JP2024092908A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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和義 廣瀬
昭生 伊藤
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Abstract

Figure 2024092908000001
【課題】歩留まりの向上を図ると共にレーザ光の損失を抑制することができる半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】一実施形態の半導体レーザ素子1Aは、p型の半導体基板10と、半導体基板10上に形成された半導体積層体11と、を備える。半導体積層体11は、活性層14と、半導体基板10と活性層14との間に配置されるp型クラッド層12と、p型クラッド層12と活性層14との間に配置されるノンドープガイド層13と、活性層14に対してノンドープガイド層13が位置する側とは反対側に配置されるn型ガイド層15と、n型ガイド層15に対して活性層14が位置する側とは反対側に配置されるn型クラッド層16と、を有する。p型クラッド層12には、Znがドープされている。ノンドープガイド層13は、InAlGa1-xAs(0<x≦1)によって形成されている。n型ガイド層15の厚さは、ノンドープガイド層13の厚さよりも大きい。
【選択図】図1

Description

本開示は、半導体レーザ素子に関する。
特許文献1には、n型InP基板上に、n型クラッド層、n型ガイド層、活性層、p型ガイド層、p型キャリアストップ層、及びp型クラッド層がこの順に積層された構造を有する半導体レーザ素子が開示されている。上記半導体レーザ素子では、p型層のドーパントとしてZnが用いられている。また、n型ガイド層の厚さは、p型ガイド層の厚さと同一とされている。
特開2014-229742号公報
上述したような構造を有する半導体レーザ素子では、p型層のドーパントであるZnが熱拡散し易いことに起因して、pn接合界面の位置を活性層の内部又は近傍の所望の位置に設計通りに設定することが困難となるため、歩留まりが低下するという問題があった。また、p型層は、同じ不純物濃度(ドーピング濃度)のn型層よりもレーザ光の吸収損失が大きいため、レーザ光の導波モードのp型層への染み出しがn型層への染み出しよりも大きくなると、レーザ光の吸収損失が大きくなってしまう。上記特許文献1に開示された半導体レーザ素子には、上述したような観点において改善の余地がある。
そこで、本開示の一側面は、歩留まりの向上を図ると共にレーザ光の損失を抑制することができる半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
本開示は、以下の[1]~[14]の半導体レーザ素子を含む。
[1]
半導体基板と、前記半導体基板上に形成された半導体積層体と、を備え、
前記半導体積層体は、
活性層と、
前記半導体基板と前記活性層との間に配置されるp型クラッド層と、
前記p型クラッド層と前記活性層との間に配置されるノンドープガイド層と、
前記活性層に対して前記ノンドープガイド層が位置する側とは反対側に配置されるn型ガイド層と、
前記n型ガイド層に対して前記活性層が位置する側とは反対側に配置されるn型クラッド層と、を有し、
前記p型クラッド層には、Znがドープされており、
前記ノンドープガイド層は、InAlGa1-xAs(0<x≦1)によって形成されており、
前記半導体積層体の積層方向における前記n型ガイド層の厚さは、前記積層方向における前記ノンドープガイド層の厚さよりも大きい、半導体レーザ素子。
上記半導体レーザ素子では、InAlGa1-xAsによって形成されたノンドープガイド層によって、p型クラッド層からn型クラッド層側へのp型ドーパント(Zn)の拡散を好適に抑制することができる。これにより、pn接合界面の位置を再現性良く活性層の内部又は近傍の所望の位置に設定することが容易となる。さらに、n型ガイド層をノンドープガイド層よりも厚くすることにより、活性層で発生するレーザ光の導波モードを、p型層(p型クラッド層)よりもレーザ光の吸収損失が小さいn型層(n型ガイド層、n型クラッド層)側にシフトさせることができる。これにより、p型層でのレーザ光の吸収損失を好適に抑制することができる。従って、上記半導体レーザ素子によれば、歩留まりの向上を図ると共にレーザ光の損失を抑制することができる。
[2]
前記半導体基板は、p型である、[1]の半導体レーザ素子。
[3]
前記半導体積層体は、前記n型クラッド層に対して前記n型ガイド層が位置する側とは反対側に配置されるn型コンタクト層を更に有し、
前記n型コンタクト層上に設けられた第1電極と、
前記半導体基板における前記半導体積層体側とは反対側の表面上に設けられた第2電極と、を更に備える、[2]に記載の半導体レーザ素子。
上記構成によれば、p型の半導体基板を用いることにより、半導体レーザ素子を駆動させるための電極(第1電極及び第2電極)を半導体積層体及び半導体基板を挟んだ両側に配置する構成を採用することができる。
[4]
前記半導体基板は、n型であり、
前記半導体積層体は、前記p型クラッド層と接触するように設けられたp型コンタクト層を有する、[1]の半導体レーザ素子。
上記構成によれば、半導体レーザ素子を半導体基板における半導体積層体側とは反対側の面からレーザ光を出射する面発光レーザとして構成する場合において、p型の半導体基板を用いる場合よりも、半導体基板におけるレーザ光の吸収損失を低減できるため、レーザ光の出力を増大させることができる。
[5]
前記p型コンタクト層は、前記半導体基板と前記p型クラッド層との間に配置されており、
前記半導体積層体には、前記半導体積層体における前記半導体基板側とは反対側の表面から前記p型コンタクト層における前記半導体基板側とは反対側の第1表面まで延びると共に、前記半導体積層体を第1部分と第2部分とに分離する溝部が設けられており、
前記第1部分には、前記n型クラッド層に対して前記n型ガイド層が位置する側とは反対側に配置されるn型コンタクト層が設けられており、
前記n型コンタクト層上に設けられた第1電極と、
前記第2部分における前記半導体基板側とは反対側の表面上から前記第1表面上まで延びるように設けられた第2電極と、を更に備える、[4]の半導体レーザ素子。
上記構成によれば、n型の半導体基板を用いる場合において、半導体レーザ素子を駆動させるための第2電極を好適に配置することができる。より具体的には、第1電極及び第2電極が略同一平面上において溝部を挟んで空間的に分離されるように配置されるため、半導体レーザ素子をいわゆるエピサイドダウン実装によって配線基板上に容易に実装することが可能となる。
[6]
前記半導体積層体は、前記n型クラッド層に対して前記n型ガイド層が位置する側とは反対側に配置されるn型コンタクト層を更に有し、
前記半導体積層体には、前記半導体積層体における前記半導体基板側とは反対側の表面から前記p型クラッド層の内部であって前記半導体基板から離間した位置まで延びる溝部が設けられており、
前記p型コンタクト層は、前記溝部の内部に配置されており、
前記n型コンタクト層上に設けられた第1電極と、
前記p型コンタクト層上に設けられた第2電極と、を更に備える、[4]の半導体レーザ素子。
上記構成によれば、上記[5]の構造のように半導体基板とp型クラッド層との間にp型コンタクト層を形成する必要がないため、p型コンタクト層におけるレーザ光の吸収損失の発生を回避できる。これにより、レーザ光の出力をより一層増大させることができる。
[7]
前記半導体基板における前記半導体積層体側とは反対側の表面上に設けられた第3電極を更に備える、[5]又は[6]の半導体レーザ素子。
上記構成によれば、第1電極、第2電極、及び第3電極を、それぞれエミッタ電極、ベース電極、及びコレクタ電極として機能させることにより、半導体レーザ素子を高速動作可能なトランジスタレーザとして動作させることが可能となる。
[8]
前記n型ガイド層及び前記n型クラッド層には、Siがドープされている、[1]~[7]のいずれかの半導体レーザ素子。
熱拡散し難いSiをn型ドーパントとして用いることにより、n型ドーパントのp型層側への拡散に起因してpn接合界面が移動してしまうことを好適に抑制することができる。その結果、pn接合界面の位置をより一層再現性良く所望の位置に調整することが可能となるため、歩留まりをより一層向上させることができる。
[9]
前記積層方向における前記n型ガイド層の厚さは、2μm以下である、[1]~[8]のいずれかの半導体レーザ素子。
上述した通り、n型ガイド層の厚さをノンドープガイド層の厚さよりも大きくすることによって、導波モードをn型層側にシフトさせることができる。しかし、n型ガイド層を厚くし過ぎると、導波モードが活性層から大きく外れてしまい、好適なレーザ発振特性(注入電流に対する光出力の大きさの関係)を得られなくなるおそれがある。これに対して、上記のようにn型ガイド層の厚さを一定以下(2μm以下)に抑えることにより、上述した問題の発生を抑制できる。
[10]
前記積層方向における前記ノンドープガイド層の厚さは、30nm~150nmである、[1]~[9]のいずれかの半導体レーザ素子。
ノンドープガイド層の厚さを30nm以上に設定することにより、上述したp型クラッド層からのZnの拡散を好適に防止できる。さらに、ノンドープガイド層の厚さを150nm以下に設定することにより、p型クラッド層が活性層から離間し過ぎることを防止できる。その結果、pn接合界面が活性層から大きく外れてしまうこと、ひいてはレーザ発振特性が悪化することを抑制することができる。
[11]
前記n型ガイド層には、微細な凹凸構造を有する微細構造部が設けられている、[1]~[10]のいずれかの半導体レーザ素子。
活性層に対して半導体基板が位置する側とは反対側に位置すると共に他方のガイド層(ノンドープガイド層)よりも厚さの大きいn型ガイド層に対して微細構造部を設けることにより、微細構造部を精度良く加工することが可能となり、微細構造部の安定性を向上させることができる。
[12]
前記n型ガイド層は、第1屈折率を有する基本層と、前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する複数の異屈折率領域と、を有し、
前記微細構造部は、前記積層方向から見て二次元状に配置された前記複数の異屈折率領域によって構成されている、[11]の半導体レーザ素子。
上記構成によれば、半導体レーザ素子をフォトニック結晶レーザ(PCSEL:Photonic Crystal Surface Emitting Laser)として機能させることができる。
[13]
前記微細構造部は、前記積層方向に直交する前記活性層の共振方向に沿って分布する回折格子を有する、[11]の半導体レーザ素子。
上記構成によれば、半導体レーザ素子を分布帰還型(DFB:Distributed feedback)半導体レーザとして機能させることができる。
[14]
前記積層方向における前記n型ガイド層の厚さは、前記積層方向における前記ノンドープガイド層の厚さの1.5倍以上である、[11]~[13]のいずれかの半導体レーザ素子。
n型ガイド層に微細構造部を設けた場合、微細構造部を設けない場合と比較して、導波モードがp型層側にシフトしてしまう。n型ガイド層の厚さをノンドープガイド層の厚さの1.5倍以上にすることにより、このようなシフトの程度を低減し、導波モードが活性層から大きく外れてしまうことを抑制し、好適なレーザ発振特性を維持することができる。
本開示の一側面によれば、歩留まりの向上を図ると共にレーザ光の損失を抑制することができる半導体レーザ素子を提供することができる。
第1実施形態に係る半導体レーザ素子の積層構造を示す断面図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 図1の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 第2実施形態に係る半導体レーザ素子の積層構造を示す断面図である。 第3実施形態に係る半導体レーザ素子の積層構造を示す断面図である。 図9の半導体レーザ素子のSIMS測定結果を示す図である。 比較例に係る半導体レーザ素子の積層構造を示す断面図である。 第3実施形態に係る半導体レーザ素子の積層構造を示す断面図である。 図13の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 図13の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図である。 図13の半導体レーザ素子の実装例を示す図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子の積層構造を示す断面図である。 第5実施形態に係る半導体レーザ素子の積層構造を示す断面図である。 図18の半導体レーザ素子の実装例を示す断面図である。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。図面は、理解の容易化のために一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率は図面に記載のものに限定されない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る半導体レーザ素子1Aの積層構造を示す断面図である。本明細書では、便宜上、半導体レーザ素子1Aの積層方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定義する。本実施形態では、一例として、半導体レーザ素子1Aは、フォトニック結晶面発光レーザ(PCSEL:Photonic Crystal Surface Emitting Laser)として構成されている。例えば、半導体レーザ素子1Aは、位相制御された平面波(レーザ光)をZ軸方向に出力するS-iPMSEL(Static-integrable Phase Modulating Surface Emitting Laser)として構成されている。半導体レーザ素子1Aは、半導体基板10の主面10aに垂直な方向(すなわちZ軸方向)又はZ軸方向に対して傾斜した方向、或いはその両方を含む二次元的な任意形状の光像を出力する。
図1に示されるように、半導体レーザ素子1Aは、p型の半導体基板10と、半導体基板10上に形成された半導体積層体11と、を備える。半導体レーザ素子1Aは、いわゆるメサ型形状を有している。半導体基板10及び半導体積層体11は、InP系半導体(化合物半導体)によって構成され得る。半導体基板10及び半導体積層体11の各層の厚さ方向は、Z軸方向と一致する。
半導体基板10は、例えば、Zn(亜鉛)がドープされたInP基板である。半導体基板10は、略直方体状に形成されており、半導体積層体11が積層される主面10aと、主面10aとは反対側の面であってレーザ光の出力面となる裏面10bと、を有する。本実施形態では一例として、Z軸方向から見た半導体基板10の大きさは、半導体積層体11よりも大きい。より具体的には、Z軸方向から見た場合に、半導体基板10は、半導体積層体11よりも大きい四角形状(本実施形態では、略正方形状)に形成されており、半導体積層体11は、半導体基板10の主面10aの略中央部に設けられている。また、半導体基板10のうち半導体積層体11と重なる部分(すなわち、Z軸方向から見た半導体基板10の略中央部)の厚さは、半導体基板10のうち半導体積層体11と重ならない部分(すなわち、Z軸方向から見て四角環状に形成された半導体基板10の周縁部)の厚さよりも大きくされている。換言すれば、主面10aのうち半導体積層体11と重ならない部分は、主面10aのうち半導体積層体11と重なる部分よりも裏面10b側に窪んでいる。半導体基板10(半導体積層体11と重なる部分)の厚さは、例えば100μm~300μmである。
半導体積層体11は、半導体基板10の主面10a上に形成されている。半導体積層体11は、p型クラッド層12と、ノンドープガイド層13と、活性層14と、n型ガイド層15と、n型クラッド層16と、n型コンタクト層17と、を有する。p型クラッド層12、ノンドープガイド層13、活性層14、n型ガイド層15、n型クラッド層16、及びn型コンタクト層17は、半導体基板10の主面10a上に、この順に積層されている。p型クラッド層12のエネルギーバンドギャップ、及びn型クラッド層16のエネルギーバンドギャップは、活性層14のエネルギーバンドギャップよりも大きい。
Z軸方向から見た場合に、半導体積層体11のうちn型コンタクト層17を除いた各層は、同様の大きさの四角形状(本実施形態では、略正方形状)に形成されている。一方、n型コンタクト層17は、Z軸方向から見た場合に、上記各層よりも小さい四角形状(本実施形態では、略正方形状)に形成されており、n型クラッド層16の上面(n型ガイド層15側とは反対側の面)の略中央部に配置されている。
なお、半導体積層体11は、上述した各層以外の層を含んでいてもよい。例えば、半導体基板10とp型クラッド層12との間に、他の層(例えば、InGaAs、InGaAsP等によって形成された層)が設けられてもよい。
p型クラッド層12は、半導体基板10の主面10a上に形成されている。すなわち、p型クラッド層12は、半導体基板10と活性層14との間に配置されている。p型クラッド層12は、例えば、p型ドーパントとしてのZnがドープされたInP層によって形成され得る。p型クラッド層12の不純物濃度は、例えば、1×1017~1×1018cm-3である。積層方向(Z軸方向)におけるp型クラッド層12の厚さは、例えば、1000nm以上である。
ノンドープガイド層13は、p型クラッド層12上に形成されている。すなわち、ノンドープガイド層13は、p型クラッド層12と活性層14との間に配置されている。ノンドープガイド層13には、p型ドーパントであるZnはドーピングされていない。ノンドープガイド層13は、例えば、InAlGa1-xAs(0<x≦1)によって形成され得る。このような組成のノンドープガイド層13は、半導体基板10としてInP基板を用いることにより、好適に作製可能となる。積層方向(Z軸方向)におけるノンドープガイド層13の厚さは、30nm~150nmである。
活性層14は、光を発生させる発光層である。活性層14は、ノンドープガイド層13とn型ガイド層15との間に配置されている。活性層14は、例えば、InAlGaAs等からなる障壁層とInGaAs等からなる井戸層とが交互に積層された多重量子井戸構造を有する。積層方向(Z軸方向)における活性層14の厚さは、5nm~200nmである。
n型ガイド層15は、活性層14上に配置されている。すなわち、n型ガイド層15は、活性層14に対してノンドープガイド層13が位置する側とは反対側に配置されている。n型ガイド層15には、微細な凹凸構造を有する微細構造部が設けられている。本実施形態では、n型ガイド層15は、第1屈折率を有する基本層15a(すなわち、n型ガイド層15の本体部)と、第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する複数の異屈折率領域15bと、を有する。本実施形態では一例として、上記微細構造部は、積層方向(Z軸方向)から見て二次元状に配置された複数の異屈折率領域15bによって構成されている。
n型ガイド層15(基本層15a)には、n型ドーパントとしてのSiがドープされている。n型ガイド層15(基本層15a)は、例えば、InAlGaAs、InGaAsP等によって形成され得る。n型ガイド層15(基本層15a)の不純物濃度は、例えば、1×1017~1×1018cm-3である。積層方向(Z軸方向)におけるn型ガイド層15の厚さは、好ましくは2μm以下であり、例えば、50nm~2000nmである。異屈折率領域15bは、例えば、空孔によって構成され得る。ただし、異屈折率領域15bの構成は上記に限られない。例えば、異屈折率領域15bは、基本層15aとは異なる屈折率を有する半導体が空孔内に埋め込まれることによって形成されてもよい。また、空孔である異屈折率領域15bの内部に、アルゴン、窒素等の不活性ガス、又は、水素、空気等のガスが封入されてもよい。
複数の異屈折率領域15bの二次元配置は、略周期構造を含み得る。モードの等価屈折率をnとした場合、n型ガイド層15が選択する波長λ(=(√2)×a×n、aは格子間隔)は、活性層14の発光波長範囲内に含まれている。n型ガイド層15は、活性層14の発光波長のうちの波長λ近傍のバンド端波長の光を、選択的に外部に出力することができる。n型ガイド層15内に入射したレーザ光は、n型ガイド層15内において異屈折率領域15bの配置に対応した所定のモードを形成し、所望のパターンを有するレーザビームとして、半導体基板10の裏面10bから外部に出射される。
n型クラッド層16は、n型ガイド層15上に配置されている。すなわち、n型クラッド層16は、n型ガイド層15に対して活性層14が位置する側とは反対側に配置されている。n型クラッド層16は、例えば、n型ドーパントとしてのSi(シリコン)がドープされたInP層によって形成され得る。n型クラッド層16の不純物濃度は、例えば、1×1017~1×1018cm-3である。積層方向(Z軸方向)におけるn型クラッド層16の厚さは、例えば、1000nm以上である。
n型コンタクト層17は、n型クラッド層16上に配置されている。すなわち、n型コンタクト層17は、n型クラッド層16に対してn型ガイド層15が位置する側とは反対側に配置されている。n型コンタクト層17には、n型ドーパントとしてのSiがドープされている。n型コンタクト層17は、例えば、InGaAs、InGaAsP、InP等によって形成され得る。n型コンタクト層17の不純物濃度は、例えば、5×1018cm-3以上である。n型コンタクト層17の厚さは、例えば、20nm以上である。
半導体レーザ素子1Aは、絶縁膜20を更に備える。絶縁膜20は、n型クラッド層16の上面のうちn型コンタクト層17が設けられていない部分、半導体積層体11の側面(X軸方向又はY軸方向に交差する面)、及び半導体基板10の主面10aのうち半導体積層体11が設けられていない部分を覆うように設けられている。すなわち、絶縁膜20は、半導体レーザ素子1Aにおける半導体基板10の主面10a上に設けられた部分の表面のうちn型コンタクト層17の上面を除いた部分を覆うように設けられている。これにより、n型コンタクト層17の上面は、絶縁膜20に覆われずに外部に露出している。絶縁膜20は、例えば、シリコン窒化物(例えばSiN)、シリコン酸化物(例えばSiO)等によって形成され得る。
半導体レーザ素子1Aは、n型コンタクト層17上に設けられた電極18(第1電極)と、半導体基板10の裏面10b上に設けられた電極19(第2電極)と、を更に備える。電極18は、n型コンタクト層17とオーミック接触を成している。電極19は、半導体基板10とオーミック接触を成している。本実施形態では一例として、電極18は、n型コンタクト層17及びn型コンタクト層17の周縁部に設けられた絶縁膜20の一部を覆うように、半導体積層体11上に設けられている。すなわち、Z軸方向から見た電極18の形状は、n型コンタクト層17よりも若干大きい四角形状(本実施形態では、略正方形状)とされている。電極19は、裏面10bの中央部を露出させる四角形状(本実施形態では、略正方形状)の開口19aを有する四角環状に形成されている。半導体基板10の裏面10bのうち電極19が設けられていない部分(開口19a内の領域を含む)には、反射防止膜21が設けられている。反射防止膜21は、例えば、シリコン窒化物(例えばSiN)、シリコン酸化物(例えばSiO)等の誘電体単層膜、或いは誘電体多層膜によって形成され得る。なお、反射防止膜21は、開口19a内から出力されるレーザ光の反射を防止するためのものであるため、反射防止膜21のうち開口19a以外の領域に設けられた部分(すなわち、Z軸方向から見て電極19の外側に位置する部分)は除去されてもよい。
電極18と電極19との間に駆動電流が供給されると、活性層14内において電子と正孔の再結合が生じ、活性層14が発光する。この発光に寄与する電子及び正孔、並びに発生した光は、p型クラッド層12及びn型クラッド層16の間に効率的に閉じ込められる。活性層14から出射された光は、n型ガイド層15の内部に入射し、n型ガイド層15の内部の格子構造(すなわち、複数の異屈折率領域15bにより構成される微細構造)に応じた所定のモードを形成する。n型ガイド層15から出射したレーザ光は、直接に、裏面10bから開口19aを通って半導体レーザ素子1Aの外部へ出力されるか、又は、電極18において反射した後に、裏面10bから開口19aを通って半導体レーザ素子1Aの外部へ出力される。
なお、電極形状を変形することにより、n型コンタクト層17の表面(上面)からレーザ光を出射することもできる。例えば、電極19に開口19aを設けずに、n型コンタクト層17の上面に電極18の開口を設けることにより、レーザ光をn型コンタクト層17の上面から電極18の上記開口を通して外部に出射することができる。この場合、反射防止膜21は、半導体基板10の裏面10bではなく、電極18の上記開口の内部及び周辺部に設けられてもよい。
次に、図2~図8を参照して、半導体レーザ素子1Aの製造方法の一例について説明する。
まず、図2の(A)に示されるように、有機金属気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシー法(MBE)等を用いることにより、半導体基板10A上にp型クラッド層120、ノンドープガイド層130、活性層140、基本層150a、及びn型キャップ層160aをエピタキシャル成長させる(1次成長処理)。ここで、半導体基板10A、p型クラッド層120、ノンドープガイド層130、活性層140、及び基本層150aの各々は、後述する素子分離工程(図5参照)を経ることによって、複数の半導体レーザ素子1Aの各々の半導体基板10、p型クラッド層12、ノンドープガイド層13、活性層14、及び基本層15aになる予定の部分である。すなわち、図2の(A)に示される構造は、複数の半導体レーザ素子1Aになる予定の部分を含むウェハ状態のものである。また、n型キャップ層160aは、複数の半導体レーザ素子1Aの各々のn型クラッド層16の一部(n型ガイド層150の近傍に位置する部分)を構成する部分である。n型キャップ層160aは、Alを含み得る下層部分(すなわち、活性層140、基本層150a等)の保護(酸化防止)のために設けられる。また、例えばPCVD法によってn型キャップ層160a上にSiN、SiO等からなる絶縁膜30が成膜されると共に、絶縁膜30上にレジスト31(EBレジスト)が塗布される。
続いて、図2の(B)に示されるように、電子ビーム描画装置を用いて二次元微細パターンをレジスト31上に描画し、現像することによって、レジスト31に二次元微細パターン(孔H1の一部)が形成される。その後、レジスト31をマスクとして、絶縁膜30のエッチング(例えば、反応性イオンエッチング)が実行されることにより、二次元微細パターンが絶縁膜30にも形成される。以上により、レジスト31及び絶縁膜30に二次元微細パターン(複数の孔H1)が形成される。
続いて、図3の(A)に示されるように、レジスト31が除去(剥離)される。続いて、図3の(B)に示されるように、絶縁膜30をマスクとして、n型キャップ層160a及び基本層150aのエッチング(例えば、ドライエッチング)が実行されることにより、基本層150aにおいて上述した異屈折率領域15bが形成される。
続いて、図4の(A)に示されるように、絶縁膜30が除去される。続いて、図4の(B)に示されるように、n型クラッド層160及びn型コンタクト層170をエピタキシャル成長させる(2次成長処理)。n型クラッド層160及びn型コンタクト層170は、後述する素子分離工程(図5参照)を経ることによって、複数の半導体レーザ素子1Aの各々のn型クラッド層16及びn型コンタクト層17になる予定の部分である。なお、1次成長処理において形成されたn型キャップ層160aは、2次成長処理によってn型クラッド層160と一体化される。
続いて、図5に示されるように、図4の(B)に示される構造(ウェハ)の素子分離(切断)及びメサ形成処理が実行される。これにより、上述した電極18,19及び絶縁膜20が設けられる前の状態であって、n型コンタクト層17がn型クラッド層16の上面の全体を覆うように設けられた状態の構造が複数得られる。図5の(B)は、図5の(A)に示される構造の平面図(Z軸正方向側から見た図)を示している。このように得られた複数の構造の各々に対して後述する図6~図8の処理が実行されることにより、複数の半導体レーザ素子1Aが得られる。
続いて、図6に示されるように、n型コンタクト層17のうちn型クラッド層16の上面の周縁部に設けられた部分が除去される。図6の(B)は、図6の(A)に示される構造の平面図(Z軸正方向側から見た図)を示している。
続いて、図7に示されるように、n型コンタクト層17の上面及び側面、n型クラッド層16の上面のうちn型コンタクト層17が設けられていない部分、半導体積層体11の側面(X軸方向又はY軸方向に交差する面)、並びに半導体基板10の主面10aのうち半導体積層体11が設けられていない部分を覆うように、絶縁膜20が成膜される。また、半導体基板10の裏面10bに、反射防止膜21が設けられる。例えば、反射防止膜21は、裏面10bの全体に成膜された後に、電極19が配置される予定の領域(Z軸方向から見て四角環状の領域)に対応する部分が除去されることによって、図7に示される状態とされる。
続いて、図8に示されるように、裏面10bに電極19が形成される。また、絶縁膜20のうちn型コンタクト層17を覆う部分が除去されることにより、n型コンタクト層17と電極18とを接触させるためのコンタクト開口が形成される。続いて、n型コンタクト層17上に電極18を形成し、全体に熱をかけて電極19を半導体基板10に馴染ませると共に電極18をn型コンタクト層17に馴染ませる。以上により、図1に示した半導体レーザ素子1Aが得られる。
[第1実施形態の作用効果]
以上述べた半導体レーザ素子1Aでは、InAlGa1-xAsによって形成されたノンドープガイド層13によって、p型クラッド層12からn型クラッド層16側へのp型ドーパント(Zn)の拡散を好適に抑制することができる。これにより、pn接合界面の位置を再現性良く活性層14の内部又は近傍の所望の位置に設定することが容易となる。さらに、n型ガイド層15をノンドープガイド層13よりも厚くすることにより、活性層14で発生するレーザ光の導波モードを、p型層(p型クラッド層12、p型の半導体基板10)よりもレーザ光の吸収損失が小さいn型層(n型ガイド層15、n型クラッド層16)側にシフトさせることができる。これにより、p型層でのレーザ光の吸収損失を好適に抑制することができる。従って、半導体レーザ素子1Aによれば、歩留まりの向上を図ると共にレーザ光の損失を抑制することができる。また、図1に示されるように、半導体レーザ素子1Aでは、p型の半導体基板10を用いることにより、半導体レーザ素子1Aを駆動させるための電極18,19を半導体積層体11及び半導体基板10を挟んだ両側に配置する構成を採用することができる。
また、n型ガイド層15及びn型クラッド層16には、Siがドープされている。熱拡散し難いSiをn型ドーパントとして用いることにより、n型ドーパントのp型層側への拡散に起因してpn接合界面が移動してしまうことを好適に抑制することができる。その結果、pn接合界面の位置をより一層再現性良く所望の位置に調整することが可能となるため、歩留まりをより一層向上させることができる。
また、積層方向(Z軸方向)におけるn型ガイド層15の厚さは、2μm以下(本実施形態では一例として、50nm~2000nm)である。上述した通り、n型ガイド層15の厚さをノンドープガイド層13の厚さよりも大きくすることによって、導波モードをn型層側にシフトさせることができる。しかし、n型ガイド層15を厚くし過ぎると、導波モードが活性層14から大きく外れてしまい、好適なレーザ発振特性(注入電流に対する光出力の大きさの関係)を得られなくなるおそれがある。これに対して、上記のようにn型ガイド層15の厚さを一定以下(2μm以下)に抑えることにより、上述した問題の発生を抑制できる。また、屈折率の高いn型ガイド層15を厚くし過ぎると、基本モードの光だけでなく高次モードの光が発生してしまい、導波モードが安定せず、ビームパターンが乱れるおそれがある。上述したように、n型ガイド層15の厚さを一定以下に抑えることにより、このような問題の発生も抑制できる。
また、積層方向(Z軸方向)におけるノンドープガイド層13の厚さは、30nm~150nmである。ノンドープガイド層13の厚さを30nm以上に設定することにより、上述したp型クラッド層12からのZnの拡散を好適に防止できる。さらに、ノンドープガイド層13の厚さを150nm以下に設定することにより、p型クラッド層12が活性層14から離間し過ぎることを防止できる。その結果、pn接合界面が活性層14から大きく外れてしまうこと、ひいてはレーザ発振特性が悪化することを抑制することができる。また、ノンドープガイド層13の厚さを一定以下(150nm以下)に抑えることにより、劣化し易いAl(ノンドープガイド層13に含まれるAl)の量を低減し、素子寿命の低下を抑制することもできる。
また、n型ガイド層15には、微細な凹凸構造を有する微細構造部(本実施形態では、複数の異屈折率領域15bによって構成された部分)が設けられている。活性層14に対して半導体基板10が位置する側とは反対側に位置すると共に他方のガイド層(ノンドープガイド層13)よりも厚さの大きいn型ガイド層15に対して微細構造部を設けることにより、微細構造部を精度良く加工することが可能となり、微細構造部の安定性を向上させることができる。また、本実施形態のように、微細構造部としての複数の異屈折率領域15bをn型ガイド層15に設けることにより、半導体レーザ素子1Aを、フォトニック結晶面発光レーザ(本実施形態では一例として、フォトニック結晶面発光レーザ(PCSEL)の一種であるS-iPMSELとして機能させることができる。
また、積層方向(Z軸方向)におけるn型ガイド層15の厚さは、積層方向におけるノンドープガイド層13の厚さの1.5倍以上(より好ましくは2倍以上)に設定されることが好ましい。一例として、ノンドープガイド層13の厚さを50nmとした場合、n型ガイド層15の厚さは75nm以上(より好ましくは100nm以上)に設定されることが好ましい。n型ガイド層15に微細構造部(本実施形態では、複数の異屈折率領域15bによって構成された部分)を設けた場合、微細構造部を設けない場合(すなわち、n型ガイド層15を基本層15aのみで構成した場合)と比較して、導波モードがp型層側にシフトしてしまう。n型ガイド層15の厚さをノンドープガイド層13の厚さの1.5倍以上にすることにより、このようなシフトの程度を低減し、導波モードが活性層14から大きく外れてしまうことを抑制し、好適なレーザ発振特性を維持することができる。また、n型ガイド層15の厚さをノンドープガイド層13の厚さの2倍以上にすることにより、上述した効果をより確実に得ることができる。
[第2実施形態]
図9を参照して、第2実施形態に係る半導体レーザ素子1Bについて説明する。なお、図9においては、電極(半導体レーザ素子1Aの電極18,19に対応する構成)の図示が省略されている。半導体レーザ素子1Bの半導体積層体11Bは、n型ガイド層15の代わりに、基本層15aのみからなるn型ガイド層15Bを備える点において、半導体レーザ素子1Aの半導体積層体11と主に相違している。すなわち、半導体レーザ素子1Bは、フォトニック結晶面発光レーザ(PCSEL)として構成されていない点において、半導体レーザ素子1Aと主に相違している。より具体的には、半導体レーザ素子1Bは、積層方向(Z軸方向)に直交する共振方向(例えばX軸方向)に対向する活性層14の端面間でレーザ光を共振させ、当該端面からレーザ光を外部に出射する端面出射型のレーザダイオードとして構成されている。
端面出射型に構成された半導体レーザ素子1Bにおいても、上述した面発光型の半導体レーザ素子1Aと同様の効果が奏される。すなわち、InAlGa1-xAsによって形成されたノンドープガイド層13によって、p型クラッド層12からn型クラッド層16側へのp型ドーパント(Zn)の拡散を好適に抑制することができる。これにより、pn接合界面の位置を再現性良く活性層14の内部又は近傍の所望の位置に設定することが容易となる。さらに、n型ガイド層15Bをノンドープガイド層13よりも厚くすることにより、活性層14で発生するレーザ光の導波モードを、p型層(p型クラッド層12、p型の半導体基板10)よりもレーザ光の吸収損失が小さいn型層(n型ガイド層15B、n型クラッド層16)側にシフトさせることができる。これにより、p型層でのレーザ光の吸収損失を好適に抑制することができる。
また、端面出射型の半導体レーザ素子1Bにおいては、上述したようにn型ガイド層15Bをノンドープガイド層13よりも厚くして導波モードをn型層側にシフトさせることにより、さらに以下の効果が得られる。仮に、レーザ光の共振において光が活性層14(特に活性層14の端面)に集中し過ぎると、発生した熱によって活性層14のバンドギャップが縮み、活性層14に光がより集中し易くなり、活性層14が劣化し易くなる。その結果、半導体レーザ素子の製品寿命が短くなるおそれがある。これに対して、上述したように導波モードをn型層側にシフトさせることにより、共振方向(例えばX軸方向)に共振するレーザ光が活性層14の端面に集中することを抑制し、活性層14の劣化を抑制すること、ひいては半導体レーザ素子1Bの製品寿命の長期化を図ることができる。なお、上述した効果は、端面出射型の半導体レーザ素子1Bにおいて特に大きいが、面発光型の半導体レーザ素子1Aにおいても共振方向(例えばX軸方向)に共振するレーザ光の成分が発生し得るため、半導体レーザ素子1Aにおいても同様の効果が奏される。
[第3実施形態]
図10を参照して、第3実施形態に係る半導体レーザ素子1Cについて説明する。なお図10においては、電極(半導体レーザ素子1Aの電極18,19に対応する構成)の図示が省略されている。半導体レーザ素子1Cの半導体積層体11Cは、n型ガイド層15の代わりに、n型ガイド層15Cを備える点において、半導体レーザ素子1Aの半導体積層体11と主に相違している。半導体レーザ素子1Cは、半導体レーザ素子1Bと同様の端面出射型のレーザダイオードとして構成されている。n型ガイド層15Cは、積層方向(Z軸方向)に直交する活性層14の共振方向(例えばX軸方向)に沿って分布する回折格子15c(微細構造部)を有する点において、半導体レーザ素子1Bのn型ガイド層15Bと相違している。
半導体レーザ素子1Cにおいても、上述した半導体レーザ素子1A,1Bと同様の効果が奏される。また、回折格子15cが設けられたn型ガイド層15Cにより、半導体レーザ素子1Cを分布帰還型(DFB:Distributed feedback)半導体レーザとして機能させることができる。
続いて、図11を参照して、本開示の実施例(一例として、図9に示した半導体レーザ素子1Bの構造)の効果(Znの拡散防止効果)について補足する。図11は、半導体レーザ素子1Bの半導体積層体11Bの各層に含まれる元素をSIMS分析した結果を示すグラフである。図11において、横軸は、n型コンタクト層17の上面を原点(0)として半導体基板10側に向かう方向(Z軸負方向)を正方向とした距離(深さ)を示している。また、縦軸(左)は、Zn,Siの濃度(atoms/cm3:1立方cmあたりの原子数)を示しており、縦軸(右)は、Alの二次イオン強度(counts/sec:1秒間に検出された二次イオン数)を示している。また、図11のグラフに示される領域R1,R2,R3は、図9に示した領域R1,R2,R3に対応している。すなわち、領域R1はn型コンタクト層17及びn型クラッド層16を含む領域であり、領域R2はn型ガイド層15B、活性層14、及びノンドープガイド層13を含む領域であり、領域R3はp型クラッド層12を含む領域である。
図11のグラフに示されるように、本実施例(半導体レーザ素子1B)の構造では、ノンドープガイド層13によって、Znの拡散(すなわち、領域R3から領域R2へのZnの拡散)が好適に抑制されることが確認された。また、拡散し難いn型ドーパント(Si)を用いることにより、n型ドーパントの領域R1から領域R2への拡散も防止されることが確認された。なお、上記のSIMS分析は半導体レーザ素子1Bの構造に対して実施されたが、半導体レーザ素子1A,1Cも、半導体レーザ素子1Bと同様のノンドープガイド層13を備えるため、同様の結果が得られると考えられる。
続いて、図12に示される比較例に係る半導体レーザ素子100について説明すると共に、特に微細構造部を設ける場合の本開示の実施形態(例えば半導体レーザ素子1A,1C)の効果について補足する。図12に示される半導体レーザ素子100は、n型の半導体基板110と、半導体基板110上にこの順に積層された、n型クラッド層112、n型ガイド層113、活性層114、ノンドープガイド層115、p型クラッド層116、及びp型コンタクト層117と、を備える。このように、半導体レーザ素子100は、半導体レーザ素子1Aのn型及びp型の構造を反転させたような構造を有している。すなわち、半導体レーザ素子1Aでは、p型の半導体基板10が用いられることにより、活性層14の下側(活性層14に対して半導体基板10が位置する側)にp型層が配置され、活性層14の上側にn型層が配置されていた。これに対して、半導体レーザ素子100では、n型の半導体基板110が用いられることにより、活性層114の下側(活性層114に対して半導体基板110が位置する側)にn型層が配置され、活性層114の上側にp型層が配置されている。
半導体基板110は、S(硫黄)がドープされたInP基板である。n型クラッド層112は、半導体レーザ素子1Aのn型クラッド層16と同様の構成を有する。n型ガイド層113は、半導体レーザ素子1Aのn型ガイド層15と同様の構成を有する。すなわち、n型ガイド層113は、基本層15aと同様の基本層113aと、複数の異屈折率領域15bと同様の複数の異屈折率領域113bと、を有する。活性層114は、半導体レーザ素子1Aの活性層14と同様の構成を有する。ノンドープガイド層115は、半導体レーザ素子1Aのノンドープガイド層13と同様の構成を有する。p型クラッド層116は、半導体レーザ素子1Aのp型クラッド層12と同様の構成を有する。p型コンタクト層117は、p型ドーパントとしてのZnがドープされたInGaAs層によって形成されている。
上記のように構成された半導体レーザ素子100によっても、ノンドープガイド層115によって、p型クラッド層116からn型クラッド層112側へのp型ドーパント(Zn)の拡散を抑制できる。しかし、半導体レーザ素子100の構造では、微細構造部(ここでは一例として、複数の異屈折率領域113b)を設けるための層厚を確保可能なn型ガイド層113が、活性層114の下側(すなわち、活性層14と半導体基板110との間)に設けられる。このため、活性層114の直下(半導体基板110側)の層(n型ガイド層113)の結晶表面が、微細構造部(複数の異屈折率領域113b)が形成されることによって荒らされる。従って、上述した半導体レーザ素子1Aの製造工程で説明したような処理によって、半導体基板110上に各層を成長させて半導体レーザ素子100を製造する場合において、表面が荒れたn型ガイド層113上に活性層114を精度良く作製するための製造難易度が高くなる。このことは、n型ガイド層113に微細構造部としての回折格子15c(図10参照)を形成する場合も同様である。このような半導体レーザ素子100に対して、上述した半導体レーザ素子1A,1Cでは、p型の半導体基板10を用いることにより、微細構造部を形成するための層厚を確保可能なガイド層(n型ガイド層15)を活性層14よりも上側(すなわち、活性層14に対して半導体基板10が位置する側とは反対側)に設けることができる。このため、図2の(A)に示したように容易且つ精度良く活性層14を作製した後に、活性層14よりも上側のn型ガイド層15に微細構造部を形成する処理を行うことができる。従って、半導体レーザ素子1A,1Cによれば、ガイド層に微細構造部を設ける場合において、半導体レーザ素子100よりも製造工程を容易化できると共に、歩留まりを向上させることができる。
[第4実施形態]
図13~図15を参照して、第4実施形態に係る半導体レーザ素子1Dについて説明する。図13に示されるように、半導体レーザ素子1Dは、半導体基板10、半導体積層体11、及び電極19の代わりに、半導体基板10D、半導体積層体11D、及び電極19Dを備える点において、半導体レーザ素子1Aと主に相違している。半導体レーザ素子1Dは、半導体レーザ素子1Aと同様の面発光型のレーザダイオードとして構成されている。
半導体基板10Dは、n型の半導体基板である点において、p型の半導体基板10と相違している。半導体基板10Dの形状等の他の構成は、半導体基板10と同様である。半導体基板10Dは、例えば、S(硫黄)がドープされたInP基板、Sn(スズ)がドープされたInP基板等によって形成され得る。
半導体積層体11Dは、p型コンタクト層22を更に備える点において、半導体積層体11と相違している。p型コンタクト層22は、p型クラッド層12と接触するように設けられている。本実施形態では、p型コンタクト層22は、半導体基板10Dの主面10aとp型クラッド層12との間に配置されている。なお、p型コンタクト層22は、1層で形成される形に限定されず、複数の層によって形成されてもよい。例えば、p型コンタクト層22は、p型クラッド層12との間の電気的抵抗を下げるためにp型クラッド層12と接触するように設けられる層(バッファ層とも呼ばれる)をp型コンタクト層22の一部として含んでもよい。
半導体積層体11Dには、半導体積層体11Dにおける半導体基板10D側とは反対側の表面(本実施形態では、n型クラッド層16の上面)からp型コンタクト層22における半導体基板10D側とは反対側の表面22a(第1表面)まで延びる溝部G1が設けられている。図14及び図15に示されるように、本実施形態では一例として、溝部G1は、Z軸方向から見た場合に、L字状に設けられている。半導体積層体11Dは、溝部G1によって、発光部P1(第1部分)と非発光部P2(第2部分)とに分離されている。発光部P1は、レーザ光を出力(面発光)するように構成された部分であり、Z軸方向から見た場合に、略正方形状に形成されている。非発光部P2は、レーザ光を出力しない部分であり、溝部G1の外周に沿ってL字状に形成されている。発光部Pの幅(X軸方向又はY軸方向の幅)は、例えば、500μm程度である。
半導体レーザ素子1Dでは、絶縁膜20は、発光部P1(n型クラッド層16)の上面、溝部G1の内面(発光部P1の側面、非発光部P2の側面、及びp型コンタクト層22の上面)、及び非発光部P2(n型クラッド層16)の上面に設けられている。絶縁膜20のうち溝部G1の底部(すなわち、p型コンタクト層22の上部)に対応する部分には、p型コンタクト層22の表面22aを露出させるための開口部20aが形成されている。一例として、開口部20aは、L字状の溝部G1の全域に設けられている。すなわち、Z軸方向から見た場合に、開口部20aは、溝部G1に沿ったL字状に形成されている。
半導体積層体11Dにおいては、電極18に対向する電極19Dは、非発光部P2における半導体基板10D側とは反対側の表面上から、非発光部P2の側面に沿って、p型コンタクト層22の表面22a上まで延びるように設けられている。すなわち、本実施形態では、電極19Dは、非発光部P2の上面及び側面に成膜された絶縁膜20上に設けられると共に、絶縁膜20の開口部20aまで延び、開口部20aによって露出されたp型コンタクト層22の表面22aと接触するように設けられている。
次に、図14及び図15を参照して、半導体レーザ素子1Dの製造方法の一例について説明する。なお、図14及び図15は模式図であるため、実際には厚みのある部材の一部について厚みが図示されていない箇所がある。まず、図14に示されるように、半導体基板10D上に半導体積層体11Dを結晶成長させ、エッチング等によって溝部G1を形成する。続いて、図15に示されるように、絶縁膜20の成膜及び電極18,19Dの形成を順に行うと共に、反射防止膜21を成膜する。以上により、図13に示した構造を有する半導体レーザ素子1Dが得られる。
半導体レーザ素子1Dでは、n型の半導体基板10Dを用いることにより、半導体レーザ素子1Dを半導体基板10Dにおける半導体積層体11D側とは反対側の面(裏面10b)からレーザ光を出射する面発光レーザとして構成する場合において、p型の半導体基板10を用いる場合よりも、半導体基板10Dにおけるレーザ光の吸収損失を低減できるため、レーザ光の出力を増大させることができる。
また、半導体レーザ素子1Dでは、電極18が、発光部P1のn型コンタクト層17上に設けられると共に、電極19Dが、非発光部P2における半導体基板10D側とは反対側の表面上からp型コンタクト層22の表面22a上まで延びるように設けられている。上記構成によれば、n型の半導体基板10Dを用いる場合において、半導体レーザ素子1Dを駆動させるための電極19を好適に配置することができる。より具体的には、図13に示されるように、電極18及び電極19Dが略同一平面上において溝部G1を挟んで空間的に分離されるように配置される。これにより、図16に示されるように、半導体レーザ素子1Dをいわゆるエピサイドダウン実装によって、配線基板50上に容易に実装することが可能となる。図16の例では、配線基板50は、矩形板状に形成されている。また、配線基板50は、半導体レーザ素子1Dが配置される面50aと、面50a上において互いに絶縁された電極51(カソード電極)及び電極52(アノード電極)と、を有している。電極51は、発光部P1上の電極18と重なる領域A1を有しており、電極52は、非発光部P2上の電極19Dと重なる領域A2と有している。半導体レーザ素子1Dによれば、領域A1,A2に電極18,19Dが重なるように、半導体積層体11Dにおける半導体基板10D側とは反対側の面を、配線基板50の面50a上に容易に実装することができる。
[第5実施形態]
図17を参照して、第5実施形態に係る半導体レーザ素子1Eについて説明する。図17に示されるように、半導体レーザ素子1Eは、半導体基板10、半導体積層体11、及び電極18,19の代わりに、半導体基板10D、半導体積層体11E、及び電極18E,19Eを備える点において、半導体レーザ素子1Aと主に相違している。半導体レーザ素子1Eは、半導体レーザ素子1A,1Dと同様の面発光型のレーザダイオードとして構成されている。なお、半導体レーザ素子1Eでは、絶縁膜20が設けられていないが、半導体レーザ素子1A,1Dと同様の絶縁膜が設けられてもよい。
半導体積層体11Eには、半導体積層体11Eにおける半導体基板10D側とは反対側の表面からp型クラッド層12の内部であって半導体基板10Dから離間した位置まで延びる溝部G2が設けられている。図17の例では、溝部G2は、半導体積層体11EのX軸方向における一方の縁部をY軸方向に沿って切り欠いた形状を有する切り欠き溝として構成されている。なお、溝部G2は、半導体積層体11EのY軸方向における縁部に沿った部分にも設けられてもよい。
p型クラッド層12のうち溝部G2の底面Bと半導体基板10Dの主面10aとの間の部分12aの厚み(Z軸方向の長さ)は、p型クラッド層12のうち溝部G2が形成されていない部分(半導体レーザ素子1Dの発光部P1に対応する部分)の厚みよりも小さい。半導体レーザ素子1Eでは、p型コンタクト層22Eは、溝部G2の内部に配置(積層)されている。本実施形態では、p型コンタクト層22Eは、上記部分12aの上面(すなわち、溝部G2の底面B上)に配置されている。また、電極18Eがn型コンタクト層17上に設けられると共に、電極19Eがp型コンタクト層22Eの表面22a(底面B側とは反対側の面)上に設けられている。
半導体レーザ素子1Eは、例えば以下のようにして製造することができる。まず、半導体基板10D上に半導体積層体11E(溝部G2が形成されていない状態の積層体)が形成される。続いて、p型クラッド層12の部分12aが残るように、エッチング等によって半導体積層体11Eに溝部G2が形成される。続いて、部分12a上にp型コンタクト層22Eが形成される。続いて、電極18E,19E及び反射防止膜21が形成される。以上により、図17に示した構造を有する半導体レーザ素子1Eが得られる。
半導体レーザ素子1Eによれば、半導体レーザ素子1Dの構造のように半導体基板10Dとp型クラッド層12との間にp型コンタクト層22を形成する必要がないため、p型コンタクト層22におけるレーザ光の吸収損失の発生を回避できる。これにより、レーザ光の出力をより一層増大させることができる。
[第6実施形態]
図18及び図19を参照して、第6実施形態に係る半導体レーザ素子1Fについて説明する。図18及び図19に示されるように、半導体レーザ素子1Fは、電極18,19Dに加えて、半導体レーザ素子1Aの電極19と同様に半導体基板10Dの裏面10b(半導体基板における半導体積層体側とは反対側の表面)上に形成された電極23(第3電極)を備える点において、半導体レーザ素子1Dと主に相違している。
半導体レーザ素子1Fでは、配線基板50の電極51に接続される電極18をエミッタ電極として機能させ、配線基板50の電極52に接続される電極19Dをベース電極として機能させ、電極23をコレクタ電極として機能させることにより、半導体レーザ素子1Fを高速動作可能なトランジスタレーザとして動作させることが可能となる。より具体的には、エミッタ電極(電極18)から注入されたキャリアをコレクタ電極(電極23)によって引き抜くように動作させることにより、活性層14への高速なキャリア供給を実現することができる。その結果、半導体レーザ素子1Fを高速変調可能なトランジスタレーザとして機能させることができる。
以上、本開示の実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、本開示は、上記の実施形態及び各変形例で示した構成に限られない。各構成の材料及び形状は、上述した具体的な材料及び形状に限らず、上述した以外の様々な材料及び形状を採用することができる。また、上記の実施形態及び各変形例に含まれる一部の構成は、適宜省略又は変更されてもよい。例えば、上記実施形態では、半導体レーザ素子に含まれるいくつかの特徴的な構成、及び各構成によって発揮されるいくつかの効果について説明したが、本開示に係る半導体レーザ素子は、必ずしも、上記実施形態で説明された全ての効果を発揮するように構成される必要はなく、上記実施形態で説明された一部の効果のみを発揮するように構成されてもよい。後者の場合には、半導体レーザ素子は、少なくとも当該一部の効果を発揮するために必須の構成を備えていればよく、当該一部の効果を発揮するために必須ではない構成は適宜省略又は変更されてもよい。なお、一の効果に着目した場合において、当該一の効果を発揮するために必須の構成は、当業者を基準として、技術常識及び本明細書の記載に基づいて、合理的に把握されるべきである。以下、本開示の半導体レーザ素子について、いくつかの具体的な変形例を例示するが、半導体レーザ素子の変形例が以下に例示する具体的な形態のみに限定されないことはいうまでもない。
例えば、第4実施形態及び第5実施形態は、組み合わされてもよい。すなわち、第5実施形態の半導体レーザ素子Eにおいて、溝部G2の代わりに第4実施形態の溝部G1と同様の溝部が設けられ、発光部P1及び非発光部P2が設けられてもよい。そして、電極19Eは、非発光部P2の上面まで延びるように形成されてもよい。この場合、第5実施形態の効果(すなわち、半導体基板10Dとp型クラッド層12との間にp型コンタクト層22を設けないことによって光吸収損失を抑制できる効果)を得ると共に、第4実施形態の効果(すなわち、図16に示したようなエピサイドダウン実装を容易に行うことができる効果)を得ることができる。
また、第5実施形態の半導体レーザ素子1Eに、第6実施形態の電極23を追加で設けてもよい。このような構成によっても、第6実施形態の半導体レーザ素子1Fと同様に、半導体レーザ素子1Eをトランジスタレーザとして動作させることが可能となる。
また、第4実施形態の半導体レーザ素子1Dにおいて、溝部G1の形状は、必ずしも発光部P1の隣接する2辺に沿ったL字状に形成される必要はない。例えば、Z軸方向から見た場合において互いに対向する発光部P1の2辺(例えば、X軸方向に対向する2辺、又は、Y軸方向に対向する2辺)に沿って、2つの独立した(分離された)溝部が形成されてもよい。また、発光部P1の1辺のみに沿ったI字状の溝部が形成されてもよいし、発光部P1の3辺に沿ったU字状の溝部が形成されてもよいし、発光部P1の4辺に沿った四角環状の溝部が形成されてもよい。このように、溝部G1の形状は特定の形状に限定されない。ただし、本実施形態のように、溝部G1をL字状に形成することにより、発光部P1の面積、及び非発光部P2の実装面の面積(すなわち、電極19Dと電極52との接触面積)をバランス良く確保することができる。なお、発光部P1に対する電流注入を好適に行う観点においては、溝部G1の形状は、四角環状、U字状、L字状、I字状の順に好ましい。すなわち、上記観点においては、溝部G1の形状は、発光部P1の四方から電流注入が可能な四角環状であることが最も好ましく、次いで発光部P1の3辺から電流注入が可能なU字状であることが好ましく、次いで発光部P1の2辺から電流注入が可能なL字状であることが好ましく、次いで発光部P1の1辺から電流注入が可能なI字状であることが好ましい。一方、半導体レーザ素子1Dの実装面積(すなわち、半導体レーザ素子1DのX軸方向及びY軸方向の幅)を小型化する観点においては、溝部G1の形状は、I字状、L字状、U字状、四角環状の順に好ましい。すなわち、溝部G1の形状を発光部P1の四方を周囲する四角環状にした場合には、実装面積が最も大きくなるのに対して、溝部G1の形状を発光部P1の一辺のみに沿って設けるI字状にした場合には、残りの3辺に沿った部分が減る分だけ、溝部G1を四角環状に形成した場合よりも実装面積を低減できる。
また、半導体レーザ素子1D~1Fは、半導体レーザ素子1Bと同様のn型ガイド層15Bを備えることにより、端面出射型のレーザダイオードとして構成されてもよい。
1A,1B,1C,1D,1E,1F…半導体レーザ素子、10,10D…半導体基板、11,11B,11C,11D,11E…半導体積層体、12…p型クラッド層、13…ノンドープガイド層、14…活性層、15,15B,15C…n型ガイド層、14…活性層、15a…基本層、15b…異屈折率領域(微細構造部)、15c…回折格子(微細構造部)、17…n型コンタクト層、18,18E…電極(第1電極)、19,19D,19E…電極(第2電極)、22,22E…p型コンタクト層、22a…表面(第1表面)、23…電極(第3電極)、G1,G2…溝部、P1…発光部(第1部分)、P2…非発光部(第2部分)。

Claims (14)

  1. 半導体基板と、前記半導体基板上に形成された半導体積層体と、を備え、
    前記半導体積層体は、
    活性層と、
    前記半導体基板と前記活性層との間に配置されるp型クラッド層と、
    前記p型クラッド層と前記活性層との間に配置されるノンドープガイド層と、
    前記活性層に対して前記ノンドープガイド層が位置する側とは反対側に配置されるn型ガイド層と、
    前記n型ガイド層に対して前記活性層が位置する側とは反対側に配置されるn型クラッド層と、を有し、
    前記p型クラッド層には、Znがドープされており、
    前記ノンドープガイド層は、InAlGa1-xAs(0<x≦1)によって形成されており、
    前記半導体積層体の積層方向における前記n型ガイド層の厚さは、前記積層方向における前記ノンドープガイド層の厚さよりも大きい、半導体レーザ素子。
  2. 前記半導体基板は、p型である、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記半導体積層体は、前記n型クラッド層に対して前記n型ガイド層が位置する側とは反対側に配置されるn型コンタクト層を更に有し、
    前記n型コンタクト層上に設けられた第1電極と、
    前記半導体基板における前記半導体積層体側とは反対側の表面上に設けられた第2電極と、を更に備える、請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記半導体基板は、n型であり、
    前記半導体積層体は、前記p型クラッド層と接触するように設けられたp型コンタクト層を有する、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記p型コンタクト層は、前記半導体基板と前記p型クラッド層との間に配置されており、
    前記半導体積層体には、前記半導体積層体における前記半導体基板側とは反対側の表面から前記p型コンタクト層における前記半導体基板側とは反対側の第1表面まで延びると共に、前記半導体積層体を第1部分と第2部分とに分離する溝部が設けられており、
    前記第1部分には、前記n型クラッド層に対して前記n型ガイド層が位置する側とは反対側に配置されるn型コンタクト層が設けられており、
    前記n型コンタクト層上に設けられた第1電極と、
    前記第2部分における前記半導体基板側とは反対側の表面上から前記第1表面上まで延びるように設けられた第2電極と、を更に備える、請求項4に記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記半導体積層体は、前記n型クラッド層に対して前記n型ガイド層が位置する側とは反対側に配置されるn型コンタクト層を更に有し、
    前記半導体積層体には、前記半導体積層体における前記半導体基板側とは反対側の表面から前記p型クラッド層の内部であって前記半導体基板から離間した位置まで延びる溝部が設けられており、
    前記p型コンタクト層は、前記溝部の内部に配置されており、
    前記n型コンタクト層上に設けられた第1電極と、
    前記p型コンタクト層上に設けられた第2電極と、を更に備える、請求項4に記載の半導体レーザ素子。
  7. 前記半導体基板における前記半導体積層体側とは反対側の表面上に設けられた第3電極を更に備える、請求項5又は6に記載の半導体レーザ素子。
  8. 前記n型ガイド層及び前記n型クラッド層には、Siがドープされている、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  9. 前記積層方向における前記n型ガイド層の厚さは、2μm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  10. 前記積層方向における前記ノンドープガイド層の厚さは、30nm~150nmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  11. 前記n型ガイド層には、微細な凹凸構造を有する微細構造部が設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  12. 前記n型ガイド層は、第1屈折率を有する基本層と、前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する複数の異屈折率領域と、を有し、
    前記微細構造部は、前記積層方向から見て二次元状に配置された前記複数の異屈折率領域によって構成されている、請求項11に記載の半導体レーザ素子。
  13. 前記微細構造部は、前記積層方向に直交する前記活性層の共振方向に沿って分布する回折格子を有する、請求項11に記載の半導体レーザ素子。
  14. 前記積層方向における前記n型ガイド層の厚さは、前記積層方向における前記ノンドープガイド層の厚さの1.5倍以上である、請求項11に記載の半導体レーザ素子。
JP2023073637A 2022-12-26 2023-04-27 半導体レーザ素子 Pending JP2024092908A (ja)

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