JP2024087351A - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 Download PDF

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拓也 村上
健一郎 新井
尚基 菅野
一幸 近藤
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Abstract

【課題】良好な液晶配向性を維持しながら、不純物耐性の高い液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種であって、式(1)で表される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(I)を含む重合体(P)を含有し、重合体(P)は、構造単位(I)として、式(1)で表される部分構造が互いに異なる2種以上のジアミンに由来する構造単位を含み、かつ、構造単位(I)の合計の割合が、重合体(P)に含まれるジアミンに由来する構造単位の合計量に対して50モル%以上である液晶配向剤とする。式(1)中、Dは熱脱離性基である。dは1又は2、aは1又は2、bは0又は1、cは0又は1であり、a+b+c=2を満たす。

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子に関する。
液晶素子は、テレビやモバイル機器、各種モニター等に広く利用されている。液晶素子の多用途化に伴い、液晶素子には更なる高品質化が求められており、駆動方式や素子構造の改良とともに、液晶素子の構成材料の1つである液晶配向膜の改良が進められている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、N,N’-ビス(2-((5-アミノピリジン-2-イル)アミノ)エチル)ウレア等の窒素含有ジアミンを含むジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸を液晶配向剤に含有させることにより、塗膜の光反応性やラビング耐性、液晶配向性、AC残像特性及び電圧保持率をバランス良く改善することが開示されている。
特開2018-200439号公報
近年、液晶パネルの大型化・高精細化が進むにつれて画素の更なる微細化が進み、画素の微細化に伴う配線部の影響等により液晶パネルの透過率が低下しやすいことがある。透過率向上の手段としては、負の誘電異方性を示すネガ液晶を用いることが挙げられる。しかしながら、負の誘電率異方性を示すネガ液晶を用いた場合、液晶自身や液晶配向膜、周辺部材等から種々のイオン性不純物が液晶層に溶出しやすく、イオン性不純物による汚れ不良(例えば線状の汚れ)が発生し液晶パネルの透過率が低下するという新たな課題が生じることが分かった。液晶パネルの更なる高品質化を図るために、液晶配向剤としては、良好な液晶配向性を維持しながら、液晶層中のイオン性不純物に起因する透過率の低下が生じにくい(すなわち、不純物耐性が高い)液晶素子を得ることが可能な材料が求められる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、良好な液晶配向性を維持しながら、不純物耐性の高い液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供することを主たる目的とする。
本発明者らは鋭意検討し、特定の構造単位を含む重合体を用いて液晶配向膜を形成することにより上記課題を解決するに至った。本発明によれば以下の手段が提供される。
〔1〕 ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種であって、下記式(1)で表される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(I)を含む重合体(P)を含有し、前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、下記式(1)で表される部分構造が互いに異なる2種以上のジアミンに由来する構造単位を含み、かつ、前記構造単位(I)の合計の割合が、前記重合体(P)に含まれるジアミンに由来する構造単位の合計量に対して50モル%以上である、液晶配向剤。
Figure 2024087351000001
(式(1)中、Dは熱脱離性基である。dは1又は2である。dが1の場合、R及びRは、互いに独立して、「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基若しくは2価の芳香環基であるか、又は、R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の複素環構造を表す。dが2の場合、R及びRは、Rが「>C(R)-*」、3価の脂環式基若しくは3価の芳香環基であり(ただし、「*」は窒素側の結合手を表す。)、Rが「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基若しくは2価の芳香環基であるか、又は、R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の複素環構造を表す。R及びRは、互いに独立して、水素原子又は置換基である。Rは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。aは1又は2である。bは0又は1である。cは0又は1である。ただし、a+b+c=2を満たす。R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式又は縮合環式の複素環構造を表す場合には、a=1、b=1かつc=0である。「*」は結合手を表す。)
〔2〕 上記〔1〕の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
〔3〕 上記〔2〕の液晶配向膜を備える液晶素子。
本発明の液晶配向剤によれば、良好な液晶配向性を維持しながら、不純物耐性の高い液晶素子を得ることができる。
《液晶配向剤》
本開示の液晶配向剤は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種であって、特定の構造単位を含む重合体(P)を含有する。以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。なお、各成分については特に言及しない限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、本明細書において、「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、鎖状炭化水素基は飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素基は脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香族炭化水素基は芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。「芳香環」は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環を含む意味である。「有機基」とは、炭素を含む化合物(すなわち有機化合物)から任意の水素原子を取り除いてなる原子団をいう。
重合体の「主鎖」とは、重合体のうち最も長い原子の連鎖からなる「幹」の部分をいう。この「幹」の部分が環構造を含むことは許容される。例えば、「特定構造を主鎖に有する」とは、その特定構造が主鎖の一部分を構成することをいう。「側鎖」とは、重合体の「幹」の部分から分岐した部分をいう。「(メタ)アクリロ」は、アクリロ及びメタクリロを包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを包含する用語である。「(チオ)エーテル」は、エーテル及びチオエーテルを包含する用語である。
<重合体(P)>
重合体(P)は、下記式(1)で表される部分構造を有するジアミン(以下、「特定ジアミン」ともいう)に由来する構造単位(I)を含む。
Figure 2024087351000002
(式(1)中、Dは熱脱離性基である。dは1又は2である。dが1の場合、R及びRは、互いに独立して、「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基若しくは2価の芳香環基であるか、又は、R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の複素環構造を表す。dが2の場合、R及びRは、Rが「>C(R)-*」、3価の脂環式基若しくは3価の芳香環基であり(ただし、「*」は窒素側の結合手を表す。)、Rが「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基若しくは2価の芳香環基であるか、又は、R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の複素環構造を表す。R及びRは、互いに独立して、水素原子又は置換基である。Rは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。aは1又は2である。bは0又は1である。cは0又は1である。ただし、a+b+c=2を満たす。R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式又は縮合環式の複素環構造を表す場合には、a=1、b=1かつc=0である。「*」は結合手を表す。)
上記式(1)において、Dで表される熱脱離性基は、液晶配向膜を形成する過程で脱保護を生じさせる観点から、120~300℃の温度において分解し、水素原子に置き換わる基であることが好ましい。熱脱離性基の好ましい具体例としては、tert-ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基、1,1-ジメチル-2-ハロエチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アセチル基等が挙げられる。これらのうち、熱による脱離性に優れ、かつ脱離した構造の膜中における残存量を少なくできる点で、Boc基が特に好ましい。
dが1であり、R又はRが「-C(R)(R)-」である場合、R又はRで表される置換基としては、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、1級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシ基等が挙げられる。R及びRは、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、ハロゲン原子又は水酸基が好ましく、水素原子がより好ましい。
及びRで表される2価の脂環式基は、置換又は無置換の脂肪族環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基である。当該脂肪族環としては、炭素数3~12の飽和又は不飽和の炭化水素環が挙げられる。これらのうち、シクロペンタン環又はシクロヘキサン環が好ましい。
又はRで表される2価の芳香環基は、置換又は無置換の芳香環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基である。当該芳香環は、芳香族炭化水素環又は窒素含有芳香族複素環であることが好ましい。これらの具体例としては、芳香族炭化水素環として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等を;窒素含有芳香族複素環として、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、カルバゾール環等を、それぞれ挙げることができる。
又はRが2価の脂環式基又は芳香環基であって、環部分に置換基が結合している場合、当該置換基としては、R又はRで表される置換基として例示した基と同様の基が挙げられる。なお、上記式(1)中のRの結合手(*)及びRの結合手(*)は、特定ジアミンが有する2個の1級アミノ基のいずれかとの結合手であってもよい。
dが2であって、Rが「>C(R)-*」、3価の脂環式基又は3価の芳香環基である場合のRの具体例としてはそれぞれ、dが1である場合の「-C(R)(R)-」からRを取り除いた基、2価の脂環式基又は2価の芳香環基の環部分から1個の水素原子を取り除いた基が挙げられる。Rが「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基又は2価の芳香環基である場合のRの具体例としては、dが1である場合の具体例と同様の基が挙げられる。
及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式又は縮合環式の複素環構造を表す場合、当該複素環構造は、窒素含有芳香族複素環構造であることが好ましい。その具体例としては、R又はRが2価の芳香環基である場合の説明において窒素含有芳香族複素環として例示した環を有する構造等が挙げられる。
は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。膜形成時の加熱により上記式(1)で表される部分構造と同一分子内の他の基とが縮合して上記式(1)中の窒素原子を環骨格中に含む窒素含有芳香族複素環構造が形成される場合に、立体障害を小さくして環構造が形成されやすくする観点から、Rは水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。また、膜形成時の加熱による環形成後の塩基性度をより高め、液晶素子の信頼性及び不純物耐性を高くする観点から、Rは炭素数1~3のアルキル基が好ましい。
bが1の場合、R及びRの少なくとも一方は芳香環基とは異なる基であることが好ましい。R及びRが共に芳香環基である場合、上記式(1)で表される部分構造の塩基性度が低くなり、液晶素子の信頼性及び不純物耐性の改善効果が小さくなる傾向がある。具体的には、液晶素子の信頼性及び不純物耐性の改善効果を十分に高くする観点から、R及びRは、dが1の場合に、R及びRの少なくとも一方が「-C(R)(R)-」であるか、又は、R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の複素環構造を表すことが好ましい。また、dが2の場合、Rが「>C(R)-*」であるか、Rが「-C(R)(R)-」であるか、若しくはその両方を満たすか、又は、R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の複素環構造を表すことが好ましい。
重合体(P)は、上記式(1)で表される部分構造の少なくとも一部を重合体の主鎖中に有していてもよく、上記式(1)で表される部分構造を側鎖に有していてもよい。また、重合体(P)において、上記式(1)中の窒素原子は重合体の主鎖の一部を構成していてもよく、側鎖に含まれていてもよい。液晶素子の信頼性及び不純物耐性をより高める観点から、上記式(1)中の窒素原子は、重合体の主鎖の一部を構成するか、又は重合体の主鎖の一部を構成する炭素原子に結合していることが好ましい。
重合体(P)は、構造単位(I)として、上記式(1)で表される部分構造が互いに異なるジアミンに由来する構造単位を2種以上含む。塩基性度が異なる複数種のジアミンに由来する構造単位を重合体に導入することにより、幅広い酸性度の不純物イオンに対する捕捉効果や、重合体(P)の液晶配向膜表面側への偏在性等が高まり、不純物耐性及び信頼性に優れた液晶素子を得ることができると考えられる。良好な液晶配向性を維持しつつ、液晶素子の不純物耐性及び信頼性を改善する効果をより高める観点から、構造単位(I)は、以下に示す構造単位(I-1)及び構造単位(I-2)よりなる群から選択されることが好ましい。
構造単位(I-1):上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合した部分構造を有するジアミンに由来する構造単位
構造単位(I-2):窒素含有芳香族複素環を有するか又は加熱により窒素含有芳香族複素環が形成される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位
なお、重合体(P)に含まれる構造単位(I)が構造単位(I-1)及び構造単位(I-2)よりなる群から選択される場合、重合体(P)中の2種以上の構造単位(I)の全てが構造単位(I-1)に分類されるものであってもよく、構造単位(I-2)に分類されるものであってもよい。また、重合体(P)中の2種以上の構造単位(I)の一部が構造単位(I-1)に分類されるものであり、残りが構造単位(I-2)に分類されるものであってもよい。以下、各構造単位について説明する。
・構造単位(I-1)
重合体(P)が構造単位(I-1)を含むことにより、塩基性度が高い部位が重合体中に導入され、これにより液晶素子の不純物耐性及び信頼性の改善効果をより高めることができる。また、上記式(1)で表される部分構造が架橋性を示しやすく、液晶配向膜の膜強度の向上に寄与し得る点で好ましい。構造単位(I-1)を与えるジアミンは、下記式(1A)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 2024087351000003
(式(1A)中、Dは熱脱離性基である。dは1又は2である。dが1の場合、R及びRは、互いに独立して、「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基若しくは2価の芳香環基である。ただし、R及びRのうち少なくとも一方は「-C(R)(R)-」である。dが2の場合、R及びRは、Rが「>C(R)-*」、3価の脂環式基若しくは3価の芳香環基であり(ただし、「*」は窒素側の結合手を表す。)、Rが「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基若しくは2価の芳香環基である。ただし、Rが3価の脂環式基又は3価の芳香環基である場合、Rは「-C(R)(R)-」であり、Rが2価の脂環式基又は2価の芳香環基である場合、Rは「>C(R)-*」である。R及びRは、互いに独立して、水素原子又は置換基である。Rは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。aは1又は2である。bは0又は1である。cは0又は1である。ただし、a+b+c=2を満たす。bが0の場合、Rは「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」である。「*」は結合手を表す。)
上記式(1A)で表される部分構造の具体例としては、下記式(1A-1)~式(1A-8)のそれぞれで表される部分構造が挙げられる。
Figure 2024087351000004
(式(1A-1)~式(1A-8)中、「*」は結合手を表す。)
bが1の場合のR及びRは、塩基部位の導入により液晶素子の不純物耐性をより高める観点から、dが1の場合には、R及びRが共に「-C(R)(R)-」であることが好ましく、dが2の場合には、Rが「>C(R)-*」であってRが「-C(R)(R)-」であることが好ましい。具体的には、上記式(1A-1)~式(1A-5)のうち上記式(1A-3)~式(1A-5)が好ましく、上記式(1A-3)がより好ましい。
液晶素子の不純物耐性及び信頼性に優れるとともに、更に力学特性に優れた液晶素子を得ることができる点で、構造単位(I-1)を与えるジアミンの好ましい具体例としては、下記式(d-1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024087351000005
(式(d-1)中、Ar及びArは、互いに独立して、2価の芳香環基である。X及びXは、互いに独立して、2価の鎖状炭化水素基又は鎖状炭化水素基における一部のメチレン基が-O-、-S-、-CO-若しくは-COO-に置き換えられた2価の基である。Y及びYは、互いに独立して、上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合した部分構造を有する基である。Xは2価の有機基である。rは0~3の整数である。rが2又は3の場合、式中の複数のX、Yは互いに同一又は異なる。)
上記式(d-1)において、Ar又はArで表される2価の芳香環基としては、R又はRが2価の芳香環基である場合の具体例として例示した基と同様の基が挙げられる。Ar又はArは、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基が好ましく、中でも、ベンゼン環、ナフタレン環又はピリジン環を有する基が好ましい。Ar又はArは環部分に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、R又はRとして例示した基と同様の基が挙げられる。
又はXで表される2価の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~20のアルカンジイル基、炭素数1~20のアルケンジイル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1~10のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基がより好ましい。X又はXが、鎖状炭化水素基における一部のメチレン基が-O-、-S-、-CO-又は-COO-に置き換えられた2価の基である場合、当該鎖状炭化水素基は、炭素数2~12のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2~6の直鎖状のアルカンジイル基がより好ましい。
で表される2価の有機基としては、炭素数1~20の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3~20の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基、炭素数2~20の鎖状炭化水素基における一部のメチレン基が-O-、-S-、-CO-又は-COO-に置き換えられた2価の基、炭化水素基又は当該2価の基の一部の水素原子が置換基に置き換えられた基が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基等が挙げられる。
又はYは、上記式(1A)で表される部分構造を有することが好ましく、具体的には、上記式(1A-1)~式(1A-8)のそれぞれで表される部分構造を有する基が挙げられる。Y又はYは、中でも、上記式(1)中の窒素原子が主鎖の一部を構成するか、又は、主鎖の一部を構成する炭素原子に対し上記式(1)中の窒素原子が結合した構造(例えば、上記式(1A-1)~式(1A-7)のそれぞれで表される部分構造)を有することが好ましい。Y又はYがこのような構造を有することにより、液晶素子の不純物耐性及び信頼性をより高めることができる。
rは0~2が好ましく、0又は1がより好ましい。
・構造単位(I-2)
重合体(P)が構造単位(I-2)を含むことにより、液晶素子の不純物耐性及び信頼性の向上を図りつつ、液晶配向性を良好にできる点で好適である。構造単位(I-2)を与えるジアミンが有する窒素含有芳香族複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、カルバゾール環等が挙げられ、これらのうち、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ベンズイミダゾール環又はカルバゾール環が好ましい。加熱により形成される窒素含有芳香族複素環は、好ましくはベンズイミダゾール環である。
構造単位(I-2)を与えるジアミンの具体例としては、上記式(1)中の窒素原子に窒素含有芳香族複素環基が結合した部分構造を有するジアミン(以下、「複素環ジアミン(D1)」ともいう);上記式(1)中のR及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の窒素含有芳香族複素環構造を有するジアミン(以下、「複素環ジアミン(D2)」ともいう);加熱により上記式(1)中の窒素原子を環骨格中に含む窒素含有芳香族複素環構造を形成可能な部分構造を有するジアミン(以下、「複素環ジアミン(D3)」ともいう)等が挙げられる。
複素環ジアミン(D1)としては、例えば、下記式(1B-1)~式(1B-6)のそれぞれで表される部分構造を有する化合物が挙げられる。複素環ジアミン(D2)としては、例えば、下記式(1B-7)~式(1B-10)のそれぞれで表される部分構造を有する化合物が挙げられる。複素環ジアミン(D3)としては、例えば、下記式(1B-11)~式(1B-14)のそれぞれで表される部分構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2024087351000006
(式(1B-1)~式(1B-14)中、「*」は結合手を表す。)
特定ジアミンの具体例としては、下記式(1-1)~式(1-28)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2024087351000007
Figure 2024087351000008
Figure 2024087351000009
Figure 2024087351000010
液晶素子の不純物耐性や信頼性、液晶配向性の効果への寄与が高い点で、上記式(1-1)~式(1-28)のうち、上記式(1-1)~式(1-23)のそれぞれで表される化合物の2種以上を好ましく使用できる。なお、上記式(1-1)~式(1-28)のうち、上記式(1-1)~式(1-10)のそれぞれで表される化合物は構造単位(I-1)を与えるジアミンであり、上記式(1-11)~式(1-23)のそれぞれで表される化合物は構造単位(I-2)を与えるジアミンである。上記式(1-11)又は式(1-12)で表される化合物は構造単位(I-1)を与えるジアミンでもある。
液晶素子の不純物耐性、信頼性及び力学特性の改善効果が高く、しかも良好な液晶配向性を示す液晶素子を得ることができる点で、重合体(P)は、構造単位(I)として、上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合した部分構造を有するジアミン(ただし、構造単位(I-2)を与えるジアミンを除く。)に由来する構造単位と、構造単位(I-2)とを含むことが好ましい。これらの中でも特に、上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合し、かつ上記式(1)中の窒素原子が主鎖の一部を構成するか、又は、上記式(1)中の窒素原子が主鎖の一部を構成する炭素原子に結合した部分構造を有するジアミン(ただし、構造単位(I-2)を与えるジアミンを除く。)に由来する構造単位と、構造単位(I-2)とを含むことが好ましい。
重合体(P)において、構造単位(I)の合計の割合は、重合体(P)に含まれるジアミンに由来する構造単位の全量に対して50モル%以上である。重合体(P)における構造単位(I)の割合が、ジアミンに由来する構造単位の全量に対して50モル%未満であると、液晶素子の信頼性や不純物耐性を十分に確保できない傾向がある。このような観点から、重合体(P)における構造単位(I)の合計の割合は、重合体(P)に含まれるジアミンに由来する構造単位の全量に対して、55モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。また、構造単位(I)とは異なる構造単位を重合体中に導入して電圧保持率や液晶配向性等の各種特性を調整する場合、構造単位(I)の合計の割合は、重合体(P)に含まれるジアミンに由来する構造単位の全量に対して、例えば80モル%以下である。
[ポリアミック酸]
次に、重合体(P)としてのポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸(P)」ともいう)について説明する。ポリアミック酸(P)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸(P)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。脂肪族テトラカルボン酸二無水物は、鎖状テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物を含む。
鎖状テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂環式テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-8-メチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、3-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’-ジオン)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、3,5,6-トリカルボキシ-2-カルボキシメチルノルボルナン-2:3,5:6-二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン-2,4,6,8-テトラカルボン酸2:4,6:8-二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸2:3,5:6-二無水物、4,9-ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン-3,5,8,10-テトラオン、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3-プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビフタル酸二無水物等が挙げられる。また、ポリアミック酸(P)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、上記の他、特開2010-97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
ポリアミック酸(P)の合成に際して使用するテトラカルボン酸二無水物は、脂肪族テトラカルボン酸二無水物を含むことが好ましい。脂肪族テトラカルボン酸二無水物の割合は、重合体(P)を含む液晶配向剤の塗布性をより良好にする観点から、合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の合計量に対して、10モル%以上とすることが好ましく、30モル%以上とすることがより好ましく、50モル%以上とすることが更に好ましく、60モル%以上とすることがより更に好ましい。
(ジアミン)
ポリアミック酸(P)の合成に使用するジアミンは特定ジアミンのみであってもよい。また、ポリアミック酸(P)の合成に使用するジアミンとして、特定ジアミンと、上記式(1)で表される部分構造を有しないジアミン(以下、「その他のジアミン」ともいう)とを併用してもよい。その他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサン等が挙げられる。脂肪族ジアミンは、鎖状ジアミン及び脂環式ジアミンを含む。
その他のジアミンの具体例としては、鎖状ジアミンとして、例えばm-キシリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等を;脂環式ジアミンとして、例えば1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等を;
芳香族ジアミンとして、例えばドデカノキシジアミノベンゼン、テトラデカノキシジアミノベンゼン、ペンタデカノキシジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシジアミノベンゼン、オクタデカノキシジアミノベンゼン、コレスタニルオキシジアミノベンゼン、コレステリルオキシジアミノベンゼン、ジアミノ安息香酸コレスタニル、ジアミノ安息香酸コレステリル、ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6-ビス(4-アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6-ビス(4-アミノフェノキシ)コレスタン、1,1-ビス(4-((アミノフェニル)メチル)フェニル)-4-ブチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-((アミノフェニル)メチル)フェニル)-4-ヘプチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)-4-ヘプチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-((アミノフェニル)メチル)フェニル)-4-(4-ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、N-(2,4-ジアミノフェニル)-4-(4-ヘプチルシクロヘキシル)ベンズアミド、下記式(E-1)
Figure 2024087351000011
(式(E-1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立して、単結合、-O-、*-COO-又は*-OCO-(ただし、「*」はジアミノフェニル基側との結合手を表す)である。Rは、炭素数1~3のアルカンジイル基である。RIIは、単結合又は炭素数1~3のアルカンジイル基である。RIIIは、炭素数1~20のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基又はフルオロアルコキシ基である。aは0又は1である。bは0~3の整数である。cは0~2の整数である。dは0又は1である。ただし、1≦a+b+c≦3である。)
で表される化合物等の配向性基含有ジアミン:
パラフェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート、4,4’-ジアミノアゾベンゼン、1,2-ビス(4-アミノフェノキシ)エタン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘプタン、ビス[2-(4-アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、N,N-ビス(4-アミノフェニル)メチルアミン、N,N’-ジ(5-アミノ-2-ピリジル)-N,N’-ジ(tert-ブトキシカルボニル)エチレンジアミン、4,4’-(2,2’-オキシビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(オキシ))ジアニリン、1,5-ジアミノナフタレン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリミジン、3,6-ジアミノアクリジン、3,6-ジアミノカルバゾール、N-メチル-3,6-ジアミノカルバゾール、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)-ベンジジン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)-N,N’-ジメチルベンジジン、1,4-ビス-(4-アミノフェニル)-ピペラジン、3,5-ジアミノ安息香酸、1-(4-アミノフェノキシ)-2-(4-(4’-アミノフェニル)フェノキシ)エタン、下記式(f-1)~式(f-12)
Figure 2024087351000012
のそれぞれで表されるジアミン、シンナメート基含有ジアミン等を;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン等を;それぞれ挙げることができるほか、特開2010-97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
上記式(E-1)における「-X-(R-XII-」で表される2価の基としては、炭素数1~3のアルカンジイル基、-O-、*-COO-、-O-C-O-(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)等が挙げられる。RIIIで表される基は直鎖状であることが好ましい。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4-位又は3,5-位にあることが好ましい。
上記式(E-1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(E-1-1)~式(E-1-4)のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
Figure 2024087351000013
(ポリアミック酸の合成)
ポリアミック酸(P)は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることによって得ることができる。ポリアミック酸(P)の合成反応において、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2~2当量となる割合が好ましく、0.3~1.2当量となる割合がより好ましい。
分子量調整剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水イタコン酸等の酸一無水物;アニリン、シクロヘキシルアミン及びn-ブチルアミン等のモノアミン化合物;フェニルイソシアネート及びナフチルイソシアネート等のモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下とすることがより好ましい。
ポリアミック酸(P)の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、-20℃~150℃が好ましく、0~100℃がより好ましい。また、反応時間は、0.1~24時間が好ましく、0.5~12時間がより好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素等を挙げることができる。これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒及びフェノール系溶媒よりなる群(第1群の有機溶媒)から選択される1種以上、又は、第1群の有機溶媒から選択される1種以上と、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素よりなる群(第2群の有機溶媒)から選択される1種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第2群の有機溶媒の使用割合は、第1群の有機溶媒及び第2群の有機溶媒の合計量に対して、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。有機溶媒の使用量(x)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(y)が反応溶液の全量(x+y)に対して、0.1~50質量%になる量とすることが好ましい。
[ポリアミック酸エステル]
重合体(P)としてのポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸(P)とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法、等によって得ることができる。液晶配向剤に含有させるポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
なお、本明細書において「テトラカルボン酸ジエステル」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシ基のうち2個がエステル化され、残りの2個がカルボキシ基である化合物を意味する。「テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシ基のうち2個がエステル化され、残りの2個がハロゲン化された化合物を意味する。
方法[I]で使用するエステル化剤としては、例えば水酸基含有化合物、アセタール系化合物、ハロゲン化物、エポキシ基含有化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、水酸基含有化合物として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類等を;アセタール系化合物として、例えばN,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N-ジエチルホルムアミドジエチルアセタール等を;ハロゲン化物として、例えば臭化メチル、臭化エチル、臭化ステアリル、塩化メチル、塩化ステアリル、1,1,1-トリフルオロ-2-ヨードエタン等を;エポキシ基含有化合物として、例えばプロピレンオキシド等を、それぞれ挙げることができる。
方法[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステルは、例えばポリアミック酸(P)の合成の説明において例示したテトラカルボン酸二無水物を、メタノールやエタノール等のアルコール類を用いて開環することにより得ることができる。なお、方法[II]で使用するテトラカルボン酸誘導体はテトラカルボン酸ジエステルのみであってもよいし、テトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。ジアミンについては、ポリアミック酸(P)の説明において例示した特定ジアミンのみを使用してもよいし、特定ジアミンとその他のジアミンとを併用してもよい。
方法[II]の反応は、有機溶媒中、適当な脱水触媒の存在下で行うことが好ましい。有機溶媒としては、ポリアミック酸(P)の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水触媒としては、例えば4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムハライド、カルボニルイミダゾール、リン系縮合剤等が挙げられる。このときの反応温度は、-20~150℃が好ましく、0~100℃がより好ましい。反応時間は、0.1~24時間が好ましく、0.5~12時間がより好ましい。
方法[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、例えば上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。なお、方法[III]で使用するテトラカルボン酸誘導体はテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物のみであってもよいし、テトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。また、ジアミンについては、ポリアミック酸(P)の合成の説明において例示した特定ジアミンのみを使用してもよいし、特定ジアミンとその他のジアミンとを併用してもよい。
方法[III]の反応は、有機溶媒中、適当な塩基の存在下で行うことが好ましい。有機溶媒としては、ポリアミック酸(P)の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミン;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類等を好ましく使用することができる。このときの反応温度は、-20~150℃が好ましく、0~100℃がより好ましい。反応時間は、0.1~24時間が好ましく、0.5~12時間がより好ましい。
[ポリイミド]
重合体(P)としてのポリイミドは、例えば、上記の如くして合成されたポリアミック酸(P)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。反応に使用するポリイミドは、そのイミド化率が20%以上であることが好ましく、30~99%であることがより好ましく、40~95%であることが更に好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、又はポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01~20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン、1-メチルピペリジン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01~10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0~180℃であり、より好ましくは10~150℃である。反応時間は、好ましくは1.0~120時間であり、より好ましくは2.0~30時間である。その他、ポリアミック酸エステルのイミド化によってポリイミドを得ることもできる。
以上の重合反応により得られた反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に用いられてもよく、反応溶液中に含まれる重合体(P)を単離したうえで液晶配向剤の調製に用いられてもよく、又は単離した重合体(P)を精製したうえで液晶配向剤の調製に用いられてもよい。重合体(P)の単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。
重合体(P)は、これを濃度15質量%の溶液としたときに、20~1,800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、50~1,500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、重合体の溶液粘度(mPa・s)は、重合体の良溶媒(例えばγ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン等)を用いて調製した濃度15質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体(P)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~500,000であり、より好ましくは2,000~300,000である。また、重合体(P)につき、GPCにより測定したポリスチレン換算のMwと数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下である。重合体(P)のMw及びMw/Mnが上記範囲にあることによって、液晶素子の良好な液晶配向性を確保することができる。
本開示の液晶配向剤における重合体(P)の含有割合は、液晶配向剤に含まれる固形分(液晶配向剤の溶媒以外の成分)100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、重合体(P)の含有割合は、以下に示すその他の成分を配合する場合、液晶配向剤に含まれる固形分100質量部に対して、例えば99質量部以下であり、90質量部以下としてもよい。
<その他の成分>
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)以外の成分(以下、「その他の成分」ともいう。)を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、上記構造単位(I)を含まない重合体(以下、「重合体(Q)」ともいう。)、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物(ただし、重合体を除く。以下、「低分子化合物(p)」ともいう。)、架橋剤、官能性シラン化合物、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤等が挙げられる。これらの配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
(重合体(Q))
重合体(Q)は、重合体(P)の液晶配向膜表面への偏在性を高めたり、あるいは液晶素子の電圧保持率や残像特性を改善したりする目的で使用され得る。重合体(Q)の主骨格は特に限定されないが、例えば、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリアセタール、付加重合体を主骨格とする重合体が挙げられる。付加重合体は、重合性不飽和炭素-炭素結合を有する単量体に由来する構造単位を含む重合体であり、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、マレイミド系重合体、スチレン-マレイミド系共重合体等が挙げられる。重合体(Q)は、これらのうち、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリオルガノシロキサン及び付加重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
重合体(Q)を液晶配向剤に含有させる場合、重合体(Q)の含有割合は、液晶配向剤に含まれる重合体成分(すなわち、重合体(P)と重合体(Q)との合計量)100質量部に対して、97質量部以下とすることが好ましく、95質量部以下とすることがより好ましい。
(低分子化合物(p))
低分子化合物(p)は、液晶素子の信頼性を更に改善するために使用することができる。低分子化合物(p)が有する上記式(1)で表される部分構造の説明及び好ましい例としては、重合体(P)の説明において例示したものが挙げられる。低分子化合物(p)の分子量は、例えば1,000以下であり、800以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。
低分子化合物(p)としては、例えば、上記式(1A-1)~式(1A-8)、式(1B-6)のそれぞれで表される部分構造の1種又は2種以上を、一分子内に合計1個以上有する化合物が挙げられる。低分子化合物(p)の具体例としては、例えば、下記式(p-1)~式(p-6)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2024087351000014
本開示の液晶配向剤に低分子化合物(p)を含有させる場合、低分子化合物(p)の含有割合は、得られる液晶素子の信頼性改善の効果を十分に得る観点から、液晶配向剤に含まれる重合体成分の全量(すなわち、重合体(P)と重合体(Q)との合計量)100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましい。低分子化合物(p)の含有割合は、重合体成分の全量100質量部に対して、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましい。また、液晶配向膜の力学的強度を確保する観点から、低分子化合物(p)の含有割合は、重合体成分の全量100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
(架橋剤)
架橋剤は、液晶配向膜の力学特性の向上を図ること等を目的として使用され得る。架橋剤としては、重合体(P)が有する反応性基(例えば、アミノ基やカルボキシ基、電子豊富な芳香環基等)と反応可能な官能基(以下、「架橋性基」ともいう)を2個以上有する化合物を好ましく使用することができる。
架橋性基の具体例としては、環状エーテル基(オキセタニル基、オキシラニル基等)、環状チオエーテル基、イソシアネート基、保護されたイソシアネート基、メチロール基、保護されたメチロール基、環状カーボネート基、基「-CR20=CR21-R22-」(ただし、R20は、アミノ基との反応により脱離する1価の有機基である。R21は水素原子又はアルキル基、R22は電子求引性基である。)、β-ヒドロキシアルキルアミド基、β-アルコキシアルキルアミド基、重合性炭素-炭素結合を有する基(アルケニル基、ビニルエーテル基、ビニルフェニル基、マレイミド基、(メタ)アクリロイル基、3-メチレンテトラヒドロフラン-2(3H)-オン-5-イル基等)、アルコキシシリル基、シラノール基等が挙げられる。
架橋剤の具体例としては、環状(チオ)エーテル基を有する化合物として、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N-ジグリシジル-ベンジルアミン、N,N-ジグリシジル-アミノメチルシクロヘキサン、N,N-ジグリシジル-シクロヘキシルアミン、下記式(d1-1)又は式(d1-2)で表される化合物等を;
イソシアネート基又は保護されたイソシアネート基を有する化合物として、例えば下記式(d2-1)~式(d2-5)のそれぞれで表される化合物等を;
メチロール基又は保護されたメチロール基を有する化合物として、例えば下記式(d3-1)~式(d3-6)のそれぞれで表される化合物等を;
環状カーボネート基を有する化合物として、例えば下記式(d4-1)及び式(d4-2)のそれぞれで表される化合物等を;
基「-CR20=CR21-R22-」を有する化合物として、例えば下記式(d5-1)~式(d5-7)のそれぞれで表される化合物等を;
β-ヒドロキシアルキルアミド基又はβ-アルコキシアルキルアミド基を有する化合物として、例えば下記式(d6-1)~式(d6-6)のそれぞれで表される化合物等を;
重合性炭素-炭素結合を有する化合物として、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、下記式(d7-1)~式(d7-8)のそれぞれで表される化合物等を;
アルコキシシリル基又はシラノール基を有する化合物として、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等を、それぞれ挙げることができる。
Figure 2024087351000015
(式(d2-1)及び式(d2-2)中、R23は熱脱離性基である。)
Figure 2024087351000016
(式(d3-5)中、Acはアセチル基である。)
Figure 2024087351000017
Figure 2024087351000018
Figure 2024087351000019
Figure 2024087351000020
また、架橋剤としては上記のほか、例えば、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボジイミド基、保護されたカルボキシ基等を1種又は2種以上を有する化合物を用いることもできる。
本開示の液晶配向剤に架橋剤を含有させる場合、架橋剤の含有割合は、液晶配向膜の力学的強度を高める観点から、液晶配向剤に含まれる重合体成分の全量(すなわち、重合体(P)と重合体(Q)との合計量)100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましい。架橋剤の含有割合は、重合体成分の全量100質量部に対して、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましい。また、液晶配向性が良好な液晶素子を得る観点から、架橋剤の含有割合は、重合体成分の全量100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
(溶剤)
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)及び必要に応じて使用される成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ-ト、エチルエトキシプロピオネ-ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコール-i-プロピルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、3-メトキシ-1-ブタノール、シクロペンタノン等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性等を考慮して適宜に選択することができる。液晶配向剤の固形分濃度は、好ましくは1~10質量%の範囲である。すなわち、液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1質量%以上である場合には、塗膜の膜厚を十分に確保でき、良好な液晶配向膜が得られやすい傾向がある。固形分濃度が10質量%以下である場合には、塗膜の膜厚が過大となりすぎず、また液晶配向剤の粘性の増大を抑制でき、塗布性を良好にできる傾向がある。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、液晶配向剤の用途や、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば、液晶表示素子用の液晶配向剤の場合、スピンナー法により基板に塗布する場合には、固形分濃度(液晶配向剤中の溶媒以外の全成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)が1.5~4.5質量%の範囲であることが特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3~9質量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12~50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1~5質量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3~15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10~50℃であり、より好ましくは20~30℃である。また、位相差フィルム用の液晶配向剤の場合、液晶配向剤の塗布性及び形成される塗膜の膜厚を適度にする観点から、液晶配向剤の固形分濃度が0.2~10質量%の範囲であることが好ましく、3~10質量%の範囲であることがより好ましい。
《液晶配向膜及び液晶素子》
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を備える。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型(VA-MVA型、VA-PVA型等を含む)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型、PSA(Polymer Sustained Alignment)型といった種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1~工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
(工程1:塗膜の形成)
先ず、基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラス等のガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)等のプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一方の面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標 、酸化インジウム-酸化スズ(In-SnO)からなるITO膜等を用いることができる。TN型、STN型、VA型又はPSA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロム等の金属からなる膜を使用することができる。基板への液晶配向剤の塗布は、電極形成面上に、オフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行うことが好ましい。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30~200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25~10分である。その後、必要に応じて、溶剤を完全に除去したり重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化したりすることを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80~300℃であり、ポストベーク時間は、好ましくは5~200分である。このようにして形成される膜の厚さは、好ましくは0.001~1μmである。基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、液晶配向膜、又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。
(工程2:配向処理)
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、基板上に形成した塗膜の表面をコットン等で擦るラビング処理、及び塗膜に光照射を行って液晶配向能を付与する光配向処理が挙げられる。一方、垂直配向型(VA型)の液晶素子を製造する場合には、工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、工程1で形成した塗膜に対し配向処理を施してもよい。垂直配向型の液晶素子に好適な液晶配向膜はPSA型の液晶素子にも好ましく用いることができる。
光配向処理における光照射は、ポストベーク工程後の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程後であってポストベーク工程前の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程及びポストベーク工程の少なくともいずれかにおいて塗膜の加熱中に塗膜に対して照射する方法、等により行うことができる。光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線又は可視光線を用いることができる。好ましくは、200~400nmの波長の光を含む紫外線である。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタ
ルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー等を使用することができる。放射線の照射量は、好ましくは400~20,000J/mであり、より好ましくは1,000~5,000J/mである。塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。
液晶配向膜の製造に際し、光照射処理が施された塗膜を120℃以上280℃以下の温度範囲内で加熱することにより液晶配向性を更に改善するようにしてもよい(加熱再配列)。この加熱は、ポストベークであってもよく、ポストベークとは別にポストベーク後に行う加熱処理であってもよい。光照射処理が施された塗膜に対する加熱処理に際し、加熱温度は、加熱による分子鎖の再配向を促進させる観点から、140℃以上とすることが好ましく、150℃~250℃とすることがより好ましい。加熱時間は、好ましくは5分~200分、より好ましくは10分~60分である。
液晶配向膜の製造に際し、光照射処理が施された塗膜を、水、水溶性有機溶媒、又は水と水溶性有機溶媒との混合溶媒に接触させる工程を更に含んでいてもよい。ここで、水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロペンタノンが挙げられる。塗膜と溶媒との接触方法としては、例えば噴霧(スプレー)処理、シャワー処理、浸漬処理、液盛り処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塗膜と溶媒との接触時間は特に限定されず、例えば5秒~15分である。溶媒との接触後には塗膜の加熱処理を行ってもよい。
(工程3:液晶セルの構築)
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、(1)液晶配向膜が対向するように間隙(スペーサー)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤により貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した一方の基板上の所定の場所にシール剤を塗布し、更に液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げる方法(ODF方式)等が挙げられる。製造した液晶セルにつき更に、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
シール剤としては、例えば、硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。スペーサーとしては、フォトスペーサー、ビーズスペーサー等を用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができる。これらの中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶等を用いることができる。また、これらの液晶に、コレステリック液晶、カイラル剤、強誘電性液晶等を添加して使用してもよい。液晶はポジ型及びネガ型のいずれでもよい。誘電異方性が負のネガ液晶を用いることにより、液晶素子の透過率及び視野角の向上を図ることができる点で好ましい。
PSAモードでは、液晶とともに重合性化合物(例えば、多官能(メタ)アクリレート化合物等)をセルギャップ内に充填するとともに、液晶セルの構築後、一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する処理を行う。PSA型の液晶素子の製造に際し、重合性化合物の使用割合は、液晶の合計100質量部に対して、例えば0.01~3質量部、好ましくは0.05~1質量部である。
続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせる。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。
本開示の液晶素子は種々の用途に有効に適用することができる。具体的には、時計、携帯型ゲーム機、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA 、デジタルカメラ、携帯電話機、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイ等の各種表示装置や、調光フィルム等に用いることができる。また、本開示の液晶配向剤を用いて形成された液晶素子を位相差フィルムに適用することもできる。
以上説明した本開示によれば、以下の手段が提供される。
〔手段1〕 ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種であって、上記式(1)で表される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(I)を含む重合体(P)を含有し、前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、上記式(1)で表される部分構造が互いに異なる2種以上のジアミンに由来する構造単位を含み、かつ、前記構造単位(I)の合計の割合が、前記重合体(P)に含まれるジアミンに由来する構造単位の合計量に対して50モル%以上である、液晶配向剤。
〔手段2〕 前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合した部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(I-1)を含む、〔手段1〕に記載の液晶配向剤。
〔手段3〕 前記重合体(P)は、前記構造単位(I-1)として、上記式(1)中の窒素原子が主鎖の一部を構成するか、又は、主鎖の一部を構成する炭素原子に上記式(1)中の窒素原子が結合した構造単位を含む、〔手段2〕に記載の液晶配向剤。
〔手段4〕 前記重合体(P)は、前記構造単位(I-1)として、上記式(d-1)で表されるジアミンに由来する構造単位を含む、〔手段2〕又は〔手段3〕に記載の液晶配向剤。
〔手段5〕 前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、窒素含有芳香族複素環を有するか又は加熱により窒素含有芳香族複素環が形成される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(I-2)を含む、〔手段1〕~〔手段4〕のいずれかに記載の液晶配向剤。
〔手段6〕 前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、前記構造単位(I-2)と、上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合した部分構造を有するジアミン(ただし、前記構造単位(I-2)を与えるジアミンを除く。)に由来する構造単位と、を含む、〔手段5〕に記載の液晶配向剤。
〔手段7〕 前記構造単位(I)を含まない重合体を更に含有する、〔手段1〕~〔手段6〕のいずれかに記載の液晶配向剤。
〔手段8〕 架橋剤を更に含有する、〔手段1〕~〔手段7〕のいずれかに記載の液晶配向剤。
〔手段9〕 上記式(1)で表される部分構造を有する化合物(ただし、重合体を除く。)を更に含有する、〔手段1〕~〔手段8〕のいずれかに記載の液晶配向剤。
〔手段10〕 〔手段1〕~〔手段9〕のいずれかに記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
〔手段11〕 〔手段10〕に記載の液晶配向膜を備える液晶素子。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<化合物の構造と略号>
以下の例で使用した主な化合物の構造と略号は以下のとおりである。
[テトラカルボン酸二無水物]
化合物(TA-1)~化合物(TA-5);下記式(TA-1)~式(TA-5)のそれぞれで表される化合物
Figure 2024087351000021
[ジアミン]
化合物(DA-1)~化合物(DA-8);下記式(DA-1)~式(DA-8)のそれぞれで表される化合物
Figure 2024087351000022
化合物(DB-1)~化合物(DB-7);下記式(DB-1)~式(DB-7)のそれぞれで表される化合物
Figure 2024087351000023
[添加剤]
化合物(D-1)~化合物(D-4);下記式(D-1)~式(D-4)のそれぞれで表される化合物
Figure 2024087351000024
[溶剤]
NMP;N-メチル-2-ピロリドン
GBL;ガンマ-ブチロラクトン
BC;ブチルセロソルブ
DAA:ジアセトンアルコール
<重合体の合成及び評価>
以下の合成例1~23において重合体をそれぞれ合成した。なお、以下の例において、重合体溶液中のポリイミドのイミド化率は以下の方法により測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH-NMRを測定した。得られたH-NMRスペクトル(400MHz)から、下記数式(1)によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1-(A/(A×α)))×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるアミド基のプロトン由来のピーク面積であり、Aは化学シフト6~9ppm付近に現れる芳香族基のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるアミド基のプロトン1個に対する芳香族基のプロトンの個数割合である。)
[合成例1]
ジアミン(化合物(DA-1)25モル部、化合物(DA-8)25モル部、及び化合物(DB-1)50モル部)をNMPに溶解し、ジアミン合計量に対して0.95モル当量のテトラカルボン酸二無水物(化合物(TA-2))を加え、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸(PA-1)の溶液を得た。得られた溶液に、脱水剤として、ポリアミック酸のカルボキシ基に対して0.75モル当量の1-メチルピペリジン及び無水酢酸をそれぞれ加え、60℃で3時間加熱撹拌した。得られた溶液に対して、減圧濃縮とNMPによる希釈を繰り返して、ポリイミド(PI-1)の15質量%溶液を得た。ポリイミド(PI-1)のイミド化率は60%であった。
[合成例2~21]
テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及びモル比をそれぞれ下記表1に記載のとおりに変更した以外は合成例1と同様にしてポリアミック酸(PA-2~PA-21)をそれぞれ合成するとともに、ポリアミック酸(PA-2~PA-21)を用いてポリイミド(PI-2~PI-21)を得た。
[合成例22]
ジアミン(化合物(DB-6)60モル部、及び化合物(DB-7)40モル部)をNMPに溶解し、ジアミン合計量に対して0.95モル当量のテトラカルボン酸二無水物(化合物(TA-3))を加え、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸(PA-22)の15質量%溶液を得た。
[合成例23]
テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及びモル比をそれぞれ下記表1に記載のとおりに変更した以外は合成例22と同様にしてポリアミック酸(PA-23)を得た。
Figure 2024087351000025
表1中の数値は、テトラカルボン酸二無水物(表1中の酸二無水物1及び酸二無水物2)については、合成に使用したテトラカルボン酸二無水物の合計量(100モル%)に対する各化合物の使用割合(モル%)を示し、ジアミン(表1中の特定ジアミン1、特定ジアミン2、その他ジアミン1及びその他ジアミン2)については、合成に使用したジアミンの合計量(100モル%)に対する各化合物の使用割合(モル%)を示す。
<液晶配向剤の調製及び評価>
[実施例1:FFS型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
重合体成分(固形分換算:重合体(PI-1)20質量部、重合体(PA-22)80質量部)、及び化合物(D-1)5質量部をNMP、GBL、BC及びDAAにより希釈することにより、固形分濃度が4.0質量%、溶剤組成比がNMP:GBL:BC:DAA=30:40:10:20(質量比)となる溶液を得た。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(AL-1)を調製した。
(2)ラビング配向法による液晶配向膜の形成
平板電極、絶縁層及び櫛歯状電極がこの順で片面に積層されたガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とのそれぞれの面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(AL-1)を、スピンコーターを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱した後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間加熱を行い、平均膜厚100nmの塗膜を形成した。この塗膜表面に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度30mm/秒、毛足押し込み長さ0.3mmにて2回ラビング処理を行った。このラビング配向処理が施された塗膜を、超純水中で1分間超音波洗浄した後、100℃のオーブンで10分間乾燥を行い、液晶配向膜を形成した。
(3)FFS型液晶表示素子の製造
上記(2)で作製した基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、液晶注入口を残して直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をディスペンサー塗布した後、一対の基板の液晶配向膜を有する面を対向させ、各基板の配向処理方向が逆平行となるように圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より基板間の間隙にネガ型ネマチック液晶(Merck社製、LCCC-19-1498)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、120℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の配向処理方向と45°の角度をなすように貼り合わせることによりFFS型液晶表示素子を製造した。
(4)不純物含有FFS型液晶表示素子の製造
上記(2)で作製した基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、液晶注入口を残して直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をディスペンサー塗布した後、一対の基板の液晶配向膜を有する面を対向させ、各基板の配向処理方向が逆平行となるように圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より基板間の間隙に、不純物モデル化合物(ビス[トリフルオロメタンスルホニル]アミンアニオン、TFSA)を溶解させたネガ型ネマチック液晶(Merck社製、LCCC-19-1498)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、120℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の配向処理方向と45°の角度をなすように貼り合わせることにより不純物含有FFS型液晶表示素子を製造した。
(5)液晶配向性(AC残像特性)の評価
上記(3)で製造した液晶表示素子に対して、複屈折計(AXOMETRICS社製、AXOSTEP高精度ミュラー行列イメージングポラリメータ)により、交流電圧11Vでバックライト照射下68時間駆動させた前後での液晶方位角の変化を測定した。評価は、液晶方位角の変化が、0.1度未満を「優良」とし、0.1度以上0.3度未満を「良好」とし、0.3度以上を「不良」とした。液晶方位角の変化が小さいほど、液晶表示素子を長時間駆動した場合にもAC残像が生じにくく、液晶配向性が良好であるといえる。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
(6)信頼性の評価
上記(3)で製造した液晶表示素子に対して、CCFLを光源とするバックライト上で168時間の光照射を行った。光照射後の液晶表示素子につき、60℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。信頼性の評価は、電圧保持率が95%以上を「優良」、90%以上を「良好」、90%未満を「不良」とした。その結果、本実施例では「良好」の評価であった。なお、電圧保持率の測定装置には(株)東陽テクニカ社製の型式名「VHR-1」を使用した。
(7)不純物耐性の評価
上記(4)で製造した不純物含有FFS型液晶表示素子に対して、LEDを光源とするバックライト上で、60℃において12Vの交流矩形波電圧を167ミリ秒の印加時間・交流スパンで継続して印加し、12時間ごとに電圧の印加を解除し、線残像の観察を行った。線残像の観察は、電圧の印加解除後に、LEDを光源とするバックライト上の専用治具に液晶表示素子をセットし、25℃において6Vの交流矩形波電圧を10秒の印加時間・交流スパンで印加し、高速カメラにて駆動周波数と同期しながら1秒ごとに撮影した。不純物耐性の評価は、画素境界部の透過率低下を撮影写真にて確認し、60℃において12Vの交流矩形波電圧の印加を開始してから48時間後も透過率が低下しない場合は「優良」、24~48時間内に透過率が低下する場合は「良好」、24時間未満に透過率が低下する場合は「不良」とした。その結果、本実施例では「良好」の評価であった。なお、電圧印加の装置には(株)エヌエフ回路設計ブロック社製の型式名「WF1974」、写真撮影にはThe Imaging Source社製の産業用カメラを使用した。
(8)膜の力学特性(膜強度)の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤(AL-1)をガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、110℃のホットプレートで3分間加熱(プレベーク)した。その後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間乾燥(ポストベーク)を行い、平均膜厚0.10μmの塗膜を形成し、ヘイズメーター(Hazemeter)を用いて塗膜のヘイズ値を測定した。次いで、この塗膜に対し、コットン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.3mmでラビング処理を5回実施した。その後、ヘイズメーターを用いて液晶配向膜のヘイズ値を測定し、ラビング処理前のヘイズ値との差(ヘイズ変化値)を計算した。ラビング処理前の膜のヘイズ値をHz1(%)、ラビング処理後の膜のヘイズ値をHz2(%)とした場合、ヘイズ変化値は下記数式(z-1)で表される。
ヘイズ変化値(%)=Hz2-Hz1 …(z-1)
液晶配向膜におけるヘイズ変化値が0.5%未満であった場合を「優良」、0.5%以上1.0%未満であった場合を「良好」、1.0%以上であった場合を「不良」と評価した。ヘイズ変化値が1.0%未満であれば膜強度が十分に高くラビング耐性が高い、すなわち膜の力学特性が良好であるといえる。その結果、この実施例では「良好」の評価であった。
[実施例2~15、比較例1~10]
上記実施例1において、液晶配向剤に含有させる重合体及び添加剤を下記表2に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製してラビング配向法により液晶配向膜を形成するとともに、FFS型液晶表示素子を製造して各種評価を行った。評価結果を下記表2に示した。
Figure 2024087351000026
表2中、液晶配向剤の各成分の質量比は、液晶配向剤の調製に使用した重合体成分の合計100質量部に対する各化合物の配合割合(質量部)を示す。
表2に示すように、重合体(P)を含有する実施例1~15の液晶配向剤は、液晶表示素子の液晶配向性、信頼性及び不純物耐性、並びに液晶配向膜の力学特性がいずれも「優良」又は「良好」であり、各種特性のバランスが取れていた。これに対して、重合体(P)を含有しない比較例1~10の液晶配向剤は、液晶表示素子の液晶配向性、信頼性及び不純物耐性のうち1つ以上が「不良」であり、実施例1~11よりも劣っていた。
液晶表示素子の液晶配向性、信頼性及び不純物耐性、並びに液晶配向膜の力学特性が改善されたメカニズムは定かではないが、以下のように推測される。
実施例1~15の液晶配向剤に含有される重合体は、表1に示すように、構造単位(I)として、上記式(1)で表される部分構造が互いに異なる2種以上の特定ジアミンに由来する構造単位を含み、かつ、全ジアミン合計量に対して特定ジアミンを合計50モル部以上含む。これにより、液晶配向膜表面の吸着サイト(塩基部位)にて不純物が捕捉されやすく、不純物耐性が良好となったと推察される。また、上記式(1)で表される部分構造が互いに異なる2種以上の特定ジアミンに由来する構造単位を含むことにより、重合体の溶解性や相分離性が良好となることに加えて、塩基性度が異なる官能基が複数種類存在することによる相乗効果(緩衝作用や酸塩基相互作用、幅広い酸性度の不純物イオンの捕捉効果、ポリイミド中の残存カルボン酸との物理架橋等)が期待される。
一方、比較例1~5の液晶配向剤に含有される重合体は、表1に示すように、特定ジアミンに由来する構造単位を1種のみ含むか又は含まない。そのため、液晶配向膜表面の吸着サイトの吸着性(すなわち、不純物との相互作用)が小さく、不純物が補足されにくく不純物耐性が十分でなかったと推察される。また、比較例6~9の液晶配向剤に含有される重合体は、表1に示すように、上記式(1)で表される部分構造が互いに異なる2種以上の特定ジアミンに由来する構造単位を含むものの、全ジアミン合計量に対する特定ジアミンの量は合計40モル部以下である。そのため、液晶配向膜表面の吸着サイトの数(換言すると、官能基密度)が少なく、不純物が補足されにくく不純物耐性が十分でなかったと推察される。
また、比較例10の液晶配向剤に含有される重合体は、特定ジアミンに由来する構造単位と、塩基性を有するが窒素原子に熱脱離性基が結合していないジアミンに由来する構造単位とをそれぞれ1種ずつ含み、塩基性を有するジアミンに由来する構造単位の合計含有量は50モル部である。比較例10の液晶配向剤を用いた場合、十分量の塩基部位を含むため不純物耐性は良好であるものの、熱脱離性基が結合していない窒素原子の量が多いため、重合体の相分離性(液晶配向膜表面側への偏在性)が低く、液晶配向性が悪化したと推察される。
また、実施例2~5、8、10、11、15の液晶配向剤に含有される重合体は、液晶配向膜形成の際の焼成工程において架橋反応性を示す特定ジアミン(化合物(DA-2)~(DA-5))に由来する構造単位を含む。これにより、分子間架橋により液晶配向膜の力学特性が優良の評価になったと推察される。
以上より、重合体(P)を含有する液晶配向剤は、液晶配向性、信頼性及び不純物耐性に優れた液晶素子が得られたと推察される。

Claims (11)

  1. ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種であって、下記式(1)で表される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(I)を含む重合体(P)を含有し、
    前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、下記式(1)で表される部分構造が互いに異なる2種以上のジアミンに由来する構造単位を含み、かつ、前記構造単位(I)の合計の割合が、前記重合体(P)に含まれるジアミンに由来する構造単位の合計量に対して50モル%以上である、液晶配向剤。
    Figure 2024087351000027
    (式(1)中、Dは熱脱離性基である。dは1又は2である。dが1の場合、R及びRは、互いに独立して、「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基若しくは2価の芳香環基であるか、又は、R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の複素環構造を表す。dが2の場合、R及びRは、Rが「>C(R)-*」、3価の脂環式基若しくは3価の芳香環基であり(ただし、「*」は窒素側の結合手を表す。)、Rが「-C(R)(R)-」、2価の脂環式基若しくは2価の芳香環基であるか、又は、R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式若しくは縮合環式の複素環構造を表す。R及びRは、互いに独立して、水素原子又は置換基である。Rは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。aは1又は2である。bは0又は1である。cは0又は1である。ただし、a+b+c=2を満たす。R及びRが互いに合わせられてR及びRが結合する窒素原子と共に構成される単環式又は縮合環式の複素環構造を表す場合には、a=1、b=1かつc=0である。「*」は結合手を表す。)
  2. 前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合した部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(I-1)を含む、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 前記重合体(P)は、前記構造単位(I-1)として、上記式(1)中の窒素原子が主鎖の一部を構成するか、又は、主鎖の一部を構成する炭素原子に上記式(1)中の窒素原子が結合した構造単位を含む、請求項2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記重合体(P)は、前記構造単位(I-1)として、下記式(d-1)で表されるジアミンに由来する構造単位を含む、請求項2に記載の液晶配向剤。
    Figure 2024087351000028
    (式(d-1)中、Ar及びArは、互いに独立して、2価の芳香環基である。X及びXは、互いに独立して、2価の鎖状炭化水素基又は鎖状炭化水素基における一部のメチレン基が-O-、-S-、-CO-若しくは-COO-に置き換えられた2価の基である。Y及びYは、互いに独立して、上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合した部分構造を有する基である。Xは2価の有機基である。rは0~3の整数である。rが2又は3の場合、式中の複数のX、複数のYは互いに同一又は異なる。)
  5. 前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、窒素含有芳香族複素環を有するか又は加熱により窒素含有芳香族複素環が形成される部分構造を有するジアミンに由来する構造単位(I-2)を含む、請求項1に記載の液晶配向剤。
  6. 前記重合体(P)は、前記構造単位(I)として、前記構造単位(I-2)と、上記式(1)中の窒素原子に「-C(R)(R)-」又は「>C(R)-*」が結合した部分構造を有するジアミン(ただし、前記構造単位(I-2)を与えるジアミンを除く。)に由来する構造単位と、を含む、請求項5に記載の液晶配向剤。
  7. 前記構造単位(I)を含まない重合体を更に含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
  8. 架橋剤を更に含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
  9. 上記式(1)で表される部分構造を有する化合物(ただし、重合体を除く。)を更に含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  11. 請求項10に記載の液晶配向膜を備える液晶素子。
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