JP2024095779A - 抑制性ニューロンにおける電位開口型ナトリウムチャネルのレスキュー - Google Patents

抑制性ニューロンにおける電位開口型ナトリウムチャネルのレスキュー Download PDF

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アレン インスティテュート
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Abstract

Figure 2024095779000001
【課題】Nav1.1チャネル機能の欠損をレスキューするために、抑制性ニューロン内で選択的にタンパク質発現をもたらす発現構築物、ベクター及び方法を提供する。
【解決手段】ドラベ症候群の治療を必要としている患者においてドラベ症候群を治療する方法であって、治療有効量の少なくとも2つのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを静脈内投与することを含み、各ウイルスベクターは、(i)エンハンサー;(ii)プロモーター;及び(iii)ヒトSCN1Aの断片の発現をもたらすコード配列を含む発現構築物を含み、AAVベクターは、血液脳関門を通過するカプシドと結合しており、前記コード配列によってコードされるヒトSCN1A断片は、抑制性GABA作動性介在ニューロン内で選択的に発現され、静脈内投与後に、レスキューを必要とする抑制性GABA作動性介在ニューロン内のNav1.1チャネル機能のレスキューをもたらす、方法である。
【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/655,043号(2018年4月9日出願)、同第62/742,835号(2018年10月8日出願)及び同第62/810,281号(2019年2月25日出願)に対する優先権を主張し、その各々は、本明細書中に完全に記されているのと同様に、本明細書中にその全てが参考として援用される。
連邦支援による研究又は開発についての声明
本発明は、国立衛生研究所による助成金RF1MH114126号の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
開示の分野
本開示は、電位開口型ナトリウムチャネル機能の、レスキュー(レスキュー)を必要とする抑制性ニューロンにおける、選択的なレスキューを記載する。抑制性ニューロンにおけるレスキューされた電位開口型ナトリウムチャネル機能は、てんかんなどの障害、及びより詳細には、ドラベ症候群を治療するために使用され得る。
早急な治療が必要とされている、多くの神経学的障害が、存在する。そのような障害の1つのクラスは、抑制性ニューロンにおけるNav1.1ナトリウムチャネルの機能不全に起因して起こる。例えば、てんかん、点頭てんかん、片頭痛及び自閉症スペクトラム障害は、Nav1.1ナトリウムチャネルの機能不全に関連する。
てんかんは、2回以上のてんかん性発作を起こす永続的な傾向を脳が示す場合に起こる、神経学的障害である。てんかん性発作は、異常な、過剰な又は同時の神経活動に起因する、脳機能の一時的な崩壊である。その発現には、異常行動、異常感覚、時には意識喪失の期間が、含まれる。
ドラベ症候群(DS)は、詳細には、乳児期に始まる、稀かつ破局的な形態の難治性てんかんである。最初に、患者は、持続性の発作を起こす。2年目に、さらなるタイプの発作が起こり始め、それとともに発達が低下する。これは、言語及び運動技術の発育不良をもたらす。
DSを患う小児は、1日に複数回の発作を起こしやすい。てんかん性発作は、DS罹患者において、はるかに高い死亡率をもたらす。DSを罹患すると診断された患者の10~16%が、2歳から4歳までの間に死亡する。さらに、患者は、整形外科的な発達上の問題、成長不良、睡眠及びサーカディアンリズムの障害、並びに慢性感染症を含む、多くの関連症状の危険にさらされている。
特に注意すべきは、DSに罹患する小児は、てんかん重積状態のエピソードを特に起こしやすいことである。てんかん重積状態は、発作が5分間以上続く症状、又は複数回の発作が5分間以内に立て続けに起こり、発作と発作との間に意識を回復することがない症状である。この過酷な症状は、即座の医療介入(多くの場合は入院を含む)を必要とする、救急医療として分類される。30分間以上続く持続性の痙攣性てんかん重積状態は、致命的になり得、かつ、脳への重い障害をもたらし得る。DSに罹患する小児の頻回の入院は、患者にとってだけでなく家族及び看護者にとっても、明らかに痛ましいものである。DSに罹患する小児は、恒常的な管理を必要とし、そして多回の施設収用を必要とするため、DSの看護費用もまた、高額となる。
現在、DS患者における発作の症例を減らすために多くの抗痙攣治療が用いられ得るが、このような治療によって得られた結果は、概して乏しく、そしてこれらの治療は、多くの患者において、発作の部分的な停止しかもたらさない。クロバザム及びクロナゼパムなどのこれらの抗痙攣薬の多くは、小児科の患者においては特に急性である、望ましくない副作用を有する。さらに、ある種の抗痙攣薬(特に、ナトリウムチャネルブロッカー類)は、発作を悪化させる。
非病原性ウイルス送達を用いる細胞型又は細胞クラスに特異的な遺伝子送達は、広範な疾患の治療に対し、ますます増える裏付けを示している。特定の遺伝子調節エレメント、例えば特定のプロモーター又はエンハンサーを、送達されるベクターに含めることは、特定の標的細胞型の中での遺伝子発現に特異性を提供するために、有益であった。例えば、Dimidschstein及び仲間たち(Nat Neurosci 19(12):1743-1749,2016)は、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくウイルス送達遺伝子構築物を開発し、それにより、てんかんの治療において重要な細胞型である終脳内のガンマ-アミノ酪酸(GABA)作動性インターフェロン類における遺伝子の選択的発現をもたらした。この構築物は、529塩基対(bp)のエンハンサー配列(mI56i又はmDlxと呼ぶ)を含んでいた。
AAVを選択的遺伝子送達系として用いることの1つの重大な欠点は、AAVの厳格に制限されたパッケージング限界である。これは、長い遺伝子制御エレメントを入れることに対し、特に制限的である。さらに、現存する介在ニューロン特異的AAV発現構築物は、特定の適用において弱い発現を、並びに、他のより一般的に使用されるタンパク質よりもずっと耐性の低い導入遺伝子(例えば、治療遺伝子)の発現について、もたらす。
Dimidschstein and colleagues,Nat Neurosci 19(12):1743-1749,2016
従って、当該分野において、選択細胞型において機能的タンパク質の迅速かつ強力な発現をもたらすことのできる、より短いエンハンサー配列に対する需要が残っている。
本開示は、抑制性ニューロン内で選択的に、予期せぬ迅速かつ高レベルのタンパク質発現をもたらす発現構築物を、Nav1.1チャネル機能の欠損をレスキューするために提供する。特定の実施形態において、本開示は、ヒトI56iエンハンサー及び電位開口型ナトリウムチャネルタンパク質をコードする遺伝子又は欠損したNav1.1ナトリウムチャネル機能をレスキュー可能なヌクレオチド配列のコンカテマー化したコアを提供する。発現構築物は、抑制性ニューロンにおけるNav1.1電位開口型ナトリウムチャネル機能不全の機能を逆転させるか、又は改善させるために使用され得る。特定の実施形態において、本開示は、抑制性ニューロンに対し電位開口型ナトリウムチャネルを機能させる遺伝子を選択的に送達することによる、ナトリウムチャネル障害の治療を提供する。これらのエンハンサー及び遺伝子を含むウイルスベクターを投与することにより、抑制性ニューロンにおけるNav1.1ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質又はヌクレオチド配列の、選択的な発現がもたらされる。特定の実施形態において、これらのウイルスベクターにおける治療用電位開口型ナトリウムチャネル遺伝子は、小さくかつ1つのAAV構築物内に適合する細菌由来のものであってもよく、又は、より大きくかつ他の戦略の中でもとりわけ二重AAV構築物送達技術を使用できるヒト由来のものであってもよい。治療可能なNav1.1ナトリウムチャネル障害としては、てんかん、及びより詳細には、ドラベ症候群(DS)が挙げられる。例えば、本明細書中に開示されるように、発現構築物の投与は、DSの十分に確立されたインビボマウスモデルにおいて当該疾患を治療する治療有効性をもたらす。
本明細書中で提示される多くの図面は、カラー図面でよりよく理解される。出願人は、図面のカラーバージョンを元の出願の一部と考え、より後の手続きにおいて図面の色イメージを示す権利を保有する。
図1A~1D。汎GABA作動性ウイルスエンハンサーは、ヒト器官型切片培養物において、ファストスパイキング(fast spiking)介在ニューロンを標識する。(図1A)緑色蛍光は、CN1180/DJウイルスベクターを発現する細胞を、7 DIV/DPI(DIV:インビトロの日数、DPI:感染後の日数)に同定する。CN1180は、ヒトDLX(hDLX)I12bエンハンサー及び最小のベータグロブリンプロモーターの制御下のSYFP2発現カセットを含む。ニューロンをパッチクランプし、そして後に赤色チャネルにおいてAlexa 594埋め戻し(backfill)を用いて可視化した。 図1A~1D。汎GABA作動性ウイルスエンハンサーは、ヒト器官型切片培養物において、ファストスパイキング介在ニューロンを標識する。(図1B)YFP蛍光の存在によって分類した、一人のヒトの症例由来のパッチした細胞の形態学は、SYFP2発現細胞が、主に介在ニューロンであることを示唆する。 図1A~1D。汎GABA作動性ウイルスエンハンサーは、ヒト器官型切片培養物において、ファストスパイキング介在ニューロンを標識する。(図1C)YSP+ニューロンの電気生理学的パラメータは、これらの細胞が主にファストスパイキング介在ニューロンであることを示唆する。 図1A~1D。汎GABA作動性ウイルスエンハンサーは、ヒト器官型切片培養物において、ファストスパイキング介在ニューロンを標識する。(図1D)事後免疫組織化学は、多くのYSP+細胞(矢印)が、パルブアルブミン(PVALB)を発現することを証明し、このことは、これらの細胞が、ファストスパイキング介在ニューロンの分子特性を有することを示唆する。 図2は、抑制性ニューロンにおけるタンパク質の標的した発現のための例示的なベクターを示す。CN1367-rAAV2-hI56i-minBglobin-His-NavMs-P2A-SYFP2-WPRE3-BGHpA。符号:hI56i-完全長ヒトDLX I56iエンハンサー(配列番号1);minBglobin-最小ベータグロブリンプロモーター;His-NavMs-ヘキサヒスチジンタグ化した、Magnetococcus marinus由来の電位開口型ナトリウムチャネル;P2A-自己開裂型ペプチド;SYFP2-超黄色蛍光タンパク質2;WPRE3-ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント3(配列番号19);BGHpA-ウシ成長ホルモンポリA配列。 静脈内(IV)送達される、ウイルスCN1244/PHP.eB.1011ゲノムコピー。PHP.eBは、血液脳関門を通過する効率的なAAV移行を可能にし、AAVベクターの送達を脳全体にわたる様式で可能にする、AAV9を指向するカプシドを、コードする。このカプシドは、残基586で開始するアミノ酸:SAQAがSDGTLAVPFKAに変わるように、AAVとは異なっている。Gad2-T2A-nls-mCherryレポーターは、マウス脳内のほぼ全ての抑制性ニューロン類を示し(ここでは、V1視覚皮質を示す)、そして送達されたCN1244/PHP.eBウイルスは、前脳抑制性ニューロンにおいて特異的SYFP2レポーター活性を駆動する。 図4A、4B。CN1244対CN1389対CN1390の比較。(図4A)3つの構築物:CN1244、CN1389及びCN1390(CN1203 scAAV)の模式図。Key:hI56i-完全長ヒトDlxI56iエンハンサー(配列番号1);hI56iコア-ヒトDlxI56iエンハンサーコア(配列番号2);minBG-最小βグロビンプロモーター;SYFP2-超黄色蛍光タンパク質2;WPRE3-ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント3;BGHpA-ウシ成長ホルモンポリA配列;L-ITR及びR-ITR-アデノ随伴ウイルス-2(AAV2)逆末端リピート(ITRs)。 図4A、4B。CN1244対CN1389対CN1390の比較。(図4B)AAVベクター構築物CN1244、CN1389及びCN1390からのSYFP2の相対的発現を示すフルオログラフィー画像。 切片培養物における幼若マウスの皮質及び海馬において、CN1390は、汎GABA作動性神経集団(これらのAi75 het/Gad2-IRES-Creマウスにおいて赤色蛍光で印をつけられている)についてのレポーター発現の細胞型特異性を保持している。10DIV/10DPI。 図6A~6E。CN1390は、ヒトエキソビボ脳切片において、トランスジーン発現の迅速な発生を示す。(図6A)CN1390/PHP.eBによるヒト脳切片形質導入後のウイルス媒介型YFP発現の時間経過(左パネル:1DIV/1DPI;中央パネル:3DIV/3DPI;右パネル:6DIV/6DPI)。 図6A~6E。CN1390は、ヒトエキソビボ脳切片において、トランスジーン発現の迅速な発生を示す。(図6B)図6A,右パネルにおける四角で囲まれた領域の拡大図。 図6A~6E。CN1390は、ヒトエキソビボ脳切片において、トランスジーン発現の迅速な発生を示す。(図6C)両極化した形態を示す、ウイルス標識された介在ニューロンの高倍率画像。 図6A~6E。CN1390は、ヒトエキソビボ脳切片において、トランスジーン発現の迅速な発生を示す。(図6D)4種の異なるウイルスで標識されたYFP+ヒト介在ニューロンからの全細胞記録の例。閾値上の電流注入に対する様々な発射パターンを示した。 図6A~6E。CN1390は、ヒトエキソビボ脳切片において、トランスジーン発現の迅速な発生を示す。(図6E)パッチクランプ記録による、ヒト新皮質介在ニューロン発射パターン及び電気的性質の機能的解析は、CN1390/PHP.eBウイルス感染後40時間の早さで実行可能である。 図7A~7F。Scn1a+/-マウスにおけるDS症候を逆転させるためのAAVベクター試薬。(7A)細菌由来のエピトープタグ化Nav遺伝子を送達するためのベクター (NavBacs)。ここで示すNav遺伝子は、NavMs(マグネットコッカス・マリナス(Magnetococcus marinus)由来)、NavBp(バシラス・シュードフィルムス(Bacillus pseudofirmus)由来)及びNavSheP-D60N(遺伝子操作D60N変異を有するシェワネラ・プトリファシエンス(Shewanella putrifaciens)由来)である。これらの例は、全て、N末端 エピトープタグ(CN1367の場合ヘキサヒスチジン、又はCN1498,、CN1499及びCN1500についての3×HA)を有する。hI56iは、配列番号1の完全長I56iエンハンサーをいう;3xhI56iCoreは、エンハンサーのコンカテマー化したコアをいう(配列番号3)。 図7A~7F。Scn1a+/-マウスにおけるDS症候を逆転させるためのAAVベクター試薬。(7B)NavBacベクターからの段階的発現レベル。 図7A~7F。Scn1a+/-マウスにおけるDS症候を逆転させるためのAAVベクター試薬。(7C)いくつかのPvalb介在ニューロンにおけるベクター CN1367からの弱いが検出可能な発現。 図7A~7F。Scn1a+/-マウスにおけるDS症候を逆転させるためのAAVベクター試薬。(7D)ベクターCN1367による発作保護への傾向。 図7A~7F。Scn1a+/-マウスにおけるDS症候を逆転させるためのAAVベクター試薬。(7E) ベクター1500は、皮質全体のPvalb+及びPvalb-介在ニューロンにおける高レベル発現を駆動する。 図7A~7F。Scn1a+/-マウスにおけるDS症候を逆転させるためのAAVベクター試薬。(7F)細胞体及び近位プロセスにおける、HA-タグ化NavBacの豊富な産生は、ベクター1498及び1500によってもたらされるが、1499によってはもたらされない。 図8。AAVパッケージ限界を超えるにもかかわらず、完全長ヒトSCN1Aタンパク質をコードしそして送達するための、4例の戦略。ヒトSCN1A遺伝子(hSCN1A)は、AAVベクターにおける4.7kbのパッケージ限界を超える、6030bpのオープンリーディングフレームを有する。このサイズ限界を克服するための1つのアプローチは、送達のために、2つに割くことである。戦略1及び2は、共トランスフェクトした細胞における完全なオープンリーディングフレーム再構成を可能にするために、2つの別個のAAVベクターゲノム(相同領域は破線で示される)の間の相同性駆動型の組換えを利用する。対照的に、戦略3及び4は、トランススプライシングエレメント(ドットで示される合成イントロン)を追加することにより、オープンリーディングフレーム再構築を潜在的に増加させ、それによって完全長タンパク質発現を増加させる。戦略1及び3は、SYFP-P2A-及び3xHA-タグ化hSCN1Aタンパク質を利用し、蛍光及び免疫組織化学によってタンパク質の両部分の容易な検出を可能にする。他方で、戦略2及び4は、非タグ化hSCN1Aタンパク質及び脊椎動物プロモーターを利用して、送達されたトランスジーン及びコードされたタンパク質の免疫原性を確実に低下させる。別の戦略は、SCN1Aタンパク質の異なるセグメント又はサブユニットをそれぞれコードする、多数のベクターを利用する。次いで、タンパク質サブユニットは、天然の発現又は遺伝子操作したシステイン結合ドメイン又は他の結合ドメインを介して発現の後に、自己集合してもよい。 図8。AAVパッケージ限界を超えるにもかかわらず、完全長ヒトSCN1Aタンパク質をコードしそして送達するための、4例の戦略。ヒトSCN1A遺伝子(hSCN1A)は、AAVベクターにおける4.7kbのパッケージ限界を超える、6030bpのオープンリーディングフレームを有する。このサイズ限界を克服するための1つのアプローチは、送達のために、2つに割くことである。戦略1及び2は、共トランスフェクトした細胞における完全なオープンリーディングフレーム再構成を可能にするために、2つの別個のAAVベクターゲノム(相同領域は破線で示される)の間の相同性駆動型の組換えを利用する。対照的に、戦略3及び4は、トランススプライシングエレメント(ドットで示される合成イントロン)を追加することにより、オープンリーディングフレーム再構築を潜在的に増加させ、それによって完全長タンパク質発現を増加させる。戦略1及び3は、SYFP-P2A-及び3xHA-タグ化hSCN1Aタンパク質を利用し、蛍光及び免疫組織化学によってタンパク質の両部分の容易な検出を可能にする。他方で、戦略2及び4は、非タグ化hSCN1Aタンパク質及び脊椎動物プロモーターを利用して、送達されたトランスジーン及びコードされたタンパク質の免疫原性を確実に低下させる。別の戦略は、SCN1Aタンパク質の異なるセグメント又はサブユニットをそれぞれコードする、多数のベクターを利用する。次いで、タンパク質サブユニットは、天然の発現又は遺伝子操作したシステイン結合ドメイン又は他の結合ドメインを介して発現の後に、自己集合してもよい。 2部分のAAVウイルスベクター系によって駆動された完全長ヒトSCN1A発現(上パネル):2部分のベクター系のモデル。上のベクター(1504)は、コンカテマー化した3xhI56iCore(配列番号3)及びすべての抑制性ニューロン(Pvalb+抑制性ニューロン及びPvalb-抑制性ニューロンの両方を含む)における発現を駆動するためのプロモーター(minCMV)エレメントを含む。駆動されたトランスジーンは、P2AタグによってヒトSCN1AのN末端領域に結合したSYFP2を含み、これは、下のベクター 1512に示されるC末端領域と相同な604bpを含む。下のベクター1512はまた、C末端3xHAタグ及び3’UTR調節配列(WPRE3及びポリA部位)をも含む。(下パネル):両AAVウイルスベクターを、PHP.eBカプシドと共にウイルス粒子内にパッケージし、どちらも、C57Bl/6マウスに静脈内送達させた。21日後、マウス脳を回収し、固定し、そして抗GFP(SYFP2を標的とする)、抗HA及び抗Pvalb抗体で免疫蛍光のために処理し、トランスジーン発現細胞及びPvalb抑制性ニューロン(DS症候学において特に重要な細胞)との重ね合わせを検出した。Pvalb抑制性ニューロン及びPvalb-抑制性ニューロンの両方を含む多くの抑制性ニューロンを、N末端SYFP2タグによって高レベルで標識した。これらのSSYFP2細胞のいくつかはまた、HA(これらのGFPHA細胞から発現される完全に無傷(intact)なSCN1Aタンパク質生成物)をも発現した(矢印)。垂直な矢印は、ヒトSCN1A を発現するPvalb介在ニューロンを示し、水平な矢印は、ヒトSCN1A を発現するPvalb-介在ニューロンを示す。これらのSCN1A発現細胞は、前脳(新皮質と海馬の両方[ここでは、脳回と記す])のいたるところに見出され、ここには、多くのてんかんにおいて重要であることが知られており、かつDSにおいて機能不全であることが知られている脳の領域が含まれる。 図10.CN1500 rAAVベクター は、Scn1a+/-マウスにおいて、熱性発作を実質的に回復させる。熱性発作アッセイを、発作が最初に検出される場所である内部温度として示した(上)。丸は、AAVで形質導入されていないScn1a+/-マウスを表し、ひし形はCN1500で形質導入された動物を表す。大きなドット及びエラーバーは、各動物群についての平均+/-SEMを表す(下)。異なる温度で発作を起こさないままにするという同じデータの傾向が、カプラン-マイヤー曲線を用いて、各群におけるマウスの百分率で示される。 図11。本開示を支持する1~57の配列例。 図11。本開示を支持する1~57の配列例。 図11。本開示を支持する1~57の配列例。 図11。本開示を支持する1~57の配列例。 図11。本開示を支持する1~57の配列例。 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詳細な説明
脊椎動物において、電位開口型ナトリウムチャネル(Nav)は、アルファサブユニットから構成される大きな中央の孔及びベータサブユニットから構成されていて、この孔の動態及び細胞内分布を調整するより小さい補助サブユニットを含む、ヘテロマータンパク質複合体である。アルファサブユニット9つの異なる遺伝子(SCN1A~SCN11A)のファミリーによってコードされており、ベータサブユニットは、4つの異なる遺伝子(SCN1B~SCN4B)によってコードされていて、これらの遺伝子メンバーは、細胞特異的及び組織特異的な発現パターンを示す。9つの異なるアルファサブユニット遺伝子のそれぞれは、9つの異なるサブタイプ(Nav1.1~Nav1.9)を作る別個のNavチャネル複合体をばら蒔き、これらの9つのNavチャネルは、組織特異的局在及び機能的相違を示す(Goldin,(2001)Annu Rev Physiol 63:871-94;及びYu et al.,(2003),J.Neurosci 23:7577-758を参照されたい)。
Navは、ニューロン機能の中心であり、興奮可能な神経系細胞において作用能力の迅速な上昇を開始させる役割を担っており、そして、Nav1.1は、多くの細胞においてこの活性を駆動する。Nav1.1チャネルは、SCN1Aアルファサブユニットを含み、ほぼ全てのニューロンで発現されていて、GABA作動性ニューロンにおいて高レベルである。Nav1.2チャネルは、SCN2Aサブユニットを含み、Nav1.3チャネルは、SCN3Aサブユニットを含み、Nav1.4チャネルは、SCN4Aサブユニットを含み、Nav1.5チャネルは、SCN5Aサブユニットを含み、Nav1.6チャネルは、SCN8Aサブユニットを含み、Nav1.7チャネルは、SCN9Aサブユニットを含み、Nav1.8チャネルは、SCN10Aサブユニットを含み、そして、Nav1.9チャネルは、SCN11Aサブユニットを含む。
治療が緊急で必要とされる、多くの神経学的障害が存在する。このような障害の一つのクラスは、抑制性ニューロンにおけるNav1.1ナトリウムチャネルの機能不全に起因して起こる。たとえば、以下の障害及び症状が、Nav1.1ナトリウムチャネルの機能不全に関連している:てんかん(ドラベ症候群(DS)、全般てんかん熱性発作プラス(GEFS+)、境界型DS、全身性強直性間代性発作を伴う難治性小児てんかん(ICEGTC)、原因不明の限局性てんかん及び全身性てんかん、ミオクローヌス性失立てんかん(ドゥース(Doose)症候群)、レノックス・ガストー症候群、及重度の乳児多巣性てんかん(Gambardella A et al.Epilepsia.2009,50 Suppl 5:20-3))、点頭てんかんとしても知られるウエスト症候群(Harkin L.A.et al.Brain,2007,130(3)843-852)、よくある片頭痛の稀な症例、例えば家族性片麻痺性片頭痛3(FHM3)、パナイオトポーロス(Panayiotopoulos)症候群(Livingston J.H.et al.J Child Neurol.2009,24(4):503-8)、家族性自閉症(Weiss L.A et al.2003,Molecular Psychiatry,8(2),186-194)、散発性自閉症スペクトラム障害(ASD)(Nat Genet.2011 43(6):585-9)、慢性限局性脳炎としても知られるラスムッセン脳炎、又はCFE(Ohmori I.et al,Epilepsia.2008 49(3):521-6)、アルツハイマー病(Scharfman H.E.Epilepsy Curr.2012 12(5):178-183)並びに脳虚血-再灌流(Yao C.et al,Neurotox Res.2002;4(1):67)。
てんかんの根底にある原因は、皮質回路の興奮-抑制(E/I)バランスの欠損から起こると考えられている。前脳GABA作動性介在ニューロンは、終脳おける抑制の最初の源であり、てんかんにおけるその重要性を、種々に連なる証拠が示している。DSは、詳細には、主としてSCN1Aハプロ不全に起因する重度の小児てんかんである。これは、重度かつ頻繁な(時には日に百回もの)発作が際立っており、発達遅延をもたらし、16%以下の致死率を有する。DSは、米国及び欧州の両方において、出生の20,000分の1近くを冒し、両大陸において10,000人以上の人々がDSに罹患していると見積もられている(Wu et al.,Pediatrics 136,e1310-e1315,2015)。電位開口型ナトリウムチャネルNav1.1のサブユニットを形成する孔をコードする遺伝子であるSCN1Aにおけるヘテロ接合性の機能欠失型突然変異は、DSの主な原因である(Catterall et al.,J.Physiol.588,1849-1859,2010;Claes et al.,Hum.Mutat.21,615-621,2003;Fujiwara,Epilepsy Res.70 Suppl 1,S223-230,2006;Verbeek et al.,Epilepsy Behav.EB 47,39-44,2015)。DSの遺伝子モデルは、この疾患の病態生理学を確立した(Han et al.,Nature 489,385-390,2012;Kalume et al.,J.Clin.Invest.123,1798-1808,2013;Kalume et al.,J.Neurosci.27,11065-11074,2007;Kalume et al.,Neurobiol.Dis.77,141-154,2015;Oakley et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.106,3994-3999,2009;Cheah et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.109,14646-14651,2012;Han et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.109,E368-E377,2012)。DSのマウスモデルは、Scn1aのヘテロ接合性欠損に起因する低減したNav1.1機能を有し、以下を含むDSの主要な表現形質を示す:熱性発作,不安及び睡眠負債(Han et al.,Nature 489,385-390,2012;Kalume et al.,J.Clin.Invest.123,1798-1808,2013;Kalume et al.,Neurobiol.Dis.77,141-154,2015;Oakley et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.106,3994-3999,2009;Tai et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.111,E3139-E3148,2014;Yu et al.,Nat.Neurosci.9,1142-1149,2006)。
DSは、前脳介在ニューロンの疾患である。包括的なScn1a欠失は、興奮性ニューロンに対する検出可能な影響がないまま、ナトリウム電流及びGABA作動性介在ニューロンの興奮能(exitability)を低減する(Catterall et al.,J.Physiol.588,1849-1859,2010;Kalume et al.,J.Neurosci.27,11065-11074,2007;Cheah et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.109,14646-14651,2012;Tai et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.111,E3139-E3148,2014;Yu et al.,Nat.Neurosci.9,1142-1149,2006;Ogiwara et al.,J.Neurosci.27,5903-5914,2007;Rubinstein et al.,Brain 138,2219-2233,2015;Mistry et al.,Neurobiol.Dis.65,1-11,2014)。特異的Cre駆動体を用いた前脳又は介在ニューロンにおけるScn1aの条件欠失は、DSの主要な症候を定性的に再生産する一方で、興奮性ニューロン特異的欠失は、検出可能な表現型をもたらさない(Cheah et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.109,14646-14651,2012)。加えて、Pvalb又はSst介在ニューロンクラスにおけるScn1aの標的化した欠失は、(別個に又は組み合わせて)各クラスにおける機能不全がDSの多面的な表現型に別個に寄与していることを、Pvalb細胞がより高い効果を発揮することと共に、明らかにした(Rubinstein et al.,Brain 138,2219-2233,2015;Dutton et al.,Neurobiol.Dis.49,211-220,2013)。これらのマウスモデルと一貫して、DSを患う患者は、GABA作動性抑制の低減を示し、経頭蓋刺激試験後にグルタミン酸作動性のニューロン興奮能において変化しない(Stern et al.,Neurology 88,1659-1665,2017)。したがって、マウス及びヒト両方の研究は、SCN1Aにおける病原性機能欠失型突然変異によって起こる前脳介在ニューロンの疾患であることを強く示している。この見識に基づいて、前脳GABA作動性介在ニューロンにおけるNav1.1と同様の特性を持つ機能的電位依存性ナトリウムチャネルの標的導入は、その生理機能のレスキューを介したDS症候を改善するか、又は除去するという仮説が立てられる。電気生理学的かつ表現型的にマウスモデルにおけるDSを性質決定するための例示的な方法は、Rubinstein et al.,Brain 138(Pt 8):2219-33,2015の図1を参照されたい。
非病原性組換え体アデノ随伴ウイルス(rAAV)を用いた細胞型特異的又はクラス特異的な遺伝子送達は、広範な疾患の治療法としてますます有望であることを示している。1つ以上のシス作用性DNA制御エレメント(例えば、特異的なプロモーター又はエンハンサー)をrAAVに含めることは、脳内の細胞型又は細胞クラスを含む特定の標的細胞内における発現に特異性を提供するために有益である。例えば、Dimidschstein及び共同研究者ら(Nat Neurosci 19(12):1743-1749,2016)は、終脳内におけるGABA作動性介在ニューロンにおいて遺伝子の選択的発現をもたらすrAAVを開発した。rAAVは、胚発生の間に前脳GABA作動性介在ニューロンによって天然に発現される、distal-lessホメオボックス5及び6(Dlx5/6)遺伝子由来の529塩基対(bp)のエンハンサー配列(mI56i又はmDlxと呼ぶ)を含む(Zerucha et al.,J.Neurosci.20(2):709-721,2000)。Dimidschsteinらによって開発された構築物は、AddgeneにおいてID#83900(この構築物においてエンハンサーがeGFP発現を駆動する)として入手可能である。さらなるマウス又はヒトI56iエンハンサーを働かせて種々のトランスジーンを駆動する構築物もまた、Addgeneを通して、例えばプラスミドID#83899(GCaMP6f発現を駆動する)、83898(ChR2-mCherry発現を駆動する)、83895(Creリコンビナーゼ依存型eGFP発現を駆動する)、89897(二シストロン性hM3Dq及びnls-dTomato発現を駆動する)、83896(二シストロン性hM4Di及びnls-dTomato発現を駆動する)及び83894(creリコンビナーゼ依存型tdTomato発現を駆動する)を入手可能である。また、米国特許出願公開US2018/0078658をも参照されたい。さらに、mDlxエンハンサーは、かつて、胚発生におけるDlx5/6発現の通常のパターンと非常に類似したパターンで、レポーター遺伝子を確実に標的するために、使用されてきた(Zerucha et al.,J Neuroscience 20:709-721,2000;Stuhmer et al.,Cerebral Cortex 12:75-85,2002;Stenman et al.,J Neuroscience 23:167-174,2003;Monory et al.,Neuron.51:455-455,2006;Miyoshi et al.,J Neuroscience 30:1532-1594,2010)。
rAAVを選択的遺伝子送達系として用いることの1つの重大な欠点は、AAVの厳しく制限されたパッケージ限界である。これは詳細には、長い遺伝子制御エレメントを挿入することを制限する。さらに、既存の介在ニューロン特異的rAAV発現構築物は、特定の適用において弱い発現を提供し、そしてトランスジーンの発現(例えば、治療用遺伝子)について、GFPよりも耐性が低い。したがって、Nav1.1機能回復タンパク質の細胞特異的発現(詳細には、抑制性介在ニューロンなどのニューロンにおける発現)を提供することができる、より短いエンハンサー配列であっても、未だ当該分野において必要とされている。また、より強い発現を提供するか、及び/又はレポーターもしくは他の標的遺伝子のより広範な選択をより広範な種類の発現環境において扱う遺伝子エレメントも、必要とされている。
本開示は、電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする目的のために抑制性ニューロンにおける高レベルのタンパク質発現をもたらす発現構築物を提供する。このタンパク質発現は、標的化される抑制性ニューロンに選択的であり、かつ、DSの十分に確立したインビボマウスモデル(詳細には、Kalume et al.,J.Clin.Invest.123,1798-1808,2013;及びOakley et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.106,3994-3999,2009に記載されている)においてこの疾患を治療する効力をもたらす。このモデルにおいて、マウスは、Kalume et al.,J.Clin.Invest.123,1798-1808,2013;Kalume et al.,Neurobiol.Dis.77,141-154,2015;及びOakley et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.106,3994-3999,2009に記載されているアプローチを用いて、脳波記録法(EEG)電極及び筋電図検査(EMG)電極を埋め込まれていてもよい。回復の後、動物は、ビデオ、EEG及びEMGによって継続的にモニタリングされていてもよい。試験手順の間、マウスの体温は、全身性強直性間代性発作が起こるか、又は深部体温が42℃に達するまで、0.5℃刻みで上昇し得る。各処理群について、温度に起因する発作感受性についてのカプランマイヤー曲線を作成してもよく、発作発生の平均体温が、コンピューター計算され得る。χ二乗検定は、発作感受性のカプランマイヤープロットと一致し得、そして対応のない両側検定は、発作発生の平均体温間の相違を確認する。
特定の実施形態において、発現構築物は、天然に存在しないエンハンサーエレメント配列を含み、これは、異種コード配列を駆動してNav1.1関連ナトリウムチャネル障害を駆動するために使用される場合、強力かつ迅速な介在ニューロン特異的発現を示す。特定の実施形態において、天然に存在しないエンハンサーエレメントは、ヒト又はマウスI56iエンハンサーの短くしたコア部分(配列番号3)の多数のコピーを含む。実際に、本開示は、任意の種由来のI56iエンハンサーのコンカテマー化したコアが抑制性ニューロンにおける機能的タンパク質の選択的発現をもたらす限り、そのコンカテマー化したコアを含み得る。例えば、ゼブラフィッシュI56iエンハンサーは、配列番号5に提示されており、そしてゼブラフィッシュI56iエンハンサーのコアは、配列番号6として提示される。詳細な実施形態は、天然に存在しないエンハンサーエレメントは、ヒト、マウス又はゼブラフィッシュI56iコアの3コピー(例えば、配列番号3及び列番号7に示される)のコンカテマーを含む。さらなる実施形態は、例えば直列に配置される、2x、4x、5x、6x、7x、8x、9x、又は10xコピーの配列番号2又は配列番号6のI56iコア配列を含む。詳細な実施形態は、配列番号2及び配列番号6のコンカテマー化したハイブリッドを含み得る(例えば、2-6-2、6-2-6、2-2-6、6-6-2)。
特定の実施形態において、I56iエンハンサーのコンカテマー化したコアは、電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質又はヌクレオチド配列の発現を増大するために、大きさを最小化するために使用される。合成3xヒトDLXI56iコアエンハンサー(3xhI56iCoreとしても知られる;配列番号3)は、3xコンカテマーはエンハンサーの非常に保存的なコアであるにもかかわらず、Dimidschsteinら(NatNeurosci19(12):1743-1749、2016)において報告される元の完全長エンハンサー配列よりも短い。Nav1.1ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質の発現を駆動する異種発現カセットを構築するために使用される場合、このコンカテマー化したコアエンハンサーは、エンハンサーに結合した積み荷遺伝子のためのより多くの余地を提供し、このことは、遺伝子治療ベクターにおいて非常に望ましい。
コンパクトな大きさのエンハンサーコア、及び一緒に結合してコンカテマー化した多数のコピーは、マウス及びヒトの脳組織のウイルス形質導入後、前脳介在ニューロンにおいて予期せぬ強力なトランスジーンのピーク発現をもたらした(図4B及び5を参照されたい)。発症はまた、驚くほど迅速でもあり(図6A、6Bを参照されたい)、例えばAddgeneプラスミド#83900のエンハンサーと一緒にパッケージされたウイルスと直接比較して、より速くより高い発現をもたらす。発現における増大は、線形状であり、完全長エンハンサー(配列番号1)によって駆動されたレベルを単純に3倍したものではない。したがって、コンカテマー化したI56iコアエンハンサーもまた、新規かつ改善されたウイルス(及び他の)ベクターであり、例えばこれは、Nav1.1ナトリウムチャネル障害の治療においてよりよい性能を示すことができる本明細書中で記載のベクターである。これらは、詳細には、広範な動物種における新皮質GABA作動性介在ニューロンなどの抑制性脳細胞型においてトランスジーンの発現を達成するために有用である。
したがって、本開示は、電位開口型ナトリウムチャネルNav1.1の機能不全を回復させるか、又は緩和させるために有用な、発現構築物、ベクター及び方法を提供する。特定の実施形態において、本開示は、Nav1.1活性障害を有する抑制性介在ニューロンに対して、電位開口型ナトリウムチャネル機能のレスキューを可能にするタンパク質又はヌクレオチド配列を提供する遺伝子を選択的に送達することによる、Nav1.1チャネル障害の治療を提供する。
特定の実施形態において、Nav1.1が損傷している場合に電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質をコードする遺伝子は、細菌由来のNav遺伝子(NavBac)である(Nguyen et al.,Nat.Commun.7,13132,2016;Sula et al.,Nat.Commun.8,14205,2017;DeCaen et al.,eLife 3,e04387,2014)。特定のNavBacsの例は、NavSheP、NavBp及びNavMsであり、これらは、3つの別個の細菌種由来の3つのNavタンパク質である。細菌性電位開口型ナトリウムチャネルが興奮できない細胞に対しナトリウム伝導性を付与することができることを示す、代表的な実験プロトコール及びデータについては、Nguyen et al.,Nature Communications 18(7),13132,2016、詳細には補遺図8を参照されたい。
NavBacタンパク質はまた、NavSheP-D60Nにおけるのと同様に、突然変異誘発によって、必要に応じて、活性を増大したり、又は変更したりすることができる。さらに、これらのタンパク質は、検出のために、必要に応じて、His-NavMs(N末端ヘキサヒスチジンタグを含む)もしくはN末端3xHAタグを含むもの又は他のエピトープタグ又は蛍光タンパク質タグもしくは任意の他のタンパク質タグを含むもののように、タグ又は他の融合タンパク質を組み込むように操作されてもよい。特定の実施形態において、発現構築物は、免疫原性構成要素をコードしない。特定の実施形態において、発現構築物は、免疫原性構成要素を含んだり、又はコードしたりしない。
特定の実施形態において、電位開口型ナトリウムチャネル機能を回復させるタンパク質をコードする遺伝子は、SCNA1をコードする遺伝子である(例えば、ヒトSCNA1又はマウスScna1)。
特定の実施形態において、ウイルスベクターの静脈内、後眼窩、脊髄内及び/又は髄腔内投与に基づく治療処置は、標的化した抑制性ニューロン内での選択的発現をもたらす。
特定の実施形態において、翻訳された際に2つのタンパク質:SYFP2(レポーター)及びNavSheP-D60Nに開裂するトランスジーンSYFP2-P2A-NavSheP-D60Nを発現する組換え体AAVである、AAVウイルスベクターCN1500が、本明細書中で提供される。示されるように、NavSheP-D60N(Nguyen et al.,Nat. Comm.7:13132,2016)は、細菌由来の改変型電位開口型ナトリウムチャネルであり、チャネル動態を改善するように改変され、哺乳動物細胞において発現を増大するためにコドン最適化されている。トランスジーン発現レベルは、WPRE3エレメントの付加によって上昇し、転写は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGHpA)によって停止される。サイトメガロウイルス(CMV)最小プロモーターの5’に直接3xhI56iCore合成エンハンサーを介したトランスジーンの発現は高く、そして皮質及び海馬を含む前脳構造において抑制性細胞に限定されている。さらに、治療用トランスジーンNavSheP-D60Nは、タンパク質発現及び正確なタンパク質局在を検証するために、HAエピトープタグによって標識されてもよい。DSのマウスモデルにおける治療効力は、実証されている。特定の実施形態において、HAエピトープタグは、本明細書中で記載されるCN1500及び他のベクター設計から取り除かれてもよい。
ヒトSCNA1遺伝子は、比較的大きく、そしてAAVよりもより大きな積み荷を受け入れるベクターからの投与によって、又は2-AAVベクター投与戦略を用いることによって、利益を得ることができる。2つのAAVベクターの間で大きなオープンリーディングフレームを割くために、多数の異なる戦略が利用されてもよい。大きなhSCN1Aオープンリーディングフレームを割くための4つの大きな戦略が、図8に示されるが、さらにいくつか想像することができる。
特定の実施形態において、2-ベクター投与戦略は、2つのベクター間のコード配列を割いてもよい。特定の実施形態において、第1のベクターは、プロモーター及びエンハンサーを含む、タンパク質のN末端部分をコードしてもよい。第2のベクターは、タンパク質のC末端部分をコードし、そして終止シグナル及びポリAシグナルを含んでもよい。各ベクターによってコードされるタンパク質の部分は、重複していて、相同性領域を作成する。実施例2、図8戦略1及び図9は、抑制性ニューロンにおけるヒトSCN1Aタンパク質の選択的発現を達成する、このような2-ベクター系の例を示す。604-塩基対(bp)の相同性領域は、図9において斜め破線で示される。しかし、当業者に理解されるように、広範な範囲の数の相同なbpが選択され得る。特定の実施形態において、相同性のbp領域は、75bp未満から1500bp未満の範囲にわたる。さらに、種々の他の構成要素及び立体配置が、本明細書中の他の所で単ベクター系と比較してより詳細に記載されるように、2-ベクター系において適切であり得る。可能性のある別の立体配置としては、より効率的なタンパク質の最終的な再構成を行い、そしてより高いレベルのタンパク質発現をもたらす、相同性領域並びにスプライシングドナー部位及びアクセプター部位を提供する合成イントロンエレメントが挙げられる。
さらに、外因性の電位開口型ナトリウムチャネル活性を、活性が欠損している抑制性ニューロンに提供するための、さらなる戦略もまた、使用され得る。例えば、特定の実施形態は、SCN1Aの内因性機能的コピーの発現を増大させる人工転写因子をコードする発現構築物を利用することができる。
特定の実施形態において、発現構築物は、例えばスプライシング及び又は安定性の転写後の正の調節を通して、機能的SCN1A mRNA分子の普及を増大する分子をコードしてもよい。
特定の実施形態において、2つの部分に分離したhSCN1A転写物をトランススプライシングすることを介して完全長hSCN1A転写物を回復する戦略が使用され得る。
特定の実施形態において、発現構築物(例えば、AAV)は、2つ又は4つの別個のベクターによって送達されるいくつかの(2つ又は4つの)サブユニットORFとしてhSCN1Aタンパク質を送達することができる。
ここで、本開示の局面は、以下のさらなる選択項目及び詳細によって説明される:(i)発現構築物&ベクター;(ii)投与のための組成物(iii)使用方法;(iv)キットお補備市販の包装;(iv)例示的実施形態;及び(v)実験的実施例。
(i)発現構築物&ベクター。本明細書中で開示される発現構築物は、(i)抑制性ニューロン内でのコード配列sの選択的発現をもたらす、I56iエンハンサー配列のコンカテマー化したコア、(ii)発現されて、レスキューを必要とする細胞において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質又はヌクレオチド配列を生じる、コード配列、及び(iii)プロモーターを、含む。発現構築物はまた、必要であるか、又は有益である場合、他の調節エレメントを含んでもよい。特定の実施形態において、発現構築物は、単離されたポリヌクレオチドである。
特定の実施形態において、「エンハンサー」又は「エンハンサーエレメント」は、プロモーターに付随する転写のレベルを増大させ、プロモーター及び転写されるコード配列に対してどちらの方向でも機能し得、そしてプロモーター又は転写されるコード配列から見て上流又は下流に位置し得る、シス作用性配列である。エンハンサーエレメント配列の機能を測定するための、当該分野で認識されている方法及び技術が存在する。例として、I56iエンハンサーの機能を決定するか、又は測定するための特定の方法が、Dimidschstein et al.(Nat Neurosci 19(12):1743-1749,2016)及び米国特許出願公開US2018/0078658に記載されている。エンハンサー配列の特定の例としては、ヒト完全長I56iエンハンサー(配列番号1)、hI56コア(配列番号2)及び3xhI56iコア(配列番号3)、並びにそれらのマウス及びゼブラフィッシュのオルソログが挙げられる。
特定の実施形態において、抑制性ニューロン特異的エンハンサーは、抑制性ニューロンにおいて、独自に又は優先的に使用されるエンハンサーである。抑制性ニューロン特異的エンハンサーは、抑制性ニューロンにおける遺伝子の発現を増大するが、他の細胞型、例えば非抑制性ニューロン又はグリア細胞においては遺伝子の発現に実質的に影響を及ぼさないので、したがって、ニューロン特異的転写活性を有する。いくつかの場合において、他の細胞型において何らかの低レベル発現があることがあるが、そのような発現は、抑制性ニューロンにおけるよりも実質的に低く、例えば、。抑制性ニューロンにおける発現レベルの1%未満又は1%、2%、3%、5%、10%、15%又は20%である。特定の実施形態において、介在ニューロンは、I56iエンハンサーのコンカテマー化したコアに結合して遺伝子発現を駆動する、正しい組み合わせの転写因子を発現する、唯一の細胞型である。
特定の実施形態において、抑制性ニューロン内における選択的発現は、非抑制性ニューロンの10%より多くの発現、20%より多くの発現、30%より多くの発現、40%より多くの発現、50%より多くの発現、60%より多くの発現、70%より多くの発現、80%より多くの発現、90%より多くの発現、100%より多くの発現又はそれ以上の発現によって、実証される。特定の実施形態において、抑制性ニューロン内における選択的発現は、抑制性ニューロン内における発現、及び非抑制性ニューロン内における検出可能な発現の非存在によって、実証される。
特定の実施形態において、GABA作動性介在ニューロン内における選択的発現は、非GABA作動性介在ニューロンの10%より多くの発現、20%より多くの発現、30%より多くの発現、40%より多くの発現、50%より多くの発現、60%より多くの発現、70%より多くの発現、80%より多くの発現、90%より多くの発現、100%より多くの発現又はそれ以上の発現によって、実証される。特定の実施形態において、GABA作動性介在ニューロン内の選択的発現は、GABA作動性介在ニューロン内における発現及び非GABA作動性介在ニューロン内における検出可能な発現の非存在によって、実証される。
特定の実施形態において、抑制性ニューロンの1つのクラスは、図1、7C、7E、及び8に関連して記載されるように、Pvalb発現に基づいて同定可能である。特定の実施形態において、GABA作動性介在ニューロンは、成体の皮質における遺伝子Gad2及びGad1の発現によって他の細胞型と区別可能であり、GABA作動性介在ニューロンは、GABAの存在によって、グルタミン酸作動性興奮性ニューロンと区別可能である。成体の線条体において、GABA作動性介在ニューロンは、遺伝子Nkx2.1の発現によって、中型有棘ニューロン(Medium Spiny Neuron)と区別可能である(例えば、Rudyetal.、DevelNeurobio71、45-61(2011)):Kepecs.&Fishell、Nature.505、318-326(2014)。
特定の実施形態において、コード配列又はヌクレオチド配列は、電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質をコードする。特定の実施形態において、コード配列は、レポータータンパク質をさらにコードする。コード配列が電位開口型ナトリウムチャネル機能及びレポータータンパク質をレスキューするタンパク質又はヌクレオチド配列をコードする場合、自己開裂型ペプチド又は内部リボソーム侵入部位(IRES)配列などのスキッピング(skipping)エレメントをさらにコードしてもよい。
電位開口型ナトリウムチャネル機能を回復するタンパク質の例としては、NavShep、NavShep-D60N、NavBp、NavMs、及びhSCN1A、並びにそのエピトープタグ化バリアントである3xHA-NavShep-D60N、3xHA-NavBp、3xHA-NavMs、His-NavMs、及びhSCN1A-3xHAが挙げられる。
電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質をコードするコード配列の例としては、配列番号9~16が挙げられる。
さらに、上に示した通り、外因性電位開口型ナトリウムチャネル活性を、その活性を欠損している抑制性ニューロンに提供するために使用し得る、さらなる戦略が存在する。例えば、特定の実施形態において、SCN1A+/-患者(例えば、ドラベ患者)又は他の電位開口型ナトリウムチャネルが欠損している他の患者において、SCN1A(又は他のSCN_Aファミリー遺伝子)の内因性機能的コピーの発現を増加させるために、エンハンサー-ベクター(例えば、AAV)は、人工転写因子をコードしてもよい。この人工転写因子は、一般的な転写活性化ドメインに結合した特異的DNA結合ドメインを含み得る。DNA結合ドメインは、CRISPR活性化技術を用いてCas9関連遺伝子から(Casタンパク質がヌクレアーゼ活性を欠失するように遺伝子操作されているMatharu et al.,2019,Science,363(6424),186-194に記載のように)、又はTALE転写因子(TF)などの他の慣用的なDNAセンシングタンパク質から(Morbitzer et al.,2010,Proc.Nat.Acad.Sci.,107(50),21617-21622)もしくはジンクフィンガーTF(Gersbach et al.,2014,Acc.Chem.Res,47(8),2309-2318)から、遺伝子操作され得る。CRISPR及び他の標的化遺伝子結合(及び任意選択可能に編集)系及び構成要素に関するさらなる情報及び選択肢は、以下に示される。
特定の実施形態において、エンハンサー-ベクターは、機能的SCN1A mRNA分子の、例えば転写後のスプライシング及び他の安定性の正の調節を通して普及を増大し、最終的には機能的電位開口型ナトリウムチャネル活性における増大をもたらす分子をコードし得る。これは、アンチセンスRNAオリゴヌクレオチド分子のAAV導入により、スプライシングを増大すること(Hsiao et al.,2016,EBioMedicine.9,257-277)又は潜在的なマイクロRNAの負の調節を防ぐことを通して達成され得る。
特定の実施形態において、2つの部分に分離したhSCN1A転写物をスプライシングすることを通して、完全長のhSCN1A転写物を復活させるために、戦略が使用され得る。これは、2-ベクター系における強力な合成スプライシングドナー及びスプライシングアクセプターの使用を通して、そして形質導入後の細胞において2つの異なるゲノムの適切な並置を誘発する異なるITR(ITR2及びITR5)の使用を通して、加速され得る(McClements ME,et al.,2017,Yale J.Biol Med.90(4):611-623)。
特定の実施形態において、エンハンサー-ベクター(例えば、AAV)は、別個のベクターによって送達されるいくつかの(2つ又は4つの)サブユニットORFとして、hSCN1Aタンパク質を送達し得る。Navチャネルは、アルファサブユニット内の4つの類似の内部ドメインに起因して、偽4倍内部対称性を示し(Shen et al.,Science 363(6433),1303-1308)、これは、このタンパク質が、2つ又は4つの部分で送達されることに適していることを示す。前に示した通り、サブユニットの集合は、天然に起きてもよく、及び/又は遺伝子操作されたシステイン又は他の結合ドメインを含めることによって、容易になってもよい
特定の実施形態において、その内部4ドメインの偽対称性に起因して、hSCN1Aは、表面ループにおけるブレイクポイントを除いて、機能的にも化学的にも機能的NaV1.1アルファサブユニットに匹敵する四量体に自己集合可能な、4つの異なるベクター上にコードされる4つの断片で送達され得る。あるいは、1つの断片が、完全にヒト配列からなるNaV1.1アルファサブユニットを思わせるホモ四量体複合体内で自己集合し得る、1つのベクターによって送達されてもよい。どちらの戦略も、電位開口型ナトリウムチャネル活性が欠損しているニューロンにおいて、Nav1.1チャネル機能をレスキューする目的で、ヒト非免疫原性生物分子を抑制性細胞に送達し得る。
さらなる戦略は、hSCN1A ORFをより小さい(例えば、AAV適合性の)大きさ(<4.7kb)に短縮するために使用され得る。
レポータータンパク質の例は、SYFP2、Citrine、PhiYFP及びZsYellow1などの黄色蛍光分子、mCherry、mRuby、Jred、及びAsRed2などの赤色蛍光分子、緑色蛍光タンパク質(GFP)、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、avGFP、ZsGreen、及びmAzamiGreenなどの緑色蛍光分子、mOrange及びmKusabira-Orangeなどの橙色蛍光分子、Sapphire、mKalama1、EBFP2及びAzuriteなどの青色蛍光分子、Cerulean及びmTurquoiseなどのシアン蛍光分子、mPlum及びmNeptuneなどの遠赤色タンパク質などの、蛍光タンパク質を含む。
GFPは、238アミノ酸(26.9kDa)からなり、クラゲであるアエクオレア・ビクトリア(Aequorea victoria)/アエクオレア・アエクオレア(Aequorea aequorea)/アエクオレア・フォルスカレア(Aequorea forskalea)から最初に単離され、青色光に曝した際に緑色の蛍光を発する。A.ビクトリア由来のGFPは、395nmの波長において主要な励起ピークを、475nmの波長において副次的な励起ピークを有する。その発行ピークは、509nmであり、これは、可視光の低い緑の部分である。ウミシイタケ(sea pansy)(レニラ・レニフォルミス(Renilla reniformis))由来のGFPは、1つの主要な励起ピークを498nmに有する。広範な用途及び研究者の需要の進展に起因して、GFPの多くの異なる変異体が、遺伝子操作されている。第1の衆生な改善は、1995年にNatureにおいてRoger Tsienによって報告された単点突然変異(S65T)であった。この突然変異は、GFPの光特性を劇的に改善し、蛍光の増大、光安定性及び発行ピークを509nmに保ったままでの主要な励起ピークの488nmへのシフトをもたらした。この足場への37℃折り畳み効率(F64L)点変異の追加は、増強したGFP(EGFP)をもたらした。EGFPは、消滅係数(εと記される)を有し、これは、その9.13E-21m2/分子の光学断面積によっても知られ、また、55、000L/(mol・cm)とも引用される。スーパーフォルダー(superfolder)GFPは、たとえ折り畳みそこなったペプチド度融合していても、GFPを迅速に折りたたんで成熟させることを可能にする、一連の突然変異であり、2006年に報告されている。
緑色蛍光タンパク質の「黄色蛍光タンパク質(YFP)」は、遺伝子突然変異であり、アエクオレア・ビクトリアに由来する。その励起ピークは、514nmであり、その発行ピークは、527nmである。
自己開裂型ペプチドの例としては、1つのmRNAから2つのタンパク質の産生をもたらす2Aペプチドが挙げられる。2A配列は、短く(例えば、20アミノ酸)、大きさの制限された構築物においてより利用を可能にする。特定の例としては、P2A、T2A、E2A、及びF2Aが挙げられる。特定の実施形態において、発現構築物は、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列を含む。IRESは、リボソームに、mRNA分子上の第2の内部部位において翻訳を開始させて、1つのmRNAから2つのタンパク質の産生をもたらす。
本明細書中で記載されるタンパク質をコードするコード配列は、公に利用可能なデータベース及び刊行物から得られ得る。コード配列は、種々の配列多型、突然変異、及び/又は配列バリアントをさらに含み得、ここで、このような改変は、コードされたタンパク質の機能に影響を及ぼさない。用語「コードする」又は「コードしている」は、ベクター、プラスミド、遺伝子、cDNA、mRNAなどの核酸の配列の、タンパク質などの他の分子の合成のための鋳型として寄与する特性をいう。
用語「遺伝子」は、コード配列のみでなく、プロモーター、エンハンサー及び停止領域などの調節領域をも含み得る。この用語は、mRNA転写物からスプライシングされる全てのイントロン及び他のDNA配列をも、代替のスプライシング部位から生じるバリアントと共に、さらに含み得る。配列はまた、参照配列(単数又は複数)の縮重コドンをも含み得、これは、特性の生物又は細胞型におけるコドン選択性を提供するために導入され得る。
プロモーターは、一般的なプロモーター、組織特異的プロモーター、細胞特異的プロモーター、及び/又は細胞質に特異的なプロモーターを含み得る。プロモーターは、強力なプロモーター、弱いプロモーター、構成的発現プロモーター、及び/又は誘導性プロモーターを含み得る。誘導性プロモーターは、特定の条件、シグナル又は細胞事象に応答して、発現を指示する。例えば、プロモーターは、プロモーターからの転写に影響を及ぼすために、特定のリガンド、低分子、転写因子又はホルモンタンパク質を必要とする、誘導性プロモーターであってもよい。プロモーターの特定の例としては、minBglobin、CMV、minCMV、SV40最初期プロモーター、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)長末端リピート(LTR)プロモーターが挙げられる。
特定の実施形態において、発現構築物は、ベクター内に提供される。用語ベクターは、発現構築物などの別の核酸分子を移入させるか、又は輸送することができる核酸分子をいう。移入した核酸は、一般に、ベクター核酸分子に結合しており、例えば、ベクター核酸分子内に組み込まれている。ベクターは、細胞内で自主的な複製を指示する配列を含んでもよく、又は宿主細胞DNA内への組み込みを可能にする配列を含んでもよい。有用なベクターとしては、例えば、プラスミド(例えば、DNAプラスミド又はRNAプラスミド)、トランスポゾン、コスミド、細菌性人工染色体、及びウイルスベクターが挙げられる。
ウイルスベクターは、広範に使用され、細胞内に非天然核酸分子を移入させそして発現させることを促進する、ウイルス由来核酸エレメントを含む核酸分子をいう。用語アデノ随伴ウイルスベクターは、主にAAVに由来する、構造的かつ機能的な遺伝子エレメント又はその部分を含む、ウイルスベクター又はプラスミドをいう。用語「レトロウイルスベクター」は、主にレトロウイルスに由来する、構造的又は機能的な遺伝子エレメント又はその部分を含む、ウイルスベクター又はプラスミドをいう。用語「レンチウイルスベクター」は、主にレンチウイルスからに由来する、構造的又は機能的な遺伝子エレメント又はその部分を含む、ウイルスベクター又はプラスミドをいう、などである。用語「ハイブリッドベクター」は、一種より多くのウイルス型由来の構造的及び/又は機能的な遺伝子エレメントを含むベクターをいう。
アデノウイルス。「アデノウイルスベクター」は、(a)発現構築物のパッケージングを支持しそして(b)センス又はアンチセンス方向で、自身の中にクローニングされているコード配列を発現するために、十分なアデノウイルス配列を含む構築物をいう。組換え体アデノウイルスベクターは、アデノウイルスの遺伝子操作形態を含む。アデノウイルスの遺伝子構成は、36kb、直線状、二本鎖DNAウイルスであることが知られており、アデノウイルスDNAの大きな部分と7kbまでの外来性配列との置換を可能にする。アデノウイルスDNAは、潜在的な遺伝子毒性を有さないエピソーム様式で複製することができるので、レトロウイルスとは対照的に、宿主細胞のアデノウイルス感染は、染色体組み込みをもたらさない。また、アデノウイルスは、構造的に安定であり、膨大な増幅の後に、ゲノム再編成が検出されていない。
アデノウイルスは、特に、中くらいの大きさのゲノム、操作の容易性、高い力価、広い標的細胞範囲及び高い感染性ゆえに、遺伝子移入ベクターとして使用することに適している。このウイルスゲノムの両端は、100~200塩基対の逆方向リピート(ITR)を含み、これは、ウイルスDNA複製及びパッケージングに必要なシスエレメントである。ゲノムの初期(E)及び後期(L)領域は、ウイルスDNA複製の発生によって分断された、異なる転写単位を含む。E1領域(E1A及びE1B)は、ウイルスゲノム及びいくつかの細胞性遺伝子の転写の調節を担うタンパク質をコードする。E2領域(E2A及びE2B)の発現は、ウイルスDNA複製のために、タンパク質の合成をもたらす。これらのタンパク質は、DNA複製、後期遺伝子発現及び宿主細胞シャットオフに関与している。ウイルスカプシドタンパク質のほとんどを含む後期遺伝子の産物は、主要後期プロモーター(MLP)によってなされた1つの一次転写物の重要な処理の後になってからのみ、発現される。MLPは、感染後期の間には特に効率的であり、このプロモーターから転写された全てのmRNAは、自身を翻訳のために好ましいmRNAにする、5’-三連リーダー(TPL)配列を有する。
アデノウイルスベクターが複製を欠損しているか、又は少なくとも条件的に欠損している必要性以外に、アデノウイルスベクターの性質は、本明細書中で開示される特定の実施形態の首尾よい実施のために重要ではないと考えられる。アデノウイルスは、42の異なる公知の血清型又はサブグループA~Fのいずれであってもよい。特定の実施形態において、アデノウイルス5型は、かなりの生化学的及び遺伝的情報が既知であり、ベクターとしてアデノウイルスを使用する構築において歴史的に最も使用されてきたヒトアデノウイルスであるがゆえに、サブグループCのアデノウイルス5型は、特定の実施形態における使用のための条件的複製欠損型アデノウイルスベクターを得るために、好ましい出発物質である。
示されるように、代表的なベクターは、複製欠損であり、アデノウイルスE1領域を持たない。したがって,目的の遺伝子をコードしたポリヌクレオチドを、E1-コード配列が除去されている位置から導入することが、最も便利である。しかし、アデノウイルス、配列内への構築物の挿入の位置は重要ではない。目的の遺伝子をコードしたポリヌクレオチドはまた、E3置換ベクターにおける欠失したE3領域又はヘルパー細胞株もしくはヘルパーウイルスがE4欠損を補う場合のE4領域の代わりに挿入されてもよい。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルスであり、アデノウイルス株の夾雑物として発見された。これは、偏在性のウイルスであり(抗体は、USヒト集団の85%に存在する)いずれの疾患とも関連付けられていない。これはまた、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスの存在に複製が依存するがゆえに、ディペンドウイルスとしても分類されている。種々の血清型が単離されており、AAV-2の血清型は、カプシドタンパク質VP1、VP2及びVP3内にカプシド封入されて、直系20~24nmの正十二面体ビリオンを形成する一本鎖直鎖状DNAを有する、最も性質決定されたAAVである。
AAV DNAは、4.7キロ塩基長である。これは、2つのオープンリーディングフレームを含み、2つのITRによって挟まれている。AAVゲノムには、2つの衆生な遺伝子が存在する:rep及びcapである。Rep遺伝子は、ウイルス複製を担うタンパク質をコードするが、他方でcapは、カプシドタンパク質VP1-3をコードする。各ITRは、T字型のヘアピン構造を形成する。これらの末端リピートは、染色体に組み込まれるための、唯一の必須なAAVのシス構成要素である。したがって、AAVは、すべてのウイルスコード配列が除去されて、そして送達のための遺伝子のカセットによって置き換えられた、ベクターとして使用され得る。3つのAAVウイルスプロモーターが同定されており、そのマップ位置に従って、p5、p19、及びp40と命名されている。p5及びp19からの転写は、repタンパク質の産生をもたらし、そしてp40からの転写物は、カプシドタンパク質を産生する。
AAVは、素晴らしい安全性プロフィールゆえに、及びゲノムDNAへの組み込みが稀であることゆえに、そしてそのカプシド及びゲノムは選択された細胞集団における発現を可能にするように調整することができるがゆえに、本開示内の使用のために際立っている。scAAVは、自己相補的AAVをいう。rAAVは、組換え体アデノ随伴ウイルスをいう。
他のウイルスベクターもまた、使用されてもよい。例えば、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス及びヘルペスウイルスなどのウイルスに由来するベクターが、使用されてもよい。これらは、種々の哺乳動物細胞について、いくつかの魅力的な特徴を提供する。
レトロウイルス。レトロウイルスは、遺伝子送達のための一般的なツールである。「レトロウイルス」とは、自身のゲノムRNAを直鎖状の二本鎖DNAコピーに逆転写し、その後、自身のゲノムDNAを宿主ゲノム内に共有結合的に組み込むRNAウイルスを指す。いったんウイルスが宿主ゲノム内に組み込まれると、「プロウイルス」と呼ばれる。プロウイルスは、RNAポリメラーゼIIの鋳型として働き、そして、新規なウイルス粒子を産生するために必要な構造タンパク質及び酵素をコードするRNA分子の発現を指示する。
特定の実施形態における使用のために好適なレトロウイルスの例としては:モロニ-マウス白血病ウイルス(M-MuLV)、モロニ-マウス肉腫ウイルス(MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、ネコ白血病ウイルス(FLV)、スプーマウイルス、フレンドマウス白血病ウイルス、マウス幹細胞(MSCV)及びラウス肉腫ウイルス(RSV)及びレンチウイルスが、挙げられる。
「レンチウイルス」は、複雑なレトロウイルスのグループ(又は属)をいう。例示的なウイルスとしては、HIV(ヒト免疫不全ウイルス;HIV1型及びHIV2型を含む);ビスナ-マエディウイルス(VMV);ヤギ関節炎-脳炎ウイルス(CAEV);ウマ感染性貧血ウイルス(EIAV);ネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシ免疫不全ウイルス(BIV);及びサル免疫不全ウイルス(SIV)が挙げられる。特定の実施形態において、HIVベースのベクター骨格(すなわち、HIVシス作用性配列エレメント)が、使用され得る。
「自己不活性化」(SIN)ベクターは、右(3’)LTRエンハンサー-プロモーター領域(U3領域として知られる)が(例えば、欠失又は置換によって)改変されて、ウイルス複製の最初の回を乗り越えるウイルス転写を妨げる、複製欠損ベクターをいう。これは、ウイルス複製の間、右(3’)LTR U3領域は、左(5’)LTRU3領域の鋳型として使用されるため、したがって、ウイルス転写物がU3エンハンサー-プロモーターなしでは作成され得ないからである。さらなる実施形態において、3’LTRは、U5領域が、例えば典型的ポリ(A)配列と、置き換えられるように改変される。3’LTRに対する改変、5’LTRに対する改変又は3’及び5’LTRの両方に対する改変などの、LTRに対する改変もまた、特定の実施形態に含まれることに留意するべきである。
特定の実施形態において、ウイルスベクターは、TARエレメントを含む。用語「TAR」は、レンチウイルス(例えば、HIV)LTRのR領域に配置される「トランス活性化応答」遺伝子エレメントをいう。このエレメントは、レンチウイルストランスアクチベーター(tat)遺伝子エレメントと相互作用し、ウイルス複製を増大する。しかし、このエレメントは、5’LTRのU3領域が異種プロモーターによって置き換えられる実施形態においては、必要ではない。
「R領域」とは、キャッピング基の始めにて開始し(すなわち、転写の始め)、ポリ(A)尾部の始めの直前にて終わる、レトロウイルスLTR内の領域をいう。R領域はまた、U3領域とU5領域とに挟まれることによっても定義される。R領域は、逆転写の間、ゲノムの一端から他端までの初期DNAを移動させる役割を果たす。
特定の実施形態において、ウイルスベクター内の異種配列の発現は、転写後調節エレメント、効果的なポリアデニル化部位、及び任意選択可能に、転写終止シグナルをベクターへ組み込むことによって増加する。種々の転写後調節エレメントは、タンパク質での異種核酸、例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE;Zufferey et al.,1999,J.Virol.,73:2886);B型肝炎ウイルス(HPRE)内に存在する転写後調節エレメント(Huang et al.,Mol.Cell.Biol.,5:3864);など(Liu et al.,1995,Genes Dev.,9:1766)の発現を増加する。特定の実施形態において、ベクターは、WPRE又はHPREなどの転写後調節エレメントを含む。特定の実施形態において、ベクターは、WPRE又はHPREなどの転写後調節エレメントを欠くか、又は含まない。
異種核酸転写の効果的な末端及びポリアデニル化を指示するエレメントは、異種遺伝子発現を増大し得る。転写終止シグナルは、一般に、ポリアデニル化シグナルの下流で見いだされる。特定の実施形態において、ベクターは、発現されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの3’に、ポリアデニル化配列を含む。用語「ポリ(A)部位」又は「ポリ(A)配列」は、RNAポリメラーゼIIによる初期RNA転写の終止及びポリアデニル化の両方を指示するDNA配列を述べる。ポリアデニル化配列は、コード配列の3’末端へのポリ(A)尾部の付加によってmRNA安定性を促進し、したがって、増大した転写効率に寄与する。特定の実施形態は、BGHpA又はSV40pAを使用し得る。特定の実施形態において、発現構築物の好ましい実施形態は、終止エレメントを含む。これらのエレメントは、転写レベルを増大し、そしてこの構築物から他のプラスミド配列へのリードスルーを最小化することに寄与する。
前述の記載を超えて、広範な好適な発現ベクター型が、当業者には公知である。これらは、一般的な組換え手順のために設計された、市販の発現ベクター(例えば、1つ以上のレポーター遺伝子及び細胞内でのレポーター遺伝子の発現に必要な調節エレメントを含むプラスミド)を含み得る。多くのベクターが、例えば、Invitrogen、Stratagene、Clontechなどから市販されており、多くの添付の手引きに記載されている。特定の実施形態において、好適な発現ベクターは、哺乳動物細胞においてコードされた遺伝子の発現を支持可能な任意のプラスミド、コスミド又はファージ構築物(例えば、pUC又はBluescriptプラスミドシリーズ)を含む。
特定の実施形態は、以下を含む:
Figure 2024095779000002
特定の実施形態において、血液脳関門(BBB)を通過するカプシドを有するウイルスベクターが選択される。特定の実施形態において、AAVは、BBBを通過するカプシドを含むように改変される。血液脳関門を通過するウイルスカプシドを有するAAVの例としては、AAV9(Gombash et al.,Front Mol Neurosci.2014;7:81)、AAVrh.10(Yang,et al.,Mol Ther.2014;22(7):1299-1309)、AAV1R6,AAV1R7(Albright et al.,Mol Ther.2018;26(2):510)、rAAVrh.8(Yang,et al.,前出)、AAV-BR1(Marchio et al.,EMBO Mol Med.2016;8(6):592)、AAV-PHP.S(Chan et al.,Nat Neurosci.2017;20(8):1172)、AAV-PHP.B(Deverman et al.,Nat Biotechnol.2016;34(2):204)、及びAAV‐PPS(Chen et al.,Nat Med.2009;15:1215)が挙げられる。
AAV9は、多くの他の天然に存在する血清型と違って静脈内投与後にBBBを通過する、天然に存在するAAV血清型である。これは、中枢神経系(CNS)の大きな節を変換し、それによって最小限の侵襲性治療を可能にし(Naso et al.,BioDrugs.2017;31(4):317)、例えば、上腸間膜動脈(SMA)症候群のAveXis(AVXS-101,NCT03505099)による治療及びCLN3遺伝子関連神経セロイドリポフスチン症(NCT03770572)の治療のための、進行中の臨床試験に関連して記載されている。特定の実施形態において、代表的なAAV9カプシドタンパク質配列は、AAV9VP1カプシドタンパク質配列(UniProt登録番号Q6JC40,配列番号57)を含み得る。
AAVrh.10は、リーセス・マカークス(rhesus macaques)から最初に単離され、ヒトにおいて、遺伝子送達適用のために使用される他の一般的な血清型と比較した際に、低い血清要請を示し(Selot et al.,Front Pharmacol.2017;8:441)、そして現在、臨床試験LYS-SAF302、LYSOGENE及びNCT03612869において評価されている。
キメラAAVベクター(AAVrh.10内にAAV1カプシドドメインを置き換えた)のライブラリーから単離された2つのバリアントであるAAV1R6及びAAV1R7は、BBBを通過する能力を保持し、そしてCNSを変換する一方で、肝臓及び血管内皮形質導入の有意な低減を示す。
rAAVrh.8,もまた、リーセス・マカークスから単離され、末梢投与後の臨床的重要性の領域で、グリア細胞及び神経細胞型の包括的な形質導入を示し、そしてまた、他のベクターと比較して低減された末梢組織向性を示す。
AAV‐BR1は、無作為AAVディスプレイペプチドライブラリーのインビボスクリーニングにおいて単離されたNRGTEWD(配列番号53)エピトープを示すAAV2バリアントである。これは、最小限のオフターゲットな親和性(肝臓を含む)で脳における高いトランスジーン発現を伴う、高い特異性を示す(Korbelinetal.,EMBO Mol Med.2016;8(6):609)。
AAV-PHP.S(Addgene,Watertown,MA)は、7マーの配列QAVRTSL(配列番号54)をコードする、CREATE方法によって作成されたAAV9のバリアントであり、腸神経系においてニューロンを形質導入させ、そして脊髄及び脳幹に侵入するように、末梢感覚求心路を強力に形質導入した。
AAV-PHP.B(Addgene,Watertown,MA)は、7-merの配列TLAVPFK(配列番号55)をコードする、CREATE方法によって作成されたAAV9のバリアントである。これは、遺伝子を、AAV9より高い効率でCNS全体に輸送し、多数のCNC領域を横切って星状細胞及びニューロンの多く形質導入する。
AAV-PPSは、DSPAHPS(配列番号56)エピトープのAAV2のカプシドへの挿入によって作成されたAAVバリアントであり、AAV2に関して劇的に改善した脳の向性を示す。
特定の実施形態において、投与(例えば、i.v.投与)後に霊長類で抑制性細胞の脳全体への形質導入をもたらすカプシドが選択される。特定の実施形態において、投与後に、Scn1aの欠失によって影響を受ける組織及び細胞型に広範に広がる形質導入をもたらすカプシドが選択される。
投与のための発現構築物。本開示のベクター(本明細書中で、生理学的に活性な構成要素と呼ぶ)は、ヒト対象又は動物対象への投与に好適な担体と共に処方されてもよい。本明細書中で記載の組成物中の生理学的に活性な構成要素は、中性の形態で遊離塩基として調製されてもよく、又は薬学的に許容可能な塩として調製されてもよい。
薬学的に許容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離のアミノ基によって形成される)を含み、そしてこれは、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機塩、又は、例えば酢酸、シユウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸によって形成される。遊離のカルボキシル基によって形成される塩もまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムもしくは水酸化第二鉄などの無機塩基、及びイソプロピルアミン、鳥メチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る。
生理学的に活性な構成要素の担体としては、溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、等張剤及び吸収遅延剤、緩衝液、溶液、懸濁液、コロイドなどが挙げられる。このような担体の生理学的に活性な構成要素のための使用は、当該分野で公知である。生理学的に活性な構成要素と不適合である従来の媒体又は薬剤を除いて、本明細書中で記載の組成物とともに使用され得る。
語句「薬学的に許容可能な担体」は、ヒトに投与された際、及び特定の実施形態において静脈内投与された際に、アレルギー反応又は類似の不都合な反応を起こさない担体をいう。
特定の実施形態において、組成物は、静脈内、眼内、硝子体内、非経口、皮下、側脳室内、筋肉内、髄腔内、脊髄内、経口、腹腔内、経口もしくは経鼻吸入、又は1つ以上の細胞、組織もしくは器官への直接注射のために、処方され得る。
組成物は、リポソーム、脂質、脂質複合体、ミクロスフィア、微粒子、ナノスフィア及び/又はナノ粒子を含んでもよい。
リポソームの形成及び使用は、当業者に一般に公知である。リポソームは、改善された血清安定性及び循環半減期を有するように開発されている(例えば、米国特許第5,741,516号を参照されたい)。さらに、潜在的薬物担体としてのリポソーム及びリポソーム様調製物の種々の方法が、記載されている(例えば、米国特許第5,567,434号;同第5,552,157号;同第5,565,213号;同第5,738,868号;及び同第5,795,587号を参照されたい)。
リポソームは、水性媒体中に分散し、自然発露的に多重膜の同心二重層水泡を形成するリン脂質から形成される(多層小胞(MLV)とも呼ばれ、MLVは、一般に、25nm~4μmの直径を有する)。MLVの音波処理により、芯に水溶液を含む200~500オングストロームの範囲の直径を有する小さな小型単層小胞(SUV)の形成が起こる。
リポソームは、細胞膜に類似しており、水溶性物質と油溶性物質の両方に広く好適であり、すなわち、水性空間において、及び二重層自体の中に捕捉し得る。
リポソームはまた、リポソーム処方物を選択的に改変することにより、活性薬剤の部位特異的送達のためにも使用され得る。特異的標的化が望まれるがゆえに、このために利用可能な方法が確立される。例えば、抗体の結合ドメインは、リポソーム表面に結合して、抗体及びその薬物内容物を、特定の細胞型表面上に位置する特異的な抗原性レセプターに指向させるために使用され得る。炭水化物決定基(細胞-細胞の認識、相互作用及び接着において役割を果たす、糖タンパク質又は糖脂質の細胞表面構成要素)もまた、リポソームを特定の細胞型へ指向させる能力を有する認識部位として使用され得る。
Couvreur et al.(FEBS Lett.84(2):323-326,1977;Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.5(1)1-20,1988)の教示に加えて、以下の情報が、リポソーム処方物の製造に利用され得る。リン脂質は、水中に分散された際に、脂質対水のモル比に依存して、リポソーム以外の種々の構造を形成し得る。低い比率のリポソームは、好ましい構造である。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度及び二価陽イオンの存在に依存する。リポソームは、イオン性及び極性の物質に対し低い浸透性を示し得るが、高い温度では、その浸透性を著しく変える相転移を起こす。相転移は、ゲル状態として知られる細密な整った構造から、流体状態として知られるまばらかつより整っていない構造への変化を含む。これは、特徴的な相転移温度において起こり、イオン、糖及び薬物に対する浸透性を高める。
溶質を捕捉する能力は、リポソームの種類によって異なる。例えば、MLVは、溶質の捕捉において中程度の効率だが、SUVは、非常に非効率的である。SUVは、サイズ分布の均一性及び再現性の利点を提供するが、大きさと捕捉効率との間の妥協は、大型単層小胞(LUV)によって提供される。これは、エーテル蒸発脱水によって調製され、溶質捕捉の点でMLVよりも3~4倍効率的である。
あるいは、本開示は、本開示の生理学的に活性な構成要素の薬学的に許容可能なナノカプセル処方物薬学的に許容可能なナノカプセル処方物を提供する。ナノカプセルは、一般に、安定かつ再現性のある方法で化合物を封入する(Quintanar-Guerrero et al.,Drug Dev Ind Pharm 24(12):1113-1128,1998;Quintanar-Guerrero et al.,Pharm Res.15(7):1056-1062,1998;Quintanar-Guerrero et al.,J.Microencapsul.15(1):107-119,1998;Douglas et al.,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 3(3):233-261,1987)。細胞内ポリマー過負荷に起因する副作用を避けるため、インビボで分解可能なポリマーを用いた超微粒子が設計され得る。これらの要件を満たす生分解性ポリアルキル-シアノアクリレートナノ粒子は、本開示における使用が企図される。このような粒子は、Couvreur et al.,J Pharm Sci 69(2):199-202,1980;Couvreur et al.,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.5(1)1-20,1988;zur Muhlen et al.,Eur J Pharm Biopharm,45(2):149-155,1998;Zambaux et al.,J Control Release 50(1-3):31-40,1998;and U.S.Pat.No.5,145,684に記載のように製造され得る。
注射可能な組成物は、滅菌された水溶液又は分散液、並びに、滅菌された注射可能な水溶液又は分散液の即時調製のための滅菌された粉末を含み得る(米国特許第5、466、468号)。注射を介した送達のために、形態は、シリンジによって送達され得る範囲で滅菌かつ流体である。特定の実施形態において、製造及び保存の条件下で安定であり、任意選択的、1種以上の細菌及び真菌などの微生物の夾雑に対して保存可能な化合物を含む。担体は、溶媒又は分散媒であってもよく、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、これらの公的な混合物、及び/又は植物油であってもよい。レシチンなどのコーティングの使用によって、分散媒の場合に所望の粒子サイズの維持によって、及び/又は界面活性剤の使用によって、適切な流動性が維持され得る。微生物の作用の予防は、種々の抗細菌剤及び/又は抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされてもよい。種々の実施形態において、調製物は、等張剤、例えば、糖類又は塩化ナトリウムを含んでもよい。注射可能な組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含めることによって達成され得る。注射可能組成物は、必要に応じて好適に緩衝化され、そして希釈液は、十分な生理食塩水及びグルコースによってまず等張化される。
分散剤はまた、グリコール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物、及び油の中で調製されてもよい。示されるように、保管及び使用の通常条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐ保存剤を含んでもよい。
滅菌組成物は、生理学的に活性な構成要素を適切な量の溶媒に他の任意選択可能な成分(例えば、上で挙げたような成分)と共に組み込み、ろ過滅菌することによって調製され得る。一般に、分散液は、種々の滅菌した生理学的に活性な構成要素を、基礎分散媒及び所望の他の成分(例えば、上にあげたような成分)を含む滅菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、生理学的に活性な構成要素及びあらかじめ濾過滅菌した溶液由来の任意のさらなる所望の成分を含む粉末をもたらす、真空乾燥技術及び凍結乾燥技術であってもよい。
経口組成物は、液体形態、例えば、溶液、シロップもしくは懸濁液であっても、又は他の好適なビヒクルによって使用前に再構成される製剤として提示されてもよい。このような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素付加した食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンもしくはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステルもしくは分留植物油類);及び保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)などの薬学的に許容可能な付加物を用いて、従来手段によって調製され得る。組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースもしくはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプンもしくはナトリウムデンプングリコレート);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容可能な賦形剤を用いて、従来手段で調製された、例えば錠剤又はカプセル剤の形態をとってもよい。錠剤は、当該分野で周知の方法によって、コーティングされてもよい。
吸入可能組成物は、好適な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガスの使用によって、加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレー調製物の形態で送達されてもよい。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、測定量を送達するバルブを提供することにより、決定され得る。例えば、吸入器又は注入器における使用のためのゼラチンのカプセル及びカートリッジが、本化合物及び好適な粉末ベース(例えば、ラクトース又はデンプン)の粉末混合物を含むように処方され得る。
組成物はまた、マイクロチップデバイス(米国特許第5、797、898号)、眼科処方物(Bourlais et al.,Prog Retin Eye Res、17(1):33-58、1998)、経皮マトリックス(米国特許第5、770、219号及び米国特許第5、783、208号)及びフィードバック制御された送達(米国特許第5、697、899号)を含み得る。
補助活性成分もまた、本組成物中に組み込まれてもよい。
代表的に、組成物は、少なくとも0.1%の生理学的に活性な構成要素もしくはそれ以上を含み得るが、生理学的に活性な構成要素の百分率は、無論、変動し得、そして簡便に、全組成物の重量及びもしくは容積の、1又は2%と70%又は80%と、又はそれ以上又は0.5~99%の間であってもいい、重量又は容積を含み得る。通常、生理学的に有用な組成物の各々における生理学的に活性な構成要素の量は、好適な投薬が得られる方法により、本化合物の任意の所与の単位容量で調製され得る。溶解性、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品保存期限、並びに他の薬理学的考慮事項の因子は、このような薬学的処方物を調製する当業者によって企図される。したがって、様々な組成物及び投薬が、望ましい場合がある。
特定の実施形態において、ヒトへの投与のために、組成物は、米国食品医薬品局(FDA)又は他国における他の適切な認証機関によって求められる滅菌性、発熱性及びいくつかの安全性及び純度基準を満たしていなければならない。
使用方法。特定の実施形態において、本明細書中で記載される生理学的に活性な構成要素を含む組成物は対象に投与され、対象における抑制性ニューロン内で電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質又はヌクレオチド配列の選択的発現をもたらす。特定の実施形態において、電位開口型ナトリウムチャネル機能のレスキューは、Nav1.1ナトリウムチャネルの十分な量及び/又は活性を有さない対象の介在ニューロンを、十分な量の外因性電位開口型ナトリウムチャネル及び活性を発現する介在ニューロンに変換して、ニューロン機能を回復しててんかん回路活性を防ぐことを含む。
特定の実施形態において、レスキューされた電位開口型ナトリウムチャネル機能は、ナトリウムチャネル電流における増大及び/又は生理学的に活性な構成要素によって遺伝子操作された抑制性ニューロンの興奮能の増大の1つ以上によって証明される。特定の実施形態において、レスキューされた電位開口型ナトリウムチャネル機能は、生理学的に活性な構成要素によって遺伝子操作された抑制性ニューロンの電圧脱分極に応答した、ナトリウムチャネル伝導性及び/又はナトリウムチャネル流入の増大の1つ以上によって証明される。増大は、少なくとも10%の増大、少なくとも20%の増大、少なくとも30%の増大、少なくとも40%の増大、少なくとも50%の増大、少なくとも60%の増大、少なくとも70%の増大、少なくとも80%の増大、又は少なくとも90%の増大であり得る。抑制性ニューロンの出力は、電気生理学的方法、例えば多電極アレイ又はパッチクランプを用いて測定され得る。
特定の実施形態において、抑制性ニューロンは、海馬又は皮質における抑制性介在ニューロン、GABA作動性ニューロン、GABA作動性介在ニューロン、汎GABA作動性ニューロン、又は抑制性ニューロンである。
特定の実施形態において、レスキューされた電位開口型ナトリウムチャネル機能は、例えばマウスモデルを用いて、前脳介在ニューロンにおけるナトリウム電流依存型迅速スパイキングの増大によって証明される。特定の実施形態において、レスキューされた電位開口型ナトリウムチャネル機能は、本明細書中で記載されるマウスモデルにおける温度誘導性シージング(seizing)の遅延又は抑制によって証明される。
詳細な実施形態は、抑制性ニューロンにおいて低減したNav1.1ナトリウムチャネル機能を有する対象の同定を含む。このような対象は、Nav1.1ナトリウムチャネル機能不全に関連する障害の診断に基づいて同定されてもよい。このような障害としては、てんかん、SCN1A関連発作障害、単純型熱性発作(FS)、GEFS+、DS、全身性強直性間代性発作を伴う難治性小児てんかん(ICE-GTC)、難治性乳児部分発作、ミオクローヌス性失立(myoclonic-astatic)てんかん、レノックス・ガストー症候群(LGS)、及び点頭てんかんが、挙げられる。難治性発作(「制御不能」又は「御しがたい」発作とも呼ばれる)は、従来の治療による正常の医学判定に基づいて十分な程度まで制御することができない発作である。
DSに関して、詳細には、80%のDS患者試験は、1A遺伝子突然変異について陽性であるが、SCN1A突然変異の非存在は、DS診断を除外しない。DSは、SCN1A(例えば、S4~S6の電圧領域において又は多孔領域において、例えば、部分もしくは完全欠失突然変異、短縮型突然変異、及び/又はミスセンス突然変異)、SCN1B(ナトリウムチャネルβ1サブユニットをコードする)、SCN2A、SCN3A、SCN9A、GABRG2(GABAレセプターのγ2サブユニットをコードする)、GABRD(GABAレセプターのδサブユニットをコードする)及び/又はPCDH19遺伝子における突然変異に関連している。
特定の実施形態において、本明細書中で記載される治療を必要とする対象は、診断可能な発作を経験せず、亜臨床放電(脳波を脳波図によって測定する際の、高い割合の発作様活性と呼ぶ)を示す場合がある。これらの発作様放電に関連するてんかん症候群は、ランドウ・クレフナー症候群及び徐波睡眠の間の連続的スパイク波活性(Continuous Spike-wave Activity)を含む。
特定の実施形態において、患者は、自閉症スペクトラム障害(ASD)などの知的発達障害(IDD)を有する場合がある。特定の実施形態において、本開示の方法の患者は、てんかん及びIDD又はASD障害を有する。発作及びてんかんと併発する一般的なIDD及びASDとしては、脆弱X症候群(FXS)、レット症候群(RTT)、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー症候群、口蓋心臓顔面症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、ニューロリジン突然変異及び「介在ニューロパシー」が挙げられ、これらは、アリスタレス(aristaless)関連ホメオボックスX結合型(ARX)及びニューロピリン2(NRP2)遺伝子突然変異から生じる。
本明細書中で記載される方法は、詳細には、小児及び乳児を治療するために、及び乳児又は小児の間に発症する障害を治療するために、有用である。特定の実施形態において、本開示の方法の患者は、新生児、乳児、幼児、未就学児、学童、トゥイーン(tween)又はテーンエイジャーである。特定の実施形態において、患者は、18歳以下、12歳以下、10歳以下、8歳以下、6歳以下、4歳以下、2歳以下、1歳以下である。特定の実施形態において、患者は、18歳を超えた成人である。
特定の実施形態において、本方法は、必要とする患者において、発作又はその症状を軽減又は予防する。特定の実施形態において、本方法は、1種以上の異なる型の発作を軽減又は予防し得る。理想的には、本開示の方法は、発作の完全な防止をもたらす。しかし、本開示はまた、発作の発生数が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%減少する方法を包括する。
一般に、発作は、けいれん、反復運動、感覚異常、及びこれらの組み合わせを含み得る。発作は、限局性発作(部分発作とも呼ばれる)と全身性発作とに分類され得る。限局性発作は、脳の片側のみに起こり、他方で全身性発作は、脳の両側に起こる。特異的な型の限局性発作としては、単純限局性発作、複雑限局性発作、及び二次全身性発作が挙げられる。単純限局性発作は、特定の頭葉(例えば、側頭葉、前頭葉、頭頂葉、又は後頭葉)に限定されるか、又は焦点が当たっている場合がある。複雑限局性発作は、一般に、単純限局性発作よりも、1つの半球のより大きな部分に起こるが、一般に、側頭葉又は前頭葉において発生する。限局性発作が、脳の片側(半球)から両側に広がる場合、この発作は、二次全身性発作と呼ばれる。特定の型の全身性発作としては、欠神(小発作とも呼ばれる)、緊張性発作、無緊張性発作、ミオクローヌス性発作、緊張性慢性発作(大発作とも呼ばれる)、及び慢性発作が挙げられる。
特定の実施形態において、本明細書中で記載される方法は、処置後の患者において、無治療(例えば、治療前)と比較して、又は代替の従来治療による治療と比較して、発作の頻度を下げ、発作の重症度を軽くし、発作の型(例えば、より重症な型からより軽症な型へ)変更し得、又はこれらの組み合わせであり得る、。
組成物の投与は、任意の適切な経路によるものであってもよい。例えば,特定の実施形態において、投与は、Nav1.1ナトリウムチャネル機能不全に関連する研究目的のための、細胞又は組織切片への適用を含んでもよい。
特定の実施形態において、対象に対する投与は、静脈内,後眼窩,眼内,硝子体内,非経口,皮下,側脳室内,筋肉内,髄腔内,脊髄内,経口,腹腔内,経口,経鼻であっても、又は標的化部位への直接投与であってもよい。送達は、針又はカニューレによって達成されても、又は流体物質を排出する任意の他の技術によって達成されてもよい。投与の方法は、米国特許第5,543,158号;米国特許第5,641,515号及び米国特許第5,399,363号に記載される様式を含んでもよい。
医療分野において周知であるように、任意の一対象についての投薬量は、対象の大きさ、表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時間及び投与経路、全身状態、及び同時に投与される他の薬物を含む多くの因子に依存する。本開示の化合物の投薬量は、変動し得るが、特定の実施形態において、用量は、本開示の発現構築物の10~1010コピーであってもよい。特定の実施形態において、静脈内、脊髄内、後眼窩、側脳室内又は髄腔内投与を受けた患者は、発現構築物の10~1022コピーで注入されてもよい。
治療有効量は、有効量及び/又は治療処置を提供するものを含む。
「有効量」は、対象において所望の生理学的変化をもたらす組成物の量である。多くの場合、有効量は研究目的で投与される。Nav1.1本開示の有効量は、ナトリウムチャネル機能不全に関連する障害に関する動物モデル又はインビトロアッセイにおいて統計的に優位な効果を起こし得る。
「治療的処置」は、Nav1.1ナトリウムチャネル機能不全に関連する障害の症候又は兆候を示す対象に投与される、そして障害の兆候又は症候を軽減するか、又は排除する目的のために対象に投与される治療を含む。治療処置は、障害の存在又は活性、障害の病因、及び/又は障害の副作用を軽減するか、制御するか、又は除去することができる。
特定の実施形態において、治療有効量の本開示の組成物の投与は、例えば、投与を受ける対象に治療利益を提供するために十分な数の発現構築物の単回投与などの、単回投与で達成されてもよい。あるいは、いくつかの状況において、本組成物の多数回の、連続的な、比較的短期間又は比較的長期間のいずれかで投与を提供することが望ましい場合がある。
例えば、対象に投与される発現構築物の数は、10、10、10、1010、1011、1012、1013、又はそれよりも多い発現構築物/mlであるか、又は、所望の生理学的結果を達成するために必要である場合、単回用量で、又は2以上の投与に分割されてもよい。特定の実施形態において、特定の治療レジメンに所望の効果を達成するため、単独で、又は1つ以上の他の治療薬物と組み合わせて、2つ以上の異なる発現構築物を投与することが望ましい場合がある。
投与の特定特定の対象のための投薬及びタイミングは、治療する臨床医、研究者又は獣医によって、選択され得る。言い換えると、組成物及び/又は発現構築物の量及び投与時間は、本教示によって利益を受ける当業者の技術範囲内である。
特定の実施形態において、Nav1.1ナトリウムチャネル障害のための治療は、別の治療と組み合わせられてもよい。例えば、発作及びてんかんのための一般的従来治療は、抗てんかん薬及び低炭水化物食(例えば、ケトン食、例えば古典食、中鎖トリグリセリド(MCT)食、改変アトキンス食、及び低血糖指数治療(LGIT))、静脈内イムノグロブリン、ステロイド、除去食、迷走神経刺激、皮質切除術(corticetomy)、多回の軟膜下切除(subpial transections)などの非抗てんかん薬治療を含む。
本明細書中で記載される組成物と組み合わせて使用され得る一般的な抗てんかん性及び抗痙攣性の活性化合物としては、アセタゾラミド、カンナビジオール、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エスリカルバゼピン酢酸エステル、エトスキシミド、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オキシカルバゼピン、ペラムパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラメート、ビガバトリン、及びゾニサミドが、挙げられる。
キット及び市販のパッケージ。キット及び市販のパッケージが、本明細書中で記載される発現構築物を含む。発現産物は特定の実施形態に単離され得る。特定の実施形態において、発現産物の構成要素は、互いに単離され得る。特定の実施形態において、発現産物は、ベクター内、ウイルスベクター内、細胞内、組織切片もしくは試料内、及び/又はトランスジェニック動物内であり得る。特定の実施形態において、動物は、発現構築物を含む組成物の投与後にトランスジェニックである。特定の実施形態において、トランスジェニック動物は、動物をDSの動物モデルにおける使用のために適切にする遺伝子改変を含む。例えば、マウスなどのトランスジェニック動物は、Scn1a+/-であってもよい。トランスジェニック動物を作製するための詳細な方法は、米国特許第4,736,866号に記載されている。トランスジェニック動物は、任意の非ヒト哺乳動物であっても、又は鳥類であってもよいが、好ましくは、マウス及び非ヒト霊長類、(NHP類)を含む。ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、鶏及び他にはモルモット、ハムスター、アレチネズミ、ラット及びフェレットなどのげっ歯類もまた、含まれる。
キット又は市販のパッケージの実施形態は、含まれる組成物の、例えば研究における使用及び/又はてんかん及び/又はDSなどのNav1.1ナトリウムチャネル機能不全に関連する障害の治療のための使用に関する指示書をも含む。このようなキットは、1種以上の試薬、制限酵素、ペプチド、治療薬、薬学的化合物、又はシリンジ、注射可能物などの、組成物の送達のための手段をさらに含んでもよい。
以下の例示的実施形態は、本開示の特定の実施形態を説明するために含まれる。当業者は、本明細書中で開示される特定の実施形態に対して多くの変更がなされ得、そして、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、似ているか、又は類似の結果がなお得られることを、本開示に照らして認識するべきである。
例示的実施形態。
1. (i)配列番号2又は配列番号6のコンカテマー化したエンハンサー、(ii)プロモーター;及び(iii)レスキューを必要とする細胞又は対象において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質又は核酸をコードする、コード配列を含む、発現構築物(例えば、単離されたポリヌクレオチド)。
2. コンカテマーが、配列番号2又は配列番号6の3Xコンカテマーを含む、実施形態1の発現構築物。
3. コンカテマーが、直列に並んだ配列番号2及び配列番号6を含む、実施形態1の発現構築物。
4. コンカテマーが、配列番号2-配列番号6-配列番号2;配列番号6-配列番号2-配列番号6;配列番号6-配列番号6-配列番号2;配列番号2-配列番号2-配列番号6;配列番号6-配列番号2-配列番号2;又は配列番号2-配列番号6-配列番号6を含む、実施形態3の発現構築物。
5. (i)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号8、(ii)プロモーター;及び(iii)レスキューを必要とする細胞又は対象において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質又は核酸をコードするコード配列を含む、発現構築物(例えば、単離されたポリヌクレオチド)。
6. コード配列が、NavSheP-D60N、NavBp、NavMs、3xHA-NavSheP-D60N、3xHA-NavBp、3xHA-NavMs、又はHis-NavMsを含むか、又はコードする、実施形態1~5のいずれかの発現構築物。
7. コード配列が、ヒトSCN1A、マウスScn1a、ヒトSCN1A-3xHA、及び/又はマウスScn1a-3Xha.含むか、又はコードする、実施形態1~6のいずれかの発現構築物。
8. コード配列が、内因性SCN1Aの発現を増大する人工転写因子を含むか、又はコードし、人工転写因子は、転写活性化ドメインに結合した標的化DNA結合ドメインを含む、実施形態1~7のいずれかの発現構築物。
9. コード配列が、スプライシングを増大するか、又はマイクロRNAの負の調節を防ぐ、アンチセンスRNA分子を含むか、又はコードする、実施形態1~8のいずれかの発現構築物。
10. コード配列が、SCN1A発現を上方制御するヌクレオチド配列(例えば、配列番号66~163)を含むか、又はコードする、実施形態1~9のいずれかの発現構築物。
11. コード配列が、発現後、完全長SCN1Aに集合するSCN1Aの1つ以上のセグメントを含むか、又はコードする、及び/又は、実施形態1~10のいずれかの発現構築物。
12. 配列番号58、配列番号59、配列番号60、及び配列番号61のSCN1Aコード配列を含む、実施形態11の発現構築物。
13. SCN1Aセグメントが、配列番号62、配列番号63、配列番号64、及び配列番号65を含む、実施形態11の発現構築物。
14. プロモーターが、minBglobin又はminCMVを含む、実施形態1~13のいずれかの発現構築物。
15. 発現構築物が、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター内にある、実施形態1~14のいずれかの発現構築物。
16. 発現構築物が、レポータータンパク質についてのコード配列を含む、実施形態1~15のいずれかの発現構築物。
17. レポータータンパク質が、蛍光レポータータンパク質を含む、実施形態16の発現構築物。
18. 発現構築物が、スキッピングエレメントを含むか、又はコードする、実施形態1~17のいずれかの発現構築物。
19. スキッピングエレメントが、2Aペプチド又は内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む、実施形態18の発現構築物。
20. 2Aペプチドが、T2A、P2A、E2A、及び/又はF2Aを含む、実施形態19の発現構築物。
21. 構築物が、CN1367、CN1244、CN1389、CN1390、CN1180、CN1203、CN1498、CN1499、CN1500、CN2001、CN2002、CN2003、CN1504及びCN1512、CN2004及びCN2005、CN2006及びCN2007、CN2008及びCN2009、又はCN2026、CN2027、CN2028及びCN2029のエレメントを含む、実施形態1~20のいずれかの発現構築物。
22. 構築物が、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、及び/又は配列番号52を含む、実施形態1~21のいずれかの発現構築物。
23. 構築物が、配列番号45及び配列番号46、配列番号47及び配列番号48、配列番号49及び配列番号50、配列番号51、及び配列番号52又はCN2026、CN2027、CN2028及びCN2029を含む、実施形態1~22のいずれかの発現構築物。
24. AAVベクターが、血液脳関門を通過するカプシドに結合している、実施形態15~23のいずれかの発現構築物。
25. カプシドが、PHP.Eb.を含む、実施形態24の発現構築物。
26. カプシドが、配列番号53を含む、実施形態24又は25の発現構築物。
27. カプシドが、配列番号54又は配列番号55挿入物を有するAAV9カプシドを含む、実施形態24~26のいずれかの発現構築物。
28. カプシドが、配列番号56挿入物を有するAAV2カプシドを含む、実施形態24~27のいずれかの発現構築物。
29. 実施形態1~28のいずれかの発現構築物を含む、組成物。
30. 実施形態1~28のいずれかの発現構築物を含む、細胞。
31. 実施形態1~28のいずれかの発現構築物を含む、非ヒト動物。
32. 実施形態1~28のいずれかの発現構築物を含む、キット。
33. 治療有効量の実施形態29の組成物の細胞への投与を含む、レスキューを必要とする欠損細胞において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする方法。
34. 治療有効量の実施形態29の組成物の対象への投与を含む、レスキューを必要とする対象において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする方法。
35. レスキューを必要とする対象が、てんかん、SCN1A関連発作障害、単純型熱性発作(FS)、全般てんかん熱性発作プラス(GEFS+)、ドラベ症候群(DS)、全身性強直性間代性発作を伴う難治性小児てんかん(ICE-GTC)、難治性乳児部分発作、ミオクローヌス性失立てんかん、レノックス・ガストー症候群(LGS)、又は点頭てんかんの診断に起因する、実施形態34の方法。
36. 対象が、小児患者である、実施形態34又は35の方法。
37. 対象が、4歳未満である、実施形態34~36のいずれかの方法。
38. 対象は、温度誘導性熱性発作試験を受けているトランスジェニックScn1a+/-マウスである、実施形態34、35、又は37の方法。
39. 組成物が、静脈内投与される、実施形態34~38のいずれかの方法。
40. 組成物が、側脳室若しくは大槽若しくは腰椎空間、又は大後頭孔内へのカニューレを介して、脳脊髄液内に髄腔内投与される、実施形態34~39のいずれかの方法。
41. (a)天然に存在しないエンハンサー配列;及び
(b)電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質をコードする核酸又はヌクレオチド配列;
を含む発現構築物であって、
エンハンサー配列が、
(i)配列番号3の配列からなるか;
(ii)直列に並んだ配列番号2又は配列番号6(例えば、配列番号2-配列番号6-配列番号2;配列番号6-配列番号2-配列番号6;配列番号6-配列番号6-配列番号2;配列番号2-配列番号2-配列番号6;配列番号6-配列番号2-配列番号2;又は配列番号2-配列番号6-配列番号6;配列番号6-配列番号6-配列番号6)の2つ以上のコピーを含むか;
(iii)配列番号3と少なくとも90%の配列同一性を有しかつ介在ニューロン特異的エンハンサー機能を維持する配列を含むか;又は
(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)の配列にハイブリダイズ可能な配列の相補鎖であって、
試料又は対象への投与後に、エンハンサーは、抑制性ニューロン内で核酸の転写を選択的に促進する、発現構築物(例えば、単離されたポリヌクレオチド)。
42. 核酸が、NavSheP-D60N、NavBp、NavMs、3xHA-NavSheP-D60N、3xHA-NavBp、3xHA-NavMs、又はHis-NavMsを含むか、又はコードする、実施形態41の発現構築物。
43. 核酸が、ヒトSCN1A、マウスScn1a、ヒトSCN1A-3xHA、及び/又はマウスScn1a-3Xhaを含むか、又はコードする、実施形態41又は42の発現構築物。
44. 核酸が、内因性SCN1Aの発現を増大する人工転写因子を含むか、又はコードする、実施形態41~43のいずれかの発現構築物であって、人工転写因子は、転写活性化ドメインに結合した標的化DNA結合ドメインを含む、発現構築物。
45. 核酸が、スプライシングを増大するか、又はマイクロRNAの負の調節を防ぐアンチセンスRNA分子を含むか、又はコードする、実施形態41~44のいずれかの発現構築物。
46. 核酸が、SCN1A発現を上方制御するヌクレオチド配列(例えば、配列番号66~163)含むか、又はコードする、実施形態41~45のいずれかの発現構築物。
47. 核酸が、発現後、完全長SCN1Aに集合するSCN1Aの1つ以上のセグメントを含むか、又はコードする、及び/又は、実施形態41~46のいずれかの発現構築物。
48. 配列番号58、配列番号59、配列番号60、及び配列番号61のSCN1Aコード配列を含む核酸を含む、実施形態47の発現構築物。
49. SCN1Aセグメントは、配列番号62、配列番号63、配列番号64、及び配列番号65を含む、実施形態47の発現構築物。
50. minBglobin又はminCMVを含むプロモーターを含む、実施形態41~49のいずれかの発現構築物。
51. 発現構築物が、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター内にある、実施形態41~50のいずれかの発現構築物。
52. 発現構築物が、レポータータンパク質をコードする核酸を含む、実施形態41~51のいずれかの発現構築物。
53. レポータータンパク質は、蛍光レポータータンパク質を含む、実施形態52の発現構築物。
54. 発現構築物が、スキッピングエレメントを含むか、又はコードする、実施形態41~53のいずれかの発現構築物。
55. スキッピングエレメントが、2Aペプチド又は内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む、実施形態54の発現構築物。
56. 2Aペプチドが、T2A、P2A、E2A、及び/又はF2Aを含む、実施形態55の発現構築物。
57. 構築物が、CN1367、CN1244、CN1389、CN1390、CN1180、CN1203、CN1498、CN1499、CN1500、CN2001、CN2002、CN2003、CN1504及びCN1512、CN2004及びCN2005、CN2006及びCN2007、又はCN2008及びCN2009のエレメントを含む、実施形態41~56のいずれかの発現構築物。
58. 構築物が、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、及び/又は配列番号52を含む、実施形態41~57のいずれかの発現構築物。
59. 構築物が、配列番号45及び配列番号46、配列番号47及び配列番号48、配列番号49及び配列番号50、又は配列番号51、及び配列番号52を含む、実施形態41~58のいずれかの発現構築物。
60. AAVベクターが、血液脳関門を通過するカプシドに結合している、実施形態51~59のいずれかの発現構築物。
61. カプシドが、PHP.Ebを含む、実施形態60の発現構築物。
62. カプシドが、配列番号53を含む、実施形態60又は61の発現構築物。
63. カプシドが、配列番号54又は配列番号55挿入物を有するAAV9カプシドを含む、実施形態60~62のいずれかの発現構築物。
64. カプシドが、配列番号56挿入物を有するAAV2カプシドを含む、実施形態60~63のいずれかの発現構築物。
65. 実施形態41~64のいずれかの発現構築物を含む、組成物。
66. 実施形態41~64のいずれかの発現構築物を含む、細胞。
67. 実施形態41~64のいずれかの発現構築物を含む、非ヒト動物。
68. 実施形態41~64のいずれかの発現構築物を含む、キット。
69. 治療有効量の実施形態65の組成物の細胞への投与を含む、レスキューを必要とする欠損細胞において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする方法。
70. 治療有効量の実施形態65の組成物の対象への投与を含む、レスキューを必要とする対象において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする方法。
71. レスキューを必要とする対象が、てんかん、SCN1A関連発作障害、単純型熱性発作(FS)、全般てんかん熱性発作プラス(GEFS+)、ドラベ症候群(DS)、全身性強直性間代性発作を伴う難治性小児てんかん(ICE-GTC)、難治性乳児部分発作、ミオクローヌス性失立てんかん、レノックス・ガストー症候群(LGS)、又は点頭てんかん.の診断に起因する、実施形態70の方法。
72. 対象が、小児患者である、実施形態70又は71のいずれかの方法。
73. 対象が、4歳未満である、実施形態70~72のいずれかの方法。
74. 対象は、温度誘導性熱性発作試験を受けているトランスジェニックScn1a+/-マウスである、実施形態70、71、又は73のいずれかの方法。
75. 組成物が、静脈内投与される、実施形態70~74のいずれかの方法。
76. 組成物が、側脳室若しくは大槽若しくは腰椎空間、又は大後頭孔内へのカニューレを介して、脳脊髄液内に髄腔内投与される、実施形態70~75のいずれかの方法。
77. 第1のベクターが、レスキューを必要とする細胞において電位開口型ナトリウムチャネル活性をレスキューするタンパク質のN末端部分をコードし、第2のベクターが、前記タンパク質のC末端部分をコードする、2つのAAVベクターを含むベクター系であって、前記2つのベクターによってコードされる遺伝子の部分は、相同組換えのための相同性領域を提供して全長Nav1.1タンパク質を生成するように重複し、前記第1のベクターは、プロモーター及び配列番号3からなるエンハンサーを含むが、終止シグナル又はポリAシグナルを含まず、前記第2のベクターは、終止シグナル及びポリAシグナルを含むが、プロモーター又はエンハンサーを含まない、ベクター系。
78. タンパク質が、ヒトSCN1Aを含む、実施形態77のベクター系。
79. 相同性領域が、75~1000塩基対である、実施形態77又は78のベクター系。
80. 相同性領域が、550~650塩基対である、実施形態77又は78のベクター系。
81. ベクターが、抑制性ニューロンにおいてタンパク質を選択的に発現する、実施形態77~80のいずれかのベクター系。
82. 相同領域に亘るトランススプライシングによって、組換え後に、より効率的な全長タンパク質再構成が駆動されるように、相同性領域が、第1のベクターにおけるスプライシングドナー部位及び第2のベクターにおけるスプライシングアクセプター部位を有するイントロンエレメントをさらに含む、実施形態77~81のいずれかのベクター系。
83. ベクター系が、CN1504、CN1512、CN2004、CN2005、CN2006、CN2007、CN2008、及び/又はCN2009のエレメントを含む、実施形態77~82のいずれかのベクター系。
84. ベクター系が、CN1504及びCN1512、CN2004及びCN2005、CN2006及びCN2007、又はCN2008及びCN2009のエレメントを含む、実施形態77~83のいずれかのベクター系。
85. ベクター系が、配列番号45及び配列番号46、配列番号47及び配列番号48、配列番号49及び配列番号50、又は配列番号51、及び配列番号52を含む、実施形態77~84のいずれかのベクター系。
86. 配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、又は配列番号52を含む、ウイルスベクター。
87. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号8、並びに、一般的な転写活性化ドメインに結合した特異的DNA結合ドメインを含む人工転写因子をコードするコード配列を含み、人工転写因子は、SCN1A(又は他のSCN_Aファミリー遺伝子)の内因性機能的コピーの発現を増大する人工転写因子である、発現構築物。
88. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号8、並びに、一般的な転写活性化ドメインに結合した特異的DNA結合ドメインを含む人工転写因子をコードするコード配列を含み、人工転写因子は、SCN1A(又は他のSCN_Aファミリー遺伝子)の内因性機能的コピーの発現を増大する人工転写因子である、発現構築物。
89. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号8並びにSCN1A発現のスプライシングを増大するか、及び/又はマイクロRNAの負の調節を防ぐアンチセンスRNA分子をコードするコード配列を含む、発現構築物。
90. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号8を含む、一連の発現構築物であって、一連の発現構築物は、hSCN1Aタンパク質を、2つ又は4つの別個のベクターによって送達される2つ又は4つのサブユニットORFとして送達する、一連の発現構築物。
91. 配列番号3の配列を含むエンハンサーを含み、異種誘導性プロモーター及び抑制性ニューロンにおいてNav1.1チャネル機能を選択的にレスキューするタンパク質をコードする遺伝子又は核酸配列をさらに含む、単離されたポリヌクレオチドであって、エンハンサーおよび異種誘導性プロモーターは、前記遺伝子に作動可能に連結している、単離されたポリヌクレオチド。
92. 実施形態91の単離されたポリヌクレオチドを含む、ベクター。
93. ベクターがウイルスベクターである、実施形態92のベクター。
94. ウイルスベクターがAAVウイルスベクターである、実施形態93のベクター。
95. 実施形態91の単離されたポリヌクレオチドを含む、ヒト細胞又は非ヒト細胞。
96. 抑制性ニューロンにおいてNav1.1チャネル機能をレスキューするタンパク質又は核酸配列の発現を選択的に駆動する、実施形態92~94のいずれかのベクターを含む一連のベクターであって、第2のベクターは、配列番号1、2、4、5、6、7又は8から選択されるエンハンサーを含む、一連のベクター。
97. (1)実施形態92~94のいずれかのベクターを提供する工程、(2)前記ベクターを使用してトランスジェニックマウスを作製する工程、及び(3)前記トランスジェニックマウスにおいてレスキューされたNav1.1チャネル機能を検出する工程を含む、抑制性ニューロンにおいてNav1.1チャネル機能をレスキューするタンパク質又は核酸配列の発現を選択的に駆動する方法。
98. レスキューされたNav1.1チャネル機能は、抑制性ニューロン内である、実施形態97の方法。
99. 配列番号58、配列番号59、配列番号60、及び配列番号61内のhSCN1A_断片のコード配列を含む、一連のコード配列。
100. CN2026、CN2027、CN2028、及びCN2029を含む、一連のベクター。
実施例1。図1Aに関して、生きたヒト側頭皮質脳組織を神経外科手術の間に切り出して、てんかん病巣を除去した。この組織を解剖し、350ミクロン厚の組織切片にスライスし、Tingら(Scientific Reports 8(1):8407,2018)によって記載される半合成培地を用いて半透膜上で培養した。培養の初日、切片を、精製したウイルスCN1180/DJ(これは抑制性ニューロンを標識する)を直接脳切片に適用することにより、精製したウイルスに感染させた。感染7日後、感染細胞のSYFP2の電気生理学(緑色チャネルにて可視である)を、パッチクランプ記録によって評価した。記録した細胞を、Alexa 594染料(赤色チャネルにて可視である)によって戻し染色し、その細胞体及び形態学の事後可視化を実施した。
図1Bに関して、パッチクランプ記録を、多重で、SYFP2細胞及びSYFP2細胞上において実施した。戻し染色した形態学を、錐体であるか(興奮性ニューロンであることを示す)又は非錐体であるか(抑制性ニューロンであることを示す)について表にした。この解析は、SYFP2細胞が、ほとんど抑制性ニューロンの特徴であることを示した。
図1Cに関して、多重で、SYFP2細胞及びSYFP2細胞の電気生理学特徴を解析した。これらの解析は、SYFP2細胞と比較して、SYFP2細胞は、より短い活動電位(AP)半値幅、より大きな発火頻度、より速い脱分極速度、及び注入電流に応答したより速いAP発火速度(FI勾配)を有することを示した。これらのマトリックスは、全て、SYFP2細胞が迅速にスパイキングする介在ニューロンであることを示した。
図1Dに関して、パッチクランプ電気生理学を実施した後、組織を固定し、抗GFP抗体及び抗パルブアルブミン抗体で免疫染色した。この解析は、多くのGFP細胞が、パルブアルブミンであることを示した。このことは、これらの細胞が、迅速にスパイクする介在ニューロンと一致する分子アイデンティティを有することを示した。
図3に関して、Gad2-T2A-nls-mCherry (Peron et al., Neuron 86:783-799, 2015)マウスに、ウイルスCN1244/PHP.eBの1E11ゲノムコピーを後眼窩に注入した。3週間後、脳を回収し、350ミクロン厚の切片にスライスして、SYFP2及びmCherry発現についてウイルス発現細胞及び全ての介在ニューロンを可視化することによって、それぞれ画像化した。
図4A、4Bに関して、成体の野生型マウスに、示されたウイルスの1E+11ゲノムコピーを後眼窩注射した。動物を、3~4週間維持し、次いで安楽死させ、脳を切除して切片にし、その後、天然蛍光の生組織落射蛍光画像化を行った。露光時間を、トランスジーン発現レベルの直接比較が可能なように合わせた。最初の3つのパネルは、示した構築物のそれぞれについての500m秒露光であり、4つめのパネルは、CN1390のより短い(50m秒)露光の画像である。
図5に関して、皮質/海馬脳切片培養物を、P5-10 Gad2-IRES-Creヘテロ接合性動物;Ai75ヘテロ接合性動物から調製した。これらの動物は、Gad2-発現細胞における核タグ化tdTomatoトランスジーンのCre-媒介型活性化を有し、抑制性ニューロンにおける核の明るい赤色蛍光をもたらした。培養1時間後、CN1390ウイルス懸濁液を切片表面上にピペットで垂らし、脳細胞型に形質導入した。10 DIV/10DPIにおいて、天然の蛍光を、緑色及び赤色のチャネルにおいて、Nikon倒立顕微鏡で画像化した。
I図6A~6Eに関して、ヒトエキソビボ新皮質脳切片培養物を神経外科手術の生きた標本から調製した(Ting et al.,Scientific Reports 8(1):8407,2018)。培養1時間後、CN1390ウイルス懸濁液を切片上にピペットで垂らし、脳細胞型に形質導入した。1、3及び6DIV/DPIにおいて、天然のSYFP2蛍光を、aa Nikon顕微鏡上で適合した露光時間を用いて画像化した。図6A~6Dは、標的化パッチクランプ記録及び解析のための、ヒト新皮質介在ニューロンの迅速なウイルス遺伝子標識を説明する。種々の培養時間にて、切片を末端パッチクランプ記録分析のために取り出し、標識されたニューロンの発火特徴を解析した。ヒト新皮質介在ニューロン発火パターン及び電気的特徴の、パッチクランプ記録による機能的解析は、CN1390 eBウイルスの感染40時間後の早さで、実行可能であった。
図9に関して、上のベクターは、配列番号3のエンハンサー及びプロモーター(minCMV)エレメントを含み、全ての抑制性ニューロン(Pvalb+及びPvalb-の両方の抑制性ニューロンを含む)における発現を駆動した。駆動したトランスジーンは、P2AタグがヒトSCN1AのN末端領域に連結したSYFP2を含み、これは、下のベクターに含まれるC末端領域に対し、604bpの相同性を含む。下のベクターはまた、C末端の3xHAタグ及び3’UTR調節配列(WPRE3及びポリA部位)を含む。
両AAVウイルスベクターを、PHP.eBカプシド内にパッケージし、どちらも1匹のC57Bl/6マウスに静脈内送達した。21日後、マウス脳を回収し、固定し、そして抗GFP抗体(SYFP2を標的化している)、抗HA抗体及び抗Pvalb抗体によって、免疫蛍光のために処理し、トランスジーン発現細胞及びそのPvalb+抑制性ニューロン(DS症候において特に重要性を有する細胞である)との重複を検出した。Pvalb+抑制性ニューロン及びPvalb-抑制性ニューロンの両方を含む多くの抑制性ニューロンを、N末端SYFP2+タグで高いレベルで標識した。これらのSYFP2+細胞のいくつかもまた、HAを発現することができ、このことは、完全に無傷なSCN1Aタンパク質生成物が、これらのGFP+HA+細胞内で発現されることを示す(矢印)。垂直な矢印は、ヒトSCN1Aを発現しているPvalb+介在ニューロンを表し、水平の矢印は、ヒトSCN1Aを発現するPvalb-介在ニューロンを示す。これらのSCN1A-発現細胞は、ほとんどのてんかんに重要であることが公知であり、かつDSにおいて機能不全であることがわかっている脳領域を含む前脳全体に(新皮質と海馬との両方で[ここは歯状回である])見出される。
実施例2。ドラベ症候群(DS)は、薬物抵抗性であり、かつ生命を脅かす形態のてんかんである。これは、代表的に、生後1年で、熱性発作又は温度誘導性発作と共に開始し、この発作は全身性間代性発作、強直間代性発作、及び片側性発作に発展する。これらの発作は、多くの場合、この症候群の第一選択治療である現行の抗てんかん薬に抵抗性である;完全な発作制御は、代表的に、達成されていない。疾患が進むにつれ、罹患した小児のほとんどは、発達遅延、知的障害、運動制及び協調障害、自閉症行動、睡眠障害を含む合併症状に苦しみ、多くは成熟前に亡くなる。
電位開口型ナトリウムチャネルNav1.1の孔を形成するサブユニットをコードする遺伝子であるSCN1Aにおけるヘテロ接合性機能欠失型突然変異は、DSの最も一般的な原因であり、新生児のほぼ1/16,000に発症する。
Scn1aのノックアウトによって作製されるマウスモデルは、乳児(P21)-てんかん発症、熱性発作に対する高い感受性、運動失調、自発発作、睡眠障害、自閉症行動及び成熟前の死を含むこのてんかんの主要な表現型特徴のいくつかを再現する。発作及びいくつかの合併症は、このマウスにおける介在ニューロン障害から生じる。
このマウスモデルを使用して、DSについての新規なウイルスベクターの有効性を調査した。ウイルスを、インスリンシリンジを用いて後眼窩注射によって送達し、発作を抑制するその能力を、熱性発作試験を用いて評価した。この試験において、発作が起こるか、又は42.5℃に達するまで、温度コントローラー及びヒートランプを用いてマウスの体内温度をゆっくりと上昇させた。処理マウス及び対照マウスにおける発作発症の温度を比較し、介入の有効性を決定した。さらなる試験において、自発発作に対する治療の有効性及び早期死亡率を、ビデオ及び脳波記録法モニタリングを用いて評価した。
ウイルスベクターは、CN1500と名付けられた新規なAAVウイルスベクターである。このウイルスベクターは、トランスジーンSYFP2-P2A-NavSheP-D60Nを発現して電位開口型ナトリウムチャネルNav1.1の欠損をレスキューする、組換え体AAVである。NavSheP-D60Nは、哺乳動物細胞において動態及び発現を改善するように改変されている、細菌由来の改変型電位開口型ナトリウムチャネルである。トランスジーン発現レベルは、WPRE3エレメントの付加によって上昇し、転写は、ウシ成長ホルモンポリアデニル配列によって停止する。3xhi56iCore合成エンハンサー(配列番号3)をCMV最小プロモーターの5’に直接的に介したトランスジーンの発現は、皮質及び海馬を含む前脳構造における抑制性細胞において高く、かつこれらに限定されている。さらに、治療用トランスジーンNavSheP-D60Nは、正しいタンパク質局在を評価するために、HAエピトープタグで標識されている。
治療用AAV ウイルスベクターの有効性を試験するために、PHP.eB血清型を用いたCN1500 パッケージを使用した。出生35日後のScn1a+/-マウスのコホートを、1匹あたり2x1011vg注射するか、又は注射しないままのどちらかにした。AAVを、後眼窩送達経路を使用して静脈内に導入した。ウイルス投与の2週間後、処理群及び対照群由来の動物を、熱性発作に対する感受性について評価した。前に示した通り、ヒートランプ下で安定的にマウスの体温を2分ごとに0.5℃上昇させ、直腸プローブを用いてマウスの体内温度を測定することにより、熱性発作を評価した。発作を起こしたマウスの体温を記録した。
新規な治療ベクターCN1500は、マウス皮質及び海馬の両方のGABA作動性細胞において高く発現したが、熱性発作を経験したScn1a+/-マウスの平均体温もまた、38.7 ℃から41℃まで上がった。これらのデータは、CN1500は、Scn1aの欠損を実質的にレスキューし得ることを示す。
実施例2の参考文献は、以下を含む:Catterall et al.(2010)The Journal of physiology 588:1849-1859;Cheah et al.(2012)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 109:14646-14651;Kalume(2013)Respir Physiol Neurobiol.189(2):324-8;Kalume et al.,(2007)J Neurosci 27:11065-11074;Kalume et al.,(2013)The Journal of clinical investigation 123:1798-1808;Oakley et al.,(2009)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 106:3994-3999。
配列の記載
本明細書中で記載される核酸を、37C.F.R.1.822で規定されるように、ヌクレオチド塩基の標準的略号を用いて示す。各核酸配列の1本鎖のみを示すが、相補鎖は、適切である場合に、実施形態に含まれると考えられる。
配列番号1:ヒト(h)DLXI56iエンハンサーの核酸配列;
配列番号2:hI56icoreエンハンサーの核酸配列;
配列番号3:3xhI56iCoreエンハンサーの核酸配列;
配列番号4:マウスDLXI56iエンハンサーの核酸配列;
配列番号5:ゼブラフィッシュDLXI56iエンハンサーの核酸配列;
配列番号6:ゼブラフィッシュI56icoreの核酸配列;
配列番号7:ゼブラフィッシュ3xI56icoreの核酸配列;
配列番号8:hDLXI12bエンハンサー;
配列番号9:NavSheP-D60N,コドン最適化,N末端3xHAタグを有する;
配列番号10:NavSheP内因性配列;
配列番号11:NavBp,内因性配列;
配列番号12:NavBp,コドン最適化,N末端3xHAタグを有する;
配列番号13:NavMs,内因性配列;
配列番号14:NavMs,コドン最適化,N末端3xHAタグ及びリンカーを有する;
配列番号15:NavMs,コドン最適化,N末端Hisタグ及びリンカーを有する;
配列番号16:ヒトSCN1A;
配列番号17:SYFP2;
配列番号18:P2AEnコード配列;
配列番号19:WPRE3;
配列番号20:BGHpA;
配列番号21:N末端3XHAタグ(タンパク質);
配列番号22:N末端3XHAタグ(DNA);
配列番号23:hSCN1A2部分発現系のN-term;
配列番号24:hSCN1A2部分発現系のC-term,C末端3XHA配列を有する;
配列番号25:2部分発現系で使用され得る、hSCN1ANterm及びCtermの604bp相同性領域;
配列番号26:CN1498由来のP2A翻訳;
配列番号27:T2A;
配列番号28:E2A;
配列番号29:F2A;
配列番号30:MinBglobin;
配列番号31:minCMV;
配列番号32:AAV9PHP.eBカプシド置き換え配列;
配列番号33:CN1367-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-2984;
配列番号34:CN1500-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-2976;
配列番号35:CN1498-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-2943;
配列番号36:CN1499-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-2946;
配列番号37:CN1244-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-2042;
配列番号38:CN1389-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-1897;
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配列番号47:CN2004-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-3792;
配列番号48:CN2005-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-4160;
配列番号49:CN2006-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-4790;
配列番号50:CN2007-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-4671;
配列番号51:CN2008-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-3995;
配列番号52:CN2009-L-ITRとR-ITRとの間の部分:位置142-4525;
配列番号53:無作為AAVディスプレイペプチドライブラリーのインビボスクリーニングの間に単離されたエピトープ;
配列番号54:AAV-PHP.S7-merの配列;
配列番号55:AAV-PHP.B7-merの配列;
配列番号56:AAV-PPS7-merの配列;
配列番号57:AAV9VP1カプシドタンパク質配列(UniProt登録番号Q6JC40);
配列番号58:CN2026-rAAV-3xhI56i(core)-minBG-hSCN1A_断片1-WPRE3-BGHpA;
配列番号59:CN2027-rAAV-3xhI56i(core)-minBG-hSCN1A_断片2-WPRE3-BGHpA;
配列番号60:CN2028-rAAV-3xhI56i(core)-minBG-hSCN1A_断片3-WPRE3-BGHpA;
配列番号61:CN2029-rAAV-3xhI56i(core)-minBG-hSCN1A_断片4-WPRE3-BGHpA;
配列番号62:>hSCN1A_断片1_タンパク質配列;
配列番号63:hSCN1A_断片2_タンパク質配列;
配列番号64:hSCN1A_断片3_タンパク質配列;
配列番号65:hSCN1A_断片4_タンパク質配列;
配列番号66-163:SCNA1の上方制御をもたらすヌクレオチド配列。
本明細書中で開示されそして参照される配列のバリアントもまた、含まれる。生物学的活性を損なうことなくどのアミノ酸残基が置換され、挿入され、又は欠失され得るかを決定する手引きは、当該分野で周知のDNASTARTMソフトウェアなどのコンピュータープログラムを用いて見出すことができる。好ましくは、本明細書中で開示されるタンパク質バリアントにおけるアミノ酸変更は、すなわち、同様に荷電しているか、又は荷電していないアミノ酸の置換である。保存的アミノ酸変更は、その側鎖において関連しているアミノ酸の1つのファミリーの置換を含む。
ペプチド又はタンパク質において、好適な保存的アミノ酸置換は、当業者に公知であり、一般に、生じる分子の生物学的活性を変えずに行われる。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域における1つのアミノ酸置換は、実質的に生物学的活性を変更しないと認識する(例えば、Watson et al.Molecular Biology of the Gene,4th Edition,1987,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224)。天然に生じるアミノ酸は、一般に、以下のように、保存的置換ファミリーに分類される:群1:アラニン(Ala),グリシン(Gly),セリン(Ser),及びトレオニン(Thr);群2:(酸性):アスパラギン酸(Asp),及びグルタミン酸(Glu);群3:(酸性;極性としてもクラス分けされる,負に荷電した残基及びそのアミド):アスパラギン(Asn),グルタミン(Gln),Asp,及びGlu;群4:Gln及びAsn;群5:(塩基性;極性としてもクラス分けされる,正に荷電した残基):アルギニン(Arg),リシン(Lys),及びヒスチジン(His);群6(大型脂肪族,非極性残基):イソロイシン(Ile),ロイシン(Leu),メチオニン(Met),バリン(Val)及びシステイン(Cys);群7(非荷電極性):チロシン(Tyr),Gly,Asn,Gln,Cys,Ser,及びThr;群8(大型芳香族委残基):フェニルアラニン(Phe),トリプトファン(Trp),及びTyr;群9(非極性):プロリン(Pro),Ala,Val,Leu,Ile,Phe,Met,及びTrp;群11(脂肪族):Gly,Ala,Val,Leu,andIle;群10(小型脂肪族,非極性又はわずかに極性の残基):Ala,Ser,Thr,Pro,及びGly;並びに群12(硫黄含有):Met及びCys。さらなる情報は、Creighton(1984)Proteins,W.H.Freeman and Companyにおいて見いだされ得る。
このような変更を行う際に、アミノ酸のヒドロパシー指数が企図される。タンパク質に相互作用性の生物学的機能を付与する際のヒドロパシーアミノ酸指数の重要性は、一般に、当該分野で理解される(Kyte and Doolittle,1982,J.Mol.Biol.157(1),105-32)。各アミノ酸は、その疎水性及び荷電特性に基づいて、ヒドロパシー指数が割り当てられている(KyteandDoolittle,1982)。これらの値は、以下である:Ile(+4.5);Val(+4.2);Leu(+3.8);Phe(+2.8);Cys(+2.5);Met(+1.9);Ala(+1.8);Gly(-0.4);Thr(-0.7);Ser(-0.8);Trp(-0.9);Tyr(-1.3);Pro(-1.6);His(-3.2);グルタミン酸塩(-3.5);Gln(-3.5);アスパラギン酸塩(-3.5);Asn(-3.5);Lys(-3.9);及びArg(-4.5)。
特定のアミノ酸が、類似のヒドロパシー指数及びスコアを有する他のアミノ酸によって置換され得、なお類似の生物学的活性を有するタンパク質を生じる。すなわち、なお生物学的官能性等価なタンパク質を得る。このような変更は、ヒドロパシー指数が±2であるアミノ酸の置換が好ましいが、±1以内がより好ましく、±0.5以内はさらにより好ましい。また、類似のアミノ酸の置換は、ヒドロパシー性の基本に基づいて効果的に実施可能であることも当該分野で理解されている。
米国特許第4,554,101号に詳説されるように、以下の親水性値が、アミノ酸残基に割り当てられている:Arg(+3.0);Lys(+3.0);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);Ser(+0.3);Asn(+0.2);Gln(+0.2);Gly(0);Thr(-0.4);Pro(-0.5±1);Ala(-0.5);His(-0.5);Cys(-1.0);Met(-1.3);Val(-1.5);Leu(-1.8);Ile(-1.8);Tyr(-2.3);Phe(-2.5);Trp(-3.4)。アミノ酸は、類似の親水性値を有する別のアミノ酸と置換されて、なお生物学的等価性を、詳細には免疫学的等価性を保つことができることが理解される。このような変化において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内がより好ましく、±0.5以内がなおより好ましい。
上で概説したように、アミノ酸の置換は、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、その疎水性、親水性、荷電、大きさなどに基づいてなされ得る。
他所で示した通り、遺伝子配列のバリアントは、コードしたタンパク質の機能に統計的に有意な度合いで影響しない、コドン最適化バリアント、配列多型、スプライシングバリアント、及び/又は突然変異を含んでもよい。
本明細書中で開示されるタンパク質、核酸及び遺伝子配列のバリアントはまた、本明細書中で開示されるタンパク質、核酸及び遺伝子配列に対し、少なくとも70%の配列同一性、80%の配列同一性、85%の配列、90%の配列同一性、95%の配列同一性、96%の配列同一性、97%の配列同一性、98%の配列同一性、又は99%の配列同一性を有する配列を含む。
「%配列同一性」は、配列を比較することによって決定した、2以上の配列間の関係性をいう。当該分野において、「同一性」もまた、タンパク質、核酸、又は遺伝子配列の間の、このような配列の鎖間の適合によって決定される、配列関連性の程度を意味する。「同一性」(しばしば「類似性」とも呼ばれる)は、以下に記載されるものを含む(しかしこれらに限定されない)公知の方法によって容易に計算され得る:Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.)Oxford University Press,NY(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,ed.)Academic Press,NY(1994);Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.)Humana Press,NJ(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(Von Heijne,G.,ed.)Academic Press(1987);and Sequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.)Oxford University Press,NY(1992)。同一性を決定するための好ましい方法は、試験する配列の間の最良の適合を与えるように設計されている。同一性及び類似性を決定するための方法は、公に利用可能なコンピュータープログラムに体系化されている。配列アラインメント及び同一性百分率の計算は、LASERGENE bioinformatics computing suite(DNASTAR,Inc.,Madison,Wisconsin)のMegalignプログラムを用いて実施され得る。配列の多重アラインメントはまた、Clustalアラインメント方法を用いて実施され得る(デフォルトのパラメータを用いるHiggins and Sharp CABIOS,5,151-153(1989)(ギャップペナルティ=10,ギャップ長ペナルティ=10)。適切なプログラムはまた、以下が挙げられる:GCG suite of programs(Wisconsin Package Version 9.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,Wisconsin);BLASTP,BLASTN,BLASTX(Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990);DNASTAR(DNASTAR,Inc.,Madison,Wisconsin);及びFASTA program incorporating the Smith-Waterman algorithm(Pearson,Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111-20.Editor(s):Suhai,Sandor.Publisher:Plenum,New York,N.Y.。本開示の文脈の範囲内で、配列解析ソフトウェアが使用される場合、解析の結果は、参照したプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解される。本明細書中で使用される場合、「デフォルト値」は、ソフトウェアが最初に初期化された際にソフトウェアと一緒に最初にロードされるパラメータの値の任意のセットを意味する。
バリアントはまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で本明細書中において開示される配列にハイブリダイズし、参照配列と同じ機能を提供する核酸をも含む。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、以下が挙げられる:50%ホルムアミド、5XSSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5Xデンハルト溶液、10%硫酸デキストラン及び20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中で42℃一晩のインキュベーションの後、フィルターを0.1XSSCで50℃にて洗浄する。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーの変更及びシグナル検出は、最初に、ホルムアミド濃度(低いパーセンテージのホルムアミドは、低いストリンジェンシーをもたらす);塩条件,又は温度の操作を介して達成される。例えば、中程度に高いハイブリダイゼーション条件は、6XSSPE(20XSSPE=3M NaCl;0.2M NaH2PO4;0.02M EDTA,pH7.4)及び0.5% SDS、30% ホルムアミド、100μg/mlサケ精子ブロッキングDNAを含む溶液中で37℃一晩のインキュベーション;及びその後の50℃にて1XSSPE、0.1% SDSによる洗浄を含む。加えて、より低いストリンジェンシーを達成するために、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの後に、より高い塩濃度での洗浄(例えば、5XSSC)を行ってもよい。上の条件のバリエーションが、ハイブリダイゼーション実験におけるバックグラウンドを抑制するために使用される代替のブロッキング試薬を、入れること及び/又は外すことを通して達成されてもよい。代表的なブロッキング試薬としては、デンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、及び市販の独占的処方物が挙げられる。特定のブロッキング試薬を入れることは、適合性の問題ゆえに、上述のハイブリダイゼーション条件の変更を必要とする場合がある。
特定の実施形態において、遺伝子編集システム、例えば上記のCRISPR及びCas-9(Csnl及びCsxl2としても知られる)の参照は、当業者に理解されるように、さらなる選択肢および開発を組み込むことと解釈されるべきである。例えば、正確なゲノム認識及び結合を可能にする任意の遺伝子編集システムが利用されてもよい。切断及び編集を伴わずにヌクレアーゼが標的化ゲノム結合のために使用される場合、ヌクレアーゼは切断機能性を欠いてもよい。
Cas-9の使用に関連して、Casタンパク質の多くの他の選択肢が利用可能であり、使用のために適している。Cas-9自体は、コリネバクテリウム、サテレラ、レジオネラ、トレポネーマ、フィリフ・アクター(Filif actor)、ユーバクテリウム、ストレプトコッカス、ラクトバシラス、マイコプラズマ、バクテロイド、フラビボラ(Flaviivola)、フラボバクテリウム、スピロヘータ、アゾスピリルム、グルコナセトバクター、ナイセリア、ロゼブリア、パルビバクラム(Parvibaculum)、スタフィロコッカス、ニトラチフラクター(Nitratifractor)及びカンピロバクターなどの細菌に由来する、Cas9タンパク質の1つ以上の触媒ドメインをいう。いくつかの実施形態において、Cas9は、例えば、2つの触媒ドメインが、異なる細菌種に由来する、融合タンパク質である。DNAを結合するために使用できるさらなるCasヌクレアーゼの例としては、Casl、CaslB、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、CaslO、Cpfl、C2c3、C2c2及びC2clCsyl、Csy2、Csy3、Csel、Cse2、Cscl、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmrl、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Cpfl、Csbl、Csb2、Csb3、Csxl7、Csxl4、CsxlO、Csxl6、CsaX、Csx3、Csxl、Csxl5、Csfl、Csf2、Csf3、並びにCsf4が挙げられる。
Cpf1ヌクレアーゼは、詳細には、プロトスペーサー隣接モチーフすなわちPAMとして公知の、短い3塩基対認識配列(TTN)の手段により、標的部位選択においてさらなる融通性を提供し得る。詳細な実施形態は、遺伝子操作されたCpf1sを利用できる。例えば、US2018/0030425は、ラクノスピラ科の細菌であるND2006及びアシダミノコッカス種BV3L6に由来する、標的特異性を改変し、そして改善するように遺伝子操作された、Cpf1ヌクレアーゼについて記載している。
他のCpf1バリアントとしては、Cpf1ホモログ及びZetsche et al.(2015)Cell 163:759-771に開示されるCpf1ポリペプチドのオルソログ並びにU.S.2016/0208243に開示されるCpf1ポリペプチドが挙げられる。他の遺伝子操作されたCpf1バリアントは、当業者に公知であり、本開示の範囲内に含まれる(例えば、WO/2017/184768を参照されたい)。
CRISPR-Cas系及びその構成要素に関するさらなる情報は、US8697359、US8771945、US8795965、US8865406、US8871445、US8889356、US8889418、US8895308、US8906616、US8932814、US8945839、US8993233及びUS8999641及びその関連出願;並びにWO2014/018423、WO2014/093595、WO2014/093622、WO2014/093635、WO2014/093655、WO2014/093661、WO2014/093694、WO2014/093701、WO2014/093709、WO2014/093712、WO2014/093718、WO2014/145599、WO2014/204723、WO2014/204724、WO2014/204725、WO2014/204726、WO2014/204727、WO2014/204728、WO2014/204729、WO2015/065964、WO2015/089351、WO2015/089354、WO2015/089364、WO2015/089419、WO2015/089427、WO2015/089462、WO2015/089465、WO2015/089473及びWO2015/089486、WO2016205711、WO2017/106657、WO2017/127807及びその関連出願に記載されている。
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)が、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA開裂ドメインに融合することによって合成され得る。本明細書中で記載される詳細な実施形態は、特異的DNA配列に結合するジンクフィンガーを利用し得る。DNA結合ドメインは、転写因子に見いだされるものと類似である、3~6個のジンクフィンガータンパク質を含む。DNA開裂ドメインは、例えば、FokIエンドヌクレアーゼの触媒ドメインを含む。標的部位開裂配列のどちらかの側における部位について、独自のDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする二量体として、FokIドメインは、機能する。FokI開裂部位は、5~6塩基対のスペーサー配列内を開裂し、2つの逆向きの半分部分に分かれる。
ZFNに関するさらなる情報及び本開示の教示において有用であるZFNについては、例えば、 米国特許第,534,261号;同第 6,607,882号;同第 6,746,838号;同第 6,794,136号;同第 6,824,978号;同第 6,866,997号;同第 6,933, 113号;同第 6,979,539号;同第 7,013,219号;同第 7,030,215号;同第 7,220,719号;同第 7,241,573号;同第 7,241,574号;同第 7,585,849号;同第 7,595,376号;同第 6,903,185号;同第 6,479,626号;及びU.S. 出願公開第 2003/0232410 号及び同第2009/0203140号、並びにGaj et al.,Nat Methods,2012,9(8):805-7;Ramirez et al.,Nucl Acids Res,2012, 40(12):5560-8;Kim et al.,Genome Res,2012,22(7):1327-33;Urnov et al.,Nature Reviews Genetics,2010,11:636-646;Miller,et al.Nature biotechnology 25,778-785(2007);Bibikova, et al.Science 300,764(2003);Bibikova,et al.Genetics 161,1169-1175(2002);Wolfe, et al.Annual review of biophysics and biomolecular structure 29,183-212(2000);Kim,et al.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 93,1156-1160(1996);及びMiller,et al.The EMBO journal 4,609-1614(1985)を参照されたい。
詳細な実施形態は、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を遺伝子編集剤として使用し得る。TALENは、標的遺伝子配列を結合して標的配列の位置でDNAを切断するために遺伝子操作されている。TALENのTALEは、キサントモナス細菌によって分泌されるDNA結合タンパク質である。TALEのDNA結合ドメインは、高度に保存的な33又は34のアミノ酸リピートを含み、各リピートの12番目及び13番目に分岐する残基を有する。これらの2つの位置は、リピート可変二残基(RVD)と呼ばれ、特異的なヌクレオチド認識に強い相関性を示す。したがって、標的化特異性は、RVDにおけるアミノ酸を変更し、非従来的なアミノ酸を組み込むことによって改善され得る。
TALEN融合において使用され得るDNA開裂ドメインの例は、野生型及びバリアントのFokIエンドヌクレアーゼである。TALENに関するさらなる情報については、米国特許第8,440,431号;同第8,440,432号;同第8,450,471号;同第8,586,363号;及び同第8,697,853号並びにJoung and Sander,Nat Rev Mol Cell Biol,2013,14(l):49-55;Beurdeley et al.,Nat Commun,2013,4:1762;Scharenberg et al.,Curr Gene Ther,2013,13(4):291-303;Gaj et al.,Nat Methods,2012,9(8):805-7;Miller,et al.Nature biotechnology 29,143-148(2011);Christian,et al.Genetics 186,757-761(2010);Boch,et al.Science 326,1509-1512(2009);及びMoscou,&Bogdanove,Science 326,1501(2009)を参照されたい。
詳細な実施形態は、MegaTALを遺伝子編集剤として使用し得る。MegaTALは、TALEがメガヌクレアーゼのDNA開裂ドメインと融合している、稀開裂性(rare-cleaving)単鎖ヌクレアーゼ構造を有する。メガヌクレアーゼは、ホーミングエンドヌクレアーゼとしても公知であり、DNA認識機能とヌクレアーゼ機能との両方を同じドメイン内に有する単ペプチド鎖である。TALENとは対照的に、megaTALは、機能的活性のために、単ペプチド鎖の送達のみを必要とする。
メガヌクレアーゼの例としては、I-Scel、I-Scell、I-SceIII、I-SceIV、I-SceV、I-SceVI、I-SceVII、I-Ceul、I-CeuAIIP、I-Crel、I-CrepsblP、I-CrepsbllP、I-CrepsbIIIP、I-CrepsbIVP、I-Tlil、I-Ppol、PI-PspI、F-Scel、F-Scell、F-Suvl、F-Tevl、F-TevII、I-Amal、I-Anil、I-Chul、I-Cmoel、I-Cpal、I-CpaII、I-Csml、I-Cvul、I-CvuAIP、I-Ddil、I-DdiII、I-Dirl、I-Dmol、I-Hmul、I-HmuII、I-HsNIP、I-Llal、I-Msol、I-Naal、I-Nanl、I-NcIIP、I-NgrIP、I-Nitl、I-Njal、I-Nsp236IP、I-Pakl、I-PboIP、I-PcuIP、I-PcuAI、I-PcuVI、I-PgrlP、1-PobIP、I-Porl、I-PorIIP、I-PbpIP、I-SpBetaIP、I-Scal、I-SexIP、1-SneIP、I-Spoml、I-SpomCP、I-SpomIP、I-SpomIIP、I-SquIP、I-Ssp6803I、I-SthPhiJP、I-SthPhiST3P、I-SthPhiSTe3bP、I-TdeIP、I-Tevl、I-TevII、I-TevIII、I-UarAP、I-UarHGPAIP、I-UarHGPA13P、I-VinlP、1-ZbiIP、PI-MtuI、PI-MtuHIPPI-MtuHIIP、PI-PfuI、PI-PfuII、PI-PkoI、Pl-PkoII、PI-Rma43812IP、PI-SpBetaIP、PI-SceI、PI-Tful、PI-TfuII、PI-Thyl、PI-Tlil、及びPI-THIIが挙げられる。
本明細書中で記載される詳細な実施形態は、遺伝子編集系を利用して、発現構築物を標的化ゲノム・セーフ・ハーバー(genomic safe harbor)内に挿入し得る。ゲノム・セーフ・ハーバー部位を同定するための方法は、Sadelain et al.,Nature Reviews(2012);12:51-58;及びPapapetrou et al.,Nat Biotechnol.(2011)January;29(1):73-8に記載される。
特定の実施形態において、発現構築物は、本構築物に関連して記載されていないエレメント、部分又はヌクレオチドを含まない単離されたポリヌクレオチド配列をいう。
当業者に理解される通り、本明細書中で開示される各々の実施形態は、特定に言及されたエレメント、工程、成分又は構成要素を含んでもよく、本質的にこれらから成ってもよく、又はこれらから成ってもよい。したがって、用語「含む(include)」又は「含む(including)」は、以下を列挙すると解釈されるべきである:「含む(comprise)、から成る(consist of)、又はから本質的に成る(consist essentially of)」。移行用語(transition term)「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」は、含むことを意味するが、限定するものではなく、特定していないエレメント、工程、成分又は構成要素を、大きな量であったとしても、含めることを可能にする。移行語句(transitional phrase)「から成る(consisting of)」は、特定していない全てのエレメント、工程、成分又は構成要素を排除する。移行語句「から本質的に成る(consisting essentially of)」は、実施形態の範囲を、特定したエレメント、工程、成分又は構成要素、及びこの実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。Scn1a+/-マウスにおいてベクターが熱性発作を克服する能力を実質的に有意に低下させる物質は、実施例2及び図10のプロトコールにしたがう。
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す全ての数値は、あらゆる場合に用語「約」によって修飾されていると理解されるものである。したがって、反対の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において示される数値パラメータは、概数であり、本発明によって得られることが想定されている所望の特性に依存して変動し得る。最低限、及び特許請求の範囲の均等論の適用を限定することを意図しないが、全ての数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数に照らして、及び通常の丸め技術を適用することによって、解釈されるべきである。さらなる明確性が必要である場合、用語「約」は、合理的に本用語に帰する意味を有し、当業者によって、言及された数値又は範囲と組み合わせて使用される場合、すなわち、言及された数値もしくは範囲よりもいくらか多いか、又はいくらか少ないことをいい、言及された数値の±20%;言及された数値の±19%;言及された数値の±18%;言及された数値の±17%;言及された数値の±16%;言及された数値の±15%;言及された数値の±14%;言及された数値の±13%;言及された数値の±12%;言及された数値の±11%;言及された数値の±10%;言及された数値の±9%;言及された数値の±8%;言及された数値の±7%;言及された数値の±6%;言及された数値の±5%;言及された数値の±4%;言及された数値の±3%;言及された数値の±2%;又は言及された数値の±1%の範囲内をいう。
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータが概算であるにもかかわらず、特定の実施例に示された数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、それぞれの試験測定値において見出される標準偏差から生じる特定の誤差を固有に必ず含む。
別段の指示があるか、又は明らかに文脈によって矛盾しない限り、本発明を記載する文脈で(特に、以下の特許請求の範囲の文脈で)使用される用語「a」、「an」、「the」などの指示物は、単数形と複数形との両方をカバーすると解釈される。本明細書中の値の範囲の列挙は、範囲の中に入る別個の数値のそれぞれを個々に言及する、簡略表記の方法として寄与することが意図される。本明細書中で別段の指示がない限り、それぞれ個々の値は、本明細書中で別個に挙げられていたのと同様に、本明細書中に組み込まれる。本明細書中で記載される全ての方法は、本明細書中で別段の指示があるか、又は明らかに文脈によって矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書中で提示される任意の及び全ての実施例、又は例示的な言葉(例えば、「など(such as)」)の使用は、本発明をよりよく照らすことのみを意図し、別に特許請求しない限り、本発明の範囲の限定を提示しない。本明細書中のいかなる文言も、特許請求されていない全てのエレメントが本発明の実施に必須であることを示すものと解釈されるべきではない。
本明細書中で開示される本発明の代替のエレメント又は実施形態の分類は、限定として解釈されない。各群のメンバーは、言及されても、個々に特許請求されても、又はその群の他のメンバー又は本明細書中で見出される他のエレメントと任意の組み合わせられてもよい。群の1つ以上のメンバーは、便宜のために及び/又は特許性のために、群に組み入れられてもよく、又は群から取り除かれてもよいことが予期される。何らかのこのような組み入れ又は除外が起こる場合、特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュ群の記載を満たすために修飾されているように、本明細書がこの群を含むとみなされる。
本発明の特定の実施形態は、本明細書中で記載され、本発明を実施するために本発明者らが知る最もよい様式を含んでいる。もちろん、これらの記載された実施形態の改変が、上述の説明を鑑みて、当業者には明らかとなる。本発明者らは、当業者がこのような改変を適切に用いることを予期しており、本発明者らは、本明細書中で特別に記載されない限り、本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な法律に従って、特許請求の範囲にあげられた対象物の全ての変更及び均等物を含む。さらに、本明細書中で別段の指示があるか、又は明らかに文脈によって矛盾しない限り、全ての可能なバリエーションにおける上述のエレメントの任意の組み合わせが、本発明によって包含される。
さらに、多くの参照が、特許、刊行物、雑誌記事及び他の文章に対し、本明細書中を通してなされている(本明細書中の参考文献)。参考文献のそれぞれが、本明細書中に、その参照される教示のために、その全体が参照として個々に組み込まれる。
最後に、本明細書中で開示される本発明の実施形態は、本発明を説明する目的であると理解される。使用され得る他の改変が、本発明の範囲内である。したがって、例として、限定ではないが、本発明の代替の構成が、本発明の教示に従って利用され得る。したがって、本発明は、正確に示され、記載されたものに限定されない。
本明細書中に示される詳細は、例示目的であり、そして本発明の好ましい実施形態の考察を説明するためでしかなく、本発明の種々の実施形態の原則的かつ概念的局面の最も有用かつ容易に理解される説明であると信じられるものを示すために提示される。この点で、本発明の構造的詳細を本発明の基本的理解のために必要である以上に詳細に示す意図はなく、図面及び/又は実施例と一緒の本記載は、本発明のいくつかの形態を実際に実現し得る方法を当業者に明らかにする。
本開示において使用される定義及び説明は、実施例に従って明白かつ明確に改変されない限り、又は意味の適用が何らかの構造的矛盾又は本質的な矛盾を与える場合、何らかの未来の構成を支配することを意味し、そして意図する。用語の構成が矛盾するか、又は本質的に矛盾している場合、定義は、当業者に公知であるWebster’s Dictionary第3版(Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004))から採用されるべきである。

Claims (71)

  1. ドラベ症候群の治療を必要としている患者においてドラベ症候群を治療する方法であって、治療有効量の少なくとも2つのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを静脈内投与することを含み、各ウイルスベクターは、
    (i)配列番号3からなるエンハンサー;
    (ii)プロモーター;及び
    (iii)ヒトSCN1Aの断片の発現をもたらすコード配列
    を含む発現構築物を含み、
    AAVベクターは、血液脳関門を通過するカプシドと結合しており、
    前記コード配列によってコードされるヒトSCN1A断片は、抑制性GABA作動性介在ニューロン内で選択的に発現され、静脈内投与後に、レスキューを必要とする抑制性GABA作動性介在ニューロン内のNav1.1チャネル機能のレスキューをもたらす、方法。
  2. ウイルスベクターが、配列番号47及び配列番号48、配列番号49及び配列番号50、又は配列番号51及び配列番号52を含む、請求項1に記載の方法。
  3. ウイルスベクターが、配列番号58、配列番号59、配列番号60、及び配列番号61を含む、請求項1に記載の方法。
  4. (i)配列番号3からなるエンハンサー、(ii)プロモーター、及び(iii)レスキューを必要とする細胞又は対象内で電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質をコードするコード配列を含む、発現構築物。
  5. コード配列が、NavSheP-D60N、NavBp、NavMs、3xHA-NavSheP-D60N、3xHA-NavBp、3xHA-NavMs、His-NavMs、ヒトSCN1A、マウスScn1a、ヒトSCN1A-3xHA、及び/又はマウスScn1a-3xHAを含む、請求項4に記載の発現構築物。
  6. プロモーターが、minBglobin又はminCMVを含む、請求項4に記載の発現構築物。
  7. 発現構築物が、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター内にある、請求項4に記載の発現構築物。
  8. 発現構築物が、レポータータンパク質についてのコード配列を含む、請求項4に記載の発現構築物。
  9. レポータータンパク質が、蛍光レポータータンパク質を含む、請求項8に記載の発現構築物。
  10. 発現構築物が、スキッピングエレメントを含むか、又はコードする、請求項4に記載の発現構築物。
  11. スキッピングエレメントは、2Aペプチド又は内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む、請求項10に記載の発現構築物。
  12. 2Aペプチドが、T2A、P2A、E2A、及び/又はF2Aを含む、請求項11に記載の発現構築物。
  13. 構築物が、CN1367、CN1244、CN1389、CN1390、CN1180、CN1203、CN1498、CN1499、CN1500、CN2001、CN2002、CN2003、CN1504及びCN1512、CN2004及びCN2005、CN2006及びCN2007、又はCN2008及びCN2009のエレメントを含む、請求項7に記載の発現構築物。
  14. 構築物が、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、及び/又は配列番号52を含む、請求項7に記載の発現構築物。
  15. 構築物が、配列番号45及び配列番号46、配列番号47及び配列番号48、配列番号49及び配列番号50、又は配列番号51及び配列番号52を含む、請求項7に記載の発現構築物。
  16. AAVベクターが、血液脳関門を通過するカプシドに結合している、請求項7に記載の発現構築物。
  17. カプシドが、PHP.Ebを含む、請求項16に記載の発現構築物。
  18. カプシドが、配列番号53を含む、請求項16に記載の発現構築物。
  19. カプシドが、配列番号54又は配列番号55の挿入物を含むAAV9カプシドを含む、請求項16に記載の発現構築物。
  20. カプシドが、配列番号56挿入物を含むAAV2カプシドを含む、請求項16に記載の発現構築物。
  21. 請求項4に記載の発現構築物を含む、組成物。
  22. 請求項4に記載の発現構築物を含む、細胞。
  23. 請求項4に記載の発現構築物を含む、非ヒト動物。
  24. 請求項4に記載の発現構築物を含む、キット。
  25. 治療有効量の請求項21に記載の組成物を細胞に投与することを含む、レスキューを必要とする欠損細胞において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする方法。
  26. 治療有効量の請求項21に記載の組成物を対象に投与することを含む、レスキューを必要とする対象において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする方法。
  27. てんかん、SCN1A関連発作障害、単純型熱性発作(FS)、全般てんかん熱性発作プラス(GEFS+)、ドラベ症候群(DS)、全身性強直性間代性発作を伴う難治性小児てんかん(ICE-GTC)、難治性乳児部分発作、ミオクローヌス性失立てんかん、レノックス・ガストー症候群(LGS)、又は点頭てんかんの診断に起因して、対象がレスキューを必要とする、請求項26に記載の方法。
  28. 対象が、小児患者である、請求項26に記載の方法。
  29. 対象が、4歳未満である、請求項26に記載の方法。
  30. 対象が、温度誘導性熱性発作試験を受けているトランスジェニックScn1a+/-マウスである、請求項26に記載の方法。
  31. 組成物が静脈内投与される、請求項26に記載の方法。
  32. 組成物が、側脳室若しくは大槽若しくは腰椎空間、又は大後頭孔内へのカニューレを介して、脳脊髄液内に髄腔内投与される、請求項26に記載の方法。
  33. (a)天然に存在しないエンハンサー配列、及び
    (b)電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューするタンパク質をコードする核酸
    を含む発現構築物であって、
    エンハンサー配列が、
    (i)配列番号3の配列からなるか
    (ii)直列に並んだ配列番号2の2つ以上のコピーを含むか、
    (iii)配列番号3と少なくとも90%の配列同一性を有しかつ介在ニューロン特異的エンハンサー機能を維持する配列を含むか、又は
    (iv)(i)、(ii)、若しくは(iii)の配列にハイブリダイズ可能な配列の相補鎖であって、
    試料又は対象への投与後に、エンハンサーは、抑制性ニューロン内で核酸の転写を選択的に促進する、発現構築物。
  34. 核酸は、NavSheP-D60N、NavBp、NavMs、3xHA-NavSheP-D60N、3xHA-NavBp、3xHA-NavMs、His-NavMs、ヒトSCN1A、マウスScn1a、ヒトSCN1A-3xHA、又はマウスScn1a-3xHAから選択される、請求項33に記載の発現構築物。
  35. minBglobin又はminCMVを含むプロモーターを含む、請求項33に記載の発現構築物。
  36. 発現構築物が、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター内にある、請求項33に記載の発現構築物。
  37. 発現構築物が、レポータータンパク質をコードする核酸を含む、請求項33に記載の発現構築物。
  38. レポータータンパク質が、蛍光レポータータンパク質を含む、請求項37に記載の発現構築物。
  39. 発現構築物が、スキッピングエレメントを含むか、又はコードする、請求項33に記載の発現構築物。
  40. スキッピングエレメントが、2Aペプチド又は内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む、請求項39に記載の発現構築物。
  41. 2Aペプチドが、T2A、P2A、E2A、及び/又はF2Aを含む、請求項40に記載の発現構築物。
  42. 構築物が、CN1367、CN1244、CN1389、CN1390、CN1180、CN1203、CN1498、CN1499、CN1500、CN2001、CN2002、CN2003、CN1504及びCN1512、CN2004及びCN2005、CN2006及びCN2007、又はCN2008及びCN2009のエレメントを含む、請求項36に記載の発現構築物。
  43. 構築物が、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、及び/又は配列番号52を含む、請求項36に記載の発現構築物。
  44. 構築物が、配列番号45及び配列番号46、配列番号47及び配列番号48、配列番号49及び配列番号50、又は配列番号51及び配列番号52を含む、請求項36に記載の発現構築物。
  45. AAVベクターが、血液脳関門を通過するカプシドと結合している、請求項36に記載の発現構築物。
  46. カプシドが、PHP.Ebを含む、請求項45に記載の発現構築物。
  47. カプシドが、配列番号53を含む、請求項45に記載の発現構築物。
  48. カプシドが、配列番号54又は配列番号55挿入物を含むAAV9カプシドを含む、請求項45に記載の発現構築物。
  49. カプシドが、配列番号56挿入物を含むAAV2カプシドを含む、請求項45に記載の発現構築物。
  50. 請求項33に記載の発現構築物を含む、組成物。
  51. 請求項33に記載の発現構築物を含む、細胞。
  52. 請求項33に記載の発現構築物を含む、非ヒト動物。
  53. 請求項33に記載の発現構築物を含む、キット。
  54. 治療有効量の請求項50に記載の組成物を細胞に投与することを含む、レスキューを必要とする欠損細胞において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする方法。
  55. 治療有効量の請求項50に記載の組成物を対象に投与することを含む、レスキューを必要とする対象において電位開口型ナトリウムチャネル機能をレスキューする方法。
  56. てんかん、SCN1A関連発作障害、単純型熱性発作(FS)、全般てんかん熱性発作プラス(GEFS+)、ドラベ症候群(DS)、全身性強直性間代性発作を伴う難治性小児てんかん(ICE-GTC)、難治性乳児部分発作、ミオクローヌス性失立てんかん、レノックス・ガストー症候群(LGS)、又は点頭てんかんの診断に起因して、対象がレスキューを必要とする、請求項55に記載の方法。
  57. 対象が、小児患者である、請求項55に記載の方法。
  58. 対象が、4歳未満である、請求項55に記載の方法。
  59. 対象が、温度誘導性熱性発作試験を受けているトランスジェニックScn1a+/-マウスである、請求項55に記載の方法。
  60. 組成物が、静脈内投与される、請求項55に記載の方法。
  61. 組成物が、側脳室若しくは大槽若しくは腰椎空間、又は大後頭孔内へのカニューレを介して、脳脊髄液内に髄腔内投与される、請求項55に記載の方法。
  62. 第1のベクターが、レスキューを必要とする細胞において電位開口型ナトリウムチャネル活性をレスキューするタンパク質のN末端部分をコードし、第2のベクターが、前記タンパク質のC末端部分をコードする、2つのAAVベクターを含むベクター系であって、前記2つのベクターによってコードされる遺伝子の部分は、相同組換えのための相同性領域を提供して全長Nav1.1タンパク質を生成するように重複し、前記第1のベクターは、プロモーター及び配列番号3からなるエンハンサーを含むが、終止シグナル又はポリAシグナルを含まず、前記第2のベクターは、終止シグナル及びポリAシグナルを含むが、プロモーター又はエンハンサーを含まない、ベクター系。
  63. タンパク質が、ヒトSCN1Aを含む、請求項62に記載のベクター系。
  64. 相同性領域が、75~1000塩基対である、請求項62に記載のベクター系。
  65. 相同性領域が、550~650塩基対である、請求項62に記載のベクター系。
  66. ベクターが、抑制性ニューロンにおいてタンパク質を選択的に発現する、請求項62に記載のベクター系。
  67. 相同領域に亘るトランススプライシングによって、組換え後に、より効率的な全長タンパク質再構成が駆動されるように、相同性領域が、第1のベクターにおけるスプライシングドナー部位及び第2のベクターにおけるスプライシングアクセプター部位を有するイントロンエレメントをさらに含む、、請求項62に記載のベクター系。
  68. ベクター系が、CN1504、CN1512、CN2004、CN2005、CN2006、CN2007、CN2008、及び/又はCN2009のエレメントを含む、請求項62に記載のベクター系。
  69. ベクター系が、CN1504及びCN1512、CN2004及びCN2005、CN2006及びCN2007、又はCN2008及びCN2009のエレメントを含む、請求項62に記載のベクター系。
  70. ベクター系が、配列番号45及び配列番号46、配列番号47及び配列番号48、配列番号49及び配列番号50、又は配列番号51及び配列番号52を含む、請求項62に記載のベクター系。
  71. 配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、又は配列番号52を含む、ウイルスベクター。
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