JP2024095121A - アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ado)変異体およびその利用 - Google Patents

アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ado)変異体およびその利用 Download PDF

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誠久 蓮沼
恒 工藤
ジョン ヴァヴリッカ ジュニア クリストファー
涼太 秀瀬
圭司 伏見
昭彦 近藤
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Abstract

【課題】 特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有するように改変されたADO変異体を提供すること。【解決手段】 アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)変異体であって、特異性改変部位のアミノ酸配列が改変されており、これにより、他の炭素鎖長を有するアルデヒド基質と比較して、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有することを特徴とする、ADO変異体。【選択図】 なし

Description

本開示は、アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)変異体に関する。より特定すると、本開示は、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有するように改変されたADO変異体、およびそのようなADO変異体が導入された微生物に関する。
アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)はアルデヒドからアルカンを作る唯一の酵素であり、燃料をはじめとしてさまざまな有用物質の生産に利用可能であり、種々の分野において応用が期待されている。
そこで本開示は、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有するように改変されたADO変異体を提供する。
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1)
アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)変異体であって、特異性改変部位のアミノ酸配列が改変されており、これにより、他の炭素鎖長を有するアルデヒド基質と比較して、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有することを特徴とする、ADO変異体。
(項目2)
前記ADOがNpADOを含む、上記項目に記載のADO変異体。
(項目3)
前記特異性改変部位が基質結合部位を含む、上記項目のいずれか一項に記載のADO変異体。
(項目4)
前記特異性改変部位が、前記ADO変異体と基質とが結合して立体構造を形成した場合に、前記基質から約5Å以内に存在するアミノ酸部位を含む、上記項目のいずれか一項に記載のADO変異体。
(項目5)
ADOと基質との親和性に基づいて特定される前記アミノ酸配列が改変される、上記項目のいずれか一項に記載のADO変異体。
(項目6)
前記改変が、多重変異を含む、上記項目のいずれか一項に記載のADO変異体。
(項目7)
前記改変が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にI25、V29、Q111、A122、Y126、W179、およびV185からなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を含む、上記項目のいずれか一項に記載のADO変異体。
(項目8)
前記改変が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y、Q111Y、A122P、Y126S、Y126T、W179R、およびV185Fからなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を含む、上記項目のいずれか一項に記載のADO変異体。
(項目9)
前記改変が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y/Q111Y/W179Rに相当するアミノ酸の改変を含む、上記項目のいずれか一項に記載のADO変異体。
(項目A1)
微生物であって、該微生物が持つアルデヒド基質に対して特異的に反応するアルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)またはその変異体が導入された、微生物。
(項目A2)
前記ADOがNpADOを含む、上記項目に記載の微生物。
(項目A3)
前記変異体が、前記ADOの特異性改変部位のアミノ酸配列の改変を有する、上記項目のいずれか一項に記載の微生物。
(項目A4)
前記変異体が、ADOと基質との親和性に基づいて特定される、前記ADOの特異性改変部位のアミノ酸配列の改変を有する、上記項目のいずれか一項に記載の微生物。
(項目A5)
前記特異性改変部位が基質結合部位を含む、上記項目のいずれか一項に記載の微生物。
(項目A6)
前記特異性改変部位が、前記ADO変異体と基質とが結合して立体構造を形成した場合に、前記基質から約5Å以内に存在するアミノ酸部位を含む、上記項目のいずれか一項に記載の微生物。
(項目A7)
前記改変が、多重変異を含む、上記項目のいずれか一項に記載の微生物。
(項目A8)
前記変異体が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にI25、V29、Q111、A122、Y126、W179、およびV185からなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を含む、上記項目のいずれか一項に記載の微生物。
(項目A9)
前記変異体が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y、Q111Y、A122P、Y126S、Y126T、W179R、およびV185Fからなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を含む、上記項目のいずれか一項のいずれか一項に記載の微生物。
(項目A10)
前記変異体が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y/Q111Y/W179Rに相当するアミノ酸の改変を含む、上記項目のいずれか一項に記載の微生物。
本開示において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。なお、本開示のさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
なお、上記した以外の本開示の特徴及び顕著な作用・効果は、以下の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。
本開示により、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有するように改変されたADO変異体を提供できる。また本開示により、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有するように改変されたADO変異体が導入された微生物を提供することができ、このような微生物を利用することで、燃料や化粧品などの用途に応じたアルカンを生産するシステムを構築することができる。
図1は、本開示の一実施形態におけるADO変異体のC11およびC15アルカンに対する活性測定の結果を示すグラフである。 図2は、本開示の一実施形態におけるADO多重変異体のC11およびC15アルカンに対する活性測定の結果を示すグラフである。
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
本明細書において、「約」とは、後に続く数値の±10%を意味する。
本明細書において、「アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)」とは、アルデヒドを原料にしてアルカンなどの炭化水素を生産する酵素をいい、その由来は限られない。代表的には、ラン藻のADOを挙げることができる。例えば、ADOとしては、OsADO、NpADO、SeADO、6803ADO、TeADO、51142ADO、7425-1ADO、7425-2ADO、8801ADO、CwADO、PaADO、LaADO、9443ADO、LiADO、PmADO、NATL2aADO、9917-2ADO、SyADO、7421ADO、7336ADOなどを挙げることができる。ADOの種類や由来については、例えばSchirmer, A., et al., (2010), Science 329:559-562、Arai, M., et al., (2018), AEMB., 1080, 119-154、およびKudo et al., (2019), Biotechnology for Biofuels and Bioproducts, 12, 89などに例示される。
本明細書において「特異性改変部位」とは、ADOにおいて基質であるアルデヒドが結合する基質結合部位またはその周辺部位をいい、基質を取り囲んで基質ポケットの形成に関与するすべての残基を含む。例えば、特異性改変部位には、基質-酵素の立体構造において、基質から5Å以内に存在するアミノ酸部位を挙げることができる。
本明細書において「基質結合部位」とは、酵素が基質と結合する部位をいう。
本明細書において、「微生物」とは、微小な生物を指し、例えば、細菌や放線菌などの原核生物、酵母やカビなどの真核生物、下等藻類、真菌、ウイルス等の他、動物や植物などの多細胞生物であっても個々に別々に存在する細胞も含まれる。また微生物には、天然の微生物のほか、それらを培養して人為的に増殖させたもの、それらが突然変異したもの、または形質転換その他の手法によって、人為的に改変した微生物等も含まれる。
本明細書において、遺伝子の「改変」とは、DNA鎖上のあるヌクレオチド(例えば、dC)が、他のヌクレオチド(例えば、dT、dA又はdG)に変換されるか、欠失すること、あるいはDNA鎖上のあるヌクレオチド間にヌクレオチドもしくはヌクレオチド配列が挿入もしくは付加されることを意味する。本明細書における「改変」には、二本鎖DNAの標的化した部位の1以上のヌクレオチドの置換、欠失、または二本鎖DNAの標的化した部位への1以上のヌクレオチドの挿入もしくは付加を含む。ここで、改変される二本鎖DNAは特に制限されないが、好ましくはゲノムDNAである。
本明細書において「Xに相当するアミノ酸の改変」とは、種々のADOのアミノ酸配列をアラインメントした場合に、ある特定のADOにおいて、配列番号1におけるアミノ酸Xに相当する位置に存在するアミノ酸の改変をいう。
アミノ酸を1文字表記し、Xn(Xがアミノ酸の1文字表記、nがアミノ酸の残基位置を示す)のように表示した場合、配列番号1における残基位置nにおける特定の文字のアミノ酸Xが変異を受けることを意味する。例えばI25は配列番号1における25番目のアミノ酸がイソロイシンであることを意味し、変異の位置を示し得る。またXnY(Xがアミノ酸の1文字表記、nがアミノ酸の残基位置、Yがアミノ酸の1文字表記を示す)は、アミノ酸Xが、配列番号1におけるその残基位置において、アミノ酸Yに変異することを意味する。
本明細書において「遺伝子」とは最広義に解釈され、核酸の文字列またはそれを担う物質(例えば、DNA、RNAなどのヌクレオチド)の配列をいい、好ましくは、なんらかの機能を発揮する配列または配列を含む物質であって、例えば、タンパク質をコードするもののほか、転写因子結合部位として、転写産物の転写時期と生産量を制御するプロモーターやエンハンサーなどの隣接した転写調節領域、転写因子結合部位として、転写産物の転写時期と生産量を制御するプロモーターやエンハンサーなどの隣接した転写調節領域なども包含される。
本明細書において、遺伝子の「導入」とは、外来性もしくは内在性の遺伝子、好ましくは機能遺伝子を適宜の導入技術により、その遺伝子を、例えば染色体ゲノム等に導入することをいう。遺伝子の導入には、ファージ、プラスミドなどのベクターを用いて遺伝子を導入することができ、また、自然形質転換法、接合法、プロトプラスト-PEG法やエレクトロポレーション法なども用いることができる。また、当該分野で公知の標的遺伝子組換え法を利用すれば、内在性の機能遺伝子と置換させることによって外来性の機能遺伝子を導入することもできる。なお、外来性の機能遺伝子は、その生物の染色体ゲノムに元来存在しない遺伝子であり、他の生物種由来の遺伝子やPCR等で作製した合成遺伝子等でありうる。遺伝子の導入には、既存のゲノムに対してゲノム編集を行うことで所望の遺伝子に変換することも包含される。
本明細書において「炭素鎖長」とは、アルキル基を構成する炭素原子数のことをいう。炭素鎖長は分子中の連続する最長の炭素鎖の長さを指し、炭素鎖は直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。
本明細書において「アルデヒド基質」とは、ADOの基質となり得るアルデヒドをいい、分子内に、カルボニル炭素に水素原子が一つ置換した構造を有する有機化合物の総称をいう。
本明細書において「(特定の)炭素鎖長を有するアルデヒド基質」とは、アルデヒド基質であって、炭素鎖長が任意のものをいう。
本明細書において「微生物が持つアルデヒド基質」とは、微生物が有し得るアルデヒド基質をいい、ほとんどの微生物が脂肪酸合成の中間産物として脂肪酸アルデヒドを合成し得る。
本明細書において「特異性」とは、酵素がある基質に対して活性または反応性を示すことをいう。そのため、「ある基質に対して特異性がある」とは、ある特定の炭素鎖長を有する基質のみを触媒するのではなく、他の基質よりも高い反応性を有するものが「特異性」があると定義できる。したがって、本明細書において、ADOが、ある特定の炭素鎖長を有する基質よりも、他の炭素鎖長を有する基質に対して反応性を示す場合には、当該他の炭素鎖長を有する基質に対して特異性があるといえる。
本明細書において「立体構造を形成」とは、基質が酵素に結合することによって、酵素-基質の複合体が形成されることをいう。本開示において、立体構造は、例えば、ADO変異体と基質とが結合した場合に形成される。
本明細書において「基質から約(X)Å以内に存在するアミノ酸部位」とは、酵素-基質の複合体において、当該複合体中における基質の位置からみて、約(X)Å離れて存在するアミノ酸、および約(X)Å未満の位置に存在するアミノ酸のすべてをいう。基質から約(X)Å以内に存在するアミノ酸部位は計算で算出することもでき、測定により特定することもできる。酵素と基質との結晶構造を解析することで基質の位置からアミノ酸部位までの距離を実験的に知ることができ、例えば、MOE、Pymol、Chimeraなどのタンパク質の構造描写ソフトを利用して、PDBデータから立体構造を描写することによって基質からアミノ酸残基までの距離を調べることができる。
本明細書において「親和性に基づいて特定される」とは、基質と酵素間の結合エネルギーを計算すること、およびそのような親和性計算の結果に基づいて特定されることをいう。親和性が高い状態とは、分子間力、静電気相互作用などといった結合エネルギーによって、酵素と基質がより強く結びついている状態をさす。本開示においては、酵素の変異型と野生型のそれぞれの結合エネルギーにおける差を算出することで、変異導入による基質との親和性への影響を評価している。
本明細書において「多重変異」とは、通常複数の変異をいうが、変異は1つでもあり得る。導入する変異箇所を複数組み合わせることで、1つ1つの変異導入による効果を相乗的にもたらすことができ、また活性や特異性の高い変異体を設計することが可能となる。本開示においては、多重変異が入った変異体と基質との親和性計算を行うことができる。
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。したがって、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができる。
本開示の一局面において、アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)変異体であって、特異性改変部位のアミノ酸配列が改変されており、これにより、他の炭素鎖長を有するアルデヒド基質と比較して、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有することを特徴とする、ADO変異体が提供される。
アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)はアルデヒドからアルカンを合成できる唯一の酵素である。アルカンは炭素数の長さによって物性が異なり、例えば燃料や化粧品などの様々な用途に利用できる。そのため、ADOの基質特異性を改変することで、特定の炭素鎖長のアルカンのみを大量に合成できるADOシリーズを創製することが可能となる。現在までに、ADOの基質特異性に関する研究例は少なく、またADOの基質特異性を改変させた変異体を利用した研究はすでに報告されているものの、その多くは炭素鎖の短い基質(炭素数(C)4-8のアルデヒド)を標的としており、あらゆる長さの炭素鎖長のアルカンを合成できるものではない。
本開示の一実施形態において、親和性計算に基づき、ADOの基質結合部位、または基質ポケット周辺にアミノ酸の改変、好ましくは一アミノ酸置換変異を導入したADO変異体を提供することができる。このようなADO変異体と基質との親和性計算を行うことで、例えば、C16アルデヒド(長い基質)よりもC12アルデヒド(中程度の基質)に親和性の高い変異体などの、目的の炭素鎖長のアルカンを合成することができる変異体を提供することができる。
本開示の一実施形態において、ADOはアルデヒドを基質としてアルカンを合成することができる酵素であれば特に限られない。例えば、ADOとしては、OsADO、NpADO、SeADO、6803ADO、TeADO、51142ADO、7425-1ADO、7425-2ADO、8801ADO、CwADO、PaADO、LaADO、9443ADO、LiADO、PmADO、NATL2aADO、9917-2ADO、SyADO、7421ADO、7336ADOなどを挙げることができるが、これらに限られない。一実施形態において、ADOとしては、好ましくはNostoc punctiforme PCC73102のNpADOを用いることができる。ADOの種類や由来については、例えばSchirmer, A., et al., (2010), Science 329:559-562、Arai, M., et al., (2018), AEMB., 1080, 119-154、およびKudo et al., (2019), Biotechnology for Biofuels and Bioproducts, 12, 89などに例示される。
一実施形態において、ADOとしては、C12、C14、C16、またはC18などの直鎖アルデヒドに対して活性の高いADOを利用することができる。あらゆる基質に対して酵素活性が高いADOを利用することで、改変を施した場合にも、目的の炭素鎖長のアルデヒドに対して特異的に反応し、かつその基質に対して酵素活性の高いADO変異体を得ることができる。本開示の一実施形態において、ADOのkcat(触媒効率)を実質的に維持したまま、Km(基質親和性)を改良した変異体を提供することができる。
一実施形態において、本開示のADO変異体は特異性改変部位のアミノ酸配列が改変されたものとすることができ、例えば、ADOの基質であるアルデヒドが結合する基質結合部位またはその周辺部位のアミノ酸配列が改変されることができる。一実施形態において、特異性改変部位としては、代表的には基質結合部位を挙げることができるが、その周辺部位であってもよく、基質を取り囲んで基質ポケットの形成に関与するすべての残基が含まれる。例えば、一実施形態において、特異性改変部位としては、ADO変異体と基質とが結合して立体構造を形成した場合に、基質から約10Å以内、約9Å以内、約8Å以内、約7Å以内、約6Å以内、約5Å以内、約4Å以内、または約3Å以内に存在するアミノ酸部位を含むことができる。XÅ以内であるかどうかは、酵素と基質との結晶構造を解析し、基質を構成する分子の座標点から、指定した距離以内にあるアミノ酸分子を選択することで判定することができる。例えば、MOE、Pymol、Chimeraなどのタンパク質の構造描写ソフトを利用して、PDBデータから立体構造を描写することによって基質からアミノ酸残基までの距離を調べることができる。例えば、3次元座標における2点間の距離を計算することができ、点A(X,Y,Z)と点B(X, Y, Z)の距離(DA-B)は以下のような式に基づいて計算することができる。
A-B =(X-X+(Y-Y+(Y-Y
一実施形態において、本開示のADO変異体において改変されるアミノ酸配列はADOと基質との親和性に基づいて特定することができ、このような親和性の計算は、例えば、Molecular operating environments(MOE)、Pymol、Chimeraなどのタンパク質の構造描写ソフトを利用して、PDBデータから立体構造を描写することによって行うことができる。親和性の計算は、MM/GBVI結合エネルギー計算方法に基づいており(例えばLabute, P,. (2008), J Comput Chem 29: 1693-1698を参照)、親和性が高い状態とは、分子間力、静電気相互作用などといった結合エネルギーによって、酵素と基質がより強く結びついている状態をさす。
一実施形態において、本開示のADO変異体は、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有するように改変されたものとすることができ、例えば、C15アルカンよりもC11アルカンを多く合成する(C12アルデヒドに対する特異性が高い)ADO変異体、C13アルカンよりもC17アルカンを多く合成する(C18アルデヒドに対する特異性が高い)ADO変異体など、任意の目的の炭素鎖長を有するアルカンを、他の炭素鎖長を有するアルカンよりも実質的に多く合成することができる。したがって、ADOにおけるアミノ酸改変部位を変更することによって、任意の目的の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有するような変異体を得ることができる。
一実施形態において、C16アルデヒドよりもC12アルデヒドに対して親和性の高い変異体を作製する場合には、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にI25、V29、Q111、A122、Y126、W179、およびV185からなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を行うことができる。
一実施形態において、C16アルデヒドよりもC12アルデヒドに対して親和性の高い変異体を作製する場合には、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y、Q111Y、A122P、Y126S、Y126T、W179R、およびV185Fからなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を行うことができる。
一実施形態において、本開示のADO変異体における改変は1アミノ酸であってもよく、または複数のアミノ酸の多重変異であってもよい。例えば、一実施形態において、本開示のADO変異体は、2ヶ所、3ヶ所、4ヶ所、または5ヶ所のアミノ酸が改変していてもよく、改変されるアミノ酸は隣接していても、離れていてもよい。多重変異を行うことによって、より活性や特異性の高い変異体を得ることが可能となり得る。本願実施例に示すとおり、本開示において、C16アルデヒドよりもC12アルデヒドに対して親和性の高い変異体を作製したところ、V29Y、Q111Yの変異体に比べて、29/111/185変異体では、C12アルデヒドに対する活性が約1.4倍向上することがわかっている。
一実施形態において、C16アルデヒドよりもC12アルデヒドに対して親和性の高い変異体を作製する場合には、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y/Q111Y/W179Rに相当するアミノ酸の改変を行うことができる。
本開示の一実施形態において、本開示のADO変異体は、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対してのみ触媒することもできる。他の実施形態において、本開示のADO変異体は、第一の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い触媒活性を有する一方で、第二の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対しても、第三の炭素鎖長を有するアルデヒド基質よりは高い触媒活性を有するようなものとすることもできる。一実施形態において、複数の特定の炭素鎖長のアルデヒド基質に対して高い触媒活性を有するADO変異体を利用する場合には、例えば、沸点の差を利用した分留によって、目的の炭素鎖長のアルカンを選択的に回収することもできる。
本開示の他の局面において、微生物であって、該微生物が持つアルデヒド基質に対して特異的に反応するアルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)またはその変異体が導入された、微生物が提供される。このような微生物を利用することで、目的の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性をもつため、目的のアルカンを選択的に得ることが可能となる。本開示の一実施形態において、本開示の微生物は、本明細書の他の箇所で説明した任意の特徴を備えることができる。
本開示の微生物は、代表的にはラン藻類を挙げることができるが、ネカトール、ラン藻類、微細藻類、酵母など、炭素を原料とする微生物を挙げることができる。
一実施形態において、本開示の微生物として大腸菌を利用する場合には、ADOと、その上流にあるAARとの共発現によって、アルカン合成が可能となる。微生物を用いたアルカン生成は、例えば、Arai, M., et al., (2018), AEMB., 1080, 119-154、およびWang, J. and Zhu, K. (2018), Curr Opin Biotechnol., 50: 11-18を参照して行うことができる。
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J. et al.(1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001); Ausubel, F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Ausubel, F.M.(1989). Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Innis, M.A.(1990).PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press; Ausubel, F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Ausubel, F.M. (1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Innis, M.A. et al.(1995).PCR Strategies, Academic Press; Ausubel, F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, and annual updates; Sninsky, J.J. et al.(1999). PCR Applications: Protocols for Functional Genomics, Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えばGeneArt、GenScript、Integrated DNA Technologies(IDT)などの遺伝子合成やフラグメント合成サービスを用いることもでき、その他、例えば、Gait, M.J.(1985). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Gait, M.J.(1990). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Eckstein, F.(1991). Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, IRL Press; Adams, R.L. et al.(1992). The Biochemistry of the Nucleic Acids, Chapman & Hall; Shabarova, Z. et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids, Weinheim; Blackburn, G.M. et al.(1996). Nucleic Acids in Chemistry and Biology, Oxford University Press; Hermanson, G.T.(I996). Bioconjugate Techniques, Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
(実施例1:ADO変異体における活性測定)
プラスミド
ADOホモログをコードするDNA断片は、GenScript社により構築された。大腸菌で高発現するようにコドンを最適化した。大腸菌でのADOの発現には、pET28a(+)ベクター(Novagen)を用い、そこにNdeIおよびXhoI制限部位を介してADOのコドン最適化DNA断片をクローニングした。ADO遺伝子の上流に、T7プロモーター、lacオペレーター、リボソーム結合部位を配置した。NpADOの変異体は、QuikChange部位特異的変異導入キット(Agilent Technologies,Santa Clara,CA,USA)のプロトコルにしたがって構築した。
中鎖アルカンの生産には、宿主細胞として大腸菌BL21(DE3)またはBL21(DE3)pLysSで発現する2つのプラスミドを用いた。第一のプラスミドとして、Umbellularia californica由来のアシル-ACPチオエステラーゼBTEおよび大腸菌fadDを発現するpCDFDuet-1(Novagen)を利用し、宿主細胞内でC12:0脂肪酸とアシル-CoAを生産させた。また、脂肪酸アシル-CoAレダクターゼFAR、および中鎖アルカンに特異性の高いADO変異体を発現する第二のプラスミドpETDuet-1(Novagen)を用いてウンデカン(C11:0)を過剰生産した。
タンパク質の過剰発現と精製
ADOの発現には、ADOをコードするpET28aプラスミドを大腸菌BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させた。この細胞を、25μg/mLカナマイシンを含むLuria-Bertani(LB)培地中でインキュベートした。OD600nmが0.7~0.8程度になった時点で1mM isopropyl-β-D-thiogalactoside(IPTG)で培養を誘導した。さらに、18℃、180rpmで18時間培養した。8000×g、4℃で15分間遠心分離し、培養物を回収した。回収した細胞を結合バッファー(20mM Tris-HCl,100mM NaCl,5mM Imidazole,pH8.0)に懸濁し、FastBreak(登録商標) Cell Lysis Reagent (Promega Japan,Tokyo,Japan)で溶解した。溶解物を20380×g,4℃で30分間遠心した。上清をTALON Resin(Clontech Laboratories,Inc.)に加え、15℃で20分間にわたってシェーカーで穏やかに撹拌し、his-tagged ADOタンパク質を樹脂に結合させた。樹脂を洗浄液で洗浄し、溶出液(20mM Tris-HCl,100mM NaCl,500mM Imidazole,pH8.0)を加えて15℃で20分間インキュベートしてからADOタンパク質を溶出した。溶出液を100mM HEPESおよび100mM KCl,pH7.2を含むHEPESバッファーに交換し、ADO反応を行った。
ADOの発現を確認するために、Coomassie Blue R-250染色を用いて、12%ポリアクリルアミドゲルでSDS-PAGEを行った。タンパク質を濃縮し、ウシ血清アルブミンを標準物質としたブラッドフォード法により濃度を測定した。
酵素アッセイ
先行研究[Bao et al., 2016]に準じて、ADO活性測定を実施した。反応緩衝液はpH7.2であり、100mM HEPES、100mM KCl、1mM NADH、75μM PMS、1mg/mlカタラーゼ、100μM 硫酸鉄(II)アンモニウム、200μM C18,16,14,12アルデヒド、1mg/ml BSA,0.8% Tritonが含まれる。5μM ADOの酵素溶液を反応緩衝液に加え、37℃で1時間穏やかに攪拌した。C11、13、15、17アルカンの内部標準としてC16アルカンを使用した。反応液と酢酸エチルとを、ボルテックスにより30分間混合した。有機相を13000×g、4℃で10分間遠心分離して水相を分離し、GC-MS測定用のガラスバイアルに回収した。すべての酵素アッセイを3連で繰り返した。
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)によるアルカンの定量
C18,16,14,12アルカンは、島津製作所製ガスクロマトグラフ質量分析計GCMS-QP2020NX(Shimadzu, Kyoto, Japan)により定量を行った。試料はDB-5MS UIカラム(30m×0.25mm×0.25um)にスプリットレスで注入した。GC-MS法のプログラムは以下のとおりである。80℃、4分保持後、40℃/分で290℃まで昇温し、290℃で1分保持した。GC-MSのインターフェース温度は290℃、イオン源温度は230℃であった。キャリアガスのHeの流量は1.50ml/分とした。アルカン生成ピークの保持時間およびフラグメンテーションパターンの決定には、C8~C20を含むアルカン標準溶液(Sigma-Aldrich)を使用した。
改変大腸菌でのアルカン生産
アルカン生産は先行研究に従って大腸菌内で生産した。BL21(DE3)pLysSコンピテント細胞を、UcBTEおよびFadD遺伝子の両方を含むpCDFDuet-1共発現ベクター、並びにAARおよびADO遺伝子の両方を含むpETDuet-1共発現ベクターで形質転換し、50ug/mlスペクトロマイシンおよび50ug/mlカルベニシリンでLBアガロースプレートに植菌した。このコロニーを3%グルコース、50ug/mlスペクチノマイシンおよび50ug/mlカルベニシリンを含むM9最小培地で前培養した。この前培養物を、100μM 硫酸鉄(II)アンモニウムを含むM9最小培地で播種し、96 deep-well plate maximizer(TAITEC,Tokyo,Japan)で培養した。その後、1 mM IPTGによってタンパク質を発現誘導させたのち、37℃で20~30時間インキュベーションした。
培養物を溶解し、溶解液中のアルカンを酢酸エチルにより抽出した。GC-MSによるアルカンピークの検出は、オーブン温度を75℃で5分間保持し、10℃/分の速度で290℃まで上昇させた後、さらに9分間290℃で保持した。内部標準としてC16アルカンを使用した。各アルカンの同定および定量には、純粋なアルカン標準を利用した。
系統解析と計算機設計
9313ADOのアミノ酸配列をクエリーとしたBLASTサーバーで、合計150のADOのオルソログを発見した。150のADOアミノ酸配列の多重配列アライメントは、MAFFTを用いて行った。ADOのアミノ酸配列に基づくシアノバクテリアの系統樹をNJplotにより作成した。ADO変異体の設計には、Nostoc punctiforme由来のADOの構造(PDB ID:5uxi)を鋳型として使用した。ADOとC16またはC12アルデヒドの複合体構造を作成し、Molecular operating environments(MOE)を用いて変異体の設計を行った。また、MOEのResidue Scanプログラムにより、ADO変異体とアルデヒドの親和性を算出した。ADOの基質ポケットに近い残基をターゲットとし、これらの残基に、元のアミノ酸を除く19個のアミノ酸に変化する飽和変異を導入した。
結果を図1および2に示す。図1の上段のグラフに、C16アルデヒドに対するADO活性の結果を、また下段のグラフにC12アルデヒドに対するADO活性の結果をそれぞれ示した。それぞれ生成物であるC15アルカン、C11アルカンの量をADOタンパク質の濃度で割ることで活性値を算出した。サンプルについては左端のI25FからM194FまでがNpADOの一アミノ酸置換体で、V184F(Se)はベンチマーク株、最も右に位置するWTはNpADOの野生型を示している。このうち、V29Y、Q111Y、A122PはC15アルカン活性が全く見られない一方、ある程度のC11アルカン活性のみが検出されていた。Y126S(T)、W179R、V185FではC15アルカン、C11アルカン活性が両方とも高く、ベンチマーク株よりも活性が向上していることが分かった。
図2では、図1で活性の高かった変異同士を組み合わせた、多重変異体を作製し、同様の活性測定を行った。その結果、V29Y、Q111Y、及びV185Fを組み合わせた29/111/185変異体がC11アルカンのみを最も多く合成できることが分かった。
(実施例2:微生物を用いた目的の炭素鎖長のアルカン合成)
大腸菌内にて、C11アルカン合成に必要な遺伝子を導入する。以下、2通りの戦略でC11アルカンを大量合成できる大腸菌を創出する。
1.ADOとその上流にあるAARの遺伝子2種類を導入する。
2.C12脂肪酸を合成できるUcFatB、そこからアシルCoA→アルデヒドを合成できるFadD、AARをADOに加えて導入する。
培養については、実験条件の最適化をスモールスケールで実施する(96穴ディープウェルプレート(2mlサイズ))。最終的にはスケールアップして、Jarでの大量培養を行う。目的のアルカンの確認は培養液中の成分分析をGC-MSを用いて行う。回収方法については大腸菌の場合にはアルカンを培養液中に分泌することが知られているため、培地中のC11アルカンを分留によって回収する。微生物については、大腸菌に限られず、その他の微生物(ネカトールやラン藻といったCOを原料とする微生物など)を利用することもできる。
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本開示によれば、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有するように改変されたADO変異体や、そのようなADO変異体が導入された微生物を提供することができるため、このようなADO変異体や微生物を利用することで、燃料や化粧品などの用途に応じたアルカンを生産するシステムを構築することができる。そのため、炭化水素を利用する分野において応用が期待される。
配列番号1:NpADOのアミノ酸配列

Claims (19)

  1. アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)変異体であって、特異性改変部位のアミノ酸配列が改変されており、これにより、他の炭素鎖長を有するアルデヒド基質と比較して、特定の炭素鎖長を有するアルデヒド基質に対して高い特異性を有することを特徴とする、ADO変異体。
  2. 前記ADOがNpADOを含む、請求項1に記載のADO変異体。
  3. 前記特異性改変部位が基質結合部位を含む、請求項1または2に記載のADO変異体。
  4. 前記特異性改変部位が、前記ADO変異体と基質とが結合して立体構造を形成した場合に、前記基質から約5Å以内に存在するアミノ酸部位を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のADO変異体。
  5. ADOと基質との親和性に基づいて特定される前記アミノ酸配列が改変される、請求項1~4のいずれか一項に記載のADO変異体。
  6. 前記改変が、多重変異を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のADO変異体。
  7. 前記改変が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にI25、V29、Q111、A122、Y126、W179、およびV185からなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のADO変異体。
  8. 前記改変が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y、Q111Y、A122P、Y126S、Y126T、W179R、およびV185Fからなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のADO変異体。
  9. 前記改変が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y/Q111Y/W179Rに相当するアミノ酸の改変を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のADO変異体。
  10. 微生物であって、該微生物が持つアルデヒド基質に対して特異的に反応するアルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)またはその変異体が導入された、微生物。
  11. 前記ADOがNpADOを含む、請求項10に記載の微生物。
  12. 前記変異体が、前記ADOの特異性改変部位のアミノ酸配列の改変を有する、請求項10または11に記載の微生物。
  13. 前記変異体が、ADOと基質との親和性に基づいて特定される、前記ADOの特異性改変部位のアミノ酸配列の改変を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の微生物。
  14. 前記特異性改変部位が基質結合部位を含む、請求項12または13に記載の微生物。
  15. 前記特異性改変部位が、前記ADO変異体と基質とが結合して立体構造を形成した場合に、前記基質から約5Å以内に存在するアミノ酸部位を含む、請求項12または13に記載の微生物。
  16. 前記改変が、多重変異を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の微生物。
  17. 前記変異体が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にI25、V29、Q111、A122、Y126、W179、およびV185からなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の微生物。
  18. 前記変異体が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y、Q111Y、A122P、Y126S、Y126T、W179R、およびV185Fからなる群から選択される1または複数の残基に相当するアミノ酸の改変を含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の微生物。
  19. 前記変異体が、ADOのアミノ酸配列において、配列番号1でアラインメントした場合にV29Y/Q111Y/W179Rに相当するアミノ酸の改変を含む、請求項10~18のいずれか一項に記載の微生物。
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