粒剤、散剤又は液剤であることが好ましい。
医薬組成物は、さらに医薬分野において慣用されている添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤等があり、必要に応じて適宜使用できる。長時間作用できるように徐放化するため、既知の遅延剤等でコーティングすることもできる。医薬組成物は、さらに必要に応じてその他の添加剤や薬剤、例えば制酸剤、胃粘膜保護剤を加えてもよい。
医薬組成物は、口腔用組成物、内服組成物などの形態で適用することができる。また医薬組成物を治療的に使用してもよいし、非治療的に使用してもよい。
グロビン蛋白分解物の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。グロビン蛋白分解物の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、1mg以上が好ましく、50mg以上がより好ましく、100mg以上が更に好ましく、200mg以上が特に好ましく、300mg以上が最も好ましい。。また、350mg以上、400mg以上であってもよい。グロビン蛋白分解物の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、3000mg以下が好ましく、2500mg以下がより好ましく、2000mg以下が更に好ましく、1500mg以下が特に好ましい。また、1400mg以下、1300mg以下、1000mg以下、900mg以下、800mg以下、700mg以下、600mg以下、550mg以下などであってもよい。
グロビン蛋白分解物の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、1~3000mgが好ましく、50~2500mgがより好ましく、100~2000mgが更に好ましく、100~1500mgが更に好ましく、200~1500mgが更に好ましい。300~1500mg、400~1500mg、200~1300mg、300~1300mg、400~1300mg、などであってもよい。グロビン蛋白分解物の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。
VVYPの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。VVYPの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.1mg以上、1mg以上が好ましく、2mg以上がより好ましく、3mg以上が更に好ましい。6mg以上、7.5mg以上、10mg以上、20mg以上、50mg以上であってもよい。VVYPの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、100mg以下が好ましく、50mg以下がより好ましく、25mg以下が更に好ましく、10mg以下が特に好ましい。また、他の実施態様において、VVYPの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、7.5mg以下、6mg以下などであってもよい。VVYPの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、0.1~100mg、1~100mgが好ましく、2~50mgがより好ましく、2~10mgが更に好ましく、2~7.5mgが更により好ましい。また、他の実施態様において、VVYPの成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、3~10mg、3~7.5mgなどであってもよい。VVYPの含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。
マウスへの投与量(用量)をヒトへの投与量(用量)に換算する場合、限定はされないが、ヒト等価用量の考え方を用いることができる。

ヒト等価用量(HED)=動物用量(mg/kg)x(動物体重(kg)/ヒト体重(kg))0.33

ヒト等価用量は上記式にて計算することができる。例えば、0.1g/kgのマウス用量の場合、HEDは0.00813g/kgとして算出でき、60kgのヒトでは約488mg/人に該当する。
なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
本発明の組成物は、1日1回~数回に分け、通常、1日1~6回、1日1~3回、1日1~2回又は任意の期間及び間隔で摂取若しくは投与され得るが、1日1回が好ましい。
本発明を飼料やペットフード等として用いる場合、対象生物は特に限定されないが、好ましくは、哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類、魚類であり、より好ましくはヒトを除く哺乳動物であり、例えば、カモノハシ、ハリモグラ、オポッサム、フクロネコ、カンガルー、ツチブタ、イワダヌキ、ゾウ、アルマジロ、ナマケモノ、アリクイ、ツパイ、ヒヨケザル、チンパンジー、ウサギ、デグー、ヤマネ、リス、アライグマ、ネズミ、ハリネズミ、チンチラ、フェレット、ラクダ、イノシシ、キリン、シカ、ウシ、ヤギ、カバ、クジラ、イルカ、ウマ、サイ、バク、コウモリ、サル、トラ、オオカミ、イタチ、クマ、アザラシ、犬、猫、インコ、オウム、フィンチ、フクロウ、ミミズク等が挙げられ、より好ましくは犬又は猫である。
本発明を飼料やペットフード等として用いる場合、主食に添加する等により1日に数回に分けて与えてもよいし、おやつとして随時与えてもよい。
本発明を飼料やペットフード等として用いる場合、グロビン蛋白分解物の1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、1~150mg/day/kg体重が好ましく、3~100mg/day/kg体重がより好ましく、5~80mg/day/kg体重が更に好ましく、5~60mg/day/kg体重が更に好ましく、5~50mg/day/kg体重が更に好ましい。グロビン蛋白分解物の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1.強制歩行(Forced Walking;FW)負荷による自発運動量の評価試験]
実験群では、グロビンタンパク分解物(1g中にVVYP6mg配合、エムジーファーマ社製)を水に溶解し、0.01、0.1、又は1g/kgの用量に調製し(被験試料)、それぞれ0.1mL/体重10gの割合となるように、5週齢のddY系雄性マウスへ、5日間、経口(p.o.)投与した。コントロール群では、水を摂取させた。
被験試料又は水を5日間投与した後、25秒/1回転の電動式回転かごにマウスを移し、3時間強制歩行の負荷を行った。当該強制歩行は、ヒトにおけるウォーキング(3メッツ)から軽いジョギング(6メッツ)の運動に相当する試験モデルである(以下の試験例においても同様)。強制歩行負荷後、自発運動量測定器(SuperMex(登録商標)、室町機械株式会社製)内で、15分間環境に適応させてから、被験試料のグロビンタンパク分解物、又は、水(コントロール)を投与し、SuperMexにて90分間、自発運動量の測定を行った。
結果を図1(A)及び(B)に示す。水道水を摂取させたコントロール群について、3時間強制歩行の負荷を行っていない群は、Control/Water群として示し、3時間強制歩行の負荷を行った群は、FW/Water群として示した。統計値は、ダネットの検定を用い、Control/Water群に対する比較により、P<0.05、**P<0.01で示した。また、FW/Water群に対する比較により、P<0.05で示した。
図1(A)に示す通り、0.1g/kgの用量でのグロビンタンパク分解物の投与により、実験群での自発運動量の低下は有意に抑制された。また、0.01、又は1g/kgの用量でグロビンタンパク分解物を投与した場合も、FW/Water群に対して、自発運動量の低下が抑制される傾向が確認された。
また、図1(A)に示す通り、3時間強制歩行の負荷を行っていない場合においても、0.1g/kgの用量でのグロビンタンパク分解物の投与により、自発運動量は増加する傾向が確認された。
[試験例2.強制歩行(Forced Walking;FW)負荷による血糖値及び血中乳酸値の評価試験]
上述した被験試料(0.1g/kgの用量)又は水を5日間投与した後、25秒/1回転の電動式回転かごにマウスを移し、3時間強制歩行の負荷を行った。強制歩行負荷後、15分間環境に適応させてから、被験試料(0.1g/kgの用量)、又は、水(コントロール)を投与した。更に、その15分後にマウスの尾静脈より採血し、血糖値及び血中乳酸値を測定した。
図2では、強制歩行による血糖値変化に対するグロビン蛋白分解物(GD)投与の影響を示した。水道水を摂取させた群について、3時間強制歩行の負荷を行っていない群は、Control/Water群として示し、3時間強制歩行の負荷を行った群は、FW/Water群として示した。グロビン蛋白分解物(GD)を摂取させた群について、3時間強制歩行の負荷を行っていない群は、Control/GD0.1g/kgの用量群として示し、3時間強制歩行の負荷を行った群は、FW/GD0.1g/kgの用量群として示した。統計値は、ダネットの検定を用い、Control/Water群に対する比較により、**P<0.01で示した。
図2に示す通り、0.1g/kgの用量でのグロビンタンパク分解物の投与により、血糖値に影響を与えないことが確認された。グロビン蛋白分解物の投与が強制歩行の運動負荷時に血糖低下に影響を及ぼさないことは、運動時に生じる低血糖のリスクが低いことが考えられる。
図3では、強制歩行による血中乳酸値変化に対するグロビン蛋白分解物(GD)投与の影響を示した。水道水を摂取させた群について、3時間強制歩行の負荷を行っていない群は、Control/Water群として示し、3時間強制歩行の負荷を行った群は、FW/Water群として示した。グロビン蛋白分解物(GD)を摂取させた群について、3時間強制歩行の負荷を行っていない群は、Control/GD0.1g/kgの用量群として示し、3時間強制歩行の負荷を行った群は、FW/GD0.1g/kgの用量群として示した。統計値は、ダネットの検定を用い、Control/Water群に対する比較により、**P<0.01で示し、FW/Water群に対する比較により、♯♯P<0.01で示した。
図3に示す通り、3時間強制歩行の負荷を行った場合、血中乳酸値の増加が0.1g/kgの用量でのグロビンタンパク分解物の投与により抑制された。限定はされないが、乳酸が低下することにより疲労が軽減したことが考えられる。また、血液中の乳酸が、肝臓でグリコーゲンに再合成され、再びエネルギー源として利用されている可能性があります。
[試験例3.強制歩行(Forced Walking;FW)負荷による自発運動量の評価試験]
実験群では、VVYP(常法により合成)を生理食塩水に溶解し、0.3、又は1mg/kgの用量に調製し(被験試料)、それぞれ0.1mL/体重10gの割合となるように、5週齢のddY系雄性マウスへ、5日間、腹腔内(i.p.)投与した。コントロール群では、生理食塩水を5日間摂取させた。以降は、試験例1の手順で実施した。
結果を図4に示す。生理食塩液を摂取させた群について、3時間強制歩行の負荷を行っていない群は、Control群として示し、3時間強制歩行の負荷を行った群は、FW/Saline群と示した。VVYPを摂取させ3時間強制歩行の負荷を行った群は、FW/VVYP群として示した。統計値は、ダネットの検定を用い、Control群に対する比較により、P<0.05、**P<0.01で示した。また、FW/Saline群に対する比較により、P<0.05で示した。
図4に示す通り、1.0mg/kgの用量でのVVYPの投与により、実験群での自発運動量の低下は有意に抑制された。また、0.3mg/kgの用量でVVYPを投与した場合も、FW/Saline群に対して、自発運動量の低下が抑制される傾向が確認された。

Claims (13)

  1. グロビン蛋白分解物を含有する、疲労軽減又は疲労回復促進用組成物。
  2. グロビン蛋白分解物を含有する、運動能力向上用組成物。
  3. グロビン蛋白分解物を含有する、体力増進用組成物。
  4. グロビン蛋白分解物を含有する、血中乳酸低下用組成物。
  5. グロビン蛋白分解物を含有する、乳酸アシドーシス抑制用組成物。
  6. 前記グロビン蛋白分解物の1日摂取量が、1~3000mgである、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、疲労軽減又は疲労回復促進用組成物。
  8. Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、運動能力向上用組成物。
  9. Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、体力増進用組成物。
  10. Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、血中乳酸低下用組成物。
  11. Val-Val-Tyr-Proで表されるテトラペプチドを含有する、乳酸アシドーシス抑制用組成物。
  12. 前記テトラペプチドの1日摂取量が、0.1~100mgである、請求項7~11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 飲食品、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、又は、飼料である、請求項1~5、7~11のいずれか1項に記載の組成物。
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