JP2024094305A - 有機化合物、発光デバイス、発光装置、および電子機器 - Google Patents

有機化合物、発光デバイス、発光装置、および電子機器

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JP2024094305A JP2023219301A JP2023219301A JP2024094305A JP 2024094305 A JP2024094305 A JP 2024094305A JP 2023219301 A JP2023219301 A JP 2023219301A JP 2023219301 A JP2023219301 A JP 2023219301A JP 2024094305 A JP2024094305 A JP 2024094305A
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祥子 川上
信晴 大澤
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Abstract

【課題】電子注入性を有し、水への溶解度の低い有機化合物を提供する。
【解決手段】式(G1)で表される有機化合物を提供する。ただし、Xは式(X-1)で表される基、Yは式(Y-1)で表される基である。Arは環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、RおよびRは独立に水素または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。式(X-1)および(Y-1)において、R乃至Rは独立に水素または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、mは0乃至4の整数を表し、nは1乃至5の整数を表す。なお、mまたはnが2以上の場合複数となるR乃至Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。

【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、有機化合物、発光デバイス、発光装置、受発光装置、表示装置、電子機器、照明装置および電子デバイスに関する。なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されている。例えば、大型の表示装置の用途としては、家庭用のテレビジョン装置(テレビまたはテレビジョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、及び、PID(Public Information Display)等が挙げられる。また、携帯情報端末として、タッチパネルを備えるスマートフォン及びタブレット端末などの開発が進められている。
また、表示装置の高精細化が求められている。高精細な表示装置が要求される機器として、例えば、仮想現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augmented Reality)、代替現実(SR:Substitutional Reality)、及び、複合現実(MR:Mixed Reality)向けの機器が、盛んに開発されている。
表示装置としては、例えば、発光デバイス(発光素子ともいう)を有する発光装置が開発されている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(有機ELデバイス、有機EL素子ともいう)は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流定電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、表示装置に応用されている。
特許文献1には、有機ELデバイス(有機EL素子ともいう)を用いた、VR向けの表示装置が開示されている。また、特許文献2には、遷移金属と非共有電子対を有する有機化合物の混合膜を電子注入層に用いた、駆動電圧が低く信頼性が良好な発光デバイスが開示されている。
国際公開第2018/087625号 特開2018-201012号公報
有機半導体膜を所定の形状に作製する方法の一つとして、メタルマスクを用いた真空蒸着法(マスク蒸着)が広く用いられている。しかし、高密度化、高精細化が進む昨今、マスク蒸着は、合わせ精度の問題、基板との配置間隔の問題に代表される種々の理由により、これ以上の高精細化は限界に近付いている。一方、リソグラフィ法を用いて有機半導体膜の形状を加工することで、より緻密なパターンを形成することができる。この方法はさらに、大面積化も容易であることから、リソグラフィ法を用いた有機半導体膜の加工に関する研究も進められている。
有機ELデバイスは、電極間(第1の電極と第2の電極との間)に発光物質を含む有機化合物層(上記有機半導体膜に相当)を有しており、電極から当該有機化合物層に注入されたキャリア(正孔および電子)を再結合させることによって生じたエネルギーによって、発光を得る構成を有している。
ここで、有機化合物層は電気が流れにくくエネルギー障壁が大きいため、キャリアの注入、特に電子の注入には、基本的には高い電圧が必要であった。そのため、現状、陰極に接する電子注入層には、ドナー性物質(電子供与体ともいう)が用いられ、低電圧化が実現されている。ドナー性物質の具体例としては、代表的には、仕事関数の小さいリチウム(Li)等のアルカリ金属または当該アルカリ金属の化合物が挙げられる。
しかし、ドナー性物質を含む有機化合物層を有する発光デバイスを、上述のリソグラフィ法を用いて作製する場合、大気中の酸素または水、工程中の薬液または水の影響により、駆動電圧の大幅な上昇または、電流効率の著しい低下を引き起こしてしまうという問題があった。
この問題を解決する手段の一つとして、発光デバイスの有機化合物層を形成する途中で(すなわち、ドナー性物質を含む層を形成する前に)リソグラフィ法を用いて加工する工程を行う方法がある。すなわち、電子注入層を形成する前の段階でリソグラフィを行って有機化合物層を加工し、その後に電子注入層の形成工程およびその後の工程を行うことにより特性の悪化を回避することができる。
しかし、タンデム型の発光デバイスでは上述の回避方法を適用することができず、リソグラフィ法を用いて有機化合物層を加工する工程を行ったことに起因する大幅な特性の悪化が避けられなかった。
なぜならば、タンデム型の発光デバイスは、中間層(電荷発生層ともいう)を挟んで複数の発光層が直列に積層された構造の有機化合物層を有しており、当該中間層には、陽極側の発光層に電子を注入するために、ドナー性物質が含まれるからである。このような中間層が2つの発光層間に存在することから、2つの発光層を含む有機化合物層をリソグラフィ法を用いて加工しようとすれば、必ず中間層もリソグラフィ法を用いて加工することとなり、大気中の酸素または水、工程中の薬液または水に曝されることになる。
中間層におけるドナー性物質を含む層がリソグラフィ法を用いた加工工程に曝されることによって、電子注入層をリソグラフィ法を用いた加工工程に曝した場合と同様に、発光デバイスの駆動電圧の大幅な上昇、および電流効率の著しい低下が引き起こされてしまっていた。
また、上述の問題を解決する別の手段として、ドナー性物質の代わりに、電子注入性を有する有機化合物を、電子注入層または中間層に用いる方法がある。すなわち、この方法では、ドナー性物質を含まない有機化合物層をリソグラフィ法を用いて加工するため、ドナー性物質に起因する発光デバイスの特性の悪化を回避することができる。
ただし、当該有機化合物の水への溶解性が高いと、水、または水を溶媒とする薬液に曝される工程において当該有機化合物を用いた層が溶解することで、発光デバイスの特性の低下、形状不良などの原因となる場合があった。
また、本発明の一態様は、電子注入性を有する有機化合物を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、水への溶解性の低い有機化合物を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、良好な特性の発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、新規な有機化合物、新規な発光デバイス、新規な発光装置、または新規な電子機器を提供することを課題とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様では、上述の問題を解決するため、二環式グアニジン骨格と、芳香族炭化水素骨格または複素芳香族炭化水素骨格と、を有する有機化合物を提供する。このような有機化合物は塩基性が高く、電子注入性を有することから、発光デバイスの電子注入層または中間層において、ドナー性物質の代わりに用いることができる。
さらに、本件発明者らは、当該有機化合物において、二環式グアニジン骨格の環員数、芳香族炭化水素骨格または複素芳香族炭化水素骨格の構造などが、有機化合物の塩基性、水への溶解性、および電子注入性に与える影響について解析し、その結果、上述の問題の解決には、二環式グアニジン骨格の環員数を適切に設定する必要性が高いことを見出した。
従って、本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される有機化合物である。
ただし、上記一般式(G1)で表される有機化合物において、Xは下記一般式(X-1)で表される基、Yは下記一般式(Y-1)で表される基である。また、Arは置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。
ただし、上記一般式(X-1)および(Y-1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、mは0乃至4の整数を表し、mが0、1、3、または4のとき、nは1乃至5の整数を表し、mが2のとき、nは1、2、4、または5を表す。なお、mまたはnが2以上の場合複数となるR乃至Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
また、本発明の一態様は、下記一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物である。
ただし、上記一般式(G2-1)乃至(G2-8)において、Arは置換または無置換の環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、R11乃至R26はそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。
上記各構成の有機化合物において、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基は、下記構造式(Ar-1)乃至(Ar-15)で表される複素芳香族炭化水素のいずれか一からh個の水素原子を除くことにより生成される基であり、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基は下記構造式(Ar-16)乃至(Ar-27)で表される芳香族炭化水素のいずれか一からh個の水素原子を除くことにより生成される基であるとより好ましい。
また、本発明の一態様は、下記構造式(100)で表される有機化合物である。
また、本発明の一態様は、上記各構成の有機化合物を用いた発光デバイスである。
また、本発明の一態様は、上記構成の発光デバイスと、トランジスタ、または、基板と、を有する発光装置である。
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置と、検知部、入力部、または、通信部と、を有する電子機器である。
なお、本明細書中における発光装置とは、発光デバイスを用いた画像表示デバイスを含む。また、基板上の発光デバイスにコネクター、例えば異方導電性フィルム又はTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は発光デバイスにCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも発光装置に含む場合がある。さらに、照明器具等は、発光装置を有する場合がある。
本発明の一態様により、電子注入性を有する有機化合物を提供することができる。また、本発明の一態様により、水への溶解性の低い有機化合物を提供することができる。また、本発明の一態様により、良好な特性の発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、新規な有機化合物、新規な発光デバイス、新規な発光装置、または新規な電子機器を提供することができる。
本発明の一態様により、表示品位の高い発光装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、高精細な発光装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、高解像度の発光装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、高開口率な発光装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い発光装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、利便性、有用性または信頼性に優れた新規な発光装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、利便性、有用性または信頼性に優れた新規な表示モジュールを提供することができる。または、本発明の一態様により、利便性、有用性または信頼性に優れた新規な電子機器を提供することができる。または、本発明の一態様により、新規な発光装置、新規な表示モジュール、新規な電子機器または新規な半導体装置を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
図1(A)乃至図1(C)は、発光デバイスについて表す図である。 図2は発光デバイスについて表す図である。 図3(A)および図3(B)は、発光装置の上面図および断面図である。 図4(A)乃至図4(D)は、発光デバイスについて表す図である。 図5(A)乃至図5(E)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図6(A)乃至図6(D)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図7(A)乃至図7(D)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図8(A)乃至図8(C)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図9(A)乃至図9(C)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図10(A)乃至図10(C)は、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。 図11(A)乃至図11(C)は従来の構成を表す図である。 図12(A)乃至図12(E)は、膜の加工方法を表す図である。 図13(A)乃至図13(E)は、膜の加工方法を表す図である。 図14(A)及び図14(B)は、表示モジュールの構成例を示す斜視図である。 図15(A)及び図15(B)は、表示装置の構成例を示す断面図である。 図16(A)乃至図16(D)は、電子機器の一例を示す図である。 図17(A)乃至図17(F)は、電子機器の一例を示す図である。 図18(A)乃至図18(C)は、2tiiSFのH NMRスペクトルである。 図19は、2tiiSFのトルエン溶液における吸収スペクトルと発光スペクトルである。 図20は、発光デバイス1の輝度-電流密度特性である。 図21は、発光デバイス1の電流効率-輝度特性である。 図22は、発光デバイス1の輝度-電圧特性である。 図23は、発光デバイス1の電流密度-電圧特性である。 図24は、発光デバイス1の電界発光スペクトルである。 図25(A)乃至図25(C)は、2hppSFのH NMRスペクトルである。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、及び、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、及び、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、及び、範囲などに限定されない。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
なお、本明細書等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスと呼称する場合がある。
本明細書等において、正孔または電子を、「キャリア」といって示す場合がある。具体的には、正孔注入層または電子注入層を「キャリア注入層」といい、正孔輸送層または電子輸送層を「キャリア輸送層」といい、正孔ブロック層または電子ブロック層を「キャリアブロック層」という場合がある。なお、上述のキャリア注入層、キャリア輸送層、及びキャリアブロック層は、それぞれ、断面形状、または特性などによって明確に区別できない場合がある。また、1つの層が、キャリア注入層、キャリア輸送層、及びキャリアブロック層のうち2つまたは3つの機能を兼ねる場合がある。
本明細書等において、発光デバイス(発光素子ともいう)は、一対の電極間にEL層を有する。EL層は、少なくとも発光層を有する。本明細書等において、受光デバイス(受光素子ともいう)は、一対の電極間に少なくとも光電変換層として機能する活性層を有する。本明細書等では、一対の電極の一方を画素電極と記し、他方を共通電極と記すことがある。
なお、本明細書等において、テーパ形状とは、構造の側面の少なくとも一部が、基板面に対して傾斜して設けられている形状のことを指す。例えば、傾斜した側面と基板面とがなす角(テーパ角ともいう)が90°未満である領域を有すると好ましい。なお、構造の側面及び基板面は、必ずしも完全に平坦である必要はなく、微細な曲率を有する略平面状、または微細な凹凸を有する略平面状であってもよい。
なお、本明細書中における発光装置とは、有機ELデバイスを用いた画像表示デバイスを含む。また、有機ELデバイスにコネクター、例えば異方導電性フィルム又はTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は有機ELデバイスにCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも発光装置に含む場合がある。さらに、照明器具等は、発光装置を有する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の有機化合物について説明する。
上述の通り、本発明の一態様では、上述の問題を解決するため、二環式グアニジン骨格と、芳香族炭化水素骨格または複素芳香族炭化水素骨格と、を有する有機化合物を提供する。このような有機化合物は塩基性が高く、また、電子注入性を有することから、発光デバイスの電子注入層または中間層において、ドナー性物質の代わりに用いることができる。
ただし、塩基性の高い有機化合物は双極子モーメントが大きくなるため、水への溶解性が高くなり、水、または水を溶媒とする薬液に曝されるリソグラフィ法を用いた加工の工程においては当該有機化合物を用いた層が溶解する、当該有機化合物を用いた層へ薬液が浸透する、等の影響により発光デバイスの特性の低下、形状不良などの原因となる場合があった。従って、発光デバイスに用いるのに十分な電子注入性を保ちつつ、水への溶解性を低下させる必要がある。水への溶解性を低減する1つの方法として、塩基性を低減することにより、双極子モーメントを低減する方法が考えられる。
そこで、本件発明者らは、当該有機化合物において、二環式グアニジン骨格の環員数、芳香族炭化水素骨格または複素芳香族炭化水素骨格の構造などが、有機化合物の塩基性、水への溶解性、および電子注入性に与える影響について解析し、その結果、二環式グアニジン骨格の環員数を適切に設定することで、電子注入性と水溶性の低減を両立させる分子設計を見出した。
例えば、当該有機化合物において、二環式グアニジン骨格が、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド[1,2-a]ピリミジンで表される構造(hpp骨格ともいう)である場合には、塩基性が高くなるとともに、有機化合物の水への溶解性が非常に高まる。従って、本発明の一態様としてはこの場合を除くことが好ましい。
二環式グアニジン骨格のいずれかの環の環員数が5以下であれば、6以上である場合と比較して、二環式グアニジン骨格の窒素原子がプロトンを受け取った際の共役酸の共鳴安定化を低下させることができる。従って、有機化合物の塩基性を、hpp骨格を有する化合物より低下させ、水への溶解性を、hpp骨格を有する化合物より低下させることができる。また、二環式グアニジン骨格の有する環のいずれかの環員数が7以上であれば、有機化合物の分子量が増加するため、水への溶解性を低下させることができる。
このように有機化合物の水への溶解性を低くすることで、リソグラフィ法を用いた加工の工程において層が溶解することを回避することができる。
すなわち、本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される有機化合物である。
ただし、上記一般式(G1)で表される有機化合物において、Xは下記一般式(X-1)で表される基、Yは下記一般式(Y-1)で表される基である。また、Arは置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。
ただし、上記一般式(X-1)および(Y-1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、mは0乃至4の整数を表し、mが0、1、3、または4のとき、nは1乃至5の整数を表し、mが2のとき、nは1、2、4、または5を表す。なお、mまたはnが2以上の場合複数となるR乃至Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
このように、二環式グアニジン骨格を有する分子構造とすることにより、塩基性が高く、電子注入性を有する有機化合物とすることができる。また、二環式グアニジン骨格のうち、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド[1,2-a]ピリミジン(mが2かつnが3のとき、つまり、hpp骨格)の場合は有機化合物の水溶性が高まることが分かっているため、除いている。hpp骨格を除くことにより、二環式グアニジン骨格を有する本発明の有機化合物の、水への溶解性を低減することができる。従って、本発明の一態様の有機化合物を電子注入層または中間層においてドナー性物質の代わりに用いることにより、リソグラフィ法を用いた加工の工程で作製する発光デバイスのドナー性物質に起因する特性の悪化を回避し、良好な特性の発光デバイスを得ることができる。
なお、上記一般式(G1)で表される有機化合物において、mが1以下またはnが2以下であるとより好ましく、mが1以下かつnが2以下であるとさらに好ましく、mが1かつnが2であると最も好ましい。これによって、有機化合物の水への溶解性が高まることをさらに抑制することができる。なお、mが1かつnが2である場合に、一般式(G1)中の二環式グアニジン骨格を、tii骨格と呼ぶこともできる。
また、本発明の一態様は、下記一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物である。
ただし、上記一般式(G2-1)乃至(G2-8)において、Arは置換または無置換の環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、R11乃至R26はそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。
上記一般式(G2-1)乃至一般式(G2-8)で表される有機化合物は、上記一般式(G1)で表される有機化合物におけるmを1乃至3の整数、nを2乃至4の整数と限定した構造を有する。このような構造とすると、二環式グアニジン骨格の安定性を高めることができるため、有機化合物全体の安定性を高めることができ、好ましい。
また、上記一般式(G2-1)乃至一般式(G2-8)で表される有機化合物のうち、一般式(G2-1)乃至一般式(G2-5)で表される有機化合物、より好ましくは一般式(G2-1)で表される有機化合物は、二環式グアニジン骨格のいずれかの環の環員数が5以下であるためより好ましい。これによって環員数が6以上である場合と比較して、二環式グアニジン骨格がプロトンを受け取った際の安定性が低下するため、塩基性がある程度低下することから、水への溶解性がより低くなる。なお、上記一般式(G2-1)で表される有機化合物は、一般式(G1)のmが1かつnが2であると限定した構造に相当する。すなわち、一般式(G2-1)中の二環式グアニジン骨格を、tii骨格と呼ぶこともできる。
なお、上記一般式(G2-1)乃至一般式(G2-8)で表される有機化合物において、Arの有する水素のうち、二環式グアニジン骨格に隣接する水素と、二環式グアニジン骨格の有する窒素との間で、分子内水素結合を形成する場合がある。下記化学式には、例として、一般式(G2-1)で表される有機化合物であって、hが1である場合の、分子内水素結合の様式を示す。このように分子内水素結合を形成することによって、二環式グアニジン骨格がプロトンを受け取りにくくなるため、有機化合物の塩基性が低下しやすく、従って、水への溶解性をより低くすることができる。また、分子内水素結合を形成することによって、有機化合物全体がより剛直な構造となるため、ガラス転移温度(T)を高くすることができる。なお、分子内水素結合を形成することによって、有機化合物の平面性が高くなりやすくなるため、Arには、より嵩高い基を適用すると好ましい。これによって、有機化合物の平面性が高くなるとともに、結晶性が高まることを抑制し、成膜後の耐熱性を向上させることができる。
このように、水への溶解性を低下させた本発明の一態様の有機化合物を電子注入層または中間層においてドナー性物質の代わりに用いることにより、ドナー性物質に起因する特性の悪化を回避し、良好な特性の発光デバイスを得ることができる。
《複素芳香族炭化水素および芳香族炭化水素の具体例》
上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物において、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基とは、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素からh個の水素原子を除いた構造を有する基であり、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基とは、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素からh個の水素原子を除いた構造を有する基である。
上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物において適用することのできる、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素の具体例としては、ピリジン、ビピリジン、ピリミジン、ビピリミジン、ピラジン、ビピラジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾキノリン、フェナントロリン、キノキサリン、ベンゾキノキサリン、ジベンゾキノキサリン、アザフルオレン、ジアザフルオレン、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、ジベンゾフラン、ベンゾナフトフラン、ジナフトフラン、ジベンゾチオフェン、ベンゾナフトチオフェン、ジナフトチオフェン、ベンゾフロピリジン、ベンゾフロピリミジン、ベンゾチオピリジン、ベンゾチオピリミジン、ナフトフロピリジン、ナフトフロピリミジン、ナフトチオピリジン、ナフトチオピリミジン、アクリジン、キサンテン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾ-ル、チアジアゾ-ル、イミダゾ-ル、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、ピロールなどを挙げることができる。ただし、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素の具体例はこれに限定されない。
上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物において適用することのできる、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、スピロビフルオレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、テトラセン、クリセン、フルオランテン、ベンズ(a)アントラセンなどを挙げることができる。ただし、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素の具体例はこれに限定されない。
上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物において、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素としては、下記構造式(Ar-1)乃至(Ar-15)で表される複素芳香族炭化水素のいずれか一を適用することがより好ましく、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素としては下記構造式(Ar-16)乃至(Ar-27)で表される芳香族炭化水素のいずれか一を適用することがより好ましい。
なお、上記した中で、複素芳香族炭化水素は、酸素、窒素等のヘテロ原子を骨格に含み、高い電子輸送性を示す。従って、複素芳香族炭化水素を適用した有機化合物を発光デバイスに用いることで、発光デバイスの駆動電圧の低減効果などが期待でき、好ましい。
ただし、複素芳香族炭化水素は、ヘテロ原子を分子構造に含み、非共有電子対を有することから、水素結合を形成しやすく、また、双極子モーメントが大きい場合もあることから、ヘテロ原子を含まない芳香族炭化水素と比較して水溶性が高い傾向がある。従って、縮合した骨格を有する複素芳香族炭化水素を適用するとより好ましい。このように縮合した骨格を有する複素芳香族炭化水素を適用することにより、有機化合物の電子注入性および電子輸送性を高め、かつ、水溶性を低減させることができる。縮合した骨格を有する複素芳香族炭化水素の具体例としては、構造式(Ar-9)乃至(Ar-15)で表される複素芳香族炭化水素が挙げられる。なお、構造式(Ar-15)で表される複素芳香族炭化水素は、電子輸送性に優れているため、本発明の一態様の有機化合物に適用するのに特に好ましい。
また、上記した中で、芳香族炭化水素はヘテロ原子を有さないことから、有機化合物の水溶性を低減することができ、好ましい。
また、ベンゼン環を4つ以上含む芳香族炭化水素は、成膜後の膜質の安定性が優れている。このような芳香族炭化水素を適用することにより、有機化合物の膜質の安定性を向上させることができるため、より好ましい。ベンゼン環を4つ以上含む骨格を有する芳香族炭化水素の具体例としては、構造式(Ar-19)、(Ar-20)、および(Ar-23)乃至(Ar-27)で表される芳香族炭化水素が挙げられる。なお、ベンゼン環を4つ以上含む骨格を有する芳香族炭化水素を選択する際、ベンゼン環同士が縮合した骨格であっても、単結合を介して連結した骨格であっても、その両方を含む構造であってもよい。
また、分子構造が嵩高い複素芳香族炭化水素または芳香族炭化水素を適用すると、有機化合物の成膜後の膜質を安定させることができ、好ましい。分子構造が嵩高い複素芳香族炭化水素または芳香族炭化水素の具体例としては、構造式(Ar-19)及び(Ar-20)で表される芳香族炭化水素を挙げることができる。特に、構造式(Ar-20)で表される芳香族炭化水素は、スピロ骨格を有しているため、分子構造が嵩高く平面性が小さい。そのため、構造式(Ar-20)で表される芳香族炭化水素を適用した有機化合物は、成膜後の耐熱性に特に優れており好ましい。
なお、二環式グアニジン骨格の環員数によって、有機化合物の平面性が高くなりやすくなる場合には、例えば、上述した分子構造が嵩高い複素芳香族炭化水素または芳香族炭化水素を適用することができる。これによって、有機化合物の平面性を低下させ、結晶性を低下させることができるため、成膜後の耐熱性を向上させることができる。
また、上記した中で、1つの環で骨格が形成されている複素芳香族炭化水素または芳香族炭化水素を適用する場合には、二環式グアニジン骨格を少なくとも2以上、好ましくは3以上有することが望ましい。これによって、有機化合物の成膜後の耐熱性を向上させることができる。1つの環で骨格が形成されている複素芳香族炭化水素の具体例としては、構造式(Ar-1)乃至(Ar-8)で表される複素芳香族炭化水素が挙げられ、1つの環で骨格が形成されている芳香族炭化水素の具体例としては、構造式(Ar-16)で表される芳香族炭化水素が挙げられる。
なお、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素または環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素が、環を形成する元素として窒素を含む場合、当該窒素または当該窒素に隣接する炭素と、二環式グアニジン骨格と、が結合することがより好ましい。これによって、有機化合物の電子注入性を高めることができる。
なお、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基、または、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基、環を形成する炭素の数が2乃至13のヘテロアリール基などが挙げられる。また、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基の有する水素の一部または全てが重水素であってもよい。
なお、二環式グアニジン骨格の環員数によって、有機化合物の平面性が高くなりやすくなる場合には、例えば、環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基、または、環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基の有する置換基として、嵩高い置換基を適用することができる。これによって、有機化合物の平面性を低下させ、結晶性を低下させることができるため、成膜後の耐熱性を向上させることができる。嵩高い置換基の具体例としては、炭素数3乃至6のアルキル基または環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基が挙げられる。
次に、上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物において適用することのできる炭素数1乃至6のアルキル基、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基、および環を形成する炭素の数が2乃至13のヘテロアリール基の具体例について説明する。なお、以下に説明する置換基の具体例において、一部またはすべての水素が重水素であってもよい。また、上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物において適用することのできる置換基は、以下に説明する置換基の具体例に限定されない。
《炭素数1乃至6のアルキル基の具体例》
炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基等が挙げられる。
《環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基の具体例》
環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基の具体例としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、メシチル基、o-ビフェニル基、m-ビフェニル基、p-ビフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、フルオレニル基などが挙げられる。なお、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基が置換基を有する場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基、環を形成する炭素の数が2乃至13のヘテロアリール基などが挙げられる。
《環を形成する炭素の数が2乃至13のヘテロアリール基の具体例》
また、上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物において、環を形成する炭素の数が2乃至13のヘテロアリール基の具体例としては、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリダジル基、トリアジル基、ベンゾイミダゾリル基、キノリル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基等が挙げられる。なお、環を形成する炭素の数が2乃至13のヘテロアリール基が置換基を有する場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基、環を形成する炭素の数が2乃至13のヘテロアリール基などが挙げられる。
上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物としては、具体的には、下記構造式(100)乃至(114)で表される有機化合物を例として挙げることができる。
上記構造式(100)乃至(114)で表される有機化合物は、上記一般式(G1)および一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物の一例であるが、本発明の一態様は、これに限られない。
次に、本発明の一態様の有機化合物の一例として、下記一般式(G1)で表される有機化合物の合成方法について説明する。なお、一般式(G1)の合成方法としては種々の反応を適用することができ、以下の合成方法に限定されない。
ただし、上記一般式(G1)で表される有機化合物において、Xは下記一般式(X-1)で表される基、Yは下記一般式(Y-1)で表される基である。また、Arは置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。
ただし、上記一般式(X-1)および(Y-1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、mは0乃至4の整数を表し、mが0、1、3、または4のとき、nは1乃至5の整数を表し、mが2のとき、nは1、2、4、または5を表す。なお、mまたはnが2以上の場合複数となるR乃至Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
上記一般式(G1)で表される有機化合物は、以下のような合成スキーム(A-1)および(A-2)のようにして合成することができる。
まず、アミン化合物1とグアニジン化合物2を求核置換反応させることにより、化合物3を得ることが出来る。以下に、合成スキーム(A-1)を示す。
続いて、芳香族炭化水素または複素芳香族炭化水素のハロゲン化合物もしくはトリフラート基を持つ化合物4と、合成スキーム(A-1)で合成した化合物3とを、ブッフバルト・ハートウィッグ反応によりカップリングすることで、本発明の一態様の一般式(G1)で表される有機化合物を得ることができる。以下に合成スキーム(A-2)を示す。
ただし、合成スキーム(A-2)において、Qはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を表し、反応性を考慮するとより好ましくは塩素、臭素又はヨウ素であり、コストを考慮するとより好ましくは塩素または臭素である。
また、合成スキーム(B-1)乃至(B-3)のようにして、上記一般式(G1)で表される有機化合物を合成することもできる。
まず、芳香族炭化水素または複素芳香族炭化水素のハロゲン化合物もしくはトリフラート基を持つ化合物4と、ジアミン化合物5を、ブッフバルト・ハートウィッグ反応によりカップリングすることで、化合物6を得ることができる。以下に合成スキーム(B-1)を示す。
続いて、合成スキーム(B-1)で合成した化合物6と、アミン化合物7を求核置換反応および脱保護反応させることにより、化合物8を得ることが出来る。以下に、合成スキーム(B-2)を示す。
ただし、合成スキーム(B-2)において、Rは水素または保護基を表す。保護基としては、既知の、カルボニル基またはスルホニル基を含む保護基を用いることができる。なお、Rが水素を表す場合、脱保護反応を行わなくてもよい。
続いて、合成スキーム(B-2)で合成した化合物8と、グアニジン化合物2を、求核置換反応させることで、本発明の一態様の一般式(G1)で表される有機化合物を得ることができる。以下に合成スキーム(B-3)を示す。
上記合成スキーム(A-1)、(A-2)および(B-1)乃至(B-3)において、Xは上記一般式(X-1)で表される基、Yは上記一般式(Y-1)で表される基である。また、Arは置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。
上記合成スキーム(A-1)および(B-3)で表される求核置換反応において、無溶媒条件が好ましいが、溶媒を用いても良い。用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。
合成スキーム(A-2)および(B-1)において、パラジウム触媒を用いたブッフバルト・ハートウィッグ反応を行う場合、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、アリルパラジウム(II)クロリド(ダイマー)等のパラジウム化合物と、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(n-ヘキシル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、トリ(オルト-トリル)ホスフィン、(S)-(6,6’-ジメトキシビフェニル-2,2’-ジイル)ビス(ジイソプロピルホスフィン)(略称:cBRIDP)等の配位子を用いる事ができる。当該反応では、ナトリウムtert-ブトキシド等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等を用いることができる。当該反応では、溶媒として、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を用いることができる。当該反応で用いることができる試薬類は、上記試薬類に限られるものではない。
また、上記合成スキーム(A-2)および(B-1)において行う反応は、ブッフバルト・ハートウィッグ反応に限られるものではなく、有機スズ化合物を用いた右田・小杉・スティルカップリング反応、グリニヤール試薬を用いた熊田・玉尾・コリューカップリング反応、銅、又は銅化合物を用いたウルマン反応、求核置換反応等を用いることができる。
上記合成スキーム(B-2)で用いることができるアミノ基の保護基としては、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、フタロイル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基、(2-トリメチルシリル)-エタンスルホニル基、2,2,2-トリエトキシカルボニル基等が挙げられる。ただし、当該反応で用いることができる保護基は、これらに限られるものではない。
上記合成スキーム(B-2)の脱保護反応において、反応溶液の液性は酸性、塩基性および中性のいずれを用いることもできるが、酸性または塩基性が好ましい。また、当該反応では、用いる溶媒として水が好ましいが、有機溶媒を用いても良い。
以上、一般式(G1)で表される有機化合物の合成方法を説明したが、当該有機化合物を合成するための方法はこれに限られるものではない。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の有機化合物を用いた発光デバイスの構成について説明する。本発明の一態様の有機化合物は、水に対する溶解度が低い有機化合物であることから、本発明の一態様の有機化合物を用いた発光デバイスを、水を用いた処理を含む作製方法によって作製した場合であっても、当該有機化合物を含む層が溶解する、当該有機化合物を用いた層へ薬液が浸透するなどの問題を防ぎ、良好な特性の発光デバイスを提供することができる。
図1(A)に、本発明の一態様の発光デバイスの一例である発光デバイス130を示した。発光デバイス130は、陽極を含む第1の電極101と、陰極を含む第2の電極102との間に、発光層113を含む有機化合物層103を有する発光デバイスである。
図1(B)に、本発明の一態様の発光デバイスの別の一例である発光デバイス130を示した。発光デバイス130は、タンデム型の発光デバイスである。発光デバイス130は、有機化合物層103として、第1の発光層113_1を含む第1の発光ユニット501と、第2の発光層113_2を含む第2の発光ユニット502と、中間層116と、を有する。
なお、本実施の形態では、一つの中間層116と、二つの発光ユニットを有する発光デバイスを例に説明するが、n(nは1以上の整数)層の中間層と、n+1層の発光ユニットを有する発光デバイスであってもよい。
例えば、図1(C)に示す発光デバイス130は、nが2であって、有機化合物層103として、第1の発光ユニット501、第1の中間層116_1、第2の発光ユニット502、第2の中間層116_2および第3の発光ユニット503を有するタンデム型の発光デバイスの例である。なお、各発光ユニットにおける発光層が呈する光の色域は、同じであっても異なっていてもよい。また、当該発光層は、単層であっても積層構造であってもよい。例えば、第1の発光ユニットおよび第3の発光ユニットにおける発光層が青色領域の発光を呈し、第2の発光ユニットにおいて積層構造の発光層から赤色領域の発光および緑色領域の発光を呈するような構成により、白色発光を得ることができる。
発光デバイス130は、例えば、リソグラフィ法を用いて作製された発光デバイスであってもよい。リソグラフィ法を用いて作製された発光デバイスである場合、少なくとも発光層113または第2の発光層113_2と、それよりも第1の電極101側の有機化合物層は同時に加工されることからその端部は垂直方向に概略揃っている。
また、有機化合物層103には、発光層以外に他の機能層が含まれていてもよい。図1(A)では、有機化合物層103には、発光層113の他に、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114および電子注入層115が設けられている構成を図示している。また、第1の発光ユニット501および第2の発光ユニット502には、発光層以外に他の機能層が含まれていてもよい。図1(B)では、第1の発光ユニット501には、第1の発光層113_1の他に、正孔注入層111、第1の正孔輸送層112_1、および第1の電子輸送層114_1が、第2の発光ユニット502には、第2の発光層113_2の他に、第2の正孔輸送層112_2、第2の電子輸送層114_2および電子注入層115が設けられている構成を図示している。ただし、本発明における有機化合物層103の構成は、これに限られず、いずれかの層が設けられていなくともよいし、他の層が設けられていてもよい。なお、他の層としては、代表的には、キャリアブロック層(正孔ブロック層、電子ブロック層)、励起子ブロック層などがある。
《中間層の構成》
まず、中間層116に用いることのできる材料について説明する。中間層116に、実施の形態1で説明した、本発明の一態様の有機化合物を用いることができる。中間層116は、第1の層119と、第2の層117と、を有する積層構造とするとより好ましく、第1の層119に、実施の形態1で説明した、本発明の一態様の有機化合物を用いると好ましい。
なお、第2の層117は、第1の層119よりも第2の電極102側に位置する。また、第1の層119と第2の層117との間には、この2層間における電子の授受を円滑に行うための第3の層118が設けられていてもよい。
なお、中間層116が第1の層119を有していることから、当該第1の層119が陽極側の発光ユニットにおける電子注入層の役割を担う。従って、陽極側の発光ユニット(図1(B)においては第1の発光ユニット501)は、電子注入層を有していてもよく、有していなくてもよい。また、同様に、中間層116が第2の層117を有していることから、当該第2の層117が陰極側の発光ユニットにおける正孔注入層の役割を担う。従って、陰極側の発光ユニット(図1(B)においては第2の発光ユニット502)は、正孔注入層を有していてもよく、有していなくてもよい。
なお、場合によって、第1の層119に、ドナー性物質を用いてもよい。ドナー性物質の具体例としては、アルカリ金属またはアルカリ金属化合物が挙げられる。アルカリ金属の具体例としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等が挙げられる。アルカリ金属化合物の具体例としては、前述のアルカリ金属の化合物を挙げることができ、例えば、酸化リチウム等のリチウム化合物が挙げられる。
アルカリ金属またはアルカリ金属化合物として、上記した中でもリチウムまたはリチウム化合物を用いることが好ましく、具体例としては、リチウム、リチウム錯体、リチウム化合物およびリチウム合金などを用いることができる。具体的には、リチウム、酸化リチウム、窒化リチウム、炭酸リチウム、フッ化リチウム、8-キノリノラト-リチウム(略称:Liq)、2-メチル-8-キノリノラト-リチウム(略称:Li-mq)等のアルキル基を含むリチウム錯体などを挙げることができる。
なお、第1の層119は、本発明の一態様の有機化合物またはアルカリ金属またはアルカリ金属化合物に加えて、電子輸送性を有する有機化合物を有していてもよい。
第1の層119に用いることが可能な電子輸送性を有する有機化合物としては、電界強度[V/cm]の平方根が600における電子移動度が、1×10-7cm/Vs以上、好ましくは1×10-6cm/Vs以上の物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性が高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
上記有機化合物としてはπ電子不足型複素芳香環を有する有機化合物が好ましい。π電子不足型複素芳香環を有する有機化合物としては、例えばポリアゾール骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物およびトリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物のいずれかまたは複数であることが好ましい。
第1の層119に用いることが可能な電子輸送性を有する有機化合物としては、具体的には、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)などのアゾール骨格を有する有機化合物、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9-ジ(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBphen)、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)などのピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3-(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-3,1’-ビフェニル-1-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mpPCBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)、9-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr)、9-[(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-4-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9pmDBtBPNfpr)、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、9,9’-[ピリミジン-4,6-ジイルビス(ビフェニル-3,3’-ジイル)]ビス(9H-カルバゾール)(略称:4,6mCzBP2Pm)、8-(ビフェニル-4-イル)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8BP-4mDBtPBfpm)、3,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ベンゾフロ[2,3-b]ピラジン(略称:3,8mDBtP2Bfpr)、4,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)、8-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8mDBtBPNfpm)、8-[(2,2’-ビナフタレン)-6-イル]-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8(βN2)-4mDBtPBfpm)、2,2’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(4-フェニルベンゾ[h]キナゾリン)(略称:2,6(P-Bqn)2Py)、2,2’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス{4-[4-(2-ナフチル)フェニル]-6-フェニルピリミジン}(略称:2,6(NP-PPm)2Py)、6-(ビフェニル-3-イル)-4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニルピリミジン(略称:6mBP-4Cz2PPm)、2,6-ビス(4-ナフタレン-1-イルフェニル)-4-[4-(3-ピリジル)フェニル]ピリミジン(略称:2,4NP-6PyPPm)、4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニル-6-(ビフェニル-4-イル)ピリミジン(略称:6BP-4Cz2PPm)、7-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)キナゾリン-2-イル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:PC-cgDBCzQz)などのジアジン骨格を有する有機化合物、2-(ビフェニル-4-イル)-4-フェニル-6-(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:BP-SFTzn)、2-{3-[3-(ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-イル)フェニル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mBnfBPTzn)、2-{3-[3-(ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-6-イル)フェニル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mBnfBPTzn-02)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)、2-[3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mFBPTzn)、5-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-7,7-ジメチル-5H,7H-インデノ[2,1-b]カルバゾール(略称:mINc(II)PTzn)、2-{3-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mDBtBPTzn)、2,4,6-トリス(3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:TmPPPyTz)、2-[3-(2,6-ジメチル-3-ピリジニル)-5-(9-フェナントレニル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mPn-mDMePyPTzn)、11-[4-(ビフェニル-4-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル]-11,12-ジヒドロ-12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール(略称:BP-Icz(II)Tzn)、2-[3’-(トリフェニレン-2-イル)ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mTpBPTzn)、3-[9-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-ジベンゾフラニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCDBfTzn)、2-(ビフェニル-3-イル)-4-フェニル-6-{8-[(1,1’:4’,1’’-ターフェニル)-4-イル]-1-ジベンゾフラニル}-1,3,5-トリアジン(略称:mBP-TPDBfTzn)などのトリアジン骨格を有する有機化合物が挙げられる。特に、Bphen、BCP、NBphenおよびmPPhen2Pなどのフェナントロリン骨格を有する有機化合物が好ましく、mPPhen2Pなどのフェナントロリン二量体構造を有する有機化合物が安定性に優れ、より好ましい。
また、第2の層117は、アクセプタ性を有する材料と、正孔輸送性を有する有機化合物とを含む複合材料により形成することが好ましい。複合材料に用いる正孔輸送性を有する有機化合物としては、芳香族アミン化合物、複素芳香族化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる正孔輸送性を有する有機化合物としては、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物であることが好ましい。複合材料に用いられる正孔輸送性を有する有機化合物は、縮合芳香族炭化水素環、または、π電子過剰型複素芳香環を有する化合物であることが好ましい。縮合芳香族炭化水素環としては、アントラセン環、ナフタレン環等が好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環としては、ピロール骨格、フラン骨格、チオフェン骨格の少なくともいずれか1を環に含む縮合芳香環が好ましく、具体的にはカルバゾール環、ジベンゾチオフェン環あるいはそれらにさらに芳香環または複素芳香環が縮合した環が好ましい。
このような正孔輸送性を有する有機化合物としては、カルバゾール骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格およびアントラセン骨格のいずれかを有していることがより好ましい。特に、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環を含む置換基を有する芳香族アミン、ナフタレン環を有する芳香族モノアミン、または9-フルオレニル基がアリーレン基を介してアミンの窒素に結合する芳香族モノアミンであっても良い。なお、これら正孔輸送性を有する有機化合物が、N,N-ビス(4-ビフェニル)アミノ基を有する物質であると、寿命の良好な発光デバイスを作製することができるため好ましい。
以上のような正孔輸送性を有する有機化合物としては、具体的には、N-(4-ビフェニル)-6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BnfABP)、N,N-ビス(4-ビフェニル)-6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf)、4,4’-ビス(6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-イル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:BnfBB1BP)、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-6-アミン(略称:BBABnf(6))、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf(8))、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン-4-アミン(略称:BBABnf(II)(4))、N,N-ビス[4-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-4-アミノ-p-ターフェニル(略称:DBfBB1TP)、N-[4-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-N-フェニル-4-ビフェニルアミン(略称:ThBA1BP)、4-(2-ナフチル)-4’,4’’-ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNB)、4-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’,4’’-ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNBi)、4,4’-ジフェニル-4’’-(6;1’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7;1’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7-フェニル)ナフチル-2-イルトリフェニルアミン(略称:BBAPβNB-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(6;2’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7;2’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(4;2’-ビナフチル-1-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB)、4,4’-ジフェニル-4’’-(5;2’-ビナフチル-1-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB-02)、4-(4-ビフェニリル)-4’-(2-ナフチル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNB)、4-(3-ビフェニリル)-4’-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:mTPBiAβNBi)、4-(4-ビフェニリル)-4’-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNBi)、4-フェニル-4’-(1-ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBA1BP)、4,4’-ビス(1-ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBB1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-[4’-(カルバゾール-9-イル)ビフェニル-4-イル]トリフェニルアミン(略称:YGTBi1BP)、4’-[4-(3-フェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]トリス(ビフェニル-4-イル)アミン(略称:YGTBi1BP-02)、4-[4’-(カルバゾール-9-イル)ビフェニル-4-イル]-4’-(2-ナフチル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:YGTBiβNB)、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:PCBNBSF)、N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:BBASF)、N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-4-アミン(略称:BBASF(4))、N-(ビフェニル-2-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-4-アミン(略称:oFBiSF)、N-(ビフェニル-4-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ジベンゾフラン-4-アミン(略称:FrBiF)、N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-N-[3-(6-フェニルジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-1-ナフチルアミン(略称:mPDBfBNBN)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4-フェニル-4’-[4-(9-フェニルフルオレン-9-イル)フェニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:PCBASF)、N-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-4-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-3-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-2-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-1-アミン等を挙げることができる。
また、正孔輸送性を有する材料としては、その他芳香族アミン化合物として、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を用いることもできる。
また、第2の層117に含まれるアクセプタ性を有する物質としては、電子吸引基(ハロゲン基、シアノ基など)を有する有機化合物を用いることができ、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテトラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F-TCNNQ)、2-(7-ジシアノメチレン-1,3,4,5,6,8,9,10-オクタフルオロ-7H-ピレン-2-イリデン)マロノニトリル等を挙げることができる。特に、HAT-CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。また、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基、シアノ基など)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的にはα,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,6-ジクロロ-3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]などが挙げられる。アクセプタ性を有する物質としては以上で述べた有機化合物以外にも、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物を用いることができる。
第3の層118としては、電子輸送性を有する物質を含み、第1の層119と第2の層117との相互作用を防いで電子をスムーズに受け渡す機能を有する。第3の層118に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位は、第2の層117におけるアクセプタ性物質のLUMO準位と、第1の電極101側の発光ユニットにおける中間層116に接する層(図1(B)では第1の発光ユニット501における第1の電子輸送層114_1)に含まれる有機化合物のLUMO準位との間であることが好ましい。第3の層118に用いられる電子輸送性を有する物質におけるLUMO準位の具体的なエネルギー準位は-5.0eV以上、好ましくは-5.0eV以上-3.0eV以下、より好ましくは-4.30eV以上-3.00eV以下、より好ましくは-4.30eV以上-3.30eV以下とすると第2の層117で発生した電子を第1の層119へ注入しやすくできるため、発光デバイスの駆動電圧の上昇を抑制でき好ましい。なお、第3の層118に用いられる電子輸送性を有する物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
具体的には、ジキノキサリノ[2,3-a:2’,3’-c]フェナジン(略称:HATNA)、2,3,8,9,14,15-ヘキサフルオロジキノキサリノ[2,3-a:2’,3’-c]フェナジン(略称:HATNA-F6)、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI)、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボキシル-ビス-ベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)などのペリレンテトラカルボン酸誘導体、(C60-I)[5,6]フラーレン(略称:C60)、(C70-D5h)[5,6]フラーレン(略称:C70)、フタロシアニン(略称:HPc)を用いることができる。また、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、亜鉛フタロシアニン(略称:ZnPc)、コバルトフタロシアニン(略称:CoPc)、鉄フタロシアニン(略称:FePc)、スズフタロシアニン(略称:SnPc)、酸化スズフタロシアニン(略称:SnOPc)、酸化チタンフタロシアニン(略称:TiOPc)、酸化バナジウムフタロシアニン(略称:VOPc)等の銅、亜鉛、コバルト、鉄、クロム、ニッケル、等を有する金属フタロシアニンおよびその誘導体、などを用いることができる。また、特に銅フタロシアニンまたは亜鉛フタロシアニンのような、フタロシアニン系の金属錯体または2,3,8,9,14,15-ヘキサフルオロジキノキサリノ[2,3-a:2’,3’-c]フェナジンが好ましい。
また、第3の層118の膜厚は1nm以上10nm以下、好ましくは2nm以上5nm以下であることが好ましい。
続いて、上記発光デバイス130の中間層116以外の構成について説明する。
《第1の電極の構成》
第1の電極101は、陽極を含む電極である。第1の電極101は、積層構造を有していてもよく、その場合、有機化合物層103に触れる層が陽極として機能する。陽極は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル-ゲル法などを応用して作製しても構わない。作製方法の例としては、酸化インジウム-酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1~20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成する方法などがある。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5~5wt%、酸化亜鉛を0.1~1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することもできる。この他に、陽極に用いられる材料は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。又は、陽極に用いられる材料として、グラフェンも用いることができる。なお、上記中間層116における第2の層117を構成する複合材料を陽極と接する層(代表的には正孔注入層)として用いることで、仕事関数に関わらず、電極材料を選択することができるようになる。
《正孔注入層の構成》
正孔注入層111は、陽極に接して設けられ、正孔を有機化合物層103(第1の発光ユニット501)に注入しやすくする機能を有する。正孔注入層111は、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物または錯体化合物、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)等の高分子等によって形成することができる。
また、正孔注入層111は電子のアクセプタ性を有する物質により形成してもよい。アクセプタ性を有する物質としては、上記中間層116における第2の層117を構成する複合材料に用いられるアクセプタ性物質として挙げた物質を同様に用いることができる。
また、正孔注入層111は上記中間層116における第2の層117を構成する複合材料を同様に用いて形成してもよい。
なお、正孔注入層111においては、複合材料に用いられる正孔輸送性を有する有機化合物はそのHOMO準位が-5.7eV以上-5.4eV以下の比較的深いHOMO準位を有する物質であることがさらに好ましい。複合材料に用いられる正孔輸送性を有する有機化合物が比較的深いHOMO準位を有することによって、正孔輸送層への正孔の注入が容易となり、また、寿命の良好な発光デバイスを得ることが容易となる。また、複合材料に用いられる正孔輸送性を有する有機化合物が比較的深いHOMO準位を有する物質であることによって、正孔の誘起が適度に抑制されさらに寿命の良好な発光デバイスとすることができる。
正孔注入層111を形成することによって、正孔の注入性が良好となり、駆動電圧の小さい発光デバイスを得ることができる。
なお、アクセプタ性を有する物質の中でもアクセプタ性を有する有機化合物は蒸着が容易で成膜がしやすいため、用いやすい材料である。
また、中間層116における第2の層117が正孔注入層の機能を担うため、第2の発光ユニット502には正孔注入層を設けていないが、第2の発光ユニット502に正孔注入層を設けてもよい。
正孔輸送層(第1の正孔輸送層112_1、第2の正孔輸送層112_2)は、正孔輸送性を有する有機化合物を含んで形成される。正孔輸送性を有する有機化合物としては、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有していることが好ましい。
上記正孔輸送性を有する材料としては、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:TPD)、N,N’-ビス(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:PCBASF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、9,9’-ビス(ビフェニル-4-イル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:BisBPCz)、9,9’-ビス(ビフェニル-3-イル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:BismBPCz)、9-(ビフェニル-3-イル)-9’-(ビフェニル-4-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:mBPCCBP)、9-(2-ナフチル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:βNCCP)、9-(3-ビフェニル)-9’-(2-ナフチル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:βNCCmBP)、9-(4-ビフェニル)-9’-(2-ナフチル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:βNCCBP)、9,9’-ジ-2-ナフチル-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール(略称:BisβNCz)、9-(2-ナフチル)-9’-[1,1’:4’,1”-ターフェニル]-3-イル-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、9-(2-ナフチル)-9’-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-3-イル-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、9-(2-ナフチル)-9’-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-5’-イル-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、9-(2-ナフチル)-9’-[1,1’:4’,1”-ターフェニル]-4-イル-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、9-(2-ナフチル)-9’-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-4-イル-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、9-(2-ナフチル)-9’-(トリフェニレン-2-イル)-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、9-フェニル-9’-(トリフェニレン-2-イル)-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール(略称:PCCzTp)、9,9’-ビス(トリフェニレン-2-イル)-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、9-(4-ビフェニル)-9’-(トリフェニレン-2-イル)-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、9-(トリフェニレン-2-イル)-9’-[1,1’:3’,1”-ターフェニル]-4-イル-3,3’-9H,9’H-ビカルバゾール、などのカルバゾール骨格を有する化合物、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)などのチオフェン骨格を有する化合物、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物およびカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。なお、正孔注入層111の複合材料に用いられる正孔輸送性を有する材料として挙げた物質も正孔輸送層を構成する材料として好適に用いることができる。
《発光層の構成》
発光層(発光層113、第1の発光層113_1、第2の発光層113_2)は発光物質とホスト材料を有していることが好ましい。なお、発光層は、その他の材料を同時に含んでいても構わない。また、組成の異なる2層の積層であってもよい。
発光物質は蛍光発光物質であっても、りん光発光物質であっても、熱活性化遅延蛍光(TADF)を示す物質であっても、その他の発光物質であっても構わない。
発光層において、蛍光発光物質として用いることが可能な材料としては、例えば以下のようなものが挙げられる。また、これ以外の蛍光発光物質も用いることができる。
5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(略称:TBP)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス(N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン)(略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、N-[9,10-ビス(ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCABPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、9,10-ビス(2-ビフェニル)-2-(N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン-N-イル)アントラセン(略称:2DPABPhA)、9,10-ビス(ビフェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリフェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12-ビス(1,1’-ビフェニル-4-イル)-6,11-ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2-(2-{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2-{2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p-mPhAFD)、2-{2-イソプロピル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2-{2-tert-ブチル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2-(2,6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2-{2,6-ビス[2-(8-メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、N,N’-ジフェニル-N,N’-(1,6-ピレン-ジイル)ビス[(6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-03)、3,10-ビス[N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)、3,10-ビス[N-(ジベンゾフラン-3-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10FrA2Nbf(IV)-02)などが挙げられる。特に、1,6FLPAPrn、1,6mMemFLPAPrn、および1,6BnfAPrn-03のようなピレンジアミン化合物に代表される縮合芳香族ジアミン化合物は、ホールトラップ性が高く、発光効率または信頼性に優れているため好ましい。
発光層において、発光物質としてりん光発光物質を用いる場合、用いることが可能な材料としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp)])、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)])、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz-3b)])のような4H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1-mp)])、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1-Me)])のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpim)])、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt-Me)])のようなイミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CFppy)(pic)])、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。これらは青色のりん光発光を示す化合物であり、450nmから520nmまでの波長域において発光のピークを有する化合物である。
また、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)])、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6-(2-ノルボルニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)(acac)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-iPr)(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)])、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)])、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)])、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)(acac)])、[2-d-メチル-8-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(5-d-メチル-2-ピリジニル-κN2)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(5mppy-d(mbfpypy-d))、{2-(メチル-d)-8-[4-(1-メチルエチル-1-d)-2-ピリジニル-κN]ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-イル-κC}ビス{5-(メチル-d)-2-[5-(メチル-d)-2-ピリジニル-κN]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(5mtpy-d(mbfpypy-iPr-d))、[2-d-メチル-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)(mbfpypy-d))、[2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)(mdppy))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。これらは主に緑色のりん光発光を示す化合物であり、500nmから600nmまでの波長域において発光のピークを有する。なお、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性または発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
また、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)(dibm)])、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)(dpm)])、ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)(dpm)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(acac)])、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)])、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)(Phen)])、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。これらは、赤色のりん光発光を示す化合物であり、600nmから700nmまでの波長域において発光のピークを有する。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が得られる。
また、以上で述べたりん光性化合物の他、公知のりん光性化合物を選択し、用いてもよい。
TADF材料としてはフラーレン及びその誘導体、アクリジン及びその誘導体、エオシン誘導体等を用いることができる。またマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、以下の構造式に示されるプロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(SnF(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(PtClOEP)等も挙げられる。
また、以下の構造式に示される2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、9-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:PCCzTzn)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)、等のπ電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環の一方または両方を有する複素環化合物も用いることができる。該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が共に高く、好ましい。中でも、π電子不足型複素芳香環を有する骨格のうち、ピリジン骨格、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、およびトリアジン骨格は、安定で信頼性が良好なため好ましい。特に、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾチエノピリミジン骨格、ベンゾフロピラジン骨格、ベンゾチエノピラジン骨格はアクセプタ性が高く、信頼性が良好なため好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環を有する骨格の中でも、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、及びピロール骨格は、安定で信頼性が良好なため、当該骨格の少なくとも一を有することが好ましい。なお、フラン骨格としてはジベンゾフラン骨格が、チオフェン骨格としてはジベンゾチオフェン骨格が、それぞれ好ましい。また、ピロール骨格としては、インドール骨格、カルバゾール骨格、インドロカルバゾール骨格、ビカルバゾール骨格、3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール骨格が特に好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環の電子供与性とπ電子不足型複素芳香環の電子受容性が共に強くなり、S準位とT準位のエネルギー差が小さくなるため、熱活性化遅延蛍光を効率よく得られることから特に好ましい。なお、π電子不足型複素芳香環の代わりに、シアノ基のような電子吸引基が結合した芳香環を用いても良い。また、π電子過剰型骨格として、芳香族アミン骨格、フェナジン骨格等を用いることができる。また、π電子不足型骨格として、キサンテン骨格、チオキサンテンジオキサイド骨格、オキサジアゾール骨格、トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、アントラキノン骨格、フェニルボラン、ボラントレン等の含ホウ素骨格、ベンゾニトリルまたはシアノベンゼン等のニトリル基またはシアノ基を有する芳香環、複素芳香環、ベンゾフェノン等のカルボニル骨格、ホスフィンオキシド骨格、スルホン骨格等を用いることができる。このように、π電子不足型複素芳香環およびπ電子過剰型複素芳香環の少なくとも一方の代わりにπ電子不足型骨格およびπ電子過剰型骨格を用いることができる。
また、TADF材料として、一重項励起状態と三重項励起状態間が熱平衡状態にあるTADF材料を用いてもよい。このようなTADF材料は発光寿命(励起寿命)が短くなるため、発光デバイスにおける高輝度領域での効率低下を抑制することができる。具体的には、下記に示す分子構造のような材料が挙げられる。
なお、TADF材料とは、S準位とT準位との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起エネルギーから一重項励起エネルギーへエネルギーを変換することができる機能を有する材料である。そのため、三重項励起エネルギーをわずかな熱エネルギーによって一重項励起エネルギーにアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態を効率よく生成することができる。また、三重項励起エネルギーを発光に変換することができる。
また、2種類の物質で励起状態を形成する励起錯体(エキサイプレックス、エキシプレックスまたはExciplexともいう)は、S準位とT準位との差が極めて小さく、三重項励起エネルギーを一重項励起エネルギーに変換することが可能なTADF材料としての機能を有する。
なお、T準位の指標としては、低温(例えば77Kから10K)で観測されるりん光スペクトルを用いればよい。TADF材料としては、その蛍光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをS準位とし、りん光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをT準位とした際に、そのS準位とT準位の差が0.3eV以下であることが好ましく、0.2eV以下であることがさらに好ましい。
また、TADF材料を発光物質として用いる場合、ホスト材料のS準位はTADF材料のS準位より高い方が好ましい。また、ホスト材料のT準位はTADF材料のT準位より高いことが好ましい。
発光層のホスト材料としては、電子輸送性を有する材料および/または正孔輸送性を有する材料、上記TADF材料など様々なキャリア輸送材料を用いることができる。
正孔輸送性を有する材料としては、先に正孔輸送性を有する材料として挙げたものを同様に用いることができる。
電子輸送性を有する材料としては、先に電子輸送性を有する材料として挙げたものを同様に用いることができる。
ホスト材料として用いることが可能なTADF材料としては、先にTADF材料として挙げたものを同様に用いることができる。TADF材料をホスト材料として用いると、TADF材料で生成した三重項励起エネルギーが、逆項間交差によって一重項励起エネルギーに変換され、さらに発光物質へエネルギー移動することで、発光デバイスの発光効率を高めることができる。このとき、TADF材料がエネルギードナーとして機能し、発光物質がエネルギーアクセプターとして機能する。
これは、上記発光物質が蛍光発光物質である場合に、非常に有効である。また、このとき、高い発光効率を得るためには、TADF材料のS準位は、蛍光発光物質のS準位より高いことが好ましい。また、TADF材料のT準位は、蛍光発光物質のS準位より高いことが好ましい。従って、TADF材料のT準位は、蛍光発光物質のT準位より高いことが好ましい。
また、蛍光発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈するTADF材料を用いることが好ましい。そうすることで、TADF材料から蛍光発光物質への励起エネルギーの移動がスムーズとなり、効率よく発光が得られるため、好ましい。
また、効率良く三重項励起エネルギーから逆項間交差によって一重項励起エネルギーが生成されるためには、TADF材料でキャリア再結合が生じることが好ましい。また、TADF材料で生成した三重項励起エネルギーが蛍光発光物質の三重項励起エネルギーに移動しないことが好ましい。そのためには、蛍光発光物質は、蛍光発光物質が有する発光団(発光の原因となる骨格)の周囲に保護基を有すると好ましい。該保護基としては、π結合を有さない置換基が好ましく、飽和炭化水素が好ましく、具体的には炭素数3以上10以下のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素数3以上10以下のトリアルキルシリル基が挙げられ、保護基が複数あるとさらに好ましい。π結合を有さない置換基は、キャリアを輸送する機能に乏しいため、キャリア輸送またはキャリア再結合に影響をほとんど与えずに、TADF材料と蛍光発光物質の発光団との距離を遠ざけることができる。ここで、発光団とは、蛍光発光物質において発光の原因となる原子団(骨格)を指す。発光団は、π結合を有する骨格が好ましく、芳香環を含むことが好ましく、縮合芳香環または縮合複素芳香環を有すると好ましい。このような発光団としては、例えば、フェナントレン骨格、スチルベン骨格、アクリドン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、フルオレン骨格、クリセン骨格、トリフェニレン骨格、テトラセン骨格、ピレン骨格、ペリレン骨格、クマリン骨格、キナクリドン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格等が挙げられる。特にナフタレン骨格、アントラセン骨格、フルオレン骨格、クリセン骨格、トリフェニレン骨格、テトラセン骨格、ピレン骨格、ペリレン骨格、クマリン骨格、キナクリドン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格を有する蛍光発光物質は蛍光量子収率が高いため好ましい。
蛍光発光物質を発光物質として用いる場合、ホスト材料としては、アントラセン骨格を有する材料が好適である。アントラセン骨格を有する物質を蛍光発光物質のホスト材料として用いると、発光効率、耐久性共に良好な発光層を実現することが可能である。ホスト材料として用いるアントラセン骨格を有する物質としては、ジフェニルアントラセン骨格、特に9,10-ジフェニルアントラセン骨格を有する物質が化学的に安定であるため好ましい。また、ホスト材料がカルバゾール骨格を有する場合、正孔の注入・輸送性が高まるため好ましいが、カルバゾール骨格にベンゼン環がさらに縮合したベンゾカルバゾール骨格を含む場合、カルバゾール骨格を有するホスト材料よりもHOMO準位が0.1eV程度浅くなり、正孔が入りやすくなるためより好ましい。特に、ホスト材料がジベンゾカルバゾール骨格を含む場合、カルバゾール骨格を有するホスト材料よりもHOMO準位が0.1eV程度浅くなり、正孔が入りやすくなる上に、正孔輸送性にも優れ、耐熱性も高くなるため好適である。従って、さらにホスト材料として好ましいのは、9,10-ジフェニルアントラセン骨格およびカルバゾール骨格(あるいはベンゾカルバゾール骨格またはジベンゾカルバゾール骨格)を同時に有する物質である。なお、上記の正孔注入・輸送性の観点から、カルバゾール骨格に換えて、ベンゾフルオレン骨格またはジベンゾフルオレン骨格を用いてもよい。このような物質の例としては、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、7-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6-[3-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9-フェニル-10-[4’-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)ビフェニル-4-イル]アントラセン(略称:FLPPA)、9-(1-ナフチル)-10-[4-(2-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN-βNPAnth)、9-(1-ナフチル)-10-(2-ナフチル)アントラセン(略称:α,β-ADN)、2-(10-フェニルアントラセン-9-イル)ジベンゾフラン、2-(10-フェニル-9-アントラセニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン(略称:Bnf(II)PhA)、9-(2-ナフチル)-10-[3-(2-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:βN-mβNPAnth)、1-{4-[10-(ビフェニル-4-イル)-9-アントラセニル]フェニル}-2-エチル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:EtBImPBPhA)、等が挙げられる。特に、CzPA、cgDBCzPA、2mBnfPPA、PCzPAは非常に良好な特性を示すため、好ましい選択である。
なお、ホスト材料は複数種の物質を混合した材料であっても良く、混合したホスト材料を用いる場合は、電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料とを混合することが好ましい。電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料を混合することによって、発光層113の輸送性を容易に調整することができ、再結合領域の制御も簡便に行うことができる。正孔輸送性を有する材料と電子輸送性を有する材料の含有量の重量比は、正孔輸送性を有する材料:電子輸送性を有する材料=1:19~19:1とすればよい。
なお、上記混合された材料の一部として、りん光発光物質を用いることができる。りん光発光物質は、発光物質として蛍光発光物質を用いる際に蛍光発光物質へ励起エネルギーを供与するエネルギードナーとして用いることができる。
また、これら混合された材料同士で励起錯体を形成しても良い。当該励起錯体は発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光が得られるため好ましい。また、当該構成を用いることで駆動電圧も低下するため好ましい。
なお、励起錯体を形成する材料の少なくとも一方は、りん光発光物質であってもよい。そうすることで、三重項励起エネルギーを逆項間交差によって効率よく一重項励起エネルギーへ変換することができる。
効率よく励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、正孔輸送性を有する材料のHOMO準位が電子輸送性を有する材料のHOMO準位以上であると好ましい。また、正孔輸送性を有する材料のLUMO準位が電子輸送性を有する材料のLUMO準位以上であると好ましい。なお、材料のLUMO準位およびHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される材料の電気化学特性(還元電位および酸化電位)から導出することができる。
なお、励起錯体の形成は、例えば正孔輸送性を有する材料の発光スペクトル、電子輸送性を有する材料の発光スペクトル、およびこれら材料を混合した混合膜の発光スペクトルを比較し、混合膜の発光スペクトルが、各材料の発光スペクトルよりも長波長シフトする(あるいは長波長側に新たなピークを持つ)現象を観測することにより確認することができる。あるいは、正孔輸送性を有する材料の過渡フォトルミネッセンス(PL)、電子輸送性を有する材料の過渡PL、及びこれら材料を混合した混合膜の過渡PLを比較し、混合膜の過渡PL寿命が、各材料の過渡PL寿命よりも長寿命成分を有する、あるいは遅延成分の割合が大きくなるなどの過渡応答の違いを観測することにより、確認することができる。また、上述の過渡PLは過渡エレクトロルミネッセンス(EL)と読み替えても構わない。すなわち、正孔輸送性を有する材料の過渡EL、電子輸送性を有する材料の過渡EL及びこれらの混合膜の過渡ELを比較し、過渡応答の違いを観測することによっても、励起錯体の形成を確認することができる。
《電子輸送層の構成》
電子輸送層(電子輸送層114、第1の電子輸送層114_1、第2の電子輸送層114_2)は、電子輸送性を有する物質を含む層である。電子輸送性を有する材料としては、電界強度[V/cm]の平方根が600における電子移動度が、1×10-7cm/Vs以上好ましくは1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性が高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。なお、上記有機化合物としてはπ電子不足型複素芳香環を有する有機化合物が好ましい。π電子不足型複素芳香環を有する有機化合物としては、例えばポリアゾール骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物およびトリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物のいずれかまたは複数であることが好ましい。
上記電子輸送層に用いることが可能な電子輸送性を有する有機化合物としては、上記中間層116における第1の層の電子輸送性を有する有機化合物として用いることが可能な有機化合物を同様に用いることができる。中でも、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、またはトリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンまたはピラジン)骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
また、電子輸送層は電界強度[V/cm]の平方根が600における電子移動度が1×10-7cm/Vs以上5×10-5cm/Vs以下であることが好ましい。電子輸送層における電子の輸送性を落とすことにより発光層への電子の注入量を制御することができ、発光層が電子過多の状態になることを防ぐことができる。この構成は、特に正孔注入層を複合材料として形成し、当該複合材料における正孔輸送性を有する材料のHOMO準位が-5.7eV以上-5.4eV以下の比較的深いHOMO準位を有する物質である場合に、寿命が良好となるため特に好ましい。なお、この際、電子輸送性を有する材料は、そのHOMO準位が-6.0eV以上であることが好ましい。
《電子注入層の構成》
電子注入層115としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、8-キノリノラト-リチウム(略称:Liq)、イッテルビウム(Yb)のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、又はそれらの化合物もしくは錯体を含む層を設けても良い。電子注入層115は、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたものまたは、エレクトライドを用いてもよい。エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。
なお、電子注入層115として、電子輸送性を有する物質(好ましくはビピリジン骨格を有する有機化合物)に上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物を微結晶状態となる濃度以上(50wt%以上)含ませた層を用いることも可能である。当該層は、屈折率の低い層であることから、より外部量子効率の良好な発光デバイスを提供することが可能となる。
また、電子注入層115として、実施の形態1で説明した本発明の一態様の有機化合物を用いることができる。また、電子注入層115は、実施の形態1で説明した本発明の一態様の有機化合物に加えて、電子輸送性を有する物質を有していてもよい。
《第2の電極の構成》
第2の電極102は、陰極を含む電極である。第2の電極102は、積層構造を有していてもよく、その場合、有機化合物層103と接する層が陰極として機能する。陰極を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、リチウム(Li)またはセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等の元素周期表の第1族または第2族に属する元素、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極102と電子輸送層との間に、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化スズ等様々な導電性材料を陰極として用いることができる。
なお、第2の電極102を可視光に対し透過性を有する材料で形成した場合、第2の電極102側から光を発する発光デバイスとすることができる。
これら導電性材料は、真空蒸着法またはスパッタリング法などの乾式法、インクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。また、ゾル-ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよい。
また、有機化合物層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。
また上述した各電極または各層を異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
図2には、本発明の一態様の発光装置に含まれる、隣り合う二つの発光デバイス(発光デバイス130a、発光デバイス130b)の図を示した。
発光デバイス130aは、絶縁層175上に第1の電極101aと第2の電極102との間に有機化合物層103aを有している。有機化合物層103aは第1の発光ユニット501aと、第2の発光ユニット502aとが、中間層116aを挟んで積層した構成を有する。なお、図2では2つの発光ユニットが積層する例を示したが、3つ以上の発光ユニットが積層する構成であってもよい。第1の発光ユニット501aは、正孔注入層111a、第1の正孔輸送層112a_1、第1の発光層113a_1、第1の電子輸送層114a_1を有する。中間層116aは、第2の層117a、第3の層118a、第1の層119aを有する。第3の層118aはあっても無くても構わない。第2の発光ユニット502aは、第2の正孔輸送層112a_2、第2の発光層113a_2、第2の電子輸送層114a_2、電子注入層115を有する。
発光デバイス130bは、絶縁層175上に第1の電極101bと第2の電極102との間に有機化合物層103bを有している。有機化合物層103bは第1の発光ユニット501bと、第2の発光ユニット502bとが、中間層116bを挟んで積層した構成を有する。なお、図2では2つの発光ユニットが積層する例を示したが、3つ以上の発光ユニットが積層する構成であってもよい。第1の発光ユニット501bは、正孔注入層111b、第1の正孔輸送層112b_1、第1の発光層113b_1、第1の電子輸送層114b_1を有する。中間層116bは、第2の層117b、第3の層118b、第1の層119bを有する。第3の層118bはあっても無くても構わない。第2の発光ユニット502bは、第2の正孔輸送層112b_2、第2の発光層113b_2、第2の電子輸送層114b_2、電子注入層115を有する。
なお、電子注入層115および第2の電極102は発光デバイス130aおよび発光デバイス130bで一続きの共有された層であることが好ましい。また、電子注入層115以外の有機化合物層103aと有機化合物層103bは、第2の電子輸送層114a_2が形成された後と、第2の電子輸送層114b_2が形成された後に各々リソグラフィ法を用いて加工されているため互いに独立している。また、電子注入層115以外の有機化合物層103aの端部(輪郭)は、リソグラフィ法を用いて加工されているため基板に対して垂直方向に概略一致している。また、電子注入層115以外の有機化合物層103bの端部(輪郭)は、リソグラフィ法を用いて加工されているため基板に対して垂直方向に概略一致している。
また、第1の電極101aと第1の電極101bとの間の距離dは、有機化合物層をリソグラフィ法を用いて加工することからマスク蒸着を行う際よりも小さくすることができ、2μm以上5μm以下とすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態3)
発光デバイス130は図3(A)および図3(B)に例示したように、絶縁層175上に複数形成され表示装置を構成する。本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について詳しく説明する。
表示装置100は、複数の画素178がマトリクス状に配列された画素部177を有する。画素178は、副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bを有する。
本明細書等において、例えば副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bに共通する事項を説明する場合には、副画素110と呼称して説明する場合がある。アルファベットで区別する他の構成要素についても、これらに共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略した符号を用いて説明する場合がある。
副画素110Rは赤色の光を呈し、副画素110Gは緑色の光を呈し、副画素110Bは青色の光を呈する。これにより、画素部177に画像を表示することができる。なお、本実施の形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素を例に挙げて説明するが、その他の色の副画素の組み合わせを用いてもよい。また、副画素は3つに限られず、4つ以上としてもよい。4つの副画素としては、例えば、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、黄色(Y)の4色の副画素、及び、R、G、B、赤外光(IR)の4つの副画素、等が挙げられる。
本明細書等において、行方向をX方向、列方向をY方向という場合がある。X方向とY方向は交差し、例えば垂直に交差する。
図3(A)では、異なる色の副画素がX方向に並べて配置されており、同じ色の副画素が、Y方向に並べて配置されている例を示す。なお、異なる色の副画素がY方向に並べて配置され、同じ色の副画素が、X方向に並べて配置されていてもよい。
画素部177の外側には、接続部140が設けられ、領域141が設けられていてもよい。領域141は画素部177と接続部140の間に設けられる。領域141には、有機化合物層103が設けられる。また、接続部140には、導電層151Cが設けられる。
図3(A)では、領域141、及び接続部140が画素部177の右側に位置する例を示すが、領域141、及び接続部140の位置は特に限定されない。また、領域141、及び接続部140は、単数であっても複数であってもよい。
図3(B)は、図3(A)における一点鎖線A1-A2間の断面図の例である。図3(B)に示すように、表示装置100は、絶縁層171と、絶縁層171上の導電層172と、絶縁層171上、及び導電層172上の絶縁層173と、絶縁層173上の絶縁層174と、絶縁層174上の絶縁層175と、を有する。絶縁層171は、基板(図示せず)上に設けられる。絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173には、導電層172に達する開口が設けられ、当該開口を埋め込むようにプラグ176が設けられている。
画素部177において、絶縁層175及びプラグ176上に、発光デバイス130が設けられる。また、発光デバイス130を覆うように、保護層131が設けられている。保護層131上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。また、隣り合う発光デバイス130の間には、無機絶縁層125と、無機絶縁層125上の絶縁層127と、が設けられていることが好ましい。
図3(B)では、無機絶縁層125及び絶縁層127の断面が複数示されているが、表示装置100を上面から見た場合、無機絶縁層125及び絶縁層127は、それぞれ1つに繋がっていることが好ましい。つまり、無機絶縁層125及び絶縁層127は、第1の電極上に開口部を有する絶縁層であることが好ましい。
図3(B)では、発光デバイス130として、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bを示している。発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bは、互いに異なる色の光を発するものとする。例えば、発光デバイス130Rは赤色の光を発することができ、発光デバイス130Gは緑色の光を発することができ、発光デバイス130Bは青色の光を発することができる。また、発光デバイス130R、発光デバイス130G、又は発光デバイス130Bは、他の可視光又は赤外光を発してもよい。
本発明の一態様の表示装置は、例えば発光デバイスが形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)とすることができる。なお、本発明の一態様の表示装置は、下面射出型(ボトムエミッション型)であってもよい。
発光デバイス130が有する発光物質としては、例えば、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、及び、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)などの有機化合物または有機金属錯体が挙げられる。また、量子ドットなどの無機化合物であってもよい。
発光デバイス130Rは、実施の形態1に示したような構成を有する。導電層151Rと導電層152Rとからなる第1の電極(画素電極)と、第1の電極上の有機化合物層103Rと、有機化合物層103R上の共通層104と、共通層104上の第2の電極(共通電極)102と、を有する。なお、共通層104は、設けられていても設けられていなくても構わないが、設けられていることが加工時の有機化合物層103Rへのダメージを低減できることから好ましい。共通層104が設けられている場合、共通層104は、電子注入層であることが好ましい。また、共通層104が設けられている場合、有機化合物層103Rと共通層104との積層構造が、実施の形態2における有機化合物層103に相当する。
発光デバイス130Gは、実施の形態1に示したような構成を有する。導電層151Gと導電層152Gとからなる第1の電極(画素電極)と、第1の電極上の有機化合物層103Gと、有機化合物層103G上の共通層104と、共通層104上の第2の電極(共通電極)102と、を有する。なお、共通層104は、設けられていても設けられていなくても構わないが、設けられていることが加工時の有機化合物層103Gへのダメージを低減できることから好ましい。共通層104が設けられている場合、共通層104は、電子注入層であることが好ましい。また、共通層104が設けられている場合、有機化合物層103Gと共通層104との積層構造が、実施の形態2における有機化合物層103に相当する。
発光デバイス130Bは、実施の形態1に示したような構成を有する。導電層151Bと導電層152Bとからなる第1の電極(画素電極)と、第1の電極上の有機化合物層103Bと、有機化合物層103B上の共通層104と、共通層104上の第2の電極(共通電極)102と、を有する。なお、共通層104は、設けられていても設けられていなくても構わないが、設けられていることが加工時の有機化合物層103Bへのダメージを低減できることから好ましい。共通層104が設けられている場合、共通層104は、電子注入層であることが好ましい。また、共通層104が設けられている場合、有機化合物層103Bと共通層104との積層構造が、実施の形態2における有機化合物層103に相当する。
発光デバイスが有する画素電極と共通電極のうち、一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。以下では、特に断りが無い場合は、画素電極が陽極として機能し、共通電極が陰極として機能するものとして説明する。
有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bは、各々または、発光色毎に島状に独立している。有機化合物層103を発光デバイス130ごとに島状に設けることで、高精細な表示装置においても隣接する発光デバイス130間のリーク電流を抑制できる。これにより、クロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。特に、低輝度における電流効率の高い表示装置を実現できる。
島状の有機化合物層103は、EL膜を成膜し、当該EL膜をリソグラフィ法を用いて加工することにより形成する。
有機化合物層103は、発光デバイス130の第1の電極(画素電極)の上面及び側面を覆うように設けられることが好ましい。これにより、有機化合物層103の端部が画素電極の端部よりも内側に位置する構成に比べて、表示装置100の開口率を高めることが容易となる。また、発光デバイス130の画素電極の側面を有機化合物層103で覆うことで、画素電極と第2の電極102とが接することを抑制できるため、発光デバイス130のショートを抑制できる。また、有機化合物層103の発光領域(すなわち、画素電極と重なる領域)と、有機化合物層103の端部との距離を大きくできる。有機化合物層103の端部は、加工によりダメージを受けている可能性があるため、有機化合物層103の端部から離れた領域を発光領域として用いることで、発光デバイス130の信頼性を高められる。
また、本発明の一態様の表示装置では、発光デバイスの第1の電極(画素電極)を、積層構成とすることが好ましい。例えば、図3(B)に示す例では、発光デバイス130の第1の電極を、導電層151と、導電層152と、の積層構成としている。例えば、表示装置100をトップエミッション型とし、発光デバイス130の画素電極が陽極として機能する場合、導電層151は可視光に対する反射率が高い層とし、導電層152は例えば可視光の透過性を有し、且つ仕事関数が大きい層とすることが好ましい。表示装置100がトップエミッション型である場合、画素電極の可視光に対する反射率が高いほど、有機化合物層103が発する光の取り出し効率を高くすることができる。また、画素電極が陽極として機能する場合、画素電極の仕事関数が大きいほど、有機化合物層103への正孔の注入が容易となる。以上より、発光デバイス130の画素電極を、可視光に対する反射率が高い導電層151と、仕事関数が大きい導電層152と、の積層構成とすることにより、発光デバイス130を、光取り出し効率が高く、且つ駆動電圧の低い発光デバイスとすることができる。
導電層151を、可視光に対する反射率が高い層とする場合、導電層151の可視光に対する反射率は、例えば40%以上100%以下とすることが好ましく、70%以上100%以下とすることがより好ましい。また、導電層152は、可視光の透過性を有する電極とする場合、可視光に対する透過率を例えば40%以上とすることが好ましい。
ここで、画素電極を複数の層からなる積層構成とする場合、例えば当該複数の層間の反応により、画素電極が変質してしまう場合がある。例えば、画素電極の形成後に形成した膜を、ウェットエッチング法により除去する場合、薬液が画素電極と接触することにより、ガルバニック腐食が発生することがある。
そこで、本実施の形態の表示装置100では、導電層151の上面及び側面を覆うように、導電層152を形成する。これにより、例えば導電層151と、導電層152と、を有する画素電極の形成後に形成した膜を、ウェットエッチング法により除去する場合であっても、薬液が導電層151に接触することを抑制できる。よって、例えば画素電極へのガルバニック腐食の発生を抑制できる。よって、表示装置100は、歩留まりが高い方法で作製できるため、低価格の表示装置とすることができる。また、表示装置100に不良が発生することを抑制できるため、表示装置100は信頼性が高い表示装置とすることができる。
導電層151として、例えば金属材料を用いることができる。具体的には、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)等の金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。
導電層152として、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、チタン、アルミニウム、及びシリコンの中から選ばれるいずれか一又は複数を有する酸化物を用いることができる。例えば、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、酸化チタン、ガリウムを含むインジウム亜鉛酸化物、アルミニウムを含むインジウム亜鉛酸化物、シリコンを含むインジウムスズ酸化物、及びシリコンを含むインジウム亜鉛酸化物等のいずれか一又は複数を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。特に、シリコンを含むインジウムスズ酸化物は仕事関数が大きい、例えば仕事関数が4.0eV以上であるため、導電層152として好適に用いることができる。
導電層151は、異なる材料を有する複数の層の積層構成であってもよく、導電層152は、異なる材料を有する複数の層の積層構成であってもよい。この場合、導電層151が、導電性酸化物等の導電層152に用いることができる材料を用いた層を有してもよく、また、導電層152が、金属材料等の導電層151に用いることができる材料を用いた層を有してもよい。例えば、導電層151が2層以上の積層構成である場合は、導電層152と接する層は、導電層152に用いることができる材料を用いた層とすることができる。
なお、導電層151の端部は、テーパ形状を有することが好ましい。具体的には、導電層151の端部は、テーパ角90°未満のテーパ形状を有することが好ましい。この場合、導電層151の側面に沿って設けられる導電層152もテーパ形状を有する。導電層152の側面をテーパ形状とすることで、導電層152の側面に沿って設けられる有機化合物層103の被覆性を高めることができる。
図4(A)においては、導電層151が異なる材料を含む複数の層の積層構造である場合の図を示している。図4(A)に示すように、導電層151は、導電層151aと、導電層151a上の導電層151bと、導電層151b上の導電層151cと、を有する構成である。つまり、図4(A)に示す導電層151は、3層積層構成である。このように、導電層151が複数の層の積層構成である場合は、導電層151を構成する層のうち少なくとも1つの層の可視光に対する反射率を、導電層152の可視光に対する反射率より高くすればよい。
図4(A)に示す例では、導電層151bが、導電層151aと導電層151cにより挟まれる構成である。導電層151a、及び導電層151cには、導電層151bより変質しにくい材料を用いることが好ましい。例えば、導電層151aには、絶縁層175と接することによるマイグレーションの発生が、導電層151bより起こりにくい材料を用いることができる。また、導電層151cには、導電層151bより酸化しにくく、さらに酸化物の電気抵抗率が、導電層151bに用いる材料の酸化物より低い材料を用いることができる。
以上より、導電層151bを、導電層151aと導電層151cで挟む構成とすることで、導電層151bの材料選択の幅を広げることができる。これにより、例えば導電層151bを、導電層151a及び導電層151cのうち少なくとも一方より、可視光に対する反射率が高い層とすることができる。例えば、導電層151bとしてアルミニウムを用いることができる。なお、導電層151bには、アルミニウムを含む合金を用いてもよい。また、導電層151aとして、可視光に対する反射率がアルミニウムと比較すると低いが、絶縁層175と接してもアルミニウムよりマイグレーションが発生しにくい材料であるチタンを用いることができる。さらに、導電層151cとして、可視光に対する反射率がアルミニウムと比較すると低いが、アルミニウムより酸化しにくく、また酸化物の電気抵抗率が酸化アルミニウムの電気抵抗率より低い材料であるチタンを用いることができる。
また、導電層151cとして、銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。銀は、可視光に対する反射率がチタンより高いという特性を有する。さらに、銀は、アルミニウムより酸化しにくく、また酸化銀の電気抵抗率は酸化アルミニウムの電気抵抗率より低いという特性を有する。以上により、導電層151cとして銀、又は銀を含む合金を用いると、導電層151の可視光に対する反射率を好適に高くしつつ、導電層151bの酸化による画素電極の電気抵抗の上昇を抑制できる。ここで、銀を含む合金として、例えば銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)を適用できる。なお、導電層151cとして銀、又は銀を含む合金を用い、導電層151bとしてアルミニウムを用いると、導電層151cの可視光に対する反射率を、導電層151bの可視光に対する反射率より高くすることができる。ここで、導電層151bとして銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。また、導電層151aに銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。
一方、チタンを用いた膜は、銀を用いた膜よりエッチングによる加工性に優れる。よって、導電層151cとしてチタンを用いることにより、導電層151cを容易に形成できる。なお、アルミニウムを用いた膜も、銀を用いた膜よりエッチングによる加工性に優れる。
以上のように、導電層151を複数の層の積層構造とすることにより、表示装置の特性を向上させることができる。例えば、表示装置100を、光取り出し効率が高く、且つ信頼性が高い表示装置とすることができる。
ここで、発光デバイス130にマイクロキャビティ構造が適用されている場合は、導電層151cとして、可視光に対する反射率が高い材料である銀、又は銀を含む合金を用いると、表示装置100の光取り出し効率を好適に高めることができる。
前述のように、導電層151の側面は、テーパ形状を有することが好ましい。具体的には、導電層151の側面は、テーパ角90°未満のテーパ形状を有することが好ましい。例えば、図4(A)に示す構成の導電層151では、導電層151a、導電層151b、及び導電層151cのうち少なくとも1つの側面がテーパ形状を有することが好ましい。
図4(A)に示す導電層151は、リソグラフィ法を用いて形成できる。具体的には、まず、導電層151aとなる導電膜と、導電層151bとなる導電膜と、導電層151cとなる導電膜と、を順に成膜する。次に、導電層151cとなる導電膜上にレジストマスクを形成する。その後、レジストマスクと重ならない領域の導電膜を、例えばエッチング法を用いて除去する。ここで、側面がテーパ形状を有さないように、つまり側面が垂直となるように導電層151を形成する場合と比較して、レジストマスクが後退(縮小)しやすい条件で導電膜を加工することにより、導電層151の側面をテーパ形状とすることができる。
ここで、レジストマスクが後退(縮小)しやすい条件で導電膜を加工すると、導電膜が水平方向に加工されやすくなる場合がある。つまり、側面が垂直となるように導電層151を形成する場合より、エッチングの等方性が高くなる場合がある。
また、導電層151を異なる材料からなる複数の層の積層構成とした場合、当該複数の層間で水平方向の加工のされやすさが異なる場合がある。例えば、導電層151aと、導電層151bと、導電層151cと、の間で水平方向の加工のされやすさが異なることがある。
この場合、導電膜を加工後図4(A)に示すように、導電層151bの側面が、導電層151a、及び導電層151cの側面より内側に位置し、突出部を形成する場合がある。これにより、導電層152の導電層151に対する被覆性が低下し、導電層152の段切れが発生する恐れがある。
そこで、図4(A)のように絶縁層156を設けることが好ましい。図4(A)では、導電層151bの側面と重なる領域を有するように、導電層151a上に絶縁層156が設けられる例を示している。これにより、突出部に起因した導電層152の段切れまたは薄膜化の発生を抑制できるため、接続不良または駆動電圧の上昇を抑制することができる。
なお、図4(A)においては、導電層151bの側面が絶縁層156に全て覆われる構造を図示したが、導電層151bの側面の一部が絶縁層156に覆われなくてもよい。以降に示す構成の画素電極においても、同様に導電層151bの側面の一部が絶縁層156に覆われなくてもよい。
導電層151が図4(A)に示す構成である場合、導電層152は、導電層151a、導電層151b、導電層151c、及び絶縁層156を覆い、且つ導電層151a、導電層151b、及び導電層151cと電気的に接続されるように設けられる。これにより、例えば導電層152の形成後に成膜した膜をウェットエッチング法により除去する場合であっても、薬液が導電層151a、導電層151b、及び導電層151cのいずれにも接触しないようにすることができる。よって、導電層151a、導電層151b、及び導電層151cのいずれにおいても、腐食の発生を抑制できる。よって、表示装置100は、歩留まりが高い方法で作製できる。また、不良の発生を抑制し、表示装置100は信頼性が高い表示装置とすることができる。
ここで、図4(A)に示すように、絶縁層156は、湾曲面を有することが好ましい。これにより、例えば絶縁層156の側面が垂直(Z方向に平行)である場合より、絶縁層156を覆う導電層152における段切れの発生を抑制できる。また、絶縁層156が、側面にテーパ形状、具体的にはテーパ角が90°未満のテーパ形状を有する場合であっても、例えば絶縁層156の側面が垂直である場合より、絶縁層156を覆う導電層152における段切れの発生を抑制できる。以上より、表示装置100を、歩留まりが高い方法で作製できる。また、不良の発生を抑制し、表示装置100は信頼性が高い表示装置とすることができる。
なお、図4(A)では、導電層151bの側面が、導電層151aの側面、及び導電層151cの側面より内側に位置する構成を示しているが、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、導電層151bの側面が、導電層151aの側面より外側に位置してもよい。また、導電層151bの側面が、導電層151cの側面より外側に位置してもよい。
図4(B)乃至図4(D)は第1の電極101のその他の構成を示している。図4(B)は、図4(A)の第1の電極101において、絶縁層156が導電層151bの側面だけでなく、導電層151a、導電層151bおよび導電層151cの側面を覆っている構成である。
図4(C)は図4(A)の第1の電極101において、絶縁層156が設けられていない構成である。
図4(D)は図4(A)の第1の電極101において、導電層151が積層構造を有しておらず、導電層152が積層構造を有している構成である。
導電層152aは、導電層152bに対する密着性が、例えば絶縁層175より高い層とする。導電層152aとして、例えばインジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、チタン、アルミニウム、及びシリコンの中から選ばれるいずれか一又は複数を有する酸化物を用いることができる。例えば、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、酸化チタン、インジウムチタン酸化物、チタン酸亜鉛、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウムを含むインジウム亜鉛酸化物、アルミニウムを含むインジウム亜鉛酸化物、シリコンを含むインジウムスズ酸化物、及びシリコンを含むインジウム亜鉛酸化物等のいずれか一又は複数を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。以上により、導電層152bの膜剥がれを抑制することができる。また、導電層152bを絶縁層175と接しない構成とすることができる。
導電層152bは、可視光に対する反射率(例えば400nm以上750nm未満の範囲内の所定の波長の光に対する反射率)が、導電層151、導電層152a、及び導電層152cより高い層とする。導電層152bの可視光に対する反射率は、例えば70%以上100%以下とすることができ、好ましくは80%以上100%以下であり、より好ましくは90%以上100%以下である。また、導電層152bとして、例えばアルミニウムより可視光に対する反射率が高い材料を用いることができる。具体的には、導電層152bとして、例えば銀、又は銀を含む合金を用いることができる。銀を含む合金として、例えば銀、パラジウム、及び銅の合金(APC)が挙げられる。以上により、表示装置100を、光取り出し効率が高い表示装置とすることができる。なお、導電層152bとして、銀以外の金属を用いてもよい。
導電層152cは、導電層151及び導電層152を陽極として機能させる場合、仕事関数が大きい層とすることが好ましい。導電層152cは、例えば、導電層152bより仕事関数が大きい層とする。導電層152cとして、例えば導電層152aに用いることができる材料と同様の材料を用いることができる。例えば、導電層152aと導電層152cに同一種の材料を用いる構成とすることができる。例えば、導電層152aにインジウムスズ酸化物を用いる場合は、導電層152cにもインジウムスズ酸化物を用いることができる。
なお、導電層152cは、導電層151及び導電層152を陰極として機能させる場合、仕事関数が小さい層とすることが好ましい。導電層152cは、例えば、導電層152bより仕事関数が小さい層とする。
また、導電層152cは、可視光に対する透過率(例えば400nm以上750nm未満の範囲内の所定の波長の光に対する透過率)が高い層とすることが好ましい。例えば、導電層152cの可視光に対する透過率は、導電層151、及び導電層152bの可視光に対する透過率より高いことが好ましい。例えば、導電層152cの可視光に対する透過率は、60%以上100%以下とすることができ、好ましくは70%以上100%以下であり、より好ましくは80%以上100%以下である。以上により、有機化合物層103が発する光のうち、導電層152cに吸収される光を少なくすることができる。また、前述のように、導電層152c下の導電層152bは、可視光に対する反射率が高い層とすることができる。よって、表示装置100を、光取り出し効率が高い表示装置とすることができる。
続いて図3(A)に示す構成を有する表示装置100の作製方法例を図8乃至図16を用いて説明する。表示装置100の有する発光デバイスは、有機層が、水を用いた処理を含む作製工程によって形成される。本発明の一態様の表示装置の有する発光デバイスの有機層に、本発明の一態様の有機化合物を用いることで、水を用いた処理を含む作製方法によって作製した場合であっても、当該有機化合物を含む層が溶解する、当該有機化合物を用いた層へ薬液が浸透するなどの問題を防ぎ、良好な特性の発光デバイスを提供することができる。
[作製方法例]
表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、又はALD法等を用いて形成できる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、及び、熱CVD法等がある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
また、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ法、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、又はナイフコート等の湿式の成膜方法により形成できる。
特に、発光デバイスの作製には、蒸着法等の真空プロセス、及び、スピンコート法、インクジェット法等の溶液プロセスを用いることができる。蒸着法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD法)、及び、化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。特に有機化合物層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層等)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、又は、マイクロコンタクト法等)等の方法により形成できる。
また、表示装置を構成する薄膜を加工する際には、例えばリソグラフィ法を用いて加工できる。又は、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法等により薄膜を加工してもよい。また、メタルマスク等の遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
リソグラフィ法としては、例えばフォトリソグラフィ法を用いることができる。フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。1つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、例えばエッチングにより当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう1つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、又はこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線、KrFレーザ光、又はArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外(EUV:Extreme Ultra-violet)光、又はX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線又は電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビーム等のビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はサンドブラスト法等を用いることができる。
まず、図5(A)に示すように、基板(図示せず)上に絶縁層171を形成する。続いて、絶縁層171上に導電層172、及び導電層179を形成し、導電層172、及び導電層179を覆うように絶縁層171上に絶縁層173を形成する。続いて、絶縁層173上に絶縁層174を形成し、絶縁層174上に絶縁層175を形成する。
基板としては、少なくとも後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する基板を用いることができる。基板として、絶縁性基板を用いる場合には、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、又は有機樹脂基板等を用いることができる。また、シリコン又は炭化シリコン等を材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等の半導体基板を用いることができる。
続いて、図5(A)に示すように、絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173に、導電層172に達する開口を形成する。続いて、当該開口を埋め込むように、プラグ176を形成する。
続いて、図5(A)に示すように、プラグ176上、及び絶縁層175上に、後に導電層151R、導電層151G、導電層151B、及び導電層151Cとなる導電膜151fを形成する。導電膜151fの形成には、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いることができる。また、導電膜151fとして、例えば金属材料を用いることができる。
続いて、図5(A)に示すように、導電膜151f上にレジストマスク191を形成する。レジストマスク191は、感光性材料(フォトレジスト)を塗布し、露光及び現像を行うことで形成できる。
続いて、図5(B)に示すように、例えばレジストマスク191と重ならない領域の導電膜151fを、例えばエッチング法、具体的には例えばドライエッチング法を用いて除去する。なお、導電膜151fが、例えばインジウムスズ酸化物等の導電性酸化物を用いた層を含む場合は、当該層はウェットエッチング法を用いて除去してもよい。これにより、導電層151が形成される。なお、例えば導電膜151fの一部をドライエッチング法により除去する場合、絶縁層175の導電層151と重ならない領域に凹部が形成される場合がある。
続いて、図5(C)に示すように、レジストマスク191を除去する。レジストマスク191は、例えば、酸素プラズマを用いたアッシングにより除去できる。又は、酸素ガスと、CF、C、SF、CHF、Cl、HO、BCl、又はHe等の第18族元素と、を用いてもよい。又は、ウェットエッチングにより、レジストマスク191を除去してもよい。
続いて、図5(D)に示すように、導電層151R上、導電層151G上、導電層151B上、導電層151C上、及び絶縁層175上に、後に絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cとなる絶縁膜156fを形成する。絶縁膜156fの形成には、例えばCVD法、ALD法、スパッタリング法、又は真空蒸着法を用いることができる。
絶縁膜156fには、無機材料を用いることができる。絶縁膜156fには、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、又は窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。例えば、絶縁膜156fとして、シリコンを含む酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、又は窒化酸化絶縁膜等を用いることができる。例えば、絶縁膜156fとして、酸化窒化シリコンを用いることができる。
続いて、図5(E)に示すように、絶縁膜156fを加工することにより、絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cを形成する。例えば、絶縁膜156fの上面に対し、略均一にエッチングを施すことにより、絶縁層156を形成できる。このように均一にエッチングして平坦化することをエッチバック処理ともいう。なお、絶縁層156を、リソグラフィ法を用いて形成してもよい。
続いて、図6(A)に示すように、導電層151R上、導電層151G上、導電層151B上、導電層151C上、絶縁層156R上、絶縁層156G上、絶縁層156B上、絶縁層156C上、及び絶縁層175上に、後に導電層152R、導電層152G、導電層152B、及び導電層152Cとなる導電膜152fを形成する。具体的には、例えば導電層151R、導電層151G、導電層151B、導電層151C、絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cを覆うように、導電膜152fを形成する。
導電膜152fの形成には、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いることができる。また、導電膜152fとして、例えば導電性酸化物を用いることができる。又は、導電膜152fとして、金属材料を用いる膜と、当該膜上の導電性酸化物を用いる膜と、の積層構成を適用できる。例えば、導電膜152fとして、チタン、銀、又は銀を含む合金を用いる膜と、当該膜上の導電性酸化物を用いる膜と、の積層構成を適用できる。
また、導電膜152fの形成には、ALD法を用いることができる。この場合、導電膜152fとして、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、チタン、アルミニウム、及びシリコンの中から選ばれるいずれか一又は複数を有する酸化物を用いることができる。この場合、プリカーサ(一般的には、前駆体、又は金属プリカーサ等と呼ばれる場合がある)の導入、当該プリカーサのパージ、酸化剤(一般的には、反応剤、リアクタント、又は非金属プリカーサ等と呼ばれる場合がある)の導入、及び当該酸化剤のパージを1サイクルとして、当該サイクルを繰り返し行うことにより導電膜152fを形成できる。ここで、インジウムスズ酸化物等、複数種の金属が含まれる酸化物膜を導電膜152fとして形成する場合、プリカーサの種類ごとにサイクル数を異ならせることにより、金属の組成を制御できる。
例えば、導電膜152fとしてインジウムスズ酸化物膜を成膜する場合、インジウムを含むプリカーサの導入後、当該プリカーサをパージし酸化剤を導入してIn-O膜を形成し、次にスズを含むプリカーサの導入後、当該プリカーサをパージし酸化剤を導入してSn-O膜を形成する。ここで、In-O膜形成のサイクル数を、Sn-O膜形成のサイクル数より多くすることにより、導電膜152fに含まれるInの原子数を、Snの原子数より多くすることができる。
また、例えば導電膜152fとして酸化亜鉛膜を成膜する場合、Zn-O膜を上記の手順で形成する。また、例えば導電膜152fとしてアルミニウム亜鉛酸化物膜を成膜する場合、Zn-O膜、及びAl-O膜をそれぞれ上記の手順で形成する。また、例えば導電膜152fとして酸化チタン膜を成膜する場合、Ti-O膜を上記の手順で形成する。また、例えば導電膜152fとしてシリコンを含むインジウムスズ酸化物膜を成膜する場合、In-O膜、Sn-O膜、及びSi-O膜を上記の手順で形成する。また、例えばガリウムを含む酸化亜鉛膜を成膜する場合、Ga-O膜、及びZn-O膜を上記の手順で形成する。
インジウムを含むプリカーサとして、例えばトリエチルインジウム、トリメチルインジウム、又は[1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)アミド]-インジウムを用いることができる。スズを含むプリカーサとして、例えば塩化スズ、又はテトラキス(ジメチルアミド)スズを用いることができる。亜鉛を含むプリカーサとして、例えばジエチル亜鉛、又はジメチル亜鉛を用いることができる。ガリウムを含むプリカーサとして、例えばトリエチルガリウムを用いることができる。チタンを含むプリカーサとして、例えば塩化チタン、テトラキス(ジメチルアミド)チタン、又はチタン酸テトライソプロピルを用いることができる。アルミニウムを含むプリカーサとして、例えば塩化アルミニウム、又はトリメチルアルミニウムを用いることができる。シリコンを含むプリカーサとして、トリシリルアミン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン、又はビス(エチルメチルアミノ)シランを用いることができる。また、酸化剤として、水蒸気、酸素プラズマ、又はオゾンガスを用いることができる。
続いて、図6(B)に示すように、例えばリソグラフィ法を用いて導電膜152fを加工し、導電層152R、導電層152G、導電層152B、及び導電層152Cを形成する。具体的には、例えばレジストマスクの形成後、エッチング法により導電膜152fの一部を除去する。導電膜152fは、例えばウェットエッチング法により除去できる。なお、導電膜152fを、ドライエッチング法により除去してもよい。以上により、導電層151と、導電層152と、を有する画素電極が形成される。
続いて、導電層152の疎水化処理を行うことが好ましい。疎水化処理では、処理対象となる表面を親水性から疎水性にすること、又は、処理対象となる表面の疎水性を高めることができる。導電層152の疎水化処理を行うことで、導電層152と、後の工程で形成される有機化合物層103と、の密着性を高め、膜剥がれを抑制できる。なお、疎水化処理は行わなくてもよい。
続いて、図6(C)に示すように、後に有機化合物層103Rとなる有機化合物膜103Rfを、導電層152R上、導電層152G上、導電層152B上、及び絶縁層175上に形成する。
図6(C)に示すように、導電層152C上には、有機化合物膜103Rfを形成していない。例えば、成膜エリアを規定するためのマスク(ファインメタルマスクと区別して、エリアマスク、又はラフメタルマスク等ともいう)を用いることで、有機化合物膜103Rfを所望の領域にのみ成膜できる。エリアマスクを用いた成膜工程と、レジストマスクを用いた加工工程と、を採用することで、比較的簡単なプロセスにて発光デバイスを作製できる。
有機化合物膜103Rfは、例えば、蒸着法、具体的には真空蒸着法により形成できる。また、有機化合物膜103Rfは、転写法、印刷法、インクジェット法、又は塗布法等の方法で形成してもよい。
続いて、図6(C)に示すように、有機化合物膜103Rf上、導電層152C上、及び絶縁層175上に、後に犠牲層158Rとなる犠牲膜158Rfと、後にマスク層159Rとなるマスク膜159Rfと、を順に形成する。
なお、本実施の形態では、犠牲膜158Rfとマスク膜159Rfの2層構造でマスク膜を形成する例を示すが、マスク膜は単層構造であってもよく、3層以上の積層構造であってもよい。
有機化合物膜103Rf上に犠牲層を設けることで、表示装置の作製工程中に有機化合物膜103Rfが受けるダメージを低減し、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
犠牲膜158Rfには、有機化合物膜103Rfの加工条件に対する耐性の高い膜、具体的には、有機化合物膜103Rfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。マスク膜159Rfには、犠牲膜158Rfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。
また、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfは、有機化合物膜103Rfの耐熱温度よりも低い温度で形成する。犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfを形成する際の基板温度は、それぞれ、代表的には、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfには、ウェットエッチング法により除去できる膜を用いることが好ましい。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfの加工時に、有機化合物膜103Rfに加わるダメージを低減できる。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfの形成には、例えば、スパッタリング法、ALD法(熱ALD法、PEALD法)、CVD法、真空蒸着法を用いることができる。また、前述の湿式の成膜方法を用いて形成してもよい。
なお、有機化合物膜103Rf上に接して形成される犠牲膜158Rfは、マスク膜159Rfよりも、有機化合物膜103Rfへのダメージが少ない形成方法を用いて形成されることが好ましい。例えば、スパッタリング法よりも、ALD法又は真空蒸着法を用いて、犠牲膜158Rfを形成することが好ましい。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfとしては、それぞれ、例えば、金属膜、合金膜、金属酸化物膜、半導体膜、有機絶縁膜、及び、無機絶縁膜等のうち一種又は複数種を用いることができる。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfには、それぞれ、例えば、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、及びタンタル等の金属材料、又は該金属材料を含む合金材料を用いることができる。特に、アルミニウム又は銀等の低融点材料を用いることが好ましい。犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfの一方又は双方に紫外線を遮蔽することが可能な金属材料を用いることで、有機化合物膜103Rfに紫外線が照射されることを抑制でき、有機化合物膜103Rfの劣化を抑制できるため、好ましい。
また、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfには、それぞれ、In-Ga-Zn酸化物、酸化インジウム、In-Zn酸化物、In-Sn酸化物、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物)、シリコンを含むインジウムスズ酸化物等の金属酸化物を用いることができる。
なお、上記ガリウムに代えて元素M(Mは、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムから選ばれた一種又は複数種)を用いてもよい。
また、犠牲膜およびマスク膜として、光、特に紫外線に対して遮光性を有する材料を含む膜を用いることが好ましい。遮光性を有する材料としては、紫外線に対して遮光性のある金属、絶縁体、半導体、及び半金属等、様々な材料を用いることができるが、当該犠牲膜およびマスク膜の一部又は全部は、後の工程で除去するため、エッチングによる加工が可能である膜であることが好ましく、特に加工性が良好であることが好ましい。
犠牲膜およびマスク膜として、例えば、シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料を用いることは、半導体の製造プロセスとの親和性が高いため好ましい。又は、上記半導体材料の酸化物又は窒化物を用いることができる。又は、炭素等の非金属材料、又はその化合物を用いることができる。又は、チタン、タンタル、タングステン、クロム、アルミニウム等の金属、又はこれらの一以上を含む合金が挙げられる。又は、酸化チタンもしくは酸化クロム等の上記金属を含む酸化物、又は窒化チタン、窒化クロム、もしくは窒化タンタル等の窒化物を用いることができる。
犠牲膜およびマスク膜に、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む膜を用いることで、例えば露光工程で有機化合物層に紫外線が照射されることを抑制できる。有機化合物層が紫外線によってダメージを受けることを抑制することで、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
なお、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む膜は、後述する無機絶縁膜125fの材料として用いても、同様の効果を奏する。
また、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfとしては、それぞれ、各種無機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化絶縁膜は、窒化絶縁膜に比べて有機化合物膜103Rfとの密着性が高く好ましい。例えば、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfには、それぞれ、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン等の無機絶縁材料を用いることができる。犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfとして、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成できる。ALD法を用いることで、下地(特に有機化合物層)へのダメージを低減できるため好ましい。
例えば、犠牲膜158Rfとして、ALD法を用いて形成した無機絶縁膜(例えば、酸化アルミニウム膜)を用い、マスク膜159Rfとして、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、In-Ga-Zn酸化物膜、アルミニウム膜、又はタングステン膜)を用いることができる。
なお、犠牲膜158Rfと、後に形成する無機絶縁層125との双方に、同じ無機絶縁膜を用いることができる。例えば、犠牲膜158Rfと無機絶縁層125との双方に、ALD法を用いて形成した酸化アルミニウム膜を用いることができる。ここで、犠牲膜158Rfと、無機絶縁層125とで、同じ成膜条件を適用してもよく、互いに異なる成膜条件を適用してもよい。例えば、犠牲膜158Rfを、無機絶縁層125と同様の条件で成膜することで、犠牲膜158Rfを、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性の高い絶縁層とすることができる。一方で、犠牲膜158Rfは後の工程で大部分又は全部を除去する層であるため、加工が容易であることが好ましい。このため、犠牲膜158Rfは、無機絶縁層125と比べて、成膜時の基板温度が低い条件で成膜することが好ましい。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfの一方又は双方に、有機材料を用いてもよい。例えば、有機材料として、少なくとも有機化合物膜103Rfの最上部に位置する膜に対して、化学的に安定な溶媒に溶解しうる材料を用いてもよい。特に、水又はアルコールに溶解する材料を好適に用いることができる。このような材料の成膜の際には、水又はアルコール等の溶媒に溶解させた状態で、湿式の成膜方法で塗布した後に、溶媒を蒸発させるための加熱処理を行うことが好ましい。このとき、減圧雰囲気下での加熱処理を行うことで、低温且つ短時間で溶媒を除去できるため、有機化合物膜103Rfへの熱的なダメージを低減でき、好ましい。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfには、それぞれ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、アルコール可溶性のポリアミド樹脂、又は、パーフルオロポリマー等のフッ素樹脂等の有機樹脂を用いてもよい。
例えば、犠牲膜158Rfとして、蒸着法又は上記湿式の成膜方法のいずれかを用いて形成した有機膜(例えば、PVA膜)を用い、マスク膜159Rfとして、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、窒化シリコン膜)を用いることができる。
続いて、図6(C)に示すように、マスク膜159Rf上にレジストマスク190Rを形成する。レジストマスク190Rは、感光性材料(フォトレジスト)を塗布し、露光及び現像を行うことで形成できる。
レジストマスク190Rは、ポジ型のレジスト材料及びネガ型のレジスト材料のどちらを用いて作製してもよい。
レジストマスク190Rは、導電層152Rと重なる位置に設ける。レジストマスク190Rは、導電層152Cと重なる位置にも設けることが好ましい。これにより、導電層152Cが表示装置の作製工程中にダメージを受けることを抑制できる。なお、導電層152C上にレジストマスク190Rを設けなくてもよい。また、レジストマスク190Rは、図6(C)のB1-B2間の断面図に示すように、有機化合物膜103Rfの端部から導電層152Cの端部(有機化合物膜103Rf側の端部)までを覆うように設けることが好ましい。
続いて、図6(D)に示すように、レジストマスク190Rを用いて、マスク膜159Rfの一部を除去し、マスク層159Rを形成する。マスク層159Rは、導電層152R上と、導電層152C上と、に残存する。その後、レジストマスク190Rを除去する。続いて、マスク層159Rをマスク(ハードマスクともいう)に用いて、犠牲膜158Rfの一部を除去し、犠牲層158Rを形成する。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfは、それぞれ、ウェットエッチング法又はドライエッチング法により加工できる。犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfの加工は、等方性エッチングにより行うことが好ましい。
ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfの加工時に、有機化合物膜103Rfに加わるダメージを低減できる。ウェットエッチング法を用いる場合、例えば、現像液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液、希フッ酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、硝酸、又はこれらの混合液体を用いた薬液等を用いることが好ましい。
マスク膜159Rfの加工においては、有機化合物膜103Rfが露出しないため、犠牲膜158Rfの加工よりも、加工方法の選択の幅は広い。具体的には、マスク膜159Rfの加工の際に、エッチングガスに酸素を含むガスを用いた場合でも、有機化合物膜103Rfの劣化をより抑制できる。
また、犠牲膜158Rfの加工においてドライエッチング法を用いる場合は、エッチングガスに酸素を含むガスを用いないことで、有機化合物膜103Rfの劣化を抑制できる。ドライエッチング法を用いる場合、例えば、CF、C、SF、CHF、Cl、HO、BCl、又はHe等の第18族元素を含むガスをエッチングガスに用いることが好ましい。
例えば、犠牲膜158Rfとして、ALD法を用いて形成した酸化アルミニウム膜を用いる場合、CHFとHe、又は、CHFとHeとCHを用いて、ドライエッチング法により犠牲膜158Rfの一部を除去できる。また、マスク膜159Rfとして、スパッタリング法を用いて形成したIn-Ga-Zn酸化物膜を用いる場合、希釈リン酸を用いて、ウェットエッチング法によりマスク膜159Rfの一部を除去できる。又は、CHとArを用いて、ドライエッチング法によりマスク膜159Rfの一部を除去してもよい。又は、希釈リン酸を用いて、ウェットエッチング法によりマスク膜159Rfの一部を除去できる。また、マスク膜159Rfとして、スパッタリング法を用いて形成したタングステン膜を用いる場合、SF、CFとO、又はCFとClとOを用いて、ドライエッチング法によりマスク膜159Rfの一部を除去できる。
レジストマスク190Rは、レジストマスク191と同様の方法で除去できる。例えば、酸素プラズマを用いたアッシングにより除去できる。又は、酸素ガスと、CF、C、SF、CHF、Cl、HO、BCl、又はHe等の第18族元素と、を用いてもよい。又は、ウェットエッチングにより、レジストマスク190Rを除去してもよい。このとき、犠牲膜158Rfが最表面に位置し、有機化合物膜103Rfは露出していないため、レジストマスク190Rの除去工程において、有機化合物膜103Rfにダメージが入ることを抑制できる。また、レジストマスク190Rの除去方法の選択の幅を広げることができる。
続いて、図6(D)に示すように、有機化合物膜103Rfを加工して、有機化合物層103Rを形成する。例えば、マスク層159R及び犠牲層158Rをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Rfの一部を除去し、有機化合物層103Rを形成する。
これにより、図6(D)に示すように、導電層152R上に、有機化合物層103R、犠牲層158R、及び、マスク層159Rの積層構造が残存する。また、導電層152G及び導電層152Bは露出する。
図6(D)では、有機化合物層103Rの端部が、導電層152Rの端部よりも外側に位置する例を示す。このような構成とすることで、画素の開口率を高くすることができる。なお、図6(D)では図示していないが、上記エッチング処理によって、絶縁層175の有機化合物層103Rと重畳しない領域に凹部が形成される場合がある。
また、有機化合物層103Rが導電層152Rの上面及び側面を覆うことにより、導電層152Rを露出させずに、以降の工程を行うことができる。導電層152Rの端部が露出していると、例えばエッチング工程において腐食が生じる場合がある。導電層152Rの腐食により生じた生成物は不安定な場合があり、例えばウェットエッチングの場合には溶液中に溶解し、ドライエッチングの場合には、雰囲気中に飛散する懸念がある。生成物の溶液中への溶解、又は、雰囲気中への飛散により、例えば、被処理面、及び、有機化合物層103Rの側面等に生成物が付着し、発光デバイスの特性に悪影響を及ぼす、又は、複数の発光デバイスの間にリークパスを形成する可能性がある。また、導電層152Rの端部が露出している領域では、互いに接する層同士の密着性が低下し、有機化合物層103R又は導電層152Rの膜剥がれが生じやすくなる恐れがある。
よって、有機化合物層103Rが導電層152Rの上面及び側面を覆う構成とすることにより、例えば、発光デバイスの歩留まり及び特性を向上させることができる。
前述のように、レジストマスク190Rは、一点鎖線B1-B2間において、有機化合物層103Rの端部から導電層152Cの端部(有機化合物層103R側の端部)までを覆うように設けることが好ましい。これにより、図6(D)に示すように、犠牲層158R、及びマスク層159Rが、一点鎖線B1-B2間において、有機化合物層103Rの端部から導電層152Cの端部(有機化合物層103R側の端部)までを覆うように設けられる。よって、例えば一点鎖線B1-B2間において、絶縁層175が露出することを抑制できる。これにより、絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173の一部がエッチング等により除去され、導電層179が露出することを防ぐことができる。このため、導電層179が、意図せず、他の導電層と電気的に接続されることを抑制できる。例えば、導電層179と、後の工程で形成する共通電極155との間のショートを抑制できる。
有機化合物膜103Rfの加工は、異方性エッチングにより行うことが好ましい。特に、異方性のドライエッチングが好ましい。又は、ウェットエッチングを用いてもよい。
ドライエッチング法を用いる場合は、エッチングガスに酸素を含むガスを用いないことで、有機化合物膜103Rfの劣化を抑制できる。
また、エッチングガスに酸素を含むガスを用いてもよい。エッチングガスが酸素を含むことで、エッチングの速度を速めることができる。従って、エッチング速度を十分な速さに維持しつつ、低パワーの条件でエッチングを行うことができる。このため、有機化合物膜103Rfに与えるダメージを抑制できる。さらに、エッチング時に生じる反応生成物の付着等の不具合を抑制できる。
ドライエッチング法を用いる場合、例えば、H、CF、C、SF、CHF、Cl、HO、BCl、又はHe、Ar等の第18族元素のうち、一種以上を含むガスをエッチングガスに用いることが好ましい。又は、これらの一種以上と、酸素を含むガスをエッチングガスに用いることが好ましい。又は、酸素ガスをエッチングガスに用いてもよい。具体的には、例えば、HとArを含むガス、又は、CFとHeを含むガスをエッチングガスに用いることができる。また、例えば、CF、He、及び酸素を含むガスをエッチングガスに用いることができる。また、例えば、HとArを含むガス、及び酸素を含むガスをエッチングガスに用いることができる。
以上のように、本発明の一態様では、マスク膜159Rf上にレジストマスク190Rを形成し、レジストマスク190Rを用いて、マスク膜159Rfの一部を除去することにより、マスク層159Rを形成する。その後、マスク層159Rをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Rfの一部を除去することにより、有機化合物層103Rを形成する。よって、リソグラフィ法を用いて有機化合物膜103Rfを加工することにより、有機化合物層103Rが形成されるということができる。なお、レジストマスク190Rを用いて、有機化合物膜103Rfの一部を除去してもよい。その後、レジストマスク190Rを除去してもよい。
次に、例えば導電層152Gの疎水化処理を行うことが好ましい。有機化合物膜103Rfの加工時に、例えば導電層152Gの表面状態が親水性に変化する場合がある。例えば導電層152Gの疎水化処理を行うことで、例えば導電層152Gと後の工程で形成される層(ここでは有機化合物層103G)との密着性を高め、膜剥がれを抑制できる。なお、疎水化処理は行わなくてもよい。
続いて、図7(A)に示すように、後に有機化合物層103Gとなる有機化合物膜103Gfを、導電層152G上、導電層152B上、マスク層159R上、及び絶縁層175上に形成する。
有機化合物膜103Gfは、有機化合物膜103Rfの形成に用いることができる方法と同様の方法で形成できる。また、有機化合物膜103Gfは、有機化合物膜103Rfと同様の構成とすることができる。
続いて、図7(A)に示すように、有機化合物膜103Gf上、及びマスク層159R上に、後に犠牲層158Gとなる犠牲膜158Gfと、後にマスク層159Gとなるマスク膜159Gfと、を順に形成する。その後、レジストマスク190Gを形成する。犠牲膜158Gf及びマスク膜159Gfの材料及び形成方法は、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfに適用できる条件と同様である。レジストマスク190Gの材料及び形成方法は、レジストマスク190Rに適用できる条件と同様である。
レジストマスク190Gは、導電層152Gと重なる位置に設ける。
続いて、図7(B)に示すように、レジストマスク190Gを用いて、マスク膜159Gfの一部を除去し、マスク層159Gを形成する。マスク層159Gは、導電層152G上に残存する。その後、レジストマスク190Gを除去する。続いて、マスク層159Gをマスクに用いて、犠牲膜158Gfの一部を除去し、犠牲層158Gを形成する。続いて、有機化合物膜103Gfを加工して、有機化合物層103Gを形成する。例えば、マスク層159G及び犠牲層158Gをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Gfの一部を除去し、有機化合物層103Gを形成する。
これにより、図7(B)に示すように、導電層152G上に、有機化合物層103G、犠牲層158G、及び、マスク層159Gの積層構造が残存する。また、マスク層159R及び導電層152Bは露出する。
次に、例えば導電層152Bの疎水化処理を行うことが好ましい。有機化合物膜103Gfの加工時に、例えば導電層152Bの表面状態が親水性に変化する場合がある。例えば導電層152Bの疎水化処理を行うことで、例えば導電層152Bと後の工程で形成される層(ここでは有機化合物層103B)との密着性を高め、膜剥がれを抑制できる。なお、疎水化処理は行わなくてもよい。
続いて、図7(C)に示すように、後に有機化合物層103Bとなる有機化合物膜103Bfを、導電層152B上、マスク層159R上、マスク層159G上、及び絶縁層175上に形成する。
有機化合物膜103Bfは、有機化合物膜103Rfの形成に用いることができる方法と同様の方法で形成できる。また、有機化合物膜103Bfは、有機化合物膜103Rfと同様の構成とすることができる。
続いて、図7(C)に示すように、有機化合物膜103Bf上、及びマスク層159R上に、後に犠牲層158Bとなる犠牲膜158Bfと、後にマスク層159Bとなるマスク膜159Bfと、を順に形成する。その後、レジストマスク190Bを形成する。犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの材料及び形成方法は、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfに適用できる条件と同様である。レジストマスク190Bの材料及び形成方法は、レジストマスク190Rに適用できる条件と同様である。
レジストマスク190Bは、導電層152Bと重なる位置に設ける。
続いて、図7(D)に示すように、レジストマスク190Bを用いて、マスク膜159Bfの一部を除去し、マスク層159Bを形成する。マスク層159Bは、導電層152B上に残存する。その後、レジストマスク190Bを除去する。続いて、マスク層159Bをマスクに用いて、犠牲膜158Bfの一部を除去し、犠牲層158Bを形成する。続いて、有機化合物膜103Bfを加工して、有機化合物層103Bを形成する。例えば、マスク層159B及び犠牲層158Bをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Bfの一部を除去し、有機化合物層103Bを形成する。
これにより、図7(D)に示すように、導電層152B上に、有機化合物層103B、犠牲層158B、及び、マスク層159Bの積層構造が残存する。また、マスク層159R、及びマスク層159Gは露出する。
なお、有機化合物層103R、有機化合物層103G、有機化合物層103Bの側面は、それぞれ、被形成面に対して垂直又は概略垂直であることが好ましい。例えば、被形成面と、これらの側面との成す角度を、60度以上90度以下とすることが好ましい。
上記のように、リソグラフィ法を用いて形成した有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bのうち隣接する2つの間の距離は、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、又は、1μm以下にまで狭めることができる。ここで、当該距離とは、例えば、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bのうち、隣接する2つの対向する端部の間の距離で規定できる。このように、島状の有機化合物層の間の距離を狭めることで、高い精細度と、大きな開口率を有する表示装置を提供できる。また、隣り合う発光デバイス間における第1の電極同士の距離も、狭めることができ、例えば10μm以下、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下とすることができる。なお、隣り合う発光デバイス間における第1の電極同士の距離は2μm以上5μm以下であることが好ましい。
続いて、図8(A)に示すように、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bを除去することが好ましい。後の工程によっては、犠牲層158R、犠牲層158G、犠牲層158B、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bが表示装置に残存する場合がある。この段階でマスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bを除去することで、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bが表示装置に残存することを抑制できる。例えば、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bに導電材料を用いる場合、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bを事前に除去しておくことで、残存したマスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bによるリーク電流の発生、及び、容量の形成等を抑制できる。
なお、本実施の形態では、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bを除去する場合を例に挙げて説明するが、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bは除去しなくてもよい。例えば、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bが、前述の、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む場合は、除去せずに次の工程に進むことで、有機化合物層を紫外線から保護でき、好ましい。
マスク層の除去工程には、マスク層の加工工程と同様の方法を用いることができる。特に、ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、マスク層を除去する際に、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bに加わるダメージを低減できる。
また、マスク層を、水又はアルコール等の溶媒に溶解させることで除去してもよい。アルコールとしては、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はグリセリン等が挙げられる。
マスク層を除去した後に、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bに含まれる水、並びに有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103B表面に吸着する水を除去するため、乾燥処理を行ってもよい。例えば、不活性ガス雰囲気又は減圧雰囲気下における加熱処理を行うことができる。加熱処理は、基板温度として50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上120℃以下の温度で行うことができる。減圧雰囲気とすることで、より低温で乾燥が可能であるため好ましい。
続いて、図8(B)に示すように、有機化合物層103R、有機化合物層103G、有機化合物層103B、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを覆うように、後に無機絶縁層125となる無機絶縁膜125fを形成する。
後述するように、無機絶縁膜125fの上面に接して、後に絶縁層127となる絶縁膜が形成される。このため、無機絶縁膜125fの上面は、当該絶縁膜に用いる材料(例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物)に対して親和性が高いことが好ましい。当該親和性を向上させるため、表面処理を行って無機絶縁膜125fの上面を疎水化すること(又は疎水性を高めること)が好ましい。例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシリル化剤を用いて処理を行うことが好ましい。このように無機絶縁膜125fの上面を疎水化することにより、絶縁膜127fを密着性良く形成できる。なお、表面処理としては、前述の疎水化処理を行ってもよい。
続いて、図8(C)に示すように、無機絶縁膜125f上に、後に絶縁層127となる絶縁膜127fを形成する。
無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fは、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bへのダメージが少ない形成方法で成膜されることが好ましい。特に、無機絶縁膜125fは、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bの側面に接して形成されるため、絶縁膜127fよりも、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bへのダメージが少ない形成方法で成膜されることが好ましい。
また、無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fは、それぞれ、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bの耐熱温度よりも低い温度で形成する。また、無機絶縁膜125fは成膜する際の基板温度を高くすることで、膜厚が薄くても、不純物濃度が低く、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性の高い膜とすることができる。
無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fを形成する際の基板温度は、それぞれ、60℃以上、80℃以上、100℃以上、又は、120℃以上、かつ、200℃以下、180℃以下、160℃以下、150℃以下、又は140℃以下であることが好ましい。
無機絶縁膜125fとしては、上記の基板温度の範囲で、3nm以上、5nm以上、又は、10nm以上、かつ、200nm以下、150nm以下、100nm以下、又は、50nm以下の厚さの絶縁膜を形成することが好ましい。
無機絶縁膜125fは、例えば、ALD法を用いて形成することが好ましい。ALD法を用いることで、成膜ダメージを小さくすることができ、また、被覆性の高い膜を成膜可能なため好ましい。無機絶縁膜125fとしては、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
そのほか、無機絶縁膜125fは、ALD法よりも成膜速度が速いスパッタリング法、CVD法、又は、PECVD法を用いて形成してもよい。これにより、信頼性の高い表示装置を生産性高く作製できる。
絶縁膜127fは、前述の湿式の成膜方法を用いて形成することが好ましい。絶縁膜127fは、例えば、スピンコートにより、感光性材料を用いて形成することが好ましく、より具体的には、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。
絶縁膜127fは、例えば、重合体、酸発生剤、及び溶媒を有する樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。重合体は、1種又は複数種の単量体を用いて形成され、1種又は複数種の構造単位(構成単位ともいう)が規則的又は不規則に繰り返された構造を有する。酸発生剤としては、光の照射により酸を発生する化合物、及び、加熱により酸を発生する化合物の一方又は双方を用いることができる。樹脂組成物は、さらに、感光剤、増感剤、触媒、接着助剤、界面活性剤、酸化防止剤のうち一つ又は複数を有していてもよい。
また、絶縁膜127fの形成後に加熱処理(プリベークともいう)を行うことが好ましい。当該加熱処理は、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び、有機化合物層103Bの耐熱温度よりも低い温度で行う。加熱処理の際の基板温度としては、50℃以上200℃以下が好ましく、60℃以上150℃以下がより好ましく、70℃以上120℃以下がさらに好ましい。これにより、絶縁膜127f中に含まれる溶媒を除去できる。
続いて、露光を行って、絶縁膜127fの一部に、可視光線又は紫外線を感光させる。ここで、絶縁膜127fにアクリル樹脂を含むポジ型の感光性の樹脂組成物を用いる場合、後の工程で絶縁層127を形成しない領域に可視光線又は紫外線を照射する。絶縁層127は、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bのいずれか2つに挟まれる領域、及び、導電層152Cの周囲に形成される。このため、導電層152R上、導電層152G上、導電層152B上、及び、導電層152C上に、可視光線又は紫外線を照射する。なお、絶縁膜127fにネガ型の感光性材料を用いる場合、絶縁層127が形成される領域に可視光線又は紫外線を照射する。
絶縁膜127fへの露光領域によって、後に形成する絶縁層127の幅を制御できる。本実施の形態では、絶縁層127が導電層151の上面と重なる部分を有するように加工する。
露光に用いる光は、i線(波長365nm)を含むことが好ましい。また、露光に用いる光は、g線(波長436nm)、及びh線(波長405nm)の少なくとも一方を含んでいてもよい。
ここで、犠牲層158(犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158B)、及び無機絶縁膜125fの一方又は双方として、酸素に対するバリア絶縁層(例えば、酸化アルミニウム膜等)を設けることで、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bに酸素が拡散することを低減できる。有機化合物層は、光(可視光線又は紫外線)が照射されると、当該有機化合物層に含まれる有機化合物が励起状態となり、雰囲気中に含まれる酸素との反応が促進される場合がある。より具体的には、酸素を有する雰囲気下において、光(可視光線又は紫外線)が有機化合物層に照射されると当該有機化合物層が有する有機化合物に酸素が結合する可能性がある。犠牲層158及び無機絶縁膜125fを島状の有機化合物層上に設けることによって、当該有機化合物層に含まれる有機化合物に雰囲気中の酸素が結合することを低減できる。
続いて、図9(A)に示すように、現像を行って、絶縁膜127fの露光させた領域を除去し、絶縁層127aを形成する。絶縁層127aは、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bのいずれか2つに挟まれる領域と、導電層152Cを囲う領域に形成される。ここで、絶縁膜127fにアクリル樹脂を用いる場合、現像液として、アルカリ性の溶液を用いることができ、例えば、TMAHを用いることができる。
続いて、現像時の残渣(いわゆるスカム)を除去してもよい。例えば、酸素プラズマを用いたアッシングを行うことで、残渣を除去できる。
なお、絶縁層127aの表面の高さを調整するために、エッチングを行ってもよい。絶縁層127aは、例えば、酸素プラズマを用いたアッシングにより加工してもよい。また、絶縁膜127fとして非感光性の材料を用いる場合においても、例えば当該アッシングにより、絶縁膜127fの表面の高さを調整できる。
続いて、図9(B)に示すように、絶縁層127aをマスクとして、エッチング処理を行って、無機絶縁膜125fの一部を除去し、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの一部の膜厚を薄くする。これにより、絶縁層127aの下に、無機絶縁層125が形成される。また、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの膜厚が薄い部分の表面が露出する。なお、以下では、絶縁層127aをマスクに用いたエッチング処理を、第1のエッチング処理ということがある。
第1のエッチング処理は、ドライエッチング又はウェットエッチングによって行うことができる。なお、無機絶縁膜125fを、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bと同様の材料を用いて成膜していた場合、第1のエッチング処理を一括で行うことができるため、好ましい。
側面がテーパ形状である絶縁層127aをマスクとしてエッチングを行うことで、無機絶縁層125の側面、及び犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの側面上端部を比較的容易にテーパ形状にすることができる。
ドライエッチングを行う場合、塩素系のガスを用いることが好ましい。塩素系ガスとしては、Cl、BCl、SiCl、及びCCl等を、単独又は2以上のガスを混合して用いることができる。また、上記塩素系ガスに、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス、及びアルゴンガス等を、単独又は2以上のガスを混合して、適宜添加できる。ドライエッチングを用いることにより、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの膜厚が薄い領域を、良好な面内均一性で形成できる。
ドライエッチング装置としては、高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。又は、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電圧を印加する構成でもよい。又は平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電圧を印加する構成でもよい。又は平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電圧を印加する構成でもよい。又は平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電圧を印加する構成でもよい。
また、ドライエッチングを行う場合、ドライエッチングで生じた副生成物等が、絶縁層127aの上面及び側面等に堆積する場合がある。このため、エッチングガスに含まれる成分、無機絶縁膜125fに含まれる成分、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bに含まれる成分等が、表示装置完成後の絶縁層127に含まれる場合がある。
また、第1のエッチング処理をウェットエッチングで行うことが好ましい。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bに加わるダメージを低減できる。例えば、ウェットエッチングは、アルカリ溶液を用いて行うことができる。例えば、酸化アルミニウム膜のウェットエッチングには、アルカリ溶液であるTMAHを用いることができる。この場合、パドル方式でウェットエッチングを行うことができる。なお、無機絶縁膜125fを、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bと同様の材料を用いて成膜していた場合、上記エッチング処理を一括で行うことができるため、好ましい。
第1のエッチング処理では、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを完全に除去せず、膜厚が薄くなった状態でエッチング処理を停止する。このように、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103B上に、対応する犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを残存させておくことで、後の工程の処理で、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bが損傷することを防ぐことができる。
続いて、基板全体に露光を行い、可視光線又は紫外線を絶縁層127aに照射することが好ましい。当該露光のエネルギー密度は、0mJ/cmより大きく、800mJ/cm以下とすることが好ましく、0mJ/cmより大きく、500mJ/cm以下とすることがより好ましい。現像後にこのような露光を行うことで、絶縁層127aの透明度を向上させることができる場合がある。また、後の工程における、絶縁層127aをテーパ形状に変形させる加熱処理に必要とされる基板温度を低下させることができる場合がある。
ここで、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bとして、酸素に対するバリア絶縁層(例えば、酸化アルミニウム膜等)が存在することで、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bに酸素が拡散することを低減できる。有機化合物層は、光(可視光線又は紫外線)が照射されると、当該有機化合物層に含まれる有機化合物が励起状態となり、雰囲気中に含まれる酸素との反応が促進される場合がある。より具体的には、酸素を有する雰囲気下において、光(可視光線又は紫外線)が有機化合物層に照射されると当該有機化合物層が有する有機化合物に酸素が結合する可能性がある。犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを島状の有機化合物層上に設けることによって、当該有機化合物層に含まれる有機化合物に雰囲気中の酸素が結合することを低減できる。
続いて、加熱処理(ポストベークともいう)を行う。加熱処理を行うことで、絶縁層127aを、側面にテーパ形状を有する絶縁層127に変形させることができる(図9(C))。当該加熱処理は、有機化合物層の耐熱温度よりも低い温度で行う。加熱処理は、基板温度として50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上130℃以下の温度で行うことができる。加熱雰囲気は、大気雰囲気であってもよく、不活性ガス雰囲気であってもよい。また、加熱雰囲気は、大気圧雰囲気であってもよく、減圧雰囲気であってもよい。本工程の加熱処理は、絶縁膜127fの形成後の加熱処理(プリベーク)よりも、基板温度を高くすることが好ましい。これにより、絶縁層127と無機絶縁層125との密着性を向上させ、絶縁層127の耐食性も向上させることができる。
第1のエッチング処理にて、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを完全に除去せず、膜厚が薄くなった状態の犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを残存させておくことで、当該加熱処理において、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bがダメージを受けて劣化することを防ぐことができる。従って、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
なお、絶縁層127の材料、並びに、ポストベークの温度、時間、及び雰囲気によっては、絶縁層127の側面に凹曲面形状が形成される場合がある。例えば、ポストベークの条件で、温度が高い、又は、時間が長いほど、絶縁層127の形状が変化しやすく、凹曲面形状が形成される場合がある。
続いて、図10(A)に示すように、絶縁層127をマスクとして、エッチング処理を行って、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの一部を除去する。なお、無機絶縁層125の一部も除去される場合がある。これにより、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bそれぞれに開口が形成され、有機化合物層103R、有機化合物層103G、有機化合物層103B、及び導電層152Cの上面が露出する。なお、以下では、絶縁層127をマスクに用いたエッチング処理を、第2のエッチング処理ということがある。
無機絶縁層125の端部は絶縁層127で覆われている。また、図10(A)では、犠牲層158Gの端部の一部(具体的には、第1のエッチング処理により形成されたテーパ形状の部分)を絶縁層127が覆い、第2のエッチング処理により形成されたテーパ形状の部分は露出している例を示す。
第1のエッチング処理を行わず、ポストベーク後に、一括で無機絶縁層125とマスク層のエッチング処理を行うと、サイドエッチングにより、絶縁層127の端部の下の無機絶縁層125及びマスク層が消失し、空洞が形成される場合がある。当該空洞によって、共通電極155を形成する面に凹凸が生じ、共通電極155に段切れが生じやすくなる。第1のエッチング処理で無機絶縁層125及びマスク層がサイドエッチングされて空洞が生じても、その後にポストベークを行うことで、絶縁層127が当該空洞を埋めることができる。その後、第2のエッチング処理ではより厚さが薄くなったマスク層をエッチングするため、サイドエッチングされる量が少なく、空洞が形成されにくくなり、空洞が形成されるとしても極めて小さくできる。このため、共通電極155を形成する面をより平坦にできる。
なお、絶縁層127は、犠牲層158Gの端部全体を覆っていてもよい。例えば、絶縁層127の端部が垂れて、犠牲層158Gの端部を覆う場合がある。また、例えば、絶縁層127の端部が、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bの少なくとも一つの上面に接する場合がある。前述の通り、現像後の絶縁層127aに露光を行わない場合には、絶縁層127の形状が変化しやすいことがある。
第2のエッチング処理はウェットエッチングで行う。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bに加わるダメージを低減できる。ウェットエッチングは、例えばTMAH等のアルカリ溶液を用いて行うことができる。
一方、ウェットエッチング法を用いて第2のエッチング処理を行う場合、例えば有機化合物層103と他の層との密着性の問題により、有機化合物層103と犠牲層158の間、有機化合物層103と無機絶縁層125の間、及び有機化合物層103と絶縁層175の界面に隙間が空いていると、第2のエッチング処理で用いる薬液が当該隙間に侵入し、薬液が画素電極と接触する場合がある。ここで、導電層151と導電層152の両方に薬液が接触すると、導電層151と導電層152のうち、自然電位が低い導電層がガルバニック腐食により腐食する場合がある。例えば、導電層151としてアルミニウムを用い、導電層152としてインジウムスズ酸化物を用いると、導電層152が腐食する場合がある。以上より、表示装置の歩留まりが低下する場合がある。また、表示装置の信頼性が低下する場合がある。
前述のように、導電層152を、導電層151の上面及び側面を覆うように形成すると、有機化合物層103と犠牲層158の間、有機化合物層103と無機絶縁層125の間、及び有機化合物層103と絶縁層175の界面に隙間が空いている場合であっても、第2のエッチング処理において薬液が導電層151に接触することを防ぐことができる。これにより、画素電極の腐食を防ぐことができ、例えば導電層152の腐食を防ぐことができる。
また、さらに、導電層151の側面と重なる領域を有するように絶縁層156を形成し、導電層151、及び絶縁層156を覆うように導電層152を形成することで、導電層152の段切れを防ぐことができるため、例えば第2のエッチング処理において薬液が導電層151に接触することを防ぐことができる。これにより、画素電極の腐食を防ぐことができ、例えば導電層152の腐食を防ぐことができる。
上記のように、絶縁層127、無機絶縁層125、犠牲層158R、犠牲層158G、及び、犠牲層158Bを設けることにより、各発光デバイス間において、共通電極155に、分断された箇所に起因する接続不良、及び局所的に膜厚が薄い箇所に起因する電気抵抗の上昇が発生することを抑制できる。これにより、本発明の一態様の表示装置は、表示品位を向上させることができる。
また、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bの一部を露出した後、さらに加熱処理を行う。当該加熱処理により、各有機化合物層に含まれる水、各有機化合物層表面に吸着する水等を除去することができる。また、当該加熱処理により、絶縁層127の形状が変化することがある。具体的には、絶縁層127が、無機絶縁層125の端部、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの端部、及び、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bの上面のうち、少なくとも一つを覆うように広がることがある。
当該加熱処理の温度が低すぎると、各有機化合物層に含まれる水、各有機化合物層表面に吸着する水等を十分に除去することができない。また、当該加熱処理の温度が高すぎると、有機化合物層103の劣化、および、絶縁層127の形状の過剰な変化が起きる可能性がある。従って、加熱処理は、有機化合物層103から水が脱離する温度より高く、有機化合物層103に含まれる有機化合物のガラス転移温度より低い温度が好ましく、有機化合物層103の上面に含まれる有機化合物のガラス転移温度より低い温度がより好ましい。具体的には、基板温度として80℃以上130℃以下、好ましくは90℃以上120℃以下、より好ましくは100℃以上120℃以下、さらに好ましくは100℃以上110℃以下の温度で行うことが好ましい。加熱雰囲気は、大気雰囲気であってもよく、不活性ガス雰囲気であってもよい。また、加熱雰囲気は、大気圧雰囲気であってもよく、減圧雰囲気であってもよいが、有機化合物層103から脱離した水が再吸着しないためには減圧雰囲気が好ましい。
当該加熱処理により、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bの劣化、および、絶縁層127の形状の過剰な変化を起こすことなく、各有機化合物層に含まれる水、各有機化合物層表面に吸着する水等を十分除去することができる。これによって、発光デバイスの特性の低下を防ぐことができる。
続いて、図10(B)に示すように、有機化合物層103R上、有機化合物層103G上、有機化合物層103B上、導電層152C上、及び絶縁層127上に共通層104および共通電極155を形成する。共通層104および共通電極155は、スパッタリング法、又は真空蒸着法等の方法で形成できる。蒸着法により共通層104を形成し、スパッタリング法により共通電極155を形成してもよい。
続いて、図10(C)に示すように、共通電極155上に保護層131を形成する。保護層131は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、又はALD法等の方法で形成できる。
続いて、樹脂層122を用いて、保護層131上に、基板120を貼り合わせることで、表示装置を作製できる。前述のように、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、導電層151の側面と重なる領域を有するように絶縁層156を設け、且つ導電層151及び絶縁層156を覆うように導電層152を形成する。これにより、表示装置の歩留まりを高め、また不良の発生を抑制できる。
以上のように、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、島状の有機化合物層103R、島状の有機化合物層103G、及び島状の有機化合物層103Bは、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、膜を一面に成膜した後に加工することで形成されるため、島状の層を均一の厚さで形成できる。そして、高精細な表示装置又は高開口率の表示装置を実現できる。また、精細度又は開口率が高く、副画素間の距離が極めて短くても、隣接する副画素において、有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び、有機化合物層103Bが互いに接することを抑制できる。従って、副画素間にリーク電流が発生することを抑制できる。これにより、クロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。また、リソグラフィ法を用いて作製されたタンデム型の発光デバイスを有する表示装置であっても、良好な特性の表示装置を提供することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の有機化合物を有機マスク膜として用いて、有機化合物膜を加工する方法を、図12および図13を示しながら説明する。
リソグラフィ法を用いて有機化合物膜の形状を加工するためには、多くの問題を乗り越える必要がある。これらの問題としては、例えば、有機化合物膜の大気暴露の影響、感光性樹脂を露光する際の光照射の影響、露光した感光性樹脂を現像する際に曝される現像液の影響、現像液の影響を低減させるために金属膜を形成する場合は金属膜成膜時の影響、などを挙げることができる。
これらの影響が問題視される理由は、有機化合物膜自体が消失する、有機化合物膜の表面がダメージを受けてその後作製されるデバイスの特性が大きく悪化する、などの事態が起こってしまうためである。
ここで、上述の問題を解決する一つの手段として、図11(A)のように無機マスク膜453を保護膜として有機化合物膜451上に接して設けたのち、上述したような問題となる工程を行う方法がある。無機マスク膜としては、例えば、酸化アルミニウム膜を用いる。酸化アルミニウム膜は緻密に成膜することが可能であり、液体および気体を遮断する能力が高いことから、上述の工程による悪影響を抑制することが可能となる。さらに、酸化アルミニウム膜は、有機化合物膜へのダメージが少ない方法により成膜および除去が可能であることから、有機化合物膜451を保護する無機マスク膜453として非常に好適である。
なお、酸化アルミニウム膜の成膜法としては、より緻密な膜の形成が可能であり、有機化合物膜へのダメージも小さい原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法が好ましい。
このように、酸化アルミニウム膜は、成膜する際および除去する際に有機化合物膜へ与えるダメージが比較的少ない膜であり、有機化合物膜をリソグラフィ法を用いて加工する際の保護膜として好適に使用できる。しかし、当然、有機化合物膜の表面が酸化アルミニウム膜の除去工程に過度に曝されると、図11(B)のように有機化合物膜451の表面451sがダメージを受け、デバイスの特性の悪化を招いてしまう場合がある。そのため、酸化アルミニウムの除去にかける時間はなるべく短いことが好ましい。
除去工程を必要最低限とするためには、無機マスク膜453が有機化合物膜上から無くなった時点で処理を終了すればよい。ところが、無機マスク膜453が有機化合物膜上から無くなったことの見極めは非常に難しく、また無機マスク膜453の膜質に面内ばらつきがある場合は、無機マスク膜453の除去工程であるエッチングにおいて、エッチングレートにも面内差が生まれ、図11(C)のように、ある一部分の無機マスク膜が除去できていたとしても、他の部分において無機マスク残渣453rが残ってしまうことがあった。特に、無機マスク膜453として、有機化合物膜451上にALD法で酸化アルミニウム膜を設ける場合、高い温度をかけて成膜することができないことから、上述のような面内ばらつきが起こりやすく、それに起因する除去残りである無機マスク残渣453rが部分的に発生する場合がある。有機化合物膜上に無機マスク膜が残存することで、後に作製するデバイスの駆動電圧が上昇してしまう恐れがあった。なお過剰にエッチングして除去残りである無機マスク残渣453rを全て除去しようとすると、周囲に存在する工程上残すべき無機マスク膜(除去しない無機マスク膜)がサイドエッチングされることが考えられるため、非常に好ましくない。
そこで、本発明の一態様では、有機化合物膜451と無機マスク膜453との間に、酸化アルミニウム膜の除去を容易とするための有機マスク膜452を用いるものとする。有機マスク膜452に、本発明の一態様の有機化合物を用いることができる。ただし、有機マスク膜452としては、水への溶解性が高い有機化合物を用いることがより好ましい。上述のように、本発明の一態様の有機化合物は、二環式グアニジン骨格の環員数によって水への溶解性が高まる場合がある。そのような場合に本発明の一態様の有機化合物を有機マスク膜452に用いるとより好ましい。
まず、下地膜450上に有機化合物膜451を形成する(図12(A))。下地膜は、この後作製するデバイスによって、絶縁膜であっても、導電膜であっても構わない。有機化合物膜451は蒸着法などの乾式法で形成しても、スピンコート法等の湿式法で形成してもよい。
次に、有機化合物膜451上に、実施の形態1で説明した本発明の一態様の有機化合物を含む有機マスク膜452を成膜する(図12(A))。有機マスク膜452は、真空蒸着法により形成されることが好ましい。
続いて、有機マスク膜452上に無機マスク膜453を形成する(図12(A))。無機マスク膜453は、有機化合物膜451と接する膜へのダメージが小さい方法により成膜することが好ましい。
無機マスク膜453上には、金属膜または金属化合物膜からなるハードマスクとなる膜454を形成することが好ましい(図12(B))。ハードマスクとなる膜454の成膜は、無機マスク膜453が存在することで有機化合物膜451へのダメージを抑制することが可能であることから、スパッタリング法など成膜される面へのダメージが比較的大きい成膜法を選択することができる。
なお、当該ハードマスクとなる膜454を構成する材料としては、例えばシリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、タングステン、チタン、モリブデン、タンタル、窒化タンタル、モリブデンとニオブを含む合金、モリブデンとタングステンを含む合金金属酸化物、またはインジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn酸化物、IGZOとも表記する)などの金属酸化物を用いることができる。さらに、酸化インジウム、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物)、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物)などを用いることができる。またはシリコンを含むインジウムスズ酸化物などを用いることもできる。
その後、ハードマスクとなる膜454上に感光性の樹脂を塗布し、樹脂膜455を成膜する。当該感光性の樹脂は、ポジ型のレジストでもネガ型のレジストでも構わない。
続いて、樹脂の感光性に合わせて露光を行い、現像することで、フォトマスク層455aを形成し(図12(D))、当該フォトマスク層455aを用いてハードマスクとなる膜454をエッチングして、ハードマスク層454aを形成する(図12(E))。
ハードマスクとなる膜454のエッチングは、ウェットエッチングで行っても良いし、ドライエッチングで行っても構わない。また、当該エッチングはハードマスクとなる膜454と無機マスク膜453において、ハードマスクとなる膜454の方の選択比が高い条件を選択して用いることが好ましい。
ハードマスク層454aを形成した後、フォトマスク層455aを除去する(図13(A))。ハードマスクとなる膜454および無機マスク膜453の存在によってフォトマスク層455aを形成および除去する際の処理で有機化合物膜451が消失する、ダメージを受けるなどの悪影響を受けず済むため、特性の良好な有機デバイスを作製することができる。
この後、ハードマスクとなる膜454をマスクとし、エッチングを行うことで、有機化合物層451a、有機マスク層452aおよび無機マスク層453aを形成する(図13(B))。これらのエッチングは、ウェットエッチングで行っても良いし、ドライエッチングで行っても構わないが、ドライエッチングで行うことが好ましい。
有機化合物層451aの加工が終了したら、ハードマスク層454aを除去する(図13(C))。ハードマスク層454aの除去はエッチングによって行えばよく、ウェットエッチングで行っても良いし、ドライエッチングで行っても構わないが、ドライエッチングで行うことが好ましい。当該エッチングはハードマスク層454aと無機マスク層453aにおいて、ハードマスク層454aの方の選択比が高い条件を選択して用いることが好ましい。
最後に、無機マスク層453aと有機マスク層452aとを、水または水を溶媒とした液体で処理することによって同時に除去する(図13(E))。
除去する方法としては、水または水を溶媒とした液体に一定時間浸漬した後、純水のシャワーで洗い流す。有機マスク膜452に、水への溶解性が高い有機化合物を用いる場合、これだけの工程でハードマスク層454aと有機マスク層452aとを除去することができる。除去に用いる液体は、水である方が有機化合物層451aへのダメージがより少ないために好ましい構成である。
なお、ハードマスク層454aを除去した後、有機マスク層452aを水または水を溶媒とした液体で処理する前に、無機マスク層453aをある程度除去しておいてもよい(図13(D))。無機マスク層453aの除去はエッチングによって行えばよく、ウェットエッチングで行っても良いし、ドライエッチングで行っても構わないが、アルカリ溶液または酸性溶液を用いたウェットエッチングで行うことが好ましく、アルカリ溶液を用いたウェットエッチングがさらに好ましい。有機マスク層452aがあることによって、有機化合物層451aの表面がアルカリ溶液または酸性溶液に曝されることがないため、特性の劣化を防ぐことができる。また、この際、無機マスク残渣453rが多少有機マスク層452aに残る程度に処理を行うことで、その後の有機マスク層452aを除去する工程をよりスムーズに行うことが可能となる。
また、有機マスク層452aに、電子注入性を有する本発明の一態様の有機化合物を用いることから、有機マスク膜452は完全に除去する必要はなく、一部、または全面に残留していてもよい。
このような工程で加工された有機化合物層451aは、加工によるダメージが小さいことから、特性の良好な有機デバイスとすることができる。また、有機化合物層451aの表面に無機マスク残渣453rが残ることを抑制することができるので、この後に作製する有機デバイスの高電圧化を防ぐことができる。
本実施の形態の構成は、他の実施の形態の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について説明する。
本実施の形態の表示装置は、高精細な表示装置とすることができる。従って、本実施の形態の表示装置は、例えば、腕時計型、及び、ブレスレット型等の情報端末機(ウェアラブル機器)の表示部、並びに、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等のVR向け機器、及び、メガネ型のAR向け機器等の頭部に装着可能なウェアラブル機器の表示部に用いることができる。
また、本実施の形態の表示装置は、高解像度な表示装置又は大型な表示装置とすることができる。従って、本実施の形態の表示装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ、及び、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、及び、音響再生装置の表示部に用いることができる。
[表示モジュール]
図14(A)に、表示モジュール280の斜視図を示す。表示モジュール280は、表示装置100Aと、FPC290と、を有する。
表示モジュール280は、基板291及び基板292を有する。表示モジュール280は、表示部281を有する。表示部281は、表示モジュール280における画像を表示する領域であり、後述する画素部284に設けられる各画素からの光を視認できる領域である。
図14(B)に、基板291側の構成を模式的に示した斜視図を示している。基板291上には、回路部282と、回路部282上の画素回路部283と、画素回路部283上の画素部284と、が積層されている。また、基板291上の画素部284と重ならない部分に、FPC290と接続するための端子部285が設けられている。端子部285と回路部282とは、複数の配線により構成される配線部286により電気的に接続されている。
画素部284は、周期的に配列した複数の画素284aを有する。図14(B)の右側に、1つの画素284aの拡大図を示している。画素284aには、先の実施の形態で説明した各種構成を適用できる。図14(B)では、画素284aが図3に示す画素178と同様の構成を有する場合を例に示す。
画素回路部283は、周期的に配列した複数の画素回路283aを有する。
1つの画素回路283aは、1つの画素284aが有する複数の素子の駆動を制御する回路である。1つの画素回路283aは、1つの発光デバイスの発光を制御する回路が3つ設けられる構成とすることができる。例えば、画素回路283aは、1つの発光デバイスにつき、1つの選択トランジスタと、1つの電流制御用トランジスタ(駆動トランジスタ)と、容量と、を少なくとも有する構成とすることができる。このとき、選択トランジスタのゲートにはゲート信号が、ソース又はドレインにはビデオ信号が、それぞれ入力される。これにより、アクティブマトリクス型の表示装置が実現されている。
回路部282は、画素回路部283の各画素回路283aを駆動する回路を有する。例えば、ゲート線駆動回路、及び、ソース線駆動回路の一方又は双方を有することが好ましい。このほか、演算回路、メモリ回路、及び電源回路等の少なくとも一つを有していてもよい。
FPC290は、外部から回路部282にビデオ信号又は電源電位等を供給するための配線として機能する。また、FPC290上にICが実装されていてもよい。
表示モジュール280は、画素部284の下側に画素回路部283及び回路部282の一方又は双方が積層された構成とすることができるため、表示部281の開口率(有効表示面積比)を極めて高くすることができる。例えば表示部281の開口率は、40%以上100%未満、好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上95%以下とすることができる。また、画素284aを極めて高密度に配置することが可能で、表示部281の精細度を極めて高くすることができる。例えば、表示部281には、2000ppi以上、好ましくは3000ppi以上、より好ましくは5000ppi以上、さらに好ましくは6000ppi以上であって、20000ppi以下、又は30000ppi以下の精細度で、画素284aが配置されることが好ましい。
このような表示モジュール280は、極めて高精細であることから、HMD等のVR向け機器又はメガネ型のAR向け機器に好適に用いることができる。例えば、レンズを通して表示モジュール280の表示部を視認する構成の場合であっても、表示モジュール280は極めて高精細な表示部281を有するためにレンズで表示部を拡大しても画素が視認されず、没入感の高い表示を行うことができる。また、表示モジュール280はこれに限られず、比較的小型の表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。例えば腕時計等の装着型の電子機器の表示部に好適に用いることができる。
[表示装置100A]
図15(A)に示す表示装置100Aは、基板301、発光デバイス130R、発光デバイス130G、発光デバイス130B、容量240、及び、トランジスタ310を有する。
基板301は、図14(A)及び図14(B)における基板291に相当する。トランジスタ310は、基板301にチャネル形成領域を有するトランジスタである。基板301としては、例えば単結晶シリコン基板等の半導体基板を用いることができる。トランジスタ310は、基板301の一部、導電層311、低抵抗領域312、絶縁層313、及び、絶縁層314を有する。導電層311は、ゲート電極として機能する。絶縁層313は、基板301と導電層311の間に位置し、ゲート絶縁層として機能する。低抵抗領域312は、基板301に不純物がドープされた領域であり、ソース又はドレインとして機能する。絶縁層314は、導電層311の側面を覆って設けられる。
また、基板301に埋め込まれるように、隣接する2つのトランジスタ310の間に素子分離層315が設けられている。
また、トランジスタ310を覆って絶縁層261が設けられ、絶縁層261上に容量240が設けられている。
容量240は、導電層241と、導電層245と、これらの間に位置する絶縁層243を有する。導電層241は、容量240の一方の電極として機能し、導電層245は、容量240の他方の電極として機能し、絶縁層243は、容量240の誘電体として機能する。
導電層241は絶縁層261上に設けられ、絶縁層254に埋め込まれている。導電層241は、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層243は導電層241を覆って設けられる。導電層245は、絶縁層243を介して導電層241と重なる領域に設けられている。
容量240を覆って、絶縁層255が設けられ、絶縁層255上に絶縁層174が設けられ、絶縁層174上に絶縁層175が設けられている。絶縁層175上に発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130Bが設けられている。図15(A)では、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130Bが図6(A)に示す積層構造を有する例を示す。隣り合う発光デバイスの間の領域には、絶縁物が設けられる。例えば図15(A)では、当該領域に無機絶縁層125と、無機絶縁層125上の絶縁層127と、が設けられている。
発光デバイス130Rが有する導電層151Rの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Rが設けられ、発光デバイス130Gが有する導電層151Gの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Gが設けられ、発光デバイス130Bが有する導電層151Bの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Bが設けられる。また、導電層151R及び絶縁層156Rを覆うように導電層152Rが設けられ、導電層151G及び絶縁層156Gを覆うように導電層152Gが設けられ、導電層151B及び絶縁層156Bを覆うように導電層152Bが設けられる。さらに、発光デバイス130Rが有する有機化合物層103R上には、犠牲層158Rが位置し、発光デバイス130Gが有する有機化合物層103G上には、犠牲層158Gが位置し、発光デバイス130Bが有する有機化合物層103B上には、犠牲層158Bが位置する。
導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bは、絶縁層243、絶縁層255、絶縁層174、及び絶縁層175に埋め込まれたプラグ256、絶縁層254に埋め込まれた導電層241、及び、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層175の上面の高さと、プラグ256の上面の高さは、一致又は概略一致している。プラグには各種導電材料を用いることができる。
また、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130B上には保護層131が設けられている。保護層131上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。発光デバイス130から基板120までの構成要素についての詳細は、実施の形態3を参照できる。基板120は、図14(A)における基板292に相当する。
図15(B)は、図15(A)に示す表示装置100Aの変形例である。図15(B)に示す表示装置は、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを有し、発光デバイス130が着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bのうち一つと重なる領域を有する。図15(B)に示す表示装置において、発光デバイス130は、例えば白色光を発することができる。また、例えば着色層132Rは赤色の光を透過し、着色層132Gは緑色の光を透過し、着色層132Bは青色の光を透過できる。
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を有する。本発明の一態様の表示装置は信頼性が高く、また高精細化及び高解像度化が容易である。従って、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、等が挙げられる。
特に、本発明の一態様の表示装置は、精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば、腕時計型及びブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)、並びに、ヘッドマウントディスプレイ等のVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、及び、MR向け機器等、頭部に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
本発明の一態様の表示装置は、HD(画素数1280×720)、FHD(画素数1920×1080)、WQHD(画素数2560×1440)、WQXGA(画素数2560×1600)、4K(画素数3840×2160)、8K(画素数7680×4320)といった極めて高い解像度を有していることが好ましい。特に4K、8K、又はそれ以上の解像度とすることが好ましい。また、本発明の一態様の表示装置における画素密度(精細度)は、100ppi以上が好ましく、300ppi以上が好ましく、500ppi以上がより好ましく、1000ppi以上がより好ましく、2000ppi以上がより好ましく、3000ppi以上がより好ましく、5000ppi以上がより好ましく、7000ppi以上がさらに好ましい。このように高い解像度及び高い精細度の一方又は双方を有する表示装置を用いることで、携帯型又は家庭用途等のパーソナルユースの電子機器において、臨場感及び奥行き感等をより高めることが可能となる。また、本発明の一態様の表示装置の画面比率(アスペクト比)については、特に限定はない。例えば、表示装置は、1:1(正方形)、4:3、16:9、及び16:10等様々な画面比率に対応できる。
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す機能等を有することができる。
図16(A)乃至図16(D)を用いて、頭部に装着可能なウェアラブル機器の一例を説明する。これらウェアラブル機器は、ARのコンテンツを表示する機能、VRのコンテンツを表示する機能、SRのコンテンツを表示する機能、MRのコンテンツを表示する機能のうち少なくとも一つを有する。電子機器が、AR、VR、SR、及びMR等の少なくとも一つのコンテンツを表示する機能を有することで、使用者の没入感を高めることが可能となる。
図16(A)に示す電子機器700A、及び、図16(B)に示す電子機器700Bは、それぞれ、一対の表示パネル751と、一対の筐体721と、通信部(図示しない)と、一対の装着部723と、制御部(図示しない)と、撮像部(図示しない)と、一対の光学部材753と、フレーム757と、一対の鼻パッド758と、を有する。
表示パネル751には、本発明の一態様の表示装置を適用できる。従って信頼性が高い電子機器とすることができる。
電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、光学部材753の表示領域756に、表示パネル751で表示した画像を投影できる。光学部材753は透光性を有するため、使用者は光学部材753を通して視認される透過像に重ねて、表示領域に表示された画像を見ることができる。従って、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、AR表示が可能な電子機器である。
電子機器700A、及び、電子機器700Bには、撮像部として、前方を撮像することのできるカメラが設けられていてもよい。また、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、ジャイロセンサ等の加速度センサを備えることで、使用者の頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域756に表示することもできる。
通信部は無線通信機を有し、当該無線通信機により例えば映像信号を供給できる。なお、無線通信機に代えて、又は無線通信機に加えて、映像信号及び電源電位が供給されるケーブルを接続可能なコネクタを備えていてもよい。
また、電子機器700A、及び、電子機器700Bには、バッテリが設けられており、無線及び有線の一方又は双方によって充電できる。
筐体721には、タッチセンサモジュールが設けられていてもよい。タッチセンサモジュールは、筐体721の外側の面がタッチされることを検出する機能を有する。タッチセンサモジュールにより、使用者のタップ操作又はスライド操作等を検出し、様々な処理を実行できる。例えば、タップ操作によって動画の一時停止又は再開等の処理を実行することが可能となり、スライド操作により、早送り又は早戻しの処理を実行すること等が可能となる。また、2つの筐体721のそれぞれにタッチセンサモジュールを設けることで、操作の幅を広げることができる。
タッチセンサモジュールとしては、様々なタッチセンサを適用できる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式、又は光学方式等、種々の方式を採用できる。特に、静電容量方式又は光学方式のセンサを、タッチセンサモジュールに適用することが好ましい。
光学方式のタッチセンサを用いる場合には、受光素子として、光電変換デバイス(光電変換素子ともいう)を用いることができる。光電変換デバイスの活性層には、無機半導体及び有機半導体の一方又は双方を用いることができる。
図16(C)に示す電子機器800A、及び、図16(D)に示す電子機器800Bは、それぞれ、一対の表示部820と、筐体821と、通信部822と、一対の装着部823と、制御部824と、一対の撮像部825と、一対のレンズ832と、を有する。
表示部820には、本発明の一態様の表示装置を適用できる。従って信頼性が高い電子機器とすることができる。
表示部820は、筐体821の内部の、レンズ832を通して視認できる位置に設けられる。また、一対の表示部820に異なる画像を表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、VR向けの電子機器ということができる。電子機器800A又は電子機器800Bを装着した使用者は、レンズ832を通して、表示部820に表示される画像を視認できる。
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、レンズ832及び表示部820が、使用者の目の位置に応じて最適な位置となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが好ましい。また、レンズ832と表示部820との距離を変えることで、ピントを調整する機構を有していることが好ましい。
装着部823により、使用者は電子機器800A又は電子機器800Bを頭部に装着できる。なお、例えば図16(C)においては、メガネのつる(ジョイント、又はテンプル等ともいう)のような形状として例示しているがこれに限定されない。装着部823は、使用者が装着できればよく、例えば、ヘルメット型又はバンド型の形状としてもよい。
撮像部825は、外部の情報を取得する機能を有する。撮像部825が取得したデータは、表示部820に出力できる。撮像部825には、イメージセンサを用いることができる。また、望遠、及び広角等の複数の画角に対応可能なように複数のカメラを設けてもよい。
なお、ここでは撮像部825を有する例を示したが、対象物の距離を測定することのできる測距センサ(以下、検知部ともよぶ)を設ければよい。すなわち、撮像部825は、検知部の一態様である。検知部としては、例えばイメージセンサ、又は、ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)等の距離画像センサを用いることができる。カメラによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを用いることにより、より多くの情報を取得し、より高精度なジェスチャー操作を可能とすることができる。
電子機器800Aは、骨伝導イヤフォンとして機能する振動機構を有していてもよい。例えば、表示部820、筐体821、及び装着部823のいずれか一又は複数に、当該振動機構を有する構成を適用できる。これにより、別途、ヘッドフォン、イヤフォン、又はスピーカ等の音響機器を必要とせず、電子機器800Aを装着しただけで映像と音声を楽しむことができる。
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、入力端子を有していてもよい。入力端子には映像出力機器等からの映像信号、及び、電子機器内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供給するケーブルを接続できる。
本発明の一態様の電子機器は、イヤフォン750と無線通信を行う機能を有していてもよい。イヤフォン750は、通信部(図示しない)を有し、無線通信機能を有する。イヤフォン750は、無線通信機能により、電子機器から情報(例えば音声データ)を受信できる。例えば、図16(A)に示す電子機器700Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。また、例えば、図16(C)に示す電子機器800Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。
また、電子機器がイヤフォン部を有していてもよい。図16(B)に示す電子機器700Bは、イヤフォン部727を有する。例えば、イヤフォン部727と制御部とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部727と制御部とをつなぐ配線の一部は、筐体721又は装着部723の内部に配置されていてもよい。
同様に、図16(D)に示す電子機器800Bは、イヤフォン部827を有する。例えば、イヤフォン部827と制御部824とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部827と制御部824とをつなぐ配線の一部は、筐体821又は装着部823の内部に配置されていてもよい。また、イヤフォン部827と装着部823とがマグネットを有していてもよい。これにより、イヤフォン部827を装着部823に磁力によって固定でき、収納が容易となり好ましい。
なお、電子機器は、イヤフォン又はヘッドフォン等を接続できる音声出力端子を有していてもよい。また、電子機器は、音声入力端子及び音声入力機構の一方又は双方を有していてもよい。音声入力機構としては、例えば、マイク等の集音装置を用いることができる。電子機器が音声入力機構を有することで、電子機器に、いわゆるヘッドセットとしての機能を付与してもよい。
このように、本発明の一態様の電子機器としては、メガネ型(電子機器700A、及び、電子機器700B等)と、ゴーグル型(電子機器800A、及び、電子機器800B等)と、のどちらも好適である。
また、本発明の一態様の電子機器は、有線又は無線によって、イヤフォンに情報を送信できる。
図17(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用できる。従って信頼性が高い電子機器とすることができる。
図17(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、及びバッテリ6518等が配置されている。
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用できる。このため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
図17(C)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7171に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7173により筐体7171を支持した構成を示している。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用できる。従って信頼性が高い電子機器とすることができる。
図17(C)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7171が備える操作スイッチ、及び、別体のリモコン操作機7151により行うことができる。又は、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7151は、当該リモコン操作機7151から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7151が備える操作キー又はタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作できる。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデム等を備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者同士等)の情報通信を行うことも可能である。
図17(D)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、及び外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用できる。従って信頼性が高い電子機器とすることができる。
図17(E)及び図17(F)に、デジタルサイネージの一例を示す。
図17(E)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
図17(F)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
図17(E)及び図17(F)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用できる。従って信頼性が高い電子機器とすることができる。
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像又は動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作でき、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報等の情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
また、図17(E)及び図17(F)に示すように、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400は、使用者が所持するスマートフォン等の情報端末機7311又は情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311又は情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数の使用者が同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
本実施例では、本発明の一態様の有機化合物の物性および合成方法について説明する。具体的には、実施の形態1において構造式(100)で示す、1-(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール(略称:2tiiSF)の合成方法について説明する。2tiiSFの構造を以下に示す。
<2tiiSFの合成>
200mL三口フラスコに、1.2g(3.1mmol)の2-ブロモ-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]、1.1g(9.5mmol)のカリウム-tert-ブトキシド、32mg(0.14mmol)の酢酸パラジウム、0.13g(0.20mmol)の(±)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(略称:rac-BINAP)を加え、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に10mLの脱水トルエンを加え、この溶液を減圧脱気し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に0.50g(3.4mmol)の2,3,5,6-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾールを加え、90℃で14時間加熱攪拌した。反応終了後、室温まで放冷し、500mL三角フラスコに移し、トルエンを300mL加えて120℃で30分間攪拌しながら還流させた。この後、溶液が冷める前に吸引ろ過し、固体を取り除いた。得られたろ液を濃縮し、淡黄色固体を得た。得られた淡黄色固体にトルエンを加えて再結晶させ、吸引ろ過によって目的物である白色固体を0.92g、収率70%で得た。2tiiSFの合成スキームを下記(a-1)に示す。
得られた固体0.70gをトレインサブリメーション法によって昇華精製した。昇華精製は、アルゴン流量5mL/min、圧力3.3Pa、225℃で18時間加熱して行った。昇華精製後、白色固体を0.60g、回収率86%で得た。
また、昇華精製後の2tiiSFの核磁気共鳴分光法(H NMR)のチャートを図18(A)乃至図18(C)に示す。この結果からも、2tiiSFが得られたことを確認した。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=8.30(dd,J=8.6Hz,2.1Hz,1H),7.85-7.75(m,4H),7.36(t,J=7.5Hz,1H),7.30(d,J=8.6Hz,1H),7.11(t,J=4.8Hz,2H),7.01(t,J=7.5Hz,1H),6.74(d,J=7.8Hz,2H),6.63(d,J=7.5Hz,1H),6.30(d,J=2.1Hz,1H),4.04(t,J=7.5Hz,2H),3.86(t,J=7.5Hz,2H),3.10-3.02(m,4H).
次に、2tiiSFのトルエン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V770型)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、分光蛍光光度計((株)日本分光製 FP-8600)を用いた。得られたトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定結果を図19に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。
図19より、2tiiSFのトルエン溶液では、307nm付近に吸収ピークが見られ、340nmおよび355nm付近に発光ピークが見られた。
次に、2tiiSFのTを測定した。Tは、示差走査熱量測定装置((株)パーキンエルマージャパン製 DSC8500)を用いて測定した。アルミセルに粉末を乗せ、ホットプレートであらかじめ溶融させた後、40℃/minの条件で昇温し、測定した。
また、比較例として、2tiiSFのテトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール骨格(以下tii骨格)をヘキサヒドロ-2H-ピリミド[1,2-a]ピリミジン骨格(以下hpp骨格)に置き換えた、1-(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド[1,2-a]ピリミジン(以下、2hppSFとよぶ)のT測定を行った。2hppSFの構造式を以下に示す。
この結果、2tiiSFのTは122℃であり、比較化合物2hppSFのTは98℃であった。このことから、hpp骨格をtii骨格に置き換えることにより、有機化合物のTを高くすることができるとわかった。よって、tii骨格はhpp骨格よりも熱に対する耐性が高い骨格であると推測される。
ここで、比較化合物2hppSFのH NMRのケミカルシフトは、図25(A)乃至図25(C)に示すように、最大でも7.81ppmであるのに対して、2tiiSFのH NMRのケミカルシフトは、最大で8.30ppmと低磁場シフトしていた。このことから、2tiiSFにおいては、2hppSFから単に二環式グアニジン骨格の炭素数が変わった以上の構造変化が起きていると考えることができる。
2tiiSFのH NMRのケミカルシフト8.30ppmのピークは、そのカップリング定数、プロトン数から、9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]の3位のプロトンに由来していると考えられる。このプロトンが2hppSFと比較して大きく低磁場シフトしているとすると、隣接する二環式グアニジン骨格と、下記化学式で示すように、分子内水素結合を形成していることが推測される。
このことから、hpp骨格をtii骨格に置き換えることにより、有機化合物のTを高くすることができた理由として、二環式グアニジン骨格の環員数を変更することにより、分子内水素結合がしやすくなって有機化合物がより剛直となったと考えられる。一方で、2tiiSFは2つのフルオレン骨格が直交する配置をとるスピロ骨格を分子構造内に有する。そのため嵩高い部分構造(直交する2つのフルオレン骨格)を有することから、剛直な部分構造(フルオレン骨格とtii骨格が水素結合により平面性の高い剛直な骨格となる)を有するとしても、結晶性が高まることを抑制することができる分子構造であると考えられる。
また、計算により2tiiSFおよび比較化合物2hppSFのpKaを求めた。なお、以下の計算方法を用いて、酸解離定数pKaを求めた。
計算モデルとなる各分子における分子構造の初期構造は、第一原理計算から得られた最安定構造(一重項基底状態)とした。
なお、上記第一原理計算としては、シュレディンガー社製量子化学計算ソフトウェアのJaguarを使用し、一重項基底状態における最安定構造を密度汎関数法(DFT)で計算した。基底関数としては6-31G**を用い、汎関数はB3LYP-D3を用いた。量子化学計算を行う構造は、シュレディンガー社製Maestro GUIを用い、Mixed torsional/Low-mode samplingにて立体配座解析を行いサンプリングした。
pKa計算では各分子の1つ以上の原子を塩基性サイトとして指定し、プロトン化した分子の水中での安定構造探索のためMacro Modelを使用し、OPLS2005力場を用いた配座探索を行い、最も低エネルギーの配座異性体を使用した。JaguarのpKa計算モジュールを使用し、B3LYP/6-31G*で構造最適化した後、ccpVTZ(+)で一点計算し、官能基に対する経験的補正を用いてpKa値を算出した。1つ以上の原子を塩基性サイトとして指定している分子では、得られた結果のうち最も大きい値をpKa値として採用した。
得られたpKaの値は、2tiiSFは9.01、比較化合物2hppSFは13.95と、大きく異なり、2tiiSFの塩基性は比較化合物2hppSFよりも低下したことがわかった。
上記したように、2tiiSFにおいては、分子内水素結合が存在すると考えられる。二環式グアニジン骨格の窒素原子が水素結合に寄与することで新たにプロトンを受け取りにくくなり、計算結果のように、塩基性が低下したと説明することができる。
また、有機化合物の塩基性を低下させることで、有機化合物の水溶性を低下させることができることから、2tiiSFの水溶性を比較化合物2hppSFよりも低下させることができたと推測することができる。2tiiSFの水溶性の測定結果については、実施例2にて説明する。
本実施例では、本発明の一態様の表示装置に用いることができる有機化合物の溶解度について説明する。なお、本試験は、1気圧、室温(RT)にて行った。
<2tiiSFの溶解度試験>
1.22mgの2tiiSFを、サンプル瓶(容量110mL)へいれ、水10mLを加えた。この混合物へ超音波を1分間照射した。目視で溶け残りがあるか確認したところ、白色粉末の沈殿が確認された。更に10mLの水を加え、1分間の超音波照射を行い目視で確認したところ、白色粉末の沈殿が確認された。これを繰り返し目視で溶解が確認されるまで続けた。
合計の水の量が100mLまで、白色粉末の沈殿が確認された。
以上の結果から、目視による溶解度試験からは少なくとも1.0mLの水に溶解する2tiiSFの重量は0.012mg未満であることが分かった。ここから、水に対する2tiiSFの溶解度は、重量分率で1.2×10-5未満であると換算できる。
(参考例1)
<2hppSFの溶解度試験>
1.08mgの2hppSFをサンプル瓶(容量110mL)へいれ、水10mLを加えた。この混合物へ超音波を1分間照射した。目視で溶け残りがあるか確認したところ、白色粉末の沈殿が確認された。更に10mLの水を加え、1分間の超音波照射を行い目視で確認したところ、白色粉末の沈殿が確認された。これを繰り返し目視で溶解が確認されるまで続けた。
合計の水の量が50mLまでは、白色粉末の沈殿が確認された。更に10mLの水を加えて超音波を照射したところ、白色粉末の沈殿は確認されなかった。
以上の結果から、1.0mLの水に溶解する2hppSFの重量は0.018mg以上0.022mg未満であることが分かった。なお、水に対する2hppSFの溶解度は、重量分率で1.8×10-5以上2.2×10-5未満であると換算できる。
以上の結果から、2tiiSFの水に対する溶解度は、2hppSFの水に対する溶解度よりも小さいことがわかった。このことから、hpp骨格を、tii骨格に置き換えることにより、有機化合物の水に対する溶解度を低くすることができるとわかった。すなわち、二環式グアニジン骨格の環員数を変更することにより、有機化合物の水に対する溶解度を制御することができるとわかった。
また、上記したように、2tiiSFにおいては、分子内水素結合が存在すると考えられることから、二環式グアニジン骨格の窒素原子が新たにプロトンを受け取りにくくなり、有機化合物の塩基性が低下した結果、有機化合物の水に対する溶解度を低くすることができた、と考えられる。
従って、本発明の一態様の有機化合物は、水に対する溶解度が低い有機化合物であることがわかった。従って、本発明の一態様の有機化合物を用いた発光デバイスの作製工程において、水を用いた処理を含む場合であっても、当該有機化合物を含む層が溶解する、当該有機化合物を用いた層へ薬液が浸透するなどの問題を防ぐことができる。従って、本発明の一態様の有機化合物は、作製プロセスに水を用いた処理を含む発光デバイスに用いるのに好適であるといえる。
本実施例では、本発明の一態様の有機化合物である、2tiiSF(構造式(100))を用いた発光デバイスである、発光デバイス1について説明する。発光デバイス1に用いた有機化合物の構造式を以下に示す。
(発光デバイス1の作製方法)
まず、ガラス基板上に、反射電極として、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)を含む合金(略称:APC)をスパッタリング法により、100nmの膜厚で成膜した後、透明電極として酸化ケイ素を含むインジウムスズ酸化物(ITSO)をスパッタリング法により、100nmの膜厚で成膜して第1の電極101を形成した。なお、その電極面積は4mm(2mm×2mm)とした。なお、透明電極は陽極として機能し、上記反射電極と合わせて第1の電極とみなすことができる。
次に、基板上に発光デバイスを形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、1×10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の加熱処理を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定し、第1の電極上に、蒸着法によりN-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、および分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料(OCHD-003)を、重量比で1:0.03(=PCBBiF:OCHD-003)となるように10nm共蒸着して正孔注入層を形成した。
正孔注入層上に、PCBBiFを60nm蒸着し、第1の正孔輸送層を形成した。
続いて、第1の正孔輸送層上に、4,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)、9-(2-ナフチル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:βNCCP)および[2-d-メチル-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)(mbfpypy-d))を、重量比で0.5:0.5:0.1(=4,8mDBtP2Bfpm:βNCCP:Ir(ppy)(mbfpypy-d))となるように40nm共蒸着して第1の発光層を形成した。
次に、2-{3-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mPCCzPDBq)を10nmとなるように蒸着した後、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)を15nmとなるように蒸着して、第1の電子輸送層を形成した。
第1の電子輸送層の形成後、mPPhen2Pと、本発明の一態様の有機化合物である2tiiSFとを、重量比で1:1(=mPPhen2P:2tiiSF)となるように5nm共蒸着して、第1の層を形成した。次に、銅フタロシアニン(略称:CuPc)を2nmとなるように成膜することにより、第1の層と第2の層との間に電子の授受をスムーズにするための第3の層を形成した。さらに、PCBBiFとOCHD-003とを、重量比で1:0.15(=PCBBiF:OCHD-003)となるように10nm共蒸着して第2の層を形成することにより、第1の層、第3の層、および第2の層を有する中間層を形成した。
次に、中間層上に、PCBBiFを40nm蒸着し、第2の正孔輸送層を形成した。
第2の正孔輸送層上に、4,8mDBtP2Bfpmと、βNCCPと、Ir(ppy)(mbfpypy-d)とを、重量比で0.5:0.5:0.1(=4,8mDBtP2Bfpm:βNCCP:Ir(ppy)(mbfpypy-d))となるように40nm共蒸着して第2の発光層を形成した。
その後、2mPCCzPDBqを20nmとなるように蒸着し、さらにmPPhen2Pを20nmとなるように蒸着して第2の電子輸送層を形成した。
第2の電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)とイッテルビウム(Yb)とを体積比で2:1(=LiF:Yb)となるように1.5nm共蒸着して電子注入層を形成し、最後に、銀(Ag)とマグネシウム(Mg)とを体積比1:0.1、膜厚15nmとなるように共蒸着することで第2の電極を形成して発光デバイス1を作製した。
第2の電極は光を反射する機能と光を透過する機能とを有する半透過・半反射電極であり、本実施例の発光デバイスは第2の電極から光を取り出すトップエミッション型で、タンデム型の発光デバイスである。また、第2の電極上にはキャップ層として、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)を70nm蒸着して、取出し効率を向上させている。
発光デバイス1のデバイス構造を以下の表にまとめた。
上記発光デバイス1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光デバイスが大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(UV硬化性のシール材を素子の周囲への塗布、発光デバイスには照射しないようにシール材のみにUVを照射する処理、大気圧下で80℃にて1時間熱処理)を行った。その後、さらに、2mA(50mA/cm)の電流をかけ定電流駆動を1時間行ってから、発光デバイス1の特性について測定を行った。
発光デバイス1の輝度-電流密度特性を図20に、電流効率-輝度特性を図21に、輝度-電圧特性を図22に、電流密度-電圧特性を図23に、電界発光スペクトルを図24に示す。また、輝度1000cd/m付近における主な特性を下記表に示す。なお、輝度、CIE色度、及び電界発光スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用い、常温で測定した。
図20乃至図24および上記表より、発光デバイス1は、Ir(ppy)(mbfpypy-d)に由来する緑色発光を示し、良好な発光特性を有する発光デバイスであることが明らかとなった。また、発光デバイス1は、電流効率の最大値が200cd/Aを超えており、タンデム型の発光デバイスとして駆動していると言える。従って、本発明の一態様の有機化合物を中間層に用いることにより、良好な特性の発光デバイスを作製することができることがわかった。
実施例2で示したように、本発明の一態様の有機化合物は、水に対する溶解度が低い有機化合物であることから、本発明の一態様の有機化合物を用いた発光デバイスの作製工程において、水を用いた処理を含む場合であっても、当該有機化合物を含む層が溶解する、当該有機化合物を用いた層へ薬液が浸透するなどの問題を防ぐことができる。さらに、本実施例では、本発明の一態様の有機化合物を発光デバイスの中間層に用いることにより、良好な発光デバイスを作製することができるとわかった。これらのことから、本発明の一態様の有機化合物を、作製プロセスに水を用いた処理を含む発光デバイスの中間層に用いることによって、水への溶解性の高い有機化合物を中間層に用いた場合と比較して、発光デバイスの特性の低下、形状不良などを防ぎ、良好な特性の発光デバイスを作製することができるといえる。
100A 表示装置
100 表示装置
101 第1の電極
101a 第1の電極
101b 第1の電極
102 第2の電極
103 有機化合物層
103a 有機化合物層
103b 有機化合物層
103B 有機化合物層
103Bf 有機化合物膜
103G 有機化合物層
103Gf 有機化合物膜
103R 有機化合物層
103Rf 有機化合物膜
104 共通層
110B 副画素
110G 副画素
110R 副画素
110 副画素
111 正孔注入層
111a 正孔注入層
111b 正孔注入層
112 正孔輸送層
112_1 第1の正孔輸送層
112a_1 第1の正孔輸送層
112b_1 第1の正孔輸送層
112_2 第2の正孔輸送層
112a_2 第2の正孔輸送層
112b_2 第2の正孔輸送層
113_1 第1の発光層
113a_1 第1の発光層
113b_1 第1の発光層
113_2 第2の発光層
113a_2 第2の発光層
113b_2 第2の発光層
113 発光層
114 電子輸送層
114_1 第1の電子輸送層
114a_1 第1の電子輸送層
114b_1 第1の電子輸送層
114_2 第2の電子輸送層
114a_2 第2の電子輸送層
114b_2 第2の電子輸送層
115 電子注入層
116_1 第1の中間層
116_2 第2の中間層
116 中間層
116a 中間層
116b 中間層
117 第2の層
117a 第2の層
117b 第2の層
118 第3の層
118a 第3の層
118b 第3の層
119 第1の層
119a 第1の層
119b 第1の層
120 基板
122 樹脂層
125f 無機絶縁膜
125 無機絶縁層
127a 絶縁層
127f 絶縁膜
127 絶縁層
130B 発光デバイス
130G 発光デバイス
130R 発光デバイス
130 発光デバイス
130a 発光デバイス
130b 発光デバイス
131 保護層
132B 着色層
132G 着色層
132R 着色層
140 接続部
141 領域
151a 導電層
151B 導電層
151b 導電層
151C 導電層
151c 導電層
151f 導電膜
151G 導電層
151R 導電層
151 導電層
152a 導電層
152B 導電層
152b 導電層
152C 導電層
152c 導電層
152f 導電膜
152G 導電層
152R 導電層
152 導電層
155 共通電極
156B 絶縁層
156C 絶縁層
156f 絶縁膜
156G 絶縁層
156R 絶縁層
156 絶縁層
158 犠牲層
158B 犠牲層
158Bf 犠牲膜
158G 犠牲層
158Gf 犠牲膜
158R 犠牲層
158Rf 犠牲膜
159B マスク層
159Bf マスク膜
159G マスク層
159Gf マスク膜
159R マスク層
159Rf マスク膜
171 絶縁層
172 導電層
173 絶縁層
174 絶縁層
175 絶縁層
176 プラグ
177 画素部
178 画素
179 導電層
190B レジストマスク
190G レジストマスク
190R レジストマスク
191 レジストマスク
240 容量
241 導電層
243 絶縁層
245 導電層
254 絶縁層
255 絶縁層
256 プラグ
261 絶縁層
271 プラグ
280 表示モジュール
281 表示部
282 回路部
283a 画素回路
283 画素回路部
284a 画素
284 画素部
285 端子部
286 配線部
290 FPC
291 基板
292 基板
301 基板
310 トランジスタ
311 導電層
312 低抵抗領域
313 絶縁層
314 絶縁層
315 素子分離層
450 下地膜
451a 有機化合物層
451s 表面
451 有機化合物膜
452a 有機マスク層
452 有機マスク膜
453a 無機マスク層
453r 無機マスク残渣
453 無機マスク膜
454a ハードマスク層
454 膜
455a フォトマスク層
455 樹脂膜
501 第1の発光ユニット
501a 第1の発光ユニット
501b 第1の発光ユニット
502 第2の発光ユニット
502a 第2の発光ユニット
502b 第2の発光ユニット
503 第3の発光ユニット
700A 電子機器
700B 電子機器
721 筐体
723 装着部
727 イヤフォン部
750 イヤフォン
751 表示パネル
753 光学部材
756 表示領域
757 フレーム
758 鼻パッド
800A 電子機器
800B 電子機器
820 表示部
821 筐体
822 通信部
823 装着部
824 制御部
825 撮像部
827 イヤフォン部
832 レンズ
6500 電子機器
6501 筐体
6502 表示部
6503 電源ボタン
6504 ボタン
6505 スピーカ
6506 マイク
6507 カメラ
6508 光源
6510 保護部材
6511 表示パネル
6512 光学部材
6513 タッチセンサパネル
6515 FPC
6516 IC
6517 プリント基板
6518 バッテリ
7000 表示部
7100 テレビジョン装置
7151 リモコン操作機
7171 筐体
7173 スタンド
7200 ノート型パーソナルコンピュータ
7211 筐体
7212 キーボード
7213 ポインティングデバイス
7214 外部接続ポート
7300 デジタルサイネージ
7301 筐体
7303 スピーカ
7311 情報端末機
7400 デジタルサイネージ
7401 柱
7411 情報端末機

Claims (7)

  1. 一般式(G1)で表される有機化合物。

    (ただし、一般式(G1)で表される有機化合物において、Xは一般式(X-1)で表される基、Yは一般式(Y-1)で表される基である。また、Arは置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。)

    (ただし、一般式(X-1)および(Y-1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、mは0乃至4の整数を表し、mが0、1、3、または4のとき、nは1乃至5の整数を表し、mが2のとき、nは1、2、4、または5を表す。なお、mまたはnが2以上の場合複数となるR乃至Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
  2. 一般式(G2-1)乃至(G2-8)で表される有機化合物。

    (ただし、上記一般式(G2-1)乃至(G2-8)において、Arは置換または無置換の環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基または置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基を表し、R11乃至R26はそれぞれ独立に水素(重水素を含む)または炭素数1乃至6のアルキル基を表し、hは1乃至6の整数を表す。)
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記環を形成する炭素の数が2乃至30の複素芳香族炭化水素基は、構造式(Ar-1)乃至(Ar-15)で表される複素芳香族炭化水素のいずれか一からh個の水素原子を除くことにより生成される基であり、
    前記環を形成する炭素の数が6乃至30の芳香族炭化水素基は、構造式(Ar-16)乃至(Ar-27)で表される芳香族炭化水素のいずれか一からh個の水素原子を除くことにより生成される基である、有機化合物。
  4. 構造式(100)で表される有機化合物。
  5. 請求項1、請求項2、および請求項4のいずれか一に記載の有機化合物を用いた発光デバイス。
  6. 請求項5に記載の発光デバイスと、トランジスタ、または、基板と、を有する発光装置。
  7. 請求項6に記載の発光装置と、検知部、入力部、または、通信部と、を有する電子機器。
JP2023219301A 2022-12-27 2023-12-26 有機化合物、発光デバイス、発光装置、および電子機器 Pending JP2024094305A (ja)

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