JP2024092097A - センサ素子及びガスセンサ - Google Patents

センサ素子及びガスセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP2024092097A
JP2024092097A JP2022207782A JP2022207782A JP2024092097A JP 2024092097 A JP2024092097 A JP 2024092097A JP 2022207782 A JP2022207782 A JP 2022207782A JP 2022207782 A JP2022207782 A JP 2022207782A JP 2024092097 A JP2024092097 A JP 2024092097A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
measurement
measurement electrode
adsorption layer
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022207782A
Other languages
English (en)
Inventor
伸太郎 島川
Shintaro Shimakawa
太助 成重
Tasuke Narushige
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2022207782A priority Critical patent/JP2024092097A/ja
Publication of JP2024092097A publication Critical patent/JP2024092097A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Abstract

【課題】測定電極へのAuの付着を十分抑制する。【解決手段】センサ素子101は、被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、被測定ガス流通部のうちの第1内部空所20に配設された内側ポンプ電極22と、第1内部空所20の下流に設けられた第3内部空所61に配設された測定電極44と、PtとRhとの少なくとも一方を含み測定電極44の一部を被覆するAu吸着層91と、を備える。内側ポンプ電極22は、触媒活性を有する貴金属と、Auと、を含む。測定電極44は、PtとRhとの少なくとも一方を含む。Au吸着層91及び測定電極44は、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定されたPt及びRhの合計ピーク面積比(=Au吸着層91におけるPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積/測定電極44のうちAu吸着層91に被覆されていない部分におけるPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積)が1.2以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、センサ素子及びガスセンサに関する。
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガスの濃度である特定ガス濃度を検出するガスセンサが知られている。例えば、特許文献1には、酸素イオン伝導性の固体電解質層を含み被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、被測定ガス流通部のうちの酸素濃度調整室の酸素濃度を調整する調整用ポンプセルと、被測定ガス流通部のうち酸素濃度調整室の下流側に設けられた測定室に配設された測定電極を有する測定用ポンプセルと、基準電極と、を有するセンサ素子を備えたガスセンサが記載されている。このガスセンサでNOxの濃度を検出する場合、まず、調整用ポンプセルによって酸素濃度調整室の酸素濃度が調整され、酸素濃度が調整された後の被測定ガスが測定室に到達する。測定室では、被測定ガス中のNOxが、測定電極の周囲で還元される。そして、測定電極と基準電極との間に生じる電圧V2が所定の目標値となるように測定用ポンプセルをフィードバック制御して測定電極の周囲の酸素を汲み出す。このときに流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOxの濃度が検出される。
また、特許文献1には、調整用ポンプセルの一部であり被測定ガス流通部に配置される内側ポンプ電極は、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極であることが記載されている。内側ポンプ電極がAuを含有していることで、内側ポンプ電極がNOxを還元することを抑制できる。一方で、特許文献2には、ガスセンサの使用時にポンプ電極に含まれるAuが蒸散してセンサ電極に付着すると、センサ電極のNOxを分解する能力が低下することが記載されている。特許文献2では、センサ電極及びポンプ電極をいずれも被覆しない位置に、ポンプ電極から蒸散したAu原子を吸着するAu吸着層を形成することで、センサ電極にAuが付着することを抑制することが記載されている。Au吸着層の材質に関しては、Pt、Pd、Ni、Rh、Ir、Ta、W、Moから選択される金属元素を主成分として含有することや、Auの吸着効率が高いPtを用いることが好ましいことが記載されている。
特開2022-091669号公報 特許第6292735号
しかし、特許文献2では、Au吸着層の組成の詳細までは検討されていない。本発明者らが調べたところ、Au吸着層が存在しても場合によってはAuを吸着する効果が十分得られない場合があることが判明した。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、測定電極へのAuの付着を十分抑制することを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
[1]本発明のセンサ素子は、
酸素イオン伝導性の固体電解質層を有し、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、
前記被測定ガス流通部のうちの酸素濃度調整室に配設された調整用ポンプ電極と、
前記被測定ガス流通部のうちの前記酸素濃度調整室の下流に設けられた測定室に配設された測定電極と、
PtとRhとの少なくとも一方を含み、前記測定電極の一部を被覆するAu吸着層と、
を備え、
前記調整用ポンプ電極は、触媒活性を有する貴金属と、Auと、を含み、
前記測定電極は、PtとRhとの少なくとも一方を含み、
前記Au吸着層及び前記測定電極は、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定されたPt及びRhの合計ピーク面積比(=前記Au吸着層におけるPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積/前記測定電極のうち前記Au吸着層に被覆されていない部分におけるPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積)が1.2以上である、
ものである。
このセンサ素子は、測定電極の一部を被覆するAu吸着層を備えている。また、測定電極とAu吸着層とが、それぞれ、PtとRhとの少なくとも一方を含んでいる。そして、Au吸着層及び測定電極は、Pt及びRhの合計ピーク面積比が1.2以上である。合計ピーク面積比が1.2以上であることで、調整用ポンプ電極から蒸散したAuが測定電極よりもAu吸着層に吸着されやすくなり、測定電極へのAuの付着を十分抑制することができる。
[2]上述したセンサ素子(前記[1]に記載のセンサ素子)は、前記測定電極に接続された測定電極リード、を備え、前記Au吸着層は、前記測定電極リードの一部であってもよい。こうすれば、測定電極リードがAu吸着層を兼ねているため、測定電極リードとは別でAu吸着層を設ける場合と比較して、センサ素子の構成をコンパクト化できる。
[3]上述したセンサ素子(前記[1]又は[2]に記載のセンサ素子)において、前記合計ピーク面積比が1.8以上であってもよい。合計ピーク面積比が1.8以上では、Auが測定電極よりもAu吸着層に一層吸着されやすくなる。
[4]上述したセンサ素子(前記[1]~[3]のいずれかに記載のセンサ素子)において、前記Au吸着層が前記測定電極を被覆する面積S1と前記測定電極の面積S2との比である面積比S1/S2が1/20以上であってもよい。面積比S1/S2が1/20以上では、Au吸着層がより確実にAuを吸着できる。
[5]上述したセンサ素子(前記[1]~[4]のいずれかに記載のセンサ素子)において、前記Au吸着層が前記測定電極を被覆する面積S1と前記測定電極の面積S2との比である面積比S1/S2が1/4以下であってもよい。面積比S1/S2が1/4以下では、測定電極のうちAu吸着層に被覆されていない部分が十分存在するから、測定電極のNOxを還元する能力が十分なものとなる。
[6]本発明のガスセンサは、前記[1]~[5]のいずれかに記載のセンサ素子を備えたものである。そのため、このガスセンサは、上述したセンサ素子と同様の効果、例えば測定電極へのAuの付着を十分抑制する効果が得られる。
ガスセンサ100の構成の一例を概略的に示した断面模式図。 図1のA-A断面の一部を示す断面図。 測定電極44及びAu吸着層91を前方から見た前面図。 制御装置95と各セル及びヒータ72との電気的な接続関係を示すブロック図。 X線光電子分光法(XPS)の測定箇所を示す上面図。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるガスセンサ100の構成の一例を概略的に示した断面模式図である。図2は、図1のA-A断面の一部を示す断面図である。図3は、測定電極44及びAu吸着層91を前方から見た前面図である。図4は、制御装置95と各セル及びヒータ72との電気的な接続関係を示すブロック図である。このガスセンサ100は、例えば内燃機関の排ガス管などの配管に取り付けられている。ガスセンサ100は、内燃機関の排ガスを被測定ガスとして、被測定ガス中のNOxやアンモニアなどの特定ガスの濃度である特定ガス濃度を検出する。本実施形態では、ガスセンサ100は特定ガス濃度としてNOx濃度を測定するものとした。ガスセンサ100は、長尺な直方体形状をしたセンサ素子101と、センサ素子101が備える各セル21,41,50,80~83と、センサ素子101の内部に設けられたヒータ部70と、可変電源24,46,52及びヒータ電源76を有しガスセンサ100全体を制御する制御装置95と、を備えている。
センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された積層体を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
センサ素子101の先端部側(図1の左端部側)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40と、第4拡散律速部60と、第3内部空所61とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40と、第3内部空所61とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。また、第4拡散律速部60は、第2固体電解質層6の下面との隙間として形成された1本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第3内部空所61に至る部位を被測定ガス流通部とも称する。
センサ素子101は、センサ素子101の外部から基準電極42にNOx濃度の測定を行う際の基準ガスを流通させる基準ガス導入部49を備えている。基準ガス導入部49は、基準ガス導入空間43と、基準ガス導入層48とを有する。基準ガス導入空間43は、センサ素子101の後端面から内方向に設けられた空間である。基準ガス導入空間43は、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に設けられている。基準ガス導入空間43は、センサ素子101の後端面に開口しており、この開口が基準ガス導入部49の入口部49aとして機能する。この入口部49aから基準ガス導入空間43内に基準ガスが導入される。基準ガス導入部49は、入口部49aから導入された基準ガスに対して所定の拡散抵抗を付与しつつこれを基準電極42に導入する。基準ガスは、本実施形態では大気とした。
基準ガス導入層48は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4の下面との間に設けられている。基準ガス導入層48は、例えばアルミナなどのセラミックスからなる多孔質体である。基準ガス導入層48の上面の一部は、基準ガス導入空間43内に露出している。基準ガス導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。基準ガス導入層48は、基準ガスを基準ガス導入空間43から基準電極42まで流通させる。
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、基準ガス導入空間43につながる基準ガス導入層48が設けられている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内,第2内部空所40内,及び第3内部空所61内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。基準電極42は、多孔質サーメット電極(例えば、PtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。
被測定ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの圧力変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの圧力変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極の間の電流の経路となる第2固体電解質層6,スペーサ層5,及び第1固体電解質層4とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力(電圧V0)を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、電圧V0が目標値となるように可変電源24の電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
第2内部空所40は、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整を行うための空間として設けられている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101の外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6,スペーサ層5,及び第1固体電解質層4とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4には、底部電極部51bが形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部51c(図2参照)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力(電圧V1)に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その電圧V0の上述した目標値が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
第4拡散律速部60は、第2内部空所40で補助ポンプセル50の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第3内部空所61に導く部位である。第4拡散律速部60は、第3内部空所61に流入するNOxの量を制限する役割を担う。
第3内部空所61は、あらかじめ第2内部空所40において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第4拡散律速部60を通じて導入された被測定ガスに対して、被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、第3内部空所61において、測定用ポンプセル41の動作により行われる。
測定用ポンプセル41は、第3内部空所61内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第3内部空所61に面する第1固体電解質層4の上面に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。測定電極44は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を、内側ポンプ電極22よりも高めた材料にて構成された多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第3内部空所61内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。
測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力(電圧V2)に基づいて可変電源46が制御される。
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部60を通じて第3内部空所61内の測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された電圧V2が一定(目標値)となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
また、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42とを組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準大気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることも可能である。
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力(電圧Vref)によりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74と、圧力放散孔75とを備えている。
ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータコネクタ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、スルーホール73を介してヒータコネクタ電極71と接続されており、該ヒータコネクタ電極71を通してヒータ電源76(図4参照)から給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第3内部空所61の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
圧力放散孔75は、第3基板層3及び基準ガス導入層48を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
制御装置95は、図4に示すように、上述した可変電源24,46,52と、上述したヒータ電源76と、制御部96と、を備えている。制御部96は、CPU97及び記憶部98などを備えたマイクロプロセッサである。記憶部98は、情報の書き換えが可能な不揮発性メモリであり、例えば各種プログラムや各種データを記憶可能である。記憶部98には、ポンプ電流Ip2とNOx濃度との対応関係として、関係式(例えば一次関数又は二次関数の式)やマップなどが記憶されている。このような関係式又はマップは、予め実験により求めておくことができる。制御部96は、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80にて検出される電圧V0、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される電圧V1、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出される電圧V2、センサセル83にて検出される電圧Vref、主ポンプセル21にて検出されるポンプ電流Ip0、補助ポンプセル50にて検出されるポンプ電流Ip1及び測定用ポンプセル41にて検出されるポンプ電流Ip2を入力する。また、制御部96は可変電源24,46,52へ制御信号を出力することで可変電源24,46,52が出力する電圧Vp0,Vp1,Vp2を制御し、これにより、主ポンプセル21,測定用ポンプセル41及び補助ポンプセル50を制御する。制御部96が主ポンプセル21,測定用ポンプセル41及び補助ポンプセル50を制御することで、第1内部空所20及び第2内部空所40における上述した酸素濃度の調整や、第3内部空所61における上述した酸素の汲み出しが行われる。また、制御部96は、ポンプ電流Ip2と記憶部98に記憶された対応関係とに基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を検出する。制御部96は、ヒータ電源76に制御信号を出力することでヒータ電源76がヒータ72に供給する電力を制御する。
ここで、センサ素子101が有する各電極の材質について詳細に説明する。内側ポンプ電極22,補助ポンプ電極51,及び測定電極44は、それぞれ、触媒活性を有する貴金属を含んでいる。触媒活性を有する貴金属としては、例えばPt,Rh,Ir,Ru,Pdの少なくともいずれかが挙げられる。外側ポンプ電極23及び基準電極42も、触媒活性を有する貴金属を含んでいる。また、内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51は、特定ガス(ここではNOx)に対する上記の貴金属の触媒活性を抑制させる触媒活性抑制能を有する貴金属として、Auを含んでいる。これにより、内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力が弱められている。測定電極44は、上記の触媒活性を有する貴金属として、PtとRhとの少なくとも一方を含んでいる。測定電極44は、少なくともPtを含むことが好ましい。測定電極44は、上記の触媒活性を有する貴金属のうちPt及びRh以外の貴金属は含まなくてもよい。測定電極44は、上記の触媒活性抑制能を有する貴金属すなわちAuを含まないことが好ましい。外側ポンプ電極23及び基準電極42についても、触媒活性抑制能を有する貴金属を含まないことが好ましい。各電極22,23,42,44,51は、それぞれ、貴金属と酸素イオン導電性を有する酸化物(例えばZrO2)とを含むサーメットであることが好ましい。各電極22,23,42,44,51は、それぞれ、多孔質体であることが好ましい。本実施形態では、内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51は、Auを1%含むPtとZrO2との多孔質サーメット電極とした。測定電極44は、Auを含まず、Pt及びRhとZrO2との多孔質サーメット電極とした。外側ポンプ電極23及び基準電極42は、PtとZrO2とを含む多孔質サーメット電極とした。
センサ素子101の後端の上面及び下面には、上述したコネクタ電極71以外にも、図示しない複数のコネクタ電極が配設されている。測定電極44は、図2及び図3に示す測定電極リード90を介して、この複数のコネクタ電極のうちの1つと電気的に導通している。内側ポンプ電極22,外側ポンプ電極23,基準電極42,及び補助ポンプ電極51についても、図示しないリードを介してコネクタ電極と電気的に導通している。この複数のコネクタ電極を介して、センサ素子101と制御装置95とは電気的に接続されている。上述した可変電源24,可変電源46,可変電源52による電圧の印加や、ポンプ電流Ip0,Ip1,Ip2,電圧V0,V1,V2,Vrefの検出なども、実際はこの複数のコネクタ電極と測定電極リード90を含む複数のリードとを介して行われる。
測定電極リード90は、スペーサ層5の上面に配設されている。測定電極リード90は、図2及び図3に示すように、左右方向に沿って第3内部空所61に配設されている部分と、スペーサ層5と第1固体電解質層4との間に挟まれてセンサ素子101に埋設されており後方まで延びている部分と、を有する。測定電極リード90は、例えばセンサ素子101の後方の左側面まで延びて配設されており、センサ素子101の左側面及び上面に配設された図示しないリードを介して、コネクタ電極と導通している。
また、センサ素子101は、図1~図3に示すように、測定電極44の一部を被覆するAu吸着層91を備えている。本実施形態では、Au吸着層91は、測定電極リード90の一部として構成されている。そのため、測定電極リード90全体がAu吸着層91と同じ材質で形成されている。測定電極リード90の一部は第3内部空所61内に配設され、図3に示すように段差状に折れ曲がって測定電極44の上面まで達している。測定電極リード90のうち、測定電極44の上面を被覆する部分がAu吸着層91として機能する。
Au吸着層91は、測定電極44と同様に、PtとRhとの少なくとも一方を含んでいる。Au吸着層91は、少なくともPtを含むことが好ましい。Au吸着層91は、PtとRhとの少なくとも一方と、第1固体電解質層4の主成分と同じZrO2と、を有するサーメットとしてもよい。Au吸着層91は、緻密体であることが好ましい。Au吸着層91は、例えば気孔率が0体積%以上10体積%以下としてもよい。Au吸着層91は、気孔率が5体積%未満であることが好ましく、2体積%以下であることがより好ましい。
Au吸着層91及び測定電極44は、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定されたPt及びRhの合計ピーク面積比(=Au吸着層91におけるPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積/測定電極44のうちAu吸着層91に被覆されていない部分におけるPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積)が1.2以上である。Pt及びRhの合計ピーク面積比(以下、単に合計ピーク面積比と称する)が大きいほど、測定電極44の表面と比べてAu吸着層91の表面の方がPt及びRhの合計の存在量が多いことを意味する。合計ピーク面積比は1.5以上が好ましく、1.8以上がより好ましい。合計ピーク面積比は3.0以下としてもよいし、2.0以下としてもよい。
Au吸着層91が測定電極44を被覆する面積S1と、測定電極44の面積S2との比である面積比S1/S2は、1/20以上であることが好ましい。面積S1は、測定電極44のうちAu吸着層91に被覆されている面(ここでは上面)に垂直な方向から見たときの面積(ここではAu吸着層91の上面視での面積)とする。面積S2は、測定電極44が配設された面(ここでは第1固体電解質層4の上面)に垂直な方向から見たときの面積(ここでは測定電極44の上面視での面積)とする。面積S2には、Au吸着層91に被覆されている部分の面積も含む。面積比S1/S2は、1/10以上としてもよい。面積比S1/S2は、1/4以下であることが好ましい。面積S1は、例えば0.01mm2以上0.25mm2以下としてもよい。面積S2は、例えば0.1mm2以上1mm2以下としてもよい。
次に、こうしたガスセンサ100の製造方法の一例を以下に説明する。まず、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含む6枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。このグリーンシートには、印刷時や積層時の位置決めに用いるシート穴や必要なスルーホール等を予め複数形成しておく。また、スペーサ層5となるグリーンシートには被測定ガス流通部となる空間を予め打ち抜き処理などによって設けておく。そして、第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6とのそれぞれに対応して、各セラミックスグリーンシートに種々のパターンを形成するパターン印刷処理を行う。形成するパターンは、具体的には、例えば上述した測定電極44などの各電極、各電極に接続される測定電極リード90などのリード線、基準ガス導入層48、コネクタ電極71、ヒータ部70などのパターンである。パターン印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してグリーンシート上に塗布することにより行う。なお、本実施形態ではAu吸着層91は測定電極リード90の一部であるから、測定電極リード90の一部が測定電極44を被覆するように測定電極リード90となるパターンを形成すれば、Au吸着層91のパターンを形成することができる。具体的には、測定電極44となるパターンを第1固体電解質層4となるグリーンシート上に形成し、その後に、測定電極44となるパターンと一部が重複するように測定電極リード90となるパターンを形成する。パターン印刷処理を行うと、公知の乾燥手段を用いて乾燥処理を行う。パターン印刷・乾燥が終わると、各層に対応するグリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う。そして、接着用ペーストを形成したグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ所定の順序に積層して、所定の温度・圧力条件を加えることで圧着させ、一つの積層体とする圧着処理を行う。こうして得られた積層体は、複数個のセンサ素子101を包含したものである。その積層体を切断してセンサ素子101の大きさに切り分ける。そして、切り分けた積層体を所定の焼成温度で焼成し、センサ素子101を得る。
このようにしてセンサ素子101を得ると、センサ素子101を図示しない素子封止体に組み込んだセンサ組立体を製造し、保護カバーなどを取り付ける。そして、センサ素子101と制御装置95とを電気的に接続することで、ガスセンサ100が得られる。
なお、測定電極44及びAu吸着層91(ここでは測定電極リード90)のパターン形成用ペーストには、PtとRhとの少なくとも一方の粒子を含むペーストを用いる。例えば、測定電極44及びAu吸着層91のパターン形成用ペーストには、PtとRhとの少なくとも一方の粒子と、ZrO2の粉末と、バインダーとを混合して作成した導電性ペーストを用いることができる。また、測定電極44のパターン形成用ペーストとAu吸着層91のパターン形成用ペーストで、PtとRhとの合計含有割合を異ならせることで、合計ピーク面積比を調整できる。例えば、測定電極44のパターン形成用ペーストに対してAu吸着層91のパターン形成用ペーストがPtとRhとの合計含有割合が1.2倍以上となるようにすることで、合計ピーク面積比を1.2以上とすることができる。ただし、センサ素子101の焼成時に測定電極44とAu吸着層91との間でPt及びRhの粒子が移動して偏析が生じる場合がある。例えば、測定電極44のパターン形成用ペーストがPtとRhとを含み、Au吸着層91のパターン形成用ペーストがPtを含むがRhを含まないとき、焼成時に測定電極44側からAu吸着層91側にRhの粒子が移動する場合がある。Ptの粒子についても、測定電極44のパターン形成用ペーストとAu吸着層91のパターン形成用ペーストとのうちPtの含有割合が多い方から少ない方へ移動する場合がある。このような粒子の移動量を考慮して両者のパターン形成用ペーストのPtとRhとの合計含有割合を調整することが好ましい。Au吸着層91の気孔率は、例えばAu吸着層91のパターン形成用のペーストに含有させる造孔材の割合を調整することによって、調整できる。
また、Au吸着層91(ここでは測定電極リード90)のパターン形成用ペーストをスクリーン印刷する際のマスクの形状及び印刷位置を調整して、測定電極44のパターンとAu吸着層91のパターンとの重複部の面積を調整することで、面積比S1/S2を調整できる。なお、センサ素子101の焼成時にAu吸着層91の面積が大きくなる場合があるため、この点も考慮して印刷時の重複部の面積を調整することが好ましい。例えば、印刷時に測定電極44のパターンの面積のうち1/30以上をAu吸着層91のパターンが被覆する(重複する)ようにすれば、面積比S1/S2を1/20以上とすることができる。また、面積比S1/S2は、上述したPt及びRhの偏析の量にも影響する場合がある。例えば、上述したように焼成時に測定電極44側からAu吸着層91側にRhの粒子が移動して偏析が生じる場合、面積比S1/S2が大きいほどRhが偏析する量は多くなり、結果として面積比S1/S2が大きいほど合計ピーク面積比が大きくなる傾向がある。この点も考慮して面積比S1/S2を調整したり、測定電極44及びAu吸着層91のパターン形成用ペーストの各々のPtとRhとの合計含有割合を調整したりすることが好ましい。
こうして構成されたガスセンサ100の使用例を以下に説明する。制御部96のCPU97は、まず、ヒータ電源76を制御してヒータ72に電力を供給して、ヒータ72の温度が目標温度(例えば800℃など)になるように制御する。CPU97は、例えばヒータ72の温度に換算可能な値(例えばヒータ72の抵抗値,又は電流値など)を取得し、その値に基づいてヒータ電源76をフィードバック制御することで、ヒータ72の温度を制御する。ヒータ72の温度が目標温度(又は目標温度付近)に到達すると、CPU97は、上述した各ポンプセル21,41,50の制御や、上述した各センサセル80~83からの各電圧V0,V1,V2,Vrefの取得を開始する。この状態で、被測定ガスがガス導入口10から導入されると、被測定ガスは、第1拡散律速部11,緩衝空間12及び第2拡散律速部13を通過し、第1内部空所20に到達する。次に、第1内部空所20及び第2内部空所40において被測定ガスの酸素濃度が主ポンプセル21及び補助ポンプセル50によって調整され、調整後の被測定ガスが第3内部空所61に到達する。そして、CPU97は、取得したポンプ電流Ip2と記憶部98に記憶された対応関係とに基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を検出する。
このように制御装置95がセンサ素子101を用いてNOx濃度を検出する際に、高温の被測定ガスやヒータ72からの熱などにより、内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51に含まれるAuが蒸散する場合がある。一般に、蒸散したAuが測定電極44に付着すると、測定電極44のNOxに対する触媒活性が抑制されるから、測定電極44の周囲でNOxを十分還元できなくなる。その結果、NOx濃度に対応する正しいポンプ電流Ip2と比べて実際のポンプ電流Ip2が減少することになり、特定ガス濃度の検出精度が低下する。これに対して、本実施形態のガスセンサ100では、測定電極44の一部がAu吸着層91で被覆されており、Au吸着層91はPtとRhの少なくとも一方を含んでいる。そして、Au吸着層91と測定電極44とのPt及びRhの合計ピーク面積比が1.2以上である。Au吸着層91の表面にPt及びRhが多く存在するほど、内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51から蒸散したAuが測定電極44よりもAu吸着層91に吸着されやすくなる。特に、合計ピーク面積比が1.2以上であることで、AuがAu吸着層91に吸着されやすくなる効果が十分なものとなり、測定電極44へのAuの付着が十分抑制される。その結果、センサ素子101の使用に伴う測定電極44へのAuの付着に起因するNOx濃度の検出精度の低下を十分抑制できる。
Au吸着層91と測定電極44とのPt及びRhの合計ピーク面積比が大きいほど、Auが測定電極44よりもAu吸着層91に吸着されやすくなる。この観点から、合計ピーク面積比は1.5以上が好ましく、1.8以上がより好ましい。
Au吸着層91が測定電極44を被覆する面積S1と測定電極44の面積S2との比である面積比S1/S2が大きいほど、Au吸着層91がAuを吸着する能力が高まる。特に、面積比S1/S2が1/20以上であれば、Au吸着層91はより確実にAuを吸着できるため、好ましい。この観点から、面積比S1/S2は1/10以上としてもよいし、1/8以上としてもよい。
面積比S1/S2が大きすぎると、測定電極44のうちAu吸着層91に被覆されていない部分が少なくなり測定電極44がNOxを還元する能力が低下する場合がある。この観点から、面積比S1/S2は1/4以下が好ましい。面積比S1/S2は1/8以下としてもよいし、1/10以下としてもよい。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1基板層1と第2基板層2と第3基板層3と第1固体電解質層4とスペーサ層5と第2固体電解質層6との6つの層がこの順に積層された積層体が本発明の素子本体に相当し、第1内部空所20及び第2内部空所40が酸素濃度調整室に相当し、内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51が調整用ポンプ電極に相当し、第3内部空所61が測定室に相当し、測定電極44が測定電極に相当し、Au吸着層91がAu吸着層に相当する。また、測定電極リード90が測定電極リードに相当し、ガスセンサ100がガスセンサに相当する。
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、センサ素子101のAu吸着層91及び測定電極44は、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定されたPt及びRhの合計ピーク面積比が1.2以上であるため、内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51から蒸散したAuが測定電極44よりもAu吸着層91に吸着されやすくなり、測定電極44へのAuの付着を十分抑制することができる。合計ピーク面積比が1.8以上であれば、Auが測定電極44よりもAu吸着層91に一層吸着されやすくなる。
また、Au吸着層91は、測定電極リード90の一部である。すなわち、測定電極リード90がAu吸着層91を兼ねている。これにより、測定電極リード90とは別でAu吸着層91を設ける場合と比較して、センサ素子101の構成をコンパクト化できる。また、センサ素子101の製造時には測定電極リード90とAu吸着層91とを一体的に形成できるため、製造工程を簡単にしたり製造コストを低減させたりできる。
さらに、Au吸着層91が測定電極44を被覆する面積S1と測定電極44の面積S2との比である面積比S1/S2が1/20以上であれば、Au吸着層91がより確実にAuを吸着できる。面積比S1/S2が1/4以下であれば、測定電極44のうちAu吸着層91に被覆されていない部分が十分存在するから、測定電極44のNOxを還元する能力が十分なものとなる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、Au吸着層91は測定電極リード90の一部であったが、これに限られない。Au吸着層91を測定電極リード90とは独立して設けてもよい。この場合、Au吸着層91は測定電極リード90と接触している必要はない。例えば、測定電極リード90は一部が測定電極44と第1固体電解質層4との間に配設されることで測定電極44の下面と導通していてもよい。また、Au吸着層91の材質が測定電極リード90の材質とは異なっていてもよい。例えば、測定電極リード90については導電体であればよく、Pt及びRhを含まなくてもよい。
上述した実施形態では、酸素濃度調整室は第1内部空所20と第2内部空所40とを有していたが、これに限らず例えば酸素濃度調整室がさらに別の内部空所を備えていてもよいし、第1内部空所20と第2内部空所40との一方を省略してもよい。同様に、上述した実施形態では調整用ポンプセルは主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを有していたが、これに限らず例えば調整用ポンプセルがさらに別のポンプセルを備えていてもよいし、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との一方を省略してもよい。例えば、主ポンプセル21のみで被測定ガスの酸素濃度を十分低くすることができる場合は、補助ポンプセル50を省略してもよい。補助ポンプセル50を省略する場合、制御部96は、調整用ポンプ制御処理として主ポンプ制御処理のみを行えばよい。また、主ポンプ制御処理では、上述したポンプ電流Ip1に基づく目標値V0*の設定を省略すればよい。具体的には、所定の目標値V0*を予め記憶部98に記憶しておき、制御部96は電圧V0が目標値V0*となるように可変電源24の電圧Vp0をフィードバック制御することで、主ポンプセル21を制御すればよい。
上述した実施形態では、内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51がいずれもAuを含んでいたが、これに限られない。内側ポンプ電極22と補助ポンプ電極51との少なくとも一方がAuを含んでいればよい。すなわち、調整用ポンプセルが複数のポンプセルを有しており調整用ポンプ電極が複数存在する場合は、少なくとも1つの調整用ポンプ電極がAuを含んでいればよい。
上述した実施形態では、外側ポンプ電極23は、主ポンプセル21における内側ポンプ電極22と対になる電極(外側主ポンプ電極とも称する)としての役割と、補助ポンプセル50における補助ポンプ電極51と対になる電極(外側補助ポンプ電極とも称する)としての役割と、測定用ポンプセル41における測定電極44と対になる電極(外側測定電極とも称する)としての役割とを兼ねていたが、これに限られない。外側主ポンプ電極,外側補助ポンプ電極,及び外側測定電極のうちのいずれか1以上を、外側ポンプ電極23とは別に素子本体の外側に被測定ガスと接触するように設けてもよい。
上述した実施形態では、センサ素子101は被測定ガス中のNOx濃度を検出するものとしたが、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するものであれば、これに限られない。例えば、NOxに限らず他の酸化物濃度を特定ガス濃度としてもよい。特定ガスが酸化物の場合には、上述した実施形態と同様に特定ガスそのものを第3内部空所61で還元したときに酸素が発生するから、測定用ポンプセル41はこの酸素に応じた検出値(例えばポンプ電流Ip2)を取得して特定ガス濃度を検出できる。また、特定ガスがアンモニアなどの非酸化物であってもよい。特定ガスが非酸化物の場合には、特定ガスを酸化物に変換(例えばアンモニアであればNOに変換)することで、変換後のガスが第3内部空所61で還元したときに酸素が発生するから、測定用ポンプセル41はこの酸素に応じた検出値(例えばポンプ電流Ip2)を取得して特定ガス濃度を検出できる。例えば、第1内部空所20の内側ポンプ電極22が触媒として機能することにより、第1内部空所20においてアンモニアをNOに変換できる。
上述した実施形態では、センサ素子101の素子本体は複数の固体電解質層(層1~6)を有する積層体としたが、これに限られない。センサ素子101の素子本体は、酸素イオン伝導性の固体電解質層を少なくとも1つ含んでいればよい。例えば、図1において第2固体電解質層6以外の層1~5は固体電解質層以外の材質からなる層(例えばアルミナからなる層)としてもよい。この場合、センサ素子101が有する各電極は第2固体電解質層6に配設されるようにすればよい。例えば、図1の測定電極44は第2固体電解質層6の下面に配設すればよい。また、基準ガス導入空間43を第1固体電解質層4に設ける代わりにスペーサ層5に設け、基準ガス導入層48を第1固体電解質層4と第3基板層3との間に設ける代わりに第2固体電解質層6とスペーサ層5との間に設け、基準電極42を第3内部空所61よりも後方且つ第2固体電解質層6の下面に設ければよい。
以下には、センサ素子を具体的に作製した例を実施例として説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1~3の作製]
上述したセンサ素子101の製造方法に従って、図1~3に示したセンサ素子101を作製して実施例1~3とした。実施例1~3は、いずれも、測定電極44のうちPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積を異ならせた点以外は、同様に作製した。センサ素子101を作製するにあたり、各層1~6となるグリーンシートは、安定化剤のイットリアを4mol%添加したジルコニア粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合し、テープ成形により成形した。内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51のパターン形成用のペーストは、Ptの粉末にAuをコーティングしたコーティング粉末と、ジルコニア粉末と、バインダーと、を混合することによって作製した。測定電極44のパターン形成用のペーストは、Ptの粉末と、Rhの粉末と、ZrO2の粉末と、バインダーと、を混合することによって作製した。Au吸着層91を含む測定電極リード90のパターン形成用のペーストは、Rhの粉末を混合せず、Ptの粉末と、ZrO2の粉末と、バインダーと、を混合することによって作製した。また、測定電極44用のペースト中のPtとRhとの合計含有割合と比べて測定電極リード90用のペースト中のPtの含有割合が高くなるようにした。さらに、実施例1~3では、測定電極44用のペースト中のPtとRhとの合計含有割合を互いに異ならせることで、Au吸着層91と測定電極44とのPt及びRhの合計ピーク面積比を互いに異ならせた。実施例1~3では面積比S1/S2を1/4とした。
[実施例4,5]
面積比S1/S2を異ならせた点以外は実施例3と同様にセンサ素子101を作製して実施例4,5とした。実施例4では面積比S1/S2を1/10とし、実施例5では面積比S1/S2を1/20とした。
[比較例1]
Au吸着層91と測定電極44とのPt及びRhの合計ピーク面積比が1.0となるように測定電極44用のペースト中のPtとRhとの合計含有割合を調整した点以外は、実施例5と同様にセンサ素子101を作製して比較例1とした。
[Pt及びRhの合計ピーク面積比の算出]
実施例1のセンサ素子101を複数作製し、そのうちの1個を切断して測定電極44及びAu吸着層91の上面を外部に露出させ、測定電極44及びAu吸着層91の各々についてPt及びRhの光電子スペクトルをX線光電子分光法(XPS)により測定した。得られた光電子スペクトルにおけるPt及びRhの各々のピークのピーク面積を求め、測定電極44及びAu吸着層91における、Pt及びRhのピーク面積の和(Pt及びRhの合計ピーク面積)を算出した。測定箇所は図5に示す3点として、合計ピーク面積の算出には3点のPt及びRhの各ピーク面積の平均値を用いた。具体的には、まず、上面視で測定電極44及びAu吸着層91の前後の中心を左右方向に横切る仮想線Lを設定した。そして、測定電極44における測定は、仮想線L上で測定電極44が露出している部分(Au吸着層91に被覆されていない部分)を4等分するような3点(図5の黒丸)を測定点として行った。同様に、Au吸着層91における測定は、仮想線L上でAu吸着層91を4等分するような3点(図5の白抜きの丸)を測定点として行った。測定電極44におけるPt及びRhの合計ピーク面積は、測定電極44の3点の測定点におけるPtの検出ピークのピーク面積の平均値と測定電極44の3点の測定点におけるRhの検出ピークのピーク面積の平均値との和として算出した。Au吸着層91におけるPt及びRhの合計ピーク面積も、同様にして算出した。算出されたこれらの合計ピーク面積の値に基づいて、実施例1のPt及びRhの合計ピーク面積比(=Au吸着層91のPt及びRhの合計ピーク面積/測定電極44のうちAu吸着層91に被覆されていない部分のPt及びRhの合計ピーク面積)を算出した。実施例2~5及び比較例1についても同様にPt及びRhの合計ピーク面積比を算出した。ピーク面積の算出時のデータ処理には、ソフトウェアとしてアルバック・ファイ株式会社製のMultiPakを使用した。カーブフィッティング分析には非対称ガウス・ローレンツ関数を使用し、バックグラウンド処理にはShirley法を使用した。XPSの測定条件は以下の通りである。
測定装置:アルバック・ファイ株式会社製 PHI Quantes(走査型X線光電子分析装置)
X線源: 単色化Al(1486.6eV);
検出面積:12.5μm×12.5μm以上
分光器:静電同心半球型分析器
取り出し角:45°
検出スペクトル(検出ピーク):Pt4f、Rh3d
[測定電極の耐久劣化抑制効果の評価]
実施例1の複数のセンサ素子101のうちの1個について、耐久試験を行い、耐久試験後の測定電極44及びAu吸着層91へのAuの付着状態を調べた。耐久試験は、実験用エンジンベンチの排気管にセンサ素子101を取り付け、センサ素子101を排気ガスに2000時間晒すことにより行った。耐久試験後のセンサ素子101を切断して測定電極44及びAu吸着層91の上面を外部に露出させ、Pt及びRhの合計ピーク面積比の算出と同様に、XPSにより測定した光電子スペクトルから求めたAuのピーク面積比(=Au吸着層91のAuのピーク面積/測定電極44のうちAu吸着層91に被覆されていない部分のAuのピーク面積)を算出した。AuのXPSによる測定箇所は、測定電極44及びAu吸着層91の各々について図5に示した3点とし、3点のピーク面積の平均値としてAuのピーク面積を算出した。Auの検出スペクトル(検出ピーク)は4fピークとした。耐久試験後のAuのピーク面積比が大きいほど、耐久試験中に内側ポンプ電極22及び補助ポンプ電極51から蒸散したAuが測定電極44よりもAu吸着層91により多く付着していることを意味する。そのため、耐久試験後のAuのピーク面積比が大きいほど、Au吸着層91によって測定電極へのAuの付着が抑制されており、Au吸着層91による測定電極44の耐久劣化抑制効果が高いと言える。そこで、Auのピーク面積比が1.0より大きい場合は、測定電極44の耐久劣化抑制効果が高い(「A」)と判定し、Auのピーク面積比が1.0以下の場合は、測定電極44の耐久劣化抑制効果が見られない(「F」)と判定した。実施例2~5及び比較例1についても、同様に耐久試験後のAuのピーク面積比を測定して耐久劣化抑制効果を評価した。
実施例1~5及び比較例1の各々について、面積比S1/S2と、Pt及びRhの合計ピーク面積比と、耐久試験後のAuのピーク面積比と、測定電極44の耐久劣化抑制効果の判定結果と、を表1にまとめて示す。
Figure 2024092097000002
表1に示すように、Pt及びRhの合計ピーク面積比が1.0である比較例1では、耐久試験後のAuのピーク面積比が1.0であり、測定電極44の耐久劣化抑制効果が見られなかった。そのため、Au吸着層91がPtを含有していても、測定電極44の耐久劣化抑制効果が得られない場合があることがわかった。これに対して、Pt及びRhの合計ピーク面積比が1.2以上である実施例1~5では、いずれも測定電極44へのAuの付着が十分抑制されており、測定電極44の耐久劣化抑制効果が高かった。また、表1の結果から、面積比S1/S2は、1/20以上が好ましいと考えられる。
本発明は、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガス濃度を検出するガスセンサのセンサ素子に利用可能である。
1 第1基板層、2 第2基板層、3 第3基板層、4 第1固体電解質層、5 スペーサ層、6 第2固体電解質層、10 ガス導入口、11 第1拡散律速部、12 緩衝空間、13 第2拡散律速部、20 第1内部空所、21 主ポンプセル、22 内側ポンプ電極、22a 天井電極部、22b 底部電極部、23 外側ポンプ電極、24 可変電源、30 第3拡散律速部、40 第2内部空所、41 測定用ポンプセル、42 基準電極、43 基準ガス導入空間、44 測定電極、46 可変電源、48 基準ガス導入層、49 基準ガス導入部、49a 入口部、50 補助ポンプセル、51 補助ポンプ電極、51a 天井電極部、51b 底部電極部、51c 側部電極部、52 可変電源、60 第4拡散律速部、61 第3内部空所、70 ヒータ部、71 ヒータコネクタ電極、72 ヒータ、73 スルーホール、74 ヒータ絶縁層、75 圧力放散孔、76 ヒータ電源、80 主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、81 補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、82 測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、83 センサセル、90 測定電極リード、91 Au吸着層、95 制御装置、96 制御部、97 CPU、98 記憶部、100 ガスセンサ、101 センサ素子。

Claims (6)

  1. 酸素イオン伝導性の固体電解質層を有し、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、
    前記被測定ガス流通部のうちの酸素濃度調整室に配設された調整用ポンプ電極と、
    前記被測定ガス流通部のうちの前記酸素濃度調整室の下流に設けられた測定室に配設された測定電極と、
    PtとRhとの少なくとも一方を含み、前記測定電極の一部を被覆するAu吸着層と、
    を備え、
    前記調整用ポンプ電極は、触媒活性を有する貴金属と、Auと、を含み、
    前記測定電極は、PtとRhとの少なくとも一方を含み、
    前記Au吸着層及び前記測定電極は、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定されたPt及びRhの合計ピーク面積比(=前記Au吸着層におけるPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積/前記測定電極のうち前記Au吸着層に被覆されていない部分におけるPt又はRhが露出している部分の合計ピーク面積)が1.2以上である、
    センサ素子。
  2. 請求項1に記載のセンサ素子であって、
    前記測定電極に接続された測定電極リード、
    を備え、
    前記Au吸着層は、前記測定電極リードの一部である、
    センサ素子。
  3. 前記合計ピーク面積比が1.8以上である、
    請求項1又は2に記載のセンサ素子。
  4. 前記Au吸着層が前記測定電極を被覆する面積S1と前記測定電極の面積S2との比である面積比S1/S2が1/20以上である、
    請求項1又は2に記載のセンサ素子。
  5. 前記Au吸着層が前記測定電極を被覆する面積S1と前記測定電極の面積S2との比である面積比S1/S2が1/4以下である、
    請求項1又は2に記載のセンサ素子。
  6. 請求項1又は2に記載のセンサ素子を備えたガスセンサ。
JP2022207782A 2022-12-26 2022-12-26 センサ素子及びガスセンサ Pending JP2024092097A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022207782A JP2024092097A (ja) 2022-12-26 2022-12-26 センサ素子及びガスセンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022207782A JP2024092097A (ja) 2022-12-26 2022-12-26 センサ素子及びガスセンサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024092097A true JP2024092097A (ja) 2024-07-08

Family

ID=91802556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022207782A Pending JP2024092097A (ja) 2022-12-26 2022-12-26 センサ素子及びガスセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024092097A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6773565B2 (en) NOx sensor
US8366893B2 (en) Pumping electrode of gas sensor, method of manufacturing conductive paste, and gas sensor
US10663424B2 (en) Sensor element and gas sensor
JP6469462B2 (ja) ガスセンサ
JP2018040746A (ja) ガスセンサ
JP2018169329A (ja) センサ素子及びガスセンサ
US11391690B2 (en) Sensor element and gas sensor
WO2014091963A1 (ja) センサ素子及びガスセンサ
JP2009244140A (ja) ガスセンサおよびNOxセンサ
US11442036B2 (en) Sensor element and gas sensor
JP2000146906A (ja) ガスセンサ素子
US20050061670A1 (en) NOx sensing cell, manufacturing method for the NOx sensing cell, and NOx sensing device including the NOx sensing cell
JP3656882B2 (ja) 電気化学的素子の製造方法
JP2020159881A (ja) ガスセンサ及びセンサ素子
US20230168222A1 (en) Sensor element and gas sensor
JP2021124382A (ja) ガスセンサ
JP3643709B2 (ja) ガス濃度測定装置及びガス濃度測定方法
JP2003185625A (ja) ガス検知素子及びこれを用いたガス検出装置
JP2024092097A (ja) センサ素子及びガスセンサ
US6797138B1 (en) Gas senior design and method for forming the same
JP6517613B2 (ja) ガスセンサ
WO2024157772A1 (ja) センサ素子及びガスセンサ
WO2024150775A1 (ja) センサ素子、ガスセンサ、センサ素子の評価方法、プログラム
JP3328565B2 (ja) NOxガス濃度検出器
JP4213939B2 (ja) ガス検出装置