JP2024098522A - 電解質膜-電極接合体用の触媒層、電解質膜-電極接合体およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

電解質膜-電極接合体用の触媒層、電解質膜-電極接合体およびそれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

Figure 2024098522000001
【課題】触媒活性の低下の抑制と水素イオン伝導性の向上を両立する高効率な触媒層を備えた電解質膜-電極接合体を提供する。
【解決手段】本開示の電解質膜-電極接合体は、電解質膜と、電解質膜の一方の主面上に設けられたアノードと、電解質膜の他方の主面上に設けられたカソードと、を備える。カソードに含まれる触媒層は、導電性のメソポーラス材料と、メソポーラス材料の少なくとも細孔の内部に担持された触媒と、触媒を担持していない触媒非担持繊維と、メソポーラス材料を被覆する水素イオン伝導性の第1のアイオノマと、触媒非担持繊維を被覆する水素イオン伝導性の第2のアイオノマと、を有する。第2のアイオノマは、第1のアイオノマよりも水に対する膨潤率が高い。
【選択図】図2

Description

本開示は、電解質膜-電極接合体用の触媒層、電解質膜-電極接合体およびそれを用いた燃料電池に関する。
特許文献1は、メソポーラス材料の細孔内に触媒が担持されたメソポーラス材料がアイオノマによって被覆される触媒層を開示する。この触媒層は、メソポーラス材料と、メソポーラス材料の細孔内に担持された触媒と、触媒非担持カーボンと、メソポーラス材料、触媒および触媒非担持カーボンを被覆するアイオノマとを備える。
特開2018-181838号公報
本開示は、触媒活性の低下の抑制と水素イオン伝導性の向上を両立する高効率な触媒層を備えた電解質膜-電極接合体を提供する。
本開示における電解質膜-電極接合体用の触媒層は、導電性のメソポーラス材料と、メソポーラス材料の少なくとも細孔の内部に担持された触媒と、触媒を担持していない触媒非担持繊維と、メソポーラス材料を被覆する水素イオン伝導性の第1のアイオノマと、触媒非担持繊維を被覆する水素イオン伝導性の第2のアイオノマと、を有し、第2のアイオノマが、第1のアイオノマよりも水に対する膨潤率が高いことを特徴とする。
本開示は、メソポーラス材料に担持した触媒活性の低下を抑制し、水素イオン伝導性を向上させることができるので、高効率な触媒層を備えた電解質膜-電極接合体を提供することができる。
実施の形態1における燃料電池セルの概略図 実施の形態1におけるカソード触媒層の概略断面拡大図 実施の形態1における電解質膜-電極接合体用の触媒層の製造方法のフローチャート
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に相到するに至った当時、燃料電池の触媒層における三相界面の形成という技術は、水素イオン供給の観点から触媒とアイオノマとを接触させることが性能向上につながると考えられてきたが、近年、アイオノマと触媒との接触により触媒がアイオノマに被毒され、むしろ性能を低下させることが分かってきた。
そのため、当該業界では、アイオノマによる触媒の被毒を抑制するということを課題として、メソポーラス材料等の大容量の細孔を有するカーボン担体の中に触媒を内包させる
ことでアイオノマと触媒とを接触させないという製品設計をするのが一般的であった。
しかし、そのように設計すると、メソポーラス材料を被覆するアイオノマが生成水を吸収して膨潤し、細孔を閉塞して酸素ガスの供給を阻害するため、細孔内の触媒を十分に利用できないという課題があった。そして、アイオノマが細孔を閉塞しないようにするために、アイオノマの量を減らすと、触媒層内でアイオノマが非連続となり、電解質膜-電極接合体の水素イオン抵抗が高くなるという課題があった。
そうした状況下において、発明者らは、これらの相反する課題を解決するために、メソポーラス材料を被覆するアイオノマの膨潤率を下げることによって、細孔閉塞を抑制するとともに、触媒非担持繊維に膨潤率の高いアイオノマを被覆させて、メソポーラス材料同士を、触媒非担持繊維の表面を被覆するアイオノマでつなぐことによって、触媒層内の水素イオン伝導性を向上させるという着想を得た。
そして、発明者らは、その着想を実現するには、触媒層形成のための触媒インク中で、アイオノマと触媒担体の吸着力、および触媒非担持繊維とアイオノマとの吸着力を高めるために、溶媒と繊維の極性を制御するという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、メソポーラス材料を被覆するアイオノマが細孔を閉塞するのを抑制するとともに、アイオノマに被覆されたメソポーラス材料の凝集体同士を、触媒非担持繊維の表面を被覆するアイオノマでつなぐことによって、メソポーラス材料に担持した触媒活性の低下抑制と、水素イオン伝導性の向上を両立する高効率な触媒層を備えた電解質膜-電極接合体を提供する。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1~図3を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
(燃料電池)
図1は、燃料電池の基本単位である燃料電池セル10の構成例を示している。図1に示す燃料電池セル10は、水素ガスと酸素ガスの供給を受けて発電する固体高分子電解質型燃料電池である。
燃料電池セル10は、図1に示すように、アノードセパレータ6aと、カソードセパレータ6cと、アノードセパレータ6aとカソードセパレータ6cとの間に設けられた電解質膜-電極接合体5と、を有する。
アノードセパレータ6aにおける電解質膜-電極接合体5のアノード2aと当接する面には、燃料電池セル10に供給される水素ガスをアノード2aへ流すための溝状の流路が形成されている。
カソードセパレータ6cにおける電解質膜-電極接合体5のカソード2cと当接する面には、燃料電池セル10に供給される酸素ガスをカソード2cへ流すための溝状の流路が形成されている。
燃料電池セル10が厚み方向に複数積層される場合は、アノードセパレータ6aにおける流路が形成された面とは反対側の面が、アノードセパレータ6aと隣接する燃料電池セル10のカソードセパレータ6cにおける流路が形成された面とは反対側の面と、電気的に接続され、カソードセパレータ6cにおける流路が形成された面とは反対側の面が、カソードセパレータ6cと隣接する燃料電池セル10のアノードセパレータ6aにおける流路が形成された面とは反対側の面と、電気的に接続される。
(電解質膜-電極接合体)
電解質膜-電極接合体5は、図1に示すように、電解質膜1と、アノード触媒層3aおよびアノードガス拡散層4aを含むアノード2aおよび、カソード触媒層3cおよびカソードガス拡散層4cを含むカソード2cとを備え、電解質膜1の両側を、アノード2aとカソード2cとによって挟み込む構成となっている。
アノード触媒層3aは、電解質膜1の一方の主面に配置されている。カソード触媒層3cは、電解質膜1の他方の主面に配置されている。アノードガス拡散層4aは、アノード触媒層3aにおける電解質膜1側とは反対側に配置されている。カソードガス拡散層4cは、カソード触媒層3cにおける電解質膜1側とは反対側に配置されている。
アノードガス拡散層4aにおけるアノード触媒層3a側とは反対側にはアノードセパレータ6aが配置され、カソードガス拡散層4cにおけるカソード触媒層3c側とは反対側にはカソードセパレータ6cが配置されている。
る。
(電解質膜)
電解質膜1は、アノード2aとカソード2cとの間のイオン(水素イオン)伝導を行うものであり、水素イオン伝導性とガスバリア性とを併せ持つ必要がある。本実施の形態では、電解質膜1の材料に、パーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。このパーフルオロスルホン酸樹脂膜は、水素イオン伝導性が高く、燃料電池セル10の発電環境下でも安定に存在するため好ましい。
(ガス拡散層)
アノードガス拡散層4aおよびカソードガス拡散層4cは、それぞれ集電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つ層である。アノードガス拡散層4aおよびカソードガス拡散層4cは、それぞれ基材およびコーティング層の2層を含む構成であっても良い。
基材は、導電性、ならびに気体および液体の透過性に優れた材料であれば良い。本実施の形態では、基材の材料に、カーボンペーパーを用いた。
コーティング層は、触媒層(アノード触媒層3a、カソード触媒層3c)と、基材との間に介在して、触媒層と基材との接触抵抗を下げ、液体の透過性(排水性)を向上するための層である。
本実施の形態のコーティング層は、カーボンブラックなどの導電性材料およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの撥水性樹脂を主成分として形成されたものを用いた。
(触媒層)
アノード触媒層3aは、アノード2aの電気化学反応を促進させる層であって、電解質膜1の一方の主面に配置されている。カソード触媒層3cは、カソード2cの電気化学反応を促進させる層であって、電解質膜1の他方の主面に配置されている。
アノード触媒層3aは、触媒担持材料と、触媒担持材料に担持された触媒と、アイオノマ(水素イオン電導性樹脂)と、を有する。
カソード触媒層3cは、図2に示すように、触媒担持材料としてのメソポーラス材料12と、メソポーラス材料12の少なくとも細孔の内部に担持された触媒13と、触媒13を担持したメソポーラス材料12の外表面の少なくとも一部を被覆する第1のアイオノマ14と、触媒13を担持していない触媒非担持繊維11と、触媒非担持繊維11の外表面の少なくとも一部を被覆する第2のアイオノマ15と、を有する。
第1のアイオノマ14と第2のアイオノマ15は、水素イオン伝導性を有する。第2のアイオノマ15は、第1のアイオノマ14よりも水に対する膨潤率が高い。
第1のアイオノマ14に覆われるメソポーラス材料12の表面積は、第2のアイオノマ15に覆われるメソポーラス材料12の表面積よりも大きい。第1のアイオノマ14に覆われる触媒非担持繊維11の表面積は、第2のアイオノマ15に覆われる触媒非担持繊維11の表面積よりも小さい。
(触媒)
アノード触媒層3aの触媒の材料は、水素が水素イオンと電子とに解離する酸化反応の触媒作用を有するのであれば、特に限定されない。また、カソード触媒層3cの触媒13の材料は、水素イオンと電子と酸素とが結びついて水になる還元反応の触媒作用を有するのであれば、特に限定されない。
触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性等を向上させる観点から、触媒の材料としては、白金、白金を含む混合物又は合金を用いることが好ましい。本実施の形態では、カソード触媒層3cの触媒13の材料に、白金を含む合金を用いた。合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金の含有量を30~90原子%とし、その他の金属の含有量を10~70原子%とすることができる。
触媒の平均粒子径は、特に限定されないが、カソード触媒層3cの触媒13の平均粒子径は、触媒利用率及びメソポーラス材料12における担持性の向上の観点から、メソポーラス材料12の細孔の大きさに合わせて、1~30nmの平均粒子径が好ましい。
(触媒担持材料)
本実施の形態では、カソード触媒層3cの触媒担持材料にメソポーラス材料12を用いた。メソポーラス材料12は、内部にメソ孔と呼ばれる細孔を有する導電性の多孔性材料であることが好ましく、多孔性カーボンは、それに適合する。
多孔性カーボンとしては、例えば、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、バルカン(登録商標)等のカーボンブラック、複数層のグラフェンシートが積層されて細孔(メソ孔)が形成された構造を有するカーボン等が挙げられる。
本実施の形態では、カソード触媒層3cに用いるメソポーラス材料12として、平均粒径が略500nmであり、触媒13(触媒金属粒子)を担持する前において、細孔のモー
ド半径が10nmであり、細孔の細孔容積が2.0cm/gのメソポーラスカーボンを用いた。
(触媒非担持繊維)
本実施の形態では、カソード触媒層3cの触媒非担持繊維11として、気相法で合成された平均長さが6μmの繊維状黒鉛(昭和電工製のVGCF(登録商標)-H)を用いたが、疎水性の繊維であれば、特に限定されない。
カソード触媒層3cの触媒非担持繊維11としては、カーボンファイバー、カーボンナノチューブやVGCF、ガラス繊維、また撥水処理を行った各種繊維等を用いることができる。
触媒非担持繊維11の長さは、特に限定されないが、メソポーラス材料12の平均粒径の0.22倍より大きく、メソポーラス材料12の凝集粒子径よりも小さいとよい。メソポーラス材料12の凝集粒子径は、触媒層材料と溶媒とを混合分散させた触媒インクの粒度分布を測定することによって、確認することができる。
本実施の形態では、触媒インクの粒度分布は凝集粒子のトップピーク粒径が3μm、積算分布の90%の粒子径は6μmであった。メソポーラス材料12の平均粒径が500nmであるので、メソポーラス材料12の平均粒径の12倍が凝集粒子径であり、メソポーラス材料12の平均粒径の12倍よりも短い長さの触媒非担持繊維11を用いるとよいことがわかる。
複数の球体aを六方細密充填させた場合に、近接する球体a同士の間隙に収まる球体bの最大の半径は、球体aの半径の0.22倍であるため、粒子同士を触媒非担持繊維11によってつなぐためには、触媒非担持繊維の長さが、メソポーラス材料12の平均粒径の0.22倍の長さ以上であるとよい。
一方、触媒非担持繊維11の長さが凝集体粒径以上に長くなると、触媒層が疎になり触媒層の厚みが増加し、触媒層内の水素イオンの拡散経路が長くなり水素イオン伝導性が低下するため、触媒非担持繊維11の長さは、メソポーラス材料12の凝集粒子径以下であるとよい。したがって、触媒非担持繊維11の長さは、メソポーラス材料12の平均粒径の0.22倍より大きく、メソポーラス材料12の凝集粒子径(メソポーラス材料の平均粒径の12倍)以下であるとよい。
(アイオノマ)
本実施の形態のカソード触媒層3cに用いた第1のアイオノマ14は、図2に示すように、触媒13を担持したメソポーラス材料12の外表面の少なくとも一部を被覆するように配置され、アノード2a側からカソード2c側へ電解質膜1を通過してきた水素イオンを、カソード触媒層3c中の触媒13まで伝達する。
本実施の形態のカソード触媒層3cに用いた第2のアイオノマ15は、図2に示すように、触媒非担持繊維11の外表面の少なくとも一部を被覆するように配置され、アノード2a側からカソード2c側へ電解質膜1を通過してきた水素イオンを、他の第2のアイオノマ15または第1のアイオノマ14に伝達する。
本実施の形態では、第1のアイオノマ14および第2のアイオノマ15として、パーフルオロスルホン酸ポリマーを用いた。
第1のアイオノマ14および第2のアイオノマ15としては、親水性の官能基と疎水性
の主鎖を備える高分子がよく、例えば酸性の官能基を有するフッ素系ポリマー、酸性の官能基を有する炭化水素系ポリマー等のイオン交換性ポリマーが挙げられる。
第1のアイオノマ14および第2のアイオノマ15は、繰り返し構造を有するポリマーを主鎖として、酸性の官能基を有する。酸性の官能基としては、酸性を示す官能基であれば特に限定されず、例えばスルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基等が挙げられ、なかでも水素イオン伝導性の観点から、スルホン酸基が好ましい。アイオノマによる水素イオン伝導のメカニズムとしては、酸性の官能基によって親水性のコアが形成され、コア内に水分子が局在したクラスターのネットワークが形成されて、この親水性のネットワークを水素イオンが移動するモデルが提唱されている。
酸性の官能基を有するフッ素系ポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸ポリマー等が挙げられる。パーフルオロスルホン酸ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ユニットと、パーフルオロスルホン酸ユニットとを有し、スルホン酸は親水性、ポリテトラフルオロエチレンからなる主鎖は疎水性である。
パーフルオロスルホン酸ポリマーとしては、市販品も使用することができる。使用できる市販品としては、例えばナフィオン(Nafion:登録商標、DuPont社製)、アクイヴィオン(Aquivion:登録商標、Solvay社製)、フレミオン(Flemion:登録商標、旭硝子社製)、アシプレックス(Aciplex:登録商標、旭化成社製)等が挙げられる。
アイオノマの膨潤率は、アイオノマを80℃の水に16時間浸漬させた時のアイオノマ体積と乾燥時のアイオノマ体積を求めて、式(膨潤率[%]=含水体積[cm]/乾燥体積[cm]×100)にて計算することができる。
第2のアイオノマ15は第1のアイオノマ14よりも膨潤率が大きい。第1のアイオノマ14の膨潤率は、メソポーラス材料12の細孔の大きさが小さいほど膨潤率も小さくするのが好ましく、170%以上が望ましい。本実施の形態の第1のアイオノマ14は、膨潤率が150%、第2のアイオノマ15は、膨潤率が190%のアイオノマを使用した。
(触媒層の製造法)
本開示の実施の形態に係る触媒層は、以下の工程により作成した。
図3は、触媒層の製造法を模式的に表すフローチャートである。
(触媒層の製造法の第1の工程)
第1の工程では、水溶媒中で、触媒非担持繊維11に第2のアイオノマ15を吸着させる。
触媒非担持繊維11、水16および水に分散させた第2のアイオノマ15溶液を、第2のアイオノマ15と触媒非担持繊維11の重量比が0.5の組成になるように混合し、自転公転ミキサー(公転1000rpm、自転1000rpm、処理時間5分)にて分散後に、超音波10分にて分散させた(S01)。
分散方法は、ボールミル、自転公転ミキサー、湿式微粒化装置または超音波などを用いることができる。ここで、第1の工程で得られる分散液の溶媒の水含有率が高いほど、第2のアイオノマ15と触媒非担持繊維11との間の吸着力はより強くなる。
本実施の形態では、水のみに分散させた第2のアイオノマ15を使用することで、第1
の工程で得られる分散液の水含有率を最も高い100%にした。
第2のアイオノマ15には、スルホン酸基からなる親水部と主鎖からなる疎水部とが存在する。親水溶媒中に第2のアイオノマ15を入れると、疎水部は水と斥力を生じて凝集し、親水部を外側へ向けた形をとる。疎水である触媒非担持繊維11と第2のアイオノマ15の疎水部とが凝集し、吸着する。この吸着力は、水含水率が高いほど強くなる。
(触媒層の製造法の第2の工程)
第2の工程では、水溶媒中でメソポーラス材料12に第1のアイオノマ14を吸着させる。メソポーラス材料12、水16および水に分散させた第1のアイオノマ14溶液を、第1のアイオノマ14とメソポーラス材料12の重量比が1の組成になるように混合し、自転公転ミキサー(公転1000rpm、自転1000rpm、処理時間5分)にて分散後に、超音波10分にて分散させた(S02)。
分散方法は、ボールミル、自転公転ミキサー、湿式微粒化装置または超音波などを用いることができる。ここで、第2の工程で得られる分散溶液の水含有率が高いほど、第1のアイオノマ14とメソポーラス材料12との間の吸着力はより強くなる。
本実施の形態では、水のみに分散させた第1のアイオノマ14を使用することで、第2の工程で得られる分散液の水含有率を最も高い100%にした。
第1のアイオノマ14には、スルホン酸基からなる親水部と主鎖からなる疎水部とが存在する。親水溶媒中に第1のアイオノマ14を入れると、疎水部は水と斥力を生じて凝集し、親水部を外側へ向けた形をとる。疎水であるメソポーラス材料12と第1のアイオノマ14の疎水部とが凝集し吸着する。この吸着力は、水含水率が高いほど強くなる。
(触媒層の製造法の第3の工程)
第3の工程では、第1の工程で得た分散液と、第2の工程で得た分散液にエタノール17を加え、混合分散する(S03)。
まず、第3の工程で作成するインクの水16とエタノール17の溶媒比を選定するために、ある溶媒比の溶媒に分散させたアイオノマの粒度分布を超音波法粒度分布計により測定する。
水16の割合を50%から徐々に大きくしたときに、水の割合50%のときのアイオノマのモード径よりも小さなモード径となる溶媒比を、第3工程で作成するインクの水16とエタノール17の溶媒比として選定するとよい。
アイオノマには、スルホン酸基からなる親水部と主鎖からなる疎水部とが存在する。親水溶媒中にアイオノマを入れると、疎水部は水と斥力を生じて凝集し、親水部を外側へ向けた形をとる。その結果、アイオノマの粒度分布のピーク粒径が小さくなる。
この形状の変化による粒度分布のピーク粒径の減少を起こす溶媒比をインク溶媒比として選定することにより、アイオノマの疎水部と水との斥力が大きなインク内環境を作り出すことができる。
本実施の形態では、水が70%に対して、エタノールが30%になるようにエタノール17を添加し、自転公転ミキサー(公転1000rpm、自転1000rpm、処理時間10分)にて分散した。
すると、第1の工程で得られた分散液と第2の工程で得られた分散液とエタノール17を混合させる第3の工程において、触媒非担持繊維11と第2のアイオノマ15との吸着力およびメソポーラス材料12と第1のアイオノマ14との吸着力は比較的強いため、アイオノマのモード径変化により選定した溶媒濃度であれば、混合や希釈により離れない。
ここで添加したエタノールは、水溶媒中で単独で凝集している非吸着アイオノマのサイズを小さくする。
(触媒層の製造法の第4の工程)
第4の工程では、第3の工程で得たインクを塗布(S04)乾燥させることにより触媒層を形成する(S05)。
電解質膜に直接塗布してもよいし、基材に塗布乾燥させて電解質膜に転写してもよい。第3の工程のインクを電解質膜1もしくは基材に塗布し乾燥して得られた触媒層は、触媒非担持繊維11には第2のアイオノマ15が吸着し、触媒13を担持したメソポーラス材料12には第1のアイオノマ14が吸着し、その間隙に吸着しなかった第1のアイオノマ14および第2のアイオノマ15が分散した状態で存在する触媒層が得られる。
このようにして得られた触媒層は、触媒非担持繊維11を被覆する第2のアイオノマ15は第1のアイオノマ14と比べて膨潤率が高いため、第2のアイオノマ15が膨潤して体積が大きくなり、隣接する他の凝集体と接する。
さらに、メソポーラス材料12の外側を被覆する第1のアイオノマ14の膨潤率が第2のアイオノマ15より小さいため、燃料電池セル10の生成水により第1のアイオノマ14が膨潤する体積が小さくなり、メソポーラス材料12の細孔が閉塞されない。
[1-2.動作]
以上のように構成されたカソード触媒層3cをカソード2cに有する電解質膜-電極接合体5について、以下その動作、作用を、電解質膜-電極接合体5を備えた燃料電池セル10を例に説明する。図1に基づいて、燃料電池セル10の運転方法、作用を説明する。
燃料電池セル10の運転は、燃料電池セル10の温度を60℃に保ち、アノードセパレータ6aとアノード2aとの間の流路に露点が60℃の水素ガスを100cc/minの流量で供給するとともに、カソードセパレータ6cとカソード2cとの間の流路に露点が60℃の空気を300cc/minの流量で供給して、アノードセパレータ6aとカソードセパレータ6cとを、外部回路で電気的に接続することにより行った。このとき、燃料電池セル10の電気化学反応により外部回路に10Aの電流が流れた。
次に、運転中の燃料電池セル10内での物質の移動と電気化学反応について説明する。アノードセパレータ6aとアノード2a(アノードガス拡散層4a)との間の流路の流路に供給された水素ガスは、アノードガス拡散層4aを透過し、アノード触媒層3a内の触媒へ到達する。
このとき、アノード触媒層3a内の触媒では、(化1)に示す水素が水素イオン(H)と電子とに解離する酸化反応が起こる。
Figure 2024098522000002
アノード触媒層3a内の触媒によって、水素から解離した水素イオン(H)は、アノード触媒層3a内のアイオノマを通って電解質膜1に到達した後に、電解質膜1をアノード触媒層3a側からカソード触媒層3c側へ透過する。電解質膜1をアノード触媒層3a側からカソード触媒層3c側へ透過した水素イオン(H)は、カソード触媒層3cの第1のアイオノマ14、第2のアイオノマ15または水を通って、カソード触媒層3c内の触媒13へ到達する。
一方、アノード触媒層3a内の触媒によって水素から解離した電子は、アノード触媒層3aとアノードガス拡散層4aとアノードセパレータ6aと外部回路とカソードセパレータ6cとカソードガス拡散層4cとカソード触媒層3cを、この順に通って、カソード触媒層3c内の触媒13へ到達する。
また、カソードセパレータ6cとカソード2c(カソードガス拡散層4c)との間の流路に供給された空気中の酸素は、カソードガス拡散層4cを透過して、カソード触媒層3c内の触媒13へ到達する。
このとき、カソード触媒層3c内の触媒13では、(化2)に示す、水素イオン(H)と電子と酸素(O)とが結びつく還元反応が起こり、水が生成される。
Figure 2024098522000003
図2に示すように、カソード触媒層3cは、第2のアイオノマ15に被覆された触媒非担持繊維11と、第1のアイオノマ14に被覆された触媒を担持したメソポーラス材料12とが分散もしくは凝集した状態で存在する。
本実施の形態では、第1のアイオノマ14は膨潤率が150%なので、膨潤率[%]=含水体積[cm]/乾燥体積[cm]の式より算出すると、水による膨潤体積は乾燥体積の1.5倍。また、第2のアイオノマ15の膨潤率が190%なので、水による膨潤体積は乾燥体積の1.9倍となる。
第2のアイオノマ15は第1のアイオノマ14よりも水に対する膨潤率が大きいため、触媒非担持繊維11を覆う第2のアイオノマは発電中に生成する水により膨潤する体積増加が大きく、隣接する他の凝集体と密接する頻度が高まり、メソポーラス材料12と第1のアイオノマ14との凝集体を、触媒非担持繊維11を覆う第2のアイオノマ15がつなぎ、触媒層内の水素イオン伝導性を向上させることができる。
また、メソポーラス材料12を覆う第1のアイオノマ14の膨潤率は、触媒非担持繊維11を覆う第2のアイオノマ15より小さいため、発電時の生成水による第1のアイオノマ14の体積増加は第2のアイオノマ15よりも小さく、メソポーラス材料12の細孔が閉塞されて細孔内部の触媒13への物質移動が減少することを抑制できる。
これにより、細孔内部の触媒13の利用率の低下を抑制し、第1のアイオノマ14に被覆されたメソポーラス材料12の凝集体同士を、触媒非担持繊維11の表面を被覆する第2のアイオノマ15がつなぎ、触媒層内の水素イオン伝導性の高いカソード触媒層3cが得られる。
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態の電解質膜-電極接合体5のカソード触媒層3cは、導電性のメソポーラス材料12と、メソポーラス材料12の少なくとも細孔の内部に担持された触媒13と、触媒13を担持していない触媒非担持繊維11と、メソポーラス材料12を被覆する水素イオン伝導性の第1のアイオノマ14と、触媒非担持繊維11を被覆する水素イオン伝導性の第2のアイオノマ15と、を有する。そして、第2のアイオノマ15は、第1のアイオノマ14よりも水に対する膨潤率が高いことを特徴とする。
これにより、カソード触媒層3cの中に存在する第1のアイオノマ14に被覆されたメソポーラス材料12の凝集体同士を、触媒非担持繊維11に吸着した水により膨張した第2のアイオノマ15が連結し、カソード触媒層3c内の水素イオン伝導性を向上させることができる。
さらに、メソポーラス材料12の外側を被覆する第2のアイオノマ15における水により膨張する体積は、第1のアイオノマと比べて小さいため、メソポーラス材料12の細孔をアイオノマが閉塞して細孔内部の触媒活性が低下することを抑制することができる。
そのため、アイオノマの水による膨張による触媒活性の低下を抑制しつつ、水素イオン伝導性を向上させることができるので、高効率な触媒反応を可能とする触媒層を得ることができる。
第1のアイオノマ14の膨潤率は、メソポーラス材料12の細孔の大きさが小さいほど膨潤率も小さくするのが好ましく、170%以上が望ましい。これにより、カソード触媒層3cの中に存在する第1のアイオノマ14に被覆されたメソポーラス材料12の凝集体同士を、触媒非担持繊維11に吸着し水により膨張した第2のアイオノマ15が連結し、カソード触媒層3c内の水素イオン伝導性を向上させることができる。
本実施の形態のように、触媒非担持繊維11の長さは、メソポーラス材料12の平均粒径の0.22倍より大きく、メソポーラス材料12の凝集粒子径以下であるとよい。
これにより、メソポーラス材料12の最小間隙よりも触媒非担持繊維11の繊維長が長いため、隣接したメソポーラス材料12を被覆している第1のアイオノマ14同士を、触媒非担持繊維11を被覆している第2のアイオノマ15がつなぎ、水素イオンの伝導経路が増える。
また、触媒非担持繊維11の長さを、凝集体粒子径よりも短くすることにより、触媒層の密度が下がることを防ぎ、水素イオン伝導経路の長さを必要最短にすることができるので、水素イオン伝導性のさらなる向上を実現できる。
また、本実施の形態のように触媒非担持繊維11は導電性であってもよい。
これにより、メソポーラス材料12と導電性の触媒非担持繊維11の接点が導電接点となり、触媒層内の導電接点が増加することにより、触媒層の導電性を向上させ、触媒反応を促進することができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出題において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した書く構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、第1のアイオノマ14と第2のアイオノマ15の一例として、膨潤率が第1のアイオノマ14よりも第2のアイオノマ15の方が高いものを説明した。
本開示のアイオノマの特性として、膨潤率の特性に加えて、イオン交換容量が第1のアイオノマ14よりも第2のアイオノマ15の方が大きいものを備えてもよい。
触媒の担持されているメソポーラス材料12に直接接触する第1のアイオノマ14のイオン交換容量が小さいことにより、メソポーラス材料12の外側に存在する触媒13の第1のアイオノマ14のスルホン酸基による被毒を抑制することができる。
また、触媒非担持繊維11を被覆する第2のアイオノマ15のイオン交換容量が大きくなることにより、メソポーラス材料12と第1のアイオノマ14との凝集体同士をつなぐ触媒非担持繊維11を被覆する第2のアイオノマ15の水素イオン伝導性が向上し、水素イオン伝導性の高い触媒層を得ることができる。
実施の形態1では、電解質膜-電極接合体5の一例として、本開示の触媒層をカソード触媒層3cに備えた燃料電池セル10を説明した。本開示の触媒層を、アノード触媒層3aに備えてもよい。本開示の触媒層をアノード触媒層3aに用いれば、活性の高い細孔内に存在する触媒13の利用率低下を抑制しつつ、触媒非担持繊維11に吸着した第2のアイオノマ15によって水素イオン伝導性を増加させることにより、触媒層の水素イオン伝導性の増大による触媒活性の低下を抑制できる。
そのため、細孔閉塞による触媒活性の低下を抑制しながら、水素イオン伝導性を向上させることができ、高効率な電解質膜-電極接合体5を提供することができる。
実施の形態1では、電解質膜1の一例として、パーフルオロスルホン酸樹脂膜を説明した。電解質膜1は、アノード2aとカソード2cとの間のイオン(水素イオン)伝導を行うものであり、水素イオン伝導性とガスバリア性とを併せ持つものであればよい。したがって、電解質膜1は、パーフルオロスルホン酸樹脂膜に限定されない。
電解質膜1は、例えば、イオン交換性フッ素系樹脂膜、またはイオン交換性炭化水素系樹脂膜が例示される。中でも、パーフルオロスルホン酸樹脂膜は、水素イオン伝導性が高く、例えば、燃料電池の発電環境下でも安定に存在するため好ましい。イオン交換樹脂のイオン交換容量は0.9以上2.0以下ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましい。
イオン交換容量が0.9ミリ当量/g乾燥樹脂以上であると、高い水素イオン伝導性を得やすく、イオン交換容量が2.0ミリ当量/g乾燥樹脂以下であると、含水による樹脂の膨潤が抑制され、電解質膜1の寸法変化が抑えられるため好ましい。
また、電解質膜1の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。膜厚が5μm以上であると、高いガスバリア性を得られ、50μm以下であると、高い水素イオン伝導性を得られる。
実施の形態1では、アノードガス拡散層4aおよびカソードガス拡散層4cの一例として、カーボンペーパーとコーティング層の2層を含む構成を用いた。アノードガス拡散層4aおよびカソードガス拡散層4cは、集電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つ層であればよい。
したがって、アノードガス拡散層4aおよびカソードガス拡散層4cは、カーボンペーパーとコーティング層の2層を含む構成に限定されない。基材は、導電性、ならびに気体および液体の透過性に優れた材料であれば良く、例えば、カーボンペーパー、炭素繊維クロス、炭素繊維フェルト等の多孔質性材料が例示される。
コーティング層は、基材と触媒層との間に介在し、これらの接触抵抗を下げ、液体の透過性(排水性)を向上するための層である。例えば、カーボンブラックなどの導電性材料およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの撥水性樹脂を主成分として形成される。
実施の形態1では、触媒13の一例として、白金を含む合金を用いた。触媒13としては、水素ガス又は酸素ガスの触媒作用を有するのであれば特に限定されない。
例えば白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh) 、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナ
ジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)等の金属、これら金属の混合物、合金等が挙げられる。
なかでも、触媒活性と、一酸化炭素等に対する耐被毒性と、耐熱性等を向上させる観点から、白金、白金を含む混合物又は合金が好ましい。触媒が合金からなる場合、合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金の含有量を30~90原子%とし、その他の金属の含有量を10~70原子%とすることができる。触媒の平均粒子径は、特に限定されないが、触媒利用率及びカーボン担体での担持性の向上の観点からは、好ましくは1~30nmである。細孔の内部に入る粒子径が好ましい。
実施の形態1では、アノード触媒層3aおよびカソード触媒層3cに用いる触媒担持材料の一例として、カーボンブラックを使用した。触媒担持材料は、カーボンブラックに限定されない。
触媒担持材料としては、内部に細孔を有する導電性の多孔性カーボン(メソポーラスカーボンなど)を用いることができる。メソポーラスカーボンは、触媒金属粒子を担持する前において、細孔のモード半径が1~25nmであり、細孔容積が1.0~3.0cm/gであってもよい。
細孔容積が1.0cm/g以上であれば、メソポーラスカーボンの内部に多くの触媒金属を担持でき、3.0cm/g以下であれば、メソポーラスカーボンの構造体としての強度が高まる。
また平均粒径が200~1000nmとなるように構成されていてもよい。平均粒径が200nm以上であれば、アイオノマが細孔に侵入する領域が、細孔容積に対して小さくなるので、アイオノマによる被毒の影響を受ける触媒金属の割合が小さくなる。
このため、平均粒径を200nm以上とすることで、触媒活性を向上させることができると考えられる。また、平均粒径が1000nm以下であれば、メソポーラスカーボンの内部に担持された触媒金属粒子にまで反応ガスが供給されやすくなる。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行
うことができる。
本開示は、水素イオン伝導性を損なうことなしに、アイオノマ被毒による触媒活性の低下を抑制することができるので、高効率な触媒層を備えた電解質膜-電極接合体に適用可能である。具体的には、燃料電池のセル、水素純化器のセル、もしくは水電解のセルを構成する電解質膜-電極接合体に利用される電極触媒において有用である。
1 電解質膜
2a アノード
2c カソード
3a アノード触媒層
3c カソード触媒層
4a アノードガス拡散層
4c カソードガス拡散層
5 電解質膜-電極接合体
6a アノードセパレータ
6c カソードセパレータ
10 燃料電池セル
11 触媒非担持繊維
12 メソポーラス材料
13 触媒
14 第1のアイオノマ
15 第2のアイオノマ
16 水
17 エタノール

Claims (4)

  1. 導電性のメソポーラス材料と、前記メソポーラス材料の少なくとも細孔の内部に担持された触媒と、触媒を担持していない触媒非担持繊維と、前記メソポーラス材料を被覆する水素イオン伝導性の第1のアイオノマと、前記触媒非担持繊維を被覆する水素イオン伝導性の第2のアイオノマと、を有し、
    前記第2のアイオノマは、前記第1のアイオノマよりも水に対する膨潤率が高いことを特徴とする、電解質膜-電極接合体用の触媒層。
  2. 前記第2のアイオノマのイオン交換容量は、前記第1のアイオノマのイオン交換容量よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の電解質膜-電極接合体用の触媒層。
  3. 電解質膜と、前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノードと、前記電解質膜の他方の主面上に設けられたカソードと、を備え、
    前記カソードは、請求項1または2に記載の電解質膜-電極接合体用の触媒層を含む、電解質膜-電極接合体。
  4. 請求項3に記載の電解質膜-電極接合体を備える、燃料電池。
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